○沓脱タケ子君 それでは、そういう特殊企業である国際電電の事業遂行上、いわゆるきわめて重要な労務政策に関連をいたしましてお伺いをしたいと思うわけです。
先ほど冒頭に申し上げたように、参考人に来ていただいておりませんから、これは大臣御承知でないことを私申し上げますから、事実を。そういうことで御判断をいただくようにお願いをしたいと思うんです。
実は、国際電電という会社は労務管理方針というのがずいぶん異例なものがやられているということが明らかになった。といいますのは、私ちょっと
資料を拝見して驚いたんですけれども、時間の
関係もございますから、実は具体的に申し上げたいと思いますけれども、これはたまたま
昭和四十年一月の「労使
関係健全化のための方針」、これは国際電信電話株式会社という名前を書いておりますが、極秘の判を押して「取扱注意」と書いてありますね。それと関連をいたしまして、「労務管理
資料別冊」、マル秘、「第五回東京大阪関門局労務懇談会要旨」「
職員部労務課」、それから「取扱注意」、日にちは四十一年十一月十九日です。来ておられたら、これありますなと言って聞こうと思うた。これは明確なんですけどね。この
資料、実は私拝見をしてちょっと驚いた。たくさん
資料がありますから、全部御紹介するわけにはいきませんけれども、主なところを少し紹介をしてみたい。
これは、第五回東京大阪関門局労務懇談会は十月の二十七日、二十八日の両日、東京
局舎内
会議室において開催されたが、これを「「月間労務概況、四一年一〇月期号」に載録いたしましたから、併せ参考として下さい。」と。講師の談話などをやっておるんです。その講師の談話もちゃんと紹介をしておりますから、参考にしてくださいと。
この最初に、この懇談会の主催者であろうと思いますが、当時黒田常務のあいさつが初めにあるんですね。何て言うているかといったら、冒頭は、「近年労務
関係の取扱いは
組織的にうまく運ばれ、
昭和三四年の大ストライキ以来、さしたるトラブルも起さず処理されており、労務
対策は一応充実された状態にあると考えている。」云々と言うて、それらのくだりをずっと過ぎてまいりますと、そのうちにこういうことが出てきております。「ご承知のとおり現在日共第一〇同党大会が開催されており、おそらくこの大会でもって一九七〇年をめざす自主独立路線が確立されると思われる。なぜ日共だけ取り上げるかというと、日共は破壊的政党であり、これが活動するところにかならずトラブルが起っているからである。」と、こういうことを初めのあいさつに言われて、その後労務事情等の御
報告をなさっているんですが、その中のくだりにこういう項もあります。「極左に関しては、最近の日共の自主の自主独立路線云々については、いろいろな判断があろうが、東京
局舎では、最近共産党員のビラまきが数カ月ぶりに表面化した。」「従来、電話局には二五、二六名の党員がいるとされていたが、再点検してみたところ六名前後という状況である。しかし、全社では一三六名の党員がはっきりしており、シンパを併せると、二七五〜二七六名いる。」云々と。だから、「今後とも十分
対策していきたいが、その
中心はやはり関門局、とくに管理者の皆さん方ということになる。」と、こういう講演をなさって、さらに左派勢力の分析とか、「左派勢力」という項にこう書いてありますね。「現在日共が第一〇同党大会を開催しており、今大会では、日共の自主独立路線の確立をめぐる幾多の問題が論議されることになっており、特に、日共が
昭和三九年に打ち出した「思想教育と党勢拡大総合二カ年計画」の経過
報告が
一つの焦点になると思う。」云々ということなんですね。こういうことを言っておられる。これは黒田常務のごあいさつの中で言っておられる。
それからそれに続きまして討論で、「技術革新下の労務管理のあり方」と銘打ちまして、
報告者は井出安雄という方ですね。現在名古屋の
局長さんをやっておられるんですかね。その方の
報告の中で、基調
報告らしいですね、「左派
対策として、防衛が叫ばれているが、攻撃は最大の防禦というところから徹底した差別待遇を主張したい。例えば、左派の主任の格下げは勿論のこと、社宅の入居、住宅
資金の貸付、福利厚生、レク運動の選出」——レクリエーション運動らしいですね、「レク運動の選出等も徹底すべきと考える」、こういうふうに、これは基調
報告ですね、そういうことが言われている。
さらに
報告の中では、いろんな案がありますのですが、ちょっと特徴的なところだけ。
一つは、やはりこの井出さんとおっしゃる方ですが、討論の中で、「反社会的行動をとる者に対する差別は裏を返せば実質的公平がはかれるという
意味である」、むずかしい論理です。「生休管理の例でも」——生理休暇のことですね、「生休管理の例でも、個人的肉体
条件はともかく、必ず二日をとる人と全然とらない人との間には当然、差別があるべきで、今の生休管理はあってなきが如しと考える」、こういうことをおっしゃっております。
さらに討論の中で言われているんですが、これは司会者が、第一分科会の部下統率の進め方とも関連するということで一緒に討議したいということなんですね。「課長と、課長代理・主任・宰領との意思統一について」というところで論議をしておられるのですが、どんなふうに言っているかというと、添田さんとおっしゃる方、これは現在は管理第一課長さんですか。その方がどう言うかというと、「最近は共産党といっても表面的には見分け方がむずかしくなってきている」。それから「厚生施設などについては、差別の方向に持っていくべきと考える」。さらに石塚さんとおっしゃる方、これは現在大阪の電話
局長ですかね。「気持としては徹底的に差別でよい」。それから小山さんとおっしゃる方です。これは現在大手町の施設副
局長のはずですね。この方は、「差別といっても、一例として、年休を与えない等はできない。基本的には差別でよい」。さらに東良という方ですが、これは現在神戸の
局長ですね。「実際問題として、差別待遇の言葉だけ聞けば、シコリが残る。しかし、左派分子に対して、厳しく対処していこうとすれば、登用については、はっきりしている者は
任用しない」。それから、「
日常の件は平素の行動をはっきりチェックしておかないと、意識的に逆宣伝される」。というようなことを言うておられる。
これは、ごく一部をお読みしたわけですけれども、御紹介したわけですが、これ労務
対策、労務政策とおっしゃるけれども、全く最初のその黒田常務の情勢
報告などに、どうして日本共産党の十回大会がやられていて論議の
中心は何でといったことが情勢
報告の中に出てくるのか、全く
一つは不可解です。
それからもう
一つは、労務
対策というけれども、左派
対策だとか何とかいう表現を使いながら共産党及び民青
対策になっている。こういうことが会社の労務管理政策としてやられていることについて、大臣どう思いますか。
私は、これは今日の日本の社会では明確に憲法十四条違反です。憲法の十四条違反、労働
基準法の三条違反明確だと思うんです。こんなことがぬけぬけやられているんですが、大臣どう思われますか。