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1978-10-18 第85回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十八日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤尾 正行君    理事 村田敬次郎君 理事 岩垂寿喜男君    理事 上原 康助君 理事 鈴切 康雄君    理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    関谷 勝嗣君       竹下  登君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    萩原 幸雄君       伊藤  茂君    上田 卓三君       大原  亨君    栂野 泰二君       安井 吉典君    山花 貞夫君       新井 彬之君    市川 雄一君       沖本 泰幸君    柴田 睦夫君       小林 正巳君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)     稻村佐近四郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         内閣総理大臣官         房管理室長   小野佐千夫君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         防衛政務次官  竹中 修一君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         外務省条約局外         務参事官    山田 中正君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君  委員外出席者         衆議院事務局事         務総長     大久保 孟君         衆議院事務局委         員部長     彌富啓之助君         内閣官房内閣参         事官      多田  宏君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         法務大臣官房参         事官      藤永 幸治君         法務省刑事局公         安課長     河上 和雄君         外務省アジア局         中国課長    田島 高志君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         外務省欧亜局外         務参事官    加藤 吉弥君         大蔵省理財局総         務課長     森  卓也君         大蔵省理財局特         別財産課長   高橋 公男君         運輸省港湾局計         画課長     小池  力君         海上保安庁警備         救難部参事官  福田  稔君         海上保安庁警備         救難部航行安全         企画課長    渡辺純一郎君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十七日  辞任         補欠選任   木原  実君     大原  亨君   山花 貞夫君     井上 一成君   新井 彬之君     沖本 泰幸君   田川 誠一君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     山花 貞夫君   大原  亨君     木原  実君   沖本 泰幸君     新井 彬之君   小林 正巳君     田川 誠一君 同月十八日  辞任         補欠選任   木原  実君     大原  亨君   栂野 泰二君     伊藤  茂君   新井 彬之君     沖本 泰幸君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     栂野 泰二君   大原  亨君     木原  実君   沖本 泰幸君     新井 彬之君   中川 秀直君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   小林 正巳君     田川 誠一君     ――――――――――――― 十月十八日  同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一三号) 同月十六日  旧国際電気通信株式会社社員期間恩給等通算  に関する請願木原実紹介)(第一八〇九  号)  同(不破哲三紹介)(第一八一〇号)  同(受田新吉紹介)(第二一一五号)  特例扶助料引き上げに関する請願安田純治  君紹介)(第一八一一号)  幼稚園教員に対する義務教育等教員特別手当支  給に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第二一  五四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二一五五号)  同(小林政子紹介)(第二一五六号)  同(柴田睦夫紹介)(第二一五七号)  同(不破哲三紹介)(第二一五八号)  同(松本善明紹介)(第二一五九号)  同(受田新吉紹介)(第二六九一号)  同(中川秀直紹介)(第二六九二号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願小宮山  重四郎紹介)(第二四八一号)  同和対策事業特別措置法改正等に関する請願  (中川秀直紹介)(第二四八三号)  同(受田新吉紹介)(第二四八四号)  旧軍人一時恩給格差是正に関する請願浦井  洋君紹介)(第二七九六号)  同(柴田睦夫紹介)(第二七九七号)  同(田中美智子紹介)(第二七九八号) 同月十七日  旧国際電気通信株式会社社員期間恩給等通算  に関する請願市川雄一紹介)(第二八一八  号)  同和対策事業特別措置法改正等に関する請願  (柴田睦夫紹介)(第二八一九号)  有事立法及び日米共同作戦態勢強化反対に関  する請願寺前巖紹介)(第二八二〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二八二一号)  傷病恩給等改善に関する請願三原朝雄君紹  介)(第二八二二号)  幼稚園教員に対する義務教育等教員特別手当支  給に関する請願鈴切康雄紹介)(第二九九  三号)  領土保全に関する請願受田新吉紹介)(  第三一六一号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三一六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  元号法制化促進に関する陳情書外十三件  (第九八号)  同和対策事業特別措置法強化延長に関する陳  情書外三件  (第九九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一三号)  国の防衛に関する件  請願   一 傷病恩給等改善に関する請願藤本孝     雄君紹介)(第一八九号)   二 恩給共済年金受給者処遇改善に関す     る請願川本敏美紹介)(第二四八     号)   三 同(新盛辰雄紹介)(第二四九号)   四 恩給及び共済年金受給者処遇改善に関     する請願外一件(新盛辰雄紹介)(第     二五〇号)   五 有事立法及び日米共同作戦態勢強化反     対に関する請願工藤晃君(共)紹介)     (第四四八号)   六 同(不破哲三紹介)(第四四九号)   七 元号法制化促進に関する請願菅波茂     君紹介)(第七〇九号)   八 恩給共済年金受給者処遇改善に関す     る請願山崎武三郎紹介)(第七一〇     号)   九 傷病恩給等改善に関する請願(堀之内     久男君紹介)(第七七六号)  一〇 同(森喜朗紹介)(第七七七号)  一一 旧国際電気通信株式会社社員期間恩給     等通算に関する請願加藤常太郎君紹     介)(第一〇二九号)  一二 傷病恩給等改善に関する請願加藤常     太郎紹介)(第一〇三〇号)  一三 同外一件(羽生田進紹介)(第一〇九     八号)  一四 旧国際電気通信株式会社社員期間恩給     等通算に関する請願野口幸一紹介)     (第一二一五号)  一五 同(吉原米治紹介)(第一二一六号)  一六 青少年健全育成に関する請願登坂重次     郎君紹介)(第一五一二号)  一七 恩給共済年金受給者処遇改善に関す     る請願川崎寛治紹介)(第一五一三     号)  一八 旧国際電気通信株式会社社員期間恩給     等通算に関する請願新井彬之君紹介)     (第一六五八号)  一九 同(島本虎三紹介)(第一六五九号)  二〇 有事立法及び日米共同作戦態勢強化反     対に関する請願柴田睦夫紹介)(第     一六六〇号)  二一 同(正森成二君紹介)(第一六六一号)  二二 旧国際電気通信株式会社社員期間恩給     等通算に関する請願木原実紹介)(     第一八〇九号)  二三 同(不破哲三紹介)(第一八一〇号)  二四 同(受田新吉紹介)(第二一一五号)  二五 特例扶助料引き上げに関する請願(安     田純治紹介)(第一八一一号)  二六 幼稚園教員に対する義務教育等教員特別     手当支給に関する請願岩垂寿喜男君紹     介)(第二一五四号)  二七 同(工藤晃君(共)紹介)(第二一五五     号)  二八 同(小林政子紹介)(第二一五六号)  二九 同(柴田睦夫紹介)(第二一五七号)  三〇 同(不破哲三紹介)(第二一五八号)  三一 同(松本善明紹介)(第二一五九号)  三二 同(受田新吉紹介)(第二六九一号)  三三 同(中川秀直紹介)(第二六九二号)  三四 旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願(     小宮山重四郎紹介)(第二四八一号)  三五 同和対策事業特別措置法改正等に関す     る請願中川秀直紹介)(第二四八三     号)  三六 同(受田新吉紹介)(第二四八四号)  三七 旧軍人一時恩給格差是正に関する請願     (浦井洋紹介)(第二七九六号)  三八 同(柴田睦夫紹介)(第二七九七号)  三九 同(田中美智子紹介)(第二七九八     号)  四〇 旧国際電気通信株式会社社員期間恩給     等通算に関する請願市川雄一紹介)     (第二八一八号)  四一 同和対策事業特別措置法改正等に関す     る請願柴田睦夫紹介)(第二八一九     号)  四二 有事立法及び日米共同作戦態勢強化反     対に関する請願寺前巖紹介)(第二     八二〇号)  四三 同(藤原ひろ子紹介)(第二八二一     号)  四四 傷病恩給等改善に関する請願三原朝     雄君紹介)(第二八二二号)  四五 幼稚園教員に対する義務教育等教員特別     手当支給に関する請願鈴切康雄君紹     介)(第二九九三号)  四六 領土保全に関する請願受田新吉君紹     介)(第三一六一号)  四七 同(工藤晃君(共)紹介)(第三一六二     号)      ――――◇―――――
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  行政機構並びにその運営に関する件  恩給及び法制一般に関する件  国の防衛に関する件  公務員の制度及び給与に関する件  栄典に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  閉会審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、委員長において適宜、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査におきまして、委員会及び小委員会において、参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  6. 始関伊平

    始関委員長 国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤尾正行君。
  7. 藤尾正行

    藤尾委員 私の質問時間が著しく短縮をされましたので、必要なことをお聞きしたいと思いましたことも省きまして、私の質問中は防衛庁長官にも御休憩を願うということにしたわけでございます。しかし、事の重大性と申しますか、事の重さといいますものは、長官おいでになろうがなるまいが、総理大臣がいようがいまいが関係なく、重大な事柄を含んでおりますので、その点はしかとお答えをいただきたい。  まずお伺いをいたしますが、いま盛んに新聞等等で、私どももそういった言葉を使っておるわけでありますけれども、有事という言葉を使っておるわけであります。有事という言葉対称概念は有と無ですから、これは無事ということだろうと思います。無事平穏に何でもかんでも済んでおれば結構でありますけれども、しかしながら、なかなかそういうわけにもまいらぬということで、有事のいろいろな法律が必要であるとか必要でないという議論が行われておると思います。しかし、私は考えますと、この有事という言葉ぐらい悠長な、余り緊張感のない言葉はこういう際には余り適当でない、そう思うのです。たとえば緊急時でありますとか、非常時という言葉余りよくないでしょうけれども、非常事態のもとというような意味、そういった意味ならきっと何か考えなければいかぬのかという気持ちになりますけれども、有事という言葉はいかにものんびりかんとしまして、語感として緊張感を伴っていないような気がいたしますが、その点、そのように思われませんか。
  8. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 有事という言葉語感の問題でございますが、この有事という言葉内容そのものにははっきりした定義というものがあるわけではございません。ただ、防衛庁が従来使っておりましたのは、たとえば戦時、平時というような言葉では必ずしも現状において適当かどうかというようなことから、いわゆる平和時あるいは緊張時、そして有事というような分類をしたこともございますが、かなり以前から有事という言葉を使っているわけでございます。  これは言葉の問題だと思いますけれども、御承知のように、自衛隊も昔は、たとえば戦車という言葉を使わなかった、いわゆる戦うというような言葉をふだん使わずに、たとえば特車と言っていた時代もございます。そういうようなことから有事というような言葉で、いま先生がおっしゃいましたような緊張時、そしてまたいわゆる非常事態、そういうものを総括して有事というような概念で御説明しているわけでございますが、いま言われております有事法制というのはその中でも自衛隊の行動、権限に関する事項といたしまして、防衛出動総理大臣によって下令されるような事態というように範囲を明確にいたして、法制研究をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  9. 藤尾正行

    藤尾委員 いまのお答えが私の質問に合っているかどうか、これはきわめて遺憾だと思いますけれども、そのような議論をしておりましても仕方がございませんから、ひとつ頭の中に――大体日本語の中に有事なんという言葉があるのですか。ちょっと字引を引いてごらんなさい。そんなもの、ありますか、私も引いたことはないけれども。だから、さっきあなたが言われたように、戦車のことを特車と言ったというような卑屈な物の考え方、そういうことではあなたがどんなことをおっしゃられても、本当に日本の国の危急存亡を担わなければならぬ防衛というような仕事、そういう仕事をやらなければならぬときに、そういったぼやっとした考え方でやられたのでは国民としてはかなわぬという気がいたしますから、これは御注意までに申し上げておきます。  そこで次に移りますけれども、わざわざおいでを願ったわけでございますが、資源エネルギー庁にお伺いをいたします。  今度メキシコから油を買うようですな。その趣旨は、できるだけ油というものの輸入先を散らしておいた方がよろしいというような物の考え方もありましょうし、あるいはOPECという非常に主導的な石油産出国の団体から離れておる、だから多少ともフレキシビリティーがそこにあるのではないかというようなこととも関連をすると思うのですが、エネルギーのもとであります油をこれから先どのように入れていくかということを考える場合に、どのようなお考え方でお入れになられるつもりですか。
  10. 天谷直弘

    天谷政府委員 現在、日本の一次エネルギー中、石油に依存する割合が七四%ぐらいございます。それからまた、エネルギーのうちで輸入に依存する割合が八八%ございます。この数字先進国中最大でございます。すなわち、日本経済が生きていくために海外依存度が非常に高いわけでございます。したがいまして、日本経済の安全ということを考えますと、この海外依存、なかんずく中東依存をどうやって減らすかということが非常に大きな問題でございます。  それで、この中東依存危険性ということは二つございまして、一つ短期の危険でございますし、もう一つ長期の危険でございます。短期の危険は、昭和四十八年にありましたような石油危機が再発するかどうかという問題でございますし、長期の危険は、世界全体として石油の供給がその消費の伸びに追いつかない危険があるかどうかという二つの問題でございます。  短期の危険に対しましては、現在民間備蓄を九十日までふやすということ、それから九十日以上につきましては、民間の負担が大きくなり過ぎますので石油公団備蓄を行うというようなことで、日本全体としての備蓄量を少なくともヨーロッパ水準くらいにまで引き上げる。ヨーロッパ水準は現在百十日分でございますが、この水準くらいまでは少なくとも引き上げるということで、いろいろ施策を推進いたしております。  それから長期の問題といたしましては、代替エネルギー開発、たとえば石炭それから水力、地熱、原子力というような代替エネルギー開発に鋭意努力をいたしておるところでございます。石炭につきましては、現在石油火力が多いのでございますが、石炭火力をふやしていくとか、石炭液化研究開発を行うというようなことも考えておるわけであります。それからもっと長期になりますと、太陽エネルギーとか核融合というような資源エネルギー開発をしなければならないというふうに考えております。それから石油について申しますと、……
  11. 藤尾正行

    藤尾委員 もういい。  あなたのいまのお話を承っておりましても、非常に安定的なことを考えておられるのですね。さっきの話じゃありませんけれども、いざ緊急非常事態が起こってくるというときに、中東からの油を確保することが非常にむずかしいような事態が仮に起こってきたら、備蓄なんというものはどこでやっておられるか知らぬですけれども、そんなときにのんきにそのまま備蓄できると思っておられますか。あるいはほかから持ってくるとしましても、それが安全に持ってこられるような可能性がありますか。そういう問題もあります。  あるいは、あなたはいみじくも言われたわけでございますけれども、油に頼るということが将来長期にわたってなかなか考えにくいというようなことであるから、代替エネルギー開発をしなければならぬ。そうだと私は思うのですよ。いまあなたは、簡単にその中に石炭なんというものをお入れになられましたけれども、いま日本石炭というのはどうなんですか。あなたが考えておられるような、日本エネルギーを安全に保障するだけの石炭なんというものはありますか。あなた、そんなものはとうていありはしませんよ。それを液化することをやると言ったって石炭自体がないのですから。そうでしょう。液化もヘチマもありはしませんよ。  そういった机上の空論みたいな話をやられたって仕方がないのであって、あなたがいみじくも言われたように、もうどんなことがあっても、日本の安全についてエネルギーの面で国家、国民に心配をおかけしないんだというんなら、あなたが言われた太陽とか地熱とか、まあそんなものは一時的なものにせよ、それから先の核融合だとかなんとかいうところに非常に大きな研究費でも投じて、それをできるだけ早目に安全に確保する以外にないじゃないですか。そうでしょう、物の考え方が。何か並べればいいというものじゃないでしょう、これは。  特に、私がいまここで問題にしようとしているのは、そういった緊急非常事態というものを頭に置いて物を考えておられるかということを聞いているのですから、備蓄を九十日にふやしますの、やれこれを欧米並みに百十日にふやしますのと言ったって、それは観念的には結構です。数字の上でもそれで結構かもしれない。しかし、どこへ備蓄するのですか。タンカーにいっぱい油を積んで、とにかく太平洋のどこかの島のそばに遊よくさせておけばいいじゃないかという、そんなのんきなことで間に合うような非常事態なんてありはしませんよ。いま、日本石油タンクというのはみんな地表に出ているんですよね。みんな表に露出しているんですよ。世界じゅうどこのやつでもそんなことは知っている。何か非常事態が起これば、たとえば地震が一つ起きたって流れ出すようなことがあり得るのですから。そうでしょう。それが意識的な、わが国の防衛関連をする非常事態というようなことを考えると、こんなものがありますとか、ありませんとかいうような、そんなのんきな事態ではないと私は思う。  だから、私に言わせれば、これは極言かもしれない、あなたは反撃されるかもしれませんけれども、エネルギー政策全体がそういう意識は全然お持ちになっていないんじゃないか。特に石油政策なんというものはそんな意識は全然なくて、ただ何となくそこら辺を駆け回って、油が足らぬ、油が足らぬというようなことで、どこかに油がないかとか、あるいは出たものを一日でもよけいどこかにためておけばいいとかいうような非常に安易な物の考え方であって、それが、国民の期待に反するような事態があるというようなことを考えられて、それに対抗する措置をおとりになっているとは私には思えない。いかがです。
  12. 天谷直弘

    天谷政府委員 石油備蓄につきましては、確かに五百万キロリットル分だけは現在洋上備蓄というかっこうになっておりますが、その他の分につきましては、陸上に備蓄されているわけでございます。そこで、もちろん安全という見地から見れば、陸上備蓄をたとえば地下備蓄に変えるということの方がはるかにすぐれていると思いますので、地下備蓄につきましては、現在それの技術につきまして、来年度の予算も要求いたしまして、テストプラントをつくって検討をしようというふうに考えております。ただ、全体としてとてもそのスピードが遅いではないかという御批判はあろうかと存じます。いままでの地上に備蓄されている分を地下に移すということになりますと、非常なコストがかかるわけであります。  そのほか、石油だけではなくて、日本の工業全体が東京とか大阪とか、きわめて狭い地域に集中をいたしておりまして、これが全部地上に露出しており、かつ海に向かって露出をいたしておるわけでございますから、そこが攻撃されるという事態を考えれば、エネルギーのみならず、日本経済全体が非常に傷つきやすい形になっているということは問題であろうとは存じますが、これにいかに対処するかということは、エネルギーのみならず、全日本経済の問題であり、政治の問題であろうかというふうに存じます。もしそれに対して何らかの防衛策を講ずるということであれば、その一般的エネルギーの安全保障問題も考えなければならないと思います。
  13. 藤尾正行

    藤尾委員 いま一例をエネルギー庁長官お答えをいただいたわけですが、そのちょっとした一事のお答えを考えてみただけで、あなた、わが国の防衛力というものがいかに脆弱なものであって、それを本格的にお考えになっておられるのかどうか、私どもは非常に疑わしいと思っているということがおわかりだと思うのですがね。  防衛局長、たとえば油なら油ということ一つ考えてみましても、それは一般的な経済活動を行うためのエネルギー長期にわたってそれがなければ困りますけれども、それはそれとして、そういったもののほかに、そういった非常事態におけるエネルギーの確保ということを、別個にあなたはお考えになっておられない。立法がどうだとかなんだとか、文字面に書いてあるとか書いてないとかいうことでなくて、私は、防衛の本旨が貫かれないのじゃないかという非常な不安感を覚えるのです。いかがですか。
  14. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、まさに国の非常事態に際しましては、自衛隊といいますか、自衛力だけでは国家の安全というものを守ることはできないと私どもも考えているわけでございます。御承知のように、ヨーロッパの国等におきましては、国全体として、いま御指摘がございましたエネルギーの問題あるいは食糧の問題、あるいは戦闘するための弾の備蓄の問題等々につきまして、政府全体として、国家全体としてその対策を講じているというのが実情だと聞いているわけでございます。  防衛庁におきましても、御承知のように一次防、二次防と防衛力整備計画をつくってまいりましたけれども、その間におきまして、いわゆる他の国家施策と一緒になって国の安全を守らなければならないということは、当時から言ってきているわけでございますけれども、全体の政策としていわゆる有事というものを考え、あるいはいま先生がおっしゃいましたように、緊急事態に備えての国全体の政策が足並みがそろっているというふうには考えられないわけでございまして、こういう点につきまして、今後安全保障全体の立場から政府全体としても考えていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  15. 藤尾正行

    藤尾委員 観念的な話じゃなくて、あなたこれから、何か国防会議の事務局長におなりになるとかならぬとかいうようなことを聞くのだけれども、どっちでもいいですけれども、本当にそういうことが政治全体の問題であるというあなたの御認識ならば、そういうことを防衛庁としてもお考えにならなければいけないし、同時に、国防会議としても、そんなことを放置して国防会議もヘチマもありはせぬのですから、そういうことをとにかく頭に置いてこれからの事に処するきちんとした態度をおとりいただきませんと、一番肝心かなめのところで大穴があいて抜けていくんだというようなことでは、いたずらに立法に文字で何を書いたとか書かぬとかいうことではない恐ろしさを私は感ずるのですよ。そんなものを書いてあったって、そんなものは守らなければへでもないのですから。そうでしょう。いままでの歴史がそれを示しているわけですね。  外務省の人もたくさんおられますけれども、どうですか、いままで、条約だとかなんとかいうようなものがいっぱいありますが、百年間続いた条約なんてのはありますかね。ちょっとそれを答えてください。
  16. 山田中正

    山田(中)政府委員 いま藤尾先生御指摘ございました、条約の中には、無期限のものもたくさんございますが、私具体的には百年続いた条約というのを承知しておりません。
  17. 藤尾正行

    藤尾委員 専門家がああ言っているぐらい頼りないのですよ。いま条約があるから安全だなんて思ったら間違いなんで、たった百年も続いたものは本当に一つもないです。ですから、こういう状態にあるからこうだなんということを類推すること自体が、非常に歴史を無視した、私は、歴史に対する不遜な物の考え方だと思うのです。その場合場合によって条件は変わってきまずから、移り変わっていく情勢に対処して、そのときそのときにこういう対処の仕方をしましょうとか、ああいう対処の仕方をしましょうという条約というものもあり、協定というものもあり、いろいろなものがありますけれども、しかし、それがあるから大丈夫だなんて思ったら大間違いなんですね。その辺のところを一体外務省の方々はどういうお考えなんですか。
  18. 北村汎

    ○北村説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、まさに、条約があっても、国の関係といいますか、その国民同士の信頼関係というものがないと、その条約というものは本当の効果をあらわさないという点は、さっき先生の御質問にありましたように、百年以上続いた条約として、きわめてまれな例でございますけれども、条約としてはイギリスとポルトガルとの間の防衛条約というようなものが、十七、八世紀にできたものがありまして、それが実は、インドとポルトガルとがゴアの問題で武力を行使しましたときに、どういうふうにその条約が発動されるのかということが非常に問題になったことがございます。  条約そのものは有効ではあったのでございますけれども、しかし、決してイギリスはその条約に基づいてポルトガルを守って、インドを攻撃するというようなことはなかったわけでございます。これはまさに先生がおっしゃいました例の一つでございまして、本当の国と国との信頼関係、また、守ってやろう、守ってもらおうという気持ちがない限りは、その条約は有名無実のものになる。まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。
  19. 藤尾正行

    藤尾委員 私は、この間ちょっと給与法の審議の最中に、栂野君ですかの御質問長官の御答弁を聞いておりまして、これは非常に大変なことだという感じもいたしたわけでございますが、だから、本来そんなに頼りないものですから、本当に頼りないのですから、そういった非常事態有事という、そんな事態は起こらないんだということを言い切るのは非常に危険だと思うのです。そうじゃないのですね。そういうものが起こらないような努力は不断に続けていかなければならぬし、同時に、そういうものが起こらないようにというわれわれの希求ですね、そういう願い、祈り、そういったものはあってしかるべきである。そうして、そういったものを充足するための努力を不断に続けていかなければならぬ。私は、そういうのが本当だと思うのです。そんなものは考えられませんとか考えられますとかいうように言葉であらわしてしまえるような簡単なことじゃないと私は思うのです。  私どもは、この憲法のもとに平和国家であるということなんですから、常にその方向に向かって、国を挙げて進んでいかなければならないのですから。だから、これはただ単に自衛隊の数がふえたとかふえないとか、その装備が多少よくなったとかよくならなかったとか、そんなへのようなことじゃないんですな。われわれに関するあらゆる、万般の、許されるすべてのものを使って、そっちの方に向かっていかなければならぬ。しかも、その相手は絶えず変わっているということなんですね。そこら辺のところが非常に、国際環境というものを考えて見る場合に、ステータス・クオという言葉があります。現状。現状というものは固定されているわけじゃないんです。毎日毎日、毎時間毎時間、毎分毎分動いているものなんです。そうでしょう。だから、たとえば奇襲があるとかないとかいうことなんですけれども、そういった動いている情勢のもとで考えている主体的な国家の意思というものは、百五十ヵ国ですか、これはそれぞれ全く同じではないわけですから、衝突する場合だってあるわけです。  それだからこそ、アフリカであろうが何であろうが、中東であろうがいろいろな危機をはらんでいるわけです。東南アジアでも、私どものアジアでも、現にベトナムとカンボジアの間とかなんとかいうところには現にそういう衝突があるんです。そして国際情勢というものの大本が少し曲がってくると、これに私どもが巻き込まれるような事態にならぬということはだれも言い切れない、しかし、ならないような努力を絶えずやっていかなければならぬ、こういうことだろうと思うのですが、私の考え方、間違いでしょうか。
  20. 北村汎

    ○北村説明員 さっきも申し上げましたように、先生がおっしゃるように、条約があるからといって、のほほんと安心しておっては刻々と変わる国際情勢に対処していくことができないことはもちろんでございます。ですから、変わる国際情勢に対処するということと、それから、たとえば日本の場合、日米安全保障条約を結んでおるアメリカとの間の信頼関係というものを毎日毎日築き上げていく、そういう努力、それは外交努力であると同時に、やはり国民全体の努力であろうという感じがいたすわけでございます。
  21. 藤尾正行

    藤尾委員 私はけさ朝日新聞を見まして、その点非常によかったと思っているんですが、これは当てにならぬ、当てにならぬということは物の考え方によって人それぞれ違いますけれども、超党派の民間調査機関であるポトマック・アソシエーツというものがウッドロー・ウィルソン国際センターというのと一緒にやったアメリカにおける調査、たった千五百人ですから、そんなものは当てにならぬと思いますけれども、ともかくも日本に対する評価と好感が非常に上がってきて、場合によれば、いざというときには守ってやってもいいというようなのが半分ぐらいいるという調査結果が出ているのです。一時から比べればそれが十何%か上がってきている。これは非常に結構なことだと私は思います。これは、あなた方も含めて日本全体がアメリカというものを頭に置いて非常な努力をしてきた、その結果がここにあらわれておるんだということならば非常に結構なことで、その傾向をますます助長していかなければいけないと思います。  しかし、たとえばアメリカ自体のことを考えてみましても、ベトナムであれだけの人員と経済力を投じまして、そして結局去っていった。後に何にも残らなかったわけです。その前のことを考えてみれば、非常に不幸なことでございましたけれども、朝鮮戦争というものがあった。戦争か何かわかりませんが、事変という言葉であらわされておりますけれども、そういう事態があった。そのときに米軍が国連軍としてその衝に当たったわけです。これまた大変な人員と費用を使ったと思うのですが、結局やった結果は、やはり三十八度線は動かないのです。もとのままなんです。そうでしょう。そういった歴史的事実というものがちゃんとあるんです。歴史というものはそういうものなんです。  そうすると、私ども、これだけだんだん積み上げていっていい状態が続いている、この状態を続けなければなりませんけれども、本当に私どもが命の瀬戸際に立たされるというような不幸なことが仮に起こったとしたならば、そのときにわれわれは日米安全保障条約で御支援を願うということになっておりますけれども、なっておるというだけの話なので、やるかやらぬか、いつやるかということは相手の判断にゆだねられるわけですね。そのときの情勢にもよるわけですよ。そうでしょう。いまこういう状態で非常に結構ですけれども、たとえば経済情勢を中心にして日米間のやりとりが非常に激しくなっておる。これがこれから先ますます加重されていくということになりますと、いま非常に好感と高い評価を得ておるという事態がいつひっくり返るかわからぬ、そういうことが十二分にあり得るだろうと私は思う。その点は、あなた、そういう可能性はありません、大丈夫ですと言い切ることできますか。
  22. 北村汎

    ○北村説明員 きょうの朝日の朝刊に出ておりましたアメリカの世論調査の結果は、私どもいままでの努力がある程度報いられたという感じがいたして、私も先生と同じような感じで読んだのでございますけれども、確かにいまのいろいろな日米間の経済問題が、あるいは貿易問題が向こうで社会問題になり、あるいは政治問題に発展していく、そういう可能性だってあることでございます。私どもは、そういうことにならないように、経済問題は経済問題としてこれを処理し、日米間の信頼関係に傷のつかないようにいろいろ努力しておるわけでございます。  しかし、それは可能性としては悪化するということはありますけれども、私どもとして考えなければなりませんことは、確かに移り変わる国際関係というものは不安定な状態でございますが、その不安定な国際関係をできるだけ安定的な国際関係にするために条約というものがあって、それを政府が締結して、それを国会が承認して、国としてそれを守るという意思を示すわけでございますので、その条約があるからということで絶対安心はできないのでございますが、同時に、その条約を本当に有意義ならしめるための日ごろの努力というものは、先生がさっきからおっしゃっておられますことと私ども全く同感でございます。
  23. 藤尾正行

    藤尾委員 ここで余り議論してもしようがありませんからやめますけれども、外務省の方々を初め国民の皆さん方、みんなそのことをお考えいただかなければならぬと思います。つまりあなたもおっしゃられたとおり、条約があるなら何でもいいというようなものじゃない。条約はできた途端に壊れ始めているのです。私は、それの方が言葉は適切だと思いますよ。ですから、その壊れ始めていく条約関係といいますものをできるだけ、穴があいたら穴をすぐ埋めるとか、崩れかけたらすぐ補強をするとかという努力を常にやって、そうして条約が条約たる性格を持つような努力を、お互いにしていかなければならぬのだということを国民みんなにわかってもらわなければいかぬのです。それはあなた方だけが努力されたってだめなんですよ。そういうことを言いたかったわけです。  そこで、先ほどから天谷長官を放してくれという伝達がありましたので、あなたこれで勘弁いたしますが、先ほど言われたエネルギーの問題と関連して、本当を言うとエネルギーの問題だけではなくて、あなたこの前まで鉄鋼の親玉をされておられたのだから同じことですけれども、たとえばエネルギーの政策一つ考えましても、いまあいている炭鉱と閉めている炭鉱とどちらが多いのですか。
  24. 天谷直弘

    天谷政府委員 閉めている炭鉱の計算、私正確に存じませんが、あいている方が少ないと思います。
  25. 藤尾正行

    藤尾委員 これからますますその傾向は助長されやしませんか。あるいは非常に残念ですが、たとえば三池とか砂川とかいうような代表的な炭鉱がこれからいつまでもつのだという問題もありますね。やがてこれは閉まっていくのですね。そういったことも考えられまして、問題は石炭だとかなんとかというものの位置づけですよ。  この前、油が非常に安かった時分に、石炭なんというものはやめてしまえといって、火力はみんなやめてしまったことがある。それと同時に、安い油を使った方がいい、石炭の山を閉めるということでどんどん閉山が行われていったわけでしょう。石炭産業というものは途端にがくっと行ったわけです。ますますその傾向はこれから先――そういう外的なこともありますけれども、同時に内的な、掘り尽くしてしまったということでどうにもならぬようになってきたのかもしれない。その間に、あなた方が欲しておられるように、油が安定的に入ってくればいいです。ところが、世界的に油の埋蔵量が有限であるということになりますと、四年前かなんかの石油ショックのときのようなことがこれから先二、三十年、今世紀中に再びないのだということは言い切れないでしょう。何回かこれからあり得るわけでしょう。私はそう思うのです。それぐらいの覚悟をしておかなければいかぬと思うのです。  そういったあり得る事態に対してあなたは、いまエネルギー庁として、通産省として、あるいは国家としてどのような施策を打っていったらいいのか、どういう位置づけをされておられるのか。たとえばこれは開発しなければなりません。核融合開発をするのは一番いいのです。しかし、いまのこの時点で、あと十年たったらできますとか、あと十二年たったらできますとかいうことをあなたは言えるような立場にないでしょう。そうすると、その間ずっとつないでいかなければならぬわけです。そういった全体の位置づけというものは、どのように考えておられるのですか。
  26. 天谷直弘

    天谷政府委員 いままでの石油危機とかあるいは中東の危機を振り返ってみますと、四回ほど中東戦争がございましたが、いずれも非常に短期間で終わっております。したがいまして、四回あったことが五回もあるのかどうかよくわかりませんけれども、ああいう種類の短期の危機に対処するためには備蓄が一番よろしいというふうに考えておるわけでございます。百十日ないし百二十日分くらいの備蓄を持つことによりまして、中東の戦乱等に基づく短期の供給撹乱に対しては一番有効に対処できるのではなかろうかと考えます。  次に、先ほども申し上げましたが、長期エネルギー危機の問題、すなわち石油の供給に対して石油需要が上回るのではないかという問題、これは一九八〇年代の半ばにそういう事態が来るのではないかということを一時CIA等が言っておりましたが、これもよくわかりません問題で、最近ではCIAは、今度は逆に石油の供給は六十年間大丈夫だというような報告書を発表したりいたしまして、非常に揺れているわけでございます。しかしながら、われわれとしましては、余り楽観すべきではない問題でありますから、長期の問題に対しても新エネルギー代替エネルギー開発をしなければならないと思っております。  福田総理が非常に力を入れておられます核融合の問題は、さらに研究費を増額して一生懸命やらなければならないと思いますが、ただ、かなり時間のかかる問題、二、三十年はかかる問題ではないかというふうに見られておりますから、その間のつなぎといたしましては、原子力発電を拡充するとか、あるいは石炭に関しましては、国内で二千万トン以上の石炭に期待することは非常にむずかしいと思いますが、世界的に見ますと、石炭資源は石油資源よりはるかに多く賦存をいたしておるわけでありますから、石炭輸入いたしまして、石炭による火力発電を次第にふやしていく、あるいは石炭は非常に多くの輸送問題が伴いますので、石炭液化ということも研究いたしますならば、たとえばオーストラリアとかアメリカ、カナダ等からの石炭輸入がもっと現在より経済的にできるようになるのではなかろうか、あるいは地熱につきましても、日本では有望な地熱資源があると思われますので、これにつきましての技術開発を進めていきたい。こういうふうにいたしまして、石油依存度から来るところの日本エネルギー供給構造の脆弱性を逐次是正をしていきたいというふうに考えております。
  27. 藤尾正行

    藤尾委員 あなたに言っていただきたかったのは、その脆弱であるということさえ認めてもらえばいいのですよ。それを国民全体に知っていただかなければいかぬ。非常に脆弱です。これは危ない、弱いです。そういった認識の上にあらゆるものを組み立てていきませんと、いたずらに技術的にへんてこなものだけが独走していって、全体の調和がまるっきり根本においてとれないということになりますと、たとえば幾ら船をつくってみたところで油がなければ動かないですからね。そうでしょう。そういう全体的な物のとらえ方をしていかないと、部分部分で物を考えていって、こうだああだと言うのは非常に危険だということをこの際御認識いただきたい。  そこで、引き続いて外務省の皆さんにも言わなければならないのですが、もう時間もありませんから、最終的にごく簡単にそれを考えていっていただかなければいけませんがね。非常事態というのはあってはならぬことですけれども、そういうことはあるかもしれない。万一とか万々一とか、そんな言葉の上で何か遊んでいるようなことを言っていますけれども、それは絶えず頭に置いておかなければいけないことなのです。いままでの歴史というものを見てみると。これから先、人間の歴史がここで一転して、もう絶対にそのような心配はないのだというような事態にはならないと私は思う。そういうことを考えますと、あなた方の立場でもそういうことはあり得るのだということをまず腹に置いて、その上で、それをなくすためにはどうしなければならぬかということでこれからの外交を進めてもらわなければ話にならぬ。私の申し上げることはおわかりですか。そのようにやっていただけますね。――わかったらもう帰ってもよろしい。  そこで、いよいよまた防衛の問題に返りますが、いま申し上げたとおりでございまして、環境というものがぐらぐらぐらぐら変わっているのですからね。だから一定の、これがこうだなどというような事態ではないわけです。しかしながら、私どもが考えて、普通に歴史的に、これは名前を挙げては非常に失礼千万かもしれませんけれども、共産主義国家であろうがなかろうが、たとえばソ連という国は帝政ロシアの時分からとにかく南に出たい南に出たいということで、南の方にずっと圧力をかけてきたことは事実です。それは何もソ連だけに限りませんで、中国の歴史を見ましても、大概、中国自体が非常に脅かされているのは北からなのです。だから、いま、鄧小平などという人が非常に中ソ国境というものをお考えになられて、どうだこうだ、やれ、これに対する抗議は許さぬのだとか、自分の陣営、仲間をふやしていけば何か相対的に安全であろうというようなことを考えられていろいろなことをやっておられる。それはそれなりに私はわかると思うのですよ。これから先、いろいろな関係から考えてみてそういう必要はなさそうになるかもしれないというような、事態に緩みがあったり甘さがあったりするという可能性はないと私は思いますが、どうですか。
  28. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほど先生の御意見にございましたように、世界には百五十の国があるわけでございます。その百五十の国というのは、それぞれに自国の国益というものを考えているわけでございまして、その国益がそれぞれの国の正義であろうと思います。したがいまして、その国益に合致する各国の正義がぶつかり合う事態というのがないとは思いませんし、また現実にあれだけの第二次大戦という大きな戦争をした後にも、各国がその国益に基づいて軍事力を使って争いをやっているという事実もまた私どもは認めなければならないと思います。そういう中におきまして、日本の安全保障というものをどう考えていかなければならないか。特にいま先生の御指摘がございましたように、やはりソ連は太平洋におきます凍らない港湾、そういうことによって太平洋に対するプレゼンスを固めたいという気持ちは常に持っているようでございます。  それからまた、確かに中国にいたしましても、北の守りということで、三百二、三十万の兵力のうち約半分をあの国境の警備のために配備しているという実態もあるわけでございます。それなりに、それぞれにその国の国益を守るためにはどうあるべきかということを考えて、単に軍事力のみではなく、いわゆる外交あるいは経済、そういうすべての形でそれぞれの国の安全保障を守る体制をとっているというふうに考えております。
  29. 藤尾正行

    藤尾委員 余り簡明でよくわからないようなお話でございまして、これはまだまだ突っ込んでいかなければならないことだと思いますけれども、あなたが言われたとおり、みんなそれぞれ物の考え方が違っておりますし、またその時点時点で違っていくわけですよ。そんなことを申し上げては悪いけれども、私は私の持論がございますので申し上げるわけです。  たとえば、私どもはきょうですか、承認するのでしょうけれども、この間中国と平和友好条約というものを結んだわけです。それは結構なのです。それはそれなりに本当にそうなってくれればありがたいのですよ。しかしながら、相手は共産主義国家ですね。そして同時に、四つの近代化をやって、近代国家になる、大国になることが国家意思としてどうしても必要なことだということで、ありとあらゆるものをそのために使っていこう、そういった一つの外交、国のねらい、そういったものの上に立って一つの日中平和友好条約というものも位置づけて考えていった方がよろしい。それが達成された後、これから二十年かかるか、三十年かかるか、五十年かかるか知りませんけれども、その後はしからば本当に平和友好に徹してくれるのかどうかという保証はないと私は思うのです。本当言うと。ですから、そういったことも含めて、私どもはそういう事態を考えていかなければならない。  特にいま世界的にあらわれてきておりますのは、たとえばヨーロッパ、この間シュミットさんがおいでになられまして、ヨーロッパのいろいろな関心事を総理大臣にも言われ、国民にもアピールされたというような機会もあったわけでございます。つまりヨーロッパというものが石炭石油共同体からヨーロッパの欧州議会にこれからなっていくのでしょうが、そういうことになっていく一つの動きというものを考えてみましても、これは要するにヨーロッパ一つの単位になっていかなければ、アメリカとか共産圏とかいうものと拮抗して、そうしてみずからの将来、二十一世紀に対するプレゼンスというものを守っていけない。そういう希求からそういうように移り変わっていっていると私は思うのです。そのことは何もいま始まったことではないのです。ドゴールもそうだったし、みんなそうなのです。  そういうことを考えてみると、まだまだそういう事態が続くと思いますけれども、アメリカ圏とか共産圏とか、ヨーロッパとかというのが一つの対応をなしておる。そうしてそれと対する私どものアジアも一つの単位になった方がいいと私は思うのです。ところが、残念ながらいまは私どものアジアにおきましては、そういった歴史的意識というものはきわめて希薄なのです。だから、常にアメリカの影響を受けたり、ソ連の影響を受けたり、あるいはヨーロッパの影響を受けて、不安動揺を続けておる。これは世界に安定的要素にはなっていかないと私は思うのです。やはりこれを安定的要素に持っていくための物の考え方をこれから先していかなければいかぬと思うのです。  私どもが私どもの国の安全保障というものを考えていく、防衛政策を考えていく、それは私どもとしてはあたりまえのことでございまして、これからもますますしっかりやっていかなければいけませんけれども、そのときに、日本だけのことを考えているような安全保障政策なりあるいは防衛政策であってはならぬと私は思うのです。その先にやはりアジア全体というものを考えていく、そういったものの一翼としてどのような働きをしていくかということを頭に置きながら物は考えていった方がいい、私はそう思うのですよ。そうして、そういった影響を私どもに与えようとしておる共産圏とかあるいはいつ何どき、そんなことを言ったらしかられますけれども、とにかく百年先はどうなるかわからぬ、五十年先どうなるかわからぬという。アメリカとの間に何でもきちっとやっていればそれでいいのだという寄りかかるような依存感ですね、これも断ち切って、ある程度は私ども自体の足で立つことを考えていかなければいけないと私は思います。その私の考え方でございますが、どうですか、あなたこれから先のことをお考えになられて。
  30. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私は、いま先生のおっしゃいましたお考えというのは正しいと思います。といいますのは、アメリカにいたしましても、いまから三十年ないし四十年前までは戦っていた国でございます。その後、戦争が終わって非常に仲よくなったわけでございますけれども、この友好関係を維持するためというのは、やはり先ほどもお答えいたしましたように、アメリカの国益と日本の国益が併存している限りにおきましては、これは続いていくだろうと思います。したがいまして、その併存するような形の努力というものは日本側がしていかなければ、アメリカの国益というものにとって日本の存在が無意味になったときには、やはり問題があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  31. 藤尾正行

    藤尾委員 この問題について、本当はなお掘り下げてどんどんやっていかなければいけないのですが、また、私に与えられた時間があと五分しかありませんから、その程度でやめておきまして、非常に残念至極ですが、あとはへのような話に移り変わっていきますけれども、いま盛んに言われております緊急事態に対する措置ですね。  これ、いろんなことがあるわけですね。たとえばいま憲法で許されておるのは、その緊急事態のときには参議院が国会として、国会との相談の上でやっていかなければならぬというようなことが憲法に書いてある。それ以外のことは何も書いてないのですね、というようなことになっている。それはそれなりにいいでしょう。それを書いてあろうがなかろうが、そんなことはいいですけれども、しかし物を考えられる学者の中に、こういったものは書いてないから、書いてないことは全部否定しているんだというような考えの人がいるのですね、現に。これは私は非常に困ると思うのですよ。だから、こういったことはそういうことではないということだけはやはり公開の席上ではっきりしておかなければいかぬ、私はそう思うのです。この問題は別に御返答は必要ありませんから、後で各党の方々がそれぞれの立場で御質問になりましょうから、それぞれの御答弁の際に、ひとつ腹に入れて御答弁をいただきたいということを希望しておきます。  それから、さらに細かい話になってきまして、いろんな細かいことがこれから必要なんですね、もし仮にそういった緊急事態非常事態というようなことになりますと、いろんなことを考えねばいかぬのですね。ここに書いてあるだけで考えてみましても、これが法制的に法令になるかどうかは知りませんけれども、たとえば組織編成の問題とか、あるいは人事の問題だとか、あるいは管理運営の問題だとか、数え上げれば切りがないのですね。防衛の負担をどのようにするかという経理の問題だとか、あるいは少しこれから問題になりましょうけれども、法令の問題だとか、いっぱいあるわけですね。  そういったことについて、ともかく防衛庁というのは、あるいはまた自衛隊というのはそれだけはどんなことがあっても――そんなことがあってはいけないのですけれども、そういうことはないとは思いますけれども、またないようにしなければいけませんけれども、しかしながら、そういうことをするためにもそのための準備は十二分に、こういう場合にはこういうふうにやっていくのだという研究だけはおやりになっていただきませんと、私ども国民は非常に不安になる。それは大丈夫でございますというしっかりした見識を、どんな事態になっても私どもは国家の安全と平和、そうして国民の生命、財産、そんなことには御心配かけませんということを国民に対して言ってもらわなければいかぬのですね。言えますか。これも答えは要りません。しかし、しかとこれも腹に入れておいていただかなければならぬ。私は、こんなことは文字面に書こうが書くまいが、そんなことにこだわっているのは非常に珍妙だと思いますよ、本当を言うと。  大地震が始まって、そのときに法制がどうだとか、そのときに金がどういうふうになっているとか、やれ救急体制に落ち度がないとかあるとか、そんなこと言ったって間に合わないですから、これはいやでも何かしなければならぬ、そういうのが本当に非常事態だと私は思うのですよ。だから文字面に書いてあろうとなかろうと、そんなことはやるべきことはやるのですということでなければ――そんなこと言ったら、あいつは荒っぽいことを言うなと言っておしかりをちょうだいするかもしらぬけれども、それはやってはならぬことまでやってはいけませんよ。しかしながら、そのけじめをきちっとつけたならば、大丈夫ですということだけはちゃんと言えるようにしておいてもらいたいということを御希望申し上げて、ちょうど時間でございますから、私の質問を終わります。
  32. 始関伊平

  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 福田総理は参議院の予算委員会において、有事の際の機密保護法制定を考えている、そしてそれは一般人を処罰の対象にすることは当然だというふうに答弁されていることを新聞で拝見いたしました。これは憲法の立場からも非常に重大な発言だと言わざるを得ませんし、特に最近、新聞報道あるいはテレビなどの報道を通して国民に大きな不安を巻き起こしていることは、私が申し上げるまでもないところであります。  そこで、それに関連いたしまして、一体秘密というのは何か。特にこの場合、自衛隊法に言う「秘密」とは何かということを、私も訓令を拝見させていただき、理解したような理解しないような面があるわけでありますが、秘密の保全の必要に応じて機密、極秘、秘と区分されていることを伺いました。  この際、最近の防衛庁の秘密文書等の保管状況を、これは防衛秘密と庁秘に分けて、機密、極秘、秘の分類を件数及び点数で明らかにしていただきたいと思います。
  34. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず、秘密につきましては、一つは日米相互防衛援助協定に基づきます防衛秘密というものがございます。それから防衛庁で決めております庁秘というのがあるわけでございます。  全体の数から申し上げますと、防衛秘密については文書、図画、物件、そういったもの約三千件でございます。それから点数にいたしまして九万四千点になっております。庁秘につきましては、件数といたしましては約八万八千件でございまして、点数は七十四万二千点ございます。この件数と点数との違いというのは、一件につきまして、それぞれの必要な部署で使用するために印刷をして数がふえているというような関係でふえているわけでございます。  なお、その中で、防秘の中の機密、極秘、秘という分類でございますが、これにつきましては極秘が約八十、秘が約三千二百ということになっております。庁秘につきましては、機密が約千二百件、極秘が約四千五百件、秘が約八万二千件というような数になっております。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 答弁の際でいいのですが、それは五十二年度というふうに理解をしていいかどうかということが一点と、最近の年次別の秘密区分の規定とその解除の状況をお答えいただきたいと思います。
  36. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいまの数字は五十二年十二月末現在の数字でございます。  解除の状況につきましては、五十二年度防衛秘密の方は約百件が指定になりまして、九十四件が解除されております。庁秘につきましては、五十二年度中に約三万件指定されまして、解除になった分が約二万件ございます。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私が防衛庁から伺った資料ともちょっと違いますな。これはいいです。後で質問をいたします。  さて、そのうち資料請求などの形で国会に提出されたものは何件ございますか。
  38. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは秘密のものは国会に提出したことはないと記憶いたしております。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そのほかに防衛庁には取扱注意文書というものがございますね。これは何件ぐらいございますか。
  40. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この取扱注意といいますのは、部内におきます執務の参考資料といいますか、執務のための資料でございまして、これは非常に数が多うございまして、特に登録してあるわけではございません。したがいまして、件数というのは判明いたしておりません。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 部外秘というのは、一般の人には見せないわけでしょう。それは庁内でかなり自由に指定をするわけですね。その件数というのは、いま御報告を願った七十万に近い、七十四万二千か、いやもっと多くなるのですね、そのトータルよりも非常に多くなるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  42. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは秘密文書と違いまして、厳格に管理をいたしておりません。いま申し上げましたように、それぞれ執務をする際につくった資料等でございますので、これはきわめて数が多くなっておるのは事実でございます。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう文書というのは、国会が資料要求をすれば出していただけますか。
  44. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはそのそれぞれのケースによって違うと思います。  国会に御提出いたしますのは、防衛庁として決定したとか、組織として決定された、意思決定されたようなものにつきましてはお出しできると思いますけれども、それぞれの事務段階におきまして、作業の段階におきましてつくりました資料そのものをすべて国会に、防衛庁の責任をおいて出せるというようなものではないと考えております。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 すべてということを申し上げているわけじゃございません。部外秘などというものは、部外秘というか、そういう扱いを安易にしているわけですけれども、国会の要求があれば、可能な限りそれを出すように努力をするということはお約束できますか。
  46. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 可能な範囲ではお約束できると思いますけれども、一般に部外秘といいますのは、作業段階におきますそれほど権威のある資料ではございませんので、防衛庁が責任を持って出せるかどうかということは、それぞれの場合に判断させていただきたいと思うわけでございます。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 作業の範囲、作業の過程だけじゃなくて、まとまったものも山ほどあるわけですよ。だから、作業の過程だからとか、まとまっていないからという形だけで拒否することは決して正当でない。まとまったものもたくさんあるし、そしてそれが防衛庁の内部で通用しているものがたくさんあるわけですから、これはやはり出していただかなければならぬ。いま防衛局長が可能な限り努力をするということでございますから、これ以上は言いません。  さて、実は航空自衛隊、海上自衛隊、陸上自衛隊の「秘密保全に関する達」というのを拝見したわけでございますけれども、ここでは読みません。とにかく「航空自衛隊の機密、極秘、秘にそれぞれ指定すべき知識又は文書等は次の各号に掲げる基準によるものとする。」というのを見てみますと、航空自衛隊全部秘密ですよ。秘密にできないことの方が少ないんじゃないか、オープンにすることの方が少ないんじゃないかと思われるほどずっと列挙してある。陸上自衛隊でも同じでございます。たとえばこの中に書いてある立入禁止区域、陸上の三十九条ですか、「次の各号に掲げる施設等は、通常部外者への公開、展示及び説明等を行なわないものとする。」ということでいろいろ書いてございます。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 その中で「秘密の武器」というのがございますね。「秘密の武器等を使用する訓練、演習等の行なわれている場所」、たとえばどういうことですか、「秘密の武器」というのは何ですか。
  48. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはちょっと漠然と書いてございますので、おわかりにくいかと思いますけれども、たとえば防衛秘密に指定されておりますナイキとかホーク、そういうものを使用する訓練、演習等の場合に、その秘密の部分については、これを公開しないという意味でございます。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 違うのですよ。「掲げる施設等は、通常部外者への公開、展示及び説明等は行なわない」と書いてあるのです。これは武器の部分ですか。
  50. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは武器の部分というわけではございませんで、たとえば防衛秘密に属するような部分を整備しているような施設、そういったものも当然入るわけでございます。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 かなり広くなってしまいますね。「秘密の武器」というのは、MSA協定の範囲に限られたわけではないんですね。
  52. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは必ずしも限られたわけではございません。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その次に、「特殊の訓練、演習等の行なわれている場所」というのがございますが、「特殊の訓練」というのは何ですか。
  54. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはいまのところ具体的には、「特殊の訓練」というもので公開をやめているというところはないと思います。  まあ考えられますのは、たとえばナイキやホークの現実に即したような訓練というようなことになりますと、ある一部分は秘密にしなければならぬというようなところもあろうかと思いますけれども、現実にはこれを適用してお断りしているということはないと思っております。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 特殊の訓練とか演習などというようなことを防衛庁が一方的に判断できるわけでしょう。そして一方的に国民を拒否することも可能なんですね。そういう道が随所にあるのです。たとえばその前に「秘密の物件の実験施設等」と書いてあります。「秘密の物件」というのは何ですか。
  56. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは防衛秘密などで入ってきております機材なんかの実験の場所ということでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 たくさん聞きたいのですけれども、時間がございません。陸海空の達というのは余り外へ出してないそうですけれども、きのういただくのに大変御苦労願って、拝見をして私もちょっとびっくりしたのですが、秘密の範囲が非常に多い。これはちょっとどうかなという感じもしたのですけれども、これは後でもう一遍質問いたしましょう。  このような秘密というものを保全するために、防衛庁長官自衛隊法五十九条で十分だと考えていらっしゃいますか。
  58. 金丸信

    ○金丸国務大臣 国益を損するというものについては、これは秘密を守ることが必要だということで自衛隊法の中にあるわけであります。機密保護法の問題につきまして総理がいろいろ国会でお話をいたしたわけでありますが、あれは当面考えていないということであります。私もテレビ討論会で、私は命を受けておらないことだから、これは総理の願望でありましょう、こう言っておるわけでありまして、私は現行の自衛隊法のいわゆる「秘密を守る義務」というようなことでいけるのじゃないかと考えておるわけであります。
  59. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 総理の見解に同意をなさったような、なさらないような大変幅のある御判断でございまして、実は一昨日ですか、栂野委員質問に対する御答弁も率直なところにわかにわかりかねるわけでございますが、防衛庁は機密保護法の研究はやらないというふうに断言なさいましたね。
  60. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私はたしか参議院で述べたと思うのですが、金丸信が防衛庁長官をやっている限り、そういうことはいたしません、こう申し上げたわけであります。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこのところが問題なんですよ。金丸信が防衛庁長官でいられるうちはというのは、この委員会でも言われたのですがね。率直なところ、防衛庁がやらないと言ったって、実は私ども余り安心できないですよ。と申しますのは、もう御存じのとおりに、自由民主党は一九五八年の九月に政調会の国防部会で諜報活動取り締まりに関する法律案大綱というものをつくっていますね。それから法制審議会の刑法特別部会でも、機密探知罪を特別法で詳細な規定を設ける方がより適当であると指摘をしているからであります。ここで長官が、防衛庁長官の間はやらないというようなことを言ってみたところで、国民を安心させることにはならないと思います。  さて、具体的に聞きますが、防衛庁は一九六五年から六年にかけて有事法制研究を行ったということが新聞でも報道されています。これによれば国家防衛秘密保護法の制定ということがございまして、わが国の防衛上の秘密を保護するため、国家防衛秘密の範囲、所要の罰則を定めること、次に刑事特別法と同様の規定を設けて秘密保護の措置をし、探知、収集なども処罰の対象とする。さらにこれに関連して、警務官などが秘密保護法に規定する犯罪について被疑者が隊員以外の者であっても司法職員としての任務を行うことができるようにするというふうなことが、全部は申し上げませんけれども、明らかにされております。こうした研究が行われたことは事実でございますか。
  62. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昭和四十年から四十一年にかけまして、いわゆる有事法制研究というのをやったのは事実でございます。その中にいろいろな法律の案というようなものを考えたということも聞いておりますが、いま先生がおっしゃったような内容そのものであったかどうかということは、私ははっきり存じておりません。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛局長がはっきり存じておりませんなどと言うのはインチキなんですよ。これはあなたが知らないはずはないんだ。まあ、それは結構でしょう。  つまり、やったけれども、中身はわからぬとおっしゃるんじゃなしに、これはぼくはそのことをはっきり示してほしいと思うのです。なぜなら、この研究というのは三矢研究と違いまして、松野防衛庁長官の指示に基づいて参事官会議で正式に研究が取り上げられたことは事実でしょう。研究に当たっては、憲法の範囲内で研究する方針だということを確認して、内局の指導で行われたということも承っておりますが、それは事実ですか。
  64. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは、三矢研究の後、そういうことを研究しようということが参事官会議で決まり、長官の御了解を得まして、どういう手順で、どういう方針でやるかということが決められたというのは事実でございます。しかしその後、法制担当者がその各個につきまして研究をいたしましたけれども、その結論を得ないままに終わったということでございまして、でき上がったものが参事官会議あるいは長官に御報告されたという事実はございません。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまみたいな形でいつでも出てくる、そういうものがあるわけですね。また、われわれはあると考えざるを得ない。機密保護法というのが制定されれば、かつての軍機保護法の時代を思い出すまでもなく、たとえば戦後においてだって、米軍基地の写真を撮ったということでとがめられたり、あるいは刑特法の適用を受けたり、またクリーニング屋が商売上の問題で軍隊の移動を聞いただけでもとがめられたというふうな経過もあるわけですね。また、いま新聞でいろいろな形で出ていますけれども、ジャーナリストがその記事の責任を問われるというケースだって私は考えておかなければならぬと思う。そういう意味で、非常に大きな問題をはらんでいるように私は思います。  そこで、報道機関などを通してこれだけ国民の中に、それは憶測だとあなた方はいろいろおっしゃるかもしれませんけれども、疑惑と不安が渦巻いているわけですから、防衛庁はこの資料をお隠しにならないで、隠せば隠すほどいろいろな不安が広がるわけでございますから、有事研究の資料を国会に提出していただきたい、これをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  66. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、この手順あるいは方針というものは決められましたけれども、その後の研究の結果につきましては、防衛庁としてまとまったものはございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、まさにそのそれぞれの担当者の研究資料の域を出ていないわけでございますので、これは防衛庁として提出できるような資料ではございません。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは別に秘密指定はないわけですね。これは部外秘密になっていますか。
  68. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、有事法制研究という問題につきまして、いつも申し上げていることですが、防衛という問題は二十七万の自衛隊員だけで防衛がやれるもんじゃない、一億一千万国民の一人一人の理解を積み重ねるところに防衛の基本があるという考え方を持っておるわけでありまして、そういう研究が出る、その途中で中間報告をしろと国会で言えば中間報告もする、こう申し上げて、ひた隠しなどいたしません、そういうことで私はおるわけでありまして、現在まことに平和だからこんなことをやっていると私は思うのですが、全く卵の卵の卵だと私が言っているのは、私のところにまだ全然何のかけらも研究したものが出てきておらぬということを考えてみれば、私がたびたび言うように、この有事法制という研究がひとり歩きしてしまってどうこうもつかぬ。私は手綱をつけておるつもりだったけれども、手綱が外れちゃってひとり歩きしたというのが現実の感慨であります。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官は、有事がひとり歩きしてしまって、おれは後からついていくのに骨が折れておると、この間もおっしゃいました。ある意味でそういう面もございます。しかし、それにもかかわらず、いまみたいな資料が国民の中にどういう不安を巻き起こしているか、これは御想像願えると思うのですよ。ですから、伊藤防衛局長がいまおっしゃったならおっしゃった形を付して公開したってちっともおかしくないんじゃないか。それは問題になっているのです。だからその辺は、部外秘でないなら、あるいは機密でないならお出しになったらいかがですか。
  70. 金丸信

    ○金丸国務大臣 その問題につきまして、きのう参議院で私は申し上げたのですが、一遍に十、二十と研究できるものじゃない、一つ一つ研究していくということですから、三原長官が昨年の八月これを指示したということですから、私は少なくともある程度のものは形づくられてきておるだろうという推測をいたしております。ですから、通常国会あたりにこういう問題を中間報告しろということであれば、一つ二つは出せなくては何のために有事法制研究を一年間やっておるかということに――一年間以上ですから、それをひた隠しに隠していたらまた国民の疑惑を招くということですから、仰せのとおりだと私は考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃ、ぜひ資料を出していただきたいと思います。(金丸国務大臣「前のやつですか」と呼ぶ)前のやつです。
  72. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 私語は禁じます。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 前のやつがこれだけ問題になっているんだ。だから、それはお出しなさい。そして、いま伊藤防衛局長がおっしゃったような、それならそれでコメントをつけたらいかがなんですか。
  74. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 前のは、先ほども御説明いたしましたように、まとまって防衛庁で決めたものではございませんので、秘文書というわけではございませんけれども、いわゆる部外秘になっております。そして先ほど先生に申し上げましたように、担当者レベルの研究事項、いわゆるその作業の過程におきます資料ということでございますので、これはいわゆる部外秘の中でもお出しできないものというふうに考えているわけでございます。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもおかしいのですよ。これだけ問題になっているということを防衛庁はもっと深刻に考えなければいかぬですよ。優秀な記者がスクープして出すわけです。国民がそれは大変だということになる。私もそう思いますよ。卵の卵どころじゃなくて、鶏に現実に育っておるわけです。研究をしましたという過程はあったとしても、そのものがずばっと出てくる可能性だってないとは言えないですよ。だからお出しなさいと私は言っているのです。  そこで、防衛庁長官有事法制研究というのは、これから何年くらいお続けになったらまとまると思っていますか。その後、伊藤防衛局長、私の質問に答えてください。
  76. 金丸信

    ○金丸国務大臣 これが何年かかるか、自衛隊がある以上、こういう問題について、いろいろ有事に対する対処法はどうするかというような研究は、自衛隊が存続する限りあるのじゃないかという考え方を私は持っております。  また、前の研究材料というものは、私も見ておらない。それはもう全部つぶれちゃったということで、新たに国民の理解を得る中でそういうものをつくっていく。その前のことは亡霊だから、その辺でおいてください。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 亡霊にならぬですよ。またすぐに生き返ってくるのです。なぜかと言えば、大変御苦労なすって日の目を見て、精力的につくった労作でございますよ。その労作はもう前のことですからわかりません、そうはいかぬのですよ、防衛庁の責任というものはつながっているから、それはぜひ私は見せていただきたい。このことをもう一遍お願いをしておきたいと思います。
  78. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいまやっております有事法制研究というのは、昨年は三原長官の御指示のもとに、現在は金丸長官の御指示のもとにやっていることでございまして、私どもは、過去のものとは全く関係なしに研究をやっているわけでございます。したがいまして、そういった過去のある時代に担当者がやったというようなものをいわゆる資料として出すことの方がかえって誤解を与えるのではないか、いま防衛庁のやっておりますものはこういうものでございますということをはっきり申し上げられる段階に申し上げた方がいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはやり合ったってしようがありませんから、私は、防衛庁と見解を異にしておる、これだけを申し添えておきます。  ただ、私が以上のようにいろいろなことを言ってきた意味は、長官、これだけ膨大な秘密が山ほど保管されているのですよ。その上に、毎年毎年新しい指定がつけ加えられているわけであります。つまり秘密保全体制というのがますます強化されているわけであります。防衛庁長官は、この前私とのやりとりで、自衛隊はシビリアンコントロールのもとにあると言って、そのシビリアンコントロールというのは、国民の世論と国会の統制を、政府を含めてですが、意味しているとお答えになっていますね。しかし、現実はこうした秘密のベールによって、国民も国会もつんぼさじきに置かれているということが明らかだと思うのですよ。私は達というのを拝見して、項目しか載っておりませんけれども、全部こうやって隠すこともできますよ、空海陸の。これは問題だろうと思うのです。これではシビリアンコントロールというのはできませんよ。  長官は、かねてからおはこの言葉ですけれども、そのとおり読みますが、「戦前の日本とは何だ、中央政府が知らぬ間に満州においていろいろな問題を提起しておる。それが第二次世界大戦にまで及んだ。この歴史をわれわれは十二分に踏まえながら二度とこういうことのないような日本をつくっていかなければならぬ、」というふうに語っておられる。秘密の扱いを防衛庁が際限なく指定していく、実際そうなっているのです。  もう時間の関係で、私、いろいろほかの御質問もあるので言いませんけれども、毎年毎年新しい指定が加わっていく。その上に部外秘の方もお目にかかることはできない。これは防衛庁の秘密主義と言われてもしようがないのですよ。それではシビリアンコントロールはできません。国会において私どもどうやって審議して、どうやって聞いたらいいだろうかと考えてみたら、あれはどうなんでしょうかと聞くことだけで精いっぱいになってしまう。それでも答えない。それでシビリアンコントロールなどということができるだろうか。政治が軍事に優先するということがこれでできるのでしょうか。私は、この辺はいま若干の問題を取り上げただけですけれども、それははっきりさせておいてもらわぬと問題だろう、こう思うのです。その点について見解を承りたいと思います。
  80. 金丸信

    ○金丸国務大臣 防衛という問題は素っ裸で、すべて開放的だ、それじゃ防衛という問題は成り立たないという考え方、私もそういう問題について関心を持っておるものですから、アメリカに行きまして作戦部長等にもいろいろと話を聞いてみますと、アメリカにも相当な、いわゆる秘密というものはあるようであります。しかし、アメリカも先進国、民主国家として文民統制というのは非常に徹底しているということで、私は非常に驚嘆をいたしたわけであります。先ほど来から私が申し上げましたように、防衛という問題は国民の理解を得なくちゃならぬ、全部何でもかんでも秘密というようなことではいかぬことは確かであります。ですから、そういうことは十分に踏まえながら、なるほど秘密があってもこれはやむを得ぬな、しかし、この程度のものが何で秘密だというようなものが秘密であってはならぬ、私はこう考えております。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大変見識のある御答弁ですが、いま七十何万件と言われるものをもう一遍見直して、そうして解除すべきものは解除するという御努力をいただくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  82. 金丸信

    ○金丸国務大臣 七十何万に私が目を通すわけにいきませんが、そういうものは、十二分に必要なものは私もそんなにあるはずはないと思うのですよ。必要でないものは破棄するなり公開するなりしてもいいと私は思います。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 秘密保護のことはまだちょっとやりたいのですが、また後日に回します。  伊藤防衛局長と私は、八月十六日の委員会でやりとりしまして、日米防衛協力小委員会のことをお尋ねいたしました。アメリカ側から日本自衛隊の軽武装力を、兵器、弾薬の規格の統一とか通信あるいは指令系統の同一編成、たとえば自衛隊の対潜哨戒機のレーダーが米軍司令部にも直結して、迎撃戦闘機の出動決定などに共同行動がとれるような、つまり共同のトータルシステムをとりたいという提案がなされていますね。これがガイドラインというものをつくっていく過程の中で生かされていくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  84. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生の御質問に適確に答えているかどうかわかりませんけれども、これはいわゆる指揮系統は別だということでございます。その別の指揮系統の中でお互いに意思を疎通しなければなりませんので、必要な場合には調整機関というようなものを設ける必要があるだろうということは研究されているわけでございますが、いまおっしゃいました、たとえば情報がストレートに米軍に入って、そして対応するというのは、先生も御承知のように、領空侵犯措置を米軍と日本自衛隊と一緒にやっておりましたときには、レーダーの情報が府中に入りまして、そこに米軍の司令官と航空自衛隊の総隊の司令官が座っておりまして、そうしてその情報を見ながら領空侵犯措置をとるというような形になっておったわけでございますが、日本が攻撃を受けて航空作戦をやるというような場合にはそういう形も必要ではないかというふうには当然考えられますけれども、具体的にどういう形でやっていくかというのは、今後の研究課題だと考えております。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは共同行動という問題点に幾つかの問題を提起するおそれというのはあるのですよ。つまり、安保条約自身のいろいろな評価は別として、防衛協力小委員会の結論の出し方によっては、性格に大きな影響、変化を及ぼす可能性というのはあると私は思うのです。だから、その点をちょっと聞いておきたかったのですが、問題はガイドラインというものを共通のものにしていく、あるいは武器、弾薬の規格を統一させていくとか、あるいは通信、指令系統というものをできるだけ同一編成にしていくということだろうと思うのです。恐らくガイドラインというのは、そういうふうになってくるんだろうと思います。その点はどういうようにお考えになっていますか。
  86. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この補給関係におきましては、なるべく共通の補給品を研究するということは今後になされなければならないと思います。  ただ、指揮、通信機能が同一編成というのはちょっとわかりませんけれども、いわゆる指揮、通信の関係、いわゆる作戦運用の関係で意思を疎通しなければならないということは当然あるわけでございまして、それに従いまして、今後の研究におきまして自衛隊と米軍がどういう形のものをとるかというようなことは研究してまいることになろうかと思います。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう一つ、これは議事録で伊藤さんに御質問申し上げるのですが、ミグのときに弾薬を運んだ。それから第三種勤務態勢というものをとった。これと七十七条の防衛出動待機命令と一体どんな関係があるのか。つまり私の言いたいのは、防衛出動や待機命令が出される前、伊藤さんの発言をそのとおりに読みますと、  ああいった事件の後というものは、あるいは最悪の場合には防衛出動が下令されるという危険もあったわけでございます。したがいまして、現在のそれぞれの駐とん地には弾薬を貯蔵する施設なんかも余りございません。したがいまして、いろいろな形で総理大臣の命令が出ましたときに即応態勢がとれるという形で何らかの措置をしておく必要があると考えましたのが長官以下の考えでございまして、そういった意向は方面総監にも伝えてございまして、それに従ってある程度の準備はしておったというのが実情でございます。 こうおっしゃっていますね。  そうしますと、防衛出動なりあるいは待機命令というものが出る前に自衛隊は弾薬を動かしている。これも実は道警に届け出ないで動かしていますね。火薬類取締法の措置は抜かしていますよ。その上に軍隊を実際問題として動かしたわけです。営門のところでとまったけれども。こういうことというのはやはりできるのですか。つまり、それ以前と、その前の状況というものを現実にやっているわけですよ。それはどういう根拠でなさっておられるか、私はお尋ねしておきたいと思います。
  88. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは各部隊というものは、いわゆる日本のような専守防衛の作戦を考える場合には、それぞれの部隊がやはり有事即応態勢でなければいけないわけでございます。ただ、御承知のように、自衛隊はすべての部隊がその駐とん地で武装をし、直ちに出動できるような態勢にないわけでございまして、いわゆる防衛出動待機命令が下令されるという段階になりますと、必要な方面には必要な勢力を増強しておいて、そして出られるような態勢というものまで考えなければいかぬわけでございますけれども、あの時点でやりましたのは、たとえば待機命令が出る、あるいは防衛出動が下令されるというような場合に、そこにおります部隊だけでもまだ準備態勢というものができないわけでございますから、それぞれの部隊におきます有事即応態勢を高めるという努力をしたということでございます。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは非常に大きな問題なんですよ。七十七条の防衛出動待機命令、それが出る前に弾薬を動かしたり、率直に言いますと、それは栗栖さんの言っていることが正しいのですよ。超法規的なんですよ、弾薬を動かしているし。まあ栗栖さんのことはどっちでもいい。問題は待機命令が出る前に部隊を動かしてしまっているわけでしょう。いまあなたもおっしゃったように、その準備をしておくということになりますと、これはやはりちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
  90. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは部隊を動かしたということではございませんで、あの場合のことを申し上げますと、たとえばホークの部隊が行っておったというのは、あのために動かしたわけではないわけでございます。これは展示をするために持っていったわけでございますが、その場合におきまして、それぞれの部隊にいわゆる戦闘基準に合致するような弾というものは配置してございません。したがいまして、本来ならばそれぞれの駐とん地にそういうものは持っていなければならないものが、平常においては欠けているので、あの場合には、その平常において当然持つべき範囲で運んだということでございますから、いわゆる防衛出動待機命令の事態とは性格が全く違っていると考えているわけでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 伊藤さんらしくないんだな。つまり、展示のために置いておいたのですよ。事件が起こったのですよ。撤去するものをそのまま置いておいたのです。いいですか。置いておいた。置いておいたということも意思の変化なんですよ。すぐ戻そうとしたものをそこへ置いておいた。置いておいたものに、L90対空砲を置いてあったから、それに弾薬を補給しなければならぬというのは、やはり待機命令が出る前あるいは防衛出動が出る前に動かしているわけですよ。こういうことというのが準備ということで行われるとすれば、これは際限ないことになっちゃうのじゃないですか。
  92. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはたまたまそこにホークがあったということでありまして、本来ならば、ホークが仮に千歳にあった場合には、そのホークのあるところで弾を準備するというのは当然のことであるわけでございますが、それが函館にあったということでございまして、わざわざ移動してそこでやったというものではございません。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる待機命令に基づきますと、必要な部隊をその駐とん地に増強し、直ちに出動できるような態勢をとるということでございますので、あの場合には二八連隊の駐とん地としての備えをしたというふうに考えているわけでございます。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま申しましたけれども、待機命令が出る前に部隊を増強する、つまり動かすわけですよ、ということが可能なんですね。増強なさるとおっしゃったでしょう。待機命令なり防衛出動に備えて、準備するために部隊を増強なさる、そのための行為としてこれがあったというふうにおっしゃったわけでしょう。
  94. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま申し上げましたのは、防衛出動待機命令のときにどういうことをやるかということを申し上げたわけでございまして、その待機命令のときには……(岩垂委員「待機命令以前のこと。動かしているじゃないですか」と呼ぶ)待機命令以前の場合でございますと、その駐とん地としての有事即応態勢を高めるということでございます。したがいまして、待機命令以前に勝手にふやすというようなことはいけないと思っております。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いや、いけないと思いながら、実際やっているのですよ。だって、L90は展示のために置いておいた、しかし事件が起こったのでそのまま残しておいたというのは事実でございます。いいですか、L90、動いたわけでしょう。それに今度はまた弾薬を運び込んだわけでしょう。部隊を動かしているじゃないですか。準備のために増強なさるとあなたはおっしゃった。そういうこともできる、もうやっていらっしゃるわけだから、できるというふうにお考えになってやった、これは重大だと私は思うのですよ。つまり、防衛出動そして待機命令、その待機命令以前に現実に部隊を動かしているわけですよ。そういうことが、つまり増強することが認められているというふうに私は理解しました。その理解でよろしゅうございますね。
  96. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ある一つの目的を持ってそこに特別に部隊を配備したということではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、たまたまそこに行っておった、それを使えるような状態にしたというだけのことでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはちょっと違うのですよ、あなたの答弁と。「防衛出動が下令されるという危険もあったわけでございます。したがいまして、現在のそれぞれの駐とん地には弾薬を貯蔵する施設なんかも余りございません。したがいまして、いろいろな形で総理大臣の命令が出ましたときに即応態勢がとれるという形で何らかの措置をしておく必要があると考えました」のでやったと書いているのですよ。つまり、準備が待機命令以前に行われているわけです。部隊が動いているわけです。そういうこともできるのですねということを私は言っているのです。
  98. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 命令をいただいたときに動けるような態勢に努力するのは、自衛隊としては当然の責任だと考えておるわけでございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、七十七条の意味というのは、私の理解しておるのとまたちょっと変わってくるのです。いいです。これはやりとりをしてもあれだと思うのですが、つまり待機命令を出す前に現実に部隊を動かした。あなたの言葉で言えば増強した。そういうこともできるのだということになれば、待機命令の意味は若干変わってくると思います。  それじゃ次に、海上保安庁、おられますか。――どなたでしょうか。
  100. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 海上保安庁説明員は、自分の名前を名のってください。
  101. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁警備救難部参事官福田でございます。
  102. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 官あるいは次長は、なぜお見えいただけないのですか。
  103. 福田稔

    ○福田説明員 先生の御質問につきましては、私が担当いたしておりますので、出席させていただいた次第でございます。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は長官が来てくれることを期待いたしました。しかし、それができなかったことは大変残念であります。長官がいなければ次長もおられるわけでありまして、国会を重視してほしいものだと思います。  さて、いまもやりましたけれども、現在の有事立法議論があたかもある日突然起こるかもしれない仮定の問題としてとらえられているとあるいは思うかもしれません。しかし、一方で現体制あるいは現法令のもとで有事問題がいつでも現実となる危険性というもののレールが敷かれているという感じを私は海上保安庁の問題について感ずるわけで、その点について質問をしたいと思います。  海上保安庁は、私の知る限りにおいても、朝鮮動乱当時の米軍の掃海作戦への協力、あるいは武装巡視船による中国沿岸の特別哨戒、さらには李ライン紛争、宗谷海峡におけるソ連艦隊に対する特別哨戒など、歴史的には予備海軍と同じような任務を持ってきているのではないだろうかと思われる事件がございました。二百海里時代を迎えて、この傾向は恐らくますます強くなるだろうと私は思うのです。海上保安庁の一見目立たない警備行動は、警察機関としての権限を逸脱して、たとえば正当防衛とか自衛の名のもとに軍事行動に転化される危険性があると私は思う。その点を若干指摘をしたいと思うのです。特に自衛隊の行動に組み込まれていく危険性を含めて、八十条問題ですが、質問をしてみたいと思います。  二百海里時代を迎えて、海上保安庁自身も予想しなかったほどの、この間新聞に出ておりましたけれども、巡視船の大増強が行われて、それは隻数だけでなくて、大型化あるいは遠洋化が行われています。これによって従来の沿岸警備の型から海の国境警備型へと変わっていくような感じがするわけであります。そこで、在来のものを含めて巡視船にどのような武器が搭載されているか、明らかにしていただきたいと思います。また、この武器、特に最近搭載されているのはどこで製造されているかということを明らかにしてほしいと思います。
  105. 福田稔

    ○福田説明員 お答えいたします。  海上保安庁の巡視船艇には三インチ砲あるいは四十ミリ機関砲、二十ミリ機銃、十三ミリ機銃、合計で百十五門の武器が装備されております。現在搭載しております武器はすべて米軍貸与のものでございます。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 海上保安庁は毎年射撃訓練をやっていますね。四十年六月一日でしたか、海上保安庁が定めた武器使用規則の法的根拠というのをちょっと明らかにしてくださいませんか。
  107. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 御注意申し上げますが、明確にお答えをいただきたいと思います。
  108. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁の武器の使用につきましては、庁法二十条によりまして警職法七条を準用して使用することになっておりますが、ただいま先生御指摘の規則は訓令でございますので、行政組織法の系列から出ている規則でございます。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自衛隊や警察の武器使用規程は、国会で審議を受けた法律によっておりますけれども、海上保安庁は事務当局だけでいまあなたのおっしゃった訓令をとったのは一体どういうわけですか。
  110. 福田稔

    ○福田説明員 当庁の武器の使用につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、警職法七条の準用でやっておるわけでございますが、先生御指摘の規則は、警職法七条に該当する場合の具体的な武器の使用につきましてなお一定の制限を設けた、そういう種類の訓令でございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはおかしいですよ。庁法二十条というのは警職法七条であなたが言った準用を受けた。それは警職法七条、警察法六十七条もありますけれども、ともに携帯武器を指しておって、特に六十七条というのは明確に「小型武器」と明記しているんですよ。三インチ砲がなぜ小型武器に入るのですか。
  112. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁の装備しております機銃、砲につきましては、先ほど御説明申しましたとおり庁法の四条で装備しているわけでございます。使用につきましては二十条、こういうことでございます。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 四条というのは何ですか。
  114. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁法第四条では「海上保安庁の船舶及び航空機は、」いろいろ書いてございますけれども途中抜かしますと、「海上における治安を維持し、」云々「するのに適当な構造、設備及び性能を有する船舶及び航空機でなければならない。」このように規定しているところでございますが、この規定に基づきまして装備しております。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大砲は設備ですか、構造ですか。大体根拠がおかしいと私は思う。警職法七条、自衛隊法九十条には法の条文に明確に制限規定がございます。これには制限規定がございますか。特に草案の段階で入っていた文章が削除されていますね。たとえば外国公船への使用制限、客船への威嚇射撃禁止あるいは三インチ砲の威嚇射撃の禁止等を定めるべきだと草案にあった。しかしそれは全部削られている。そうすると、外国の公船に対して射撃できるということですか。
  116. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁の船舶からの砲の使用は、先ほど来の海上保安庁法二十条、警職法七条の要件に該当し、かつ訓令に該当する場合に使用できるということでございますので、理論的には外国の公船といえども射撃はできる、もちろん状況によりまして使用するかしないかは判断されるわけでございますが、使用することはできると考えております。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはだれの判断でできるのですか。
  118. 福田稔

    ○福田説明員 砲及び機銃につきましては、指揮官の命令によって射撃することができるというふうに定められております。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 指揮官というのは、詰めて言えば船長でしょう。
  120. 福田稔

    ○福田説明員 一般的には、巡視船艇の船長でございます。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 警察が持っている小型拳銃でさえ厳重な制限規定がある。しかし巡視船の武器には制限規定がない。これはどういうわけですかね。
  122. 福田稔

    ○福田説明員 巡視船艇の砲、機銃の使用につきましても、警職法七条の準用規定によって使用するわけでございますので、それらの制限規定はかかる、かように考えております。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 訓令でそういう形でもって決めているわけですが、たとえば尖閣列島のような紛争だとか、あるいはソ連警備艇とのトラブルなどで、仮に海上保安庁が発砲したというふうな事件が起こったときには、これは悪いけれども、憲法九条の国際紛争を武力で解決することになってしまうのですよ。九条の違反になりますよ。このことが自衛隊の自衛権発動の根拠にならないかどうか、その点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  124. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁の職務は、海上保安庁法二条に規定しております海上における法令の維持でありますとか犯罪の捜査、鎮圧、そういう職務でございますので、それらの職務を遂行するための武器の使用ということで、私ども警察行動というふうに考えております。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃ聞きますけれども、砲というのはこの十年来使ったことがありますか。
  126. 福田稔

    ○福田説明員 砲、機銃につきましては、使用したことはございません。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 二条のことを遂行するために砲がなぜ必要なのかということを私は聞きたいのですよ。この理屈でいけば、大砲も設備だとおっしゃるなら、警察が戦車や爆撃機を持って取り締まるようなものでございまして、警察権の逸脱だろうと私は思うのです。軍事行動というものと警察行動というものの区別がどうつくのかということを私は非常に心配せざるを得ないのです。さっき言ったように、砲を撃つことだってあるというのでしょう。それはどういうときですか。それで警察行動と軍事行動というものをこの場合どういう形で区別すべきだということで保安庁内部では議論しておりますか。
  128. 福田稔

    ○福田説明員 私どもで一般的に担当しております業務は、先生御承知のように、いわゆる領海侵犯というような形のものに対して警備活動を行っているわけでございますが、通常船舶は、領海につきましては無害通航権を持っているわけでございますので、無害でない通航、そういうものについての監視、取り締まりを行うのが領海警備というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、それに必要な程度の武器を装備しているというのが海上保安庁の武器の装備でございます。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 砲の搭載というのは庁法の四条ですね。さっき言ったように、設備で砲を積むというのは無理なんです。法律の制定の過程は、時間がありませんから細かく言いませんが、あなた方自身もう知っていると思うのです。大砲を設備だと言う。そして警職法を準用する。海上保安庁が携行する武器の使用については、警職法を準用するというのがある。実は警職法の準用というのは、二十条と十九条というのはセットであるのですよ。これに関連して警察法六十七条というのは「小型武器」と明記しているのですよ。どこから大砲の根拠が出てくるのか、私はここのところをはっきりさせてもらわなければ困るのです。あなた方が持って歩いて動いているわけだから、その点の経過と、なぜそうなっているのかということを明らかにしてほしい。
  130. 福田稔

    ○福田説明員 携帯武器につきましては、先生御指摘のとおり十九条でございますが、船艇への装備としての砲、機銃につきましては第四条というふうに解しているわけでございます。いずれの場合にもその使用につきましては、二十条により警職法第七条の準用の規定で使用する、このように解しているわけでございます。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 三インチ砲は小型武器ですか。
  132. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 はっきりお答えください。
  133. 福田稔

    ○福田説明員 警職法七条を準用しているわけでございますので、当庁が設備し、あるいは携帯している武器の使用につきましては、警職法七条の規定によって使用する、このように解しているわけでございます。
  134. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それを聞いているのじゃないのだよ。さっき言ったように、警察法六十七条というのは「小型武器」と書いてあるのですよ。そうして警職法が出てきているのですよ。そうして二十条と十九条というのはセットなんですよ。すると、小型武器なんですよ、準用すると言っているのは。砲が小型ですか。それを、あなたの判断を聞かせてほしい。
  135. 福田稔

    ○福田説明員 二十条の武器の使用の規定は、十九条のみならず四条によって装備されております武器についても規定している、このように解しているわけでございます。
  136. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなたの判断で、大砲というのは小型武器というふうに考えるかというのです。
  137. 福田稔

    ○福田説明員 大砲、機銃につきましては小型武器ではございません。
  138. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうなんですよ。そこがもうずれちゃっているのですよ。それは海上保安庁の発足の歴史があったことも事実ですよ。これはそこからの背負っている宿命なんです。だけれども、そうでないものを皆さんは積んで歩いているのですよ。これはやはり非常に大きな問題になるだろうと私は思うのです。  さて、それに関連して二百海里時代の警備対象をどのように具体的な対策として考えていらっしゃるか。紛争にどう対処するか。武器使用規則との関連で、たとえば配置場所は、これからそれぞれ日本海のど真ん中へ、尖閣の付近あるいは外洋に及ぶわけですね。これは沿岸における日本の漁船を含めて、一般の船などは余りやらないことになってしまう。対外国船用の警備の方向ヘウエートが非常に強くなっている。この場合に自衛隊とどこで違うのか。同じように国境警備になってしまっているじゃないですか。この点はどのように区別して、どのように対応するように検討なさっていらっしゃるか。
  139. 福田稔

    ○福田説明員 新海洋法時代を迎えまして、当庁の仕事はいろいろと複雑になりましたけれども、基本的には従来の仕事と変わっているわけではございません。対象の範囲が広がった、あるいは海域が広がった、こういうことでございます。海上警備と申しますと、いわゆる領海の警備、それから漁業水域における警備、こういうふうに考えられますけれども、いずれも海上保安庁法第二条の業務というふうに考えているわけでございます。
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自衛隊法八十条、これは特に二項は「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。」というふうになっています。こういう場合の問題について防衛庁と協議をしたことがございますか。
  141. 福田稔

    ○福田説明員 防衛庁長官の指揮下に入った場合につきましては、協議したことはございません。
  142. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 海上保安庁法二十五条は「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」こう書いてありますね。いま申し上げた自衛隊法と、海上保安庁法のいわば軍隊の機能を営んではならないという二つ法律の関係というのは、あなた方はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  143. 福田稔

    ○福田説明員 海上保安庁の任務、所掌事務は海上保安庁法第二条に規定しているとおりでございまして、防衛庁長官の指揮下に入りましても、海上保安庁の職務は変わらない、このように考えておる次第でございます。
  144. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それなら、軍隊の機能を営まないというなら、なぜ警察並みに八十六条の相互協力ということでなさらないのですか。いま申し上げたように二百海里時代、その警備の中で国際紛争というものがあり得る。軍隊の機能を営まないというなら、この二十五条の歯どめというものは大切な意味を持っているけれども、しかし、防衛庁長官の指揮下にあなた方は入っちゃうのですよ。  もっとはっきり言うと、軍事偵察とパトロールとどれだけ違うのですか、過去にやってきたことを含めて。そういう問題についてあなた方は庁内で議論したことがない、自衛隊とも協議したことはない。これは本当に問題ですよ。三インチ砲を持って歩いているのですよ。そういう問題点について、あなた方はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御答弁を煩わしたいと思います。
  145. 福田稔

    ○福田説明員 先ほど来繰り返し御説明申し上げておりますとおり、海上保安庁は海上における治安の維持という庁法第二条の職務を遂行しているわけでございます。  ただ、海上自衛隊が出動する海上警備行動の場合につきましては、当庁と海上自衛隊の間に業務協定をしておるわけでございまして、指揮下に入りました問題につきましては、話し合いをしていない、こういうようなことでございます。
  146. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき言ったように三インチ砲を積む。小型武器という枠内で、あるいはそれは設備だということで積んでいらっしゃる。これは本当に不自然に感じないのですかね。そして有事の際に自衛隊法八十条によって海上保安庁の全部または一部が統制され、自衛隊の指揮下に入るのですよ。一方に、私がさっき読んだように、二十五条といういわゆる非軍事規定というものがあるわけでしょう。そういう点を検討なさる御用意はございませんか。そうしないと、こうなるのですよ。  さっきあなたが言ったように、三インチ砲をぶっ放すこともあるというんですよ。艦長の判断でやるわけですよ。いいですか。ぶっ放しちゃったら事実上交戦状態ですよ。交戦状態に入った形の中で実は防衛出動ということになると、結局自衛隊の枠の中であなた方は統制され、指揮されるのですから、あなた方がそれこそ国際紛争の決定的な場面というものを予想せざるを得ないんじゃないですか。まあ私は第一線の職員は御苦労なさっていると思うから、そのことについては敬意を表するけれども、しかしこういう問題点があることをあなた方は少し矛盾に思っていらっしゃいませんか。思っているかいないか、その点ちょっと答えてください。
  147. 福田稔

    ○福田説明員 私どもの巡視船艇に装備しております機銃等は、海上の治安維持のために必要であるということで装備しているわけでございます。先生御承知のように、私どもが業務対象にしておりますものは、陸上と違いまして船舶でございますので、ある程度の能力のある装備が必要である、こういうことで装備しているわけでございます。
  148. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなたはさっき警職法を準用すると、警察法は「小型武器」と書いてある、大砲は小型じゃないとおっしゃったでしょうが。つまり私の言いたいのは、その辺が非常にあいまいになっているんですよ。そして海上保安庁法二十五条でさっき読んだように、この海上保安庁法の「いかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」とはっきり書いてある。実際の場面というものは、統制され、指揮下に入るんですよ。いいですか。これは有事立法の中でまた問題になるところだけれども、その辺の議論もしてない、防衛庁との間にも調整もしてない。しかし現実の事態というのは、二百海里時代を迎えて、いま私が言ったようにいろいろな事態が想定されますよね。そのときに自衛のためと称して鉄砲を撃ち始めて、そして治安出動。戦争になるじゃないですか、紛争になるじゃないですか。私は現実の局面はだれでもわかっていただけると思う。  つまり、そういう有事の体制というのはもう事実上でき上がってしまっているということを私は言いたいのです。警察行動あるいは警察権の名において軍事行動に移れる危険性がいっぱいあるわけです。その意味では巡視船の砲を撤去するか、そうでなければ武器使用規則というものをきちんと改正して、そういう危険を避けていくとか、あるいは自衛隊法八十条を削除しなければ、このまま生きておったら法律的にも矛盾があるし、実際の場面でも物すごい危険性というものが私はあると言いたいんですよ。この点を長官やあるいは幹部の皆さんとよく相談して、きちんと統一的な見解が出せるようにあなたから御答弁を願いたいと思います。いまでなくていいから。
  149. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 岩垂君に御注意申し上げますが、あなたにお約束いたしました時間はあと十五分であります。その間、理事会では関連質問申し出がありますので、それをお含みの上御質問いただきたい。
  150. 福田稔

    ○福田説明員 当庁の装備しております武器につきましては、密航でありますとか密輸でありますとか、一般的な海上犯罪を想定した上で装備しているわけでございますが、先生御指摘のような事態につきましては、先生の御趣旨を長官に伝えたいと思います。
  151. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それで統一見解を示していただけますね。
  152. 福田稔

    ○福田説明員 検討の上、示したいと考えております。
  153. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もうおしまいにします。私まだこれについて質問があるのですが、委員長が厳しく言うからこれであれするけれども、いっぱい問題があるんですよ。海上保安庁自身の法の問題それからその歴史、それが非常に矛盾を含んだままで問題が出ているのです。海難救助や密輸取り締まりというようなものを含めて御努力なさっていることは私は認めるけれども、しかし、七・五センチですか三インチ砲を積んで、機関銃を持って、そして実際は、さっき私が言ったようによけいなことまでやっているわけですよ。朝鮮戦争のときもそうだし、そういうことをもうちょっときちんと整理して、私にぜひ統一見解を示していただきたい。もう最後ですが、これは防衛庁長官、それをちょっと督促してください。これは自衛隊法に関係があるのですよ。
  154. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 委員長において善処いたします。
  155. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣の答弁を……。
  156. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は守備範囲外でございますから……。
  157. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは自衛隊法に関係があるのですよ。ですけれども、海上保安庁が統一見解を示すということですから、私はそれでやめます。あと伊藤茂議員に関連質問をお願いすることになっております。
  158. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 関連質問申し出がありますので、これを許します。伊藤茂君。
  159. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 短い時間でありますが、大事なことを伺いたいと思います。  大臣にも何遍も伺ったことがありますが、昨年の九月に横浜に米軍のファントム偵察機が墜落いたしまして、あれから一年余がたちました。私もその関係者の家族といいましょうか、正確には遺族でありますが、その方々にもしょっちゅうお伺いしているわけであります。  私がお伺いしたいのは、先般政府の方に質問主意書を提出いたしまして、昨日答弁書をいただきました、それに関連してでございます。私の言葉と言うよりは二人の子供を失いました若い病床のお母さん、まだ十回ぐらい手術をしなければならない重傷の状態に置かれておりますが、そのお母さんの言葉をかりて申し上げたいのです。  いま一番言われていることは、なぜこうなったのか、突き詰めた原因が知りたい。一月の下旬に日米合同委員会事故分科委員会の報告がございました。事故の原因となったのはエンジンの組み立てミスであった、その組み立てミスを起こしたのは、合衆国のある中間地点というわけであります。そういうあいまいなことではなくて、いつ、どこで、あるいはどこの工場、どこの部隊で、だれが責任者であって事故が起きたのか、またそれに対してどういう処分がなされたのか、そういうことが起きない対策はどうなされたのか、それをはっきり聞きたいということを病床でそのお母さんが訴えているというわけであります。私は、その言葉を聞きますと、国政に参画する一人としていつも胸が痛むわけでありまして、そのお母さんに説明ができるようにお答えをいただきたいということであります。答弁書を見てみましたら、先月、九月に在京米大使館に対して、アフターバーナーの組み立ての状況などについての協力を行ってほしい旨の要請を行ったようであります。  外務省にまず伺いたいのですが、九月の何日に、どういう内容で協力を要請したのか、具体的にどこの工場で、どういう責任者のもとで事故が起こされたのか、あるいはまたそれに対してどういう処分その他がなされたのか、そういう具体的な内容を盛り込んだ要請をアメリカ大使館にやっているのかどうか、それを具体的にお伺いしたい。  それからもう一つは、一月の下旬に事故原因についての日米合同委員会の報告があって、その要請を出したのはつい先日の九月だそうであります。半年間何をしていたのですか。その回答などをたとえば一ヵ月以内とか、幾ら遅くとも年内とか、きちんと回答を受けるめどをつけて聞いているのか、それをお答えください。
  160. 北村汎

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  本件につきましては、去る七月の初めに警察庁から、事故機のパイロット及びそれを整備した整備員から直接にその事情を聴取するということ、それからアメリカの本国におけるアフターバーナー部の組み立ての状況とかその時期、場所、そういう問題などにつきまして捜査することについて、必要な事項についてアメリカ側から日本側の捜査に協力するよう要請をするようにという依頼を受けたわけでございます。その七月の初めに警察庁からの要請があった直後に、私ども外務省は警察庁と共同でアメリカ大使館の担当の者を呼びまして、この場合一般的な協力要請をここでいたしたわけでございます。しかし、具体的にいかなる形で協力要請を行うかということについて、その後七月から九月まで警察庁といろいろ協議をいたしました。と申しますのは、いままでの事故分科委員会の中でもアメリカ側からの事故原因の究明その他いろいろ事情が出ておりますし、そういうところをいろいろ整理いたしまして、九月の十八日に外務省の安全保障課長及び警察庁の国際刑事課長からアメリカ大使館の担当書記官に対しまして正式な捜査協力の要請を行ったわけでございます。  ただいま先生から、一月二十一日だったですか、事故分科委員会の報告が出て以来何をしておったかという御質問がございましたが、これはその間も、事故の原因と再発防止の問題につきましては、事故分科委員会で十分な調査が行われたとわれわれは承知いたしておりますが、刑事責任の問題につきましては、その後警察庁の方で捜査が行われておって、その結果七月にどういう点をアメリカ側に協力要請をしなければならぬかという話があって、それを正式にいたしたわけでございます。ただ、七月から九月まで少し時間がたちました一つの原因は、アメリカ側の担当の者及び在日米軍参謀長、この両名がかわりました。このこともありまして、多少日にちをかけたということでございます。
  161. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 その要請を行って、いつまでに回答をもらうというめどを持っておりますか。
  162. 北村汎

    ○北村説明員 私ども、アメリカ側に捜査協力の要請をいたしましたときは、国民感情を十分説明いたしました。何分にもこの問題は、とうとい人命が失われ、なおいまでもお苦しみになっておられる方がございます。私どもも国民の一人といたしまして、この国民感情を十分アメリカ側に伝えました。ですから、アメリカ側はできるだけ早くこの捜査協力要請に応じてくれるように、いま回答を待っておるところでございます。
  163. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣、感想を一言聞かせてください。通常国会のときにもお伺いしたら、大臣は、国務大臣の一人として日米対等の立場でやらなければならない、そういう立場をとることが国民の生命、財産を守る最大の基盤であると言われましたが、そういうことは大事だ、そのとおりお考えになっておりますか。
  164. 金丸信

    ○金丸国務大臣 日本はアメリカの属国ではありません。そういう点から考えてみましても対等で物事は交渉すべきであるし、この事件につきましては、まことにお母さんの心境またお父さんの心境、ことにお母さんはあのような大けがをしたということで私も心痛をいたし、ときに施設庁長官をしてお見舞いをさせておるようなことをいたしておるわけでありますが、一日も早くこの問題を解決しなくちゃならぬ。子供の亡くなったのをお母さんがまだ知らない、どういうようにお父さんが奥さんに伝えるかと心痛をしているというようなことを聞けば、一日も早くそのような問題を解決すべきだ、こう私は考えています。
  165. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いまなお病床のお母さんの質問お答えできるように、そういう気持ちが通うような努力をぜひお願いしたいと思います。私は、安保その他に関する理論というもの、本当にこれは国の責任に関することだと思いますから、一日も早くそれができるように要望しておきたいと思います。  それからこの質問主意書に関連をしてお伺いしたいのですが、厚木の基地の使用状況について、回答書にも七月三日から改善措置を講じましたということが書いてあります。現実にはこの夏以来、超低空飛行とか、ガソリンをばらまいたとか、あるいはまた部品の一部がおっこってきたとか、そういう問題が続出をいたしております。また地元の自治体に聞きますと、最近かえってふえている。何か一週間に一遍ぐらいずつ、昭和三十八年につくられた騒音防止措置合意書に違反する行為が起きている。これはいままで答弁されたことと逆の状況が起きているわけですから、それらについて具体的にどういう措置をとっているのか、あるいはとられるつもりなのか。  もう一つは、大和市とか地元の自治体の方からも、これではかなわぬので、とにかく抜本的な改正をしてもらいたいという要望が出ております。これらについて、関係する自治体あるいは神奈川県、そういうところから正式に出たら、それぞれ官庁としても日米合同委員会に提起をするという具体的なお考えがあるかどうか、お伺いしたい。
  166. 亘理彰

    ○亘理政府委員 厚木基地の運用につきましては、周辺の地域の状況にかんがみまして安全の確保及び騒音の軽減が非常に重要な問題であるということは常に十分考えておるところでございます。御承知のとおり、騒音防止協定については三十八年に締結されまして、以後一部修正もされておりますが、私どもこれを遵守して地元に対する御迷惑が少しでも少なくなるように機会あるごとに米側にも要請しておるところでございます。それから昨年の事故に伴う事故分科委員会の勧告に基づきまして、本年の七月からレーダー誘導経路あるいは飛行高度について改正を図っておるということは御承知のとおりでございます。  なお、その後におきまして部品の落下事故等がございましたことは大変遺憾でございまして、その都度厳重に米側に申し入れておるところでございます。私ども厚木基地の米海軍に置ける運用上の重要性、また訓練の必要性についてはこれはよくわかるわけでありますが、同時に、ああいう土地柄、周辺の人口あるいは住宅、工場等の非常に稠密な地域であるというところから、安全及び騒音の問題については、今後とも一層の配慮を米側に要請をしていきたいと思っております。具体的に、ただいま騒音防止協定の改定を検討はいたしておりませんが、実情に応じまして、常時その協定に基づきます運用の改善方については申し入れをしてまいりたいと思っております。
  167. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間がありませんから質問はやめますが、さっき申し上げましたアメリカへの資料、情報要求、これらについては早く回答が出るように、そしてまたそれらのことを関係者にも早く伝えることができるように精力的に努力していただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。
  168. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十四分開議
  169. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。市川雄一君。
  170. 市川雄一

    市川委員 私は、奇襲対処並びに有事法制の問題について、防衛庁の見解をお伺いしたいと思います。  最初に、金丸長官にお伺いしたいのですが、金丸長官は、奇襲対処については、現行自衛隊法で十分対処できる、また、シビリアンコントロールの原則については、これはもう絶対守っていくんだ、こういうことを再三国会で御答弁なさっておりますが、いまの時点におきましてもその考えには全く変わりはないかどうか、最初にお伺いしたいと思います。
  171. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、たびたび申し上げておることでございますが、奇襲というものはあり得ないようにすることが政治だという考え方でありますし、なお、この奇襲という問題について、ないようにするということについては、あらゆる手段、方法を講じて、ないようにするということであります。  しからば、いま奇襲があったらどうなるかというような反論もあると思うのですが、いまはこのような状況の中で絶対ないとは言い切れないが、しかし、きょうのこの時点でいまの日本が脅威を感ずるというような問題はないという立場で、まさに平時だと私は思っております。この平時のとき、十二分ないわゆる奇襲に対処できる態勢というものをつくる、これが必要だということは当然でありますが、私は、この奇襲という問題はあくまでも絶対ないという考え方の中で、もし一つこれを譲るということになったらシビリアンコントロールはどうなるんだということを考えてみれば、これは絶対譲ってはいけないという私個人の考え方は持っておるわけであります。  しかし、いろいろの人の中には、いや、奇襲というものはあるんだと言う人がある。また、制服もあるかもしらぬと言っている。それじゃ、私は絶対ないと思うが、そういうものがあるんだったらひとつ検討してくれ、こういうことでありまして、奇襲というものは絶対ないようにするということは政治がやらなければならぬ、私はこのように考えて、前もいまも変わっておりません。
  172. 市川雄一

    市川委員 現行の自衛隊法で奇襲には十分対処できるんだ、こう再三おっしゃっておられた点ですが、その点はどうですか。
  173. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、対処できると考えております。
  174. 市川雄一

    市川委員 防衛庁が先日発表しましたこの奇襲対処の問題についての見解ですね。一と二では、文民統制の原則を強調したり、あるいは防衛出動下令前には自衛隊は武力行使することはできないとし、二項では、特に緊急のときは国会の承認抜きでできるし、また武力攻撃のおそれのある場合も許されるので、基本的には現在の自衛隊法で対処できるのだ、こういうふうに一項、二項でおっしゃっているのですが、問題はこの第三項でございます。  第三項で、「防衛出動命令の下令前における」「応急的な対処行動のあり方につき、文民統制の原則と組織行動を本旨とする自衛隊の特性等を踏まえて、法的側面を含め、慎重に検討することとしたい。」これはどういうことを意味しているのか、これをお伺いしたいと思います。
  175. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先ほども申し上げたように、私はないと、現在の自衛隊法で奇襲対処はできるという考え方だけれども、しかしいろいろの考え方が、ことに制服はあるかもしらぬというようなことも言っておられますし、また政治家の中にもあると言う人もおりますし、それじゃ、ひとつ検討はしてみたらどうだ、しかし私は、一つこれを許すということになったら、総理の権限を一つでも剥奪するということになったらシビリアンコントロールは崩れていくという考え方を持っている、こういうわけであります。
  176. 市川雄一

    市川委員 そこでお伺いしますが、国会答弁で私が知る限りでは、防衛庁で想定している奇襲のケースでございますけれども、たしか伊藤防衛局長二つのケースをおっしゃっておられたと思うのですが、もう一度確認のためにお聞かせをいただきたいと思います。
  177. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実はこの奇襲という問題につきまして、いろいろな方が奇襲というものをそれぞれの概念に従って発言なさっておられるということもございましたので、私どもが軍事的な常識として判断できる奇襲というものはこのようなものであろうということを御説明したわけでございます。まず第一の点は、日本に対していわゆる武力攻撃をする側に立ちますと、その攻撃の効果を多くするためにはどうしても奇襲というものをねらうわけでございます。この場合に、日本に対して攻撃をしかける国と日本との情勢の変化あるいは緊張度が高まっていく、そういうような状況の中で相手は奇襲をねらい、わが国としてはその奇襲がないように努力するということでございますけれども、そういったことでありますならば、奇襲によっていわゆる防衛出動に至るような形の奇襲というものが絶無ではないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、緊張状態が高まってくる、それに対しての備えができているということによって、その奇襲というものは、受けて立つ即応態勢によってほとんど排除できるというふうにも考えているわけでございます。  それからもう一つの場合には、今日のような平和な状況の中で、しかも友好国に囲まれている日本のような環境の中で、また海に囲まれているというような特性のある中で、ある日突然降ってわいたような奇襲があるということはほとんど考えられないことでございます。しかし理論的に申しますと、攻撃というものは車事力と意思というものが結び合ったときにあり得るわけでございますけれども、意思が劇的に変化してそういうこともあるかもしれませんし、あるいはまたその国におきますいろいろなごたごたから、ある一部の者が突然日本に対して武力侵攻のような形で来る場合も理論的には絶無ではないだろうというようなことで、しかし、いずれの場合におきましても、いま大臣が申しましたように、ほとんど可能性としてはネグリジブルスモールだというふうに私どもは判断しておりますけれども、そういうような場合の奇襲の態様というものはどういうものが現実には考えられるか、そしてそれに対して何か対応するとすればどのような形のものになるだろうか、そういうことを検討してまいりたいということでございます。
  178. 市川雄一

    市川委員 要約しますと、ある日突然襲ってくる奇襲、もう一つのケースは二国間に紛争の原因があって外交交渉が行われる、その外交交渉が手詰まりになって決裂して、先方の国が奇襲の効果を考えて奇襲をしかけてくる。この二番目のケースについては、従来の答弁ですと、七十六条の防衛出動で十分対処できる。しかしいま御説明のあった一番目のケース、ある日突然というケースですね。私自身は、そういうケースはいま予見し得る将来においてはないと思いますが、しかし皆さんは理論的にもある、あるいは総理大臣は、下令前のそういう奇襲に対する自衛隊の集団組織としての対処の仕方にやはり空白がある、空白というものをはっきりお認めになっていらっしゃるし、空白がある以上検討しなければならぬということをおっしゃっておる。  そこでお伺いするわけですが、最初防衛庁は、防衛出動下令前に奇襲を受けた場合、隊員個々の正当防衛あるいは緊急避難で対処するのだ、こうおっしゃっておられたわけですが、それが制服の方から、自衛隊というのは個人ばらばらに動いても何も意味をなさないのだ、部隊として動かなければ意味がないじゃないか。あるいは船に乗っておる場合、護衛艦に乗っておる場合は、個人という概念はないのだ、こういう反発があって、その考え方は後退している。現時点におきましては、刑法の正当防衛とか緊急避難とか、こういう概念で対処しようとしておられるのか。たしかこれは参議院の内閣委員会では、真田法制長官が、そういう事態に対して正当防衛で対処するのは不適当であるという御答弁もなさっていると思いますけれども、その辺を防衛庁は現時点ではどんなふうにお考えですか。
  179. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 あの問題が出ましてから、いろいろ検討いたしてまいりました。自衛隊の場合には組織行動をするというのが本旨でございます。したがいまして、部隊で行動しているのが通常でございます。したがいまして、部隊で行動している場合にはどういう対応の措置があるかというのを検討しているわけでございますが、私どもも前から御説明いたしております正当防衛によって何をやるということではなくて、そういう場合に、自衛隊員一人一人にもやはり急迫不正の侵害に対応することは許されるだろう、その行為というものが、いわゆる正当防衛の要件に該当するような範囲での行為ならできるだろうということを申し上げたわけでございまして、現時点におきましては、組織行動を旨とする自衛隊が何ができるか、どういう対応の筋があるかということを中心に研究しているわけでございますが、同時にまた、このことは七十六条の命令に基づきます防衛出動と厳密に区別されなければならないわけでございます。したがいまして、そういう観点で慎重に検討しているというのが現状でございます
  180. 市川雄一

    市川委員 法制局からお見えだと思いますが、防衛出動下令前に、自衛隊が正当防衛あるいは緊急避難という条項で対処するということが適当なのか不適当なのか、いまの時点ではどういうふうにお考えですか。
  181. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答え申し上げます。  防衛出動命令の下令前に奇襲攻撃があった場合に、自衛隊員が正当防衛なり緊急避難という行動がとれるかどうかという御質問であると思うのでございますが、ただいま防衛局長からも答弁がありましたように、理屈としては、自衛隊員といえども一般の国民と同様に、いわば身を守るための正当防衛の範囲内の行為をするようなことはあり得ると考えられるのでございます。  ただ、これも防衛局長から御説明がありましたように、自衛隊は職務遂行に当たりまして所定の指揮命令系統のもとで部隊行動をとることを本旨としていることを考えますと、このような隊員個個の者が、いわゆる私人の立場で正当防衛行為を行うということがあり得るとしたところで、それをもって奇襲攻撃に対する対処が可能であるというようにきめつけることは言いがたいのではないかというふうに考えております。  そこで、若干蛇足になりますけれども、防衛庁におきましては、一体奇襲攻撃があるとすればどのような態様のものなのか、また態様に応じていかなる対処行動が考えられるか等の実態関係の検討を始めておられると聞いておりますが、その検討にあわせて、法的側面につきましてもなお慎重に検討してみたい、かように私どもも考えている次第でございます。
  182. 市川雄一

    市川委員 法務省の方見えていると思いますが、どうですか。
  183. 藤永幸治

    ○藤永説明員 いわゆる奇襲攻撃を受けた場合におきまして、自衛隊の反撃などの防衛行為の当否というものは、もっぱら国際法及び自衛隊の組織行動に関する関係法令に基づいて議論されるべき筋合いのものでございまして、刑法次元で議論されるべき問題ではないというふうに私どもは考えております。
  184. 市川雄一

    市川委員 先ほどの防衛局長の御答弁なんですが、やはりちょっとニュアンスが変わってきたと思うのです。最初国会で問題になったときは、防衛出動下令前は法律が全然ない、したがって空白になる、奇襲に対して対処できないじゃないか。それに対して正当防衛、緊急避難などということを防衛庁は言っておられたわけです。それがいまの御答弁ですと、いわゆる集団として対処する方法として言ったのではないんだ、個人として対処する方法を述べたまでなんだというふうにおっしゃったわけですが、それでは、いまという時点では、防衛庁としては、防衛出動下令前は部隊あるいは集団組織として対処する方法は何ら持ち合わせていない、こういう見解に立っておられるわけですか。
  185. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その点につきましては、いま検討の過程でございます。したがいまして、自衛隊として任務を遂行するために応急的な措置というものが、防衛出動が下令される以前にどういうことができるのかということを検討している段階でございます。
  186. 市川雄一

    市川委員 そこがやはりこのシビリアンコントロールと問題になってくるわけでございまして、自衛隊は個人で対応したのでは意味をなさない、集団で行動することが本旨である。集団で行動するということは、部隊なり艦艇単位で動くわけでしょう。ということは、結局この第三項でおっしゃっている意味は、防衛出動下令前に集団で対処することのできるような何か法的概念というか、そういう新しいものでも考えようということなんですか。どうですか。
  187. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはまだそこまで研究が進んでおりませんで、私どもは自衛隊員各個人が生き残る権利があると同様に、自衛隊といたしましても、広い意味の任務を遂行するためにその場においてやはり部隊としても生き残る必要がある、そういった権利はあるというふうに考えているわけでございますが、それがどういう形のものがあるのか、そしてまたそのためにはどういうことをしなければならないのか、法的側面を含めて検討をするという段階でございます。
  188. 市川雄一

    市川委員 そういう奇襲の際に個人として生き残る権利というものは当然これはあると思うのですよ。しかし、これが部隊として生き残る権利というものをここでもし認めますと、部隊として生き残る権利を行使するために下令前に部隊として行動するということを正当化してしまうわけですね。これを正当化しますと、政治が判断あるいは決定しないのに自衛隊が部隊で動くということをまた正当化するという、いわゆるシビリアンコントロールの原則を崩していく方向へ論理がどんどん行くわけでしょう。  ですから、そういう意味で、防衛庁長官は絶対シビリアンコントロールは守ります。こうおっしゃっている、恐らくこれは無条件で守るという意味に私たちは解釈しておるわけですが、シビリアンコントロールというものを後退させないんだという観点で考えれば、やはり下令前は部隊としては動けないということは論理的にはっきり出てくるわけです。しかし、それをまた部隊として動ける何かを考えようとすれば、それはそこにいろいろな理屈はつくでしょう。理屈はついても、政治の決定を待たないで部隊が動くというシビリアンコントロールの原則が崩れるというような事態が生まれてくる。これは概念と言うよりも物理的な問題ですよ。  そういうことで、いまおっしゃられている部隊として生き残る権利を考える、部隊として生き残る権利を考えるためには下令前に部隊として動けるような何か法的措置を考える、この問題とシビリアンコントロールとをどういうふうに考えているのですか。かみ合わせるのですか。調整するお考えなんですか。薄めてしまうのですか。どうなんですか。
  189. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、いま市川先生のおっしゃるようにそういうものを順次つくり上げていくのだというような考え方でこの問題を検討するということではありません。全くないのだ、私はこう言っているわけです。しかし、あるかもしれぬと言う人々もこの世の中におる。あるいは制服にも、あるかもしらぬという考え方もある。それは絶対許すべきことではないが、あると言うならば、どういうことがあるのだという研究はしてみたらいいじゃないか、こう言っているので、原則的に私は、それを許したらシビリアンコントロールはなし崩しになるという考え方を根本には持っておる、こういうことであります。  だから、私は、ぼつぼつ防衛庁長官もやめることになるだろうと思うのですが、私が政治家としてここに存在する限り、私はそういう考え方を持って、防衛庁にもそういう影響力は将来も与えるような考え方を持っていきたい、こうは思っておるわけであります。
  190. 市川雄一

    市川委員 いまの件について、内局の代表として伊藤局長はどうお考えですか。
  191. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはまさにいま先生おっしゃったとおりでございます。そしてまた大臣も答弁の中で申されたとおりでございます。そして検討の結果、部隊として何か応急措置をすることがシビリアンコントロールを乱すというようなことになれば、それは許されないことだと考えておりますが、いま実態の問題としてどういうことができるかということを検討している段階でございます。したがいまして、シビリアンコントロールを侵すということだけは絶対に許されないというふうに考えているわけでございます。
  192. 市川雄一

    市川委員 ですから、そういう何かあいまいなお考えがやはり国民に不安を与えるわけですよ。一方ではシビリアンコントロールの原則は守りますと言いながら、一方では自衛隊が部隊として生き残る権利を考える。生き残る権力を考えるためには、部隊として下令前に何らかの意味での抵抗する力というものを持たせようとする。これは結局論理的には完全に二律背反です。ですから、シビリアンコントロールの原則は絶対侵しませんというはっきりした、もっと確固たる考えが欲しいと私は思うのです。  そこで、いまはしなくも防衛局長から、個人として生き残る権利、それからもう一つ部隊として生き残る権利、そういう考え方が出たわけでございますが、これはたしか四十一年二月のいわゆる有事法制研究のときも、防衛出動下令前の武力行使権限の新設を制服から要求されて、現地指揮官が部隊防護の限度内で武器を使用することは違法ではないという考え方を内局の方が制服に示したということが、いろいろなところで指摘されているわけです。そういういきさつがあったかどうか、これは資料を要求しても、皆さんの方で出しませんからわからないわけですけれども。ということは、三矢研究あるいは四十一年研究のときから、すでに、防衛出動下令前に現地の指揮官の判断で、部隊の防護という範囲内なら武力を行使していいんだという考え方が有力な考え方として内局にあったのではないかということが指摘されているわけですが、その辺はどうですか。
  193. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 四十一年に具体的にそういう議論があったかどうかということは、私も存じません。しかしながら、御承知のように武器を持っている者にとりましては、やはり自由な判断のもとにそういうものを使って有効に防御したいという気持ちはあるかと思います。しかし、その一方にシビリアンコントロールというものがあるわけでございますから、現在の自衛隊法におきましても、たとえば航空機とかその他の武器を守るときには武器を使用してよろしいということは法律でも定めてあるわけでございます。しかし、この自衛隊法で定められている限度というものは厳格に守らなければ、そういった授権といった思想が往々にして文民統制を乱る原因になると思いますので、内局の側といたしましても、その点は特に十分配慮しなければならないと考えているわけでございます。
  194. 市川雄一

    市川委員 最近のある新聞によりますと、いまの問題で、現在の防衛庁の作業は、いわゆる陸海空の部隊を、自衛隊法の防衛出動など自衛権発動時の具体的行動を担保する手段というふうにとらえて、したがって、部隊が失われた場合は法制で定める自衛目的は達成できない。このため、奇襲に対し部隊等が行うみずからの存立のための防護行動は、法制上の目的から違反とは言えないのではないか、こういう概念をつくろうとしているのじゃないかということが指摘されております。いま実際こういう考え方は全然ありませんか、どうですか。
  195. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま申されたような概念というものは、いま私どもは考えておりません。
  196. 市川雄一

    市川委員 では、どういう概念をお考えですか。
  197. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その概念をまとめるために、現実にその奇襲というものがどういう形で行われるかということを実態を検討し、それに対しての対応としてどういうことがあり得るかということを検討している段階でございます。
  198. 市川雄一

    市川委員 実態を研究しとおっしゃるのですが、要するに、政治の決定、政治の判断というものがあって自衛隊が動く、これはシビリアンコントロールですよ。そういう政治の決定前に自衛隊は集団としては絶対動かさないのだ、動かしちゃいかぬのだ、こういう原則は絶対曲げません、こういう確固たる考えはありますか。これはどうもあっちに行ったりこっちに行ったりしている感じなんです。
  199. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは、防衛出動が下令される前に部隊として行動させるということはないわけでございます。これは厳然として七十六条のもとに行動するわけでございますが、その出動するとかしないとかじゃなくて、たまたまそこにいた自衛隊の部隊が奇襲を受けるというような形の場合だと思うわけでございます。したがいまして、そのほかに行動させるというようなことは全く考えていないわけでございます。
  200. 市川雄一

    市川委員 しかし、その場合でも、もちろん部隊として出動させるということでは大問題ですけれども、そこにたまたま居合わせた部隊が、部隊として行動していいかどうかという問題ですよ。やはり政治の決定が下る前に、たまたま奇襲を受けた地点にある部隊がいて、その部隊が部隊として動いたということになれば、これはやはり政治というものが全く無視されて戦争状態に入ってしまうわけですから、そういう意味で、もちろん防衛出動下令前に部隊として出動させるなんというのは法的にできないわけですよ。そんなことを聞いているわけではありません。たまたまいた部隊が部隊として動いていいのかどうか、それが、たとえば理由がみずからの部隊の存立を守る最低防護範囲内ならいいのだという考え方防衛庁の内局なり何なりにあるのじゃないですかということを聞いているのです。そういう考えは全くありませんか。
  201. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはいま対応の仕方、態様について研究をしているわけでございますけれども、その部隊として行動しているわけでございますから、たとえば突然奇襲を受けた場合に一瞬に退避して山なら山の陰に隠れるという場合でも、やはりこれは部隊として動くわけでございますから、その対応の仕方によって――先生の御質問の趣旨の中には、攻撃を受けたときに部隊として反撃をするという前提がおありだと思いますけれども、いろいろな対応の仕方という中には、いま申しましたようなこともあるわけでございますから、その態様というものを考えた場合に、いわゆる武器をとって反撃しなければならないものとも限らないわけでございますから、そういう意味では部隊の行動という言葉だけでは規定できない問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
  202. 市川雄一

    市川委員 そういうふうに分けてお考えになるとなると、部隊として反撃をせざるを得ない状況、そういうことだって当然理論的には想定されてくるわけですよ。第一、部隊としてどう逃げるかなんというようなことをもしおっしゃったら、制服でまたすごい反発をするんじゃないですか。実際、下令前に奇襲を受けた、たまたまそこに部隊がいた、部隊がいかに部隊として避難するかなんという、そういうことじゃないのですよ。やはり制服で要求しているのは、部隊行動として奇襲に対してどう対処するか、反撃も含めて対処するかということを、恐らく突き上げて要求しているのだろうと思うのです。  ですから、これは、あれは最初はただ避難のための行動だったのです。だけれども、それが反撃に変わってしまったのですと、状況によって後で幾らでも変わっちゃうんですよ。初めは避難程度でいいと思っていたのが、やはりこれはいかぬという判断だって生まれるような変化が生まれてくるわけです。ですから、そういう意味で下令前に自衛隊が部隊として行動ができるのかできないのか。行動ができるとしてしまえば、これはシビリアンコントロールの原則は私は崩れると思うんですよ。その辺なんです。その辺、もう一度どうですか。
  203. 金丸信

    ○金丸国務大臣 現時点でその問題はできないことは当然だということはおわかり願えると思います。ですから、この奇襲の対処に対して、あるかもしらないという世論もこの世の中にあるということでございますから、私はないと言っているのですが、あると言う。では、何があるのだということで研究をしてみろという考え方で私は申し上げているわけで、実際はそんなことはあり得ないということが当然だと私ば考えています。
  204. 市川雄一

    市川委員 防衛庁長官は大体終始そういう線でおっしゃっておられて、私たちも防衛庁長官の発言を非常に冷静な御発言と評価しておったのですけれども、しかし、どうも予算委員会なんかの御答弁を伺っていますと、閣内でもいろいろなことをおっしゃる方がいらっしゃるし、自民党内でもいろいろなことをおっしゃる方がいらっしゃるし、いま防衛庁長官もいみじくも、私も間もなくもしかするとやめるかもしれないとおっしゃる。ですから、やはりこれは長官個人の考えでは困るわけでして、福田内閣としてのそういうシビリアンコントロールの原則を絶対曲げませんよという確固たる意思でなければ困るわけです。  これはまた後で有事法制の問題でお伺いしたいと思いますが、そういうある日突然型の奇襲があるということを声高におっしゃる方がいらっしゃるわけですが、いまの国際情勢の中で日本の近隣諸国の中にそういう国が第一、存在するのかということですよ。人間と人間との関係なら、よく最近の新聞で、目と目が合っただけで殺されたとかあるいはクラクションを鳴らしただけで、おりてきてやられたという事件もありますけれども、日本を取り巻く近隣諸国の中に、そういう日本の国をある日突然武力でやっつけてやろうなんという国が想定できるのかということですね。また第一、そういう想定で日本の国はやっていけないでしょうということです。そんな想定で日本の国が存立できますか。そういうことを考えますと、理論的可能性ということを余りおっしゃるからいけない、そういうことも打ち消すぐらいの信念が欲しいと私ば思うのですが、その辺、防衛局長どうですか。
  205. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生の御意見のとおりだと思います。私は、現在の日本のように周辺諸国と友好関係を保っている現時点において、ある日突然なんということはほとんどない、全くないと言ってもいいくらいだと思います。そういう点では、私は大臣と全く考えは同じでございます。  ただ、そういうことを研究するということでございますので、全くのレアケースでございますけれども、実際問題としてどういうものがあるのかということを研究してまいりたいというふうに考えているわけで、むしろその、ないという方に結論は出るのではないかというふうにさえ思っているわけでございます。
  206. 市川雄一

    市川委員 そこで、防衛庁長官は、ないだろう、いま伊藤局長も、ないだろう、しかし研究してみる、しかし恐らくその研究の結果、ないということになるのじゃないかと。八月十七日の参議院の内閣委員会で盧溝橋事件に関連した質問がありまして、長官が「一発の銃声によって国民のコンセンサスも得ずにやるということは許されない。」戦争をやるという意味だろうと思いますが、許されないという発言をされているわけです。  私たちも、一発の銃声に国民の運命を任せるわけにはいかないというふうに考えておるわけですが、こういうことを議論していますと、要するに相手国が挑発してくるケースだって考えられると思うのですね。奇襲する気はないのだけれども、どうも日本の国というのはふらふらしているぞということで、奇襲をかけて一発やれば日本が乗ってくるんじゃないか、それをいい口実にして次の手だてを考えるとか、こういうすきを与えることにもなるわけでして、やはりシビリアンコントロールの原則というものをもっとしっかりとやっていただきたいと思うのです。  総理大臣は、万々一あるかもしれない、防衛出動下令前に法的空白がある、だからこれは研究しなければいけない、検討しなければいけない、こういうことを何回もおっしゃっているわけですね。だから、ここで長官が幾ら力説しても、総理大臣がおっしゃるから、これはどうにもならない。どうですか長官総理大臣に一回苦言を呈する勇気はございませんですか。
  207. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、総理の考え方も私とえらく違っているわけじゃないと思っております。実はこの問題につきましては、統一見解を出すとき総理ともいろいろ話をいたしたわけでありますが、いわゆる世の中に世論として、あるいはまた制服の中にあるかもしらぬということを言っておる、だからこの問題は、民主主義国家としてそういう世論があるならば、それもひとつ研究してみるということであって、私はないという考え方です。だから総理も万々々一というようなことを言っている。私は語学は余り明快に解釈つかないのですが、私は、万々々一なんということはないことだ、こういうように解釈をいたしております。
  208. 市川雄一

    市川委員 そうなると、この防衛庁の見解の第三項というのは要らなくなってしまうし、そういうことであるならば防衛庁の見解ではなくて、福田内閣の統一見解というものが必要なのではありませんか。そういうふうに思うのです。
  209. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ちょっと市川さん、まあひとつそういう世論もあるということだから、それをひとつ研究ぐらいはさしてくれても――私はない、また総理も万々一と言っている。私はないということを前提にしているのだが、そういう世論もあるから、その世論に、何でもかんでもそれは、ということでは、これは民主主義ではない。ある程度の研究はして、ないという方向に研究が出るように私は祈っておるわけであります。
  210. 市川雄一

    市川委員 好ましい研究だとはわれわれは考えておりませんが、研究すること自体、われわれには物理的に否定するという権利はないわけですから、ただ百歩譲っても、そういう世論があるから研究なさるとおっしゃるのなら、やり方があると私は思うのです。栗栖前統幕議長を解任したその翌日に研究を指示される。そして何か話がどんどんエスカレーションして、それからあわてて防衛庁の見解が出てくる。防衛庁見解でやや見解がおさまったかなと思っていましたら、また委員会の答弁でちょっとニュアンスの違うような答弁がどんどん出てくるということで、要するに政府が何をやろうとしているのか、何を考えているのかよくわからない。その都度その都度答弁が変わってくるというようなやり方でやるべきテーマでは少なくともないのではないか。  それだったらそれで、シビリアンコントロールの原則はいかなる事態でも絶対崩さない、あるいは憲法の枠は絶対守る、あるいはいかなる事態に遭っても行政、司法、立法の三権分立の制度は絶対保障するとか、基本的人権は絶対保障するんだとか、そういう基本原則をきちんと示されて、それで、どういうことをやろうとしているのかという概観を少なくとも国民がわかるような形できちんと示した上でこういうことをやりたいんだと言うなら、これは話はわかるんですよ。何かこうちょこっと出た話がだんだん大きくなっていって、しかもその都度答弁が変わってくる、こういうやり方では国民にただ不安を与えるだけだと私たちは思うのですが、いかがですか。
  211. 金丸信

    ○金丸国務大臣 実は奇襲という問題あるいは有事法制研究というものが混同されて、いろいろ世論の対象になったわけであります。私は、これがひとり歩きをした、こう言っておるのですが、この問題につきましては、福田総理あるいは私あるいは防衛庁自体がいわゆる逸脱した、また誤解を招くようなことが一部防衛庁政府委員にもあったのですが、しかし、それは全くの口のはずみで出たことであって、それが本意ではなかったということです。非常に誤解を招いたことについてはおわびを申し上げなければならぬけれども、実際、シビリアンコントロールを絶対守らなくて次の時代があるのか。  シビリアンコントロールとは、私は、あの戦前の日本にしてはいかぬという基本的な考え方を持っておるわけでありまして、憲法の範囲内でやる以上、いわゆる言論統制とか憲法に反するようなことは研究しない、こういうことは当然でありますし、そういう点から言えば、いまおっしゃられるように、それじゃわれわれはこういうような方向で、たとえて言えば奇襲対処の方法についてはこういう考え方研究はしていく、あるいは有事法制研究についてもこういうような考え方で、こういうような枠内で研究していく、そしてそういうことは順次研究の成果の中で発表していかなければならぬ。そうして国民に理解を持ってもらうことは当然必要だし、私もこれをひた隠しに隠してと言っておるわけじゃありません。中間報告もいたします。こういうようなことですから、私は、そういう意味でこの問題は、政治というものは政治家が勇気を持ってもらわないとならない、それがシビリアンコントロールの一番原則だ。あの第二次世界大戦の過程の中で、政治家がいわゆる軍部に相当な抑圧を受けてだんだんたじろいだというところにあのような悲惨な日本になったということ、私はこれだけは守っていかなければならぬ、これば政治家の大責任だ、こういうように考えておるわけであります。
  212. 市川雄一

    市川委員 長官のお考えはわかりましたけれども、どうも内閣全体としてそういう意思統一がされてないという印象を私は強く受けているのです。話を蒸し返すようで大変恐縮ですけれども、たとえば制服の考えですね。八月二十八日にある野党との懇談会でいろいろなことをしゃべっているわけですけれども、兵器体系の進歩によって確率は下がっているが奇襲はあり得る、首相の防衛出動下令が間に合わないこともあり得るので、出動命令前にも自衛隊が行動できるよう自衛隊法改正を検討してほしい、奇襲に対し自動的に対処することもあり得る。これは超法規的行動ということになるのだろうと思うのですが、こういうことを陸上、海上、航空の各幕僚長がおっしゃっておられるわけですね。それから刑法の正当防衛あるいは三十七条の緊急避難の対応ではだめだとか、艦船が攻撃を受けた場合は乗組員個人としての行動はできない、艦長命令によって行動するんだから個人を基準とする正当防衛を当てはめるのはむずかしいとか、こういうことを制服が根強く言っているわけですね。  こういう考えが制服に根強くある。それから内閣の中にだって、ほかの閣僚で長官のいまおっしゃることと違うようなことをおっしゃる方がいらっしゃる。あるいは与党の自民党の中にも違うことをおっしゃる方がいらっしゃる。内局の中にはかつて三矢研究、四一研究というそういう研究の積み重ねがある。どうしたってシビリアンコントロールなり何なりが外れる方向へ行く圧力というのは非常に強いわけですよ。こういうことに対して、ただ言わしておけばいいんだということではなくて、少なくとも長官がお考えになっているようなことと違う方向の発言をどんどん制服の方がおっしゃる、こういうことに対しては、何か適切な手というのは打てないのですか。長官として、もうちょっとリーダーシップは発揮できないのでしょうか。
  213. 金丸信

    ○金丸国務大臣 言論統制をするということは憲法上できるわけじゃないのですが、職を自衛隊に奉じておる以上、自衛隊自衛隊の規律の中で発言というものがなくちゃならぬことは当然であります。みだりに何をしゃべりてもいいということじゃないと思う。また、そういう意味で、毎週金曜日に幹部会があるわけでありますが、午さんをともにしながら、こういう問題について私から十二分に皆さんにも申し上げて、マスコミその他国会等においてこれだけのいろいろの問題が出てきておる、これをやってどれだけのメリットがあったんだ、大山鳴動ネズミ一匹もない、そういう言辞を弄することによって自衛隊自体が国民から不信を買う、こんなことで、いわゆる国民のコンセンサスを得ながら自衛隊というものを積み上げていかなくちゃならぬ、防衛というものの考えを国民が持ってもらわなくちゃならぬのに、こんな考え方を持っておったのでは、いつになったって自衛隊を理解することはできない、いま少し自重してほしいという私のお話を皆さんに聞かせたわけでありますが、ただいま防衛庁は、制服も、あるいは内局も、そういう私の考え方に、そのとおりだというような考え方で一致結束しておるということだけは間違いないと思うわけであります。
  214. 市川雄一

    市川委員 自衛隊法第七十六条で言う防衛出動命令の下令ですけれども、これは、防衛庁、政府内部ではどんな手順で手続が行われるのかということをお伺いしたいわけです。  そういう七十六条を下令しなければならないような事態が仮に発生した、その第一報はまずどこへ入るのか。それから、内局、各幕、防衛庁長官、国防会議、首相、閣議、国会承認、こういうことがあるわけですが、これは、どんな手順でどんなふうになるのですか。
  215. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 情報が総理大臣のところに上がるというのは、もちろん自衛隊から上がる場合もございますでしょう。それからまた、日本領土が侵害されるときでございますから、自衛隊がいないところでそういった事態総理大臣のところに上がることもあろうかと思いますが、その際に、まず国防会議を開きまして、その議を経た上で、国会の承認を得まして防衛出動が下令されるということになるのが現在の手続でございます。  ただ、非常に緊急を要しますときには、まず総理大臣が国防会議を開き、あるいは内閣の決定を経て出動を命ずるということも不可能ではないわけでございます。
  216. 市川雄一

    市川委員 それは条文にそう書いてあるわけですけれども、もうちょっと具体的にお伺いしたいわけです。  そういう有事というものはあってはならないし、ないようにするのが政治なんですが、第七十六条、防衛出動命令を下令しなければならないような事態が起きたという場合に、果たしてシビリアンコントロールというものがスムーズにシステムとして動くのかどうかということをもうちょっと確かめたいわけです。その場合に、内局と各幕、この関係はどうなりますか。  それから、防衛庁長官はどの辺の時点で知るようになるわけですか。国防会議と首相に報告するのとどっちが先ですか。首相の方が先だろうと思いますが……。最終的に国会承認を求める前に閣議をおやりになるのじゃないですか。やらないのですか。もうちょっと詳しく……。
  217. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはまず、ある日突然じゃなくて、いろいろ緊張状態が出てまいりますと、現在におきましては、防衛庁の中に中央情報指揮所というのをつくっておりまして、各地からの情報が上がってくるようになっております。情報を得ました段階におきまして、大臣から総理大臣にそういった事態を報告すると同時に、これは当然のことながら、防衛出動の可否については国防会議に諮問するように決まっておりますので、国防会議を開きまして、そのほかのいろいろな情報を総合的に判断して御決定をいただかなければならないと思います。当然のことながら、閣議におきまして防衛出動の決定がございまして、国会の承認をとって防衛出動は下令される、そういう手続になろうと考えております。
  218. 市川雄一

    市川委員 法制局にお伺いしたいのですが、これはまた国会で議論して決めることになろうかと思いますが、政府が防衛出動の下令を決めて国会に承認を求める場合、どういう手続をなさって国会に承認を求めるようになるのですか。
  219. 茂串俊

    ○茂串政府委員 防衛出動の命令につきまして、自衛隊法第七十六条の規定による国会の承認を求める場合には、当然一般の国会承認案件と同じように、閣議でその内容を決定し、また提出することを決定した上で提出する運びになるというふうに考えられます。
  220. 市川雄一

    市川委員 官房長官がお見えになりましたので、総理大臣の発言との関連をちょっとお尋ねしたいと思います。  先ほどから防衛庁長官は、いまの国際情勢では奇襲というものは予兆というものは必ずあると、これは次にお伺いすることと関連するわけですが、予兆のない奇襲というものはあり得ない、こうおっしゃっているわけです。防衛局長もそうおっしゃっている。したがって、防衛庁見解で言う、第三項の、下令前に応急的な対処行動のあり方ということは、検討したとしても恐らくないということになるのじゃないかという答弁をさっきなさっている。しかも、シビリアンコントロールの原則ば絶対崩さない、こうおっしゃっておられるわけですが、どうも福田総理は、十月六日の予算委員会におきましては、いわゆる奇襲がないように心がけるのが政治の責任だが、対処の方式はいま決めておらず、その検討は当然必要だというふうにおっしゃっている。同じく十月六日、いまの自衛隊の体制は奇襲を考えていない、奇襲にどう対処するか決まっていない、空白がある、これを埋めるのは大事である。奇襲対処に対し法的側面を含め検討するのかという質問に対し、そのとおりだ、こう答えているわけです。  防衛庁長官防衛庁伺いますと、そういう防衛出動下令前の奇襲というのはないと、それから、もし下令前にたまたま奇襲を受けたときに部隊がそこにいてその部隊が動くということも、これはまずシビリアンコントロールの原則を崩すので、恐らくできないだろうとおっしゃっている。ところが、総理が一人で、空白があるんだ、法的側面を含めて検討する余地があるんだとおっしゃっている。これは明らかに考え方が違いますよ。おかしいじゃありませんか。こちらはあり得ない、そう言う。それから、恐らく検討してもそういう法的な改正ということを検討する余地もないだろうということをおっしゃっている。総理の方は、法的側面を含め検討するんだ、下令前にでも自衛隊が部隊として動ける方向へ自衛隊法を改正しようと、総理が一生懸命何か発言をしている、防衛庁長官防衛庁は、一生懸命いまのままでいいんだということでやろうとしている、こういう綱引きをしているようにわれわれは受け取るし、国民も受け取っていると思うのです。その辺について、官房長官、どういうふうにお考えですか。
  221. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、福田総理大臣と金丸防衛庁長官の奇襲というものに対する考え方はちっとも変わっていない、政府の見解を超えたものでは全然ない、こういうふうに考えております。奇襲は万々一あった場合ということで、奇襲を防ぐのが政治の責任だ。奇襲というものはほとんど考えられない。しかし、万々一あった場合にはその点について法的な面も含めて検討しなければならないと、これは言っているわけですから、総理と防衛庁長官の間にはすき間は全くないと私は思っております。
  222. 市川雄一

    市川委員 それはすき間があるのですよ。ほとんどない、だけれども万々一あるかもしれないから研究をしなければならない、その研究をしますと、官房長官、御承知のようにシビリアンコントロールを壊すわけでしょう。政治が判断し、決定して自衛隊が動く。しかし、法的側面を研究するということは、その政治の判断の前に自衛隊が部隊として動いてもいい、こういう法的根拠を与えてしまうわけでしょう、それしか残ってないわけですから。そういう研究をするというのは、シビリアンコントロールを壊すことになるじゃありませんか。  ですから、シビリアンコントロールの原則は守ります。現行法で十分対処できますという防衛庁並びに防衛庁長官のお考えと、いや、いまの法的側面を検討するんだということは、いまの自衛隊法では不十分だという認識でしょう、これは全然違うじゃありませんか。どうですか、違いませんか。それとも、防衛出動下令前なり政治決定前に、自衛隊が部隊なり組織として動く、あるいは動けるようにするようなことは絶対しない、あるいはそういう法的な措置も絶対にこれから考えない、そういうお立場に立っておられるのですか。
  223. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 奇襲というものは、現在の情勢においてほとんど考えられない。しかし、万々一奇襲があった場合にどうするか、これは理論的にはそういう点に対して法的側面も踏まえて検討するのが当然だ。もちろんこれは憲法の範囲内、文民統制という枠の中で検討していく、こういうことであります。
  224. 市川雄一

    市川委員 次に、有事法制の問題、これは奇襲と非常に関連した問題ですけれども、分けていままで議論したつもりなんですが、防衛庁長官日本防衛を軍事力だけでやっていこうという考えは私は持っておりません。しかし、軍事力によって日本の安全を確保しようという立場にもし仮に立ったとしても、軍事力を支えている側面として二つの側面があるといろいろ専門家が指摘されているわけです。一つは能力、もう一つはこの防衛力を行使する政治の意思という問題ですね。この二つの側面がある。よしんばどんな能力を持っていたとしても、これを行使する政治の意思が存在していなければ防衛力というのは有効たり得ないのだということを指摘されておる。日本の安全保障というものを考えた場合に、確かに自衛隊はある。あるけれども、これを行使する政治の意思というものの合意がまだでき上がっていないわけでしょう。  したがいまして、いま国会が、あるいは政府が防衛問題で手をつけなければならないことは、こういうほとんどないとか、あるとか議論をする防衛論議ではなくて、政治の合意をどう生み出していくのかという議論をしなければいかぬと思うのですね。政治の合意がなければ、幾ら能力があっても行使できないわけですから、そういう意味で、今回の唐突なやり方は、非常に国民の不安をただかき立てるだけだと思うのですね。そういう意味で、いま有事立法とか奇襲対処というものを議論すべき順位でしょうか。政治で議論する順位というのは、そっちよりも先に、まず日本の安全保障についての合意をどう生み出すかということじゃありませんか。長官、それについてどうですか。
  225. 金丸信

    ○金丸国務大臣 防衛という問題は、現実論として、二十七万の自衛隊がおり、二兆円近くの税金を国民からいただいて日本防衛に当たっておる、この現実は無視するわけにはいかぬということだけは確かだと私は思うのですよ。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 そういう中で、いわゆる防衛という問題をタブーにしてこれを全然論議しない。また防衛ということばかりでなくて、日本の安全保障というものはどうすればいいのだというような問題も含め、それにはエネルギーの問題もあるでしょう、食糧の問題もあるでしょう、医療の問題、繊維の問題その他万般の問題があると思う。そういうものを国会の場において広く討議して論議していただいて、そうして国民のコンセンサスを得られるか得られないか、防衛という問題を理解していただけるかいただけないか、またその一つの問題についても国民に理解していただけるかということになると、国会にその論議をする場をつくるということは意義のあることであるし、またつくらなくちゃいけないという考えです。  ただ、いろいろ御意見もあるようでありますが、私も議運の委員長をしておるときに、議長とも話しました。法案は絶対かけないというようなこと、法案はかけなくても論議をするところに意義があるという考え方を私は持っておるわけでありまして、そういう意味で皆さん等の意見もいろいろ聞いたのですが、いわゆる防衛調査特別委員会というような何か査問委員会のようなことでなくて、もっと穏やかな名のもとに本当に論議を尽くしていただくことは、私は願ってもない、こう考えておるわけであります。
  226. 市川雄一

    市川委員 官房長官、せっかくお見えですから、もう一つお尋ねしたいのですが、政府なり国会で日本の安全保障というものをオープンで議論していく、これは私たちも願うところでございます。先ほども申し上げましたように、たとえば軍事力で日本の国を守るんだという観点に立ったとしても、この防衛力を行使する政治意思というものがなければ、これは軍事力が有効たり得ないのだ。じゃ、いまの日本の政治レベルの中で防衛力を行使する政治意思の合意というものがあるのかと言えば、これは分裂している。したがって、むしろいたずらにわけのわからない奇襲とか有事立法論議をして国民に不安を与え、国会の論議を分裂の方向に持っていくときじゃないのじゃないかと私は思うのです。そういう意味からも非常に時期尚早というか、有事立法研究とか奇襲対処研究というのは撤回すべきじゃないかというように思うわけです。  今度、逆に内閣と与党の中はどうなっておるのかというと、これは新聞の報道ですから、必ずしも本人の真意を伝えていないと思いますけれども、しかし、自民党の総務会長でおられる中曾根氏は、自衛隊の合憲を憲法に明記し改正せよ、奇襲はある、対処すべきだ、こういう非常に強硬な御意見を持っておられる。それから幹事長の大平氏は、いまの自衛隊法は有事立法である、急迫不正の攻撃がある場合、またそのおそれがある場合には、首相の出動命令は事前承認なく出せることになっており、一応有事への対応はできると思う。ですから、大平幹事長は、有事立法論議に対して非常に消極的なんですね。今回総裁候補と目される河本通産大臣は、有事とは戦争のことだ、有事を起こさないことこそ政治の任務だ、その意味で最近の論議は本末転倒していると批判的にとらえているわけでしょう。福田総理は、逆にさっき言ったようなことをおっしゃっている。あるいは中川農林大臣は、逆に今度は非常に強硬なことをおっしゃっている。奇襲対処の体制を考えるのは当然だ、憲法に抵触するなら、憲法についても改正すべきだという議論もあるということに耳を傾けなければならないなどとこうおっしゃる。防衛庁長官は、いまの自衛隊法で十分対処できるんだ、こう終始一貫しておられる。  これは、要するに閣内も不統一、政府と与党も意見が合っていない、こういうことでシビリアンコントロールの原則は守るんですよ、憲法の枠は外しませんよと幾ら声高に言ったって、こういうことではこれはだれも信用しませんよ。やはり内閣の一致した考えとしてこういう原則は守ります。これは政府の一致した考えとしてこうなんです。こういうことじゃないんですもの。こういうことについて、どうなんです。したがって、これはまだ全然そういう有事立法とか奇襲対処とかということを議論する以前の問題じゃありませんか。官房長官、この問題についてどうお考えですか。
  227. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 自民党というのは非常に幅の広い政党でございますから、党内の議論ではいろいろとあることは事実であります。しかし、内閣におきましては、少なくともその防衛問題に対する考え方としては統一いたしておりまして、これは内閣の統一見解としてお出しをしている方針が内閣の基本方針でございます。したがって、この基本方針に基づいて福田総理も、あるいはまた金丸防衛庁長官、さらにその他の閣僚の御発言もある、こういうことでございまして、いろいろ閣僚の発言がございますが、しかし、これは有事を防ぐことが政治の責任だということが大前提でありまして、これについては、これはもう福田総理もしばしば答弁しておりますように、有事を防ぐことが政治の大責任である、しかし万々一有事あるいは奇襲があったということに対して、そういうことに対するための研究というものはしなければならぬ、これはまた国民に対する政府の責任であるということで、大前提はあくまで有事を防ぐ、それが政治の大責任であるということを強調しているわけでありますから、内閣としての考え方は、閣僚間に差異はないと私は確信をいたしております。
  228. 市川雄一

    市川委員 有事を防ぐのが政治の責任だというのは、これは全くあたりまえのことでして、だれでもそう思っておるわけですから、いまさら言うまでもないことだと思うのです。閣僚間に違いはないとおっしゃいますが、やはり明らかにあるわけですよね。もちろんみんな閣内不一致ということで追及されますから、そういう言質を与えないような非常にうまい話し方をしていますよ。していますが、ニュアンスの違いは明らかにはっきりしている。したがって、内閣の中もはっきり合意のできていないようなことを国民に向かって言うべきでないというふうに私は思うんですよね。その点はぜひひとつお考えの中に強く入れていただきたいというふうに思います。  それで、結論としまして、今回の研究は現行憲法の範囲内で行うものである、こう大みえを切っておられるわけです。現行憲法の範囲内で行う、こう言っているのですが、その一方で予算委員会で、いいですか官房長官総理大臣はどういうことを言っているかといいますと、もしこの研究が憲法の枠を超えるようなものが出てきたら私は切ります。こう言っているんですよ。これは考え方が逆さまじゃありませんか。憲法の範囲内でというのだったら、その憲法の範囲を超えるような研究をまずさせるべきじゃないという立場に立つのが本当じゃありませんか。それを自由に研究さしておいて、憲法の枠から出てきたら私は切りますなんて、こんな危険な話はないじゃありませんか。これはやはり、そんな研究をさせたら、将来、文民に対する、あるいは文民統制に対する大きな外圧になりますよ。憲法の枠を破るような研究をさせておいて、当面まずいからここで切っておこうなんという、こんな程度の感覚なんですか。総理はこういうふうにおっしゃっている。もし本当に憲法の枠の中でやるんだとおっしゃるなら、憲法の枠の中での研究しかさせないというのが本来の研究のあり方じゃありませんか。この点、どう思いますか。
  229. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、福田総理の発言は、あくまでも憲法の範囲内での研究、これに限るということであるというふうに考えております。したがって、憲法の範囲内での研究しかさせないということにもつながっていくことである、こういうふうに思うわけです。
  230. 市川雄一

    市川委員 官房長官は総理じゃありませんから、やむを得ないと思うんですがね。  それで、三矢研究のときにも、国家機密保護法というのは出ているんですよね。それから非常事態立法というものが出ている。国会で三矢研究が暴露されて問題になってやめた。その半年後に例の法制調査官室での、四十一年にお蔵入りされたという四一研究というものが半年後に手がつけられたわけですね。三矢研究であれだけ国会で暴露されて、時の総理大臣が、ゆゆしきことだというふうにおっしゃって、半年後に防衛庁で正式に機関で決めて研究を開始した。その半年後に、たしか四十一年の二月ですか、四一研究というものがまとめられている。その中にも三矢研究と同じ国家機密保護法とか非常事態立法、この二つは絶対両方とも入っている。  ですから、防衛庁長官は、いまの防衛庁における研究は卵の卵のまたその卵だというふうにおっしゃっていますが、しかし、事実、防衛庁の歴史の中では、そういう研究の積み重ねがずっとなされているわけでしょう。しかも、三矢研究であれほど問題になった直後に、その研究を半年後に決め、またその半年後に出てきた研究成果の検討科目の中には、国家機密保護法、非常事態立法というものが入ってきている。ですから、やはり考えようによっては、防衛庁の中には機密保護法と非常事態立法というものが有事研究の原点にあるのじゃないかという不安をどうしても持たざるを得ない。今回の研究の中に入っていませんか、どうですか。また、将来ともにこういうものは絶対やらないんだという御意思はございますか、どうですか。
  231. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 今回の研究の中には入っておりません。将来のことはわかりません。
  232. 市川雄一

    市川委員 国家機密保護法については、総理ははっきり、目下のところはやらないけれども将来はやるんだ、こうおっしゃっているわけです。非常事態立法というものはどういうものを予想しているのか知りませんけれども、恐らく七十六条、防衛出動下令時におきましては、やはりそういう有事の際というのは制服が非常に発言力を強めてくると思うんですね。軍事高揚、軍事高揚ということで、手続の簡略化と決定のスピードということを要求してくる。あるいはいろいろな意味での軍事優先というものをどうしても主張してくる。文民というものはその抑えがいつもきかないというのが日本の歴史あるいは世界の歴史ですよね。  そういうことを考えますと、やはり非常事態立法なんという、恐らく総理に何かの権限を集中するようなことを法律で定めるというようなことは、今回は研究の対象になっていないかもしれません。しかし国家機密保護法は、何か将来は研究の対象にするんだというふうに総理はおっしゃっている。こっちの非常事態立法の方はどうですか。そんなことは万々考えてない、将来ともに考えていないというふうに受け取ってよろしいですか、防衛庁長官あるいは官房長官どうですか。
  233. 金丸信

    ○金丸国務大臣 そういうことは憲法の範囲内でないのですから、それは万々やらないということであります。
  234. 市川雄一

    市川委員 いまやらない……。防衛庁の見解ですが、これは当面の見解ということですか、どうなんですか。これは今回の研究が終わるとこの見解は消滅するわけですか。今回分に限るという考えなんですか、どうなんですか。
  235. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 有事法制研究につきまして、現在、防衛庁がやっている有事法制研究というものはこういうものであるということを見解として発表したものでございます。
  236. 市川雄一

    市川委員 そうすると、今回の研究が終わり、次の研究にかかるときは、またこういう見解を発表して研究を始めるということですか。
  237. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 今回のが終わりまして、その次にやるかどうかというととも全く決まっていないわけでございますから、現在の時点で申し上げる二とはできないと思います。
  238. 市川雄一

    市川委員 今回の研究は大体いつごろをめどにしておられるのですか。
  239. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはいつごろまでということではございませんで、御承知のように、見解の中にも書いてございますように、七十六条で防衛出動が下令されたような時期においてどういう問題があるかということを研究するわけでございますから、一回限りで終わるというものではないかと思います。
  240. 市川雄一

    市川委員 いつごろというめどは全然ないわけですか。全くないわけですか。
  241. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 過去一年やりました経験からしますと、かなり長い期間かかるだろうという予想はいたしております。  と同時に、この見解の中にも書いてございますが、いわゆる部隊の運用とのすり合わせというのが非常に重要な問題であるというふうに考えているわけでございます。現在やっております防衛研究の成果なども織りまぜながら研究しなければならないと思っておりますので、防衛研究そのものも今後二年間にわたってやるという状況でございますので、かなり長い時間かかるということで、現在予想される時期というのは、ちょっと申し上げられるような状況ではございません。
  242. 市川雄一

    市川委員 その防衛研究というのは、また問題なんですね。結局こういうことでしょう。防衛研究をやらないと有事研究というのは進まないんじゃないですか、関係から言うと。陸海空の防衛研究というものをやって、想定でき得る限りの急迫不正の侵害なり日本が直接侵略を受けた場合の想定というものをやる、その場合、陸海空がどういうふうに動くのかということを研究する、そしてその研究の結果、こういうふうに部隊が動くためにはこういう法律が必要だというふうになってくるわけです。  ここなんですよ。これはまた、その有事の際には生命という基本的人権が脅かされるのであるから、多少の基本的人権の制約は国民は甘受してくれるであろうとか、あるいは新聞もマスコミも強制的にやらなくても自発的に協力してくれるだろうなということをおっしゃっている含みの発言を察知いたしますと、そういう防衛研究というものが先行しまして、有事の際に部隊はこういうふうに動かさなければならぬ、こういうふうに動かすにはいまの法律をこういうふうに変えなければならぬ、そういう問題が起きてくるのではないかと思うのです。  したがって、私は、中間で研究の報告を国会にきちんとなさるお考えがあるのかないのか。さっき防衛庁長官は中間で発表するとおっしゃっていましたが、国会へきちんと報告なさるお考えがあるのかないのか。その場合にやはり憲法の枠というものは厳守するという考えに立ってやっていただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  243. 金丸信

    ○金丸国務大臣 防衛研究というものは、ことしの六月ですか、私が指示いたしたわけでありますが、私は、有事法制研究防衛研究というものは別だという考え方を持っておるわけであります。自衛隊がある以上、いかに有事のときに対処するか、あるいはまた有事に対して自衛隊がどのような訓練をすべきか、あるいはまた装備の点についてどういうような装備をするか、その開発はどういうように研究するか、技本というようなものがあるわけですから、そういうようなところでそういう防衛に対処するいろいろな考え方を持つべきものであると私は思うわけであります。  また、先ほど来から申し上げておりますように、いわゆる一遍に有事というものに対処する法制研究の結果が何十本も出てくるものではないと私は思いますが、順次研究して、中途でも中間報告を求められたならば、それは中間報告する状況になってくれば、当然これは皆さんに見ていただいて、御審議をやっていただくことは当然だと私は考えておるわけでありまして、私はしばしば申し上げておりますように、来るべき通常国会に一つ二つぐらいは、いわゆる憲法の範囲内でいろいろ研究したものが出てこなければ、何しろもう昨年の八月からですからね、もしそういうものが一つも出てこぬということになれば、防衛庁何をしているか、こういうことにもなると思うので、私はひた隠しに包み隠すことはいたしません、こう言っているわけですから、その辺、ひとつ安心して待っていていただきたい、こう思うのであります。
  244. 市川雄一

    市川委員 官房長官結構です。私の方はもう終わりましたので。  あと法制局の方に、きょうは長官お見えになっていないですね。長官がこういうことをおっしゃっているのですよ。基本的人権といえども絶対制約してはいけないとは普通なっていない。表現の自由も公共のため合理的理由があれば制限はある、こうおっしゃっているわけですけれどもね。どういう場合にどういう基準で基本的人権というのは制約できるのですか、それが一つ。それから表現の自由を制限する公共のための理由というのは普通どんな理由ですか、お答えいただきたい。
  245. 茂串俊

    ○茂串政府委員 二つ質問があったわけでございますが、第一の基本的人権は絶対的なものでなくて、合理的な限度で制限ができるものである、表現の自由またしかりという点につきましては、これはたびたび政府側から御答弁申し上げますように、現行の憲法下におきましても、一般論としましては、あくまでも憲法に規定をしておりますところの公共の福祉を確保する必要上の合理的な範囲内におきまして、法律国民の権利を制限したり、あるいは国民に対しまして特定の義務を課するということが可能であるということは、これは最高裁の累次の判例におきましても認められておるところでございまして、特に表現の自由につきましても、戦後幾つかの最高裁の判例が出ておるわけでございます。  それから、それでは表現の自由を制限する場合に、どのような理由なり要件が備われば制限ができるかという点につきましては、これはまさに個個具体的なケースによりまして、まさに先ほど申しました公共の福祉の中身の問題になるわけでございますが、そのいわば国益を守るという限度におきまして、その合理的な範囲で表現の自由を一定の限度で制約するということでございまして、これはまさに表現の自由を制約するその仕方とか、あるいはまた、どういう場合にその制約することができるかということの要件、手続とか、そういう点を総合的に勘案して考えなければならない問題でございまして、一般的、抽象的にはちょっとお答えできかねる点でございます。
  246. 市川雄一

    市川委員 有事法制あるいは奇襲問題、もっとお尋ねしたいのですが、時間が迫っておりますので、関連でちょっと、これはいまの問題とは全然関係ありませんが……。  去る九月二十一日午後七時四十五分ごろ、米第七艦隊の作戦に参加するため横須賀基地を出発した米海軍ミサイル巡洋艦リーヒーが東京湾浦賀水道の第三海堡に衝突し、燃料タンクが損傷し、重油が流出する、こういう事故が起こったことについてちょっとお尋ねしたいと思います。  第七艦隊の所属の艦艇が事故を起こした場合、防衛庁には何かすぐ連絡があるのですか、どうですか。
  247. 奥山正也

    ○奥山政府委員 お答えいたします。  防衛施設庁の方へは外務省及び在日米海軍報道部から事故発生の通知がございまして、横須賀の海上保安部等にも問い合わせをいたしまして、状況を承知したという状況でございます。
  248. 市川雄一

    市川委員 外務省でこの事故については何か米軍に抗議するとか、そういう手をお打ちになりましたかどうですか。
  249. 北村汎

    ○北村説明員 本件につきまして外務省は、この事件が起こりました直後でございますが、二十一日の夜に在京米大使館から当方の安全保障課長に対して電話がありまして、この事故について連絡がございました。それから翌二十二日にさらに大使館から、この巡洋艦が座礁した際に同艦の燃料タンクが多少破損したけれども、海上における燃料の流出はほとんどなかったという旨の連絡がございました。  いずれの際にもわが方より、このような事故の発生はきわめて遺憾である。国民の安全にかかわる問題であるので、今後は再発防止に十分努力してもらいたいということを厳重に注意を喚起した経緯がございます。
  250. 市川雄一

    市川委員 現場に伺いますと、この航路は魔の航路と言われるくらい艦船の往来が多いわけですね。それで当時、海上保安庁の東京湾海上交通センターの話によりますと、同巡洋艦は浦賀水道を制限速度十二ノット、これを六ノット超える十八ノットのスピードで航行していた。それから国際無線電話で航路がずれていることを再々注意した。しかし何の応答もなかった、こういうふうに現場では言っているわけです。今回は幸い市民に危害を加えるような、そういう大きな事故にはつながりませんでしたからよかったのですが、これがもし大きな爆発とか、そういう事故につながりますと、非常に危険なことでございます。  したがって、こういうスピード違反して平気で走っている。あるいは航路がずれている、注意しても聞かない。しかもこの航路は幅一・四キロという狭い航路で、一日八百隻前後の船が往来しているという過密状態にあるわけですね。そういう中でスピード違反はする、航路は外れて、注意されても言うことを聞かない、こういう点について外務省は抗議なさったのですか、どうですか。
  251. 北村汎

    ○北村説明員 現場においてスピード違反があったとかというようなことについては外務省は存じておりません。先ほども申し上げましたように、こういう事故は、今回は被害がなくて済んだけれども、先生おっしゃいましたように、場合によっては大変な事故になるわけで、国民の安全に重大な関連のあるものであるから、将来は絶対こういうことはないようにしてほしいということを二度にわたってアメリカに厳重に注意を喚起いたしまして、アメリカの方もそういうふうにいたすということを約束しております。  これは私どもの方ではございませんけれども、私どもの承知しておりますところでは、在日米海軍司令官のゼック少将から横山横須賀市長に対する書簡もございますが、その中でもゼック少将は、将来における安全な操作に必要なすべての対策を私たちがとっております。私は貴下に確約いたしますということでございますので、米側の方も事故の再発防止には十分心がけておることと思います。
  252. 市川雄一

    市川委員 外務省ももうちょっと具体的に抗議してもらいたいですね。重大な事故につながるかもしれないなんて口ではおっしゃりながら、スピド違反していたことも知らなければ、航路を外れて注意したのに聞かなかったことも知らないということは、これは全く注意しても注意にならないのじゃないか。交通違反を犯した原因をやはりつかんで、こういう原因では困るじゃないかと言うのが抗議だと思います。  時間がありませんから、その程度にしておきますが、あと運輸省と海上保安庁がお見えになっておられると思うので、一括してお尋ねいたします。  関東大震災で第三海堡というのは崩れたままになっております。これは逆に非常にいい魚礁になっているということで、完全に撤去すれば一番いいわけですが、完全に撤去すると漁民が生活権を非常に侵害されるということで反対がある。しかしまた、完全撤去ということになると膨大な費用がかかる。したがって、航行の安全に必要最小限度の補修をするという考えに立てば、魚礁も確保できるし航行の安全も確保できる、こういうことを運輸省でおやりになる考えがあるかどうかということをお伺いしたいということと、海上保安庁はこういう事故が起こった場合に、もちろん自治体に知らせるという義務はないのかもしれませんけれども、横須賀市はこの事故が起きたことを全然知らなかったわけですよ。たまたま新聞社からの通報で横須賀市長が知ったという経緯があるのですけれども、法律的にはそういう自治体の長に通報する義務づけはないのかもしれませんけれども、やはり市民にもし及ぶような事故の場合、自治体だって早急に手を打たなければならないわけですから、そういう点の連携というか、そういうものはもっとしっかりやってもらいたいというふうに思いますし、いまどんなふうに考えているのか。この二点、運輸省と海上保安庁に御答弁をいただきたいと思います。
  253. 小池力

    ○小池説明員 第三海堡につきましてお尋ねがございまして、お答え申し上げます。  第三海堡は明治二十五年に陸軍でつくりまして、大正十年までかかってございます。先生御指摘のとおり、関東大震災でかなり被害を受けまして、復旧不可能な状況になって放置されている状況でございます。現在はコンクリート構造部の一部が散乱いたしまして、しかも年々沈下の傾向がございまして、水面上にはごく一部があらわれているというような状況でございまして、御指摘のとおり、東京湾の湾口部の航行安全上非常な問題になってきております。こういうことから、海事関係者からその撤去の要望がございますので、運輸省といたしましては、船舶航行の安全といった観点から撤去すべきであるというふうに考えております。  ただ、これも先生御指摘のとおり、あの部分は魚礁効果がございまして、漁業関係者から漁業面での価値も大きいというような意見もございます。またしかし、そうは申しましても、そこで事故が起きまして、特に油の流出でもございますと漁場価値というものも非常な減殺が予想されるわけでございますから、今後十分調査を行いまして、代替魚礁の築造等を含めて、航行安全とそれから漁場の確保が両立するような解決策を検討してまいりたいというふうに思っております。
  254. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 海難が発生した場合の自治体への連絡でございますが、先生御指摘のとおり、法律上は当庁から自治体への通報義務はございません、したがいまして、今回の米軍艦の場合も同様でございます。  しかしながら、海難によりまして多数の遭難あるいは油の大量の排出というような事態が起きた場合には、災害防止の観点から十分な連絡体制が事実上しかれておりまして、遺憾なきを期しているところでございます。
  255. 市川雄一

    市川委員 自治体に必要なときはちゃんと連絡していただきたいというふうに思います。  もう一つ、神奈川県川崎市高津区の菅生地区内にある防衛庁技術研究本部第五研究所川崎支所の敷地の問題なんですが、これは非常に大きな敷地を擁しているわけですが、地元から非常に人口急増で、できれば小学校を分離して新しい小学校を建てたいという要望があるし、また川崎市の方も、青少年のスポーツ施設をぜひつくりたいという要望もある。ここに約十一人の職員がいらっしゃるようですが、ふだんお電話しても守衛の方しかいらっしゃらなくて、あと全部本庁に行ってますなんというときもあるようですから、余り使っていないんじゃないかというふうに住民は思っているわけですね。約五万三千二百二十平方メートル、建物はわずか二千三百八十六平方メートルですから二十分の一、敷地内の二十分の一の建物があって、しかも人員は十一名しかいない、常時いるわけではないようだ。磁気の研究をしておられるようですが、最近武蔵野南線が地下を通過している関係があって磁気の研究が本当にできるのかどうか、こういうことから、もし遊休施設があればぜひ地域に開放してほしいという要求があるわけですが、防衛庁としていまどんな見解なのか、お尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  256. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  いま先生のお話しのとおりでございますけれども、防衛庁の技術研究本部の第五研究所の川崎支所ということでございますが、磁気の研究をやっておるところでございまして、磁気というのは、磁気探査とそれから消磁、磁気を消す消磁、両方の研究をしておるところでございまして、おっしゃるとおり職員は所長以下十名でございます。所長を入れまして十一名でございます。しかし、五万平米の敷地の沖には研究所の施設が三ヵ所ぐらいございまして、その磁気の関係で磁気干渉を回避する必要がございまして、その研究所の周辺に相当空間を確保しておかないと磁気の研究ができませんので、その関係で目いっぱいに施設は使っております。したがって、いま先生がおっしゃいましたような遊休施設ではございません。  それで、私どもとしましては、研究所の研究開発ということは大変重要な仕事でございますので、さらに今後もこれに力を入れていかなければいかぬということもございまして、せっかくのお申し出でございますけれども、返還とかそういったことはとうてい考えられないと思います。  それから地下鉄の件は、これは実際調べましたところ一キロばかり先でございまして、その付近は通っておりませんのです。そういうことでございますので、ひとつ何とぞ御了承いただきたいと思います。
  257. 市川雄一

    市川委員 以上で終わります。
  258. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 安井吉典君。
  259. 安井吉典

    ○安井委員 私に理事会の方で与えられた時間は九十分ですが、きょうは同和対策特別措置法の緊急の扱いの問題も出てきているようでありますし、また、この部屋の中の暗黙の要望は短い方がいいようなふうに見受けられますので、ひとつ六十分以内で、できるだけ短くまとめたいと思いますので、政府の方はきちっとすっきりした答弁をお願いをしておきます。  まず、いわゆる北方領土の中の択捉島におけるソ連軍の演習というのが出てまいりまして、この委員会でも当日直ちに取り上げて質問したわけであります。ところが、前日の栗栖前統幕議長の発表が間違いであるとかそうでないとか、何かごたごたしていて、この委員会で明確な状態が把握できたら発表していただきたいということをあのとき決めていたはずであります。ところがいまだにない。もっとも、こっちの方も要求しなかったのは悪いんだ、こう言われるのかもしれませんけれども、あれだけ大騒ぎをさせた、その状態の実態というようなものが国会にもきちっと報告されないということは、私は困ると思うわけであります。この際、ひとつ防衛庁としてのきちっととらえた状況の御報告あるいは見解の表明をいただきたいと思います。
  260. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 あのとき私が御答弁申し上げましたのが、前日の統幕議長の発言と違っているということで大変御迷惑をおかけいたしましたが、あの事態におきましては、御承知のように五月の二十日ごろから六月の上旬にかけまして、択捉島に人員、物資が動いていったということは事実であったわけでございますが、それが栗栖議長の言うような演習であったのか、あるいは部隊が移動していったものか、あるいは基地建設のために人員、物資が行ったものであるのかということが確認できないという状況であったわけでございます。  その後の状況につきましては、実はその状態から進んでおりませんで、確かにあの時期に人員、物資が択捉島に運ばれたということは事実でございますけれども、それが何の目的で行ったのかというようなことについては、いまだにはっきりしていないわけでございます。  ただ、言えますことは、当時の動きからいたしまして、いわゆる大規模な上着陸の演習というものが行われたという可能性は、いわゆる軍事的な判断からいたしますと非常に少ないんではないかという現状でございますけれども、この六月から現在までに択捉島で一体どういうことが行われたかということを的確に確認はできない状況でございます。ただ、従来と非常に違った状態になったのではないというふうな判断をいたしているわけでございます。
  261. 安井吉典

    ○安井委員 アメリカの偵察衛星もあるわけですからね。一メートルぐらいの物の動きでも恐らくアメリカはつかんでいるし、それは防衛庁の方に恐らく連絡が来ているに違いないと思う。大臣は直接聞くか聞かないかわからないが、私は何らかの情報連絡は来ているに違いないと思います。何かはっきりいまだにわかりませんというような防衛局長のきょうの報告で、それでいいのかどうか。わかっているのだけれども、それは秘密事項だから言えないのだというのですか、それとも全くわからないのですか。アメリカからの連絡の問題もあわせてお答えいただきたい。
  262. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 アメリカからは具体的に連絡というのはございません。ただ、大臣がアメリカに参りましたときに、私もお供をしてまいりまして、関係の者にも尋ねはいたしました。しかし、偵察衛星というのは、常時そこを監視しているというものでもないわけでございまして、御承知のようにずっとぐるぐる回りながら一日に一回その付近を通るというようなものでございますので、話によりますと、あの辺は気象的に偵察衛星から非常に確認しにくいところだということでございました。したがいまして、私どもも部隊の移動といいますか、航空機の移動、艦艇の移動等から、その三つのケースが考えられるんだけれども、どれであろうかということも質問いたしました。しかし、アメリカとしても的確に確認はしていないということでございまして、私どももそのいずれのものであるかということは確認はできておりません。しかし、いままでの判断としては、大きな変化はなかった、大きな動きはなかったという判断をいたしているわけでございます。
  263. 安井吉典

    ○安井委員 アメリカの偵察衛星というのは、私はもっとよくわかるのかと思ったら、大したことないし、何かだらしがないような気がするんですが、そう言ったらアメリカは怒るでしょうか。問題をつかまえていながら、私は、どうもここでは言わないのだというような印象を強く受けるわけでありますが、いろいろ問題が起きた場合は何もかも隠すなんということじゃなしに、問題点を明らかにして、そしてそれを国民とともに解明していく、そういう姿勢が私は欲しいと思うわけであります。大臣、どうでしょう。
  264. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいまの防衛局長の報告は、私がアメリカへ行ったときその話を聞きまして、いま防衛局長が述べたような話であったわけでありますが、気象という敵、こう言うんですが、気象敵というのは濃霧が発生するという状況の中で警戒線がそういうものを非常にとらえにくかったというように私は聞いてまいりました。ウィズナー・ハワイ連合艦隊司令官と一夕夕飯を一緒に食べて私がその話を聞きましたら、定かなことははっきりしないけれども演習じゃないでしょう、陣地構築じゃないかというようなことを言っておったことを私はいま記憶いたしております。
  265. 安井吉典

    ○安井委員 防衛庁としては、いわゆる北方領土の島々におけるソ連側の演習じゃないが、陣地構築かもしれないという情報に対して、何かいままでの防衛研究なり何なりの面で変更が生じたのかどうか、それを伺います。
  266. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 択捉島には先生も御承知のように、いまから十五、六年前までは一個師団の部隊が配備されておったわけでございます。これが引き揚げていっております。その後残っておりますのは、防空軍に所属いたします戦闘機の部隊が二個飛行隊配備されているということは、いろいろな情報から判断されるところでございます。その飛行隊そのものが変更があったのかどうかということにつきましては、変更はなかったのではないかという感じがいたしますので、いわゆる防衛構想といいますか、そういったものに変更を加える必要はないというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  267. 安井吉典

    ○安井委員 私は北海道の出身なんですが、最近北海道は大変な奇襲攻撃にさらされているらしい。週刊誌も月刊誌も盛んにそのことを伝えているわけです。もう毎月毎月――毎週出ますね。北海道がこれじゃやられそうですね。私はいま東京にいますけれども、うかうかしていると向こうへ帰れないのじゃないかという心配すら覚えるくらいです。たとえば稚内にソ連軍が上陸していく、稚内市長の胸にぴたりと自動小銃が、という小見出しもあります。そして稚内だけではなしに、同時に陽動作戦として択捉島から海軍歩兵一個連隊による根室、網走方面への奇襲上陸、石狩湾正面に対する艦艇、航空機による猛烈な重砲撃津軽海峡に対する機雷封鎖、札幌-稚内間の国道四十号線並びに国鉄宗谷本線に対する爆撃、千歳飛行場に対する航空爆撃等々、具体的に実際の地名が述べられて報ぜられているわけです。これを私はどうしようこうしようというわけじゃないが、一方金丸防衛庁長官は夏、道北地方の北の外れまで状況視察に出かけておられます。日本の方はソ連を防衛対象国だというふうに考えているそうでありますが、防衛研究では、防衛庁は北海道へのソ連の奇襲上陸というようなものをどのようにして想定されておられるのか。そういう想定のもとにさまざまな部隊配置やその他の対応措置が講ぜられているのではないかとも思うのですが、その辺の事情をお聞かせいただきたい。
  268. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私が北海道の北方の視察をいたしましたのは、ソ連を仮想敵というような想定のもとに視察したことでなくて、防衛庁長官として九州あるいは日本各地を視察するということは当然のことでありまして、そういう意味で稚内あるいは名寄で自衛隊員と一緒に野営もしたというようなことでありまして、何を想定して行ったということではない、こういうことであります。
  269. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛研究といいますか、私どもの防衛計画の中では特に仮想敵というのは設けていないわけでございます。御承知のように、日本の地勢から考えますと、どういたしましても陸上部隊が日本に上陸してくる場合には、その主力は海を越えてこなければなりません。海の上を渡っていわゆる陸上部隊が来るということになりますと、その海の長さというものは、どうしても攻撃側にとっては脆弱な態勢にあるわけでございます。したがいまして、非常に近い距離を通ってくるということが一応軍事的には考えられるわけでございます。そういたしますと、日本の近いところと言いますを西の方あるいは北の方に隣国があるわけでございますから、そういうところの防衛というものは重視しなければならないというふうには考えているわけでございます。
  270. 安井吉典

    ○安井委員 伝えられるところでは、北海道への三つの侵攻地点があって、一つは道北、一つは道東、一つは道央というような設定で自衛隊側の研究が進められていると聞くのですが、その点はどうですか。
  271. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはいろいろ地形あるいは港の状況、そういったものから判断いたしまして、北海道におきましてその攻撃といいますか、受ける側からしますと弱いと思われるところがあるわけでございますけれども、ではどこから来るかということになりますと、これは本当の専門家が研究いたしましても意見の分かれるところでございまして、どこということを重点に考えるということではなくて、攻撃が行われた場合にはどういう対処をするかということは、いろいろな局面において考えているわけでございます。
  272. 安井吉典

    ○安井委員 いま日本に一番近い外国の軍事基地はどこですか。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  273. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは正確にはかったわけではございませんけれども、たとえば先ほど御説明いたしました択捉島には防空軍に属します戦闘機部隊が二個飛行隊配備されているわけでございます。それから国後島には飛行場がございまして、国境警備隊のヘリコプターあるいは航空機等がこれを利用しておるようでございます。さらには、たとえば北海道の稚内から一番近いところの樺太が三十四海里離れているわけでございますが、あそこにも軍事施設があるようでございます。
  274. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにしても、樺太は稚内の丘の上から向こうが見えるのですね。あるいは国後、択捉、色丹等の島はまさに根室半島から目の前に見えます。そういうふうな状況があるだけに、先ほどのこんな雑誌がどんどん出てくるんじゃないかと思うのです。私はきょうはどうしろこうしろと言うわけじゃないのですが、次の問題を解明する上に明らかにしたがったから、お尋ねをしたわけであります。  私がきょう特に伺いたいのは、専守防衛という意味で、とりわけ防衛研究のあり方について重大な問題だと思うのは、内閣法制局長官もこの間この委員会でちょっと触れたわけでありますが、例の昭和三十一年の内閣委員会において鳩山総理答弁を船田長官が代読した、   わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。 という言明で、この答弁がときどき予算委員会や内閣委員会質問の中で出てくるわけなんですが、しかし、私はこの答弁を聞くたびに実はぞっとするわけです。  なるほど法理論として、特に憲法論として、これは外国の領土に攻撃を加え得る唯一の例として挙げられているのではないかと思うわけです。これはさまざまな限定があることはありますけれども、しかし、こういうようなことがずっと今日まで来ているわけでありますが、例外中の例外の場合だとは言いながら、外国の領土、領空、領海の中に入って策源を断つというようなこと、これも専守防衛なのですか。
  275. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは、いま先生がお読みになりましたように本当に限定的な、法理的な問題として御説明しているわけでございまして、自衛隊の必要最小限度の中に、相手の国の領土、領海に入って、いわゆる武力を行使するということは考えていないわけでございます。
  276. 安井吉典

    ○安井委員 実はさっきもちょっと名前が出ました栗栖前統幕議長も、専守防衛、専守防衛と言うだけではだめだ、積極的に敵の基地をたたくぐらいでなければ国を守れないという言葉があって、これもあの人の首が飛ぶ一つの原因にもなっているわけであります。しかし、専守防衛じゃないと栗栖さんは言ったけれども、場合によっては専守防衛の中に入るわけですね。どうなんですか。
  277. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私は、栗栖さんの発言と、この国会におきます答弁とは意味が違うと思います。栗栖さんは、いわゆる軍事的な合理性という判断からしますると、やはり専守防衛よりは攻撃面も持っていた方がもっと軍事的には有効であろうというような意味で発言されたものではないかと思います。そして国会で答弁いたしておりますのは、法理的にはそういうことは考えられるけれども、専守防衛というのは、必要最小限度の防衛力、自衛力を行使することであるということにきわめて限定して考えられていると判断いたしております。
  278. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つの疑問は、法理論として述べられた見解ではあるのですけれども、相手方の基地をたたくというのはどういうような方法でやるのですか。可能性がありますか。
  279. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは、現在の自衛隊にはほとんどその能力はありませんし、相手の基地をたたけるようなものを平素から持っておるということは許されないというふうに考えているわけでございます。
  280. 安井吉典

    ○安井委員 もしもこの法理論を地でいくというようなことになるんだとすれば、かなり遠距離に出撃できる航空機や誘導弾を自衛隊が持っていなければいかぬということになるわけですね。さきに社会党が問題にいたしました空中給油装置、われわれは一たん外してもらったつもりのものが、どうしてもつけておかなければならぬということでとうとう押し切っておしまいになったわけですが、そういうようなものも何かこんな見解につながっているのではないかということやら、もっと高性能のミサイルを欲しいとか、だんだんそうなってくるわけであります。ですから、時たま出てくるこんな見解があることによって、本来の専守防衛が崩れてきやしないかという心配を持つものですから、私はきょう、特にその点を申し上げているわけですが、どうですか。
  281. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 空中給油の問題とこの専守防衛とは――専守防衛の枠を伸ばそうという考えは私ども毛頭ないわけでございます。それはF15という要撃機能を重視した飛行機というもの、その武器そのものが本来的に専守防衛に適した航空機であるということでお願いしてお認めいただいたわけでございます。  したがいまして、単なる距離ということだけでございますと、たとえば船なんかにいたしましても、これはかなり行けるわけでございます。しかし、これはまさに運用の問題でございまして、この専守防衛は、必要最小限の防衛力という範囲でそれらを運用するということでございまして、能力的にもその相手に攻撃的な脅威を与えるようなものではないというふうに私どもは考えているわけでございます。
  282. 安井吉典

    ○安井委員 自衛隊防衛研究には、このような例外中の例外というような問題への対応を含めた研究があるのかどうか。栗栖発言もあるものですから、その点明確にしておきたいと思います。
  283. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは、先ほど申し上げましたように、自衛隊にはその能力がありませんので、その研究の中には、そういうものは全く含まれておりません。
  284. 安井吉典

    ○安井委員 いままで政府はいろいろな見解をもっともらしくお述べになるが、その後にはただし書きというようなものがついている。初めはそれでいいのですけれども、後にそのただし書きの方が正当化されてひとりでに歩き出す、そういう場面が非常にあるわけです。自衛隊そのものだって初めのうちは、日本は戦力は一切持たない、ただし自衛のためには、とこう言っていたのが、いつの間にか強大な自衛隊にまでなってしまった。万一とか万々一とか、あるいは万々々一とかいう政府のその限定の中で基地をたたくとかいうようなことがあって、それが研究の素材などになっては大変なことだと私は思うし、その点は全くない、将来もないというふうに考えてよろしいですね。これは大臣から伺います。
  285. 金丸信

    ○金丸国務大臣 将来もないと御理解いただきたいと思います。
  286. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、法理論と言うよりも政策論、政治論だと思うのです。たとえ法制局がどんな言い方をしようとも、政策論、政治論としてはっきりそのことをきょうは打ち消していただいたわけですが、そういうことでなければならぬと私は思う。  特に政策論として考えてみれば、座して死を待つということを救うために、向こうの基地を攻撃するというのですが、向こうの基地を攻撃すれば、それで死なないで済むのかどうかということですよ。いまのような核戦争の可能性が絶無とは言えない、こういう時代に、向こうの基地をたたいて、その報復攻撃を受けるというようなことになれば、座して死を待つなんというそんな言い方ではなしに、むしろ国土を全滅させてしまう、国民を全滅させてしまうということしかないわけであります。  ですから、この見解というのは、これが生きている間何か心配があって、将来に禍根を残すのではないかという心配を断ち切ることができないように私は思います。これは古い見解ですから、きちっと撤回しろと言ってみてもなかなかあれだと思いますが、しかしあくまでも政策論としてはもう絶対こんなものはないと同じなんだという、そういう構えでやっていただかなければならぬ、こう思うわけで、その点は大臣のいまの言明で間違いはないと思いますけれども、きちっとした態度を今後とも持っていただきたい、そのことをひとつ申し上げておきます。  それからもう一つだけ。きょうは岩垂委員の方から機密保護法の問題について御質問があったそうでありますが、きょうは法務省からも来ていただいておりますが、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、これは昭和二十九年の法律でありますが、これと、それから日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法、この二つがアメリカとの関係において秘密を守る仕組みになっていると思います。それからもう一つは、自衛隊法の中に「秘密を守る義務」という規定がある。ごく大まかに言って、この三本が今日の防衛庁に関係のある秘密保護の仕組みではないかと思うのでありますが、MSA協定の関係の法律は法務省所管ですね。現在までの適用状況はどうなっているか、これをひとつ伺います。
  287. 河上和雄

    ○河上説明員 安井委員のおっしゃいました秘密保護法、これは実は所管は防衛庁でございますが、私どもの方は刑事事件として扱っておりますので、私から御説明申し上げます。  御指摘のように、昭和二十九年に公布、施行されまして、現在まで検察庁が二件、三名ほど受理いたしております。いずれも処分は不起訴処分に付しております。
  288. 安井吉典

    ○安井委員 MSA協定等に基づくアメリカから供与された装備品等は、二十九年といまとは大分違ってきておりますので、もうそんなに残ってないんじゃないか、そんな気がするのですが、どうですか。
  289. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生がおっしゃいましたように、無償援助でもらった物というのはきわめて少なくなっておるわけですが、有償援助に基づきます供与品というものがあるわけでございます。それからライセンス国産をする際のいろいろな秘密の物件があるわけでございまして、私の記憶いたしておりますところでは、三千件ぐらいなお指定されているものがあるというふうに記憶いたしております。
  290. 安井吉典

    ○安井委員 そういう状況の中でさらに伺っておきたいのは、いろいろあるわけですけれども、領空侵犯についての対応、その内訓がありますね。あるということをお認めになりながら、その内訓は秘密ですと言ってお出しにならなかったわけですが、あれはいかなる秘密ですか。
  291. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは防衛庁で決めております訓令によります秘密でございます。庁秘と私どもは言っておりますが、防衛庁の秘密ということでございます。
  292. 安井吉典

    ○安井委員 その秘密の種類について、先ほど岩垂委員とのやりとりの中で一つ一つその数をおっしゃったそうですか、私そのときいなかったものですから、もう一度その秘密の種類による数をお聞かせいただきたいと思います。
  293. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま御報告いたしましたMSA協定に基づきます防備秘密が約三千件でございます。点数にいたしますと、これは九万四千点になります。それから防衛庁の庁秘につきましては八万八千件でございまして、点数にいたしますと七十四万二千点でございます。これは同じ物をそれぞれの部隊などに配付する関係で点数は多くなっているわけでございます。  その中をさらに分けてみますと、MSA協定に基づきます防衛秘密は、機密と極秘と秘というふうに分かれておりまして、ちょっといま資料を探しますけれども、五十二年に指定されましたのが極秘が約十件で、秘が九十件でございます。それから庁秘の方は、五十二年に指定いたしましたのが機密が約二百件、極秘が千六百件、秘が二万七千六百件という数字でございます。
  294. 安井吉典

    ○安井委員 防衛秘の方は、秘密というのはどのくらいなのですか。
  295. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 機密はございません、機密は。(安井委員防衛秘」と呼ぶ)防衛秘はございません。(安井委員「しかし三千件……」と呼ぶ)秘密が全体で三千件でございます。
  296. 安井吉典

    ○安井委員 いわゆる庁秘の中で防衛秘というふうに扱われているものはありませんか。
  297. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛秘というのはMSA協定に基づく秘の指定でございますから、これはアメリカの装備品が指定されるわけでございます。  庁秘は防衛庁で指定しますものですから、自衛隊の関係はその庁秘で指定するわけでございます。
  298. 安井吉典

    ○安井委員 昭和二十九年にこのMSA協定に基づく秘密保護法が立案される際、当時の木村保安庁長官ら首脳の構想というのは、単にアメリカの秘密だけではなしに、自衛隊がようやく形を整えつつあったときでもあり、広く防衛機密のすべてを保護する法律をつくりたいという意図を持っていたようですね。あの法案、国会審議の際に、当時の改進党が修正案を出している、その修正案の中身についてはかなり評価すべき面もあるわけだが、その改進党も、全然発想を変えて防衛機密全体に対する独自法案をつくろうというのが真意であったと伝えられております。ですから、秘密保護法というのは防衛関係者の悲願のようなもので、昔もあったし、今日もあるのではないか。  自民党の源田議員の対話の文章がここにありますが、この言葉の一部を拾いますと、「機密保護法です。どうして防衛機密、国家機密を守るか、それが今はノーズロースなんです。」――少し古風な表現ですね。「これに対して、機密保護法というものを作らなければいけません。マスコミは「知る権利」とか、「表現の自由」とかいうでしょう。これと真正面からぶつかりますが、これをやらないで、有事立法なんていったって意味がありません。」こう言っていますね。  だから、今度の場合だって防衛庁の方は本音はやはりこの辺にあって、その本音を隠して例の統一見解をたてまえとして出してこられた。しかし、総理大臣はその本音の方をとうとうはしなくも言ってしまったというのが、この間からの動きではないかと思います。問題はそこにあるわけで、いつの日かまたこの問題が出てくる、私はそのことを非常に心配するわけですが、とりわけいまの民主主義の憲法の中では、防衛問題も含めて国全体の主人公は国民なわけですね。その国民が最終的に納得し、選択し、決断するということでなければならぬので、そのためには国民の知る権利が必要なんで、実態をできる限り国民に公開をして、国民の判断の資料を提供する。それによって国民の判断を仰ぐというのが正しいやり方だと思う。大臣、うなずいておられるが、そうでしょう。ところが、いま防衛当局者の方が言われる機密保護法への道というのは、おれが国を守ってやる、国民はよけいなことを言うな、内容を知る必要なんかないのだ、どうしても防衛の中身を知ろうとすれば厳罰に処する、これが機密保護法じゃないですかね。  ですから、これはまさに民主主義というルールに正反対な方向であるわけです。特に総理が、国を売るというようなことは許されないとこの間も予算委員会で言ったようだが、しかし、国とは一体何なんだ。昔は天皇主権国家であったわけですけれども、いまは国民主権の国家ですからね。ですから、ああいう言葉の使い方は慎んでもらわなければならぬと思う。余り防衛の面で秘密秘密というものをやっていけば、それだけ国民は離れていく。やはり国民とともに考え、国民とともに苦しむという気持ちがなければ私はだめだと思う。大臣、どうです。
  299. 金丸信

    ○金丸国務大臣 防衛という問題は国益ということも考えなければならぬという立場から言えば、源田さんの言うような、いわゆるノーズロースという、表現は悪いのですが、しかし安井先生がおっしゃっているように、国民の一人一人の理解を積み重ねるところに防衛の基本があるという考え方を私は持っておるわけでありまして、秘密というものは、いま防衛局長がいろいろお話を申し上げましたが、私は、国益を損しないものはできるだけ知ってもらうことに努めることは当然だ、何でもかんでも秘密だということでは、防衛というものが国民の理解を得ることができ得ないようになるであろうと思います。
  300. 安井吉典

    ○安井委員 七十四万二千点に及ぶ秘密という体制のもとでは私は問題があるし、さらにそれに厳罰をつくっていくということの問題点をもう一度考え直していただきたいし、この機密保護法の問題については、さらに別な機会に取り上げます。  最後に、けさの新聞で、防衛庁は、五十二年度中期業務見積もりの骨格をまとめたと報ぜられていますが、これはいわゆる五次防として設定するわけですか。これは「防衛計画の大綱」をはみ出すような大きなスケールのもののように思われますが、それはどうなのか。  それからまた、防衛費のGNP比率というのが一つあるわけですけれども、そういうものを変えるような大型のものではないのかという印象を受けるのですが、御説明いただきます。
  301. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、一昨年の十月にお決めいただきました「防衛計画の大綱」というものがございます。これによりまして、現在のような状況のもとにおきましては、自衛隊が持つべき防衛力の規模が数字で示されているわけでございます。したがいまして、それを超えるということは毛頭考えていないわけで、いわゆる五次防というような性格のものではございません。しかし、現在持っております装備品のリプレースの時期を迎えるわけでございます。たとえば艦艇などは二十年あるいは二十数年という艦齢がございますので、現在の防衛予算の中で効果的にこのリプレースをやっていかなければならないわけでございます。  したがいまして、防衛庁としては、今後予算化していくに当たって、毎年度いわゆるGNP一%の規模の中で最も効果的にそういったリプレース、近代化をやっていくのにはどういうのが一番適当であろうかということを研究をいたしておりまして、もちろんまだ結論は出ておりませんけれども、いわゆる中期業務計画という形で、昭和五十五年から五十九年に至る五ヵ年間の近代更新化計画といったものをつくっていこうと考えているわけでございます。  したがいまして、これは四次防までと性格は全く違いまして、四次防までは、いわゆる防衛力を質量ともにふやしていこうという段階でございました。したがいまして、この計画を実施いたしますと五年後には防衛力がどのように変わっていくかということを中心に計画を立てておったわけでございますが、今回のは、この「防衛計画の大綱」に決められましたその中においてどのような形で更新していくかというのが中心になっている内容でございます。
  302. 安井吉典

    ○安井委員 番号のつけ方はとにかくとして、四次防から後ないわけで、しかもまた新しい五ヵ年計画という形で出てくるわけですから、四番目の後は五番目という単純な見方もできるし、それから、単なるリプレースという言い方をいまなさったが、新聞の記事で見る限りではバッジ更新の費用だけでも一千億円を超える。これは、いまあるバッジとは全く違ったものの質的な向上が図られるということでありましょうし、その他数々の大型プロジェクトがあるようですね。だから、いまある物の更新だ、こう簡単に言われるけれども、われわれの目から見ればまさに、量はどうか知らぬが、――量だってふえていくのじゃないかと思うのですが、質的な向上というのが非常に大きいように思うわけです。それを五次防ではありませんということで、何かこれも国民の目をごまかすのではないか。いや、小さな中期業務計画です。こう言われるけれども、五次防と言うとまたわっと来る、それを避けるための何か苦肉の策で言われているのではないかという印象を受けるわけです。  それから師団も改編するというふうな問題も含まれておりますが、これらの中でかなりな法改正が必要になるのじゃないですか。どうですか。
  303. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 師団の改編といいますのは、現在の「防衛計画の大綱」の中で決められておりますが、四国に一個旅団を編成する計画を持っているわけでございます。旅団が四国と沖繩ということになるわけでございますが、現在の十八万体制の中でそれらの編成を行うために現在の師団の中身をどういうふうな編成にしたらいいかという研究をしているわけでございますが、法改正には結びつかないと考えております。
  304. 安井吉典

    ○安井委員 この計画の全貌をわれわれに明らかにしていただきたいが、それはいつごろになりますか。
  305. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは計画といいましても、政府で決定する計画ではないわけでございます。「防衛計画の大綱」で示されました中に、今後の防衛力の整備については毎年度の予算においてそのときどきの経済事情を勘案しながら決定するというふうに決められているわけでございますから、防衛庁の中の作業のものでございまして、それがいわゆる毎年度予算という形で国会の御審議を仰ぐわけでございますから、その年の予算の編成の状況によってはすぐまた手直しをするというようなことになってくるわけでございまして、いままでの、四次防までの政府の発表というような形では発表することは考えていないわけでございます。
  306. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、予算を審議していく上に、ことしはこういう予算でも来年はどうなのか、再来年がどうなのか、それが五ヵ年計画の中にセットされたものだとすれば、全貌を国会が知りたいと言うのも当然だと思うのですが、どうですか。
  307. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはことしこのぐらいで、来年このぐらいということではなくて、いわゆるGNPの一%の範囲の中で最も効果的にリプレースをやるについてはどういうものが必要であるかということでございますので、その当年度の予算の御審議に必要な範囲においては御説明申し上げるという考えは持っているわけでございます。
  308. 安井吉典

    ○安井委員 説明はされても、やはりそれは国会の方が要求しますよ。いまとりあえずできた内容だけでもこの委員会に御提出願えませんか。委員長、どうですか。
  309. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはまだできておりませんで、いままさに各幕と内局との間で審議をしている段階でございますので、まだでき上がったものは何もないわけでございます。
  310. 安井吉典

    ○安井委員 では、でき上がった段階では出してくれますね。
  311. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 必要な範囲ではお出しできると考えております。
  312. 安井吉典

    ○安井委員 終わります。
  313. 始関伊平

  314. 受田新吉

    ○受田委員 最初に国の防衛に関しまして長官と外務省にお尋ねし、これに関連する問題として、日中条約締結を機会に在外財産の処理の問題に触れていきたいと思います。  初めにここで明確にしておきたいことは、この間からしばしば議論しております自衛隊法の七十六条にあります防衛出動の手続と時間的な関係をお尋ねしたいのです。  自衛隊法には防衛出動命令は国会の承認を得ることになっておるわけです。したがって、外部の武力侵略が行われた――おそれのある場合を含みますが、行われた場合をとりましょう、それをキャッチして長官が総理に、どちらがどう言ってもいいです。そこで国防会議、閣議という順序を踏み、そして国会の承認を経る。手続は大体その順番ですが、これに対する最短距離の時間はどのぐらいかかるものと見られるか。非常に急迫不正の侵略でございますから、これに対応するにはできるだけ速やかにやらなければならないわけですが、正規の手続で国会の承認を経る手続をとる場合の最短距離、それはわからぬということではなく、およそのめどをつけておかないと、つまり正規の手続をとる場合には最短距離をこのぐらいの目標に置くぐらいのことを考えないと、敵がもうどんどん侵略しているのですから、有事立法が必要だ、奇襲に対処せにゃいかぬというような声もあるわけですが、それはできるだけ避けたいとおっしゃるのですから、正々堂々と正規の手続で処理をするのにはおよそどのくらいかは想定しておかなければならぬ。お答えを願います。
  315. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生の御質問は大変むずかしい問題でございまして、そのときの状況にもよると思います。  たとえば、非常に緊迫したような状況でありますれば、少なくとも行政府の関係におきましては、報告をして、国防会議の議を経て、閣議を経るということがあるわけでございますが、いわゆる国会の承認を得るということになりますと、これは行政府の問題を離れるわけでございますから、非常にゆっくり時間をかけて御審議になる場合もあるでしょうし、非常に緊迫しているような状況の場合には御承認いただけるということもあろうかと思いますので、私の方から何時間を予定している、何日間を予定しているということを申し上げるのは、きわめてむずかしいと考えております。
  316. 受田新吉

    ○受田委員 その見通しを持たないと、急迫不正の侵略に対処できないわけなんです。つまり外部の武力侵略が発生した、これをキャッチして、総理あるいは防衛庁長官、どちらかがキャッチして、防衛関係の閣僚、つまり国防会議を開く。この間、真田法制長官は、閣議の議を経なければならないということでございました。その閣議は全会一致でなければならない、一人でも反対があったら閣議決定にならぬ、こういう答弁もあったわけでございまするから、これは大変大事な問題です。国防会議を開く、そして閣議を招集する、持ち回り閣議ということもあるでしょうが、とにかく手続としては、国防会議は総理が招集しますね。そしてそこで決定して閣議を開く。閣僚が全部そろうことがなかなかむずかしいということもありましょうが、キャッチした時間から数時間後に閣議決定まで行くことが可能であるかどうか、これは行政府だから十分わかると思うのです。
  317. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これも状況によるかと思いますけれども、緊張状態が高まっておって、いわゆる攻撃を受けるような可能性が高まりつつあるような段階におきましては、当然のことながら数時間以内で行政府として結論を出すということは不可能ではないと考えておるわけでございます。
  318. 受田新吉

    ○受田委員 情勢が深まり得るような関係になっているかいないかぐらいは事前に情報、通信等で十分つかまえるということを言うておられるのですから、それが不安なような状態では、われわれ非常に不安です。
  319. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私が申しましたのは、現在のような平和なときにそういう行為が行われるということになりますと、閣僚の方もそれぞれのお仕事をしておられるでしょうからなかなかむずかしい点があるかと思いますけれども、その情勢をキャッチしながら、情勢の変化に対応しながらわが国としてどのように対応しなければならないかということが政府の中で考えられているような時期におきましては、いま申し上げましたように、数時間でその決断が下されるというふうに確信をいたしているわけでございます。
  320. 受田新吉

    ○受田委員 局長さん、それはもう長官もしばしば言うておられるのです。そういう奇襲ということではなくても、堂々たる武力攻撃が加えられるというような事態というものは情報通信網の発達している今日十分キャッチできるのだ、こういうお話ですから、私はそれを前提にいまお尋ねをしているわけですよ。長官が終始言われることを前提にして、どのくらいでやれるかということです。
  321. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは先ほど申し上げましたように、そういう状況のもとであれば数時間以内にこの判断を下していただけると確信をいたしておるわけでございます。
  322. 受田新吉

    ○受田委員 そうして政府は閣議の決定を得た、一人残らず――一人の反対があっても、閣議決定に至らないと防衛出動は命令できないということ、これは長官、よろしゅうございますね。この間真田さんが言った。よろしゅうございますか。正確に長官から一応伺います。
  323. 金丸信

    ○金丸国務大臣 真田法制長官がそのように申しておりますことは承知しております。
  324. 受田新吉

    ○受田委員 一名の閣僚が反対すれば防衛出動命令は出せない。しかし、総理がその反対閣僚を罷免して、すぐその場で気に入った閣僚に兼務させる手も一つありますからね。そういうことはもうやむを得ぬとして、普通であれば一人の閣僚の反対で防衛出動の命令は出せない。  さあそこで、閣議決定をしました。その次に国会の承認を得る手続は、これは政府が要請されるわけです。どういうふうになさるのですか。閣議決定を見たわけです。次。
  325. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その手続につきましては、法制局の方でお答えいただかなければ、防衛庁としてどういう手続をするかということは、いまちょっとお答えいたしかねる問題だと思っております。
  326. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁の法規担当のどなたか――できるはずですよ。あなた、ここで答弁ができぬようなことでは防衛出動はできませんわ。これは一一法制局に聞かにゃいけぬ問題じゃないです。
  327. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは内閣から国会に送付いたしまして、承認を求めることになると思います。その以後は国会の問題として御判断いただくことになると思います。
  328. 受田新吉

    ○受田委員 内閣から国会に要請がある。その要請はどういう要請をするわけですか。直ちに召集をしてほしいということになるのですか。いままでの手続では一週間以前となっているのです。一週間以前に召集するのが通例のことになっている。先例によれば三日以前でもよろしいということがあるのですが、これはやはり防衛当局は心得ておかれないと、国会の承認を得るのにはどれだけの手続が要り、日数が予想されるか、それによって、ぐずぐずしておったらもうやられるのですから、できるだけ早くやるのにはどうしたらいいか。  これは、内閣の責任者、だれか呼んでください、召集についての責任者を一人。それから、国会がその要請を受けた場合にどう対処するか、国会の事務局の関係も伺う。私、それができておると思ったのですが、非常に急迫した場合の国会召集というものは一体どうなるのか。一週間もかかっておったのでは戦争は終わっているのですよ。おしまいですよ。最短距離にどういうふうにするのか。国会の方は要請を受けた場合にどうするか、それから要請する方の側と両方。そのお答えが出るまで次の質問をやらしていただきましょう。  私はこの間、大変残念な自衛官の行動を承ったわけです。海上自衛隊の対潜哨戒機の搭乗自衛官が三人おって、その三人が任務を完了した後において、東京の夜空を遊覧飛行したという事件です。この事件は、三十五日の停職処分に最高責任者は持っていったようですが、何の規定でこれを処分したのでございますか。
  329. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 自衛隊法の懲戒処分の規定に基づいて処分いたしたものでございます。
  330. 受田新吉

    ○受田委員 自衛官なるものは、国民の税金でつくった国家の兵器を自分で適当に物遊びに使っていいかどうかというような問題。その若い自衛官の心情はわからぬことはないのですが、しかし、これは許されないことなんです。国民の税金でつくった飛行機、そして国土、国民を守るための防衛の飛行機を遊びに使うなどという、この処分はどういう処分であったわけですか。私がいま指摘したほかに、何かもっと厳しいものがあったかどうかです。
  331. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 当時、S2Fという航空機でございますけれども、これに搭乗いたしておりました操縦士、これはただいま先生おっしゃいましたように停職三十五日という処分でございます。それから副操縦士として搭乗いたしておりました自衛官につきましては、減給一ヵ月三十分の一という処分でございます。それからそのほか、航空士として搭乗しておりました者は、これは本人の職務上、不問に付しております。これは本人には責任はございません。それからこの自衛官の上司でございます第四航空群司令の海将補につきましては訓戒、それからその下の第十四航空隊司令につきましては戒告、同じくその下の第十四飛行隊長につきまして戒告処分をいたしております。
  332. 受田新吉

    ○受田委員 一例を申しましょう。学校の教師の場合、酩酊して車を運転したというだけでもう退職です。それほど厳しく公務を考えていってしかるべきである。いわんや、国民の税金で賄った兵器を、いざというときにはこの国を守るための兵器を、勝手に、上官の指示も受けない形で、いつ事故が起こって大惨事を起こすかわからぬような状態でやった者が三十五日の停職で済んでおるというようなこの処分について、自衛官の士気の緩みを取り締まることができますかどうか。私は、この事件は本当に軽々しい問題ではないと思う。  つまり自衛隊の規律というものがいかに怠慢であるかということであって、われわれは自衛官を大事にし、自衛隊を非常に大事にして、皆さんよ、待遇をよくして差し上げますから、しっかり御苦労してください、殉職した方々には最高の処遇をして、その御遺族にもできるだけ愛情を注ごうという、われわれは非常に強い願いを持っておるときに、この兵器を勝手に指揮系統を離れた遊びに使うておるような、しかも東京のどこかで故障を起こして大惨事が起こるかわからぬという、これはとんでもない予測される被害も考えられることをやったわけです。  一体、その上の責任者が戒告とか訓告とかで済んでいるのもこれはおかしいです。平素いかに部下を統督しておるかわからぬです。この兵器を扱うことについてどのような取り締まりをさせておるのか。そして指揮系統というのは一体どうなっているのか。そして指揮以外にこういうことを使うすきがあるのかどうか。そのときにはどこに監視隊がおるのか。渡邊局長さん、十分教育訓練とあわせて、この指揮命令系統を私は明らかにしてもらいたいと思うのです。これはかりそめの問題じゃないですよ。
  333. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この当該S2Fは、御承知のように厚木所在の第四航空群の飛行機でございまして、当然のことながら航空集団司令官及び第四航空群司令の指揮監督を受けるパイロットでございます。さらに、当日、この飛行機につきましては、着陸訓練を実施するために着陸の順番を待っておったわけでございます。その間、先ほど御指摘のような、まあ一種の衝動に駆られて、東京湾に進入して東京上空を飛行したということでございまして、この間、これは計器飛行でございませんで、いわゆる有視界飛行を実施しておったということから、厚木基地のレーダーでも捕捉していないというのが実情でございます。
  334. 受田新吉

    ○受田委員 有視界飛行は野放しであるという、これは大変危ないことなんです。有視界飛行に監視の目が届かぬ。つまり、その待機の時間中はどこかで操縦士を監視する人がおらなければいけないです。有視界飛行だから、これは何をするかわからぬですよ。かつてこれとよく似たようなので事故を起こしたのがありましたね、勝手に飛行機を操縦して。前にもあったことがある。
  335. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 突然のお尋ねでございますので、詳しいデータを持っておりませんが、かつて陸上自衛隊の整備員が、たしか連絡機を操縦して勝手に飛び出して、そのまま行方不明になったというのがございます。
  336. 受田新吉

    ○受田委員 長官、この自衛隊の規律、自衛官には最高の礼をもってお報いしますから、その任務にしっかり従ってくださいと要求すべき立場、その最高指揮官が――指揮官と言ってもいいと思うのですが、金丸先生だ。あなたの部下にこういうふうに遊び半分に有視界飛行、レーダーに乗ってこぬのだから、その行方もつかむことができぬ。その待機時間中を監視もできない。危ないことですよ。これはたくらんでやろうとしたら、何でもできるわけですからね。長官として、これは軽々しい問題と思われますかどうか。この三十五日の停職などと言って、全軍にどういう訓示をされておるのか。航空関係の指揮系統をいま伺ったのですが、その体系的な指揮系統にも問題があると私は思うのです。
  337. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先般の東京都上空を自衛隊機が飛しょうしたという問題でございますが、私もこの問題は重大に受けとめたわけでございます。このようなことがみだりに行われるということになったら、自衛隊の規律はどこにあるんだ、自衛隊というものは、規律があるところに自衛隊の存在の意義があると私はいつも考えておるわけであります。  こういう点につきましては、まことに国民の皆さんにおわびを申し上げなければならぬと思うわけでありまして、重大に受けとめたにしては処分が軽い、こういう御叱正でございますが、私もこの問題につきまして、この飛行士はまだひとり者であります。それから二千三百時間ぐらいの訓練をしておるというようなことも考えて、内容を調べてみますと、非常に優秀なパイロットだという状況も私も承りまして、こういう優秀な、長時間訓練されたこういう飛行士を、将来彼はこの事件に対して本当に申しわけなかったという精神も態度も出てくるということであるならば、若き将来あるパイロットをこの問題で全部解任してしまうというようなことについてはいささか人間的にどうか、これは何とかしてやるべきだという考え方は、あるいは受田先生の御叱正を受ける要因であろうと思うのですが、そういう問題につきましては、今後とも厳重に見詰めていきながら、また私も、この問題が起きたときは幹部を呼びまして、このようなことが二度あって国民の負託にこたえられるのか、十二分に全隊員に私の考え方を通達してほしいということを空幕長にも言ったわけでありますが、この点につきましては、何とも申しわけないと心からおわびを申し上げるわけであります。
  338. 受田新吉

    ○受田委員 私、さらに指揮系統のことに触れていきたいのですが、現在の法律の規定では、陸海空の三幕の幕僚長は全く同水準にあり、統幕議長も連絡調整役として同位置にあるわけです。陸海空三幕がそれぞれの立場の能力を最高に発揮すると同時に、より高度の作戦指揮というようなものが陸海空三幕の上に一つあってしかるべきで、それが統幕議長でなければならぬと思うのです。  ところが、統幕議長は、何ら三幕に指揮あるいは監督的な任務が与えられておらぬという現状については、各幕の長も、それは当然統幕議長と三幕の長との間には指揮関係の系列があってしかるべきである、三幕をまとめる高度の指揮を必要とするという声を出しているわけです。このあたりで、そうした陸海空三幕を統括するポストである統幕議長には、その三幕を指揮する権限を付与する必要はないか、法律の改正をすべきではないか。
  339. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、防衛庁長官になりまして、統幕議長というものは月給どろぼうじゃないか、こういう考え方なのです。平時は指揮命令系統を持っていないということ、そういうことじゃ統幕議長の存在というものは意義がない。当然受田先生のおっしゃるような考え方を持つことが自衛隊全員の規律のすべてを把握できる、それが本当の体制だと私は考えておりますので、そういう問題についてはひとつ十分な研究をやる、こういう指示を私はいたしておるところであります。
  340. 受田新吉

    ○受田委員 その指示は法律の改正に結びつくわけですね。
  341. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは中央指揮機構というものにつきましての大臣からの御指示でございまして、内局の構成といいますか組織、それから統幕の組織、指揮権限、それを含めまして研究をしておるところでございますので、必要な場合には法律の改正というものを含むと考えておるわけでございます。
  342. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁設置法の中にも幕僚監部が第二節第二款にあるわけでございまして、この問題は当然法律の改正の中へ織り込まなければならない問題です。いま長官が、統幕議長は月給どろぼうじゃないかとおっしゃった。つまり、月給だけもらうが何ら権限がないじゃないか。連絡調整の権限はあるわけです。つまり調整役ですよ。その意味では自衛官の最高の地位におるわけですから、まとめ役としておるだけで月給に対応する――これが一番月給が高いのだからね。七十八万八千円、今度改正してちょっと上がりましたが、それだけもらわれておるのについては何らかの指揮権というもの、しかも最高のポストというものについて、いま伊藤局長からも、法律改正を含む権限の付与というものを考え、中央指揮の力を与えるようにしたいということでございますが、これは自衛隊法ができて二十三年もたったこの機会に真っ先に改善して、いまの航空自衛官のやっているああいう問題等も、ぴしっとした指揮と厳正なる規律のもとに――厳正なる指揮が行われて、初めて部隊がまとまるわけですからね。上の方にふらふら月給どろぼうの統幕議長がおるから、下の方に東京の遊覧旅行をやるような者もおるわけです。これは両方とも、上と下とがおかしくなっておるのです。国土、国民を守るための自衛官としての最も厳正な規律をぴしっと裏づける法体系をこの際速やかに立案されることを私は要望しておきます。  そこで、長官、私非常に残念なのですけれども、この間の狭山の航空機墜落事故、さきには高知県で対潜哨戒機の墜落事故、それから海の事故が津軽海峡かどこやらで起こっていましたね。そういうのが至るところで起こっておるのです。それで私、資料を要求しましたら、自衛隊発足以来四百名を超える死亡者と事故が起こっておるのです。本当にとうとい飛行機と、とうとい人命をなくしている、これを何とか防ぎ、訓練よりも生命を守る、そして、まだ実戦じゃないのだから、実戦のときに本当にやってもらうべきであって、実戦でないときに、全天候性の飛行機だというのでむちゃくちゃな行動をさせ、雫石事件のような事件も起こるというようなことでなくて、実戦に本領が発揮できるように、平素の訓練にこの膨大な事故を起こすことを避ける方法はおとりになりませんか。
  343. 金丸信

    ○金丸国務大臣 人命を守るということは一つ防衛の本義であります。そういう中で平時に事故を起こすということは絶対やってはならぬことでありまして、自衛隊といたしましてそういう点につきましては、最近いろいろ問題が起きておるわけでありますが、これを皆無にするということについては最善の努力をしなければならぬと考えております。
  344. 受田新吉

    ○受田委員 過ぐる日、高知の山中に墜落した岩国の海上自衛隊の対潜哨戒機に乗っておった、一番若い二十歳の温品君、この温品君という青年は山口県徳山の人であったから、入隊する前から私はよく知っていたのです。それが五月の初めに、今度の日曜日には田植えに帰りますからねと気軽に言って、その翌日、高知で殉職したのです。お父さん、お母さんは涙一つ見せなかった。自衛隊に入るときから生命はお国にささげたと、本人も思い、私たちも思っております。しかし、うちの息子がお国のためになったというこのことがどうか生きるように、受田さん、しっかり国会で働いてくださいということでした。私、その後三回、墓前に拝みに行きました。温品君はかわいい二十歳の青年でしたよ。りっぱな家庭です。御両親もりっぱで、山口県徳山市久米秋本という部落におられます。涙一つ近隣の人に見せなかった両親、こんな家庭、こんなところからりっぱな自衛官が生まれているのです。しかし、同時に、この自衛官のみたまに報いるためにもできるだけ事故をなくし、兵器を大事にし、実戦に役立つようにすべきであって、あえて無理をして飛行機を壊し、人命を失うということを繰り返さないようにしていただきたい。訓練の責任者としてどなたか……。
  345. 金丸信

    ○金丸国務大臣 いま受田先生のお話を承りまして、私は防衛庁長官として涙の出るような感銘を受けました。実際、人命というものは尊重しなくちゃならぬということと、また自衛官の御家族、御両親がそれは国にささげたせがれだと、全く頭の下がる思いがするわけでありまして、こういうような考えを持った家族あるいはその亡くなられた自衛官、こういうものを考えますと、ますますそういう面につきまして全きを期さなければならぬと私もお誓いを申し上げるわけであります。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  346. 受田新吉

    ○受田委員 私はもう一つ、この前の委員会でちょっと発言しました。先般四国の高松へ行く途中、呉の術科学校の少年自衛官、海上自衛官、この自衛官が、中学を出たばかりのかわいい坊やがきちっと服装を整えて、岡山から宇野までの普通車に乗って私の前に座った。私は話しながら行った。本当にこの子のきちっとしたのに胸を打たれた。入隊してからたった半年足らずで、こんなにりっぱな考えとこんなにりっぱな態度、服装のきりっとした、そしてバスに乗るまでぱっと敬礼して私と別れた子がおるのですが、服装をきちっとこうやっているということはいかにも自衛官らしい。  いまや国民の八割以上が、りっぱに国民のわれらを守ってくれる大事な職務を持った人だと尊敬を受けている状態の中ですが、往年の人目を避ける時代ではなくて、大っぴらで自衛官として肩を張って歩ける立場の自衛官に、職場へ行く往復の途中を私服で、そして職場へ行くと同時に服装をかえる、ちょうど国会の衛視さんがそういうことをやっているわけですが、そういうことでやっていいかどうか。むしろもうぴしっと自衛官の服装で出かけ、自衛官の服装で戻っていいんじゃないか。いま日曜日など郊外へ行くと、自衛官が堂々たる服装で散歩をしていますね。りっぱなものですよ。御苦労さんと、こうわれわれはこの諸君を激励して歩いておるのですが、自衛官が正規の服装をもって出勤、退庁ができないのかどうか。かつて三十九年当時、当時の長官訓示か何かでやられたことがあるということでございますが、これは小泉先生だったと思うのですが、金丸先生、もう国民の中に自衛官は定着した、堂々とわれらこそ国民のため名誉ある自衛官だと、国民の前へあのりりたる姿を、青年たちにも規律ある青年のモデルであるというところを示してしかるべきじゃないでしょうか。
  347. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私も、いま自衛官が、通勤は私服で官庁へ来て制服を着るというような考え方、これは戦後自衛官が非常な拒否反応に遭ったということもあります。しかし、そういう中で自衛隊員あるいは自衛隊のOB、こういう人たちが切歯扼腕しながら、いわゆる災害には命をかけ、あるいは海難にも命をかけて、そういうものが一つ一つ積み重なったということもこれあると私は思うわけでありまして、定着したから、しないからということでなくて、いわゆる自衛官が制服を着て通って何が悪いんだ、制服を着て堂々と通うべきだ、こういうように私も考えておるわけであります。
  348. 受田新吉

    ○受田委員 長官の意図を受けて部下の局長さんたち、いかがお考えですか。
  349. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 自衛官の服装につきましては、自衛隊法に「品位を保つ義務」というのがございまして、その規定の中で自衛官は常に制服を着用し、端正にせよという規定がございまして、その規定に基づきまして、自衛官は服装規則という訓令が定められておりまして、もちろん勤務のときには制服を着用すべしという義務がございますけれども、その訓令の中で、勤務についていないときには着用しないことができるという例外規定がございます。  現在は、先生先ほどおっしゃいましたように、通勤等のときには制服を着用しない自衛官が多い状況でございます。先ほど先生おっしゃいましたのは、たしか私の記憶では上林山長官であったかと思うのですけれども、通勤のときに制服を着用させてはどうかという御意向がありまして、命令ということではございませんけれども、幕でそういう指導をいたしたことがございます。  ただ、実情はと申しますと、当時の社会風潮等もございましたし、それから通勤の途上で制服を着用しておるということが何かかた苦しい思いをするというようなことがありまして、だんだんにそれが守られないままに今日に至っておるということでございます。これはやはり無理強いをするということよりも、むしろ自衛官のおのおのが誇りを持って制服を着用できるような、そういう社会なり世の中にするということの方が基本的な問題ではなかろうかというふうに考えておりますが、基本的には先ほど長官が申されたとおりというふうに感じております。     〔小宮山委員長代理退席、岩垂委員長代理着席〕
  350. 受田新吉

    ○受田委員 国民の中に定着してきておるのです。そして肩を張って、それは一部にひがんだ見方をする人があっても、大半は御苦労さんと言うて、ぴしっとした自衛官の服装を着している自衛官に対してこそ、われわれは敬愛をしたくなるのです。自衛隊発足以来二十三年たっておるのです。もう遠慮は要らないと思います。  もう一つ、出動についての手続について。ここで防衛出動に関して私が心配しているのは、外部の侵略に対して日本と米軍との関係で、日本はここで国会の承認をとって出動する。そのときに出動について同じ立場で国土、国民を守ってくれる立場の米軍との話はどうなるわけですか。いよいよ承認をとりましたということを安保協議委員会などで承認をとってやるのか、あるいは米国と外交交渉をどこかでやって、さあ出動というので一緒に行くのか。ここは日本だけが単独にやれる場合もあるし、米軍と共同でやる場合が起こると思いますが、大体共同で行動しなければならぬ事態が普通であろうと思います。普通、防衛出動の場合には、日本の施政のもとにあるところへやってきたということで、安保条約の第五条で共同行動するのが普通ではないかどうか。どうですか。通常の形はそういうことになるのですね。
  351. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 安全保障条約の五条によりまして共同対処ということになろうかと思いますけれども、まず、攻撃を受ける場所その他によっても違うと思いますけれども、やはり自衛隊の方が防衛出動という決心をする。それはやはり日本の国家に対する急迫不正の侵害があったという判断が先になろうかと思います。     〔岩垂委員長代理退席、委員長着席〕 アメリカ等につきましては、御承知のように随時協議というのがございますので、そういう情勢になりましたならば、そういうパイプを常につないでおって、連絡をしながら行動するということになろうかと思います。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 私は局地戦などの場合は、これは自衛隊で間に合うということが一つ考えられますが、ある強大な国が攻撃を加えてきたという場合は、日本自衛隊も壊滅するほどの打撃を受ける。国内も周辺の海の交通が断たれるというときに、食糧は不足する、強大な経済国が一挙に貧窮な国家にあっという間になってくる可能性もあるわけです。そういうときに米国の軍が、共同で対処する米軍が、もうこの際、とても日本の国を守ることは不利であるというので後方に後退するという、これはもう条約で一応約束を果たしてきたけれども、戦術の上で、後退して、後ろへ下がってこれに対処した方がいいというときに、日本はひとりぼっちになる危険があるのです。そういうときにどういうことになるのですか。
  353. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは、そういうことのないように、日米安保体制を有効にするために努力をしていかなければならないと思うわけでございます。  その点につきまして、先生方のお考えとやや違っております点は、いわゆる有事駐留ということであれば、そういう危険性というもの、すっと逃げていく危険性というものがむしろあるのではないか、むしろこういう基地を提供して米軍が一緒に守るという体制をつくっているところに、そういった意味があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 いや、基地があっても、その基地を離れていくわけです。そういう場合には、戦略上、戦術上後方に退いて敵をたたくほうがいいということはあり得るということで、それは皆無とは言えません。いままでだって、こういう軍事条約というものは、何回かそういう悲惨な結論になっている国がたくさんあるわけです。  私は、そういう意味から、武力攻撃があったときに、国内の体制は、食糧その他の経済的な関係等も十分、米の余剰なども余り騒がぬでもいいから、余剰もある程度備蓄できるような体制をしくとか、平素の――余りむずかしく考えないで、狭義の有事立法というようなものは素直に、この法律で委任を受けたぐらいのことは、別に事新しく栗栖発言による有事立法じゃないのです。もうちゃんといままでの法律で委任を受けたぐらいのことはきちっとやっておっていいと思うのです。  そういうふうな点をやることは国民余り刺激を与えるわけじゃないのですから、ちゃんと防衛庁で準備していい、しかるべき百三条の規定のごときは、あなた方の方でやられていいのです。各省の協力を求めて。そういう意味で、余り奇襲対処とかいう意味でなくて、そういう意味の、ある意味では有事立法ですね、素直におくみ取りになって、しかるべく規定すべきじゃないですか。
  355. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは再三大臣からも御答弁申し上げておりますように、栗栖発言によります奇襲対処と、この有事法制研究というものが込みになりましてひとり歩きをしているということでございます。  したがいまして、有事法制研究ということになりますと、非常に膨大な権限を自衛隊が持つというようなことを考えているのではないかというような御疑問がございますが、防衛庁の見解として出しました中にも書いてございますように、現在の自衛隊法そのものが、有事におきます自衛隊の行動につきましてはかなりの程度整っているわけでございます。  その中で、現時点におきまして問題があるかないか。特に、その百三条の収用の問題あるいは従事命令の問題、こういうものにつきましては、その内容、手続等については政令にゆだねられております。そういった点を準備しておかないと、いざというときにすぐ行動できないのではないかという観点から研究を進めたいと考えているわけでございます。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 問題は、余り世間に騒ぎまくられなくてもやれる問題を取り急ぎやって、中身を充実させておくということだと思います。  そこで、ここで米軍と日本国との関係、つまり防衛分担金の問題にちょっと触れたいのですが、日本防衛分担金を増額してくれと米国の要求がある。それは安保ただ乗りをしている日本の責任であるという、ある意味の政府の発言などもあるわけですが、日本は安保ただ乗りじゃないんです。日本は基地を提供して使用料をもらっていない。それから、いまのような米軍が日本におるために、米国を目指す攻撃を受けたときに飛ばっちりを受けるわけです。ある意味では、別の非常に大きな負担をかぶっておるわけでございますから、そこで、防衛分担金は公平な立場で向こう様にもやっていただく、こっちもやっていく。それは、日本だけが経済の力がついたからというので余分にいま負担するという意味ではなくて、防衛分担金の増額措置日本が引き受けるというのは、筋としては通らない、こう思います。いかがでしょう。
  357. 金丸信

    ○金丸国務大臣 筋としては通らないというお話、それも一つ考え方だと私も思うのですが、私はアメリカへ参りまして、ブラウン長官と、こういう話はアメリカから要求されるものではありませんと、ドル安円高という状況の中で、アメリカ駐留軍が非常に財政的に逼迫しておるという状況をわれわれは見ておって、よそを向いてただおればいいやというわけにはいかない、そこで、地位協定の範囲内でできるだけのことをしてやるということがいわゆる日米関係の信頼性を高める、これはお互いに困るときは助け、またこちらが困るときは向こうが助けるというようなことが、私は、この精神の中、あってもいいじゃないかというような考え方で申し上げておるわけであります。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 米軍の日本へ駐留している皆さんは実はドル安のために、たとえば岩国の海兵隊の皆さんだって、町へ出ても哀れなものなんです。むしろこの皆さんには御苦労さんという意味で、別のところで、アメリカへも待遇をよくしてあげるように要求をし、また日本でも、日本の自衛官の休むところを一緒に使って、ともに安らかにしてください、あるいは日本の駐留軍の労務者の皆さんに対しても、これは日本側が、日本の公務員のベースアップの処遇のような処理をしてあげる、こういう問題を私、かれこれ言うんじゃないのです。それは当然やってしかるべきだ。しかし一方の、かつて沖繩の返還の際に、その施設の取り壊しの経費などをちょっとやみ取引をしようとしたので、西山記者事件などが起こったことがある。そういうようなことのないように、基地をできるだけ返還していただいて、円満なうちに日米間の分担問題を解決してもらいたいという意味で申し上げたわけでございます。  そこで、いま多田内閣参事官が来られたようですから……。  私、いまお尋ねしておるのは、自衛隊法第七十六条による防衛出動命令を閣議によって決定した、そこで国会の承認を得るのが、これが前提でございますから、例外は、内閣が、承認を得られないときは単独にやる。そのときに国会召集を、内閣は国会に対してどういうふうに要請されるのですか。防衛出動命令の承認を得る、非常に急ぐ、どういうふうにしますか。
  359. 多田宏

    ○多田説明員 お答えいたします。  国会召集のためには当然閣議が必要でございますので、緊急に閣議を開きまして国会召集を決めるということになろうと思います。通常ですと、議運の理事会等に――理事会というか、事前に理事懇等でいろいろ御協議いただきながら国会召集を決めていくということになりますけれども、突発の場合には、そういう事実上の手続を踏んでおられるかどうかは、その事態によると思いますけれども、とにかく緊急に閣議を開いて国会召集を決めるということになろうと思います。
  360. 受田新吉

    ○受田委員 それはもういま議論済みなんです。これはわかった話です。そのわかったことをいま聞いておるんじゃないんです。速やかに開くときにはどのぐらいの日数でやれるか。非常に急いでやる、いまでは、通常は一週間前でなければあかぬですね、詔書を出すのに。早くて、今度例外が三日というのがあるのですが、それよりもできるだけ急ぐという状態で一体どうするのか。つまり、向こうはどんどんやってきて攻撃を加えている、それを悠々ともう何日も待っておって、ほとんどやられたころに、国家が手を上げたころに国会を召集しても、これはどうしようもないような状態になっているわけですね。どういうことになるか。できるだけ短くやるのにどうしたらいいか。
  361. 多田宏

    ○多田説明員 そういう事態が発生した場合には、きわめて緊急を要すると思いますので、従来のように常識的な範囲として一週間程度あるいは中二日というような感じの期間を置かずにできるだけ速やかに召集することになろうと思いますけれども、合理的に国会議員の方々が参集していただける時間の余裕だけはどうしても必要だろうと思いますので、即日即刻というわけにはどうしてもまいらないだろうと思いますので、その合理的な期間を考えまして、それの最短の期間で処理することになろうと思います。
  362. 受田新吉

    ○受田委員 最短の期間は、国会が内閣から要請があったら、要請を受けた事務局では総長、どういうことになるわけですか、詔書の発行が要りますね。
  363. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  先ほど内閣参事官がお話ししたとおり、具体的には内閣で召集を決定されますので、われわれ事務的に聞かれた場合には一週間と、先生のおっしゃるとおり申し上げております。  ただ、従来、いろいろそのときの事情によりまして各党でお話し合いをされたと思いますが、五日の場合もあるし、一番短い場合は、先生おっしゃるように三日の場合もございます。そのときの事情によって処理していきたいと考えております。
  364. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁長官、つまり数時間で閣議が決定する、これは可能性がある。ところが手続をしていくと三日というようなことでは、これは国会の承認は原則でなくて例外で、通常の場合は内閣が出動命令を出して、そして後から、事後に国会の承認を得るというのが普通になる危険がありませんか、現在のような情勢では。事実問題、いま三日も一週間もかかるような話です。両方とものんびり話されておる。事実問題、防衛庁長官の判断です。
  365. 金丸信

    ○金丸国務大臣 日本を侵さんとする者が日本に上陸してきた、そこに時間的な問題があるということ、国会はいま説明のあったような状況ということになりますと、それは総理の決断あるいは内閣の決断ということになる心配はないかという、それをやらなくて座して死を待つということになっては困るということから考えれば、総理の出動命令というものが出て十日以内に国会でこれを審議してもらうということになるのじゃないかという感じが私はします。私は法律家でないからわからない。わからぬが、常識的にはそういう感じがいたします。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 いまのようなのんびり国会召集の手続などをやってということになると、そして金丸先生おっしゃるように、奇襲等に対する防衛出動前の行動は許さぬということになれば、国家の意思を早く行動に移すためには国会の承認を得ないということの方が事実問題として原則になる。そして、国会の承認を得て出る方が例外ということになると、この法律は逆になるのです。伊藤局長、どう思いますか、逆になってくると法の精神を逸脱するわけです。事務当局としては……
  367. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは法律に書いてありますように、いろいろな状況によって違うと思いますけれども、私どもといたしましては、できるだけ的確に情報を総理大臣のところに上げ、総理大臣の御決心、閣議、国防会議の手続を早くしていただいて、正規の手続で防衛出動が下令されるのが望ましいと思っておりますけれども、いま大臣から御答弁がありましたように、そのときの状況によっては法律で許されている範囲の行動、決断というものはあり得ると考えておるわけでございます。
  368. 受田新吉

    ○受田委員 金丸先生、原則は国会の承認なんです。それへ持っていくような準備をされなければいけない。そのときにはできるだけ戦争を避けるという意味からは、総理が焦るときにはあなたが断ればいい。あなたを抜きに総理が自衛官に出動命令をするわけにいかない。そうですね。  そのときに、事務当局にお聞きしますが、防衛局長さん、総理が金丸長官を抜きに防衛出動を早くせかしていくというような指示があったとき、総理と長官の立場が違う。金丸さんはできるだけ出動を避けたい、それから総理が急ごうというときに、事務当局は防衛庁長官につくのか総理につくのか、どっちにつくのですか。どっちを大事にしますか。
  369. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは、内閣の構成員である総理と防衛庁長官の判断が違うということは予想いたしておりません。したがいまして、内閣の御決定に従うべきだと考えているわけでございます。
  370. 受田新吉

    ○受田委員 内閣の御決定ですが、内閣もいろいろ複雑な事情が起こって、派閥もいろいろあるわけですから、そういうときに事務当局としては総理につながるか、あるいは防衛庁長官につながるか。指揮監督は、直接はどちらから受けているのですか。
  371. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 総理大臣は最高の指揮監督権を持っておられますけれども、防衛庁長官を通じて指揮監督は行われているということでございます。
  372. 受田新吉

    ○受田委員 これは長官、この間もシビコンの最たるものは、防衛庁長官が、好戦的な総理がおってもそれをセーブできれば、国会で承認を得るような働きの方をやって……(「防衛庁長官が好戦的だったらどうする」と呼ぶ者あり)防衛庁長官が好戦的だったら、総理大臣防衛庁長官を罷免するのです。それから、総理大臣が好戦的で防衛庁長官が平和的であれば、今度は防衛庁長官が体を張れば、防衛庁長官を抜きに命令を出せない。これ、言えますか、防衛庁長官を抜きには総理は命令が出せないと、事務局は答えができますか。
  373. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛庁長官を飛び越えて、事務局に直接に指揮するということはあり得ないと考えております。
  374. 受田新吉

    ○受田委員 あり得ないということでありますが、それは防衛庁長官が体を張ってやればあり得ないのです。防衛庁長官が屈すればそういうときにはあり得ることなんで、いまの防衛庁長官は非常に平和主義者であるので、総理がたとえ好戦的であってあなたに命令を下しても、本当に平和のためにこれは守らなければいかぬときには、自分がやめても、命令を聞かぬで体を張って阻止する。これはこの間決定ができておりましたね。そういうふうに防衛庁長官の大事なポストを考えていただいて、シビコンの本処は防衛庁長官である。ここです。これで防衛庁に対する質問を終わります。  いまから二、三分だけ、在外財産の問題で一言お尋ねしておきます。  それでは、ちょっと三分ほど時間をはみ出ることをお許しをいただきまして、今度日中条約が締結された機会に、中国にあった日本人の法人、私人の財産は、今度の平和友好条約の中には日本に賠償の要求がないというこのことは、これらの在外財産がある意味において賠償の肩がわりをした形になっていると判断してよいかどうか、お答え願いたい。
  375. 田島高志

    ○田島説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたこのたびの日中平和友好条約は、いわゆる戦後処理の問題を取り扱う条約ではございません。今後長きにわたる平和友好関係を強固にし、発展させようというための条約でございますので、賠償の問題は一切取り上げられておりません。日中間の賠償に関する、請求権に関する問題は戦後処理の問題でございますが、それは一九七二年の日中共同声明においてすべて解決されているという状況でございます。
  376. 受田新吉

    ○受田委員 そういう趣旨からいって、中国に残した法人、個人、そして国家の財産も皆あちらに置いて、長い間犠牲をかけて、中国に御迷惑をかけた。その意味で中国も耐えがたきを耐えて賠償の要求をしていただかなかった結果ということは、中身の上では予想されることです。  そういうことでありますので、すでに引き揚げてこられた皆さんについては、過去二回にわたって給付金の支給法が出て五百億と千九百二十億の手当てがされておるのですが、この日中の本当に平和が到来した機会に、何らかの形で在外財産の扱いについて、引き揚げてきた皆さんめ長い苦労、地縁人縁のないところへまる裸でおった皆さんに対して、経済大国になったこの時点で引き揚げ者の会館をつくるとか、あるいは後世に残る何かの形のものを差し上げるとかいう配慮をすべきだと私は思うのです。  それについて、きょうは当局として責任のある答弁ができる人がおられないと思うのです。大臣が来ておられないのですが、大蔵省に一言だけ、在外財産が終戦後どのくらいあったと見られるか、国家と私人と法人との別でお答え願いたい。
  377. 森卓也

    ○森説明員 お答えをいたします。  プライベートな関係の財産額でございますが、確実な資料がございませんで、また今日改めてこれを確認あるいは推定するということも非常にむずかしいということで、在外財産の総額は不明だというふうに申し上げざるを得ないのが実情でございます。しかし、政府の方の記録を調べますと、終戦直後に調査をしたこともあるようでございますが。ある一時期には四千億円というような推定の数字もないわけではございませんけれども、当時国会で政府委員から御答弁申し上げておりますように、大変信憑性のない数字でございます。  と申しますのは、これは引き揚げ者の方からいろいろ聞き取り調査をしたようでございますが、一つは積極的な財産の方は伺っておるのでございますが、消極財産と申しますか負債額等については伺っていないというようなこと、あるいは評価の方法がどういうふうに行われたかが一切不明であるということ、あるいはその換算率、どういう換算率を使われたかということも不明であるというようなことでございますので、とても政府として四千億という数字を国会で責任ある数字として御答弁申し上げるようなものではないということでお断りをしたいきさつがあるわけでございます。
  378. 受田新吉

    ○受田委員 私、この機会に戦後の賠償交渉の経過等を詳細に、われわれ特に二回にわたる在外財産問題審議会に出席をした議員としていま顧みるときに、この賠償交渉の経過の中に、最後にマッコイ少将という非常に日本に好意的に賠償取り立てを中止した一人の恩人がおるわけです。そういうこともありまして、自来アメリカも中国も賠償ということへ非常に恩恵的な愛を注いでくれている。インドネシアとかフィリピンとかがちょっと賠償要求しましたが、この点については、日中のりっぱな条約ができた機会に、そうした賠償に事実上貢献したという在外財産の問題について改めて検討の時期が来ておると思います。これをあえて政策的に処理したというだけでなくして、もう一遍何かのかっこうでこれを考えてあげる時期が来ておると思いますので、ここで提案をして、質問を終わります。
  379. 始関伊平

  380. 山花貞夫

    山花委員 一昨年六月でありますけれども、国有財産中央審議会が大蔵大臣に対して、主要な米軍提供財産の返還後の利用について、いわゆる三分割有償の答申を行いました。この答申の処理基準の策定に際しましての必要性の問題であるとかあるいはその他の情勢分析などについて、われわれとしてはとうてい同意できるものではない、また処理基準そのものにつきましても、跡地の平和利用を熱望しております地元自治体や住民の期待を踏みにじるものであるとして反対の主張を続けてまいりました。なかんずく「この処理基準に従って具体的な利用計画を策定するに当っては、地元地方公共団体を含め関係機関相互間で十分意見の調整を図る」、答申ではこのようにされているわけでありますけれども、この点についても不安を主張してまいりました。  こうしたいわゆる三分割有償の答申に関しましては、これまでも予算委員会あるいは本委員会におきまして、幾度か中間的な御報告を求めてきたところであります。私自身もちょうど一年前でありますが、昨年の十月にこの問題について当委員会においてお伺いいたしました。  まず第一に、冒頭、一年を経過した今日の時点で、その後の一般的な計画の進捗と申しましょうか実情について概括的なお話をいただきたいと思います。  第二番目に、各基地跡地ごとの地元利用の具体例あるいはその内容について明らかにしていただきたいと思います。  なお、本日の審議時間との関連から、私も時間をできるだけ切り詰めなければいけないと思いますので、質問も以下できるだけ端的に行いますので、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思います。
  381. 高橋公男

    ○高橋説明員 お答えいたします。  最初に、昨年十月二十五日に先生から御質問いただいた後の約一年間の一般的な返還基地跡地計画の策定の進捗状況という点でございますが、全体の利用計画の策定につきましては、私ども大変遺憾に存じておるところでございますけれども、全く策定されておりません。すでに主要な返還跡地につきましては、昭和四十八年四月に国有財産中央審議会に諮問をいたしました。これはまだほとんど返還予定ということで返還になる前に諮問したわけでございますが、その後基地によって返還が大分おくれたというようなこと、それからその土地の現状、たとえば返還になりましても、国有地と民有地が混在していて、とてもそのままでは全体の利用に使えないというようなこと、あるいは地元の利用計画が熟していなかったというようなこと、いろいろ事情はございますけれども、大変遺憾でございますが、その後全体の利用計画が策定されたものはございません。  それから各跡地ごとの利用の具体例という御質問でございますが、その点につきましては、私どもは、全体の利用計画の策定は遺憾ながら進んでいないのですけれども、各跡地におきまして、個別に利用要望がいろいろございまして、そういう利用要望の中で、跡地全体の利用計画の策定に支障がないと認められ、かつ緊急性が認められるもの、こういうものにつきましては、各財務局ごとに設置をされております国有財産地方審議会の答申を得まして、跡地全体の利用計画大綱の策定に先立ちまして処理することを行っております。  たとえば昨年、先生からこの時期に御質問いただいた後だけに限って申し上げますと、キャンプ渕野辺跡地におきまして、小学校用地を相模原市に処分いたしております。それからまたキャンプ朝霞跡地につきましても、東京都、埼玉県等の要望に基づきまして、近く小学校、高等学校あるいは養護学校等の用地として処分すべく現在検討いたしております。これは近くその方向で処分いたす予定でございます。  なお、主要返還跡地の全体の利用計画の策定は、先ほど申し上げましたような、いろいろな事情によって大変おくれているわけですが、全体として利用計画の策定が可能と私どもには思われる、そういうものにつきましては、地元地方公共団体にも具体的な話し合いに入ってほしいということを鋭意お願いして、順次進めつつあるところでございます。  以上でございます。
  382. 山花貞夫

    山花委員 いまお話しいただきました個別ケースにつきましてもお伺いしたい点もありますけれども、時間の関係から、特に最近新聞報道などでも話題となっております立川基地の跡地の問題についてお伺いしたいと思います。  立川基地につきましては、昨年の十月十九日に開催されました国有財産関東地方審議会におきまして、返還日から六ヵ月を使用承認の期間とし、ただし使用承認期間終了までに本地区の最終的な処理方針が決定しない場合は六ヵ月単位で使用承認を継続更新することを内容とする自衛隊の跡地暫定的利用が決定されました。そのこと自体に対する問題点もこれまでわれわれ主張してまいりましたけれども、実はこの立川基地の自衛隊跡地利用に関しまして、国土庁を中心として最終的な処理の方針が決まりつつあるのではないか、こういうことがいま関心を集めているところであります。     〔委員長退席、岩垂委員長代理着席〕 国土庁からは後ほどお伺いしたいと思いますけれども、まず担当の大蔵省の方から、この具体的なケースにつきまして、今後の最終的な処理方針決定に至るプロセスを概略お話しいただきたいと思います。
  383. 高橋公男

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま立川飛行場跡地の全体の利用計画策定の今後のプロセスについて御質問でございます。  先生いま仰せのとおり、国土庁に、首都圏整備の観点からあの大きな、かつ貴重な跡地の全体の利用計画、利用構想といいますか、そういうものを作成してほしいということでお願いをしまして、現在国土庁で鋭意政府の原案というものを作成してもらっておるところでございます。原案と申し上げましたのは、これは先ほど申し上げましたように、すでに国有財産中央審議会に四十八年に諮問をいたしておりまして、ただ諮問したときにはまだ返還になっておりませんでしたから、そのまま放置されております。そこで、私どもがいまつくっております原案ができますれば、これを国有財産中央審議会の返還財産処理小委員会、専門部会でございますが、返還財産処理小委員会に提出をいたします。提出をいたして、それをいわばたたき台として審議をお願いしたい、かように考えております。その審議の過程のいずれかの段階でその案につきまして地元地方公共団体の意見を聞くことになるだろうと思います。意見を聞きまして、審議が終了いたしますと、小委員会から国有財産中央審議会に報告が出されることになると思います。その報告を受けまして、国有財産中央審議会が審議をいたし、結論が出れば大蔵大臣に答申を出す、こういうかっこうになります。  これで立川飛行場跡地の利用計画の大綱、いわば基本方針の答申がいただけることになるわけです。これを跡まえて大蔵省として基本方針を決めます。その後は、当面具体的な土地の処分を図るべきものにつきましては、それぞれその個別ケースごとに、これは関東財務局の管内にございますので、関東財務局に設置されております国有財産関東地方審議会にお諮りをして個別の処分を図る、こういう手続になります。  以上です。
  384. 山花貞夫

    山花委員 二つ伺いしたいと思います。いまお話しになりました原案づくりでありますが、今日どの程度までその作業が進んでいるのか。また、今日時点でできていないということであるならば、およそいつごろの時期までにその原案が作成されるのであろうか。時期の問題で申しますと、原案が作成されて国有財産中央審議会にかけられるという時期ということでも結構でありますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  385. 高橋公男

    ○高橋説明員 いま国土庁にお願いをして原案をつくっている最中でございますが、いろいろ細かな調整を要しますので、いまのところ、いつできる見込みだということは、大変遺憾でございますが、申し上げられません。  なお、国有財産中央審議会にいつごろかけられるかという点でございますが、この点につきましては、いま国土庁にお願いしております原案づくりがいつごろまとまるかという点、それから二番目に、いずれかの段階で地元地方公共団体の意見を聞くことになろうということを申し上げましたが、その意見を聞いた場合にどのくらいの期間で地元地方公共団体から意見がいただけるかという点、それから三番目に、返還財産処理小委員会における審議がどのくらいかかるかという点、この三点につきまして見込みが立ちませんので、それらが全部終わりませんと国有財産中央審議会の審議をいただけない、こういうことになります。したがって、時期については見込みを申し上げられる段階ではございません。  以上でございます。
  386. 山花貞夫

    山花委員 われわれが一番関心を持っておりますことの一つは、立川基地跡地につきましては、東京都、立川、昭島、いわゆる三者原案というものができております。これは昨年提出されておるわけでありますけれども、そうした地元の意見を聴取する機会が、いまのお話を伺いますと、国有財産処理の小委員会の前なのか後なのか、そういった時期の問題について明確でないように思いますが、その点、大蔵省としてはおよそいかなる時期にそうした地元の意見を聞くということを想定されておるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  387. 高橋公男

    ○高橋説明員 先生いま御指摘の地元三者案につきましては、昨年の九月だったと思いますが、国も提出を受けております。これにつきましては、私どもも内容をよく勉強いたし、あるいはいろいろ内容を伺いまして、国の原案の作成に十分反映させたいと思っております。  そこで、いつごろどういう段階で地元の意見を聞くかということでございますが、その国の原案ができますと、返還財産処理小委員会に提出いたすわけですが、提出をして小委員会の御了承をいただいて地元地方公共団体の意見を伺うか、地元地方公共団体の意見を伺って、その意見も添えて返還財産処理小委員会を開催するか、いろいろな方法があるのですが、その点についてはいま検討中でございます。
  388. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話で、地元の意見につきましても、三者原案につきましても、原案作成に反映させたい、こういうお話がございました。その点は私たちも大変希望するところであります。  ただ、その意見の聴取の仕方ということに関連してでありますけれども、地元の意見の聴取の手続あるいは形式について、大蔵省としてはどうした形式を想定されておるのか、予定しているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  389. 高橋公男

    ○高橋説明員 地元の意見を聞く聞き方でございますが、私どもが考えておりますのは、地元地方公共団体、東京都、立川市、昭島市、正確には知事あて、あるいは市長あてに、大蔵省あるいは国土庁の処理小委員会に提出をする原案についての意見を求めたい、そのように思っております。
  390. 山花貞夫

    山花委員 いままでの話を基礎といたしまして、次に国土庁の方に伺いたいと思います。  実は、いまのお話でも原案作成についての国土庁の役割りというものが浮き彫りにされたわけでありますけれども、国土庁の作業が現状どうなっているのかということについて、まず総括的なお話を伺いたいと思います。
  391. 平野侃三

    ○平野説明員 立川飛行場の跡地に関しましては、首都圏内に残されました非常に貴重なまとまった土地でございますので、その利用をどうするかということは、首都圏整備上の問題といたしましては大きな意味を持っております。また、地元を初めとしまして、各関係省庁等から非常に多くの要望が出ております。これらの個別の要望項目につきまして検討を加え、本跡地を含みます周辺地域の適正な地域整備の方向につきまして、現段階においては大体基礎的な検討は終わったという状況でございます。  その基礎的な検討に基づきまして、現在政府レベルの跡地利用構想というのを取りまとめております。それで、大蔵省とともに、共同して関係省庁と事務的な詰めをしているという段階でございます。
  392. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話を伺いますと、国土庁における原案はおよそでき上がったというニュアンスで伺ったわけでありますけれども、これまで関係機関から意見を聴取したということのようですので、どのような機関からどのような希望が寄せられていたのか。そしておよそまとまりつつあるとするならば、それを大蔵省の方に提出する時期はいつごろになるのかという点について明らかにしていただきたいと思います。
  393. 平野侃三

    ○平野説明員 各省庁からの要望でございますけれども、建設省からは昭和記念公園という形で大規模公園の要望が出ております。それから防衛庁から飛行場の現在の防衛施設の存続という問題、それから東京大学をあそこに移転したいという問題、それから住宅公団が住宅を整備したいという問題等々、いろいろの要望が現実には出ております。  それらの要望につきまして、首都圏整備の観点から、あの多摩地域をいわゆる東京西郊部における核都市として育てていきたいという基本的な姿勢と、南関東全域を対象とした広域防災の拠点にしたいという二つの大きな柱を立てまして、また首都圏の近郊整備地帯内でございますので、近郊整備地帯は緑と一体となった市街地の整備ということが基本的姿勢でございますが、そういう緑と一体となった環境の整備ということを前提に置きまして、あの地域の計画を基本的な考え方をまとめている段階でございます。  いつごろにまとまるかということでございますけれども、現在そういう各種の要望を調整している段階でございますので、具体的にいつと申し上げるわけにはいかない段階でございます。
  394. 山花貞夫

    山花委員 過日、八月二十四日あるいは二十六日の段階でありますけれども、すでに国土庁の方は二十三日までに基本方針について決定したということが各紙によって報道されているわけであります。いまのお話ですと、それがまだできていないということでありますけれども、その点についておよそいつごろまでというのは、今日までの作業の進行の中で見当はつくのじゃないでしょうか。きょうの段階ではまだだとしても、たとえばあと一ヵ月ぐらいとか、ことしじゅうであるとか、あるいは年度内、来年三月までであるとか、若干幅があっても結構です。今後の手続からいたしますと、国土庁の原案というものがこれからの手続のスタートになってまいりますから、大変関心が強いわけであります。およそいつごろという点について、ぜひお話しいただきたいと思います。
  395. 平野侃三

    ○平野説明員 ただいまの八月二十何日かに朝日新聞に出ました情報でございますが、基本的な方向を取りまとめまして国土庁としての考え方をある程度持った上でなければ各省庁との調整に入れないということがございまして、その基本的な方向がある程度まとまった段階でございます。  それで、現実に各省との調整をいつごろまでに済ませるかということでございますが、私ども国土庁の考え方としましては、一ヵ月以内には何とかまとめる方向で努力してまいりたいと考えております。
  396. 山花貞夫

    山花委員 およその時期を明らかにしていただけました。その時期ということを頭に置きまして、やはり最大の問題点は、大蔵省の方からの説明ですと、今後原案を国有財産中央審議会にかけた後地元の意見を聴取する、その意見を反映させたい、こういうお話もあったわけでありますけれども、国土庁の原案作成過程においては、実は地元の意見を全く無視しているではないか。いまのお話の中でも、関係諸機関の中にはこうした地元関係については全く入ってきておりません。  もう一つ質問したいのですけれども、いまの説明の中にも関連する部分がありましたが、昭和五十三年三月に国土庁大都市圏整備局の作成いたしました核都市育成調査報告書というものがあります。これは公表されたものでしょうか、まだされていないものでしょうか。実はこの中で立川基地に関する部分について拝見してみますと、十一ページに、核都市形成の基本的方向として立川の跡地利用について四つの案がある、こういうように分析をしているわけであります。第一が昭和記念公園案、第二が大学移転案、第三が国会、中央省庁中枢管理機能移転案、第四が東京防災拠点案、四つの案が検討されておりまして、結論として、先ほどのお話とまさに一致するわけでありますけれども、およそ二つの方向について基本的方向を考えざるを得ないであろう、こういう分析がなされているわけであります。  実は、この国土庁が作成したとされているこの形式の文書におきましても、地元の案というものは全く考慮の枠の外にあるわけであります。これは私たちが最も心配しておりましたところで、結局におきましては、形式的に将来大蔵省が地元案を参照して反映させたいと幾ら口でおっしゃっておりましても、手続の実態を見てみるならば、全く地元の意見を聞いていないではないか。国土庁の作業についてもしかりである、この三月における報告書についてもしかりである、そしてきょうのお話もしかりであるということでありますけれども、この地元の意見について一体どうするのか、どういう考えで原案を作成しておるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  397. 平野侃三

    ○平野説明員 御指摘の報告書でございますが、これは現在まだ公表はされておりませんが、国土庁が財団法人日本都市センターに委託いたしまして、都市センターの中に設けられた委員会でまとめたものでございます。したがいまして、この報告書の内容そのものは国土庁の見解を示したものではございません。  地元の意見の件でございますが、国土庁といたしましては、地元三者の原案ということで立川基地跡地利用計画というのを昨年の九月に受け取っております。地元のまとまった要望という形でございますので、利用計画構想の取りまとめに当たりましては十分これを参考にいたしておりまして、基本的にはそう大きな変更がないというふうに私どもは考えております。これらの地元原案を前提にいたしまして、その上に関係各省庁からの要望と首都圏整備上の観点とを考慮いたしまして、現在検討しているという段階でございます。
  398. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話を伺いましても、地元の希望が一体どうなるかということについて、先ほど私が繰り返しませんでしたけれども、不安として申し上げたことがそのまま残ります。特に、最近の新聞報道によりますと、「国土庁などは基地跡地利用計画策定作業の中で1天皇在位五十年を記念する昭和記念公園(二〇〇ヘクタール)を立川・昭島両市の境界付近を中心にL字型に配置2その東側に自衛隊基地、警視庁、消防庁などの防災センター3さらにその東側に防災倉庫など業務地域を配置する――案が検討されており、」と、きわめて具体的に内容が検討されているわけであります。この後また防衛庁にも伺いたいと思うわけでありますけれども、こうした作業が進められていく中で、自衛隊の恒久的使用の体制ができ上がってしまっているではないか、これが地元の不安であります。  こうした原案との関係でありますけれども、いま申し上げたような具体的な内容というものが、すでにあと一ヵ月ぐらいでできるかもしれないという案の中に詰まっているのかどうか、その点についてできる限り明らかにしていただきたいと思います。
  399. 平野侃三

    ○平野説明員 国土庁の原案を取りまとめるに当たりまして、基本的な考え方を細かく整理しなければなりません。その整理した中身に従って各省庁と調整をとっているわけでございますので、かなり細かい段階まで具体的なものは考えております。  いま御指摘の公園につきましても、多摩地域の現状から考えまして、大規模な公園をあそこに設置するという前提に立って、他の土地の利用との絡みを考えながら配置しておるわけでございまして、一応の原案は持っております。
  400. 山花貞夫

    山花委員 いま一応の原案とおっしゃいましたけれども、その中で、ここは昭和記念公園である、ここは自衛隊の基地である、ここは業務地域であると、かなり具体的にこうした内容が紹介されているわけでありますけれども、国土庁がいま策定、詰めに入っている案というものは、およそこのとおりであるというように伺ってよろしいわけですか。
  401. 平野侃三

    ○平野説明員 新聞に書かれておる原案そのものが国土庁の考え方であるということではないわけでございます。それぞれの配置等につきましては、全く――全くとは申しませんが、あの地域全体の配置上の観点から考えておるわけでございまして、新聞にそのような情報が国土庁の原案という形で出ることはないと思います。
  402. 山花貞夫

    山花委員 若干要領を得ないわけですけれども、そのとおりじゃないんだけれどもと言いながら、大体そのとおりだというニュアンスにも聞こえるわけであります。  実は、この点に関連しまして、時間の関係がありますので、防衛庁の関係から伺いたいと思いますけれども、この立川基地の跡地の利用、およそ私どもの把握しておりますところでは、いまの質疑の中から出てまいりましたような、ある一定の地域を恒久的に使用するということで進んでいるのではなかろうか、われわれはそう推測しているわけですが、五十四年度の予算の概算要求の中で、この立川基地跡地に自衛隊の基地を恒久化させるということから約二十億の概算要求がある、こう伺っておりますけれども、そういう事実があるでしょうか。もしあるといたしますならば、その二十億の概算要求の中身について御説明をいただきたいと思います。
  403. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  先ほどからお話がありましたように、防衛庁の施設といたしましては、知事に使用承認を受けて使っておるわけでございますけれども、昨年、私どもとしては首都の防衛と警備、それから災害派遣、災害援助、災害救難というふうな私どもの任務を遂行するためにこれを引き続いて使用したいという要望は出しております。  予算要求につきましては、これがまとまった段階で内訳が出てくるわけでございまして、現在は、その内訳はまだできておりません。大蔵省と国土庁の間で案がまとまりまして、私どもに御提示をいただいてから内訳をつくりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  404. 山花貞夫

    山花委員 内訳は出ておらないということですけれども、二十億この立川基地関係で概算要求をされているのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  405. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 二十億の概算要求をしていることは事実でございます。
  406. 山花貞夫

    山花委員 二十億の概算要求をしているとするならば、費用を積算した中ででなければ出てこないのではないでしょうか。全く当てずっぽうに二十億ということを言っているのですか。その積算の基礎というのは全くないのでしょうか。
  407. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 もちろん全くないわけでございませんけれども、中の態様が変わる予想もありますので、現在はそれが推定できないということでございますが、ざっと申し上げますと、航空施設、滑走路、誘導路、エプロン、一般施設としては滑走路を撤去するかしないか、そういうふうなことで、大きな項目で額は立ててございます。
  408. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話を伺いますと、内容を具体的にはおっしゃれないと言いながら、まさにつかんで――当てずっぽうというわけにもいきません。若干の説明がありました。ただ、いまの説明を聞きますと、まさにこれまでわれわれが心配しておりましたとおり、国土庁が原案をつくる前に、大蔵省がその案を国有財産中央審議会に出す前に、もうその段階におきまして、防衛庁の方が二十億の予算を組んで、基地を恒久的に使用する体制を固めようとしているということではないでしょうか。われわれはそうした観点から、できればこの二十億の内容について、いまほんのちょっと触れましたけれども、もう少し具体的に触れていただきたいと思います。     〔岩垂委員長代理退席、委員長着席〕  これは新聞報道によりましても、予算要求の内容について、まず第一、滑走路を西に移動させ新設する、二番目、それに伴うコントロールタワー、格納庫など付属施設の移転が必要である、およそ五十四年から三ヵ年計画とされている、こういう内容が流れているわけでありますけれども、二十億の内容についていま少し詳しく説明していただきたい。  それから三ヵ年計画ということであるとするならば、大体三ヵ年にどの程度の計画を立てているのか。三カ年の計画を立てただけで、五十四年度が二十億である、こうなっているはずでありますから、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  409. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 たびたび申し上げて恐縮でございますが、国土庁、大蔵省の方から具体的な内示もございませんし、お示しもございませんから、私どもとしては、この予算をブレークダウンすることはできませんので、額についてここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  410. 山花貞夫

    山花委員 三年計画であるという枠についてはいかがでしょうか。これから三年計画でということで、まあ二十億ということはお答えになりましたし、ある程度の積算の一部についてもお話しになりましたけれども、防衛庁は三年計画で計画をしている、この点についてはいかがでしょう。
  411. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 その点も御容赦いただきたいと思います。
  412. 山花貞夫

    山花委員 おかしいですよ、これは。二十億を要求して、実は二十億要求したというのは、三年計画だから要求しているということなんです。しかも、先ほど若干話として出てまいりましたけれども、恒久的な基地使用に必要な予算じゃないですか、その中身は。特に、私たちはそのことを問題にするわけです。今日の段階で自衛隊がいわば使用権限としてありますのは、許可を受けている暫定使用、六ヵ月ごとの更新ということでありますけれども、暫定的な使用であります。しかし、実績をつくろうとしているじゃないですか。最近でも航空灯台ですかをおつくりになっている。暫定使用でそういうことが一体許されるのでしょうか。航空灯台をつくったか、つくらないか。つくったとすれば、その中身というものは一体どういうものであったか。それは恒久的に使うということじゃないですか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  413. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  ことしの九月十八日の官報で航空灯台が設置されたということは事実でございます。この飛行場の灯台と申しますのは、航行中の航空機に飛行場の位置を示すために飛行場に設置する灯火でございます。立川飛行場が防衛庁の暫定使用の飛行場として設置されました五十二年十二月一日、つまり米軍の方から返還になった直後でございますが、そのときに飛行場の告示を行ったのでございますけれども、その後航空保安上の必要性から飛行灯台の工事を実施いたしまして、試験運用を経て九月十八日に正式告示をした次第でございます。
  414. 山花貞夫

    山花委員 いま「保安上の必要」とおっしゃいました。私たちは、それが同時に恒久使用の一つの形ではないか、こう考えるわけでありますが、「保安上の必要」ということについて、もう少し詳しくお話しをいただきたいと思います。
  415. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 この航空灯台と申しますのは、設置の根拠でございますけれども、これは自衛隊法の百七条によりまして航空法の例外規定がございまして、航空保安等の施設の設置基準は防衛庁長官に任せられておりまして、この防衛庁長官の訓令がございます。この訓令の題名は、「飛行場及び航空保安施設の設置及び管理の基準に関する訓令」でございますが、これに基づきまして設置したわけでございますけれども、これの第三条の十五項に、「夜間着陸又は計器着陸の用に供する飛行場にあっては、第六条に掲げる基準による飛行場燈火を備えること。」こうなっておりまして、これには直接立川の飛行場は該当しませんけれども、そういうことでございましたので、すぐは設置しなかったわけでございますけれども、やはり航空安全を期するためにベターだということでつくったわけでございます。
  416. 山花貞夫

    山花委員 必要でないのにつくるということはどういうことですか。必要でないのにつくるというのは、まさに既成事実を積み重ねて恒久使用、もうこうなっているから、国土庁がどう言ったってだめですよ、大蔵省がどう言ったってだめですよと居座っていきますよというととじゃないですか。必要がないのにつくるというのは、どういうことですか。
  417. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 必要がないとは申しておりません。航空の安全上ベターだということを申しておるのです。
  418. 山花貞夫

    山花委員 それは、まさにいま暫定使用なわけなんですから、暫定使用ということでありますから、暫定使用ならば、もし将来決まったらそこへつくればいいじゃないですか。暫定使用なら、なぜベター、必要性じゃなくてよりよきということでつくるのですか。暫定使用中にどうしてつくるのでしょうか。その必要性が理解できませんよ。
  419. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 飛行場灯火の告示は、飛行運用の関係者にその施設の内容を周知させる必要がございますので、そのつもりでやっておるわけでございまして、当飛行場の灯台は在来の高架の水槽を利用して灯器を設置したものでございますので、これは移設可能でございます。ですから、恒久施設ではございません。
  420. 山花貞夫

    山花委員 私は保安の必要ということから伺いましたけれども、どういう必要性が最近起こったので、それでいつ工事に着手して、いつ完成したのか、この点について伺いたいと思います。
  421. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 それは先ほども申し上げたとおりでございます。(山花委員「工事の着工時期と完成時期」と呼ぶ)工事の着工時期は――完成時期が五十三年の三月三十日だったと思いますが、着工時期はちょっと私記憶にございません。
  422. 山花貞夫

    山花委員 ことしの三月完成ですか、そうすると告示がなぜこんなにおくれたんですか。
  423. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 それは試行運転と申しまして、試運転で仮にやっておりまして、この間は航空情報でつないでおったわけでございます。
  424. 山花貞夫

    山花委員 しかし、ことしの三月にできた、そしてこれがいわば保安の関係で訓令に基づいてできた、これがベターである、こういう話だとしますと、少なくとも立川基地における自衛隊の訓練、きょうは時間がないのでそこまで聞きませんけれども、あるいは飛行ということは、ことしの三月まではストップしておったんじゃなくて、継続的にずっと行われてきたはずであります。とすると、この三月までの間は保安上の必要なこういう航空灯台の施設なくして大変危険な状態で飛んでおったと、こういうことですか。とするならば、それはそれとして立川の町をそれだけ危険にしておいたということじゃないでしょうか。
  425. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 ですから、先ほど申し上げましたように計器飛行をやっておらないし夜間飛行をやっておらないから、これは義務的にはつくらなくてもいいのだ、しかしベターだからつくるのだ、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  426. 山花貞夫

    山花委員 結局、再度確認されましたけれども、夜間飛行と計器飛行をしていない、必要はない、義務もない、しかしベターだからつくるということは、どう考えても、私どもとしては、この後の利用計画の策定がいま国土庁で進み、大蔵省が原案をつくる、こういう時期をはかりまして、まあはかったというのは適切でないかもしれませんけれども、そういう時期をねらって、既成事実をそこにつくっていこう、自衛隊恒久使用の体制をつくっていこう、できちゃったから国土庁認めなければだめですよ、大蔵省認めなければだめですよという意図がありありとしているのではないか、こういう気がいたします。  実はこの点について、これは国土庁と大蔵省にも要求したいと思うところですけれども、先ほど私が大蔵省に対しては地元の要求を聞いていただきたい、こうお願いいたしました。このことに対して大蔵省側からは、国有財産処理小委員会の前後におきまして必ず聞くと、こういう趣旨のお話がありました。なおその際に、その地元の意見については原案作成に十分反映させたい、こういうお話もありました。しかし、国土庁におきましては、私が先ほど指摘した問題があります。国土庁で原案をつくるにおきましても、大蔵省が原案をつくるにおきましても、自衛隊の方で、こうして防衛庁の方で既成事実をつくっていく、そのことに惑わされてといいましょうか、そこにひっかかって、もうこれがあるからしようがないというかっこうで自衛隊の基地はこうだということにしてもらっては困るわけであります。  したがって、まさに全体の観点でこれからの案の策定をしていただきたい。そして、その際には地元の案についても十分尊重していただきたい。特に国土庁の原案作成、これから一ヵ月ということでありますと、大変重要な時期を迎えているわけであります。まさにその粗ごなし的な国土庁における原案をつくる機会におきましても、この地元の三者の原案につきましては参照していただきたい、そしてこれを反映させていただきたいということを要求いたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
  427. 始関伊平

    始関委員長 暫時休憩いたします。     午後六時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後七時九分開議
  428. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日付託になりました内閣提出同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。稻村総理府総務長官。     ―――――――――――――  同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  429. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 ただいま議題となりました同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  政府におきましては、昭和四十四年に制定されました同和対策事業特別措置法に基づき、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域における経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等を図るため、当該地域について行われる同和対策事業に対して必要な特別の措置を講じてきたところであります。  しかしながら、昭和五十年全国同和地区調査により把握したいわゆる物的事業に係る必要事業量が昭和五十四年度以降も相当量見込まれますので、政府といたしましては、同和対策事業に対して必要な特別の措置を引き続き講ずる必要があると考え、この法律案を作成し、提案した次第であります。  その内容は、昭和五十四年三月三十一日に効力を失うことになっております同和対策事業特別措置法の有効期限を昭和五十七年三月三十一日まで三ヵ年間延長しようとするものであります。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  430. 始関伊平

    始関委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  431. 始関伊平

    始関委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
  432. 大原亨

    大原(亨)委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブ、各党を代表いたしまして、三点につきまして、いままでの内閣委員会あるいは同和対策に関する小委員会の審議を踏まえまして、政府を代表する総務長官に、まとめて質問をいたしたいと存じます。  ただいま同和対策事業特別措置法の有効期限が三年間延長されることになったのでありますが、私が第一点に政府に対しまして確認を求めたい点は、先般来申し上げましたような、当委員会、小委員会等における質疑、意見開陳等を通じまして、各省庁の見解をそれぞれ、昭和四十四年に特別措置法が実施されまして以降の実態を踏まえて質問をし、そして各省庁の御意見を聞いてまいりますと、法務省、文部省、厚生省、労働省、総理府、自治省を含めまして各省庁とも、今日まで足かけ十ヵ年間にわたりまして営々として築いてきた同和対策事業を二年、三年で打ち切るというふうなことは、これは行政の実態と、そして残事業の実態から考えてあり得ない、こういう審議の結論になっておると、われわれは一致して考えておるところでございます。  特に、昭和五十年の調査に基づく三千二百六十四億円という政府の見解につきましては、自治体やあるいは各省庁の実態を踏まえてみますと、新しい同和事業の必要性というものが次から次へと発生をいたしておるところでございます。したがって、この国会におきまして、三年というふうに規定をされておりますが、本日の午前中の、あるいは午後にわたる各党の国対委員長会談におきましても議論になり、それぞれ各党が確認をいたしましたように、この実施の過程において、私どもは再延長の必要性が今日においてはっきりあるということを確信をいたしておるわけでございます。  そういういままでの審議の経過を踏まえまして、この三年間の期限は決定をされておりますが、この趣旨は、各党の合意から言いましても、再延長について、この問題を含みといたしまして、法の改正について政府が全力を挙げて努力をすべきものであるという点を、各党一致確認いたしておると思います。したがって、この再延長の問題を含めまして、政府は審議の経過にかんがみまして、どのような見解を持っておられるかという点について、第一点の質問を申し上げたいのであります。確認を求めたいのであります。  第二点は、同和対策事業を実施している地方公共団体の財政負担の解消の問題であります。  これは、小委員会におきましても、特に加藤自治大臣の御出席を求めまして審議をいたしました。自治省が明らかにしたように、国の補助事業は五五%にすぎず、四五%は単独事業として、地方自治体の責任において処理されておるのでありまして、全国市長会や知事会や町村会等の残事業に対する第一線自治体の考え方は、政府の残事業とは大きくギャップがあるわけでございます。  したがって、同和対策事業は、同和対策審議会の答申及び特別措置法の趣旨にかんがみて、自治省も言っておりますように、国の責任で措置すべきものであることは、これは言うをまちません。したがって、有効期限の三年延長を機会に、特別措置法第十条の完全な運用を初め、その自治体負担軽減を図る責務が政府にあると考えるのでありますが、この点についての政府の考え方を確認いたしておきたいのであります。  審議の過程を通じまして、残事業の問題については事実の認識に対する大きな相違があり、申し上げましたような自治体の切実な要求があるわけでございまして、実態調査をこの三ヵ年間にやることを踏まえて、自治体の超過負担やあるいは財政負担軽減のために思い切った措置を政府はとるべきであると考えるのであります。  第三点の質問事項でありますが、これは実態調査についてであります。  この実態調査につきましては、委員会におきましても繰り返して各委員から質問のあったところでございますし、また昭和五十年の政府の実態調査をめぐりまして、申し上げましたような数々の問題点が出されておるわけでございます。したがって、私は、政府がこの実態調査を踏まえて、完全解放に向かって、国がどのような責任を持って計画的に事業を遂行していくかという点を、ぜひとも政府は全力を挙げてやっていただきたいと存じます。  特に、同和対策の延長問題を議論をいたしております際に、稻村総務長官は、兵庫県の番町等の被差別部落の現地調査をされたのであります。そしてしばしば総務長官も小委員会等におきまして、実態に即した切実な認識に基づく御意見の開陳がございました。また、審議の中におきましても建設省は、不良住宅の地域についての実態あるいは番町の改善事業についての具体的な計画、そういう問題等についてもさらに調査をした上で本委員会に答弁をするという趣旨の意見を申し述べられておるわけでございます。  したがって、私どもは、ぜひとも同和地区の実態を正確に把握して、そして単に事業だけではなしに、これは与野党通じて実態を知っている人が全部言っておるわけですけれども、学校教育や社会教育や人権問題や雇用問題、そういうものを視野を広げて、そして事業を拡大しながら、行政を拡大しながら計画的にこの解決に向かって前進することが必要であると存じます。したがって、この実態調査の点についても重ねて政府の責任ある措置を求めたいと存じます。  以上の三点にわたる点が、内閣提出の本法律案の可決に当たりまして、審議を通じまして特に政府の見解を求めたい点でございます。  思えば昭和四十四年にこの法律ができた。その前に同対審答申が出て、そして長い間の懸案がこの特別措置法を通じまして約十年にわたって進めてこられたわけであります。これは言うなれば教育の面一つをとってみましても事実を明らかにして、そしてその真実を教育の面や社会教育の面で明らかにするということは非常に大きな事業であると一緒に、このことは本特別措置法が実施されまして着々と成果を上げておると思うのであります。  このことは差別の完全解消、同和事業の完全解決のために中途半端な気持ちではなしに、本当に国民的な課題として、超党派の課題としてこの問題について真剣に国会が取り上げるということの必要性は、同和対策特別措置法制定のときに、いまは亡き佐藤総理大臣が切々として述べたことが議事録にあるわけであります。佐藤総理大臣は山口県の出身ですから、差別の事実についても非常によく認識をされておったと思いますし、いまは亡きわが党の八木一男委員も本当に献身的に努力されたことをいま想起するのであります。十年の期限を目標にいたしまして、私どもがいままでやりました努力をさらに前進さして、そしてこの国民的な課題を国会の責任において真に解決し、政府がこのことを実施することを私は心から要請いたしたいのであります。  以上、三点につきまして、政府の御答弁をいただきたいと存じます。
  433. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 長い間、内閣委員会を初め小宮山委員会を中心として論議されました。大変微力な長官ではございましたが、きょうはこうして合意に達し、まとまりましたことについて、関係者各位に心から厚く御礼を申し上げたいと思います。  いまの大原委員質問は、すべて三点に集約されておると私は思います。  今度の延長というのは、この三年間の中において実態を調査しながら基本的な問題をどう解決していくか、こういう問題が今度の三年の延長であろうかと私は思っております。この中でいろいろ論議の中心点がございましたが、これで打ち切るのではなく、どうかきょうまで寄せられた熱意を持って、ひとつ国民的な課題として基本的な問題をお考えになって、一日も早く社会的格差の是正がなされることを私は心から願っておるものであります。  第二点の問題については、きのうの小委員会はきわめて意義があったと思います。自治省の発言は私もびっくりするくらいに大きく前進をいたしておりまして、これならば地方自治体の方々らにも満足をしていただけるのではないか。加藤自治大臣のこの好意に対しまして大変感謝をいたしておるというのが私の現在の気持ちであります。  第三点の問題でございますが、私はもう少し各省は実態調査の中に入る、現地に入るということはこれから同和対策事業を進める場合において、理屈ではなく、各省庁は必ずこの実態調査に恐れおののくことなく、何もそんなことはないですから――私は今度皆さんの御要望によって、兵庫県の某市某地区に行ってまいりました。私が決然と自信を持って今度の交渉に当たれたのも、やはり皆さんの推挙による現状の視察が私をして自信を持たせたのではないかと思います。そういう意味で各省庁は、今後は何としても、机上の積算ばかりじゃなく、現地に入っていただくことを私は進んで指導してまいりたい、こういうふうに思っております。  そこで調査の問題でございますが、これは五十年に調査をいたしました。また、これについては百二十地区の追加要請も出てまいっております。これに要する国費という問題も私はよく掌握をしておりますけれども、いまここで概算等々の問題を申し上げまして、また後日においてしこりを残してはいかぬと思います。五十年の調査は大々的にやった調査でございます。しかしながら、この三年の中で、やはり論議の中で必要があればやる。これも各党の合意に達した年限でございますから、この中で調査をすべしという結論が出るとするならば、これは当然調査をする必要がある、こういうように私は御答弁を申し上げておきたいと思います。  簡単ではございますが、長い長い年月、才なく徳なきこの長官に寄せられました皆さん方の御好意に対しまして、感激の一言に尽きると思います。皆さん本当にありがとうございました。
  434. 始関伊平

    始関委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  435. 始関伊平

    始関委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  436. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  437. 始関伊平

    始関委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、小宮山重四郎君、上原康助君、鈴切康雄君、受田新吉君及び小林正巳君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上原康助君。
  438. 上原康助

    ○上原委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ、各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、同和問題の重要性にかんがみ、この問題の早急な解決を図るため、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。  一 同和対策事業を実施する地方公共団体の財政上の負担の軽減を図ること。  一 同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、国民の理解を深めるため、啓発活動の積極的な充実を図ること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会及び当委員会同和対策に関する小委員会における質疑を通じて、すでに明らかになっていることと思いますので、よろしく御賛成をお願いいたします。
  439. 始関伊平

    始関委員長 以上で趣旨の説明は終わりまし  た。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  440. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、小宮山重四郎君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、稻村総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。稻村総理府総務長官。
  441. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。     ―――――――――――――
  442. 始関伊平

    始関委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  443. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――      ――――◇―――――
  444. 始関伊平

    始関委員長 次に、請願日程全部を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容につきましては、文書表で御承知のことと存じますし、理事会で御検討を願いましたので、この際、各請願について紹介議員からの説明の聴取等は省略し、直ちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  445. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第一ないし第四、第八ないし第一〇、第一二、第一三、第一六、第一七、第四四、第四六及び第四七の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  446. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  447. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  448. 始関伊平

    始関委員長 なお、今会期中に本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり総数十一件であります。この際、御報告申し上げます。      ――――◇―――――
  449. 始関伊平

    始関委員長 この際、お諮りいたします。  閉会審査案件が付託になりました場合、今会期中に設置いたしました同和対策に関する小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  450. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  451. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  452. 始関伊平

    始関委員長 国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。柴田睦夫君。     〔委員長退席、岩垂委員長代理着席〕
  453. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間がありませんので、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思いますが、先日の衆議院予算委員会で、わが党の東中議員が、内訓に基づいて航空自衛隊が超法規的に戦闘行動に入れるようになっているという重大な事実を明らかにしましたが、私はこれに密接に関連するもう一つの重大な事実について質問をしたいと思います。  実は、最近私は北海道千歳にある航空自衛隊第二航空団の隊員から、航空自衛隊有事の際、戦闘準備態勢をどのようにしてとるかということについて、生々しい話を聞きました。  以下、ちょっと隊員の言葉どおりに述べてみます。   その日、午後〇時半、私が外出許可証をもらって隊舎を二、三歩出たところで外出どめになりました。「なぜですか?外出許可証は、もらっているのに…」と上官にいいますと「何でもいいから作業服に着がえろ!」と上官がバタバタしはじめました。私も隊に帰り制服を作業服に着がえていると、高い金属音のチャイムがなり、「ディフコン2(ツー)発令!」という放送がくり返されているのがきこえました。  私はズボンをはきながら五、六人と三十メートルぐらいさきの防空ごうのところまで走りました。そこから弾薬作業所にむかうため、むかえにくるはずの、補給隊の燃料トラックをまちましたが、なかなかこないので私達は走りだしました。一組は、非常用に信管を入れて組み立ててある空対空ミサイル、サイドワインダーや、機関砲キャリバー五〇のタマをはこび、私達の組は車で弾薬庫にいきました。そこには七五〇ポンド爆弾が野づみになっており、補給隊の弾薬班員が弾薬庫のカギをあけると中には、箱づめになったサイドワインダーの部品やキャリバ一五〇のタマがぎっしり入っていました。これをどんどん弾薬作業所にはこびました。作業所では弾薬班員がサイドワインダーを組み立て、信管や燃料をつめました。私達は、それが終ると、基地のエプロンのところへいって装備隊の武器小隊の指揮下に入ってキャリバー五〇のタマを何十メートルもつなげて、エンジンをかけっぱなしのF一〇四戦闘機につぎからつぎに入れていく作業をしました。燃料小隊は、燃料を全戦闘機につめ、いつでも出動できる状態でした。基地のエプロンにはサイドワインダーやキャリバー五〇のタマがいつでもつめ込めるようにならべられました。三沢から米軍のF一〇二戦闘機がたくさん飛んできて、千歳基地の上空をブンブン飛びまわり、第二航空団のF一〇四戦闘機が二機ずつ交代で基地上空を飛行しました。戦闘待機室に中古フトンをだした需品班員が二〇三飛行隊の隊長に「新品を出せ!普通のときとは違うんだ、いくさだぞ。パイロットがカゼをひいたらどうする。パイロットが優先だ」とどなられたということです。「ディフコン」解除の放送があったのは、その日の夜中です。実戦態勢で大騒動したのですが、不思議なことに翌日の新聞には一行も出ませんでした。「あれだけ騒いだのに、なぜ新聞にのってないんでしょうか」と上官にきくと、「新聞に発表すると日本中がパニック状態になるから発表しないんだ」と教えてくれました。  この隊員が述べたことは、有事の戦闘態勢がきわめてリアルに示されていると思いますし、非常に重大なことだと思うのです。  ここに出てまいりますDEFCON2とは何か、まずお伺いします。
  454. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 航空自衛隊では、いわゆる警戒態勢といたしまして、航空自衛隊の態勢を区分しておるわけでございます。これをDEFCONと呼んでおるわけでございますが、これには態勢が1から5まであるわけでございまして、平時の状態におきましては態勢5でございます。  このDEFCONにつきましては、いままでも国会におきましてしばしば御議論がございまして、私どもも説明をいたしているわけでございますが、これは情勢の変化に伴いまして、たとえば航空機の可動機数を上げる、あるいはレーダーサイトの勤務員の増加をする、あるいは部隊の訓練を一時制限し、または中止して、これを領空侵犯で上げられるような状況に置く、あるいは整備関係の態勢を高めて、いわゆる非番の、当直以外の者を集めてそういう活動態勢をとるということでございます。  御承知のように、たまたま航空自衛隊では警戒態勢を1から5まで分けているわけでございますけれども、海上自衛隊、陸上自衛隊におきましても、いろいろな情勢によって即応態勢を高めていくという形で、この警戒態勢をそれぞれ持っているわけでございます。いま御指摘のございましたDEFCON2というのは、その中でもかなり緊張度の高いものでございます。これは非常呼集などで常時訓練しておりますように、訓練の一環として、ときどきそれぞれの部隊で実施していることでございます。
  455. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そのDEFCONというのは何に決めてあるのですか。
  456. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは内訓の中で決めてございます。
  457. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その内訓は正式には何という名称ですか。また、つくられた時期、その内容についてお聞きしたいと思います。
  458. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 内訓の名称は、領空侵犯に対する措置に関する内訓ということでございます。
  459. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これはこの予算委員会で東中議員が取り上げた内訓とは違うのですか。
  460. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御質問の趣旨がはっきりわかりませんけれども、領空侵犯に対する措置の内訓の中に書かれているものでございます。
  461. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この内訓は、いまも私が調査したことを申し上げましたけれども、なまやさしいものじゃない。まさに有事における戦闘態勢を定めたものであると私は見ているのです。最初に言いましたようにDEFCON2は現実にミサイル、それも実弾の入っているものを並べる。  では聞きますけれども、先ほど言われましたDEFCONの五段階、これはそれぞれどういう段階を言うのか、お伺いします。
  462. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは先ほども御説明いたしましたが、それぞれの段階に応じて、緊張度が高まるにつれまして上げている態勢でございまして、それぞれの段階でどういう形のものをとるかということにつきましては、詳しいことにつきましては御説明するのは差し控えさせていただきたいと思います。  いま御説明申し上げましたように、たとえば可動機数をふやしていくとか、レーダーサイトの勤務員を増加するとか、部隊の訓練を制限し、または中止して飛行機を拘置しておく、あるいは整備活動を強化する、そういった各段階によって定められているものでございます。
  463. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私が聞いたところによりますと、DEFCON5は何か起こりそうだ、注意せよ、4はいよいよ何か起こりそうだ、3は何か起こったぞ、2は出撃するぞ、1は出撃せよということですが、そうではないのですか。
  464. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず平時においてはDEFCON5でございます。DEFCON5というのは、何か起こりそうだということではございませんで、平常な状態だということでございますから、必ずしもいまお読み上げになりましたような段階ではございませんけれども、随時いわゆる警戒態勢を高めていくという段階に定められているわけでございます。
  465. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ではDEFCON1というのはどういう段階か、そしてこの内訓はこの委員会に提出できるのかどうか、お伺いします。
  466. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いわゆるDEFCON1というのは、領空侵犯がかなり多数行われるというような状況のときでございます。したがいまして、いわゆる五分待機の飛行機をふやすとか、そういった態勢をとる時期でございます。  なお、内訓につきましては累次御説明申し上げておりますように、この内容は秘密でございます。また国際常識から言いましても、そういった手のうちを示すということは国益に反すると考えておりますので、内訓を提出することはお許しいただきたいと思っております。
  467. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 DEFCON1は出撃せよという状態だと私は聞いているわけです。そのところはあいまいに答えられる。そしてその中身は非常に問題があるので、後ではっきり申し上げますけれども、これはやはりどうしても国会の審議にかけられるべき性質のものであることを申し上げます。  伊藤防衛局長伺いますが、先日の委員会でミグ25事件に際して、陸上自衛隊は北部方面総監の命令で函館の第二八普通科連隊が第三種勤務態勢をとったと答弁しているのですが、このときの航空自衛隊はDEFCON態勢をとったかどうか、何段階であったかということをお伺いします。
  468. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 航空自衛隊はいままで領空侵犯措置としては、DEFCONを上げたことはございません。DEFCONの訓練をやっておりますけれども、現実に警戒態勢を上げたことはないわけでございます。
  469. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では、ついでに聞きますけれども、海上自衛隊は、このミグ25のときは警戒態勢をとりましたか。
  470. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 規定によります警戒態勢というのはとっておりません。
  471. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 陸上自衛隊だけが警戒態勢をとったということになるわけですけれども、そうすると、陸上自衛隊だけが暴走したということになるし、防衛局長は、このDEFCONは日常の態勢だ、こういうことを言われるわけですけれども、航空自衛隊がDEFCONをこの場合に発令しなかったということはどうも考えられない。陸上自衛隊がやっているのに航空自衛隊がやらない、ちょっとあり得べからざることだと思うのです。このときにかけない、やらないとすれば、DEFCON1あるいは2とかいう高度なものをかけるのは、これはどういうときなんですか。
  472. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず、陸上自衛隊の三種というのが、これは情勢としてはそれほど緊迫した情勢とは考えておりません。三種というのは、通常の場合に、たとえば災害派遣の必要があるようなときには一応その隊員を隊内にとどめておいて、それを発動しなければならないような場合があるわけです。外出を禁止して、すぐ出られるような態勢をとるというのが陸上自衛隊の三種でございまして、航空自衛隊のDEFCONによりまして可動機数を高めたりなんかするのとは意味合いが違っているわけでございます。  航空自衛隊におきまして、あのときになぜDEFCONを上げなかったかということでございますが、いわゆるレーダーサイトで監視をしておりましたけれども、航空機の特異行動というものがありませんでしたので、通常のDEFCON5の態勢でいっていたわけでございます。
  473. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 昭和四十八年六月二十一日の内閣委員会で、当時の久保防衛局長は、DEFCONというのは警戒待機の姿勢を言うわけで、自衛隊法と関係がない、こう答えていらっしゃるのです。これは自衛隊法とは関係がなくて、有事の態勢が自衛隊の中では細かく取り決められていることではないか、私はこういうふうに考えるわけです。そういうことになれば、まさしく超法規的行動をここで内訓で定めている。わが党の東中議員の質問で、自衛隊法に定められていないことが内訓で定められているということがこの前明らかにされましたけれども、あのときの内訓、領空侵犯の措置実施に関する訓令、これがDEFCONを決めた内訓であるかどうか、もう一遍お伺いします。
  474. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 当時の久保局長お答えになったのがどういう意味で関係がないと御答弁になっているのか、いま私、記憶いたしておりませんけれども、自衛隊法と全く関係がないというふうには考えないわけでございます。八十四条に基づきます領空侵犯措置というのは航空自衛隊に与えられている任務でございます。その任務を有効に果たすために長官が出します規範命令という形でこの内訓ができているわけですから、全く自衛隊法と無関係だとは考えておりません。
  475. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、航空自衛隊の武器使用が内訓で定められて、場合によっては戦闘状態に入るということにもなるし、DEFCONに関するところの内訓は、状況によっては一気に戦闘状態に入る有事の態勢を定めるもので、そういう内訓になっているのじゃないかという疑念を強く持つわけです。  わが党の東中議員が予算委員会で、平時の場合不明機に対してパイロットの判断だけで応戦行動を行って外国との戦闘行為に踏み切ることが内訓によって制度化されている危険ということを指摘したわけですけれども、私は、DEFCON態勢あるいは第何種勤務態勢というやり方で、実際には米軍と一体になって、米軍に追随して、日本が、自衛隊法も無視しながら、あるいは総理大臣や国会も知らないうちに、超法規的戦争態勢へ突入していくという恐るべき実態を問題にして、これを指摘しているわけです。  そういう意味でこの内訓というもの、これをどうしてもやはりわれわれは審議しなければならない。その中にどうもどの角度から見ても大変なことが書かれている、自衛隊法を無視した、あるいは憲法を無視した、そうした問題が書かれているというように考えますので、この内訓を当委員会に提出することを検討するかどうか。また、委員会において提出について取り計らっていただきたいということです。
  476. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず、これは私どもが再三御説明申し上げておりますけれども、領空侵犯措置というのは、飛行機を確認し、そして警告を発し、必要に応じては誘導をして着陸させるというところまでが領空侵犯措置でございます。  武器の使用につきましては、領空侵犯措置に当たります飛行機というものは、やはり外国の飛行機と接触する場合が多いわけでございます。したがいまして、不時の攻撃を受けたような場合に、先生の御意見でございますと、そういう場合にも勝手に何にもしないで撃ち落とされろということではないと思うわけでございます。そういったときの自分の身を守るための最小限度の武器の使用というものは許されていいと私どもは判断しておりますし、そういったことまで何もしていけないということになりますと、領空侵犯措置の任務そのものが果たせなくなってまいるわけでございます。そういう意味で御説明しているわけでございます。  なお、この内訓につきまして委員会に提出しろというのは以前からもたびたびございましたが、先ほど御説明申し上げましたような理由で、お許しいただきたいと思っているわけでございます。
  477. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いろいろの点から内訓が非常に問題になっている、そしてその中身がわからないということですから、ひとつ委員長において、この問題について委員会で協議していただきたいということを申し上げたいと思います。
  478. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十九分散会      ――――◇―――――