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1978-10-18 第85回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十八日(水曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員異動  九月二十五日     辞任         補欠選任      成相 善十君     降矢 敬雄君  九月二十六日     辞任         補欠選任      小谷  守君     片岡 勝治君  十月十七日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 安恒 良一君                 阿部 憲一君     委 員                 高橋 圭三君                 高平 公友君                 土屋 義彦君                 福岡日出麿君                 二木 謙吾君                 降矢 敬雄君                 片岡 勝治君                 勝又 武一君                 佐藤 三吾君                 上林繁次郎君                 渡辺  武君                 森田 重郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)      稻村左近四郎君    政府委員        警察庁交通局長  杉原  正君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        運輸省自動車局        長        梶原  清君        運輸省航空局長  松本  操君        労働省労働基準        局長       岩崎 隆造君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     田中 宏樹君        警察庁交通局参        事官       勝山  亮君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君        建設省道路局道        路交通管理課長  浪岡 洋一君    参考人        全日本指定自動        車教習所協会連        合会会長    塩地 茂生君        総評全国一般労        働組合中央執行        委員       秋山 順一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (指定自動車教習所運営に関する件)  (大型貨物自動車の死角問題に関する件)  (愛知県における高速道路教習中の交通事故  に関する件)  (ニアミスの防止対策に関する件) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九月二十五日、成相善十君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が、また九月二十六日、小谷守君が委員辞任され、その補欠として片岡勝治君が選任されました。  また、昨十七日、山中郁子君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。     —————————————
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  交通安全対策樹立に関する調査中、指定自動車教習所運営に関する件について、本日の委員会に、全日本指定自動車教習所協会連合会会長塩地茂生君、総評全国一般労働組合中央執行委員秋山順一君、以上二名の方々参考人として出席を求め、その御意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、指定自動車教習所運営に関する件について調査を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  皆様には御多忙中のところ御出席いただきましてまことにありがとう存じます。皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、本件調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  議事の進め方といたしましては、まず参考人お一人十分程度意見をお述べいただきまして、その後委員方々からの質問にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じますので、各位の御協力をお願いいたします。  まず、秋山参考人から御意見をお願いいたします。
  6. 秋山順一

    参考人秋山順一君) ただいま紹介ありました、私は総評全国一般労働組合中央執行委員自動車教習所部会を担当している秋山順一と申します。  教習所経営などの問題につきましては塩地参考人の方からお話がございますと思いますので、私は自動車教習所労働者労働組合の立場から、幾つか実態なり問題点について御説明させていただきたいと思います。  まず、前提としまして、労働組合組織状況でございますが、指定自動車教習所は、約千三百五十校のうち、労働組合がありますのが約五百校、そのうち、私ども総評全国一般労働組合組織をしておりますのが約百五十校弱でございます。その他は、全自交労連、あるいはこのたび発足します自交総連、あるいは同盟交通労連、あるいは中立の組合、あるいは地域組合、そういう形で分布をしているわけでありまして、私ども組合が一番多数いるので、きょうの会合でも御指名いただいたのだと思っております。  第二に、自動車教習所と、それに働く指導員なり検定員の問題でございますが、その賃金労働条件の現状について若干御報告いたしたいと思います。  一つは、自動車教習所に働く労働者賃金なり労働条件については、かなり都道府県別に大きく違っているという実態であります。また、教習所ごとにもかなり大きな違いがあります。で、その格差を論ずるときに、経営収入等の問題もありますので、若干、御参考ですが、教習料金格差よりも、私ども賃金格差の方が大きいというふうに判断をしております。教習料金の場合は、雑駁ですけれども、大まかに言うと、技能教習というのがありますが、その一時限あたりの料金が大体二千五百円から四千円くらい、平均集中しているのは三千円から三千五百円程度というのが私どもの傘下の状況でありますけれども、その場合に、先生方承知のとおり、標準といいますか、二十七時限の技能教習を最低限やらなければならないわけですが、それをやった場合に、最も短い時間で卒業した場合に、入学金その他のいろいろなテスト料などを含めて、すべて込みで全国的には私ども調査では十万円から十七万円、一番多いのは十二万円から十四万円ぐらいということになります。もっとも、現実卒業するには二十七時限では卒業できないわけでして、大体年齢ぐらい、五十歳の方は五十時間ぐらい、三十歳の方は三十時間ぐらいというふうに一般的には言われているわけであります。たとえば、そういうことで申しまして、もちろん大都市部の方が教習料金も高いわけですけれども東京大阪などと、あるいは石川県とか福岡、北海道などと比べても、そう大きな教習料金格差はありません。それから賃金についても、東京大阪などの賃金実態は、基準内の賃金は、大体東京大阪などの場合はもう十七万円から二十万円くらい、かなり年齢も四十歳ぐらいになっていますので、平均年齢も高くなっていますから、そういうふうになっております。そうしてそのほかに、所定時間、八時間なら八時間、七時間なら七時間の所定労働時間を働いた場合の平均賃金は、大体大阪の場合で二十一万円強になっております。したがいまして、教習所の場合に、そのほかに時間外労働——超過勤務といいますか、時間外労働が非常に多いわけでありますが、大都市部労働組合組織のあるところでは二十五時間から三十時間ぐらいの時間外労働をして二十五万円ぐらいの平均賃金収入というふうになっております。それに対して労働組合のないところでは、やはり長時間働いて同じぐらいの収入。時間外を五十時間とか百時間ぐらいをやって、やっと月間三百時間近く働くわけでございますが、そういう場合はそうでありますし、労働組合のあるところは大体二百時間ぐらいで、そのぐらいの収入を得ておると。収入は同じなんですが、労働時間がはるかに違うということであります。  それから地方の低い県、これは余り名前言うといろいろ差しさわりがあると思いますが、低い県で申しますと、大体基準内賃金が十万円から十四万円くらい。そして大体その場合は残業時間が五十時間から七十時間ぐらいやっておる県が多いと思いますが、そういう場合の平均賃金で十二万円から十七万円ぐらいになっていると思います。で、もちろんその教習員労働者ですから生活をしていかなくてはなりませんので、一定収入がなければならないということで、賃金が低ければ当然労働時間は長くなると、賃金が高ければ労働時間はある程度一定のレベルに抑えられると、こういうふうに相互関係になっていると思います。  それから労働時間については、大体一日拘束八時間、実働七時間というのが私どもの半分ぐらいのところで到達しているところでありますが、その場合所定労働時間のほかに時間外労働が、先ほど申しましたように、月二十時間ぐらい。あるいは労働組合のない地方は、拘束九時間、実働八時間。最悪の場合には強制的、ほぼ半強制的な残業時間が三時間ぐらい、十一時間の労働である。これは正規に申しますと、一時限の教習が五十分でインターバルというのが十分というのが当初の話でありますけれども、実際にはインターバルを五分とか短くしているところがありまして、十一人を教習するなり——十二人というのは例外的ですけれども、大体十人から十一人の生徒を一日に教習していると、こういうことがあります。しかも、そういうところの場合は、特に労働組合がなくて非常に大変なところは年じゅう無休とか日曜日の一斉休日がないとか、そういう学校が二、三東京の場合でもあるわけでありまして、もちろん祝祭日なども休日でないところが、そういう場合があるわけです。したがって、そういう場合には、最悪の場合には、年間が三百日の稼働をして、定時間で二千四百時間ぐらい、総実働時間で三千時間ぐらい。大企業労働組合は大体二千時間ぐらいの定時になっているわけですから、年間四百時間ぐらいも長時間を働いていると、総実働時間ではもっとさらに大きく働いていると、こういう形になります。こういうことでは教習効果を上げるということについては上がるはずがないだろうし、教習所先生の場合は、われわれの交流会では、よく自動車学校先生はどなる、特に男子に対してはどなりつけるということが言われていますが、まあ最後の、夕方になってくると、どなってもくれない、何も口もきかなくなってくる。一日十一時間もしゃべりっぱなしで、口でしゃべっていますとそういう状態になってくるということでありますので、教習効果の上からは長時間の教習というのは効果が薄い。この件については警察庁の場合もそういう指導法を認めておりますし、岩手県なんかの例では九時間以内に抑えろというような指導を、通達を出している例もあります。  第三番目に、教習所健康状態、こういう点について申し上げます。  こういう長時間労働をやっておりますので、アンケート調査の一例ですが、たとえば長野県の十一校、百七十六名の調査の場合に、「業務に起因をする傷病や症状がありますか」という質問に対して、これは一人平均大体三・二五の症状を訴えております。その症状の第一番目は、胃腸障害が百七十六に対して九十六、腰痛が八十七、肩こりが七十八、体がだるいというのが六十七。数は少ないですけれども、むち打ち症が二十四、目まいがするというのが八などもあるわけであります。  第四番目に、高速教習の問題について若干この際意見を述べさしていただきたいと思います。  法令法規の間に高速自動車国道自動車専用道路を指して高速道路等ということで、高速道路等教習については、教習所指導員としては、私どもの場合は、従来から絶対反対という声が圧倒的であります。それは命にかえられないからということが第一でありますが、昭和五十二年の事故状況でも、一般道路に比べて事故一件当たりの死傷者の数は、高速道路の場合は一般道路に比べて一・五倍、死傷者の数は三・三倍、致死率は二・三倍となっております。事故が起これば死亡する確率が高いわけでありますから、そこで仮免許中の者にはとっさの場合の反応は非常に限界がありますので、非常に危険が高いと、こういうふうに思っております。  特にそのことは、先般愛知知多半島道路における自動車専用道路、これは制限時速六十キロですけれども、八月二十八日のその事故の場合には、教習生指導員か両方とも死亡しているわけであります。私たちは昨年十一月二日に、警察庁交通局長通達が出てから、高速教習は取りやめるように要請をしてきました。  その理由は、まあ特に命の問題。現在のブレーキは高速ではなかなか役に立ちにくい。あるいは交通労働者の場合も余り望んでいない、反対をしている。経営者営利主議への迎合ではないか。あるいは実質的な強制につながっていく。特に入学時にそういう料金を取ってしまうという場合があり得る。あるいは当面は任意だけれども、将来高速教習というのを全面的に法規制の中に入れてくるのではないだろうか、あるいは漫性的な残業をほうっておいて高速教習を導入するのはさらに労働強化になって、ますます効果は逆効果になるだろうということで、私ども免許を取って一年間、逆に初心者マークをつけた場合の高速の乗り入れを制限すべきではないかということを実は一九七二年の段階から警察庁には提案を申し上げてあるわけであります。  こういう問題について問題があるならば、私どもは、バス、トラック、ハイヤー、タクシーなど交通関係労働者使用者側あるいは自動車教習所労使代表学識経験者などを含めた場を持って十分検討した上で実施をすべきではないか、こういう提起を申し上げてあるわけです。これらについては、しかし一向にいままで御相談を承っていないわけでありまして、私どもが申し出する以外には受けていただけないわけであります。  第五に、教習所あり方でありますけれども自動車教習所は、一方では私企業営利企業でありますし、同時に指定自動車教習所ということで、一定教育というか、警察庁の一種の下請企業という公的な側面があるわけであります。これはもともと教習指定制度が導入された昭和三十六年ですか——三十五年、六年の間に導入されていますけれども、その試験にかわって検定業務を行うということから、いろいろ教習についても細かく規定があるわけでありますが、その場合に、たとえば路上教習の問題について、教習効果のためには、教習生徒は一日二時間以内、二時間を超えてはやらないこと。三時間やっては無効であると。実際に三時間やった場合には、不正規講習という形で卒業証明書発行停止などの処分を受けている学校もあるわけでございます。ところが、それに対して教える指導員側には何時間でもいいと、十一時間でも青天井でやっているということがございますので、私どもとしてはせめて労働基準法最低規定である八時間、こういうところに指導していただきたいと思います。  さらに、あるいはその労働争議への介入など、警察庁の場合に、若干、国家公安委員会管轄下でありますので、教習時間中に隠れてタイムウオッチではかるなど、監視やあるいは処分とかテストだけを厳しくするなど、指導員資質の問題だけに、そういうことをやったところで実質的に指導員資質向上するとか、教養が向上するとか、教育効果が上がるというものではないだろうというふうに思っております。したがいまして、特に教習所の場合は元警察官の方が法制的にも法規上も大体なりやすいようになっていまして、管理者の場合九五%が元警察の方の天下りでございます。したがって、いろいろ問題がありまして、三月や八月など教習生の多い時期には卒業までの時間が短くなる。要するに、生徒が多くなると簡単に早く卒業してしまう。したがって、そういう見きわめが教習も人数が多いと困難になる。それから地方的な格差も非常に十時間以上の差がある。早く卒業する県とゆっくり卒業する県。したがって、そういう粗製乱造教習はむしろやめて、もっと充実した教習をやれるように、優秀なドライバーを育成するという目的が、とかく利益追求という目的の前にかすんでしまうという実態があるわけでありますから、営利企業に公的な業務を行わせるという場合のあり方としてはよほど厳正でなくてはならないだろうと思います。そういう意味で、私ども営利性についてはもう少し枠をはめて、指導員に十分な教育ができるように、あるいは検定員が厳正な検定を行えるようにさらにすべきではないだろうか。  そういう意味で、免許制度自動車教習所あり方については、先ほど私が述べましたような現場労働者代表も含めた審議会などで検討を深めるべきではないだろうか。先ほど、六月十二日ですか、交通警察懇談会なるものが開かれたという新聞記事を見ましたけれども、そういう席には現場の声は反映されてないというふうに判断をしております。学識経験者なり一般ドライバーというふうに新聞では載っておりますが、最もよく実態を知っている交通関係労使代表など、あるいは教習所労使代表など参加をさした場をぜひ設けて十分な検討をし、国会においても十分な御検討をお願いいたしまして、簡単ですけれども御報告にかえさせていただきます。
  7. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ありがとうございました。  次に、塩地参考人お述べ願います。
  8. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) おはようございます。  特別のあれを用意してございませんが、教習所概況等を御承知の方もいらっしゃるかと思いますが、申し上げたいと思います。  日本の教習所というのは大変歴史は古いわけでございますけれども昭和三十五年に特に整備をされまして、規定せられた施設で資格を持った指導員が御当局の指導監督のもとに定められたカリキュラムに沿って教育をやっていくということでございます。そうして、その結果、資格を与えた者は公安委員会試験の一部を免除される、世界でもきわめてユニークなものであって、その成果が私は免許証を取る人の九割というふうに大きな数字が教習所卒業して免許証を取っている。その結果が私は現在の交通事故が減少しているということに役立っているんじゃないかなというふうに自負しているわけでございます。もちろんわれわれの教育がもっとすばらしいものであったならば、もっともっと事故防止、また現在の交通事情をよくしていくということに役立ったでしょうけれども、しかし、もしも教習所がなかりせばということを考えた場合には大変お役に立てたんじゃないかというふうに自負しているわけでございます。しかし、国民免許時代になりましたし、また交通が多様化してまいりましたし、そういう状態の中では、教習所使命というものがますます重大になりまして、われわれもこれにこたえなければならぬということで、昭和四十年に全国組織ができ、そうしていろいろ研究もして、よりよい運転者養成に努力をしているんでございますけれども、なかなか、全国全般にわたりますと統一ということがむずかしく、いまよりよい教習への勉強段階だと、また、全国組織を持ってよりよい指導ができるようにしていこう、という段階でございます。しかし、使命が大変重くなっておりますし、各教習所の職員もその自覚をして、いろんな面で向上をしつつあるということは事実でございます。また、われわれ経営者側といたしましても、その使命感を十分認識いたしまして、ただ単に、四輪車を中心にした教育でなく、いま非常にふえております原付教育、こういうこともやっていかなければいけないんじゃないかとか、さらには卒業後のフォローも必要じゃないか。どうしても現在の教育では免許を取るということが前提にならざるを得ないので、また彼らの生徒消化能力等も考えた場合、どうしても一度卒業してからある程度一般道路での運転の体験をした人にもう一回フォローしてやってやるというようなことも必要ではないか。いわゆる現在の指定教習所仕事が中学・小学校義務教育とするならば、さらに幼稚園というような原付部門まで、高等学校、大学というような部門までも広げてやっていくことがわれわれの使命じゃなかろうかなというようなことで、一部ではそういうことも考えてやっておるようなことでございます。  またさらに、私は、事故防止のためには国民みんなが交通安全ということへの知識を持っていなければいけないというようなことから、地域のいわゆる住民、歩行者教育までも、われわれは、指導というとおこがましいですが、そういうことをやらなければいけないんじゃないかなというふうに考えておる次第でございます。  そのようにきわめて使命が重い仕事なんでございますが、仕事の方ではなかなかむずかしい面もございまして、いまも話がございましたが、労働関係問題等もこれは今後研究していかなければいけない、何と申しましても、教習所というのは指導員指導力というもの、こういうものが教習所を左右するわけでございまして、今後はこの指導員資質向上、さらには指導方法の改善——幸いに中小企業近代化指定を受けましたので、これに基づいて設備の近代化、こういうことも図りまして社会的な使命におこたえするようにしてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。  このような、最初ごあいさつを申し上げるというようなことを私自身予測していなかったものですから、大変雑駁なあいさつになりましたが、細部的なことは御質問がございましたときにそれにお答えをして補足をいたしたいと思います。
  9. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、これから私は持ち時間五十分ございますから、この持ち時間五十分の中で両参考人並びにきょう出席要求をしております政府関係の各委員質問をしていきたいと思います。  まず第一に、きょう大臣おいでになれば大臣にお聞きをしようと思ったのですが、大臣おいでになっておりませんから、私は、指定自動車教習所あり方という問題で、これは法九十八条に基づいて警察庁が実際のすべての面に当たっている、そこにひとつどうも無理があるんじゃないかというような気がいたします。たまたま近代化という問題は警察庁交通局と通産省との間でやられたようでありますが、いまも自動車学校状態が説明されましたように、九十数%は警察官天下り場所に、現実になっている。天下り場所になっている。御承知のように、私は、自動車学校というものは、いまも両参考人から述べられましたように、いまやわが国は皆免許時代と言われ、いわゆる自動車普及台数から言っても、安全な優秀なドライバー養成をする、そういうことになりますと、私は、やはり関係局というのは、もちろん警察もそうでありますが、いろんな労働条件その他に関する労働省、それから安全ということは警察だけの問題ではありません。やっぱり運輸省ですね。それから、いわゆるこの教育という問題について、やはり文部省も関係がある。さらに、いわゆるこの企業自体の近代化ということになると通産省というのが必要だと思うんであります。ですから私は、きょうは国家公安委員長に出席要求をしておったんですが、ほかの法案との関係で午後になりますから、私はそういう総合的な政府部内の横の連携といいますか、そういうような中において自動車教習所あり方というものが決められていないところに問題があるんじゃないかというような気がいたしますが、まず、これは両参考人に総合的な自動車教習所あり方という問題について、いま申し上げた、そこで英知を働かせられて総合的に対策を立てられないと——これからおいおい質問していきますが、労働時間の問題は縦割りに、これは労働省が、基準局がやればいいということではないと思うんですね。いま言ったように、やっている仕事がより優秀なドライバー養成する。ここどドライバーの七、八〇%、九〇%近くが養成されているわけですから、ここでの養成の仕方いかんによれば交通事故という問題にこれはつながっていくわけですから、それにしてはどうも政府の行政として警察庁だけがこれを主として担当している、しかも全国の学校実態を見ると天下り的に警察官方々が九十数%も天下ってその学校の主要な地位を占めている、こういう点、どうも私はそこにいびつさを感じてならないわけですが、まず、この点について秋山参考人並びに塩地参考人から、そこらの行政といわゆる自動車指定学校あり方ということ、主として監督官庁ということになれば、いまの場合は警察庁が監督官庁という形になっているということについての考え方を聞かしていただきたい。
  11. 秋山順一

    参考人秋山順一君) 先ほど述べましたように、実態安恒先生がおっしゃっているとおりでありまして、現在の自動車教習所指定自動車教習所の制度というあり方そのものについても、抜本的には私ども以前議論したことがありますが、結論はまだ持っておりませんけれども、いまの制度についてはかなり中途半端な問題があるのではないか。それは、先ほど申しましたように、どうしても一方では利潤を追求する私的営利企業としてほとんどがある。したがいまして、それに枠をはめていくということになりますと、公的な側面が無視をされて、したがって順送りにどんどん人を送り出すというような実態になってしまうものを規制するとするならばどういうことが必要なのかということになると、それば労働の問題については労働省なり、あるいは自動車の構造なり、そういう問題については運輸省なり、あるいは教育という関係では文部省なりということの関係が当然出てくるだろうし、現在通産省が中小企業安定近代化促進法の関係でもう関与しているということについても当然だろうと思うわけですが、問題は、こういういまの実態では、先生がおっしゃるとおり警察庁天下り——大体警察の署長さんとか県警本部の課長さんクラスをやられた方が各学校の校長になっている。管理者というのは大体三年以上の運行管理責任をやった者でなければ、なる資格がないわけですから、大体警察庁の方がなられる。これは税理士の方が大体国税庁の方がなりやすいというのと同じ理屈になっていると思うんです。したがいまして、先輩後輩という形になりますから、どうしてもそういう間の中では経営の問題が優先したり、あるいは逆の面も、いろいろな弊害というものがあったりすると思うわけです。ただ、その点について、どういう制度がいいのかということについては私どもは結論はまだ持っていないわけでありますので、十分そういう先ほど申しましたような場でいろいろな検討をしていくべきではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  12. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 塩地参考人、いかがですか。
  13. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 御質問のことに限ってお答え申し上げたいと思うんですが、私は、警察庁の監督がどうかということに関しましては、受ける側の立場といたしまして、必ずしも問題はないんじゃないかと。特に交通問題は警察が扱っているということ、免許の発給が警察でなされているということになりますと、勢いつながりが多い。そして、じゃ、その他の学働問題のこととか労働条件その他につきましては、それぞれの官庁からわれわれは当然制約、指導を受けるわけでございますので、その点は特別に不便も感じておりませんし、よろしいんじゃないかというように感じております。  次は天下りの問題でございますが、教習所管理者というのはなかなか重要な任務でございまして、いわゆる公の仕事を移管されている。これは絶対に不正があってはいけないということになりますと、しっかりした者が指導監督をしなければいけない。また交通行政に明るい者でなければいけないということで、私は、警察官というよりも、むしろ指導監督する人の、人というものを重視され、そして、なれているという関係から警察官が比較的多い。また、警察におられた方等が、その人がりっぱな人であり、そういうものに明るいのであるならば、うってつけでなかろうかというふうにも感じております。事実、人ということになりますので、東京の場合等では、私のように全くの民間人が管理者を務めているところが相当ございます。ただ、地方地方によって、歴史の浅いところとか土地柄等によって、そういう方を向けないと人材——人材と申しましょうか、適当な人かいないというようなケースで警察出身の方が多いというところもございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 これはいま指定自動車教習所あり方と関係官庁の問題について二人の方からお伺いしたんですが、そこで政府側は杉原さんが答えることになるのかと思いますが、いま私が言ったように、今日非常に重要な仕事をしているという場合に、警察庁が主管庁としてやっているというやり方について、私はいま申し上げたように、よいドライバーをつくるという意味から言うと、各省がそれぞれの立場から総合的なやはり英知を働かせる、こういうあり方が望ましいんではないかというような気がするんですが、そこのところはどうですか。本来なら、これは大臣答弁のところだけれども、担当局長というのは自分のところが中心になるから話はちょっとおかしいけれども、いまいないからやむを得ないのですが……。
  15. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 交通局長の立場でお答えを申し上げたいと思いますが、いまの車社会の中で交通の安全というものを確保していくためにはやはり優秀なドライバーというものが輩出していかなければならない、誕生していかなければならないというのは当然でありますが、優秀なドライバーを世に送り出すためには、先ほどお話がありましたように、指定自動車教習所というもののいわゆる教習効果というものがきわめて発揮をされた形のものでなければならない。教習所教習効果を上げるためには、これは本当に人が人を教えるわけでありますから、教習員が快適に教習ができる環境が確保されていることが不可欠であると考えます。  私どもがやっております分野というのは、免許行政の一環として指定自動車教習所制度というものをとらえておりますので、そういう面から、教習員の講習であるとか研修であるとか、物的、人的なそういう水準を何とか上げていきたいということで関与をいたしておりますが、同時に、先ほど申しましたように、教習効果を上げるためにはやはり適正な労働条件下に置かれなければ教習効果は上がらないという観点から見ますと、いまやっていただいております企業指定自動車教習所を事業所として労働省がとらえておられます労働基準法を初めとします指導というものがいまなされておりますが、これが労使協調のもとでさらに推進をされるということを願望をしておるわけでございます。同時にまた、教習効果を上げるためには、施設の近代化というものが、そのドライバー料金等々に関連をしまして、どうしても必要になってまいります。そういう意味で、この指定自動車教習所の業の近代化の問題について、本年から近代化法の適用を受けるということで、通産省の御協力をいただいて、資金面等からいろいろ裏づけをしていただくということで、警察も当然でありますが、労働省も、通産省もそれぞれの立場から、これの保護育成、労働条件の改善ということにそれぞれの立場で取り組んでいただいておるのがいまの実態であるというふうに考えております。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、質問をしたいのですが、いわゆる教習効果を上げるためには、指導員教習員ができるだけりっぱに働けるように効果を上げるような作業環境をつくる必要がある。そこで一番問題になるのは、やはり私は、労働時間、それから教習の人員だと思うわけであります。いま秋山さんの答弁の中で、まず杉原さんにお聞きをしますが、定時教習は大体六人から八人ぐらいの定時教習を行う。ところが、ほとんどが時間外を恒常的にしていますから、教習実態はいわゆる九人、それから多いところでは十人、こういうような状況に一日の教習の実情にある、これは間違いありませんか、全国的に見て。大体九人から十人、中には十一人ぐらいを教習をしておる、こういう実態についてはそういうふうに把握されていますか。
  17. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 私どもが直接何人をどういう時間でというふうな形では調査をいたしておりませんが、全日本指定自動車教習所協会の方でこの近代化法の前提としていろいろ調べられた中にはそういうふうな実態が出ておるようでございます。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 まず、これは後から労働省にも関係しますが、私はそういう実態をつかんでおかなきゃいけないと思うんですね。あなたはつかんでいない。あなたが言っていることと矛盾しておるのは、できるだけりっぱなドライバーをつくるためには教習員の問題だ、しかし、教習員ができるだけりっぱな教習ができるような環境づくりということになると、この人員問題は非常に重要な問題になるんです。  以上の実態があるということでありますから、そこでこれはお聞きしたいんですが、率直に言って、私は小学校先生や中学校先生と同じとは言いませんが、大体学校先生教習時間というのはおのずから世界的にも常識があるわけです。たとえば、いま秋山さんも言われたように、もうたくさんの人を教えてくると、しまいの方になると、マン・ツー・マンのこれは教育ですから、注意する気力さえなくなると、こう言っている。どなるという表現なされましたが、つい注意する気力さえなくなる。しかし、現実はほとんどがいわゆる九人制が北信越から中四国、九州、大部分が十人制で毎日毎日やられている。こういうことで果たして交通局長としてりっぱなドライバー養成をするいわゆる教育になってるんでしょうか。毎日毎日九人も十人も教えにやいかぬ。しかも、それは所定労働時間内ではできませんから、一人五十分ということで十分の休憩と、こういう制度でやっているときには計算すればできないわけですから。そうすると、勢い毎日時間外を二時間なら二時間とか三時間をやらなければ教習ができないというのがいまの実態である。それで本当に優秀な指導ができるんですか。その点について交通局長はどう考えていますか。
  19. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 適正な講習、教習というものが確保できるようにするためには、労使の協調というものはあると思いますけれども、やはり労働省を通じて指導していただいております労働基準法の適正な運用というものが前提にならなければいけないと思いますし、そういう超過勤務、その他の問題については労働省が主務官庁として事業所についていろんな御指導をいただいているのが現在の実態でございます。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 あなたは質問に答えてないんだよ。労働時間のことは労働省に聞く。私は、一日の教習が九人から十人になっている、これでりっぱな教習ができるのか、こういうことを聞いてるんです。そのことについてその人員は妥当なのかということを聞いている。何も労働時間のことはあなたは専門じゃないんだから、これは労働省に聞く。それがため基準局長を呼んであるんだから。あなたに聞いていることは、あなたの方がいわゆる自動車教習所を主管官庁として監督もされているわけですから、その場合における一日の教習人員が九人から十人、ひどいところになると十一人、しかもそれが一般的な状況である。それで本当にマン・ツー・マンでいわゆるりっぱな教育はできるんだろうか、このことについてのお答えをあなたに聞いている。
  21. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 現状が講習効果を上げるために十分な体制のものであるというふうには考えておりませんし、逐次改善をしていくべきものであるというふうに考えます。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 理想的に言うと、あなたたちはこの方面の専門屋なんですが、いわゆる一人の教官が一日に十分な教育をする理想的な人員は大体どのぐらいでしょうか。それは一遍にはなかなか現状からできないにしても、安全の問題ですから、理想的な教育人員というのを大体どのくらいに考えられていますか。これは後から秋山さん、それから経営者の方にもお伺いします。まず、交通局長として、理想的な人員はどのくらいを教えることが、やはり人間の生命に関する問題でありますから、一番理想的なんでしょうか。
  23. 杉原正

    政府委員(杉原正君) いろんな段階はあると思いますけれども、超勤なしの所定の勤務時間内で教えられる人員というものが、やはり理想的な姿ではなかろうかというふうに考えます。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ秋山さん、いまのところ理想な、いわゆるあなたたちが一番優秀なドライバーをつくり上げるというときに、一日に何人ぐらいが適当と思われますか。
  25. 秋山順一

    参考人秋山順一君) この問題については、結論から申しますと、大体われわれの間では五人ないし六人というふうにいままでの議論では言っています。それは実は、いろいろそういう問題については、下部では現場の各県警の免許課長さんやなんかともお話ししている中で、それは一九七一年ごろですけれども、まあいいところ六人ぐらいだろうということを答弁した課長さんもいらっしゃいます。そういうことでございまして、私たちの間でも、本当に充実をしてやろうとすれば、五人ないし六人——六人というのは、定時では全国的には二、三カ所しか例がないわけですけれども、そういうことが理想ではないかと思っております。
  26. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 一番適正な効果の上がる時間ということになりますと、科学的にはっきり割り出せませんが、効果とか、それから体の楽とかいろんなものが絡み合ってくると思うんです。現実を無視した見方をすれば、一時間やって一時間休んでその間にいろいろの準備をし、また一時間教えるというようなことが一つの目安としてあるかもしれません。  ただ、ちょっと質問から外れるかもしれませんが、現在の教習所ではどこでもそういうことは考えていると思うんですが、教習一時間がわれわれの仕事で、一度失った一時間というのはもう取り返せない、翌日倍の仕事をするというわけにもまいりません。そういうことから考えまして、なかなか合理化というのがむずかしいので、時間を短縮した分が営業収入の減少になり、営業収入の減少がやっぱり経営がおかしくなるというようなことを考えたときに、どこまで下げるべきか、どこまで下げられるのか、その下げたものが教習生料金にはね返ってはいけない、ここらでわれわれは合理化とかというようなことをいま盛んに研究しているわけでございます。どうも適当な数字がはっきりこれということはございませんが、現実を無視しました場合には一回置きなんということも考えられるんじゃなかろうかと思います。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと委員長、私は塩地参考人に御注意申し上げておきますが、私が言っている理想的というのは、いまやっておりますような一時間で十分休みながらやっているということであって、理想的だと言ったから、一時間やって一時間休んで、そんな、考えもしてないようなこと、ふまじめなこと言わないでください。そんなことじゃないでしょう、いまの制度というのは。私は、いまの制度を前提にして一日に何人ぐらい教習するとりっぱなドライバーができ上がるだろうか、また、そこで働いている指導員の皆さんが、いわゆるりっぱな指導ができるだろうかということで、わが国の社会の中で、一時間働いて一時間休んでいる業界がどこにありますか、どの仕事にありますか、そんなところないでしょう。一時間働いて一時間休んで、またやる。参考人ですからあれですが、いま少し人の質問に対して、まじめにお答え願いたい。このことだけは注意しておきます。
  28. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) ちょっと弁解さしていただきたいと思います。  私は勘違いしたので、理想だったらどうだというふうに勘違いしたわけでございます。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今度は労働省にお聞きをいたしますが、これは過日衆議院でも問題になっているようですが、こういうようないわゆる長時間労働がされている。もちろん恐らく三六協定は結ばれているものだと思いますが、このような職場について最近指導監督をどうしたのかと、実態はどうあるのかということについて、また、今後どのようにこの長時間労働に対して労働省は対処していこうとしているのか、この考え方について聞かしてください。
  30. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) ただいま先生からお話のありました自動車教習所の問題ですが、当然これには労働基準法労働時間、休日、休憩というような規定の適用がありますから、したがって、一日平均八時間労働というようなことになります。時間外労働をする場合には当然三六協定が必要なわけですが、私ども自動車教習所について、実は事例といたしましては、福岡の局で調査をし、それから指導をしたという実例があるわけでございますが、これによりますと、やはり時間外協定が十分になされていない、あるいはまた割り増し賃金が十分払われていない、それから休憩時間について問題があったというようなものが調査いたしましたもののうち幾つか見られまして、それはそれなりに指導をし、また同時に、福岡教習所の協会に対して、私どもが直接調査しなかったものにつきましても、その一般的な基準法の遵守についての徹低を期するようにお願いをしております。それは、恒常的な長時間労働につながるような協定の是正、それから割り増し賃金の支払い、また休憩時間の完全付与、労働時間に関してはそのような問題について協会に対して、傘下の自動車教習所全般について是正をしていただくようなお願いをしてまいっております。  それから、私ども、時間外協定によりますれば、実は労使が合意した上でならば、何時間やってはいけないとか、何時間以上はいかぬというような、直接の基準法の規定はございませんが、当然恒常的な時間外労働というようなことになりますと、労働者の健康問題あるいは安全問題等にも影響してまいります。したがって、望ましい姿として私ども考えております時間が、いろいろこれは労働の質とか量とかというようなこともかかわりますので、一律に申し上げられませんが、現在基準審議会に御審議をいただいておりまして、時間外協定の結び方、それを監督署に届け出るわけですが、その際の要件を、そういった長時間の時間外労働を是正するようなことに役に立つような形で改めようということで現在御審議をお願いしておりまして、早晩結論をいただきましたならば、その線に沿って全国に指導の徹底を期したいと、このように考えております。
  31. 安恒良一

    安恒良一君 何か、お願いしていますお願いしていますと言うけど、基準監督署というのは、あんたたちは監督の立場にあって、そういうものの違反があるのかどうかということを調査をするのが仕事なんですね。ですから、私がお聞きしたことは、こういう長時間労働実態について全国的に調査をしたことがあるのかどうか。三六協定を結んでないところはどのくらいあるのか。違反その他がどういうふうな状態にあるのか。そういうことを、これだけ指定学校もふえて、そこで働いている労働者もふえ、しかもやっている仕事というのは、非常に労働の密度も高いし、いわゆる素人を乗せて自動車運転、横についているのですからね、危険度も高いのですから、そういう意味から言って、労働省としてはそういう調査をやられたことがあるのか。それから、いわゆる三六協定なんか結んでないのがどのくらいあるのか、また、どういう指導をしたのかと、こういうことを聞いている。
  32. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 実は、自動車教習所に限って全国的なそういった問題での実態調査をしたということはないわけでございますが、先般、長時間時間外労働を含めましたいろいろな問題につきまして、各種事業所につきましてサンプル的に調査監督をしたものの御報告でしたら、監督課長から申し上げられることができようと思います。  先ほど、これは言葉の問題ですけれども自動車教習所の協会を通じて事業所の指導をお願いしているものですから、これはお願いするというふうに申し上げたので、教習所自体に対してはもちろん是正方の勧告、指導をしていると、こういうことでございます。
  33. 安恒良一

    安恒良一君 どうもわかりませんね。いわゆる三六協定を結んでいないところがどのくらいあるのかと聞いている。三六協定は結んで私は当然やるべきだと思うが、どういうふうにその点を把握しているのかと、こういうことを聞いているんです、三六協定を。当然恒常的な長時間労働をやっていることは事実なんだから、いまの実態労使の開陳の中でも所定労働時間なんかでやっているところはないわけです。皆ほとんど長時間労働をやっている。当然三六協定は必要になんで、だから三六協定を結んでいるのはどれか、結んでないのはどのぐらいおるのかと、こう聞いているわけです。そんな実態、あなた把握しているでしょう、労働省では。
  34. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 自動車教習所に限って全国的な数字は把握いたしておりませんが、先ほど基準局長がお答えいたしましたように、昨年暮れに幾つかの業種を選びまして全国的に労働時間の実態を監督調査した際の数字で申し上げますと、三六協定が締結されている事業所は調査対象事業所の八六・七%という数字が出ております。したがって、残り一三・三%は三六協定が結ばれていなかったと、こういう状況になっております。  なお、福岡の局で行いました自動車教習所についての監督調査によりますと、三六協定が結ばれていなかったという事業所は、対象事業所の、たしか十五を調べたわけでございますが、そのうちの一つでございまして、それ以外は一応三六協定そのものはあったという状況になっております。
  35. 安恒良一

    安恒良一君 きょう焦点を、こちらの質問福岡に当ててないんだけれども、何か福岡福岡と言うのはおかしな話で……。いまそれがために全国的な参考人を呼んでいますからね。私はいろいろぜひこの点は一遍調査をしてもらいたいと思います。  それはなぜかと言うと、いま申し上げたような恒常的に、しかも全事業所的に長時間労働のされている実態がある。それはどうしてわかるかというと、ここにもう明らかになったように、九人から大体十一人ぐらい生徒を毎日こなしていると、こう言っているわけなんです。そうすると、それは所定労働時間内でできないということはもうはるかに明らかなんです。ですから、私はやっぱりこういう長時間労働のこの実態について、ひとつ労働省としてはぜひ全国的な調査をしてもらいたいと。なぜかというと、長時間労働ということが、一つはそこで働いている労働者の健康破壊に連なるだけじゃなくて、ずさんないわゆる教習になりかねない。ずさんな教習ということは、出てくるドライバーが今度は十分な教育を受けてないと、こういうことになるわけですからね。これは非常に重要なことだと思うんです。重要なことだと思う。ですから、これも労働大臣来ておったらこれはここで約束させるところですけれども、早急にひとつ全国的に実態がどうなっているのかということで、せひ労働省は実態調査をしてもらいたい。実体調査をですね。いわゆる、この三六協定が結ばれているのかどうか、それから労働時間の長時間の実態がどうなっているのか、こういうことについても、ぜひ一遍みずからが調べてもらいたい。私どもが把握をしている実態は、あなたたちが言っているような、そんななまやさしい状態ではないとこう思っていますから、何回もぼくはこれを聞いている。しかし、いまあなたたちは実態を持たぬということなんだから、サンプリング的な実態を持たぬということですから、ぜひそれは、その全国的な調査をぜひひとつやってもらいたい、こう思っています。
  36. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先ほどお答え申し上げましたようなことで、現在基準審議会に御検討をお願いしておりまして、三六協定の結び方の中身につきましても、労働組合が結んでいる場合は問題ないんですが、たとえば労使協定で組合のないところの労働者代表というものが、実は本当に労働者代表かどうか疑しい人の名前で届けられているというような実態が相当見られますし、また、現在の協定では時間外労働のそれでは上限をどのぐらいにするかということが必ずしも労使協定で明確になっておりませんので、そういうことを結ばせるような様式にいたしまして、それの指導の徹底を期してまいりたいと思っています。その実績を改めて把握するために調査をするということですと私ども意味があると思いますが、現在の時間外労働協定が結ばれているか結ばれていないかだけで調査しても、必ずしもその望ましい長時間労働等をなくすための資料にならぬと思いますので、その協定の様式の変更を待ちまして、その実施方の実態調査する運びにいたしたいと思います。
  37. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 関連して、いまの安恒君の質問は、さっきの秋山参考人がもう詳しく述べているわけです、全国的な統計を。にもかかわらず、労働省として一体把握していないではないか。したがいまして、その実態を把握するための調査をやるかやらぬかと質問しているわけです。だから、そういういろいろなことではなくて、それを安恒委員質問に答えてください。
  38. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) いま申し上げたような段取りで調査をいたしたいと、このように考えます。
  39. 安恒良一

    安恒良一君 そんな段取りじゃないんだよ。ぼくが言っているのは、私は前の委員会の議事録も見ながら言っているんだからね。いわゆる小粥君はこういう説明をしているわけだ。三百ぐらいの教習所について労働条件実態を調べたことがございますと。監督したわけですが、その結果、基準法の各条項についての違反が相当見受けられましたと、こう言って衆議院では答弁しているんだよ。だから、私が言っていることは、長時間労働なり労働基準法違反の問題の実態が非常にこの職場は多いじゃないかと。だから、そういうことについて一遍全国的に実態を把握するための、長時間労働実態がどうなっているのか、労働基準法の違反がどうなっているのか、それから労使の協定の締結がどうなっているのかということを調査したらどうだ。これは御承知のように、たとえば病院なら病院の看護問題が問題になったときには、労働省は全国的な調査をして、そして指導監督をしているわけです。だから、今回の場合も長時間労働実態はすでに参考人から述べられているんだから、そのことは警察も否定はしていない、長時間労働ということについては。そこで、長時間労働実態について十分調べると同時に、すでに衆議院のときに相当の基準法違反がありますと、こう言っているんだから。きょうになると、何かわけのわからぬことをぐずぐずぐずぐず言っているけれども現実にあなたたちはちゃんと前に出て証言しているじゃないか。だから、そういう意味から言って、この際早急に実態を調べる、調査したらどうだと、こういうことを言っている。どうですか、そういうこと。
  40. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先生のおっしゃる線で調査をいたしたいと思います。
  41. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  そこで今度は、通産省、労働省、警察等にもこれは聞きますが、近代化計画というのがここに立てられている。私はこの近代化計画をよく読みました。その中にこういうことが書いてある。「従業員の福祉の向上 従業員の就業環境の改善、厚生施設等の整備、勤務体制の整備等従業員の福祉の向上に努めるものとする。」という、近代化促進法の第三条に近代化に際して配慮すべき重要事項ということであります。結構なことだと思いますが、具体的にこれに基づいて、いま言ったことはどういうことをしようとされているのか。と言うのは、近代化計画を見ますと、設備、種類それにかける数量とか金額というのは、これはきちっと出ているわけです、近代化計画の中に。ところが、近代化に際して配慮すべき重要事項ということについて、ここに書いてあることは、これはもうあたりまえの抽象的なことですから、具体的にいまの状態がどうなっている、だからここはこういうふうにしたい、こういうことが近代化計画の中にあるのが……。これは通産省、それから警察庁、それから恐らく労働条件ということですから労働省もかんでいることだと思いますが、どういうことをこの近代化の中で労働条件についてやっていこうとされているのか、これを聞かしてもらいたい。
  42. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) いまお話しありました近代化促進法で「近代化に際し配慮すべき重要事項」として、いまお話のあったような事項を掲げておるわけでございます。これは、前の近代化促進法では、近代化の構造改善というのは、生産経営面の近代化ということにウエートを置いておったわけですけれども、五十年の法律改正で、従業員の福祉向上等に対しても計画上の重要事項、計画事項としてこれを定めるということで内容の充実を図ってきたということでございます。  そこで、いまのお話でございますが、この近代化計画というのは業界全体に対する計画ということで方針を定めておるわけでございますが、具体的にやはり優秀な人材を確保するために教習員の勤務条件につきまして、実労働時間あるいは給与体系、休日制度等の改善、あるいは従業員の待機施設、家族寮の設置、そのほかの退職金制度、見舞い金制度、あるいはレクリエーション施設、その他の福利厚生事業というものを進めることによりまして従業員の福利厚生を高める必要がある、こういうふうに考えまして、こういう指針を定めたわけでございます。  これを具体的に個別の事業所にどういうふうにこう、ブレークダウンしていくかという点につきましては、個別の企業等の実態もございますので、警察庁とも十分御相談しながら具体的に指導していくということで方針を掲げたということでございます。
  43. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほど通産省の方からお話があったとおりでございます。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 抽象的なんですね。それはなぜ私が抽象的かというと、秋山参考人が言われましたように、教習料金というのは、若干の格差はありますが、技能一時間当たりで二千五百円から四千円程度だと、で、三千円から三千五百円に集中をしていると言う。標準時間というのは大体二十七時間、あとは年齢によってそれが延びていると。こういうことで、生徒一人当たりの収入というものも大体全国的にそう余り違ってない。ところが、一方においては、労働時間というのはこれも余り格差がないですね。ところが、賃金についてはこんなに格差があるということを秋山参考人から述べられたわけですよね。生徒一人当たりの収入がそんなに違わないと、若干の格差はある。ところが、賃金だけはこんなに格差があるという実態がこれは述べられたわけですね。そうしますと、近代化ということの一つの問題としてそういうような問題等いろいろあるんじゃないかと思って私は聞いたんです。ところが、あなたたちは全く抽象的なことを言っているにすぎない。いわゆる従業員の福祉向上の中で一つ私はきょうの参考人の中で聞いて一番感じたのは、私も交通労働者なんですけれども、こんなに格差はない。しかも、ここの収入かある程度一定しておりながら——日本の場合、資本主義の社会ですから企業収入の多寡によって若干の賃金格差もあることは事実です。しかし、こんなに——この企業の場合にはかなりやっぱり全国的な共通性を持っているわけですね。協定料金というものも、それから時間というものもそうやたらに違うものじゃないわけですね、それは個人差はありますけれども。にもかかわらず、こういうたとえば賃金なら賃金格差がある。私は、当然福祉向上の第一として、そういう賃金格差なんかをやっぱり埋めていくような指導なりが私はされてしかるべきだと、そんなことも何か聞けるだろう、こう思って聞いたんですけれども、結局これどうも、あれですか、お題目でここに書いてあるだけですか。一応企業の方の近代化にいろんな便宜を計らっていくから労働者のためにも少しやっておかなきゃいかぬということで、いま言われた限りにおいてややはっきりしないんですが、そういう余りにも賃金格差があり過ぎる、こういう問題についてどうふうにお考えですか。
  45. 杉原正

    政府委員(杉原正君) やはりこの近代化計画というものを具体的に推し進める形の中で、こういう労働条件の改善の問題、それから賃金格差の問題、そういうふうなものがだんだんに是正をされていくということを期待をしておるわけでございます。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 賃金労使で決めることだから、期待をしているという答えになるのかもわかりませんけれども、私は少なくともこのような近代化計画というものを持たれますと、これは労使で決めることなんですけれども、しかし単に期待じゃ困ると思うんですね、これは期待では。「期待」という日本語は私よくわからないんですが、しかし労使で決めることですけれども、私はやっぱりそういう近代化というのは、そういうことも含めてやられて初めて近代化というのができるんですから、やはりここを担当しているところとしてはですね。  そこで、私は最後に、時間がありませんから、ぜひお聞きをしておきたいんですが、きょうは文部省もお見えになっておりますし、運輸省も来ていただいたのは、私の時間は十九分までですから、各文部省、運輸省まで聞く時間ありませんが、総合的ないわゆる自動車教習所事業の近代化を促進するために近代化計画というのができていますから、促進をするために、いわゆる官庁としては横に、いま言った関係官庁全部か一つの——中心は警察なら警察でも結構ですが、横につないでやっていく。それと同時に、組合側からも提案されているように、こういう問題についてはそこで働いている労使意見を聞いてくれと、それをぜひそういう審議会なり懇談会なりを設けて十分そこで働いている人の意見を聞きながら、これは労使ですから、労使意見を聞きながら近代化というのは促進されるべきじゃないだろうかと、こういうことを言ってますが、この点についてどうでしょうか。いま申し上げたように政府部内の横の連携を——というのは、たとえば私きのう文部省を呼んで、これはいわゆる各種学校に当たらないのかと聞けば、いや、これは各種学校というのは一定の年限がありますと、こういう時間では各種学校に当たらないと、これは法律解釈ですね。そのことをいまここであえて聞こうと思いません。しかし、やっぱり教育に関することは事実なんですよね。そういう意味から言うと、いま申し上げたように、警察庁、文部省、運輸省、通産省、労働省、横並びに横にして、それがやはり中心になりながら近代化を進めていく。その場合には、どうしてもぼくはそこで働いている労使意見を十分取り入れながら近代化を促進をしていく。そのことが安全なドライバーをつくり上げることになると、私はこう思うんですが、その点はどうですか。何ならそれはあんたがお答えにくければ大臣に、午後来ますね、公安委員長。公安委員長に答えさせてもいいですよ、そういう横のことだからとても一局長では答えられぬというなら。
  47. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 大臣に御答弁いただくのが適当だと思いますが、やはりいいドライバーの育成ということは、基本的にそういう労使の問題、勤務条件の問題、施設の問題、そういうものをやはり総合した形で推進をされなければならないことは、もうおっしゃるとおりでございます。通産省あるいは労働省等との連携もさらに密にしながら、あるいは労使の御意見等も十分聴取をしながら今後の指定自動車教習所あり方というものを十分検討してまいりたいというふうに考えます。
  48. 小柳勇

    委員長小柳勇君) いまの質問は非常に重要で、私的な営利企業から少し教育的な効果というルールをこの際にこの交通委員会で聞いておきたいというのが委員長のきょうのこの集中審議の大きな意義でもありますから、午後大臣が見えましてから再度質問させます。  それじゃ、安恒君の質問終わりまして、次阿部君。
  49. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 本日は、参考人方々に非常にお忙しいところを御出席いただきましてありがとうございました。ほんの二、三お尋ねしたいと思いますのでお答え願います。  まず、塩地参考人にお伺いいたしますが、近年わが国にもモータリゼーションの発達とともに国民免許時代、先ほど塩地参考人からお話があったように思いますが、そのような時代になって免許の所有者の数が増大して、したがって、交通安全対策上からも運転者に対する安全教育が大きな課題となっております。こうした中でもって自動車教習所の役割りといいますか、運転者に対する安全教育に対する役割りというものが非常に重要なものであると思うわけでございますが、こうした教習所の役割りというものについてどのようにお考えになっているか、簡単に御意見を承りたいと思います。
  50. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、最近の交通事情を見ますと、交通の多様化、車の高性能化、交通量の増大、そういうことになってまいりますと、昔のようにただ単に技術を覚えただけでは交通安全ということはとても望めないと思うんでございます。どうしても基礎知識、そういう教育がなされてないと交通安全は望めない。そういう意味合いで、運転に関する、交通に関する教育の場としての役目が果たせているんじゃないか、役目をしょっているんじゃないか。外国の状態を見ましても、最近だんだんと試験から教育というものを中心に免許行政のあり方が変わってきている点を見ても、これが裏づけられるんじゃないか。そういうことから、われわれはいささかでもいまの世界的に見ても脅威である事故現象に従業員諸君の努力と相まって果たしてきたと、今後ますますこれは果たしていかなければならないと、このように考えております。
  51. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま自動車免許取得者の八割は教習所教習を受けた人だ、こういうふうに言われているくらい教習所教育というものが非常に大切なものだと思っておりますが、いまも参考人のお返事のように、非常に安全教育の充実を図っている、それで事故絶滅に向かっておられるというような御意向を承りましたが、現在の指定教習所の制度の長所と欠点というものについて何かお気づきであったら承りたいと思います。
  52. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 長所と申しますと、私は教育というものは知識を付与することでなく、やっぱり人をつくる、特に運転の場合は安全運転の要素というのは、かつては議論に偏重していましたけれども、やはり運転をする人柄、これが大切じゃないか。そういう人柄ということになりますと、人づくりということになりますと、ある期間、組織立った中で教育を受ける、また指導者の人柄を自然のうちに相手に伝えるというようなことが大切で、教習所が不十分とはいえ、まさにその役目を果たしているんじゃないか。教育が大切であり、教育の場が大切である、その役目を果しているように思うんでございます。  そのほか、長所と申しますと、決められたカリキュラムで指導いたしますので、教習が理想的な、当然教えなければならぬことが漏れなく教えられる。また、専門家が教えるのでございますから、合理的に、効果的な教育ができると、このように考えております。  それから、その教育事故防止ということにつながったならば、また効果的な教習教育を受ける時間が短縮されるならば、受ける側への大変なメリットにもなる、このように考えております。  ただ、短所と申しますと、一定期間教習所に通わなければならないという不便さがあろうかと思うんでございます。しかし、これは外国と違いまして、ある場所で基礎教育をしませんと危険でございますから、当然うらはらになるということでございます。それから、料金がかかるということでございます。これは施設を使い、人を使い、教材を使いということになりますと、当然そういうことになり、これも適正利潤ということの問題等もありましょうけれども、やっぱり教習料金が、見方によったら免許取るのにどれだけかかるんだということが問題であり、またいかにいいものをやったかということが問題になろうと思いますが、こういう問題で一般の人はお金がかかるという言い方をしている人がいますけれども、将来の安全運転、正しいいいものを身につけて、事故を起こさなかったということになると、決して高いものではないと。しかし、適正な料金というものを考えてやっていかなければならない、このように考えております。
  53. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 警察庁にちょっと伺いますけれども、いまも参考人の話から承りましたが、外国ではというような例も出ましたんですが、それにつきましてごく簡単で結構ですから、いま日本の教習所の制度というものと外国の制度との特に違った点について御説明願いたいと思います。
  54. 杉原正

    政府委員(杉原正君) いろんな国によってあれが違いますけれども免許の取得について、日本のようなこういう指定自動車教習所でじっくりした教習をやるという、こういう制度のところは日本独特のものであるというふうに考えております。
  55. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま局長からもお話ありましたけれども塩地さんどうですか、日本の指定教習所の設備内容だとか、それから教習技術などのレベルというものは外国と比べてどのような程度かとお考えですか。
  56. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) システムが違いますので、簡単に比較していいかどうか。単純な比較をした場合、設備の点においても、指導技術においても私は断然すぐれていると思います。それは、指導員になるのには、訓練をされ、資格を取り、また事後教養というようなものもなされているということ、それから設備につきましては、外国では一般道路教習するわけでございますし、また学科の教育ということが実技だけで、学科を教育いたしておりません。しかし、私は運転者の心得、物の考えというようなことから、これからのあれは当然そういう知識的なものも十分教育しなければいけない。そういう点から言いまして、それがなされているというこの違いだけでも大きいんじゃないか。   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕 さらには、日本の教習所の特色はコースを持っておりますので、この中で安全に計画的な教育ができる。そういうことで断然すぐれておりまして、外国の同業者の意見を聞き、また視察に来た場合でも一驚しているというような状態でございます。
  57. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 外国に比べてわが国の教習所の方が非常にすぐれているというようなお考えでございますが、私も端的にそうは思いまするけれども、ところがお伺いしたいのは、日本の指定教習所も総括的に言えば外国の教習所よりもいいと、すぐれているという点が多々あると思いまするけれども、同じ日本国内におきまして、やはり教習所がたくさんあって、それが大体同じようなレベルまでいっていない、非常に格差があるといいましょうか、そんなふうに思われるわけですけれども、いまのおっしゃられた料金の問題なんかはどの程度か知りませんけれども、非常に教習時間が長いとか不便だとかいろいろありますね。だから、受講者の方においてはどこの教習所がいいかとか悪いとかということを大分東京あたりでも言われているわけでございます。それにつきまして、このようなレベルの差といいましょうか、教習所によっていろいろ差がありますけれども、これはやはりある程度まで向上させて、それでこの差をなくさせるというような方法について何かお気づきの点ありますか。
  58. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 経営者経営感覚といいましょうか、姿勢といいましょうか、また地域的なもので各地方によって格差があることば事実でございます。教習所全体に、いままでのモータリゼーションの進展に追っかけられていたという状態でみずからを振り返るという点にやや欠けていたんじゃなかろうかなという気が私個人しているわけでございます。   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕 そういうことから、全国組織の連合会ができまして十年たちましたので、これからは全国的なそういうものの指導をしてレベルアップを図る、平均化を図る、こういうようなことをやらなければいけないというふうに、私は全国の役員といたしましても考え、早急に着手して改善を図ってまいりたい、指導できるものは指導してまいりたいと、このように考えております。
  59. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 警察庁に伺いますけれども、いまの指定教習所のレベルの向上ですか、これについて当局としてはどのような指導なり、監督なりなさっておられますか、お伺いします。
  60. 杉原正

    政府委員(杉原正君) この問題につきまして、やはり全般的なレベルアップというのは絶え間なく続けていかなければならないと思います。従来、口で言いながら事実上何かそういうふうに役立つようなてこ入れをしたのかということになりますと、ほとんど何もしないでやってまいりました。やはりこれについての大変な私どもにも反省がございまして、ことしから自動車教習所業の中小企業近代化促進法に基づく計画を取り上げて五カ年で——いま考えておりますのは約三百億程度の金でございますが、これを投入することでレベルアップを図っていこうと思います。このレベルアップの問題は本当にそういう意味で緒についたということでございまして、この方針に沿ってこれからさらに努力をしていきたいというふうに考えております。
  61. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 塩地参考人にお伺いしますけれども交通事故をなくするという観点から言いますと、やはり運転者に対する一層の安全教育、これを徹底させる。これは不可欠でございまするが、こうした事故減少の対象の観点から見まして、免許制度あり方をどうすればよいか、欧米の免許制度参考にして取り入れるべき点があれば取り入れることも結構ですけれども、この点について、免許制度現場を預かっておられるあなたのお立場からして御意見があったら承りたいと思います。
  62. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 私は、先ほども申し上げましたように、交通事故をなくすという、運転者の人づくりといいましょうか、初期の段階ではどうしても技術による事故が多いのでございますが、だんだんなれてまいりますとその人の人柄、考え方、こういうものが事故を大きく左右しますので、運転者の者の方に力を入れるべきじゃないかということで教習所も考えておりますし、先般学科のカリキュラムの一部改正にわれわれの意見も入れさしていただいたわけですが、その際も、道徳教育といいましょうか、マナーの教育というものに主眼を置くようにしなければならない、しようということになったわけでございます。そういうことを考えますと、この免許行政の中の教育という点で人づくりに力を入れる。  次は、免許行政は将来どのように変えるべきか、変えたらいいのかというような御意見ですが、これは御当局の考えることかもしれませんが、また、われわれは関係者として、いままでの体験、外国を見学したことなどをあわせまして、私の私見でございますけれども、いまの教育はどうしても免許を取るまでの段階教育というふうに、免許証を取らせるための教育になってしまうのでございます。そしてまた、素人の受け入れ状態を考えましても、余り高度なものを教えても消化する力はない。また、実質上、実戦的なことを教えても実戦の場の体験をしてませんから理解できない。こういう点がありますので、私個人の考えでは、現在の免許証を取らせたまた半年なり一年なりたったときに、もう一回われわれが教育のし直しと申しましょうか、教育をしてやると、こういうようなことになったらいいんじゃないか。現にオーストラリアでは、一番最初にもらう免許証は本免許でなく、プロベーションライセンスといいましょうか、P免許というものを渡して、そして一年なら一年たってから本免許というふうになっておりますが、そういうようなことも将来は考えてもいいんじゃないかな、さらに今度は原付なんかも受講の義務づけなんかもあっていいんじゃないかな、このように大ざっぱでございますが考えております。
  63. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 おっしゃるように、運転者のモラルの問題、それを大いに育成していくといいましょうか、重点を置かれるということば最も必要なことだと思いまするが、最初のいわゆる初期の安全教育、これを充実させることは非常に必要でございますので、特に技能教習設備の近代化とか科学化というようなことが必要である、こうも言われておりまするけれども、現状はどのようになっておりましょうか。
  64. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 教習所の現状というのは、御承知のように面積その他基準がございますので、それに合わせたものを使い、やっておるわけでございますが、各所でいかにそこを使って効率的な、効果的な教習をするかということを各個に工夫され、また業者等もあらわれて盛んに教材の開発をなされております。それから一方では、よりよい教育ということから、たとえば教習に入る前にシミュレーターによる基礎教育を実施する、さらには運転者は自主性というもの、自主判断というものが必要でございますので、途中の段階で無線教習による自主性の養成、こういうものを技能の分野ではやっておりまして、さらにこれの改善を図らなければならない、それのカリキュラムの改善を図らなければならないということで現在カリキュラムの研究委員会をつくりまして全国ではやっているわけでございます。  それから学科に関しましては、非常に視聴覚の効果を考えまして、視聴覚器材の整備、購入といいましょうか、そういうものが活発に行われている状態でございます。
  65. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 塩地さんにもう一つ伺いますけれども運転者のモラル、運転者の資質向上と申しましょうか、そういうことを考えますと、やはり教習所におきまする指導員の役割りが非常に重要なものになってまいります。そこで指導員資質向上についてはどのような配慮をされておられるでしょうか、最後にお伺いいたします。
  66. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 私はこの仕事を三十数年やっているわけでございますが、私は教習所で何が大切だといっても指導員が一番大切である、指導員のよしあしがその教習所のよしあしを決めると、このように考えまして、特に指導員教育に力を入れているわけでございますが、現在のところ、以前の教育、そして公安委員会の審査、事後教育、それから法的には一年に指導員につきましては二日間の御当局の実施される講習、これがあるわけでございまして、全国の各所、これは多少差がございますが、指導員資質向上ということが最も大切だということに着目される方が多くって、各企業内での教育が非常に活発に行われている傾向でございます。これが年々活発化の度合いを増しているようでございます。しかし、まだ地域的には指導を受ける講師、そういうものに困る場合もあったり、また適切な指導者がなかったりということで苦慮しているところ、気持ちがあってもできない、こういうところもあるやに聞いておりますので、私は、全国の連合会といたしましても、そういう研修会、セミナー、こういうものを来年あたりからはぜひ実施したい、これを全国の役員に諮って実施するように持っていきたいと個人的に考えております。  いずれにいたしましても、職員の教養ということがきわめて大切であります。その点で先ほどちょっと安恒先生に誤解を受けたんですが、労働時間というような問題等も、私もそうですし、全国でも長くていいというふうに考えておるわけでございませんので、何とかこれを短かくしていかなければいけない、しかし、それのしわ寄せがおかしな方へ行ってはならない、こういうところで苦慮しているわけですが、そういう労働時間も含めて、短縮したものを教育にも回すというようなことをぜひやっていかなければならないのじゃないかなというふうに私個人で考えております。
  67. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間がなくなりましたので、最後に警察庁に伺いますが、いま参考人からもお話ありました指導員資質向上ということにつきまして、どのような対策を講じておられますか、お伺いしたいと思います。
  68. 杉原正

    政府委員(杉原正君) まず、私どもが直接関与しておりますのは、年に一回法律で、法制上指導員講習という公安委員会の行う講習を受けなければならない、受けさせなければならないということになっております。これの機会を通じての研修の問題、あるいはそれとは別個にまた各県で自主的に指導員の研修が行われておりますが、これをさらに推進をしていくということが必要であると思います。ただ単にそういう研修とか講習をやればいいというのでなくて、やはりその前提にはやっぱり自分が誇りを持って毎日の研修をやってもらうような勤務環境、それから社会的な地位、そういうものが、指導員というのは本当にドライバーとの間に師弟関係のような形で進んでまいりますので、それだけにやはりその指導員たるにふさわしい、教習所の地位はもちろんでありますけれども、その中で働く指導員の社会的な地位というものをもっとやはり向上さしていくということについて制度的な面からも考えていくということが必要であると思います。そういう両面が相まって本当に指導員指導員として誇りを持って働き得るような、勤務し得るような、そういう形にぜひ持っていきたいというふうに考えております。
  69. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 上林君、十分程度質問を許します。
  70. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間がもう全くなくなっちゃったので、言いっ放しにしますから、よく聞いて、それで反省すべきものは反省してもらいたいと、こう思うんですね。  私が申し上げたいことは、これは習う立場と教える立場があると。それで、いままでの話は教える立場の方の問題を取り上げてきたわけです。私は、いわゆる習う立場に立って——習ったことないんだ、私は。習ったことないけれども、習う人たちがどういう気持ちで習っているかということ、それを踏まえてどれだけか話をしてみたいと思う。  いままでの話は、いわゆる教える側のいろんな体制だとかいろんな問題を含めてこうじゃないかという話が出た。いままでの話の中で、疲れるからもうどなる気力もない。まあどなるなんてことばけしからぬことだ。どなる気力もない、教える気力もないという話だ。冗談じゃないと言うんですよ。習う立場からすれば。教える気力もなくなる。——それは体制が悪いという問題もありますよ。だけれども現実を踏まえて、習う方は一生懸命、教える方は気力がない。どうするんですか。責任問題だ。あなた方も責任、それからいわゆる経営者、これ責任問題ですよ。それで、二十七時限でもって大体課程は終わるんだと。終わりっこないじゃないですか、これは。高い金を払って、その辺の責任はどうとるのかということ。少なくとも、いままでの論議の中から言うならば、それは大問題だということを私は言いたい。どう反省し、どうその責任をとるのか。申しわけない話でしょう、習う方から見れば。どうですか、そういったことを感じますね。  あと四分。  それから、いろいろな話ありました、警察出身だからどうだとか。だけれども、いわゆる労働組合の側では天下り——私も天下りよくないと思う。よくないと思うけれども、いまの組合の方がおっしゃった、秋山さんがおっしゃった中にそういう人が多いんだと、こう言ったんです。多いということは多いに違いないんだろうけれども、その評価について何も話はなかった。だから警察関係は悪いんだという評価がなかった。これじゃ話にならぬのですよ。それを持ち出すならば、こういう人たちがここが悪いんだというはっきりした指摘がなきゃいかぬと私は思う。話が中途半端だ。その辺はどうかということを——これは言いっ放しですから。言いっ放しですから、聞いてなるほどそうだったなあというようだったら改めてその辺のところをはっきりする。  それから、これが私の本題なんですがね。さっきから優秀なドライバー養成という話があった。で、それはもうわれわれも優秀なドライバーを育ててもらいたい。だけれども、優秀なドライバーというまことに抽象的な話で終わっている。内容については何ら語られていない。優秀なドライバーを育てるためには、いわゆる経営者、また組合——教える人たちですね、教える人たちの質の向上とかいろいろなこと言っていた。どういう優秀なドライバーを育てるために教習員指導員の質の向上、こういうことをやっているんだという話はなかったんです、その点本当は聞きたいんだけれども、いわゆるそうだったんですよって一項を申し上げている。それで私は、優秀なドライバーとは、いわゆる技術面はもちろん精神面、この問題。いいですか、その教習所では、古い言葉で言うと自動車競争、そのドライバーを育てるんじゃないんだね。優秀といったって。そうでしょう。だからその技術の向上ということば大事なこと。そうすると、追い越し車線じゃないのに技術が優秀のためにさっささっさと行く。そういうドライバーを育てても何にもならぬじゃないか、そういう技術を身につけさしたって。いまスクランブル交通だなんていうような時代になってきた、そういう高度な技術は必要ない時代かもしれない。下手くそな方が慎重を期してかえって事故がないかもしれない、言い方によれば、考え方によればね。そういうことも言える。そこで私は言いたいのは、いわゆる、さっき秋山さんから話があったけれども、いわゆるどなる気力もなくてあれになっちゃうと、もう夕方には声も出ない、こういうことです。私はどなるなんていうことは絶対やめてもらいたいと思う。これは習う側がみんなそういう要望なんですよ。習う側とすればどなられに行ったんじゃないんだ、技術を習いに行ってんだ。技術という価値を求めに行ってんだ。どなるということは評価なんだ。評価と価値の混淆、そんなことをやってたんじゃ習う方は面食らっちゃうんだ、今度は。いいですか、だからやっぱりそのどなられたということは必ず反感につながります。あなたがどなられたら反感につながる。反感を持ちながら、二カ月なり三カ月その枠の中で絶えず反感を持ちながらいわゆる技術を習得した。その人たちがもう少しだ、もう少しだ、技術を習得したら、出ていったらああ伸び伸びしたなんというんで、だから事故が起きる。そのうっぷんが全部爆発するんだよ。これ笑い話でなくて、本当に人間の心理というものはそういうものなんですよ。だから、どなるなんということじゃない、技術を求めて行ってんだから、その場で評価するんでなくて、親切丁寧、懇切丁寧に教えてあげる、そしてなるほど自動車運転というのはこういうふうにするもんなんだな、こうなくちゃいけないんだなという精神的な豊かないわゆるドライバー、そういういわゆる教育というものは大事だと私は思う。それがいわゆる実際に表に出て運転できるようになったときに、その心が全部事故の防止にも、あらゆることにつながってくると私は思う。そういうものがないんだよ、義務的にね。だからその点は、私はそういった点、もっともっとあるんだけれども、習う側としての立場から言ったんですが、警察も、それから経営者も、それから組合の方も、ひとつ十分その点は考え直してもらいたい、こう思うんですね。  それからもう一言、最後に、私は千葉におるんですが、川崎製鉄の近くなんです。あそこは労働条件が三交代制なんですね、朝、昼、夜夜中、そういういわゆるシステムの会社もあるわけです。その労働条件にかなわないということであれば、それば理屈なし、労働条件が過剰である、労働が過剰であるというなら、経営者は即座にその点は改めなきゃいかぬと思いますよ。だけれども、そういういわゆるいろんなシステムあるんだから、そういったシステムを取り入れながら、どうやったら最も効果的な教育ができるのか。私は話を聞いている中で、労使の話し合いというのは十分できているのかどうかというようなものを感ずるわけです。ですから、私は不公平なしに、その辺をもっともっとその話し合いを進めていくならば、もっともっと私はその周りが開けてくるんじゃないかという感じを論議の中で私なりに感じたから、だから一言申し上げておきたいわけです。  ありがとうございました。
  71. 渡辺武

    渡辺武君 初めに、基準局長さんに伺いたいと思います。  いままでの審議の中でもおわかりと思いますけれども指定自動車教習所の長時間労働の問題が非常に重大な問題になっているというふうに私考えます。  それで、私ここに福岡県のある教習所方々のつくった「技能教育日報」というのを持っております。これを見てみますと、名前は言いません、Oさんと仮にしておきます。この方が八月十七日の日報で何人教習しているかと言いますと、九人教習している。朝の十時五分から始まりまして、一人一時限五十分、これでずっと教習をやりまして、九人消化して、それで終わったのが二十時十分ということになっております。そうしますと、大体実働が十時間五分と、こういうことになりますね、休憩時間も入れてですよ。休憩時間も入れて十時間五分。教習所は始業点検というのがありますね、仕事始める前の点検。終わってからやっぱり事務処理が必要です。それこれ含めますと、拘束十時間三十分、こういうことになるわけです。これはこの八月の十七日、一日だけの話じゃないんです。ずっと見てみますと、ほとんど毎日こういう状態が続いているという状況です。この教習所方々に伺ってみますと、福岡県全県、大体こんなところだということなんです。それでもう一つ、私ここに佐賀県のある自動車教習所のやはり「技能教習日報」を持っておりますけれども、これは一人の教官が一日に十人消化しているわけですね。十人の講習生に教育を行っておる、こういうことです。ですから、詳しいことはわかりませんけれども、この日報から見ただけで、拘束十一時間十分、実働十時間ということになっております。そして、佐賀県ではほとんど同じような状態だというふうに言われているわけであります。先ほども秋山参考人からのお話ありましたけれども、全国的に言えば十人、十一人というのが普通だというような状態になっているわけですね。私聞くところによりますと、京都などでは、十二人、十三人というようなところもあるそうです。これはまあ大変な事態だというふうに考えざるを得ないと思うんですね。  しかし問題は、特に聞いていただきたいことは、三六協定を結んでる場合であっても、こうした残業が恒常的に続かざるを得ないような業務計画がつくられて、それに基づいてこの恒常的な残業がやられてるというところです。詳しく聞いてみますと、教習生の方から、まあたくさん教習所へ来るわけですから、それで予約制で、あなたは何日の何時から、という予約をするわけですね。ところが教官の数が少ないから、一日十人、十一人という業務計画をつくって、そうして恒常的に残業をやらざるを得ないような状態に置かれていると、ここが私は一番問題だと思うんです。三六協定を結ばないでこうした残業をやらせるなんて、これは言語道断ですよ。三六協定を結んでおる場合でも、こうして事実上恒常的な残業をやらざるを得ないような状態業務計画で強制してる、これが私は特に労働基準局として注意していただきたい点だと思うんです。こういう実態、把握しておられますか。
  72. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 私ども、必ずしもすべてについて承知してるわけではございませんが、私どもが聞いてる範囲で、そういった自動車教習所があるということは事実だろうと思います。まあ、その場合にも、時間外労働は一日平均二時間程度が普通なんだろうと思います。ただ、労働基準法規定から申しますと、私ども監督署は、労働基準法の違反について是正監督ができるということになっておるわけでございますので、時間外労働協定を合法的に結びまして届け出てまいった場合に、その結果時間管理がどのようになるかということまで必ずしも監督という形では権限がまあないと申しますか、そういうことでございますけれども、やはりこういった時代に、時間短縮等の問題もございますので、私ども現在、基準審議会でいろいろ御議論をいただいて、近い時期にいままでの時間外労働協定の締結の様式について工夫を加えまして、時間外労働につきましては、たとえば一日は何時間限度、一週何時間限度、月何時間限度というような形での届け出をさせまして、労使の合意の上で着実にそういった意識をきちっとさせて、時間外労働をなるべく少なくするようにという面での指導をしてまいりたい、このように考えております。
  73. 渡辺武

    渡辺武君 どうも十分実態をつかんでいないようですね。監督官庁がそういうことじゃ困るですよ。審議会にかけて、それでいろいろな検討するというのもこれは結構なことだけれども、しかし、こうした実態を事実上容認するような方向を出されちゃ困るんです。こうした実態はこれは排除していただかなきゃならぬ。先ほど安恒委員に対して、あなた全国的に調査するということをおっしゃったですね。この調査の中にこの実態も含めて厳密に調査していただきたいと思うんです。その点、約束していただけますか。
  74. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先ほどお答えを申し上げましたとおり、調査をするとすれば、いま先生の御指摘の点は重要なことでございますので、当然調査をして、で、先ほど申し上げておりますように基準法の違反ということでストレート監督ができないわけでございますけれども、そういった実態が必ずしも好ましいものではございませんので、それについては十分指導をし、労使の是正の、何といいますか、意識と言いますか、そういうものを促進してまいりたい、このように考えます。
  75. 渡辺武

    渡辺武君 どうもちょっと人ごとのような答弁で私は気に食わないですね。  ことしの六月の二十三日に労働省労働基準局長名で通達が出されておりますね。「労働時間短縮の行政指導について」という題がついております。私これを見ておりますと、「恒常的長時間労働の排除」という項目があります。そうして、その項目の中に、「2不合理な長時間労働の排除」、こういう項目があって、そこにはこういうことが書かれている。「所定外労働は原則として、臨時、緊急の場合に行うべきものであるにかかわらず、次に掲げるような不合理な長時間労働を常態として行っているものが見られるので、これらに対しては、増員又は交替制の採用等について指導すること。」、その下にイとロがあって、そのロの中に「恒常的な所定外労働により通常業務を処理しているもの」という項目があります。この趣旨を御説明いただきたいと思います。
  76. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 先生御指摘のように、六月二十三日付で労働基準局長名をもちまして労働時間対策の進め方について各都道府県基準局長あてに通達を出したわけでございますが、御指摘のようなことも織り込んで通達をいたしております。その際、その表現をいたしました趣旨としては、先ほど基準局長からもお答えいたしましたように、基準法三十二条違反かどうかという点をとらえてみますと、たとえば三六協定がない場合、あるいは三六協定を結んでもその協定で決めている限度を超えて残業をさした場合、これは明らかに違法ということになるわけでございます。その場合はしかるべき厳正な措置をとるということになるわけでございますが、協定を結んで時間のリミットを決めてその範囲内でやっている場合、恒常的にそれを毎日の業務に織り込んで残業を予定して計画を立てていることば、三十六条の趣旨には明らかに反することになろうかと思います。ただ、それを直ちに三十六条違反という形ではとがめ得ない法律上の問題もございますんで、そういう意味で、そういうものは是正方の指導の対象として取り上げていこうということで挙げたわけでございます。
  77. 渡辺武

    渡辺武君 つまり、三十六条に基づくこの残業というのは、この表現によりますと、「所定外労働は原則として、臨時、緊急の場合に行うべきものである」、三十六条に基づく残業というのはそういうものだというふうに理解していいですか。
  78. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 基準法三十二条が労働時間の原則をうたっているわけでございますから、その例外として三十六条がある以上、例外としての考え方をとりますればやはり通常あるべき姿じゃありませんで、あくまで臨時、例外的なものというふうに三十六条を理解すべきものと考えております。
  79. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、先ほど私が指摘をしましたように、一日十人、十一人というふうに教官が教習生教育する。大体一回五十分が一時限ということになっておりまして、その残りの十分は準備とかあるいはまた休息とかいうので、ほぼ一人一時間と見ていいわけでしょう。そうしますと、とにかく実働で言いますと、もう十時間、十一時間、十二時間と働かなきゃならぬような、そういう業務計画を立てて強制しているという指定自動車教習所実態ですから、それは「恒常的な所定外労働により通常業務を処理しているもの」というところに該当するんじゃないですか。どうですか。
  80. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) いま先生の御指摘のような事実は、私どもがここで、通達で申し上げているようなことに該当すると思います。
  81. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、この指定自動車教習所のこうした実態についてどういうように対処しますか。
  82. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先ほど申し上げておりますように、実態をよくつかみまして、しかるべき是正措置といいますか、是正指導でございますね、それをさせていただきたいと思います。
  83. 渡辺武

    渡辺武君 しかるべき是正指導って、もうこんなことわかっているはずだと私思うんですね。この通達でいろいろ指導監督をしなきゃならぬところを視野において通達出されたと思うんです。指定自動車教習所などは、これは最重点指導監督業種だということじゃないですか。
  84. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 残業を恒常的に予定をして業務計画を立てているということが三十六条の趣旨に反するということは、先ほどお答えしたとおりでございます。その態様はいろんな形態がございます。たとえば臨時、例外と申しましても、年間を通じて見た場合の季節的な繁閑がある場合そうしたものをどう理解するかといったような問題もございますので、やはり実態をよく調べてみませんと一概にきめつけられない場合もあるわけでございます。特に、私ども六月に通達を出しまして今後取り組もうとしておりますのは、いま言いましたような法律上の解釈の限界がどこにあるかという問題もございますけれども、だれが見ても極端におかしいという事例もあるわけでございます。たとえば二直二交代でフル操業をやっているというケースが、信じられないのでございますけれどもなお一部にあるわけでございます。そういうような極端にひどいものをまず手がけていきたいというふうに考えております。したがって、自動車教習所の場合、その実態を調べた上で、もちろんその態様いろいろあろうかと思いますけれども、その中で悪いものについては当然是正指導の対象に取り入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
  85. 渡辺武

    渡辺武君 週刊誌を印刷する印刷労働者ですね、これは特別にひどい労働をやらされている。指定自動車教習所の教官の方々はそれと同じようなひどい労働条件に置かれているということで、基準監督局としても最重点指導監督業種というふうに考えているんじゃないかと思う。これ、あなた方労働組合との話し合いの中でそういう意見を表明したことあるんじゃないですか。どうですか。
  86. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 印刷業につきましては、私ども関係の労働組合の方からもいろいろ実情の話を伺っております。また国会での御議論もあったことも承知いたしております。そのために、特に印刷関係の業種についてはその深夜業の実態等も調査をいたしましてその結果がまとまったところでございますので、それに基づいて監督指導をしていきたいというふうに考えております。
  87. 渡辺武

    渡辺武君 いやいや、私の伺ったことを答えてくださいよ。
  88. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) どうも失礼いたしました。  その印刷の深夜業の実態と同じような形、どの程度のようなひどい姿で自動車教習所実態があるかどうか、大変申しわけないんですが、先ほど来お答えしていますように、全体的な状況を正確にまだつかんでない点もございますので、それは実態調査の上で、同じようなひどい労働条件のもとにあるものについてこれは当然是正対象にしていきたいというふうに考えております。
  89. 渡辺武

    渡辺武君 その是正するという場合どういう措置をとりますか。これは監督官庁は公安委員会ですね。労働省として公安委員会に是正についての申し入れをする、私はそのくらいのことをやるべきだと思う。双方協議をして、そうしてこういう事態は緊急に是正の措置をとる。早くやらなきゃこれは大変ですよ。後から申しますけれども、これはドライバー教育する機関でしょう。大変な長時間労働でへとへとに疲れて、自分自身もいろんな職業的な病気にかからざるを得ないという状態教習生教育をしているわけでしょう。そのドライバーが実際免許をもらって運転始めてどんな運転をするのか、私は大変な心配をしていますよ。そういう点から言って、いま申しましたように是正の措置について公安委員会にも申し入れ、相談もして厳しい措置をとるべきだと思いますが、どうですか。
  90. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 実態を調べた上でのことでございますが、それによって目に余るものについては、それぞれの教習所自体に、もちろん是正方の指導をすることが第一義でございますけれども、その監督官庁であるそれぞれの公安委員会等にも、必要な場合にはしかるべき連絡をとってやりたいと思います。
  91. 渡辺武

    渡辺武君 さっき警察庁交通局長さん、できるだけ所定内の労働時間でいわば指導が済むようにと、これ望ましいんだということをおっしゃった。局長さんね、所定内で教育を済ませると、三十二条を厳正に適用してやる場合に、何人くらい一人が受け持ったら適切だと考えますか。先ほど申しましたように、一時限というのは五十分。それにいろいろ準備とか若干の休養も含めて一人一時間というふうにして、一日一人一時間というふうに仮に考えた場合、所定内では何人くらい受け持つのが適当だと考えますか。
  92. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先ほどもちょっと御質問がありました本当に十分な指導ができるかどうかという観点はまた別といたしまして、基準法の適用という観点から申しますと、五十分・十分で、インターバルが十分あるわけでございますが、そのほかに休憩で恐らく一人分のところを休憩にいたしまして実働八時間ということになりますから、前後の準備、それに休息その他を考えますと、計算上は八人までが限度だと——所定内の労働時間です、平均いたしまして。——いうふうに考えられると思います。
  93. 渡辺武

    渡辺武君 局長さん、御用おありだそうで、もうこれで結構です。  それで、公安委員会の方に伺います。  公安委員会の方できょう議論になったような指定自動車教習所労働のひどい実態ですね、これについては把握しておられますか。また、それについていままでどういう対処をしてこられたか。今後、どんなふうにやろうとなさっておられるのか、これを伺いたい。
  94. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 私ども労働問題につきまして直接指導監督をする立場にございませんで、そういう勤務条件その他給与、いろんな問題に直接タッチもしないし、実態を余り承知をいたしておりません。その教習所協会等を通じてのいろんな話は聞いております。ただ、先ほど申し上げましたように、労働問題あるいは勤務時間、この問題というのが教習効果にも非常に密接な関係がありますので、基本的には労働機関によります適切な指導のもとに労使関係によるコンセンサスを得て、できるだけ早く所要の改善がされることを期待し、願望をいたしておるということでございます。
  95. 渡辺武

    渡辺武君 監督官庁としてそんな答弁いただくとは、これは全く予想外ですね。労働条件の問題はおれの管轄じゃないから実態も知らないし、改善されることを希望すると、そんなばかなことありますか。  私、ここにあなた方が書かれた「講習ハンドブック 指定自動車教習所職員用教科書」というのを持っております。これ見てみますと、指定自動車教習所というのは、これは公安委員会の代行業務を行っているものだと、そういう点で、営利企業ではあるけれども、しかし同時に公共性を持っているんだと、こういうことを非常に強調している。そうして、「公共性と企業性は、車の両輪であり、いたずらに企業性を強調し、公共性を忘却するとすれば、指定教習所制度を自ら破壊することとなろう。」これはあなた方が言っている言葉ですよ。営利ということだけを第一にして、そうして教官の人数をしぼって、たくさん来る受講生、これを労働基準法もくそ食らえという態度で徹底的にこき使っている。余りに企業性だけが追求されている姿と見ませんか。あなた方自身が言っているように、こうして企業性そのものだけを追求しているがゆえに、指定教習所制度そのものをいま破壊しつつある。そうでしょう。  私、先ほど基準局長福岡県で調査した実例を若干言われましたが、それについて現地の基準監督官は、「福岡指定自動車学校協会に対し改善するよう勧告している。恒常的な長時間労働が続けば、指導内容が低下することは十分に考えられる」と、こういうことを言っているんです。  道交法というのは、これは交通の安全を守るための法律でしょう、一言で言えば。指定自動車教習所、これはさっきあなたも言いましたけれども、優秀なドライバーを育てることが任務だと、こう言っている。特に、そういう任務を持っている教習所の職員の方々は、これはただ技術を教えるというだけでは済まないんです。教育者としての見地から、ドライバーを人格的にも社会的にも十分に引き上げていくような見地から、いろんな指導をしなきゃならぬ立場にある人ですよ。その人たちが一日十時間も十一時間も十二時間も働かされて、家へ帰って寝るのがせいぜいだ、勉強する暇もない。こんな状態ドライバーに、ただ技術だけを教え込む、モラルについてはそこまでとてもいかない、自分自身がいら立ってきて、そんな余裕さえもないという状態にしておいてどうして交通の安全守ることができますか。私は、それは私企業性を全部捨てろというわけじゃないけれども、あなた方自身が公共性を持っている企業だというならば、労働基準法を初め日本の国内の法令、これを遵守する特別な義務を持っていると思うけれども、どうですか。
  96. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 指定自動車教習所というのが非常に社会的に果たす役割が大きいという、そういう認識に立って対応しているわけでございますが、特に教習効果というものを考えますと、良好な勤務環境というものが不可欠である。それをやっていくためには、第一次的に労働行政というものを通じてそれの是正改善を図っていただくという一つの立場がございます。それを前提にしながら、私どもその施策が促進されるように、推進されるように側面的に協力していくというのは当然でございます。したがいまして、指定自動車教習所がわれわれの監督である以上は、決められました労働基準法を守っていただくことばもちろん、他の一般の法令についても遵守していただくということは、われわれも十分に指導してやっていかなければならない。ただ、労働問題についての指導監督というのは、一義的に労働行政としてやっていただくべき性質のものだという意味で申し上げたわけでございます。
  97. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、基準法を守らせる上でどういう措置をとりますか。
  98. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これは私どもが関与するその関与の仕方というのはいろいろ限られると思いますが、私どもは、たとえば技能教習で言いますと、二十七時限をやってほしいと、こういうことを言っておりますが、一日一体どういう勤務でそれをやっていくのかというふうなことになりますと、これはまた、労働基準法の問題になってまいります。その労働基準法が適正に施行される、しかもこれは労使のコンセンサスが当然なければいけないと思いますけれども、そういうふうなものの前提でやはりこういう線でやるべきだという線が出た、その線に沿うた指導をやっていくと、これは個々具体的にいろいろなケースが出てまいると思いますので、一概にこうやるということにはなかなかまいらないと思います。
  99. 渡辺武

    渡辺武君 少なくともこの基準法三十二条、これは所定内の労働を定めていますわな。三十六条では残業の問題について定めている。先ほど私申しましたように、三六協定を結んでいても事実上長時間労働をやらざるを得ないような業務計画をつくって労働者労働強化に追い込んでいる、そういう実態を至急にやめさせると、労働基準法を守るという特別な通達ぐらいは出すべきじゃないですか、どうですか。
  100. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これはやはり労働行政が先行すべきものだと思います。ですから、そのときにこの三六協定というのが結ばれている、これは基準法からいっての適否というものの先に判断があって、その上に沿うてわれわれそれを側面的にさらに促進するという方向で考えていくべき性質のものであるというふうに考えます。
  101. 渡辺武

    渡辺武君 あなたはいまの議論聞いていなかったのかね。ちゃんとこの局長通達出ているのですよ、労働基準局長通達が。先ほどの答弁もあったでしょう。直ちに法違反とは言いがたいけれども、是正しなきゃならぬことだということを言っている。それも考慮に置いて、これはできるだけ早い機会に指導してほしい。どうですか。  それから、もう時間が余りないので、もう一つついでに伺っておきますが、先ほどあなたは、所定労働時間で指導が済むようにと、これが望ましいことだとおっしゃった。基準局長は、その所定労働時間で済ませるとすれば、一日一人一時限ということで考えてみれば、大体八人くらいが限度だろうということを言われた。その点についてあなたはどう思うか。
  102. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これは理想的な姿として労働省からおっしゃったことはそのとおりであるというふうに考えます。
  103. 渡辺武

    渡辺武君 労働省は主として労働時間の見地から言ってるんです。しかし、あなた方は、これは指定自動車教習所が適正に運営されるということを指導する任務があるんじゃないですか。そうでしょう。その場合は一人の教官が何人の教習生を一日に教育したらいいのかということについては、主としてあなた方が指導しなきゃならぬ問題ですよ。そうでしょう。教習生一人について一時限、これは五十分だと。一日最高二時限を超えちゃいかぬというようなことがきちっと基準の中に書き込まれているわけですわ。まさにあなた方の所管事項になっているわけですよ。一日何人が適切かと。あなた自身が八人だろうと、基準局長意見に賛成された。それを実現するためにはどういう措置とりますか。
  104. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これまた理想的な姿としてということでおっしゃっておりますので、まずその時間というふうなものが一体実態的にどういうのがやはり適当であるかという判断があった上で、その前提教習としてそれを何人当たりにそれを考えていったらいいのかということで考えていくべきものであるというふうに考えます。
  105. 渡辺武

    渡辺武君 少なくとも、あなた理想的と言うけれども、これは遠い遠い先の山のあなたの空遠くにある理想じゃ私はなかろうと思う。いま直ちに実施に取りかからなきゃならぬ問題だと思うんです。時間がないから詳しいこと言わないけれども、これは深刻な状態ですよ。道交法上からもこれは非常に問題ですよ、交通の安全という見地からも。実現させるために早急に私は、あなた方が本当に責任を持つなら、公安委員会としての通達なり、あるいはまたこの運営基準の中にその問題を書き込むなり、実のある措置をとるべきだと思いますが、どうですか。
  106. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これは所管の労働省等とも協議をいたしまして検討してまいりたいというふうに思います。
  107. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 渡辺君、最後にしてください。
  108. 渡辺武

    渡辺武君 はい。塩地参考人に最後に時間がないのでまとめて伺いますが、いま労働基準法上でいろいろ問題があると、経営者の皆さんが教官の方々労働強化を押しつけていると言っている。労働基準法を守る意思があるのかどうか、また経営者団体としてそれを傘下の各企業に守らせるための特別な私は措置をとるべきだと思うが、その点について意見を伺いたい。  それからもう一点、いま言ったように、教官一人について教習生八人が適切だということを基準局長も、そうしてまた交通局長も言われているわけです。これを直ちに実施に移す措置をとっていただきたいと思うんです。それが第二点。  第三点は、あなた方のところで勤めている教官の方々賃金が低い。低過ぎる。そのために残業をたくさんやらなきゃ食っていけないという事態をあなた方はつくり出している。そうして事実上その側面からも長時間労働を強制するという状態が生まれている。その点を私は是正すべきだというふうに思いますが、この三点について伺いたい。
  109. 塩地茂生

    参考人塩地茂生君) 意思もともかくとして、基準法を守らなければいけないのは当然のことでございますが、全国にわたりますと、それの意思の度合いの相違があるのじゃないかと思います。ですが、きょうの先ほど来の意見も聞きまして、全国の皆さんに十分それを守り実行するようなふうに伝えるようにいたしたいと思います。  それから一日の教習時限でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、私自身果たして何人がいいかということのあれがまだつかみ切れておりませんが、やはりこれは減収やらそういういろいろなものを考えまして、労使真剣になって研究をしていかなければいけない。適正な時間の研究を進めるようにいたしたいと、そのように考えております。  最後に賃金の点でございますが、先生きわめて低いということだったんでございますが、賃金のとり方もいろいろあろうかと思いますし、また地方格差もあろうかと思いますが、私の承知している限りでは、東京などにおいては、過去においては低い時代がございましたけれども、再三のベースアップ等により、現在ではそう見劣りはしない、見方によってはいい面ということも言えるのじゃなかろうかと、このように考えております。これは資料のとり方にもよりますので、さらにいまの御指摘で一応われわれは果たしてどの位置にあるかということ、これの研究は十分やりたいと、このように考えます。
  110. 小柳勇

    委員長小柳勇君) どの委員からも質問がなかったので、委員長から警察庁に資料要求をいたします。  一つは県内人口と教習所数との比率が各県相当違うのではないか。このためにある県では指導員労働強化があっておるのではないかと思うので、その資料が第一。  第二は、教習所指定認可申請を県内の各種団体が反対をして許可されないので第一のようなアンバランスが生まれておるのではないか。この資料。  この二点を警察庁に資料要求いたします。委員長に提出願います。  以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時二十四分開会
  111. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから交通安全対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 宮田輝

    ○宮田輝君 交通事故というものが一番身近な危険なものという認識はお互いにあると思います。いま私、議員会館からこちらへ参りますときにも、横断歩道の信号が青になりまして、渡り始めたら右から車が突っ切ってまいりました。一緒に歩いていた者が私をとめてくれたんで、寸前に私はとまって、車の方は過ぎて、こっちを向いてにこにこっと笑っておりました。これがいま寸前の出来事でございます。だれの上にもこの危険がいつふりかかるかわからない非常に危ない状態の中で私どもは生活しているわけでございます。  交通安全委員会におきまして、大分前から交通事故が減ってきている、あるいは交通事故死の方が減ってきているという、ほっとさせるようなお話が続いていたんでございますけれども、最近の数字によりますと、また増加の傾向にあるということであります。交通事故が八月末で三十万四千二百三十四件、負傷者が三十九万千四百九十一人、死者が十月一日現在で六千五百八十二人、昨年同期よりも百十七人多いということであります。  で、そういう中には、いま問題になっております大型貨物自動車の左折時の事故の死者も当然入っているはずでございますけれども、この大型貨物自動車による事故防止のためには、昭和四十六年に衆議院交通安全特別委員会でも運転席を低くすることを検討することなどの決議を行っております。  それから後、大型貨物自動車運転席研究委員会というのが発足いたしまして、四十六年の十一月にはその中間取りまとめと言いましょうか、報告が出されております。その結びのところに、   直前とか近傍の直接視界の点のみから見れば  低い運転席の方が有利といえようが、一般の走行状態においては、かえって高い運転席の方が視界上でも有利となる場合があり、大型自動車の他の車両や歩行者に対する安全性については、単に、直前、近傍の直接視界のみの立場から評価することは不適当で、使いやすさ、疲労防止、その他心理的な面等綜合した見地より判断すべきである。そこで本委員会としては、安全上まだ不測の点を持っているかもしれない低い運転席よりは、すでに知りつくされている従来の運転席にミラー等の見直しによる構造、装置などの改善をもって対処する方がより適当であると判断する。  こうなっているわけでございます。  これらがこの委員会で審議される中で低運転席についてどういう議論が行われたのか、あらましをお聞かせいただきたいと思います。
  113. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 交通事故、特に大型貨物自動車の左折事故の問題が従来から大きくなっておりまして、先生御指摘のように、昭和四十六年の五月に衆議院の交通安全対策特別委員会の決議がございまして、それを受けまして、いま御指摘のような大型貨物自動車運転席研究委員会という、十八名のメンバーで構成した委員会を持ちまして検討したわけでございます。  その委員会におきましては、運転席と視界との関係、運転席と視野の流れ、運転席と運転のしやすさ——これにはいろいろございまして、視界との関係とか、幅寄せ、ローリング、旋回、バックミラー等々の関係がございますが、運転席と運転のしやすさ、それから運転席を低くすることの技術的可能性と使用上の問題点、こういう点につきまして検討を進めてまいって、四十六年の十一月に中間的な結論を得ましたのが先生いま御指摘の中間的なまとめということになっておるわけでございます。  その後、事故統計を解析いたしまして、さらにそれを裏打ちをして、私どもとしましては、そのほかいろいろの関係機関でも研究をされ、あるいはいろいろな方々の御意見もちょうだいいたしまして今回の緊急措置ということになったわけでございます。
  114. 宮田輝

    ○宮田輝君 昭和四十六年の五月に衆議院の特別委員会で決議がなされ、その中の一つにこの問題があったわけでございますけれども、四十六年十一月にいまの大型貨物自動車運転席研究委員会というのが中間取りまとめをなされたというわけでございますけれども、それを受けて、いま局長のお話によりますと、「今回の」というお話がございました。「今回」というのは五十三年十月ということでございましょうか、そうではなくて——これ四十六年の十一月でございます。それを受けて、それから後運輸省はどうなさいましたか。
  115. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほど御答弁申し上げましたように、低運転席につきまして検討を進めておりましたところ、低運転席にはやはりプラスの面とマイナスの面を総合勘案しなければいけないんですが、マイナスの要素というのが非常に大きいんではないか。したがいまして、視野の拡大を図るとか、あるいはサイドの防護施設をつくるとか、こういうことによって対処する方がいいと、大体そういう結論でございましたので、四十九年には保安基準を改正をいたしまして、サイドミラーの措置を講じてまいったと、こういう状況にございます。
  116. 宮田輝

    ○宮田輝君 四十九年にそのミラーを改善なさった、それから後は今回ということで、つまり低運転席の方にメリットはないというようなお考えでいまもいらっしゃるわけですね。
  117. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 一応今日までの検討の結果は、いま申し上げましたようなことでございますが、さらに、今回、実車を試作いたしまして、いろいろの方々の御意見もちょうだいし、実際にやってみてどうであるかということを検討をいたした、かように考えておる次第でございます。
  118. 宮田輝

    ○宮田輝君 実際にやってみてさらに検討をしたい。それが四十六年から七年たった今日の動きかというふうに受け取らざるを得ないわけでございますけれども、せっかく試作研究をなさるということだったら、どうも私ども素人としてはもうちっと早くやった方がいいんじゃないかなと、率直にそう思うんですが、いかがでございますか。
  119. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほどもお答えしましたことを繰り返すことになろうかと思うわけでございますが、低運転席には問題があるという認識の上に立って、そのほかの措置によりまして対処ができると、こういうことでいままでまいっておるわけでございます。先生御指摘のとおり、最近、大型貨物自動車の左折の事故が、本年に入りましても、一昨年、昨年に比べて相当多くなっておるような状況でございますし、一たん事故が起きますと悲惨な事故に発展をいたしますので、昨年秋ごろから、具体的に指示を出しましたのは昨年の十二月でございますが、自動車工業会に対しまして具体的な検討を指示をいたしました。自工会からの報告もあり、また、関係方面からのいろいろの研究成果、御意見等をしんしゃくをいたしまして、参考として取り入れまして、この十月の四日でございましたか、緊急措置ということに取り運んだ次第でございます。
  120. 宮田輝

    ○宮田輝君 バックミラーを四十九年に改善をして、それから五十三年の十月、今度の通達によりますと、ミラーをさらに一つふやす、サイドガードを下げるんですか、それからサイドフラッシャーを取りつけるというような通達内容でございますけれども、ミラーがいまの場合、この通達まで含めますと三つつくわけでございますね。前方を注意をしながら、さらに三つのミラーに目をやるという運転になるわけでございますが、これはやってみてどんな工合でございましたか。
  121. 梶原清

    政府委員(梶原清君) これにつきましては、先ほども申しましたように、府県によりまして実際に検討もしていただいているところもございますし、また団体でいろいろの御意見も出していただいておるわけでございまして、そういうものを、また自工会における検討の成果も踏まえまして、いままでございますミラーに加えて新しいサイドアンダー、ミラーというものをつけるということが適切であるという判断に立ったわけでございます。私どもとしましては、直接視野は別としまして、間接視野を広げるという点につきましてはこれが最善の適切な措置であると、こういうふうに確信をいたしておる次第でございます。
  122. 宮田輝

    ○宮田輝君 やってみていかがでございましたかとお伺いしているのです。机の上のことはわかりました。
  123. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 自工会におきまして実際に取りつけてみて、この措置が適切にいくという報告を受けておる次第でございます。
  124. 宮田輝

    ○宮田輝君 つまりいろいろ見えるところが、間接に見えるところがふえるということをその報告として受け取っているということでございますね。しかし車は前へ進んでいるわけでございます。前も注意しなきゃならぬ、ここ三つ注意しなきゃならぬということで、運転してみて安全確保の上からいいというふうに、そのいまの報告は受け取ってよろしゅうございますか。
  125. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 御指摘のとおりでございます。
  126. 宮田輝

    ○宮田輝君 これはまあ、これから様子をまた見なければいけないし、これは緊急の措置ということも承っておりますので、ただこれでいいんだということではないであろうと思いますし、通達を見てもそうは感じません。一層ひとつ安全確保のために日夜研究をしていただきたい、検討して安全を確保してほしいと思います。  それから警察庁でございますけれども、この四十六年の衆議院特別委員会の決議を受けられて、警察庁としてはどう対応なさいましたか。
  127. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) 大型車の左巻き込み事故対策でございますが、警察庁としては交通規制の面で、都市内の生活道路や狭い道路等におきます大型車の進入の禁止とか、狭い交差点における大型車の右折、左折の禁止などの処置をとったわけでございます。これは規制の面でございますが、その次に運転者の対策といたしましては、国家公安委員会が出しております交通の教則、これは各県の交通安全協会等でもいろいろ配付しておるわけですが、その教則や、先ほど来の指定教習所の教本の中に、大型車の左折巻き込み防止処置についてのいろいろな内容を検討いたしまして織り込み、さらに講習会とか教習におきまして安全教育を徹底してドライバー対策を行ったと、こういうことでございます。  それから、他方、弱者として、歩行者、自転車の利用者につきましては、やはり交通安全教室だとか、子供の学校におけるいろいろな指導だとか、自転車の正しい乗り方等の指導とあわせまして、大型車は左の後の方とか左側の方には死角——見えない場所があるとか、内輪差と言いまして、内輪差がある。そういったものの危険性につきましての安全教育もそれぞれ強力に推し進めているという状況でございます。しかしながら、交差点の形状だとか、車の構造上の問題等もありますので、関係機関との連携を十分に保ちながら、あらゆる機会をとらえまして、ドライバー並びに歩行者がそれぞれ安全を確認して行動するように、そういうようなことで啓蒙をしているわけでございます。  今回の道交法の改正におきましては、大型ダンプカーというのは大体企業等が主として使っておるものでございますので、使用者の運転者に対する安全運転管理といいますか、安全運転指導、安全教育義務等を明確にしたわけでございます。と同時に、副安全運転管理者制度というものを法律でつくりまして、安全運転管理の徹底を図るということを目途としているわけでございます。そういうようなことでやっておりますけれども、今後改正道交法を効果的に運用いたしまして、警察としては一層事故防止に努めていきたい、このように考えております。
  128. 宮田輝

    ○宮田輝君 建設省はいかがですか。
  129. 浪岡洋一

    説明員(浪岡洋一君) 道路管理者の対応といたしましては、まず歩道の整備を急ぐこと。それから歩道への乗り上げや巻き込み事故を防止するために、歩道と車道の間の防護さくを設置すること。それからすみ切り部で自転車が安全に通行できるような導流帯を設けること等につきまして、全国道路主管課長会議等を通じて指示をしているところでございます。
  130. 宮田輝

    ○宮田輝君 交通安全の元締めといいましょうか、総理府としてはいかがでございますか。
  131. 田中宏樹

    説明員(田中宏樹君) 大型貨物自動車事故防止につきましては、昭和四十七年に総理府を中心にしまして関係六省庁が申し合わせを行いまして、保安基準の強化、過積載防止措置その他の諸施策の強力な推進というものを図ってまいったわけでございますが、最近におきます重大事故の発生にかんがみまして、今後さらに関係省庁と緊密な連絡をとりながら、総合的な事故防止対策というものの強化徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  132. 宮田輝

    ○宮田輝君 それぞれの役所でお骨折りになっていることはよくわかるわけでございますけれども、御承知のように、何か、朝新聞を広げるのがこわいような感じさえ持つこのごろでございます。本当に一生懸命取り組んでいただきたいと思うんです。  いろいろな対策も打ち出されておりますけれども、たとえば、こういうことも言われております。車がバックする場合にピーピーピーピ一音を出す装置がついているのがあります。これはつけてもいいし、つけなくてもいいんでしょうけれども、場合によってはうるさく響く人もあるかと思います。そういう大きい車が左へ曲がるときに自転車や歩行者を巻き込むということが大問題になっているわけですから、左へ曲がるときにも当然音を出すと、ことに左側に向けて音を出すというようなことは考えられませんか、それを義務づけるというようなことは。
  133. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 今回とりました緊急対策におきましては、左折しますときに歩行者、自転車等の運転者がより明確に視認できるように補助の方向指示器を車の側面に設けるというふうに措置をいたしたわけでございますが、先生御指摘のように、左へ曲がりますときにブーブー音も出すという装置も一つの案として、有効な案として考えられるかと存じます。  で、これにつきましては、夜間の騒音問題、付近におきます住民に与える騒音問題、それから間違って認識しばしないだろうかという誤認の問題等々、問題が残されておるのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、今後、研究をいたします低運転席のトラックの施策等、今後長期的な展望に立ちまして検討を進めてまいります中で検討をさせていただきたいと、かように考える次第でございます。
  134. 宮田輝

    ○宮田輝君 おやりになるんだったら手おくれにならない方がいいわけでございます。十分慎重に、早急に研究されて、おやりになるんだったら早くおやりになった方がいいと思います。  それから障害物検知装置というのがあります。これは赤外線を使うとか、あるいは電波を利用するとかということで障害物を知る、警報を聞くということになるかと思いますけれども、これについてはいかがですか。
  135. 梶原清

    政府委員(梶原清君) すでに障害物検知装置につきましては、東京地区でも五、六百台販売されているようなことを聞いておるわけでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げました警音器でございますか、警音器とあわせまして今後検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  136. 宮田輝

    ○宮田輝君 それ以外に、左に曲がる大型車のために前輪後輪との問題がありますので、大回りにしてそういう線を引いたらどうかとか、いろいろ実際に車を運転する人たちの間では話題になっていることが多いわけです。自転車道路を設けるということもそうでしょうし、道路進入規制をさらに検討するということも大事なことでしょう。歩道を高くするというふうなことも考えられていいことかと思います。  で、今度のこの通達によりますと、「調査研究の充実」というのがありまして、「左折事故防止に係る長期的対策に必要な調査研究を交通安全公害研究所等において推進するよう措置することとする。」、こういうことなんですが、この「交通安全公害研究所等」でございますか、この研究所は公害に対してあるいは交通安全について研究をされているということは聞いておりますが、たとえば四十六年のこの研究委員会の中間取りまとめが出た後、この研究所はどういうふうに作業を進められましたか。
  137. 梶原清

    政府委員(梶原清君) この御指摘の長期的対策に必要な調査研究を行う機関といたしまして交通安全公害研究所というのを挙げておるわけでございますが、これは運輸省の付属機関でございまして、いろいろ研究調査を進めてまいっておるわけでございます。従来のこの問題につきましても調査を進めてまいったところでございまして、左折事故防止に係る研究といたしましては、適正な運転視界に関する研究、標示灯類の視認性の向上に関する研究等々を行ってまいっておるわけでございます。今後、この交通安全公害研究所を通じましてこれからの長期的な対策に必要な調査研究をさせたい、かように考えておる次第でございます。
  138. 宮田輝

    ○宮田輝君 と言うことは、私先ほど申し上げましたたとえば、その赤外線なり電波を利用して障害物を検知する、そういう研究にしても、この研究所でやれるわけでございますね。  それから、この通達にこういうことが入っている以上は、五十四年度予算でこの交通安全公害研究所でそういうものをやれるような予算の概算要求なんかもやっていらっしゃるわけですね。
  139. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先生御指摘のとおり、左折事故にかかわりますミラーとかサイドガード、方向指示器、いま御指摘の障害物検知装置等、新しい試みの装置につきまして、安全上の効果とか信頼性等につきまして種々検討をさせたい、それに必要な予算措置等も講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
  140. 宮田輝

    ○宮田輝君 この通達は、十月でございますから恐らく概算要求には含まれていないんではないかとも考えられますので、それからこの「研究所等において」でございますので、「等」の方は恐らくは民間の方の研究機関に委嘱するというふうなこともおありではないかということを考えますと、新しい予算ということも考えなければならないのではないかと、こう思いますので、この点いかがですか、一言。
  141. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 民間等につきましては、従来、自工会等につきましては私の方から指示をして、自工会の経費をもちましてこの検討を進めていただいておるということでございまして、私ども予算措置を講ずるとしますれば、先ほどの安全公害研究所における予算措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 宮田輝

    ○宮田輝君 警察庁の発表によりますと、大型自動車の左折時の事故について安全確認の有無別死亡事故発生件数というのがございます。五十二年は百九十一件の事故のうち百五十六件というのは安全を確認していなかった、つまり八一・七%、それから五十三年八月末までの数字は百四十五件ですが、そのうち百二十件までは安全確認をしてなかった、つまり八二・七%が安全不確認と、こういうことでございます。午前中の審議の中でも教習所の方がおっしゃっておりました。マナーの教育に力を入れるようにしたとか、あるいは人づくりに重点を置くようにしたいと、こうおっしゃっていたわけでございますが、安全を確認しないために八十何%も事故が起きているとしたら、これはやはり全国民的に何とかしなければならないことなんではないかと。先ほど大ざっぱにお話は承りましたけれども、この安全確認について警察庁の対応はいかがでございますか。
  143. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) ドライバーにつきましては、特に運転免許取得時の講習等において重点的に安全確認等は教育しておるわけでございますけれども、特に最近このように急増しているということでございますので、企業所における安全運転管理者とか、そういった企業グループの注意喚起といいますか、そういったものに重点的に焦点を合わせまして現在教育をしていると、そういうような状況でございます。
  144. 宮田輝

    ○宮田輝君 実際問題として、安全確認をしなかったという当事者が多いというのは、せっかくやりながら、まことに私は残念なことだと思うんです。もっともっとやってもらわなきゃならないし、それから、巻き込まれる方の自転車とか、あるいは歩行者、この中には運転免許証を持っている人もいるでしょうけれども、大体において道路交通法だけでもおわかりになっていない方の方が多い。その自転車、歩行者に対して、これからさらにこういうことに力を入れてやるということがございましたら、お聞かせください。
  145. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) 特に左折巻き込み事故につきましては、被害者となる自転車、歩行者につきましても十分なやはり教育、プロパガンダが必要であると、こういうようなことでございますので、この左折時の内輪差と死角といいますか、死角についての歩行者の認識というものをもっと重点的に強調をするというようなことが必要であろうと考えまして、「交通方法に関する教則」というのは、これは毎年約一千万部出ておるわけでございますが、これにも今日死角、内輪差を特に強調いたしまして、特に死角を強調いたしましてこれを書いたと、こういうようなことでございます。そうしましたところが、学校教育界の方でも、この歩行者の部分につきましては別刷りをして売らしてくれと、こういうようなこともありまして、まあ、そういった点も手がかりにいたしまして今後大々的にPRをしていきたいと、こういうようにも考えておるわけでございます。  そのほかにも、先ほど申し上げましたけれども自動車教習所の教本の内容等につきましても、死角、内輪差につきましては特に強く書くように努力をしておるわけでございます。  それから今回法改正がございますので、これのPRの資料がいろいろできておりますが、これの内容につきましても死角、内輪差について重点的に入れていきたいと、このように考えておるわけでございます。  そのほか、これは一般的になりますけれども、講習会や教習についても、そういった被害者になりやすい方の教育というものにつきまして重点的にやっていきたいと、このようなことでございまして、駐在所や派出所で行われている地域のコミュニティーに対するミニ広報というような組織がございますが、こういったミニ広報の機関紙等を通じまして、それぞれコミュニティー内のそういった非常に身近な事故に対する危険感というようなものを媒体として広報をしていきたい、こういうようなことも、これは全国的に現在警察としてやっておるわけでございます。それから、学校等につきましても、いろいろ各警察署等を通じてお願いしている、そういうようなことでございます。  そのようなことと、ほかにまた、各県におきまして公開実験というのをやっておりまして、各県警が大型のダンプカーとかそういった車両を使いまして死角とか内輪差について公開の実験をいたしまして、このぐらい幅が寄ってくるんだというような、そういう思いもつかないという、そういったのを身近に感じさせている。それから御承知のように、新聞とかテレビ、ラジオ等の御協力を仰いで、そういったところにも積極的に資料を提供いたしまして、それぞれの分野における広報を依頼している、そんな状況でございます。
  146. 宮田輝

    ○宮田輝君 いろいろやっていらっしゃるようでございますけれども、現に事故は起きている。やはり一般の人が取り組みやすいといいましょうか、たとえば刷り物だったら見やすいようなもの、余り厚ぼったいだけで、いろんなものが入っているだけでも、見てもくれない、感じてもくれないということがあろうかと思いますので、専門の方がおいででございましょうから、ひとついままでのことも見直すという意味を含めて真剣に取り組んでいただきたいと思います。大型車の運転席を低くした方がいいのか、それとも高い方がいいのかと、そういうことも大事だと思います。それから前輪後輪の関係を考えますと、大型車から中型車にしたらどうなんだ、あるいは中型から小型にしたらどうなんだと、こういう研究も私は進めなければならないと思うんです。安全のためにはいろんな研究をしなきゃならない。もちろん車を小さくすれば数がふえてくる。数がふえてくれば交通事故がまたふえるということも考えられます。しかし同時に、道路の方も考えていくのは当然のことであります。物の輸送のことを考えますと、これは物価にも響いてまいります。国民生活と直接間接かかわりのある車の問題は非常に広く、また大きいものだと思うのです。ミラーをふやすということもいいことでしょう。それをどういうふうに見てこれからどうなるかというのはこれからの課題でございます。それからサイドガードもいいかと思いますけれども、これが果たして抜本的な対策なんだろうかと、こういうことを考えざるを得ないわけでございます。これから一体大型貨物自動車をどうするのか。それから小型、中型にしたらどうなるのか。それから道路はどういうぐあいにしたらいいんだろうか。つまり総合的にどうやったら安全確保ができるのか。総合輸送体系といいましょうか、少なくとも貨物輸送システムの検討の中で大型貨物自動車を抜本的に研究していただきたいと私は思うわけでございます。それには鉄道との関連もございましょう。運河による船の利用ということもあるかもわかりません。工場の分散などを含めました国家百年といいましょうか、もっと長期にわたる総合輸送体系、総合輸送計画の研究が必要ではないかと思うものでございます。  安全はもちろん人々の心がけが大事なことではございますけれども、環境を整えるという面で行政に手おくれがあってはならないと思います。それらをひっくるめて、最後に総理府稻村総務長官、安全を確保するために、大きい広い立場から御発言をお願いしたいと思います。
  147. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の大型貨物自動車事故が、大変悲劇的な事故が多くなっております。そういう意味で、総理府といたしましては調整機能の役割りを果たしておる等々の関係から、各省庁と緊密な連絡をとりながら、総合的に事故防止対策、この強化に全力を挙げていきたい、こういうふうに考えております。
  148. 宮田輝

    ○宮田輝君 終わります。
  149. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、午前中に国家公安委員長も総理府長官もおいででございませんでしたから、総理府長官お急ぎで御退席のようですから、これにかかわる問題をまず冒頭にお聞きをしておきたいと思いますが、中身の報告は後からそれぞれ担当局長からしていただきたいと思いますが、私たちは午前中に指定自動車教習所あり方問題について、参考人に来ていただきましてあらゆる角度から質問をいたしました。これは、一つはやはり交通安全という意味から言うと、いわゆる優秀というのか、りっぱなドライバーですね、安全運転ができるりっぱなドライバーをつくるのに非常な役割りを果たしている。ところが、その中における労働条件の問題やら、いろんなありとあらゆる問題について、各党からいろいろ指摘があったところであります。そこで私はこういうことを聞いたわけです。いま主管庁は警察庁になっております。いわゆる国家公安委員長のもとにあります。しかし、労働省では労働条件に関係がある。運輸省はやはり安全並びに技術、車両構造、そういう問題に関係がある。通産省は近代化計画を出している。それから文部省の場合には、午前中もいろいろ議論されましたが、教育という問題をやはり含んでいる。それから総理府は交通安全という角度になるわけですね。ですから、私が午前中に提案をしたのは、以上の関係の六省で、もちろん中心は警察庁がなられて結構ですが、省庁で連絡会議をきちっと開く、懇談会を聞く。そこに必要に応じて、自動車指定教習所で働いているいわゆる労使代表を、これは全国的な協会もあるそうですから、そういう使用者とか労働組合代表等も招いて、十分懇談会の中で指定自動車教習所あり方について議論をしてもらいたい、近代化を促進をしてもらいたい、こういうことを実は質問をしたわけであります。  ところが、率直に言って、各省とも大臣おいでになりませんで、局長並びでございますから、まあ杉原交通局長が少しは答えましたけれども、このことは委員長からも、非常に重要なことであるから、午後の冒頭に国家公安委員長が御出席のところでそのことについて再度質問をし、あれをするようにということであります。幸い国家公安委員長だけでなくて、各省にまたがる場合にはどうしてもやはり総理府が交通安全については横でやっておられますから、両大臣が御出席でありますから、私のいま提案したことについての大臣の考え方、ぜひ私はそういうことを実現をしてもらいたい。でなければ、国民免許時代と言われ、しかもドライバーの八割までが指定自動車学校でいろいろ勉強して今日卒業している中において、いまもって交通事故はたくさんありますし、それから教習所自体の中でも改善をしなきゃならぬ問題もたくさんあるわけです。それが各省に横にまたがってますから、警察だけでやるということは私は不十分だと思いまして、そういうことについての国家公安委員長並びに総理府長官の御見解を賜りたいと思います。
  150. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘のように、総理府の交通安全対策本部は、各省庁の調整機能の役割りを果たしておるわけであります。  第一次五カ年計画では大変私は成果があったと思います。いま現在は第二次五カ年計画ということでございまして、四十五年をピークとして昨年では半減をいたしました。死者にいたしましても九千台を割るという、これでさえも多いということではございますけれども、以前から見れば大変私はやはり大きな成果を上げ得たものと思っております。しかしながら、今年度に入ってからこれが逆の形に出てきておる、こういうことでございまして、やはり私は第二次五カ年計画というものを見直す必要があれば見直して、やはり交通安全対策と申しますか、事故防止のために私は全力を挙げていく必要があるのではないかと。各省庁と連絡を密にして万全の処置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  151. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 新たにドライバーとして社会に出てまいります人のほとんどが教習所教習課程を経て免許取得をいたしておりますことは申すまでもないことでございます。したがって、教習所近代化を行っていかなければなりませんことは申すまでもございませんし、また、教習所で働いております指導員の皆さん方や関係者の皆さん方の労働条件の改善も図ってまいらなければならぬことも、これまた当然過ぎるほど当然でございます。  そこで、ただいま御指摘がございましたように、六省庁に関係を持っておりますし、この省庁間の十分な連絡をとってまいりませんことには、近代化にいたしましても、あるいは労働条件の改善にいたしましても、困難であろうことは申すまでもないことであり、ことに近代化は通産省が所掌をいたしておりますし、労働条件の改善は労働省が所掌いたしておりますし、また教育の徹底という観点から、もとより文部省もそして運輸省も関係の深いところでございます。国家公安委員会といたしましては、かような関係省庁の横の連絡を十分にとってまいらなければならぬと、かように考えており、懇談会を設置するかどうかにつきましても、関係省庁とよく連絡をとり合いまして、横の連携を保って相談をいたしてまいりたいと、かように考えております。  二番目の御指摘の労使意見をよく聞かなければならぬという御指摘、まさにそのとおりでございまして、十分に意見を聞きながら対処してまいるべきだと、かように考えております。
  152. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、意見を聞く方法として、いわゆる行政監理委員会から余り審議会などを設けるのはいけないなんていうこともいろいろありますけれども、私は、意見を聞くというのは、定期的に意見を聞く場というのは、やはりこういうものは審議会が一番いいと思います。  そこで、いま公安委員長は、省庁の懇談会を設けるかどうかということについては一遍検討してみたいということでありますから、私は、指定自動車教習所の問題きょう午前中たくさん出たこと、後から大臣、御報告を受けていただいて、そういう問題を解決をしていくために、労使代表を入れたいわゆる審議会の設置についても、ぜひひとつ前向きに御検討願いたい、こういうことを申し上げておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  153. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 安恒委員も御承知のように、道路交通法を改正するに当たりまして、各面皆さん方の御意見をよく伺いまして、そして労使双方からいろいろいい意見を出していただけまして、さようなことをベースにいたしましての法律改正を行ってまいったのでございます。  そこで、場を設けるかどうかの検討もいたしますけれども、しかし、仮にさような場を設けないと仮定をいたしましても、十分に意見は聞いていかなければならぬ、かような基本の心構えでございます。
  154. 安恒良一

    安恒良一君 いや、基本の心構え、よくわかりましたが、これはこれ以上時間をとれませんから、私は、これは委員長からも強い御希望があるのでありますが、ぜひ近代化を促進するために、労使代表を入れて、そこで十分議論のできる場を、いろんな知恵を働かしてつくってほしいと、こういうことを強く要望しておきたいと思います。  総理府長官、ありがとうございました。  それでは、国家公安委員長もかなりお急ぎのようですから、まず国家公安委員長にかかる部面について聞きたいと思います。  実は、大臣承知のように、高速道路もしくは自動車専用道路における自動車教習あり方について、私は予算委員会で、大臣を初め杉原交通局長といろいろやりとりしましたし、衆議院におきましてもわが社会党の同僚議員が二人、一つは予算委員会、一つは交特でいろいろ議論したことは御記憶に新ただと思います。そういう状況の中で、実は非常に心配したことが現実になりました。大変残念なことですが、八月の二十日知多半島で、自動車専用道路において教習中に死亡事故が起こって、教官も教習者も亡くなったことは、大臣に御報告が行っていると思います。  そこで私は、これを非常に重視いたしまして、十月の十六日の日に現地調査をやってまいりました。衆参の交特の社会党の理事で行こうということで参りまして、それから詳しい県会議員四名、それからいろんなこの問題に関心を持っております労働組合その他で、約三十名ぐらいの大がかりな調査団をつくりまして現地に参りまして、調査をいたしましたのは、現場状況、それから東海自動車学校、それから東海警察署、それから愛知県警本部、こういうところに参って調査をしました。  ところが、まず調査を受ける県警の態度について、私はこれで国家警察はいいんだろうかということで非常に実は慄然としたわけです。私たちが中央において警察庁の皆さんに接する限りと、第一線に出ていってみて、余りにも国家警察あり方について非常な心配をした。まず、そのことについて一、二の事例を挙げてお聞きをしておきたいと思うのであります。  昨年の五十二年十一月二日に警察庁交通局長名で、各管区警察局長、警視総監、各都道府県警察本部、各方面部長あてに、「指定自動車教習所における高速教習の充実について」ということの指示が出ていることは国会の中で議論をしたと思う。そして、私どもの議論を受けまして、改めて一九七八年の四月十九日に警視庁通達の内容がさらに出ている。それは「指定自動車教習所における高速の任意教習の実施上の留意事項について」、これが出ているわけですね。そういうものが出ているにもかかわらず事故がありましたから、私は東海警察署において、寺下警察署長以下、次長、それから運転免許課長、交通課長等に、こういう二つの通達が出ていることを知っているのかと聞いたら、知らないと。そうですが、わかりましたと。それならば、あなたたちは第一線の警察署だからいわゆる交通局長の通達は知らないだろうが、県警本部長がこれに基づいて通達を出しているはずだと、このことについて知っているかと聞いたら、県警本部長の通達の指示も内示も何にも知りませんと。驚いたわけです。そこで今度は県警本部に参りまして、二つの通達の取り扱いの中身について聞かしてくれと言ったら、まず県警の交通部長はいきなりこっちにこういう質問をするわけです。東海署ではどういうお答えをしたでしょうかと言う。だから、ぼくは怒ったわけですよ、君に質問されることないと、私が調査に来ているんだと。東海署ではこのことについてどんな答えをしたでしょうかと言う。そして、あげくの果てこう言うわけですね。いや、実はいま東海署長からわびが来ました、わびが来ております、安恒さんに知らないと答えたのはあれは間違いでした。実は第一の通達、いわゆる五十二年の十一月二日の通達は県警本部長の通達が出ていますと。ところが、安恒さんの調査のとき知らないと答えたのは、あれは誤りでありましたと。ところが、東海署長というのは、これはいまの運転免許課長の前の運転免許課長で、こういうことはもうベテラン中のベテランです。それがそういう通達は私には知らないと言っておきながら、今度私が交通部長と話をするときになると、あれは誤りでしたと、こう言う。しかも私驚いたのは、それならば第二の通達はどうしたんだと、今度は県警に聞いた。そしたら、第二の通達警察にはおろしておりませんと言う。何でおまえたちおろさなかったのかと聞いたら、いや、第二の通達学校長をブロックごとに集めて口頭で説明しましたと。これも私は大変遺憾だ。第二の通達は、国会のやりとりがあって、あなたも善処を約して、そして出した通達だ。その通達が今度は県警本部自体も第一線の警察署には通達をおろしてない。そして、それは学校長に知らせればいいことだと。これじゃ、きょういま杉原さんおったら顔真っ赤にしなきゃならぬと思うんです。幸い向こうであったから本人助かっておりますわ。私とのやりとり、杉原さんとやったんですから。そういういわゆる警察行政のあり方ということについて大変私はびっくりした。  それから、こういうこともあった。いわゆる事故の原因について説明してもらいたいということであります。捜査中であるからできませんと、ああそうですかと、わかりましたと。それならば、刑事犯ではないんだから、すでに二人は死亡している。一方の側の突っかけた運転手さんは生き残っていますから、その人の調書は済んでいるはずだからその人の調書を聞かしていただけませんかと、どういうふうに供述をしたかと、そのことば捜査に影響はないでしょう。でなければ、私たちわざわざ三十何名もこれだけ来て、事故調査に来て、せめて運転手さんのいわゆる申し立てぐらいは聞かしていただいても捜査には何ら支障がないはずですと言ったら、それは東海警察署長は私の権限ではできませんと、県警の方にと。そこで今度は県警の足立交通部長にそのことを申し上げたら、いや、私どもはそのことについては県議会のいわゆる警察委員会のその議決があれば出しますと言う。そこで、いや、実は私は国会議員としてきょうこの委員会でいろいろ質問するんだから、必要だからひとつ聞かしてくれないか。いや、私の方は県警でございますから窓口は県議会でありますから聞かせられません、こういう態度なんですね。私はいま二つの事例を挙げました。一番非常に重要な警察庁通達の扱いの仕方、しかも国会で非常な議論になって出されたものについて第一線の署長は知らぬと言う。そして県警に行ったら、一つはあれは知っておったんです。一つは県警自体がこういう重要な通達を第一線の署長に流していない。自動車学校の校長だけを集めて口頭で説明している。国会の中で議論したことについてどうあなたと私とやりとりをし、そうした通達文書を出すことになって出したことについてあなたの部下は全然そういうことについて熱意を示してないんです。そういう警察行政のあり方ということについて私は非常に慄然としました。こんなことで日本の、いろいろ最近警察に不祥事件が起きています。破廉恥な事件も起きています。国民警察に対して不信感も持っています。交通行政においてもこのようなせっかく通達が出されたことがいわゆる下部に徹底してない、知らぬはずないんです。だから私は思いました。この事件には何かありゃしないか。警察で監査委員会ですか、警察の内部の体制を監査する何かあるでしょう。一遍監査をしてみてください。運転免許課長をして東海警察の署長になった人間が知らない、知らないと、幾ら聞いてても知らないと言う。そして後から追っかけて私が今度は県警本部長とやりとりしておるところに電話かけてきて県警の交通部長に一つの通達は知っていました。そんなことで署長が勤まるんでしょうか。またいわゆる交通部長の足立君、こんなことで勤まるんでしょうか。このことについてまず聞かせてください。
  155. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 安恒議員がお忙しい中を愛知県下の教習所の問題あるいは路上教習問題等につきまして御調査をなすったその御熱意と御努力には心から敬意を表します。  そこで、具体的にただいま通達のことを御指摘でございました。私も予算委員会の分科会におきまして安恒議員と杉原交通局長とのやりとりを聞いておりましたし、また私は私の立場で仮免許証の注意事項の削除のことにつきましても私なりの意見を述べたことを記憶をいたしておりますようなことでございます。そこで、警察といたしましては、日々第一線におきまして地域住民の皆さん方と接触がございますし、ことに国民の皆さん方の協力と御理解がなければなかなか警察行政を円滑に遂行することば困難でございますから、仮にも不信を招きますようなことがあっては断じてならぬのでございます。そこで、国家公安委員会といたしましては絶えずこの点に留意をいたしますように指示をいたしておるのでございますけれども、今後もかようなことのないように十分な注意をしていかなければならぬと、このことを肝に銘ずる次第でございます。ことにいま具体的に御指摘がございましたように、交通局長の通達を十分に末端にまで浸透さしておらないようなことがありますと、これは全く困ることでございますし、もとより警察本部といたしましても、警察署といたしましても、いろいろの通達や指示や訓示がございましょうから、それを完全に消化いたしますことには至難な面があろうこともわからぬではございませんけれども、しかし最大の努力をしてまいらなければなりません。ことに交通局長の二回目の通達は御指摘がございましたように、国会の論議を踏まえましての通達であったのでございますから、これが第一線の警察署並びに署員にまで徹底いたしておらなかったことば残念なことでございまして、そういうことではないような今後最大の努力をいたしてまいらなければならぬと、かように考えます。  それから事故説明のことにつきましては、私はつまびらかに事故の内容を承知をいたしておりません。ただ知多半島道路で八月の二十八日に事故を起こしまして、そして教習生指導員もともに死亡いたしたと、この程度の報告を受けておりまして、その詳細を承知をいたしておらぬのでございますが、しかし、国会から派遣されましての国政調査のもとにおける地方あり方などにつきましても十分に吟味をいたしまして、今後粗漏がないようにいたしてまいらなければならぬと、このことを痛感いたしている次第でございます。
  156. 安恒良一

    安恒良一君 大臣ね、大臣の考えはわかりましたけれども、私はそんななまやさしいことじゃないと思うんですね。事故が起こったわけでしょう。しかも抜き打ち調査に行ったわけじゃないんですよ。事故が起こったから、あらかじめ県会議員を通じて私と衆議院議員の太田さんと二人で伺いますと、しかも交通安全対策特別委員会仕事してます、そういう角度から見たいんですということで、時間から場所から全部打ち合わせをして、県会議員が中に入ってきちっとセットされておるわけですね。そうしますと、知多半島の高速道路で二人も死んだという以上、普通の署長であり普通のいわゆる交通部長であるならば当然そのことが聞かれることはわかっているわけなんですね。それが知らないという答えに私は疑惑を持つ。一般署員じゃない。署長に、次長に、担当の課長に聞いたら、二つの通達は知らないと言う。何で知らない。当然国会議員が来たら聞かれることである。私は抜き打ちで行ったわけじゃないんですよ。しかも二人も死亡事故を出している。そのことを調査に行くことも知らしてある。それなのに二つの交通局通達を知らないと言い切る。そうすると疑惑を持つんです、私は。そして今度は交通部長のところに行ったら、何と署長は答えたでしょうかと、こういう質問をこっちに逆にする。あげくの果てに第一通達は県警本部はちゃんとことしの三月何日に流しておりますと言う。じゃ第二通達はどうなったかと言ったら、いや第二通達学校長に対する通達だ。とんでもないですよ、国会の中で。もちろん学校長にも徹底してもらわなきゃならぬけれど、第一線の警察に徹底してもらわなきゃならぬことなんです。そのことについて何ら恥じない。だから、あなたがわびたって——私はそういういわゆる足立という交通部長とか寺下というこういう署長をどうしてくれるかと聞いているんだ。こんな、だれが聞いてもおかしいでしょう。抜き打ちにやっているわけでも何でもない。交通事故調査に行くことも事前に通知してあるし、手続はちゃんと踏んである。それにもかかわらずに、当然、もしもあなたが忙しいように第一線で忙しくて署長や次長や交通課長が見てなければ、それをひもとけばすぐわかるはずです。それも私が何回も念を押して聞いても知らないと言う。そうしますと私は非常に疑惑を感じる。そうでしょう。その点、大臣どう思いますか。単に忙しいにかまけてとか、そんなものじゃないですよ、今回の場合には。あなたのところにそういう部下がたくさんおるわけだ。国家公安委員長としてどう責任とるのか。警察庁としてどう責任とる。私は何ならこれは総理に聞きますよ、今度はこの次。こんな警察がおる。どういうことですか、この二人。一般の署員じゃない、署長なんです。県警の交通部長なんです。それがそういう態度で、どういうことなんです。通達を何で見なかった。しかも自分のところで重大な事故が起こっている。その調査に来ておるということがわかっておって何で通達を見ないんですか、通達を。
  157. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) 私の方から一言お答えいたします。  警察庁から交通局長の通達として出したものは一応本部長あてのものと、こういうことになっておるのが通常でございます。そういうことで、先ほど先生のおっしゃったように、警視総監とか管区局長とか、そういうものも入りますが、本部長あてということでございます。そのため各府県に参りますと、この局長通達が参りますと、通達の趣旨をもう一回その県並みにかみ直しまして、消化いたしまして、通達の趣旨に基づきまして必要な部署に……
  158. 安恒良一

    安恒良一君 それを知らないと言っているんだよ。前のことを知らないと言っているんだ。それも知らないと言ったんだよ。
  159. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) はい。  それで署長に示達すると、こういうかっこうになっているわけでございますが、署長がたまたま——先生、お言葉を返すようで申しわけございませんが、署長に局長通達と言われたもので、署長の方は誤解をして本部長通達と間違えた、こういうふうに私どもは聞いておるわけでございます。
  160. 安恒良一

    安恒良一君 そんなことはない、そんなことはない。局長通達とは言わないんです。私は、局長通達を知らないと言うから、それならば県警から内示か示達か何かあっているはずだと、こう言っているんだ。それは三十何人かが聞いておったんだからそういう詭弁を弄してはいかぬよ、詭弁を弄したら。そういう詭弁を弄したらいかぬ。そんならね委員長、そんな詭弁を弄するなら呼んでください、この次。証人呼びましょうそんなら。立ち会ってやりましょう、そんなあんたたち詭弁を弄するなら。委員長、そういう事実関係は、詭弁を弄するならしようがないです。県警本部長、それから警察署長、それから当時立ち会った人に出てきてもらいましょう、お互いに県会議員に。わかることなんだから。
  161. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 国家公安委員長ね、さっきの質問に答えてください。国会開会中の国会議員、しかも交通の理事がその問題で調査に行っているのに、もちろん知らなかった通達の問題もあるけれども、後の供述調書を見せなかったという、これは今後とも問題にしなきゃならぬので、その点についての安恒委員処分をどうするのかと言っているから、その調査はもちろん公安委員長は直接調査していないかもしれぬけれども、その調査した結果それが事実であれば処分はどうしますかと言っている。その点について答弁を求めます。
  162. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私は八月二十八日に知多半島で事故の起こったことは報告を受けており、かつ先ほども申しましたように教習生指導員も死亡いたしたと、この報告は受けておりますが、しかし事故の内容につきましては詳しい事実関係を承知をいたしておりません。そこで、供述調書をお見せするなり、あるいはその内容を説明いたさなかったことにつきましては、私は実情をよく承知をいたしておりませんので、よく調査をいたしてお答えいたしたいと、かように思います。
  163. 安恒良一

    安恒良一君 委員長ね、私はこれは正確に言っておきますが、供述調書を見せてくれと言ったわけじゃないですね。いわゆる供述があっているはずだからそれをひとつ聞かしてくれ、そうするとわれわれも事故の原因が一方である程度つかめる。それを知りたかったんですね。それは全然だめ。  それから、もう一つ言っておきますが、それならば、この自動車専用道路愛知県警としてはいわゆる許可をした。許可したときの許可書を見せてくれと、こう言っている。そしたら許可書ありません。ああそうですか。古いやつありません。ああそうですか。最近のやつはありますかと言ったら、最近のやつはあります、その後変更していますから。それから古いやつは索引だけが残っていますよ。そうですか。結構です。それじゃその古いやつの索引と最近の許可書について見せてもらいたいと、こう言ったわけです。それも県のいわゆる県議会を経して正規の手続をとらぬとだめと、こう言われる。路線変更の認可書もだめと、こう言われる。ですから、そういう点をどう思いますか、あんたが今度行ったときそうやられたら、国会議員として行ったときに。決して無理なことを言っているわけじゃないですね。当時いわゆる指定自動車教習所から県警の方に許可書が行っているはずだからその一連の書類を見せてもらいたいと言ったらないと言うから、それならばそのときの索引を見せてくれ、最近、ことしに入って路線変更しているからあると言うから、じゃそれを見せてくれと言ったら、いや、それも全部県議会の手続をして経た上でなら出します、そういう態度、あんた、いいと思うんですか。調査するしないの前の問題じゃないですか。いま言ったことについて……。
  164. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 警察仕事の中には外部に漏らしてはならぬもの、ことに捜査中のものなどにつきましてはそういうものが多くあろうことは一般的に言えようかと思います。しかし、そうでないものにつきまして、ことに交通事故などにつきましては一個の事件を徹底して解明し、そこから交通安全の問題や事故防止の問題も生まれ出てき、生み出してこらるべき性格のものでございまして、まして、国会そして県会の皆さん方の調査でございますから、警察といたしましてはできるだけの取り運びをなすべきであったと、かようにいまのお話からは判断できるのでございますけれども、しかし何らかの事情があったのかどうか、この点につきましてもう一遍よく調査をいたし、そして一般的な言い方といたしましては、できるだけ対処いたしまして協力をいたすべきだと、かような基本の私の考え方でございます。
  165. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ委員長ね、これ以上時間とれませんから、これは私は保留をしておきます。そればどういうことかというと、本庁からの通達の中身について私は、局長通達を見てないと言ったからわかりました、それは県警本部長の内示、示達等が出ているはずですが、それもどうですかと、こう言っているわけなんです。それも知らぬと言ったわけですからね。ところが、警察庁の勝山参事官は違うことを言ってますから、それなら早急に調査していただいて、もしも私が言っていることと違うならば、次回にぜひひとつ足立君と寺下君出てきてください、そして白黒つけましょう。これは国会で言い出した以上、私はあいまいでは困る。こういう問題はあいまいでは困るから、私はそういうことを言ったのに、知らないと。だから、後から足立氏はぼくにわびたのは、一つのことは知っとりました、知っとりましたが、本人があなたに知らないと言うことはまことに申しわけないと、こう言っている。だから白黒つけましょう。だからこのことは保留しておきます、時間がありませんから、これで全部時間とるわけにはいきませんから。私は、これはやはり国家警察あり方として、通達や内示を知らないで第一線の行政ができるはずもない。しかも、国会で議論された重要な通達を、一方は流してない。足立さんは流してないことがあたりまえだと言うんですよ。このことについてはどう思いますか。第二の通達について足立さんは、それば流す必要がないんだと、自動車学校の校長に言えばいいと、この点はどうですか、大臣。第二の通達、国会で議論されたことの通達を、足立さん自体が流す必要ないと言うんです。第一線の警察署長のところになんか流す必要ない、これは学校長だけでいい、このことはどうですか、それなら。
  166. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) 先ほどの先生の御質問でございますが、本年四月に警察庁運転免許課長通達というのを流しておるわけでございます。内容的には、高速教習は任意のものであって、事前の十分な体制を整備した上で実施するというようなこととか、報告を求めていることは高速教習の実施率というようなものではない、ということを明らかにしたものであるというようなことが内容となっているわけでございます。で、運転免許課長通達ということになりますと、まあ大体教習所関係の事務がわりあい多いわけでございますが、直接的には県警の免許課が主管をしてるわけでございますが、高速教習に関する具体的な通達はすでに先ほど先生のおっしゃったように本部長通達で流れてるわけでございまして、すでに警察署長に本部長で通達をしていると、こういうふうなことになっておりますので、これは、運転免許課長通達につきましては、第一線警察署長に直接通達をしないで、あえて教習所の関係者にのみ通達をしたと、伝達をしたと、こういうふうに私は報告を聞いております。
  167. 安恒良一

    安恒良一君 報告を聞いてるんじゃないんだ。杉原さん呼んできなさいよ。杉原さんとぼくとやり取りでこの通達はつくったんでしょう。杉原さん呼んできなさい。君じゃだめじゃ、杉原君呼んできなさい。議論をして決めたことを——彼はけさ謝り来たですよ、主管まで徹底してない。あんた、何言っとるねん、あんたはこれ、学校長だけでいいって、ここで言い張るのかね。あんた、学校長だけ流すということで、ぼくをだまかしたのか、国会で。国会でわしをだまかしたのか、それだったら。あのときは、この前の通達に基づいてこの通達を新しく出すということを、大臣も聞いとったじゃないか。何だ、いまの言い方は。学校長に流した、流せばいいという言い方だったら、杉原さん呼んできてくれよ。委員長、審議とめてください。だめですよ、こんなこと。私は国会でだまされるのいやです。杉原呼んできてください。
  168. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ちょっと、速記やめて。   〔速記中止〕
  169. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記おこして。
  170. 安恒良一

    安恒良一君 まだ、私の時間はもう五十分までですから、きょうは日中の重要な本会議が後に控えていますから、この委員会の終わりが委員長から確認されていますから、私の質問はここで保留さしていただきまして、次回に十分に時間をとってこのことについては徹底的な究明をしたい、こう思いますので保留させていただきたいと思います。
  171. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  172. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは速記を起こしてください。
  173. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 早速ですが、まず運輸省にお伺いしますが、ここ最近、大型貨物自動車の左折時の不注意でもって自転車を巻き込むという非常な悲惨な事故が続発しまして、まことに残念でございまするけれども、遅きに失したといいますか、やっと運輸省は大型車の構造そのものに問題があったとして緊急措置をとったわけですけれども、果たしてこのような大型車の危険性に対して予見されていなかったかどうかお伺いしたいと思います。
  174. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 大型貨物自動車の左折時の事故につきましては、従来から問題として取り上げられてまいったわけでございまして、衆議院の交通安全対策特別委員会におきましても、昭和四十六年の五月に「交通安全対策に関する件」の決議をいただきました中でもこの問題を議論されておるわけでございまして、運輸省におきましても鋭意検討、施策を続けてまいったところでございます。
  175. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今回のこの緊急措置につきましての改善の効果と申しましょうか、これはどのようにお考えになっていますか。
  176. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 今回、十月の四日に緊急措置を発表いたしまして、関係者に通達をいたしたわけでございますが、さらにその詳細につきまして整備部長通達で具体的な企画等につきましての指示をいたしました。この緊急措置によりまして相当の効果があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、今後引き続きまして長期的な展望に立ちましていろいろの調査研究、施策等も進めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  177. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今度の改善対策は使用過程車に対する措置が全くとられておりませんけれども、その理由をお聞かせ願いたいということと、もう一つ事故防止を考えるならば使用過程車に対する措置、これを真っ先に行われなければならぬ、こう思うんですけれども、依然としてその辺欠けているように思いますし、またこのままでは依然として事故は起こると、このように予見されるわけですが、いかがですか。
  178. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 御指摘の点、十分よくわかるわけでございまして、早く対策をしなければいけないわけでございますが、何としましても、現在町に走っております大型貨物自動車は五十万台、型式も三百二十八の多きを数えておるわけでございます。その車に対しまして今回措置いたしましたような措置と、同様の措置を講じようとしますならば、強度その他の点につきまして種々検討しなければいけない点がございますので、鋭意私の方におきまして研究をいたしまして、早急に保安基準の改正というところまで持ってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  年間に製造されます新車は五、六万台だというふうに記憶をいたしておりますので、この五、六万台の新車につきましては十一月一日からいまのような措置をした車が走ると、こういうことに相なろうかと思うわけでございます。
  179. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの措置を講ずるとおっしゃるのですけれども、なるべく速かにというのじゃちょっとわかりませんし、片っ方は十一月から実施したにもかかわらず、それはわずか十分の一ぐらいしかならないわけですが、それでは結局現在の状況と同じだとさえも言い切れるわけですが、その期間、使用過程車に対する措置ができるのはいつごろですか。時間的に、時期的にひとつ正確なところをおっしゃってください。
  180. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほどお答え申しましたように、型式別に検討を進めてまいらなければいけませんので、私どもこの事態の緊急性にかんがみまして早急に実施をしてまいりたいと思いますけれども、数カ月は要するのではなかろうかと、かように考える次第でございます。
  181. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 四十六年の衆議院交通安全対策特別委員会におきまして、すでに大型貨物自動車の構造上の問題に対して、「大型貨物自動車運転着席を低くすることによる他の車両および歩行者等の安全性を確保するうえにおける利害について検討し、早急に結論を得ること。」という決議が行われておりまするけれども、これについてどのように検討を行ってきましたか。それからまた同時に、この四十六年度以降にむしろ車両は大型化し、運転席は高くなっているのが実態ではないかと思いますけれども、その辺、御弁明願いたいと思います。
  182. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先生御指摘のように、四十六年五月に衆議院交通安全対策特別委員会での決議をいただきました後、四十六年の七月に大型貨物自動車運転席研究委員会というものを設けまして、自動車運転席に関係の深い学識経験者自動車メーカー、自動車運転者、関係官庁等の代表者十八名でもちまして構成されましたその委員会におきまして研究を進めてまいったわけでございます。四十六年十一月、約五カ月ほど研究をいたしました中間検討結果として、いま先生が御指摘のような大型貨物自動車につきましては、これを低運転席にすることに伴うデメリットという方が大きいのではないかということで、どちらかといいますれば、間接視野を高めるとか、今回措置をしましたような種々の対策を講ずる方がよかろうと、こういうような中間検討結果が出たわけでございます。その後、事故統計につきまして解析等を加えて、やはりこの中間検討結果が妥当であるということの裏づけをしてまいったわけでございますしその後、この大型トラックの左折時における事故が相当後を絶ちませんし、ごく最近に至りましてはさらにふえるような傾向でございますので、運輸省から自動車工業会に対しまして必要な措置を指示をし、今回の措置になってきたというふうな次第でございます。
  183. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ちょっと過去のことになるんですが、四十六年の十一月に何とか運転席研究会というんですか、できたんですけれども、これ、私らの考えではむしろ非常に貨物自動車のメーカーの方に都合のいいような結論が出たように思いますけれども、それがために、何といいましょうか、運転席を下げることはむしろほかのデメリットの方が多いというような結論が出たかに思いますけれども、そのときの委員会のメンバーなんかわかりますか。
  184. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先ほど概略を申し上げましたが、委員長といたしまして東京農工大学の斎藤教授、日野自動車工業の本田さんが副委員長でございまして、以下十六名のメンバーでございますし運輸省自動車局の整備部の職員が三名、工業技術院機械技術研究所の職員が二名、運輸省交通安全公害研究所の職員が三名、警察庁科学警察研究所の職員が二名、あとユーザーといたしまして、日本通運から自動車使用者の代表が一人、それから車体工業の代表といたしまして車体工業株式会社から一人、あと日野、三菱、いすゞ、日産と、こうしたメーカーの代表をそれぞれ一名、合計十八名の体制でございます。
  185. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 何か、いまお伺いしますとほとんどメーカーで、それじゃメーカーのサイドでもって、いわゆる極端に言えば人命の尊重とか安全というようなこと等を無視したかのように想像されるわけです、これはもう済んだことで仕方がありませんけれども。そのために前回の研究委員会におきまする結果にもかかわらず、相変わらずこの大型貨物自動車事故というものがふえてくる。ことにいま御質問申し上げておりまするような左折時の事故というものが続出しているとさえも思うわけでございますが、同時に今度の事故の場合にもやはり運転席が高いという声が相当マスコミあたりからも言われておりますけれども、これに対しても何かメーカー側でもってそれに対する反対の動きというようなものもちらほら見えるようですけれども、これに対して局長、どういうふうにお考えですか。
  186. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 先生御指摘のとおり、新聞紙上でメーカー側の反応があるようでございますが、運輸省といたしましては、先般、十月の四日に緊急措置として発表いたしましたものは、これはぜひ実行していただかなければなりませんし、今後長期的な展望に立ちます対策、施策、研究等は、特に低運転席の試作車をつくるということにつきましては、各メーカーにおきましてぜひとも実施をしていただきたいということを強く期待をいたしておるわけでございます。各メーカーにおきましてこれの約束をしていただいておるわけでございます。ただ、低運転席にすることが果たしていいのかどうかということは、安全の見地から技術的に総合的な判断はなされるべきであろうと思うわけでございます。従来とも運転席と視界の関係とか、運転席と視野の流れ、運転席と運転のしやすさ、それから運転席を低くすることの技術的な可能性と使用上の問題点、こういうものを種々検討して、先ほど御披露いたしました中間的なまとめということになっておるわけでございます。  今後、この試作車によりまして、これもいろんな方、いろいろの立場の方々、使用する立場の方々から、いろいろ御意見を承って、また実際に乗っていただいて科学的に実証されたものを採用してまいりたい、かように考える次第でございます。
  187. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまおっしゃる低運転席の車ですね、試作なさるというお話ですが、それはいつごろから始めるのか、また高低両様の運転着席のメリット、デメリットについてのいわば最終的なといいましょうか、検討がなされると思いますけれども、そのような結論なんというものはいつごろ出るものでしょうか。御意見を承りたい。
  188. 梶原清

    政府委員(梶原清君) いろいろ準備が必要であるわけでございますが、車体の構造とか部品とか、いろいろ調達もいたさなければいけませんので、メーカーにおきましては来年の夏ごろまでに一応試作車ができるのではないだろうかと、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  189. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に警察庁に伺いますが、去る六日に警察庁から発表されました「大型自動車による左折時の交通死亡事故実態」、これは昭和五十二年中及び昭和五十三年八月末現在ですが、それによりますと、大型自動車による左折時の交通死亡事故件数は、昨年は百九十一件、今年は八月末までで百四十五件とのことである。ところで、その八割以上が左折時の安全運転を怠ったために起こったと発表されております。そうして、確認したが死角内であったために相手当事者の存在に気づかなかったものはわずか六%から七%にすぎないというふうに報告されていますが、そうしますと、問題は、大型貨物自動車運転者に左折時の安全確認を十分に励行するように指導していくということが最も大切でありますけれども、その具体的な方策について伺いたいと思いますが。
  190. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) ただいまの御質問運転者が交差点その他の場所で安全確認を行うということは、これは当然の原則でございます。こうしたことから指定自動車教習所、それから運転免許試験等においても厳重に指導してチェックをしていく、こういうようなことは先ほども申し上げたとおりでございます。  運転免許試験につきましては、本年一月に免許試験の採点基準を改正いたしたわけでございます。そうして、左折巻き込み防止の処置の適否につきましても指導員か的確にこれを指導いたしまして採点の基準に入れている、そういうようなことになっております。指定自動車教習所における教習カリキュラムにつきましても、このたびの法改正に伴い、また教則の改正に伴いまして全般的な見直しをやっておるわけでございます。交差点の通行方法、特に左折時における内輪差からの事故防止につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、特に指導を強化しているわけでございます。さらに死角の問題につきましても最近特に大きく取り上げられておりますので、これについてもいろいろ規制等で注意をする、こういうことになろうと思います。  運転免許の更新時講習というのがございますが、またさらに事故、違反を犯しまして行政処分を行う行政処分講習というのがございますが、これらの講習におきましても交差点における安全性の確認につきましては、いろいろな事故事例に基づきまして指導をしていきたい、積極的に指導をしておると、こういうような状態でございます。
  191. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 このようなことについての被害を一番受けるのが歩行者、それから自転車利用の人たちでございますけれども、このような事故を防止するためには大型自動車の内輪差について十分な周知徹底を図ることがこれは一番必要だと思いまするけれども、特にまた信号待ちのときに、大型車のすぐ左側に自転車を停車しないように周知さしていくべきだと思いますが、これらに対しての御処置はこれからどういうふうに考えておられますか。
  192. 勝山亮

    説明員(勝山亮君) 内輪差につきましては、先ほど来申し上げましたが、交通方法に関する教則を今年新しく改正を現在しておるわけでございますが、十二月一日の法改正に合わせて新しくするわけでございます。その中において、内輪差につきましては、やはり従来も書いていたわけでございますが、さらにこれを取り上げて強調をしているというようなことが一つございます。それから自動車教習所の教本等にも、これらの教則の関係で、これがやはり反映をするように現在準備をしております。それから各種講習会や教習等においても指導をしているのは当然でございますが、交通安全教室——これはまあ青少年に対してでございます。それから自転車の安全な乗り方教室等について、同様に知識の普及を図っているということで、歩行者、自転車が余り大型車の近くに寄らないようにという指導は徹底をさせるつもりでございます。そういうことによって周知徹底を図っているわけでございますが、県によりましては、先ほども申し上げましたが、死角と内輪差につきましては、やはり体験的にはだで危険性を感じてもらうというようないろいろな実験を公開でやっておると、そういうふうなところがいろいろございます。そういうふうな状況でございます。
  193. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、航空局の方にちょっと二、三お伺いしたいと思いますが、例の航空機のニアミスの防止対策について当局の対策を伺いたいと思いまするけれども昭和四十六年に雫石上空におきまする全日空機とそれから自衛隊機の衝突事故以来、ニアミスの防止対策が強く叫ばれてまいりましたんですが、当局におかれては、以来どのような対策を講じてこられましたか。まず、お伺いしたいと思います。
  194. 松本操

    政府委員(松本操君) 四十六年に雫石におきましてあの悲惨な不幸な事故が起きましたのを契機といたしまして、四十六年からたまたま発足しておりました第二次の五カ年計画を急遽修正をいたしまして、実質的には四十七年度から作業が始まったわけでございますが、当時全国の航空路を監視いたしますレーダーが二つしかございませんでした。これを八つにして、八つのレーダーで全国の航空路網を監視すると。さらに単にレーダーで見るだけではなくて、レーダーの映像を電子計算機で処理をいたしまして、ただ見るレーダーではなくて、所要の諸元を読み込めるレーダーにしていこうと、この作業もその時点から開始をいたしました。それから飛行機が計器飛行方式によって飛びます場合に、すべて管制を受けるわけでございますが、その基幹となります諸元というものを従来は手計算、手書きでやっておったわけでございます。これをやはり電子計算機を使って、全国四つの管制部に一斉に通報できるようにする。このシステムにつきましても着手をいたしました。  このように航空路につきます管制について改善を図りますとともに、航空路そのものを安定させる、しっかりしたものにする、こういう意味で、従来はNDBと呼ばれておりますが、いささか旧式の無線標式が主でございましたものを、VORと呼ばれます新しいものに切りかえていくという作業にも取りかかったわけでございます。それと同時に、これらの施設を運用してまいります管制保安要員というものを、やはり十分な数をそろえ、かつそれに対応した訓練をしていかなければならないと、こういうことで、数字は省略いたしますが、比率的に申し上げまして、昭和四十六年度におきます管制保安要員に対しまして、昭和五十二年度の管制保安要員は二・四四倍に増員をしたわけでございます。さらに従来、羽田にのみございましたこれら管制保安要員の研修機関、つまり保安大学校と呼んでおりますが、これの分校を四十九年度、岩沼につくりました。そこで高度の技術教育及び再訓練をするというふうな措置をとってまいっておるわけでございます。おかげさまで、多少のディレイはございましたが、現在のところ第三次の五カ年計画に引き継ぎまして、おおむね来年の四月以降あたりから当初予定いたしました計画がほぼ動くというところまでこぎつけてまいったと、こういう次第でございますが、これで十分とは毛頭思っておりませんので、さらにその方向に向かって努力をしてまいりたい、こう考えております。
  195. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 わかりました。  なお、ことしの六月二十六日に紀伊半島の串本上空において、インド航空機とそれからキャセイ航空機がニアミスを起こし、またさらに九月二十三日には、栃木県の大田原市の上空でもって、全日空機とフライング・タイが一社機がニアミスを起こすというように、もうちょっと間違えばあわや大惨事という事態が起こったわけでございまするけれども、これはごく簡単に原因究明について御説明を願えませんか。
  196. 松本操

    政府委員(松本操君) 六月に起こりましたニアミスにつきましては、これはレーダーを実は使っていない空域でございました。したがいまして、管制官は従来どおり運航票——ストリップと現場では呼ばれておりますが、これを使いまして、どの航空機がどの高さでどちらの方向へ向かっているということを頭の中に考えておるわけでございます。そういう状態で、実は西へ向かって水平飛行をしておる飛行機が一機あった。今度は東へ向かって上昇を求めてくる飛行機があった。そこで、当然のことながら、上昇してくる飛行機と水平に飛んでおります飛行機とが接近しないようにということに配慮いたしまして、いま申し上げましたストリップというものをよく見て、ある点の近所で、ちょうどこういうふうなすれ違うような形になるということになるとすれば、こちらの上げるのを押さえまして、通り過ぎてから上げる、こういう措置をとるべきであるわけでございますが、その場合に、ちょっと管制官が勘違いをいたしまして、大丈夫、これはすれ違えるということで、上昇許可を求めてまいりました相手機に対して上昇の許可を出してしまったわけでございます。実際は、遺憾ながらそういうふうな状況ではございませんでしたものですから、至近距離で両機がすれ違う、こういう大変申しわけない事態が起こったわけでございます。  さらにこの九月に起こりました事例は、これはレーダーを使っておったわけでございますので、管制官はレーダーによって、北へ向かって飛んでおります一機と北東に向かって飛んでおります一機がやがてイズミというポイントの近所で交差するということを念頭に置き、その時点におきましては、北へ向かう飛行機の上に、北東へ向かう飛行機が当然上昇しているという、これも現場でプリプランニングと言うんだそうでございますが、そういう考え方を頭の中に持って実は管制をしておった。ところが、レーダーの表示を見たところが、これはいまこの飛行機の高さが幾らだというのが数字で出てまいります。それを見ましたところが、どうもこちらの飛行機が管制官が最初に考えていたほどに上がってきていない。このままほうっておくと、これは同じ高度でぶつかるかもしれないということを察知をいたしまして、直ちに回避の操作をとらせたわけでございますけれども、このときに、管制官とパイロットとの間に多少敏速な意思の疎通を欠いたわけです。つまり、急激な変針を管制官が要求したものですから、パイロットの方もやや不審に思って聞き直したりなどしている間に、数秒の時間を使ってしまった。相互に、数秒の時間というのは、高速の航空機にとっては非常に貴重な時間でございますので、結果的にはこれもまた大変申しわけない事態になったわけでございますが、これはうっかりしておったというよりも、やや判断の適切を欠いた。レーダー管制としてしかるべき措置はとったのでございますが、欲を言えばもっと事前にそういうふうな状況になろうということを察知して、しかるべき措置をとれば、仮にパイロットとの間に多少のやりとりがあっても、あのようなことにはならなかったのではなかろうか、こういうふうな二つの点が反省されますので、その点についていま善後措置をとっておる次第でございます。
  197. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま伺ったようなニアミス、二つ——三つですか、これはいわゆる原因としては管制ミスと言われてもやむを得ないと思いますが、こうしたこのニアミスの根本的な原因としては、航空交通の急速な発達に対しまして、現在の管制体制が十分にこれに対応できないところに原因があるのではないかと思われますが、この辺御見解いかがですか。
  198. 松本操

    政府委員(松本操君) まことに申しわけないような事態を発生いたしておるわけでございますので、私とやかく申し上げましても弁解じみてまいりますが、しかし先ほどもお答え申し上げましたように、四十七年以降いろいろと努力をしてまいったわけでございまして、それなりの手当てはしてきたつもりでございますけれども、ただ、いま私ども反省をしてみますというと、従来レーダーを使わない管制方式ということに実は長いことなじんできた。それがちょうど昭和五十年ごろからいろいろな施設が整って動き出したものでございますから——もちろんこれらの施設を動かすために、たとえばレーダーの電子計算機システムですと一年八カ月ぐらい、あるいはコンピューターを使ってやるもう一つのシステムにつきましては、二年七、八カ月というふうな慣熟期間を置いてスタートをしたわけでございますけれども、遺憾ながらいまの時点では、まだ道具を完全に使いこなしているというふうに私責任を持ってお答えできるところまではいっていないと正直申し上げるべきではなかろうか。こういうふうなことが御指摘をいただきましたような点につながるのであるとすれば、大変に私どもとしても申しわけないと思いますので、現在整ってまいりました設備を有効適切に使いこなしていく、道具を完全に使いこなしていくというふうな点について、たとえば現場教官をふやしますとか、あるいはダブルウォッチと言っていいかどうか存じませんけれども、副主任というふうなものを置いて、あるグループをさらに裏から監督をしていく、後ろから監督をさせるというふうな措置をおいおいとってまいりますとか、そういうふうなことをいま鋭意やっておる最中でございます。
  199. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまおっしゃったそのダブルウォッチというのは、管制官を二名置いてやるという意味ですか。
  200. 松本操

    政府委員(松本操君) 管制官が管制をいたします場合には、それぞれ固有の——言葉はおかしいのですが、通常、席と、こう呼んでおりまして、レーダーで管制をしております航空路の管制でございますと、助手的な者を除きまして、四人の管制官がそれぞれの席に着いております。そのうちの一人はわりあいに手がすくという状態でございます。そこで、三人の管制官はそれぞれパイロットと連絡をするなり、レーダーを見るなり、あるいは隣接管制機関と調整をとるなりというそれぞれの仕事をしておりますが、そのうちの一人はそれらを横目で見ながら全体のバランスを見ている、こういうふうなやり方をしている。これがレーダー調整席におる人間でございます。それから、たとえば羽田のようなターミナルでございますと、副主任という者を置きまして——これは何人かのグループに一人つけてございます。この人間が絶えず管制席の後ろをいろいろ歩きながら、どこかで困ってはいないか、どこかでうっかり見落しはしていないかというふうなことをチェックする。こういう体制をとらせるようにしておるわけで、一人のところに二人つけますと、意見の食い違いが出たり、その二人の間でまた調整をしたりというふうなことになりますので、そういう形ではございませんで、通常の業務をさらに裏から十分に目を配っているというふうな形を一応私どもダブルウォッチと、こういうふうに呼んでおるわけでございます。
  201. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間も参りましたので、もう一問だけそれでは承りましょう。  四十六年の、先ほど申し上げました雫石事故の後、当委員会とそれから内閣、運輸両委員会の三委員会が連合審査会を開きました。そのときに安全確保に関する決議がなされておりまするけれども、その中で管制の一元化を確立することが決議されておりまするけれども、この管制の一元化に対してどのように今後取り組んでいかれるか、いままでどのように取り組んでこられたか、また実現の見通しはどうかお伺いしたいと思います。
  202. 松本操

    政府委員(松本操君) 四十六年に仰せのございましたようなお話を承りまして、その後、まず航空法の改正という形の中で管制の一元化を具現化していくというところに全力を集中したわけでございます。つまり航空法のたてまえ上、日本国の空域はすべてこれ運輸大臣管轄下に属しておるわけでございますが、現実的に、たとえば自衛隊の飛行場にかかる狭い管制圏でございますとか、ややその外側にあります管制区とかというところは、防衛庁長官が運輸大臣の委任を受け、かつ自衛隊の職員が運輸大臣指定した職員の試験を受けまして合格したという資格を取って管制をする。こういう形をとってきておるわけで、これは命令系統あるいは制度的には一つの一元化と考えてもよろしいかと思いますが、しかしそれはそれなりに今度は管理監督が十分に行われなければいけないし、また自衛隊の航空機について航空法の適用除外がいろいろと多過ぎたのでは、これまた一元化という点に反するのではないかという点に思いをいたしまして、航空法の改正をいろいろ検討し、二、三年かかって国会の御審議を経て五十年の十月に施行になったわけでございますが、その中では、統制権と私ども言うておりますけれども、運輸大臣の防衛庁長官に対する管理監督権を強化する、あるいはまた防衛庁機に対します航空法の適用というものを全面的に拡大していくというふうな措置を積極的に取り入れた次第でございます。  さらに、その時点で、衆議院の方で航空法の御審議を最終的にお認めいただきました時点で、さらにまた附帯決議をいただいたわけでございますが、その航空法に関する附帯決議の中では、航空交通管制の一元化の実をおさめるよう関係省庁間の連絡調整をさらに緊密化せよ、こういうことがついておったわけでございまして、一応私どもは管制一元化へ向かっての方向づけは五十年におきます航空法の改正でできた。それをさらに具体的に実を上げていくという方向に向かって努力をしようということで、いろいろな機会を通じまして、私どもと防衛庁との間の協議というふうなものを繰り返しております。  現実的には、たとえばすべての空域につきましては、運輸大臣が専管的に処置をできるという形に現実になっておりますので、一応の成果は上がってきておるというふうに私どもは考えておりますが、さらにこの二回にわたる附帯決議の趣旨を十分に尊重しつつ、さらにその実を上げていくように努力してまいりたいと、こう考えております。
  203. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 管制の一元化の方向に向かってこられたわけですけれども、米軍に対する管制はどうなっておりますか。その中に含まれて検討されておりますかどうか、そこを承りたいと思います。
  204. 松本操

    政府委員(松本操君) 米軍につきましては二つの面から考えるべきであろうかと思いますが、米軍の基地となっておりますたとえば横田でございますとか、岩国でございますとかというふうな基地につきましては、自衛隊におきますと同様に、その飛行場周辺の飛行場管制圏に相当する部分及び飛行場管制圏に出入りをいたします航空機が上がったり下がったりする部分になります進入管制区、ここにつきましては、それぞれの空域を運輸大臣の命を受けて管轄しております航空交通管制部というのがございます。関東地方でございますと所沢にございますが、この航空交通管制部が一定の空域について、この中ではこういう約束の範囲内で米軍が処置をしてもよろしい、こういうことを取りきめております。したがいまして、米軍機といえども、たとえば横田から出発をしてどこかへ計器飛行で飛んでいこうという場合には、東京航空交通管制部の承認を得なければ一機たりといえども離陸ができない、こういうことになっておりますし、さらにこの管制区の外へ出ようという場合、あるいは管制区に入るという場合、すべて東京航空交通管制部の指示によって動く、こういう形になっておりますので、実質的には十分の成果は得ておるというふうに考えておるわけでございます。  もう一つの点で、しからばそういった狭い空域の中において行われる管制の業務、これは秩序形成行為とでも申しましょうか、その空域の中を主として米軍機が飛びます場合にごしゃごしゃにならないように一定の秩序を保つという行為をさせるわけですが、これの基本になっておりますのはICAOのルールでございます。ICAOのルールというものは私どもの航空法の基幹にもなっておるわけでございますので、そういう点において微細な航空交通管制上の規定につきましてもこれは同じ原則に沿って行われておる、こういうことであろうかと思いますので、一応の目的を達しておると、こういうふうに私どもは理解をしておるわけでございますが、しかしいやしくもそういう点から逸脱することのないように、絶えず在日米軍との間には機会を持っていろいろと注文もつけ、諸般の面においてこの枠の中で確実な仕事がやられるように私どもとしては厳重な指導をしておる、こういうのが実情でございます。
  205. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  206. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  交通安全対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十分散会