○藤井(貞)
政府委員 本年の勧告でございますが、これはいま御
指摘にもございましたように、現行制度の人事院勧告が始まりまして以来の最低の率であったということはそのとおりでございます。ただ、この点につきましては、先刻よく御
承知のように、人事院といたしましては、公務員の
給与の問題を取り上げる際には官民較差ということに重点を置きまして措置をしてまいっております。すなわち、民間の
給与の実態というものを広範に、しかも詳細に調査をいたしまして、その結果出てまいりましたものと公務員の
給与というものを突き合わせをいたしまして、その間に較差がございますればその較差を埋めていただくということを
趣旨として従来からやってまいっておりまして、そのやり方自体はおおむね
一般の御了解も得ておるのではないか、制度としては定着をしてきておるのではないかというふうに考えておるのであります。
その結果、今年の場合は、こういう民間の経済景況がございましたので、それを反映いたしました結果三・八四ということに結果として出てまいったということでございます。物価の問題その他とのにらみ合わせも、当然われわれとしては十分頭に入れて
作業をしてまいり、また結論も出しておるわけでございますが、あくまでわれわれといたしましては、民間の
給与実態を把握いたします際に、物価その他の点も全部前提として、それが溶け込んだ形で民間の
給与の決定がなされておるという前提に立って現在まで
作業を進めてまいっておるのであります。
そういう
意味からいいまして、これはやはり物価の点も今年の景況の反映といたしましては相当低くそれが出てきておるというようなことで、この点につきましてはやむを得ない面があったのではないかというふうに考えております。ただ、御
承知のように較差の問題につきましては、この較差を埋めるということがございますが、そのほかに御
承知のように定期昇給その他の措置がございますが、それらの点を加味して考えてまいりますならば、いま御
指摘の物価の上昇にも足らないということには相ならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
なお、特別給の点については、この間からいろいろ御論議をいただいておりまして、人事院といたしましても大変不本意と申しますか、心ならずもというようなことで、こういう減額に踏み切らざるを得なかったのであります。一昨年に引き続いての減額でございますので、私自身といたしましても大変苦慮いたしました。ただ、調査をいたしました結果が厳然と出てまいっておるということでございますので、そういう点はやはり放置ができない。放置するということになりますと、やはり
国民の税金でもって公務員の
給与というものは賄われておるというような、そういう一番大事なところに触れることにも相なってまいりますので、そういう点は、この間も涙をふるってというふうに申し上げましたが、私といたしましては大変苦慮をいたしましたけれ
ども、たてまえ上の措置としてこれはやむを得ないということで、減額をお願いせざるを得なかったということでございます。
なお、第三の点といたしまして、民間では要するに二段構え的なことでベースアップ等が行われておるという御
指摘でございます。
これらの点につきましては、無論四月現時点においてそういう措置が講じられておりますのであれば、そういう面はわれわれの方の調査ではっきりと把握をしてきてまいっておりますから、その点は民間の
給与の実態は反映をいたしておるということを申し上げてよろしいかと思いますが、全体といたしましては、その二段構えの措置をとっておりますものは率としては非常に少ないというようなことでございますし、また今後、四月以降、年内あるいは来年にもわたってそういう措置が講ぜられているということになりますと、その面は若干時期的にはおくれますけれ
ども、来年の調査にはそれが入ってくるというようなことでその点の調整がとられてまいるというふうに解釈をいたしておる次第でございます。