○坂口力君 私は、
公明党・
国民会議を代表して、ただいま
議題となりました
昭和五十三年度
補正予算三案に関し、
政府三案に
反対、
日本社会党、
公明党・
国民会議、
民社党三
党共同提案の
昭和五十三年度
補正予算三案の
編成替えを求めるの
動議に
賛成の
討論を行うものであります。(
拍手)
政府は、今回の
補正予算を
中心とした
総合経済対策によって
実質七%
成長程度の
達成を確約しているのであります。しかし、
わが国内外の
経済状況から見て、実際はそれほど楽観的な
見通しに立つことができるでしょうか。本年度当初
予算の際にも同じ
公約をした
政府が、半年を待たずして
追加措置をとらなければ五・七%へ落ち込んでしまうという厳しい
見通しを余儀なくされ、この数年間の経緯を見ても、
政府の
見通し違いは恒例化していると言わなければなりません。
わが国経済を着実な
景気回復軌道に乗せるには、きわめて多くの困難がつきまとっております。もしも適切な
景気対策が講じられないとすれば、さらに
雇用情勢は
悪化し、
中小企業の経営危機は深まり、
国民生活の不安は一層高まることは必至であります。また、大きな経常黒字を抱える中で、昇気
回復による
輸入の
拡大も
期待できず、国際的な非難を一身に集め、再び
円高の危険を呼ぶという悪循環に落ち込むことは必至であります。
こうした状況下にあって、
政府はあらゆる
政策手段を駆使し、現実の厳しい状況の打開に取り組まなければならないことは言うまでもありません。旧態依然とした経験だけにとらわれず、いまこそ英知を集め、新しい道を模索することが、
政治に課せられた最大の任務であると言うべきであります。(
拍手)
ところが、今回
政府が提案した
補正予算は、きわめて楽観的な
見通しの上に立って、これまで再三失敗を繰り返した
公共投資一辺倒の
景気対策を判で押したように踏襲し、
野党が一致して
要求した一兆円の
所得税減税は一顧すら与えていないのであります。
私どもは
公共投資の
景気刺激効果を否定するものではありません。したがって、
公共投資をやめて
所得税減税を実施すべきであると
主張しているのではありません。いまこそ
わが国経済が安定
成長へ移行する重大な過渡期であるとの認識のもとに、当面の厳しい
経済情勢を克服するとともに、
わが国経済を安定
成長軌道に乗せるために、
所得税減税と生活、福祉関連
公共投資の組み合わせによる
景気対策の実施こそが緊急の課題であると
主張しているのであります。(
拍手)
私どもは
補正予算の早期成立を願いつつ、
補正予算編成前はもちろん、
予算委員会においても、こうした観点に立って一兆円
減税を叫び続けてまいりました。しかし、われわれの声に何ら耳をかそうとしなかった
政府・自民党の独善的かつ
国民無視の
態度を厳しく糾弾するものであります。
さらに、
補正予算三案に
反対する主な
理由を続けたいと思います。
反対する第一の
理由は、すでに述べましたように、一兆円
減税の見送られたことであります。
政府は、七%
成長のためには、
輸出減少による海外経常余剰分の落ち込みについて、
公共投資を
中心に民間住宅、設備投資で
内需を
増大して埋め合わせようとしておりますが、五十二年度の例から見て、民間住宅、設備投資は伸びる
期待はなく、したがって、
公共投資にすべての比重がかかってくるのであります。しかしながら、
公共投資には、工事執行に時間がかかり、消化困難な条件が多く、所期の成果が危ぶまれており、
輸出の減少分の補てんが困難であることが懸念されているのが
現状であります。そうした中で、もしも
個人消費が減少するとすれば、七%
成長はとうていおぼつかないことは明らかであります。
政府の楽観的
見通しとはうらはらに、
個人消費の減少は避けがたいと言わなければなりません。
すなわち、これまで
個人消費を支えてきた夏の猛暑にかわる要困がない限り、また、冬の賞与が大きく伸びない限り、
政府の
個人消費見通しの
実質五%強の伸びすら確保できないと見ざるを得ないからであります。したがって、
個人消費を喚起する一兆円
減税がなければ、
景気回復は不可能と断ぜざるを得ないのであります。
わが国は、OECDの対日審査によって、
減税実施の提案を受けていることは御存じのとおりであります。私は、OECDから提案を受けたことをもって
所得税減税を訴えているのではありません。
景気停滞下にあって、依然として巨額な経常黒字を抱えている
わが国に対して、
福田総理が
公約した七%
成長の
達成を
期待する世界の目がそこにあることを
政府は認識すべきであります。
減税は実施されず、七%
成長は
達成できないとすれば、世界の
わが国に対する批判は想像を絶するものになるであろうことを
福田内閣は覚悟しなければなりません。
補正予算案に
反対する第二の
理由は、第一の
理由と関連いたしますが、
政府の
景気対策が余りにも
公共事業一辺倒であることであります。
今回の
補正予算の
追加のうち、大部分が
一般公共事業であります。これまで
公共事業中心の
景気対策が十分な
効果を上げ得なかった事実は、
政府も認めなければならないはずであります。
公共事業の執行は、用地の確保難や技術者あるいは技能労働者の不足、さらには材料難、地方
財政に対する超過負担などがつきまとい、徐々にむずかしさを増しております。また、当初
予算による
公共事業の
拡大は、すでに業種間、
地域間格差を
拡大しておりますが、それが一層
増大することも懸念されるのであります。
一方、
福田総理が第三の道と称して宣伝する
文教、
社会福祉施設整備にしても、その
施設整備はかねてから私
たちの
主張するところであり、当然といたしましても、長期的な整備計画も持たず、補助率の
引き上げも行わず、さらに地方負担の超過負担も改善されず、そこで働く人の補充
措置もとらないとあっては、思いつきの
措置と言わなければなりません。(
拍手)
文教、福祉
施設整備は、これまでおくれてきた原因を究明し、その実施にかかわる制度や仕組みの改善を伴うべきであります。
前に述べたように、私どもは、
公共投資を否定しているものではありません。
公共投資に余りにも偏重した
景気対策では、
政府が見込むような
景気を浮揚させることはできない。したがって、一兆円の
所得税減税と生活福祉関連
公共投資の組み合わせによる
景気対策を
要求しているのであります。
反対する第三の
理由は、
雇用対策、構造不況、
中小企業対策が不十分である上、福祉
対策に配慮がなされていないことであります。
私どもは、
政府が示した
雇用保険失業給付金の給付日数の延長、あるいは
中小企業融資の金利の引き下げ
措置については一定の評価をするものの、当面の厳しい状況にあっては、余りにも不十分な
対策と言わざるを得ないのであります。
政府に、きめ細かな
雇用対策、
中小企業対策を講ずるとともに生活苦に陥れられている社会保障給付受給者に対する温かい
施策の実施を
要求するものであります。
以上、
反対する主な
理由を申し述べましたが、一兆円
減税が実施されるならば、
景気回復に大きく寄与するのみならず、低
所得者の生活を守ることは言うまでもありません。最近、国税庁の発表した五十二年分の民間給与の
実態によると、一人当たりの平均給与の伸び率は七・三%にとどまり、
物価上昇率さえも下回っております。低率の賃上げに加え、
公共料金の値上げを見ただけでも、五十三年度においてはさらに厳しい状況が予想されるからであります。
最後に、改めて私は、一兆円
減税を
要求するとともに、それを踏みにじろうとする
政府・自民党の独善と
国民無視の
姿勢を糾弾し、
討論を終わります。(
拍手)