○
大原(亨)
委員 私は、
日本社会党、公明党・
国民会議、民社党、
日本共産党・革新共同、新自由クラブ、各党を代表いたしまして、三点につきまして、いままでの内閣
委員会あるいは同和対策に関する小
委員会の審議を踏まえまして、政府を代表する総務
長官に、まとめて
質問をいたしたいと存じます。
ただいま
同和対策事業特別措置法の有効期限が三年間延長されることになったのでありますが、私が第一点に政府に対しまして確認を求めたい点は、先般来申し上げましたような、当
委員会、小
委員会等における質疑、意見開陳等を通じまして、各省庁の見解をそれぞれ、
昭和四十四年に特別
措置法が実施されまして以降の実態を踏まえて
質問をし、そして各省庁の御意見を聞いてまいりますと、法務省、文部省、厚生省、労働省、総理府、自治省を含めまして各省庁とも、今日まで足かけ十ヵ年間にわたりまして営々として築いてきた同和対策事業を二年、三年で打ち切るというふうなことは、これは行政の実態と、そして残事業の実態から考えてあり得ない、こういう審議の結論になっておると、われわれは一致して考えておるところでございます。
特に、
昭和五十年の
調査に基づく三千二百六十四億円という政府の見解につきましては、自治体やあるいは各省庁の実態を踏まえてみますと、新しい同和事業の必要性というものが次から次へと発生をいたしておるところでございます。したがって、この国会におきまして、三年というふうに規定をされておりますが、本日の午前中の、あるいは午後にわたる各党の国対
委員長会談におきましても
議論になり、それぞれ各党が確認をいたしましたように、この実施の過程において、私どもは再延長の必要性が今日においてはっきりあるということを確信をいたしておるわけでございます。
そういういままでの審議の経過を踏まえまして、この三年間の期限は決定をされておりますが、この趣旨は、各党の合意から言いましても、再延長について、この問題を含みといたしまして、法の改正について政府が全力を挙げて努力をすべきものであるという点を、各党一致確認いたしておると思います。したがって、この再延長の問題を含めまして、政府は審議の経過にかんがみまして、どのような見解を持っておられるかという点について、第一点の
質問を申し上げたいのであります。確認を求めたいのであります。
第二点は、同和対策事業を実施している地方公共団体の財政負担の解消の問題であります。
これは、小
委員会におきましても、特に
加藤自治大臣の御
出席を求めまして審議をいたしました。自治省が明らかにしたように、国の補助事業は五五%にすぎず、四五%は単独事業として、地方自治体の責任において処理されておるのでありまして、全国市長会や知事会や町村会等の残事業に対する第一線自治体の
考え方は、政府の残事業とは大きくギャップがあるわけでございます。
したがって、同和対策事業は、同和対策審議会の答申及び特別
措置法の趣旨にかんがみて、自治省も言っておりますように、国の責任で
措置すべきものであることは、これは言うをまちません。したがって、有効期限の三年延長を機会に、特別
措置法第十条の完全な運用を初め、その自治体負担軽減を図る責務が政府にあると考えるのでありますが、この点についての政府の
考え方を確認いたしておきたいのであります。
審議の過程を通じまして、残事業の問題については事実の認識に対する大きな相違があり、申し上げましたような自治体の切実な要求があるわけでございまして、実態
調査をこの三ヵ年間にやることを踏まえて、自治体の超過負担やあるいは財政負担軽減のために思い切った
措置を政府はとるべきであると考えるのであります。
第三点の
質問事項でありますが、これは実態
調査についてであります。
この実態
調査につきましては、
委員会におきましても繰り返して各
委員から
質問のあったところでございますし、また
昭和五十年の政府の実態
調査をめぐりまして、申し上げましたような数々の問題点が出されておるわけでございます。したがって、私は、政府がこの実態
調査を踏まえて、完全解放に向かって、国がどのような責任を持って計画的に事業を遂行していくかという点を、ぜひとも政府は全力を挙げてやっていただきたいと存じます。
特に、同和対策の延長問題を
議論をいたしております際に、稻村総務
長官は、兵庫県の番町等の被差別部落の
現地調査をされたのであります。そしてしばしば総務
長官も小
委員会等におきまして、実態に即した切実な認識に基づく御意見の開陳がございました。また、審議の中におきましても建設省は、不良住宅の地域についての実態あるいは番町の
改善事業についての具体的な計画、そういう問題等についてもさらに
調査をした上で本
委員会に答弁をするという趣旨の意見を申し述べられておるわけでございます。
したがって、私どもは、ぜひとも同和地区の実態を正確に把握して、そして単に事業だけではなしに、これは与野党通じて実態を知っている人が全部言っておるわけですけれども、学校教育や社会教育や人権問題や雇用問題、そういうものを視野を広げて、そして事業を拡大しながら、行政を拡大しながら計画的にこの解決に向かって前進することが必要であると存じます。したがって、この実態
調査の点についても重ねて政府の責任ある
措置を求めたいと存じます。
以上の三点にわたる点が、
内閣提出の本
法律案の可決に当たりまして、審議を通じまして特に政府の見解を求めたい点でございます。
思えば
昭和四十四年にこの
法律ができた。その前に同対審答申が出て、そして長い間の懸案がこの特別
措置法を通じまして約十年にわたって進めてこられたわけであります。これは言うなれば教育の面
一つをとってみましても事実を明らかにして、そしてその真実を教育の面や社会教育の面で明らかにするということは非常に大きな事業であると一緒に、このことは本特別
措置法が実施されまして着々と成果を上げておると思うのであります。
このことは差別の完全解消、同和事業の完全解決のために中途半端な気持ちではなしに、本当に
国民的な課題として、超党派の課題としてこの問題について真剣に国会が取り上げるということの必要性は、同和対策特別
措置法制定のときに、いまは亡き佐藤
総理大臣が切々として述べたことが議事録にあるわけであります。佐藤
総理大臣は山口県の出身ですから、差別の事実についても非常によく認識をされておったと思いますし、いまは亡きわが党の八木一男
委員も本当に献身的に努力されたことをいま想起するのであります。十年の期限を目標にいたしまして、私どもがいままでやりました努力をさらに前進さして、そしてこの
国民的な課題を国会の責任において真に解決し、政府がこのことを実施することを私は心から要請いたしたいのであります。
以上、三点につきまして、政府の御答弁をいただきたいと存じます。