○谷村
参考人 大変いい御意見を聞かしていただきまして、私もある点では非常に共感の意を表するわけでございます。
第一に、いわゆる上場会社が、これはよく
証券局長も毅然たる態度をとれ、こう言っていらっしゃるわけでございますが、毅然たる態度をとるというのは、ちょっと
佐藤委員は買い占め乗っ取りと言われましたのですが、私
どもはいま乗っ取りというのではなくて売り込みの方を十分注意しているわけでございますが、売り込みに対してはねつけるだけの実力と気力を持っておれ、このとおりだと思います。そこに私は三つ問題があると思います。
一つは、安定株主工作という
言葉を言われましたけれ
ども、本来私
どもの立場からいいますと、株式の流動性をある
程度持ってもらって、大口の固定安定株主というものがふえることについては取引所としては問題があろうかと思います。ただし、株式はそういう
意味で、流動性を持ち、取引所
市場にたくさん出回ってくれて、みんながそれぞれの立場で買ったり売ったりできるということが望ましいと思いますけれ
ども、取引所
市場外で直接にどうだどうだというような話に、まあそれじゃしょうがねえかというふうなことで乗るというような話があるとすると、私はそういう
意味での取引が問題ではないか。
これは非常にむずかしい問題でございます。世界じゅうを通じまして、私
どもこの間も取引の世界会議に行ってまいりましたけれ
ども、取引所取引と
市場外取引という問題をどう扱っていったらいいか、特に株式の問題についてこのことがどこでも問題になっております。法律上はもちろん、受託を受けた
証券会社は必ず取引所に集中することになっておりますけれ
ども、A
法人がB
法人に売ること、B
法人がA
法人から直接買うこと、これは自由でございます。そこでいま私
どもは、いわゆる直取引といわれるものをどう扱ったらいいかという問題として、いままで出ました闘い占め売り込みのその売り込みのときの尤なるものは、まあまあこの辺の値段でどうだとしかるべき人が口をきき、しかるべきところがそれを引き受ける、発行会社は商法上自分で買うわけにはまいりませんから、当然
関係のものが買い取る、そこの問題をどう処理できるかというのを私
どもとしては
一つのポイントに考えて、現在私
どもの内部でも議論をいたしておりますし、
大蔵省にもときどき議論を吹っかけに行っております。
たとえば、すべてのものがすべてそうしろとはなかなか言えないにいたしましても、せめて上場会社でありますとか、あるいは上場会社ではないけれ
ども有力な機関投資家として政府から免許を受けておるような、そういう公開された
法人というようなものは、その取引した
価格面の公正さを担保するという
意味において必ず取引所
市場を通す。直接の取引を、この辺でどうだとか、いや取引所
価格と一割も離れていないからこの辺でどうだとか、そのときの取引所
価格というのは私
どもの立場からいたしますれば、公示はいたしておりますけれ
ども、残念ながらゆがんだ
価格になっているかもしれない、もし取引所を通せば別の角度で値がつくかもしれないというふうなときに、それを直接取引してしまう。せめて上場会社なり、先ほ
ども言われておりましたが、いわゆる継続的開示会社というものは取引所を通して、きちんと売った、きちんと買ったということを、その経理内容の公正さを保証する
意味においてやるというようなことは考えられないだろうかとか、これはまだ私がつぶやいている段階でございますけれ
ども、思っているような点でございまして、やはり取引所取引の
やり方なり何なりにも問題点がございますけれ
ども、直取引で直接にこの値段でどうだどうだという、その点をどう考えたらいいか。安定株主工作とこうはっきり言われてしまいますとちょっと私も困るのでございますが、そういう問題も絡みますが、ひとつそれを今後の問題として考えたい、これが第一点に対する
お答えでございます。
第二点の資本金過小の問題、これは私は全く同感であります。よく
市場関係の方々は、品薄でもって
需給関係がタイトになっている方が値がいいし、ちょっとした荒っぽい
動きもするし、株式
市場としてはおもしろいとおっしゃる方もございますけれ
ども、私はここ三十年来、少数の株が荒っぽく動くよりも、大量の株式が静かに、しかし着実に流動性を持って動いていく
市場というものが本当である、かように思っております。この点から二つの答えが出てまいります。
一つは現在、額面中心の資本金というものからある
程度離れまして時価発行その他が定着してまいりました。そして時価発行になりました結果、金はたくさん集まりますけれ
ども、株式の発行数は少のうございます。それを補う
意味で、たとえば無償交付というような形で株数を、小刻み分割でございますが、私
どもはやっております。しかし、一般的な
意味での株数の増加というものはそれほど出てまいりません、増資というものがありましても。増資それ自身も必要でございますが、資本金という形式的な、商法上のいわゆる額面掛ける発行済み株数というもの以外に、株主資本というものが資本剰余金なり利益剰余金なりという形で実はたくさんあるわけでございますが、この株主資本全体がどういう形で株式という姿であらわれてくるか。たとえばそれは
一つは株式分割という姿でも出てまいりましょう。そういう問題を、これから商法改正等の問題もございますけれ
ども、私
どもは資本金から離れて株主資本全体と株数という形でどう取り上げていったらいいか、ちょっとやっかいな話でございますが、それを私は考えております。
しかし第二に、やはり基本的に必要なことは、
日本の上場会社がいわゆる株主資本が少ないということでございまして、この点では、やはり株主資本をふやすということが必要になると思います。そして発行済み株数もふやすことが必要であると思います。この点では、これは大蔵
委員会の御専門になることでございますけれ
ども、私
ども昔から長年勉強もいたしておりますが、
日本における資本のいわば提供する側とそれを使う側の両方を結びつける、俗に言う直接
金融、間接
金融というようなもの、それの中でのたとえば税制の問題を私
どもはどう取り扱ったらいいか、この話をし出しますと長くなりますが、この問題にも触れて考えていかなければならぬ大事な問題だと心得ておりますが、方向としては
佐藤委員のおっしゃるとおりだと私は思っております。
それから第三番目に、買おうと思ったときにまずちょいと信用で買っておく、そして後現で引いていくというような例で、またそれが買い占めの
手段にも使われますが、それとは別に、信用取引の荒っぽい
動きというのが一体過小資本のものに許されていいのか、非常に核心をついた御
指摘だと思います。私
どももここ三年来、いわゆる信用取引のいろいろな問題を勉強してまいりました中で、資本金の少ないもの、これは、金の方を引っ張ればすぐ買いが立ちます。売りの方はすぐ株数不足になってまいります。貸し株不足になってまいります。信用の売りと買いの
バランスが破れてしまいます。買いが力づくでやっていけば負けてしまう、そういうような問題をはらんでおり、値
動きもあるわけであります。
そこで、こういった問題をどう考えていくかというのは、基本的にはいろいろ問題がございますけれ
ども、それの
一つの端緒と申しますか、解ける方法の
一つとして、実は先般
大蔵省の方にも御相談して御認可を得まして、十月二日から実行に入りました新しい信用取引の
やり方というのが、それのいわば方向を示す
一つのきっかけになるかと思います。と申しますのは、特別に手数料も安くし、売り方
金利も高くして、したがって負担を軽くする、
期間も三カ月にいたしましたが、指定銘柄制度という、これは御
指摘のように、相当代表的な株式であり、柄も大きい銘柄であり、どんなに売りが立とうと、どんなに買いが立とうと、四つに組んでちゃんとやっていただける、余り荒っぽいことにはならぬ、だからおもしろくないとおっしゃる方がいるかもしれませんが、そういう信用取引という仮需給まで入れて株価の公正な
価格形成をやっていただくのにふさわしい銘柄として指定銘柄制度を中心に考えていこう。それから残余のものにつきましては、いまの
お話のような資本金といいますか、むしろ株数の大小に応じましてガイドラインを分けてつくりまして、そして個別的に売りまたは買いのそれぞれについて細かく規制ができるようにしていこう。これも本当はそう望ましいことではございませんけれ
ども、信用取引銘柄約四百六、七十ございますが、そのすべてがすべて、さあいらっしゃい、どれでも御随意にと言えるかというと、注意して扱っていかなければならぬものと、どうぞ御随意にひとついろいろな角度からなすってくださいというのとあると思います。そういう振り分けはある面ではいたしまして、そのガイドライン方式というものをとりました個別規制の方は、これはやかましくやることはもちろんいたしませんけれ
ども、いま御
指摘になったような危険性が出てまいりましたときは発動していきたい。これがいわば取引所といたしまして、いま言われましたように、できるだけ危険性を避けながら、しかし取引所の持つ
価格メカニズムをはっきり生かしていこうというための方途としての
一つの端緒と申しますかきっかけになるか、かように考えておるわけでございます。御
指摘の点にはまだ及ばないかと思いますけれ
ども、われわれとして
大蔵省とも御相談して努力しておるところでございます。