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1978-11-22 第85回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十二日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君       加藤 紘一君    倉成  正君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田野忠文君    福島 譲二君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    武田 一夫君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君  委員外出席者         外務大臣官房書         記官      野村 一成君         文部省大学局技         術教育課長   福田 昭昌君         文部省管理局教         育施設部計画課         長       佐藤  譲君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 長谷川慧重君         農林水産政務次         官       今井  勇君         農林水産大臣官         房技術審議官  松山 良三君         農林水産省構造         改善局長    大場 敏彦君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      杉山 克己君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      北野 茂夫君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         建設省道路局市         町村道室長   金子  晃君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、昨日の農林大臣に対する米のあり方に対する質問にさらに続きまして、その継続した問題点をお伺いをしてまいりたい、こういうふうに思います。  その第一点は、やはり現在及び将来における食管制度運用の基本をただしていかなければならないのじゃないか、そういうふうに考えているわけでございまして、その点では、米の買い付けの問題とあわせて米の売り渡しの問題を今後どのようにして適正なものとしていくか、この点に一番問題点があるのじゃなかろうか、そういうふうに思います。  まず、米の売り渡し適正化方向について農林省としてどういうお考えを持っているか、その点をお伺いをしたいと思います。
  4. 澤邊守

    澤邊説明員 食管法に基づきまして、米の政府売却需給計画なりあるいは配給計画に基づきまして適正に消費者販売ができるように行うのがその趣旨でございますけれども、最近の需給実態はかつての不足時代とは様相を異にいたしますので、その運用面におきましてはかなり弾力的にしておる点があるわけでございます。しかし、需給事情というのはそのときどきに変動することも考えられますし、やや長い目で見ますればどのような事態になるかという不安もございますので、弾力的な運用をしながらも、いざというときといいますか、不測の事態が出たような場合に適正に配分ができるような仕組みも残しながら、その範囲内において弾力的に運用するということをやっておるわけでございます。  最近はそのような需給事情のもとでございますので、消費者も量的なことにつきましてはほとんど問題がないわけでございますが、品質なりあるいは表示なりあるいは価格なり等に関する関心は非常に強いわけでございます。特に品質面に対する消費者の選好が強まってきておりますので、それに応じた適正な販売小売段階において行われるように留意していく必要があると考えております。  そのために、基本的には需給計画なりあるいは県ごと町村ごと配給計画に基づきまして政府は卸、小売を通じて売却をしていくわけでございますが、小売段階におきまして適正な価格で適正な内容のものが販売をされるということを確保することが現段階においては大事だというふうに考えておりますので、流通適正化協議会というものを各県段階に設けまして、それぞれ行政機関流通業界あるいは消費者代表に参加していただきまして、懇談会あるいは巡回調査等の方法によりまして価格なり品質なり量目等が適正に行われるように指導をしておるところでございます。  なお価格面につきましては、昨日も申し上げましたけれども、すでに物価統制令の適用は四十七年以来廃止しておりますけれども、特に標準価格米につきましては、徳用上米と並んで、指導価格によりまして価格指導を都道府県を通じてやっておりますし、またその他の上米ないし中米につきましても、最高限につきましては必要に応じて指導するということをやっておるわけでございます。  なお、それらの行政指導等によります措置とあわせまして、流通業者間の競争条件制度の許す範囲内において入れながら、競争によって消費者に対するサービス、適正な販売が行われるようにやるということにつきましても配慮する必要があるということで、現在検討しておるところでございます。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 米が最末端小売段階にいきましたときに、小売段階でどういう売られ方をしているか、その実態についてはどのように把握をしておられますか。
  6. 澤邊守

    澤邊説明員 お尋ね趣旨を必ずしも十分に理解しない面があるいはあるかと思いますけれども小売段階では、現在法律上はもちろん購入通帳によって購入するというたてまえになっておりますけれども、実際面では、ほとんどそのような仕組みは表に出ておらないという形で運用されておることは御案内のとおりかと思います。現在、営業所の登録を受けた小売店販売をするという仕組みになっておりまして、買い入れ必要量につきまして卸に申請をして卸から売却を受ける、その場合、店頭において精米をして販売をする形と、小袋詰めに包装して売る場合と、配達等の場合に見られますように通い袋販売をするという形もかなり残っておりますし、あるいはまた大型集中精米で、精米所で集中的に精米小袋詰めに包装したものを小売業者卸業者等から購入をいたしまして、店に並べあるいは配達によって販売をするという形も見られるわけでございます。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 いま一つ問題点が出ましたのは、法律上の形態面でいいますと、購入通帳をもってお米を買う、こういうふうに食管制度のたてまえはなっておるわけですね。ところが、いまどこに行っても購入通帳などというのはまさに形式的なもので、葬り去られておる。まず全国探しても、恐らくゼロに近い数字ではないかという実態だと思うのですね。そこに配給米といいますか標準米といいますか、そういうものの売られ方が適正に売られているかどうかというところに問題点が出てくると私は思うのですね。政府が買い上げた標準米がそのまま消費者に渡っていく、こういう形をとっているならば、購入通帳によって政府米がどういうふうに購入されていくかということをきちんと最後まで確認をするならば、先般私が申し上げたように、政府が買い上げた政府米の中から格上げ米と称していいものだけが抜き取られて準自主流通米になってしまう、そうして残ったものが標準米として、所得の面から見てどうしても標準米生活の苦しさの中から買いたい、買わなければならぬ、そういう人たちに一番まずい米がいかざるを得ないという実態があると思うのですね。そういう点では、まず売り方の形式的な問題として、そういう購入通帳があるのだから、そういうものの中で政府が買い上げたうまいお米を含めたものをきちんと売り渡される、そういうものを売り渡しの面で食糧庁最後まで確認をしていくということが必要なのじゃないか。これはいまの主婦の厳しい経済生活の中の実態から見れば、家計簿をつけている主婦が大多数おるわけですから、そういう面からいけば、こういう通帳にきちんとつけてもらうことは当然のこととしてやると思うのですね。  それからもう一つ私が尋ねたことは、政府が買い上げる中で、A銘柄B銘柄、その他という形で買います。その買ったものを、今度は売り渡し販売されるときに、それがそれぞれの銘柄で買い上げた価格のまま推移していくのかどうか、その流通段階政府としては見きわめていない、こういうふうに私は思うわけなんです。販売の面でそれぞれの銘柄が正しく売られているかどうか、その辺の調査食糧庁としてできるのかどうか。私は現実にはできないのじゃないかと思うのですが、またやっていないのじゃないかと思うのですが、政府の買い上げた格差に応じた販売の仕方がどういうふうになされているか、その実態面把握をもう一度伺いたいと思います。
  8. 澤邊守

    澤邊説明員 二つばかりお尋ねでございますが、まず前段の、購入通帳によって小売業者から消費者が買うというのがたてまえであるけれども、その辺が端的に申し上げまして空文化しておるといいますか、行われていないという点でございますが、私どもといたしましては、食糧需給というのは、現在のように国際的にも国内的にも過剰状態がいつまでも続く、将来ともにそれでいけるのだということを前提に置いた制度をつくり直すといいますか、そういうことは必ずしも現段階としては適当ではない。やはり国内的に見ましても、需給均衡が標準的にとれますれば、まあ農産物というのは天候その他による不作等もございますし、三割以上海外主食を依存しておるわけでございますので、どのような事態があって海外からの輸入が滞ることもあり得るということも念頭に置かなければいけませんので、購入通帳制度というものも、現在は背後に退いているというような形になっておりますけれども、場合によってはそれが復活し得る余地というものは残しておかなければいけないだろう。ただ、そうは言いましても、現段階一般経済情勢なりあるいは需給事情のもとにおいて、購入通帳によって必ず買わなければいけないということを励行させるということについても実態にそぐわない面があるのではないかというように考えておるわけでございます。  購入通帳によって販売することによって、政府が売った米が、格上げ混米等が行われないように売っていくようにしたらどうかというような御意見ではないかと思いますけれども混米自体は、昨日もお答えしましたように、必ずしも非難すべきことではないわけで、当然混米することによって品質を年間ならすというような面で望ましいことでもありますし、単品ごとに売れば非常にまずい米も、他の優良な米とまぜることによってかなりおいしくなるというような面もございますので、それ自身非難すべきことではないと思いますけれども、いわゆる格上げ混米と称しまして、政府が安く売った米を、表示も十分せずに、上位等級の米と一緒に販売することによって、実質よりは高い値をつけるというような点が、私は問題ではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、そういうことをできるだけなくしていく、防いでいくということのためには、集中精米による小袋詰め販売というものをさらに一層促進していくことによりまして、いま言いましたようなことを予防するというか防止する効果が出てくるのではないか、それだけではございませんけれども。と申しますのは、集中精米によります小袋詰め混米をしてやるという場合には、これはかなり数が少ないわけでございますので、監督余地が出てくるわけでございます。小売屋のそれぞれの店頭精米をし、袋詰めにするというようなものにつきましては、実際問題として指導監督をするということはなかなか目が行き届きかねる面があるわけでございます。その面で、大型精米による小袋詰め販売の促進をしていきたいというように考えておるわけでございます。  大変長くなって恐縮でございますが、もう一つA銘柄B銘柄の問題も、ただいまお答えしたことと関連するわけでございますが、政府は確かにA銘柄B銘柄につきましては価格をやや高めて売っておる。逆に北海道とか青森等減額米については、一般価格よりは安く売っておる。等級の差のほかにそういう銘柄によって差をつけて売っておるわけでございますが、それがそのまま卸、小売流れ消費者に行く場合に、そういう米が混入している場合に、それにふさわしい適正な価格が行われておるかどうかということを一々チェックすることは非常にむずかしいわけでございます。もちろん繰り返し申し上げておりますように、消費者価格というのは現在自由になっておりますので、消費者選択といいますか、あるいは業者間の競争消費者業者の間の選択競争によって、極端に高い米の価格を決めておればそれが売れなくなるという形で牽制されて、おのずから適正な価格が形成されるであろうということを前提にしておるわけでございますが、極端に高くならないように最高限は必要に応じて抑制を指導はしておりますけれども、その中間のものにつきまして、すべて一々中身が全部違うものを、これは適正であるとか不適正である、こういうことを指導することは実際問題として困難でございます。したがいまして、いま言いましたような集中精米による小袋詰め精米ということを進める中で、そのようなことが、適正な価格中身に応じて形成されること、それをまた行政的にある程度チェックできるという仕組みに漸次移行さしていくということと、もう一つは、流通業者の間がもう少し競争する。他の商品のように競争するというようなことがあれば、競争によって、そういう品質にふさわしくない高い価格を決めておるような業者は売れなくなるというようなことによって、おのずから適正な価格形成に近づいてくるというような方向指導していくべきものではないかというふうな考えでやっておるわけでございます。
  9. 小川国彦

    小川(国)委員 自由経済自主経済の中で米は動いておるのだ。しかし、問題は、五百五十万トンも七百万トンも在庫を抱えていって、これから古米の処理をするのには一兆円か二兆円か膨大な国費をつぎ込まなければならないという事態に立ち至った原因、歴史、そういうものを厳しく考えていかなければいけないのではないか。その面では、いわゆるいまの配給制度、売り方の中に食糧庁行政というものが徹底してなかった、きわめてずさんであった。その端的な例を申し上げれば、政府米としてたとえば五百七十五万トンことし主食として買います。しかし、これがいままでの例だと、政府米として買ったもののうちの七割か八割が格上げ米というような形で混入されて政府米より高い価格で売られているというのが市場の実態だと言われているのですね。そういう実態を阻止する対策というものはあるのかということなんですよ。
  10. 澤邊守

    澤邊説明員 消費者価格がすでに自由になっておる段階におきまして、混米自体もこれは禁止されておるわけではございませんし、先ほど申し上げましたように望ましい点もあるわけでございますので、これを行政の監視なり取り締まりのもとにおいて一々細かな規制をしていくということは、実際問題としてなかなかできないことだと思います。したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、一つ大型集中精米による小袋詰め販売小売段階においてもなるべく普及をしていく。集中精米所は五百数十カ所ほか全国にございませんので、これには行政指導監督かなりきめ細かく及び得ると思いますので、そういう行政指導も強化をいたすことによって、いま言いましたような集中精米小袋詰め販売が普及されるということが一つ。  それからもう一つは、これも申し上げましたように、流通業者の間で卸も小売もいまよりはもう少し競争条件を導入することによって業者相互消費者に対するサービス競争をする、言葉をかえて言いますれば、販売競争をするというようなことを現行制度の許す範囲内において広げていくということによりまして、御指摘がありましたような問題が現在あるわけでございますから、そういうものが解消できるような方向指導していくのが、現段階において行政としてとるべき施策ではないかというふうに考えております。
  11. 小川国彦

    小川(国)委員 食糧庁政府米の七、八割がそういう自主流通米、準自主流通米のような形で流れているという実態は御存じなんですね。
  12. 澤邊守

    澤邊説明員 政府米の七、八割が自主流通米ということではなしに、これは先生の御指摘になるのをあるいは誤解したのかもしれませんけれども政府買い入れをしまして販売するものと、それから自主流通米と言いまして、政府が直接買ったり売ったりという介入はいたしませんけれども生産者団体である指定業者から、指定法人と言っておりますが、具体的に言えば全農あるいは全集連という二つ団体がございますが、これから卸売業者に直接販売をする。ただ、自由に販売するだけではなしに、業者のネゴシエーションによって販売量価格等決めますけれども、それに対して政府が強力な指導をいたしまして、全国的に余りバランスを崩さないような流通をし、しかも適正な価格が決められるようにそういう行政指導をしておりますけれども、そういう自主流通米として流れるもの、それから問題になりました豊作等の場合におきます余り米といいますか超過米、これも自主流通米と同じような流通ルートの中で食管法規制のもとで流通するようにしておるわけでございます。  そこで、政府が直接買って売っておりますものが卸、小売を通じて消費者に行き渡るのがたてまえでございますけれども、それが途中で横に流れていくというような形で不正規流通流れている面も全く否定するわけにはいきませんので、これらについては、流通業者指導監督あるいは警察当局取り締まり等も必要に応じてお願いをして、そのようなことがないように努力をしておるところでございます。
  13. 小川国彦

    小川(国)委員 一部認めるという形で言っておりますが、現実には政府米自主流通米、こう大きなふところに入ると、政府の買い上げでは、政府米がことしで言えば五百七十五万トン、自主流通米が二百五十五万トン、大きく見て八百万トン、このうちの二割が自主流通米で八割が政府米と思っているのですが、現実流れの中にいくと、政府米は二割ぐらいになって、八割ぐらいが自主流通米的な形で流れてしまっている。それで、生活費の中では、米を食べていくことが生活費としては一番安く上がるわけです。ですから、低所得の人が一番米を食べるわけなんです。一番米を食べる低所得人たちに、政府政府米として買い上げた中のうまい部分を抜かれてしまって、一番まずい残った部分だけを食わせている。だから、政府米がはけなくて、どんどん保管料だけ、倉敷料だけがふえていくという実態があるわけなんです。だから、言うならば、政府は、買うときは食管制度という一つ統制制度のようなものの中で買って、出すときには自由経済の中にほうり出して、御自由ですということなんです。だから、いわば食糧庁は大きなしりが抜けたトンネルなんですよ。買うときは等級をつけて厳しく農家から米を買っているけれども、出ていく先はしり抜けだから、うまい米はみんな自由経済でいってしまって、まずい米だけが統制経済のような形の中に残っていくから、どんどんそれが在庫していく。しかも、それを買いたいと思う人にはまずいものしか来ないから、それこそ消費拡大も伸びないという実態になっていくわけです。  だから、そういう点で食管制度を堅持していくという考え方が食糧庁にあるなら、買った方だけじゃなくて、売る方をきちんとやっていかないと、自主流通米だけはどんどんさばけていくけれども政府保管米だけはどんどん在庫になっていく、こういう実態があると思うのです。これで食管会計が何兆円と負担になったから、どうにもならないからこれを売らしてくれ、どうにかしてくれといっても、国民が納得しない事態が来ると思うのです。だから、そういう点では米の売り方の問題をもっと徹底して考えなければいけない。  それから、いま長官の答弁の中に、米穀流通適正化協議会というのをやって米の販売の方の流れ適正化していると言うのですが、昨日も指摘したように、この組織は年に三回ぐらい集まって御飯を食べて終わりの会合になってしまっているのです。販売店を見に行くわけでは全然ないわけですよ。農林省には全国食糧事務所というものが全部配置されて、米、麦の検査はやっているけれども、それ以後の日常的な業務として、こういう販売店監督指導配給業務のきちんとした指導をやるようにしていけば、食糧庁業務も生き生きとしてくると思うのですよ。そういうことを農林省食糧庁自体がやらずに、主婦だとか消費者団体とか学識経験者とか市町村長とかを集めて、そうしてその中で米の配給ルートが適正にいくように、米の品種や配給秩序が守られるようにということは各県の農政課に任せてしまっているわけです。私はここに食糧庁の怠慢があると思うのです。  それからまた、今度は米消費拡大推進協議会というものをつくっている。これにも食糧庁補助金を出しているのですが、これも大体似たような、卸から小売、それから市町村代表者農協代表者消費者代表者、こういう者を集めて会合をやるだけで終わりになってしまっているわけなんです。そういうところに大変な予算を投じていると思うのですよ。  農林省は、この米穀流通適正化協議会米消費拡大推進協議会の両方に全国でどれだけの補助金を出していますか。
  14. 澤邊守

    澤邊説明員 食糧事務所自体流通適正化なりあるいは消費拡大にもっと努力をすべきだという点につきましては、私どもも必ずしも十分ではないというふうに思っておりますので、さらに一層そのような業務を強化していきたいというふうに考えております。  特に消費拡大につきましては、食糧事務所自体のこれまでのこの問題についての取り組み方が必ずしも十分ではない点が非常に多いと思いますので、最近特にその点には留意をして、協議会任せ、あるいは県任せということのないように、食糧事務所みずからの仕事としてやるように督励をしておるところでございます。食糧事務所自体がやらなければいけないことはお説のとおりでございますが、それと同時に、流通適正化協議会とかあるいは消費拡大推進協議会といった民間の力もお借りしながらやっていかないと成果が上がらない面がございますので、協議会協議会として、食糧事務所の十分でない点はさらに一層強化していくということで対処していきたいというふうに考えております。  お尋ね適正化協議会に対しましては、国が県に対しまして、五十三年度において約一千四百万の助成をいたしております。それから米の消費拡大推進協議会は、五十三年度に九千八百万の交付をいたしております。中身といたしましては、たとえば米祭りをやるとか、あるいは講習会をやるとか、パンフレットをつくるとか、それぞれ知恵を出してやっていただいておるわけでございます。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、こういうことは、いわゆる食管行政の中の販売面がきちっとして、本当に末端までうまい米が政府米として売られるという体制がきちんとしていけば、おのずから消費拡大なんというものは——こうしたお茶濁しの会合をそれぞれやったところで、この適正化協議会があっても、現実小売店に回るというところへいかないのですよ。現場へ行って、販売店がどういうふうな米の売り方をしているかなんというのは、全国のを調査してごらんになったらいいと思うのですが、現場へ回った協議会一つもないですよ。年三回、五十万か百万で会合を開いて、食事代と来た委員の費用弁償、日当を払ったらそれで終わりになってしまっているのですよ。これでは、現実販売店でどういうお米が売られているかなんということは見ようがないわけなんです。その点いかがですか。これで見ようがありますか。
  16. 澤邊守

    澤邊説明員 御指摘のように、もちろん協議会だけがそういうことの指導監督をしていくということはできる話ではございませんので、協議会におきましては、関係業者のそれぞれ日常の経験等を踏まえた助言なり御意見を聞き、意見の交換をして、そこから現実流通業者指導なり監督をやるということは県と食糧事務所が協力してやらなければいけない。それでなければとても手の回る話ではないと思います。したがいまして、現在県と食糧事務所が協力しながらやっておるわけでございますが、確かに、生産面に比べてそういう流通面の努力の仕方が足らないという御指摘であれば、それは否めないところでございますし、最近一層強化に努めておるところでございますが、御趣旨の線を十分念頭に置いてやっていきたいと思います。
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一遍申し上げますと、この米穀流通適正化協議会の仕事の中には、第一条「食管法の実施について、米穀販売業者指導及び配給業務の改善、配給秩序適正化を図り、米穀流通の正常化並びに消費者米価の安定に寄与する」。それから、第三条の目的でいきますと、「標準価格米の設置、販売の状況」それから「米穀の品質、量目、品質表示の方法」「米穀販売価格実態」、こういうようにこの協議会のうたっていることは、まさに食管法の中で食糧庁が本来的業務としてやるべき問題なんです。それを、食糧庁にこうした業務に対しての取り組みがなくて、県の農政課を中心に年三回各代表を集めて会合を持っているだけでは、各県にある米穀流通適正化協議会のこの第一条とか第三条の目的というものは達せられないのですね。  だから、この業務こそまさに食糧庁が本来的な業務としてやる、こういう考え方に戻さないと、いまのやり方ではいつまでたっても配給業務適正化もできなければ、標準価格米の設置や販売の状況がどうなっているか、そういう実態把握はできないと私は思うのですね。これをとことんまでやる考えがないかどうか。こういうことを徹底してやる考えがないと、二回目の在庫整理をやるんだって、また三回目の在庫をためるのではないかという国民の不信を招いていくだけで、今日の段階在庫整理を望むなら、その前に、食糧庁みずからがどれだけいままでのふしだらな行政に対する反省なりえりを正すのか、こういう点がはっきり出てこないと今後の改善策も立たない、あるいはまた古米の処理もできない、認められないということになると思うのですよ。  だから、食糧庁として、こういう業務を本来的な業務として行政の中に取り戻してやるという考え方を持っていただきたいと私は言うのです。
  18. 澤邊守

    澤邊説明員 協議会はあくまでも協議会でございまして、協議をするのが目的でございますので、協議会の「任務」のところに書いてございますように「つぎの事項について連絡協議し、必要に応じ、知事および所長に意見を申し述べる」ということで、価格実態について監視をしたり調査をしたり直接やるということは、たまにはそういうことをお願いすることもございますけれども、それが主目的ではないので、私ども食糧事務所なりあるいは県が、品質なり量目、包装等についていろいろ指導をしたり監視をするというようなことについて参考になるような御意見、助言を得たいというのが目的のものでございます。したがいまして、協議会だけにそういう実施面までお任せしてやるということは事実上不可能なことでございますし、任務も逸脱することとなると思いますので、御指摘のように、これはあくまでも執行機関である知事なり知事部局なり、あるいは私ども食糧事務所が常時指導なり監督をしていくべきものだというふうに思います。
  19. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一度厳しく伺いますが、この第一条なり第三条に言うこういう目的というものは、当然食糧事務所業務の中に、食管法の中に掲げられていると思うのですね。いままでそういうものに基づく販売店に対するこうした事項の調査あるいは取り組みというものは具体的に行われてきておりますか。いまここにあるような米穀販売業者配給業務の改善なり、秩序の適正化なり、標準価格米の設置や販売の状況がどうなっているか、品質、量目、品質表示はどうなっているか、こういった販売店に対する実態調査食糧庁として現実におやりになってきているかどうか。
  20. 澤邊守

    澤邊説明員 例として申し上げますと、食糧事務所でやっております卸売業者小売業者等の業務監査というものもやっておるわけでございます。これは立ち入り監査、巡回監査というような方法でやっておるわけでございますが、五十一年の例で見ますと、監査数が卸売業者で三百三十六件、実施率で七〇・四%、それから小売販売業者の場合は、立ち入り監査が三千四百八十二で五・六%というようなこと、それから巡回監査、もう少し簡易なものでございますが、これは二二・一%、一万三千七百八十三業者というようなことをやっております。その他監査までには至りません巡回指導も随時やっておりまして、これは五十二年の数字でございますが、一業者当たりの年間の指導回数でございますが、三・八回というようなことをやっておるわけでございます。まだ不十分じゃないかという御指摘があればあるいはそのとおりかと思いますけれども、そういうような巡回指導とか業務監査というような形で、食糧事務所の職員も卸売業者あるいは精米所あるいは小売業者の監査なり指導をしておるところでございます。
  21. 小川国彦

    小川(国)委員 小売店の五・六%なんて数字を見ますと、これはやっているとは言えませんね。だから、そういう点では食管会計の中で、食糧庁の人件費の問題とか合理化の問題とか出されてくるようですが、そういうこと以前に、先ほど申し上げたように、食糧庁買い入れの問題だけじゃなくて、売り渡し末端までの業務を適切にやっていけば、食糧庁自体も生き生きしてくるんだし、それからまた、食管会計の中で米をこんなに売り残すようなことにもならないわけで、そういう点では、やはり食管会計というものが日本の農政の中でいま大きな柱になっている。これはあくまで堅持していかなければならないという考え方に立つならば、やはり米の流通というものを、買い入れだけではなくて売り渡しもきちんとしていく、こういう姿勢をまず基本として食糧庁が取り戻す、そういうことの上に、次に在庫の整理の問題を今後どうしていくのかということをやはりこれは全体の問題として考えなければならないと私どもは思うのです。  そこで、ことしで五百五十万トン、来年の十月で七百万トンと言われる米の在庫整理に向けて、食糧庁は一体どういう方針を立てて臨むのか。それに対する予算の立て方は一体どういうふうに考えているのか。それからまた、その中身として、酒造米とかあるいはもちとかもち菓子の、そういう加工材料というものにどの程度消費考えていくのか、あるいは給食の拡大ではどう考えるのか。それから、これは全く残念なことであるけれども、最悪の事態えさとしての払い下げも考えざるを得ないのではないかということが言われておりますが、そういうことの考え方も持っているのかどうか。それから、海外援助、こういうような問題、これを含めて、まず在庫整理に対する考え方、これをどういうふうにいま食糧庁としては考えているか、その点をひとつ伺いたい。
  22. 澤邊守

    澤邊説明員 本年十月末の古米の在庫が、まだ確たる数字は申し上げるところまでいきませんけれども、五百七十万トン程度になるものと見込んでおります。ことしの豊作によりまして、来年の十月末、五十五米穀年度への繰り越しの際にはそれがさらにふえる。現段階でこれから一年先のことを見込みを立てるのは時期尚早だと思いますけれども、六百数十万トンにはなるという見方もあるわけでございます。  そこで、私どもが計画的に古米の次年度への持ち越し数量としてやっておりますのが二百万トンでございますので、それを差し引いた、今年十月末で言えば五百七十から二百を引きました三百七十万程度がいわゆる過剰であるということになるわけでございます。したがって、この過剰が将来主食用として通常の方法で売却する可能性がないということであれば、経費の節約の面あるいは持っておれば品質も低下するわけでございますので、少しでも有効に活用するという面からいたしましても、過剰米の処理を計画的にやるように着手しなければいけない時期に来ておるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  その方法につきまして、現在、明年度予算編成の中で検討しておるわけでございますが、前回も七百四十万トンを七年間で処理をしたわけでございます。そのときの考え方、実績等も考慮しながら、現在具体的に詰めておるわけでございます。現在ここで、どのような方法でどの期間かかってどのような損失補てんの方法をとりながらやっていくかということを申し上げられないのは残念でございますが、いずれにいたしましても、用途といたしましては、国内の加工用米菓、みそ、しょうゆ、あるいはしょうちゅうとかその他ございますが、そういうものにできるだけ振り向けていく、それから援助を含めました輸出に振り向ける、それから最後に、損失が一番大きいわけでございますが、家畜の飼料用に振り向けるという三つの用途が大きなものとして考えられるわけでございます。それを実現可能性等も考えて、どのような割り振りで考えていくかという点を現在検討しておるわけでございます。  それから、いつから着手するか、あるいは来年、処理の期間を何カ年間でやるか、それから損が出るわけでございますが、その損失の補てんの方法をどのようにしていくか、前回は特別措置を講じて、七カ年間の損失の繰り延べをやったわけでございますが、そのような特別措置を講ずるかどうかというようなことが問題になるわけでございます。それらを含めて検討中でございます。  いずれにいたしましても、かなりの財政負担を生ずるわけでございます。その方法いかんによりまして総額あるいは単年度の財政負担に相違が出てきますけれども、来年度を初め、今後の財政負担にかかわるところが非常に大きいので、短期間にできるだけ処分すればいいと言い切れない面がございますので、財政事情等もにらみながら、来年度予算編成までには結論を得て実行していきたいというふうに考えて、鋭意詰めておるところでございます。
  23. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、来年度予算編成の中で在庫米処理のための財政負担の一部を求める、こういう考え方で現在進んでいる。したがって、少なくもこの十二月いっぱいくらいには当初予算の編成が行われるわけですが、来年度当初予算の中にはこの財政負担の一部を求める、こういう考え方で作業が進んでいる、こういうふうに理解していいですか。
  24. 澤邊守

    澤邊説明員 私どもといたしましては、財政当局に対しましてそのような方針で折衝しておるところでございます。
  25. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、いまお話があった三つの指標、その振り分け方、それからそれに伴う財政負担、これは可及的速やかに検討を加えると同時に、これはまた改めて当委員会にかけて、この処理方針が本当に国民的同意を得られるものかどうか、そういうことに対しての機会をつくらなければならないと思いますが、そういうことに臨む食糧庁としての考え方なり、きょうは次官も来ておりますから、政府としてこの米の処理問題は大問題でありますから、単に農政の問題じゃなくて、国民全体の同意を得る国政上の問題として検討を受けなければならない課題であると思いますので、その点の政府の腹構え、考え方、これは次官、長官を含めて回答を願います。
  26. 今井勇

    ○今井説明員 基本的な考え方は、いま食糧庁長官が述べたとおりでありますが、この処理の方法によりましては、やはり一つ法律が要ろうかと思いますし、そういう場合に、もちろん当然のことながら当委員会の御質疑を煩わすわけでありますが、その方法等についていま鋭意詰めておりますので、いま直ちにここでこういうような形でいたしますというわけにまだはっきりいたしておりません。
  27. 澤邊守

    澤邊説明員 政務次官のお答えに補足しますと、法律のことはお答えございましたが、いずれにいたしましても、食管特別会計の問題でございますので、国会の御審議を煩わすということにはなるわけでございます。
  28. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に、政府はいま二百万トン、わが党は三百六十万トン、六カ月分の備蓄案というのを持っているわけです。これについては、スイスなどでは一九五九年に法を制定して、十万トンの小麦の貯蔵を決め、二カ月分ということでスタートいたしましたが、現在三十万トン、六カ月分持っている。それから世界各国の大勢を見ましても、食糧備蓄に対する問題は、石油の備蓄と同様の考え方で進んできている。そういう点では、いま食糧庁考えた処理方針の中にいろいろな災害とか有事を想定して、そういう場合における備蓄というものの中でこの処理も当然考えられなければならない。石油備蓄が国民一人当たりどのぐらいの費用でやられているか、そういう対比とにらみ合わせて食糧備蓄という考え方を食糧庁としても当然持っていかなければならないのじゃないかと思いますが、最後にその点に対する食糧庁の見解を承りたい。
  29. 澤邊守

    澤邊説明員 有事といいますか不測の事態に備えてある程度の備蓄をしなければいけないということは私どももそのとおりに考えておりますし、数年前、世界的に食糧需給が逼迫したという経験もございますので、当時いろいろ検討いたしまして、米につきましては古米で翌年度に持ち越すのを二百万トンというのが、備蓄の意味を含めた在庫の持ち越しであると考えておるわけでございます。  昔から、十一月から米の新年度が始まるわけでございますが、十一月一日から全部新米に切りかえるということはできませんので、古米を需給操作上ある程度持ち越して売却をしていくことが必要なわけでございます。これは備蓄という意味じゃなくして。それがどのくらい要るのかということは、五十万トンから百万トンの間ぐらいあれば需給操作上大体支障がないというのがこれまでの考えになっておりますが、それに百万トンあるいは百数十万トンを加えた二百万トンを古米の持ち越しとして次年度に持ち越すということは、これは備蓄の意味を含めてふやしておるわけでございます。  諸外国で相当備蓄しているところがあるじゃないかという御指摘でございますが、備蓄量はどの程度が適当であるかということは、もちろん財政負担との相談にもなるわけでございますけれども、その国がとっておる主たる食糧の生産が非常に不安定かどうかということ、あるいは海外への依存率が高いか低いかということ。それから米と小麦の場合では品質かなり違います。米の場合は、持ち越しますと品質低下がわりと早い。翌年の梅雨どきまでに全部消費しないと、後持っておってもいざという場合に食べられない。物理的、生理的に食べられないというわけではないですけれども、いまのような食糧需給のもとにおいて消費者が食べてくれないという問題があります。小麦は、その点につきましてはかなり保管がききます。長い間品質低下が少ないわけでございます。そういうことがいろいろございますので、それぞれの事情に応じて各国備蓄量を決めておるわけでございますが、わが国の場合はそういうことで二百万トンを持っておる。  そうしますと、毎年、翌年度には全部消費をして、次また新しいものを古米として持ち越すという回転備蓄の方法によらざるを得ないわけでございます。翌年度の梅雨どきまでに全部消費をしてしまうということが必要になりますと、新年度に入って半年余りの間に全部食べてしまうということになる。余りたくさん持っておりますと、新年度になっても古米ばかり食わなければいけないというようなことになって、消費者の嗜好から離れていく、それはまた消費拡大の支障にもなるということで、それらも考えて二百万トンにしているわけでございます。  これによりまして、二百万トンの場合も、保管経費で見ますと三百四十億くらいの金利、保管料がかかるわけでございます。これが通常の需給操作上ならば、仮に百万トン必要だといたしましてもその半分で済むわけでございますから、それだけ毎年保管経費を負担しながら備蓄をやっておるというように御理解をいただきたいと思います。石油の場合も三カ月を目標にしてやっておるということでございます。私ども米の場合は、国内生産の潜在的な力を持っておるわけでございますので、いま言いましたような需給操作、備蓄という観点からいたしますと、二百万トンが限度ではないかということでやっておるわけでございます。もちろん、さらに三百数十万トン持てとか半年分持てとかいうふうな御議論もわからないわけではないのでございますが、需給操作の面からいたしますと非常に困難なことではないかというふうに考えます。
  30. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  31. 中尾栄一

  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 昨日、中川農林水産大臣御出席のもとで委員会審議が行われたわけでございます。いまの小川君の質問を含めて、米の問題というのが相当に論議をされておりますけれども、農林水産全般の中で、きのうは東京ラウンド、特に日米農産物の最終的な政治決着問題、あるいはいま始まっております日ソの漁業交渉、あるいは日米漁業交渉等も行われておるわけでありますが、そういった問題に関連して特に日ソ漁業交渉の問題さらに政務次官も御承知のような池之端文化センターのコレラ騒ぎということで、それをめぐる水産サイド等からの問題、それに地元の四日市で油流出事故が起こりまして、ノリに大きな打撃を与えるあるいは二次公害等で漁船漁業等にもその影響が及ぶといったような問題で、農林水産省としてのバックアップというものの要請等を昨日やったわけでございます。  きょうは、昨日の質問に引き続きまして、当初、第三次国連海洋法会議をめぐる問題、引き続いて水産サイドの来年度予算要求の重点的な柱、そういった問題の中で漁港関係の予算の問題だとか、さらに当面、漁業関係というのは国際的な制約があって、業種別のいろいろ困難な状態が起こっておるわけですが、そういう中でカツオ・マグロ関係の問題、あるいはぼくの地元にも関係の深い真珠関係の問題といったようなことを逐次、四十五分の持ち時間の範囲内で触れながら質問をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  最初にお伺いしたいのは、第三次国連海洋法会議をめぐる問題であります。一九七三年から第三次国連海洋法会議が始まっておるわけでありますが、ことしで第七会期、来年は三月十九日からジュネーブで第八会期の国際会議が開かれる。  当初、ジュネーブあるいはカラカスの国際会議が開かれておる当時には、わが国の場合も水産日本の立場から、てんやわんやの事態からこの会議が出発をしておるわけであります。御案内のとおり、この国連海洋法会議のオーソライズされた新しい海洋法ができる前に、一九七六年から七七年にかけて、二百海里の漁業水域あるいは経済水域の設定が相次いで行われていく、いわば先行時代が展開をされまして、事実上漁業に関する限りは、七七年に二百海里時代を現実に迎えたという時期になっておるわけであります。  問題は、本来やはり国際的な合意のもとで新しい海洋法が生まれる、そういう新しい海洋法体制の国際秩序のもとで、いわゆる海洋法をめぐる漁業その他各般の問題が秩序正しく展開をされるというのが基本であります。  そこで、外務省からもおいで願っておりますので、外務省からまず御答弁を願いたいと思うわけでありますけれども、一九七三年から始まりました第三次国連海洋法会議の経過を踏まえて、来年の三月十九日から開かれていく第八期の国際会議、そういうところで大体政治判断としてまとまっていく方向に来ているのか、やはり来年をもってしてもなかなかまとまりを見せずにさらに延びていくというふうな困難な問題というのを抱えておるのか、そういったやはり従来の経過と今後の見通しというものについてポイント的に御答弁をまず願いたいと思います。
  33. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、来年三月十九日から六週間にわたりましてジュネーブで第八回の会議が開催されることになるわけでございます。実は昨年の第六会期の終わりに非公式統合交渉草案というものが作成されまして、それをめぐりまして、より合意の基礎が多い改訂版をつくるべきだということで、ことし春、夏の二回に分かれまして会議を開いたわけでございますが、いろいろ問題がございまして、改訂版の作成に至らなかったという経緯が実はございます。  それで、この次の第八会期におきましてやはり第一番の作業は、そのせっかくでき上がっております草案を改訂する作業をいかにして行うかということになるかと思います。  実は海洋法会議は三つの委員会に先生御承知のように分かれて行われておるわけですが、やはり、第一委員会は深海海底の開発をあずかっておる委員会で、特に開発途上国とそれから開発を現実に行う先進国との間で相当大きな対立が見られておりまして、それが現在大きな焦点になっております。できるだけ開発途上国が先進国の立場を踏まえて歩み寄っていただいて、それで現実的な形でこの話し合いがまとまるということが期待されておるというのが実情でございます。漁業を含めまして、やはり海洋の公正な利用という見地から、一般的な海洋秩序というのが確立されるのは非常に日本にとっても大きな関心を有しておりますわけで、こういった面から、できるだけ早くこの会議がまとまるようにわれわれとしても努力してまいりたい、そういうふうに考えております。特に、先生御指摘になりましたように、二百海里とか、そういった面につきましては、やはりもう大多数の国が現実にそれを実施しているという状況でございますので、ほかの問題に関係しましてこの会議のまとまるのがおくれるというのは余り好ましい状態じゃない。したがって、日本政府としましても、できるだけ早く妥結する方向努力してまいりたい、さように考えております。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま御答弁がありましたように、いわゆる第三次国連海洋法会議の経過を見てまいりますと、これは三つの委員会でいろいろ協議を行う。第一委員会関係は、いま御答弁でもありましたように深海海底開発、第二委員会関係では、漁業に一番関係の深い領海、国際海峡、経済水域等の問題、それから第三委員会関係では海洋汚染、科学調査、技術移転といったような問題、こういうことで、いろいろ議論しながら、大勢の集約として、第三会期に非公式な草案にしております単一草案というものが作成される。それから第四会期にはさらに改訂単一草案が作成される。そして、いまお話しのように、五期、六期、ことしの七期にかけて、いわゆる非公式統合交渉草案というものの提示、それの改訂をめぐって来年に持ち越したという経過になっておるわけでありますが、そういったやはり第三次国連海洋法会議の基本的な問題の取り組みと同時に、そういう二百海里時代の中で漁業サイドのこの二国間交渉あるいは国際的な会議というものを見てくると、従来のペースと違って非常にメジロ押しの国際会議がずいぶん行われていくわけであります。  二国間を見れば、いま、日ソ、日米の漁業交渉がございますし、日仏の漁業交渉もパリで十一月、あるいは日本とパプア・ニューギニアとの漁業交渉、これも十一月、それから日本とニュージーランドの科学者会議といったのも、これもやはり十一月、日中の漁業交渉は来月から、期限切れの問題あるいは内容の修正問題をめぐって協議が始まる。日豪の漁業交渉も十二月、こういった二国間の交渉が年末にかけて行われていくわけでありますし、さらに国際会議を見ますと、大西洋まぐろ類保存国際委員会第一回の特別会議が十一月、南東大西洋漁業国際委員会の年次会議が十二月、国際捕鯨委員会の特別会議が、これは東京でありますけれども十二月、南極生物資源保存条約採択会議というのが来年の一月、北西大西洋漁業国際委員会特別会議が来年の三月、中東大西洋漁業国際委員会というのが来年の三月、そして来年の三月から第三次国連海洋法会議の第八会期が始まる。十一月、十二月、来年にかけてのものを見ても、メジロ押しになっておるわけであります。  そこで、こういう新たな海洋法体制の中で、漁業サイドでいえば、強力な漁業外交の展開を通じて、従来の既存実績というものをできるだけ確保していく。同時に、新しい事態に対応する漁業取り決め等もやっていかなければならぬ、あるいはまた新しい漁場の開発というものも国際漁業面でもやはりやっていかなければならぬ。同時に、沿岸、近海面についてのさらに積極的な開発、増殖というものをやっていかなければならぬという事態に置かれていることは、いまさら申し上げるまでもございません。  そこで、水産庁長官並びに政務次官もおいででございますからお伺いしたいわけでありますが、こういった海洋法体制下、二百海里時代下の漁業外交というものについては、政府みずからが基本的にはやらなければならぬ問題である。しかし、同時に水産業界のバックアップも得なければならぬ。問題によっては、われわれ野党といえども、議員外交を通じて、できるだけ国益が守られるような努力もしなければならぬ。御案内のとおり、日朝の漁業協定の期限切れの問題については、わが党の飛鳥田委員長が訪朝いたしまして、重要な役割りを果たしたことは御案内のとおりでありますし、また、ことしの九月、われわれが衆参両院の超党派議員団の構成をいたしましてソ連を訪問したときには、コスイギン首相とも会い、直接漁業問題ではイシコフ漁業相と数時間かけてこれからの日ソ漁業問題について漁業交渉の今後にプラスになれかしという話し合いもしてまいったわけでありますが、ここで私ども感じますことは、来年に向けての問題になりますけれども、こういったやはり政府みずからの漁業外交展開の体制というものが欠けるところがあってはならない。しかし、率直に言って、メジロ押しの会議の中で、なかなか、それをこなすのがもうやっとであるということであってはならぬわけでありまして、来年度予算に向けての問題もありまするけれども、そういった問題から、これは漁業外交の点は単に水産庁だけではなしに外務省とのタイアップの中で行われておりますし、またこれからも行われなければならないのでありますが、そういった漁業外交の展開というものの体制についてどういうふうに受けとめられているか、またこれからどういうふうに考えていかれるのかという点をお伺いしておきたいと思います。
  35. 今井勇

    ○今井説明員 具体的な問題については補足答弁をいたさせますが、基本的な考え方としては、農林省も農林水産省というふうに名実ともに水産外交、水産問題を正面に据えて機構の改革をしようということで、たとえば省名の変更のみならず、水産庁の内部の機構強化、あるいはまたいまおっしゃいますとおりの外国における交渉の強化のために審議官を創設するというふうなこともいたしております。また民間外交は大変大事な問題でございますので、それぞれの立場の方々にお願いをいたしまして、ソ連にも行っていただきます。あるいはアメリカに行っていただく、カナダにも行っていただくようなことでしております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 しかしながら、これで十分であるとは必ずしも存じておりませんので、今後ともひとつお説のとおり、各委員の方々のそれぞれの御協力を得、また政府みずからも組織の強化をやってまいりたいと考えております。
  36. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、きのう本委員会が終わった後、中川農林水産大臣に対して日本社会党として、昭和五十四年度農林水産関係予算編成に関する申し入れを行ったところでありますが、農林水産全体の問題についての重点事項については、党の考え方はそういう申し入れの中に織り込まれておるわけでありますけれども、きょうはその中で水産サイドの問題について水産庁長官にお伺いをしてまいりたいと考えております。  いま冒頭に触れましたように、水産も、特に一九七七年以来いわゆる二戸海里時代に入っておるわけでありまして、そういう新しい事態の中で国際的な漁業サイドでは漁獲量についても制約条件が厳しく出てまいる、それを国内の沿岸、沖合いの積極的な開発あるいは増養殖によってカバーしながら、国民食糧の安定的な供給確保の水産サイドの重責を果たしていかなければいかぬ、これがやはり予算を考えるに当たっての一つのポイントだと思います。同時に、内外の厳しい諸情勢に対応して、いろいろ生産から流通から消費から価格問題を含めた諸施策を積極的に時代に対応して展開をしていくというのが二番目の問題であろうと思うわけでありますけれども、この機会に、来年度の水産サイドの予算要求について基本的な考え方と、特に来年度、従来のペースの重点的なものに加えて、新しい時代に即応して新規にこういうものをやりたいというものを含めた答弁を水産庁長官からまずお願いしたいと思います。
  37. 森整治

    ○森説明員 御指摘のように新しい二百海里時代に対応いたしまして、私どもまず来年の予算といたしまして重点を置いて考えてまいりたいと思っておりますのは、わが国の周辺の水域におきます水産資源の開発なり増養殖を推進していくということでございまして、沿岸の漁場整備開発事業はもちろんのことでございますが、栽培漁業を振興をしてまいる。それからサケ・マスのふ化放流、これを大きく取り上げて、さらに計画の見直しをしてもっと拡大強化をしていく。それから栽培漁業あるいは養殖等に伴いまして最近いろいろ魚病問題がばかにならない非常にむずかしい問題になってまいりました。これをひとつ真剣に受けとめまして、積極的な姿勢で対応策を考えていこうというようなことがこの部類に属するのではないか。  それから次には、先ほど先生も御指摘になりました遠洋漁場を確保、開発していくという問題でございまして、新しい資源なり新漁場の開発調査をしていくということ、それから漁業外交を強力に展開していく、あるいはそれとあわせまして、それを推進するわき役としまして漁業協力事業の拡充強化を図っていくというようなことを考えておるわけでございます。  三番目に、水産物の価格なり流通なり加工利用対策の拡充という問題でございまして、御承知のように、北洋の資源が非常に制限されてきた中で今度は多獲性魚が非常にとれておるわけでございます。こういう問題を高度利用を図る、あるいは加工技術を進める、新しい形での消費拡大を図るということ、それと、調整保管事業を拡充強化いたしまして水産物の価格安定を図るということが重要かと思います。  それから四番目に、沿岸漁業対策を強化するということで沿岸の構造改善事業を新しく発足させたいと考えておりますのと、いろいろ技術改善、後継者対策を含めまして無利子資金の貸し付けの制度を新たにつくりたいということで、これは法律の措置をお願いいたさなければならないと思いますが、そういうことを考えております。  あわせて漁港整備あるいは水産金融の拡充あるいは赤潮の問題などいろいろございますが、一応概括のお答えをさせていただきますと、以上のようなものになるのではないかというふうに思います。
  38. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま森水産庁長官から時間の関係もあって簡潔に御答弁願ったわけでありまして、予算書等についても私ども承知しておるわけでありますが、特に来年度の問題では、沿岸漁業改善資金制度の創設については法的な国会の処理もしなければならぬという問題がございます。さらに、日ソの漁業交渉から見ましても、サケ・マスふ化放流の推進、予算的には大体二倍ということで予算要求をしておるようであります。いまお話しの魚病対策、これは従来の予算からすれば十倍近くに予算要求をしているのではないかというふうに思うのです。水産物の価格安定の問題では、いま調整保管事業の拡充強化ということで魚価安定基金の造成ということを基本にやっておるのですけれども、これはなるべく早い機会に水産物の価格安定制度というものをきちっとしていく、場合によっては事業団構想というものも含めてすべり出しを図るという積極的な姿勢が今後必要だろうというふうに考えております。  さらに国際的な問題、国内の沿岸漁場の開発整備の問題等々については、これは当然やっていかなければならぬ問題だと考えますが、同時に、わが党の農林水産予算に対する要求の中で取り上げておりますけれども、二戸海里時代を迎えておりますと、ここ数年来そうでありますが、やむを得ず漁業構造の転換から減船縮小などによって職場を失うような漁業労働者あるいは関連の労働者が不可避的に出てまいることがあるわけでありまして、これらに対してもやはり万全の体制をとっていく、そういった問題も含めて、ぜひ来年度予算に向けては積極的な拡充を図るように努力をしてもらいたいと思います。  そういった中で特に漁港の問題を取り上げて若干聞きたいと思いますのは、実は十月十八日に第三十回全国漁港大会が熱海でございました。各党代表が出たわけでありますが、社会党の代表として私が出席しました。第一号議案の第六次漁港整備計画の早期完成と五十四年度予算大幅増額の件、第二号議案の漁業集落環境整備事業促進の件、これはことしから発足した問題であります。それから、第三号議案の海岸事業の早急完成と五十四年度予算増額の件、第四号議案の海岸保全施設修繕事業に対する国庫補助制度新設の件、特に補助率の変更引き上げとか、あるいは補助制度を新設するというのはこれからの予算折衝では困難な問題もございますが、一号議案から四号議案いずれも言われている趣旨については基本的には私どもも賛成でありまして、ぜひそれを推進しなければならぬと考えておるわけでありますが、この点について長官の方から御答弁を簡潔にお願いしておきたいと思います。
  39. 森整治

    ○森説明員 先般の漁港大会の決議につきましては、私どももその趣旨につきまして全く同感でございますが、ただ若干数字的に申し上げますと、五十四年度の要求額が六次計画分といたしましては全体で一二一%ということになっておるわけでございまして、それ以上にもっと進度を高めて、来年度の予算額ももっとふやして、伸び率もふやしてやれという御激励の趣旨でございまして、私どもも今後の予算の推移にまりまして、公共事業を中心にいたしますこの予算の獲得につきましてはあらゆる努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、漁業集落環境整備事業につきましては、今年度から事業の実施に入っておるわけでございます。特に、漁村におきます社会資本の投資ということがきわめておくれておる、したがって大いにこれを回復しなければいけない、こういう事業をもっと伸ばしていきたいという考え方で私どもは進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、海岸事業の早期完成等でございますが、これにつきましてもいろいろ補助率を改めるというようなことも織り込まれておりますし、それから海岸保全施設の修繕事業を新たに事業対象として新設をするということも決議されております。これにつきましても予算の要求をいたしております。これをさらに実現するように私どもとしては努力してまいりたいというふうに考えております。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますが、いずれにしても新しい二百海里時代に対応して、漁港の整備あるいはそれに関連する先ほど申しましたような内容の問題についてはきわめて時宜に適した予算要求としてこれが実現を図らなければならぬというように考えておりますので、ぜひそういう方向努力をしてもらいたいと思います。  次に、カツオ・マグロ業界の問題についてお伺いをしたいと思いますが、御案内のとおり、カツオ・マグロ業界はわが国の水産業界の中では中核的な業界として今日までも活動してまいりましたし、また国民食糧の関係からいきましても、やはり貴重な水産資源としてこれを発展させていかなければならぬ業界だというふうに思うわけですが、残念ながら数年来いろいろ深刻な事態がございまして、調整保管をしなければならぬとか、あるいは韓国からの輸入問題について外国人漁業の規制に関する法律等の議論の際にもいろいろ真剣な議論をやった経緯がございますし、またその影響が今日もプラスして加わっておるということの中に加えて、円高の影響でアメリカ等に出していくかん詰め類がなかなかはけないといったような問題もありますし、また国内的には、今日のような構造不況の中でかつおぶしその他いろいろなものの需要が頭打ち状態というふうなことで、四苦八苦の状態になっております。三重県もカツオ・マグロは本場でございますので、そういった状況を身をもって体験をしておるわけですが、特にそういう事態の中で、最近三十日間の休業を余儀なくされる。事実、生産調整もやらなければならぬといったような事態に来ておるわけでありますが、農林水産省としてカツオ・マグロ業界をどういうふうにこれから指導、援助をやっていくかということについての御答弁を願っておきたいと思います。
  41. 森整治

    ○森説明員 御指摘のように、カツオ・マグロの漁業は、四十八年にオイルショックの危機がございまして、それから立ち直りかけましたが、今回、景気の動向の影響ということを主因といたします消費の停滞、いま御指摘のような問題等から、経営が全般的に非常に苦しい事態に当面をしてきたということでございます。特にカツオの漁業につきましては、最近の円満なりカツオの太平洋岸の豊漁等によりまして輸出が停滞するということで価格が低迷をいたしております。そのために生産調整は私どももやむを得ないということに踏み切ってそれに対する応援の体制をとっておるわけでございますが、マグロの漁業につきましては、最近は魚価が一時低迷をしておりましたけれども、最近になりまして魚価の回復の兆しが見られております。この推移をもうしばらく注目してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  そこで、このカツオ・マグロ漁業につきましては、まず私ども打った手は、最初にとりあえず、燃油資金の償還期に入っておりまして、これにつきまして償還の非常に苦しい事態に経営がなっておりましたので、先般この償還期限を二年間延長いたしまして、据え置き期間も一年をさらに三年に延ばすということにいたしたわけでございます。  それから、価格が低迷をしておるということは、結局需給バランスがとれていないということでございますから、需要と供給の関係をどういうふうに考えていくか。そこで、供給の問題といたしまして、供給をある程度調整するということで、休漁、生産調整、生産調整の組合の認可を十一月の十日に行っておりますが、これに対しまして融資措置を講じる、これを支援するための融資措置を講じるということで三十四億円の融資枠を設定いたしました。  それからもう一つは、やはり需要の問題があるわけでございまして、これをさらに促進をするという観点から、一つは、世界食糧計画に基づきます海外援助にカツオのかん詰めを充てるということ。それからさらに、新しい措置といたしまして、開発途上国に対します商品援助を十二億五千万円、カツオ・マグロかん詰めでございますが、五十三年度外務省の予算を使いましてこれを商品援助として使う。それから、消費拡大対策につきましていろいろ措置を講ずるというようなことをやっておるわけでございます。  なお、この背景といたしまして、先ほど御指摘のございました調整保管事業も実施しておりまして、休漁の推移いかんによりましてはさらにまたそれを強化するということで、資金手当ても準備をしておるというのが現状でございます。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま森長官の方からカツオ・マグロの深刻な事態に対する当面の対応策についてお話がございました。かねてから本委員会でも議論になっております入漁料の助成問題というのは、これはやはり対大蔵折衝の中では議論を呼ぶ問題でありますけれども、そしてこれはカツオ・マグロに限らず国際漁業の面の他の業界にも関連する問題でありますが、特に非常に深刻な事態にある場合には、入漁料ずばりであるかどうかの手法はいろいろ考えなければなりませんけれども、基本的には入漁料の助成を積極的に考えたらどうかというふうに、これは将来ともに永久不変にということじゃなしに、当面の、やはり油の非常な高騰による国際漁業面に出ていくときのコスト高、それに加えて新たに入漁料を払わなければならないという問題等々も含めて考えてまいりますと、それ自身としてもやはり農林省としては真剣な検討と取り組みが必要じゃないかと思います。さらに消費拡大、特にカツオ・マグロの場合には海外援助あるいは学校給食等も含めた国内の需要の喚起といったようなこともありましょうし、また、こういう深刻な事態の中では融資面についても、いままでにやられておる融資の手法はございますけれども、状況いかんによっては新規のやはり長期低利融資というふうなものにも取り組んでいく必要が出てまいるのじゃないか。同時に、韓国からの輸入問題に対する政令発動をやることも含めて、いろいろ考えるべきことが多いのでありまして、そういう対応を積極的にやりながら、わが国の水産業界における中堅企業でありますカツオ・マグロの事態の回復とこれからの発展というものにぜひ力を注いでもらいたいというふうに要請しておきたいと思います。この点について今井政務次官の方からお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 今井勇

    ○今井説明員 いまの問題につきましてはお説のとおりでございまして、先ほど長官も御答弁申し上げたとおり一政府としても前向きで十分に配慮をしてまいりたいと思っております。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、最後になりますが、真珠産業の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  私、三重でありますが、真珠は三重がしにせということになるわけであります。しかし、かつての三重県が養殖真珠の生産量の大部分を占めておったという時代は、四十二年以降の不況の段階の中でだんだん変化をしてまいりました。また同時に、他府県でも適当な漁場でそういうものを積極的に取り上げるというふうなこと等もあって、生産比率では変化をしてきておりますけれども、今日、四十年代の長期不況の呻吟の中から、非常な業界の努力等もあり、また同時に、四十四年の時点で真珠養殖等調整暫定措置法というものが法的に整いまして、深刻な不況の中で調整保管も政府の助成を得ながらやられていく。これが調整保管の在庫についても市況の回復に見合ってだんだん処理されてくるという事態で、今日、若干の明るい日差しはございますけれども、しかし考えてみますと、海の状態を見ますと、公害問題というのがやはり依然としてふえておりまして、貝の斃死等もふえておるわけであります。同時にまた、価格についてもきわめて不安定状況にある。また、資金その他の面でも、不況から今日に来ておりますから、やはり相当なサポートを必要とするといったような事態の中で、全体から見れば若干明るい日差しが見えておると受けとめておったわけでありますが、十月末と十一月の初めに、私の伊勢の方で真珠の卸売をやっておる四社が連鎖倒産をいたしました。約六十億近い負債があるというふうに言われているわけであります。三重の方は、全真連の入札会というのはそこでやることが多いわけでありますけれども、大体三百億ぐらい三重県の場合に販売がされているのじゃないか。共販体制というのは全真連あるいは傘下の組合の関係では基本的にやらなければならぬ問題であり、また農林省としてもそれを指導として推進をしてきておるわけでありますが、いま言った卸売業四社の連鎖倒産というものは、初市をやることしの出だしに大きな衝撃を与えておるという事態がございます。  そういう状況の中で、今後の輸出産業としての真珠を安定的に発展させるために、業界として、来年度予算に向けて、真珠信用基金協会の設立、それに対する政府の助成ということが御案内のとおり要請されておるわけであります。私どもも、真珠産業が、世界においていわゆる宝石として他の世界の宝石と並んで、アメリカといわずヨーロッパといわず東南アジアといわず非常に珍重されておるといった事態の中で、輸出産業として困難を克服しながらさらに伸ばしていかなければならぬという立場から見て、来年度予算要求に対するこの問題は当然実現しなければならぬという受けとめ方をしておるわけでありますが、真珠産業の現状、特に来年度予算の要求の問題を含めて御答弁を願っておきたいと思います。
  45. 森整治

    ○森説明員 真珠産業の最近の見方につきましては、私どもも大体そういうふうに見ておったわけでございまして、ともかく、かつての一時の極端な不況に見舞われました真珠業界が、いろいろ暫定措置法の制定等に基づきまして、出荷の調整なり粗悪真珠の廃棄なり調整保管事業を実施いたしまして、不況を脱出して、一応成果が上がってまいったということでございます。  しかし、いま御指摘のような問題もございまして、浜揚げの単価の軟化が見られる、また業界の一部には円高の推移を心配するということから、真珠業界の先行きは必ずしも順調に推移するとは言い切れない要素もあらわれておることも事実でございます。  ただ私ども、今回の真珠の卸業者の倒産、それに関連いたします連鎖倒産という事態につきましては、個別経営の問題として考えるべき問題であったと見るべきではないのかという見方をいたしておりました。また、価格の低下につきましても、業界筋の見方としまして、五十年、五十一年の価格上昇の反動なり品質が低下した、あるいは生産量がふえたということなどが原因として考えられるということで、必ずしも円高の影響が直ちにあらわれているというふうにも見ておらないようでございます。  いずれにいたしましても、今後、真珠業の安定のための方策といたしましては、価格の安定が需要を呼ぶという商品でございますので、これに対します計画生産体制を強化する、あるいは共同販売事業の充実を図るというようなことが必要でございまして、価格安定のための在庫の調整機能を強化する必要があると考えております。  そこで、いろいろ先生が御指摘になりました問題につきましては、私どもぜひ実現をしたいということを考えておるわけでございまして、中小零細企業がならし売りをしながら、価格下落のおそれある際に調整保管を行う、またそういう能力を生産者団体に持たせるための措置につきまして、そういう場合の資金の融通を円滑化するための方策につきまして目下検討をいたしておるわけでございます。  さらに、いろいろ予算要求をいたしておりましたけれども、御承知のように、かつての調整保管を国に返還をするという話と、改めて国から支出を求めるという両方の措置につきまして、さらに今回の予算の折衝を通じまして、どちらが得策か、またどちらでも方策は問わないわけでございまして、そういう要するに対応策が必ず実現できるように鋭意努力をいたしたいというふうに思っております。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま真珠の問題についても長官の前向きな答弁を取けとめまして、特に調整保管の過程で国から出ておりました一億一千三百万、それから県のものも含めて二億二千六百万、それに業界等も含めて十億の基金でひとつ発足しよう。これは共販の問題、いろいろな問題を含めて非常に重要な役割りを果たしてくるというふうに思うわけです。長官からも、ぜひ明年度は実現したいということで力強い御答弁がございましたが、そういう方向でひとつやってもらいたいというふうに思います。  時間が参りましたので、以上で水産関係の海洋法の問題、あるいは来年度予算の要求にかかわる問題、その中で特に漁港を取り上げましたのは、全国大会という関連もありまして取り上げましたが、漁港に限らず、こういう事態の中で沿岸漁業改善資金制度の創設等も含めて漁業対策とかサケ・マスふ化放流の積極的な強化とか、あるいは沿岸構造改善事業の新たな発足とか、そういうことで考えておられるわけでありますが、さらに、党が考えております予算要求の問題もその中に織り込みながら、水産業の今後の困難な事態における発展ができますように、一層の努力を強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  47. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 竹内猛君。
  48. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、きのうに引き続いて質問をいたしますが、きょうは、茨城県あるいはまた福島県に起きている古麦の麦転がしの問題を初めとして、高浜入干拓、県西用水、それに国営石岡台地の土地改良あるいは猿島西部の水質障害並びに茨城大学農学部の問題をめぐって質問をいたしたいと思います。  まず最初に、どういう時代でも、どの国でも、農業を発展させるためには、あるいは食糧を確保するためには、何よりも優良な農地と水と労働力が不可欠の条件であります。その農地と水と労働力を調和させて調整して生産を高めることは、これは農業の基盤整備の基本の課題であるわけでありますが、このところ土地改良は予定どおりに進行しているかどうか。最近、公共投資が叫ばれておりまして、多く公共投資が使われているわけでありますが、必ずしもそれが適切に行われているかどうかという形で、全国の土地改良の実情は計画どおりに進んでいるかどうかということについてまずお尋ねをいたします。
  49. 今井勇

    ○今井説明員 基本的な問題でございますからお答えをいたしておきたいと思いますが、土地改良事業、これは四十八年から十カ年の例の長期計画に基づいてやっておるわけです。そこで、御指摘のように四十九年、五十年、例の公共事業抑制のかけ声のありましたときに少し工事の進捗度が鈍ってまいりまして、そこで、その後これではいけないということで、その進捗率を取り戻そうということでございました。たとえば、五十二年までの前期では進捗率が五年間で三五・三でありました。そこで、五十三年度は一般の公共事業の伸び率を上回ります率を確保いたしまして、その結果、五十三年度までで四七・四%、一年で約一二%の伸びを示したわけでありまして、今後もひとつ鋭意努力をいたしまして、完全にこの長期計画が達成できるように努力をいたしたいと考えております。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、伸びているということは大体わかったわけですから、後退をしていないわけだから、それはまあそれでいいわけですが、茨城県においては九月の県議会で、私どもは前から余り意味がないということで反対をしてきた高浜入干拓の問題が中止になることが正式に決まりました。これは秋田県の八郎潟に次ぐ大規模な干拓でございます。三十二年ころから手をつけられて、三十五年から計画し、それ以降約二十年間の歴史を持っておりますが、これに費やした費用、これは漁業者に対する補償あるいはまた事務人件費等々はどれくらいかかっているのか、そして、中止になった場合に、この漁業者に支払ったお金はくれるのか取り上げるのか、あるいは金をもらわなかった漁民に対する措置はどうするのか、この点はどういうふうになりますか。
  51. 大場敏彦

    ○大場説明員 いまお話がありましたように、高浜入干拓は、地元で調査委員会を設置されていろいろ研究なさっていたわけでありますが、ことしの九月に、茨城県知事から私どもの方に意思表示がございまして、要するに、高浜入干拓につきましては、本事業を中止して、干拓予定水域を水資源として活用する方法で進みたい、こういうようなお話があったわけであります。  そこで、私ども、そういったお話に沿って種々検討を進めておりますが、いまお尋ねになりました漁業補償金につきましては、いままで払いました金額は合計十一億七千二百万円ということでございます。それから、事務人件費等につきましては、いまちょっと調べておりますので御猶予願いたいと思います。引き続きお答えいたします。  そこで、その補償金の取り扱いをどうするか、こういったことでございますが、これにつきましては、結局は地元の御要望ということも十分に参酌して、それから干拓予定地を今後どういうぐあいに利用するかということとも関連しての検討を詰めていきたいと思っております。  知事からのお話は、補償金は国に返還することは避けてもらいたい、こういう御要望がありますし、また同時に、干拓予定水域につきましては、水資源開発公団が実施中の霞ケ浦開発事業に取り込んでその総合的な活用を図りたい、こういう御要望がありますので、こういった具体的な御要望の中でどういうぐあいにこの問題を解決していくか、これは地元とよく相談して円滑に処理をいたしたいと思っております。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、漁業補償について補償をもらった者ともらわない漁民がいるのですよ。これは賛成と反対の中から出てきたものですから、賛成した者は漁業補償をもらった、しかし、裁判をやった者はもらっていない。そこに不公平が生じているわけだから、そういうものの処置もしなければならないですね。  それから、事務人件費というのは当然その間にかかっているからやむを得ないものとして、この点についてはいまここで聞く必要もないから、それはそれでいいですが、今後の利用についてこれをどうされるかということは、農林省としては考え方はないですか。建設省と相まって水資源補償というような形で振りかえてしまうかどうなのか、その辺はどうですか。
  53. 大場敏彦

    ○大場説明員 事務人件費につきましては約十四億弱ということでございます。  それから、現実に反対した方がたしか三十三人いらっしゃったわけでありますが、その方に対する補償の問題は、漁業権補償の問題とその他の許可漁業あるいは自由漁業等に対する補償と分けて考えなければなりませんが、漁業権の消滅に伴う補償につきましては、これは国としては一応全額を漁業組合にお支払いして、それで三十三名の方については漁業組合で保留しているということでございますから、この取り扱いは今後早急に解決しなければならない問題だと思っております。  それから、あと自由漁業、許可漁業に対する補償等につきましては、これは干拓事業をやれば別な話は当然出ているわけでありますが、干拓事業を中止するという方向でこの問題は解決すればこれは補償という問題は出てこない、こういったことになるのじゃないかというふうに私どもは思っております。  それから、今後この跡地をどう利用するかということでございますが、地元のおおよその御要望は、先ほど申し上げましたように、積極的にいろいろ周辺の農業の振興上の要請から考えて跡地を水源というかっこうで活用いたしたいと思いますので、これはいろいろいま考えておりまする地元からの御要望があります霞ケ浦用水、そういったこととの関連において、有効に私どもとしては地元の御要望を積極的に取り入れて解決いたしたいと思います。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、戦後の干拓というものが、八郎潟の干拓を初めとして高浜入あるいは有明海、羊角湾等々いろいろありますけれども、何のためにどういう目的でやったのかということについてはいずれ別の機会にこれは取り上げていきたいと思いますから、これはこれで終わります。  続いて、いま局長からお話があったように、茨城県の議会では、県知事が九月十九日に、この干拓は中止をするが、この問題を延長させて県西用水の水源地にしたい、こう発言をしております。そこで、県西用水というものは、その計画は果たして農林省としてもこれを取り上げて現実的なものにする見通しがあるかどうか、あるとするならば、その面積はどのくらいで、最終的にはいつごろ仕上がって、その費用はどのくらいになるかどうか、こういう点については……。
  55. 大場敏彦

    ○大場説明員 いまお尋ねの霞ケ浦用水、県西用水でございますが、これは受益地は茨城県西部の、先生御存じの六市十六町三村にわたるわけで、約二万一千六百ヘクタールということでございまして、中身は用水補給と畑灌ということであります。それから事業費は九百五十五億ということでございまして、われわれがいま予定しておりますのは、一部水資源開発公団、一部国営で実施いたしたい、かように思っております。  それから工期でございますが、私どもこれはまだ大蔵省と折衝中でございますので確定的なことはもちろん申し上げられませんが、大蔵省に折衝する態度といたしましては、来年度から着工して、まだ確定的に何年ということまでは決定しておりません、折衝段階でありますから。県の計画は昭和六十八年度に完了いたしたいとしておりますので、そういうことに沿って予算の獲得ということにつきましては今後全力を注いでいきたいというように思っております。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ことしは茨城県は百五十億から百九十億という日本一の災害県であったわけです。その災害は干ばつでありまして、水が不足したということで、特にこの地域、現在の予定されている地域が一番水の不足なところでありますから、ぜひこれは農林省としても、大蔵省と接触をして、採択をして実施をするように取り計らいを願いたいと思いますので、この場で要請をしておきたいと思います。  そこで、その場合に水源はどこになるのか、利根川なのか霞ケ浦になるのかという点は、建設省とも関係があるから、農林省の今日までの計画の中でどうなっているのかということと、もう一つは、農家の最終負担というものとその償還のでき得るような作目はいまどのように考えられているのか、このことだけはぜひ明らかにしていただきたい。
  57. 大場敏彦

    ○大場説明員 水源手当ての問題でございますが、農業用水、新規に水源が要るわけであります。この水源につきましては、現在水資源開発公団で施行中であります霞ケ浦の開発事業がありますが、それによって開発される水を霞ケ浦から取水したらどうだろうか、こういった形で計画を進めているわけであります。霞ケ浦開発事業の中であります茨城県の農業用水分、地区別にこれはいろいろ数量の内訳があるわけでありますが、その予定した数量の見直しをしてこれを浮かしたい、こういったラインで大体検討を進めている。いろいろこれは河川管理当局との折衝が要るわけでございますが、こういったことをいま私どもとしては進めて水源手当てのはっきりした見通しを立てたいということに努力しておるわけであります。  それから、この予定しております地域におきます受益地の作目でありますけれども、大体これは私ども上から押しつけることじゃもちろんございませんで、結局地元の御方針に従うということでございまして、また、地元の生産実績ということで合わせていくということが基本的でございますが、考えておりますのは、水田につきましては用水補給という形で農業用水の安定化を図るということでございますが、畑につきましては主に収益性の高い野菜、これも指定野菜を主にした野菜というものを計画的に生産する。具体的な畑作目としてはキュウリだとかあるいはトマト、スイカ、白菜、レタス、そういった指定野菜を中心にして考えていきたいと思っております。それからまた同時に、こういった野菜と輪作体制が組まれる落花生、麦、こういったこともあわせて組み合わせて作付体系の中に入れていきたい、こういったことが現在の計画の中身であります。  それから、当然農民が、これによって水田地域の用水施設あるいは畑灌施設が整備されまして、土地利用の高度化だとかあるいは生産の安定ということによってメリットが出てくるわけでありますが、また同時に負担の問題が出てくるわけでありまして、この関係はいろいろ私ども試算はしております。国営事業だとかあるいは県営事業、団体営事業、それに伴いまして地元負担というものが出てくるし、一方において用水補給だとかあるいは畑灌をやることによって生産が安定するという形での所得増というものを比較勘案して事業の設計を進めております。いろいろ試算はありますが、私ども考え方ではかなりいろいろ地元の負担というものをカバーして年所得というものは増加するということでございますので、これは地元にかなりメリットは均てんし得るものじゃないかというふうに考えております。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、国営事業の農家の一反歩に対する負担は幾らになっているか。
  59. 大場敏彦

    ○大場説明員 国営事業、それから公団営事業、こう分かれますし、それから水源手当てが要りますから、水源の開発の事業のための負担部分、こういったものが基幹施設に対する負担ということになりますし、それだけじゃなしに、また団体営とか県営の圃場整備、灌排事業、こういったものがありますから、そういうものを全体として考えますと、反当たりの地元負担額が十三万七、八千円、こういった数字になっているわけであります。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 続いて県西用水との関連で、県西の用水から外れているわけですが、やはり災害地域であります石岡台地国営土地改良事業については、これは大変おくれております。五十二年から特別会計になってから若干進んでいるようでありますけれども、地元の人たちは、一体国はあの事業をやってくれるのかくれないのかという疑問がいま出ている。そしてこの地域ではことしは深井戸を掘ったりいろいろな形をして自分で努力をしながらとの問題を取り上げてきましたが、石岡の国営土地改良事業は、その障害になっているものはどういう問題が障害になっていたのか、それをどう克服をしていつごろ完了するかということについての見通しと問題点を明らかにしていただきたい。
  61. 大場敏彦

    ○大場説明員 石岡台地、確かに御指摘のとおり事業の遅延が目立っておりまして、私ども非常に残念に思っております。四十七年から実質的に工事に着手いたしましたけれども、先ほど冒頭に政務次官から御答弁申し上げましたように、四十八、九年の労務費等の高騰とかその後に続きます総需要抑制ということで、ほかの地区と同様に工期が大幅におくれている。五十三年度現在で進捗率が二七・一%、こういった状況であります。  そこで、いまお話がありましたように、私ども五十二年度から、これは一般地区から特別会計地区に振りかえて裏の財投資金を活用してスピードアップする、こういった措置をとっているわけであります。その結果四十六年から五十一年までの事業進度は一三・四%でありましたが、五十二年に特別会計に振りかえました以降は、二年間でそれが二七・一%というところまで伸びておるわけでございます。過去六年で二二・四%、極端に低かったのが、二年で一四%に近いところまで進度が伸びている、こういった状況でございます。今後どの時点までにこれを完成させるかということは、私どもできるだけ精いっぱい予算を獲得してその進度アップに努力いたしたいと思っておりますけれども、普通国営灌排事業の場合には、特別会計に振りかえた後は、大体これは原則でありますけれども、八年ぐらいで完了いたしたいと思っておりますので、本地区の場合も大体そのような目安で進度のアップを図っていきたいと思っております。
  62. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この場合でも何をつくって償還を可能にするかという問題は県西事業と同じです。これは一番悩みでして、特に茨城県のように畜産が盛んであるし、平場が多いところでは、確かに都市近郊でありますから野菜に重点を置くことも必要だろうと思うし、そういう点では、計画を立てる場合に農業者の意見を十分に聞いてそれを入れてほしいし、きのうも質問したように、六十年の展望というものでこれを見直しをする中でもう一遍作目の点検をしていく必要がある、こういうことで農家の自主的な判断というものをできるだけ取り入れるように要望しておきたいと思います。  続いて問題は、これは県営でありますが、国が五五%、県が三〇%、地元町村が一五%、それで進めている、これも茨城県の猿島西部ですが、大山、釈水、長井戸という三つの土地改良区をまとめて、ここに猿島西部水質障害対策事業が始まっておりますが、現在この進捗率が一〇%台である。このまま進めていくといつになったら完了するかわからないという不安があります。特に本年は減反問題があって境町の長井戸沼の東部土地改良が通年施行でこれをしょい込んだために各農家はこれに対して共補償をするという形で切り抜けたわけですが、この長井戸沼の土地改良というのは毎年かなりの面積を進めていく。そのときにこの水質障害の問題が一〇%程度のような進捗率であればその水を使うことはできないということで、どうしてもこれは水質障害の方をもっと進めなければ困る、こういう関連した事情もありますから、この問題についても、同じように障害になっていることはほぼわからないことはないけれども、明らかにしてもらいながら、同時にいつごろまでにこれを進められるかという見通しを立ててもらいたいと思います。この点について。
  63. 大場敏彦

    ○大場説明員 ただいまお話しの猿島西部の水質障害事業でございますが、これは県営でやっているわけでございます。この事業は五十年度から工事に着手いたしまして、五十三年度末には五十三年度予算を加えますと進度率は二四%になる予定であります。しかし、御指摘のように進度がかなりおくれているということは事実であります。おくれている理由といたしましては、ほかの公共事業と同じように、総需要抑制というようなショックを受けたためにその後遺症から抜け切れないという点が共通の問題としてあることはこの地区も同様でありますけれども、そのほかに、これは先生よく御存じであるわけでありますが、ポンプを新設しなければならない、そういうことがあるわけで、利根川の堤防に穴を開けるというような関係で、河川管理者との協議を調整しなければならない、こういった問題があります。これが手間取っておりましたが、いま現在積極的に進めております。これも早く解決いたしたいと思っております。  それからもう一つは、これは農業内部の話なんですが、五十四年度から新たに長井戸沼地区で圃場整備事業をやりたい、こういう御希望があるわけでありますが、その圃場整備事業とこの猿島西部の水質障害事業でやろうとしている用水路の路線選定ということで調整を要する問題がありますので、これは地元でよく話し合って調整しなければならない問題でありますが、これも調整を急いでもらいたい。こういう形の問題がほかの地区にない問題としてあるわけであります。この問題はよく県とも相談してその障害要因を早く除去いたしたい。あとは私どもの責任で予算をできるだけ早くするということでございます。これは当然これから年末にかけていろいろ折衝努力をいたしたいと思っております。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この場合に、この長井戸沼なり釈水なりこの地域の土地改良の維持管理費というものは非常に高い。これはポンプの事情があると思いますが、米価の算定を見ると、米価に組み込まれている土地改良費の約二倍から三倍に高くなっているが、この問題についてはここでは答弁も要りませんしあれですけれども、いずれ土地改良の負担というもの、維持管理費というものが、今後かなり長くなった場合におけるところの維持管理費に対する問題をまとめて質疑をしながらいきたいと思いますから、これは問題があるということだけをひとつここで指摘をしておきます。  そこで、今度は世間で麦転がしと言われる問題でありますが、余り名誉な話ではありませんので、どうもまずい話なんですけれども、出た以上はこれは問題を明らかにしなければならない。  そこで十月の十八日に茨城県真壁郡協和町小栗農協に発生をし、飯島金という町会議員が麦を転がして大量に金をもうけた。本人は逮捕されておりますから、これはもう詐欺罪であることは間違いがないわけですから、それはそれとして当然なことだと思いますが、その後十一月の十六日には福島県の田村郡常葉町の農協の職員が同じような手口で詐欺行為をし、これも逮捕されている。ところでまた、その同じ日に茨城県の結城市農協の江川支所で名義を貸して麦転がしをしたということで捜査を受けております。  そういうことの一つ一つについて触れる必要は私はないと思いますが、一番の根源であるところの協和町の小栗農協をめぐってなぜこういう問題ができたかということを、かいつまんで問題点についてひとつ説明をしていただきたいと思う。食糧庁ではどのようにとらえられているのかということ。
  65. 澤邊守

    澤邊説明員 ただいま御指摘がございましたように、茨城県並びに福島県におきまして、政府が前年に買って売却いたしました大麦が、再び生産者の手を通じまして翌年に政府に売り込まれてくるといういわゆる還流問題に関連する不祥事件が発生をいたしまして、私ども食管制度の運営上も大変遺憾なことでもあり、また私どもとしても十分反省しなければいけないということで、現在調査を急いでおるところでございます。大変申しわけない事件だと思います。  それで、三件ございますが、最初に明らかになって事件になりました茨城県真壁郡協和町所在の飯島という雑穀業者が、約六千袋前年に政府から精麦業者が買ったものを土浦の精麦業者から買い受けまして、そのうちの約三千二百袋を同町の生産者三十八名の名義を借りまして五十三年産と偽って検査を受け、同町の農協を通じて政府に不正売り渡しをしたというのが内容でございます。  そこで、現在刑事事件として逮捕され起訴されておるわけでございますが、どうしてこのような事件が出てきたのかという、その原因でございますが、御承知のように、麦の政府買い入れ価格売り渡し価格の逆ざやが食管制度の運営面において現在とられておるわけでございます。その逆ざやを巧妙にといいますか悪用をしたきわめて遺憾な事件であるわけでございますが、私どもがこれまで現地に赴きまして調べましたところでは、大変計画的にやられておるようでございました。  精麦業者が買ったものを雑穀業者買い入れまして、その古麦を乾燥、つや出しとかいうような処理を加えていわゆる再調製をしておるということでございます。またその雑穀業者である飯島が生産者の名義を借りまして、生産者に、あらかじめ今年の麦の作付はこれだけしたという申告を食糧事務所に行うわけでございますが、その際から、実際にはつくっておらないあるいはほとんどやっておらないのをあたかもつくったかのごとき申告を行わせまして、検査の際にもわざわざその名義を貸した生産者に立ち会わせるというような、大変手の込んだ計画的な犯行を行ったわけでございます。また他方、精麦工場は、食糧事務所におきまして立ち入り調査を行っておるわけでございますが、玄麦の使用状況につきまして虚偽の報告をしておるということで、立ち入り調査の際にも明らかにすることができなかったというような実情でございました。  私どもといたしましては、これに対します事後措置といたしまして、とりあえず実情をさらに調査をいたしまして、今後の予防措置あるいはまたこのような事件を起こした者に対する違反者に対します賠償とかその他の行政措置をどのように講ずるかを現在検討をしておるところでございますが、とりあえずその食糧事務所なり精麦業者あるいは製粉業者も同様でございますので、それらの業界あるいは集荷業者等に注意を喚起をしております。今後の予防措置といたしまして現在種々検討しておるところでございます。  それで、問題になりますのは、私どももそういう還流事件というものが悪用すれば発生するような心配がありますので、かねてから防止措置を講じてきておるわけでございますが、必ずしも十分にそれが行われておらなかったという面がございますので、現在それを防止しチェックするためのシステムの点検をいたしまして、改善策について早急に結論を出して、来年の産麦から間に合うようにしたいというふうに考えておるわけです。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 全貌はそういうことですけれども、問題はそれは平面的に考えたのではまずいと思うのです。飯島は詐欺罪で、当然これは問題になるわけですけれども、偶然にこれができたものではなくて、古麦を買い受けた精麦業者がこうすればもうかると飯島をそそのかして、その古麦を持っている麦屋がこれを出さなければそれが還流するはずはない。製粉すればこれは戻るはずはないのですから。まずその麦を出した土浦の飯田商店、これはとりあえず大きな問題になるだろう。ところで、その申告を受けて当然生産者であることを確認しなければならない農協は、これを書類だけを見て、検査を、確認をしない。受検組合もあるわけですけれども、それは農協の手落ちかどうかわかりませんけれども、それをしない。そうすると、その中には確かに地域の人間関係の構造もあるでしょう。あるけれども、それが抜かっている。検査の段階でいけば、米と違ってこれはからがついているわけだから、米の場合にはからを取って玄米で検査をするから、古い物と新しい物が見分けのできないほど、それほどなまくらな検査員はいないと思う。ところが麦の場合には、これはわからないのですよ。ですから、検査がけしからぬということを盛んに言われるけれども、現物を見て、これは検査の段階では見抜くことができない。いまTTCという検査法を考えているようですけれども、これはそれがあったから初めて問題が出るわけであって、検査の段階ではどんなりっぱな検査員でもわからないと思う。そこをくぐり抜けた。そこで、今度は金が入ってくると口座を振りかえてしまう。その飯島の口座に振りかえていくということを平気でやっている。そういうことをすると、これは農協だっておかしいじゃないか、こうなる。このように、問題には初めと終わりがあるはずなんです。  その共謀に対して、協力をどうしたかどうかわかりませんが、この問題でどこのところを押さえたらいいのか。いまの麦の制度の、生産者からは一定の価格で買い上げて消費者に安くおろしていく、そうして生産者を保護するということは必要なことなんです。だから、そういう必要なことに対して、その裏をかいて大もうけをするような、そういう者について、それを幇助するようなことが意識的にあったとするならば大変ですが、仮にそれが悪意がなかったとしても、今後どことどこを注意したらいいのか。また飯島は、おれが逮捕されたのは運が悪かったのだ、選挙違反か交通事故のときにちょっとさわったぐらいのあれしか持っていない。罪の意識を一つも持っていない。そうしてまだあっちにもこっちにもそういうことをやっている者がいるのだということになれば、これはもっともっと各地を調査をし、そうしてこういうことが起こらないようにしていかなければ、これは大変なことになるだろう、こう思いますから、これに対してもう一度、今度は行政罰ですね、行政上の罰があるだろうと思う。麦屋は閉鎖するとか、麦を取り扱わせないとか、農協に対しても一定の勧告をして、再度そうした場合には農協に対しても厳重な処置をとるとか、何とかしなければこれはどうにもならぬでしょう。
  67. 澤邊守

    澤邊説明員 今回の事件の事後措置と今後の予防措置の二点のお尋ねでございます。  先ほども若干触れましたけれども、まず事件関係者に対します当面の措置といたしましては、不正転売を行いました精麦工場に対しましてはすでに現在政府の所有麦の売却を停止しております。今後さらに事実関係の究明を待ちまして、その実態に応じまして、売却割当の削減とかあるいは停止、売買契約の解除等の措置を講ずることを検討したいというふうに考えております。  それから関係農協等につきましては、この事件には役員なり職員が数名関与しておるわけでございますが、その農協につきまして現在のところまだ細部まで全部究明は私どもとしてもしておりませんけれども、今後の解明に応じまして、政府買い入れ事務代行者としての責任を考量しながら、代行契約の取り消しとか今後の契約の不締結というようなことも場合によってはあり得るのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、まだ事実を究明し尽くしておりませんので、それを急ぎながら検討したいと思っております。  なお、事実関係が明らかになるのを待ちまして、名義を貸しました生産者あるいは農業協同組合等に対しまして、政府がだまされて買ったもので現在政府が保有しておりますのを買い戻しをさせるとか、あるいはまたすでに買い戻しができないとかあるいは売ってしまったというようなものにつきましては、損害賠償の請求を国としてやるというようなことも考えなければいけないというふうに思っております。  そこで、以上が当面の事件関係者に対する措置でございますが、今後の予防対策としての改善策でございますが、まず、政府売り渡し麦の不正転売を、精麦業者が不正転売をしたわけでございますので、それを防止するため精麦工場、同様なことが製粉にも起こりかねないわけでございますので、製粉工場を含めまして、立ち入り調査を現在やっておりますのを、もっと厳正にやる、強化をしていくということの指導を徹底しなければいけないというふうに思いますが、売買契約におきましても転売の禁止はしておりますけれども、利益が出た場合、それを追及するというようなことまではっきり明記しておらないというような問題がありますので、それもはっきりさせるというようなことが必要かと思っております。  それから生産者の適正な麦の売り渡しを確保するためには、必要に応じまして圃場の現地確認、作付面積これだけだということをそのまま書類上だけで審査して、それとまた実際の政府売り込み数量とが整合しているかどうか。作付面積が非常に少なくてうんと売ってきたというときにはおかしいとわかるわけでございますが、今回は最初から計画的に詐欺、虚偽の申告をしてきたわけでございます。それで詐欺に引っかかったわけでございますので、そういう申告について、全部というわけにいきませんけれども、ある程度チェックするために圃場の確認をするということも必要なのではないか。それからまた、市町村とか県等がいろいろ麦の作付面積を別途調査していますので、それらも参考にして照合するとかいうようなこと。その際に、買い入れ事務の代行者である農協等に対しまして、生産者の確認義務を課しているわけでございますが、それについてももっと徹底して、必要によって現地の確認をしてもらうというようなこともやり、責任の明確化を一層はっきりさせたい。  それからまた、麦の検査は御指摘のように肉眼だけではよくわかりません。特に小粒大麦、食用大麦、今回の事件に関連します大麦につきましてはなかなか肉眼だけの鑑定ではわかりません。したがって、試薬を使いました理化学的な方法を活用するようにしていきたいということで具体的な検討をしておるところでございます。
  68. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が来ましたので、最後にもう一つありますから簡単に要望をしておきますが、この制度としてはいまの麦の制度は大事な制度ですから、残さなければならない。そういう還流麦で大もうけをするような悪いやつについては、刑事上の問題にその町会議員はなっていますけれども、福島県の場合は町会議員じゃなくて農協の職員がやっておるわけです。検査が違うのですからね。だから、やろうとすればどこでもこれはできないことはない、現在の検査制度がある限りは。しかし、茨城県の農協の検査員は、一万七千八百七十三ヘクタールで農家が一万四千九百二十二戸に対して三十一名。検査員一人の担当面積五十七ヘクタール、四百八十二戸というように、これは一人に対して相当な重い仕事なんです。そういう中でこの中を見抜くということも肉眼じゃむずかしいんじゃないですか。だから、検査の段階だけに期待をかけるんじゃなくて、やはりもっとそれぞれの段階の中で注意をしていく必要があるし、特にいまの悪いやつについては行政的に適切な処置もしてもらいたいし、農協にも一定の指示を与えて、再びそういうことがあったときには厳重な処罰をする、こういうような段階的な処置を要望したいということと、それからもう一つは、各地に同じようなことがあって自分だけやられた、まだまだあるんだというようなことで、いろいろあると思いますが、うみは出した方がいいんだから、徹底的にしなければならないから、調査は大いに進めてもらいたいと思います。  そこで最後に、茨城大学の農学部の問題についてお尋ねをします。  四、五十年も前から茨城大学は茨城県におけるりっぱな指導者をつくってきた歴史と伝統を持っておる大学です。これがいま大変古くて、あそこを通る人たちはこういうのが大学なのか、高校か中学よりもまだ建物は悪いじゃないかというように言われている。一方においては、筑波研究学園には高層で豪華な大学が、りっぱな寄宿舎までできて堂々たるものがある。農林省の建物を初めとして諸官庁の建物もまたりっぱなものができた。そういうときに茨城大学の農学部はあのままにして一体いいのかどうなのか。歴史がいろいろあったと思いますが、やはり差別があるのじゃないか。だから、これについては何とか建てかえをまずする。そしてその建てかえはどこでどういうようにされておるかということについて、大学の関係についてお尋ねをしたいと思います。
  69. 佐藤譲

    佐藤説明員 茨城大学の農学部の校舎等教育施設は、大部分が旧軍の施設を転用した建物でございまして、先生御指摘のとおり老朽化が進んでおります。茨城大学の農学部の整備につきましては、阿見地区の現キャンパスで現地整備をするか、あるいは水戸地区に移転をいたしまして新しいキャンパスで整備をするかということで、学内で種々議論が重ねられてきています。また、昭和四十八年には当大学の将来計画委員会というところが農学部の移転を含めた全学統合ということも打ち出しておりまして、まだ大学の成案を現在得るまでに至っておりません。最近に至りまして、農学部の建物の老朽化の問題もありまして、当大学の評議会で農学部の水戸地区周辺への単独移転の可能性を追求する、こういうことでの方針を決定した、こういうことを聞いております。  そういうことで、農学部の本建築の整備につきましては当分見合わせざるを得ないということから、毎年度教育研究に支障の起こらないような最小限の維持保全のための整備をいままで進めてきたわけでございます。  今後、文部省といたしましては、大学の検討を待ちまして、その方針の確定され次第、速やかに施設、設備の改築計画に対処する、そういうことで考えております。
  70. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう計画が進められておることについては結構だと思いますが、問題は阿見の農学部は十一万坪の土地を持っています。時価にしても七、八十万の価値を持っているものであります。水戸の方ではいま那珂町と水戸の間で地域振興整備公団が開発しているということを聞いておりますが、問題は、授業の内容については、四国や東北の方ではすでに現地の農業の実態なり地域の特徴に応じた学理と実験の統合された教育をしている。これが法学部やほかと違う農学部の特徴だと思いますが、やはり茨城県も、北海道を除いては日本一の農業県であり、霞ケ浦を中心として五本の指に入るぐらいの各農産物が出ているわけですから、授業内容等を含めて何か考えがあるかどうかお聞きしたいし、もう一つは、筑波大学の農学系に結びつけるということはないですね。  それから水戸の方へ行くようになっていますが、水戸へ行く場合にもあるいは阿見でやる場合にも、その時期はいつごろまでに答えが出るのか、その辺について最後の答えを聞きたいと思います。
  71. 福田昭昌

    ○福田説明員 農学部の教育研究の問題でございますが、最近、農業構造なり社会生活の変化ということに伴いまして農学部の果たすべき役割りは拡大をしてきており、またその使命は多様になってきておるというふうに存じておるわけでございますが、一般的に見まして、そういう現状に対して現在の農学部が余りにも画一的になっているのではなかろうかというようなことで、地域社会の要請とかあるいは学生の資質、志望等の実態にも必ずしも十分即していないのではないかという指摘もあるわけでございます。  こういうような現状に対しまして、農学部が今後時代の要請にこたえていくというためには、広い視野と新しい発想で改善をしていくということは御指摘のとおりであろうと思います。たとえば実学を重視した地域農業と密接な関連を持った学部だとか、あるいはまた別の観点から、生物に関する基礎的な応用科学に重点を置く学部だとか、それぞれ各大学が特色を持った発展をしていくということが大事であるというふうに考えておるわけでございます。  茨城大学は、御承知のように県立から移管をしておるわけでございまして、そういう意味で、もともとその教育研究は地域性がわりに強いというふうに聞いておるわけでございますけれども、いま申し上げましたような趣旨に即しまして、茨城大学の農学部におきましても現在農学部の改革について検討がなされているというふうに聞いております。  なお、筑波大学との関係でございますが、筑波大学は筑波大学としての学部としていま発展をしておるわけでございますし、茨城大学は、先ほど申し上げましたように、その農学部のあり方というものをさらに今後どう発展させるかというようなことで現在学内で検討しているというふうに聞いておるわけでございます。  それからいつまでかという御質問でございますが、校舎の老朽化という問題については私どもは十分承知をいたしておりますし、何よりも大学当事者が一番よく実感として感じておることであろうと存じます。先ほど計画課長から申し上げましたように、いろいろな経緯がいままでございましておくれてきておったわけでございますが、今夏に農学部の単独移転についての可能性について検討していくということをまず大学でお決めになったようでございまして、現在それについて取り組んでおるというところでございますので、私どもとしましては、その大学の方針を待って対処したいというふうに考えております。
  72. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が来たからこれ以上質問しませんが、大体大筋の問題はわかりました。  そこで、あとは、今度予算委員会の分科会などがあったときにはもう少しこれを詰めていきますから、そのときにも答えられるようにひとつ準備をお願いしたいし、特に東京大学と地方の大学の一人当たりの国のかけておる費用についてもまだ差があるようで、これはいろいろ歴史があることですからやむを得ないにしても、だんだんそれを縮めていくような方向努力してほしいということを要請しながら、これで終わります。
  73. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時四十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議
  74. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田健治君。
  75. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 きょうは転作に関連して二、三お尋ねしたいと思うのですが、米の需給均衡化論で生産調整を今後三年間百七十万トン、ところが豊作、不作で多少の変動はあるにしても米が余ってくる、在庫はふえてくるという見通し。こういう中で、農民の方も農政そのものの場当たり主義のやり方で非常に不安を持っておることは間違いないので、その中で何をつくったらいいのか。農民の方もたんぼを荒らすわけにいかない。それから農林省の方は、正直に言って本当のところは、前回のようにペンペン草を生やした方が、休耕させた方が本当はよかったのじゃないかという腹の内があるのじゃないだろうか。奨励金をつけて、あれもつくれ、これもつくれと言って奨励品目を設定してつくらせたのはいいが、さて消費という面から見ると買ってくれるところがない。消費市場そのものが非常に不安だ、こういうこと。つくってみたものの売れるところがないじゃないか、買ってくれるところがないじゃないか、こういう不安がつきまとっておる。そういう中で、農民も生活の知恵というか、いろいろな知恵を出して、何をつくったらいいのか、自分のつくっておる面積の中で地質やその他を考えて、大豆なら大豆、麦でもビール麦だとか裸麦だ、小麦だ、大麦だ、麦類もいろいろ工夫してやる。ところが、実際問題として、大豆なら大豆をつくってみてもどうもいま売れる見通しがない。しばらく待っておれ、それぞれの機関、集荷をする農協なら農協の皆さんがそういう発言をする。農民にとっては何をつくったらいいのかということでわれわれに問いが出てくるわけです。これからどういうものをつくったらいいんでしょうか、こう言う。それにわれわれは答えていかなければならない。われわれも正直言って困る。政府は大豆をつくれと言うから大豆をうんとつくったらいいじゃないかということで言うてみたところで、つくるのはつくりましょう、本当に買ってくれるのかというように重ねて問われたときにどう答えたらいいのかということなんですね。  そういうことから、農林省はいろいろな食糧需給の見通しを立てておる。この需給の見通しの中で責任を持たなきゃならぬ。そういう計画を出した限りは責任を持ってもらわなきゃならぬとわれわれは思うのですが、いま責任を持っておられるのかどうか、非常にわれわれは疑問を持っておるのですが、その点ひとつお答えを願いたいのです。
  76. 今井勇

    ○今井説明員 ただいまの御質問については的確にお答えをしたいと存じますが、今回の水田の再編成の問題に当たりまして、特にいままでと違った考え方で休耕という線をとらなかったのは、前回の実は休耕で生産調整をする傍ら、やっぱり生産農民の心にまでペンペン草を生えさせるような結果に相なってはいけない。特に、わが国の非常に少ない耕地をやはりより有効に使っていかなければならないというふうなことの反省がありまして、今回は転作をひとつしてもらおう。特にその場合に、多量に外国からわが国が入れております飼料作物あるいは小麦、大豆というふうなものに重点を置いて転作を願おうじゃないかというふうに考えたものであります。それぞれの重点作目につきましては、わが国では足りないのでありますから、これをひとつお願いをしていこうというふうに考えたものでありまして、従前やりましたものとはその趣旨を一変をいたしておりまして、そのことについて重々先生も御案内だと思いますが、申し上げたいと存じます。
  77. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 ここの本院での答弁はまことに明快というか、まあ納得のできない点もありますけれども、まことに要領よく答弁されるのですが、末端ではなかなかそうはいかない、実情として。私は、いま次官が、膨大な農産物の輸入をする、日本国内で足らない、足らないから輸入するんだ、それから、ひとつ国内の生産を高めてある程度自給率を高めていくという考えが基調にあるとするなら、日本の農民に生産をお願いをしてつくってもらう、それを基軸にして輸入の数量を考えていくというのが大体のルールだろう、こう思うのですね。ところが、国内の生産、増産体制を指導しながら輸入はどんどんふえるのはどういう理由だろうか。輸入がどんどんふえる。麦もふえるし、なぜこんなことになるのだろうかという気がするのです。それから、日本の農民に言うていることと、要するに貿易政策の中から出てくる言葉というものが違うところに問題があるのではなかろうか。だから、農民から言うと、不思議だ、われわれに足らぬからつくれと言って、つくったとたんに売れないとくる。輸入が減っておるのかと思ったら減っていない、依然としてふえておる。こういうところに一つメスを入れない限り、日本の生産農民は理解してくれないのではないか、こういう気がするのですが、この輸入の面についてもう少し明快に答弁願いたい。
  78. 今井勇

    ○今井説明員 これは御案内のとおり、たとえば麦について申しましても、しばしばこの委員会でも答弁を申し上げましたが、国内の小麦の増産体制が整うに従って外国産の輸入の麦は漸減をしていこうということを申し上げたのであります。急激にこの数量を輸入減をいたしますと価格の騰貴等が起こりますので、これは漸減をしていこう。これは正真正銘そのつもりでおります。  ただ、いま先生がおっしゃいます数量がふえているじゃないかというのは、非常に短期的に見ますとそのようなこともあろうかと存じますが、長い目で見ていただきますならば、必ずわれわれの政策というものを忠実に実行していこうというのが具体的にあらわれてこようかと思います。また、大豆にいたしましてもその主たるものは搾油の大豆でございますから、それはとても日本の国内で賄うわけにはまいらぬ。したがって、国内でわれわれが食糧として使います大豆の六割程度は少なくも自給しようじゃないかということでいまやっておるわけでございまして、そういうものが実現をしていくように最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  79. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それでは、大豆だけを取り上げてお尋ねしたいのですが、去年は二十万俵の生産、ことしは大豆つくれと奨励したおかげで九十万俵以上、百万俵ぐらい出てくるのではなかろうか。こういうように昨年の五倍近くふえてきた。その大豆が、末端の庭先ではどういう言葉で言われておるか。ちょっといま売れる見通しがないのだ、こういう声が流されておるのですね。大豆は、御承知のように交付金制度を取り入れているが、取引が完了しないとこの価格差補給の交付金は出てこない。半年先になるか一年先になるかわからない。そういう取引の期日において交付金というものが精算されて支払いをされる。いまの見通しから言うと、大体できたら質が低下しない前に検査を受けて出荷する。すぐ売れるものなら少なくとも三カ月以内に処理できるはずだと私は思う。それが、半年先になるやら一年先になるやらわからぬという言葉が出てくるのは何が原因だろうか。それをつくれと言って奨励しておいて、そして国内の豆腐でも揚げでも直接食糧——加工用でも油をしぼるとかその他の方に使うのは輸入大豆だけれども、人間がみずから食べる豆腐だとか揚げだとか高野豆腐だとかいろんなものは国内の大豆を重点的に使っていく。日本の人口は決まっておるのだから、多少ふえておっても年間の消費量というものは統計的には大体出てくるわけですから、それを合わせて消費地でたとえば豆腐業者に優先的に日本の国内の大豆を使わしていくということで、初めから計画的に流通の面である程度コントロールしていけば、国内の大豆というものは早く消費されていくのではなかろうか。それを一つもしないのじゃないだろうかという心配がある。その点、ひとつ具体的にいまの流れを説明願いたい。
  80. 二瓶博

    ○二瓶説明員 大豆につきましてはすでに自由化をいたしております。その自由化をいたしましたときに、大豆なたね交付金暫定措置法ということで、いわゆる不足払い制度をとっておりまして今日に至っておるわけでございます。したがいまして、大豆につきましては、計画的に国内産で不足するものを輸入するということが制度的にびしっとした形では行われがたい面がございます。そういうことで、一応自由化して不足払い制度をとっておるということが一つ。  それから、先生のお尋ねで五十三年産の大豆、これは相当転作等も進みましたし、非常に生産量も多うございます。したがいまして、これは全農なり全集連等の調整販売計画に乗って、不足払い制度のいわゆる交付金がもらえる仕組み考えておるわけでございますが、この数量が非常にふえるということでこういう調整販売計画に乗せないというようなことは、農協としては、そういう措置はとらないはずでございます。  もう一つは、こういう不足払い制度に乗った際の実際の精算払いというものにつきましては、ただいま先生おっしゃいますように、五十三年産大豆であれば来年の八月ぐらいまで販売にかかるわけでございます。時間がかかるわけでございますが、実はこの交付金の面につきましては、非常に遅く交付金がいくということでは農家の生産意欲もそがれるわけでございますので、現在、概算払いを九割についてやっております。したがいまして、農家の方が大豆を農協等に持ち込みました際に、そこで九割の概算払いをしておき、後で差額を精算する、こういうことでございまして、全部取引が終わってからでないと、それまでは払わないということではございません。  以上でございます。
  81. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたらはここで答弁はなかなかうまく言うているのだけれども末端はそのとおりいってない。もう少し親切に実情がどういうことになっておるのか平素から調査もし、研究もしていただきたい。いま局長の答弁を聞いておると、自由化だからどうもこちらの方はどうにもならぬ。業者というのは安い方を買うて使うのは当然なんですね。日本のは高い大豆ということになるでしょう。だから、自由化に対して対応策を考えないで、ただ転作で大童をつくりなさい、奨励金を出しましょう、価格差の交付金も出しましょう、こういうことでやっているのですね。その点をわれわれは農民に対してどう答えていいのかわからない。これから何年も何年もこういうことを続けていけば、生産調整を続ける限り、三年でいまの百七十万トンが終わりじゃない。あなたらの考えていることは四年目は生産調整を倍にするのじゃないか。米の消費拡大をやらないからだんだん消費が減ってくる。恐らくこのままの推移でいくと米の消費量は一人頭六十五キロくらいになるのじゃないか。そうすると、数字の上で考えた場合、人口一億二千万としても、いまの反収から言うと、思い切って生産調整をせざるを得ないということになるのではなかろうか。これからどれだけ米の消費拡大をやるかということが大切なんだろう。われわれはそれを心配しておるから、米を本当に食う運動をやってくれ、お互いに米を食おうじゃないかと言っておるにもかかわらず、肝心かなめの農林省が本気でやらないからわれわれは毎日不満を持っておるわけです。  要するに、このままだと生産調整は何年も何年も続くという気がする。そうする中で、ことしは初年度だからやってみるだけやってみてというような思いつきでは困る。何としても今度の転作を奨励するのなら、その転作に対して、つくったものは責任を持ってやるというくらいな、農民に信頼をしてもらうような奨励政策を出さないとだめだ。ことしはやるだけやってみて、もういいよ、来年また米をつくる、こう言っておる。米をつくった方がいい、こういう意見の方がいま強く出ておる。われわれはそれをつくるなとも言えないし、それは困ったな、政府はなっておらぬ、こういう答えをしておるのですが、何としてもこの転作奨励については、名前は水田利用再編成で非常にりっぱではあるけれども中身はお粗末だと言わざるを得ない。  そういうことで、品目別にお尋ねしたいのですが、まずビール麦についてお尋ねしてみたいと思うのです。  五十三年度は済んで、五十四年度の分でそれぞれビール会社との契約栽培という形をとっておるわけですが、このビール麦、これは農産物ですから気象条件で豊作もあれば不作もある、これは考えておかなければならぬですが、豊作の場合についてはどうするのか、不作の場合についてはどうするのかということもあらかじめ農林省考えてそれぞれの手を打っておくべきだ、こう思うのですが、いま五十四年度の見通しから言うと、ことしのような作柄でいくならば恐らく余るであろう、余った分はどうするのか、こういう心配がまた出てきておる。そういう場合に農林省はどう対処するのか、まず見解を聞きたい。
  82. 今井勇

    ○今井説明員 詳細については局長から答えさせますが、五十四年度のビール麦につきましては、関係省庁並びにビール会社などと鋭意折衝をしてまいりまして、十六万六千五百トン、本年度の契約からいいますと一割増し、実績から申しますと一七%増の数量を決定いたしまして、現在、各県の行政指導のもとに、各県の経済連等とビール会社の間で契約が進められておりまして、近日中に契約が調うものと考えております。今後とも、国内麦と輸入麦との価格差がさらに拡大することも考えられますので、売買契約に当たりましては、農林水産省として関係省庁と協力して、実需者に対しまして強力な行政指導を行ってまいりたいと考えております。
  83. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま政務次官から答弁申し上げましたように、五十四年産麦につきましては、関係省庁とも協議をいたしました結果、十六万六千五百トンというのが契約数量の限度数量ということで、一応これをめどにして経済連とビール会社との契約に入っておるわけでございます。  豊作になった場合どうするかというお尋ねでございますが、この十六万六千五百トンという数値にはまらない、これをオーバーした場合どうするかということになるわけでございますけれども、これはそういう時点になりまして、その契約の本旨と実態的な収穫の関係というものを見た上で、その段階において対処するということになろうかと思います。
  84. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 結局、ビール麦ぐらいは輸入をせずに国内で全部生産させるというぐらいな気持ちがあってほしい、それがどうも輸入の方に依存していこうとする業者の方の考え方もあるようですから、この方が案外強い。だから、そういう両てんびんにかけるようなことをそれぞれのビール会社が考えるから日本の生産の方をけちをつける、高いとか安いとか、品質がいいとか悪いとか、いろんなけちをつけて買わないように買わないように、同じように契約しておっても品質がいいとか悪いとか、そういうけちをつける可能性が非常に強い。そこに、同じように数量は契約しておっても、どうもことしは品質が悪いですな、こういうことで拒絶してくる、そういう面が出てくるわけですね。だから、契約数字はもう絶対にとるということ、そこまで強力な契約をしていない。農民の方は、できたらできただけ全部契約どおり買ってくれと言う。ところが、品質で買わない。こういうことなんです。それを余ったやつはどうするか、困ったな、結局麦茶なんかに回せ、こう言う。お茶屋も困る。ビール麦を麦茶に使えなんて、こんなばかなことはないじゃないか、こう言う。なぜそんなことが起きるのか。食糧庁農林省もビール麦を普通のように麦茶に使わせようという考え方自体がどうかしている。農民から言うと、使うてくれるならどこでもいんだけれども、ビール麦としてつくったものは、やはりビール会社に引き取ってもらえることを、もう種をまく時分からそう考えておるんだから、それから先は政府が責任を持って食管の方で引き受ける、政府買い入れをする、このぐらいな考え方を出してもらわないとわれわれも困る、こう思うのですが、その点どうですか。
  85. 澤邊守

    澤邊説明員 ビール大麦につきましては、これはビールという主食以外の特定の商品の原材料であるということにかんがみまして、従来から生産者とビール会社の間の契約栽培によって円滑に民間流通が行われてきておりますし、われわれといたしましても、ビール大麦につきましては今後とも民間流通によることを原則として国内の原料処理能力の増強を図ったりしながら需給の均衡を図っていくことが大事だと思います。  四十九年に輸入麦芽の自由化を行いました際に、国内産に対する影響を防止するために、契約栽培方式を基本とするということを前提にしながら、関税割り当て制度運用による販路の担保措置を講ずるほか、あわせて政府による補完的な買い入れという道も開くこととして、買い入れ価格は毎年告示をしておるわけでございます。しかしながら、これまで契約量をオーバーするという事態がなくて、具体的にどういう場合に買うんだという明確なことは決まっておらなかったわけでございますが、五十三年産については、御承知のように、異常な豊作というようなこともありまして、一部契約量をオーバーしたものについての引き取り問題が問題になったわけでございます。私どもといたしましては、そういうモルト自由化の際の経緯なりあるいは契約生産の実態も十分考慮の上、具体的な状況に応じて判断をしていかなければいけないと考えますが、先ほど来繰り返し申し上げておりますような特殊な用途に向けられるという原材料でございますので、政府買い入れする場合にはよほど限定的に取り扱っていかなければいかぬ、これは政府が買いましてもビール麦として売れないわけでございますので、やはり民間の契約栽培によって民間が引き取るということを原則、基本として運用していくべきではないかというふうに考えております。
  86. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 これは民間の取引のことまでどうも口出しができないような、そういう逃げの発言があるわけですが、農民から言うと、ビール麦でつくったものはビール会社にみんな買ってもらいたい、要するに日本のビール会社は発芽の製造能力という施設、そういう点について行政指導、これはもう少し製造能力を増大させたらどうかという気がするのですが、その点はどうですか。
  87. 二瓶博

    ○二瓶説明員 麦芽の処理能力、これは現在十七万トン程度ございます。したがいまして、今後ビール大麦をさらに生産を増強していくということであれば、当然先生おっしゃるように、麦芽の製造能力、こういうものを強化していかなければならぬ、拡充していかなければならぬということになるわけでございます。したがいまして、所管の国税庁等とも十分話しまして、その面の行政指導というものをやっていきたいと思います。ただ、なかなか関係のビール企業におきましては麦芽の製造能力がアンバラでございます。そういうことを踏まえまして、いろいろ、何といいますか、簡単に応じがたいような気分はございますけれども、われわれとしてはただいま申し上げましたようなことから、国税庁とも十分連携をとりながら製麦施設の増強という面に努力したい、かように思っております。
  88. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうもビール会社の方が発芽の製造能力をなるべく抑えて、なるべく輸入の方へ持っていこう、こういう考えがあるようだから、その点からも直していかないと、国内のビール麦増産をやれといっても、国内の方は豊作貧乏、不作貧乏、その上にまだ民間の会社の経営方針によって左右されていくという弱い面がもろに生産農民にかかるわけです。本当に輸入は自由化だから仕方がないじゃないか、こういうことを言いながら、一方では農林省の方はビール麦をつくりなさいという奨励をする、集団栽培をしなさい、機械も買いなさい、補助を上げましょう、こういうことで、まだ機械代金も払えない、農民はもう借金に一生つきまとわれる、そういうような経営をさせて、果たしてこれがりっぱな農政であるかどうか、われわれは一つの悩みの種として困っておる。そういうことのないように、結局は発芽の製造能力をもっとふやしなさい、拡大しなさい、こういうことをもっと強い姿勢でビール会社に要請していく、そういうものがなければならぬ。それから、先ほど食糧庁長官はむにゃむにゃっと言って答弁せられたのですが、余ったものはやはり政府の食管の方で全部買い入れする、こういうことを明確にしてもらいたい。そして、一方ではこのビール麦の品質をもっとよくしていく、その改良政策をとる、そういう生産基盤の整備、そしてまた乾燥施設の整備、いろいろやらなければならぬと思うのです。この点についてもっと具体的に、予算をふやしてどうするかというものをひとつ示してもらいたいと思う。
  89. 二瓶博

    ○二瓶説明員 まず最初に、麦芽の製造施設の増強の面でございますが、これは先ほど答弁をいたしましたが、具体的に申し上げますと、国税庁の方で目下ビール四社につきまして指導をやっておりまして、うち一社につきましては増強の計画を現在立案をしておるという段階にございます。  それから、ただいまお尋ねのビール麦の生産振興といいますか、そういうことを進めていくべきだということで、基盤整備の点なりあるいは品種改良の点等お話があったわけでございます。  ビール麦の生産振興ということにつきましては、これはいわゆるビール麦ということのみならず、従来とも麦作振興対策ということで、小麦を初めとした四麦とも生産振興対策を進めておるわけでございます。したがいまして、水田裏作麦作付奨励補助金等を初めといたしまして、農蚕園芸局関係でも百六十三億ほどの麦作振興関係の予算を計上して強力にビール麦を含めてやっておるわけでございます。  それから、基盤整備等につきましても、これは構造改善局の方が所管はいたしておりますけれども、非常に基本的な事業でございます。したがいまして、これにつきましてもビール麦の生産振興まで含めた形の基盤整備全体的なものとして、五十三年度は対前年比三六%増の七千二百八十二億というような予算を確保して、積極的な推進をやっておるということでございます。  それから、品種改良の問題につきましても、これは大事でございます。したがいまして、技術会議の方におきまして国の指定試験というような形で栃木と福岡に委託をして積極的に取り組んでおるということでございます。育種の目標として、やはり一番問題は醸造適性ということにあるわけでございますが、そのほか縞萎縮病あるいは赤カビ病というものに対する耐病性の特性を有するつくりやすい品種、そういうものを目標にして現在品種改良の面にも取り組んでおるということでございます。  以上のようなことで、今後ともビール麦の生産面につきまして振興対策を総合的に講じてまいりたい、かように思っています。
  90. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 岡山県はビール麦はわりあい多いのですね。一万一千八百トン、実質的には一万一千二百三十トンほど余る、こういうことで何とかしてくれと言うけれども、それは農林省がビール会社と話をしてやるだろう、こう言うて大ざっぱに逃げているのですが、その点は都道府県ごとにそういうものが出てくると予想されるので、万全の手を打ってもらいたい、こういうことを付言しておきます。この問題については、いずれまた改めて質問申し上げます。  林野庁見えておりますね、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、マツクイムシが非常にはびこっていることは御承知のとおりです。瀬戸内海から西日本、これは日本全土に広がるのじゃないか、こういう気がするのですが、これは早くやらないといよいよ日本の松の木というものがなくなってしまうのじゃないか。いまやっている方法で事足れりと思うたらどうも大変な誤りを犯すのではないかという気がする。もう十年前から私はマツクイムシのことを再々委員会で言うてきたが、もう少し前に手を打っておいたらこんなに広がらなかっただろうという気がする。今日これだけマツクイムシを広がらせたというのは林野庁の責任だと私は思う。われわれが何遍言うても言うことを聞かない。それで、この防除法については、昨年の国会でようようマツクイムシに対する法案を通した。私は社会党の中でも大分しかられた。ぼろくそに言われた。もっと本気でやらなければだめじゃないか、こう言い続けてきた。われわれは虫だ、虫だから何ぼでも広がりますよ、こう言うてきた。案の定、虫で、広がってきた。これは有事立法じゃないが、有事動員でもかけて山に人を入れて思い切ったことをやらなければどうにもならぬじゃないか。いま空中散布でちょこちょことやってみたってどうにもならぬ。もう時期遅れだ。そういうことをする地域もあるでしょうけれども、もう思い切ってこれは伐倒焼却ということをしないとえらいことになるのじゃなかろうか。  いま雇用問題も真剣に取り組まなければならぬときでありますから、この問題を解消するという面を含めて、これは林野庁、農林省だけでなくて、国を挙げてマツクイムシの征伐をするという強いものがわれわれは欲しい。これは政府全体の力でやらなければならぬだろう。農林省だけの力じゃない。もっと国民にも理解を求める。それは都道府県でいろいろやっております。岡山県も工夫してやっておる。それは御苦労はよく知っている。けれども、いまのはなまぬるいという気がするから私は申し上げるので、それは跡地対策もあるでしょうけれども、跡地対策どころか、いま当面どうしてとめるか。私はあれは輸入品だから三年間南方から入れる木材輸入をとめたらどうかという気がする。三年間外材輸入を何%かとめる、そのくらいの運動を起こしていかないとマツクイムシは根絶しないと私は思う。あれは舶来品じゃないですか、あの虫は。それから、南方材の貯木場がたくさんあるところからどんどん広がってきたことは事実なんだから、そのくらい感染経路というものは林野庁はわかっておるはずです。それを学者が大気汚染論だとか公害論でふわりと来られるからこんなことになってしまう。日本民族の資源である山林資源をこれ以上破壊してはならぬ。本当に日本人ならもっと真剣に考えるべきだと私は思う。  それから、いまの予算ではこれはお粗末だという数字になってきた。一番最初は五十億も六十億も大変だと言い、よう予算をとりなさったとほめておったけれども、いまはもうあほらしくなってきた。思い切って五百億、一千億をつぎ込んででもこの山のマツクイムシをとめるという、そのようなものが必要だと私は思う。次官も長官もおられるのだから、時間がありませんから一言だけ決意を聞いておきたいのです。
  91. 藍原義邦

    ○藍原説明員 本年のマツクイムシの状況を見ますと、確かに先生御指摘のように、昨年に比べまして相当な発生をいたしております。材積的に見ますと、昨年度中に約七十五万立方という被害でございましたが、ことしの九月現在で有二十七万立方ということで、約一・七倍ぐらいになっております。  この原因は、私ども現在の時点で調べておりますと、やはりことし異常に高温であったということと非常に雨が少なかったということ、夏の間に雨が少なかったために異常に発生したんではなかろうかというふうに考えておりますが、やはり先生おっしゃいましたように、このマツクイムシを早期に撲滅しなければいけませんし、また傾向を見ますと、九州地区のように昔から対策をしておりましたところはことしも昨年に比べて六割か七割という形で被害の発生が非常に少のうございます。ある意味でやはり対策がおくれておったところに非常によけい出たということも事実ではなかろうかという気がいたしております。したがいまして、本年度もすでに予防のための空中散布は終わりましたけれども、来年の春までの間にできるだけ現在かかっております松の木につきましては、立木伐倒駆除に万全を期するという形で現在検討を進めておりまして、そのために予備費の使用ということを目下鋭意検討いたしております。国におきましてもこういう努力をいたしますし、また先生からただいまお話ございましたように、県あるいは町村におきましてもそれぞれいろいろ対策を講じていただいておられるようでございますので、私ども十分その辺の連絡をとりながら、来年の春までの間に、被害にかかりました立木につきましては伐倒駆除を積極的に進めるということで、来年中のマツクイムシの被害を徹底的に防ぎたいというふうに考えております。
  92. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 以上で終わります。
  93. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 武田一夫君。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 私は、米の問題、それから内水面養殖漁業、そしてコレラの問題、この三点について、各当局にお尋ねいたします。  まず最初に、五十三年度から行われております水田利用再編対策、県や市町村あるいは農業団体、農家の懸命な努力によりまして非常に目標率が達成して、予想以上の効果を上げたということでありますが、しかしながら、その中身を見てみますと非常に問題があるんじゃないかという点、二、三指摘しますと、一つは、この農家の方々の対応の仕方というのはやはり緊急避難的なものを明らかに意図して、本人たちも配分だけをこなすんだというような気持ちで緊急避難という、そういう性格を明らかにしている。これがまず一つ。それから、転作の定着が、まだ一年ですからそう急に結論を出せないけれども、環境やら条件の整備というものが非常に弱いということで、これをどうするか、こういうような問題。さらに今度は皮肉なことに、こういう大事な事業をやっておるときに余りにもとれ過ぎちゃった、それで結局は大豊作のために政府の古米在庫がもう六百五十万トン前後まで積み増しになる、こういうようないろいろな問題を抱えておるわけですが、こういう問題を処理しながら、五十四年度以降、やはり展望というものを農家の方々に与えなければならないわけですから、これはもう急務です。それで私は、ことし一年のこうした結果と問題を踏まえながら政府が今後どのようにこの問題について取り組んでいくか、二、三お尋ねしたい、こう思うわけであります。  まず最初に、この転作に非常に協力した県がございます。一二〇%台というのも、八月現在の調査で見ただけでも、栃木を含め、岐阜、京都、鳥取、それから島根、岡山、山口、愛媛、長崎、こういうふうな県がある。あるいは宮崎、香川などは最高一二七、八、東北も米どころでいろいろと苦労しながら平均すると約一一四くらいになっていますか、宮城県でも一一二くらいいったわけですから、かなり一生懸命協力したというのは、これはもう本当に喜ばしいことだと関係者は喜んでおると思うのですが、あちこち歩いてみますと、これ余りやり過ぎたので困っちゃったなという声が、来年も再来年もこの状態を維持することが不可能じゃないか、むずかしい、あるいは市町村、県によっても、一生懸命やったのはいいのだけれども、出てしまったこの結果を来年また維持するのも困難だ、これ、どうしたらいいのだろうと自信をなくして苦労しているというのがもういまから見えているわけでありますが、こういう県は極端に言えば一〇〇%に戻したとしてもこれは何ら違反でもなければ問題にもならないわけでありますけれども、万が一そういうようなことで苦労するようなことがあった場合どうするかという事態を心配しなくてはいけないのではないか。また、ことしと同じように努力をしてもらおう、一生懸命やってもらうと言っても、いろいろな諸条件がありましてそれも不可能だというような場合がもし発生した場合、こういうものについては国としてはどういうふうに対処していかれるか。聞くところによりますと、来年は百七十万トンが二百二十万トンくらいまでに伸びるのを期待している。いわゆるそういうふうな自主的な生産調整というものが農家によって、あるいは農業団体、市町村によって行われていくことを期待しているようでありますから、このことは、期待は結構ですけれども、反面こういうふうなものが出てきた場合どうするかということに対する対策も考えなくてはいけないのではないか。この点はどうなんでしょうか。
  95. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま先生からお話がございましたように、五十三年度の転作の実施状況、これは全国ベースで大体一割強上回るという状況でございますし、ただいまお話がございましたように、香川県等が一二八というようなところもあるわけでございまして、これらの点につきましては関係の向きに対して非常にお礼を申し上げるわけでございます。  そこで問題は、ただいまも先生からお話がございましたように、非常に米がとれ過ぎておる。ことしの十月末五百七十万トン程度と言っておりますが、ことしの豊作がさらにその上に積み増しになる、需要の動向の方もどうも減少傾向が続いておるということからすれば、来年の十月末というのは相当の在庫量になるという、そういう厳しい情勢にあるわけでございます。  そこで、五十四年度の転作といいますか、水田利用再編対策というものの関係はどうなるかと申し上げますれば、これはかねて大臣からも御答弁申し上げておりますように、転作営農の安定を図る、こういう見地からいたしまして、転作等目標面積というようなものは原則として三年間固定するというその線に沿いまして、既定方針どおり五十三年度と同様にするわけでございます。ただ、非常にことしも一一〇%強の現実の超過達成といいますか、達成状況でございますので、関係者の理解と協力というものを得て、今年以上の一層の転作の定着推進が図られるように進めてまいりたいということでございます。  ただ問題は、そういうことが不可能な場合にはどうするかというお話でございますけれども、この水田利用再編対策といいますものは、あくまでも理解と協力を得てやるという、そういう行政指導ベースの措置でございます。したがいまして、従来やり過ぎたから少しこれは収斂しようかというような向きも全然ないとは思いませんけれども、われわれとしては、あくまで今年度以上の努力というものを続けていただきたいということを強くお願いもし、期待もする、こういうことでございます。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 そういうお願いと期待を込めてという、その気持ちはわかります。それで、それならばやはり農家の期待も願いもかなえてやるということも必要ではなかろうか、これは当然なんです。そういう協力をたくさんしまして、なおかつ米がたくさんとれた、予約限度数量を超えたというケースはたくさんありますが、そういうのはやはりみんな買ってやるというくらいまでいくと、よし、おれたちもという気持ちがまた一段と高まってくるのじゃないかと私は思うのですが、そういう点、お考えになりませんか。
  97. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま申し上げましたように、お願いもする、期待もするという際に、農家の方のいろいろな期待というものも考えないといかぬではないかというようなお話でございます。  そこでわれわれとしては、まず水田利用再編対策というものの考え方、これに思いをいたしますれば、これは単に米減らしをやろうというだけでございませんで、やはり長期的な視点に立って需要の動向に安定的に即応し得る、そういうような農業生産構造を確立しよう、これがあの目的でございます。したがいまして、こういう地域の農家の方なり等が、生産の不足する麦、大豆等の特定作物、こういうようなものを地域農業の再編という角度で大いに積極的にやりたいというような向きにつきましては、これは農林省のいろいろな補助事業等もございますので、そういう面につきましては十分こたえていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ問題は、できたものは全量買ってくれというお話でございますけれども、これはお米についてのいわゆる超過米の問題かと思います。これは食糧庁の方からお答えいただくのが適当であろうかとは思いますけれども、従来から申しておりますとおり、食糧庁が米を買うということは、食糧管理の適切な運営を行うという角度から、国民食糧の確保の観点から、必要のないものまで買うことは望ましくないということで、現在、予約限度数量というものを決めて買い入れを制限をしておるということでございます。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、この超過米の全量買い入れということにつきましてはきわめて困難である、かように考えるわけでございます。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃ、次にちょっと尋ねますけれども政府考えている水田利用再編対策は、いわゆる米の生産を抑え、国内の自給度の低い農産物の増産というのを主体に進めていくものか、あるいはまた米作本位の旧来の営農形態を、昔、昭和三十年ごろですかね、よく言われた田畑輪換の上に立ついわゆる複合形態の農業経営に改善するという基盤づくりを主体として進めていくものか、この点はどうなんですか。
  99. 二瓶博

    ○二瓶説明員 水田利用再編対策は、ただいまも申し上げましたように、単なる米減らしというようなことで緊急避難的にやるわけではございませんで、そういう減反という面もございますが、他面非常に長期的な視点に立って米の生産を計画的に調整するということでございます。その際に、また農地利用の中核農家への集積というようなことも図っていきたいということで、わが国農業の再編成といいますか、そういうようなことを考えておるわけでございます。  その際に、ただいまお話ございましたように、田畑輪換等も含めまして水田の汎用化、こういうことになるような基盤整備、こういうものをやっていきたい。従来の基盤整備といいますのは、むしろ水田で稲作をする際に機械が入りやすいとかあるいは水が漏れないようにとか、いろいろなそういうことがあるわけでございますが、今後はむしろ水田の汎用化というところに力点を置いた形で基盤整備もやっていく。その際には水田の畑地利用ということもございましょうし、先生がただいまおっしゃった田畑輪換というところまでいくものもあろうかと思いますけれども、そういうことで農業の面で複合的な経営といいますか、そういう姿になろうかと思いますが、そういう点を推し進めていきたいということでございます。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 この田畑輪換については後でまた追って質問しますが、これは日本としてはこの処理は現状のままでは余り各地ではできない。乾田地帯というのが中心のようですが、二割くらいではないか、こう言われていますが、やはりこれから一つの形態として相当真剣に取り組んでいく必要があるのじゃなかろうか。石川県あるいは広島ですか、大分などでそういう形態があるようですけれども、この点ひとつ今後の課題として……。  次の問題は、青刈りの問題なんですが、転作作物の中に、飼料作物への転作のうちで青刈り稲というのがあるわけです。大体十一万ヘクタールの飼料作物の中で約一割くらいですか、約一万二千くらいですかね。これは私の住む、宮城県など東北でもありまして、前にも私が質問したとき、これはこのままではどうしようもないんだ、まあ家畜のえさとして使わなければならないんだと言ったけれども現実にはこれは実態をずっとつまびらかにしていけば、果たしてどのくらい家畜の口に入ったかというのは非常に問題になってくると思うのです。そこで、これはまあ簡単にできるわけですね。手間もかからないし、たんぼを荒らさないということで、非常に緊急避難的なものとしては持ってこいである。ただ、これは売るにしても買い手がいないものだから、ただみたいにくれてやるとか、個人対個人の関係でおつき合いで、おみやげとはいかないけれども持っていけ。ただ、持っていくところがないとどうするかというようなことを考えますと、このような状態が来年も続くとすれば、これはどうせもうどうしようもないんだったら、そのままこれを転作作物の特定作物の中に入れるべきではないかと思う。要するに、牛の口に持っていかなくたっていい。たとえば、極端に言えばそのままで乾燥させて燃やしてもいいのじゃないか、こういう暴論まで出ているわけです。大体、牛がいないところにめんどうだ。だったら、牛でも飼わせて、われわれに牛でも持ってこい、そうすれば牛に食わせるというような地域があっちこっちに出ていることは事実です。しかも、来年はこれをやろうというところもかなりあるし、これはこのままでいいのかということなんですが、その点どうですかね。これはどういうふうにしてこれの対策をしていくか。この間は、私に対しては間違いなく、牛がないところには牛を飼わせて、それでそこに持っていくということをこの係官の方がこの場所で言っているのですが、どうもそれが十分でなかった。県によっては牛を飼ってもらって、それでそれに食べさせるための補正予算を組んで一生懸命やっているところもありますけれども、その点はやはり真剣に考えて来年以降の対策を打たないと大変なことになるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか、これは。
  101. 杉山克己

    ○杉山説明員 転作になりましたところの実取りではない稲飼料、これにつきましてはやはりそれなりの貴重な労力あるいはコストがかかっているわけでございます。私ども、それを家畜の飼料として有効に活用するということを考えるのは当然であると思います。そこで、いま先生御指摘になりましたように、転作の飼料ができるのは主として水田地帯、そのまま畜産農家と地域的にまた経営的に結びつかないではないかというケースがしばしば見られるわけでございます。自家飼料として使えるところは一番よろしいのでございますが、そうならないところにつきましては、その間の需給の結びつきを図るための対策が必要でございます。  そこで、地域の市町村あるいは農業団体等を中核にいたしましたところの活用のための協議会というものを設けまして、そういう条件の整ったところで転作をするということを進めてまいったわけでございます。ただ、しかしながら、個別には、実際問題として一部それらの調整の間でごたごたしたといいますか、必ずしも円滑に行われなかった地域もあるかと聞いております。ただ、全体としては、ことしは天候もよく、乾燥も十分であったということで、畜産農家、受け入れる側にも比較的喜んで受け入れられたということもありまして、まずまずであったというふうに思っておりますが、今後、来年以降また新しい問題が起こるということにつきましては、十分事前にそれらの対策も講じまして、問題を起こすことのないよう十分りっぱな飼料として活用されるよう対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  102. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろと流通の問題、価格の問題等、そういうものを考えながら、これはひとつ安心して使えるようにしていただきたい、こう思います。  米を終わりまして、次に、漁業関係の中で沿岸漁業と内水面漁業の振興という、これは二百海里時代を迎えて大きく前進しなければならない問題ですので、水産庁の関係の方にお尋ねしたいと思いますが、漁場の環境が年々悪くなっている。よしようとしてよくなっているところもあるのだが、反面悪くなっているということで、環境保全というのはそういう仕事に携わっている人にとっては非常に大事な問題であります。  そこで、私の地域の方で二、三の事故が起こっていますので、そういう問題も絡めましてお尋ねしたいのですが、環境保全、産業排水あるいはまた都市下水の流入などによる河川あるいは沿岸の汚濁、これによって魚介類の繁殖保護というのが大きな障害を受けているというのをいかにして食いとめて、安心して漁業が営めるかというところに一つの大きな課題があるわけですけれども、そうした問題についての水産庁としての対策といいますか、取り組みというのはどのようになっているか、簡潔にその点まずお聞きしたい、こう思うわけであります。
  103. 森整治

    ○森説明員 いろいろ環境の問題がございますが、この問題につきましては、私ども、漁業被害を未然に防ぐ、あるいはできるだけ避けていく、こういう観点から申しますと、当然それぞれの責任ある立場の方々が、水質の汚濁の関係なり、廃棄物の処理の関係なり、あるいは油の問題なり、そういう問題につきまして公害の防止を図っていくというのが基本の問題だというふうに思っておるわけでございます。それに関しますそれぞれの諸法令を適正に守っていただく、また関係の各省庁にも密接に連絡をとってその指導徹底方をお願いするというのがまず基本ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  水産庁といたしましても、広く国民一般に対しまして、漁場環境を保全をしていくということのためのいろいろ啓蒙宣伝を行うとともに、漁業の公害に係る調査指導体制を整備する、あるいは公害によりすでに生産力が落ちたという、そういう漁場の生産力を回復するためのいろいろ保全事業等を事業としても取り扱っておるわけでございますが、いろいろ場所場所、また事のいろいろな原因の差等によりまして、いろいろ対応の仕方はそれなりに変えてまいりませんといけませんが、今後とも漁場の環境の維持保全ということにつきましては、重大な関心を持って臨んでまいりたいというふうに思っております。
  104. 武田一夫

    ○武田委員 こういう場合、原因不明だということでわりと長引くケースが多いのですね。水の研究というのは非常にむずかしいんだそうでして、研究しても解明できない面がたくさんあるということで、これからの問題として水の研究には非常に多くの能力と費用をかけなければならない。だけれども、余り経済効果がないものには金が来ないのだという嘆きをちらっと聞いたのですが、これは今後反省してその面の対策は考えていただくということにしまして、私の地域に宮城県の七ケ浜という、七つの浜から成っている漁村がありまして、ノリの栽培をやっているのです。仙台のすぐ近くです。こちらの方が仙台で、この赤でかいている地域が、この辺ずっとノリですが、被害を受けた地域です。これはことしになってから、十月十八日、二十五日、三十一日と三回被害を受けているわけです。ところで、ことしは皮肉にもこの周りが非常にたくさんとれまして、値段がいいものですから怒り心頭に発しております。最初はこの辺がその被害地だったのですが、ずんずん広がってきまして、五十年、五十一年、五十二年、五十三年と、こういうふうになってきているけれども、いまだにこの原因がわからないということで、県も困り市も困り、町も困り漁協も困る、試験場まで困っている。一番困っているのは、ここの八つの漁協で四百一世帯、その中で特に七ケ浜町の松ケ浜漁業協同組合というところの方々は塗炭の苦しみを味わっているわけです。一説によると、仙台の下水処理場があるが、それの影響ではないかとか、あるいは東北電力とかその他この辺にある工場の廃液ではなかろうかとか、この辺は船が入ってくるものですから、船の廃液による問題ではなかろうかとか、いろいろあるのですが、どうやってもわからない。そして、五十、五十一、五十二、五十三年と、特に五十三年はひど過ぎる、こういうような被害を受けた漁民の、生産者の苦しみを、これは一生懸命調査をしているというけれども、解決できない、わからない、こういう問題が一つあるわけですが、これはどうしたらいいのか。  それからもう一つ、さらに今度はずっと下に行きますと、仙南の白石という、白石温麺といってうまい温麺のできる町で、こけしの町でもあるのですが、そこに白石川という川があるわけです。その上流の三泰鉱山、これはもうすでに廃鉱になっておりますが、そこから流れたと思われる鉱毒水によって、その下流でいわゆる内水面漁業の振興ということで一生懸命やってきた二人の漁業養殖家、これはアユですが、片っ方が三十五万匹ですか、もう一人の方が四十三万とか三十万匹とかいう、大体金額にすると七千万円相当の損害である。しかしながら、この問題もやはり鉱毒水ではないか、県の方もそういうことを言っているけれども、依然として継続して調べなければわからないということで、特にその二人の漁業家の中の八島さんという方などは、三十四年からこのことでずっと生活をやってきただけにもうどうしようもないというような問題があるわけですが、この二つの問題は、原因がわからないということでそうした生産者が救済できないというような問題については、やはり何らかの措置を講じて差し上げなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、時間も余りないものですから、簡単に、かくしたい、かくすべきではないかというような、そういう見通しの明るい当局の御答弁を私は欲しいわけでありますが、その点どうでしょうか。
  105. 森整治

    ○森説明員 先生、二つの事例を取り上げられましたが、前の七ケ浜の養殖ノリの被害につきましては、ただいま御指摘のように、県と仙台市でそれぞれ調査を行っておるようでございます。まだ原因がはっきりわかっておらないようでございますけれども、地元なり市の原因の調査、あるいは被害の防止対策の検討が行われているわけでございまして、今後ともこれらの推移を見ながら必要に応じまして助言なり指導をしてまいりたい。また、場合によりましては、まだ要請がないようでございますが、地元県からの要請がございますれば、東北区水産研究所の研究者の調査への参加、協力を行うようにいたしたいというふうに考えております。ともかく原因究明が先決の問題であろうというふうに考えます。  それから、後者の白石川のアユの被害の問題につきましては、ただいままで私どもが受けておる報告では、水産サイドと環境サイドとからいろいろ原因の調査が行われておるようでございまして、県の水産振興課が東北大学の狩谷先生に委託をしました結果では、中間報告でございますが、鉱山の排水によるものと見られるという報告があるようでございます。なお、環境サイドといたしまして、県の公害規制課で公害技術センター、白石の保健所等が実施をしております調査では、原因となった漏水がどこから出ているかということが特定できないということのようでございます。さらに、休廃止鉱山にはえてしてこういう問題が多いわけでございますけれども、金属鉱業事業団の方で漏水の調査を五十四年度に行うということで、原因の究明、またそれに対する対策を急ぐということを考えておるようでございまして、そういうことで一応対応してまいりたい。  被害を受けた者につきましては、ただいまのところ、一業者に県が資金のあっせんをいたしまして、国民金融公庫がとりあえずの貸し付けを行って、一応金融的なめんどうを見るということで当面を過ごすということのようでございます。  そういうことでございますので、問題はやはり原因の究明を急ぐということではなかろうかというふうに存じております。
  106. 武田一夫

    ○武田委員 その点ひとつ早急にお願いしたいと思います。  最後に、時間がなくなりましたので、コレラの問題について一つだけ聞いておきたいと思うのですが、私の住んでいる団地にも影響がありまして、向かいの団地で二人の患者が出て大騒ぎしました。これは距離が短くなったものですから、もうどこへでも飛んでいくような感じがしてしようがありません。  ところで、厚生省の方来ていますか。——これは新聞などの報道によると、発生源も汚染経路もわからないままに迷宮入りじゃないかなんて書かれているのですが、これは迷宮入りさしてもらっては困るのです。どんなに時間がかかろうとも、その原因、汚染経路等の追及調査をして、明らかな一つの回答を出さなければならない。どうもこういうものはいつの間にかうやむやになってしまう。かかった方々は四十八人くらいおりまして、そのとばっちりは、御承知のとおり食品関係、後で質問しますが、エビ屋さんが苦労した。千葉県などではそのためにエビが売れなくて、町として低利の融資までしなければならないという大変な影響があったのですが、この迷宮入りなどという報道は間違いでしょうね。どうでしょうか。
  107. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 厚生省といたしましては、今般の文化センター絡みのコレラの集団発生につきましては、現在、東京都及び各都道府県と緊密な連携のもとに感染経路あるいは感染源の調査を行っているところでございます。一部新聞にそのような報道がされているわけでございますけれども、厚生省としましては、今後ともさらに感染源、感染経路の究明について万全の努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。  ただ、コレラ菌については、先生御存じのとおり、一定時間がたちますと自然にコレラ菌が体の中から消えてしまうという問題、さらに、コレラ菌に汚染されたものを食べた場合においても、食べた人が全員が全員発病するわけではなくて、その一部の人、一割以下と言われているわけでございますけれども、その程度の人しか菌を保有しないというようなことがございますので、そういう面で感染源、感染経路の究明というのは従来からも非常にむずかしいと言われておるわけでございますけれども、厚生省としましては、今後とも感染源、感染経路の究明には万全を尽くしたいと考えているところでございます。
  108. 武田一夫

    ○武田委員 そういうことになると、これは検疫体制とか、いろいろといわゆる防止体制を十分になさなければならない。いま、こういうものを未然に防げる万全の体制というのはなされているのかどうか、その点どうですか。
  109. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 現在、コレラの汚染地に旅行されておる方は年間約百万人と言われておりますけれども、この方々は海外からそういうコレラ菌を持ち込まれる、あるいは持ち込んでこられる可能性があるわけでございますので、現在、全国の検疫所において、そういう海外渡航者について、特にコレラ汚染地を旅行してこられる方々に対しては、検疫の段階でいろいろな状況調査あるいは視診、問診等による疾病の早期発見ということに努めているわけでございます。  また、あわせまして、そういうコレラ汚染地を旅行してこられる方々に対しましては、その名簿を都道府県に流す等、国内防疫陣とも緊密な連携をとって対処しているところでございます。  一方、食品につきましては、従来からそういうコレラ汚染地を国内に持つ国からの証明書をもってその安全性を確認しておるわけでございますけれども、今般のこういう事態に対処いたしまして、さらにその安全性を確認するというような意味から、検疫所において抜き取りによるコレラ菌の検査を実施いたしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  110. 武田一夫

    ○武田委員 今回、疑惑の中の一つに輸入エビがあったのですが、いわゆるWHOに登録されている検疫伝染病汚染地域ですか、これは東南アジアが非常に多いわけです。しかも、ここから来るエビ等の水産輸入食品が多いということですが、この防疫体制、衛生監視員の問題、あるいは向こうの冷凍設備等が不十分だというようなことはなかったのか、あるいはまた、こちらに来てチェックするときの体制が不十分でなかったのかというようなことをいろいろ考えますと、これは食べ物という疑いですが、はっきりはしてないのですけれども、最近水産物の輸入品が非常に多いということを考えれば、やはりこの面にもう少し万全の配慮をなさなければいけないのではないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  111. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 現在わが国に設置されております検疫所は全国で九十六カ所、職員数は七百八十一名という形態でやっているわけでございますが、この七百八十一名のうち、いわゆる検疫官と称される者が四百六十七名、衛生検査技術者が百四十五名で検査業務に従事しているわけでございます。したがいまして、今般行われます輸入生鮮魚介類につきます検体採取におきましても、そういう検疫官あるいは衛生検査技術者等の方々が検体を採取し、あわせて検査を行うという形で対応しているわけでございまして、十分対応できるものと考えているわけでございます。  それからなお、従来からも輸入商社に対しましては、そうい多衛生面の管理につきましての指導を行っているわけでございますが、今後ともさらに強化してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  112. 武田一夫

    ○武田委員 もう時間が一分しかないのですが、報道によると、汚染国に専門家を派遣してコレラなどの伝染病対策に取り組むようにした、非常に結構なことです。私は、こういうようなことに来年度から約三十億で国際医療協力センターを建設して、医者、看護婦、検査技師などの職員二百人を置いて、こういう方々を派遣してそういう仕事をさせる、非常に結構なことだと思うのです。  そこで、もう一つ、私はそういう食品の場合、向こうの検査体制が非常に十二分でないとするならば——まあ十分だとしても、日本側のそういう検査官というのもあわせて立ち会いの調査をするような万全の体制と、そういう施設等の点検というものについては特に一層な完璧を期す、さらにこちらに来たときには、こちらでもまた水際作戦を厳しくして完璧を期すという体制をとらないと、どうも行かない、食べない人までも騒ぎに巻き込まれて、海外に行った人がおみやげを持ってきてはこのおみやげで大変な苦労をする、そして大騒ぎして日本列島じゅうにコレラではないかというような不安を与えるというのはまことにいかぬと思うのですが、そういうふうな二重、三重の厳しい体制をとるべきではなかろうか、私はこう思うわけです。  これは私の考えとしてですが、そういう点にどうこうということは言わないけれども、答えを求めませんが、いずれにしてもこれによって大変多くの方が迷惑を食った。そういう方々は、たとえ会社を休んだりあるいは商売がうまくなかったとしても、どこでもその補償をしてくれないという、これはまことに天災の最たるものでありますので、人事を尽くして天命を待つということがありますが、人事を尽くすという面の配慮に私は関係当局のもう一層の努力をお願いしまして、質問を終わらせていただきたい、こう思います。
  113. 中尾栄一

    中尾委員長 吉浦忠治君。
  114. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先に、食糧庁長官お尋ねをいたします。  米が大変余っておりますのに、消費者の米離れというものがますます激しくなっている現状でございます。農林水産省が起死回生の願いを込めて始められました水田利用再編対策、本年が初年度でありますが、百七十万トンの減反を目指したのに、皮肉にも史上最高の豊作となっております。減反の半分は帳消しになったのではないかというふうに言われておりますが、今後お米をどうなさるのか。米をつくりたい農家を抑えて転作をしておりますが、過剰米の処理と今後の対策等についてお尋ねをしたいわけであります。  この六月の米価審議会では五百三十万トンの過剰米の見通しでありましたが、予想外の酷暑で米の需要減退に拍車がかかったというふうにも言われておりますけれども、本年産米を含めまして現状はどのようになっておりますか、まず長官にお答えを願いたい。
  115. 澤邊守

    澤邊説明員 ただいま御指摘ございましたように、七月初めの生産者米価の米審の際、十月末の新米穀年度への古米の持ち越し見込み量、おおむね五百三十万トン程度に見込んでおりますという御説明をしたことがございます。その後の経過を見ますと、御承知のように、近年まれな酷暑であったということに伴いまして、米の消費量もどうしても例年ほど夏季進まなかった、減退をしたという点がございますし、また一〇八%という非常な豊作であった、また、それに伴いまして出荷時期がおおむね一週間ないし十日ほど全国的に繰り上がっておる、そういうことがございます。また、新年度から政府売却の米の中で新米の混入率を来年五月まで平均的に毎月七、三にしまして、七〇%が新米ということでかなり品質の向上に努力をした、そういううわさもございまして、若干卸売業者が買い控えた等のことがございまして、十月末の古米の持ち越し量は五百七十万トン程度になるものと現段階では見込んでおります。まだ最終的な積み上げを終わっておりませんけれども、その前後になるというように見ておるところでございます。
  116. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、本年から三カ年間の三十九万一千ヘクタール、百七十万トンの減反を目標にされたわけですが、そのように初年度からつまずきをしているという現状でありまして、これは天気がよかったのが大きく影響したとも言われておりますが、再編利用の基本になる需給計画が当初から甘かったのではないかという一般的な批判があるわけです。これからの十年、過剰米を抱えて再編の基本というものをどのようにお進めなさるのか、この対策と見通しというものをお尋ねをいたしたい。
  117. 澤邊守

    澤邊説明員 水田利用再編対策の今後の進め方につきましては、担当の二瓶局長の方から答えていただきますが、その前段階といたしまして、ただいま私が古米の持ち越し量五百七十万トン程度になるということを申し上げましたが、ことしの豊作による古米の累積は、ことしの十月末にある程度の影響はございますけれども、主としては来年十月末の持ち越し量に影響をするということでございますので、ことしふえましたということは、すべてがことしの豊作によるということでないという点だけは一言お断りをしておきます。
  118. 二瓶博

    ○二瓶説明員 まず、米の需給計画が甘かったのではないかというお話でございますけれども、水田利用再編対策、これはおおむね十年間でやるというわけでございますが、その際の第一期、五十三年度からの三年間、これについて一応需給計画というものも設定をしておるわけでございますけれども、これにつきましては、近年におきます需給の実情というものを的確に反映させるということを基本にしまして、計画策定時点に得られますデータを最大限に活用して策定したものでございます。ただ、もちろん作柄がどうなるかというのはわかりませんから、当然この需給計画といいますものは平年作ベースということで一応計画は立てるわけでございます。したがいまして、そういう意味からすれば甘かったというようなふうには考えておらないわけでございます。  それから、水田利用再編対策そのものでございますが、これは農業者初め関係者の御努力によりまして、全国ベースでは大体目標を一割方強上回る、こういう姿になっておりますし、中身の方を見ましても、特定作物に非常に傾斜をしたり、あるいはいわゆる地域ぐるみの転作と言われる計画加算、こういうもののウエートも相当高いということで、初年度といたしましてはかなりの成果が上がっておる、こういうふうに思っておるわけです。  ただ、相当そうやったものの、大分おつりが出るじゃないかというようなお話もございますけれども、この面につきましては、五十二年産米が作況指数一〇五、あるいは五十三年産米が一〇八というような二年連続の大豊作というようなこともありまして、ただいま食糧庁長官がお答えしたような古米在庫の累積がどうもある、こういうような厳しい情勢になっておること、これは否定できないと思います。  問題は今後どうこれを展開していくのかということですが、おおむね十年間ということで腰のすわった水田利用再編対策を展開するということですが、まずもってやはり第一期の二年目、これをどうやっていくかというのが当面の問題であろうかと思います。いろいろ先ほど言ったかなりの成果は上がっておるというものの、なおまだ緊急避難的な受け取り方をしているところもあるとか、あるいはまた条件整備というものも不十分であるとか、いろいろな問題がございます。したがいまして、やはり需要の動向に安定的に対応し得る農業生産構造を確立するんだ、そういう基本的な線にのっとって水田利用再編対策というものの趣旨の徹底を図っていく、そして関係者の転作の定着化なり推進、そういうものの一層の御努力を願っていくということで五十四年度は対処していきたいということでございます。
  119. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 長官、こういうふうな状態、甘い見通しじゃないという答弁でもありますけれども、こういうことでまいりますと、古米がどんどん累積していったならば前回のときのような状態になりはしないかという不安があるわけです。こういうことに対して、本年度やったから初年度を三カ年間は通そうという意思はわかりますけれども、何らかの手を打たなければそういう状態が目に見えてくるということがはっきりしているじゃありませんか。こういう点でどういうお考え長官は持っていらっしゃるのか。あなたは責任をとってあるいはほかに転任なされば食糧庁長官じゃなくなるわけですけれども、国民は、依然としてそういう苦しみを生産者は受けなければならないということになるわけだ。やはり明確な長期目標は十年間崩さないという点であればそれでいいわけですが、古米を抱え、累積の古米が前回を上回るよなことになったならば、これは火を見るよりも、方向を変えなければならぬということはわかり切っているわけです。役人の皆さんは自分が責任をとればいいというふうなことになるかもしれませんが、現状の農家を見た場合にそういうことでは許されませんので、どういうふうに心情を持っていらっしゃるのか、お考えをお聞かせ願いたい。
  120. 澤邊守

    澤邊説明員 ただいま農蚕園芸局長からも答えましたように、来年度も第二年目の転作目標数量あるいは限度数量そのものは、これまでも大臣が何回も言明しておりますように変えないということでございますけれども、需要に即応した生産構造をつくっていく、転作を定着し、さらに推進していくというような角度から一層転作を進めていくということとあわせて需給のギャップを埋めていくことでございますので、いろいろ困難な事情はございますけれども、これまで進めております米の消費拡大、需要の増進という問題に来年度からさらに一層積極的に取り組んでそのギャップを少しでも埋めていくという努力をしなければいけないというふうに考えております。
  121. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは、販売窓口の開設等についてちょっとお考えのようでありますので、過剰米に対して農水省が大変頭を痛めていらっしゃるのはよくわかるわけですけれども、米の流通段階競争原理を取り入れることで消費を増そうという計画がおありのようでございます。私はその目玉としてはわかるのですけれども、そういうことをなさると、いままでの小売業者の方々の既得権というものが侵されたり、また販売店等が過当競争的なことになって、パン屋や牛乳販売店などでもそのコーナーを借りるということにもなるだろうと思います。もう一つは、農協等における販売もお考えではないか。私はあらゆる点でのそういう構想は結構でございますが、何といたしましても小売業者の既得権の侵害というもの、これはどういうふうにお考えになってお進めなさろうとなさっているのか、お聞かせを願いたい。
  122. 澤邊守

    澤邊説明員 消費拡大のためにいろいろな施策を、政府としてもあるいは地方公共団体にもお願いしてやっておるわけでございます。農業団体みずからもPRその他をやっておるわけでございます。ただ、消費者の方に米を少しでも減らないようにしてもらうとか、あるいはさらにふえるように御協力願うといいますか、消費の増進を図るということのためには、役所がPRをする、テレビで放送したり米祭りをやったりパンフレットを配ったりということも必要でございますけれども、やはり毎日消費者の方に接して販売をしておられる販売業者の方が、消費者サービスをよくし、買いやすくし、裏返して言えば売りやすくするという販売努力をしていただく、それからまた米に対する表示の問題、内容の問題、価格についての信用を高めていくというようなことが一番肝心なことであって、これは役所がPRしたから伸びるものでもないというふうに思います。役所としてやらなければいけないこともありますが、さらに一層強化したいと思いますけれども、やはり毎日売っておられる販売業者の方が努力してもらうのが一番効果的だろうというふうに思うわけです。  その点からいたしますと、食糧管理制度というのは一種の統制でございますので、その中で、店舗も自由に開けないという中で、いまの制度の中で競争してほしいと言ってもこれは限度があるわけでございます。しかし、食管制度の根幹は維持するということでございますので、流通につきましても完全に野放しにするとか自由競争のままにするというわけにはまいりません。過剰のときばかりでなくして、不測の事態に対して公平に配給をしていくということが必要な場合もあり得ますから、流通機構を完全に自由というわけにはいきませんけれども、いままでのように余りかた苦しく手足を全部縛っておくということでは、販売業者の方が販売努力をしようと思ってもできないという問題があります。たとえて申しますと、店舗の数だけでも、統制になってから、いま戦前の半分ぐらいになっております。それから、ほかの競合食品である。パンであれ、めん類であれ、その他の食品とすべて競争しておるわけでございますが、ほかはもう申すまでもなく自由競争の中で販売努力にしのぎを削っておるわけでございます。そういう中で米の消費を少しでも維持し、伸ばしていこうというためには、やはりいまの仕組みの中での販売活動では不十分ではないかという意味で、一層販売努力をお願いしておるわけですが、そのためには、お願いする限りは、できるような仕組み制度範囲内において変えていくということが必要でございますので、競争条件制度の許す範囲内において少し各段階に入れていくというようなことが必要ではないかというふうに考えていろいろ検討しているところでございます。
  123. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 お米の最後に、米の消費拡大について、先ほど長官も話をしておりますけれども、本年度五十数億円の消費拡大のための費用をお使いになって拡大を図られているわけですが、消費拡大というと学校給食というのが一番先に来ておりますけれども、やはり米を原料とする工業原料その他の販売方法等も考えなければならないし、現在、本年度五十数億円を使って米の消費拡大を、学校給食、工業原料以外にどのように図られたのか。また、これから次年度にわたっても消費拡大をどのように進めようとなさっておるのか。その二点についてお尋ねいたします。
  124. 澤邊守

    澤邊説明員 学校給食についてはもう御存じのとおりのことをやっているわけでございますが、米の値引き販売、それから施設の整備に対する助成、炊飯施設でございますが、これは文部省もやっておりますが、農林省もやっておるわけでございます。それらを中心にしてやっておるわけでございますが、その他といたしまして、一つは、普及体制を整えるということで、各県段階に米の消費拡大推進協議会というものをつくり、中央にもつくっておりますが、関係各団体代表の方に入っていただきまして、具体的な施策を立てる場合の協議をお願いしておるわけでございます。それらをことしから県だけではなしに市町村についても一部そういう体制を整備していただくということで、新たに助成もいたしておるところでございます。その他、一般的なPRといたしまして、国なり関係団体が、テレビあるいは新聞なり雑誌なり等で種々の広報をしておりますことは御承知のとおりだと思います。  それから、加工需要を開拓していく。米は小麦に比べまして加工技術が非常におくれておりますので、粒食だけではなしに粉食加工という形で新たな需要を開拓していくということも必要でございます。最近種々の新製品が出ておるところは御存じのとおりでございますけれども、これらに対しまして試験的な場合には米を無償で交付するというようなことも一部でやっておるわけでございます。  それからまた、消費拡大のための基本になりますことは、やはりおいしい米をつくるということでございますので、良質米の生産、流通の促進という意味で、米価政策の中でも良質米奨励金をことしかなり引き上げておるというようなこともやっておるわけでございます。  また、先ほどもちょっとお答えいたしました、新年度に入りましてから新米の混入率を政府売却米の中において高めたということもその一助にしておるつもりでございますし、先ほどお答えいたしました流通改善もその一環ということで考えておるわけでございますが、来年はさらにそれらの施策を一段と強化をしてまいりたいということで検討を進めておるところでございます。  なお、消費宣伝の場合に農林関係あるいは流通関係のものだけが国民に訴えかけてもときどき手前みそに聞こえまして逆効果の場合もなくはないという意見もありますので、むしろ第三者の医師、栄養士という方から、米がいろいろ誤解を受けておりますのでその誤解を解いていただくと同時に、積極的に健康維持上すぐれておるというような面をいろいろな形で普及していただくというようなことにも重点を置いてやっていきたいと思っております。
  125. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 お米の問題は以上で終わらしていただきまして、続きまして、私は資源リサイクルの問題について具体的にお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  現在の世界経済の転換期に当たりまして、先進工業国は長期不況からの脱出と新しい経済成長への転換をどのように進めていこうかということをいま悩んでいるわけでありますが、こういうときには環境問題と資源問題、いろいろ条件もありましょうが、これまでの生産第一主義、いわゆる生産優先主義のもたらしました環境危機及び資源危機に対する反省がいま要求されているときだと思います。特に日本のように資源小国であります国、また公害の先進国とも言われているわが国においては資源の節約、有効利用と経済の環境適応が切実な緊急の課題となっておるわけであります。  資源リサイクルは、資源の節約、有効利用と、資源の利用と廃棄に伴う環境汚染の防止、こういう点を図りまして、資源リサイクルを実効あらしめるためには資源再生技術の開発など技術問題にとどまらず、資源リサイクルを可能ならしめる社会的経済システムをつくらなければならないというふうに思います。いろいろ障害もありますし、その資源の社会的循環再生システムといういわゆるリサイクル社会というものをつくらなければならないわけでありまして、水資源や土壌、大気あるいは緑などの環境資源もまた汚染、破壊、それから浪費という形で危機的な状況にあるわけでありまして、この状態を、化学農業あるいは現在の地力の減退をもたらしている農産物の再生産という重大な支障を起こしている現状を見ますときに、有機肥料への見直しが要求されておるのが現状であります。そこで、これらの資源もまたそのリサイクル、適正利用の浄化の時代というふうに言われておりますが、現在日本の国土が死滅化しているというふうにまで言われるぐらい土地が荒れているという現状であります。こういう点から農林水産省は、農協組織などでも土づくり運動というものを進められておりますが、その有機肥料の堆肥の見直しというふうなことが言えると思います。  さて、第一番目に、農林省は資源リサイクルの必要性というものを、私いま趣旨を申し上げましたけれども、こういう点で必要性を認めていらっしゃるかどうかを第一点お尋ねをいたしたいと思います。
  126. 今井勇

    ○今井説明員 また詳しくは担当の局長あるいはその他の政府委員から御答弁させますが、私、農業というのは本来自然の生態系を有効に活用して営むものだと理解をいたしております。したがって、有機物を有効に利用して自然のリサイクルの仕組みを最大限に利用するのが基本であろうと思います。  そこで、農林水産省でも、たとえば家畜の排せつ物、こういったものの土壌還元によります地力の維持向上を図るためのいろいろな事業を推進いたしております。また、先生御指摘のとおり、農業サイドから見ましてたとえば資源として利用可能な各種の廃棄物、この中にはもちろん都市廃棄物も含まれますが、そういったものの積極的かつ安全な活用についても資源の節約あるいは有効利用を図るという観点から重要であると考えておりまして、そのために現実に都市廃棄物を堆肥として農業に利用するための研究をやっておるところでございます。
  127. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 現在、農地が死滅化しているというふうに言われておりますが、農林省はその土地の状況等をどのように把握なさっておられますか。現状で結構でございますのでお答え願いたい。
  128. 松山良三

    ○松山説明員 最近労働力が減ってまいりまして兼業化した、そういった事情、あるいは農業経営が専作化して作物が単一化する、そういった諸事情によりまして、農家にとりましては、御指摘のように、必ずしも集約的な土壌管理が行われがたい、そういった事情もございまして地力の低下が懸念されている、そういうこともございます。そういうことで、農林水産省としましては、五十年から地力の変化がどのようになっているかといった実態調査を行いました。その調査結果によりますと、低下したところもあり、あるいは維持、倍増したところもございますけれども、地力が低下する、そういったところにつきましては、原因としまして土層の圧密による透水性の不良あるいは耕起深が浅いということのために作土が浅くなった、そういった事情、あるいは作土中の炭素含量、窒素含量の低下、これは有機物の減少ということでございますが、そういったこと、あるいは土層の塩基状態がアンバランスになる、地力が低下している場合にはそういう事情によると把握している次第でございます。
  129. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 米づくりも作物づくりも同じでありますけれども、その土壌ですが、土づくりから始めなければならないというふうに先人は教えてくれております。その土づくりということに農林省は五十一年度から取り組まれているようではございますが、どのような予算化をされてその土づくりをなさろうとなさっておられるのか、その点をお尋ねをいたしたい。
  130. 松山良三

    ○松山説明員 先ほどの実態調査は、五十年からやっておりますが、その前からもいろいろ調査その他をやっておるわけでございますけれども、この実態調査によりましていろいろな低下の原因等もわかってまいりましたので、さらに、その低下の原因が関連する農業事情も、労働力の不足等もわかっておりますので、そういった事情に対処して土づくりをする。健全な土壌によって健全な作物をつくるということが、御指摘のように非常に大事でございますので、全国的な土づくり運動をやっております。その一環といたしまして、土壌管理を適切にするために、土壌の診断事業をやっております。これは約六百何十カ所の普及所がございますが、普及所に土壌診断施設を設けまして、その施設を利用して土壌の診断をし、適切な指導をするということをやっております。  それから、労働力の減少、兼業化等によりまして、昔と比べますと堆肥の施用が減っておる、そういった事情もございますので、そういう堆肥の施用を促進するために、堆肥づくりを、集団的に生産あるいはその堆肥を運搬、施用する、そういうことができるような機械施設の導入も行っております。  それから、不良畑土壌につきましては、これは透水性が不良ということが非常に原因でございますので、弾丸暗渠、心土破砕あるいは下層土の肥沃化その他石れきを除去するとか、そういった土壌の事情に応じた対策を現在行っておるところであります。
  131. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、農地が死滅しかかっている、そういうときに土づくりをなさるという意味はわかりましたけれども、その予算化は、私の調べたところによると、その土づくりの予算じゃなくて、いまおっしゃるようなことで一ヘクタール当たりの予算が何と一円六十銭ぐらいの程度じゃないかな、こういうふうに思えますけれども、この点いかがですか。
  132. 松山良三

    ○松山説明員 先ほど申しました土づくりは農家に対しまする啓蒙指導でございますので、金額としましては本年度約八百五十万でございます。  それから、先ほどの地力保全対策診断事業でございますが、本年度の経費は約四千八百五十万でございますが、これは普及所に施設がございますので、施設を活用してとにかく診断をしているということでございます。その運用費、運営費ということでございます。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  それから、先ほど地力培養のために堆肥づくりをするための機械施設を入れる、あるいは不良の畑場の土壌改良をする、そういったようなお話を申し上げましたが、こういったものに要する経費を本年度約八億四千四百万計上いたしております。
  133. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農地の死滅化を防ぐということでいまのような微々たる経費で土づくりを行っていらっしゃるというのは、私ども農民の立場からいたしますと、農林省は本当にそのことをお考えなのかどうかということを申し上げたい。特に私は死滅しかかっている農地をどのような手段方法で改善なさろうとしておるのか、お尋ねをしたい。
  134. 松山良三

    ○松山説明員 ただいま申し上げましたのは、五十三年度の土壌改良に要する計上経費につきまして御説明申し上げたわけでありますが、この土づくり、農業の基本的な問題につきましては、これは指導ということで従来から普及事業の大きな指導事業の一項に取り上げまして、現在、普及員千人も入れまして一万三千人ございます。また、農協には営農指導員等もございますが、そういう方方も合わせまして一体となりまして指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう指導に要する経費というのは普及事業等の経費に含まれておりますので、必ずしも経費的に申し上げるわけにいきませんけれども、そういうことでとにかく土づくりは農業の基本でございますので、そういう意味で指導に全力を挙げておるということでございます。
  135. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 パーク堆肥またはふん尿堆肥が十分に確保されないという現状でございますが、この堆肥の必要性は認めていらっしゃるわけですけれども、いま私が申し上げましたような堆肥の必要性とともに、農林省としてはそういうパーク堆肥あるいはふん尿堆肥等をどのように確保なさる計画を持っていらっしゃるのか、お答えを願いたい。
  136. 松山良三

    ○松山説明員 先ほど冒頭に政務次官からお答えをいたしましたが、リサイクリングということで農業、林業も含めましてそういう農畜産、林産物の副産物あるいは廃棄物を堆肥化して利用するということは、次官からお答え申し上げましたように、進めておるわけでございます。なおまた、都市の廃棄物等につきましても、安全性を確認しながら研究をしているというようなことでございまして、そういう意味でリサイクリングという農業の原理に基づいて指導を進めている次第でございます。  なお、そのやり方としましては、従来は農家が一軒一軒そういうことを、作物を生産し、一頭、二頭の牛を生産し、その中でやってまいったわけでございますが、先ほどお話ししたように、経営が専作化してまいりましたので、そういたしますと、片っ方では家畜が非常に多頭飼育になりますのでふん尿が偏在をする、もう片っ方では野菜の残滓が出てくる、あるいは片っ方では稲わらが処理に困る、そういうことでもございますので、そういった作目間の経営の結合を図りまして、地域複合と言っておりますが、地域全体として土づくりをしながらよい農業経営ができるように、そういう指導を行っております。
  137. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 化学肥料の使い過ぎまたは農薬の大量使用ということがいま言われておりまして、それが原因で土地の老化現象が起こっているというふうにも言われているわけですが、その使用量が多くなった理由というものは、農林省はどのように踏まえていらっしゃるのですか。お答え願いたい。
  138. 松山良三

    ○松山説明員 御指摘のように、昭和三十年代から四十年の当初にかけまして、肥料、農薬がふえてまいったわけでありますが、原因といたしまして、一つは、その時代にそういう資材の施用量の多い野菜等の園芸作物、あるいは果樹等の作付がふえた、そういった事情もございます。が、何よりも主作物でありました水稲につきまして品種改良が進みまして、非常に耐肥性の強い、肥料を相当やってもなお倒れないで増収できるような、そういう品種が育成をされまして、それによって施肥がふえる、あるいは追肥技術が発達しまして、そういう意味の施肥技術の改善、その他土地改良が進みまして、そういうことで肥料の増収によってあるいは農薬の施用等によりまして増収できる、そういう技術の発達とともにふえたと思います。  それから、農薬につきましては、特に労働力の減少に伴いまして除草剤の使用がふえる、そういったこともございましてふえてまいった、そういうふうに考えております。
  139. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 化学肥料や農薬の大量使用によりまして作物にはどんな影響が出ておるのか、また、われわれの人体に及ぼされている影響というものは、どのように農林省把握なさっていらっしゃるか、また、人体に影響をもたらすであろうという可能性があるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  140. 松山良三

    ○松山説明員 先生お尋ねの問題は、特に農薬の使用に関連する問題であろうと思いますが、そういう農薬を初めといたします化学資材によりまして人畜に被害を生ずる、あるいは国民の生活環境に悪影響を及ぼす、そういったことは重大でございますので、そういったことのないように、実は御存じのように、農薬の安全性を確保するため四十六年でございますか、農薬取締法を改正いたしまして万全を期しておるわけでございます。  中身的には、毒性あるいは残留性の強い農薬を禁止をいたしまして、御存じのように、BHC、DDT等は禁止をいたしました。また、使用の制限をいたしております。それから、食品の安全性という意味では、食品衛生法に基づきまして食品中の残留基準が定められました農薬につきましては、そういう基準以上の農薬が残留しないように農林水産省としましては農薬の安全使用基準というものを定めまして、使用方法、使用期間、使用回数、そういった制限をいたしまして安全を期しているところであります。
  141. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 実際のコンポストの本論に入ろうと思いましたけれども、与えられた時間でございますので、時間は守らなければなりませんから、次回に私は譲りますが、一点だけ、農林省の方でもこのコンポストについて積極的なお考えをお持ちだと思いますので、この次のときに具体的にまたお尋ねをしたい。  それから、一点要望ですが、ミミズの養殖でございます。まだ農林水産省には何かミミズのことについてその課がないようでございますので、この点も私お尋ねをしたいと思っておりますので、この次までぐらいに、課をつくれという意味ではございませんが、ぜひお答えいただけるようにお願いをしたい。  以上で終わらしていただきます。
  142. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 津川武一君。
  143. 津川武一

    ○津川委員 私は、きょう森林、国有林や民有林をもう少し何とか守れないかという立場から若干の質問をしてみます。  実は昨年の暮れ、秋田営林局のお世話になって能代から二ツ井の状況を教えていただきました。この間は長野営林局のお世話になって南木曽の国有林野を、また青森営林局のお世話になって弘前、鰺ケ沢、深浦の営林署、下北の川内の営林署、国会の委員会としては大畑の営林署などを見せていただいたわけであります。本当にお世話になりました。ありがとうございました。皆さんよくお世話してくださいまして、よかったと思っております。  そこで、ここを見て、私、日本の一人の国民として非常に心配になってきたことがあります。それは木曽のヒノキ、秋田の秋田杉、津軽・下北のヒバ、これは日本の三大美林として私たちが受け継いできた宝の山でありますが、これがだんだん減っている。非常に考えさせられました。なぜ減るかといろいろなことを考えてみましたら、いずれも成長に、切って経済的な価値として売り渡すまでに長い年月かかる。そこで、独算制を強いられた林野行政でちょっとめんどうだ、単位の営林署は上からそういう指令が来るものだからヒノキもヒバも秋田杉ももてあます。民間で言うと、植えて宝になるまで六十年、百年とかかるので一代に財産にならないので植えない、こういうことなわけなんです。しかし、私たちは守らなければならぬ。  そこで、こういう宝は、国が、林野庁が、政府がもっとお金をつぎ込んででも守らなければならないと思う点が一つ。仮に独立採算制であっても、民間人であっても、六十年で売ることができるヒバを、三十年くらいのときに前渡金などを渡してやる制度があると林野庁もやりやすい、民間でも育てる、こういうことになるかと思うのです。こういう私の提案にもこたえながら、この三大美林を守る施策に対して方針を明らかにしていただきたいと思います。
  144. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま先生から木曽のヒノキ、秋田の杉、青森のヒバという日本の三大美林についての今後の林野庁の考え方の御指摘がありましたが、私どもも、確かにいま申し上げましたこの三つは、日本でも昔から三大美林として言われてわれわれの先祖が築き上げた日本でも有数の美林であるというふうに考えております。そのために、林野庁といたしましても、それぞれの地域にやはり長伐期の施策をとりましてその地域については伐期を長くする、あるいは必要な個所につきましては学術参考林等々にいたしまして、一定の面積を未来永劫に残すというような形でそれぞれの施業をいたしております。しかしながら、それ以外の個所につきましては、やはり現在日本におきまして過去に比べますと相当木材の使用量がふえております。さらに、それをできるだけ国産材で賄いたいというわれわれの希望もございます。そういう意味から、国民に木材資源として活用していただくべく、それらの森林につきましても伐採をいたしまして国民に御利用いただいておるというのが実態でございますが、私どもも、やはり切った以上は、その後に、ヒバであれば萌芽更新等の天然更新でもできますが、木曽ヒノキであれば択伐ということも考えられます。杉についてはやはり植えていくということが中心になろうかと思いますけれども、そういう観点から、それぞれやはり伐期の長い施策をとる面もとりながら、未来永劫にそういう地域についてはそういう優秀な美林が、そしてまた優秀な杉なりヒノキが残るような形で施業はとってまいりたいというふうに考えております。
  145. 津川武一

    ○津川委員 いまの長官の答弁で心配な点が一つ、答えていただかなかった点が一つ。  心配なのは、一定の面積は残すと言う。私たちは、いまある面積は減らしてはいけない、むしろふやしていくという方針が必要かと思うのです。これが一つ。  民間でヒノキを植えるに植えられないのは、長いことかかるから。したがって、これを育てるとすれば、前渡金的なもの、何かそれだけでなくてもいいから、的なものを考える。この点が一長官から答えていただけなかった。  この二点を重ねてお願いします。
  146. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま日本ではやはり六五%は外材が入っておりますけれども、昭和四十年代の初めまでは大半がやはり国産材が使われた。その間、外国からも材も入ってまいりませんから、どうしても国民の需要にこたえるためにはある程度の伐採をして国民に利用していただく必要がございました。そのために国有林も確かによけいその時点では切りましたし、そういう意味からやはりその時点での経済的な判断から国有林というものはある程度の伐採をいたしておりましたけれども、現時点におきましては外材も相当入ってまいりますし、伐採量も、過去においては総体で二千五百万立方近く切っておりましたものを、いまは千五百万立方、将来においては千三百五十万立方まで落とそうという形で対応いたしておりまして、そういう意味では先生のおっしゃるように、今後できるだけ必要なものは長伐期なり残していこうという姿勢でございます。  それから、二点目の中途で資金を出してやることは考えられないかというお話がございました。これについては、民有林につきましては、中間分収的な性格で市町村有林についての施策を数年前やっております。ただ、国有林について、やはり中間というのは非常にむずかしい問題もございますので、これはさらに今後検討すべき問題ではなかろうかと思っております。
  147. 津川武一

    ○津川委員 次の質問は植林、保育、手入れについてであります。  川内の営林署で、局からと署長さんたち幹部に出ていただいて、非常に手入れのいいところを見せていただきました。よく手入れしているのを私もこの目で感じ取り、皆さんの苦労も身にしみたわけでございます。それはそれなりによかったのですが、問題は下刈りなんです。営林署では、五年間合わせて五回やる。その下刈りも地上二十センチの高さでとめる、二十センチ以下のところは残す、こういうことでございました。地ごしらえについて十アール七千五百円、それでやるので、伐根やそこにあったしばなどを束ねて畝にしている。それでいい地ごしらえができない。これが営林署の人の悩みでもありました。私もそれを見せていただきました。川内のいいところだった。  ところが、今度もう一つ、民間の人たちと一緒に歩いて協議して、部分林、そこで国のものを民間の人が育てている杉林に行ってみた。営林署のも見た。ところが、民間は下刈りは八年ないし十年、八回ないし十回、そして下刈りは地はだが見えるまで。そして、地ごしらえするときには、畝にならないようにやっている。私たちの地方の言葉でドンジとボンジという言葉があるのです。それで、営林署の方はドンジなんです。部分林の方はボンジなんです。伸び方に雲泥の差があるということなんです。  ここで考えさせられたことは、やはり何か縮小経営、人手を使いたくない、企業整備、人減らし、こういう考え方があるのじゃないか。思い切って部分林みたいに手当てするならばよく育つ。人もよけい使うにいい。機構は縮小どころかふやしていかなければならない。こんな形になるのじゃないかと思いますが、いまの下刈りの状況や地ごしらえはこれでいいのか、とことん育てるとすれば、そういう点で縮こまっているのです。現地に行ってみたら。これはやはり独立採算から、上の方からこういくからでしょうが、脈々と山を育てる覇気が、よくやっている中で欠けている。ここいらの政策は徹底しなければならないと思いますが、施策、指導方針を伺わせていただきます。
  148. 藍原義邦

    ○藍原説明員 いま先生から国有林の造林経営については非常に縮こまっているという御指摘をいただきました。私どもも、国有林がここ数年非常に財政的に厳しい状況にございまして、何とか技術的に許せる範囲内においてそれなりの対応をしていこうという姿勢をとっておりまして、そのために、あるいは先生御指摘のような状況が全国的にないとは私も申し上げません。しかしながら、林業と申しますのは、私が申し上げるまでもなく、それぞれの地域地域に合った形でいろいろなやり方があろうと思います。下刈りの回数等におきましても、その地域の状況によりましてその回数も違ってくるではございましょうし、また、その年々の状況によっても的確な判断をする問題も出ようかというふうに考えております。  そこで、私ども、これからの国有林の造林のあり方につきましては、先般の国会で御審議いただいて決定いただきました法律に基づく国有林の改善というものを進めてまいりたいということで、特に私どもとすれば、これからの国有林の使命はやはり優良な山づくりをすること、これがやはり国有林の大きな使命でもございますし、そういう点から造林事業につきましては、それぞれの営林局におきましてその造林方針というものを決めておりますけれども、やはりそれは一つの基準でございますし、その地域地域によりまして、その基準に合ってやりながら、なおかつ必要な場合にはいろいろな応用動作もあろうかというふうに考えておりますが、そういう観点から、私どもはその地域に見合った技術的な基準、そしてまた、ある意味では余りむだな金をかけないで済む方途、こういうものも考えなければいけないと思いますから、最大の技術的な判断で、最小の経費で最大の効果が生まれるような方向を見出しながら、造林事業については今後とも進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  149. 津川武一

    ○津川委員 そこで、川内に行ったときですが、局の方と営林署長と私と三人だけが車に乗って、営林署の運転手なんです。私はいろいろなことを聞いてみたのです。たとえば、ブナの人工林をやったらどうだ、ケヤキの人工林をやったらどうだ、非常におもしろい、楽しみだと言う。それを言い出せるかと言ったのです。いま杉に植えかえているときに、そんなことなんかとても言えたものじゃないと言う。皆さん、いい考え方を持っているのです。それが出てこないのだな。このケヤキの人工林だとかブナの人工林は、また適当なときに相談に行ってまいりたいと思いますが、こういう空気が伝わってきてさびしかったのです。  そこでそういうことがないように、ひとついろいろな意見が出せるように指導してほしい。実際、部分林と川内の営林署、一生懸命やっている、ほかの営林署に比べたらよく育っている、同じ杉の苗がこんなに違うので、現地をもう一度調べてみて、部分林に学ぶことがあるかないかを検討してほしいのです。そして、変えるところが多小あると思う。変える必要があるかどうかも検討して、また私たちに返答願いたい。いまの長官の話だけでは、あそこで川内の問題は部分林との差が縮こまらないので、具体的にこのことをお願いする次第でございます。  第三番目の問題は、今度は南木曽の三殿と妻篭の営林署のところに行ってみました。ここでも局と営林署の人たちが非常によく説明してくれたし、見せていただきました。見たのは、不成績の山、不良造林地、カラマツが育ってないところ、こういうところなんです。  この点で若干指摘しながら聞いてみますが、妻篭の営林署管内の場合、営林署の調べで不成績、不良造林が四十二ヘクタール、労働組合の調べでは四百六十ヘクタール、十倍以上の開きが出ております。この点は、この間この委員会で論議したから重ねて問題にしないが、やはり不思議でした。この点、皆さんの四十三ヘクタール、労働組合の指摘した四苦六十ヘクタールもやはり発育、生育、保育が十分なところでないと私は身をもって感じてきましたが、林野庁もこの二つは何とかしなければならぬと考えておいでになるかどうか、まず認識をお伺いします。
  150. 藍原義邦

    ○藍原説明員 造林地の問題につきましては、先般の国会におきましてもいろいろな御指摘をいただきまして、われわれもそれなりのお答えをしたわけでございますが、私どもも、ただいま国有林にございます造林地すべてがうまくいっているとは考えておりません。先生御指摘のように、確かに造林地につきましては、一部余り成績のよくないところもある。特に北海道あるいは長野の地帯には、過去において大風倒がございました。そして、その風倒のために、まだ技術的に非常に開発されていない、標高の高いところが相当量風倒を受けまして、それに関連した伐採をいたした、その地域に早急に造林をするということで、ある意味で造林技術的にも煮詰まっていないところに造林をしたという実態もあろうかと思います。特に先生御指摘になりました妻篭につきましては、面積に対しましても相当の風倒が出まして、そこを何とかやはり造林しなければいけないということで、急速カラマツ等々を中心に、標高の高いところでございますので植えた。しかしながら、やはりいろいろな面から、土壌の問題あるいは雨量の問題、標高の問題等から、必ずしも現時点で十分な生育はしていないとわれわれ判断しているものもございます。したがって、私どもは、できるだけ早い機会にこれらの問題について十分精査をいたしましてその対応を図ろうということで前国会でもお答えしたつもりでございますし、また、ただいま本年度の実行をまだやっておる地域もございます。したがいまして、こういうものが終わりました段階で、その辺につきましては十分私どもも精査いたしまして、それなりの対応をしてまいろうというふうに考えております。
  151. 津川武一

    ○津川委員 いずれにしても、皆さんの四十三ヘクタール、労働組合の四苦六十ヘクタールはやはり手当てしなければならない。いまやると言うからいいけれども、これはやはり特別計画を立ててやっていただかないと、あの荒廃の状況は見過ごすわけにいかないので、重ねてこの点を要求するし、具体的な計画も伺わしていただきたいと思うのです。これが一つ。  もう一つは、この四十三ヘクタール、よく調べて説明を聞きました。カモシカの被害の三ヘクタールを除く四十ヘクタールは経過観察地になっておって、施策を待って経過を見るという態度なんです。しかも、経過観察地にしておきながら、ここでの収穫予想表に林分を計画してあるのですね。つまり不良造林地で経過観察するものの、ここで収穫されるものを資産として勘定というのですか、粉飾決算みたいな感じもないわけではありませんが、こういう点、やはりとことんに四十三ヘクタールも手当てすべきだと思うのです。これが二点。いかがでございますか。
  152. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘のように、妻篭にも確かに不良造林地、いい造林地でないものがあろうと考えておりますが、その経過観察をするという個所につきましては、先生御存じのとおり、現地でいろいろお話を聞かれておると思いますが、カラマツを植えましたのが大体昭和三十六年から四十三年の間でございます。すでに十年たっておりまして、やはりああいう亜高山地帯になりますとカラマツの成績が必ずしも芳しくないということは認識いたしておりますが、そこに亜高山地帯の樹種でございますシラベとかハンノキとか、いろいろ亜高山樹種が入ってきております。したがって、この時点でこれをまた全部刈り払いまして一体何を植えるかという大きな問題もございます。そういう点を詰めなければいけないという問題と、また、こういう地域でございますれば、いま申し上げましたシラベ、コメツガあるいはカンバというものがどういうふうに今後生育していくのか、その辺を見きわめながら、どういう方法で技術的にやっていくことがこの地域で一番適した林業技術であるかということを詰める必要もあろうかと私ども思います。  そういう点で、現地で御説明いたしました地域についての経過観察という形を御説明したと思いますけれども、地域によりましてはそういう地域を十分とりまして、今後二度とこういう間違いの起きないような詰めをしていく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
  153. 津川武一

    ○津川委員 この不成績のところ、不良造林地の中にカラマツが入っていたことは長官の答えたとおりですが、カラマツに対して皆さんが四十八年以降はやらなくなったことはそれなりに見てよかったと思うのですが、それでも木曽谷地域施業計画区森林調査報告書、これは皆さんの報告書ですが、これによると、あの地域が酸性地帯である、雨量が多い、崩積土でなくて斜面である、こういう点でいけなかったと言っているわけです。これなりに正しい。そこで、この後、切って何を植えるかわからないからといって消極的になっている。例の不成績地帯に対しても、不良造林地に対しても、カラマツに対しても局の態度も営林署の態度もきわめて消極的なんです。労働組合はこれさえやれば統廃合しなくてもいいと言っている。不思議なんです。報告も来たと思います。どうして営林署が、局がこのとおり施業に消極的なのかということを私は局と署に具体的に提示してきた問題なんです。  そこで、かつてあのところはヒノキの大美林であったわけです。これは天然下種で、待てばヒノキになる地帯なんです。それをいま長官もカラマツを切って後に何を植えるかということをためらっている。これがあの局の、署の消極的な方針になっているわけなんです。川内に行ってみましたけれども、状況が違う。カラマツが非常によく伸びているのです。すごいものです。だから、適地はこういうことなんです。いま言われたとおり、カラマツは問題がある。したがって、民間の意見も聞き、専門家の意見も聞いて直ちに、あのまま置いておくと日和見にしていることにもなって荒廃がちっとも片づかないので、カラマツに対してはいずれにしても植えかえるという方針を確立していくべきだと思うのですが、重ねてこの点の方針、決意などありましたら聞かしていただきます。
  154. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘の地域につきましては、現在の状況が非常に荒廃しておるから、早く適正な樹種に植えかえた方がベターであろうという御指摘であろうと思います。しかしながら、篭の大半の地域は非常に標高の高いところでもございますし、過去においてヒノキがあったということもございますけれども、その場合も必ずしもヒノキの純林ではなかったであろうとわれわれは考えております。そういう点、さっき申し上げましたけれども、ただいまヘクタール当たり大体二千から一万二千木のヒノキ、シラベ、コメツガ、カンバ、こういうものが下にずっと生えてきております。したがって、こういうものをうまく育てる方法を考えればそれなりの成林ということもまたあり得るではなかろうか。その辺、あるいは先生がおっしゃったように、一部は本当に切りましてきれいにいたしまして植えるところもあるかもしれませんが、いまそういう状況が出ておりますので、さらにこの辺を十分技術的に詰めまして、その地域に合った対応の仕方で今後その地域の成林を図っていくように努力してまいりたいというふうに考えております。
  155. 津川武一

    ○津川委員 カラマツのところに、下にまた天然下種で出てくるものもあるが、カラマツはこのままどうにもしようがないといって黙って見ているのです。したがって、この点の消極的な姿勢をやはり直していただかないと、あそこのあの問題が解決されないと思うわけでございます。  次に、もう一つびっくりしたのは山の荒れ方、治山の事業ですね。本当にかわいそうなほど山が荒れておりました。二つの営林署は、あの荒れた山を持っていて大変苦労していました。私も何とかならないものかと思ったわけです。  そこで、皆さんから聞きますと、この南木曽治山プラン特別調査報告書に基づいておやりになっているように聞いておりますが、これに対して意見もあるのです。たとえば、国土問題研究会の木村春彦先生なんというのは、自然的因子のみを前提として計画されている、二つ目には、山林経営と治山の長期的展望を結びつけないでやっている、もう一つには、森林学や生態学の専門家も加わっていない計画で治山プランを立てていると言うわけなんです。  皆さんのところは、花崗岩の深層風化地帯でどうにもならない、多雨地帯であるからということで山の荒れた原因をそこに求めて、そこで何か土木事業だけでやる計画を立てておりますが、皆さん自身の資料の中でも、明治元年から昭和二十一年までは、十年間に〇・八回の災害、国有林が独立採算制になった後、今度は昭和三十三年から五十年の間に七・二回の災害が起きて山が荒らされているのです。ここいらあたり、かなり考えなければならない点があるわけです。これが私、指摘したい点であります。  第二の指摘は、人工林と天然林の荒廃率は、人工林が約三倍、林齢別荒廃率では、六年から十年生の林地に崩壊が多く、二二%、この点もやはり考えて、山を育てていく点について十分配慮していかなければならないと思います。  第三の指摘は、過去における皆さんの第一次経営計画を見ますと、第一次経営計画では、花崗岩地帯ということで特段の施業方法は考慮されておらず、保安林の施業要件にのっとり施業がなされていた、これは皆さんが指摘していた。第二次計画でも、花崗岩地帯は、他に特別な施業方法への配慮は見られなかった、で、こういう土木工事一点張りになっていると指摘されているわけなんです。  私は、この点でやはり花崗岩地帯の弱いところでなければ、雨がなければ、風がなければということもわかるが、それでは問題が解決しないので、山の荒れることに対して政策を変えなければならぬ、したがって治山の仕事もこういう点で変えなければならないと思うのですが、ここいらの認識と政策を伺わせていただきます。
  156. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生から御指摘になりました問題の第一の、土木的な工法だけでやっておるという御指摘でございます。  治山事業というのは、先生御存じのとおり、もともと技術的な発想は造林から進んだ発想でございます。したがいまして、先生も現地でごらんになったと思いますけれども、当然渓流工事と同時に山腹工事を進めております。したがって、山腹工事をやるということは、やはりそこに肥料木を含めまして、将来林地になるような復旧を目指した治山工事を進めておるつもりでございますし、また私どもも、当然必要な渓間工事もやりますけれども、山腹を中心にした工事、こういうものを中心にして南木曽地域の復旧は図らなければいけないというふうに考えております。先生御指摘になりましたように、確かにあそこが花崗岩地帯でもうすでに表土が全然なくなってきておるということ、そのために非常に技術的なむずかしさがございまして、南木曽プランと俗に言われておるような調査をいたしまして、どういう工法をとったらいいかということを技術的に詰めたわけでございまして、今後、先生御指摘のような点も十分含めまして、その辺を見きわめながら適した工法でやってまいりたいというふうに考えております。  それから、人工林等に被害が多いというお話でございますが、森林の持ちます機能というのは、当然国土保全もございます。私ども、これからはそういう点も十分配慮しながら伐採というものは考えていかなければいかぬというふうに考えておりますし、その辺は今後とも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。  そういう点で、あの地域は特に花崗岩地帯、それに、さらには御存じととおり大きな台風に二回見舞われたということ、これが致命的な問題だったろうと思いますし、できるだけ私どもも新しい技術を投入いたしまして、あの地域の復旧が着実に進むように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  157. 津川武一

    ○津川委員 そこで、妻篭署管内なんですが、ここに皆さんの計画書があるのです。この全体計画を見ると、治山のために百億二千二百万、五十年九月の計算、ところが事業量は五十三年度で一億六千三百五十万円、これだと六十一年かかるのです。これで地元の人たちもびっくりしていて、したがって、あそこまで来たので南木曽については特別の復旧治山計画を立てるべきだ、立ててくれ、そして立てるときには地元と協力、協議してほしい、立てた計画は地元に公開してほしい、地元にも対応があるから、こういうことなんです。この南木曽の特別復旧計画に対して、そうしてほしいという地元の要望に対する方針、いかがでございますか。
  158. 藍原義邦

    ○藍原説明員 南木曽地域は、先ほど申し上げましたように、非常に荒廃地の多いところでございます。したがって、そこについての治山事業等々の投入については、私どもも積極的に対応する姿勢で従来からやってまいりましたし、治山事業五カ年計画等の進捗を見ますと、全国的平均よりも特に進んであの地域は投資がなされております。しかしながら、ただいまの日本全体の治山事業と申しますのは、先生御存じの法律に基づいた治山五カ年計画、これに基づいてそれぞれ全国的な配慮から対応いたしておりますし、私どももその五カ年計画に従った中で今後の治山を進めなければいけないというふうに考えておりますが、南木曽地域につきましてはまだまだいろいろな問題もあるということは十分認識しておりますので、今後私どもといたしましてもできる範囲努力をして治山の投入をし、なおかつ山地の復旧を図ってまいりたいというふうに考えております。
  159. 津川武一

    ○津川委員 時間が来たようですが、続けてひとつやらしていただいて、答えていただきたいと思うのです。  こういう状況で、長官、仕事が多いのです。川内に行ってみても南木曽に行ってみても、どこに行ってみても。これは縮小経営ではなくして、思い切って経営を拡大してやらなければならぬ。人がたくさん要る。このときに営林署の統廃合、統廃合しても仕事に差し支えないと言うが、そうはいかない。必ず影響が来るので統廃合は控えるべきじゃないかという点。それから、もう一つ言えば、地元がこれほど歓心になっているときに強行すべきでないという点。したがって、この点は撤回して考えていかなければならないと思うのです。この点、ひとつ十分覚悟を決めて答えていただきたい。  この中でもう一つびっくりしたのは、この間、中川農林大臣がこんなことを言っている。これは民社党に対する答えですが、「最後まで労働組合が反対していくということになればいつまでたってもできませんから、重大な決意でこれに取り組まなければならぬ、」労働組合を敵視していて森林の復興はできるものじゃないのです。ここいらの考え方が一つ。  第二の問題は、行ってみましたら平均年齢が高いのにびっくりしました。妻篭で平均年齢四十九・四歳。造林手の基幹作業職員二十人おりましたが、二十六歳一人、四十二歳一人、四十五歳一人、四十六歳四人、四十七歳三人、四十九歳一人、五十二歳二人、五十三、五十五、五十六、五十七、五十八、六十一、一人、一人、一人、二人、一人、一人、これで二十人です。これが五十九歳で勧奨退職するとすれば、五年後に六人いなくなります。十年後には十人減ってしまいます。こういう点で若い労働者が欠けている。林野行政の先が不安になる。どうしても若いエネルギーを突っ込まなければならぬ。この点で、やめた分だけはぜひ若い人たちで補うべきだと思うのですが、これが二つ目。  三つ目は、弘西林道に行ってみました。弘前、鯵ケ沢、深浦の営林署、伐採や造林に必要なあの六十三キロという大きな林道です。役割りを果たしておって、やはりいい林道だったと思いました。それなりに役割りも果たしているし、手当てもされておりましたが、問題は、弘前と西海岸をつないでいる道路になっているのです。山菜とりがすごく利用しているのです。私たちが入ったときでもキノコとりがいっぱいいる。聞いてみたら、キノコとりに来る車は多いときには三百台。これは林道の役割りと同時に地方市町村道の役割りも果たしている。県道の役割りも果たしている。ある意味においては国道の役割りも果たしていると思う。この維持管理を林野庁だけにやらしているという点ではかなり問題があるので、建設省も来ていると思いますが、これはやはり国が道路に援助すべきだと思うのです。地方道としても考えていかなければならぬ。林野庁と建設省の方針を伺わせていただきたいというのがこのこと。  最後の問題は、川内に行ってみたら、ブナの伐根がたくさんありました。それをそのままほったらかしておくのです。三年あたりからブナにナメコを植えると非常によくなる。ほったらかしておく。地元の人はこれを使いたいと言っている。これを使わせると非常に宝になると同時に、営林署と皆さんの結合も密着されてくるので、この四点、時間がないので続けて答えていただかなければならぬという質問になってしまったわけであります。  よろしくお願いします。
  160. 今井勇

    ○今井説明員 統廃合の問題について、これははっきり申し上げておきたいと思いますが、これまで何遍となく地元に営林署の統廃合について御説明をいたしました。統廃合に伴います影響を緩和するための諸方策、これを提案するなど誠意を持って対処してきておりまして、統廃合について地元の理解がだんだんと深まってきているように思われます。津川委員御存じのとおり、営林署の統廃合という性格でございますから、全面的な支持を得るということはなかなかむずかしいと思います。しかしながら、統廃合の実施まで今後とも全力を挙げて地元などの理解が得られるように努力しまして、その上で統廃合を実施いたしたいと考えております。  なお、統廃合の実施に当たりましては、いまお話しになりました治山、こういった事業の拡充、あるいはまたそのための組織等につきましては、可能な限り地元などの要望の実現に努めてまいりたいと考えております。
  161. 藍原義邦

    ○藍原説明員 二点目の現在の要員、人員の老齢化の問題でございますが、確かに先生の御指摘のように、私どもも現場で働いている……
  162. 津川武一

    ○津川委員 答弁の最中ですが、人の問題で、秋田と青森の営林局に行ったら臨時雇いがある。これは冬、仕事がないからと言っておりますけれども、通年雇用していただくということがいま日本の雇用促進のために非常に必要なので、この点もあわせて人のことで答えていただきたい。
  163. 藍原義邦

    ○藍原説明員 確かに高齢化していることは事実でございます。しかしながら、逆に、先ほど申し上げましたように、伐採量を千五百万から千三百万に落とすというような縮減の方向、伐採が落ちますれば必然的に造林も減ってまいります。そういう関係で、全般の仕事量がどうしてもここ十年間は減ってまいるという状況でございます。さらには、いろいろ能率の問題も指摘されております。そういう観点から、私どもはそれぞれの事業量に見合った適正な人員で適確な仕事をしてまいりたいというふうに考えておりますし、その範囲内におきまして、われわれは現在の労働力を十分活用していこうということを考えております。改善計画の期間中にそういう方向になるような努力をし、人員配置等につきましてもいま申し上げましたような観点から対応していこうと考えております。  それから、臨時雇用の問題でございますけれども、通年雇用となりますと、特に秋田、青森地方におきましては豪雪地帯が多うございますので、冬の仕事というのはきわめて見つかりにくい。ここに林業の悩みがございます。それをさらに、そういう状況でありながらわれわれとしてもできるだけ冬に一部伐採を振り向けるということで対応して、基幹作業職員という制度をつくりまして通年雇用制度をとったわけでございますが、これ以上それをとるということは非常にむずかしい問題がございます。その辺は将来にわたっての林野の仕事のあり方にもよると思いますけれども、現時点ではなかなか困難な問題が多かろうというふうに考えております。  それから、林道の問題でお話がありましたけれども、林野庁といたしましては、あれは十年という非常に長期間かかってつくられた林道でございますし、六十キロ以上もある、それから御指摘のようないろいろな利用のされ方もしておるということで、ただいま県の方に、できるならば県道等に移管していただけないだろうかということを要請はいたしております。  それから、ナメコの問題でありますけれども、これは現在林野庁におきましても積極的にその推進を図っておりまして、全国で約千三百六十四件のナメコ栽培用地をつくっておりますし、青森局だけでも二百五十六件、面積で四百二十ヘクタール、ナメコに利用していただいております。そういう御要望があれば十分対応してまいりたいと考えております。
  164. 金子晃

    ○金子説明員 ただいま御指摘がございました弘西林道につきましては、四十八年に完成したと承っております。県道の認定でございますけれども、県道につきましては知事が議会の議決を経まして認定することになっております。お話がありましたこの件につきまして県の方に問い合わせしてみましたら、現在の道路は林道という目的でつくったということでございますので状況が大変悪くて、のり面等いろいろ不安定で、一般交通の用に供するのは問題があるのじゃないか。それから、山菜というようなお話が先ほどございましたけれども一般には利用の交通が少なくて、やはり林業関係の車両が大方であるというふうなこと、それから全体の県道としまして緊急に整備をする路線がほかにもありまして、緊急度といいますか、優先順位といいますか、そういうことで問題もございますので、現在のところは県としては県道認定は考えていないというふうなことを聞いております。  私どもといたしましては、いずれ県の方から認可申請が上がってまいりましたら、私ども持っております路線の認定基準に照らし合わせまして、いろいろ検討してまいりたいと思っております。
  165. 津川武一

    ○津川委員 終わります。  もう少し聞きたいのだけれども、時間がありませんので、またこの次にさしていただきます。
  166. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会