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1978-10-27 第85回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月二十七日(金曜日)    午前十時五十七分開会     —————————————    委員異動  十月十六日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     安武 洋子君  十月二十三日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     市川 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 楠  正俊君                 坂元 親男君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 降矢 敬義君                 穐山  篤君                 小野  明君                 吉田 正雄君                 黒柳  明君                 市川 正一君                 沓脱タケ子君                 野末 陳平君                 秦   豊君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君     —————————————        会計検査院長   知野 虎雄君        検  査  官  鎌田 英夫君     —————————————    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    衆議院事務局側        管 理 部 長  進藤 秀雄君    説明員        公正取引委員会        事務局審査部審        査統括官     出口  保君        経済企画政務次        官        前田治一郎君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        科学技術庁長官        官房参事官    加藤 泰丸君        科学技術庁計画        局科学調査官   吉村 晴光君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        大蔵省主計局主        計官       新藤 恒男君        大蔵省銀行局特        別金融課長    中田 一男君        大蔵省銀行局中        小金融課長    吉居 時哉君        国税庁調査査察        部調査課長    五味 雄治君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        通商産業省通商        政策局長     宮本 四郎君        通商産業省立地        公害局長    伊勢谷三樹郎君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        資源エネルギー        庁長官      天谷 直弘君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        児玉 勝臣君        資源エネルギー        庁石油部長    神谷 和男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  豊島  格君        資源エネルギー        庁公益事業部技        術課長      松田  泰君        中小企業庁長官  左近友三郎君        消防庁危険物規        制課長      小池 次雄君        消防庁地域防災        課長       中川  登君        会計検査院事務        総局第四局長   岡峯佐一郎君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      渡辺 佳英君        中小企業信用保        険公庫総裁    近藤 止文君        中小企業信用保        険公庫理事    上田料 巽君        中小企業信用保        険公庫経理部長  杉山  孝君        石油公団総裁   徳永 久次君        石油公団理事   江口 裕通君        海外経済協力基        金総裁      石原 周夫君        海外経済協力基        金理事      結城  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月十六日、橋本敦君が委員辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。  また、二十三日、安武洋子君が委員辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。     —————————————
  3. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際、会計検査院長知野虎雄君及び検査官鎌田英夫君からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。会計検査院長知野虎雄君。
  4. 知野虎雄

    会計検査院長知野虎雄君) このたび会計検査院長に任命されました知野でございます。  微力でございますが、誠心誠意その職責を果たしてまいりたいと存じておりますので、何とぞ御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げます。
  5. 寺田熊雄

  6. 鎌田英夫

    検査官鎌田英夫君) 私、このたび検査官に任命されました鎌田でございます。  至って微力でございまするけれども、その職務の遂行に当たりまして、一段と決意を新たにいたしまして誠心誠意努力してまいる覚悟でございます。何とぞ一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  7. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) お二人とも大変御苦労さまでございました。     —————————————
  8. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 次に、昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総理府のうち、経済企画庁及び通商産業省と、それに関係する中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 近藤中小企業信用保険公庫総裁は退席されて結構です。  なお、渡辺中小企業金融公庫総裁は、後刻再び御出席願うこととし、一時退席していただいて結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 宮澤長官が後刻見えるようでありますので、質問につきましては通産省関係から始めさしてもらいたいと思います。  一つは、最近におきますガソリン販売価格の問題です。これは消費者立場から言えば、販売価格が安くなるということはいいことだというふうに思います。ただ、最近の傾向を見ておりますと、各地域で相当の過当競争あるいは乱売という傾向が一つ見えるわけであります。しかし、一面、私の調査によりますと、円高差益還元という立場からはかなり遠い値段のつり上げといいますか、価格統一をして販売をしておるという、こういう現実もあるわけであります。  さて、そこで、こういう非常に複雑な状況になっているわけですが、通産省として、円高差益還元という立場ガソリン販売価格指導をされているのか、あるいは私がいま指摘をしましたように、乱売過当競争というふうな立場から見て販売価格維持対策を強化するということに中心を置くのか、これは非常に大切な政策課題だというふうに思いますが、まず最初に指導姿勢についてお伺いしたいと思います。
  12. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 原則的に申し上げますと、最近の円高石油価格というものは当然下がらなければならない要素がございます。一面、備蓄のための保安対策の強化あるいは備蓄の費用、新しい税金負担、こういうものもありますけれども、それ以上にも増して円高差益の方が私どもは大きいと思いますので、原則的に言えば相当下がってしかるべきものだと考えます。したがいまして、灯油なども下がるように行政指導をしておりますし、LPGなども下がるように行政指導をいたしております。ガソリンとても基本的には同じ考え方でありますが、ただ、何分にも全国で五万七千というガソリンスタンドがございまして、地域的に見ますと非常に乱売が激化をいたしまして、そのために経営が非常に困難になるというスタンドも相当見受けられますし、それから経営が困難になりますと、いろんなまぜ物をいたしまして、結局粗悪ガソリンを売ると、こういう傾向も間々見られるのであります。そこで、余りひどいところは、先般成立をいたしました法律に基づいて地域指定をいたしまして、過当競争にある程度歯どめがかかるような行政指導もしていかなければならぬのではないか、こういうことでありますから、原則的には下げなきゃならぬが、過当競争がひどくて消費者がかえって迷惑をすると、こういうときには臨機応変の行政指導をする、こういう考え方で臨んでおります。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、私は先月の二十日から二十八日までの一週間余の期間をかけまして、北は稚内から鹿児島まで、主要な都市販売価格を全部調べました。この特徴を一言で申し上げますと、東京都あるいは横浜市におきましては大体の価格は百円台であります。百円から百十円で大体勢ぞろいしています。それからその他の地域は最高が百円でありまして、最低は八十八円。きのう、おとついの連絡によりますと、八十三円、八十二円というのがあるわけであります。これが市場原理から言えば、たくさん消費されるところは価格が安くて、消費されないところは価格が高いと、これが資本主義市場原理になっているわけですが、少なくともこのガソリンスタンドにおきますリッター当たり価格というのは逆さまな状況にあるわけです。  これは具体的に少し申し上げた方がいいと思いますが、たとえば札幌市の場合、日石、共石、丸善、いずれも九十円。それから仙台に行きますと、シェルが八十八円でその他は九十円。東京都及び横浜市はいま申し上げましたように、民族系、いずれも百円から百十円で勢ぞろいをしているわけです。以下私が細かく申し上げる必要はないと思いますが、こういう現実通産省はおわかりになっていましょうか。
  14. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のようにガソリン末端小売価格都市によりましてある程度の差があることは御指摘のとおりでございます。先生指摘になりました地区につきましては、札幌仙台等平均より下回っており、東京横浜等平均より上回っておるという事実は、総理府調査の五十三年八月の調査結果からも明らかになっております。  ただ、御指摘の点についてさらに詳細に見てまいりますと、この月の全国平均小売価格は百一円でございますが、一給油所当たり月間販売数量がかなり大きなところ、いわゆる大都市についてこれを見ますると、東京横浜等は御指摘のとおりでございますが、大阪であるとかあるいは北九州、福岡、広島等、これらは先生指摘のような、札幌仙台と同じように平均を下回った価格になっておると。特に西の方の競争は一部の地区を除いてはかなり激しいように見受けられております。しかし他方、中小都市でございますと、これらにつきましても必ずしも一律ではございませんで、平均を上回っている都市もかなり見受けられまして、大量販売都市ガソリン価格が特に高く、販売量の少ないところが特に低いという傾向が顕著にはあらわれていないのではないかと思いますが、ただ、ガソリン販売方法につきましても、たとえば一見の客と申しますか、非常に交通量の多いところで固定客相手とせずにガソリン一本にしぼって商売をしておるところと、それから、客数は少ないけれども固定客相手にしておるところとでは商売やり方等も違っておりますので、このように価格が激変しております時期におきましては、地区によりまして先ほど先生指摘のような原理のみが働いていない地域が出てきておることは確かだろうと思っております。  ただ、これらの問題につきましても、その格差が余り著しくなるようであれば、いわゆる競争条件を阻害しておるような特殊な要因が発生しておるものと推定されますので、われわれといたしましては、地区別状況も常時ウォッチしながら、特に問題があるような場合にはさらに調査をしてまいりたいと思っております。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 それから東名高速あるいは東北縦貫道におきます価格でありますが、これも幾つか私は調べました。その結果百十円というふうに、いずれの販売店価格が同じであります。この点は御存じですか。
  16. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 高速道路ガソリンスタンドにつきましては、日本道路公団法の十九条に基づきまして道路公団がその建設及び管理を行っておりまして、ただ、その運営につきまして一般民間企業運営をさせておると、こういうふうに承知しております。その結果、高速道路ガソリンスタンド価格は比較的統一されておるように承知しておりまして、御指摘のように、リッター当たり百十円というふうに了解しております。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 私の調査によりましても、どうも都心部におきましては価格がある程度談合されているのではないかという疑いを持たざるを得ないと思うんです。それから、いまおおむね百十円というふうに言われましたが、全部百十円で統一をされているわけです。これはきょう公取さんが見えておりますから、資料をこの場でお見せをいたしますが、これまた価格について談合がされている疑いが非常に私は強いというふうに見るわけであります。乱売過当競争という現実が一方にはある。片方には価格維持をするという見地から談合をした可能性が非常に強い。なかんずく、都心部とこの高速道路におきます価格については、もうだれが見ても間違いないほど談合がされているというふうに疑いを持たざるを得ないわけです。この点について通産省はどうお考えですか。
  18. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 高速道路価格につきましては、先ほど私おおむねと申し上げましたが、先生指摘のとおり百十円になっておると了解いたしておりますが、これは高速道路公団の建設いたしましたガソリンスタンド経営を委託される際の契約、これに基づきまして個々のガソリンスタンドはその販売価格公団に届け出る、承認を事実上求めると、こういう形になっております。しかも、御承知のように、高速道路上というのは競争条件が他の一般道路と異なったような競争条件になっておりますので、その結果、その届け出た上限価格というものですべてが売られることになっておるのではないか、この点高速道路特殊性に基づいておるというふうに了解いたしております。  ただ、別途一般道路通常の市街地におきますガソリンスタンドにつきましては、都心部においてわれわれとしては特に談合が行われておるというような状況があるとは理解いたしておりません。むしろ、やはりその地域に応じて各系列間の、あるいは各ガソリンスタンド間の競争はかなり激烈であるというふうに了解いたしております。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 高速道路の入り口のスタンド、これはリッター当たり九十三円でありまして、高速道路に入ってすぐサービスエリアがあるわけですが、そこのガソリンスタンドでは百十円、こういう現実があるわけですね。  さて、そこで公取さんに私は資料を見せてからお話しした方かいいでしょう。この調査の結果、独禁法の第三条に私は該当するんじゃないか、あるいはその事業者の団体ということになりますと独禁法の第八条第一項の違反ということになるんじゃないかと私は思いますが、いま私がそちらに出しました資料からそういうふうに私はきめつけたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 出口保

    説明員出口保君) 具体的な事実関係につきましては現段階では把握しておりませんので、意見は差し控えさしていただきたいと存じます。  なお、一般的に申し上げますと、価格の水準につきましては、需給状況とか競争関係によってこれが価格に反映されるということでございますけれども、いまお見せいただきました領収書によりますと、安い物と高い物とあるということでございますので、これをもって直ちに独禁法三条なり八条違反ということはむずかしかろうと存じます。この資料につきましては、なお細かく検討してみたいと思っております。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 私は三条ないし八条の疑いがあるということで資料を添えて申し上げたわけでありますので、即断はできないことはよくわかります。しかし、円高差益還元という立場から考えてみましても、あるいは公正な競争という立場から考えてみても、都心部都市部あるいは高速道路価格につきましては非常に疑わしいというふうに思います。したがって、十分これは実態の調査をしていただいて、後刻取り扱いについて明らかにしてもらいたいと思います。  さて、いまは価格統一の問題を指摘をしたわけですが、乱売あるいは過当競争などの点についてもう一度お伺いをします。  元売からそれぞれのガソリン販売店仕入れ価格八十五円で仕入れている。ところが、これに無印をまぜて売っているところも非常に最近ふえてまいりました。その仕入れ価格メーカー物仕入れ価格八十五円を割って八十三円、八十二円で売っているところもあるわけです。これは異常な事態だというふうに思うわけです。高度成長のときの名残がまだありまして、全国に五千七百店という販売店があるわけですけれども、十分にそれが整理をされないままにいま競争が行われているわけですね。まあ農協の問題であるとか、あるいは元請がシェアを拡大をするためにいろいろな知恵を出している、具体的には申し上げませんけれども。あるいは流通経路についても隘路があるというふうなことがいろいろ重なり合いまして、原価を割っても、仕入れ価格を割っても乱売をしている。これは、消費者立場から言えば安ければ安いほどいいという一面はありますけれども、しかしまた一面では混乱をしているわけです。すでに商売がやっていけないために店を畳んだところ、あるいは畳まざるを得なくなったところも数店見受けられるわけです。そこで、ガソリン販売法に基づけば何らかの措置は法的に行うという事柄もできるわけですが、この措置について、いま通産省としてはどういう手を打つのか、あるいはどういう姿勢で具体的な指導をされるのか、明確に出す必要があるんじゃないかというふうに思います。もちろん、これは単に出先の販売店だけの問題でなくして、元売だとか、その根源をたどっていかなければ、この問題についての解決はむずかしいというふうに思います。したがって、当面の措置と、やや恒久的な措置についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のとおり、ガソリンスタンドガソリン販売の中でも、特に末端におけるガソリンスタンド競争は、一部においては過当競争と言われるような状況にもございますし、全般的に見てもやや過当競争ぎみというふうに考えられております。  その原因として、いろいろございます。先生指摘のような、無印を仕入れてという問題もございますが、これにつきましても、粗悪ガソリンでございます場合には、揮発油業法に基づいて、われわれとしても消費者に迷惑がかからないよう適切な措置を講じてまいらねばならないと考えておりますが、いわゆる無印と言われておるものは業転物と称されるものが多いというふうに考えております。この業転物につきましては、現在の揮発油業法のもとにおきましても、すべてのガソリンスタンド元売系列下にするという考え方を必ずしもとっておりませんので、市場にそのような品物が流通することを一概に法律上問題ありときめつけるわけにはいかないというふうに考えております。ただ、全体の需給関係アンバランス等から、このようなものが通常の、正規のルートを通るいわゆる玉よりも、非常に価格差のあるような形で転々流通することは、正当な健全な流通機構を育成していく上で適切ではないというふうに考えております。これらのような現象が発生いたしますのは、基本的には、やはりガソリン需給関係アンバランスということから生ずると思いますので、われわれは第一義的には石油製品供給計画というものを通じまして、適切な需要に見合った生産が行われるよう、精製会社、あるいは元売会社指導してまいりたいというふうに考えております。  しかし、それにいたしましても、やはりガソリンスタンド業界というものは、ユーザーがたとえば車で走り回るというようなことで、一言で言えば、非常に競争条件の完備されておる小売市場でございますので、ややもすれば過当競争に走る体質を持っておりますので、これにつきましては先般制定されました揮発油販売業法の適切な運用を通じて、過当競争の生じておるような地区に関しましては、先ほど大臣から答弁のありました、指定地区指定といったような手段を通じてそれらの地区ごと問題ごとに対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 この問題、では最後にしたいと思いますが、いま言われた揮発油販売業法に基づいてしかるべく措置をしたいという答弁なんですが、当然価格の問題と地域の問題と、いずれも指定、勧告することになるわけですが、しかし、これは時期を失しますと、また改めてこの種の業種の救済というふうなばかばかしい話に陥ってしまうと思うんです。したがって、早速にも私は十分全国調査をして、適切な措置をとるべきだということだけ申し上げておきたいと思うんです。  さてその次に、宮澤長官が見えましたので、円高の問題について質問をしたいと思います。  急に円が高くなった、あるいはドルが安くなったという状況にありますね。アメリカカーター大統領が、インフレ対策ということで、この二十五日に五項目の対策を発表して、インフレの収束と同時にドル安を何とか救済をしたいというつもりで発表されたわけですが、皮肉なことに、これを契機にして、結果としてドル安円高という傾向になった。一時百八十円台から百九十円に戻るのではないかというふうに数字は示していましたけれども、これは百八十円台が、きのうきょうのところでは、百七十九円というふうに大変な棒上げ状況にあるわけですね。これは日本にとって大変影響のある数字だと私は思うんです。  そこで、この百七十円台というものはしばらく定着をするのか、あるいはそれとも百八十円から百九十円に回復をしていくのか、それらの見通しについてはいかがでしょう。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一昨日アメリカ大統領インフレ対策の第二弾が発表されたわけでございますが、その中でカーター大統領自身が、この政策の効果については、すぐに遅過ぎたあるいは少な過ぎたというような批判をするのでなく、しばらく時間をかけてほしい、必ず効果を上げると自分は考えているということを述べておられますので、確かにそういう面もございましょうからしばらく批判は差し控えたいと存じますけれども、各国、ことに為替相場の受け取り方といたしましては、あの対策アメリカ自身のインフレーションを抑えていこうということが主眼でございますから、したがって、そういう意味で、時間がかかってインフレが収束すればドルに対する信頼が回復されるという考え方ドルの国際価格そのものをすぐにどうかしようと申しますよりは、アメリカインフレを鎮静化させることによってやがてドルの購買力をふやそうという考え方に立っておりますので、したがいまして、即効的な面が弱いということを為替相場が反映したのではないかと見ております。  この行方をどう考えるかということでございますが、これはもう申し上げるまでもないことで、見当のつけにくいことでございます。が、大勢的に見まして、円が過大評価されておるあるいはドルが過小評価されておるということは多くの人々の意見の一致しておるところでございますから、長期的に見ますと、やがてドルがもう少し高く評価される時点がくるのではないかというふうに考えております。  なお、御指摘のように、すでにわが国では輸出が減り始めて、前年同期に対しましては顕著に減り始めておりますし、通産大臣もまた年度当初からそのような指導をなさってこられました。他方で輸入が実質的にはかなりふえつつございまして、この両方のことから、さらに円高が続きますと、いわゆる七%の成長目標の足を相当引っ張る要素になってまいります。すでに私ども経済見通しでも、年度間を通じまして輸入の増、輸出の減、一・二%ぐらいのGNPを押し下げる効果があるのではないかと九月ごろに考えておりましたわけでございますので、その後さらに円高が続くということになりますと、この傾向が強まるのではないかということを憂慮いたしております。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 いま大臣指摘をしましたように、輸出の減少という面が片方ではあるし、それから輸入の増加というふうなことで、GNPは一・二ないし一・五ぐらい引き下がる、この見通しが正しいということになりますと、七%成長を維持するためには内需の拡大というものを、いままで想定した、あるいは計画したもの以上にやらなければ七%というものは到達ができない。それは国民に対する一つの公約をどうするか、あるいは国際的に七%というものを言った国際的な公約に対する信義はどうなるかという問題が一つ出ます。  それからもう一つは、国際的に言うと、例の経常収支の黒字幅についても全く無関係ではないというふうに思います。そうしますと、典型的にGNPと経常収支の問題を指摘をしたわけですが、過日の臨時国会で言われておりました総理大臣の政策だけでは公約を果たすことは不可能だというふうに考えます。その点はどう政府としては対処されるつもりですか。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前段の成長の問題でございますけれども、私ども九月に補正予算を決定いたしまして御審議をその後願いました段階で考えておりましたことは、輸出の減、輸入の増を合わせまして一・二ぐらいの成長を下に引っ張る効果があると見通しておりましたので、したがいまして、まさに御指摘のように、七%を達成するためには少なくとも国内需要の成長が八%以上なければならないということは想定をいたしておりました。現実には八…二%程度の成長を国内需要としては考えまして、九月の段階で補正予算、それから見通しの事実上の見直しをいたしておるわけでございます。したがいまして、海外要因が一・二程度のマイナスにとどまりますならば八・二%を確保すればよろしいということに内需としてはなるわけでございますが、四半期ごとに見ておりますと、四−六月期では内需が一−三月期にくらべまして二・三%上昇いたしておりまして、これは年率にいたしますと九・四、五%になると考えますので、このペースであります限り、内需そのものは予定の線をかなり上回っておるということになってまいります。でございますから、そのような内需の趨勢が七−九月期にもあるいは十−十二月期にも比較的順調に続いてまいりますならば、内需の八・二%という線は確保できるということになるわけでございまして、九月の先般御審議を願いました補正予算もそのような効果を考え・まして編成をいたしたわけでございます。七月−九月期のいわゆる国民所得の暫定数値は十二月になりませんと出てまいりませんので、いま申し上げることができないわけでございますが、まず六月以後の経済の動きを見ておりますと、ほぼ経済は回復の基調に乗っておるというふうに大勢的には判断せられますので、国外要因を除きますと内需の方はまずまずのところに来るのではないかという見方をいたしております。  次に、経常収支の問題でございますが、輸入はふえ始めておりますし、輸出は減り始めておりますので、それに関します限りわが国の基本的な政策努力は実りつつあると考えておりますが、御承知のように、輸出の単価は二十数%前年同期よりふえておりますし、輸入の方はこれは非常に輸入価格は下落しつつございます。そういうこともございまして、輸出の減、輸入の増という数量的にははっきり傾向が出始め、定着するかと思われますけれども、それがドル表示で経常収支を落とすというところまでなかなかいき切れないというのが現状でございます。しかし、わが国としてはどうもこういう方向の努力を進めるしか方法はないわけでございまして、対外的には、そういうわが国の努力が数量の上ではっきりした傾向になってあらわれてきているということをもって十分に国際的な信義にこたえ得るものというふうに考えております。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 細かいことを指摘をしたいんですが、時間の都合で簡単に輸出の問題だけに限りたいと思いますが、相場は相場に聞けというのがよく日銀総裁の発言になっているわけですけれども、この騰貴が、騰貴らしきものが続きますと、百七十円台、まあ百六十円ということになりかねないじゃないかというふうに思います。そうしますと、わが国の景気、産業への影響、深刻な影響があるわけですが、いままで問題にしてきました輸出に関する措置ですね、まあ主要品目については数量ベースで大体前年度の水準を維持あるいはそれ以下にするということで強調してきたわけですけれども、もはやこれも考え方を変えざるを得ないんじゃないか。変えることによってまた新たな摩擦が起きるということも承知をしますけれども、こういうふうに深刻なまた新しい打撃が加わりますと、政府が持っております政策、特に輸出産地に対します影響、あるいは輸出に関する措置というものも思い切ったことをとらざるを得ないと思うんですが、その点いかがですか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 輸出がこのように減り始めておりますこと、ことに、通産大臣行政指導をしておられますいわゆる八項目を中心に減りつつございますことは、一つは行政指導の結果でございますし、あるいは相当の部分がまた円高の反映であるかもしれません。その分析は簡単でございませんけれども、両方の要因が寄与しておると思われます。そしてそのことが国内的にデフレ的な要因になりますことは御指摘のとおりでございますが、他方で、しかし、わが国の国際的な責務としては、やはり輸出を控えていき、輸入をふやしていくということが基本的な方向でなければならないであろう。そのことと成長とがいわばトレードオフの関係にあるということは広く認められているところでございますけれども、それがかなり現実の問題になって厳しくあらわれてきたというのが現状ではないかと思います。したがいまして、いま御指摘になりました産地産業、ことに輸出を中心にいたしましたそのような産地に対しましてはすでにいろいろな措置を政府としても講じておりますけれども、さらに新たな追加措置も、来年にかけまして、場合によりまして立法等の形で必要になるのではないかと存じておりますけれども、それらの全体につきましてはあるいは通産大臣がお答えになられてしかるべき問題であろうかと存じます。
  29. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昨年は非常に輸出が伸びまして、国際的にもいろいろな摩擦を生じたものですから、新年度四月以降は行政指導をいたしまして、数量ベースで昨年より輸出がふえないようにという行政指導をしてまいりましたが、それもさることながら、ことしの中ごろ以降の急速な円高の影響もございまして、輸出は急速に数量的にも円ベースでも減ってまいりました。たとえば最近の七−九などの様子を見ますと、円ベースでは一割近くも減っておる、こういう状態でございます。これだけまた円高になりますと、九月二日には数量ベースでは大体六、七%ぐらいな減少かなと思っておりましたけれども、あるいはそれ以上減少になる可能性もございます。  ただ、何分にも現在は投機相場でございますから、この投機相場がどこまで、どの期間続くかよくわかりませんので、どの程度におさまるかを見きわめまして最終の判断をしなければならぬと思いますが、いま通産省の事務当局が貿易業界などのいろんな実情を調査をいたしまして、最終的にどう判断すべきか、いろいろ準備をしておるところでございまして、近く何らかの結論を出したい、かように考えております。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 円高に対するメリット、デメリットいずれもあるわけですが、さて、過日発表しました差益の還元あるいは輸入品の価格動向調査に関して二、三の点をお伺いをしたいと思いますが、先日発表されました価格の動向調査によりましても明らかなとおり、輸入価格が下がって小売価格が下がる、これは常識でありますが、輸入価格は相当下がりながらも小売価格は依然として上がっている、あるいは横ばいというものが指摘をされております。エビだとか、落花生、インスタントコーヒー、チョコレート、以下七品目ぐらいこの資料を見ますとあるわけですが、この調査の結果は言うまでもなく前から指摘をされていた事柄です。第一次の発表から第四次の発表まで発表された際にも、その都度流通機構の問題、あるいは関税の問題、あるいはマージンのあり方の問題などを含めていろんなことが指摘をされていたわけですが、今回も同じように、特定な品物だけが依然として価格は下がりながら小売価格は上がっている、または横ばいと。一言で言えば無策じゃないかというふうに言われてもしようがないと思うんですね。なぜこういうふうな結果になったのか。全部の品名についてお答えをいただかなくても結構ですが、たとえばエビだとかインスタントコーヒーというふうなものについて、代表的なものについて、その理由を明らかにしてもらいたい。
  31. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 八月の調査の結果につきまして、ただいま御指摘になりましたように、輸入価格が下がって小売価格が下がらなかったもの、また上がったもの、この品目が七品目になっているわけでございます。これは先月調査いたしましたときに五品目でございましたので、二品目増加いたしておりますが、この中には、八月に円高がかなり進展をいたしまして、七月に対して六%ほど円建て輸入価格を下げるというようなことになったものでございますので、その関係でふえてきたという面がございます。そういうものについては、ある程度タイムラグなどの問題を考えていかなければならないと思っております。  それから、個別の品目につきましては、それぞれ理由はございますが、ただいま御指摘のありました品目につきましては、エビでございます。エビについては非常に産地とかサイズとか、それから包装の仕方、そういうことで非常に多種多様でございまして、私ども従来見ておりましたのは、その中でも包装でございますと真空包装というようなものを選んで見てきたわけでございますが、普通の包装とか、包装のないものまで範囲を広げて見ていかないと、どうも実態の把握が十分できないのではないかということで、七月からそういうものを調査対象に加えてやっております。さらに、個別のエビについて末端から追跡調査をするというようなことも現在あわせてやっておりまして、その辺をさらに調査を深めて判断をしたいと思っておりますが、従来の状況ですと、やはり魚の高値が昨年あったわけですけれども、そういう影響が残っているというふうに判断をしてまいったわけでございます。  それから、インスタントコーヒーにつきましては、八月に二三%から二五%程度の値下げが行われておりますので、最近の国際価格の動き等を見まして、これからその価格との関係等について、その小売価格と輸入価格との関係について適正でない点がございますれば、さらに指導を深めていきたいと考えております。  それから、チョコレートの製品につきましては、この調査を終わりました九月になりまして多少の値下がりが出ております。そういうことで、これから調査を毎月やることにいたしておりますので、その結果を見て、必要に応じて関係省庁と御連絡をして指導をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 たとえばコーヒー豆とインスタントコーヒーとの関係ですが、去年の十二月、豆の方ですよ、キロ千三百六十円だ。ところがインスタントコーヒー、三分の一になるわけですけれども、小売価格が二千八百二十二円。五十三年のことしの四月、豆の方は輸入コストで千百五円で、インスタントコーヒーの方が二千八百六十七円ですね。それから七月ですね、輸入コストはキロ八百八十八円というふうに、四月の調査よりもずっと下がっているんです。にもかかわらず、インスタントコーヒーの小売価格の方は二千八百六十七円と、ことしの四月の値段と全く同じになっているわけです。それから、皆さん方のお調べの八月ですね、八百三十八円の輸入コストでようやく二千三百十一円に小売価格が下がっています。これは一見非常に奇妙な相関関係数字の上では持っております。これは説明のできない小売価格ではないかというふうに私は見るわけですね。  私ども社会党が過日新聞に発表しましたものによりましても、二千三百十一円というのは高過ぎる。いまスーパーその他で、百グラムあるいは百五十グラムという単位で売っておりますけれども、標準価格が千二百五十円ですね。しかし、これは八百五十円まで下がる計算になっているわけです。時間がありませんから私どもの積算資料は省略をしますけれども、非常に高い価格販売されているということについて、私どもは円高差益還元という点から非常に不満を持っています。  幾つか例を申し上げる時間がありませんけれども、いま私が申し上げた豆とインスタントコーヒーとの関係ですね。非常に高い価格で据え置かれていると、この点についてはいかがでしょう。
  33. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 円立ての輸入価格の方が、昨年——昨年といいますか、五十一年の十二月の調査を始めた時点から国際価格の上昇の影響が及んでまいっておりまして、輸入コストが昨年の十二月ごろまで上がってきているわけでございます。そういうことで、実際に小売価格へその影響が出てきていると思うわけでございますが、それがその後コーヒー豆のコストが下がってきたと、そういうことが小売価格に反映しないのはおかしいのではないかということで、調査の結果を見まして農林省の方でも指導をされて、五十三年八月にこれだけの値下げが行われたというのが従来の経緯でございます。また、あの五十一年の十一月の基準時点の輸入価格、コーヒー豆の輸入価格とそのときの小売価格というものの関係が十分コスト的に説明できるものであるのかどうか、スタートのときの関係等については、なお当時非常に価格の国際相場の変動が激しかったものでございますから、その辺について在庫の関係とか、高値で買ったものがどのくらいあるかというようなこと等について、やっぱり相当中身を見てまいりませんと的確な判断ができないのではないかと思うわけでございまして、現状で私どもこれで十分だというふうに考えているわけじゃございませんけれども、一応値下げが行われた段階でございますので、さらに輸入コストの動向等をよく見て、そして適切な措置をしたいと考えております。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 いま私は数字をちょっと申し上げたわけですが、輸入コストで二百円も下がっていながら小売価格の方では同じ価格になっているんですね、二千八百六十七円というふうになっているわけですよ。こういうふうなばかばかしいことが放置をされているということは全く言語道断だと思うんです。  時間がありませんからこれ以上申し上げることは控えますが、そこで、確かに円高差益の問題につきましては、ガスと電力料金については御案内のような措置がとられました。しかし、その他の公共料金的なものにつきましてはまだもたもたしておって、現実に差益の還元価格の低下ということが現実の問題としてあらわれていないんですね。  それから、いままでも指摘をしてきましたように、毎回毎回同じことが言われながら、依然として特定な品目だけが値下がりをしていない。これは私は無策ではないかというふうに言わざるを得ないと思うんです。強力な政府の指導性というものがなければ、これは業者任せにしておったんでは、差益の還元と国民生活への還元ということは私は不可能だと思うんですよ。これは各省にまたがることでしょうけれども、総括をして宮澤長官、ひとつ決意を明らかにしてもらいたい。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私ども考えておりますことは、輸入価格が下がれば、そのメリットはやはり消費者還元されるのが本当であると。で、わが国の経済のあり方からいたしまして一番理想的な形は、それが自由競争を通じて行われることが望ましいと考えております。このように価格追跡をいたしておりますのも、そういう自由競争を促進する意味におきまして、消費者にもこういう事実を知ってもらう、また品物を扱う人たちはこういう事実を公表することによって世論の批判にさらされなければならない、そういう形で自由競争が促進されることを一番理想として考えておるわけでございますが、それがなかなかいろいろな事情で行われませんときは、やむを得ず具体的な行政指導に入らなければならないということも必要なことでございますが、本来ならば、自由競争でいやいやでもそうなっていくということが本来であろうと考えておりまして、したがいまして、このたびのような調査も中央ばかりでなく、地方も通じまして、毎月事実を公表していって消費者にも知ってもらい、物を扱う供給側にも、世論の批判に供給者側もさらされるようなことにしていきたいと考えておるわけでございます。  なおしかし、私企業あるいは自由競争でない種類の価格、料金というものもございますので、それはたとえばガス、電力などはそうでございますが、これは別途の措置をいたさなければなりませんでしたし、またそういたしました。それからあと政府管掌の品物でございますが、この中にもたばこなどのようにある程度の差益還元ができましたもの、あるいは肉などのように、ああいう別の仕組みでございますので、実質上の形で消費者に何か還元の方法を考えるといったようなもの等々、自由競争の行われない仕組みの分野につきましては、それなりの努力をやはり政府としてはいたしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 最後に、大阪府下で最近発生しました高圧ガス汚職といいますか、大きく言えばコンビナート汚職問題について申し上げたいと思います。  この贈収賄汚職事件というのは、この九月の十一白、大阪の府警が強制捜査を始めて表に出た問題でありまして、すでに一カ月余を経過をしております。一つは大阪府の商工部指導課というところとコンビナート地帯の五つの業者——大阪石油化学あるいは大陽酸素、ゼネラル瓦斯、興亜石油、江南バルブ工業という五つの業者との間に発生した贈収賄事件というのが一つあります。それからもう一つは、大阪の通産局公害保安課といまのところ表に出ております業者というのは大阪石油化学でありますが、その他の業者もあるのではないかというふうに疑いが持たれて調べられておりますが、いずれも贈収賄事件。ですから、役所ごとに言うならば通産局と自治省ということになるわけです。すでに調査されたり、逮捕されたり、あるいは起訴を受けたりしておりますけれども、これらに関連をしまして、この十月十六日、通産省の某幹部も東京で任意の形で取り調べを受けるというふうな忌まわしい事件が発生をしております。  時間の関係で私はだれがどこから幾らぐらいもらった疑いがあるというようなことは申し上げませんけれども、非常に遺憾な贈収賄事件だというふうに考えます。なお、目下調査が進行中でありますので、直接本省であります通産省にかかわるかどうかよくわかりません。いま申し上げることはかえって誤解を招くと思いますので、これ以上は申し上げませんけれども、ある意味で言うと、こういうものは構造的な汚職ではないかというふうに思います。これは検査とか、あるいは認可とか承認というふうな形式をとる場合には往々にしてそういう素地があるわけです。これは何も今回の事件にかかわらず、その他の省庁でも過去幾つか例があるわけです。ある意味で言うと構造的な汚職ではないかというふうに思いますが、この件について非常に私どもは遺憾な事件だと、許しがたき問題だというふうに思いますが、その点いかがですか。
  37. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 行政の衝に当たる者は、常にその姿勢を正して厳粛な態度で臨まなければならぬことは当然でございます。しかるにかかわらず、一部の者が、いまお話しのように、疑いを受けまして取り調べを受けておるということはまことに私ども遺憾でありかつ申しわけないことだと思っております。まだ調査中でございますので、取り調べ中でございますので、全貌はわかりませんが、今後ともこういうことのないように十分気をつけて厳しい行政指導をしてまいりたいと思います。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 いまはいろんな意味で重要な時期でありますので、細かいことは指摘をするのは、今回は控えたいと思います。  ただ、率直に申し上げまして、コンビナート地帯におきます環境の整備あるいは事故の発生を未然に防止をするというふうなことは当然のことだし、また地域住民も常にそのことを願っているわけです。そういうやさきに業者と所管庁が癒着をした事件が発生をしたということは、ますます地域住民の不信や不安というものをますます高めるばかりであるというふうに思います。  そこで、私はいろんな意味を含めていま非常に重要な時期だと申し上げたわけですが、当委員会としては、あるいは私といたしましては、これは決算委員会ですから徹底的に究明をしていかなきゃならない立場にあります。言いかえてみれば、通産行政のあり方の問題にかかわってきます。あるいは地方の通産局のあり方の問題にもかかわってきます。あるいは監督指導というふうなことにもかかわってきます。そういう意味では、もっともっときめの細かい議論をしなければならないと思いますけれども、私はこれで本問題を決算委員会で終わりにしたくない、後刻もう少し事情が明らかになってから、これからの通産行政のあり方あるいはコンビナートにおきます検査だとかあるいは監督だとかというふうなものを含めて、もっと姿勢を正していかなければならないし、改善をしなければならない問題がたくさん今回の事件を契機にしてあると私は見るわけです。したがって、私は委員長にお願いをするわけですけれども、本問題についてはきょうで完結にしないで、いずれの場所になるかわかりませんけれども、この事件を契機にして、これからの通産行政のあり方という問題について議論をしてほしいと思います。大阪府なりあるいは大阪の通産局公害保安課のそれぞれの方々にかかわる問題はそれ自身としていずれ警察その他で措置がされると思いますけれども、しかし、それはそれにいたしましても、残るもっと広範な問題について改善を図っていかなければならないという問題があるわけでありますので、その点について十分に理解をしていただいて、後刻理事会で取り扱いを十分に相談をしていただきたいと思います。  なお、この件について、通産大臣あるいは関係局長から、これからどういうふうにこの事件を契機にしてやっていきたいのか、あるいは改善についてどういう決意を持っておられるのか、そのことをお伺いをして終わりにしたいと思います。
  39. 伊勢谷三樹郎

    説明員伊勢谷三樹郎君) 今回の事件につきまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、まだ捜査当局による捜査が続けられておるわけでございます。しかしながら、このような疑惑を招いたこと自体きわめて遺憾なことと考えておりまして、深くおわび申し上げる次第でございます。  申すまでもなく、保安行政は国民の安全にかかわります行政でございまして、その執行にはいささかでも疑問があってはならないというふうに私ども考えております。このため、今回の事件を契機といたしまして、一段と行政執行の厳正化を図るということにいたしまして、具体的には去る九月の二十九日に全国の通産局の担当課長を集めましてこの旨を十分指示したところでございます。また、今回の事件にかかわります許認可につきましては、いまのところ、その許認可に当たりましての事項につきましては全く不正はないというふうに信じておりますが、地域住民の方々の保安面におきます不安に対応いたしますため、事件にかかわりました企業に関しまして立入検査等を実施いたしまして、万遺漏なきを期しておるわけでございます。
  40. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 穐山君、大臣答弁は別段求めないですね。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 いいです。取り扱いだけひとつ。
  42. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまの穐山君の御要求につきましては、後刻理事会において審議をして決定することにいたします。
  43. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 御承知のように、円高がますます進んでおりますし、また長引く深刻な不況も相変わらず前途に明るい見通しというものがまだ得られておらない、そういう点で、いま一番不況のしわ寄せを受けておるのが中小零細企業ではないかと思うわけです。そういう点で、とりわけ黒字倒産であるとかあるいは金融のやりくりがつかないというふうなことや、あるいは利子が重いというふうなことで、非常に困難な経営を強いられたり倒産に追い込まれるという例が非常に多いわけです。そういう点で、私は中小企業金融公庫であるとかあるいは信用保険公庫の果たす役割というものは非常に大きいと思いますし、極言をするならば中小零細企業の死活というものはこの公庫によって握られておるんではないか、と言っても過言じゃないんじゃないかと思うんです。そういう点で、私はこの金利のあり方やさらには政府の努力によって利息をもう少し下げる努力というものをやっていただきたいと思いますし、またそのことが可能ではないかというふうな点でお尋ねをいたしたいと思うわけです。非常に時間が制限をされておりますので、答弁も簡潔にお願いをいたしたいと思いますし、私の方でも予定をしておった質問の内容をはしょって聞きます。  質問の意味はもう十分おわかりかと思いますので、お尋ねいたしますが、公庫の貸し付け規模等は聞いても時間がありませんから、原資についてお聞きをいたしますが、原資の総額は四十九年度から五十三年度までどれくらいになっておるのか。それからその内訳で、政府借入金、中小企業債券あるいは自己資金が中心になっておるようですけれども、政府借入金と債券の額がそれぞれ幾らくらいになっておるのか。また、その債券の消化状況といいますか、引き受けがどういうふうになっておるのか等を主にお聞きをいたしたいと思うわけです。
  44. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) お答えいたします。  貸付金の原資は、総額を先に申し上げますと、四十九年が九千七百億、五十年が一兆六百二十四億、五十一年が一兆二千五百七十一億、五十二年が一兆四千百四十八億、五十三年度が一兆四千六百九十二億ということになっておりますが、その中で、全部について申し上げるのは時間をとりますので、五十三年度について差し支えなければ申し上げて御理解いただきたいと思うんでございますが、五十三年度の一兆四千六百九十二億の中で、政府から借り入れます借入金が九千百十二億、中小企業債券、これが七百億、この中で政府の引受債が五百五十億でございます。それから回収金等が四千八百八十億、そういうようになっております。  以上お答え申し上げます。
  45. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 五十二年十一月一日から実施をされた中小企業信用保険法に基づく指定不況業種にかかわる貸し付けの件数と額ですね、それがどれくらいになのかということをお聞きをしたいんですが、これも時間の関係ではしょりまして、当初八・六%で出発をした利息がことしの四月一日から八・一%に引き下げられましたが、これは間違いございませんか。
  46. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) 間違いございません。
  47. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 五十三年四月一日以前に貸し付けた分についての減免措置がどうなっておるのか。たとえば貸し付けた時点では指定に入っておって、五十三年の一月一日とか、あるいは四月一日から指定でなくなったもの、あるいは相変わらず指定業種に入っているものというふうにいろいろあると思うんですけれども、この減免措置について簡単に実情を聞かしてください。
  48. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) この不況業種に対しまする既往の貸付金利の引き下げにつきましては、一応引き下げたものがまた元へ戻るという例はございません。これはだんだん業種をふやしていっております。  それから八・六%が八・一%になりましたのは、さかのぼって八・六%と同じように八・一%を適用しておりますから、すべて金利の点につきましては軽減の方向に向かっておるわけでございます。つまり、不況業種に属するもので既往の貸付金利で八・六%以上のものは八・六%にまず下げました。それをことしの四月から八・一%に下げたわけでございますが、これはさかのぼって昨年の十一月一日から適用しております。それから不況業種の指定も、これは信用保険公庫の方の指定業種をそのまま採用しておりますから、これは業種が広がっておりますけれども、いままで指定になっておったものが指定が外れるということはないわけでございます。さように存じております。
  49. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 あれですか、八・六%で貸し付けた、それからことしの四月一日から八・一%に下げた、既往のものについては、さかのぼって昨年の十一月一日から八・一に下げたんですか、そう理解してよろしいんですか。
  50. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) 訂正いたします。  その既往の金利で九・四%あるいは八・九%という高い金利を適用しておりましたものにつきましては、昨年の十一月一日から八・六%に一部金利を減免するという措置をとりまして、その八・六%というのが、今年度の三月からうちの通常貸出金利が七・一%に下がったものでございますから、これを八・一%に直したわけでございますけれども、従来八・六%で十一月一日から減免しましたものにつきましては、四月から八・一%になるということになるんで、その間昨年の十一月からことしの三月までは八・六%いただいております。
  51. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 聞いたのだけに答えてください。要らぬ部分が前半ずっと長々述べられておりますから。  その次にお尋ねしますけれども、その他の貸し付けにおける利息について、時間がありませんからイエスかノーかだけで答えていただきたいんですが、一般貸し付けでは七・一%、近代化促進貸し付けなど四種類のいわゆる近代化貸し付けグループに属するものが七・〇五%、それから構造改善等貸し付けグループ六種の場合が六・〇五から六・五五%、それから公害安全貸し付けグループ二種においても六・〇五から六・五五%、さらに為替変動対策緊急融資の場合が最初の三年間が五・三%、その後六・〇%、倒産対策緊急融資においては七・一%、ただし被害の程度などによって六・三%または六・八%、特定不況地域中小企業対策緊急融資の場合六三%または六八%とおたくが出しておる案内の中には書いてあるんです。それは間違いございませんか。
  52. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) 間違いございません。
  53. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、指定不況業種にかかわる貸付利息、先ほどお尋ねをしたものですね、この利息が一番高いということになりますが、そうですね。
  54. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) ただいま先生のおっしゃいましたのはこれから貸し出しますニューローンの貸付金利でございます。先ほど八・一%と申し上げましたのは、これは既往の貸付金利でございまして、それを減免しまして八・一にいたしましたものですから、私どものところで昔貸しましたお金は固定金利でございますから、現在九・四%あるいは八・九%という高い金利のものもまだ残っております。
  55. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そこを聞いているわけじゃないでしょう。たとえば先ほどの不況業種の場合も八・六から八・一に下がってきている。過去にさかのぼってない。さかのぼってない部分は八・六で高い。そこを聞いているわけじゃないですよ。そんなことを言ったら、過去の古い十年先、五年先の融資とそれからいまの金利、そのことをいま直接比較をしているわけじゃないでしょう。言っている質問の意味おわかりですか。
  56. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) わかっておりますが、先ほど先生のお並べになりました特利は、これはすべて新しいニューローンの特利でございまして、八・一%は既往の金利の減免の金利でございます。ちょっと性質が違うと思います。
  57. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 これは後で中小企業保険公庫から貸し出されているものとの比較でもお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、四十八年以降今日までのこの貸付基準金利とそれから政府からの借入金利がどのように推移をしてきたのかということなんですが、これも余り古くさかのぼってお聞きをしてもしようがないんですが、まあ四十八年ないしは九年ころからで結構ですから、運用部資金からの借入金利がどうで、それから皆さんの基準金利がどうなっているのか、これちょっと言ってください。
  58. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) 四十九年当時におきましては、公庫の貸し付けの基準金利は九・四%でございまして、そのときの運用部からの借入金利は八%でございました。それから五十三年、現在はうちの貸付金利は七・一%でございまして、運用部資金からの借入金利が六・〇五%でございます。この間両方とも少しずつ下がってきておるということでございます。
  59. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 この政府からの借入金利及び皆さん方が貸し付ける金利については、どこと相談もしくは協議をして定められますか。
  60. 渡辺佳英

    参考人渡辺佳英君) 通産省及び大蔵省の両主務官庁と相談して決めております。
  61. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 中小企業保険公庫に対してちょっとお尋ねいたしますが、信用保険公庫の原資の総額と内訳はどうなっておりますか。
  62. 上田料巽

    参考人上田料巽君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問の原資は、信用保証協会に対して貸し付けしておりまする資金と了解しておりまするが、これは総額千七百七十億円になっておりまして、全額政府から出資していただいた金額でございます。これを全国の五十二の信用保証協会に貸し付けいたしておるわけでございます。
  63. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 貸付利息がどうなっておって、それからどこと相談もしくは協議をして定められますか。
  64. 上田料巽

    参考人上田料巽君) 貸付利率につきましては信用保証協会に対する貸し付けの残高の額に応じまして決めておるわけでございまして、最低二%から最高は四・二五%というふうになっておるわけでございます。大体、年度別の平均金利を申し上げますと三・四%に相なっておるわけでございますが、本年の六月に改正いたしまして、これからは大体定期預金金利のおおむね二分の一を目途にいたして平均金利を設定するというふうにいたしております。  それから、金利の決定につきましては主務大臣の認可を受けて決めるということになっております。
  65. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 新たに今月末から経営安定貸し付けを行うというふうに聞いておりますけれども、その貸し付けの目的あるいは対象ですね、簡単に言ってください。
  66. 上田料巽

    参考人上田料巽君) 経営安定資金の貸し付けといたしましては、国から五十億円の出資を受けまして、当公庫といたしましては国からの御指示によりまして信用保証協会に対して貸し付けを行うということになっておりまするので、その中身、内容につきましては、むしろ主務省の方から御答弁申し上げた方がよろしいんじゃないかと思っておるのでございます。
  67. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 通産省にお聞きをいたしますけれども、このいまの貸し付けは、特定地域における不況対策であるとか、あるいは大型店舗の進出に対する中小企業保護の対策であるとか、あるいは協同組合の共同事業の推進といったふうなものに対しての貸し付けが行われるというふうに聞いておりますが、それは間違いないかどうかということと、この利息がどういうふうになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  68. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) この中小企業経営安定資金制度は、保険公庫が信用保証協会に貸し付けまして、その信用保証協会がほぼ同額を府県からも借り入れまして、それを民間の金融機関に預託をして中小企業者に融資をするという制度でございますが、いま御指摘のとおり、地域産業対策、大型店進出対策、それから組合共同化事業の推進といった特定の目的のために融資をするということでございまして、金利は大体六・三%から六・八%というふうに考えております。
  69. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 幅がある理由はどういうことですか。公庫から協会に対しては無利子ですか、どうなんですか。協会から銀行に対してはどうなんですか。時間がありませんから私の方で聞きますよ。公庫から協会に対しては無利子である、協会から銀行に対しては一%、銀行から企業に対しては六・五%の利息を取るということで間違いありませんか。
  70. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 間違いございませんが、金利の幅がございますのは、府県から出てくる金が国から出てくる金よりも多い場合にはもう少し金利が安くなるということでございます。
  71. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それは、協会が企業からいただく保証料に幅があっていま言ったような幅が出てくるんじゃないですか。いま言った無利子、一%、それから銀行から企業は六・五というのは変わりないんじゃないですか。
  72. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 保証料は別でございます。
  73. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 同じ目的の金融の利息が六・三から六・八というふうな、そんな幅の定め方というのはあるんですか、特定の目的に対する融資で。間違っているんじゃないですか、それ。——公庫の方はどういうふうに理解されているんですか。私が調べたところでは、私がいま説明したとおりに私は聞いているんですよ。食い違っているんじゃないですかね、それは、公庫の方のあれと。
  74. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 金利につきましては、一つはやはり対象によりまして金利を変えておるということでございます。
  75. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 対象というのは、何の対象によって変わるんですか。
  76. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 地域産業対策あるいは大型店進出対策あるいは組合共同化事業という項目によって金利が変わっておるということでございます。
  77. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 最初は項目によってとはおっしゃらなかったでしょう。また変わったんですか、それ。
  78. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 訂正をさしていただきます。
  79. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 公庫の方はどうなんですか。
  80. 上田料巽

    参考人上田料巽君) 同じでございます。
  81. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 同じというのはおかしいんでしてね、私が聞いているところでは違っているわけですよね。  そこでお尋ねをしたいんですけれども、大臣も聞いていていただきたいと思うんですけれども、先ほどの指定不況業種に対する貸し付けについての中小企業金融公庫からの利息というのは八・六%、そしてことしの四月から八・一%に下げたわけですね。ところが、同じような業種であったり、あるいは為替変動対策緊急融資を初め、その他の一般貸し付け等に比べますと、非常に似た業種や同じような対象に含まれなきゃならない、全く類似というよりもほとんど同種の内容の貸し付けにおいて、いまお聞きのように、信用保証協会を通じてですけれども、六・五%前後という貸し付けが一方で行われておるかと思うと、片方ではいま言ったような指定不況業種に対して八・六とか八・一という非常に高い貸し付けが行われておるわけですね。これ、時期的に五年も三年も前の話ではないんです。現在そうなんですね。これ非常に私は不公平だと思うんですね。そういう点で、同一公庫内でも違っているんですね。同じにしていいんではないかと思う利息が変わっておる、あるいは公庫が違うことによって、同じにして当然だと思う金利が変わっておるんですよね。差があるんです。そういう格差というものを私は是正をしていくべきだと思うんですが、この点はどうですか。
  82. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この中小企業の金融問題は、これは通産省だけでは決められませんで、大蔵省と相談をしながら決めることになっておりますが、原則的な取り扱いを申し上げますと、まず第一番に既往のものに対しましては、これまで、最近金利も非常に下がっておるのでできるだけ下げるようにという、こういう要請が各方面から出ております。しかしながら、中には過去の条件でもやれるところもあります。しかしながら、不況業種に属するものは非常に困っておりますからほとんど全部がやれない。そこで、やれるものはこれはよろしいが、不況業種に属するもので特に経営が苦しいというものに対しては、個々に相談をしながら、先ほど来お話しの水準まで下げるようにいたしております。  それから新規のものにつきましては、最近全体としての中小企業経営が苦しいわけでありますし、それから新しい政策等に応じて貸し出す場合もありますので、これは原則的にできるだけ安い金利で貸し出しをすると、こういう基本方針でやってきております。  以上が二つの方針でありますが、たくさんのレートの調整問題につきましては、これは長官からお答えした方がよかろうかと思いますので、長官から答弁をいたします。
  83. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 中小企業にはできるだけ安い金利を提供したいということでございまして、基準金利がいま現在七・一%になっておりますが、これも昨年来逐次下げてきたわけでございます。ただ、その基準金利を全般的に引き下げるということは、原資の状態その他が非常にむずかしいので、現在やっておりますのは、項目を定めまして、その項目に応ずるものは、たとえば円高融資とかあるいは特定不況地域融資というようなものは特に引き下げるということにいたしておりまして、特にいま必要なものは利子補給も金融機関に出しまして引き下げるということにしております。そういうことでございますので、若干この項目が幾つかに分かれておりますが、その対策の必要性に応じて金利を分けておるわけでございます。それが現状でございます。
  84. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 私は総裁と大臣にもお願いをしておきたいと思うんですけれども、円高といいあるいは不況といい、これはもう総合されたものですよね。個々ばらばらではないわけですよ、それらが総合的に作用しているわけですからね。経営者にとっては円高のみが最大の要素でもないわけですね。そういうことで、私は時間がありませんから、もうちょっと言いたいんですけれども、要するに類似であったり、こちらを借りたら安くなる、そちらに、また企業によってあるいは貸し付けの担当者によって、これはいいという場合とだめだという場合がいろいろ出てくるわけです。そこにもまた差が出てくるんですよね。そんなこともありますから、その引き下げの方向に向かって先ほど申し上げた点は、特に私は要望しておきたいと思うんですね。検討していただきたいと思うんですが、その点どうですか。
  85. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) この金利の引き下げについては絶えずわれわれも検討いたしたいと思いますし、たとえば特定不況地域の金利自身も法案の審議を通じていろいろ御要望がございましたので、現在もう少し引き下げるように努力をいたしておりまして、円高とのバランスがある程度とれるようにも考えたいというふうに考えております。
  86. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 大蔵省にお聞きをいたしますが、いまお聞きになっておっておわかりだと思うんです。私は原資のところでちょっとお考えをお聞きしたいんですけれども、運用部資金から金が出ているわけですね、金融公庫の場合。と同時に、中小企業債券も出されている。ところが、その債券のほとんどがやっぱり政府引受債になっているわけですね。たとえば五十三年度の場合ですというと、七百億円のうち五百五十億円というものが政府の引受債になっているわけです。市中銀行というのはわずか百五十億しか引き受けていないということなんです。そういう点で、私はあえて債券を出す必要はないんじゃないかと。運用部資金からの一本化で賄っていって差し支えないんじゃないかと思うんですが、その点。  それから、公庫へのいわゆる運用部資金からの貸出金利について、公定歩合の推移やあるいは郵便貯金の金利等と比較をしてもう少し下げてもいいんじゃないかと。また下げる時期もやっぱり機敏に対応していっていただきたいと思うんですが、その点がどうなのかということ。  それから公庫の、いま二つの公庫がありますけれども、各種貸出利息について、この前、前の前の決算委員会で丸谷委員質問に対して、私どもは主務官庁でありませんので通産の方に聞いてくださいという答弁があったんですけれども、この二つの公庫の貸出金利については大蔵も共管になっているわけですよね。決して主務官庁は通産だという逃げの答弁にはならないわけです。そういう点で、大蔵省としても通産やあるいは公庫の意見というものも私はやっぱり最大限に尊重をしていく、協議の中で最大限に尊重すべきではないかというふうに思うんですが、この三点についてお聞かせ願いたいと思うんです。
  87. 中田一男

    説明員(中田一男君) まず最初の原資の関係でございますけれども、中小企業金融公庫が債券を発行するようになりましたのは昭和三十九年からでございまして、当時やはり中小企業金融を充実していくために、市中の金融機関の資金も活用すべきであるという考え方から発足をいたしたわけでございますが、御指摘のとおり、五十二年あるいは五十三年におきましては、債券発行の中で民間よりも運用部とか簡保資金で引き受けていただいている金額の方が多くなっているのが実情でございます。これは一方では運用部資金の方の事情というのもございまして、運用部資金特別会計は、郵便貯金等から現行でございますと六・〇五%の金利で預託を受けまして、それを貸し付けに回しておるわけでございますが、全部を六・〇五%の貸し付けということでまいりますと運用部自体の収支が成り立っていかないという事情から、運用部資金の貸し付けあるいは運用に当たりましては、貸し付けで対応する場合、また債券引き受けで対応する場合、それぞれその機関等の性格に応じましてやってきておるところでございますので、単に中小企業金融公庫立場だけから申しますと、金利は低い方がいいということはもちろん申せるわけでございますけれども、運用部資金の方の事情から言いますと、一部はそういった有利利回り、有利運用をいたしたいという事情がございまして、両方との兼ね合いで現在のような姿になっておるものでございます。  それから運用部の貸し付けの方は、先ほども申しましたように、運用部への預託金利の変更改定に伴いまして機動的に改定しておりまして、先ほど御質問がございましたときに、たとえば四十九年の十月時点では八%というふうな金利でございましたけれども、五十年の十二月には七・五、五十二年の六月には六・七五、五十二年の十月一日からは六・五%、五十三年の三月からは六・〇五%というようにかなり機動的に引き下げ方対処してまいっておるところでございます。  それから第三番目の、貸し出し——貸付金利について通産省やあるいは中小企業金融公庫あるいはまたそれを御利用になります皆さん方の意見をよく聞くようにという御指摘でございますが、それもわれわれはいつもよく聞き、よくまた関係当局と御相談しておるところでございます。既往金利の貸し付けの問題が特に議論になっておったわけでございますけれども、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、政府関係金融機関の貸し付けには民間の金融機関とは違った特徴がございまして、それは貸し出しをいたしますときの金利でもって、固定金利で五年なり七年なりその期間同じ金利でやっていこうという原則を貫いておるわけでございます。これは一方では、これらの金融機関が原資を受け入れます原資のサイドもその期間固定金利で資金を受け入れるということと関係が深いわけでございますけれども、そういう形できておりますので、金利が上がってまいりますときには、民間金融機関ですと途中で金利改定の問題が起こりますけれども、政府系金融機関はその低い金利のまま最後まで融資が続けられるという特徴がございます。しかし、それが逆に金利が下がってまいりますときには、二年前、三年前に借りた高金利時代の金利を三年なり五年なり七年なり引っ張っていかなきァいかぬという問題がございまして、そこで既往金利の引き下げに対する御要望が非常に強かったわけでございます。しかしながら、一律にこれを引き下げるということは、中小企業金融機関といえども一応独立の金融機関として機能しておりまして、その収支等を考えて不可能でございまして、そういうことをやりますとかえって非常に巨額の財政負担が必要になってくるという問題がございますし、また確かに不況ではございますけれども、企業は赤字のところも黒字のところも個別の事情は区々でございますから、黒字の企業まで財政資金を使って金利を軽減していくというのもいかがなものであろうかという問題があるわけでございます。  さらにこれはまた政策の問題でございますけれども、金利が高くなる、公定歩合を引き上げて金利を高くするというときには、できるだけ企業活動というのも控え目にしていただきたいという政策の意思表示でございますし、金利を安くするときは、大いに借りて使ってほしいという意思表示でございますが、高い金利を、金利が下がればすぐに下げてしまうということでございますれば、この政策目的もやはり希簿になってくるというような問題もございますので、既往金利を一律に下げていくということはいたしかねる。  しかしながら、先ほど通産大臣からも御答弁ございましたように、不況業種の企業経理の非常に悪くなっておる苦しい企業につきましては、既往金利  これだけの金利で五年間借ります。七年間借りますと言って約束してあった部分の金利をまけるという形で、現在では過去八・二%以上で借りておりました金利を八・一%まで軽減するという措置をとっておるわけでございまして、一番高くお借りになったのは九・四%ぐらいで借りておられたケースがあるわけでございます。現在の基準金利は七・一%でございますから、約二・三%、高いときと差がついておるわけでございますが、そのうちの一・三%分まではこういう形で免除しておるというような状況でございまして、こういうことについても、われわれ十分配慮してまいったつもりでございます。  以上でございます。
  88. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 時間もありませんので、とにかく不況業種に対する金融の額なり利息については格段の努力をしてもらいたいと思うんです。それを要望いたしておきたいと思うんです。  非常に時間がなくなりましたので、次に、御承知のように、食糧とエネルギーというのが国際政治、経済、外交あるいは軍事上における戦略の根幹としての位置づけを占めていることは御承知のとおりだと思うんです。いま政府なりあるいは民間からも、あらゆるサイドからのエネルギー構想というものが打ち上げられておるわけですが、しかし、私は各団体なり政府の今日まで発表されたいろんなエネルギー政策なり原子力研究利用関発等の長期計画等を見ましても、一貫性がないんじゃないかということと、それから、資金面についての計画性というものが不足をしておるんじゃないかというふうに思うわけです。そんなことで、民間の側でも経団連なりあるいは原産会議等でも、エネルギー国債であるとか、科学技術国債というふうな構想がぼんぼん打ち上げられておるというふうなことであったり、あるいは科技庁は当初の来年度概算要求をさらに九月の十九日に原案どおりにというふうな原子力委員会の決定をとって、また総理大臣のところへ上げていくというふうなことも行われていると思うんです。いまここでお聞きできないものもありますから、次の点で資料を出していただきたいものを当初に申し上げたいと思うんですが、欧米のいわゆる代替エネルギーの研究開発利用長期計画と、その資金計画について、通産省と科技庁と、これは大蔵省にも申し上げておきますが、それぞれの省庁で一体どのように把握をし、分析をされておるのか、これを資料としてそれぞれの省から出していただきたいと思うんです。これはよろしゅうございますか。
  89. 児玉勝臣

    説明員(児玉勝臣君) 先生のおっしゃいますとおり、通産省といたしましては、関係資料を調えまして提出したいと思います。
  90. 加藤泰丸

    説明員(加藤泰丸君) 科学技術庁の関係としましては、科学技術庁でもって集められるものを資料といたしまして提出をいたしたいと思います。
  91. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 御要望の資料につきましては、多分通産省あるいは科学技術庁と重複すると思いますから、そういう関係で同一の資料通産省あるいは科学技術庁から出していただければそれでよろしんではないかと思いますけれども。
  92. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 日米科学技術協力に関する日米首脳会談の内容、とりわけ核融合についての財政協力がどうなっておるのか。まあボンの首脳会議でもずいぶんこの問題がはでに取り上げられたというふうに新聞では報道されているわけです。外務省から相談があったのかどうか、通産と科技庁にお聞きをいたします。簡単でいいです。あったかどうか。
  93. 児玉勝臣

    説明員(児玉勝臣君) 相談ございました。
  94. 加藤泰丸

    説明員(加藤泰丸君) 外務省の方からございました。
  95. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 大蔵省にお聞きをいたしますが、いまのこの問題について直接総理の方から話がありましたか。それとも通産、科技庁の方から、話し合いといいますか、協議といいますか、そういう申し入れがあったかどうか。
  96. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 私の承知しています限りでは、総理から直接そういうことはございませんでした。したがいまして、この問題につきましては関係省庁と個別にお話を伺っておるという状況でございます。
  97. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 大蔵省としては、新聞等では十億ドルということで核融合についてはばんと打ち上げられているわけですが、正確にはどのように把握をされておりますか、大蔵省としては。
  98. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 日米間で科学技術協力を今後推進していくということは承知しておりますけれども、具体的にその規模は幾らかということにつきましては一切承知しておりません。
  99. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 そうすると、核融合に関しては、いま科学技術庁や通産からいろいろ話は聞いているということですが、具体的なそういう数字等については現実に相談にはなっていないということですか。
  100. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 全体の規模が幾らかということにつきましては相談にあずかっておりませんけれども、個別のテーマにつきまして、これはどうであろうかということで内々の御相談にはあずかっております。
  101. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 きょう、外務省見えておらないんですが、五年間で日米双方が五億ドルずつ分担するんだというふうなことが外務省サイドではいろいろ話し合われておるということも聞いておるんです。そして、いまやすでに概算要求もまとまった段階ですが、その点についてはどうなんですか、大蔵省としては。
  102. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) その点につきましては、私は承知しておりません。
  103. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 通産はどうですか。
  104. 児玉勝臣

    説明員(児玉勝臣君) 通産省といたしましても、核融合の問題は主として科学技術庁の方でお取りまとめいただいておりますんで、関知しておりません。
  105. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それじゃ科技庁。
  106. 加藤泰丸

    説明員(加藤泰丸君) ただいまの先生の御質問に関しましては、科学技術庁としましてもその件についてはいまのところ聞いておりません。
  107. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いま私がお尋ねをしても、通産、科技庁、大蔵と、いずれも担当者は承知をしておらないということなんですね。そういうことで、私は新聞報道やいろんなところでアドバルーンが上げられたり報道はされておるけれども、こういう大きな問題、福田首相が日米科学技術協力ということで言われたこの十億ドル、これも報道が正確でないとしてもいろんなことが言われているわけですが、全然関係省庁がそういう内容については承知をいたしておらないというところに、私はすでに今日のこれからのエネルギー政策の確立に向けて、一体各省庁間で、あるいは政府首脳とこの関係省庁との間のパイプがどうなっておるんだろうかという点で非常に疑問に思うわけです。  そういう点で、資金面においてこれから長期的に、戦略的、政策的にどういうふうに資金というものを調達をしていくのか。構想だけぼんぼん打ち上げられても非常に莫大な資金を必要とするんですね。そういう点で私はお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、代替エネルギーの研究開発利用に関して、どれに重点を置いて、優先順位をどのように考えておるのか。これは資金に限りがありますから、どうしたって優先順位をつけるとか、重点はどこだということにならざるを得ないと思うのですよね。そういう点で、まず科技庁と通産省に対してお聞きをしたいと思うんですが、ずばり答えてください。  これからのエネルギーといっても、原子力あるいは新エネルギー、この新エネルギーと原子力のどちらにとも受けとめられるものは  核融合というのは新エネルギーに入れたり、これも一つの原子力ですね、核融合のあれですから原子力ということなんですが、それはとにかくとして、原子力委員会ではいろんなことが言われておるわけですが、科技庁では、たとえばJT60と「もんじゅ」のうち、一体どちらを優先させるつもりなのか。あるいは科技庁と通産にもそれぞれお聞きをしますが、ATRとCANDU炉のどちらを一体優先をさせていく考え方なのか。それから核融合とサンシャインの一体どちらに重点を置いていくのか。さらには石炭の液化あるいはガス化について、アメリカでは核融合よりもむしろこの石炭の液化、ガス化というものに非常に力を入れているということが言われておるんですね。ですから、エネルギー危機という中で、すぐ直ちにこの原子力発電オンリーのような考え方が、私は特に日本の場合にあるんじゃないかと思う。いわゆるその他の省エネルギーであるとか、いま言った石炭の液化、ガス化等、あるいは太陽光線、風力、波力、潮力あるいは生物的なそういう代替エネルギー、こういうものに対する研究の資金というものがきわめて不足をしておる。もっと言うならば、科学者の中にも巨大プロジェクト——先端を行くような巨大プロジェクトにのみ興味を示して、じみちな、逆に言うならば、じみちというよりも最も重要なこれらの分野に対する研究についての熱意というものが足りないんじゃないかという感じがするんですね。そういう点で、一体どこに優先順位を置いておるのか、まず科学技術庁と通産にお聞きをいたしたいと思います。まず簡単に言ってください、時間がありませんので。
  108. 吉村晴光

    説明員(吉村晴光君) 科学技術庁といたしましては、エネルギーの研究開発の政府全体として総合的な推進を図るという立場からエネルギー研究開発の基本計画というものを定めておるわけでございます。この基本計画は、科学技術会議という組織の御答申を得て定めたものでございますけれども、そこの答申の段階で、どこに重点を置くべきかという議論があったわけでございます。で、いろいろ議論をしたわけでございますけれども、現時点におきます新しいエネルギーの技術につきましては、まだわからないことがたくさんあるというのが共通の認識でございまして、いまの時点におきまして重点分野をはっきり決めて、そこだけに限定をしていくということはいかがなものであろうかというのが一般的な考え方でございまして、私どもがつくっておりますエネルギー研究開発基本計画におきましても、そういう考え方で、原子力だけに限らず、非原子力を通じまして幅広い分野を研究開発の推進の対象として考えていると。それでだんだん開発が進みまして、技術の性格だとかそれから開発段階に入って資金が非常にたくさん要るという段階になりましたときには、また評価をしながらしぼっていこうではないかということになっております。そういうことが私どもの基本的な考え方でございます。  原子力につきましては、先ほど御指摘がございました各論的な、何と何というものの比較につきましては、原子力局の方から御答弁をさしていただきたいと思います。
  109. 加藤泰丸

    説明員(加藤泰丸君) 原子力の関係につきましての優先順位は、という御質問でございますが、原子力の分野におきましていまわれわれは、先ほどもお話に出ましたような原子力研究開発利用長期計画というものを原子力委員会が策定をしまして、それに基づきまして長期的な研究目標を立てて研究を推進しているところでございますが、先ほどもお話が出ましたような「もんじゅ」あるいは核融合関係JT60ということでございますが、いずれが優先順位が高いのかといったような御質問でございますが、私どもといたしましては、これは先ほどの長期計画にも盛られておりますように、まず「もんじゅ」につきましては、これは高速増殖炉でございますけれども、現在、原型炉としてこれが計画をされている。それから核融合につきましては、JT60の実験装置につきまして、現在、これを着手をするという段階でありますし、またそのような高速増殖炉あるいは核融合以外にも、われわれとしましては、核燃料サイクルというものについてもやはりかなりウエートをかけて研究を進めなきゃならないと、かように思っております。  そこで、したがいまして、まず「もんじゅ」と核融合の関係でございますが、「もんじゅ」につきましては、これはもうすでに原型炉の段階でございまして、われわれとしましては、一九九〇年の後半にでも実用の方に持ってまいりたいということをこの高速増殖炉の関係では考えているわけでございます。片や、核融合につきましては、これはかなり長期間の開発期間をさらに要する研究でございますので、これにつきましては、二十一世紀の前半なるべく早い機会にというところを目標に進めているわけでございまして、したがって、研究の長短もございまして、いずれのものを優先するかという優先順位は特にこの段階ではつけておらず、両方とも同じように重要であると、かように考えております。
  110. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 通産省におきましては、一昨日、総合エネルギー調査会基本問題懇談会から資金問題を含む御報告をいただいたところでございまして、こういう報告をベースといたしまして今後政策を進めていきたいというふうに考えております。  この報告における基本的な問題の認識といたしましては、おおむね一九八〇年代の半ばから九〇年ごろにかけて石油の供給に逼迫が生ずるであろうという見方をとっております。まあ八〇年代におきましてはまだ石油に増加の余裕があると認められますけれども、九〇年ごろになりますと石油の供給が非常に困難になってくると……
  111. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 質問にだけ答えてください。
  112. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) まあ、基本認識がそういうことでございますので、したがいまして、この石油のショーティジの補完に対する対処の仕方としまして、第一には原子力、第二には石炭、それから第三番目にLNG、それからその他新エネルギー。核融合につきましては、二十一世紀の問題というふうに考えておるわけであります。順位としましてはおおむねそういう順位で考えておりまして、原子力につきましては五十一年から六十年までに四兆円程度、サンシャイン等につきましては七千億円程度の資金を投入すべきであるというふうに考えております。
  113. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 大蔵省に、これはお尋ねとそれから要望ということにもなると思うんですけれども、御承知のように、エネルギー問題というのは、単に通産であるとか科学技術庁という一省庁でもって決定をし判断をしていくというふうな内容ではないわけですね。特に財政と密接に結びついておるわけですから、しかも長期的な展望を持った資金的な計画というものも確立をされていかなきゃいけないわけですね。ですから私は、大蔵省がそのときどきの場当たり的な、年度、年度の財政に左右をされていくということになったならば、私は大局を誤るんじゃないかと思うんで、やっぱり長期的な観点に立って、しかも大蔵省自身のすぐれた見識と全体的なエネルギー政策というものについての見通しというものがないと、私は誤ることになるんじゃないかと思うんです。たとえばこの九月二十五日には、主計局長が原産の有沢会長と会って、国債問題なりいろんな点で話し合いをされていると思うんですよ。ですから、いま、財界等からも国債問題が——名称はともかく、いろんな構想が打ち上げられております。大蔵省首脳にもその話がいっているわけですね、話し合われているわけです。そういう点で、いま国債を発行してまでそういうことに踏み切っていこうとする考え方があるのかどうなのか。そういう点で、これからのこのいまの新エネルギー開発やあるいは原子力開発に向けての大蔵省の基本的な見解というものが一体どうなのか、お聞かせ願いたいと思うんです。  そして私は指摘をしたいのは、予算ばっかりふえていったために、ある研究所では、新しい機器類がシートをかぶったまま放置をされている。きわめて予算のむだ使いです。そういうことは科技庁なり通産は御存じかどうか。時間がないから、私はきょうもう聞いている暇がないんです。しかも研究者というのは一朝一夕で養成できないというふうなこともあって、金ばっかりつけてみたって、その金が有効に使われないということがあるわけですね。そういう事態もすでに起きておるということと、単に金をぶん取ってくるのが優秀な研究者であり、技術者であると思ったら、これは大間違いです。教育における管理能力ばかり先走っているのが優秀な教育者じゃない。むしろ教育者としては、それは下の口ですね。研究者についても私は同じようなことが言えると思うのです。そういう点で、大蔵省のこれに対する見解をお聞きをして、もう時間がまいりましたので私の質問を終わりたいと思います。
  114. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) エネルギー対策等のいろんな重要な問題につきまして、大蔵省で独自の長期的な計画をつくったらいかがかという御指摘でございますけれども、私どもの立場といたしましては、関係省庁のそれぞれつくられます計画なり、あるいは政策の方向等につきまして、財政の立場から御相談にあずかっていくという限界があるわけでございます。したがいまして、それぞれの省庁からお話を伺って、そのときどきの財政事情なり、経済事情を勘案しまして、予算に織り込んでいくという立場にならざるを得ないわけでございます。そういう点は御理解いただきたいと思います。  それから、いまの長期の立場に立ちまして、膨大な資金が必要とされるというふうなエネルギー対策につきまして国債等を発行してやるつもりはあるかどうかということでございますけれども、現在におきましても、原研あるいは動燃に対します原子力関係の必要な資金の相当部分が国債ということで発行されております。それに加えまして、さらにたとえば言われておりますような、エネルギー国債というふうな特別の目的を持った国債を発行するということにつきましては、いろいろと波及の問題とか、あるいはいまの財政事情から申しまして、さらに国の債務をふやすような方向での問題があるのではないかということもございまして、慎重に考えていく必要があるのではないか。さしあたりそういうことは、私どもといたしましては考えていないということを申し上げておきたいと思います。  それから金ばかりついて実際に有効にその金が使用されてないんではないかという御指摘がございましたけれども、私どもといたしましてはできるだけ——できるだけと申しますか、そういうことは絶対あってはならない。国の予算を使用していただく立場におられます各研究者等には、そういうことのないように当然考えておりますし、またそういうことはあってはならないと、またないと思っておりますけれども、その点だけ申し添えまして答弁を終わります。
  115. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時三分開会
  116. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十年度決算外二件を議題とし、総理府のうち、経済企画庁及び通商産業省と、それに関係する中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫決算審査を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  117. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 午前中同僚議員の皆様からいろいろエネルギー問題についての御質問があり、また、午後からも予定されているいろいろなエネルギー問題の御質問がある。これは言ってみればエネルギー問題について特に国民の関心が強いということだと思うんです。  御承知のとおり、戦後の経済は高度成長をずっとたどってきた、少なくともオイルショックまでは高度成長をたどってきたと。ある文献によると、昭和三十年、一九五五年から三十年間は世界のエネルギー消費量が四倍にもはね上がったというふうなことで、ある意味じゃ今世紀の後半は石油のおかげ、エネルギーのおかげによりまして大変に豊かな社会をつくり、そして言うならば石油文明時代、あるいはエネルギー文明時代と、こういうふうに言われているわけです。日本も、お互いの周囲の生活を見てエネルギーに頼らない面は何一つ考えられない。衣食住すべて石油であり、あるいはまたエネルギーによって生活をしていると、こういう状況なわけですね、二千二百万世帯と申しますか。ところが、余りそれになれ過ぎちゃって、オイルショックを経験した四十八年の十月、秋の状況をもうすっかり忘れ去っているような感じがするわけですね。そしてこれはエネルギー庁の御調査だったでしょうかね、日本の供給されている電力は一体火力発電なのか、水力発電なのかという質問に対して、家庭の主婦が六〇%水力電気だと、こういうふうに言ったという現状なんですね。これは非常にエネルギー問題に関心を持ちながら、あのショックを食らいながらもさらにまた関心が薄いということ、これはもう後ほどの話につながるわけでありますが。  それから家庭が電化している、衣食住が全部エネルギーに頼っているということになれ過ぎているものだから、もしも長期の停電があったときにはあなたはどういたしますかというアンケートをしたときに、本当にこれは大部分の人がうちでごろごろしてテレビを見てますと、こう言ったというんですね、うちでごろごろしてテレビを見ていると言ったと。それはなるほど、技術革新がこれから行われるから、電気がなくてもテレビが見れるような時代が近々のうちに来るかもしれない、電源がですね。しかし、それほどにやはり関心が強い反面に無関心というふうな状態。片やいまやオイルショックの経験から一挙に石油価格が四倍も上がってしまうし、じかも、供給が抑制されてくると。片やまた、中東情勢がいかに変化するかわからないし、またよく福田総理が言われる資源有限時代で、産油国が増産抑制をしてくるということになると供給不安定になってくる。そして世界のエネルギーの主導を握る油は産油国の実権に握られてしまうということで、今日はもはやもう石油供給に対して不安の時代になってくる。あるいは価格が高騰していくというふうな時代になってくる。いまや需給は、少し総需要の抑制で各国需要抑制しているそうですから、いまだぶついているとは言わないにしてもある程度の軟調ぎみだということは言われている。しかし、これから先どうなるかという大きな関心の問題があるわけで、これから私はエネルギー問題、特に石油問題についての需給の問題、あるいは今後の開発の問題、あるいは備蓄の問題、こういったものを中心にしていろいろ伺い、そして幾つかの提言をしたいと、こういうつもりであります。  昨年の八月に発表された、「整合性と実効性のある総合エネルギー政策の推進」という総合エネルギー調査会基本問題懇談会の資料をいただいているわけでありますけれども、この中でいみじくもやはりとらえていることは、「エネルギー問題の特質と対応の視点」ということで、「今日、世界は石油資源の増産限界の接近と、これに伴う国際エネルギー情勢の緊迫化という歴史的試練に直面している。」と、こう言われている。それからいろいろと伺っていきたいと思うのでありますが、前置きはそれぐらいにして。  いまわが国で石油を一体どれぐらい輸入しているのかということ。それは数量的にお聞きしたいし、それから輸入国と申しますか、供給を仰いでいる国の国別に、ちょっと新しい時点の量的なものを把握さしていただきたいと思います。
  118. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 本年度の供給計画によりますと、原油ベースで二億七千八百万キロリットルと、こういうことになっております。この原油の大方八割見当は中近東諸国から入っておると、こういう状況にございます。
  119. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、この中近東、OPECの諸国の中の中近東がいま八〇何%とおっしゃったですか。
  120. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 七七年の数字でございますと、七七・八%、八割弱でございます。
  121. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、やはりいまのお話のように、何といったって世界の産油国はOPECの中の特に中近東。中近東が、第四次中近東情勢のあの変化で、大変にわれわれは苦い目に遭ったわけですけれども、いつ起こるかわからないという不安定な情勢、まあ他国に対して失礼な話だけれども、世界情勢から、そういうことが心配される。そうすると、これが切れた場合には一体どうするのかという問題が出てくるんですが、しかも石油輸入量のほとんど八〇%近くが中近東であるとするならば、それ以外に頼れるのは二〇%であるということになるわけだけれども、その二〇%というのは主にどの地域になるわけでしょうか。
  122. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 中東地域以外の地域で、地域的に大きなものはアジア地域、いわゆるアジアの南方地域でございまして、マレーシア、インドネシア、あるいは一部オーストラリア等から一八・七%、約二割弱のものが現在日本に入っております。そのほか、中国からも最近の数字で八百万キロリットル程度のものが入っておりますので、アジア地域では二割強というものが入っておると思います。
  123. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、いざ中東の石油が来なくなったというふうな状態になった場合に、頼れるのはこの二〇%の地域に対して供給を仰ぐと、こういうことで理解をさしていただくわけでありますが、そこに一つ大きな問題があるというふうに私はとらえるわけであります。  その前に、よくエネルギー問題懇談会の中にも、石油資源の増産限界の接近ということが言われているんですが、これは可採埋蔵量でもいいし、あるいは確認埋蔵量でもいいんですが、どういうふうに見ておられるか、ちょっとお聞きしたい。
  124. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 埋蔵量につきましてはいろいろな説がございますが、現在、確認埋蔵量、確認可採埋蔵量は一般的には六千五百億バレルというふうに言われております。そのほか、究極埋蔵量といったようなものもございますが、これについてもいろいろな説がございまして、最近のCIAの発表、あるいはその他有力な学者の説等によりますと、二兆バレル程度のものが究極埋蔵量ということで一般的には理解されております。
  125. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、いまおっしゃった六千五百億バレルというのは、仮にRPと申しますかね、あれでいくと何年になるんですか。
  126. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 一九七七年の生産量が約二百二十億バレルでございますので、この数字で可採年数を計算いたしますと、約三十年ということになります。確認埋蔵量をベースにした数字でございます。
  127. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、三十年たつと、いまの計算からいくと世界ではもう石油がなくなる。その前にいろんな供給の不安定があるということになると、この答申にもありますように、いろんな施策を講じていかなきゃならぬと、こういう認識になるだろうと思うのです。  そこで、話が前後いたしますが、中近東というのは、何にしても距離的にも非常に離れているところである。いまタンカーで持ってくるわけなんですが、これは所要日数は大体どのぐらいかかっておりますか。そしてもう一つ、どのぐらいのトン数を一遍に運んでくるんでしょうか、一隻の船で。
  128. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 標準的なペルシャ湾から東京湾までということで、通常の航行スピードで航行した場合には片道二十日程度というふうに考えられております。それから、個々のタンカーにつきましては、ULCCとかVLCCとかいろいろございます。二十万トン級から、大きなものではさらにそれ以上のものもあるというふうに考えられます。一慨に申し上げられませんが、二十万、三十万トン程度を平均と考えてよろしいのかと思います。
  129. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 中近東に紛争が起こるだけじゃなくして、その通ってくるマラッカ海峡付近においても、何か騒ぎがあったりしたらまずとだえる。また同時に、あの辺が日本のタンカーがあんまり通り過ぎて過密になっておる。したがって、このルートを変更しろと。遠くインドネシアのロンボク海峡を通っていくべきだというふうなことが言われているということをちょっとうわさに聞くんですけれどもね。そうしますと非常に距離が遠くなる。そういった情報に基づいて私質問するのは非常に不見識かもしれませんが、そんなような話があるんですか。
  130. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 具体的に、現在マラッカ海峡の通航自身が不可能になるというような話は現実的な話としては出ておりませんが、あの航行、あるいはあの海域の通航に伴う危険の問題等に関しまして、海峡をはさむ国において常時そういう議論がなされておることは事実でございます。
  131. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 議論はなされているのでしょうけれども、具体的に何かそういうふうな申し込みなり、ルート変更についての要請なりというのが具体的にあったかどうか。
  132. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 現時点では正式の申し入れはないと了解しております。
  133. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 この懇談会のあれを見ますと、いまのような非常に世界情勢の緊迫化という問題が、将来おそれがある。それから石油資源の増産限界の問題。ルートが、オイルロードと普通にいわれるこのルートが非常に長過ぎる、二十日もかかる、場合によっては、しけがあったり何かして来れないと一カ月近くもかかることもあるというふうなことになると、やはり日本のこれは備蓄の問題とも関係するのですけれども、石油に対する、石油基盤の日本経済の非常な脆弱性がそこにはっきり出てくるわけですね。  それで、この懇談会のあれを見ますと、なかなかもっともな話なんで、私はこれからその問題について若干御質問していきたいと思うのですが、まずその前に、当面の「総合エネルギー政策の主要な柱と前提」という項目の中でいろいろ書いてありますけれども、一つは省エネルギー。一つは国産資源を最大限に活用するということ。三番目には、代替エネルギーの開発、導入。したがって石油依存度の低下を図る。それから四つ目には、一次エネルギーの供給を多角化する。五つ目は、海外からの一次エネルギーの一時的な供給制約に対して、わが国の経済の安全保障を図るための需給事情に応じた備蓄を保有すること。七番目には、わが国の英知を結集して技術面からエネルギー問題の打開を図っていく。この七つの政策の柱と前提ということで踏まえておられるのですけれども、これは非常に私はもっともだと思うのであります。ですから、この項目に基づいてこれから御質問していくわけですけれども、その中で、特に石油の供給先を多角化していきたいという問題と、それから備蓄の問題、これに主眼を置きながらお聞きしていきたいと思っておるわけです。  そこで、この省エネルギーの問題でありますが、IEAのこれは勧告なんですか、それとも要請なのか知りませんが、一九八五年の輸入量の見通しを三〇%減を目標にしたらどうだという勧告あるいは提言があるんだそうですか、これは日本ももちろんこれに加盟しているわけですね。
  134. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 加盟いたしております。
  135. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうして、この三〇%節減を目標とするということも申し合わせなんですか。
  136. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 本年の四月に行われましたIEAの理事会で、各国のエネルギー政策のレビューの中で、わが国のエネルギーの省エネルギー問題に関して勧告が行われております。その勧告の中に具体的に三〇%という数字は入っておらないと思いますが、各部門につきまして、民生部門、産業部門等、おのおのの分野での省エネルギー方策についての勧告が盛られておると、こういう状況でございます。
  137. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 この勧告は、法的拘束はあるんですか。あるいは国際的な、これに反すると何といいますか、制約というか、あるいはこれに対して従わなければ罰則を適用するとかということはあるのですか。
  138. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 勧告そのものに罰則はございません。この勧告に沿った施策を政府として講ずる必要があると、こういうことでございます。
  139. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、日本はこういう目標に大体近づけるためには、これはまあ時間がかかりますから申し上げると、この暫定見通しの中の一九八五年というと昭和六十年になるわけですか、そのときの節エネルギー、省エネルギー率というのが一〇・八%で八千万キロリットルと、これは大体この勧告に沿ったものと見ていいんですか。
  140. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 基本的には勧告の線に沿ったものでございます。
  141. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、この後、何年たつか知らぬけれども、この昭和六十年というともう間もないことですが、果たしていまのままでいってこういったものが節約できるのかどうかということが一つの不安があるわけなんですね。  もう一つは、その不安がなぜ出てくるかというと、あれだけのエネルギーショックを受けながら、ネオンも消えた、駅の広告灯も電気を消したというふうなことがもうすっかり忘れられてしまう。そうすると、節約努力ということが、いま便っている、われわれの生活を支えているエネルギーというものを節約するということは大変なことだと思うが、これからふえるであろう、需要の増加するであろうものからの節約なのか、今日われわれが便っているものを節約して、まあ、つめに灯をともしなさいとは言わないけれども、暗い夜もがまんしてくださいというふうな意味の一〇・何%の節約なのか、これは非常に大きな問題だと思うんですよ。それをちょっと伺いたい。
  142. 神谷和男

    説明員神谷和男君) これは将来ふえてまいりますエネルギー需要、これを、できるだけ新しい技術の導入であるとか、あるいは国民的な協力で最小限にとどめるということのほか、すでに使用しておりますエネルギーにつきましても、省エネルギー技術の導入であるとか、あるいは各産業ごとの個別の努力を通じまして節約を進めてまいりたいと、こういう考え方でございますので、両面にわたって省エネルギーを推進したいというふうに考えておるわけでございます。
  143. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それじゃ、ついでにそのことに関連して、オイルショックの年の一日の使用量ですね。オイルショックの年の翌年の方がいいかもしれませんが、年間消費量と、その後消費量の伸びというものはどうなっているのでしょうか。つまり、オイルショックを食らって節約しなけりゃならぬなあと言ってみんな引き締めた時代、翌年と、それから今日の伸びとを見て、果たしてそれに対して節約効果というのが出ているのか、あるいはまた急激に日本の輸出が伸びたためにオイル需要が非常に軟調であったせいもあるし、消費量が非常に高くなったという事情もあるかもしれませんが、その経過がわかったらちょっとお知らせしていただきたいと思います。
  144. 神谷和男

    説明員神谷和男君) エネルギー全体の数字というものは手元にございませんが、石油につきまして燃料油の伸びの状況を申し上げますと、オイルショックがございました四十八年から四十九年の伸びがマイナスの六・二%でございます。四十九年−五十年がマイナスの二・一%、五十年−五十一年になりましてプラスに転じて七・二%、五十一年−五十二年がマイナスの〇・二%という状況になっております。
  145. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、あと十年後に一〇・八%というものを節約するということはもう大変なことだと思うんですね。しかも経済成長率を六%、年率平均六%成長と見込んでのことなんで、これは実現できないんじゃないかというふうな心配があるんですがね。ということは、これからの石油事情が非常に困難になってくるけれども、その需要の節約というものを前提にして、すべてのエネルギー代替なりエネルギー依存度、石油依存度を減らしていこうという計画がつぶれてしまうんじゃないかという心配をするんですね。どうでしょうか。
  146. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先生の御質問の趣旨は、いまから経済成長もしていくし、したがって当然ふえるだろう、しかし、それに対して一〇%も節約できないのじゃないか、こういう御趣旨かと存じますが、実は、当然先生もそうお考えだと思いますが、これから将来、特に省エネルギーを進めなかった場合にはどのくらいエネルギーの量がふえるであろうかというものに対して、今後の対策をいま程度やるか、あるいは今後さらにその対策を促進していくかということによってどれだけ節約できるかというのが、先ほどの一〇・八%、八千万キロリッターです。ちなみに五十年度のエネルギーを石油換算いたしますと、大体三億九千万キロリッターであったわけでございますが、それが大体石油換算で六億キロリッターに、その一〇・八%やった結果、抑えられる、こういう意味でございます。
  147. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 まあそうであればいいんでありますが、とにかく計画は計画でありますから、それに基づいての諸元を達成するような努力をしていただきたいと思うのです。  次には、そうならば先ほどお話し申し上げたとおり、やっぱり供給力というのは偏った国から援助を仰いでいる、援助といいますか、供給を仰いでいるというふうな状況。そうならば、先ほど申し上げたように、東南アジアから二〇%というお話。そうすると、いざというときは八〇%が来なくなってくる、大変なショックを受けるわけなんで、供給先の多角化という問題が出てくるわけですね。堺屋太一さんのお話だと、石油の輸入量が三割になって二百日も続いたら、それこそ三百万人が死ぬなんという大ショックというか、おもしろい小説ですわね、「油断!」ですか、というのがあるぐらいなんで、やはりこれからは節約も結構だ。しかし、その節約も危ないかもしれないという私自身はちょっと危惧を持っているけれども、そうならば、供給の多角化、あるいは開発していくということに頼らざるを得ないと同時に、また一方は新エネルギーの開発と、こういうことになるだろうと思うのですね。そこで、ここの懇談会で指摘されている一次エネルギーの供給先を多角化するということについては、エネルギー庁としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  148. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 一次エネルギーの供給源の多角化というのは、大きく申し上げると二つに分かれると思います。一つは石油、やはりここしばらく十年程度は、わが国のエネルギー供給の大宗は石油が占める、こういう時代が続くと思いますので、石油供給源の多角化が一つでございます。  他の一つは、LNGあるいは石炭等、石油に代替するエネルギーの供給確保ということでございます。もちろん、この中に原子力をもととする発電の推進ということも含まれてまいるかと思います。  第一の点につきましては、原油供給ルートの多角化という点につきましては、先般の総合エネルギー調査会の中でも指摘されたところでございますが、現在二割程度になっておりますアジアからの原油輸入を昭和六十五年ごろまでには三割程度までに引き上げるという努力をなすべきである。このためには、たとえばインドネシアあるいは中国等の原油、これらが非常に重質油でありまして、わが国の需要構造に必ずしも適していないという問題もございますので、これを解決するための重質油分解装置その他の重質油対策を並行的に推進していくとともに、各地域における開発に積極的に参加して、いわゆる自主開発原油というものを極力ふやしてまいりたいと考えております。さらに地域的な供給源の多角化のみではなくして、いわゆる供給ルートの多角化ということで、自主開発原油あるいは政府間ベースでのいわゆるGG原油であるとか、あるいは直接取引、ダイレクト原油と言われておりますDD原油等も逐次増大してまいりたい。これにつきましても、将来三分の一程度はこれらの政策原油あるいは準政策原油でわが国の供給ルートの相当部分を占めたいと、三分の一に引き上げたいと、こういうふうに考えております。  LNG等につきましても、積極的に開発あるいはこれらのガス産出国におけるガスの液化といったようなプロジェクトに参画いたしまして、わが国の需要とミートさせながら、これも先ほど先生指摘の長期エネルギーの需給見通しの中で想定されておりますような規模までLNGも引き上げてまいりたいと思っておりますし、石炭につきましても、海外炭の導入、有効活用等を図ってまいるという政策を現在推進中でございます。
  149. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 よくわかりましたが、開発の問題についてちょっとお答えがなかったように思うんですけれども積極的にこちらが開発していくと、海外であろうとどこであろうと。その問題についてちょっと。
  150. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 先ほどお答え申し上げました政策原油三分の一の中の主体はやはり開発原油というものになろうかと思います。開発につきましては、中近東地域等では産油国のいわゆる力と申しますか、が非常に強い上に、世界のメジャー等主要国の開発が入り乱れておりますので、なかなかむずかしい点もございますが、これらの地域では良質の油も産出が考えられますので、引き続きこれらの地域についての開発を公団の援助のもとに進めてまいりたいと思っておりますが、それ以外にも、先ほど申し上げましたようなアジア地域その他の地域についても、積極的にわが国の開発企業の進出を促してまいりたい。このために、公団の民間開発に対する助成措置についてのさらに一層の強化、そのほか、民間でどうしても開発できないような場合には公団自身も直接開発が行えるような方法も現在検討いたしております。
  151. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いろんな開発の方法があるだろうと思うんですが、よく言われる融資買油あるいは生産物分与方式、こういうふうな話がよく出るんですが、これは公団の機能としてできるわけですね、今日。
  152. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 公団が関連して、公団の施策を活用して民間で推進ができます。
  153. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 一つ例示的にお話を賜りたいと思うんですが、私の聞いている話では、融資買油の話が何かペルーとあるんだそうですね。これはちょっとお答えいただきたい。  それから、最近新聞に載った中国の、質は重質油にしても、融資買油方式かあるいは生産物分与方式かによって開発していきたい、こういう話があるんですが、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたい。
  154. 神谷和男

    説明員神谷和男君) ペルーにおきましては石油公団がかなり実質的に推進をいたしまして、実際に本件を取り扱っておりますのは日本ペルーという会社でございますが、これには公団の出資が入っております。三億三千万ドル相当の円を融資いたしまして、それの見送りとして油を長期的に購入する、あるいはむしろ油でその金を返してもらうと言った方が適当かもしれませんが、そういう方式ですでに実施に移されております。  中国につきましては、御承知のように、すでに二回にわたりまして石油公団の幹部を主体とする訪中団が中国を訪問いたして、先方の石油工業部と資料等を交換しながら折衝を行ってきておるところでございます。本件につきましては、一部に融資買油ということが報道されておりますが、そういう方向に行く可能性あるいはそれに類似した方向に向かう可能性が強いということは事実でございますが、開発方式につきましては現在まだ最終的に確定いたしておりません。
  155. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 量的にはどれぐらい期待できるんですか、この両方で。
  156. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 中国につきましては、まだ現段階におきましては数量を申し上げられるようなところまで至っておりません。
  157. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ペルーはどうですか、ペルーの問題。
  158. 神谷和男

    説明員神谷和男君) ペルーは、現在のところパー・デーで五万バレル・パー・デー程度のものでございます。
  159. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いつごろから、大体。
  160. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 来年の三月ごろから油が入るという予定になっております。
  161. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 だんだん時間がなくなってきてあれなんだけれども、こうなるとやはりGGの油を持ってくる、GG契約によるところの油を持ってくるということやら、あるいは海外に進出して石油公団の機能を活用しての開発方式もいろいろ考えなければならぬということになるけれども、やはり世界的に供給不安定な世の中になってくるというようなことになると、私はこれは提言をすることになろうかと思うんですけれども、いままでのような石油の市場原理に任せっ放しにするようなことから、だんだん、逆行するかもしれませんけれども、逆行する面が出てくるかもしらぬけれども、政府主導型ということが非常に強くなっていかなければ、今後の石油エネルギー対策に対して対処できないんじゃないかということを心配するわけです。それには、いまも例に出しました開発問題やらあるいは省エネルギーあるいは新エネルギーの代替研究開発の問題を含めて、どうしても資金量も多く要るし、あるいはタイムリードと申しますか、リードタイムと申しますか、そういったものが非常に長過ぎる。これは民間ベースではたえられないというふうな問題も出てくる。そういった市場原理を逆なでするような、逆行するようなことになるかもしらぬけれども、そういうことが必要になってくる。そのためには、先ほど御質問した省エネルギーの問題にしても開発の問題にしても、法律上いろいろ規制していかなければならぬというふうな問題があると思うんですが、こういった、国家統制とは言わないにしても、政府が主導的役割りをうんと演じなければならぬと思うんですが、その点どうですか。
  162. 神谷和男

    説明員神谷和男君) エネルギー問題特に石油の問題につきましては、二つの基本的な要請があると思います。一つは、やはり民間企業の活力、英知というものを最大限に利用するあるいはその効率性というものに着目するという観点が一つあると思いますが、しかし、先生指摘のエネルギーの安定供給という安定面に着目した場合には、やはり政府の積極的な関与が必要であろうと、あるいはそういう分野がかなり今後多くなってくるのではないかというふうに考えております。したがいまして、開発あるいは原油の調達、その後の問題につきましても、そのときそのときの局面を見ながら、現在申し上げました二つの観点の最もバランスのとれたところで行政を進めてまいりたいと考えております。
  163. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 次に、備蓄の問題としてこの懇談会の指摘されているのは、「海外からの一次エネルギーの一時的な供給制約に対して、わが国の経済の安全保障を図るため、各種エネルギーの需給事情に応じた備蓄を保有すること」、これで備蓄法によっていま三百六十五分の七十ないし九十の範囲、つまり七十日ないし九十日の範囲内において民間ベースにおいて備蓄を要請しておられるようなことですが、この七十日ないし九十日というのはどういう意味を持つんですかね。
  164. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 九十日につきましては、IEAの申し合わせに従った数字ということでございます。より現実的に申し上げれば、九十日備蓄のうち、通常の操業状態でございますと四十五日程度のいわゆるランニングストックが必要になろうかと思いますので、これを控除した四十五日分は少なくも、日本に対する油か全面的に——これはそういうことはあり得ないと思いますが、全面的にストップした場合にも四十五日間はもつということでございます。さらには、緊急時ということでランニングストックを減らし、あるいは節約というものをかけますと、この期間はさらに長くなる、こういう実質的な意味を持っておると思います。
  165. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ある専門家によりますと、中東紛争が起こった場合に、大体解決に二百日ぐらい要するだろうと言うんですよ。その二百日ぐらい要する場合には、そのストック分と、先ほどもお話があったアジアからの二割の分と入れてせいぜい三割あるいは四割までいかない、この分でいかなきゃならぬわけですが、こういったためには、このランニングストックとして九十日分あるいは四十五日分は、量的には非常に少ないんじゃないかという気がするわけですね。  それで、民間のいまの備蓄の体制を国の直轄備蓄体制に持っていこうという御計画があるやに聞いておるわけです。これはタンカー備蓄に見られるようなこと、あるいはまたその他の施策があるのかもしれませんが、こういうふうな見通しといいますか、国家備蓄的なタンカー備蓄のような話があるということについて、ちょっとその間の事情を御説明いただきたいと思うんですけれども。
  166. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のように、まず基本的には民間の備蓄を五十四年度末には九十日に持っていく、現在は八十三・五日分備蓄がございますが、逐年これをふやしていくということで、五十四年度末には九十日に持っていきたいというふうに考えており、そのように進めております。  ただ、先生指摘のように、九十日で足りるのかと、ヨーロッパ諸国等では百日以上備蓄しておるではないか、こういう意見は従来からございました。しかしながら、民間にこれ以上の備蓄を進めさせることもその負担等の面から問題があろうかということで、先般石油公団法を改正していただきまして、石油公団が直接備蓄ができるようになりましたので、まず当面本年度予算からすでに予算措置を講じられておりますが、石油公団が百万キロリットルの公団備蓄を行うということで、これは五十七年度末までにこれを実現したいということで現在進めております。  ただやはり、陸上の土地を決定しタンクを築造しますまでに期間がかかりますので、暫定的措置といたしましてタンカー備蓄を実施する——失礼しました。先ほど、五十七年度末に一千万キロリットルでございます。私、言い間違えたようでございますが、一千万キロリットルの公団備蓄を行うことになっておりますが、このタンク建設までの期間、暫定措置として五十三年度からタンカー備蓄を実施いたしております。現在すでに二十杯のタンカーに油を積みまして、五百万キロリットルの油をタンカーが積んで、一部はすでに本邦南方海上で漂泊をいたしておりますし、一部は近くわが国に到達する予定になっております。最近の、先般の総合エネルギー調査会の石油部会の答申では、この公団の一千万キロリットルの陸上備蓄、恒久的な陸上備蓄でございますが、これを長期的には三千万キロリットルに、当面は二千万キロリットルに増大すべきであるという答申がなされておりますので、私どもとしては早急にこの方向に沿った施策を推進すべく検討をいたしておるところでございます。
  167. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いまのいみじくもおっしゃったタンカー備蓄をせざるを得ないということは、陸上基地の立地がなかなかむずかしいという事情であるわけなんですね。そうしますと、皆様方は専門家だから、備蓄の適地というのは一体どういうふうに考えておられるのか。石油を備蓄する、住民の反対運動が起きる、そういったようなことでいろいろ問題あるかもしれませんが、純粋に考えた立場としての石油備蓄基地の立地、適格地といいますかね、適地はどういうふうに考えておられますか。
  168. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 備蓄につきまして、その備蓄の活用法によって備蓄の適地についての考え方というのも若干異なった御意見が人によってございますが、一般的、共通的に申し上げられることは、第一はやはりタンカーの入り得るような港湾施設が整備されておるか、あるいはそれが容易に整備できるような自然条件であることが第一でございます。  第二に、陸上の場合には地盤その他の条件が安全性の面から見て問題がないということであり、当然のことでございますけれども、住宅地域その他の密集地域に余り近い地域ではない、いわゆる工業地帯あるいはそれに準ずるような地帯として将来発展し得るような地帯が好ましいと、このように考えております。
  169. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それで、確かにやっぱり問題があると思うんですね。これはこれからの新エネルギーの開発の、特に原子力の立地の問題あるいは電源の立地にすら十年も十五年もかかるというふうな状態、これは一体どういうことなんだろうと庶民的に考えてみますと、やはり公害がこわい、特に日本は地震国であるし、場合によっては非常に火の出やすいところであるというようなことからそういった反発があるんだろうと思うんですよ。したがって、立地されるときのいろんな条件整備というものが単にパブリックコンセプションといいますか、あるいは地域によっては住民のコンセンサスというだけのことじゃなくて、地域にメリットを与え、しかも安心して持ってこれる、受け取れるというふうな設備やら条件が整わなきゃならぬと思うんですね。  そこで私は、その公害問題、それから地震、火災問題で大きな三つの事態を反省して、どういう前向きの対策をお立てになるのか、言うならば、それによって地域の住民がどの程度の安心感を得られるかということにも関連するわけなんで、いま例として、公害問題では三菱の油漏れの問題、これに対してどういう反省をされるか、またどういう原因であったか。あるいは酒田大火というのがありましたですね。それによって石油の貯蔵タンクはどうであったろうか。幸いなことに酒田のコンビナートは火に襲われなくて幸いだったわけですが、一般の民間の貯油施設もあるわけなんで、工場の貯油の施設もあるわけなんで、あるいはホテルの貯油の施設もあるわけなんで、そういったものはどうであったろうか。それから宮城沖地震のような、ああいう大きな地震がいつどこを襲うかもわからないということに対するいわゆる反省点、そういったものをお聞きしたいと思うんですけれども。
  170. 小池次雄

    説明員(小池次雄君) ただいま先生から御質問があったわけでございますが、三菱の水島の流出事故に関しましては、その直後に石油コンビナート等の災害防止法が大きく手当てされまして、消防法の個別規定におきましては、危険物規制の面から屋外タンク貯蔵所の地盤、基礎あるいはタンク本体、さらには溶接、あらゆる面からの規制強化と、さらにまたソフト面におきましては、これらの取り扱う管理監督の規制というもの等が厳しく規制されてまいってきております。  さらにまた、酒田大火におきましては、これはたまたま幸いにして当地域にはガソリンスタンドはございませんでしたけれども、ホテルあるいはまた百貨店、これらに設置されております地下タンクを使って、自家用のいわゆるタンクがあったわけでございますが、幸いにして建物は燃えましたけれども、地下のタンクの方に対する火災熱による影響はほとんどなかったというような実態でございます。  さらにまた、先般宮城沖地震がございました。この面に関しましてやはり得た教訓といたしましては、まず第一に、東北大学の実験室、あるいはまた東北薬科大学の実験室、これから混合火災の火災がございました。これに関しましては、地震動によって薬品が転倒等いたしましてそこから発火したという例でございましたので、これら危険物を扱う対象物に対する取り扱い管理、こういったようなものに対する内容のものを盛った通達を都道府県に出し、この完璧を図るように進めておるわけでございます。  さらにまた、東北石油のいわゆるタンクの破壊という点がございました。これにつきましては、現在消防庁長官の私的諮問機関でございます危険物技術基準委員会におきまして現地調査あるいはまた委員会等を積み重ねまして、現在、破断面、こういったようなものの切り出しを行って厳密な検討中でございます。これらにつきましても、将来内容が明らかになった場合におきましては十分担保するようにしてまいりたい。  さらにまた、油の飛散あるいは拡散防止という点で防油堤がございます。その防油堤の下に配管がありまして、たまたま地震動によってそれが緩んで、そこから防油堤の下を油が通ったという例がございまして、これに関しまして、早速しかるべく補強手当てと、これは既存の対象につきましても、新しい対象につきましても、油の飛散、拡散、それによる流出がないようにとどめるべく、先般通達をもちましてそれを確認すべく、当該県並びに市町村に対する通達を行っております。そのような今後としての教訓を得たところでございます。
  171. 中川登

    説明員(中川登君) ただいま小池課長の方から個々の施設に対しての話がございましたけれども、コンビナート地帯は個々の施設だけでなく全体として考えるべきだと、こういうように考えられますので、石油コンビナート等災害防止法によりまして、各事業所につきまして防災施設、防災体制の確立をやりますと同時に、コンビナート地域全体につきましても一体とした防災体制をやることにしております。そうして具体的に言いますと、流出油等防止堤その他の防災設備等をやるということになっております。そういうふうにして強化してきたわけでございます。  そのために、この前起こりました宮城県沖地震におきましては、そういうものは流出油防止堤、それからオイルフェンス、それから油回収船等を設備いたしましたところ、それが直ちに役に立って事故は非常に少なくて済んだと、こういうように考えておるわけでございます。
  172. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いろいろ御配慮あるだろうと思いますけれども、そういった教訓を前向きに生かしていただいて、それで、やはり地域住民というのはそれが一番こわいわけですから、安心感を与えられるように業界を御指導願わなければならぬと思うんです。  いまお話がございました石油コンビナート等の災害防止法で、大きなコンビナートは一定の緩衝地帯を置くように義務づけているんですか。
  173. 中川登

    説明員(中川登君) 義務づけというところはいたしておりませんけれども、一応なるべく推進していきたいというように考えておるわけでございます。
  174. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 火薬の保管庫の場合は、貯蔵する量によって一定の距離を置いてというふうなことが規制されておりますね。やはり将来そういうふうなことを規制すべきじゃないかと私は思うんです。これはお答え要りませんが、規制すべきだと思う。これは地震の場合に、いま油漏れがあったときにフェンスをつくるということも必要なんだけれども、場合によっては、大阪城じゃないけれども、周りに大きな堀をつくっておく、それが一つの緩衝地帯だということも研究をしていただかなければならぬだろうと私は思うんです。  何よりも大事なのは、要するに地域が安心感を持って立地を受け入れられるような条件を整えてあげるということと、持ってきた場合に、地域のいかに経済的な浮揚に役立つのかというところをやっぱり考えていかなければならない。  これは私は素人で、過日通産省のエネルギー庁の専門官にお話を承ったら笑われたんですが、石油コンビナートで一定の量を、あるいは石油貯蔵基地の一定の量以上のものを貯油をする場所には、これに関連するような企業の立地が、義務づけと言ってはおかしいけれども、行政指導として成り立たないかと、その場合に石油関連企業として公害のないものはないだろうかという質問をしたら笑われまして、大体公害はあると。しかし、その公害があるがゆえに地域がまたこれを受け入れないという悪循環があるんですけれども、一番公害がないのは発電施設を持ってくることだと、こういうふうな答えがあった。  そうなりますと、これからやはり電源開発もあるだろうし、電源立地の問題あるいは原子力立地の問題もあるけれども、これからの企業というものは、やはりそういったものを、地域の反対に遭うために立地を非常に逡巡するわけですね。  先ほどお話しのように、現在、五十四年度末に九十日の石油基地をつくっていかなきゃならぬという今後の御計画は非常に私は結構だと思うんだけれども、この資料を拝見いたします限り、この九十日分のいわゆる追加能力としての受け入れの施設が、十万キロリッタータンクを二百七十三基つくらなきやならぬと。逐年これは少しずつ上がってくるんでありましょうけれども、五十年から五十四年度の間において、平均六十日であったものを九十日、つまり三十日の追加分に要するその石油の基地が二百七十三基、そうして十万キロリッターのタンクだと、こういうことであるわけですね。しかも、それに対する追加面積、用地の取得というのが四百十万坪も必要なんだと。こういった場合に、いまのような地域の住民のコンセンサスを得るまでの間は黙っていると——黙っているというわけじゃないでしょうけれども、難航しているということだったら、これは計画達成できませんね。それを恐れるわけなんです。  そうならば、いまのように、立地に当たっての災害の防止についてこうこういうことで心配ないと、いままでの経験を生かして、教訓を生かして心配ないんだという安心感をまず地元に与えると同時に、その地元の経済浮揚になるような産業立地を同時に考えてあげなきやならぬ。言うならば、石油コンビナートでなくても、貯油施設コンビナート、そういったものをやはり配慮していかなきゃならぬじゃないだろうかと私は思うんです。そういった意味において、皆さん方の備蓄計画なりあるいは立地計画なりをお進めにならぬと、この問題は私は絵にかいたもちで、結局また備蓄がない云々で大騒ぎするような事態になるのじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。これは意見として申し上げておきます。  それからそれに関連して非常に大きな問題は、貯油施設の陸上施設に対しては保険があって、損害についての保険給付が得られると。しかし、水島事故のように、流れた油で漁業補償をやる、いや、何やら何やらの補償があった場合の補償に対する保険給付がないんだと、こういう事態なんだそうですね。私は、これは保険業として非常におかしなことじゃないかと思うんです。現状はそうなっていると思うんですが、どうでしょうか。  そうしてそれに対する私の提言なんですが、油が漏れた場合の補償まで、やはり新たな保険をつくっても保険給付が及ぶべきだというふうに思うんですが、その二点について御意見を伺いたい。
  175. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 油に関連いたしました保険に二種類ございまして、陸上タンク関連のものと、それからタンカー関連のものとございます。  陸上関連のものにつきましては、タンクあるいは機械設備等、そのものを保険する火災保険あるいは動産総合保険と、第三者に対する法律上の責任、あるいは油濁賠償及び清掃費等をカバーする損害賠償責任保険というものがございます。  タンカーにつきましても、類似した第三者に与える被害をカバーする保険がございますが、保険のカバーする金額にやはり限度がございますので、大きな事故になった場合に、やはりその会社がかなりの負担をしなければならない、持ち出しになると、こういう問題点はございますが、一応の制度としてはそろっております。  新しいいろいろな備蓄方法が現在検討されておりますが、それらの新備蓄方法につきましては、まだ方法についての具体化が余り進んでおりませんので、保険業界の方でそれに対応する体制を整えるまでに至っておりませんが、われわれは、今後新備蓄方法も進むと同時に、保険業界とも相談をしながら、それに対応し得るような保険措置、保険制度を整備していくように努力してまいりたいと思っております。
  176. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 大臣がお見えで、大臣に御質問の通告はいたしておりませんけれども、最後に見解を承りたいと思っておるわけです。  それは、先ほど来私が、エネルギーを取り巻く世界の情勢は大変なことだと。しかも、エネルギー依存度が非常に高い日本、輸入依存度の非常に高い日本。そうなると、エネルギーの問題は、これからの開発の問題もありますし、備蓄の問題もありますが、市場原理とは逆行するような形になるかもしらぬけれども、やはり国として全面的にリードしていくような体制をこれからとっていただかなきゃならぬじゃないかと思う点が一つ。  それからもう一つは、備蓄計画をするについても、先ほど来宮城沖の地震だとか、酒田の大火だとか、水島の油漏れの事故だとかというふうなものの教訓を生かして、地域のコンセンサス、安心感を与えると同時に、やはりある程度以上の貯油タンクをつくるときには、そこに地元の産業浮揚になるものをくっつけて誘致すべきじゃないかと。工業再配置促進法と同じような考えと補給金もつけて、それからせっかく石油新税ができて交付金もいただくようになった。これは非常に結構なことだと思うんですけど、単に金をやりっぱなしじゃだめなんです。やはり、そういったようなものを持ってきてあげるような政府・行政主導型が前面に出てくるということが今後の石油のあり方だと思うんですけれども、これに対する大臣の御見解をちょっと承っておきたいと思います。
  177. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) わが国は先進工業国の中でエネルギーの分野では一番弱体であります。そういうことで、他の先進国よりもよけいにエネルギーをどう安定的に確保していくかということについては、特別な配慮をしなければならぬ立場にございます。  さしあたっては石油問題が一番大事でございますが、石油問題を大別いたしますと、開発それから節約、備蓄と、こういう諸問題がございます。いまのお話は、このうちの備蓄問題に関連をして、備蓄を有効に進めていこうということのためには地元の協力が何よりも必要であるので、やはり地元が協力しやすいような幾つかの条件を満たすべきである、こういうお話でございますが、私どもも基本的にはそういう考え方でございます。できるだけ地元の発展を図りながら備蓄政策に協力をしていただきたい、こういう考え方で進めてまいる所存でございます。
  178. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 備蓄は、長期的な石油資源の枯渇に対処する効果というものは、これはほとんどない。ただ、一時的緊急事態に備える意味での備蓄というのが非常に重要な問題だという意味においての備蓄の重要性を私は申し上げたわけなんです。  そこで、最後になりましたけれども、時間もありませんので、新エネルギーの開発の問題、先ほど吉田委員からの御質問にお答えがありましたんで大体は承知いたしたんでありますが、これには膨大な資金が必要だということになるんですが、そういった問題は一応別にいたしまして、将来、私は私自身の考え方でありますけれども、いまドル安円高ということで差益分の還元の問題がいろいろと問題になっている。しかし、私は、石油のいまの差額、差益分というのは一過性の問題であって、長期的にこの差益を吐き出せというふうなことではいけないんじゃないかと、私自身はそう思っているんです。そうならば、その差益分を何らかの形で還流させまして、これからの備蓄の基地の整備に充当するような財源にするとか、あるいは新エネルギーの開発のために使うべきでないかと、こういうふうに思うわけです。  私は先ほど来のお話もありましたけれども、原子力発電というものについて、これからのやはり二十世紀後半から二十一世紀にかけての一番非常に期待すべきエネルギーだと思うんでありますが、原子力発電の今日の現状ですね、発電量、それから昭和六十年あるいは六十五年においてどの程度の原子力発電に期待するかということをちょっとお聞きして私の質問を終わりたいと思っておるんです。
  179. 豊島格

    説明員(豊島格君) 現在、原子力発電の設備は大体十六基で九百五十六万キロワットでございまして、大体一千万キロワットの一割を占めております。昭和六十年にはこれを三千三百万キロワット、六十五年には六千万キロワットに持っていくというのが現在の計画でございまして、これを達成するためにあらゆる努力をするというのがわれわれの立場でございます。
  180. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 十三基と言いましたかね、原子力、現在。
  181. 豊島格

    説明員(豊島格君) 十六基でございます。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 所管外ですけれども、法務省来ていらっしゃいますか。ちょっと緊急なテーマでありますんで、一、二ロッキードのことでお伺いしたいんですが、コーチャンの尋問調書で中曽根総務会長、引き続いて二階堂氏、佐々木氏あるいは四本氏、笹川氏等の名前が出てきたわけでありますが、尋問調書では出ておりますが、国内の裏づけの調査——参考人等としまして事情等はもう聴取されたのか、その点いかがでしょう。
  183. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  いわゆるロッキード事件につきましては、一昨年十月の法務大臣の中間報告というものにおきまして、国会議員十七名のほか児玉譽士夫の周辺関係者、全日空及び丸紅関係者その他の民間及び官庁関係者等約四百六十名を取り調べをしておるということを国会に御報告申し上げております。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 その中に入っていると、こう理解してよろしゅうございますね。
  185. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) これまでも、具体的にだれだれを取り調べたかということにつきましては、関係者の名誉、人権その他の問題もございまして、捜査当局の立場からこれを公にはしないというたてまえをとっておりますので、ひとつそういう限度で御了解いただければと思います。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 これまではそういう了解をしていたんですが、コーチャンさんの尋問調書で出てきましたからね。当然、私たち素人ですけれども、その素人でも、常識としてその国内の裏づけ捜査はすることが、していることがあたりまえだろうと、こういうことで、昨日からやっぱりいままでの時点とは若干その状況が違うんじゃなかろうか、こういう状況を踏まえて、その中には当然入っているんですねと。内容を聞くというんじゃないんです。何を調べたか、そんなことまで立ち入って聞こうと思うんじゃないんですが、そういう観点からいままでの時点とは違うんじゃないでしょうか。やっぱり参考人等として裏づけ捜査はしているとこう理解して、その中に入っていると、こういうことでよろしいんですか。
  187. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答えになるかどうかわかりませんが、検察の捜査は常に完璧を期しておりますので、必要な限りにおきましては関係者等から必ず事情を聴取しているのが一般の例でございます。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから、二階堂さん等初めみんな否定しておりますね、強く。これは嘱託尋問調書ですから、あくまでもコーチャンさんの発言ですからね。これから公判でそれが調べられていくだろうと思いますけれども、小佐野さんと法廷で対決してもいいんだとこんなことも言っておりますが、これは今後の法廷でこういうことが可能なんでしょうか、二階堂・小佐野対決なんというようなことが。
  189. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 可能かどうかにつきましては、裁判所が検察官あるいは弁護人側の意見を聞いて、申請がありますればその段階で考えるということになろうかと思います。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 裁判官側の判断による、こういうことだと思うんですけれども、いまの時点、これを踏まえて、きのう盛んにいろいろなことで否定の談話を出しております。それについて私ども別に直接にどうこうと言う範疇じゃないとは思うんですが、盛んに中曽根総務会長あたりは、日本語はわからないんだからと、こんなことも一つの批判する材料にしているんです。二階堂氏の場合には、コメントは余り出ないでともかく対決とこういうことなんです。ですから、裁判所が判断するという次元は次元としまして、こういう種類のものは当然本人の申請かあれば法廷において対決——二階堂氏の言葉をそのまま引用しますと、そういうことも可能じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  191. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 嘱託尋問調書は、証拠能力がようやく認められて、ただいま証拠調べに入っている段階でございますが、この内容、いわゆる証明力の問題はまた別でございまして、今後弁護人側がいろいろ反証を挙げてこの証明力を争っていくということになろうかと思いますが、その段階におきまして、仮にその辺の事実につきまして争いがあるということになりますれば、弁護人側からの申請あるいはそういうふうなやり方で事実関係が争われていくということになろうかと思います。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません。結構です。  通産大臣、いよいよ第四の候補者ですか、第三か第二かあるいは第一ということになるか、可能性はわかりませんけれども、党の選対と言うんですかね、党あるいは政府、大臣の役職は辞任しなくても結構だと、これを踏まえて辞任しないで大臣のまま出馬というふうに私たちはマスコミの情報で聞いているわけでありますが、もしそうだとすると、非常にやっぱり私はおかしいことじゃなかろうかと、こう思うんです。ということは、党は党であって、あくまでも福田内閣の閣僚ですから、それが福田総理と対決の姿勢をある意味ではとるからこそ、第四であるか第二であるかの候補として争うわけですから。しかも、総理大臣はいつ何どきでも通産大臣を罷免できる位置にあるわけですからね。そうすると、自分が絶えず罷免できる可能性がある力を持つ人と、その傘下にいまして、それでその人に対して争う、対決するという言葉は的確かどうかわかりませんが、総裁・総理の座を争うわけでしょう。そうなると、これは非常にやっぱり内閣でいいじゃないかと決めたのと党で決めたのと次元が違うと思うんです。筋論としては当然辞任して、そしてやっぱりしかるべく福田総理・総裁と争ってこそ国民に対しての候補者としての大義名分が明らかになるんじゃなかろうか。党にこの際拘束されることはないんじゃなかろうかと、私こうアウトサイダーとして思うんですけど、どうですか。
  193. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この席で申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、御質問がありますからお答えをしますと、選挙をやるという立場から考えますと、おっしゃるとおり、役職を辞任してやる方が選挙ははるかに私もやりやすいと思います。ただ、自民党といたしましては、今度の選挙方法は全く新しい制度でございまして、今度第一回の選挙を通じて新しい慣行をつくり上げたい、こういう考え方に立ちまして、自民党本部に選挙管理委員会というものができまして、選挙のやり方をどう進めるかということについて、ずっと長い間かかりましていろんな角度から検討をしておったのであります。そこで、二十日にようやく結論が出まして、閣僚並びに党役員は辞任をしないで今回は選挙をやる方が望ましい、そうすべきである、こういう趣旨の結論が出まして、私も選挙の方は辞任した方がやりやすい、かように思いますけれども、最高の選挙管理委員会でそのような決定が出ましたので、今回はこの選挙管理委員会の決定に従って、この管理委員会の決める幾つかの原則がございますが、その原則に従って選挙をやるというのがいいのかなと、こういう判断をいたしたわけでございます。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 自民党の党で決まったことを、私、他党ですからね。しかも今回初めてのケースですから、大臣の考えというものを云々できる立場じゃありませんけれども、やっぱり一国民として考えてみますと、選挙としてはやりいいのかなと、やりいいんだったら、選挙にこれから臨んで——臨むわけですよ。ですから、党議——よく政府は政府、党は党だと都合がいいときはおっしゃるわけですね。いまこそ党は党で政府は政府という立場をおとりになって、そしてしかも御自分で選挙については辞任した方がやりいいのかなと、こうお思いになるならば、当然御自分の御意思を先行させまして、むしろ党の管理委員会の方、管理本部の方に対して、やりにくいとあからさまに言わないと、こういうことになるんですよ。  結局、河本通産大臣のやり方というのは福田ペースのやっぱり闘いをやるんじゃないか、福田内閣の閣僚なんだから、それを辞任しないということは、明らかに、三木派と言っていいんでしょうか、あるいは河本候補と言っていいんでしょうか、福田総理ペースでやるんだなと。中曽根さんとは、あるいは大平さんとは違うんだなと。はっきり福田総理・総裁と対決する姿勢での闘いじゃないじゃないか、こういう反論には、批判にはどう受けて答えますか。福田ペースでやるんじゃないかと、選挙運動を。まあ私の関知するところじゃありませんよ、こんなこと。だけど、やっぱり初めてのケースだし、総裁・総理の座が連動しているわけですから、やっぱり国民としては無関心ではいられないわけですよ。
  195. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 実は私も、いま申し上げましたようなお考えも当然世の中にはあると思います。そういうことで、十九日まではいかなる方法で選挙に臨むかということを態度を決めかねておったのでありますが、むしろやめてやる方がやりやすいと、こういう判断もありましたけれども、しかしながら、選挙管理委員会で新しい慣行をつくりたいと、こういうことでたくさんの方々が寄ってお決めになったことをやはりこの際は尊重するのが、党全体のために新しい慣行をつくり上げるという意味においていいのではないか、このように総合的に判断をしたのでございます。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 判断すりゃまた結構ですが、ひとつ第四の候補者じゃなくて、第一の総裁・総理になって来国会はここに臨むことを期待しておりますのでがんばってくださいよ。  本題に入ります。  ここにパンフレットもありますし、通産の方にお伺いしたんいですが、このパンフレット、これは大和冷機という、ある意味では営業用専門の冷蔵庫、冷凍庫、これを販売するこの分野では大手のメーカーなんですけれども、それが逆三角テー・マークをつけてそれで販売しながら全く不合格品を販売していたと、こういうケースについて私はいまここで指摘したいと思うんですが、このパンフレット、これは四十七年に出したんですね、新発売のときに。ここを見ますと、あらゆるときにあらゆるところに、これはもう当然だと思うんですけれども、逆三角のテー・マークと言うんですか、これ何と言うんですか。このマークが品質を保証しますと。もうあらゆるところに書いてあるわけですよ。それで新発売で売り出しているわけです。三十万から六十万ぐらいありますな。もう逆三角のテー・マークがついていれば、これはもう当然買う方の消費者は保証しているんだと、大きくは通産省が、政府が。こういうことでこれは購入して、安心して安全性について信頼して使うと、そうせざるを得ないと、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
  197. 豊島格

    説明員(豊島格君) 電気用品の安全の確保を図るためには、御承知のように電気用品取締法において、製造業者の登録というものがまず行われまして、それから型式承認を受ける。それから技術基準の適合義務というのがあるんですが、いま御指摘の点は表示義務というのがありまして、これを表示しないでは売ってはならないことになっておるわけでございまして、これがどのように守られているかにつきましては、法律に基づきまして立入検査を実施するということもいたしております。あるいは市場において出回っておる品物につきまして、これは法律に基づくものではございませんが、いわゆる電気用品の試買テストということで、試しに買うということで……
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこまでじゃなくて、いまこのマークがついていることは、品質の保証や安全性というものを政府ないし通産省を信用して消費者というものはもう買うんだと、こういうことですねということ。いま言ったことはまた今度聞きます。
  199. 豊島格

    説明員(豊島格君) そういうことで、それは以上のようなたてまえになっておりますので、当然消費者がそれを信用して買うというのは当然のことだと思います。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 この大和冷機のDLシリーズと言うんですか、モデルのタイプがこう六種類あって、これは主に町の酒屋さんとかお魚屋さん、肉屋さん、レストランに相当出回っているみたいですけれども、このDLシリーズの六つのタイプですか、モデル、これはいつごろから何台ぐらい製造され販売されたのか、まずこの点からお伺いしたいんですが。
  201. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと、あなたはいつも、必ず許可を受けて発言してください。
  202. 豊島格

    説明員(豊島格君) この製品につきましては、大体四十七年の十二月から四十八年の二月につきまして型式承認を受けておりまして、それ以後売られておるわけでございまして、五十三年になりましても売られておったわけでありますが……
  203. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体何台ぐらいですか。
  204. 豊島格

    説明員(豊島格君) 大体全体で三千台ぐらいでございまして、この中で——関東地区だけでございますか。
  205. 黒柳明

    ○黒柳明君 全国
  206. 豊島格

    説明員(豊島格君) 全国では大体一万四千ないし二万台が売られておるということでございます。
  207. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、この一万四千から二万台売られていたものはこれは逆三角のテー・マークがついていたんでしょうね。
  208. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと待ちなさい。何回注意されてもわからないようじゃ困るじゃないか。
  209. 豊島格

    説明員(豊島格君) はい、失礼しました。  その表示はついていたはずでございます。
  210. 黒柳明

    ○黒柳明君 ゆっくり立ってくださいよ、また委員長から怒られるからね。ぼくも落ち着いてやりますから。  そうすると、このDLシリーズの検査の経過ですけれども、検定の経過ですけれども、当然通産省指定の検査所というところがある。それについて法的にどこを検査せよというのもあると思うんですけれども、四十七年から始まって五十三年にも売られている、こういうあれがありましたけれども、いつからこの検定合格になって、いつごろからどうなったのかという、この検定の経過を教えていただけますか。
  211. 豊島格

    説明員(豊島格君) この製品につきましては、昭和四十七年十二月から四十八年二月までに型式承認を受けたわけでございまして、その後、一部サーモスタットの変更を加えるということで四十九年五月に設計変更いたしました。それからその後で、九月ごろに型式承認の認定を申請したわけでございますが、これは大体有効期間が五年ということで、その前にこのような新しい型式申請をしたというのがその経緯でございます。
  212. 黒柳明

    ○黒柳明君 課長さん、もうちょっと部長さんによく説明しておかないとね。まあいいよ、いま頭かいたって。部長さん、もうちょっとよく聞いておきなさいよ、真剣になって。ぼくは一生懸命これを調べておるんだから。課長さん苦労したんだから。ちょっと不正確よ。  四十七年に合格したと、この認定の期間が五年間あるから、五十二年のいっぱいまでは五年間ですからね。その間四十九年の五月に変更した。これがうまくなかったわけでしょう。不合格品だったわけでしょう。そして五十三年の四月まで売られていたと。これでいいわけですな。
  213. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  214. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう先生質問して答弁した方がいいぐらいですな、そうなると。まあ結構ですよ。  そうすると、四十七年から五十二年までの五年間、これはモデルチェンジとかいろんなものがなければ、バンドの中の範囲だったらばこれはいい、こういうことになっている。ところがそういうことになっているんですけれども、四十九年、五年間の中三年目ですね、まだ、五年ですから二年猶余期間があるんですが、そのとき変更したものが完全に不合格品だった。通産省としてこれがわかったのはいつなんですか。
  215. 豊島格

    説明員(豊島格君) 五十三年の五月でございます。
  216. 黒柳明

    ○黒柳明君 ということになりますと、四十七年の合格のとき、これはちょっとさておきましょう。これは問題があるんですけれども。  四十九年の五月にモデルチェンジをしたと、そしてこれが不合格とわかったのが五十三年の五月。それまでわからなかったわけですね、ずうっと。いま何て——五十三年の五月っておっしゃったですか。五十三年の五月までわからなかったわけです。そうでしょう。そうすると、これは一つはわからなかったというこの検定のシステムに問題があるんじゃなかろうか。  さらに問題なのは、いま現在二万台近くの不合格品がテー・マークをつけて、それでそこらに置かれているわけですね、現状としては。これは間違いないでしょうか。
  217. 豊島格

    説明員(豊島格君) 御指摘のとおりでございます。
  218. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、御指摘のとおりと。さあ、ここからのんびりできないの、部長さん。ここからちょっとのんびりできないんですよ。あるいはおわかりかと思いますけれども、逆三角テー・マークというんですか、これ。これをつけて売られていたということは、明らかに欠陥品が四十九、五十、五十一、五十二、五十三と売られてきた、こんな長い間。しかも、この欠陥品というのは電気用品取締法二十五条の二項で、テー・マークをつけて販売しなきゃならないというのが、テー・マークをつけているだけで不合格品、欠陥品として販売されて、それが立入検査もしてないわけでしょう。  もう一つ、五十三年の五月に欠陥といって勧告して、今日までその勧告に対して大和冷機が応じて何らか手を打ったかどうか、これはどうですか。打たれてないんじゃないんですか。
  219. 豊島格

    説明員(豊島格君) 会社としてはまだ手を打っておらないのが現状でございます。
  220. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうでしょう。そうなりますと、これは明らかに表示義務違反、電気用品取締法二十五条違反、これは罰則規定がありますよ。そうですね。  それから、さらに問題なのは、その二万に近い冷蔵庫が町に、そこらの小売店や何かにあるわけでしょう。これはせんだって朝日新聞にあった同じものが火を噴いているんです。しかも、関東地区だけで調べただけで三千台のうち五百台が故障して、そのうち十五台が火災発生していますね。朝日新聞もその中の一つ。そういうものが、いわゆる通産省のチェックのやり方といいますか、検定のやり方といいますか、不備なためにその網にひっかからない。ひっかかって、時期が遅かった。さらに、ひっかかった後でも、そういうものが全く——業者間に何かまあこれトラブルかあるらしいですね。故障、欠陥品がちまたに放置されている、しかもそれが火災発生も起こっていると。これは関東地区だけで三千台の五百件の故障で、そのうち十五件が火災発生といったら、これ決して少ない数じゃないんですね。こういう問題につきまして、これはどういうふうに現状について認識——まず認識ですよ。これ、対応処置とかなんとかはまた聞いていきますけれども、認識をどうされているのか、いかがでしょう。
  221. 豊島格

    説明員(豊島格君) われわれ取り締まりの立場にある者としまして、このような事態が発生したのは大変遺憾であるといいますか、非常に製造業者の不心得といいますか、非常に遺憾な状態だと思っております。
  222. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、製造業者の不心得があれば、電気用品取締法の二十五条で、表示違反だったら罰則規定までついているわけですから、懲役一年、罰金十万円ですかな。それはまあそれでいいんですよ、業者は遺憾。業者間のトラブルがあって、何かがたがたしているんで、なかなか事後処置ができないと、こういう問題。しかし、これ、四十七年に合格になって、四十九年にそれを変更して、不合格品がもう九、十、十一、十二、十三と、足かけ五年にわたって売られてきたわけですから、だからこの問題は、あくまでも業者がこういうものをつくって遺憾だと言って、いまのまま、勧告したんだけれども、向こうの内部のトラブルでもう手を打ってないんだだけじゃ済まされないんじゃないんでしょうか。そのためにやっぱり罰則規定、法律というものがきちっとあるんじゃないんでしょうか。それが一つ。  それと、もう一つは業者だけじゃないと思いますよ、業者だけじゃ。四十七年に五年間の有効をもって合格にした、その間において、四十九年五月にモデルチェンジしたと、この段階において通産省の検定所で検査して不合格になった。不合格品は通産省に上がってこないでしょう。そして、さらに五十二年を過ぎて五十三年になって、やっと下からのクレームで、おかしいおかしいということでこれは欠陥品だとわかったんでしょう。その通産の検定のシステムに問題があるんじゃないですか。一たん合格すれば五年間はもう放置、そのバンドの範囲でどう手を加えようと、それはもう構わない。それを本当はチェックするのが指定の検定所なんですよ。ところが、その指定の検定所も、極端に言うとどこまで本当に良心的に、正確に検定しているかどうかも疑問にならざるを得ないような重大なミスがある。合格にしちゃっている。検定所が三つあって、一つは合格、一つのところへ持っていったら全部それは不合格である。しかも、それが合格だけが通産に上がるけれども、不合格は上がっていかないといういまのシステム、こういうシステムの中で、これはもう電気製品なんというのはちまたにあふれているわけです。冷蔵庫だけじゃありませんね。あふれているものが、三年なり五年なり、一遍合格すれば、後は若干の許容量があって、技術的にこの範囲ならいいんだとどんどんモデルチェンジして、それが検定所を通って合格しない場合には全くわからない、それがちまたで販売されている、こんなような検定の仕方でいままで来たわけです。だからこういう不合格品がちまたにあふれちゃって、通産省が言う立ち入りもやってない。それから今度は製品買い上げの中にも、網にもひっかかってこない。こういういまの検定のやり方自身に問題が一つはあるんじゃなかろうか、まず業者を責める前に。どうですか。
  223. 豊島格

    説明員(豊島格君) ただいま先生が御指摘になりました、いわゆる電気用品の型式承認を不合格にした通知が通産省に来ない。法律上といいますか、そういうことは来ないでもいいたてまえになっておるために来なかったわけでございますが、そういうことは非常に好ましくない。やはり電気用品が出回っておる実態というものをよく把握するために、そういうものを、あらゆる情報を把握する体制が必要であるということは私ども反省をいたしておりまして、当然そういうふうに直したいということは、後ほどまた御質問があれば申し上げますが、思っております。  それからさらに、いまございました、一定の型式の中であればそれがある程度のチェンジがあってもそれは新たなる承認が要らないという、その型式の区分の問題の適否というものにつきましても、これはいろいろと専門家と相談しなくちゃいけないわけでございましょうが、今日の本件のような事態も起きておるわけでございますから、その辺の区分のあり方等についても十分見直してみる必要はあるということは当然だと思います。
  224. 黒柳明

    ○黒柳明君 その中には、先ほど言いました立入検査ができるとか、それから試買品をテストするとかいうこともあるんですが、これもいまの行政指導の中では不十分であって、何らかのやっぱり法制化しなきゃいけないということも考えられるんじゃないでしょうか。
  225. 豊島格

    説明員(豊島格君) 立入検査につきましてはすでに法律上の規定がございまして、これを実際もう少し的確につかめる程度にどういうふうにやるかという運用の問題として当然考えていかなくちゃいけないと思います。  なお試買につきましては、これは法律上といいますか、一定の行政行為としてやるわけでございまして、特に法律をつくらなくちゃいけないかどうか、そういう御判断もあろうかと思いますが、現在のやつをさらに拡大していくということで目的は達成できるのではないかと思いますが、なお検討いたしたいと思います。
  226. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの検定のやり方には不備がある、こういうことを踏まえまして、それで全面的にやっぱりこれを法制化するものはする、審議会で検討するものはすると、こう早急にしませんと、この大和冷機の冷蔵庫が一万四千から二万ちまたにあふれているだけじゃありませんよ。言うまでもなく霜取り器に対して過熱防止器がない。過熱防止器がないから煙を出す、火災の原因になる。そうすると、ほかのメーカーでも、霜取り器があるけれども過熱防止器がない、家庭に入っている冷蔵庫でもそういう型式のがあるんじゃないですか。課長さんあたり、そういうものは知ってますね。ありますね、そういうもの。
  227. 松田泰

    説明員(松田泰君) 数は少のうございますがございます。
  228. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると論理的には——これは技術的には若干意見がこう交錯する点も私はあるかと思いますよ、調べた範疇で。だけども論理的には、霜取り装置がつく、温度調節がつく、そして過熱防止装置がつかなければ−ついてないものについては事故があり火災発生があったということを踏まえると、やっぱり過熱防止装置がなきゃ安全性は一〇〇%確保されていない。だから、これは大和冷機の冷蔵庫は欠陥だ。そうすると、大和冷機の冷蔵庫だけじゃなくて、霜取り器があってたとえ温度調節器があったとしても、過熱防止器がついてないほかのメーカー、大メーカー、営業用じゃなくて家庭用、そういうものも即欠陥品になる可能性が十二分にあると、こういう論理的組み立てができる。論理的じゃなくて現実的にそうである。そうなると、これはただ単に、そこらの八百屋さんとか肉屋さんとかいう問題だけじゃなくして、家庭の奥様のところにも、これ一回総点検をしましてね、そして安全性が確保されているものであるかということまでもしっかりしませんと、せっかくここで取り上げた、それがただこの大和冷機のDLシリーズ型の六モデルだけだということに限定されて、これも手を打たれていない、業者間のトラブルで放置されたまま。事故は起こる可能性がある。さらに、この論理をほかに当てはめると、ほかのメーカーの物も、数は少ないけれども家庭用の中に食い込んでいることになると、これについてもまた直ちにしかるべく手を打たないと事故発生につながるということになる。これに対して、やっぱり現状についての掌握と、それについてのメーカーに対してのしかるべき適切な処置と、これは直ちにやられるんでしょうね。
  229. 豊島格

    説明員(豊島格君) 霜取り装置につきましては、従来、自動温度調節器があればそれでできるんじゃないか、こういう判断だろうと思うんですが、従来、特に過熱のためのあれを防止する器械というのを設けなくても通っていたと思いますが、しかし、実際霜取り器そのものが非常に普及してきましたし、それからまた容量も大きくなってきておりますので、これは何らかの措置を考えなくちゃいけないんじゃないか、その辺のところにつきまして十分専門家と相談をして基準の改正その他をやらなくちゃいけないと思いますが、とりあえずの問題として、実態調査はもちろんいたしますし、それに対してとるべき措置をどうしたらいいのかということも考えたいと思います。
  230. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで、もっと身近に言いますと衆議院の中央食堂。  河本通産大臣、おトイレの間にちょうどいいところをやっていたんですよ。大臣、また締めくくりやっていただきますんで、ちょっと聞いてくださいよ、これから。  衆議院の中央食堂と議員会館とに、これ同じモデルの大和冷機製造の冷蔵庫があるんですね。これはもう、いま申しましたように六台に一台は故障しているんです。そのうちに、三十台に一台は火災発生しているんです。それが国会の食堂にみんな配置されているんですよ。衆議院の管理部長さんかな、いらっしゃる。これ間違いありませんかな。
  231. 進藤秀雄

    ○衆議院参事(進藤秀雄君) お答えいたします。  衆議院の食堂業者で大和冷機製造の冷蔵庫を用いております業者は、ただいま御指摘のありました中央食堂の燕樂軒と第二議員会館に営業いたしております同じく燕樂軒でございまして、大小合わせまして五台ございます。その他の業者は大和の製品は使用していないのが実情でございます。
  232. 黒柳明

    ○黒柳明君 ということなの、通産大臣。きょとんとしていらっしゃるけど、総裁選の票集めの方に頭が行っていると思うんですが、ひとつ、ここにいらっしゃる時間は、決算ですから、ひとつそのつもりで応対してくださいよ。大丈夫、当選しますから。大丈夫ですよ、一番になりますから安心してくださいよ。  私はこれからまた業者のこともやりますけれども、時間があと二十一分三十秒ですか。通産の検定、これはいま現在におきましては、そういうふうに法制化されているんですから、その中でやったんだということになりますけれども、その結果が重大な欠陥商品をちまたにあふれさすということになっちゃったわけですよ。それについて反省もしているし、検定のやり方を考えると。だけれども、これはそれだけで済まされる問題じゃない。国会の足元にそういう欠陥の冷蔵庫が五台もあるんですよ、通産大臣。今晩でも火を噴いたら、これどうしますか。通産省の検定の不備なために、あるいはもっと言うと、勧告をしながら立入検査もしてない、できるのに。そうでしょう。それもやってない。業者を呼んでいろいろ言っているけれども、現状は、業者間のトラブルがあるとはいえ、全く業者はこれに対して修理をしようという気もない。アフターケアを何にもやっていない。それがどこかの八百屋さんだ、肉屋さんじゃない。われわれの、通産大臣の議員会館の下にそれが入っているんですよ。火事になったらどうなんですか、これ。通産省恨まれちゃいますよ。これから、これどういう処置をするというおつもりなんですか、衆議院の食堂では。
  233. 進藤秀雄

    ○衆議院参事(進藤秀雄君) 率直に申し上げまして、気がかりな商品であるということを伺いましたのは昨日でございます。そこで、私どもといたしましては、心配な商品を院内業者が使用しておりますことは大変気がかりなことだと思っておりますので、技術者なども呼んでまいりましてよく見せまして、改善の必要がありますれば改善いたしますし、ひどい場合に、交換の必要があるような場合には、もう何と申しましても安全第一ということでこれから指導していきたいというふうに思っております。  ただ、今晩と言われましてもちょっと困ることでございますが……。
  234. 黒柳明

    ○黒柳明君 あれほど説明したってまだ理解がわからない。ましてちまたの消費者は、失礼だけどわからないんですよ。通産省が欠陥だって言っているの。それを踏まえなきゃね。公明党の黒柳が言っているんだったら、まあこれから技術者を呼んでいていいのです。通産省が欠陥だと断定しているんですからだめなんですよ。それには過熱防止器をつけるんですよ、つければいいんです。お金がかかるんです。ただしこの部品が、新旧でけんかして、旧の方ががっちり握っちゃってるから、新の方はにっちもさっちもいかない。言ったじゃないですか、説明して。だから、欠陥品と通産省が言たものがあるんです。だから、これは技術者を呼んでどうのこうのという問題じゃない。今晩でもあしたでもいまでも、事故につながり、火災発生の原因があるし、現にあったわけです。大新聞社であったんですよ。それを踏まえてやらないと、技術者を呼んでこれがもしそうだったらああだったらじゃない。政府の機関が欠陥であると断定したんですから、それを踏まえてどうするかという対応処置を直ちに講じないと、こうやっている足元から、欠陥商品から——皮肉なものなんですよ、皮肉なものなの。いや本当、きのうの晩やっときゃよかった先生なんて、本当に笑えない笑い話があしたの朝刊に出る可能性があるんですよ、みんな笑ってるけど。いや、本当のところ、これ、何も私は占い師や予言者じゃありませんけれど、これはシビアに考えた方がいいですよ。  というのはね、これだけの件数ですよ、これ。(資料を示す)河本通産大臣、これ一票一票の票に見てくださいよ。これ、横浜関係だけなんです。これ全部住所から氏名から店の名前も書いてあるんです。続々欠陥品ですよ、これ全部欠陥品。一々これをあれしたら、そっちに見せたって同じですがね。全部これ会社の方から持ってきているんです。新しい、新大和冷機から。ところが、新大和冷機じゃパーツがないんですよ。弟さんがやっている。兄弟げんかなんかしなくてもよさそうだと思うんですよ。兄貴が旧をやっている。兄貴が旧でパーツをがっちり押さえちゃっている。弟は新でパーツがないからどうしようもない。だから、もう苦情の受けっ放し。兄弟で新旧でやって、旧の兄貴の方がこのパーツを持っちゃっている。新の方じゃどうしようもない。お客さんは逃がしたくない、だけどお客さんからは苦情殺到。横浜地区だけでもこんなに一年間にずらずらずら。これはもう新会社の方から、苦情が来るたびにリストアップしたのを見てますからね。そうでしょう。こういう中から火事が発生しているわけですよ。いいですか。  そういうものを踏まえていただいて、そしてまあこれは私冗談めいて言いましたけれども、もう三年間事故がなかったからあしたもないんだというわけにいきませんでしょう。しかも、くどいようだけど、通産が欠陥だと五十三年の五月に言った、五十二年の九月には不合格品であると、こう判定したんです。検査所で。そういうものなんですよ、おたくにある五台のものは。これはもう直ちに専門家に見せるなんていうことじゃない、やっぱり交換するなりすぐ過熱防止器をつけるなりしないと、冗談が冗談でなくなったときでは遅いんじゃないですか。そうきのう話したじゃないですか。それをいまになると何かこう大臣に遠慮しちゃっている。
  235. 進藤秀雄

    ○衆議院参事(進藤秀雄君) この冷蔵庫は業者保有のものでございまして、官側の保有しておりますものでありましたらまことに敏速に行動をいたすんでございますが、実情を申しますと、この食堂の場合ですと、中央食堂で言いますと四台とも全部がそうです。それで、きょうから使用してはならないという命令は非常に厳格で正しいかとも思いますか、ちょっと——もうすでに実は人にも見せつつあります。それで、あいまいな処置はとらないつもりでございますが、御期待に沿うように、あしたとか今晩とかというお話をされますと、私はあの……。
  236. 黒柳明

    ○黒柳明君 別にぼくは期待してないよ。むしろ期待するのは、今晩あたり火事になった方がいいと思っている、期待するのは。逆ですよ、期待するのは。ああぼくが言ったことは正しかったじゃないかという左証になりますからね。まあこれは冗談ですけれども。  それで、大臣、部長さん、長官もいるのかな。事ほど天下の国会でも、きのう私がこれこれしかじかだと言って初めて気づき、それから関係者を呼んだわけでしょう、通産にも来てもらったわけでしょう、新大和も来てもらった、旧大和も来てもらった。処置できないわけですよ。ましてちまたの八百屋さん、魚屋さんが、もうどうしようもないわけですよ。  まだひどいのは、一年は無料だけれども、そのうちだんだんだんだん、無料期間は過ぎちゃっているわけですよ。無料期間は過ぎる、もう有料だと。有料で直すんだけれども、そこが素人の悲しさ、過熱防止器をつけなきゃだめだなんていうことはわからない。また、変なところをちょこっといじられて、有料でそれでおしまいと、こういうことなんですよ、現状は。私が知ってからはだめですよと、こういうふうに言ったの。こういういま申しました通産の検定の仕方、これに不備がある。現状のこの欠陥商品が出回っている、これをどうするのかということについて、さらにもっと真剣に取り組んで対処しないと、これはいつ火事があるとか、いつ事故があるということを別にして、政府の認可した、通産の認可したテー・マークが全くもう裏切られて、しかも保証もアフターケアもされない。これは業者のトラブルとは言いながら、そして一年の無償修理期間も過ぎちゃって有料になる。有料でも適切に修理してくれりゃいいけれども、過熱防止装置なんかつけてくれない。どこかいじられただけで、またそのままだと。こういう現状については、これは検定の不備をお認めになったらば至急改善。アフターケアをきちっとやることについても、これはただやりますとかなんとかということじゃなくて、もう厳重にやっぱり処置をとる具体案をお持ち合わせにならなきゃ、いまから五カ月前のことをいまさらこの国会で取り上げられて、この五カ月何やっていたのかと。さらに言うと、五十二年の九月に不合格品とわかって、一年何やっていたのかと、こういう怠慢をさらに指摘されても仕方ないんじゃないでしょうか。どうです。その点。
  237. 豊島格

    説明員(豊島格君) 五月に事実を知って以来、関係者を呼びまして、いろいろと改善を申し渡しておるわけでございまして、早急にサーモスタットその他事故の原因となるものを取りかえるということで直せということを言っております。ただ、それだけでは不十分でございますので、まあ立入検査もすでに命令しておりますし、それから具体的にどのようにして取りかえるか。たとえば部品を、まあ経費の問題もございますので、それを部品をつくっておりますメーカーと両方呼びまして、実際にちゃんとやれるように、しかも消費者に負担をかけないで済むように、そういう方法で具体的に現在指導をしておるということでございます。  なお、この件につきましては、単にそういう問題を解決すればいいというだけではなくて、仮に不合格品と知りながら売ったというような事態は、相当われわれも悪質であると判断しておりますが、この点につきましては、さらに検討を進めた上で関係当局とも相談の上、厳正な措置をとるということといたしたいと思っております。
  238. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、従来からJISとかJASとかテー・マークというのは、非常にやっぱり安全が保障されているかどうか疑問だという声があった。その中で、やっぱり食料品や何かにつきましては消費者からの反応が早いんです。いろんな消費センターや何かが分析したり何かする、腹が痛くなるとかいろんな色が濃きゃ何か毒性があるんじゃないかと。ところが、こんな電気製品なんていうのは、これは明らかに安全性というものが、通産の中でも別枠でチェックする機関があるわけですね、電気だけコントロールする。でありながら、その安全性が全く欠陥であった。反対に言うと、消費者から言うと、電気製品なんかの安全性については、その食料品や何かと違ってこんなもの疑いなんか余り持たない。余りどころじゃない、もう全然持たないですよ。ましてそのテー・マークがありゃこれはもう一〇〇%大丈夫なんだと。ところが、このテー・マークはどこでつくってどこで打つんですか。みんな業者が、メーカーが打っちゃうんじゃないですか、そんなものは。  しかも、検定するところで不合格であるか合格であるか——というのは、先ほど言いましたように四十七年、この四十七年で合格とした時点にも疑問があるんじゃないんですか、四十七年で合格としたときにも。その時点においても過熱防止装置がついてなくて合格しちゃった。その時点には、技術的には霜取り器があって温度調節があれば過熱防止器は要らないんじゃなかろうかということで合格にしちゃった。そういうことでしょう。ところが、その以後欠陥品だったとわかったんですから、だから逆算すると、やっぱり若干技術的には論議の分かれるところであるということは私も聞きましたけれども、四十七年に合格にした、これもやっぱり問題が残っているんじゃないんですか。
  239. 豊島格

    説明員(豊島格君) 私も技術の専門家でございませんのでよくわからないんですが、やはり先生指摘のように、若干議論のあるところではないかと思います。ただ、現実に火が噴いているということは、それがどこに原因があるか。御指摘のような過熱防止器がついていないためであるかどうか、あるいはいろいろと検討しなきゃいけないと思いますが、いずれにしてもそういうことが起こらないようにすることが大切でございますんで、もしそこにそもそものやり方について、まあ新しく取り入れたものでございますから最初にいろいろと問題があるのかもわかりませんが、もしそこは必要であるということになれば、当然技術基準といいますか、そういう検査の方法も変えていかなくちゃいけないと思っております。いずれにしても、事故が防止できるようなことの措置は必要であるということは間違いないと思います。
  240. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、四十七年の時点においては技術的に問題はなかろうと思って合格にしたのが、これが今度は火を噴いて欠陥品と、こういうふうになったわけですから、それをさかのぼると、やっぱり合格基準が、検定に対しての問題点が四十七年にもあったんだと、過熱防止器をやっぱりつけなきゃだめだったんだということも、いまになって逆算するとやっぱり言えるんじゃなかろうか、こういうふうに私は思うわけですよ。  ですから、先ほどから何回も指摘しますけれども、要するに、検査、検定の問題についてまず通産省の技術的な怠慢、いかに法制化されていた事実とはいえ、そういう問題から起こった事実であると、これをまず認識しなきゃならないと思う。業者に一方的に変なものを売ってけしからんと、だから、これは三十五条の二項での罰則規定があるから、関係当局と厳重にと。これは確かに業者も悪いと思いますよ、テー・マークの欠陥品を売ったんですから。これは罰則規定があるんですから、これはもう当然法律を厳守しなきゃならないと思いますけれども、それだけでこれ済まされる問題じゃない。もっとその一つ手前には、検定というものについての不備があったことは間違いないんですから、これをまずよく見詰めていただかないと、一方的に、現行法を罰則規定があるからといって一方的に業者に押しつける。そうなると、通産省が認可した検定所の問題にまで発展いたしますよ。検定所が本当に検定に対して責任を持って検定したかどうか。先ほど言いましたように、三つの検定所、一つは合格、一つに出すと全部それが不合格と出てくる、こういう事実もあるんです。こんなに書類がいっぱいになるから持ってこなかったわけですけれどもね。そこをまず自己反省することが根本ですよ。どうですか。  通産行政のこういう電気製品等に対する検定の仕方について、幾ら人手が足らないとか、幾ら予算が足らないとか言ったって、何のための三角マークなのか。それを消費者に全面的に安心しろと言って押しつけるならば、検定に対しては人手とか予算なんというものを全部排除して、しかるべくきちっと検定、そして安全のマークをつけなければ、今後とも逆三角のテー・マークがついているものは本当に安全なのかどうか、全部ことごとくしかるべきところに行って再検定してもらわないと信用して使えないやと。事故が起こるときは起こったときだと言われたんじゃ大変だ。悪質業者になるとアフターケアを何にもしてくれない、こういうケースが大和冷機にあるんですから、そうなったときは、消費者は全く、今度は大和冷機にだまされたんじゃなくて通産省にだまされた、こういうことになるんじゃないでしょうか。まずその反省、それからどこにミスがあったのか、それからもう一回、いま審議会で検討しているでしょうから、どの点を改めなきゃならないのか、そこらあたり、もう一回具体的に教えてくださいよ。
  241. 豊島格

    説明員(豊島格君) ただいま先生からいろいろな御指摘があったわけでございますが、いずれにしても、技術基準をつくり、検定のやり方を決めたときにはそれで正しいという認識であったと思います。しかし、いろいろ新しい製品も入りますし、問題があるんで、いずれにしましても、この基準につきましてはわれわれ定期的に見直して、やはり事態に即応してやっていくということが必要なことは御指摘のとおりだと思いまして、そのように進めていきたいと思っております。  それから、具体的な方法につきまして、先生の御質問の趣旨必ずしも私ども十分いま理解したかどうかわかりませんが、私どもとしてやりたいことを申しますと、やはり基準が不備であればそれをできるだけ早く直す、あるいは法的に不備な面があれば当然そのような問題につきましては、専門家の意見をもちろん聞かなければいけないわけですが、それなりの不備な点は直すことを検討しなければいけないと思っています。  それから、違反があった場合の対策としては、とりあえず何をさておいてもその実態把握と立入検査その他の方法でございますが、実際問題として消費者に迷惑のかからないように早く正しい姿に戻すといいますか、安全な対策を講ずる。具体的には、いま、部品を取りかえてちゃんとしろということを部品メーカーを含めて指導しておるわけでございます。  以上が大体全体でございますが、特に御指摘のある点があればまたお答えしたいと思います。
  242. 黒柳明

    ○黒柳明君 指導をしてないとは言わないけれども、五十二年九月に欠陥、不合格とわかったのが五十三年の四月まで売られている。それを通産がつかんだのが五十三年の五月だ。それが売られたのが四十九年の四月だ。もう時間的に余りにもルーズ過ぎるじゃないか。その反省が、やっています。言っていますったって、四十九年から五十三年四月まで欠陥品が売られてきた。これに対して検定の不備があった反省というものがない。それが一つですよ。それと、やっています。言っていますと言ってからもう半年近くなって業者は何にも手を打っていない。立ち入りもそれに関してしていない。それが一つ。  さらに、いまでも事故が起こる可能性があるものについて余りにも無関心過ぎる。と同時に、金を取られているんだ、有償で。これ絶対有償にしちゃだめですね、今後無償にしないと。一年間の無償期間が過ぎたものに対しても厳重に無償にしろと業者に対してきちっと厳命しなきゃならない、そういう点の反省がないんじゃないですかな。  通産大臣、もう時間がないんで、事務当局の人に何回やってもあれだ。余りにも長くかかっているんです。不合格品が売られているのが。それは検定の不備。手は打っているんですけれども業者が動かない。それに対して立入検査もしていない。勧告したけれども事後について余り放任過ぎる。現状においては二万台近くも欠陥品がちまたにあふれている。そういうものについて消費者は全く大和冷機じゃなくて通産省、テー・マークにだまされたんだと、こういう意見なんですよ、通産大臣。それはやっぱり、だから検定の方法を変えるんだ、だから検討するんだというだけじゃ済まされない問題があるんじゃないですか。あと三日間ですけれども、この三日間でこれ全部処理できる能力があるんです。通産省には。どうですかね。
  243. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いまお話をお聞きいたしまして私なりに整理いたしますと、問題点が三つあるように思います。一つは、まず欠陥商品を出さないために検査、検定を今後どうすべきか、こういう問題点が御指摘の一つだと思います。それから、万が一ミスがありまして欠陥商品が発見された場合には、緊急にてきばきと処置をしなければならぬではないかと、こういうお話が第二点だと思います。それから第三点は、この具体的な問題に対してどう対処するのかと、こういうお話でございますが、御注意一々ごもっともだと私は思います。至急に関係者を集めまして、相談をいたしまして万全の対策を立てたいと思います。
  244. 黒柳明

    ○黒柳明君 あしたは土曜、あさって日曜ですから、もう月曜日にはどうしようもないわけですからね。どうしようもないと断定するものじゃない、通産大臣の職にはとどまっているわけですけれども、総裁選も忙しいと思いますけれども、私も陰ながら応援しますよ。ひとつその応援を信じて、これ笑い事じゃないんだ、笑い事じゃない。笑い事じゃないと自分が笑っちゃ困るんですけれども、これはもう切実な、買った何万軒の人からの訴え、それから、もう私が関知するところじゃないんだけれども、新旧大和冷機の、もうそれこそ想像に絶する葛藤、その後ろにはメーカーの大電機会社が控えているんですよ。私は、そこらあたりにネックがあるんじゃなかろうか、なければいいがと思っているんですけれども、この実態はわかりません。ですから、軽々にそんなこと言えません。大電機メーカーが控えている。ここの問題は通産でもっと先に解決できたんです。いままでは、失礼ですけれども一課員に、おまえどうなんだ、事情聴取しろやなんてことをしてきたと思うんです。もうこの場じゃそんなことできません。ひとつ総裁選は総裁選としまして、通産大臣の職にある間というよりも、もう一日も早くこの現状に対して手を打ってください。  きのう実はかかってきました、その大メーカーの社長から。こういうことです。旧とうちの方との部品の契約はもうできちゃっている、うちの部品しか買わない、うちの部品しか使わないと契約ができちゃっているから、にっちもさっちもいかないんです。新会社に部品を渡すわけにいかないんです。だけれども、現状については私たちも厳しい認識がありますから、契約は契約でしばられていて、新の方に部品は渡せませんけれども、そこはそこですよと。そこはそこって何のそこだかわからないんですけれども、そういうような、私も何も大メーカーの電機の社長さんと別に話をしたってしょうがありませんから、ああそうですかそうですかって承っただけですけれども、必ずしも大メーカーと旧と契約ができていて、新の方はもうそれは部品がもらえないということじゃないような気がします。兄弟だものよ。  それにはやっぱり皆さん方の行政、政治ですよ。それがやっぱりいい面で介入していかなきゃならないし、またいくんですからね。いまこそやっぱりいかなきゃだめですよ、政治が、行政が。通産大臣、ひとつ。これは相当一生懸命やっているんです。だけれども解決していないんです。通産大臣と言わなくたって、エネルギー庁長官でも結構ですよ。やっぱり最高責任者が乗り出しまして、これはもういま大臣のお言葉を私も信用せざるを得ないんですけれども、至急に解決してください、至急に。  これどのぐらいで解決できますか、課長さん。いままで相当かかったんだけれども、一応期日を言ってくださいよ。それじゃなきゃ私も人がいいから、いつも言いっ放しであとごまかされちゃうから、どのぐらいで解決する目算を立てますか。
  245. 松田泰

    説明員(松田泰君) 全面的な解決の期間というのはなかなかむずかしいと思いますが、とりあえず、はっきりしているお客さんに対して具体的に手が打てるのはここ一カ月ぐらいの間にはかなり打てるんじゃないかと思います。ただし、それは全体の数から見ればある限られた範囲でございますから、その実績を見ながら、また少し、できるだけ早急にやれるように解決していきたいと考えております。
  246. 黒柳明

    ○黒柳明君 お客さんの一人は国会にもう入っていますからね。一カ月ぐらいの間に、まず国会からやってくださいよ。国会からまずと言っちゃ怒られちゃうけれども、皆さんを含めて、国会も含めて、それで実績一カ月じゃちょっと長いよ。二十日にしなさい、二十日。二十日の間一生懸命やってもらって、それで実績を見ましょう、お互いに。発言したからにはやっぱり前向きに結果を出さなきゃうまくないです。こんな問題は。そうでしょう。多くの人がやっぱりここにも来ているんです。傍聴に来ていらっしゃるのです。その方からまた行きますからと。そうすると私もやっぱり発言した責任がある。当然皆さん方は責任の当事者ですから、一カ月じゃなくて二十日間見ましょう。それで大至急メーカーにアフターケアさせる。それで二十日たった後にどう手を打たれたか、これをひとつ見たい。  それともう一つは、検定のやり方。大臣がくしくもまとめられた、そのとおりです。検定のやり方に不備がある。これについて大至急、どうやればいいかということを、ただ単に審議会に——まあいまやっているみたいですね、何か。それにまとめさせるだけじゃなくして、皆さん方も具体案を考えて、早急にこの検定の仕方に手を打たないと、これはやっぱり逆三角テー・マークはだめなんだと、信用できないんだという風潮が消費者に蔓延したら大変なことになりますよ。いい意味では欠陥品がどんどん見つかれば結構なんですけれども、不安を助長するだけですから、そうあってもうまくない。ですから検定の仕方を、五年間で、後はもう不良品が出てもわからない、不合格品が出ても通産省にその結果が来ないなんていう検定のやり方じゃなくして、五年間、一回検定合格したら野方図ということじゃなくて、その中間においても、試買品を買ってテストするというような、狭い範囲じゃなくて、五、六機種ぐらいでしょう。どんどん電気製品はふえるんですから、それを——電気製品だけじゃないてしょう、が、もっともっと五年間、三年間、中間においても何らかの形で検定できる、当然そのバンドの間でモデルチェンジしたらそれも検定できる、それから、不合格品を売ったようなことがあったら厳罰にする、さらに、もし不合格品が出たらばそれに対してどう対処するというところまで決めて対処しないと、今後また第二、第三と続きますよ。いま調べているんですが、あるんですよ、まだ。あるんですよ。この一つだけじゃありませんよ。大和冷機だけじゃありませんよ。この一つをモデルケースにして、きちっと皆さん方の検定のシステムを早急につくってもらいたい。審議会だけに任していつ出てくるかわからないというのじゃなくて、その点ひとつお約束してください。
  247. 豊島格

    説明員(豊島格君) ただいま先生のおっしゃった趣旨を踏まえて、早急に対処したいと思います。
  248. 黒柳明

    ○黒柳明君 一カ月か、また。早急というのは、十五日間。
  249. 豊島格

    説明員(豊島格君) 問題もいろいろたくさんございますが、可能な範囲で最も早くということを考えております。
  250. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません、一分過ぎましたがもう一問だけ。  大臣、いまのことに尽きるわけです。大臣の三つのこと即それが。要するにどういうふうにするかということ、二十日以内にすぐやらして、それに対してどう処置をとられたかそれを見るということにしたが、そうでしょう、全部が全部手を打てるものじゃないと思いますよ。ですから、二十日という期間の間事故が起こらなきゃいいと私は念願します。  もう一つ、そのもとというのは通産行政の怠慢、検定、検査の、検定に対する法的なものがあるけれども、それに対しての不備ですから。これについてできるだけ早急というあいまいな言葉では済まされない。あとこれは、大臣の政治的なものがすぐこれを速やかにということにさせなきゃだめなわけなんです。事務当局じゃなかなかこれはできる問題じゃないと思うのですが、ひとつ最後にもう一回、いまの二つの点につきまして大臣の裏づけがほしいのですが。
  251. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま部長と課長から答弁をいたしました。できるだけ早くということでありますが、しかしながらできるだけということが確実に実行されますように、具体的によく調べまして、また後で御連絡をいたします。
  252. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません、時間過ぎまして。
  253. 市川正一

    市川正一君 きょうは通産、経企などの部の決算審議に当たりますので、私はその分野に即しながら若干の質疑を行いたいと思います。  まず、ロッキード問題であります。きのうのロッキード事件、児玉・小佐野ルートの公判において証拠採用決定されました嘱託尋問調書の最後の部分が、一連の灰色高官の名前及びその役割りをも含めて公表されました。その中で、昭和四十七年十月五日、六日のいわゆる陰謀による逆転劇のことがきわめてリアルに明らかにされており、中曽根氏に対する疑惑が改めてクローズアップされております。  そこで、まず法務省にお伺いいたします。  嘱託尋問調書によれば、十月五日から六日にかけての出来事の中で、当時通産大臣であった中曽根氏が決定的な役割りを果たしたことが明らかにされております。そこでこの点については、児玉譽士夫氏に対する冒頭陳述——冒陳でありますが、ここに私持ってまいっておりますが、この中でも、ロッキード社にとって不利な状況の改善ということで、日航にトライスター、全日空にDC10という政府決定を児玉が覆したことが明らかにされております。したがって、十月五日、六日の陰謀とそのいわゆる逆転劇について、検察当局としては立証するに足る十分な捜査を終えておる、つまり立証できると考えているということになると思いますが、いかがですか。
  254. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの問題につきまして、先生指摘のとおり、検察官におきましては、児玉被告人に対します所得税法違反の被告事件冒頭陳述におきましてただいま先生指摘のような主張をしておりますが、ただ、いささか詳しく述べさしていただきますれば、この点につきましては、コーチャンが福田太郎氏から、「日本政府の決定は、DC−一〇型機を全日空に」 若干省略いたします。「L−一〇一一型機を日航にという方向に向いつつあるが、」ということでございまして、日本政府の決定がなされたという表現はとっておりません。いずれにいたしましても、この事件につきまして検察官の捜査の結果というものは冒頭陳述に記載してあるとおりでございまして、その間の証拠関係をただいま立証中であるということでございます。
  255. 市川正一

    市川正一君 つまり、コーチャン、児玉らが、いわゆる陰謀の逆転のために何らかの工作を行ったという状況は確認されておられるわけですね。
  256. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 冒頭陳述書記載のとおりの事実は検察側において確認しておるわけでございます。
  257. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、コーチャン、児玉の工作内容として、十月五日、六日の電話問題についても要するに除外はされていないわけですね。
  258. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) ただいま申し上げましたとおり、検察官の捜査の結果が冒頭陳述書にあらわれておりまして、その間の立証の一つの証拠としまして嘱託尋問調書等の証拠調べが現在なされておるわけでございます。
  259. 市川正一

    市川正一君 要するに繰り返すんですが、その電話問題についてもこれは含まれているわけであります。  そこで、中曽根氏は去年四月の衆議院の口特委員会において、ロッキード事件と一切かかわりがないと証言されております。しかし、たとえばコーチャン証言によっても、中曽根氏の名前は五回出てきております。あるいはコーチャン・メモによるいわゆる相関図でも、コーチャン−児玉−中曽根−田中、こうつなぐ線がはっきり描かれております。したがって、中曽根証言と、他方、証拠能力ありとして証拠採用決定を見ましたいわゆる嘱託尋問調書との食い違いは明白であります。そうしますと、中曽根氏の偽証問題ということが新たに出てくるわけでありますが、今後国会の偽証告発ということもあり得るのでありますが、その場合どう対応されますか。
  260. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) まず前提といたしまして、この問題につきまして検察側が冒頭陳述で主張しておりますことは先生御承知のとおりだと思いますが、問題は中曽根発言がどうであるこうであるということではなくして、コーチャンが児玉被告人等からこういう話を聞いたということで、いわゆる伝聞供述でございます。この嘱託尋問の証拠能力は認められましたが、その中身の証明力、真実性と申しましょうか、真実性につきましては、ただいま検察側と弁護側におきましていろいろな主張がなされておりまして、今後の証拠の積み重ねによって、嘱託尋問調書が果たしてどの程度信用できるのかということになるわけで、検察側といたしましては、さらにいろいろな証拠を出して嘱託尋問調書の信用性の確保に努めてまいりたいとは考えておりますが、いずれにいたしましても、その問題は今後の公判の展開いかんによるということでございます。
  261. 市川正一

    市川正一君 私いま御質問したのは、仮に国会で偽証告発ということになった場合に、検察庁としてはこれを真っ正面から受けとめて対応させるべきだという立場で申し上げたんでありますが、これは今後の推移にまちたいのであります。  ところで、中曽根氏については、このトライスター導入をめぐる疑惑だけではありません。P3Cの導入をめぐっても、これまできわめて重大な疑惑が指摘されております。その一つは、同氏が防衛庁の長官時代には、兵器国産化論者のいわば急先鋒でありました。それにもかかわらず、昭和四十七年十月九日、これは先ほど私触れました十月五日、六日、あの三日ないし四日後のことでありますが、国防会議で田中角榮のツルの一声でPXLの国産化が白紙還元された。そして国防会議が急速に輸入論に傾いていった際に、これに何らの意見の表明もすることなしに白紙還元にいわば豹変したという点であります。  そこで通産省にお聞きいたしますが、その当時、昭和四十七年当時でありますが、通産省は、PXLの輸入なのかあるいは国産なのかということについて、どのような方針あるいは意見をお持ちだったんでありますか。
  262. 森山信吾

    説明員(森山信吾君) 通産省といたしましては、政策の一つといたしまして、産業構造の高度化、知識集約化ということを考えておったわけでございまして、そういう立場から申し上げますと、PXLにつきましては国産化が望ましいという観点をとっておりました。
  263. 市川正一

    市川正一君 これはどうも私自身、このたとえばPXL、そういうものは憲法違反のいわば所在である、その必要性を一切認めませんが、議論として進めたいのでありますが、いまお答えいただいたように、通産省としては一貫して国産化を希望しておられた。それにもかかわらず、当時通産大臣であった、かつまた最も強烈な国産化論者であった中曽根氏が、一言も——まさに一言も国産化の主張をするどころか、その態度をにわかに豹変させたということは、きわめて不可解な態度というふうに言われております。このように中曽根氏については、トライスターだけでなしに、P3Cについても当時の行動には大きな疑惑が持たれておるのでありますが、まして今日嘱託尋問調書で明らかにされたように、中曽根氏が児玉とトライスターで共謀していたということになれば、P3Cについてもその疑惑は一層深まってまいります。実際また中曽根氏は、通産省が国産化方針をとっていた昭和四十八年六月十五日の参議院本会議で、突如として、輸入もあり得る旨の答弁をなすっております。  そこで、河本通産大臣にちょっとお伺いいたしますが、通産大臣であった中曽根氏が、通産省のこういう基本方針と違う態度をとっていたということについて、通産大臣である河本さんはどうお考えでしょうか。これは全く他意のない質問ですから、そのつもりでお答え願いたい。
  264. 森山信吾

    説明員(森山信吾君) 事実関係につきまして、まず私から最初にお答えさせていただきたいと存じますが、先生指摘昭和四十七年十月九日に国防会議の懇談会があったわけでございまして、その席でいわゆる国産化白紙還元論が出ておったわけでございます。ただし、この国防会議の中には通産大臣は正式のメンバーとして入っていないわけでございまして、いわゆるオブザーバーというかっこうで入っておるわけでございますが、そのオブザーバーがその議場に入る前に、いま御指摘の白紙還元は決定をされたわけでございますので、通産大臣が同席の上で白紙還元が議論されたということはない、こういう事実関係が一つございますので、まず説明をさしていただきたいと思います。
  265. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私もその当時の事情はよくわかりませんが、たぶん推定をいたしますのに、いま森山説明員から答弁をいたしましたように、すでにもう方針が決定してしまっておった、こういうことから何らの発言もなかったのではないかと、これは想像でございますが、想像をいたします。
  266. 市川正一

    市川正一君 私はこの問題については、単にトライスターだけの問題でなしに、中曽根氏をめぐってP3Cの問題も含めてきわめて重大な疑惑がある。それはまた通産省の方針とも関連して今後明らかにされなければならない問題であるということをこの機会に強調して、次の問題に移りたいのであります。  第二はソウル地下鉄問題であります。  一昨日、アメリカの下院フレーザー委員会がソウル地下鉄車両輸出に絡んで、日本側商社の三菱商事、三井物産、そして丸紅、日商岩井、この四商社がリベートとして米国銀行のS・K・キム口座、これは金成坤、元韓国民主共和党の財政委員長のことでありますが、この口座に振り込んだリベート二百五十万ドルのうち、四十八年の一月と五月に振り込んだ百万ドル及び三十万ドル、合計百三十万ドルがチェース・マンハッタン銀行東京支店の韓国外換銀行口座と韓国外換銀行東京支店に還流しておったという重大な事実を公表いたしました。この還流した資金が一体だれの口座に入り、だれに使われたのか、何に使われたのか、きわめて重大な幾つかの疑惑が提起されております。  そこで、まず海外経済協力基金に伺います。基金は、これまでもわが党の正森議員その他の質問に対して、一貫してこの車両価格の水増しはなかった、不正はなかった、   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕 こういうふうに繰り返して答弁してこられました。しかし、この二百五十万ドルがリベートとして流れたことは今回が初めてではなく、すでに商社自身が確認しているところであります。そして、今回はそのリベートが日本に還流し、国内の政治工作用資金になっていたのではないかという疑惑まで提起されております。基金はいまでも一切水増しはなかった、全く不正はなかった、適正に行われた、こういうふうに言い張るつもりですか、明確にしていただきたい。
  267. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) お答えを申し上げます。  いままで何回かの機会に申し上げたところでございますが、借款に基づきます貸し付けを実行いたしまする場合には、その借款の対象となっておりますプロジェクトのそれに必要な役務あるいは資材が間違いなく供給をせられるのだという点の確認をいたしまして貸し付けの実行に当たっているわけであります。しかしながら、本来具体的な調達は、相手国政府の調達責任者と、この場合は日本側になりまするが供給者との間の契約になりまして、それは調達責任者が責任を持って相手国側の——私ともの借款の相手国の調達責任者か責任を持って契約をいたすわけでございます。で、私どもといたしましては、その結果、目的といたしました相手国の経済の安定なり民生の向上なり、そういうことに役立つような事業が円滑に完成せられることを中心にいたして考えておりまするので、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 いま申し上げました調達契約、それに基づきます調達の相手方、相手方の方に金が渡りましてから、どういう状況になっておるかということにつきましては、調べます権限もございませんし、そういうことは従来やっておりません。
  268. 市川正一

    市川正一君 お伺いしているのは、不正はなかった、水増しはなかったというふうにいまでもお答えになるんですか。そういう認識ですか。はっきりしてください。
  269. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 基金といたしましては、従来からもそうでありまするが、先ほど申し上げましたように私どもの借款が、借款の目的であります事業計画の円滑な完成、達成ということを中心にして考えておりまするので、今後もそういうふうに事業計画が間違いなく実行せられるということを中心に努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  270. 市川正一

    市川正一君 まじめに、まともに答えるように委員長の方からもひとつ御注意を願いたいと思います。  私が質問しているのは、そういう運営上のルールをいま伺っているのじゃないんです。ソウル地下鉄に行ったこの基金の——いわば国民の血税ですよ、これが適正に不正なく行われたのかどうか。あなた方も、この二百五十万ドルの問題は商社自身が認めていることを御存じじゃないですか。これについて、これは結構でしたという認定をなさるのかどうか、そういうわけですか。
  271. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 私、お答え申し上げておりまするのは、当然基金の権限なり、基金の責任に関することの限りにおいてお答え申し上げておるわけでありまして、基金の権限と責任とは、先ほど来申し上げておりまするように、借款対象のプロジェクトが円滑にでき上がり、所期の効果を上げるという点が中心でございまするから、そういう意味でのお答えを申し上げておるわけであります。
  272. 市川正一

    市川正一君 責任という面で言うと、そうすると、それで結構であったという認識ですな。そう伺っていいわけですね。もう時間がないですから前へ進みますよ。はっきりしてください。
  273. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 繰り返して申し上げまするように、借款対象のプロジェクトが十分にその機能を果たすような形ででき上がりますということが私どもの仕事の中心であり、また責任の問題であろうと考えます。御承知であろうかと思いまするが、ソウルの地下鉄はその後でき上がりまして、首都圏の地域におきまする交通の緩和と申しまするか、改善に貢献をいたしておるというふうに承知をいたしておるわけであります。
  274. 市川正一

    市川正一君 そうすると、二百五十万ドルのリベートが流れたということも商社自身も認めている。そしてアメリカのフレーザー委員会も今回こういう問題を指摘したと、しかしそれは関知していない、するところでないし、それで結構だという重大な答弁であるということを確認して、私は時間がないので前へ進みます。  そこで国税庁に伺いますが、国税庁はこれまでもうこの二百五十万ドルについて、使途不明金ということで四商社に対して課税処分をしてこられたわけでありますが、今回のフレーザー委員会の報告は、この使途についての重要な手がかりを与えているものと私は考えます。そこで、だれの口座に入ったのか、最終所得者はだれなのか、こういうことについて当然確認調査を行っておられると思いますが、いかがでしょうか。
  275. 五味雄治

    説明員(五味雄治君) お答えいたします。  念のために最初に申し上げますけれども、いま先生指摘の三菱商事外三社の支払い側の課税の問題でございますけれども、これは全額損金に算入しないということで税務上の処理を行っているところでございます。したがって、その分は税務上の処理として損金には算入しないということになっているわけでございます。  今回フレーザー委員会のリポートが出まして、まあ何分にもその具体性に欠ける点が多々あるというふうに思いますし、またその五年以上前に外銀の在日支店に還流されたという事実だけでございますので、まあこれについてその実情の把握に努めるということはかなりむずかしい問題もあると思いますが、国税庁といたしましては、貴重な情報と受けとめまして努力をしていきたいというふうに考えております。  その結果、もしその課税関係が生ずるような事実が発生した場合には、その事実に基づきまして、税法の定めるところに従いまして適正に処理をしてまいりたいというふうに考えております。
  276. 市川正一

    市川正一君 私は直ちにやるべきだというふうに考えます。——そして、いまうなずかれましたので、直ちにおやりになるというふうに承知いたしますが、その確認調査の結果にもよりますが、税務上の処理はどういうことが考えられますか。
  277. 五味雄治

    説明員(五味雄治君) ただいま申し上げましたように、単に外銀の在日支店に資金が来たということのみをもっては、いまの段階ではそれがどうなるかということをお答えするべきではないという感じでございますが、一般論として申し上げれば、その税法上除斥期間その他がございますので、所得が発生した場合にはその帰属者とか、あるいは帰属の時期とか、そういったことを勘案いたしまして課税処理を行うということになるわけでございます。
  278. 市川正一

    市川正一君 具体的に言えば、国内在住者の所得であることが確認されれば、おっしゃったように一般所得あるいは不労所得などという形で課税できるというふうに考えるわけですが、そこで、次に法務省にお伺いいたします。  この今回伝えられているところの還流資金百三十万ドルについては、国内政治工作用の資金として流れたのではないかという重大な疑い指摘されております。また、還流資金の分配の時期がいま五年という国税庁のお話がありましたが、もし仮に最近にまでおくれていたということになりますと、これは時効にはならずに収賄あるいは脱税など、そういう事件に発展する可能性をも持つものであると考えますが、したがって、法務省としては当然強い関心を持って臨まれることと思いますが、いかがでしょうか。
  279. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  具体的な案件でございますので、捜査当局がどのような動き方をしておるのか、公の場で明らかにすることは適当でないと思いますが、一般論として申し上げますならば、検察当局といたしましては、常に国会の御論議あるいは新聞報道あるいは外国当局の調査結果等につきましては、それぞれの立場に応じまして重大な関心を払って資料の収集等に努めておるところでありまして、問題は、捜査を開始するに足る犯罪の嫌疑をつかみ得るかどうかという一点に帰するわけでございまして、仮にさような事態に相なりますれば所要の措置を講ずることに相なろうかというふうに考えております。
  280. 市川正一

    市川正一君 いま佐藤課長の、強い関心を払ってというふうにおっしゃいましたが、ということは、必要な資料の収集あるいは内偵調査等についても行うということとして理解してよろしゅうございますね。
  281. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 一般論として申し上げましたので、そのようにお受け取りいただければ大変しあわせだと存じます。
  282. 市川正一

    市川正一君 この春の通常国会で、外務省が一九七一年の一月にまとめた文書の中で、これは外務省自身の文書でありますが、韓国の一般国民は「日本の対韓経済協力が金成坤らに「食われて」国民の期待する如き成果をあげ得なかった」、そしてまた、「日本の対韓経済協力は一部上層特権層をうるおしたが、一般国民は何らその恩恵に浴していない。のみならず、最も悪いことは日本の経済協力が不正腐敗を生む根源をなしている」というふうに書かれていることが国会の場で明らかにされました。今回はしなくもその一端が明るみに出てまいったこのソウル地下鉄事件は、この金成坤氏らも登場して、まさに韓国の一般国民も批判していた事実が、日本商社も巻き込んでより大規模に行われていることを改めて証明したものであります。こうなりますと、私どもは日韓経済協力とは日韓癒着だと言わざるを得ないし、そうでないと責任を持って断言できる方はないと思いますが、私はここで宮澤経済企画庁長官にお伺いしたい。  韓国に対する経済援助については、その内容をガラス張りにして、そして国会に実態を明らかにすべきだというふうにこういう一連の事実に基づいて考えるのでありますが、長官の責任ある御見解を承りたい。
  283. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般に二国間の経済協力は、相手国の国民生活の向上発展のために役立つような経済協力をわが国としては心がけておるつもりでございまして、その点は日韓の場合にも例外ではないと考えます。  なお、御承知のように、この種の経済協力は、二国間の国の間の協定に基づくものでございまして、契約の相手方である韓国政府がその契約をどの業者にどういうふうにさせるかといったようなことは、基本的に韓国政府、相手国政府の問題でございます。同時に、それは受け取ります個々の業者につきましては、いわば営業上の問題でございますから、当然営業上主張すべきプライバシーというものは私は憲法上やはり尊重する義務が一般的にはあろうと思います。そういう制約の中で、しかし政府がどのような経済協力を各国といたしておるかということは、国会にもその都度御報告をいたしておるところでございます。
  284. 市川正一

    市川正一君 私はこの機会に、日韓経済協力なるものの実態を根本的に再検討すべきであるというふうに考えます。  次に、ジャパン石油開発株式会社、これがBP——ブリティッシュ・ペトロリアムから取得したアブダビ海洋鉱区会社、通称ADMA石油と申しますが、この利権をめぐる問題について伺いたい。この問題については去る六月十三日、通産大臣も出席なすっておりましたが、参議院の商工委員会で私、指摘いたしましたが、その上に立ってさらに幾つかの疑惑をただしたいと考えます。  まず、会計検査院に伺いますが、ジャパン石油開発の営業報告を見ると、各期ごとの欠損金の額は、昭和五十年十二月期には百七十億円の欠損金があったにもかかわらず、五十一年の十二月期はこれが八十二億、五十二年の十二月期には八十億、それぞれ約九十億ずつ欠損金が激減しております。これは五十一年十二月期より会計処理の変更が行われたことが大きな要因になっていると考えるのでありますが、どういう変更が行われているのか、時間がないので簡潔にお答えをいただきたい。
  285. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) お答え申し上げます。  ジャパン石油開発株式会社におきましては、これまで、原油引き取り権の償却を確保油田と未確保油田との二つに分けることなく、一本で原油引き取り権、これを生産高比例法によりまして行っておりましたが、五十一年期に入りまして未確保でございました油田の開発が本格的に始まりましたので、この未確保油田分を確保油田分と区分いたしまして、新設の探鉱開発仮勘定で経理することになったのでございます。これに伴いまして、未確保油田の引き取り権取得のために要しました借入金利相当分をこれまでは費用に計上しておりましたが、これをただいま申し上げました探鉱開発仮勘定の資産勘定に計上することに変更したものでございます。
  286. 市川正一

    市川正一君 要するに長期借入金の利息を費用として計上しないで資産に上乗せした、こういうことであります。こういう会計処理の変更をしないで従来どおりの会計処理をしておれば、五十一年十二月期、五十二年度十二月期の欠損金はおのおのどれぐらいふえるというふうに見込まれますか。
  287. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) 仮に償却方法を変更をしないといたしました場合には、五十一年期につきましては当期損失金が八十一億円でございますが、これが約二十七億円増加をいたしまして百九億円となります。また、五十二年期につきましては当期損失金が七十九億でございますが、二十六億円増加いたしまして百五億円になります。
  288. 市川正一

    市川正一君 いまお答えいただいたように、実際には二十七億あるいは二十六億というさらに上回る欠損金が出ている。これを隠すために、まさに赤字隠しのためにやっていると言われても仕方がないきわめて重大な問題であります。  そこで、会計検査院にお伺いしますが、このように途中で会計処理の方法をくるくる変更することについてはどのようにお考えでしょうか。
  289. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) お答え申し上げます。  未確保油田につきましては、生産がないわけでございますので収益がないわけでございます。このように、対応する収益の発生のないまま、一方におきまして未確保の油田の先ほど申しました引き取り権益の取得に伴います借入金の金利を期間計上いたしますことは、期間損益を正しく表示しているものではないということでございます。それで、先ほど申し上げましたように、五十一年期を境といたしまして、今回期間費用と収益を対応させるために一応の改正をされたわけでございます。これは、この処置は会計処理の原則から見ましてももっとものことだと存じます。しかし、いま先生指摘のように、一般的に会計処理の原則を変更することは、みだらに変えることは好ましくないわけでございますので、私どもは今後ともジャパン石油のそういった点につきましては検討を加えていきたいと、このように考えます。
  290. 市川正一

    市川正一君 私はそういう立場から見てもこれはまさに粉飾決算まがいのことがやられているというふうに考えます。  そこで次の問題に移りますが、このADMA石油利権の獲得には、前回私も指摘いたしましたが、田中清玄氏が介在して、そしてコンサルタント料が支払われているということは、さきの参議院商工委員会でも確認されたところであります。  そこで公団にお聞きいたしますが、田中清玄氏に支払われたコンサルタント料は幾らでございましょうか。
  291. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 田中清玄氏のいわゆる国際コンサルタントとそれから海外石油との間にいわゆるコンサルタント契約が存在したということは事実でございます。われわれの方もその内容等については会社側から報告を受けておりますけれども、これは企業の機密に属することと考えられますので、ここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  292. 市川正一

    市川正一君 ふざけたことを言うものじゃないですよ。公団の金というのは全部政府資金ですよ。しかもこのジャパン石油の七割までは国家資金が投入されているんですね。そのいわば国民の血税、これをコンサルタント料、要するにコミッションとして流しておるわけです。田中清玄氏自身約二億円だと言って彼自身述べられておりますが、これは私どもの調査とも大体合致しております。私どもの調査でも約二億円という数字でありますが、大体間違いないでしょう。
  293. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 事実関係から申し上げますと、この契約が存在したということは私どもも事実であると思っております。ただ、この支払いにつきましては、ただいま財政資金云々という御指摘がございましたけれども、この支出はいわゆる会社側の一般管理費、いわゆる俗称本社管理費と申しておりますけれども、そちらから支払われております。公団の投融資対象となりますのは、御存じのとおり、いわゆる探鉱資金でございます。探鉱資金につきましては、その所要額につきまして五割あるいは七割という国家資金を出しておるわけでございます。逆に申しますと、この一般管理費の関係につきましては一般出資企業の拠出によりまして経理が賄われておるということでございまして、私どもの方といたしましては、その分についてはいわゆる純粋な民間支出であるというふうに考えております。ということで、その額につきまして申し上げますことは、いわゆる企業の機密に属することであろうかと思われますので御容赦をいただきたい、こういうことでございます。
  294. 市川正一

    市川正一君 仮にそういう民間銀行からの融資があったとしても、結局けつはいわば政府資金で埋めていくわけですから、それに食い込んでいくわけですよ。  それで二億という数字についてはあえて否定なさらなかったので、田中清玄氏自身、本人がそう言うているわけですから、あなたが言わぬでも本人が言うているんだからそれで明白でありますが、そこで時間が迫ってまいりましたので、私はこのADMA石油利権の獲得をめぐっても、田中清玄氏の介入のみならず、先日の商工委員会でも指摘いたしましたが、ここにも田中角榮が絡んでいるという疑惑が生まれております。これは前回の商工委員会で述べましたので、私ここで繰り返しませんが、私は本日、ロッキード問題、そしてソウルの地下鉄問題、ADMA石油利権問題、こういう三つの黒い霧をめぐる疑惑、これを取り上げました。いずれもまだその全貌が国民の前に明らかにされておらず、またその核心にメスが入れられておりません。私は引き続きこれらの問題を徹底的に追求して、全権政治の真相を国民の前に明らかにすることを明確にし、最後に一問だけ通産大臣にお伺いして質問を終えたいと思うんであります。  最近、民間企業からの自衛隊へのいわゆる体験入隊という問題があります。私、防衛庁から資料を取り寄せましたが、これによりますと、自衛隊への体験入隊は、ことしの一月から七月にかけてだけでも千七十五件、人数で三万七千二百三十五人という数に上っております。いまいわゆる有事立法論議の中で、一つの柱として福田総理は、民間防衛体制、その研究ということを盛んに言っております。こういうこととの関連で、自衛隊への体験入隊というものは、いわゆる民防体制に組み込まれていく危険性が非常に強いということを私指摘しなければなりません。しかも、こうした体験入隊を通じて軍国主義的教育を強め、職場のファッショ的とも言うべき労務管理強化が強められている。  河本通産大臣は、総裁出場に当たりまして、私ここにエコノミストを持ってまいりましたが、この中にもいろいろと注目すべき見解を述べておられます。たとえば奇襲、奇襲などと言うが、真夏に九州や四国で突然大雪が降るようなことはないんだと、こういうことも述べられて、福田総理や中曽根総務会長らの有事立法論に批判的な議論を展開されておられるわけでありますが、いま申し述べたようないわゆる体験入隊、そして民防体制、こういう問題についてどのようにお考えになっているか、見解を承って質問を終わりたいと思います。
  295. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私は、体験入隊ということに対して詳しいことは知りませんが、この制度は私は前からあったのではないかと思います。まあ軍国主義の復活とかそういうことでは私はないのではないか。やはり規律正しい生活を送るためにはどうしたらよいかと、そのような意味ではないかと思います。余りこの問題を大げさに取り上げることはないのではないか。本質的な議論はまた別個の問題だと私は考えております。
  296. 市川正一

    市川正一君 終わります。
  297. 野末陳平

    ○野末陳平君 サラ金の問題について別の面から質問したいと思いますが、企業とか商社がサラ金の資金源の一部をなしているということをよく聞きます。事実そうなんですが、通産省ではこういう実態については少しは関心を持って調べているか、あるいは事実知っているか、その辺どうでしょうか。
  298. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) お答え申し上げます。  いまお尋ねの件は、いわゆるサラリーマン金融に関する問題でございますが、現在、御案内のように、大蔵省など関係省庁の間で検討が行われておるわけでございます。ただ、私ども通産省はそのメンバーには入っておりません状況でございます。私どもといたしましてはいまのところ、いまお尋ねのような件につきましては実態は承知していないという状況でございます。
  299. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと具体的な話になりますけれども、これはわりと知られている話なんですがね。東京トヨペット販売が子会社でサラ金をやっているんですが、これはローンズタカナワという社名でやっていましてね。高年齢社員の対策で始めたというんですが、しかし、資本とか役員とか、そういうものがトヨペットの人間であることは事実なんで、これについては、サラ金対策としてでなくて、企業がこういう方面にも手を伸ばしているということで幾らかは御存じだと思うんですが、それについてはどうでしょうか。
  300. 森山信吾

    説明員(森山信吾君) 私、自動車を所管いたしております立場からお答えをさしていただきたいと存じます。  事前の御照会がございましたので、東京トヨペット販売株式会社に対しまして、いろいろ私どもも聞いてみました。御指摘のとおり、株式会社タカナワという別会社をつくりまして、いろんな事業をやっておるということでございます。最初は喫茶店からスタートしたというようなことのようでございますけれども、いわゆるサラリーマン金融、サラ金の業務につきましては、その実態は、私どもといたしましてもなかなか調査する方法もございませんので、その実態につきましては把握をいたしかねておると、こういう状況でございます。
  301. 野末陳平

    ○野末陳平君 調べるとすぐわかるんですけれども、問題はここの金利が日歩二十銭で年利七三%で、かなりの高金利になっているんですね。ですから、ぼくは企業が何をやってもそれはいいのかもしれませんが、日本を代表するようなまともな企業としては、どうもこういう高金利のサラ金を手がけるというのは良識を疑うというふうに考えているんです。ただし、最近では、社長はトヨペット販売の出身ですけれども、その他資金関係などは縁を切ったということも言われているんで、つまりそういうふうに企業の方で説明するんで、実態についてはぼくもそこまではわからない。しかし、最近までやっていたことは事実です。ですから、そこでこんなことをやっているのはどう考えてもおかしいなと思うんですが、そう思いませんか。
  302. 森山信吾

    説明員(森山信吾君) 自動車会社が何らかのほかの仕事をすることにつきましての御批判じゃないかと思います。先ほどお答えいたしましたとおり、東京トヨペット販売株式会社というトヨタ系列の会社が、ほかの企業をつくりましてそこで事業を行っておるということでございまして、その事業の実態の問題ではないかと思うわけでございます。企業がほかの事業を行うことは、その定款の定めるところによりまして、適正な事業であればそれは何ら問題はないのじゃないかと思います。したがって、御指摘のようなサラリーマン金融というものが行われておるといたしますと、どういう業態で行われているかということが問題ではないかと思います。私、先ほどお答えいたしましたとおり、本件につきましては実態の把握をいたしかねておりますので、その辺の価値判断につきましては遠慮さしていただきたいと、かように存ずる次第でございます。
  303. 野末陳平

    ○野末陳平君 実態を知らなければお答えも満足いくものが出ないと思いますが、そこで大臣、確かに企業が適正な事業に手を伸ばすことはいいかもしれませんが、少なくも社会的批判を浴びているこのサラ金まがいのことを、いま言ったようなかなりの高金利でやっていると、これは適正と言えるかどうかちょっと良識を疑う。できればこんなことはすべきでないと、そういうふうにぼくは思うんですが、大臣の個人的見解はいかがですか。
  304. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) サラ金というのはこれは高利貸しのことだと思いますが、この問題につきましては、この春以降、閣議でも何回も問題になりまして、早く規制すべしと、こういう議論がたびたび出たわけでございますが、つい先般の閣議で、次の通常国会には遅滞なくこれを規制する法律を出そうと、こういうことが正式に決まったのであります。そのような性質の仕事でありますから、私は、まあその実際の仕事をやっておるのかやっていないのかは知りませんけれども、しかしながら、普通の企業が、特に大企業がそのような仕事をするということは、これは非常に好ましくないことだと思います。実態を調べないでこんな突っ込んだことを言うのははばかりますけれども、原則論から言いますとそのような感じがいたします。
  305. 野末陳平

    ○野末陳平君 事実、企業や商社なぞがサラ金へ融資するという形、それからあるいは子会社で始めるという形、いろいろあるんですが、ここ数年で、サラ金がもうかるというんで手を出したんですね。たまたまなかなかむずかしいぞというんで手を引いたところもあるんです。むずかしいから手を引いたって、それで済むというんじゃなくて、やはりもうかるとなれば何にでも手を出してくると、こういうのを企業活動としてほっとくということがどうかと、少なくもサラ金に手を出すのはよくないと、そんなふうに考えているからここで質問の対象にしているわけなんですね。大臣も企業がサラ金をやることは好ましくないようなお考えのようですが、同時に、企業よりさらにサラ金業に積極的なのが金融機関なわけですね。これは通産省と直接関係なくなってきますが、この金融機関がサラ金に融資をしているということについては、大蔵省も自粛の通達を以前に出しまして、その効果がある程度出ているようなんですが、融資と同時に問題なのは、先ほどの東京トヨペットとタカナワの関係でも言いましたけれども、融資だけじゃないんです。人を送り込んでいるわけですね。金融機関が、金だけでなくて人までもサラ金に送り込んでいると。この実態がちょっと目に余るような気がする。  そこで具体的にまたお聞きしていきますけれども、これは大蔵省の関係になりますが、サラ金で、やはりかなりの会社ですが、これは関西系のサラ金ですが、エコーというのがありまして、ここに福徳相互銀行から人が派遣されていると、あるいは福徳相銀の出身者でここはかたまっているということなんですが、この実態については大蔵省はどの程度御存じですか。
  306. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ただいま御指摘のサラ金業者エコーでございますけれども、私どもは実はこのエコーという会社は直接には把握しておりませんし、また福徳相互銀行の関連会社でも実はございませんので、エコーの内容について実は知るよしはないわけでございます。ただ、銀行から聞いておりますところによりますと、かつて福徳相互銀行にいた人がエコーにいま勤めておるという話は聞いております。
  307. 野末陳平

    ○野末陳平君 大分ニュアンスが違うんですけれども、いまサラ金のエコーの社長は福徳相互銀行出身で、役員も半分が出身で、融資関係もあるわけですよ。そうしますと、退職して勤めたということではなくて、まあ天下りという言葉はちょっと当たりませんけれども、相手がサラ金だけに、銀行をやめてそれで再就職したというケースではない。少なくも相互銀行の相当息のかかった関連会社だというふうに世間的には見てもこれはおかしくないような存在なんですね。それを問題にしているんですけれども、どんなものですかね。そういう関係にあれば、これは全く別会社であるとは言い切れないんじゃないですか、この福徳相銀とエコーの関係について言えば。どうです。
  308. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ただいまもお答え申し上げましたように、私ども十分このエコーについて把握し得る立場にございませんけれども、私どもが聞いておる限りでは、その福徳相互銀行から出向をしたというものではなくて、すでに退職した人がいわば第二の人世ということでこの会社に勤務しておると、こういうふうに実は聞いているのでございます。したがいまして、そこまで実は私どもとしていい悪いということは言えないんじゃないかというふうに考えております。
  309. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃもうちょっと露骨な例を挙げてもいいですがね。要するに、ぼくは金融機関とサラ金の密着度について、ちょっと良識を超えるものがあると思っているからここで質問しているわけですが、じゃ今度は東京相互銀行とサラ金の大手の一つの武富士の関係についてお聞きしますけれども、ちょっと時間がないから、こちらで言ってしまいますけどね。まあ多分御存じのはずですが、東京相互銀行はサラ金の武富士に対して約三十億円融資しているんです。この三十億円という金額は、サラ金武富士が全金融機関から融資されている額の約六割に当たるわけです。六割の資金を東京相互に仰いでいるというんで、この両者のつながりの深さというのがわかると思うんですが、この場合、融資の見返りに東京相互銀行が武富士に百万株持たせているんですけれども、この辺の事実関係は間違いないんですからおわかりですね。
  310. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 個々の取引に関係する話ですから、私どもでここでそれに対してお答えすることは差し控えさせていただきます。
  311. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ個々じゃなくて少し広げますと、じゃ、いま株を百万株持たせようが持たせまいが、少なくも銀行から融資された金はまず年利九%から一〇%なんですよ。銀行からサラ金には。ところが、今度そのサラ金が大衆に貸すときは、その金が年利六二%から八〇%の高利になっちゃうんですね。こんなことなら、銀行がサラ金にこれだけ貸す金があるんなら、自分のとこの窓口で低利の庶民金融を健全にやってくれた方がはるかにいいわけですね。また、そうやるべきだと思うのですよ。それをやらないでサラ金をわざわざ迂回させるということは、やはりこのサラ金に対して利害関係がかなりあると、ただの融資以上のいろんなものがつながりがあるからだと、そうも思うわけです。  そこで、じゃ課長にお伺いしますが、どうなんですか。サラ金に金を貸すよりも、窓口で直接大衆に金を貸す方向が当然ですね。望ましいです。それについて大蔵省は積極的にやってますか、あるいは銀行がそれを積極的にやってくれれば、サラ金はそんなにはびこりませんね。その点ではどうです。
  312. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 金融機関は言うまでもなく公共的な色彩を帯びておる機関でございますから、このような金融機関が貸金業者に対する融資に当たりましては、十分にその社会的信頼を損なうことがないように、慎重な配慮をすることが必要であるということは考えております。そういうような趣旨から、先ほど先生からお話がありましたように、この春、各金融機関に対しましてそのような示達を実は行っているところでございます。また、いま御指摘のように、正規の金融機関がもっと消費者金融に本腰を入れるべきではないかという御指摘は全くもっともでございまして、私どもも常日ごろそういうような指導をしているところでございまして、つい最近でも、一部金融機関におきまして簡便に貸せるような、いわば応急的なローンというものが開発され、これが売り出されるというような運びになっているところでございます。
  313. 野末陳平

    ○野末陳平君 先ほど、銀行をやめて第二の人世を始めるためにサラ金に就職することについては問題ないようなお答えでしたがね。それについてもいまのケースに当てはめますと、この東京相互銀行から幹部行員がサラ金の武富士に三人行ってるんですね。これは去年の十月に発令されているんですね。この発令は休職、出向と、こうなっているんですよ。株式会社武富士へ出向を命ずると、発令すると、こうなっているんですね。そうなると、退職して第二の人生じゃなくて、明らかに出向社員ですね。こういうことが現実にあるとすれば、これはいまお答えになったけれども、第二の人生だという見方とは全然違ってくる。もっとも、ことしになって退職の形をとっているんですよ、この人。銀行がそうとった。退職の形をとっていますが、これとても当人との間に念書がありまして、事実上は出向なんですね。どうもそういうのを見ますと、これは人と金の両方を送り込んで、やはり銀行か——少なくもいまの例は東京相互銀行と武富士ですが、ほかにもありますからね、さっき言った例もありますが、やはり銀行とサラ金が共同で、いわばぼろい金貸し業をやっていると極論しても差し支えないくらいの密着ぶり、癒着ぶりですね。これはどうなんですかね、いい悪いを判断すべきことじゃないというようなことで済まされるでしょうかね。
  314. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ただいまの例に挙げられました東京相互と武富士の関係でございますけれども、私ども従来から、東京相銀に限らず全般的に、先ほど申し上げましたように、十分にその公共的機関としての使命を果たすように、批判を浴びないようにという注意をしているところでございますが、この武富士とのその人事の問題につきましては、当初はいま御指摘のように出向ということであったようでございますけれども、私どものそういうふうな一般指導もありましたので、東京相互の方では自主的にこれを退職というような形をとったというふうに聞いているわけでございます。
  315. 野末陳平

    ○野末陳平君 どうも物足りないんですが、要するにサラ金の規制は当然法的に詰めていっていただかなきゃなりませんが、それと同時に、やはりこういうサラ金の資金源となる金融機関、これが金だけじゃなくて人まで送り込んで、一体に近い形で営業をしている、いわば銀行はサラ金の共犯者みたいなこういう関係についてもメスを入れないとぼくはだめだと、そんなふうに思うんです。ですから、融資の自粛を通達で大蔵省がやりましたけれども、この人間——人事の問題においてもやはりお役人の天下りが批判されているというのはどこに理由があるか、それを参考に考えれば、やはり銀行出身者がそのままその銀行と関係のかなり深いサラ金に第二の人生を求めて移っていくということが、ただの再就職ということでは割り切れないと、世間の批判を浴びても仕方がないことだと、そういうふうに思うんです。ですから、融資の自粛と同時に人間——人事関係においても、やはりどうでしょう、銀行は、金融機関は自粛をすべきだと、そう思うんですが、ここまでは大蔵省はやる権限はないんですか。やるべきじゃないかと、規制がなかなか間に合わないんですから、せめてこういうことからでもサラ金業についてもう少し厳しい態度をとるべきだと、そう思うんですが、どうでしょうか。
  316. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ともかく金融機関が十分にこの公共的な性格にかんがみまして、批判を浴びることのないように行動しなきゃならないということはもっとも一でございまして、私ども今後ともそのような指導をいたしたいと、こう思っておりますけれども、人の問題、特に退職した人についてどうこうというところまで私どもとしてとやかくは言えないのではないかと、こういう感じを持っております。
  317. 野末陳平

    ○野末陳平君 通産大臣の担当のところから外れましたけれども、要するに本来のあり方としては、公共性のある銀行が低利の庶民金融を充実させれば問題ないんですけれども、なかなかこれが思うようにやってもらえない。そこでやはりサラ金がはびこるけれども、このサラ金に金を貸すということが、これは商売だからということで割り切っちゃいけないと思うんですね。ですから、金融機関はもとより、企業とか商社が現実にまあいわば金の面でサラ金の黒幕でありますね。もちろん、個人の金持ちもかなり出しているわけですが、しかし、企業、商社、金融機関、これらは社会性のある、あるいは公共性ということから、サラ金と手を切るべきだ、縁を切るべきだと、そういうふうに考えるんです。で、それは行政の範囲でないとおっしゃるなら、これはもう何をか言わんやですけれども、やはりどうですか、目に余るかどうか。それは見方によりますけれども、少なくもそちらに手を出すこと自体が思わしくない、やめるべきであると、こう考えます。  通産大臣、最後に、サラ金の直接の担当ではありませんけれども、企業、商社なぞが現実に手を染めていることは確かですから、それに対して大臣の意見を聞いておきます。
  318. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まあさっきも申し上げましたように、閣議でも何回か話題になりまして、結局つい先般は、これを取り締まる必要がある、規制をする必要があると、こういう結論が出て、いまその準備をしておるところであります。次の通常国会には法律が出されるということもさっき申し上げたとおりでございますが、そういう取り組み方でございますから、私が常識的に一般論を申し上げますと、取り締まりの対象にしようというような事業に——これは私の立場から言うと言い過ぎかもわかりませんが、まともな金融機関が後ろから後押しして金を出して、実質上そういう仕事をやるということを仮にしておるとすれば、これはいかがなものであろうかと、こういう感じがいたします。
  319. 秦豊

    ○秦豊君 宮澤長官にちょっと伺っておきたいんですが、いま百八十円のラインです。元来が、年度内は一ドル二百五円という見通しでつくられた総合経済対策、この根底自体が揺らぎかねないのではないかと私は思っているんです。だから経済企画庁として、見直しとかそれから補強とか、修正というふうなことについて、すでに庁内の作業をお始めになっているのかどうか、どんな方針なのかどうか、まず伺っておきたいんですが。
  320. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびの輸出の見込みは、いわゆる円で積み上げ計算をいたしておりますので、二百五円というようなことを前提に考えていたわけではございませんが、しかし同時に、百八十円になるという事態を予測しておったかということであれば、予測はいたしておらなかったわけでございますから、そこから何かの変化が生ずるはずではないかということでありますと、可能性としてはそれを否定をする理由は別にございません。ただ私ども、年度間を通じまして、数量的には六%ないし七%の輸出の減があるであろうと考えておりまして、そのこと自身は、今日相場がこうなりましたからといって、特にもう一遍計算をし直してみるというようなことではないのではなかろうか。と申しますのは、御承知のように、過去におけるいわゆる円高がタイムラグを伴ってあらわれておるというような点もございましょうと思いますし、成約と通関とはまた相当の時間の差があるということもございますので、特にこの際、これを見直すということの作業はいたしておりません。
  321. 秦豊

    ○秦豊君 それにしても長官、健全な経済運営というのがどの幅かわかりませんけれども、ちょっと規定はあいまいですが、大体経済運営に自信が持てるボーダーラインというのは一ドル百八十円見当ではないかという、そういう認識はお持ちじゃないですか。
  322. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 率直に申しまして、もし一ドル百八十円という相場が、あるいはそれを割り込むようなことが続いてまいりますと、わが国の経済運営はなかなか困難ではないかと私は思っております。
  323. 秦豊

    ○秦豊君 これは私見ですけれども、ドルの前途というのはぼくはかなり弱含みだと思うんです。それで、十二月、予定が変わらなければ、上旬にパーゼルでECの首脳会議が行われて、そこで出る結論というのは例の新欧州通貨ですね、EMSだと。で、EMSというのは、もう恐らく一定の部分というのが金とリンクされるという域内通貨制になるのではないかと、まあそういうやや早手回しの観測もあると。しかしいずれにしても、ドルが基軸通貨であるという地位は明け渡さないにしても、弱いドルへの拍車としてEMSが機能するということはあり得ると思うのですね。それからアメリカインフレ率という言葉が妥当するかどうか、たとえばさまざまな経済指標を一通り洗ってみても、卸売物価の動向がけんのんである、貿易収支も厳しいとなりますと、いろいろな要因の絡み合いの中で、十一月の中間選挙が終わって、もう一度年末にかけてドル安円高が国際的な規模でラッシュを伴って演出をされるのではないかと——これは私見ですよ。一部の国際金融筋では、百八十円なんかで驚いてたんじゃだめだ、百五十円台さえ予見できるというかなり物騒な予測もちらついている。宮澤長官としてはどんな感触をお持ちなんですか。
  324. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まずヨーロッパの新しいEMSについてでございますが、これはまだ関係者の間で、ことにイギリスが合意をいたしておりませんし、どういう形になりますか、正直のところはっきりいたしておりませんが、どうも私自身は、これでドルと並んでの新しいキーカレンシーのようなものを考えるというところまで話はいっておりませんで、まあヨーロッパとしてひとつ団結をしようではないかという、ミニマムそういうようなことではないかと思っております。  そういたしますと、効果は二様に考えられまして、一つは仮にマルクを中心としたヨーロッパの通貨がある程度安定をいたすということになりますれば、これはドル、マルク、その関連で円といったような不安要因が逆に除かれることになる可能性がある。これは両様に考えられますが、少なくともそういうことはかなりあるのではないか。他方では、その場合に円がひとりだけ取り残されるという御説があるわけですが、どうも私はそこまで新しいヨーロッパのシステムがなかなかいかないのではないかというようなむしろ感じを持っております。  それから次の問題でございますが、カーター大統領が一昨日ああいう発表をいたしましたときに、ちょっと時間をかしてほしい、この施策は必ず効果を発揮する、そうでなくて、すぐにだめだ、だめだとみんなが言ってしまったんでは、発揮できる効果も発揮できないというようなことを言っておられまして、まあ一面の真理が私はあると思います。従来から私どもはドルの基軸通貨としての責任ということを言い続けてまいりましたけれども、御承知のように、これはアメリカの少数の指導者はともかくとして、アメリカ国民一般にはなじめない物の見方でありまして、ドルは自分たちの通貨であるということしかなかなか政治上の課題になり得ない。したがいまして、自分たちのインフレの問題としてならばこれはもう非常に敏感になるわけでございまして、今度そういうところが見えてまいりましたから、まあ、そういう意味で希望を託することができるのではないか。先のことを私も何にも予言できる力がございませんが、秦委員の言われましたような、そういうさらに大きくドルが減価していくということはなくて済むのではないかというふうに私としては思いたいところでございます。
  325. 秦豊

    ○秦豊君 この段階で円高問題を議論しますと、どうしても腰だめの議論になるのですよ。おたくの方だって、やはり七月期から九月期の集計がすべて手元に入るのは十二月だ、十二月を見てゆっくり緻密にしかも迅速果敢にと、こうなるのは行政の姿勢としてはわからぬじゃないが、実際問題として、結局十二月——総裁公選は別として、これは河本さんが忙しいのだけれども、十二月までは円高対策なんといって打つ手がありますか、大臣
  326. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり心配でありますのは、特定の輸出に集中しております産地の問題でございますから、中小企業を中心にいたしまして、これについてはやはり十分にそれまでの間といえども気をつけてまいらなければならないと思っております。
  327. 秦豊

    ○秦豊君 この貿易全体——後で聞きますけれども、通産大臣は、円はむしろ鎮静に向かう、円高現象は鎮静に向かう、産地を含めて大丈夫だ、通産大臣としては心配は持っていないというふうな御判断でしょうか。
  328. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いや、決してそういうことではございません。私の方から、どの程度であれば日本産業がやっていけるかということに対しては申し上げる立場にありませんが、産業界、中小企業の貿易関係の方々に意見を聞きますと、ほとんど全部が、まず二百二、三十円なら何とかなるが、それ以上であれば大変な打撃である、とてもやっていけない。昨年の初めに二百九十円から昨年の年末に二百四十円になりまして、そしてことしの初めしばらく続いておったわけでありますが、それに対応するためにもう力を出し切ったというところへさらに追い打ちをかけられたと、こういうことでございますから、とてもたまらぬという意見の方が大部分でございます。したがいまして、私どもは日本経済がやっていけるような妥当な水準に円が再評価されることを期待をいたしております。特に最近は私はどうも投機相場のような感じがいたします。でありますから、いますぐ具体的な対策を立てるということもむずかしいと思いますが、先ほど宮澤長官もおっしゃっておられましたけれども、やっぱり一番の問題は中小企業関係だと思うのです。  そこで、中小企業につきましては、円高対策をつい先般強化いたしまして、隔資額などもふやしましたし、それから融資の申し込み受け付け期間等も延長いたしております。それからさらに、先般の国会では地域ぐるみ救済対策も立てましたが、これまでの対策は比較的消極的な対策が多うございまして、私はもっと積極的な対策が必要ではないかと思っております。たとえば産地ぐるみ産業構造の転換をするとか、それからあるいはまた他の商品に転換をするとか、いろいろなことを積極的に工夫することが必要だと思います。それで、とにかくこれは急ぎますので、いま中小企業庁が中心になりまして、産地振興対策というようなものをいままとめておるところでございます。  やはり一番の問題は、この中小企業に対する影響が一つと、それともう一つは、これだけ円高になりますと、仮に七%成長が達成されましても、雇用問題がどこまで改善されるだろうかということを心配をいたします。つまり、各企業が、各産業が最近非常に合理化を進めておりまして、人減らしをやっておる。この二点が非常に心配の点であろうと思います。
  329. 秦豊

    ○秦豊君 少し先を急ぎますが、牛場・ストラウス会談がたしか三十日からと思いますが、そうしますと、新たな日米間の貿易麻擦として、繊維は東京ラウンドから除外するというアメリカ政府の方針が、まあカーター大統領の判断というのが残っているわけですが、通産大臣、これはいい方向に向かいそうな予測が持てますか。
  330. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 繊維を東京ラウンドの交渉から除くというような——これはホリングズ法案でございますけれども、ということは、常識から言いますときわめて非常識な考え方でございますから、恐らく大統領は、議会閉会中でございますから、署名しないという形でのポケットヴィトーになると思いますが、それはそうされるのではないかと強く考えております。
  331. 秦豊

    ○秦豊君 確かに非常識だし、不当だと思うのですね。だからこれは強く要求すべき項目である。陳情じゃない、要求すべきだと私は思うのです。このアメリカの方針は間違っているのだから、堂々と交渉のアイテムに入れていただきたい。ただし、通産がそれに対して、アメリカがもしそうするならばヴィトーを発揮しないならば、コンピューターだろうが、カラーフィルムだろうが、車だろうが、機械などの関税引き下げももう再検討するよというカウンターパンチに出た場合、事柄は非常に厄介である。通産としては具体的にそういう対策までお考えですか。
  332. 宮本四郎

    説明員(宮本四郎君) ただいま御指摘のように、ホリソグズ法案、これは私どもも非常に遺憾なことだと思っておりまして、累次、そういうことが最終的に成立しないように外交ルートを通じまして申し入れをいたしておるところでございます。ただ、それに伴いまして、もし仮に成立した場合には工業製品の関税の譲許を認めるのかというただいまの御質問につきましては、私どもといたしましては、ただいまの段階ではもっぱらホリングズ法案が通らないように努力するということで一生懸命考えております。
  333. 秦豊

    ○秦豊君 詰めた話をあえてしますけれども、東京ラウンド全体ですね、希望的にはクリスマスまでだが、とてもうまくいかない、決着は来年の一月下旬ごろになるのではないかと思っていますが、どうお考えですか。
  334. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番障害になりますのは、ただいまの繊維のことが仮に法律になりますればもとよりでございますが、それがなりませんといたしまして、いわゆるカウンターべーリング・デューティーが一月四日からは復活するというあの問題でございます。これはどうも米国の議会が事実上閉会してしまいましたし、選挙後の十二月の開会ということは事実上むずかしいといたしますと、法律的にはこれを救うことはなかなか困難であって、ただ恐らくその間にECとの交渉が進むことによって、アメリカの議会としても遡及的にこのウエーバーを認めるというような立法をすることに来年なるのではないかと思いますが、それについてはEC側もそういうことを前提にしてとにかく交渉を続けていこうかという態度のように一応見受けられます。これはしかし相当深刻な米国とEC間の問題になっておりますので、そういうたてまえというものをECがどこまでたてまえどおりやっていくかということが読みにくいところでございますが、一応そう言っておりますので、ただいまとしては、十二月十五日という期限を守ろうという合意はまだ破れていないというふうに申し上げるべきではないかと思います。
  335. 秦豊

    ○秦豊君 恐らくは希望的観測に終わるでしょうけれども、日米貿易の問題、これはやっているとこんなになっちゃいますんで、途中を省いて、答弁も御用意願ったようだが、あえて省かしてもらいます。  コンピューターなんですがね。IBMが次々に新しい機種を出すでしょう、すばらしいテンポで。3031のAPとか8100型とか、今度出るのが八〇年代を決定的にリードしようというFS、フューチャーシステムだとなると、これ第三者が考えてもMITIが相当苦労してコンピューター業界を育成された。いま二系列だと、二回の再編成を終えたと、これから考えてあの巨大なキャパシティーに対抗するために一体二系列なんというゆとりが日本のコンピューター業界にあるのか、こんなので無事に乗り越えられるのか、いや生き残れるのかという疑念ですね。これはMITIが何も指導し、唱道して、銀行の再編成じゃあるまいし、系列再編せよなんという立場にないかもしれないけれども、どういうふうに判断していらっしゃるのか、お聞かせ願いたい。
  336. 森山信吾

    説明員(森山信吾君) 御指摘のとおりIBMが近い将来にいわゆるFSを発表することはもう間違いない事実だろうと思っております。このFSが発表されますと大変なことになるという認識も先生指摘のとおりでございまして、私どもといたしますと、昭和五十一年度以来、FSに対抗する手段といたしまして、いわゆる超しSIの開発、助成を行ってきておるところでございます。これは御指摘のとおり二グループでやっております。五社二グループということでございます。五十四年度までこの体制でやるわけでございますが、さらにFSの出現が当初考えておりましたタイミングよりも早まるという状態になっておりますので、問題はやはり基本的なソフトウエアをどうするかという問題ではないかと思います。そこで、私どもといたしましては、昭和五十四年度から五カ年計画によります基本ソフトウエアの振興あるいは新しい周辺端末機の開発と、こういうものに十分なる配慮をいたしまして、何とか日本の国産コンピューターの育成、強化に努めてまいりたいと、かような基本的な考え方を持っておるところでございます。
  337. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、大変認識はゆがんでいるとは思わないがね。つまりたとえばFSは来年登場するんですよ、七九年ですよ。あなた方の補強助成措置というのは、手を打つのはやるけども、効果があらわれるのは五年ぐらいたってからじわっと出てくるんですよ。タイムラグをどうするかと、どうしのぐか、これがまさに生き残れるかどうかのポイントなんですよ。余り悠長なことをやっていると足元から崩れると私は思うんですよ。非常に厳しいと思うんです。  もう二分しかないそうですから、最後にかためて、まとめて伺っておきますので、お答えいただきたいんですが、石油問題です。通産としては、次の通常国会ないし、その次、できれば次の通常国会で石油公団法の改正案を提出される用意が具体的に進んでいるのか。進んでいるとすれば、何を目的とした、どのような改正点が考えられているのか。  それから最後に、いま河本大臣の諮問機関であるはずの重質油対策懇談会、まさに日中貿易のキーポイントを裏づけるこの重質油の転換問題について、電力業界と石油業界とが必ずしも意見がしっくり合っていない。電力業界のトップは、たしか河本大臣に対してこれ以上の引き取りはむずかしいというふうなことを申し出たのではないか、ふやせないという申し入れを行ったのではないか。そうすると、せっかく北京で苦労された河本通産大臣が、仮に四千万トンラインというのも間近なことなんだけれども、四千万トンの重質油分解装置というと、二十万バレル、一日能力の。この装置が二十基必要になると。一体国家投資として位置づけても、たとえばこの設備投資——年間二千万トンの重質油分解装置というと、素人計算でも六千億円になるのではないかと、そのような投資について、果たして国家マターとして十分に腰を落として徹底的にそれをやり遂げるというふうな、しかも業界と業界の対立や矛盾や角逐をくぐり抜けて、通産省が強い姿勢でやり通せるだけの決意と対方策をお持ちなのかどうか、この辺をまとめて伺って終わりたいと思うんですが。
  338. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石油公団法の改正につきましては、まだ結論が出ておりません。  中国との石油開発につきまして、第二回ミッションを派遣をしまして、つい数日前に帰ってまいりましたが、第三回目の交渉をこの十二月に東京でやることになっておりまして、来春には開発方法についてのおよその結論が出るであろうと考えておりますが、その結論を見た上で判断をしたいと、このように思っております。  それから重質油の問題でございますが、御案内のように、いま世界全体が重質油の傾向に行っております。たとえばサウジアラビアなどでも重質油をどんどん増産をしまして、軽質油と抱き合わせで売りたいと、こういうことを言っておりますし、中国も一部には軽質油が出るようでありますが、重質油が大部分である。この世界的な傾向に対しまして、わが国の対応が大変おくれておりましたので、今年になりましてから重質油懇談会というものをつくりまして、日本の権威者に全部集まってもらって、さてどことどこに問題があるのかということを調べてもらいました。さしあたり重質油を分解精製する技術開発、ここにまあ問題がある。ついてはまずとりあえず海外の現状を調査すべきであるというので、つい先般二組の調査団を欧米諸国に派遣をいたしまして、まず現地を見させております。  それから第二点は副製品、つまり重質油から出てくるいろいろな製品がありますが、これの需要の開拓、これがおくれておるのではないかと。だから技術の面と需要の開拓、この二つを取り急ぎ全力を挙げて取り組むようにと、こういう御意見をいただきまして、その準備に取りかかっております。まあ来年度はこの技術開発のために相当多額の予算も要求をいたしております。通産省挙げて重質油問題に取り組んでおるというのが現状でございます。  それからもう一つ申し上げたいことは、いま石油の需要が大変緩んでおりますけれども、これは世界全体の景気がなかなか回復しないという背景があるからでございます。しかしながら、このような状態が長続きするとは思いません。いずれは需給関係が窮屈になると私どもは考えておりますし、アメリカなどはとっくにその見通しを立てまして、昨年来大規模な国家備蓄計画を立てておるのでございます。非常に石油の面で有利な条件のもとにあるアメリカがあれだけの大規模な国家備蓄をスタートさせたということは、私どもも参考にしなければならぬと考えております。  そこで、日本の油の需給関係の見通しでございますが、大体本日も、総合エネルギー調査会の正式答申を得まして、総合エネルギー対策閣僚会議で御承認をいただいたのでございますが、それによりますと、昭和六十年には現在の消費量、年間約二億九千万トンが四億三千万トン、ざっと五割近くふえることになっております。でありますから、わが国としては今後七、八年の間に一億四千万トンぐらいの油をどこからか毎年増量しなきゃならぬと。こういう状態になっておりますので、この問題を解決する過程におきまして私は中国の油の問題を解決すればよろしいと、こう思っております。日本の需要が増大をしないということでありますと、中国の油の解決も大変むずかしいんですけれども、一億四千万トンという増量が期待されますから、その中で四、五千万トンの中国油を消化するということは基本的にはさして難事ではないと、こう思っておりますし、それから、今後五年間の取引数量が決まっておるわけです。昭和五十八年からふやしていこう、こういう考え方でありまして、若干の時間的な余裕もありますし、十分対応は可能であると思います。  それから、五千万トンと言いますと大体百万バーレルということでありますが、現在の設備でも大体千五百万トン前後までは何もしなくても対応できるわけです。油の生だき等が可能でございますから。だから、せいぜい三千万トン強の対応策、つまり六十万バーレルぐらいの対応をすればいいわけでございますが、いま申し上げましたような背景もございますので、国を挙げてこの問題に取り組めば私は決してこの問題の解決は難事ではないと、またどうしても解決しなければならぬと、こう思っております。  そこで、本日も総合エネルギー対策閣僚会議で決めていただきました一つの大きな柱は、現在は中近東から八割輸入しまして、アジア地区から二割となっておりますが、これをおよそ十年後にはアジア地区から三割の輸入をしたい、こういう方向でいくべきである、こういう決議もいただきましたので、その趣旨に沿っていま御質問の問題を解決していきたいと、こう思っております。
  339. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 他に御発言もないようですから、総理府のうち、経済企画庁及び通商産業省と、それに関係する中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫決算についてはこの程度にとどめます。  次回の委員会は来る十月三十一日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会      —————・—————