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平泉委員 ちょっと心配なのは、アメリカの
経済がこうやって基軸通貨であり、ドルを印刷すればどんどん石油が入ってくる国だというので、そういうことをみんなか半は軽べつしながら
——軽べつという言葉はよくありませんが、ちょっとリプローチしながら、
現実はそれに乗って一応
経済の構造が成り立っておるが、その圧力が全部アメリカに本当にかかっているとすれば、アメリカのこういう
状態に対して、それでは産油国の方ではこういうドルはもうマッシブに引き上げるんだというようなことはいつでも起こる可能性がある。アメリカの巨大な信用の上に成り立っているという非常にフラジャイルな構造
自身は消えていない。われわれのささやかな黒字なるものもそれに寄生して存在しているという
感じから抜けられない。そうだとすれば、私どもの見かけの
国際収支は相当強くて、国際的にはトリレンマから脱却したのだとか、
経済は順調に
回復基調にあるとかということが果たして本当なのだろうか。最終的にどこかそこにデウス・エクス・マキナが隠れてやしないかという、これは私の思い過ごしかもしれませんが、しかし、そういう危険をはらんでいるということを、私は
白書にもう少し書いていただいた方が国民のためによかったのかもしれないという
感じがしてなりません。一応私の所感でございますから申し上げておきます。
次に、構造変化の問題、もう時間が本当に少なくなってまいりましたので申し上げますが、私、このことについて
白書が二百十三ページあたりでやられた分析は大変鋭利な、すばらしい分析だと思うのです。まさに
わが国においていま最も必要とされている認識だと思うのです。その辺、これは
物価対策とかいろんな問題とも絡めて、
わが国のこれからの
経済というものをどう構想するか。かつて
宮澤長官は、流通問題にメスを入れるということは一国の文化文明にメスを入れることだとおっしゃいました。さすがだと思いました。まさにそのとおりで、
経済のあり方というのはその国の人生観のあらわれであるし、文化のあり方なのだと思います。一体、
わが国では物すごい産業間の
生産性の格差があるという御指摘であります。何ですか八十倍ですか、ちょっと私は数字に弱いので忘れましたが、そういうふうな御指摘がある。その最も象徴的なものが恐らく流通
関係の
段階、それから零細な飲食店、レストランのようなものに
かなりのあれがあるとか、さらに大宗は恐らく農林水産業の問題であろうと思います。そこで私は、まさにそういう点で
経済企画庁が農林水産省と全面的に協力されて、大きなる
政策を打ち出していただきたいということを非常に痛感をいたすのであります。この
白書ではせっかく鋭利なことが出ておるのですが、先ほど申し上げたように具体的な問題になると一切これは
関係各省のマターであるということで、手がふっと上がってしまう。農林
関係についてはわざわざ分析しておられるのです。わざわざ分析しておられて、
雇用の問題には含んでおられます。たとえば、いまの農業の構造を改善して
生産性を高めなければならない。当然に
雇用が縮小します。その
雇用が縮小する部分についてはどうするかという重大な問題がその次にあるわけですが、その辺のところは何となく書いておられない。問題を指摘しておられるだけです。これだったら解決にならぬのですね。まさに私は、流通業の問題は都会産業の問題ですから徐々に行くと思うのですけれども、農業の問題というのは非常に深刻な問題ではあるまいか。現に東京ラウンドの
最終段階でスタンプリングブロックになっておりますね。こういうことを含めて、農業について
経済白書の専門的な立場からの分析を踏まえられて、
大臣はどういう御所見でいらっしゃるのか、御答弁いただきたい。