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玉置和郎君 華国鋒主席が本年二月二十六日に近代化に関する十カ年計画を発表しています。この十カ年計画は、一九七六年から一九八五年までの計画でありますが、もう後残り七年二カ月しかない。その中でいろんなことが言われておりまするが、その主要な点を私はずっといま言いまして、最後に結論だけ聞いて終わりにしたいと思います。
華国鋒主席が言っておりますのは、四人組の妨害で一千億元、約十一兆円でありますが、財政収入で十一兆円の損害があった。それから工業生産のところで四百億元、こういうふうにして四十四兆四千億、これは大変な損害を受けたということを言っております。この計算はどういう基礎になっておるかわかりませんが、いずれにしても
中国人民の経済は崩壊寸前だということを率直に訴えております。華国鋒主席がこういうことを言い出したということは開かれた
中国の一部であるかとも思いますが、とにかくそう言っている。そうして国営企業がほとんど赤字だと、国営企業がいま九〇%になっていますが、ほとんど赤字だと、大変な
状態だということを言っておりまして、このためにはどうするかということを言っております。
そして、この八年間、あの当時演説した後の約八年間足らずの間に、一九五〇年から一九七七年までの財政収入総額に相当するもの、これをやっぱり得なきゃならぬということを演説しております。一九五〇年から七七年までをいま推計することを許されるならば、というのは一九五〇年から一九五八年までの
資料しかございませんので、そこから推計していくんですが、約七千四百七十七億米ドルだと思います。だから、この八年間で国家財政収入の総額はこれと同額ということになったら、七千四百七十七億ドルを得なければこの計画は遂行できないということになるわけでありますが、そういうことになりますと、年平均九百三十四・六億ドルをふやしていかなけりゃならぬということになるんです。そうすると、二・三倍の正常な国家財政収入が
中共になけりゃならぬということになるんですね。こんなことできますか。
日本国の予算規模を
考えてみて、突然、来年から倍にふやすなんというようなことができますか。魔法のつえでもなけりゃ私はとてもできる相談ではないという
考え方を持っております。これは後でいいです。
そこで、一九八五年までに食糧の収穫を四億トンにする、現在二億六千五百万トンぐらいだと思いましたがね、それだけに四億トンにするということになったら、一億四千万トンぐらいふやしていかなけりゃいかぬ。あと七年二カ月です。とてもこんなものはできる相談じゃない。
しかも、昨年十二月の二十三日、新華社の北京電は、食糧供給省としての四川省が食糧欠乏省に転落したと報じておる。それから昨年十二月七日の黒龍江省の放送で、同省の増産率が年平均一%に達していないどころか、三度も大幅減を伝えております。それから昨年八月十九日の甘粛省の放送で、三年間生産が年々低下して人民公社の労働収益は下降しておると言っている。昨年七月十七日には、北京中央放送は、穀物の宝庫の浙江省で三年連続減産をしておると。最近では汚職、窃盗、投機、やみ取引、公金横領、上部機関による農民搾取などで農民の勤労意欲がますます低下をして、次から次へと……こういうふうに人民日報やラジオが伝えておる。開かれた
中国の一部です。これは。そういうときに華国鋒主席が幾ら言ってみたって四億トンが一九八五年までにできるはずがない。
さらに、
石油もそうです。
石油は年平均増加を二三%に置いておりますが、現在八千万から九千万トンの
石油を掘り出しておる。それが一九八五年までに約五億トンにするという。その金はどうするんです。
アメリカの試算によりますと、これは六百五十億ドルほど必要だと、そんな金一体どこから出てくるんですか。
鉄鋼です。鉄鋼はきょうの新聞にでかでかと載っておる。現在、鉄鋼は二千五百か二千六百万トンです。その鉄鋼を一九八五年までに六千万トンにしようというんですよ。三千四、五百万トンをこの七年二カ月でふやすという。そんなことできますか。これから高炉の建設にかかったって四年、五年かかるのです。粗鋼が出てくるまで四年、五年かかる。いまようやく上海のあの
付近の新日鉄の間で合意ができたというだけです。ナンセンスですよ。これだけの華国鋒主席の演説に浮かれて、そうして飛び出していくこの
日本の経済界というものはどっかで頭を冷やせと私は言いたい。
それで、ここに私は
資料を持ってきていますが、さっき中江君に聞いたら、まあ
先生、そういうことは余りやらぬ方がいいですよと言うからやりませんが、
日本の商社を利用したこの巧みな
中共の工作。マージンをあっちに配りこっちに配り、政治資金に配っている。これ全部
資料ある。何だったら今度……ロッキード以上ですよ、これは。
政治家の
名前も出てきておる。そうして財界首脳が女を世話してもらったどうのこうのということも出てきておる。それはどっから出てきたかというと、かつての友好商社が仲間割れして、私のところへ日曜日の夕方
資料を届けに来た。忌まわしいことです。そうして特に某党がこの
中心になってやっておる和水物産というのは最近信用が著しく落ちた。自由民主党の信用が上がって、某党の信用が落ちて、そこは年間いま三千万円ぐらいのマージンしかようもらっていないということまで書いてある。それに
関係しているのはだれとだれと皆書いてある。ミスター鉄鋼、ミスター化学薬品、ミスター油、ミスター何がしというのがずうっと出てきておる。
政治家の
名前が出てきておる。そういうことを
考えましたときに、私は、これの経済協力という問題についてやっぱり頭を冷やすべきだ。
そこで言いますが、もう結論を出します。こんなことやっておって、一体、現在
中国大陸の政治経済の安定の保証はどこにあるのかということ、これが第一。支払い能力があるのかということ。それからこの一番といまの二番とにらんだ援助計画というものは
日本でやっぱりしっかり立てなきゃならぬじゃないかということ。
最後に、われわれはいま経済援助をしようとしておりますが、この経済援助は、これは私見でございますが、
中共のいわゆる共産主義政権、いわゆる独裁政権です。独裁政権へのてこ入れです。これは。
中国人民大衆というものが本当にこのことを喜んでおるかどうかというのは疑問です。青春時代を北京の学校で過ごし、だれよりもだれよりも
中国人を愛しておる。好きです。その
中国人民というものが本当に共産主義者に対して深い理解を示し協力をしておるかということになりますと、これは疑問です。むしろこの共産主義政権が倒れたらいいと願っておる
中国人民大衆が非常に多いという事実も私は知っておる。だから、この
中国大陸に対する経済援助というものは、共産主義政権を助けて、それを立て直らすのがいいのか悪いのかという、本当に
中国人民大衆八億の民の心かどうかということを洗い直してみる必要がある。
私は、いま申し上げましたような諸点、もう少し掘り下げて
議論をしたいと思いますが、それを申し上げまして、私の今日の話を終わります。