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1978-11-14 第85回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月十四日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 楠  正俊君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君     委 員                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 永野 嚴雄君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 小野  明君                 丸谷 金保君                 吉田 正雄君                 黒柳  明君                 沓脱タケ子君                 三治 重信君                 秦   豊君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        防衛庁防衛局長  原   徹君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁水資源局        長        北野  章君        国土庁大都市圏        整備局長     堺  徳吾君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  石月 昭二君        建設省計画局長  丸山 良仁君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  稲田  裕君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        会計検査院事務        総局次長     東島 駿治君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君    参考人        住宅金融公庫総        裁        大津留 温君        商工組合中央金        庫理事      小山  実君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総理府のうち、国土庁及び建設省と、それに関係する住宅金融公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 質疑通告のない大津留住宅金融公幾総裁は退席していただいて結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 小野明

    小野明君 きょうは二点ばかり御質問を申し上げたいと思いますが、第一点は、建設業に従事をいたしております労働者の問題、主として時間短縮の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは大臣承知のように、本年度の当初予算におきましては、景気の回復ということを主たる目的といたしまして大型の公共事業が編成をされました。さらに、先般の臨時国会におきましても、補正予算で当初の経済成長率目標を達成をするというために公共投資の追加が図られたところであります。この予算に対する主張というのは社会党の主張と異なるところがあるわけでございますけれども、これはさておくといたしまして、このように公共事業がすでに実施段階に入っておるところでありまして、建設工事が相当拡大しつつあります。しかしながら、私ども、地方自治体、地方レベル等において、あるいは工事現況等におきまして、余りに工事が多過ぎまして消化し得ないと、設計能力等の問題もあり消化し得ないという声も聞かれるわけでありまして、これはきわめて重大な問題であります。そこで、工事の消化に必要な建設労働者確保については大丈夫なのかどうか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) いま先生お話しのとおり、公共投資拡大に伴いまして、建設工事そのものは年初来大変ふえてまいっております。これに伴いまして、これに働いておられます労働者の皆さんの数も増加しておりまして、たとえば本年九月の状況をとりますと、建設業に従事しておられる方は五百二十六万人でございまして、昨年の同月に比べまして三十九万人の増加という形になっております。しかも、このうち約三十万人は常用労働者という形で、雇用形態といたしましてはよい形になっておるわけでございます。一方、それにもかかわりませず、完全失業者は御承知のように百二十五万人を数える状況にあるわけでございまして、なかなか雇用情勢は厳しい状況にあります。ただし、建設業におきましては、最近の状況を見ますと、新規求人数が伸びておるとか、あるいは常用労働者の人数が増加しておるとかいうような事態が見られるわけでございます。  今後の問題でございますが、建設労働者は今後ともますます必要になってくると考えられるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、失業者が相当おるような状況でございますから、これを吸収するということが公共投資の一つの目的でございまして、そのような観点からは全体的には労働者の逼迫というような事態はないものと考えますが、一部の技能工等につきましては問題があるように考えておる次第でございます。
  7. 小野明

    小野明君 今年度の当初予算国会におきましても、臨時国会等におきましても、経済成長七%を目標にいたしておるわけでありますが、それに伴って雇用拡大はどうなっておるのかという数字が明確に予算委員会等においては示されておらないところであります。いま局長説明のように、まだ完全失業者政府統計におきましても百二十数万ございますので、この点についてもさらに大きな配慮が必要であることは御説明のとおりだと思います。  そこで、建設工事の適正な施工確保いたしますためには、建設技能者というのが、ただいまちょっとお話がございましたが、欠かせないわけであります。ことに鉄筋工型枠工等技能工が不足しているという説明もございましたが、その現状建設省としてはどのように認識をされておるのか、また、そのための対策をどう考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  8. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 建設省といたしましては、最大の使命でございますことしの予算を完全に消化するという立場からいろいろと配慮しているわけでございますが、その中で、先ほども申し上げましたように、技能工、特に鉄筋工型枠工等に問題があるわけでございます。そこで、建設省といたしましては、公共事業施行対策地方協議会等を活用いたしまして、技能工を含めました建設労働者雇用動向地域的にきめ細かく把握しているわけでございます。これによりますと、一部の地域、たとえば新潟であるとか、あるいは東海地方であるとか、愛媛県であるとか、このような地域につきまして、鉄筋工型枠工が一部不足しているという実態があらわれているわけでございますが、その不足の程度工事に重大な支障を及ぼすというようなところには幸い至っていないわけでございまして、一部、工程等を延ばさなければならないというような事態のあるところもございますけれども、工期内には工事が完成できるというような状況でございます。  なお、これらの対策につきましては、今後とも技能工を完全に確保するということは建設業を維持していくために非常に重要な問題でございまして、われわれといたしましてもいろいろと配慮しているわけでございますが、特に工事発注する場合におきましては、その労働力確保、特に技能工確保ができるかどうかということを十分配慮いたしまして工期工程等を組むとともに、その工事の執行に当たりましても弾力的にこれを行うというようなことを行っているわけでございますし、また、労働省とも緊密な連絡をとりながら、技能工確保を図るとかあるいは機動的な訓練を行うとか、そういうことをいたしております。また、建設業界に対しましては、地域的にアンバランスのある自己の会社労務者のみならず、それぞれの会社技能工のやりくりをするようにというような指導もしているところでございまして、今後ともこれらの点には十分配慮してまいりたいと考えている次第でございます。
  9. 小野明

    小野明君 さらに、建設業におきましては雇用関係が非常に不明確である、臨時とか日雇いの不安定な雇用形態が多い、あるいは労働条件が非常に悪いと、こういった雇用面での立ちおくれが見られるわけでありますけれども、これらに対しては建設省はどのような対策をとっておられますか。
  10. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先生がおっしゃられますように、建設業を完全に消化してまいりますためには一番重要なのは労務者でございます。したがいまして、この労務者対策というものにはわれわれは最大限の努力をしているわけでございますが、何分にも残念ながら、雇用形態が適切でないとかあるいは仕事の場所が屋外であるとか、いろいろの問題がございまして思うようにいっていないというのが偽らざる事実でございます。しかしながら、このようなことでは困るわけでございまして、われわれといたしましては、先般成立を見ました建設労働者雇用改善等に関する法律、これは労働省が主管の法律でございますが、これらの法律の規定も踏まえまして、労働省とも緊密な連絡のもとに、建設業界に対しまして適正な雇用管理を行うように行政指導を行っているところでございますし、また、公共事業発注に際しましては、その労働者をどのように保護しているかというような点も十分配慮するようにというようなことの注意を発注者に喚起しているところでございます。特に最近におきましては、下請業者における雇用管理改善等に資するために、いま下請指導要綱というものをつくりまして、近日中に局長名をもって各発注機関あるいは業界に出すつもりでございますが、これをもちましてなお一層の業界指導に当たってまいりたいと思うわけでございます。  なお、そのほかに、工事発注をする場合に、その企業評価をする評価基準というものがございますが、現在その見直し作業中でございまして、つい先日中央建設業審議会に御諮問申し上げたわけでございまして、この評価基準改定作業を進めているわけでございますが、この場合におきましても、業者雇用に対するどのような配慮をしたかということをできましたら点数制評価いたしまして、これをもって入札の際などの参考にいたして、労働対策に対する配慮を十分行っている企業には入札の際に有利なような点数を与えるというような制度も考えてまいりたいと、このように考えているわけでございます。
  11. 小野明

    小野明君 さらに建設業における労働時間の短縮という点につきましても、これは非常に考慮を払わなければならぬ点であろうかと思います。こういった面も雇用拡大につながる問題でありまして、ところが、私の調べたところでは、日曜日を休むという最低労働条件さえ確保できていない、こういう実態があるわけでございまして、建設業を魅力ある職場とするには、こういった最低労働条件確保というものが非常に重大であります。しかしながら、実態は、その実施状況は必ずしも芳しくありません。現状はどのようになっておるのか、また、日曜を休むという最低の問題について、地方公共団体等の各発注機関並びに建設業界を強力に指導をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  12. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 労働省が出しております毎月の勤労統計によりますと、本年九月の建設業就業者の月間の出勤日数は二十三日でございます。最近工事がふえておりますから、いささか日数がふえているということでございますが、長期的傾向を見ますと、数年前に比べますと減少傾向にございます。これは他産業平均は大体二十二・一日となっておりますから、一日ぐらい長い、こういう状況にあるわけでございまして、特に建設業が休みが少ないというわけではございません。  しかしながら、先生いまお話しのように、日曜日を見ますと、日曜日を全休しているという企業は半数にも満たない状況にあるわけでございます。これは、先ほども申しましたように、屋外労働が多いわけでございますから、雨の降った日には働けない、この日に休まなきゃいけないということでございまして、その分を日曜日に働くというようなこともあるわけでございますし、たとえば道路工事補修工事であるとか、あるいは電気、ガス等工事につきましては、これは日曜日の交通量の少ないときに仕事をしなければならないというような事態があるわけでございますし、また、出かせぎ労働者の一部につきましては、せっかく出てきたんだから、雨の日は働けないから日曜日も働かしてくれと、こういうような事情があるわけでございまして、なかなか日曜日の全休を急速に普及するということは困難な状況にございます。  しかしながら、われわれといたしましてはやはり定期的に日曜日は休むことが望ましいと、このように考えているわけでございます。かねてから建設省といたしましては、地方公共団体を初めとする各発注機関あるいは業界等に関しまして、建設工事施工に当たりましては、労働者健康等の保持を考えまして、日曜日は休むようにというような指導をしておるところでございますし、また、工事発注に当たりましても、工期工程等は日曜日が休めるような工程を組むように指導しているわけでございます。今後ともわれわれといたしましては、労働省とも緊密な連絡をとりながら、日雇日がなるべく休めるように業界指導してまいる所存でございますし、業界といたしましても、日曜日全休普及週間というようなものを設けましていろいろ努力はしているようでございますが、今後ともこの点は強力に指導してまいりたい、このように考えております。
  13. 小野明

    小野明君 建設省として実態をどう把握をされておるのか、その数字がいまお話しございませんが、私が調べましたところでは、発注者別の日曜全休なしの状況を申し上げたいと思います。悪いところ、二つずつ申し上げてみたいと思います。  中央といたしましては、全休なしが農林省関係で一二・五%です。それから、文部省関係で一三・七%に上っておりまして、その平均は六・五でありますが、文部、農林のこの両省がきわめて状況が悪い。公団公社関係を申し上げますと、住宅公団が七・七%、それから国鉄が五・九%であります。公団公社もそういう状況であります。民間関係では、これはホテル、デパートの建設が一〇・三%でありまして、これはさらに日曜全休なし、これは契約等の問題もあると思いますけれども、発注者別に見ますときに、中央官公庁でもこういう状況であります。  さらに、この点については、お話もあったところでありますが、強力な御指導をいただきたいと思いますが、再度御答弁を願います。
  14. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) いま小野先生がおっしゃられましたとおりの数字でございます。したがいまして、これらの官庁につきましては、先ほども申しましたように、なるべく日曜は休んでいただくように、こちらからお願いしたいと存じております。
  15. 小野明

    小野明君 次に、建設現場は、御案内のようにほかの産業と違いまして、屋外の高所であったり、地下の深いところであったりいたします。建設労働者は常にこういう危険にさらされておるわけでありますが、最近の建設業におきます労働災害現状はどのようになっておりますか。さらに、建設省はそれに対してどのような安全対策をとっておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  16. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 建設業におきます労働災害は、残念ながら他の産業に比べまして非常に多い状況になっております。  数字的に申し上げますと、五十二年の状況で全産業に占める負傷者の数は三二・二%でございまして、その率は大体他の産業の三倍強という形になっております。また死亡者の数は五十二年千四百六十四人でございまして、これは全産業に占める死亡者数の四四・三%と、非常に高率になっております。大体他産業に比べまして五倍弱という事故率になっておるわけでございまして、まことに残念だと思っているわけでございます。  これらの災害を防止するという観点から、建設省といたしましては、従来から建設業界及び各発注機関等にいろいろと指導お願い等をしているわけでございますが、その主なる内容を申し上げますと次のとおりでございます。  まず第一は、建設業者における安全管理体制整備あるいは安全教育の徹底ということを指導しているわけでございます。  それから、二番目といたしましては、請負業者を選定する場合あるいは元請業者下請業者を選定する場合に、建設業者労働安全管理状況がどうなっているかということを十分参考にして行うように指導しているところでございます。  それから、三番目は労働災害の防止に配慮した工事工程を組むというように発注者側にお願いしているところでございまして、やはり工期が短いというようなことになりますと、突貫工事ということで事故が起きるわけでございますから、そういう点も十分配慮するようにいたしているわけでございます。  それから、不幸にして労働災害が発生いたしました場合には、その業者に対しましては指名停止、その他の適切な措置をとっているところでございます。  なお、不幸にして労働災害に遭われた場合には、現在法定労災制度はあるわけでございますが、これは必ずしも十分でございませんから、任意労災に加入するように極力指導しているところでございますし、建設省等積算におきましてはその分を積算単価で見ておる、こういうような状況でございます。  以上のような措置を講じているわけでございますが、冒頭にも申し上げましたように、なかなか成果が上がらない。まことに残念なことでございますから、今後ともこの点には特に配慮をいたしまして、強力な指導等を行ってまいる考えでございます。
  17. 小野明

    小野明君 この問題については、一度大臣にも御陳情申し上げまして、いろいろ御配慮をいただいておったところでございます。  いままでの御質問答弁によりまして大臣も大体概況はおわかりいただいたと思うのでありますが、建設業を魅力ある職場にする、そうして雇用拡大をしてまいる、そういうためには労働環境改善あるいは安全対策強化がきわめて大切と思うところでありますが、ここで大臣の御所見をいただきたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほどから小野委員からいろいろ御指摘がございまして、私はもう全く同感でございます。  特に労働災害現状についてのお尋ねで、建設業で五十二年中の死亡者数が他産業に比較して五倍に近い千四百何人ということは、私、建設省責任者としてはまことに残念でもあるし、申しわけないと思っておる次第でございます。  本年、公共事業を大幅にふやす、こういうことで現在建設業が国民総生産の中で二〇%以上を占めるような状況にある、また、建設労務者は五百万人を超える、先ほど局長からお答え申し上げたように五百二十六万人、こういう状況からいたしまして、おっしゃる魅力ある建設業、こういうことからいたしまして、十分な対策指導の必要があるということを痛感します。特に労働条件労働福祉関係が立ちおくれており、改善の余地が非常に多いということは、これは認めざるを得ませんし、その辺は特に留意をしていくべきことではないかと思います。雇用関係明確化雇用管理体制整備、あるいは各種保険退職金制度建設労働者を参加せしめるということに努力する必要があると思います。  ころんな角度から見て、きょう御指摘のあるような建設業界労務体制というものをわれわれとしてもさらに一層健全化する、改善をする、非常な努力をしなければならぬということを痛感しておるわけでございまして、業界指導については相当行っておるところでございますが、なお一層今後とも、きょう御指摘の諸点には留意してまいりたい、こう思います。
  19. 小野明

    小野明君 次に、建設業におきます海外勤務者の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  わが国海外勤務者の問題といいますと、ただ建設業に限られた問題だけではございません。商社その他、すべてございます。けれども、きょうは建設関係でありますから、これにしぼりましてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  大臣、これは非常にわが国外交失敗であると思うのでありますが、先般の安保理事会におきまして、非常任理事国に立候補してバングラデシュに敗れると、こういう非常に大きな失敗がございました。わが国発展途上国あるいは中東その他に対する外交の失政という問題もこれは指摘されなければならぬところでありますけれども、きょうは、当初申し上げましたように、建設業海外活動、この問題にしぼっておりますから、これについてお尋ねをいたしたいと思うんですが、この海外活動現況を端的にひとつ、時間もありませんから、御説明をいただきたいと思うんです。
  20. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) わが国建設業海外受注実績でございますが、昭和四十七年度には四百七十三億円でありましたものが、昭和五十二年度には三千六百四十八億円と飛躍的に増大しているわけでございます。この地域別シェアを見ますと、中近東地域が四五%、アジア地域が四〇%、その他地域が一五%ということになっておりまして、中近東及びアジア地域が圧倒的なシェアを占めているわけでございます。  また、現在海外で勤務する建設労働者数は、これは海外建設協会の調べでございますが、中近東地域で二千百人、アジア地域で千八百人、その他地域五百人、合計四千四百人程度となっております。  しかしながら、諸外国に比べますと、非常にまだわが国海外受注は立ちおくれておりまして、たとえばアメリカの年間六兆五千億というのは別にいたしましても、西ドイツが八千七百億、イギリスが六千八百億、イタリアが八千億というような状況に比べまして、なかなか立ちおくれている段階でございます。  したがいまして、今後とも海外協力を含めました海外活動建設活動を一層活発化する必要があるわけでございますが、このためには、何と申しましても、情報収集体制整備であるとか、あるいは海外要員養成等による工事施工能力強化、あるいは入札前の諸調査の実施、また、海外勤務建設労働者福祉対策というようなものに十分配慮した上で、今後とも海外における受注対策を進めてまいらなければならないと、このように考えている次第でございます。
  21. 小野明

    小野明君 時間もありませんから、少しまとめて質問をいたしますが、これは建設省のみに限らず、他の省とも関係があるわけですが、建設労働者並びにその家族の医療対策、さらにこの建設労働者の子女教育のための対策というものはどのようになされておりますか。
  22. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) いまお尋ねの問題につきましては、外務省が中心になってやっておることでございますが、建設労働者のみならず、海外に滞在する日本人にとりまして、言葉が不自由であるとか、あるいは現地医療事情の情報が不足であるとかいうようなことで、医療問題は非常に重要な問題になっております。特に開発途上国におきましては、現地医療の水準が低いというような問題も抱えているわけでございます。したがいまして、海外進出企業の一部では、相手国との取り決めで企業の駐在員がいる場合もありますが、これはごく限られた例でございまして、大部分は現地のお医者さんに診てもらっているというような状況でございます。  外務省におきましては、海外医療対策といたしまして毎年アジア、アフリカ、中近東及び中南米の開発途土地域に、三名ぐらいの医師からなる巡回医師団を年間十チームぐらい編成して邦人の健康診断、相談に当たっているということを聞いております。また、急病人であるとかあるいは事故等がありましたような場合には、先進国への患者の輸送というようなことにつきましても現在外務省で検討中だということを聞いております。  したがいまして、建設省といたしましても関係省庁とともに医療問題につきましてはなお一層の努力を払ってまいりたいと存じます。  次に、海外におられます子女の教育の問題でございますが、外務省の資料によりますと、海外におられる子女の数は大体教育年齢に達した人が——これは義務教育でございますが、二万一千人程度おられるということでございます。これらの海外の子女教育に対しましては、現在世界全体で五十五の全日制の学校があるということでございますし、六十五の補習学校があると、こういうことでございます。それで、全日制の学校につきましては日本と同じような教育をしているわけでございますし、また補習学校というのは、現地の学校を借り、あるいはインターナショナルスクール等を借りまして、放課後や週末に日本語とかあるいは算数を教えていると、こういうような状況だそうでございます。  これらの方々に対しましては教科書を無償で配付するとか、全日制日本人学校に対しては校舎の借り上げ料の援助とか、専任教員の派遣とか、現地採用教員給与の一部補助といったような補助対策を行っているそうでございますし、補習授業校に対しましては、現地採用教員に対する一部の給与の補助、あるいは大規模な補習学校につきましては専任教員の派遣等を行っているようでございます。また、これらの学校に入れない方々に対しましては、海外子女教育振興財団、これが国の補助を受けまして通信教育を行っているというような実情であると聞いております。  このような状況でございまして、十分な状況でないわけでございますが、建設省といたしましても、海外に勤務される建設労務者の子女教育については、非常に重要な問題でございますから、外務省、文部省等とも十分に連絡をとりながらその拡充に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  23. 小野明

    小野明君 お話ございましたが、医療対策並びに子女教育の問題はひとり建設省だけの問題ではありませんで、私どもが外国に参りました場合も口をそろえて指摘をされるところでありまして、一層の御努力をいただきたいと思うんであります。  次に、これも建設省だけの問題ではないんですが、派遣相手国の治安が悪化した場合の対策はどうかという点でありますが、先般の十一月十日の新聞報道によりますと、イランの暴動ですか、一部政変もあったようでありますが、このイランにおきましてはストライキをしておる労働者が、政治的要求の一つに外国人専門技術者の追放ということを掲げているわけであります。これらについて、外国人に対する非難がいつ暴力に転化するかわからぬということで諸外国では避難をしておるようです。それでこのイランの場合あるいはその他の場合、どのような対策をお持ちであるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  24. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 開発途上国によりましては、いま先生お話しのように、政情不安等によりまして治安の悪化する場合がありますが、その際におきましては、その国に設置されております日本国大使館より現地日本人会を中心とした連絡網を通じまして各種情報を伝達するなど、事態の推移に適切に対処するというような方策を講じていると聞いております。  また、イラン情勢につきましては、外務省に尋ねましたところ、ほとんど平静に戻っているということでございまして、また、建設技術専門家は追放すべしとの要求は特別聞いていないということを申しているわけでございますが、イラン在住者、日本人会等を通じまして事態の推移に適切に対処するような措置をとっているということを聞いているわけでございます。  建設省といたしましても、イランには建設アタッシェが行っておるわけでございますから、建設労働者の安全の確保につきましては、外務省等と十分連絡をとりまして万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  25. 小野明

    小野明君 さらに、海外で勤務をいたしております建設労働者に対します労働災害補償保険法の適用はどうなっておりますか。
  26. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 海外工事に派遣されておる者に対しましては、労働者災害補償保険法により、いわゆる海外派遣者の特別加入制度として、業務災害に対して国内と同様の措置がとられることとなっております。大多数の建設業者はこの保険に加入しているわけでございますが、まだ未加入の者もあるわけでございますから、今後ともこれには加入するように徹底的に指導をしてまいりたいと考えます。  なおこのほかに、業者によりましては海外旅行補償保険——これは会社負担でかけている例でございます。また、海外勤務者グループ保険——これは個人負担でございますが、このような保険もかけましていろいろと対策を講じているわけでございますが、これの普及につきましても業界を十分指導してまいりたいと考えております。
  27. 小野明

    小野明君 海外工事は、福田総理も途上国援助を三倍にするというようなことを発表されておるわけでありますが、今後とも増加をしていくことが考えられるわけであります。これらを円滑に受注をする、さらに完全に施行をするために政府としても事前に現地事情等を十分に調査すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  28. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 海外における建設工事は、現地の政治情勢あるいは経済情勢、気象等の自然条件等に非常に大きく左右されるわけでございまして、これらの諸条件を事前に十分に調査することが大変必要なことでございます。このため、建設省としましても、外務省、在外公館等を通じまして得た情報を海外建設協会等を通じまして随時業界に伝達しておりますほか、委託等によりまして開発途上国における経済基盤施設及び建設計画の調査を行い、建設業海外工事をするのに必要な情報の収集に努めておりまするが、今後ともこれらの施策の拡充に努めてまいりたいと思います。  また、業界におきましても、建設業者による海外工事に関する事前調査を助成するとともに、海外情報の提供等を行うため、昭和五十二年度より、海外建設協会の中に海外建設促進基金というものをつくりました。これは国庫の補助金一億円が出ておるわけでございますが、この基金によりまして事前調査費に対する低利融資制度海外データバンクの整備であるとか、人材の養成であるとかあるいは研修等を行っておりますが、今後これらの拡充になお努めてまいりたいと考えております。
  29. 小野明

    小野明君 現地におきましてわが国建設業者並びに建設労働者が円滑そして安全に業務を遂行できますように、助言と指導をすることが必要であろうかと思うんです。最近、聞いてみますと、業界から海外勤務に行かないかと労働者の方に話がありましても、労働者としては、もう昔のように、それでは進んで参りましょうという気分になれませんと、いろいろな以前とは異った状況にあります。これはいままで御質問申し上げたことでおわかりだと思うのでありますが、たとえば現地に参りましても、建設アタッシェがかなり少ないという点もございます。そこで、有能、さらに献身的な、現地で十分めんどうを見る建設アタッシェを増員すべきであると思いますが、この点はいかがでしょうか。
  30. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 現在、建設アタッシェは発展途上国を中心に十名出ておるわけでございまして、たとえばフィリピン、インドネシア、タイ、イラン、ブラジル、マレーシア、サウジ、ケニアというようなところに出ているわけでございますが、これではまだまだ不十分だと存じまして、われわれといたしましてはこの増員に今後とも努力したいと考えておる次第でございます。
  31. 小野明

    小野明君 最後に、大臣お尋ねをいたしますが、海外勤務者の問題につきましていまお尋ねをしてまいりました。  そこで、建設省業界指導をいたします際に、この海外勤務の問題につきまして、あるいは海外事業等につきまして業界指導いたします場合に、労働者といいますか、実際に海外で働く労働者の意向が十分業界に反映をするような体制をつくる必要があろうかと思うのであります。この点を大臣はどのようにお考えであるのか、最後にお尋ねをいたしておきたいと思います。
  32. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 近年、開発途上国における道路や住宅等の社会基盤施設整備事業が非常に進んでおる。それに伴って、わが国に対して技術協力を求める工事施行の要請がある。五十二年の状況というものは、各国に比較するとまだ非常に低位にあるわけですけれども、今後相当伸びる余地がある、その際における海外へ行く建設労働、者をどう考えるか、小野委員が御指摘のように、医療や教育や治安の上から非常に不安感があって、建設労働者海外へ行く意向を持たないということであれば、幾ら発展途上国でいろいろ仕事があるといっても、これを受注することは非常に困難になるんでありますから、したがって、おっしゃるとおりに、労働者の方々の意向が十分業界にも反映するし、また建設労働者が安心して海外へ行けるようにわれわれが業界指導するなり、また現地の事情を十分把握する必要というものは、これはもう当然あると、こう思います。  そこで、先ほど局長が申し上げたように、情報収集体制整備であるとか、あるいは海外要員の養成に努めるとか、また福祉対策について十分配慮するとかいうことを申し上げておるわけでございますが、特に冒頭、日本の経済協力姿勢、こういうものが安保理事国としてバングラデシュにも敗北する反省すべき点があるんじゃないかという含蓄のあるお話もあったわけでございまして、現地の政治情勢、経済情勢あるいは気象、風土の状況を十分把握し、それから医療、教育に不安のないよう、これらの諸点について外務省が中心で施策を講じておるわけでありますが、建設省としても積極的に意見を述べ、進出する労務者の皆さんにできるだけ不安感のないように努めなきゃならないと、こういうふうに考えております。
  33. 小野明

    小野明君 終わります。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕
  34. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 十月の二十三日に発表せられました大蔵省、国土庁案なるもの、これは東京都、立川市、昭島市のいわゆる三者案と著しい隔たりがあると言われておりますが、いかがでしょう、この点について国土庁の方の御見解を承りたいと思います。
  35. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) お答えいたします。  地元の利用計画案では、業務地でございますとか、広域公園でございますとか、大学、住宅、防災施設、その他の都市施設の計画がなされているわけでございますが、これらは民有地も含んでの計画でございます。  今回の大蔵、国土庁の素案でございますけれども、この中におきましても、大規模公園でございますとか、広域防災基地、それから業務地、この三つを中心といたしまして計画し、留保地につきましても、地元地方公共団体等におきましてこの地域において有しておりますところの構想が具体化した段階におきまして検討するということにしておるわけでございまして、各施設の位置でございますとか、あるいは面積等の相違はございますけれども、地元の利用計画案というものを十分しんしゃくをいたしまして作成いたしたものでございます。  なお、具体的に相違点を拾ってみますと、たとえば大公園につきましては、これは若干面積の相違はございますけれども、大差はないと考えております。それから業務地につきましては面積上の差はかなりありますけれども、この業務地の性格上の差はないわけでございます。なお、業務地につきましては、具体化した段階でなお必要な場合にはその留保地から充当するということも検討の余地が残っておるわけでございます。  それから防災施設でございますけれども、地元の案では区域内の自衛隊の基地は認めないという基本的立場に立っておりまして、また、多摩地域のための防災施設の整備を検討することといたしておるわけでございますが、この点は国の方の案では南関東地域を対象といたします防災基地を計画をいたしまして、それに必要な自衛隊の飛行基地を、その性格上、広域防災基地に必要なものとして認めておるというわけでございます。大きな相違があると報道されるのは恐らくこの点を指しているのかと思います。  それから大学の用地につきましては、地元の、要望としまして九十ヘクタールばかり、東京大学と都立大学の要望があるわけでございますけれども、東京大学につきましては、別途、国の方で三百三十ヘクタールというような大きな要望もございまして、これは全面積の四百六十六ヘクタールの中ではちょっと認めることは困難だということで政府案からは落としております。都立大学につきましては、移転計画が将来具体化した段階で、政府案には将来取り入れることも検討の余地が残されておるわけでございます。  それから、その他の施設といたしまして、高等学校でございますとか、清掃工場でございますとか、国鉄の車庫とか、住宅用地等もあるわけでございますけれども、こういった施設につきましては、将来その構想が具体化した段階で留保地の活用を検討することといたしておるわけでございまして、地元の要望には対応できるものと考えております。
  36. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 自衛隊の関係はまた後ほど伺うことにして、防災基地は、そうしますと、東京都、立川市、昭島市の三者案によりますと多摩地域のための防災地域という構想であるのに対して、今回の国の案は南関東全域を対象とする防災基地とするものであるというお話でしたね。そうしますと、対象の人口はどのぐらいの差ができてきます。
  37. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 多摩地域の人口はちょっといま手元に持っておりませんけれども、私どもが考えておりますところの南関東地域につきましては、東京大都市地域といたしまして現在約二千六、七百万程度の人口を対象にしておるわけでございます。
  38. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 多摩地域の人口は三百万のようですね。南関東全域の人口は二千七百万、規模も約十倍近いものがあるようですが、この南関東全域の防災基地というのは、いま現在の状況では、この立川基地跡地以外にはもう入手が不可能と言っていいんでしょうか。
  39. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 立川の基地の跡地というのは、御案内のように都心から約三十キロの位置にありまして、首都圏に残された大きな面積を有しておるということ、それから地形が非常に平たんでありますということとか、気象条件等から非常に適しておるわけでございまして、この激甚な災害が予想される都区部に対する救援活動を行うためにも非常に好適でございまして、広域防災基地としては最もすぐれた条件を備えているというふうに考えておるわけでございます。その他の地区につきましては、広大な地区、たとえば羽田の空港のようなことも考えられるわけでございますが、これは御案内のように埋立地でございますので、大震災等のような場合にはいろいろ問題がありますし、さらに付近に工場地帯を抱えているということから、活用せぬといかぬわけでございますけども、そういう問題を抱えておるということで、いまのところ立川基地跡地というのは唯一の広域防災基地としてすぐれたところであると考えておるわけでございます。
  40. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 防災基地としての役割りを担うといたしますと、災害に対処するための自衛隊の活動ということは、いまの日本のいろいろな官庁機構の中ではこれはやむを得ないかもしれないという考え方もありますね。それは後でまた考えるとして、そのほか、いろいろ備蓄基地としての活用であるとか、医療施設の整備であるとかいうような問題がありますね。これらについてはどんな構想を持っておられるんでしょうか。
  41. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 広域防災基地の構想の中には、ただいま先生がおっしゃったようなものが含まれておるわけでございますが、現在の構想の中では、まず国の災害対策実施本部というものが考えられます。それから警察及び消防等の防災関係機関の施設、それから災害情報の収集、連絡及び救援活動等を行う自衛隊の飛行基地、それから食料品等を備蓄するところの倉庫、それから負傷者の応急手当てを行うところの医療施設、病院でございますとか、こういったものを集中的、総合的に配置することを構想しておるわけでございます。
  42. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 食糧の備蓄という御答弁がありましたが、たとえば医薬品の備蓄というようなものも、いまあなたのおっしゃる医療施設の整備の中には入るわけですか。
  43. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 備蓄の中には入ると思います。
  44. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから大学の問題については、東京大学の理工科系の施設をここの中へ入れるという計画は、今度の国の案では放棄されておりますね。これは大学の理工科系の敷地としては三百三十ヘクタールですか、非常に広大な面積で、これを入れるとすると大部分取ってしまうからこれは困るというのでほかに持っていく、そのほかの大学としては東京都立大学があるけれども、これは十分、保留地が百ヘクタール以上あるのでその中に収容できると、こういう構想のようでしたね。それは間違いありませんか。
  45. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、保留地百二十ヘクタールぐらいを考えておるわけでございますが、この中で、都立大学が将来具体的にそういう構想が打ち出される場合には検討の対象として考えておるわけでございます。
  46. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 都と立川、昭島両市の三者案の中には、住宅用地が大変広大に構想をされておったようですが、この点は国土庁案では民間の保有地、つまり立川基地跡地で民間にもうすでに返還された立飛企業ですか、立飛企業の所有地の中に持っていく構想と、こう聞いてよろしいですか。
  47. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 地元の構想の中の住宅用地は非常に大きいわけでございますけれども、これも大部分は民有地でございまして、国有地部分は西の北の方にわずかあるわけでございます。で、私どもも住宅用地は将来必要だろうと考えておりますし、再開発等とも、あるいは周辺の地区との利用計画が熟する段階におきましてそういったものを配置する必要があるだろうというふうには考えておりまして、先生おっしゃいますように、民有地の、基地であった立川飛行場の跡地なんかもその検討対象になるというふうに考えております。
  48. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この立飛企業の現在の所有地は調整区域になっておりますね、現在。これを将来調整区域から脱せしめるわけでしょう。その段階で、どう言うんですか、これが無計画な利用に陥らないように、何しろ非常にあそこは面積が広大な面積ですね、あの立飛企業。三十万坪——百ヘクタールだね。これは大変な、市街化区域になった場合に地価の値上がりも大変なものでしょうし、これの活用ということが都市計画上、非常に重要なものになってきますけれども、これに対しては、どの程度の対応を考えていらっしゃるんだろうか。野放しにはできないと思うけれども、どうでしょう。
  49. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 民有地でございますけれども、将来これが市街化区域に入るという段階におきまして、用途地域等を定めて計画的に整備を図っていくというふうに考えておるわけでございまして、御承知のように、あそこの面積につきましては、所有者がたしか二人といいますか、二団体になっておりまして、将来この利用につきましても、国とか公共団体の方針と合わせるというようなふうに聞いておるわけでございますので、そういうふうにやっていきたいと思います。
  50. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 今度は、国営公園の問題についてお尋ねしますが、これは自治体が建設をし、運営をするということになりますと、現在の自治体の財政状態では私は非常に困難であるというように考えておったんです。自治体としては全額無償で払い下げを希望しておるのに対して、国の方では、公園化する場合には面積の半分は無償だけれども、あとの半分は有償で、その半分について三分の一ですか、補助をするというような対応の仕方をとりますので、これは恐らく都営の公園にする計画であったんだろうと思いますけれども、いまの都の財政力、それから仮に市の公園だといたしましても、立川、昭島両市の規模では、とても百ヘクタール以上の公園を建設するとか、まして二百ヘクタールに及ぶ三者案の公園ということになりますと、財政的な壁が余りにも厚いんじゃないかというふうに私どもは考えておった。私どもは初めから、同じ公園をつくるなら国営の公園でもいいんじゃないかという考えを持っておったのですけれども、ただここに、地元に多少心理的な抵抗があるのは、天皇制との関連ですね。これは都市公園法の第二条の第二号の公園ということになるんでしょうけれども、第二号には二つありますね。地元に全然負担のかからない公園、それから地元負担を要求していくような公園、いろいろあるようです。それから、その目的も多少違うものがありますけれども、この国営公園というのは、都市公園法の条文のどれに該当し、そして天皇制との関連はどうなのか、地元負担はどうか、将来有料とするのか、無料とするのか、いろいろな問題が出てきますが、これらについて一括してお伺いしたいと思います。
  51. 小林幸雄

    説明員(小林幸雄君) お答え申し上げます。  この立川基地跡に建設省といたしまして予定しております都市公園は、都市公園法第二条第一項第二号口に該当する、全額国費の国営公園でございます。この第二号の口と申しますものは、「国家的な記念事業として」云々というふうなことが規定がございまして、この公園につきましては、昭和五十一年十二月に今上陛下が歴代天皇の中で最も長い在位五十年をお迎えになるということで、これを国民こぞってお祝いを申し上げようという趣旨から、同じく五十一年の七月十六日の閣議におきまして、国及び地方公共団体が都市公園を設置するという形でこのお祝いの気持ちをあらわそうということが了承されたわけでございます。そこで、これに基づきまして現在地方団体が補助公園としまして十一の記念公園に着手をしております。そこで、この中の国として設置する国営公園、これが私どもとしましてはこの立川の基地跡と、ここに予定をさしていただきたいということで、国土庁及び大蔵省の方にかねてからお願いをしてまいっておる次第でございます。  なお、これが完成の暁におきまして、この利用につきまして有料か無料かという御質問でございますが、これはまあ前例等も勘案いたしまして、方針をまだ決めてはおりませんけれども、必要に応じ利用者の方々に一部を負担していただくという形で、まあ入園料といいますか、利用料をちょうだいするということもあり得ると思っておる次第でございます。
  52. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 私もかつて自治体の長をいたしましたときに、百ヘクタールほどの墓地公園を取得した経験があるんですけれども、これはよほどの何といいますか、機縁がないと、なかなかそういうことが困難なようですね。ことに市街地に近いところにということはきわめて困難のようです。  ところがまあ、これは大臣にちょっと御見識を伺いたいと思うんですけれども、イギリスのロンドンの近くでは、御承知のロンドン市内にハイドパークがありますね、これが百四十二ヘクタール。それからケンジントンパークが百六ヘクタール。それからフランスに行きますと、もうパリの近郊にこれは大変な大公園が幾つもあって、都心から五キロのところでもブーロニュの森、これが八百六十ヘクタール。それからバンサンヌの森が九百三十ヘクタール。オーストリーに行きますと、これはウィーンの森ですか、ウィーン市内に七千四百七十五ヘクタール。それからドイツでも、フランクフルトに四千二百ヘクタール。チューリッヒに二千百三十八ヘクタール。それからオランダでも、アムステルダムの森が九百ヘクタール。ベルリンにはティールガルテン、二百五十四ヘクタール。ミュンヘン、これはイギリス庭園と呼ばれているそうですか、四百十ヘクタール。ウィーンでは五百三十六ヘクタールのプラーテルの庭園ですか。ニューヨークも、御承知のセントラルパークというのが三百八ヘクタール、これはニューヨーク市でやってるようですね。それからペルハム・ベー・パークというんですか、これが七百ヘクタール。それからフィラデルフィアにフェアマウント・パークというのが千五百五十ヘクタール。サンフランシスコのゴールデンゲートパークが四百ヘクタール。ところが、日本は日比谷公園が都心の中では最大の公園だと言われているようですが、これがわずかに十六ヘクタールにしかすぎません。環境庁が管理している新宿御苑が五十六ヘクタール。これは、下水道の普及状態であるとか、いろんな社会資本の立ちおくれというようなことがずいぶん言われておりますが、その中でも公園の問題というのは非常に大きな隔たりが、そのほかの民主主義国家と日本との間にございますね。これは、いままで国土庁であるとか、まあ建設省が主ですか、建設省、官僚の方々の責任なのか、あるいはいままで政権を御担当になった自民党政府の責任なのか、それとも自治体がそれだけの財政力を持っていなかったことによるのか、あるいは国民の中のコミュニティーの精神が欠乏しておったことによるのか、自治体の任務についての自覚というか認識というか、そういうものが不足しておったことによるのか、どこに原因を求めていいかわかりませんけれども、しかし、公園の欠如といいますか、こういうのはわれわれとして非常に恥ずかしいわけですね。よほどこれに対しては大きな構想を持って、また決意を持って取り組んでいただかなければいけないと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  53. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 日本が各国に比較いたしまして一人当たりの公園面積が非常に低いということは、従来しばしば指摘をされておるところであります。特に東京都の場合はそういう顕著な事例かと思います。したがって、私どもとしてはできるだけ公園を拡充するように努める、これが基本方針ではないか。筑波研究学園都市ができる。そこへ各種の機関が移る。その場合でも、できれば公園敷地に利用したいというように努めておるわけであります。あるいは、東京都の状況から見て、日比谷公園がある、宮城がある。あるいは九段の靖国神社から湯島天神のところ、さらに上野。日比谷からこっちへ来ると、この国会周辺から芝公園、芝浦の方。こういうところもできるだけ緑化して、そしてできればニューヨークのセントラルパーク的なものにだんだんもっていくというようなことも一つの工夫だと思いますが、寺田委員のおっしゃるとおりに、いまの日本の、特に東京、大阪などの大都市の公園の状況というものは、これはもう考えなきゃならない、非常に各国に比較して悪い状況にあると思います。  そういうことから、基本的には現在公園整備の年次計画を持っておることは御承知のとおりだと思いますね。下水道とか公園とか住宅とか、そういうものに建設省としては努力をしていこうという方針を持っておるわけでございますが、そういう構想の中で、きょう寺田委員は立川基地の跡地利用をお取り上げになっておりますが、そういう点からすると、この基地を公園に相当範囲利用さしていただくというようなことも公園整備計画の一つの実現の手段ではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  54. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 最後に自衛隊の問題についてお尋ねをしたいんですが、この防災基地を自衛隊が利用をして自衛隊が残るという問題が、先ほどの三者案との隔たりの最たるものだというふうに言われております。ただ、南関東全域をにらんだ防災基地ということになりますと、いま災害に対処していく最大の実力部隊ということになると、これはいま現在の官僚機構の中では自衛隊しかないという現実は、これはやっぱり認めざるを得ないわけですね。しかし、それは抵抗が地元にある。どこに抵抗があるかと考えますと、やはり自衛隊が何か防衛任務を主としている。つまり軍靴の響きがある。戦争の何か前兆のような暗いものがつきまとっているということなんじゃないでしょうか。ところが一面、自衛隊が防災活動に非常に努力をして、防災面でさまざまな活動をしておるということはこれは現実でもありますし、国民から非常に感謝もされておるし、これはそういう抵抗が比較的少ない分野だと思うんですね。そこで私は、これを防災基地として活用し自衛隊がここに残るということになると、防災プロパーな部隊を残したらどうなのか。つまり、軍人のくつ音というような、そういう響きのない部隊を残して防災プロパーの役割りを担当させれば、地元の抵抗というものは全くなくなるのではないかというふうな考え方もあるわけですね。この点、自衛隊としてはどういうふうにお考えなんだろうか。また、残っている部隊というものはどういう部隊であり、何を考えているのか、そういう点について御説明いただきたいと思います。
  55. 原徹

    説明員(原徹君) お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたように、自衛隊は防衛任務が主でございまして、そういうための装備、人員を持っているわけでございます。で、災害の場合にその人員、装備を使いまして各地で救助活動を行い、御指摘のようにその都度大変感謝をされているわけでございます。いまの防衛任務がなくなりますとこれはもう自衛隊でなくなるわけでございますから、やはりちょっとそういうわけにはまいらないわけでございます。  現在ありますのは、東部方面航空隊と申しましてヘリコプターの部隊でございます。私どもは、その部隊がありますことが災害対策にも非常に有効に働けると思っております。と申しますのは、大災害でございますれば、たとえば通信が途絶するといったときに、その対策を立てるにいたしましてもまずそのヘリコプターを使いまして被害状況というものを的確に把握しなきゃならない、そういう機能がまずできる。それからまた、もちろんのことでありますが、患者の急輸とか、あるいは医師を、お医者さんを現地に派遣するとか、そういうこともございますし、それからまたもし必要であれば、大災害でございますから、全国から物資を運ばなきゃならぬというような事態もございます。そのためにはあそこにいまの基地を置いておきますことが災害対策に非常に有効に活用できるであろう、そういうふうに考えて、国土庁あるいは大蔵省に存続をお願いをしているわけでございまして、その一番最初の御指摘の防衛任務のない自衛隊というのはこれは自衛隊でないわけでございますから、それはひとつ御勘弁を願いたいと思うわけでございます。
  56. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはいまの自衛隊法三条でありますとか、そのほかいろいろ任務規定から見てあるいは無理かもしれないけれども、しかし現実に災害出動というような規定もあって、現実の機能というものを考えると、むしろ自衛隊が現実に働いている活動で一番国民に親しまれ感謝されている活動というのは、災害に対処して国民を危急から救うということにあるわけですね、それを考えてもらいたいというその気持ちからだったわけです。  それからもう一つは、つまり鉄砲を撃ったり大砲を撃ったりするような、いわゆる戦闘部隊というのは残らないんでしょうね。ヘリであるとか、つまり偵察のためのヘリであるとか、あるいは物資や負傷者を運ぶための輸送機であるとか、偵察、輸送を主要な任務とする、そういう部隊なんでしょうね、そこを伺って質問を終わりたいと思います。
  57. 原徹

    説明員(原徹君) 自衛隊でございますから、いずれにいたしましても国土防衛の任務は外れないわけでございますが、この部隊は、ただいま申しましたようにヘリコプターで輸送をすることを主たる任務としている部隊でございますから、そういう普通科の部隊——これは鉄砲を持っているわけです。そういう部隊ではないということを申し上げておきます。
  58. 野口忠夫

    ○理事(野口忠夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ————◇—————    午後一時三十一分開会
  59. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十年度決算外二件を議題とし、総理府のうち、国土庁及び建設省と、それに関係する住宅金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 七三年の住宅統計調査によりますと、全国の住宅総戸数は三千百六万戸で、総世帯数を百四十一万戸上回っており、また全都道府県においても住宅数が世帯数を上回っており、数字の上では空家率は全国平均で五・五%、戸数では百七十二万戸が余っていることになります。しかし、住宅の需給状況は、統計上の数字とは別に、特に大都市及び周辺においてはいわゆる遠、高、狭という問題を初め、解決を要する多くの課題を抱えておることは御承知のとおりです。  そこで、最初に、住宅事情に対する建設省当局の現状認識はどのようなものか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  61. 救仁郷斉

    説明員(救仁郷斉君) 先生指摘のように、昭和四十八年の住宅統計調査によりますと、戸数では、一応数の上では満足すべき状態に至っているということでございます。しかし、狭小、過密住宅の居住世帯もまだ二百四十八万世帯でございまして、逐次減ってきているとはいえ、まだ住宅難が残っているということでございます。それから、四十八年十二月に行いました住宅事情実態調査によりますと、これは国民の皆様の主観的な調査でございますが、住宅に困っていると感じておられる世帯が全世帯の三五・一%、約一千万世帯に及んでおります。これは四年前、昭和四十四年の調査に比べまして率はそれほど下がっていない。というのは、やはり、所得の向上とともに住宅に対する欲求の水準がだんだん高くなってきているというのが理由ではないか、というふうに考えております。  そういうことで、これからまだ住宅の問題は、いわゆる量から質への問題ということを中心に住宅政策を進めなければならないというように考えている次第でございます。それと同時に、最近、持ち家、借家を希望される方のいわゆる所得階層がだんだん下の方にシフトしてきているという問題もございます。それに合わせまして私どもの住宅の対策をやっていかなければならないだろうというように考えております。
  62. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 ところで、五十一年三月二十六日に閣議決定を見ました第三期住宅建設五カ年計画の進捗状況お尋ねいたしたいと思うんです。  御承知のように、第二期計画の場合は、計画に対する実績を見ますと、公的資金による住宅では、公営住宅で七五・八%、公団住宅で六一・八%、改良住宅で五〇・七%、公庫住宅で一二一・五%、その他の住宅で七〇・五%であり、公的資金による住宅は全体として八〇・八%にとどまっており、民間自力建設住宅においても実績は計画のようやく九〇・二%となっておるわけです。  このような第二期計画の実績状況を見ますと、第三期計画が果たして予定どおりいくのかどうか、いささか心配になってまいるわけです。そこで、その進捗状況お尋ねをいたす次第ですが、どういうふうな見通しといいますか、その点の見通しをお聞きをしたいと思うんです。
  63. 救仁郷斉

    説明員(救仁郷斉君) 第三期住宅建設五ヵ年計画の初年度でございます昭和五十一年度には、公的資金住宅が進捗率が一七・七%、民間自力建設住宅が二〇・一%、合計いたしまして一九・一%という、初年度としてはおおむね順調な滑り出しをいたしておりました。五十二年度に入りまして民間自力建設が伸び悩み、計画の阻害要因等も出てまいりまして、その対策としまして、年度途中におきまして住宅金融公庫の追加というようなことを行いました結果、五十二年度の累計の進捗率は総戸数で三八・二%ということになっております。五年間を平均でいたしますと二〇%ずつ四〇%ということでございますから、まあ二年目としてはいまのところはおおむね順調な進捗をしているんではないかというように考えております。  ただ、五カ年計画、その中におきましては、やはり民間自力建設が予定よりも伸び悩んでいるということが五十三年度に入りましてもやはり続いておりますし、相当な公的資金住宅でカバーしなければならないだろうということでございまして、今年度におきましても九月のいわゆる追加を行いましたりして進捗率を維持するように努めております。また、公的住宅の中でも特に公営住宅、公団住宅といったようなところの進捗率が四十数%というような低い現状でございまして、これを公庫住宅でカバーしているというような現状でございます。合わせますと五十三年度までに——いま申し上げましたのは五十三年度の計画を入れての進捗率でございますが、公的資金の住宅の進捗率が六一・五%ということで、まあ三年目といたしますと六〇%を超えておりますが、やはりその中でも公営住宅、公団住宅といったような住宅の進捗率がおくれておりますので、いろんな阻害要因を取りつつ今後促進してまいりたいというように考えております。
  64. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 勤労者にとって最も切実な問題であります公的賃貸住宅の建設が落ち込んでいるのではないかというふうに思うわけです。その理由と、今後の対策については一体どのようにお考えになっているのか、お聞きをいたしたいと思うんです。
  65. 救仁郷斉

    説明員(救仁郷斉君) 公的賃貸住宅の建設がおくれております。その主たる原因としましては、まず用地の取得難という問題がございます。それから第二の問題は、関連公共施設の整備に要します地方公共団体の財政負担の増大等から、地方公共団体との調整が非常に難航しております。それからまた、周辺住民の方々とのいわゆる総合的な環境問題をめぐってのいろんな調整が難航しているというような問題がございます。  これらのいろんな隘路を打開するために、まず用地の問題につきましては、用地単価の増額等によりましてそういった適正な用地が手に入るような措置をとっておりますし、それから関連公共施設の整備につきましては、まあ従来からも、立てかえ施行だとか、あるいは公共団体の負担分に対します起債の利子補給等、いろんな施策を講じてまいりましたが、特に五十三年度から新たに住宅宅地関連公共施設整備促進事業という制度を設けまして、従来の公共事業と別枠で、住宅宅地の団地建設に対しまして国から三百億の補助を出すというような制度を設けたわけでございます。まあそういったことを通じまして、できるだけこういつた公的賃貸住宅の供給が計画どおり促進されるように努力してまいりたいというように考えております。
  66. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 まあ先ほど説明でも、民間の自力建設の促進ですね、大分努力をしていただいているようなんですけれども、それでもやはり第二期計画では予定どおりいかなかったわけですね。そういう点で、この第三期計画においてその達成が可能であるかどうか、その展望をどのようにお持ちなのか、お尋ねしたいと思うんです。
  67. 救仁郷斉

    説明員(救仁郷斉君) 第二期計画で民間自力建設が予定より大幅におくれましたのは、いわゆる石油ショックによります経済変動に基づいて住宅建設が落ち込んだことでございます。それから最近の民間住宅の落ち込みは、これはやはり石油ショック後のいわゆる所得とそれから住宅価格のバランスが、改善はしてきておりますが、なかなか当初どおりの改善ができていない。それから第二番目には、住宅を求める階層が、先ほど申し上げましたように所得の低い方にだんだんシフトしてきております。  そういったことから、私どもはやはり民間自力の住宅につきましては、住宅ローン減税、ことしから始めましたが、まあそういったものを通じてできるだけ進捗さしていきたいというように考えておりますが、ただ、現在のところ第二年度までで三八%でございますので、まあ恐らく九十数%というところまでは十分いけるんではないかというような感じを持っております。で、それをやはり埋め合わすのが公的ないわゆる資金によります住宅ということでカバーしてまいりたいというように考えている次第でございます。
  68. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 最後にこの問題について大臣の所見をお聞きをいたしたいと思うんですけれども、これはあらゆる分野においてそうだと思うんですが、単なる統計上の数字だけでつじつまが合っても、しかし、現実にはなかなかその問題が解決をされない。あるいは統計上に出てこない分野というものが、まあ俗に言う水平面下といいますか、そういう問題というのはたくさんあると思いますし、いまもお話がありましたように、特に低所得層とか勤労世帯と呼ばれる人たちの住宅に対する要求というものが満たされていないという点ではまだまだ多くの課題というものを抱えておると思うんです。このような需給の現状と問題意識に立って今後の住宅政策をどのように策定をされるのか、その基本的な考え方について特に大臣のお考えをお聞きをいたしたいと思うんです。
  69. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 住宅が国民の基本的生活要素であるということは言うまでもないわけであります。したがって、家族構成あるいは居住地域等に応じて良好な環境のもとに一定水準以上の住宅を確保するように努めると、まあそういうことで、この第三期住宅建設五カ年計画では、昭和六十年を目標に、少なくとも最低生活水準は三DK、五十平方メートル以上と、また平均的な世帯にあっては三LDK、八十六平方メートル以上の住宅を確保するように努めようと、こういうことで臨んでおるわけであります。  また、ただいま局長からお答えを申し上げておりますように、この低所得層、第一分位、第二分位における持ち家志向というものを、これをやはり踏まえて考えていかなきゃならないと。五十一年二七・四%、五十二年四四・一%の持ち家取得者の傾向がこうずっと高まっておるわけですね。  そこで、その住宅金融公庫の限度額の枠を拡大するとか、貸出条件を緩和するとかあるいは住宅ローンの利用をするようにするとか、これは住宅ローン利用を政策的には拡大してきておるわけですね。五十四年度に際してもそういう考え方にのっとってやっていきたいと、そういうことによって、住宅政策としては住宅についていろんな希望のあるものを反映さしていきたいという考え方に立っておるわけでございます。お話しのように五カ年計画を持っておるんですから、それに対する達成率というものは大事だとは思いますけれども、それよりも、いま申し上げたような国民の住宅に対する希望、期待というものをとらえながら政策を進めていきたいと、かように考える次第でございます。
  70. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 次に、水の需給関係について若干お聞きをいたしたいと思うんですけれども、御承知のように、水が生活水準の向上、工業化の進展、経済社会の発展とともに文明社会にとってますます必要不可欠の資源となっているわけですけれども、その重要性というのは最近ますます認識をされてきておるんじゃないかと思うわけです。しかし、ことしあたりを見ましても、干ばつというふうなことになりますと直ちに水飢饉というふうな状況が起きておるわけでして、長期的に見てもこの水の深刻な不足というものが予想されるわけです。国民生活の維持向上と工業、農業の健全な発展を図る上で、この水の安定需給というものがきわめて重要な課題でありますし、水の供給というのは一朝一夕でできるものではないわけですので、長期の需給計画に基づく着実な開発というものが当然なければならぬわけです。  そこでお尋ねをいたしますけれども、まず国土庁ですが、先般国土庁が策定をされた長期水需給計画の内容というものについて、その骨子を簡単にお聞かせ願いたいと思うんです。
  71. 北野章

    説明員(北野章君) 国土庁におきましては、本年八月に、限られた水資源の効率的かつ計画的な利用を図るため、長期的な観点に立った全国的な水の需給に関する総合的な計画を、「長期水需給計画」ということで策定いたしたところでございます。この計画は、第三次全国総合開発計画を踏まえ、関係省庁の意見を聞きまして、昭和七十五年における水需給を展望しつつ、昭和六十年及び六十五年の水需給の見通しを示したものでございまして、将来における水需給の長期的安定化を図ることを基本目標として、長期的な水質源の開発、保全、利用に関する基本的な事項を示したものでございまして、これからの水資源開発施設とか水供給施設の整備を図る上での指針的な役割りを果たすものと考えております。  長期水需給計画におきましては、昭和六十五年において一応全国的にはマクロでは水需給のバランスがとれておりますが、関東臨海、近畿臨海及び北九州の各地域において水資源の開発が水需要の増加に追いつかないと、いわゆる不安定な水需給状況にあることを示しております。御指摘のとおりでございます。また、計画においては、将来における水需給の長期安定化を図るため、今後さらに水資源開発の促進を図るとともに、節水、水使用の合理化を推進して、いわゆる節水型社会の形成を図る総合的な水需給対策を推進していくことが必要であるというふうに結んでおります。  国土庁におきましては、今後、長期水需給計画で示した基本的方向に沿って、関係省庁と協力しつつ必要な施策を推進してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  72. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 とかく計画が計画倒れに終わるおそれというものがあるわけですし、特に水ということになりますと、中央関係省庁だけでなくて、地方自治体との協力関係というものも非常に重要ではないかと思うんです。特に、一番建設省が今後の水需給に果たす役割りというものは、直接担当省庁として非常に大きいと思うんですね。  そこで建設省にお聞きをいたしたいんですけれども、ただいまの国土庁の長期水需給計画と、建設省で考えておいでになります計画との関連とか、それがどのようなものになっておるのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  73. 稲田裕

    説明員(稲田裕君) 私どもの方でも、先日、昭和六十五年にむけての水資源開発計画と水利用というのを発表したわけでございます。これの骨子は、いま国土庁から御説明がありました国土庁策定の長期水需給計画を踏まえながら、今後増加が予想されます水需要を計画的に水需要に対処したいということで、特に建設省所管といたしましては、治水対策とあわせて実施いたします水資源開発の可能性等につきまして具体的な検討を行ったものでございます。  それで、その内容の主要な点でございますけれども、五十一年から六十五年までの新規水需要といたしまして、国土庁の需給計画で約二百六十九億トンの増加が見込まれるというふうなことになっておりますが、これに今後地盤沈下地域等において河川水に転換しなきゃならないような水、それからさらに現時的ですでに河川水はとっておりますが、不安定な取水をしておるもの等を勘案いたしますと、全体として五十一年から六十五年までに三百二十六億トン程度の補給をしなければならないというふうな試算になっております。これに対応しまして、その三百二十六億トンの中で新たに地下水等で取水可能な分を勘案しまして、新たな河川の必要水量というのを約二百九十一億トンというふうに試算しているわけでございますけれども、これに対応しまして、開発施設関係を具体的に可能性を検討したわけでございます。それでこの新規開発水量の約二百九十一トンの中で、あと利水者関係等で単独に開発される量等を勘案しまして、建設省で担当いたします治水事業とあわせて行います多目的ダム等でやる施設としましては、六十五年までに約三百六十カ所の施設を完成させる、それによりましておおむね二百六十一億トン程度の水資源開発が可能になるということで、先ほど国土庁で出しました需給計画に対しまして、トータルで見ますと全国的にはバランスをできるというふうな数字になっております。  ただ、先ほど説明がございましたけれども、地域的に見ますと、南関東なり京阪神なり北部九州等でやはり若干の逼迫を予測される地域が出てまいります。特に私どもの方では具体の計画につきまして検討いたしておりますので、国土庁の方では全国を十四ブロックに分けて検討されておるわけでございますが、建設省で検討しましたのは、地方の生活圏なり、あるいは河川の流域特性等を勘案いたしまして八十四程度のブロックに分けて検討したわけでございますが、そのブロックのうち約十地域につきましてはまだ六十五年においては若干不安定取水が残るというふうな状態になっておるわけでございます。
  74. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまの説明を承っておりますというと、マクロ的には需給計画で心配ないんじゃないかというお話ですが、たとえば南関東であるとか近畿とか、あるいは九州の一部というふうなところでは非常に不足をする、計画では追いつかないというふうなことが言われておるわけですね。そういたしますと、計画の段階ですでにその地域で不足をしておるということでは、どのようにして必要な水を確保するのか、非常に心配になってくるわけです。したがって、国土庁としてはそういう不足地域における対応策というものをこれからどのように立てていくのか、その計画なり策定内容というものがありましたら、それについてお聞かせを願いたいと思うんです。
  75. 北野章

    説明員(北野章君) 水不足地域に対処するために長期的な対策と当面の対策があると思いますが、長期的な対策といたしましては、今後増大が予想される水需要に対して安定的な供給を確保するために、今回策定いたしました長期水需給計画等に基づきまして、一層の水資源開発の推進と節水型社会の形成を図ることが必要であると考えております。特にダム等の水資源開発施設の建設を促進するためには、水源地域においては、関係地域住民の理解と協力を得るために一層水源地域対策の充実を図ることが必要であると考えております。また、需要地域においては、水資源が有限で貴重な資源であるということにかんがみまして、節水、水使用の合理化を推進して一層節水型社会の形成を進めることが必要であると考えております。  それから当面の対策といたしまして、渇水が起こったときに水の供給制限に対応した公平な水配分とか節水が実施できるよう、あらかじめ関係者間で協議の上、地域的特性を考慮した水配分及び節水のルールを、通常、渇水対策連絡協議会というようなものがつくられておりますが、そういった場を通じましてそういうルールを確立しておくということが必要でございますし、また必要に応じて、緊急暫定的な施設の整備も必要ではないかと考えられます。このような長期的あるいは当面の総合的な渇水対策については、従来から関係省庁と協力して進めているところでございますが、今後ともこれらの対策が円滑に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
  76. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 先日の新聞で報道されましたけれども、建設省が、いまもちょっと国土庁の方から話が出ましたように、三百六十カ所にダムを建設するんだということが言われておるわけですけれども、この水資源開発施設の建設計画、ダム建設の概要と、それからいろいろその住民との関係や、公害の関係など、ダム建設に絡んでは非常にいろんな問題というものが派生をしてくると思うんですね。そういう点で、簡単に三百六十カ所と言ってもそう簡単に進むとは必ずしも思えないわけですね。そういう点で、どういうふうな問題があるというふうにお考えになっておるのか、またその問題をどういうふうな手だてで解決をされようとしておるのか、そういう見通しがありましたらひとつお聞かせを願いたいと思うんです。
  77. 稲田裕

    説明員(稲田裕君) いま先生指摘のように、三百六十カ所の水資源開発施設をやるというのは、相当これからいろんな問題点を抱えるであろうと思っているわけでございますが、現在は三百六十カ所の水資源開発施設をやるということになっておりますが、五十一年から六十五年でございまして、このうち五十二年までにすでに十カ所を竣工いたしております。それで、五十三年度現在で実施しておりますもの並びに現在は治水ダムとして事業を実施しておりますが、将来利水目的をも検討しながら多目的ダムとして実施する予定等も含めますと、約二百カ所というのが現在工事中もしくは実施計画調査をやっておる個所でございます。したがいまして、これらの二百カ所につきましては、早期完成を図るということで事業の促進に努めておるわけでございますけれども、残りの約百五十カ所につきましては、現在予備的な調査を実施しておるという段階のものでございます。だから、これらの百五十カ所のものにつきましては、この予備的な調査を早く取りまとめまして、なお地元関係者との調整を図りながら積極的に今後事業化を図っていかなきゃならぬというものでございます。  それで、御指摘のように、これらの事業を推進するためにはいろいろ問題があるわけでございますが、資金の確保だとかあるいは事業執行体制の充実というものはこれは当然でございますけれども、中でもおっしゃるように特に問題になりますのは、水源地域整備と水没者の生活再建等の水源の地域対策であろうというふうに思っております。  これらにつきましては、当然水没者等の関係者の皆さんに対しては、補償に当たっては、水没の実態に対応しまして、損失補償基準要綱の運用につきましては必要な配慮を十分行うことによりまして対応いたしておるわけでございますけれども、なかなかそれだけでも対応し切れないものもございます。それらにつきましては、すでに御存じのように、昭和四十八年に水源地域対策特別措置法というのが制定されまして、水源地域に対する地域整備なりあるいは生活の再建に対する措置に対する定めがなされたわけでございます。また、新たに昭和五十一年には利根川の流域で水源対策基金というのが設立され、五十二年には木曾川にも設立されておりまして、いろんな面で対応しながら今後とも各省庁と密接な連携のもとにこれらの制度を活用するということで対応しなきゃならぬだろうというふうに考えておるわけでございますが、なお、地元関係者との連絡体制を一層強化していくとか、あるいは現地における関係者との話し合いを一層きめ細かく続けるというふうな努力をやっていかなきゃならぬだろうというふうに思うわけでございまして、特に水没者等の対策につきまして今後の一層の努力をしていかなきゃならぬだろうというふうに考えております。
  78. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 その点で特に要望をいたしておきたいと思うんですけれども、一番私たちが心配いたしますのは、あの成田の例ではありませんけれども、公共の福祉の名のもとで住民のいろんな利益なり権利というものが侵害をされるわけですから、そういうことのないように、本当に十分な話し合いというものが行われて、住民が納得をし、逆に言うならば協力をしようというそういう姿勢の確立こそ、私は先決であるんじゃないかというふうに思いますので、その点を強く要望しておきたいと思うんです。  それでこの水関係について最後にもう一点お聞きいたしたいと思いますのは、いまもちょっと要望しておいたんですが、特にいろんな公害問題も出てくると思うんですね。そういう点で、補償もさることながら、公害問題であるとかそういうものについてはどういうふうにちょっとお考えになっておるのか。また、いまも言いましたように、補償というのは全国的に非常にアンバラがあると思うんですね。ですから、補償という意味は、単に用地を高く買うというだけではないと思うんですね。その辺で、この公害問題なり補償という観点を一体どういうふうに考えておいでになるのか、単に抽象的には地元住民の利益とか権利を侵害しないというふうなことが言われましても、なかなかむずかしい問題があると思うんです。その点はどのようにお考えになっているのか、最後にお聞かせ願いたいと思うんです。
  79. 稲田裕

    説明員(稲田裕君) 公害問題に対するお尋ねでございますけれども、ダムをやる場合には当然予備調査の段階から、ダムを設置することによりまして考えられるいろんな影響につきまして調査をいたしております。なお、実施計画調査を行う段階におきましても、工事実施段階等におきまして考え得るいろんな影響等の調査をいたしまして、補償の交渉のみならず、それらの問題に関しましても、地元の住民の方々と話し合いをした上での交渉ということをいたしておるような状況でございます。  なお、いま補償につきましてのアンバランスの問題がありはしないかというようなお尋ねでございますが、補償につきましては、先ほども申し上げましたように補償基準要綱があるわけでございますけれども、これらの運用につきましては、ダムというのは、やはり受益地とダムサイトというのは離れておるのが通常でございます。それから、特に山間僻地等でつくるのが多うございます。それになおかつそれらにダムをつくることによりまして生活の根拠を失われる方々は新しく生活再建をしなければならないというふうな、ほかの公共事業とは若干意味合いの違った状況に置かれておるものでございますから、これらにつきましては補償基準対策要綱の運用を、必要な配慮はするということは先ほども申し上げましたが、それ以上に、いまの水特法等によります地域整備を積極的に行う、あるいはまた生活再建につきましてのあっせんなり指導なりということを、地方公共団体の協力も得ながら実施していくというのが現在の状況でございます。
  80. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 この点は建設省だけでなくて、国土庁の方でも、やっぱり関係省庁あるいは地方自治体に対するそのような指導なり、連絡調整というものをやはりきちっとやっていただきたいということをお願いをいたしたいと思うんです。  次に、土地問題について若干お聞きをいたしたいと思うんですけれども、御承知のように、住宅建設の最大の隘路は、何といっても必要な宅地の入手がきわめて困難だと、そこに最大の隘路があるというふうに思っておりますし、これは大臣おいでになりますが、やはり戦後三十三年の今日までの住宅問題を考えるときに、やはり土地政策というものが私は一番欠落をしておったんじゃないか。逆に言うならば、ここが私はやはりアキレス腱ではなかったかというふうに思うわけです。したがって、いまお話のありました第三期五カ年計画がスムーズに進行するか、目標どおりあるいは計画どおり達成できるのかどうかということは一にかかってそこにあると言っても過言じゃないと思うんです。そのためには、単に用地があっても、高価であればこれはまた値段の上でなかなか簡単に入手できないというふうなことになってくるわけです。そういう点で、たとえば土地の所有権と利用権を切り離すとか、あるいは土地転がしに対する罰則規定を強化をするとか、あるいはまあ公共、公的住宅用地の強制収用あるいは税制面からの検討であるとか、あるいはまあこれは日本人の性格と言うんでしょうか、ちっちゃくっても楽しいわが家ということで共同住宅というものをきらっていくというふうなことで、一階、二階という、そういう住宅が非常に多いわけですが、これをまあ高層建築にしていくと、そして先ほども話がありましたが、公園というものをそこに設けていくと、いろんなあれがあると思うんですけれども、いずれにしても多面的な政策というものを駆使をしないと、簡単に用地の取得というものが困難だと思うんですね。これは個人であろうが公的な場合であろうが、どちらにおいても非常に困難だと思うんですね。  そこで、きょうは時間の関係もありますので、抜本的な土地政策をいまここでお尋ねするという時間的な余裕もありませんので、次の点、ちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、実は先日の新聞に、五十四年度土地税制改正案というものが報道されたわけです。そして、この間の日曜日の九時からの例のNHKの、あれは政治討論会にかわるところですか、あの九時からの時間帯でちょうど櫻内大臣も出られまして、この税制問題について討論が盛んにされておったわけです。是非はいまここで問いませんし、あれはあくまでも案だと思いますので、その案が最終的に決定次第この点はまた国会でも当然論議をされると思うんですけれども、私はあの改正案といいますか、事務当局であれ検討されたんだろうと思うんですが、この案が出された背景とか、何でいまの段階で改正案というものを提出をされたのか、その理由といいますか、必要性といいますか、そういうものがあると思うんですね。そういう背景なり理由というものについてお聞かせを願って、きょうの質問を終わりたいと思うんです。
  81. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 最近の土地事情を見ますと、経済の高度成長から安定成長の移行に加えまして、私ども担当さしていただいております国土利用計画法を初めといたします一連の総合的な土地対策の展開によりまして、投機的な土地取引は影をひそめております。で、土地の取引につきましては実利に沿うものが多いというのが現状でございます。地価も全体といたしましてはおおむね安定的に推移をいたしておると考えております。  ただ、住宅地のことにつきましては、その需要は先ほど住宅局長からもお話がございましたけれども、まだまだ旺盛でございます。さらに最近の一部の大都市地域等におきます住宅地の価格が一部強含みであるという点から見ましても、今後、住宅地の供給は非常に重要な課題の一つになっているというふうにわれわれ認識いたしております。  これに対しまして、住宅地の供給量は著しく減少いたしております。たとえば新規の住宅地供給につきましては、昭和五十一年度では一万二百ヘクタールということでございまして、ピーク時は四十七年でございましたけれども、一万四千五百ヘクタールでございました。それから見ますと約七割の水準に減っております。このうちで特に民間の宅地供給量を見ますと、五十一年度で四千六百ヘクタールということでございまして、ピーク時のおおむね半分程度に減っておるわけでございます。なお同時に、将来の宅地需給の先行指標とも見られます都市計画法におきます開発許可、それから農地法によります農地転用許可など、住宅地の供給につきましてはやはり若干の時間が必要でございます。したがいまして、いまごろ着手をいたしませんと将来の供給に向かないわけでございますが、そういうふうな先行指標と見られますそういう開発許可とか、農地法によります農地転用許可も、往年に比べまして実質的に半分ぐらいに減っております。  そういう状況にかんがみまして、当然均衡ある国土利用を進めるということがまず第一でございまして、それと同時に、引き続き地価の安定、投機的土地の抑制等の基本的な土地対策は十分に今後も進めなきゃならない。同時に、大都市地域を中心としまして住宅地供給を大いに促進をするという見地から、これは建設省その他の省庁でも御努力中でございますけれども、計画的な宅地開発の促進のための財政上の措置、金融上の措置、それから市街地再開発の推進、都市計画の線引きの見直しなどなど、他の宅地供給に関する施策を大いに進めるということがまず基本でございますけれども、それと同時に、土地税制につきましても、国土の有効かつ適正な利用を図りながら、住宅地の供給の促進を図る見地から改善が必要だというふうに考えたのが今回の改正案提案の背景でございます。  そのような土地をめぐる現状にかんがみまして、当面の土地税制の改正に当たりまして、当然のことながら配意すべき事項といたしましては、まず第一は住宅地の供給を促進することということでございます。二番目に、土地の有効かつ適正な利用を促進すること、三番目には投機的な土地取引につきましては引き続きこれをかたく抑制すること、そういう見地でこういうふうな税制の改正を行うべきではないかと考えた次第でございます。  趣旨でございますけれども、当面の土地税制の改正の要点でございますが、この中身としてはいろいろ要求いたしておりますが、一つは個人の譲渡取得に対する課税につきましては、投機的な土地取引の抑制のための短期譲渡重課の基本的枠組みはこれを残す、と同時に、長期譲渡課税につきまして、望ましい宅地供給にかかわるものにつきましては、現行の四分の三総合課税、いわゆる四分の三総合課税と言われておりますが、それを二分の一課税に軽減する等の措置を講じますとともに、長期、短期の区分の見直しを行うということが一つでございます。  二番目には、三大都市圏の市街化区域内農地につきまして、農業的利用と、それから実際の現実の都市化の状況を見比べながら、原則的に宅地並み課税を実施する。当然のことながら農地の現状等に着目いたしまして若干の猶予措置を講ずるということを考えております。それで、さらにそういうふうな宅地並み課税のうらはらといたしまして、譲渡課税の特例的軽減を継続いたしまして、長現供給の促進に寄与させていただきたい。  三番目が特別土地保有税でございますけれども、この税につきましては、この税が創設されました趣旨等にかんがみまして、望ましい土地利用について非課税措置拡大するということと、保有期間が十年を超える土地につきましては本税を課さない措置を講じていただきたい、そういうふうな趣旨で改正要綱をまとめたものでございます。
  82. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 この改正案の今後の日程的なものとしてはどういうふうなことを考えてありますか。五十四年度から実施というふうなことなんですか。
  83. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 毎年度の例を申し上げますと、十二月の半ばごろから本格的にいろいろと関係省との折衝が進みます。現在も進めておりますけれども、大体のめどがつきますのが十二月末ぐらい、法案になって出ますのは来年三月ぐらいというふうに考えております。
  84. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 以上で終わります。
  85. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それではきょうは、所在地が東京都豊島区東池袋一の十五の二の大和スキー開発株式会社という会社に関連する問題をお伺いをしたいと思っております。  大和スキー開発株式会社というのは、新潟県の塩沢町、長野県の山ノ内町にスキー場の開発をということで、そしてロッジだとか別荘なぞの甘いキャッチフレーズで庶民の夢をかき立てて、悪徳商法の数々を重ねて膨大な被害者を出している、こういう問題に関連をいたしましてお伺いをしていきたいと思います。  まず、被害の実態でございますけれども、実は私、大阪を中心にする被害者の皆さん、また関東——東京、神奈川等を中心にする被害者の皆さん方からその実態をつぶさに拝聴したわけでございます。  まず、どういう広告を出しておるかということですが、こういう広告なんですね、一面全部ですわ。これは報知新聞の広告ですが、「スキー場のメッカ北志賀高原 日本のスイスが三十五万円で 老後の安定生活設計」という、いまの大変な情勢の中では、国民の夢をかき立てるというのですか、そういった広告が大々的にやられておる。これは何新聞かな——「わがロッジ志賀に選ぶところは志賀、申し分なしロッジ経営」、それで「現地無料見学会実施中です」と、こういう宣伝が大々的に、主としてスポーツ紙、それから週刊誌等を中心にいたしましてやられているわけです。それによって個々の方々がいろいろと連絡をされ、買い入れをするというふうになってきているわけです。  私、大阪で聞いたのは、約二十人の方から一人ずつ聞いてみた。そうしますと、まずその現地へ連れていくと。そうして無料招待の見学会ですね。で、連れていってそこで契約をして、半金入れたらそうしたら土地の権利書を渡しますということで、その日そこで手付金を渡して、帰ってきてから半金を入れる。ところが、この半金を渡したら領収書をくれて、そしてこの領収書を東京本社へ送りますので、一週間後に権利書を送りますというわけですね。その一週間という約束が、三年たっても四年たっても権利書なるものが出てこないと、こういう状況なんです。被害の実額は、個々にいろいろありましたけれども、私ども伺いましたのでは、二百万から七百万、一千万。一千万内外というのが一番多いんですね。そういう状況になっております。  で、具体的には、、ずいぶん気の毒な方もいますよね。「老後の安定」などというふうに言われたものだから、大阪のAさん、これは五十七歳の方ですが、その大和スキー開発の土地をすっかり——現地へ行ったらちょうど工事中だったんですね。それでこれは大丈夫だと思って契約をした。ところがその後、大和スキーがさっぱり権利書をよこさない。そうこうしているうちに、これは開発計画地域以外のところを分譲したというふうなことで、長野県から国土利用計画法違反と宅建業法の違反というふうなことで告訴されているということを知ったと。ところが残りの分は分割で払っているわけですよ、私が聞いたときまではね。もう収入は、いまはガードマンに夜行って十万ぐらいしかかせいでいないんだと、何とかしてあの退職金のお金を少しでも返してもらいたい、こういうふうに言っておられる。そういう方もおられます。若い方の中では、スキーが好きだし、何とかしてロッジを持ちたいと思っていたからということで、半金払えということで、九百二十五万円、これも大阪市の方ですが、払った。ところが、最初見せたところは売れたからということで、今度はここにしますということで割り当てを変えられた。ところが、それを見に行ったら道路わきの深い沢であった。これは約束が違うじゃないかと言ったんだけれども、どうにもならない。金は取られっぱなしというふうな状況になっているわけです。  こういうかっこうで、個々の被害者の方々というのは大なり小なり似たようなケース。で、権利書をもらっているという人は、私の聞いた範囲では一人もいないんですね、北志賀に関しては。その全体像が一体どうなっているのかということで調べてみましたが、これは建設省の御調査では、北志賀関係では六百人程度だと、被害総額が十七億に及ぶんだというふうに言っておられた。ところが、私ども大阪でお聞きした二十人の関係者というのは、これは建設省が言っておられる六百人の名簿には入っていない。そうこうしているうちに、あちらこちらから被害者らしき人たちからいろんな連絡がありますし、見ておりますと、北志賀だけで、手付金という形で五万、十万のクラスも含めますと、二千人になんなんとするという実態が明らかになってきております。  これはまあ大変なことだと思って、実は現地へも私十月の初めに行ってまいりましたが、実は現地へ行ってみて驚いたんですね。というのは、お金を払ってロッジを経営しようと思うから、いまおる大阪なりそれぞれ自分の居住地の家を整理して、いよいよ行って家を建てようということで乗り込んで行っている人たちがおるわけですね。そういう人たちがずいぶんお困りになって、それで現地の山ノ内町でもいろいろと御協力になられて、そうしてまあとにかく、私がことしの十月に行ったときには、十七軒のロッジが建っておった。ところが、そのロッジを建てておる人たちの底地を見て、また驚いた。これは長野県の県当局の資料をちょうだいしてみたんですけれども、十七軒の建っておる人たちの底地が大和スキーという会社から権利書が移転されていて、移転登記がされているのはわずか一軒です。これはひどいですよ。大和スキーの土地ではあるけれども、倒産をしておりますので、二重、三重抵当になっていて、本人の名義に移転登記をされてない方というのが七軒、あとの九軒はもっとひどくて、土地は地元の方が地主であって、大和スキーは借地権者にすぎない、こういう状況が明らかになっておるわけです。ですからまさに、十七軒建っておりますけれども、一軒を除いて全部、あとは砂上の楼閣、こういうことになっている。  さらに、この大和スキーがもう一カ所やっております新潟県塩沢町のスキー場、これも当初は、北志賀の建設の場合に、新潟の石打スキー場で成功した、それで、第二期工事として北志賀でやるんだということで宣伝がされていたわけですけれども、この石打スキー場へも実は私参りまして実情を調べてみて驚いたんですが、売り渡しているのは約千二百人。しかし、現在家が建っているのは、これは町御当局のお話では百二十六軒だそうです。他の人たちは一部は移転登記がされておりますけれども、その移転登記もおかしなかっこうでしてねと町当局は言っていましたよ。というのは、一区画が三分の一所有権者、五分の一所有権者というふうな形になっている。しかも、ある人たちのところは、がけであったり沢であったり道路上であったりしている。また石打スキー場の方でも、全然権利書がもらえないということでお困りになっている方もおる。これは東京都のAさんという方ですが、まあ名前はちょっと伏せますが、五年間、権利書よこせ、権利書よこせと、金は払っているんだからつて言っているんだけれども、いまだにもらえないと言って私の会館の事務所まで訴えに参られた方もおります。神奈川の方は、これは石打スキー場の出来事ですが、権利書をもらったと、ところが、その人の権利書というのは、後で調べてみたら山一つ越えた向こう側で、三里も離れている。そういうところのものをよこしている。  こういう事態が何で起こったのかということで、石打で地元の方々にもお聞きをいたしました。そうすると、それはもうむちゃくちゃや。一つの区画を売りに出すのに、十人のセールスマンが一挙に飛び出ていって一斉に売ってくるというのですね。だから、五人に売れた場合には五分の一所有者ということになるわけですよ。三人に売れた場合には三分の一所有者ということになっているわけです。どういうふうに売っているかというと、こういうロッジだとか別荘用地というのは、土地を購入して直ちに建設をするという人はまずいない。数年寝かしておいて、だれかが欲しいと言えばこれは希望者に転売をする、あるいは数年たって計画をしてロッジをつくる、別荘をつくるというので、一挙に全員買うた人が建てるということにならないからトラブルが起こらないんだなどと言うて、こういうやり方をしてきたというわけでございます。ずいぶんひどいやり方なんですが、こういうやられ方で、それは地元の塩沢町でも、町当局や住民の皆さんからもお聞きをいたしましたが、そういうことで塩沢町でも約千人内外の被害者が出ている。こういうふうに言われておりますが、建設省はこの実態を御承知でございますか。
  86. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 実態はいま先生がおっしゃられたことに近いと思います。と申しますのは、われわれがこの大和スキー株式会社を呼びましていろいろと調査をしておりますが、なかなかその実態がつかみかねる、こういう実情でございます。と申しますのは、この大和スキー株式会社昭和五十一年の四月二十七日に倒産をしております。その前後から、いま先生お話のありましたような被害者の方々がわれわれのところに参られまして、いろいろのお話がありましたものですから、われわれといたしましては、十数回にわたりまして出頭を求めていろいろと事情を調査しているわけでございますけれども、なかなか実態が把握できない、来るたびに違うことを言う、こういうような状況にありまして、まことにいま困惑している次第でございますけれども、ところが、この会社が去年の十二月十四日に廃業届を出してしまいまして、現在宅建業者でなくなってしまっているわけでございます。宅建業者に対する処分は免許の取り消しが最大の処分でございますが、自分の方で廃業届を出している関係上、取り消しもできない。こういう実情にあるものですから、われわれの行政指導も思うように任せないというのが実情でございまして、実態はいま先生がおっしゃられたものに近いものだとわれわれ思いますが、そこまでの把握ができておりませんものですから何とも申しかねます。
  87. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま局長がおっしゃったように、五十一年の四月に倒産をして、五十二年の十二月には建設大臣認可の認可業者としての宅建業者の免許を返上してきたのですね。だから廃業している。  そこで、私はさらに問題だと思っておりますのは、全体の被害の実相を見てまいりますと、この会社に対しては五十一年の四月倒産後、ずいぶんやっぱり指導も一定の指導はなされているのですね。倒産したというのは、倒産して「乱開発別荘地残し 千人超す買い手、苦情宙に」というて新潟日報には大々的に報道されているわけですね。ちょうどその時期に、これは新潟県の方が——建設省が御指導になったのかどうか知りませんが、多分指導しておられるのですね。それで、指導されて、乱開発のままになっているから——これは新潟県ですよ。石打の方ですが、道路の整備だとか、下水道だとかいうところをちゃんとやりなさいということで、整備を指示されたのですね。ところが、そのとき大和スキーの回答、なんというて言うているかというと、これは県からいただいた資料ですが、その回答によりますと、「現在長野県志賀高原においても事業実施中であり、当面そちらを重点的に進めたいため、石打地区はその後としたい旨の説明があった」、こういうふらちなことを言うてやらないわけですね。ですから、私現地へも行って山まで上がってみましたけれども、これはもう道路整備などというものではありません。ずいぶんひどい状態で放置されております。ですから町当局も困っておられますね、向こうへ行ってみたら。  そこで、建設省はこの会社が倒産後指導しておられるのですね。これは五十一年の四月に倒産をして、二十八日に指示をしておられる。進行中の工事を完成せよ、それから被害者に対する事情を説明せよ、解約希望者に対する解約、受領済み額の返済等の指示をしておられる。同時に、それから七月には、新規に販売を開始しない旨の誓約書を出さしている。出しましたな。——出さしたのですね。ところが、その後の事情を建設省は知っておられますか、つかんでおられますか。
  88. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) いま先生がおっしゃられましたように、倒産いたしましたから、新規の物件について売らないようにということを指示いたしまして、誓約書をとっております。  ところが、その後におきましても、われわれの調査では、開発区域内の土地について三件、及び当該開発区域外の土地につきまして四十二件の売買があったということが明らかになっております。そのうち開発区域内の売買行為につきましては、国土利用計画法及び宅地建物取引業法違反で刑事罰を受けております。
  89. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、新規の土地を売ってはならぬといって誓約書をあなたのところは出さしているでしょう。  ところが、その後大々的に、大体関西を中心にだと思いますが、宣伝をやっているのです。この広告は五十二年の三月十四日ですよ、これ。これは五十二年の一月、二月、三月ごろ、大々的に宣伝をいたしまして、私が大阪で被害者の皆さんに、五十一年四月以降にお買い求めになった方は手を挙げてみてくださいと言うたら、私ども伺った被害者の皆さんはほとんど五十一年四月以降なんです。  しかもいまなお売っているというのです。一昨日話を聞く機会があって、被害者の集会へ出席して話を聞いて驚いたのですが、その人は五十一年に百六十坪買うたのだそうですよ。そうしたら、去年の八月に、百六十坪というのは中途半端だから二百坪にしなさいということで、四十坪を買い足しなさい、キャッシュなら坪三万五千円にしてあげますと言われて六十万円ほど払うて、総額九百六十五万円支払い済みなんです。ところが、権利書が来ないので現地へ調べに行った。しかも現地へ調べに行ったのが今月の初めですよ。今月の初めに調べに行った。そうしたら、いまだ大和スキーの職員らしきものが現地におるのだそうですな、おりますわな。それで調べてみたのです。本人が。そうしたら、大和スキーの土地じゃなくてよその土地だった、二百坪売られたのが。そのことで苦情を言うたら、いや、あの土地は申しわけない、よその土地であった、だからあと百坪買い足してもらって三百坪になるなら、三百坪きっちりと調えて権利書も差し上げますと言われた。それは今月の初めなんです。あんまりあほらしいからとにかく相手にせずに帰ってきたというお話でございますけれども、そういうことになっておる。  だから、私ちょっと不思議でしょうがないのですが、建設省がこういう誓約書をとっても誓約違反を堂々とやられている、いまなおやられている。あなたがお述べになった数字というのは、これも多分でたらめだと思いますわ。まだまだたくさんあると思う。あそこは大体まともに報告せぬのでしょう。だから恐らくでたらめだと思うんですが、これだけ指示は守らない、誓約をさせても誓約は踏みつぶされる、こういうことについて何か手をお打ちになりましたか。
  90. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先ほど申し上げましたように、倒産いたしましたのは五十一年の四月でございます。その後五十二年の十二月までは、倒産はしておりますが免許はあるわけでございますから、営業活動はできるわけでございます。その場合におきまして、建設省の指示に従って倒産後は新規の取り扱いをしないということでございますから、それに違反した場合には宅建業法上の取り消し処分その他ができるわけでございますが、先ほど申しましたように、去年の十二月に宅建業者でなくなっておりますから、これに対しては処分のしようがないと、こういうことになっているわけでございます。  なお、いま先生お話のございましたように、昭和五十二年の十二月十四日、すなわち、宅建業の廃業をした後においてそういう事実があるといたしますれば、これは明らかに宅建業法違反でございまして、無免許営業につきましては三年以下の懲役、三十万円以下の罰金と、こういうことになっておりますから、そういう事実が明らかであり、なお、証人にもなっていただける方がございましたら、その場合にはわれわれは告発する考えでございます。
  91. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はそれが遅過ぎると思う。いま申し上げたのは愛知県の方ですよ。きょうは名前はちょっておいておきます。本人の了解を得ないと名前を出すことの可否がわかりませんから言いませんけれども、いまなおやられておる。私は北志賀の現地へも、それから石打スキー場へも行きましたけれども、そこだって同じことをやられているんですよ。  石打ではこう言うていましたよ。これはことしの十月の初めですよね。それはひどいんだな。大体ゲレンデは石打スキー場は共有地なんですよ、だから町有地なんですね。そのリフトのそばでその大和の職員らしき者が地図を広げて人に説明しているので、ロッジの経営者、スイスというロッジの経営者が何をしているのかと思って見に行ったというんです。そしたら、ここはリフトのそばで、ちょうどそのロッジをつくったらようはやっていいところだといって売りつける話をしていたと。ここは共有地だから売れるところじゃないんだとその人が言うたところが、いやここへ建てたら非常によくもうかりそうでいいとか、一番便利がいいとかいう話を依然としてやっているので、こんなところにロッジをつくられたらスキーヤーが滑れないじゃないかと言うたら、滑る方はこれは家があったらよけて滑りゃいいんだというようなことまで言うて、いまだにこういうことは続いておりますと、それも言っておりました。  私は非常に重大だと思うのは、こういう被害を拡大させたという点では建設省の責任が非常に重大だと思うんですよ。というのは、まず五十一年の四月に倒産をした時点、このときにきちんとやはり調査もし、そうして、宅建業法違反がないかということについてもっと把握するべきであったと思うんですね。いまあなたおっしゃったけれども、これはもう宅建業法のいわゆる三十二条ですか、誇大広告の点では、これは名前を挙げてもいいですが、全然石打の場合なんかでも、ホワイトヒルとか——ホワイトヒルと言うているんだな、いまのスキー場を。それとは別にグリーンヒルをつくりますと、それはゴンドラでつないでスキーを足につけたまま行けるようにしますと言うて現地へ連れていって、それは何の計画もないところを、うそ八百を言うてパンフレットをつくっただけで金を集めているというやり方をしているんですよ。明確にこれはもう三十二条違反でしょう。これは宅建業者であっても三十二条違反ですよ。あるいは重要事項の説明、まともに土地もあれでしょう、これも明確に三十五条違反ですよ。土地も全然違うところを言うて、権利書が来てみたら三里も先で山一つ越さにゃ違うところだと。で、これもらうときに、これはおかしいと、地名が違うじゃないかと言うているのですよ、本人は。名前が違う、谷上甲という地名のところだと言うて買うたのに、権利書が来たら中つる卯といったかな、これは違うじゃないかと言うたら、いや田舎の呼び名のことでございますので、実際の登記上の地名は同じでございますということを全部が言っているのですよ、幹部も含めてね。それで信用して買うた。ところが、現地へ行ってみたら山一つ越えて三里も離れたところであったという事実ですよ。これは明確に立証できますわ。御本人も、この方は証人にも何ぼでも出られますよ。だから三十五条違反でしょう。  それから「業務に関する禁止事項」、これももう全部違反しておりますよね。こんなのはもっと、五十一年四月、少なくとも倒産の時点に本気になって調査をし、法違反もしでかしておるということをキャッチされていたら、ここまで被害は拡大しなかったであろうと思うんですがね、この点どうですか。
  92. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先ほども御答弁申し上げましたように、われわれが知りましたのは倒産前後でございまして、ほとんど苦情が出てまいりましたのは倒産後でございます。したがいまして、そこでいろいろと調査はしたわけでございますし、数回にわたりまして業者も呼んで事情も聞いたわけでございますが、何分にも非常に悪質な業者でございまして、廃業届けをするような業者でございますから、われわれといたしましては、そこで直ちに行政処分をするよりは、むしろ、営業を続けさせてなるべく被害を少なくするような措置を講ずるのが適当だと考えていろいろと指導等を行ってきたわけでございますが、結果的には廃業してしまって、宅建業法が動かなくなってしまったと、こういう実情にあるわけでございまして、まことに残念だと思っております。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで私はことしの三月に建設省のおたくから資料をいただいた、大和スキー開発についての現状はどうなっているのかといって。これを見た限りでも、もうおおよそよくつかんでいないなということがわかる内容なんですよね。もうちょっと本当に明地へ行くなり、現地の状況を調査なさるなり、長野県に聞いたってわかるんですよ。長野県当局は大変お困りになっている。これなども見て驚いたのだけれども、倒産時の状況というようなところで、負債額約二十億、債権者は長野宅地分譲施設利用権者、それからその他の債権者で、長野信用金庫、福島県共済農協連、塩沢農協が各一億と書いてあるんですがね、これだって違うんだな。こういうところにも借りてありますけれども、もっと大口の債権者もおれば、商工中金も債権者であるというふうなことだとか、消費者の被害状況六百人、預かり金十七億円と書いてあるけれども、その実態は私が申し上げたとおり。  石打の方をおたくの方は調べていないんでしょう。石打知っていますか。
  94. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 石打につきましては、われわれの方には被害者の方から何もお話がございませんでした。また、新潟県に問い合わしたところ、一部の方から被害のお話があったそうでございますが、これは先ほど先生お話しになったほどの話ではなくて、たとえば、宅地分譲をしたけれども道路ができていないとか、そういうような程度でございまして、問題はあるにしても長野県ほどではないということでございまして、長野県ほどの調査はしておりません。  なお、長野県につきましては、県にも直接調査をするように指示したところでございますし、また、長野県警も動いていろいろ調査をしたようでございますが、なかなか起訴するとかいうところまでには至らないということを私は聞いております。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでこの計画、おたくの報告書をもらってちょっと驚いたのだけれども、工事中の開発計画地区というところで、これは初めに百八ヘクタールの計画で発足したんですね。しかし倒産後、昭和五十一年の十月には、十一月ですか、とてもじゃないけどできないということで、四・九ヘクタールに計画変更しているんですね。ところが、おたくの方の開発計画には依然として百八ヘクタールになっているんですな。こういう実態を本当におつかみになって、そして明確に法違反をしでかしているような業者を、これは必要な措置を——罰則もちゃんとついた法律なんですからね、きちんとやらぬからますます被害が広がっている。九万の業者のうちの悪徳業者の最悪の一人だというふうにおたくの職員は言っておられますけれども、これは今世紀最悪の悪徳業者だと言われるようなやり方ですが、そんなものを野放しにしてきたのは建設省の責任だと思うんですよ、実際。大臣、こんなことを二度と起こしちゃならぬと思うんですよ、どうですか。
  96. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変詳細にお調べになり、御検討の上の御質問でございまして、いまこうやっていろいろ聞いて直ちに正確な見解を申し上げかねますが、しかし第一に、宅建業者であればお話しのような事実は全部宅建業法の違反でございますから、これは当然法揮に基づく厳正な取り締まりをしなけりゃならないと。しかしだんだん承っておると、すでに宅建業者でなくなっておると、こういうことで、一つ一つのケースを私なりに総合してみると、非常に悪質で、ただ現行法で言うと国土利用計画法とか宅建業法の取り締まりの対象ということよりも、いわばこれは警察当局の手によって詐欺の疑いがあれば詐欺、そういうようなことに処理されなきやならないように承れたわけでございます。私どもの立場で生ぬるかったのか、あるいは十分事態が把握できなかったのか、そういう点から、沓脱委員からそういう点はよく考えろと、こういう御趣旨も入っておると思うんです。そういう点は私どもとしてもよく考えてまいりたいと思いますが、現実にこういう幾多の問題を起こしておるのでございますから、先ほど局長の方から申し上げましたように、事実が確認できれば告発の対象であると、こう思います。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私が申し上げておるのは、倒産をした五十一年の四月の時点に、建設省がこれは危ないということで詳細に御調査になれば、その時点で宅建業法違反を公然とやっていたという事実が明らかになったと思うんですよ。その時点で明確に処理をなさればここまで被害は拡大されなかったと、その点で悪徳商法の悪徳業者をのさばらしたという点では、私は建設省、重大な責任があると思うんですが、どうですか。
  98. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先ほども申しましたように、五十一年の四月に倒産したわけでございますが、そのときまでの被害者が大部分でございまして、先生のおっしゃるように二千件でございますか、われわれの方は六百件程度と見ているわけでございますけれども、その後は先ほど申しましたような件数の取引はやっておりますけれども、相当こちらといたしましては行政指導には努めたつもりでございます。相当やりましたんですが、悪質業者でございまして、免許を返上するというような業者でございますから、それ以上なかなかわれわれとしてはできなかったと。やはり民事上の取引の関係でございますから、行政指導にはおのずから限度があると、このように私は考えているわけでございます。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、一つは、私はいまからでも、業者じゃなくなっているとおっしゃいますけれども、みなし規定もあるわけでしょう、七十六条が。ですから、これは立入検査ぐらいやったってしょうがないんですけれども、立入検査もやり、あるいは法違反のケース、具体的なケースがありますから、大阪では六人すでに告訴してますから、そういうのはもう具体的ですわ。それ以外に私どもも具体的なケースはたくさん持っております。そういう点をひとつ押さえて、少なくとも立件する。いままでの建設省の怠慢をはっきりさせていくというためにも、これは償いをする意味でも立件もし、これはこういう悪徳業者なんだということを天下に明らかにしなさいよ。いまだってなお被害者がふえているんですから。そうなんですよ。いまなおとまっていないという状況なんだから、このことはきわめて大事なんです。被害をまずこれ以上拡大させないというためにも、それはやるべきだと思うんですが、どうですか。
  100. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 現地調査につきましては、先生に遅いとおしかりをこうむるかもしれませんが、ことしの十月十二日に係官を派遣いたしまして現地調査をしているところでございます。したがいまして、今後とも必要があれば現地調査するなり、あるいは先ほど申しましたように、明らかな事実が立証できる場合には告発する考えでございます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それからもう一つは、私ちょっと調査に行ってみて驚いたのは、長野県へ行ったら、新潟県でやられている状況というのは全然知らないわけでしょう。新潟県当局は長野県のことは全然御承知ないんですよ。それで、これは少なくとも建設大臣の認可業者なんですからね、そういう情報、新たに長野県で開発計画の決定をすると、認可をするという場合に、その業者がどういう過去のものを持っているか、経歴を持っているかというふうなことぐらいは建設省がちゃんと情報を持っておってやるべきですよ。知らないんですよ、全く隣り合わせの県で山一つ越えたら新潟県ですけど御存じない、こういう状態というのは何とか打開しなければならないと思うんです。その点が一点。  それからもう一つは、私はやっぱり売り方の問題にもずいぶん問題があると思うんです。無料招待で連れて行って、それで民宿や旅館へ入れて、これは私一人具体的な公述を聞いた人がありますが、これは神奈川の方です。一組ずつ——一組というのは一人ずつですよ、家族、夫婦で行ったら夫婦、全部別々の部屋へ入れまして、それでセールスマンが一人ずつついて、この土地はどうですか、ここは一番いいですよ、ああですよと言うていて、それじゃこれにしようと言うたら、ちょっと待ってください言うて隣のどこやらへ行って、それはもういいところなんで売れました、いま残っているのはこれとこれです。これはどうですかと。そんならこれにしますと言うたら、ちょっと待ってくださいと言うて、また出て行って、もうそこは売れたそうですということで、何か早く買わないと損をするみたいな空気をつくって、そうして売買契約をするというような半強制的な空気を醸成してやっているということです。それでその結果が、先ほど申し上げたように、買い取った権利書が山一つ越えた三里も先の土地であったというふうなことになっているわけですが、こういうことでは消費者は守れないと思うですね。その点で私は法の不備があるんではないかと思いますが、宅建業法についてのこういった不備を改正する御意見はお持ちでしょうか。
  102. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) まず第一点でございますが、宅建業法に基づきまして監督処分を行った場合には各県知事にお互いに通報することになっております。この場合には、残念ながらまだ監督処分を行っていなかったためにそういう連絡ができておらなかったわけでございます。ただし、いまのお話のようにいろいろ問題もございますので、監督処分を行う事態に至らない場合でありましても、非常に問題があるというようなものにつきましては、今後は事件の未然防止をするために、各都道府県に連絡体制を確立していきたいと、このように考えております。  それから第二番目の問題でございますが、確かに別荘地等の販売につきましては、訪問販売であるとか、あるいは旅行招待の販売であるとか、現地で行う場合が非常に多いわけでございまして、事務所を構えている中で行う売買とはいささか形態が違うわけでございます。そういう点につきましては、いろいろと紛争を生ずるおそれもあるわけでございますから、現在法律の改正につきまして検討中でございまして、まだ次期国会に出せるかどうかはこれから審議会等の御意見も聞かなければわかりませんから、ここでお約束はいたしかねますが、法律の改正案については現在検討中でございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、まあ法の整備もひとつ進めていただきたいと思いますし、このケースについては私は本当に本気になってもらわないと、いまなお策動が続けられている。というのは、ことしの八月五日には、大和スキーは倒れたから、今度は杉崎組というのが全権を委任してやりますというふうな文書を、購入希望者、購入者に対して配っておると。杉崎組というのはこれは宅建業者でも何でもないんですね。そうして後、金を納めるのは私のところへ納めてくださいと、そうでなかったら、あなたの土地や建物は保証しかねますというようなことを書いてあるわけですよ。これは私どもの方から建設省にも御連絡を申し上げて、一定の——まあ手は打ってないでしょうけれど——知っていることは知っているんですな。  もう一つは、つい最近で、一昨日やられたんですけれども、大和スキーの社長白居の名前で、今度は、倒産をしてずいぶん御迷惑をかけましたと、そこでその北志賀の開発一切の権限と行為を購入者全員に預託して工事を進める方法を話し合いさしていただきたくということで、今度は被害者をまた寄せているんです。そんなことを言うたって、大和スキーの開発するという——大和スキーの所有地というのはないわけでしょう、もう、一つも。そういう事態というものを隠蔽して、まだ被害者を集めて、開発を進めるんだから一定の金を出し合って、あなた方の責任、あなた方にひとつやってもらったらどうかというようなことを、大和スキーの社長が呼びかけて一昨日の寄り合いをやっている。こういうことで、野放しにしておきますと、ますますいろいろなやり方でもって多岐にわたる被害が出てくると思いますので、これはそういった動きについても厳重に目を光らして対処してもらいたい。で、被害がこれ以上拡大するということを少なくともとめてもらわなきゃいかぬ。それはやってくれますか。
  104. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 杉崎組の件につきましては、先般係員を派遣したときに当事者と会っております。しかし、やはり余り信用がおける方ではないようでございまして、建設業の許可も取ってないわけでございますから、この請負工事はできないわけでございます。ただし、この契約内容を——ここにございますけれども、調べてみますと、金額も入っておりませんし、工事の内容も明確でないものですから、果たして建設業法違反になるかどうか、まだ手をつけてない段階でございますから、いまの段階で直ちにこれを処分するというようなことはできないと思います。しかし、今後の状況を見守りたいと思っております。  それからいまお話のございました一昨日の話でございますが、それには、いま先生のお持ちの上の方に、被害者の方々の名前も載っていると思いますから、その被害者の方々に近日中においでいただいて事情をお伺いしたいと考えております。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、まあこれに関連をいたしまして、倒産をした大和スキーとの関係で、商工中金に関係があるので、少しお伺いをしておきたい。  大和スキーに関係のある商工中金への貸出金というのは、いただいた資料によりますと、これは三件ございますね。大和スキー自身に貸したものと、大和スキーが担保物件になってお金を貸したというのと、三件ありますが、これは間違いありませんか。
  106. 小山実

    参考人(小山実君) 沓脱先生のお手元にお届けいたしました資料と申しますのは、多分上越観光事業協同組合の件と、それから大和スキー開発株式会社の件と、それからバリ島興業、この三件だと思いますが、その内容については相違ございません。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは元利合計で一億七千六百六十万円というふうになっておりますが、これの返済はどうなっていますか。
  108. 小山実

    参考人(小山実君) 先生にお届けいたしました資料の記載金額は、これは延滞額の元本と、それから未収利息の元本、その合計が、いまお話のございました一億六千三百万円余であるかと思います。これは延滞額と未収利息でございますので、すべてまだ回収できていないと、こういう額でございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私ちょっと不思議に思った、これを拝見してね。というのは、上越観光事業協同組合へ貸したのは、昭和四十九年十月三十一日ですね。その前に、四十八年十二月二十二日にはバリ島興業株式会社ということで二千三百万ですか、を貸しているんですね。それで、その翌年に上越観光事業協同組合、それから五十年——翌年の八月に大和スキー開発にお金を次々貸しておるんですが、ちょっとわからないのは、これ返済をされてなくても重ねて次々貸すというやり方というのは、これは商工中金はずっとやっておられるんですか。貸し先は違うので、担保物件は同じでもまあ別件だということで貸しているのですか。これはだって四十八年の十二月に貸しているんでしょう。それから四十九年の十月三十一日に貸しておるでしょう。さらに五十年八月二十八日に貸しておる。大体普通なら、これはあやしいということになったら、前の分のお金を払っていないのに重ねて借入金を、要請しても、大体貸してくれないか、貸してくれても借入金の残を差っ引いてしか貸さぬですわな、普通。通常そんなことをやっているでしょう。これは違うんですか。
  110. 小山実

    参考人(小山実君) 先生の御指摘のございましたこの三件でございますが、いずれもそれぞれの貸し出し時点におきましては、まだ他の案件について延滞等の事態は生じておらなかったわけでございますので、もうすでにその本案件につきまして延滞が生じておりましたならば、当然次の貸し出しというのはいろいろな意味で慎重になっておるわけでございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、四十八年の十二月二十二日に二千三百四十万か貸しているでしょう、二千三百四十万。それで、四十九年十月に貸すときには、これだけ残っていて、その前は何ぼ貸しておりましたんや。
  112. 小山実

    参考人(小山実君) 四十八年に大和スキーにつきましては二千万円貸しておったわけでございます。それから上越観光につきましては、最初の貸し出しは四十九年十月でございます。それからバリ島興業は四十八年十二月二十四日でございます。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いやちょっと聞いていることを言うてくれぬとあかぬわ。  返済がなされていないんでしょう。一つも。それに次々毎年貸していくというのはおかしいじゃないか言うたら、いやそのときは返していたとあなたは言うたんや。そんなら、何ぼ貸して何ぼ残っていたんや言うの、次に貸すとき。だって同じ担保でしょう、担保物件は。
  114. 小山実

    参考人(小山実君) 三件それぞれ担保物件は異なっております。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 異なってないな、私がもろうた資料では。それはおかしいんじゃないの。——いや、担保物件は、それは社長の家やとか、あるいはスキー場内の別荘保養所用地の山林やとか、あるいは沼津にある社有地だとかというようなことで違うけれども、大和スキーの資産であることは間違いない。そういうことを言っているんです。それで、きちんと返されて返済計画がずっとやられていたのか、あるいは一年ぐらいの間だからまだ返してないけれども次々貸したのか、どっちかって聞いているんです。
  116. 小山実

    参考人(小山実君) 貸し出しにつきましてはまだ据え置き期間のあるものもございまして、まだ貸し出しの時点において遅滞は起こっておりませんでした。
  117. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと時間がないから細かく詰める余裕がないんですけれども、いずれにしても私は非常に理解しにくいと思うのは、今日私ども周りにおる中小企業者が商工中金のお金を利用する場合には、大体実績が悪いとか、あるいは借りた金の残があるとかいうたら、この大変な深刻な不況の中で何とかして五百万欲しいと思っても三百万しかあかぬとか、時によったら八十万しかだめだとかいうて何も貸してもらえぬのですよ。そんなものが、全部焦げついているようなところへこんな金を貸しているというのは、これは私ども通常の中小企業者が利用している利用状況とははなはだしく事情が違うように思います。  で、これは非常に問題だと思うんですが、このケースは鈴木勝さんという方があっせん紹介したという情報がありますけれども、鈴木さんというのはどういう方なんですか。
  118. 小山実

    参考人(小山実君) 先生のお手元にお届けいたしました資料にもございますように、鈴木勝さんと申しますのは、融資対象先の一つでございますバリ島興業株式会社におきましては代表者でございます。それから上越観光事業協同組合ではその理事をしている方でございます。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはまあそういう肩書きもあるいうことは書いてありますな。しかし、これは前の内田常雄自民党前幹事長の秘書の鈴木勝さんと違うんですか。
  120. 小山実

    参考人(小山実君) 私は寡聞にしてそういうことは存じておりません。
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、時間がありませんから、会計検査院にちょっとお伺いをしたいんですが、そういった、いわばちょっと政治がらみ、通常の貸し方と違うという貸し方で金を貸しておるというふうに思いますが、こういう点は、私、商工中金としては重大だと思うんですよ。  そこで、これは政治がらみは別といたしましても、このケースについて御調査をいただくべきだと思いますが、どうですか。
  122. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) お答えいたします。  ただいま先生お話を聞いておりまして、いろいろ組合金融として問題があるようでございます。ただ、四十八年当時の貸し出しというのもございますし、私ども調査に参りましたときに果たして徹底して調査できるかどうか必ずしも自信ございませんけれども、今後の検査の際に十分先生の御指摘を念頭に置いて厳重に検査したいと、このように思っております。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私ちょっと質問を落としましたけれども、四十九年の十月に貸している上越観光事業協同組合は、事業目的が下水道事業の何か浄化施設だとか、その他をつくるということで借りているはずです。現地で見てきたけれども、浄化施設みたいもの何もできていない。だから、目的を明らかにして金を借りておりながら目的は果たしていないんですよ。これはあなたのところ確認してますか。できてないですよ。
  124. 小山実

    参考人(小山実君) 貸し出しに当たりましてはすでに工事に着工しておったわけでございますが、その最終的な完成の状況は把握しておらないわけでございます。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはまあ見に行ったらよろしいわ。私は見てきたけれども、いまコンクリートのへいだけ建っていますわ、へいというのは家の高さぐらいのね。施設は何にもできてない。つくりかけましたというだけです。そういう状況というのはやはり商工中金としても、はっきり目的を持って金を貸した場合にはきちんと点検するべきです。  それから、時間がないですので、最後に私被害者の救済、消費者の保護対策について、これは建設省建設大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、建設省としてはなかなかうまい手もお持ちじゃないと思いますが、私は、少なくとも被害者をこれ以上拡大させないという対策が何よりもまず必要だ。同時に、今日被害を受けている人たちの被害をできるだけ少なく食いとめる、実額を少なく食いとめるという対策、これが何よりも大事だと思うのですが、その点について建設省としては何らかの対策をお持ちならちょっと聞きたい。
  126. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先ほどから申し上げておりますように、何分にも倒産しておりますし、その上宅建業の免許業者でなくなっておりますものですから、なかなか思うような行政指導もできないわけでございますし、処分もできないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後ともできる限り被害者の拡大がないようにあらゆる努力はする考えでございますが、何分にも申し上げましたような状況でございますので、完全な保護ができるかどうかということにつきましては残念ながらここでお約束することはいたしかねます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 建設省は被害が起こったって手の打ちようがないんですよ。だから、こんなことにならぬようにきちっと法の整備もやり、法律に基づいて監督も強化をして野放しにしちゃならぬということなんですよ。しかし、被害者はほうっておけない。  そこで、私、最後に運輸省にお聞きをしたいと思っているのですが、当面やはり被害者の救済対策というものを考えざるを得ない。そこでよう調べてみたら、あなたがおっしゃるように、つぶれた会社で全部資産が担保に取られている、何もないんですよ。どうしてそれじゃ被害者の被害実額を少なくする方法があるかということでいろいろと被害者の皆さんが御研究になった。私も一緒に研究してみた。わかったのは、石打スキー場にある十二基のリフトですわ。これを動かしたら年間一億円余りの金を生み出す。ところが、ちゃんとやっぱり大口債権者というのは賢うて、この唯一の資産を生み出すリフトを二人の大口債権者が新しい会社をつくってその利益を一人占めにしようとしている。こんなことは許されませんよ。三億か五億か知らぬけれども、被害者の方は二十億か三十億かあるかわからぬのでしょう。一番の大口債権者は被害者、消費者なんです。そこで、これは何とかして一人占めにするのではなくて、この配分は被害者の中にやはり配分をさせるべきだということで実は私ども考えたのですが、被害者もそのことを切に望んでいるわけです。現地の塩沢町長もその事態を御理解いただいて、関係者の協議というのを進めておられるのですけれども、シーズン目の前でしょう。シーズン目の前で協議を煮詰めるということはきわめて困難なんですよ。特に相手の新会社の代表者の一人であります東海企業の梁三永という社長は、そんなややこしいならリフトは動かなくてもいいんだと、地元の人が困ろうが困るまいが知っちゃいないというような暴言を平気で吐いているんですよ。しかし、私は現地へ行って現地の住民の意見を聞いてみたら、農民の皆さんはこう言うんですよ。かつては、この地域は一年のうちに九カ月出かせぎをしなければ生活ができなかった。何とかして家族全体が生活のできるような生計の立て方がないかということでスキー場開発に踏み切って、そうして協力をして自分たちも民宿をやり、あるいはスキー関係の商売をやって一年間家族と一緒に生活をすることができるようにやっとなったんだ、リフトをとめられたら困るんだと言っている。こういう事情を踏まえまして、地元住民にこれ以上、今世紀最悪の悪徳業者の悪業や、これを野放しにしてきた建設省の監督不十分というようなもののおかげでさらに地元の住民に被害を及ぼすということは忍びない。そこで私は、今シーズンは協議はまとまっていないけれども、暫定的に、地元の皆さん方の御要望にこたえてリフトの運行をできるようにするべきだというふうに思うんです。それが一つです。  同時に、リフトの新会社への譲渡の問題というのが起こっているわけですが、譲渡の関係については、債権者が非常に複雑に絡んでおるわけでございますので、関係者の協議が調うまで譲渡の認可という点については保留するべきだと考えるんですが、これはまず運輸省の御見解をお聞きをしたいと思います。
  128. 石月昭二

    説明員石月昭二君) お答え申し上げます。  スキーリフトに関する権限につきましては、先生承知のように、索道規則によりまして、陸運局長の権限とされております。したがいまして、基本的には陸運局長の判断を待って行いたいというのが私どもの態度でございます。いま先生からるるお話のございました今度のシーズンをどうするのかという問題は、確かにおっしゃいますように、民宿、その他地元の雇用経済に相当な影響も及ぼすことでございますので、新潟の陸運局長といたしましても、極力、管理の委託とか何か便法を見つけまして、何とか運営をさせるように債権者同士の話し合いを促進するように努めたいという考え方を持っております。  それから第二点の譲渡許可の問題でございますけれども、これは、先生いまお話がございましたように、債権者がいろいろ絡んでおりますし、日本ケーブルというようなところからまた異議の申し立てがあったりというような形で、その辺が非常に複雑になっておりますので、当面はその辺の推移を見ながら慎重に考えたいということでございます。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ありがとうございました。
  130. 秦豊

    ○秦豊君 大臣、私は、きょうあえてまた改めて成田の問題を質問したいと思います。  大臣も御存じのように、去る五月二十日、福田総理の言葉をおかりすれば、日本国の威信をかけた成田の開港が強行された——私は強行と言います。また、あなた方は万全と言いたいかもしれないが、私は数々の不法あるいは不当性の積み重ねの上に、しかもなおかつ、暫定開港でしかないという突き放した認識しか持てない。きょうは少しごつごつした理詰めの話を皆さんにいどみたい。  そこで私は、暫定の具体例を引く必要もないぐらいだと思うんだが、たとえば四千メーター滑走路、メーンテーマ、これは三千二百五十メーター南側からの進入コースの場合。それから国際空港としてどうしても必要な航空保安施設、これはA滑走路南側の進入コースをとった場合には七百五十メーターも北側に移設されている、これも不完全。それから羽田とはかなり条件が違って、霧が多発している。そういうところでは国際的には安全着陸のためにはカテゴリーIIという精密進入着陸方式があるんだけれども、成田はそれがだめ。だからランクを一ランク落としてカテゴリーIという粗末な保安施設でしかない。あとは燃料パイプのことはもう言いません。その他数々ある。だが、すべてあなた方の労作の結果と言いたいだろうが、滑走路も、保安施設も、進入方式も、それから騒音対策も、運航時間も、燃料輸送アクセス、それから空域飛行コース、空港使用料金、これ全部に暫定という字をつけると生き生きとイメージがつかめる。これが成田です。いいですね。問題は、七年もおくれてあれだけの国費を乱費して、しかも小泉よねさんを生活の場から根こそぎ追い出すような強制収用をあえてしながら、なおかつ数々の未取得の未収用の空間がまだ横たわっていて、大きなデッドロックになっている。  言いかえますと、何でこれ建設大臣に聞きたくなったかというと、あなた方大臣は、収用権を行使する権能というのを起業者たる空港公団に付与したのはこれ建設大臣。そうですね。建設大臣の行政処分に、したがって誤りがあったという認識が私には牢固として根強い。これは素朴だが根強い。つまり、この起業地が適格性を欠いていたのではないかという観点で伺います。だから、きょうは局長もいろいろと御勉強されたようだが、あえて櫻内建設大臣の御確認を多々求めておきたいと思います。時間が時間だから詰めて言いますから。  そこで、具体的に以下伺いますけれども、四十二年の土地収用法の大改正、これで第三章移設によりまして、手続の保留の制度というのが新たにできました。これは一定限度の範囲以上の起業地を同時に申請しなければ収用法上の認定を行い得ないという事業認定の単位から来る制約ですね。それから土地所有者等からの補償金支払い請求あるいは裁決申請の請求に応じられない場合があるという、これは事業施行上の実際上の制約ですね。これをどうコオーディネイトするか、調整するかというために設けられた制度ではないかと私は思いますが、建設大臣はどう確認されますか、大臣。——大臣からいただきたい。
  131. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 非常に専門的な御質問で、にわか勉強や何かではお答えしにくい点が多々ございます。したがって、担当の局長から詳しくはお答えをして、秦委員のまたそれについていろいろ御質問を受けるがいいと思うんですが、現在の新東京国際空港の果たしておる役割りですね、それを冷静に案観的に見た場合に、公益上正当な役割りを果たしておる。また、羽田空港の過密の状況から新東京国際空港の現状になったということについては、国際的な関係の上にも大いに寄与しておるんではないか、そういう基本的な見地に立っておるわけであります。  しかし、法律の条章からして、あるいはいまの国際空港の現状が国際空港の規格基準の上からどうか、こういうことになってまいりますと、最初に申し上げたように、法律的な見解が入ってまいりますので、局長の方からお答えさせます。
  132. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと、念を押すまでもないと思いますが、局長大臣がそういうふうに慎重にクッションを置かれるのはいいと思うんだが、私が申し上げたのは、有権解釈としてはそうではありませんかという確認ん求めている。だから、あなた方の解説を伺いたくない。私の述べた解析が妥当であればイエスであり、妥当でなければノーという答弁しかないんで、余りこれは時間をとりたくないんですが、いかがでしょう。
  133. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 先ほどの解釈はそのとおりだと思います。
  134. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、進めますけれども、一定限度の範囲以上の起業地を同時に申請しないと事業の認定を行い得ないということは、起業者が任意に、勝手に恣意に計画をちぎってはいかぬ、分断してはいかぬということであるし、また収用権を付与するためのあなた方による公益判断というのは、申請のあった事業の範囲内でのみ行われる、これが適法、妥当な運用ですね。そうすると、一つの申請書によって申請すべき起業地の最低限度の範囲というのは、ここが肝心なんですが、その事業が完成したときにはもうそれだけで実際に供用することもできるし、可能でもあるし、また、それは一定の効用を果たすことができる程度の、つまり余りちぎっちゃいけないということはまとまったものでなければならないということに当然なりますよね。これを詰めて言うと、あなた方、建設大臣が行使する権能の一これは大きい権能だが、起業地の範囲の設定について、あなた方による任意の、いわゆる申請者主義というのか、拡大解釈というか、申請者主義というのは、法的にはこれは否定されているんですね。これも最初の質問と同じく、有権解釈としてはそうなりはしませんか。
  135. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 起業地の範囲が一定の効用を果たせるものでないことは先生のおっしゃるとおりでございます。ただし、その範囲をどれだけとるかということは、やはり申請に基づいて行うものでございます。ただし、その申請の範囲が適切でなければ、それは事業認定ができないと、こういうことになるわけでございます。
  136. 秦豊

    ○秦豊君 いまの個所について不満です。私は、ジャーナリスト時代からこの成田問題にかかわってきた。これは反対の立場でかかわってきた、言うまでもなく。それから、当選後も恐らくあらゆる場をとらえて、運輸委員会、予算委員会、この三月も予算委員会で追及したけれども、質問注意書だけでもかなり分厚になっているんですよ。二センチメートルを超えているでしょう。三十数回になっている。いままた提出をし、答弁が延ばされているという被害者の一人であるけれども、私がいま、あなた方大臣局長に述べていますのは、私がいままで頻繁に手数多く提出をした質問主意書、あるいは運輸、建設両省、法制局からとった資料を私なりに砕いて言っているんだから、あなた方の周辺から出た解釈なんだから、それをあなた方が否定するというのは非常におかしいんですよ、行政の継続上。いまのことは、じゃちょっと重ねて丸山さんに伺うけれども、私の有権解釈としては、私の言ったことは間違ってないんですね、重ねて。
  137. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) われわれの解釈といたしましては、有権解釈は法律を担当している者が行うわけでございますが、その場合には、やはり起業者の申請主義だと私は解釈しております。
  138. 秦豊

    ○秦豊君 いや、だから答弁はシャープに、余りソフトフォーカスじゃなくて、シャープに答えてくださいよ。私があれだけ、二、三分費やして述べたこの個所のいまの質問のところの私の解釈は、あなた方の、あなたの前任者の局長とか、その他いろいろまとめてある最大公約数なんですよ。それは間違ってないんですねという確認をあなたに求めているんです。そのことだけ答えてください。
  139. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 私は前任者あるいは前々任者がどういう答弁をしたかということは、全部は調べてはおりませんが、その答弁は間違ってないと思います。
  140. 秦豊

    ○秦豊君 では、あなたは間接叙法をお使いになったが、私がそれを引用している以上、私の解釈にもあなたは肯定的な応答をなすったと、こう理解してよろしいですね。
  141. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 私は、しかし前局長、前々局長でありましても、やはり事業認定の申請は申請主義、起業地は申請主義だと、このように解釈したと思います。
  142. 秦豊

    ○秦豊君 あなたね、私がいざなおうとする結論を早くも恐れているようであるけれども、私の述べた個所の解釈は、これは有権解釈の一つですからね。これは間違っているかいないか。つまり、イエスかノーかだけしか私はないと思うんだが、丸山さん、余り答弁を回避しないでいただきたい。いいですか。時間がない、二十五分しかないんだから。重ねて。
  143. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 申請に基づいてわれわれが判断するものでございます。どこまでもこちらが決めてやるわけじゃございません。
  144. 秦豊

    ○秦豊君 間違ってないでしょう。
  145. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) はい。
  146. 秦豊

    ○秦豊君 余り小出しにしないでいただきたい。  ところで、進めますけれども、成田空港建設事業の起業者は言うまでもなくあすこの空港公団であるが、空港公団による事業認定申請書、それから特定公共事業認定申請書、二つによりますと、両方ともとって調べてみたけれども、成田空港建設事業におけるあの人々による公益性、これは大義名分でにしきの御旗にしていらっしゃるから大事なんだが、公益上の必要性を満たす一定の効用というのは、公団によると、羽田空港にかわる国際空港の機能を新たに東京首都圏に実現することにあったと、これはもうそのとおりですね。
  147. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) そのとおりでございます。
  148. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、この土地収用法であるとか、それからその特別法たる公共用地の取得に関する特別措置法、特措法は、公益の利益のためにぜひとも必要なこの事業の用地、この用地を起業者が適正な価格で——法外なのはだめですよ。また出し渋ってもいけない、一般の土地売買じゃないのだから。適正な価格で取得することを保証するものでしたね、それは。違いますか。
  149. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) そのとおりでございます。
  150. 秦豊

    ○秦豊君 したがって、この土地収用法であるとか、公共用地の取得に関する特別措置法が両方ともだぶって発動されたのが、この成田空港の建設事業ですよね。  それでは、これは繰り返しますけれども、肝心な点だから、煩わしそうな顔をされないで受けとめていただきたい。これは肝心なところなんですがね。あえて繰り返しますけれども、起業者たる空港公団が申請の理由の中で述べている、公益上の必要性として述べていますように、首都圏における新たな国際航空需要を満たさなければいかぬのだと、それが最大の旗印だと言っている、その公共サービスを実現すると、こう言っているわけですね。じゃ国際空港としての公共サービスを満足すべき条件として、施設によって実現するために必要な空間、つまり用地の取得を保証していたはずですよね、これは。それも違っていませんね。
  151. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) ただしその場合に、航空保安施設であるとか、あるいはパイプラインであるとか、そういうものまで全部含めなければその効用が全うできないと、こういう解釈はしていないわけでございまして、端的に申しますと、空港公団から申請のありました区域の範囲内で、空港としての効用が発揮できているとわれわれは解釈して事業認定をしたものでございます。
  152. 秦豊

    ○秦豊君 そろそろあなたはガードを固めつつあるようですね。あなた方は、つまり数学に降羃の順と昇羃の順があるでしょう。あなた数学が得意そうな顔をしていらっしゃるけれども、国際空港というのは昇冪の順でなければならない。余り経済的に切り下げた条件で、もう本当にこの程度、この程度——あなた方は、だって第一、この程度を、百を志向されて、いまの暫定、暫定、暫定、暫定の積み重ねは五十五でしかないと、それに合うような論理と答弁をあなた方はガードかたく固めていらっしゃる。運輸省も法制当局もあなた方も前任者も、次の恐らく局長もそうでしょう。次の大臣もそうかもしれない、十二月以後の。しかしそれは、非常にそのことは無理をなすっているのです。無理を。私の言っているのは、ごつごつした法理論の展開のようであるが、これは常識論をたまたまごつごつ言いかえているにすぎないので、あなたは用心深く、いや、パイプラインから何からまではありません、ちゃんと空港公団のと言って、仲間かばいをしていらっしゃるが、それはあなた方の甘さです。それは、それを認めれば大きな責任をすぐ追及されるから、あなた方は用心深くそういう表現をとっていらっしゃるのだが、それは間違っていますよ。  じゃ、観点を変えますがね。あなたは少しちょっと足を引いたが、慎重に言った答弁をぼくなりに言いかえますとね、つまり成田空港の建設事業として認定されて、または特定公共事業として認定されたその起業地、認定された広がり、これさえ取得できれば、起業者たる空港公団が申請書でるる主張をし、誇らしげに主張をしております公益性というものは実現できるということに論理的にはなりますわな。違いますか。
  153. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 実現できると思います。
  154. 秦豊

    ○秦豊君 この個所は非常に素早く対応されたですね。意見を同じゅうしました。解釈を同じゅうしました。そうしますと、ちょっとあなたと違っている点は二つあった。二つ合意した、完全に。そうしますと、成田空港の開港が七年ちょっとおくれた。つまり大幅と言ってもいいですね、大幅におくれた。それから開港の実態はあなたも御存じでしょう。当初の計画が一〇〇とすれば、ぼくは五五%と言ったが、これはむしろおもんばかったような、配慮過剰の表現であって、もう五〇%に満たないと言う専門家は多いんです。能力の解析評価では。外国のエアラインからも、もう物すごい不満が出ているんですね。しかも国際空港としては二十四時間使えねばならないのが、限時的にしか使えない。それで、ぼくらがるる運輸委員会等で述べてきたように、早くも霧や赤い粉じん、砂じんを含んだ北総台地特有のあの風で、パイロットが国際パイロット協会で問題にしているぐらいなんです。また新たに。またこれから問題が出る。ちっとも解決されていないんです。だけど、それは別として、そのように当初のこういう理想的な案を考えたが、行政が巨大なプロジェクトを推し進めるに当たってとるべきアクセス、それこそ対抗権、手数、あるいは行政としての懇切ないわゆるコンファームし、リコンファームし、青写真をつくってから住民の意思を聞き、さらに修正し、また、という、あの当然のプロセスを踏まなかった報いが、また空港公団建設省に出した申請書が、頭脳的なミスあるいはケアレスミス等々をもうほとんど数限りなく積み重ねてきた。大蔵省とのあのパイプラインの十二億円の問題なんというのはまさに尤たるものですよ。お粗末きわまるものですよ。十二億円を惜しんだために数百億円の血税が乱費されているなんというのは、まことに当決算委員会的なテーマだと思うんだが、きょうはこのことには触れませんけれどもね、法的な問題にしぼりますけれども。としますと、空港の開港がえらいおくれた、しかもはなはだしく機能が低減しているというこの開港の実態は、少なくとも、あなたがどう言われようとも、あなたは総理大臣じゃないけれども、やっぱり遺憾千万であると言わざるを得ないと思うんです。  だから、私たちは暫定空港と言っている。正常な国際空港とは評価しない、こう言っている。その点は認識が違うかもしれぬが、収用権を付与する前提となりましたのは、公益性です。そうですね。それは解釈が一致した。公益性が、しかもちょっとした公益性が、一〇〇望んだが二〇ぐらい発揮できれば、もう実は望外の幸せなんだというものではなくて、国際空港をつくるのだから、当然それにふさわしい公益性でなければならない、あたりまえの話ですよ。公益性を発揮し、公益性を維持するための施設でなければならない、あたりまえですよ。だからパイプラインも必要なんです。例の進入方式も、カテゴリーIではいけない。カテゴリーIIでなければいけない。全部ランクが上がったものでなければならない。当然のことになるわけです。  そこで、この公益性がいまは実現されていない、十全に。大臣もちらっと言われたが、いや、いま程度で私たちはもういいと思っていると言わんばかり、おっしゃらんばかりのことを言われたけれども、私たちは公益性が実現されていないということの原因は、起業地内は言うまでもありません。これはあたりまえですが、起業地内ばかりじゃなしに、起業地以外での用地の未取得であってはならないということに、これも論理上なだらかにいざなえる認識じゃないでしょうか。違いますか。
  155. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 起業地内の全部の用地が取得できなくても、飛行場として機能を発揮するような状況であれば、私は公益性はあると、このように考えます。
  156. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、最初に返りますが、四千メーターの滑走路が一二千二百五十メーターというのは、これはあなたが建設省局長であるから免れているものの、あなたがパイロットならば致命的な、いつも心臓に悪い着陸動作を繰り返しているわけですよ。例の安全精密誘導方式にしてもそのとおりなんです。燃料パイプ輸送ラインの問題はあなた御存じでしょう。そういうものを欠いたままの空港の運用が、じゃ、十全という認識をあなたはお持ちなんですか。それを聞きましょう。
  157. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 十全ではないけれども、一応の効用は果たしていると考えております。
  158. 秦豊

    ○秦豊君 それは違うんだ。あなたは運輸省の松本航空局長じゃないからお気の毒にたえないけれども、いいですか、羽田より増便すると言って移ったのですよ。それが唯一の公益性だ、だからどいてくださいと言って、不十分な行政手続のままで、あとは足らぬところはもう機動隊に頼ったのが成田の強行開港なんです。福田さんの大好きな言葉、日本国のプレステージと言っている。あれは間違っているんですよ。いいですか。いま燃料輸送だって、あなた御存じのように腸閉塞の状態にあるじゃありませんか。増便はできない。何のことはない、羽田と同じキャパシティーをそのまま北総台地に持ち込んだ。これであなた、あれでも結構だというふうなことが強弁できますか。それは間違いですよ。それは、そういう論理は成り立ちません。そういう答弁は成立しません。それは成田の実態をあなたがあえてゆがめて認識していらっしゃるということにほかならない。あの程度の機能で、あなた何で——増便にこたえられて、安全着陸精密誘導方式が完備しており、今後とも増便の可能性がある、それは二期工事が終わり、パイプラインが完成した段階であなたがそうおっしゃるならば、あるいは大臣がおっしゃるならば私は納得します。けれど、いまのこの状態をして、あれでも機能していますという言い方は、私は答弁ではなくて強弁だと思うが、重ねてあなたの答弁を求めたい。
  159. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 確かに十全なものではないと思います。私も、パイプラインができ、第二期工事が一日も早く完成することを願っているものでございます。
  160. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、少し言葉のニュアンスを変えてみたいと思うが、この航空保安施設の用地であるとか、いま申し上げた燃料輸送のパイプライン用地を欠いた成田空港の建設事業というものは、国際空港としての普遍的な、あるいは一般的に認識されている——ああ、これが国際空港であってローカル空港でないという意味の認識ですよ、そういう用地を欠いた成田空港の建設事業というものは国際空港としての効用を満たしていない、また、効用としては機能を果たしていないということは、どうやらあなたも十全という言葉をお取り消しになったからちょっと近づきましたね、認識が。  そうしますと、いま私が、ずうっとこうごつごつ申し上げてきたことをまとめますと、成田空港の建設事業というのは国際空港としての起業地適格を欠いていたと。欠いていたという、これはまあ論理的に当然私が申し上げた認識を、全部、ほとんど。二カ所、一問だけ条件を留保されたが、それもかなり近づいてきた。すべて有権解釈としては妥当ですとお認めになった。幾つかの事実関係を四つ積み重ねると、いま申し上げたように、論理的には成田空港の建設事業というのは国際空港としての起業地適格を欠いていたということにならざるを得ないと私は思いますよ。その方が素直なきょうの応酬の自然な結末ではないかと思いますが、建設省はどうですか。
  161. 丸山良仁

    説明員丸山良仁君) 残念ながら、結論は御賛成できかねます。
  162. 秦豊

    ○秦豊君 もちろん、ここで一野党議員の結論に合意をされた場合には重大な行政責任が発生します。それは福田総理大臣といえども、ちょうどあの日中問題で、私、過日の外務委員会で質問したけれども、侵略——加害と被害の原点という論理は絶対に認めない。では戦争責任をどうするかというふうにすぐともえ投げを食らいますからね。だから計画局長、精密にしてシャープな頭脳をお持ちの勉強十分な局長が、二十五分程度の追及の中で、はい、秦さんのおっしゃるとおりですという合意は形成されないかもしれないが、やっぱり論理的にはあなた方の方が詭弁であり、強弁である。論理的には私の方に整合性があり、妥当である。正論であり、あなた方が異端だと私は思います。思いますよ。  しかし、もう時間が来たようですから、最後に建設大臣にあえて伺いたいんですけれども、いま成田の問題は一種の手詰まり状態にあります。膠着と言っていいか、冷却状態と言ってもいい。そこに賢明な、怜悧な、さめた理知的な行政の眼が光っている上の膠着状態であり、一定のスタンバイあるいは冷却期間であるならば新しい可能性と結びつく。ところが、無策なんだ。しかも、これは運輸省、空港公団、内閣総理大臣官房、建設省、すべての行政の眼と手数が、二期工事をどうするのか、今後の未収用地に対してどうするのかについて発動されなければならない。そのためには現地の声をいま一度改めて聞かなければならない。これは初歩的な体さばきであると私は思うのです。  そこで大臣大臣に最後にお答えいただきたいんだが、建設省としては、じゃ、仮に計画局長の言葉をちょっともじれば、いや秦さんはそう言っても私たちは適法だとおっしゃりたいようだ、大分無理があるが。ならば、収用が全く適法であり、粗漏がなかったという自信が仮に本当におありならば、改めてこの段階で被収用者の皆さんに対して、今後のプランを含めて、もっと懇切に、もっと親切に説明をするという話し合いの新たな場を、建設省として、建設大臣として設けられるという御意思はお持ちなのかどうか。つまりこれは、福永さんというのはもうこんなふうにはまり込んでいるわけですよ。建設大臣というのは、土地収用法という伝家の宝刀によってこれもかかわりを持っているが、やや客観性と言ったら言い過ぎであるが、言葉が未熟であるが、何かちょっと福永さんと櫻内大臣は違った立場におられる。法制局長官でもないというお立場は、まさに土地収用法の最高決定権者としてここにおられるわけだから、建設大臣としては新たな話し合いの場をお持ちになる御心境をお持ちかどうか、その点だけを伺っておいて、きょうはよんどころなく一応とどめたいと思いますが、いかがでしょう。
  163. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 二期工事を促進する上においては、もう申し上げるまでもなく、空港公団が中心で仕事を進めていくことだと思うのです。その進めていく過程におきまして、いま秦委員がこの委員会でいろいろ御質問されておるそういうことも私は大変参考になることではないかと、こう思いました。私としては、現実に国際空港として機能しておると。これは客観的に見てみんなが使っているんですからね。しかし、今後の二期工事などを考えて、その二期工事の必要性も認めますし、それからそれをスムーズにやりたいという気持ちもありますから、秦委員の御意見を十分参考にいたします。
  164. 秦豊

    ○秦豊君 最後に。  それは十二月五日ごろの内閣改造というふうな観測が飛び交う中で、臍下丹田に力が入らないことはよくわかるけれども、しかし、やはり大物建設大臣として機能してこられた櫻内さんからは、もう少しやはり、福永君にも話ししましょう、福田さんにもぜひとも申し上げましょうというふうな日本語を伺いたかったが、それは望めないと思いますね。したがって、一応これで終わりますけれども、やはり行政の連帯責任あるいは継続性としては、丸山さんせっかく奮闘されたが、私を第一説得できなかった。このことは、あなた方の論理の構造に欠陥があると言わざるを得ない。多くの国民の方が、何か成田というのは行政の粗雑さと不当性や違法性の象徴だというふうな素朴な−世論調査をなさってみなさい、恐らくそういう結果が出ますよ、圧倒的に。だから、行政が安閑としていてはいけない。にもかかわらず、あなた方はそういう答弁しかできない。それが建設省局長ないし大臣の宿命であるとすれば、何という悲しい宿命であろうかと私は申し上げておきたい。これはやっぱり次の大臣あるいは建設省としても、空港という巨大プロジェクトの今後の円滑な、円満な遂行のためには行政としてなすべきは何かという点を建設省なりに踏まえた提言なり、あるいは提案なり、あるいはアプローチなり、これをぜひともなさっていただきたいということを重ねて申し上げて終わりたいと思います。
  165. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 他に御発言もないようですから、総理府のうち、国土庁及び建設省と、それに関係する住宅金融公庫決算につきましては、この程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。   午後三時五十四分散会      ————◇—————