○芳賀
委員 大臣、あなたしらばくれて言っているのじゃないですか。あなたはわれわれのように素人でなくて、昔北海道開発庁の職員をやって、大野開発庁長官の秘書官でかばん持ちなんかやったことはあるし、それから北海道開発
予算を通じて、公共事業の単価の計算とか人件費の配分とかその管理費をどうするかということを自分で事務屋として手がけた経験があるでしょう。その場合、国有林野事業というのは一般会計でやっておるわけじゃない。国有林野事業特別会計法に基づいて特別会計方式でやっているから、これが公共企業体ということになるのですよ。だから、だけはどっちについているかわからぬが、とにかく林野庁の上級幹部から下級に至るまで特別会計の事業費で人件費は全部支弁しているわけです。そうなると、給料をもらうということになれば、造林の経費も持たせなければならぬ、あるいは素材
生産とかその販売の経費の中にもこれはしょってもらわなければならぬということになるでしょう。ここに単価の計算上とか
生産性の算定上の問題があるのじゃないか。請負に付する場合には、たとえば植えつけの造林費が一ヘクタールにつきたとえば三十名あればいいということになれば、一人の一日の労働賃金が七千円とか八千円とかというふうに計上する。それから全体の請負事業費のたとえば五%なら五%というものは別途事務費に計上する。これは単純な計算だから、ヘクタールとか一人でそれを割って、これが労働の
生産性でございますということになると、その計算方法が全然違うわけです。特別会計の場合にはこういうふうにやっていますから、実際にその現場で働いておる職員や作業員の一人当たりの経費単価というものは、山で働かぬ偉い給料の高い人のものを
相当しょっているわけだから、その点を
国民の前に明らかにしないで、ただ請負は一人当たりの
生産性が高い高いと——それから白ろう病の場合も、七千人の半分が白ろう病として認定されて、
国家公務員の災害補償の取り扱いを受けなければならぬという非常に気の毒な状態になっておるでしょう。しかし、身分上はやはり林野庁の職員であり、それは依然として伐採手であるということになると、伐採手の総員で
生産高を割れば、じゃあ一人当たりは非常に
生産性が低いじゃないかという答えになるのですよ。請負並みにやれば、病人は全部除いて実際に現場で就労した
人たちの労働の成果というものを一人当たり幾らということにすれば、そんな変わりは出てこないのですよね。そういうやるべきことを、知らしむべきことをやらないで、経費が倍も高い、だから請負にした方がいいんだということは、全く子供だましのような議論で、それがまかり通ると思っておっては、これから五十年、百年、二百年にわたる長期的な国有林野の経営というものは責任持ってできないじゃないか、能力がないじゃないかということになるわけですね。そこをよく今後反省して改めるものは改めていってもらいたいと思うのです。
それから最後に、これは昨年の十二月二十三日ですか、閣議決定と称して行政機構の縮小の一環として営林局の場合には、これは設置法の改正で四局を対象にするとか、営林署の場合には、これは五十三年度に北海道を除く九営林局単位に一署ずつの九署を廃止の
方向に進める、将来はいつまでということはわからぬけれども、三百五十一のうちの一割程度は、この改善
計画にも書いてあるけれども、この改善
計画の
実施の状況をにらみながら縮小の
方向に持っていくということが決まっておるわけですね。とにかくいきなり第一年目に一局一署で九つの営林署をなくしてしまおう。こういう無謀なやり方というのは、これからのこの改善
計画実行の上から見ても、一番大事な設置法も強調しておること、営林署というものが国有林野の造林と営林を担当していかなければならぬ、民有林の造林と営林を指導しなければならぬ、国有林の立木の
生産とか販売を営林署はやらなければならぬ、民有林の立木の取得とかそういう面についても、営林署というものは国有林野事業の重大な基礎的な事業の主体的な
実施主体として積極的に仕事をしなさいということはもう全然行われておらぬ状態の中で、さらにまた、なお追い打ちをかけるように、いきなり画一的に一署減らすこの
影響というのは甚大なわけですね、現地
調査をやっても。
たとえば高知県の馬路営林署の場合は、あの村の人口は千九百六十二名しかいないのですよ。その中で肝心な営林署が
一つ廃止されるということになれば、その
影響は削減される営林署の署員並びに家族だけにはとどまらぬでしょう。その
地域社会の
経済的あるいは
産業上の問題とか行政上にも、もう重大なむしろ致命的な
影響を与えるわけですよ。これがなくなったことによって馬路はもう
社会形成ができないというようなそういう場合も出てくるわけですからね、人口二千にも足らぬような小さい山村の場合には。
そういうことを、ただ何も無
計画に、とにかく高知営林局で
一つつぶせ、熊本営林局の場合には離島の五島をなくせというようなことを一体どこで
考えて天下り的にやり玉に上げてくるか、その真意がわからないですよ。幸いというか、農林省設置法の改正法案の審議の際、あるいはまた国有林野事業の改善特別措置法の両案を修正成立をさせる場合の審議の過程、あるいは
農林水産委員会や内閣
委員会の法案成立に附帯した附帯決議等においてもこの点は十分に
指摘をしてありますし、この点は
大臣も明快に、営林署廃止といっても
政府や農林省が権限をもって一方的に廃止するということは全然しません、歴史的に長い関係を持ってきた、特に山村等における営林署の廃止については一方的なことはしない、あくまでも現地と十分話し合いをして、
理解、協力を得ることができた暁に
方針に基づいて廃止をしたいということを繰り返して言っておるわけですよ。この点だけは
中川大臣としても明快に言っているので、その点は私も了としておるわけです。しかし、
大臣だけがそう思っても長官とか各部長が、いや
大臣、これは何が何でも来年一月に看板を外さなければいけませんよということになると、単純なところがある
中川農林大臣は、そんならやっちまおうか、青嵐会ばりでやっちまおうかということになると、
大臣が
考えていない点も強行されるということになるわけですから、この点は本当に
国民の国有林という
基本に立って、いま大変なときである、営林署を
一つや
二つなくしてこれで国有林が立ち直るものじゃないですから、ますます営林署に力を与えて、いままで以上二倍も三倍も、やっていなかった仕事がやれるような体制の整備強化というものの
方向にこれを持っていくということが一番大事なわけだから、その点はくれぐれも
大臣に私から申し上げまして、これについて特に
大臣としての御所信があれば率直に述べてもらいたいと思います。