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説明員(島田仁君) ただいま
局長から
お話しました海洋
科学技術センターでの大規模な基礎的、基盤的な海洋
科学技術開発プロジェクトというのがいま進められているわけです。
現在六つのプロジェクトがありまして、第一は先ほど
お話が出ましたが、二千メートルまで深海にもぐり観察、観測作業ができる深海潜水
調査船の建造であります。これは本年から、四年の間に債務負担行為のお金を七十五億つけていただいておりまして、これに運営その他含めて約百億円のプロジェクトになっております。
それから第二番目が三百メートルまでの潜水を、人間が直接もぐり自分の手で実際に観測あるいは作業をするというプロジェクトでして、これも現在その主要な作業のための設備として三年間で十億のまず予算を認められておりまして、その建造をいまやっております。それを含めてこれは五十億を超えるプロジェクトになっております。
三番目が黒潮の開発利用プロジェクトです。黒潮は
日本の周辺を大きく洗っている海流で、
日本の海象、気象に大きな影響を与えるばかりか、魚類の生産に非常に大きな影響を与える、イワシが急にとれなくなるとか、そういうような問題まで黒潮変動に
関係がありますが、またこの黒潮は非常に大きなエネルギーを持っております。また
日本の周辺を流れ、海洋汚染に対する大きな浄化作用を持っている、こういったものを総合的に調べるプロジェクトをいまやっております。これは先ほど
お話しました三官庁の協力も得まして十億を超える規模のプロジェクトになっております。
それから四番目が海域制御技術プロジェクトであります。これは海の自然のエネルギーを活用しながら沿岸の海域を総合的に使えるような技術を開発する、そのために海の中にいろいろな構造物を置いた場合に海流がどう変わるか、海岸にどういう変化が起こるか、あるいは波をどういうふうに消せるか、いろいろな
効果を総合的に取り入れながら漁業あるいはレジャー施設、工場いろいろな設備を複合的に利用できるような方策を求めるプロジェクトでありまして、これも約十三億のプロジェクトであります。
それから五番目が新海洋観測システムでありまして、二百海里という
日本はいま漁業水域でありますが、将来経済水域という形になってきた場合に、この水域を管理しまた観測するということには非常に大きなコストが従来方法によるとかかります。二百海里というと三百七十キロぐらいありますから、この帯を
日本周辺に
考えてみると、これは大変なものだということはおわかりいただけると思います。これを総合的に短時間に非常に効率的な形で、したがって低コストで観測監視体制がとれる技術開発でありまして、これは現在のところ約五十五億円のプロジェクトですが、さらに今後大きくなると
考えております。
それから六番目が海洋エネルギー利用技術として十一億円以上のお金をつぎ込みまして、いま現在山形県の鶴岡市由良港沖で実海域実験をやっております波力発電の開発であります。これは
日本の周辺の波のエネルギー
——いろいろ評価はありますけれ
ども、現在約十四億キロワットという評価が出ておりまして、これの一%でも利用できれば大変なエネルギーが得られるわけで、その技術開発をいま進めているところです。
こういうのが海洋
科学技術センターにおけるプロジェクトであります。もちろん、各省それぞれ大きなプロジェクトに取り組んでおります。ただ、将来の
日本を
考えたときに、
海洋開発の中心がどこに具体的に焦点が合わされるのかという点がこれから検討しなければならない大きな問題であると思います。その辺がはっきり焦点が定まってきた後、初めて具体的な海を利用するという形の大きなプロジェクトが今後出てくるのではないかと思います。もちろん、いま本四架橋等一兆円の大きなプロジェクトが進められております。ああいうような具体的な目標というのが、たとえば沿岸の総合的な居住空間、生産空間それからレジャー空間としての開発というようなプロジェクトが将来出てきた場合には、これが非常に大きな
海洋開発の推進役になってくるんではないかと
考えております。