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沖本小
委員 私は休憩前の
質問から引き続いてということになるわけで、
質問の
内容がばらばらに飛ぶようなことになりますけれ
ども、前にお伺いした問題と、これからいろいろ申し上げることとを関連させながらそれぞれお答えいただきたいと思うのです。
それでまたもとに戻るようなお話になりますけれ
ども、そして言わずもがなみたいな点になりますが、どうしても私としては納得できないので、原点に一遍返ってみたい、こういうことでお伺いするわけですけれ
ども、
同和対策特別措置法の第四条に「国及び
地方公共団体の責務」というのがある。これには「国及び
地方公共団体は、
同和対策事業を迅速かつ計画的に推進するように努めなければならない。」こうなっておるのです。ところが、いままでいろいろ指摘された点からいきますと、超過
負担の問題なり、この
法律ができてから
政府の
補助なり何なりいろいろな
問題点が浮き彫りにされてきた。
法律が十分でないので、十二項目の確認事項までついておったわけなんです。そういう
内容の中から進めていったわけですけれ
ども、公共団体という点からいきますと、結局
地方公共団体のところにしわ寄せがうんと行っている、これは否めない事実だと思うのですね。
そういう点からいきますと、「国及び
地方公共団体は、」とこう明記されているわけですけれ
ども、国というのが抜けているような気がするわけです。ほとんど
地方公共団体にしわ寄せが行って
負担が多くなって、現実に困ってきている。また、あるところではいろいろなことから
問題点が浮き彫りにされてきているという点を考えなければなりませんので、当然これからの一年間にもその点を十分検討していただきたいということになります。そういう原点に返って物をもう一度考えていただきたい。
それから、今度は第五条は「
同和対策事業の目標」になるわけですけれ
ども、「
同和対策事業の目標は、
対象地域における生活環境の
改善、社会福祉の増進、産業の振興、職業の安定、
教育の充実、
人権擁護活動の強化等を図ることによつて、
対象地域の住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消することにあるものとする。」と、こうなっているわけです。ですから、その点からいくと、たとえば
残事業が幾らあるということになれば、これはこういう諸問題をどの程度解消したことになるのだろうか、目標を達成したことになるのだろうか、そういう点の指摘が
政府機関の中でなければならないと思うのですね。これだけの
残事業があったということなんです。その点をもっと振り返ってみますと、結局、さっきも指摘しましたけれ
ども、この
法律ができてから五年目に
対策室ができた、こういうことになるわけです。そういう観点から見ても、前期の五年の間には事実上何も十分なことが行われていなかった。これは記録を読んでみても皆おわかりだと思うのですけれ
ども、
各省ともまだ
実態がわかっていませんからという御返答なんです。なるほど
予算は出ておったわけですけれ
ども。ですから、
同和対策に対する本当の仕事というのは
実態がわかってからやりますというのが、
各省のお答えだったわけです。それで、五年目に至ってやっと
実態らしいものが出てきた。それに従っていろいろと各年ごとに
予算が組まれていき出した、スタートがし出したということになるわけですから、その辺に重大な問題が残ってきておる、こういうことを言わなければならぬ。
そのために、やはり
残事業の中にいろいろな
問題点が出てきておる、こういうことになりますし、また、十二項目の確認事項をつけて、各大臣がそれに対して間違いなく実施しますということを最終的にはお答えになってやっておるわけです。その点につきましても、確認事項の中で、
総合的推進について
――「同和」の問題の早急かつ完全な
解決は国の責務であり、
国民的課題である。
政府により尊重が約束された「同和」
対策審議会の
答申の重要な柱として本法案が提出され、
審議され、成立を期待できることは喜ばしいことである。
ところで、
法律の条文においては、本法案提出の根底となった「同和」
対策審議会
答申との
関係の記述が困難であり、十二分に解明されていない。したがって、本法案が成立し、告示の際の
通達においてこれらのことを解明し、
関係者の十二分の理解のもとに本法が有効に発動し「同
対審」
答申が完全に実現されるようにしなければならない。そのために、
一、(イ)
政府は「同
対審」
答申を尊重し一〇カ年計画――これは前期五カ年、後期五カ年という両方の
内容があるものであるが、この一〇カ年計画を推進し問題の
解決に当たる決意であること。
(ロ) 本
法律が「同
対審」
答申の結語の重要な柱の
一つであることにかんがみて
法律が絵にかいたもちにならないよう、国及び
地方公共団体は具体的
施策の推進を急速かつ強力に行なわなければならないことを
通達に明記すること。
二、「同和」
教育の推進が本
問題解決の重要な柱であり、その推進とそのための指導者を養成することを
通達に明記すること。
三、「同
対審」
答申及び本法活用の推進のために
地方公共団体の機構の整備が緊要であり、その整備を促進すべきことを
通達に明記することがなされるべきである。
こういう
質問に対して、当時の床次
総務長官は、
政府はただいま御指摘されましたところの御
趣旨を尊重いたして、
法律施行の際の
通達によって、
地方公共団体に対してもその
趣旨の周知方をはかる所存である。
さらに
政府は常に「同
対審」
答申を尊重し本法案を積極的に活用し「同和」問題の急速な
解決のため国の行政の実施、
地方行政の推進に当たる所存である。
こういうことでスタートしているわけなんです。
ところが、あと一年に迫った現在に至って
問題点が浮き彫りにされてきて、
政府の見積もるところの
残事業というものの
中身に大きな問題を残してきておる、こういうことになるわけです。そのために、何年
延長かというところに問題がかかってきているということになるわけですから、この点を考えてみても、
各省の間でお示しになった
残事業そのものが的確なものであったかどうかということが、私は大きな問題だと思うのですね。
それで、まずお伺いしたいことは、すべて
事業を行う点についてはちゃんとした目標と計画があるはずなんです。ですから、
時限立法ですから、
自治省なら
自治省、あるいは建設省なら建設省が、この
法律を十年間で完全に実施するためにはこれだけの
事業と
予算とが必要であり、毎年こういう計画のもとにこれを実施していって、十年間で消化しますというものが出てこなければならないのです。各年ごとにこういうことをやっていきます。最終年限ではこういうことをやりますというものがあって初めて、十カ年計画ということが言えるわけです。
ところが、前期の五カ年間では何にもわかっていない。これはもう記録の中に御
答弁でちゃんと出ているわけです。そうすると、よしんばあと五カ年間で完全にこれを消化するということになったら、その五カ年間で消化する消化
内容というものが出てこなければならないということになるのですけれ
ども、そういうことは一切お示しにならないまま、
残事業というものが示されてきている。これじゃ私
たちわかりようがないわけですね。
ですから、そういう点について
各省ごとに聞けば時間がかかりますから、
総理府の方でどういう計画書をおまとめになったか、前期の五カ年が終わった
段階で、
各省はこういう計画を持ってこれを完全実施することにして、各年ごとに大まかにこういうことをやってきた、しかし、これだけのことが実現できずにそれに伴う
残事業がこれだけありましたということで、三千二百六十億という試算が出てきたのかどうかという点にかかっているわけです。ただ
各省のお示しになった
残事業の数だけをお集めになって御発表になったのかどうか、その辺はどうなんですか。