○大原(一)
委員 いま問題にしようと思っていました点を
総理が指摘されたのでありますが、われわれは自由社会の活力を何とか最大限に生かしたい、そういう
経済政策をとっていかなければならない。口だけで活力と一言っても、
経済がしぼんでいっては活力は出てこないわけでありますから、与件の中で最大限の
成長をとっていくのが私は一番いい政策ではないかというふうに
考えるわけであります。
そこで、
経済成長のネックの問題でありますけれ
ども、
総理もときどき口にされます国土の狭隘という問題がまず
一つ。それから
資源エネルギーの問題、さらに公害の問題、次は
財政がございますね、
財政のネックの問題。
国債が三八%に乗っちゃってどうにもならない。その次が国際収支の不均衡、つまり余り
成長し過ぎると赤字になって困る。その心配はまずございません。さらにまた、公害問題も一時に比べれば何とか順調に解決されておるということになりますと、国土とエネルギーと
財政、この問題がわれわれの
成長のいわばアキレス腱になるか、
手法、発想の転換によってもっと限界まで所与の条件で
成長力を伸ばせるかのかぎだと思うのです。
そこで、国土でございますけれ
ども、私は三全総を大変おもしろく読んだ者の一人であります。大変いいことが書いてある。しかしながら足と手がないのですね。まことに気持ちがいいです。明治百年間こうして都市
中心の
経済成長をやってきた、いや、これからは地方分散で国土の全的利用を図っていくべきである、そうすることによって
日本の福祉と生活を豊かにすることができるという構想でありますけれ
ども、ちょうどだるまさんみたいなものであって、手と足がない。にらめっこしておるだけだ。これに手足をつけるのがこれからの政策の基本だというふうに
考えるわけであります。
そこで私は、いま
日本の
経済で何が病気になっておるかといいますと、これはやはり大都市圏ですね。東京都のごときは、全国の面積の〇・四、五というところへ
公共投資の一〇%、平均的に二十倍を
投資しているわけであります。それから首都圏でもって全国
公共投資の二五%のシェアを占めておるということですね。こういうことをずんずんやっていきましたら、大都市が
日本経済の
成長力の足を食っていくということに相なりませんか。
私は、一例でございますけれ
ども、この前計算してみました。地下鉄がいま幾らだとお思いですか。最近の地下鉄で一番高いのは、一メートル二千七百万円であります。一メートルですよ。十メートルで二億七千万円、百メートルで二十七億。年間の
財政支出が二億円という市町村というのはかなりございますよ。地下鉄十メートルにならないのです、その市町村はあくせくしながら一年間の労働、作業が。百メートルでもって二十七億、一キロでもって二百七十億ということに相なります。
とにかく、そういう非常な狭いところに過大な
投資をして、有限な資源、
総理の非常に好きな言葉でありますが、これは
財政資源ですね、それを集中的に投下しても、いまの東京というのはまさに震災恐怖都市であります。そこへこれからまた、破れバケツに水と言ったら大変怒られるかもしれませんが、限られた資源を次々に投入していっても、
経済の
成長はあり得ないと思います。だから、いわゆる大都市
中心の
経済成長のパターンを変えて、別の角度からこれにメスを入れていかなければならない。いわゆる発想の転換を求めたいわけであります。
この際、私は幾つかの問題点を申し上げたいのでありますが、特に東京圏でございますが、何とか東京圏の過密都市の解消はできないものだろうか。
総理、これはいまから取り組んでいただかないと、今後だれかがやるだろうでは困るのであります。いまから取り組んでいただきたい。通産省もいろいろのいわゆる工場再配置計画なるものをお持ちになっておる。お持ちになっておりますけれ
ども、これは四十七年からでございますか、おやりになって、今日まで何件東京から工場が出ていきましたか。わずかに六十九件です。これは一いままでの高度
成長の結果東京が住みづらくなって逃げていく人が大部分なんですね。住みづらくなって逃げていく。政策のおかげで出ていったというよりは、いままでの
経済の道行きでございました。最近は出ていく人が一人もいない、そういう
状況であります。ですから、この辺で思い切った工場の東京からの転換、できることなら東京というところは、
行政、司法、
立法、さらに情報機能に都市機能を純化していただいて、それ以外は三全総のラインに従って地方分散をしていただく、いまからそれをおやりになっていただく必要があると私は思うのです。この点、いかがでございますか。