○坂倉藤吾君 先ほども指摘をいたしましたように、私は単なる
水俣病の取り扱いをめぐって、あるいは
認定をめぐってということだけではなくて、不信感の
原因はきわめて環境
行政全般にかかわる問題がある、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、少なくとも重ねて御答弁をいただこうとは思いませんが、私もたびたび当
委員会の中でもその姿勢の問題をただしてきたわけでありまして、さらに一層私は期待にこたえていただくように願いたい。
これは義務があると思うんです。そのことをひとつさらに腹を固めて毅然たる態度で、よく
長官胸を張ってお答えにはなっているんですが、具体的にやはり後退後退を続けておる現象面が幾つか出ているわけでありますから、ぜひ胸を張ってそれらの問題を前向きに、住民の立場に立ってひとつ
解決をいただくようにお願いしたいと思います。
本旨に入りますが、
水俣病をめぐります当面する問題点というのはおおよそ私は五つの点にあろうと思います。
まず第一は、
水俣病の被害の全貌がいまだに解明をされていない、明らかにされていない、こういう
状況にあろうというふうに思います。同時にこれは沿岸地域住民の健康調査すら今日行われていないという実態が何よりも私は
政府のきわめて怠慢な姿勢だというふうに指摘をせざるを得ません。やはり全貌を明らかにしていくための幾つかの
努力というものを具体的に実行してもらう、こういう姿勢が必要なんではないかというふうに思います。詳しくはまたあと時間見て御質問をいたします。
二つ目の問題は、新旧ありますけれども補償法による
申請の
認定問題、この
認定問題の中では
認定業務が著しく遅延をしておる、こういう傾向の中で結果として
棄却あるいは未
処分、いわゆる保留、こうしたものが数の上からいきましても増加の傾向にあるわけであります。そういう立場からやはり
申請者の不信感というのを生じてきている、こういう
一つの要因になっていると思います。これを明確にやはり
説明できる
一つの立場というのを、しかもだれが聞きましても具体的に一人一人が
申請者でありますから、そういう立場で
申請者でない方も含めてなるほどなと、こういうふうにわかるような
説明ができなければ私は不親切だというふうに言わざるを得ません。
それから
認定問題の第二の課題ですが、
認定の
範囲につきまして、たとえば
水俣第二次訴訟等で証明をされておりますように、症状の程度あるいは
原因あるいは因果関係、こうしたものをめぐって明らかに今日争点があるわけであります。本来人の健康を守り命を保障してそして平和な形をつくっていこうという場合に、国を治める方の側もあるいは治められる方の側もそういうことで争点があること自体が問題であります。それは具体的な話し合いをしながらやはり詰めていかなけりゃならぬというのが基本であろうと思いますね。それが
一つの
機関を通じてお互いの立場を強調しながら争わなきゃならぬというのはきわめて不幸な私は
事態であろうというふうに思います。そういう
意味を踏まえて私はいまの二点目の問題点があると思うのであります。
三点目の観点は、
申請に至るまでの地域社会あるいは環境上、こうした立場で実質的に弊害を乗り越えていくという勇気がないと実は
被害者の
申請というのはできないという事情ですね。これはいわゆる後世に与える影響、こうしたものから見て、今日の手続に基づいて本人が
病気を
水俣病であるという
認定を求めていく
申請に踏み切るだけでも社会的に大変な今日制約があるわけであります。勇気が必要であります。そういう立場の中で私はそれらの問題を十分に勘案をしていく、そうして
解決をしていく、こういう積極的な問題というのが出されてこないと根本的な
解決になっていかない、こういうふうに思うんであります。
さらに大きな課題の三つ目でありますけれども、当然健康が損われてそしていま大変な苦しい思いをされておる方々等については、これは先ほどの不
作為の論議ではありませんけれども、具体的に治療を適確に行っていく、こういう体制は私はきちっととるべきであろうというふうに思います。残念ながら
水俣病のむしろ解明の方に力点があり、あるいは
申請をされたものをどういうふうに判定をするかというところに力点が置かれて、今日まで治療体制というのはきわめて弱い
状況にあるわけであります。これは私は大変な問題だと思いますね。そういう
意味合いで、この治療の問題についての私はきちっとした取り組みを求めていかなければならぬというふうに思います。
四つ目の問題は環境の復元問題であります。御
承知のように、水中にたまったいわゆる毒がどうして取り除かれていくのかというこの課題に
最後は挑戦をせざるを得ません。これは
熊本県の方で幾つか検討され計画をされておるわけであります。しかし現実には着手をいたしますとむしろ攪拌をされて被害が広
範囲に広がって大変なことになるからという、この問題があるわけであります。この環境の復元問題等も含めて私は早急に
原因を取り除くということについて、今日の科学の進歩でありますから、科学の粋を集めながら住民が納得をし、そして処理ができるような道筋というものを早く明らかにしていかなければならぬというふうに思います。
五つ目の問題は、これは漁業の問題なんかでも現実に影響があらわれましたように、そこに問題がありということになりますと、そこでとれた魚はもちろんの話いかないわけでありまして、地域全体が今日この
水俣病のために大変な迷惑をこうむっておるわけでありますから、この地域に対するところの将来に向かっての振興
対策というものがこれが国のあるいはその地域に住む方々の総意を十分集めて行われていかなければならぬ。
おおむねいま申し上げましたように五つの問題点が
水俣病に関しては存在をするんじゃないかと、こういうふうに考えるわけですが、それらに対する基本的な
環境庁としての考え方、これをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。