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1978-10-18 第85回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十八日(水曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  十月六日     辞任         補欠選任      小野  明君     大木 正吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 伊江 朝雄君                 志村 愛子君                 丸谷 金保君                 相沢 武彦君     委 員                 岡田  広君                 北  修二君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 大木 正吾君                 下田 京子君                 立木  洋君                 喜屋武眞榮君    政府委員        沖繩開発政務次        官        佐藤 信二君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (派遣委員報告) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。     —————————————
  3. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  第八十四回国会閉会中に本委員会が行いました委員派遣につきまして派遣委員より報告を聴取いたします。岡田君。
  4. 岡田広

    岡田広君 御報告いたします。  沖繩問題対策樹立に資するため、稲嶺一郎君、志村愛子君、丸谷金保君、伊江朝雄君、山崎昇君、二宮文造君、喜屋武眞榮君、それに私、岡田広の八名は、去る七月三日から六日までの四日間、沖繩県下を訪問し、現地実情調査してまいりました。  現地におきましては、沖繩総合事務局那覇防衛施設局から所管概況等当面の諸問題につきまして、また沖繩県より振興開発計画実施状況、県・市町村行財政概況交通方法変更準備状況、その他当面する県政の諸問題についてそれぞれ説明を聴取し、さらに市町村道つぶれ地の補償問題については市町村代表者からも意見を聴取いたしました。  今回の委員派遣は、過去一年間に沖繩側から陳情のあった事項を中心に、総括的な実情調査を行うことを目的といたしましたので、ほぼ沖繩本島全域、多方面にわたっての日程となりました。  まず、沖繩本島南部地区では、糸満魚整備及び工業団地造成地港川フィッシング・パーク等を視察してまいりました。また、中部地区では、沖繩市内交通方法変更事業進捗状況及び市道のつぶれ地の実態中城湾建設予定地金武湾の海中道路中城湾水質汚濁状況のほか、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブの沖繩米軍施設・区域の廃弾処理施設、ガン・ポジション、さらには、廃弾破片落下事故の発生した金武伊芸地区、読谷村の旧日本軍接収飛行場跡地等現状調査し、北部地区においては、福地ダムを視察するとともに、県内水資源開発状況及び対策について説明を聴取し、海洋博跡地利用実態等を見てまいりました。  現在、沖繩県においては、本土との格差是正地域特性を生かした自立的発展基礎条件整備目標とした沖繩振興開発計画県事業計画が策定され、開発計画は七年目、事業計画は二年目を迎えております。これら計画最終年度であります昭和五十六年度までには、道路改良率舗装率都市公園や街路の普及率等本土水準に達することが想定されております。しかし、社会福祉施設医療施設及び教育施設などの整備については立ちおくれが見られます。また、一人当たりの県民所得は、計画策定時と比較して昭和五十一年度で一一・八ポイント全国平均値に対し格差是正がされておりますが、内陸型工業臨海型工業等新規工業導入によって所得の上昇が図られたものでなく、海洋博開催に伴う所得創出生産誘発効果によるものと考えられており、経済情勢の急変や他に決定的な所得創出代替要因がない限り、所得格差是正目標値である全国水準の八〇%達成は困難ではないかと推測されております。  こうした状況から計画目標達成には、本県の持つ自然的及び社会的条件から見た開発可能性を具現化し、本県経済自律性を高めていく上でどのような産業導入が望ましいか、さらに、産業構造のひずみを是正するための戦略はどうあるべきか等、開発施策あり方についてより一層の検討、方策を講ずる必要があります。  県・市町村当局においても、これらの対策に腐心されており、実情説明に添えて多くの要望意見が寄せられましたが、本報告では、特に緊急を要する問題、本県振興開発あり方等について御報告いたします。  まず、第一は、交通方法変更に伴う対応策についてであります。  沖繩県における交通方法は、昨年九月二十日に公布された沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律第五十八条第一項の政令で本年七月三十日から本土と同じ「人は右、車は左」と定められておりましたが、それの対応策、特に道路整備交通安全対策の上から完全に実施できるかが心配されておりました。今回の調査で、この点について県では、すみ切り、バス停留所等工事は、最終的に那覇市、浦添市で後で述べます旧つぶれ地との関連で各一ヵ所ずつ七・三〇までに間に合いそうにないとの説明がありました。なお、このほかの車両対策安全教育等はおおむね計画どおり進んでいるとのことでありました。  県では、交通方法変更後の対策として、交通安全教育センター設置北部縦貫道路南進促進を含む道路整備促進交通災害医療センター設置の三事業特別事業として実施されたいこと、また、交通方法変更で顧客の流れが変わり、商店等の売り上げに影響が生ずることが考えられるので、営業上著しい損失をこうむるものに対しては救済措置を講じてほしいなどの要望がありました。  第二は、市町村の未買収道路用地の補償についてであります。  本県における市町村道のいわゆる旧つぶれ地は、沖繩特殊事情により、戦時中から講和条約発効前において、日米軍または行政官庁によって個人から権原の取得のないまま道路の新設、改築工事がなされ、昭和二十七年に制定された沖繩道路法によって市町村道として認定されたも一のであります。  こうした経緯から、これらつぶれ地は、いまだに未買収のままであり、この問題の解決なくしては道路整備も進められない現状にあるとのことであります。国庫補助により昭和四十七年度からつぶれ地の実態調査が行われ、昭和五十三年度に完了予定となっておりますが、昭和五十二年度までの調査結果によりますと、市町村道のつぶれ地全体の面積は四百四十二ヘクタールに及んでおり、これの買収には莫大な経費が必要となることが予想されております。このため、現在の市町村財政力ではとうてい対応できないとのことであり、国による市町村道のつぶれ地に対する補助を十分の十とされたいとの強い要請がありました。  第三は、借用小中学校用地買い上げ危険校舎改築についてであります。  本県小中学校用地賃借地は、終戦後の混乱期における学校設置で、土地所有者確認を得ず、一方的に占有使用し、昭和二十七年から八年ごろになって賃貸借契約の締結がなされたものであります。こうした賃借地は、小中学校用地の一一・六%に達し、その賃借料額地主の強い増額要請から次第に増大する傾向にあります。これに加えて、最近、学校用地地主会からは、学校用地買い上げを要求されております。  那覇市を例にとりますと、米国民政府布告第八号に基づく土地所有権確認以前に接収された借用校地面積だけでも約五万八千平方メートルに及び、昭和五十二年度の借地料は四千三百四十五万円余に達しております。また、これらの用地買い上げるに要する経費は四十億円余と見込まれております。  この例でもわかりますように、沖繩県特殊事情による財政需要であり、各地方公共団体財政で対応することには限界がありますので、国においても何らかの方策でこの問題に対応する必要があるものと思われます。  次に、危険老朽校舎についてでありますが、沖繩県における校舎は、戦災、塩分、工事施工上の手抜かり等で、鉄筋の腐食、コンクリートの中性化が進み、現在約千教室に上る危険教室があるとのことであります。本県校舎等施設整備については、校舎整備五ヵ年計画の中で特別措置がとられ、本土より高率の四分の三の国庫補助率危険校舎改築が進められておりますが、これらを早急に解消するためには、現状のような財政力では裏負担財源捻出もむずかしいので、補助率アップ等特別措置を講じてほしいとの要請実情説明の中でありました。  第四は、中城湾港の築港周辺地域開発についてであります。  中城湾港の建設は、地域開発の立場から中部都市圏の形成と産業開発にとって有効なものとなり得るとし、また、この地域交通の便、背後地利用港湾施設の面から飽和状態となっている那覇市にかわる拠点としての可能性を秘めているとの説明がありました。  現地におきましては、勝連城跡中城湾を一望に見てまいりましたが、遠浅のサンゴ礁の続く湾で、築港するにはかなりのしゅんせつと埋め立てが必要と推察しました。この地域での築港は、中部地区振興から、あるいは那覇港の裏港として必要と考えられますが、背後地埋立地にどのような産業を配置するのか、また、配置する産業、さらにはこれらとの関連からどの程度の船舶が着岸できるようにすればよいのかといった点が必ずしも今回の調査では明確な説明がありませんでした。このような事情からこの築港要請を実現するためにはまだ時間を要するものと思われます。  第五は、米軍演習等による住民被害状況及び事故防止対策についてであります。  米軍演習等による主な事故は、本年に入り五件発生しておりますが、今回は四月十三日に発生した砲弾破片飛散事故と、同月二十二日の戦車砲弾落下事故関連する現場三ヵ所を視察し、地域住民からの要請米軍防衛施設庁からの実情説明を聴取してまいりました。十三日の事故関連して廃弾の一部が飛散した金武伊芸地区遊園地を視察したのでありますが、もしそこに幼児童が遊んでいたら人命にかかわる事故になったであろうことが付近のへい、壁等の損傷の程度から容易に想像できるものでありました。  これらの事故に対し、防衛施設庁では、事故発生後直ちに現地調査事故再発防止要請をするとともに、五月四日の日米合同委員会においても安全措置改善につき米側に申し入れをしているとのことでありましたが、現地での米軍説明によりますと、改善措置として、戦車砲跳弾防止のためのバックストップ設置、跳弾の可能性の低い砲弾にかえる、それに、キャンプ・ハンセン内の廃弾処理施設では、一回の処理量を従来の百ポンドから五十ポンドに半減し、処理施設を民家に面しない斜面への移設などの改善措置をとるとのことでありました。この措置の一つであります廃弾処理施設移設場所を視察してまいりましたが、その位置状況からして、再度十三日のような事故は生じないであろうと思われる場所に移転されておりました。  ただいま、御報告いたしました事項以外に、市町村財政の執行上の問題水資源開発水源地対策、旧日本軍飛行場跡地の払い下げ等多方面にわたって大きな課題を抱えております。これらの数多くの問題、課題は、沖繩特殊性から派生するものが多く、全国民的課題になりがたい、それも本土復帰から時間が経過すればするだけ沖繩県特殊性を理解する者が減りこそすれ、ふえることがないと思われます課題であります。最近“沖繩離れ”という言葉を耳にすることがありますが、こうしたことが現実とならないよう、政府においても、従前の取り組み以上に沖繩の諸課題に取り組む必要があると考えます。  また、今回の委員派遣最終日記者会見で申し上げたのでありますが、沖繩県において復帰後六年間で多くの問題、課題が提起されてきています。しかし、その中には県、市町村で十分相談する事案も多いこと、さらに、大型プロジェクト等において、より具体性のある要請にするため調査、研究が必ずしも十分でないことなどが見受けられます。こうした状況を克服、是正するためには、県内部でも機能の拡充等が必要のように思われました。この点については県当局も考慮されている様子であります。帰京後の新聞の報道によりますと、県の行政組織に「地域開発局」あるいは「振興開発局」を新設し、各部局別の「準備室」「対策室」をこれに統合して組織の改革を図りたいとの意向を持っているとのことで、県当局も新たな展開を図ろうとしているようであります。  以上、若干の調査結果と見解を申し述べましたが、このほかの問題についての報告は別に報告書を提出いたしましたので、本委員会会議録に掲載していただくよう委員長にお取り計らいをお願いいたしたいと存じます。  最後に、今回の調査に御協力をいただいた関係当局並びに沖繩県民の方々に感謝の意を表明いたしまして、報告を終了わります。
  5. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、ただいま御報告がございましたが、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  7. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時二十二分散会      ——————————