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1978-11-09 第85回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和五十三年九月二十二日(金曜 日)委員会において、設置することに決した。 九月二十二日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       愛知 和男君    宇野 宗佑君       大石 千八君    後藤田正晴君       坂本三十次君    高鳥  修君       野田  毅君    山崎武三郎君       川口 大助君    佐藤 観樹君       平林  剛君    坂口  力君       宮地 正介君    永末 英一君       荒木  宏君    永原  稔君 九月二十二日  野田毅君が委員長指名で、小委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十三年十一月九日(木曜日)     午前十時二分開議  出席小委員    小委員長 野田  毅君       愛知 和男君    大石 千八君       高鳥  修君    山崎武三郎君       川口 大助君    佐藤 観樹君       沢田  広君    宮地 正介君       永原  稔君  小委員外出席者         大蔵委員長   大村 襄治君         警察庁刑事局保         安部防犯課長  柳館  栄君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   加藤 和夫君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      伊豫田敏雄君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省証券局長 渡辺 豊樹君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         国税庁税部長 藤仲 貞一君         国税庁調査査察         部長      西野 襄一君         参  考  人         (社団法人公社         債引受協会会         長)      植谷 久三君         参  考  人         (日本公認会計         士協会会長)  尾澤 修治君         参  考  人         (東京証券取引         所理事長)   谷村  裕君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 十一月九日  小委員宮地正介君十月四日委員辞任につき、そ  の補欠として宮地正介君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員荒木宏君十月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として荒木宏君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員山崎武三郎君及び永原稔君十月十七日委  員辞任につき、その補欠として山崎武三郎君及  び永原稔君が委員長指名で小委員選任され  た。 同日  小委員平林剛君同日小委員辞任につき、その補  欠として沢田広君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員沢田広君同日小委員辞任につき、その補  欠として平林剛君が委員長指名で小委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融及び証券に関する件      ————◇—————
  2. 野田毅

    野田委員長 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。  金融及び証券に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として社団法人公社債引受協会会長植谷久三君が御出席されております。  植谷参考人には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  3. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 植谷参考人には、大変お忙しいところ出席ありがとうございます。  小委員会でございますので、およろしければ座ってお答えいただいても結構でございます。私もなんだったら座って質問しますので……。  御存じのように、来年度の予算編成の時期もだんだんと迫ってきておるわけでありますけれども、それにつけましても、一番重要なことは財政が厳しいということで、来年度の国債がどうやってさばけるのだろうか。とりわけ、ことし夏ごろから国債値崩れと申しますか、市場軟化があるわけでございますし、そういうことから考えますと、従来のようなやり方でまた来年このままやるということで、果たして国債消化がスムーズにできるのだろうかということは、非常に関心のあることでございます。  そこでまずお伺いしたいのでございますけれども、今度のこの市場軟化というものは、まさに皆さん方公社債引受協会として扱っていらっしゃる最先端にいらっしゃるわけでございますけれども、一体どういうところに原因を見ていらっしゃるか。確かに一過性的な問題もありましょうし、どう見たって、これは市場に比べて量が多過ぎるという問題も覆うべくもないと思うのであります。とりわけその問題の中で、大蔵省理財局長も、どうもこれは一つ証券会社が引き受けの額が多過ぎたのではないか。昨年の暮れからことしの春にかけて公社債市場が非常にいいときに、企業法人なりあるいは外人投資家、こういったむしろ不安定要素のところにはめ込んだ、それが金利下げどまりで売りに出た、これがいま国債価格が下がっている原因ではないかということを言われているわけでありますけれども、その点も含めまして、一体どういうふうに分析をされていらっしゃるのか、まずその点からお伺いをしたいと思うのでございます。
  4. 植谷久三

    植谷参考人 私が公社債引受協会長植谷でございます。  それでは、これからいまの御質問に対してお答え申し上げます。  いま御指摘になりましたように、この六月以降、国債価格が下落いたしました。つまり流通利回りが上昇したわけでございます。御承知のように、現行の国債発行条件は、利率六・一%、十年もので九十九円五十銭の発行価格でございますから、発行利回りは六分一厘八毛でございます。この発行利回り市場において自由に形成されますところの流通利回りとの乖離つまり利回りでいくと上昇、価格でいきますと値下がりということになるわけですけれども、その利回りの差が六月ごろ大体〇・一%であったわけですけれども、七月の下旬ごろになりますと、これが〇・二台になったわけでございます。それから八月になりますと、これがもう一つ開きまして〇・三、そして八月の中旬以降、二十日過ぎになりますと、八月二十二日には〇・四七二、このぐらいの開き、〇・五に近い乖離に相なったわけでございます。つまり価格で言いますと三円近い値下がりといいましょうか、発行価格よりも流通価格の方が低いという状態にまで相なったわけでございます。  そのために九月上旬には御承知のように、資金運用部資金によりまして三千億円の国債市中買い入れをやっていただきました。それを一時好感いたしまして、多少乖離幅が縮まったわけでございますが、これも基本的な解決になりませんので、また早くも〇・四%ぐらいの開きになりまして、十月中旬まで推移したわけでございます。十月中旬以降になりまして、そういうことですから当然に消化難ということに相なりますので、政府当局の方でも、それを御考慮ちょうだいいたしまして、国債発行計画を削減していただいたわけでございます。減額する措置をとうていただきましたので、ようやくその効果があらわれてまいりまして、乖離幅は日を追って縮小してまいりました。十月の末には、乖離幅〇・四ぐらいから〇・二ぐらいのところまで回復して今日に至っておるわけでございます。  そこで、いま先生もちょっとお触れになりましたが、この原因についていろいろな言われ方をいたしております。金融情勢が全然変わっていないのだから、したがって市場におけるこの乖離というものは一時的なものではないか、一時的な値崩れだというような説が、つまり一過性原因であるという言われ方が一つ出てまいっております。なお一つには他方において、金利底打ち感といいましょうか、今日までとにかくことしに入りまして急速に金利は低下してまいったわけでございます。これが市中金利情勢でございます。しかし、幾ら下がると言ってもまあまあというようなことで、ここら辺がおおむね大きな意味では底打ちに近い、または底打ちになったのではなかろうかという機運が出てまいりました。そうしますと御承知のように、国債は十年ものでございますから長期運用になりますので、そのめどがもう少しつかない限りは、今日の発行条件長期債つまり六分一厘八毛の国債長期に保有するということはいかがであろうかという気持ちが当然出てくるものであります。そういうことで長期債が、今日の資金運用者気持ちといいましょうか資金性格、それに対応する条件のものとしては、こういった条件でなく——長期のものがたくさんに出ていて資金と発行する国債とのバランスが崩れているという考え方つまりこれは一応構造的原因、こういう言葉も少し強過ぎるかもしれませんけれども、要するに市中資金ニーズと、ことに期間等を含めての国債条件との対応バランスを欠いているというところに基本的な原因があるんだという説でございます。  この両者とも全然相反するものではないと私は思います。要するに言葉を縮めて言えば、こういった基本的には構造的な問題が一過性原因によって誘発されたといいましょうか、あるいは相互反応している問題だと思いますけれども、そういうことで市況が悪化したのだというふうに認識すべきではなかろうかと私は考えておるわけでございます。  したがって、今後の見通しについても多少触れさせていただきますと、こういった市況における乖離幅、現在で〇・二程度でございますけれども民間資金ニーズ国債との期間対応バランスの問題、これは法人と言わず個人と言わずとりあえず非常に重要な問題だと思いますので、今日の状況から言いますと結論的に、資金短期運用を志向していると見るのが一応当然だと思います。そういうときに、とにかく十一兆円に及ぶ国債の中で九割も、つまり部分が十年債で発行されるというこの構造的な問題をある程度解決しない限り、潜在的な市場悪化原因を抱えているというふうに私は考えざるを得ないものでございます。その意味で、中短期国債をいろいろと御工夫願うことがまず先決であろうと考えておるわけでございます。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 いまのお話をお聞きしていますと、もう一つ心配になってきますのは、私たち国債発行のときからいつも言っていたのでありますけれども個人消化の問題ですね、これも、国民の資産の額から言いましても、あるいはいまお話があったように、発行条件流通利回りを下回っているという状態からいきましても、個人消化もある程度限度に来たのじゃないだろうか。これがいま協会長が言われますように、たとえばもう少し短いもの、二年ものとか四年ものとか、いま発行されていないもう少し短いもののウエートをふやせば、個人消化はもう少し進むのだろうか。日本個人消化率というのは、貯蓄国債等含めたアメリカなんかよりも非常に上回っているわけでございますけれども、とにかくインフレの再発防止という点から言えばやはり今後とも進めなければいかぬですが、いまの状況からいって果たしてこれがなお一層進められるものなのかどうなのか、もう少し短期のものをふやすことによってこのことも進められることなのかどうなのか、その点はいかがですか。
  6. 植谷久三

    植谷参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問、まず第一に、国債個人消化もこれでやや行き詰まったのじゃなかろうか、あるいは外国の例から見ても、もう相当進んでいるのだから、ここら辺が限度でなかろうかという意味で御質問もちょうだいしておりますので、それにお答えするわけですけれども、その前に、前提として一応最近の推移を御報告申し上げてお答えをしたいと思います。  私どもの引き受けさせていただいている、つまり証券会社の引き受けている通常シ団外消化と言っておりますけれども、そのわれわれの分を、全体の発行されているもの、正確にはシ団全体で引き受けているということでございますけれども、その中で占める位置と両方合わせて御報告申し上げますと、大量発行に入りました五十年度には月平均二百五十五億円をわれわれ消化させていただいたわけでございます。これは市中シ団全体で引き受けました中の六・八%だったわけでございます。それは御承知のように、下期になってから急に国債の量が拡大したものですから、われわれそれに対応できなかったということだったと思うのです。それに対して、今後の見通しも含めて整備いたしました結果、五十一年度には同じく月平均で七百九十四億円、これは引き受け全体の一七・二%になるわけでございます。それから五十二年度になりますと同じく一千七百二十一億円、これは全体に対して二六・六%と急速にわれわれの販売量が増加してまいったわけでございます。五十三年度に入りまして、四−六月の三カ月間の月平均が二千五百九十三億円、これは割国を含んでおりませんけれども、こういうふうに急増してまいったわけでございます。  その結果現在、長期国債市中残存している残存高は、五十三年三月末における数字でございますけれども、十九兆七千億余り、つまり二十兆弱でございます。これに対して個人の保有している額は四兆五千億弱ということになっております。その比率は二二・七%、これは欧米諸国を上回っている数字だと思っております。  ところで、数字はそのように推移しているのですけれども、実は御承知のように、七月の証券団引受額は二千五百億円だったわけでございますけれども、これの募集中ごろから漸次市況が悪化してまいりまして、新発の国債流通市場利回りとの乖離が始まったわけでございます。流通実勢を下回っておりますために販売がなかなかむずかしくなってきているというわけで、八月の国債は、いろいろ御協議をちょうだいして、千九百億円と前月の二千五百億円から六百億円も減らすという措置をとらしていただいたわけでございます。  しかし、それでもなかなか消化が困難である。先ほど申しましたように、市況が悪化するばかりで乖離幅が大きくなるばかりという状況の中でございましたので、売れ残りが生ずるというようなことに相なったわけでございます。したがって、九月にはこれをまた再び減らしていただきまして、千二百億円に落とさざるを得なかったわけです。それでもかなり消化難だったと思います。そこで十月には、やはりこの需給関係を一度きれいにしないとということで思い切って減らしていただきまして、十月の引受額は七百億円にしていただいたわけであって、これは六月の引受額二千七百八十億円のほぼ四分の一に相なったわけでございます。この措置のために幸いなことに市況が回復に向かいまして、発行条件との乖離幅が先ほど触れましたように、ひどいときには〇・五%近かったものが今日〇・二%程度まで改善されたわけでございます。十一月は、いわゆる私どもがやっております累積投資の利払いの関係でちょうど再投資月にも当たりますので、そういったような需要もございますので千三十億円を引き受けることにいたしたわけでございます。これは恐らくは募集残を残さないで消化し切るものと私は観察しているわけでございます。  そこで、このように個人消化が行き詰まったということは、これは申すまでもなく、市場における乖離幅が大きくなっているという事実を一言申し上げればそれでおわかりちょうだいできることでございますので、これ以上のことは申しません。むしろ、これはよけいなことかもしれませんけれども、まだ多少こうした乖離の中で千億前後を消化するように証券界としてはとにかく販売力を整備してまいったわけでございまして、むしろ私自身もよくここまでいけるなという感じがするのでございます。  それはさておきまして、そうしますと、こういうことに対する対応策あるいは見通しということになりますと、発行条件流通実勢に沿ったものであることが、これは何と言っても基本的な問題だろうというふうに思います。それといま一つは、これも先ほど触れましたけれども資金性格というものはそのときの経済の諸条件によってある程度動くものだということ、金が平均して長期の金であっても、それが非常にたくさんあっても、やはり金利動向が今後どういうふうに動くんだろうというその見通しによって、長期のものに自信を持って向かう場合、あるいはしばらくの間短期のもので泳いでいこうという動き、これはもう私は資本主義経済の中で当然のことだと思います。これは法人個人を問わない問題だというふうに考えられますので、その資金需要に応じて、状況に応じて、発行される側といいましょうか、調達される側もそれに対応した考え方を打ち出していただくということが、消化を容易にしていくことだというふうに思うわけでございます。  そうしますと、日本の場合御承知のように、非常に貯蓄性の高い国柄でございますから、そういう対応よろしきを得るならば、まだまだこれで行きつかえるというようなことは考えられない、まだまだ国民が喜んで国債に応募していくという条件になるだろうというふうに私は自信を持っておるわけでございます。先ほど先生が御指摘になりましたように、確かに諸外国の例よりも個人消化は現在日本の場合は高うございます。しかしそれだからといって、もうこれで行きつかえたという気持ちは全然ございません。今日のような困難な状況においても、先ほど申し上げましたように千億に及ぶものもわれわれ販売しているわけでございます。通常一応納得できる条件であるならば、最も信用のある国債ですから、国民は喜んで国債保有、応募ということが可能であるというふうに私は確信を持っております。
  7. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 ちょっと来年の話に関連をするわけですけれども、いまの協会長の話をお伺いして、来年を見てみますと、いわゆる国債値崩れを起こしている、乖離を起こしている構造的な要因、つまり金利底打ち感、それから流通市場発行市場に対して発行量が少し多過ぎるというこういった問題、残存高は五十三年度分がまた一年分、十一兆近いものが残るわけでありますから、その意味では、この問題というのはさらに市場の中に残存がふえるわけでありますから、来年度を見てみますればさらに条件が悪くなるわけですね。  ところが、いまの予算の言われている組み方を見ますと、大体国債発行が十五兆から十六兆ではないかという膨大なことになるわけであります。そこまで来ますと、従来の十年ものを中心にしたやり方ではどうやってみても十兆がいいところじゃないだろうか。十兆も、ことしの状況等を見ましても少しきついのじゃないかと思うのです。その辺のところは、絶体に十兆だ、九兆だということにはならぬと思いますけれども、十兆を超えた部分にはもう少し多様的な手段で臨まないと、とても消化不良を起こしてしまう感が非常にするわけですね。  五十年度から大量発行に出て、五十年、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と五年目を迎えるわけでありますから、そういうことになってきますと、いま何度もお話がございましたように、一つは、その方法として、なるべくいま発行されていない二年もの——二年ものは発行されておりますけれども、これも市中消化しておりませんので、二年ものとかあるいは四年ものとか、あるいは三年の利付をさらにもう少しふやすとかこういったこと、つまり種類をふやすこと。それから、ここまで来たら資金運用部資金も、ことしはゼロだったわけでありますけれども、指をくわえて見ているというわけにいかぬと思うのですね。一兆になるか一兆五千億になるかわかりませんが、資金運用部資金でもかなりの額を引き受けざるを得ないだろう。それともう一つは、いわゆる債務証書、これは金利がなかなかむずかしい話でありますけれども、早くも銀行協会長は反対の声を上げられました、これも非常に重要な問題ですから、一度当委員会でもやらなければいかぬと思っておるのでありますけれども債務証書金融機関からの長期借り入れ、こういうような三つぐらいの手段で五兆円、私は頭の中で五兆円と考えているのですけれども、五兆円近くを消化をするということぐらいのことをやらぬと、どうもことしの発行条件流通利回りとの関係等を見てみますと、消化不良を起こすのではないかという気がするのでございますけれども、その点については協会長は、現場にいらっしゃってどういうふうにお考えでございましょうか。
  8. 植谷久三

    植谷参考人 お答えを申し上げます。  ただいま先生が御指摘になられましたように、新聞の伝えるところによりますと十四、五兆の国債ということだそうでございます。多分こういうことが事実ということになるとするならば、これは私どもといたしましても、なかなかきれいごとだけでは済まないことだというふうに心配をしていることは事実でございます。  そこで、もちろん私ども国債消化で御協力することは、もう当然のこととして今日まで非常な努力をしてまいったわけでございますが、その中で、常々申しておりますようにまず第一には、やはり市場実勢にできるだけ合ったものであるならば国民は喜んで投資されるんだということに対する自信証券界としては深めているわけでございますから、基本的にはやはり市場動向あるいは実勢を十二分に考えられて、勘案されて、期間その他も含めて国民ニーズ対応するという考え方に徹していただきますならば、これは十四、五兆、場合によってはいけるんではなかろうかというふうに一応考えます。  しかし、いろいろな条件でなかなかむずかしい問題もありましょう。抽象的に市場実勢にと言ってみても、いろいろその間にむずかしい問題もあることは、私も全然知らないで物申すわけではございません。したがって、できるだけ発行者の立場も考えながら物を申し上げさしていただきますと、何と言っても先ほど触れましたように、その状況によって資金運用というものは短期化してくるという、今日はそういう状況の中にあると思うだけに、その国債短期化といいますか、期間短期化多様化先生指摘になりましたように、三年もの、二年もの、一年もの、なかなかいろいろな問題があることも承知しておりますけれども、それだからといって、十年ものだけで押し通していくということでは、とても十兆円も大変むずかしいだろう、これも先生の御指摘どおりで全く同感でございます。  したがってそういう意味で、市場では期間がまず短いということを最も要望しているというニーズがあるとするならば、それに対応するものをお出しになるならば相当これはいけるのではなかろうか。金融機関も私は同様だと思います。それから個人でも同様だと思います。そういうことで、ことしはいろいろな困難を配慮されまして、それでも三年ものの中期国債入札方式によりまして一兆円発行していただきました。こういったようなものをもっとふやしていくとか、あるいは先ほどおっしゃった二年ものないしは四年ものも、一年ものもといったようなことでできるだけ期間多様化を図られますと、それに対応する資金というのはいろいろございますから、私は相当の金額がこれで消化ができるというふうに思うわけでございます。  それから第二番目には、これも御指摘になりましたけれども経済は生き物ですし、経済動きは日々いろいろ変化もあることでございますから、適時資金運用部資金も、私、資金運用部資金はどういう性格を持ってどういうときに使われるのか、そういったことは民間人だから知りません、知らないままに申し上げることをお許し願いたいと思いますけれども、やはりできるならば長期債発行の助けになるような動きを適宜やっていただく、ないしは、かなりな分をお引き受けできるものならばお引き受けしていただくといったようなこと、あるいは市場の一時的な調整のために出動していただくというようなことなどに積極的に臨んでいただくことは、国債消化に大変プラスになることだというふうに率直に私は考えております。  それから第三番目には、これもいよいよそういう時期ではなかろうかという気がいたしますのは、おっしゃるように来年度十四、五兆、あるいは再来年がどうなるのか、これも新聞の報ずるところによりますと、余り減るような話は出てまいりませんので、やはりこれから数年は相当の額の国債による調達が必要なんだということを前提にいたしますと、やはりこの発行、なかなかむずかしいと思いますので、増発の部分の一部分なり相当な部分なりを非市場性の国債を御検討願ったらいかがであろうかというふうに考えるわけでございます。  その理由は、私は二つあると思うのです。一つは、やはり長期の金も、これだけ大きな国民経済の中の資金でございますので、かなりあると思う。そういう資金対応するものとして、市場価格の動くような市場国債はいろいろなまた別な意味を持ってまいりますので、そういうことのない、比較的長期のもので有利な債券を発行していただくということ、それは、一極の国民資金ニーズ対応する一つ手段だと私は思っております。  それからまた、そういうことを申し上げるもう一つの面は、同じ長期のもので対応してまいりますと、これは当然直接間接に市場に影響をしてくる問題でございます。町場に流れる、これはまた流れなければおかしいのである。市場性の国債というものは、市場において自由に動くことによって国民の信頼性を保つものでございますので、その場合に、同じ長期のものだけで無理をいたしますと、それが当然市場にはね返ってまいりまして、必要以上に市場を悪化さすというような懸念があるわけでございます。したがって私どもとしましては、流通市場というのは今日の経済における一番中心になる大切な基本的なものだと思っているのですけれども、それが何らかの意味で必要以上に崩れる、ないしは、そのために臨時の応急の対応措置をとることによってゆがめられるというようなことにつながっていく懸念がある。したがって、そういう市場に流れ出る市場性のある国債というものと、そうでない、非市場国債というものとを切り離した形で資金調達をなされるならば、その意味では私どもとしても別に大きなマイナスを受けない、そして国としては必要資金の調達にプラスされるということに考えられますので、ここら辺も私どもまだ十分な研究はいたしておりませんが、私個人気持ちとしましても、そういうことも大いに積極的に研究する必要があるのではなかろうかというふうに考えております。どうぞひとつ御検討をちょうだいしたいと思います。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 最後に、流通市場も五十三年度末で約百三十三兆ぐらいの売買高になって、非常に大きくなってきているわけですね。これは大蔵省の中でも、局々によって立場が違うのでいろいろの意見があるわけでありますけれども、たとえば理財局長は、その百三十三兆、あるいはいまもっと大きくなっているわけでありますけれども、この市場を支えるのに、証券だけでは受けざらが小さいのではないか、新規の金融機関等の参入も考える時期に来ているのではないか。いま協会長も言われましたように先行きまだまだ、たとえば赤字国債がゼロになっても建設国債が、額はどうなるかは別といたしましても発行されていくということになると、もう少し長期に物を考えていく必要があるわけですけれども、そういう発言をされている方もいらっしゃるわけであります。  この点について正直のところ、いま流通市場を扱っている砦さん方として、実は証券会社だけではとても負いかねるんだ、こういう気持ちというか、感触というか、そういう危機感というのがあるのかと言えば、背後に御存じのように、たとえば銀行がやるということになりますと、キャピタルロスを持ったものを銀行が扱うということでありますから、そういった意味ではなかなか大きな問題なものですから、証取審でも若干審議があるようでありますし、当委員会でも本格的にこの問題は結論が出るまでに少し詰めなければいかぬと思っておるのでありますけれども、この点についてどういうふうにお感じになっていらっしゃるのか、それを最後にお伺いしておきたいと思うのです。
  10. 植谷久三

    植谷参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘になりましたように、確かに公社債市場は急速に拡大してまいりまして、恐らく五十三年度は市場における流通量二百兆円になろうかと思います。私どもの試算では、五十八年度ごろにはもう五百兆円になる、しかもこれは公社債市場の本当に中心と言おうか、もう過半数を占めるような非常に中核的なものが国債だと思います。そのこと自体大変結構なことで、これほどの大量な売買が行われるということにおいて初めて、国債が本当に国民の中に信頼性を持っておるということのむしろ私は左証であろうと思いますし、流通市場が健全に拡大発展していくことの左証だというふうに理解しているわけでございます。  そういう中で、とにかく新発憤がなかなかむずかしいので、ひとつ他の機関でも売らせたらどうだという声が率直に言ってかなりあることは承知しております。新聞等にもおもしろおかしく取り上げられておりますが、私ははっきり申し上げて、これに対して絶対に反対の立場をとっております。それは、私が証券会社の男だから利害上反対しているんだというふうに誤解されても困ります。私はむしろ銀行と証券とのそういう業務分野といいましょうか、まるで利益の争奪戦みたいな意味での観点から強く反対しているわけではございません。むしろ私は、大きな意味日本の健全な資本市場に大きな阻害を来すのか来さないかという観点から、私は来す公算が非常に大きいという私の考え方の中で絶対反対だということを申し上げているわけでございます。  まず第一に、国債消化の問題が中心に話が出ておりますので、その点から触れます。先ほど来そのことについては触れてまいりましたが、今日の国民経済のあるべき姿の中で、つまり無理にどうするということはちょっと除いて、当然に健全な国民経済存立の中で、そういった中での国債個人消化というふうに焦点を当ててみますと、これは先ほど先生も御指摘になりましたけれども、海外に比べましても日本個人消化は決して劣っているわけではない、なお対応できる措置を講じていただけるならば、当然にもっともっとわれわれの手で消化ができるという確信を申し述べてまいりましたが、そういう意味で、証券界は信用できぬ、力足りないなあとおっしゃられる必要はないのではなかろうかというふうに私は思っておるわけでございます。  それから第二番目に、この個人消化の拡大の方法といたしましては、国債市場国債である限り、国債の魅力といいましょうか、商品性といいましょうか、それの向上こそがまず第一に考えられるべき問題である。条件を大きく乖離させたままで、おい消化できないじゃないかと言うのは多少私は当たらない問題だと思う。やはり市場実勢対応した形で、筋の通った形で対応していただきますならば、これから申し上げますけれども、いろいろ問題の多いほかの金融機関の窓口をふやすのだということよりも、いま申し上げることの方がまず先になされるべきことではなかろうかというふうに考えるわけであります。またそういう形で対応していただきますならば、もっともっと多くの国民がもっともっと大きな資金国債消化に参加する、われわれの長年の経験から言ってそういう自信を持っているわけでございます。  それから第三番目に、価格の変動するいわゆる市場国債を銀行等の普通の金融機関、預貯金等を中心にされる金融機関等でこれを扱われるということは、いろいろとその後に引き続く問題が予想されるわけでございまして、私はこれは国債管理政策上も好ましいことではない、多分弊害が生ずるであろうというふうに考えますと同時に、先ほど申しました公社債市場の機能を著しく阻害するという懸念を持っておるわけでございます。このことは大変重要なことだと思います。最も自由濶達にされるべき公社債市場が何らかの意味でその機能を損なうということになることは、大変なことだというふうに考えておるわけでございます。  若干敷衍させていただきますけれども、先ほど第一点で申しました、一応証券会社だけで十分ではなかろうかということは、もうこれ以上くどいことは申し上げません。証券界が今日まで売却というか消化してまいりました数字、ことに五十二年度に至りましては、利付国債だけで月平均一千七百二十一億円と先ほど申しました。五十三年度の四−六には各月二千六百億円に近いものを消化し、飛躍的にこの数字が伸びておるわけでありますから、今後しかるべく対応していただくならばもっともっといくということでございます。  もうすでに現在、個人の保有している国債市中残存高に占める比率も二三%程度になっておるわけでございますから、アメリカなど貯蓄国債を含めましても二〇・一%、市場国債だけで言いますと九・六%なんです。イギリスでも両方合わせて一九・六%、市場国債だけでは一一・九%、西ドイツは多少高くて一二・九%が市場国債、非市場性のものを加えますと一八・二%になるわけですが、いずれにいたしましても他国にそうひけをとる数字ではないというふうに考えておるわけでございます。その場合に、やはり欧米先進国におきましても、国債管理政策の上で、市場国債ばかりでなくて、非市場国債をうまくかみ合わすことによって、安定した国債の発行が行われているというふうに申し上げていいのだろうと思います。  そこでその次には第二の点、個人消化の拡大策といたしまして、国債の魅力を向上していただくことだ、そして国民ニーズにこたえていただくことだということを最初に申し上げましたが、そのことをできるだけ御勘案をちょうだいしたいということでございます。それから、期限の問題、これもたびたび触れましたのでもう繰り返し申しませんが、こういうようなことによって十分に対応できるわけでございます。  それに他の機関で、たとえば銀行等金融機関がこの商品をお使いになることによって、市場性のある動くものをお使いになることによって、いろいろ問題があるわけであります。たとえば窓口でお売りになる。市場性の商品でございますから値が動きます。当然にこれは下がったりするわけでございますけれども金融機関は御承知のように、値の動かないものを本来的にお扱いになっているわけであります。これはもう明治以来の一つの慣習というか、当然のことでございます。したがって、国民の見る目は、銀行というところは、銀行ばかりでなく金融機関というところはそういうものだ。そういうところでお売りになりますと、頭ではわかっても、はだ身的に国債に対する誤解が当然生じてくる。国債の値段が下がるとは何事だという問題につながるだろうと思います。そういうことで、それがまた下がったりすると、今度は国債の信用にかかわるというふうに理論が行って、やはり市場国債としての十分な機能を発揮されない。そのことは国債に対する国民の信頼を失うことにつながっていくというふうに私は考えるわけでございます。  それからまた、もしそれがそういうことでない場合、たとえばそれじゃ大変だから買い戻して差し上げましょうというようなことにでもなると、これはもう価格が二重価格になって、証券市場動きというものは非常に限定されるというか殺される結果になって、流通市場というものが成り立たなくなる。また同時に、証券会社の窓口では売れなくなるといったような問題が後につながってくる。  それからまた、銀行はそれ自身がたくさん保有なすっております。大変たくさんな国債をお持ちになっておる。保有者は、やはりその商品の価格の問題とつながってまいりますので、そこら辺から、どうしても銀行がリーディングに参画して価格をというか、そこまで言ってしまうと角が立つかもしれませんけれども、無関心でおれないということにつながって、いろいろ複雑な問題が生じてまいります。  そういうことで、やはりこれは流通市場を決定的にいろいろな問題を関係さすということで、このことはひいては日本の今日のあるべき資本主義、健全なる資本主義にも影響してくる問題だということから私は反対をしておるわけでございます。
  11. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 どうもありがとうございました。
  12. 野田毅

    野田委員長 植谷参考人には、御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  ただいま参考人として日本公認会計士協会会長尾澤修治君が御出席されております。  尾澤参考人には、御多用のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  佐藤観樹君。
  13. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 公認会計士協会の会長、大変お忙しいところ出席ありがとうございました。  言うまでもなく不二サッシの粉飾問題、これはその長さからいっても、あるいは粉飾額が四百二十九億という膨大な額からいいましても、残念ながら日本の監査制度の歴史の中で今日までのところ、最大汚点を残したことになるわけであります。しかし、汚点は汚点といたしまして、一体どこに開脚があったのか、そして、これが制度的な欠陥ならばそれを正していくというのが、私は前向きな問題処理の仕方であり、また当委員会の重要な役目だと思うわけでございます。ちょうどことしが公認会計士制度三十周年になるわけでありますけれども、三十年といっても決してこれは長い歴史ではないと私は思いますので、まだまだいろいろ改善をしなければいかぬところがあると思うのであります。  そこで一つ話の前提として、これはすでに二人の公認会計士の方が、証取法の違反幇助ということで東京簡裁で略式命令が出、罰金が払われているということでありますから、したがいまして、事実上この二人の公認会計士の方は、この事実を知っていた、そして、何らかの形でそれがこの粉飾に巻き込まれてしまったというふうに解釈せざるを得ないと思うのでありますけれども、この事実関係についてはそういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。それによって次の対応の仕方が、これが見抜けなかったということになると、なぜ見抜けなかったかというところに問題が行きますし、実は見抜けていたのだけれども、何しろ相手も大変な社長でありますから、そういった意味で巻き込まれてしまったということになりますと、皆さん方の独立性保持をさらにどうやって進めていくかという問題になってくると思うのでありますが、まずその点についてはいかがでございますか。
  14. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 お答え申し上げます。  不二サッシの粉飾事件につきましては、日本公認会計士協会では、大蔵省及び検察当局の御都合もございますので、まだ本人から十分な事情の聴取をいたしておりません。そういう状態でございますので、詳しい事情はむしろジャーナリズム、そういう方面からいろいろ聞き知った点を主にいたしまして、事態を判断いたしておりますが、近日中に本人の出頭を要請しまして、詳細に調査する予定に相なっております。そういうわけでございまして、知っていたかいないかということにつきましては、まだ私どもとしては確言いたしかねる状態でございます。
  15. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 ただ、私が読み上げましたように、東京簡易裁判所の方で略式命令が出て、それ以上控訴をされたという事例がどうも見当たらない。聞くところによりますと、二十万円の罰金を払われたということを新聞記事で見ますと、これは事実上粉飾は知っていてなおかつ佐野前社長に巻き込まれたというふうに見ざるを得ないのじゃないかなと思うのですが、その点はどうなんですか。
  16. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 略式命令によりまして二十万円の罰金を二人の公認会計士が受けた、このことにつきましては、もう公表されておりまして、恐らく経理といたしましては知っていたという事実があったからこういうことに相なったのじゃないかと私は思っております。
  17. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 そこで、参考にお伺いしていくわけでありますけれども、この事件についてはほぼ知っていたのではないかという結論でありますけれども、たとえば皆さん方の方で、監査基準なり監査実施準則あるいは監査報告準則といろいろ監査のやり方についての手続を決められているわけでありますけれども、これだけ十五年、十六年にわたり、しかも帳簿が税務署用、銀行用あるいは証券会社用というようにいろいろ組織的につくられていたと新聞等で報じられているわけでありますが、ここまで組織的にやられた場合になおかっ、いま申し上げました監査基準等々でちゃんと手続どおりやっていけばこれはわかる、あるいは新聞等によりますと、金融機関の残高証明も取ってなかったのじゃないかとまで言われているわけでありますけれども、ここまで組織的に不三サッシで佐野前社長がやられても、ちゃんと手続さえ踏んでおけばこれは何らかの形で発見できるんだ、こういうふうに私たちは思っていてよろしいのでしょうか。
  18. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 お答え申し上げます。  知っていたかどうかということでございますが、知っていた範囲がどの程度であるかということが問題であろうと私は思います。全部が全部知っていたのか、ある程度にとどまっていたのか、この辺のところが一つの問題ではあろうと思っております。  それからおっしゃるとおり、われわれが所定の監査手続をちゃんと踏んで進めていけば、このことはわかるのが当然であると私は思っております。
  19. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 そうしますと問題は、こういった粉飾決算等に巻き込まれない、皆さん方の職務上の独立性の保持をいかに確立をしていくかということが、この事件を契機に、さらに経済の民主化のためにも非常に必要なことだと私は思うのであります。  それに関連をすることなんでありますが、会社の規模にもよりますけれども皆さん方調査をするのは、大体二百日くらい調査をされるというふうに聞いているのでありますけれども、いまはたとえば商事会社をとってみましても、海外に支店が非常に多い。ことし国会でタックスヘーブンに対する課税の問題も法律で、十四カ国ですか、この適用国にした。しかし事実上国税庁としましても、海外までの調査権自体があるわけではありませんから、その意味では、タックスヘーブンに対しても、国税庁という国家権力をもってすら大変苦労するわけですね。ましてや皆さん方が海外に支店のあるものについてまで監査をする、これは実は並み大抵のことじゃないと思うのですね。それが果たして二百日ぐらいのことでできるんだろうか、その辺の実態はいかがなんでしょうか。
  20. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 確かに会社の規模の格差というものが大きゅうございまして、いまおっしゃいました二百日というのは、中規模の会社であろうと私は思います。中規模の会社であるならば、二百日前後をかければ大体のことは十分にわかり得ると私は思います。ことに粉飾などは絶対に、これだけの日数をかければ私はわかり得ると思います。しかし、海外にいろいろ持っております関係、ことに連結などありますと、こういうあたりのところになりますと相当な日数をかけなければなりません。それで、それもまた会社により、また監査人の考え方によりましていろいろな差異がございますが、それぞれ相当の日数をかけて監査を実施していると思っております。  ただ、問題があれば、それは会社の規模ないし十分にやるべき点を尽くしていたかいないかという点が多小問題があるかもしれませんが、それはそれぞれの監査人が納得するように証拠を集め得ればそれで足りると思っておりますので、公認会計士協会としては、その辺のところを十分な監査を実施したか否かということはある程度の統計的なもので見ておりまして、ことに今後は、そういう点でいささかでも疑問が持たれたりするものに対しましては、事情も聴取して、十分な監査ができているかどうかということを調査しようという方向を目下講じつつあります。
  21. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 いま会長が言われました中規模というのは、たとえば資本金どのくらいの会社を言われるのですかよくわかりませんが、いずれにしろ、その辺のいわゆる中規模以下なら大体そのくらいの日数でいま足りるということでしょうけれども、それ以上になるとどうも足りていないというふうにもとれるわけですね。果たしてこれを一体どこが——皆さん方がそういった要望を出され、いまのような監査をされる会社の方にとってみても、証取法上、商法上あるいは東京証券取引所がうるさく言ってくるから、しょうがないから監査を受けるんだというのが正直のところ、会社側の態度と言っても私は過言ではないと思うのですね。そうなってきますと、こういった日数が少し足りないというような大規模な企業について、一体これがどこから命令というか、もう少し日数をちゃんと監査人に与えるようにということはだれが言うのかわかりませんけれども、それはいずれといたしまして、そこで渡辺局長からも九月二十九日付で尾灘会長あてに通達が出されているわけです。  一番問題なのは、この中で独立性の保持の問題ですね、これが何分とも、皆さん方が自由人であるために、身分上の不安定さというのは絶えず持っているわけで、二百日、三百日かかる監査は、たとえば首切られた場合には来年からはその会社についての仕事はないということになるわけですから、これはなかなか大変だと私は思うのです。その辺が若干弁護士の方と違うむずかしさというのがあると思うのですね。  局長が協会長に出された通達の中で、ただ一点ちょっと具体性を欠くなと思われるのが、「独立性の保持」の一項目、「会員が職業倫理に徹し、専門的能力をかん養し、独立性を堅持するために必要と思われる所要の諸施策を講ずること。」こういうことが書いてあるわけですが、これはどうも他の項目に比べましてちょっと抽象的ではないか。皆さん方が本当に独立性を保持するために一体どういうことが必要なんだろうかということを、もう少し具体的に突っ込んでいく必要があるのじゃないか。  そこで、この前も大蔵委員会でも問題になりましたけれども、いま公認会計士の方々の選任というのは、取締役会が選任をして総会に報告すればいいということになっているわけですね。ところが考えてみれば、取締役会が事実上業務なり会計をやっていくのに、その取締役会から委嘱をされた会計士では手続的にも法理論からいってもおかしいんじゃないか。本来ディスクロージャーである限りは、証取法上あるいは商法上、株主の依頼を受けて監査をするというのがディスクロージャーの本旨であるし、本来公認会計士というのはそういうものでなければいかぬと思うのです。独立性保持の具体的なあり方として、これは商法改正になるわけでありますから大きな問題でありますけれども、株主総会が皆さん方に委嘱をする、具体的には取締役会の発議になるかもしれませんが、株主総会の依頼を受けて皆さん方が監査をするということが、一つは制度的にも独立性を保持することになるんじゃないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  22. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 最初お話がございました、大きな会社が日数が足りないというようなことは、そういうように申したのではなくて、規模に応じてこのくらいはかけてもいいんではないかと思われる私ども一つの目安を持っております。それから見まして著しく足りない、こう見られるものについては事情を聞いて調べるということでございますから、その点を一つ訂正いたします。  それからその次に、独立性という問題でございまするが、これは非常に複雑な問題が絡まっておるのでございますが、独立性というものは要するに、不偏公正な立場を持するということでございまして、それにつきましては、まず精神的な面が一つ、それからその次には経済的な面が一つ、それから第三には身分的な面が一つ先生が先ほどからおっしゃっていますところは、この三つを御一緒になすってお考えになっていらっしゃると思いますので……。  それで、この中で経済的な独立性というもの、これは特別な利害関係と言われております。それから身分的な独立性というのは、会社の役員、従業員などであったとかいうような関係、そういうものにつきましては、すでに欠格条項におきまして排除されております。そういう関係があった人は監査人としてはそういう立場を与えられないというようになっておりまするが、一番むずかしいのは精神的な独立性でございます。  精神的な独立性は倫理規定で、われわれが職業的専門家としてあるべきあるいはとるべき態度につきましては監査基準において明示されておりまして、その線に従ってわれわれは行動をしていかなければならないということに相なっておるわけでございます。この公正不偏の態度とか、それから人間的な矜持を持していくという行き方につきましては、それぞれ人間の精神的な問題でございます。モラルの問題、そういうような非常に抽象的な面がございまして、非常にとらえにくいというように私は思っております。  そこで、これはやはり精神的な面でございますので、人間という一つのまた弱さを持っている立場から、私どもは常にこの強化をどういうようにしていくか、すなわち、監査人としての適格性を保持していくために独立性をいかにして強化していくかということには非常に心を砕いておりまするが、まことに精神的な面を強調すればするほどなかなかむずかしいのでございます。  それでは、具体的にはどういうような方法をとっているかということを御説明申し上げれば、研修会を、これは生涯教育であると私ども思って努めておりますので、その機会におきまして、公認会計士の独立性保持というものはいかにあるべきか、また保持していないために生じたる事例なども挙げまして説明をして、みんなに十分了解し、心の中に深く刻みつけて誤りなきを期するというような方法をとっております。これはあらゆる機会をとらえましてそのことを非常に努力しております。  それからその次には、公認会計士が監査を委嘱される会社との関係におきまして、とかく弱い立場に立たされる場合があり得るわけでございます。そのときに、強く発言ができ、主張ができるようにしてバックアップしていかなければならないと思います。したがいまして、これはたとえば会計士としましてどうも不適任だというような理由づけでその立場にあった者が追われるというようなことがありますれば、これは私どもとしては納得できる理由がない限りは承服しない、次のだれかが監査人として指名を受けても、委嘱を受けても、これに対しては前任者がそのことについて承認をしない限りは引き継ぎが円満にできないというようなことになりまして、ここは非常に公認会計士協会としては、特殊の事情によりまして敬遠された者に対してはこれを後からバックアップしております。それから、場合によればその中に深く立ち入りまして事情を聞いて、そして簡単に交代をさせないようにしまして、独立性を保持するというような方策を講じております。  それから、これもいままでは担当の常務理事が主としてやっておりまして、場合によれば規律委員会にもかけるというような方法をとっておりまして、公認会計士法には紛議調停委員会というものが規定されております。この法律に規定されているところの紛議調停委員会は、外部者もその委員の中に加わっておるわけでございまして、したがって、公正なる第三者的な立場において御判断をこういう方々にもしていただきまして、独立性を保持するべくバックアップしていただく、そしてその紛議が起こった場合には正当に処理していくというような方法によりまして、独立性の保持に努めておる次第でございます。  それから、株主総会の選任のことでございまするが、この御趣旨は、先生のおっしゃるとおり、全く私は賛意を表したいと思っております。何となれば、取締役は会社の計算書類、すなわち財務書類の作成者それ自身でございます。だから、それをつくったその人が、一方では公認会計士たる会計監査人に監査を受けるわけでございますけれども、つくった人がみずから会計監査人を選定するということは、私はそこにどうも関係にアンバランスな面が見受けられると思っております。そこで、柱主総会において選任をしていただきますと、ちょうど会社の役員が株主総会において選任されたと同様に、公認会計士たる会計監査人もまた株主総会から選任されたということになりますと、全く対等の立場においてお話ができる、仕事を進めていくことができる、こういうように私は理解しておりますので、このことは前回の商法改正のときにも問題になったのでございまするが、これが立ち消えになってしまいまして、現行どおりでございますが、私は、もし次の商法改正におきまして会計監査人の選任を株主総会でしていただければ、これこそ私どもの立場が会社の取締役と対等な立場においてお話ができるという非常に公正な関係がここに確立される、こう思います意味におきまして、そういうようにぜひお取り計らいを願いたい、私の方からお願いをしたい次第でございます。どうぞそのように御理解いただきたいと思います。
  23. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 最後に、今度の不二サッシの問題が、どういうふうにこの二人の会計士の方が巻き込まれたのかよくわかりませんので、どうも断定的なことは言えないわけでございますが、しかし、長年会計士をやっていらっしゃる方でありますから、こういった刑法上の処罰だけではなく、登録抹消等も当然考え得るわけですね、そういうことを考えてみますと、なおかつこういった粉飾決算に公認会計士の方が巻き込まれたということは、いま会長のお話の中で経済的な問題は軽くすっと通られてしまったけれども、私なんかの思うところ、やはり身分が非常に不安定だということですね。それはいま会長御説明願ったように、あるいは渡辺局長の通達にもありますように、万が一理由がはっきりわからずに交換された場合には徹底的に少し詰めなさいということがいま御説明がありましたし、局長の「独立性の保持」の二項目にもそれに関連することが書いてあるわけでありますけれども、そういうことからいきますと、非常に身分が不安定だということ。これは背景としては、皆さん方が五千四百人くらいいらっしゃいますか、市場——市場と言うと変な言い方でありますけれども、証取法上あるいは商法上の監査を受けなければならない企業というのは限られているわけですね、それとのアンバランス。もちろん一社に一人行くわけじゃありませんで、共同監査なり複数監査をするわけでありますから、単純にそれで物を割るわけではありませんけれども、しかしいずれにしろ、非常に身分が不安定だということが私は、今度の不二サッシの問題で二人の公認会計士の方が、その重大性を知りつつもついつい巻き込まれてしまったのではないかという気がするわけです。  そういうことから考えますと、こういうことは世界でもないわけでありますけれども、いまできれば総会の推薦にするということに御賛意をいただいたのですけれども、もう一つ進めて、たとえば日本公認会計士協会が、これは公正取引委員会との関係がどうなるか、ちょっと私、調べてないので申しわけないのですが、公認会計士協会が監査されるべき各会社に人を派遣する、向こうで選ばせない。ただし、これは会社の方も、大きな会社になれば、完全に知るまで二年くらいかかると言われておりますから、そう一年ずつかえたらこれまた非常に不合理だと思うので、その辺のところを三年なり五年なり続けていいと私は思うのですけれども、公認会計士協会から派遣する、あるいは公認会計士協会と監査される側の代表者と申しますか、そういった第三者機関のようなものをつくって、そこが選定をして派遣するというような、そこまでできないものかどうか。なかなか企業の秘密も片面では皆さん方は見るわけでありますから、そうそう次から次から人がかわった場合には問題もないとは私も思っておりませんが、そこまで行くことは非常に皆さん方の仕事がやりやすくなるのじゃないだろうか。経済的にはそういった意味では不安もないですし、非常に監査もしやすくなるのではないか。独立性保持のために行き着くところはここではないだろうかと私は思うのですが、その点についてはいかがですか。
  24. 尾澤修治

    ○尾澤参考人 まず最初に、公認会計士の数とそれから公認会計士業務の量とがアンバランスではないかという御質問でございましたが、これは私は必ずしもそうではないと思っております。確かに公認会計士の仕事は監査が主でございますけれども、そのほかにいわゆるMS業務と称するような面もございますし、税務の仕事もございますし、いろいろございます。それから、一社について一人の会計士が行くわけではございません。ことに最近は、企業の規模が非常に大きくなり、かつ業種も多様化しておりますので、何人かの人間がスクラムを組んでいかなければならないという実情から見ますると、必ずしもいまは需要に対して供給が多過ぎるとかというような状態ではないと私は思っております。若干のアンバランスはあるかもしれませんが、いま問題視しなければいけないような状態ではないと見ております。  それから今度、会計監査人を公認会計士協会あたりから順次交代をするように取り計らったらどうかという御質問でございまするが、これは、公認会計士と会社との間に信頼関係がございませんと監査というものはスムーズに、円滑に実施できないのでございます。そういう必要上からいきますと、知らない人がその会社に行きましても、そこで人間的にうまく円滑な条件が整いまして、そして監査が十分に実施できるというようなことがどうしてもなかなか困難ではないかということが一つ。それから、これはまだどこの先進国でもやっておりません。それから、公認会計士の選定につきましては、すべて自由主義経済のもとでは、直接会社、ないし会社の所属している、アメリカなどではいわゆる監査委員会と称する社外重役をもって結成している一つの外部的な働く機関がございますが、そういうところの推薦によって行われている、こういうような実情でございますし、それからもう一つの問題は、もし公認会計士協会で常にだれを選定するかというようなことになりますと、やはり公平に順繰りに、こういうことになると思いますけれども、公認会計士の能力というものは遺憾ながら千差万別でございます。そこを無視しましてだんだんといくということは、一つの悪平等になるおそれもありますし、また監査の円滑な実施にも支障を来す、こういうことにも相なるとは思います。  それからもう一つ申し添えたい面は、公認会計士協会でそういうように会計監査人を送り出した場合には、その送り出した会計士に対しては責任を持っていなければいけません。ところが、その送り出した会計士がやる仕事について全部が全部一々目を光らして見ているわけにはまいりません。したがって公認会計士協会としては、推薦して出した公認会計士の仕事に対して責任を持たなければいけないという非常に重大な局面が出てまいるわけでございます。これは不可能でございますので、私は、現行の制度によりまして、会社と会計士との間に相互信頼関係があって、しかもそこに強固な独立性が保持できるという関係が確立されて初めて監査というものは円滑に実施できる、こういうように信じておる次第でございます。  その意味におきましても、取締役会において監査役の同意を得て現行のように会計監査人を選定するよりも、株主総会において選任していただきますれば、株主全体をバックに力強く発言ができますから、そういうようにしていただく方がよろしいと思います。むしろ現在の監査される者が監査をする人間を選定する、これは大変な間違いであろうと私は思っております。今後もし機会がございましたら、ぜひ先生の御尽力を得まして、そのようにお取り計らいをいただくようにお願い申し上げたいと思います。
  25. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 大変参考になる御意見、どうもありがとうございました。
  26. 野田毅

    野田委員長 尾澤参考人には、御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  ただいま参考人として東京証券取引所理事長谷村裕君が御出席されております。  谷村参考人には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  佐藤観樹君。
  27. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 いま証券行政が何かと国民の注目を浴びているところでございますが、谷村理事長、大変お忙しいところ出席ありがとうございました。  早速でございますけれども、日興証券が科研化学の株価について何かつり上げをしたのではないかということが新聞等でいろいろと報道されているわけであります。ところが、私もいろいろ調べてみたのですけれどもどうもわからない点があるし、きのうの終わり値が二千四百十円になってかなり戻しているというようなところを見ますと、どうも新聞の報道とは違うんじゃないかというような気がするところもあるわけですね。  そこで、まず証券局長にちょっとお伺いをしておきたいのでありますけれども、新聞の書かれている点でもし何らか抵触するとなれば、四十九年十二月二日の例の田辺通達の第一項目にあるところの、その流した情報が「客観的かつ正確な情報を投資者に提供することとし、自社の営業方針に基づく特定少数の銘柄の一律集中的な推奨の如く投資情報を主観的又は恣意的に提供することは厳に慎むこと。」これに触れることがあったのかないのかということが一つのポイントだと思うのであります。この点について、証券局長の方としてはどういうふうに調査をされ、どういうことになっているのか、その点をまずお伺いしたいと思うのです。
  28. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 科研株につきましては、売買高が一時かなりふえ、株価も急速に上昇していったという事実が確かにございます。またその過程におきまして、日興証券のシェアが大きかったということも事実でございます。  株価形成の問題につきましては、東京証券取引所において調査しておられるところでございますけれども、私どもは、そのように売買高がふえ株価が上昇していく過程で、証券会社の営業の進め方というものについて問題がなかったかという観点から事情聴取など調査を進めているところでございます。  ただ先生も御承知のとおり、株式の営業の場合の投資勧誘というものにつきましては、行き過ぎがあったかどうかを判断するのになかなかむずかしい面があるわけでございますが、私どもが現在事情を聴取しあるいは資料等において判断しているところでは、法令違反あるいは通達にずばり抵触しているというふうな事実は確認しておりません。ただ、先ほど申しましたように、シェアが大きかった、あるいは支店でかなり売買高が多かったところもございますので、そういうところで、個々の営業マンの顧客に接する際の営業の進め方、投資勧誘のあり方等について反省すべき点がなかったかどうか、問題とすべき点がなかったかどうかということを現在、さらに調査を進めているところでございます。そういう点におきまして多少反省すべき点の事実を確認した場合には、証券会社を指導監督する立場、投資者保護の立場から、その証券会社に対し反省を求める等、当局としての対応策を考えたいというふうに思っているところでございます。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 私がいま挙げましたように要するに法令違反はない、それから、いま読み上げました田辺通達ですね、ましてや自分で買い込む、いわゆる玉を仕込むという、こういうこともなかった、このことは確認されているようですが、局長の言われることは、最終的にはマナーがどうだったのか、お行儀はどうだったのかというところぐらいにまだ少しわからないところがあるので、その辺をということのように理解しておいてよろしいですか。
  30. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 いま先生の御指摘にございましたように、かつての推奨販売というのは、証券会社が大量に玉を仕入れまして一般投資家に売っていたわけでございますが、本件につきましてはそういう事実はございません。また、特定の銘柄を集中的にということでございますが、通常証券会社の場合、顧客から株式の注文を受けます場合に、やはりいろいろな情報提供を求められることもあるわけでございますから、このような銘柄というのを調査部門等において調査した上で挙げる例はあるわけでございまして、日興証券の場合にも、科研株以外にもそのような通常証券会社がやっているような幾つかの銘柄を挙げているということでございます。また、恣意的な情報を提供してはならぬ、主観的な情報を提供してはならぬ、客観的な情報を提供するということは当然なことでありますが、その科研株につきましては、調査部門等においていろいろ調査をした段階での事実を恐らく投資情報として提供しているかと思いますが、それが必ずしも恣意的あるいは主観的、断定的な判断とはとれないわけでございます。  ただ、実際に投資家に接触するのは個々の営業マンでございますから、その営業マンがどういうふうに投資家に接触しているかということが基本的には一つの問題であろうかと思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、そういう個々の投資勧誘の際の問題としてさらに調査を進め、実態を把握していきたいというふうに考えているわけでございます。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 確かに営業マン一人一人、何千人という人の話でありますから、その辺のところはなかなかむずかしいところがあろうかと思うのです。肝心かなめなのは、こういった証券会社の行動によって株価形成に何か異常なものがあったのかどうなのかということが、一番重要なポイントになるわけですね。  私の聞く限り、東京証券取引所の売買審査室の方でも大蔵省流通市場課と一緒にと言うと変ですが、連携をとりながら三カ月ぐらい前からですか、ずっと株価形成についても追っていたということを聞いているのでありますけれども、東証としてこの科研株について価格形成に問題があるというような事実はあったのですか。
  32. 谷村裕

    ○谷村参考人 大体ただいま証券局長からお話を申し上げたようなことでございますが、結論的に申し上げますと、いわゆる不自然な価格形成を操作的にやったということを、私どもは審査の結果発見いたしておりません。  私どもは、ただいまお話が出ましたように、株価の働きが少し異常であるという姿を見るようになりましてから、すなわち、四月、それから七月、八月、それから最近と前後四回にわたっての調査を、これは一般的に株価の動き等に異常がありますときには私どもいたしております例にならってしたわけでございますが、その際に、いま言われたような意味での常業態度まで含めて何かおかしいところがある、たとえば自己売買が非常に多くていわゆる仕込み販売をしていたかというような、そういう点についても調べたのでございますが、ございません。一般的に俗に言う非常な評判を呼んで値が上がってきているなということはわかるわけでございますが、買い付け君はおおむね多数の不特定の客でございます。ただ、私どもとしましては、値動きが激しゅうございますが、いわゆる薬品株については科研に限らずいろいろなところでいろいろな話が出ておりますときでもございましたので、私どもの担当の者から先方の会員業者であります証券会社に対しましては、扱いを慎重にするようにという配慮をその都度要請をいたしました。第一段の御質問に対しては、このようにお答え申し上げておきます。
  33. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 次に、大同酸素と野村証券あるいは糸山英太郎氏の問題が新聞紙上をにぎわしているわけでありますけれども、これも、最初に大同酸素株を勧めたのがだれだとか、いや野村だ、いやうちじゃない、本人自身だとか、あるいは二五%まで買い進んだら向こうが買いにくると言った言わないというような問題等々があるわけでありますけれども、その辺のところは正直言って、両者を呼んでみないと、あるいは呼んでみてもわかるかわからないかわかりません問題だと思うのでありますけれども、その問題も営業姿勢という観点から重要だと私は思うのです。  もう一つ、ちょっと糸山氏の発言で腑に落ちない不思議なところがあるわけです。それはたとえば、十一月三日付の東京新聞での糸山氏の発言なんであります。要するにいまお話ししたようなことで、町村証券は、そんな二五%まで買うように勧めた事実はないということで否定をし、「糸山議員から大量注文があったので、四日間ほど注文通り買いましたが、株価の値動きが激しすぎるので証券取引所と相談、これ以上はまずいとすぐ手を引きました。その直後には、全店に大同酸素の扱いを禁止させております」という発言があり、「これに対し糸山議員は、真っ向から反論する。「野村が私の賢い注文を四日間ぐらいしか扱っていないというのは全くのでたらめだ。私の手元には三カ月以上もの大同酸素との売買契約書があります。そんなウソつくなら、刑事訴訟だって辞しませんよ。私が、大同酸素の株を大量に買い集めたのも野村の梅田支店の勧めがあったから。事実を証明する人間がたくさんいます。むろん、商法違反ですから野村がシラを切っているんです」」、こういう発言があるわけですね。これはどう見ても一つ話が飛躍しているのですね。  つまり、四日間ほど注文を出したか、いや糸山氏は、三カ月以上もの間大同酸素の株を買ったんだと言うその直後に、「そんなウソつくなら、刑事訴訟だって辞しませんよ。」という言葉がくるわしけです。これは四日間か三カ月かということで刑事事件などということにならぬわけですね。どうもここが腑に落ちないわけです。最後に、「商法違反ですから野村がシラを切っているんです」という発言があるわけです。これもどうも前後が通じないので、要するに営業姿勢としてもしそういうことがあったならばこれはいかぬということになるでしょうけれども、それは商法違反とか刑法違反ということではないと思うのですね。  私はいろいろ考えてみたのですが、糸山氏という人は、参議院議員であると同時に、それ以前には幾つかの相場を張られたこの道では非常にベテランの方ですね。加えて、自分でも会社を経営しているわけですから、商法なり刑法なりというものは十分御存じのはずだと見ていいと思うのであります。では、この記事自体が、どこか取材の仕方が悪かったのか。私も若干取材記者をやったことがあるわけですけれども、どうも全体を見てみるとそうでもないように思うのです。どうもこの糸山氏の発言を見ますと、何か重大なことが隠されているような気がしてならないのです。つまり話が、四日間売ったのか三カ月売ったのかで、刑法、商法などという問題が出てくるわけはないわけでありますから、どうもそこでそれに抵触するような行為か何かあったのかなということを何か入れないと、この文章は読めないのです。  それは東京新聞だけの問題じゃなくて、最近出た十一月十九日付のサンデー毎日にも同じような糸山氏の発言がありまして、「自分だけは、手数料を稼いでおきながら、客である投資家に迷惑をかけても知らん顔をする。無責任なことを言って客をあおっておいて、自分だけは一番先に逃げる。こんな証券会社の姿勢を正すことが第一に必要ではないか。私は、野村が謝らないのなら、損害賠償を要求するつもりだ。成り行きによっては、刑事事件として告訴してもよい。これまでの付き合いで、私には勝てる“材料”はある。」こういう発言があるわけですね。どうも話が、営業姿勢とか証取法違反とか田辺通達違反とかという話を超えて、刑法、商法という言葉が糸山氏から出てくるわけですね。これは何かそれに抵触するような、私もきょう全部法律を見てくる暇がなかったものですから、証券会社が刑法なり商法なりに違反する行為というのはどういうところになるのか、協同飼料のときはどうだったかなといま思い出しているのでありますけれども、何かそういう行為があったことを彼は暗に言っているのかなという、またそういうことがないとこの文章自体が読み切れないわけです。非常に腑に落ちないわけです。前後の脈絡が通じないわけなんです。この点について、証券局長はどういうふうに調査をなさり、どういう結果になっているのか、あるいは調査中なのかもしれませんが、その点についてはいかがでございますか。
  34. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 いま先生が御指摘になりました新聞の記事及び週刊誌の記事は私も読んでおりますが、はっきり申し上げまして、その刑法の問題、商法の問題ということは私もよく理解ができません。  ただ、こういう場合に私ども、科研株の場合もそうでございますけれども、常に株式の売買をめぐる問題の場合にはまず第一義的には、市場での価格形成がどうであったか、たとえば株価操作的なものがあったのかなかったのかということが第一に問題でございます。それにつきましては、まず第一義的には証券取引所において調査をされるわけでございまして、大同酸素株式につきましても、大阪の証券取引所がいままで調査したところでは、株価操作的なものがあったということは私どもは聞いておりません。しかし、大同酸素株につきましては、さらに大阪の証券取引所も調査を進めているところでございますので、なおその点については、大阪の取引所とも十分連絡をとりたいと思っております。  第二番目は、その投資勧誘の問題でございますけれども、これはいま先生も御指摘になりましたように、勧めたかどうかということはこの両者の間の、通常こういうケースの場合には水かけ論になるケースが多いわけでございます。そこで、刑法問題、商法問題というところは私にもよくわからないのでございますが、あるいは証取法違反、株価操作というのは結局刑事事件になるわけでありますから、そういう点を指して言っておられるかもしれない。したがいまして、いま申し上げましたように、現在証券取引所も調査しているところでございますけれども、いま先生の御指摘もございましたので、なお私どもも大阪の取引所と十分連絡をとりながら、そういう観点から調査を進めたいというふうに考えております。
  35. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 これは大阪証券取引所が主舞台でございますので、谷村さんにはお伺いいたしません。  次に、ダウが五千九百円をさらに更新をしているという状況でございますけれども、一日の扱いが四億から五億、ときには十億株ぐらい扱っていらっしゃる。三年ぐらい前でしたか、証券取引所を見に行っても、きょうは一億あったなかったなんというような話が昔日のように思うわけであります。  しかし、これは喜んでばかりはいられない事態だと思うのであります。背後では片面、非常に危険があると思いますし、これからの企業経営を見てみても、必ずしも楽観ばかり許せる材料ではないと思うわけであります。特に大体言われているのは、市場に出てきているのが逃げ足の早い機関投資家が多いというふうに言われておりますので、そういった意味では非常に危険な状態ではないかと思います。  特に過剰流動性時代の四十七年当時と比べられる方がありますけれども、あの当時はまだ株があり、絵があり、土地がありというようなことだったわけでありますが、いまはこの三つがなくて兜町にすべて集まっているという感がするわけであります。そういった意味で、いまの状態というのを理事長としてどういうふうにその背景をごらんになり、その危険性に対してどういう対策を立てられるつもりか、この点についてお伺いしたいと思います。
  36. 谷村裕

    ○谷村参考人 ただいま佐藤委員の御指摘になりましたように、最近の特に株式、あるいは転換社債も言えるかと思いますが、これを中心とした市況については、われわれといたしましても注意して分析してみなければならない現象面及びバックグラウンド、その両面があるかと思います。  ただいま御指摘もございましたけれども、現象面から見ますと確かに株価も上昇しておりますが、もちろんよく御承知のように、そこの中には両極分化と言われるように、いいのもあれば悪いのもあるという中身でございます。平均的な株価指標でいいますと、御指摘のようにかつての最高の水準四二二ポイントぐらいのところを七月に抜きまして、現在は約四四〇ぐらいに私ども東証株価指数で申し上げると行っておりますから、上がってきております。ただし、その上がり方のスピードと申ますか姿というような点で見てみますと、たとえば四十七年当時の、ほぼ倍ぐらいの上昇をほぼ一年の間に示したというのに比べますと、まだ二割五分くらいの上昇のテンポでございます。昨年あたりと比べますと、昨年の上昇幅と申しますか率と申しますか、二年ぐらい続いて大体一〇%台、一一、二%ということだったと思いますが、それに比べればここ一年の上がりというものは、特に去年の十一月に一番ボトムになりましたときからちょうど一年たっておりますが、ほぼ二割五分くらいの上がりということで激しゅうございますけれども、かつての昭和四十七年に見られたような急激な上がり方があるというふうではございません。  それからまたどういう株式、たとえば大型株とか小型株とかよく言われますけれども、そういうもののどういうのが一体上がっているだろうかというようなグループ別で見ますと、当時はたとえば大型株の上がり方が平均よりも高く見られたというのに比べますと、今度の場合はむしろこれがまた問題なんでございますが、小型株中心になっておりまして、大型株の動きはない。これはいま明瞭に御指摘になったように、企業自体ミクロで見ますと、いろいろな姿で企業があるということのあらわれであろうかと思います。  さような姿から見まして私どもは、市況全体の動きを注意深くは見ておりますが、かつての姿のような意味での、いわば何でもひとつ買いに出てやろう、先はいいんだ、ひとつこの辺でというような非常な浮ついた姿であるとは見ておりませんが、さりとて、企業の実態を無視した、ただ金が余っているから何でも買ってやろうというふうな動きが出てくるとすれば問題でございますが、その点は御指摘のように非常に注意し、警戒しながら見ておるというようなことでございます。  それから第二番目に、バックグラウンドでございますが、これはたとえば経済全体の動きについて見ましても、個別の企業の状況について見ましても、あるいはよく言われます円高問題等につきましても、当時と大きな変化が起こっておりますし、特に、あのときに過剰流動性問題ということでひっくるめて言われておりましたけれども、当時の過剰流動性の動き、金の動きというようなものと、今日における金の動き、たとえば金融機関の貸し出し態度一つをとってみましても、大きく違っているというふうに指摘されると思います。金が兜町へ兜町へと集まってくるという文学的表現もあるわけでございますけれども、しかし経済というものは、とにかく合理性を超えて幾らでも買いに出れば幾らでも上がっていく、幾らでも上がっていくから幾らでも買えるというものではない。  いま逃げ足の早い機関投資家というお言葉をおっしゃいましたが、別の言葉で申せば、ある意味では合理的に投資する機関投資家、これの投資が私ども見ている面ではかなり大きく出ております。事業法人の中でも、余資を持っているものは出てまいります。どうにもならぬところは売っております。全体としては事業法人は売り越しになっておりますが、機関投資家の動きは御指摘のとおり確かに出ております。しかしそれは、常に危ないと見ればすぐ売りに出ます。無理なことはしない、これが大事でございましょう。そういう意味で、機関投資家の動きがある意味で主流を占めておる限り、市況全体に金が余っているからと言われましても、そう乱暴な金の使い方、投資の仕方はしない。  心配なのは、たとえば個人の方々が、何かないかないかというような式でなさることでございましょうけれども、これも基本的には、御自分の大事な財産でございますから、いいかげんな投資判断でしり馬に乗ってするというふうな投資態度にみんなが浮かれてこない限りは、それぞれのお立場でそれぞれ考えてやっていらっしゃるということでよろしいんじゃないか。決して私は楽観論を申すわけじゃございません。非常に慎重に市場動きも見ております。ときにいろいろな意味での警告めいた物の言い方もしておりますけれども、全体として四十七年当時の動きに比べますと、バックグラウンドから言いましても現象面から見ましても、まだ当時のような意味で私ども心配をする必要はないと見ております。  ただし個別には、先ほど申し上げましたように対策もとっております。それから、信用取引中心の動きではございませんけれども、警告の意味で信用取引関係の規制もある程度いたしました。そういう気持ちで、いま佐藤委員同様に、ある意味では非常に心配もし警戒もしながら、全体の動きは私どもの立場として見ておる、かように申し上げておきたいと思います。
  37. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 それはたとえば、信用取引についての委託保証金率を、十月二十六日だと思いますけれども六〇%に上げておられますね。そのほか、信用取引を規制する場合には、掛目率だとか代用担保を現金にするとかいろいろな手段がある。理事長がここで言われるとまた市況にはね返りますから、むずかしいかと思いますけれども、これ以上信用取引を具体的に規制をしたり、あるいは信用取引以外の全体的に値幅制限を縮小するなり何なりという、そういった具体的な対策までさらに細かくするところまでは行ってないんじゃないかというふうに判断してよろしゅうございますか。
  38. 谷村裕

    ○谷村参考人 国会の大蔵委員会で公式に質問されているわけでありますから、私も公式にお答えしないわけにいかないのでございますが、注意をして見ておりますけれども、いま私どもが何か直ちにしなければならないというふうな考え方は持っておりません。
  39. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 次に、理事長が半年間いろいろと御苦労なさって考えられた、例の買い占め乗っ取り防止のための特別報告銘柄制度の問題なんでありますけれども、この制度に私は、いい悪いとかというよりも若干疑問があるわけです。  これについて少しお伺いしたいのでありますが、この制度のもとにおいていまヂーゼル機器が第一号になっているわけでありますけれども、ヂーゼル機器だって、いずれの機会にはこの特別報告銘柄の指定を解かれるときがあるんだと思うのです。解かれるときにどういう状況になっているかというと、売り買いが減っているわけですから、恐らく株価は非常に下がっているんだと思うのです。そうなりますと、下がっている状況ですから、買い占めを試みようとする人は、解除をされているのですから、証券会社は名前の報告等もしなくともいいわけでしょうから、安い、コストのかからない株を買うことが逆にできるんじゃないか。  もう一つは、たとえば大同酸素なんかも、最高値から比べれば、三百三十円ぐらいですか、ちょっと確認はしておりませんけれども、いま約半分くらいの価格になっている。そうなると、大同酸素の場合には、五千人ぐらいの他の一般株主があると言われているわけですね、こういう方々は、まだ特別報告銘柄になってないけれども、新聞にそれが出るぞと書かれたことで事実上株価が下がってしまって、大変な被害になっているわけですね。特別報告銘柄の、もちろんいろいろ審査しての結果でありますけれども、理事長のかなり強い権限でされるというこの制度が、一つはそういった意味での一般投資家保護の観点からはどういうふうに理解をしたらいいのだろうか。そして、この特別報告銘柄に指定されたものが解除されるときには、逆に価格が下がってしまって、買い占め屋さんがやりやすい状況を制度的につくってしまうことになるのじゃないだろうか。  時間もありませんが、もう一つつけ加えて疑問を呈させていただきますと、こういった非常に強い権限をつくりますと、いまちょっと触れましたけれども、特別報告銘柄に指定されるぞといううわさだけでかなり株価が急落するという可能性もあるのじゃないだろうか。たとえば大同酸素についても、日経新聞は十月二十九日の紙面で、「三十日の立ち会い終了後、正式に発表する。適用は三十一日からで同社株が上場されている東京、名古屋両証券取引所でも同時に実施される。」という記事が出ているわけですけれども、いまだに特別報告銘柄に上がっていないわけですね、これでがくっと下がってしまう。これは新聞の記事でありますけれども、こういう記事でなくても、株価というものは、だれか悪い人が意識的に特別報告銘柄に指定されるぞというわさを流すことによって、どれだけ株が買い占められているのかなかなかわかりませんから、こういう悪用される可能性はかなりあるのじゃないか。これは株価の公正な形成という面からいくとマイナスになるのじゃないかという疑問を持つのですが、以上三点について、どういうふうにお考えになってこの制度をつくられたのか、お伺いをしたいのです。
  40. 谷村裕

    ○谷村参考人 御疑問の点、ある意味では一々ごもっともかとも思いますが、私が御説明申し上げれば御理解いただけることかと存じます。  第一に、今度の特別報告銘柄制度ということで、一つの制度を新設したというふうにとられるわけであり、ある意味では新設いたしました。たとえば浮動株式基準がすれすれになっておったり割っているようなときに、それが種として使われているようであれば、取引所としても大蔵省としても、本来の趣旨を逆用されることになるのでありますから、それは特別報告銘柄にしたときには、いわば適用を緩和しようというふうにいたしたのは、まさに制度としては新設でございます。それから、たとえば私どもは会員証券会社から報告をとります。あるいは調査義務を十分やってくださいよと言って要求いたします。この辺は、現在も定款に基づいてわれわれは報告を聴取し得ますし、そしてまた証券会社は、受託に際して顧客の調査というものをある程度して間違いのないようにすることも義務づけられております。そして、取引所が報告を受けた内容について、これはプライバシーとの関係でどうするかという問題もございますけれども、必要とあらばそれをある程度会員会社等に流すことも事実上できることでございますし、そういう制度をまとめて一つにしたという点では、これは従来の制度を補強した、かように申すことができると思います。そして補強した中では、たとえば証券会社が、いままでお客さんを扱っていたときに、いや実は知りませんでした、気がつきませんでしたと言って責任逃れをすることを今度は許しませんよ、これだけ調査義務を強化したからには、あなたの方でよほどかくかくの理由によってつい知りませんでしたとか、売りに加担したような結果になってしまいましたという十分な疎明がない限り、あなたの責任は免れませんよという、ちょっと言葉がおかしいのですが、挙証責任を転換したというふうな点は補強でございます。  それから、投資家のどういう動きに加担することがいわゆる証取法の精神に反し、私どもで言うと、信義則違反となると書いてある定款の規定がございますが、その定款の規定による信義則違反になるかということを、理事会決定をもって決めていただいたこと、これはある意味でいえば、新設とも言えますし、強化というふうにも言えると思います。  さて、以上よけいなことを申しましたが、と申しますことは、今回私どもが特別報告銘柄に指定いたしまして何が直接的にあるかといえば、一つはさっき言ったように、ヂーゼル機器がこの十月末がちょうど期限でございましたが、浮動株基準によって一部から二部に変わる可能性があった、そして私どもが情報として耳にしたところによればその一つの問題点となっておったことを外したこと、これが特別報告銘柄の効果の一つでございます。  それから第二は、いままででも当然注意してもらわなければならなかったことが、会員会社はよく注意して扱ってくださいよということになった結果、会員会社としては従来よりもより顧客の動きに注意をする。しかし私どもは、決して顧客の売買を差しとめるわけでもなければ排除するわけでもない。注意してなおかつ大丈夫だと思えば、当然一般のお客あるいは特定のお客のでも扱って結構です。しかし危ないと思ったらよく注意してくださいよ。したがって、封じてしまったとか取引をつぶしてしまったとかいうことは、結果的にあるいはそうなったかもしれませんが、直接的には会員会社に向かって私どもはやっている。私どもは、上場会社の立場を考え、会員証券会社がこうであってほしいということを申しているそれ以上に、直接投資家それ自身の動きというものに対してあれこれするという立場はとり得ないわけでございますから、そういうふうにしたわけでございます。  したがって、どういう事態になったら解除するのか、もっと値が下がったらかとかいうふうなことでございますけれども、これは値が上がっているからいかんとかいうだけの問題ではございませんで、一般にどういう形においてこの始末がついていくか、これは水入りの相撲みたいになっているとだれかが言っておりますけれども、それを見た上で私どもとして対応していかなければならぬ。そのときに、もし株価が買い占めによっていま不自然に上がっているのだとすれば、下がるのがあたりまえなんだろう、それが市場メカニズムというものだろう。下がることを期待しているとかどうとかいうことは別といたしましても、もし買い占め等によって不自然に株価が上がっているのだとすれば、下がるのがあたりまえでありましょうし、それが下がったから解除するとか、あるいは浮動株基準の点が消えたから解除するとか、そういうことの判断の一つの材料にはなりましょうけれども、要するに、不自然な姿がどの段階でなくなっていくかということを見る以外に方法はないのではないか、かように考えております。  ですから、安くなったらそこでまたやれるじゃないかとおっしゃいますが、またやるという話がどういう意味かあれですが、もし出てくれば、またそこでどう見るかという問題が出てくるかもしれません。  それから第二番目に、これは二つに分けて言われましたけれども、むしろ一般的に他の投資家との関係がどうであるか、こういうお話かと思います。そして具体的には、せっかく他の投資家たちのうちで、これは値が上がっているわと思っていたのが、こういうことを取引所なり何なりがしたために、あるいは新聞や何かで特別報告銘柄にするぞと言ったばかりにすとんと下がったというのでは、他の投資家が迷惑じゃないか、こういうお話があるわけでございます。  たとえばヂーゼルを持ち続けておいでになる方があって、あれよあれよという間に自分の株の値がこんなに上がった。これは大したものだと思っているうちに、また何だ戻っちゃったというのなら、これはちょっと喜んでみたけれどもまたもとどおりになってしまったというだけの話でございます。問題は、そこで高値でつかんだ方がいるかどうか。そういう全体の動きがよくわからないで、あれは大分値が上がっているからいいんじゃないか、よし自分も乗ろうかと思って買ってみたところが、実はその裏には、たとえばそういう特定グループによる買い占めがあったために値が上がっていたということがわかって、そこでしまったことをしたということになるかどうかという話になるのだと思います。  むしろ私どもはそういうことを防ぐ意味で、株価の動きを見て、そしていろいろ報告をとってみて、売り込みをやっているかやっていないか、そればまだわかりません段階においても、これはおかしいかもしれぬなと、これはいろいろな過去の経験なり情報なりに照らして私どもが判断するわけでございます。その判断の責任は私ども持ちますが、そこでむしろこういうのは御注意くださいという意味で特別報告銘柄にして、一般の顧客に、投資家に注意していただくということにすれば、掛値でつかんでしまうというようなことはなしに、待てよ危ないかなといって注意してくださるということになるのであって、むしろ私は、特別報告銘柄に指定することそれ自身は、一般投資家のためにも注意喚起という意味で役に立つのではないか。そんな銘柄に指定するから値が下がるので、投資家が迷惑すると言うけれども、本来この程度でというのが、どうだか、これはなかなか株価というのはむずかしいものですけれども、すうっと上がっちゃって、しめしめと思っていたのが下がったというのなら、別にまあまあもともと、ちょっとそれとは違うが、そういうことじゃなかろうかと思うのでございます。  大同酸素の場合でも、確かにうわさが出ただけで最近の値は下がってきておると思います。うわさだけでもそういう値動きがあるのは困る。確かに私どもは、こういう制度を本来ならとりたくないのでありますけれども、逆に証券市場の信頼性の確保保持と証券会社の立場というものを通じてそれを守ろうとすれば、どうしても何らかの対抗策を講じざるを得なかったと思いまして、こういうふうにやったわけでございますが、そういう意味では確かにうわさが、あれが特別報告銘柄になるぞというふうなことを書かれただけで、たとえばそれは何かの動きはあると思います。しかし、もろ刃の剣でございまして、同時に、いや、わしは別に売り込むつもりでこんなものを買ったのじゃない、わしは純投資のつもりで買ったのだと仮に関係者の方が天下に公言されるとすれば、それはそれなりの一つの効果であろうと思いますし、また、いろいろ何か画策されようと思っても、その動きが天下の耳目を集中させるようになってまいりますと、なかなか動きにくくなってくるというような意味で、私はむしろ特別報告銘柄というのは、スポットライトを当てたということによって投資家にも注意を喚起し、一般にもそういうものの動きについて慎重になっていただける。当事者もなかなか動きにくい。まあ税の方のことは私の方でありませんが、税の方もはっきりねらいがつけられるというような、そういうスポットライトが当たること自身に非常に意味があるのではないか。それ以上、個別的に力ずくでどうのこうのという、そういうつもりのものではない、こういうふうに、大変説明がむずかしいのでございますけれども、御理解していただきたいと思うのでございます。
  41. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 実はこの前の大蔵委員会でも高橋委員の方から渡辺証券局長にこの制度の問題で、つまり逆に、スポットライトを当てたときでは一般投資家というのは遅いのではないかという問題の提起があったわけなんですね。本来角田であるべき市場がこういった形になることは、きわめて不幸なことでありますし、乗っ取り防止、買い占め防止ならば、もう少し私は環境と申しますか、市場のあり方自体もかなりメスを入れていかなければいかぬのじゃないかと思うのであります。たとえばいま買い占め乗っ取りで問題になっているのは、要するに岡本理研ゴムのように、ほぼあれは笹川陽平氏から買ったと害われているわけでありますけれども、高値で無理やりはめ込まされるということが問題なわけですね。しかし、五一%買われているわけではないのですから、安定株主工作をぴちっとやれば——一部から二部に落ちるという問題がありますから、これは少し待ってもらって、そして安定株主工作をぴちっとやるという毅然たる態度を示す。ヂーゼル機器の場合にはその上に、まだ事が成就してないと言うとこれは語弊のある言葉かもしれませんが、笹川陽平氏自身が言っているのは、経営権の問題を言っているわけですから、事が成就するという言い方では間違っているかもしれませんけれども、もう少し企業自体がちゃんと安定株主工作にさらに心がけるということが一つのポイントだと私は思うのです。  それから二番目に、どう見ても日本の企業というのは資本金が少な過ぎるのじゃないでしょうか。これは一般的な意味で、アメリカと比べてどうのというのではなくて、たとえば資本金十億円の会社といたしますと、株数としては二千万株ですね。その中で、安定株主工作をやり何やかやしてきますれば大体市場に出てくるのは多くても七百万株、四分の一ぐらいとしても五百万株くらいが市場に出てくるということになるわけですね。そうすると、買い進んでいるうちに、そんな小さな市場ですと、三百万、四百万買うことによって株価がぐうっと上がる。非常に池が小さ過ぎちゃって、大人が手を入れてばちゃばちゃっとやるとすぐ波風が外まで出ていってしまう、こういう感じの市場になっているのではないかと思うのであります。そういった意味で東証としても、いま上場基準が五億円でしたですか……(谷村参考人「二部が五億円、一部が十億円」と呼ぶ)一部が十億円になっておりますけれども、これをもう少し上げる必要があるのではないだろうか。余りにも少し株数が少な過ぎるのじゃないだろうか。その辺の整備も必要なんではないかと思うのであります。  三番目に、信用取引の問題ですけれども、たとえば担保率を五〇%としますと、五〇%ということは要するに倍買えるわけですね。倍費えるということになりますと、わずか四百万とか五百万株くらいしか浮動株がないやつを信用取引されたのでは、小さな池がますます小さくなってしまうことになるわけですね。私は、これは私の試案ですけれども、たとえば資本金五十億円以上、というと株数にしまして一億株以上ですね、こういうぐらいのものに信用取引の範囲を限るべきではないか。これが事実上乗っ取りができなくなることではないか。これは実は東証だけではなくて、大阪証券取引所の問題あり、地方取引所の問題も若干ありますから、なかなかむずかしい問題だと思うのです。しかし、そういうような手当てもしていかないと、本来自由であるべき市場がいまのような制度によって危うくなる、これは下手をするとみずから首を締める結果になってしまう危惧を私は感ずるものですから、御苦労なさっていろいろな観点からこの制度は考えられたと思うのでありますけれども、それと同時に、いま私が申し上げたような三点の、もっとあるのかもしれませんが、私が思いつく案として三点ぐらいのことを少し整備を図っていかないといかぬのではないかと私は思うのでございますが、いかがでございますか。
  42. 谷村裕

    ○谷村参考人 大変いい御意見を聞かしていただきまして、私もある点では非常に共感の意を表するわけでございます。  第一に、いわゆる上場会社が、これはよく証券局長も毅然たる態度をとれ、こう言っていらっしゃるわけでございますが、毅然たる態度をとるというのは、ちょっと佐藤委員は買い占め乗っ取りと言われましたのですが、私どもはいま乗っ取りというのではなくて売り込みの方を十分注意しているわけでございますが、売り込みに対してはねつけるだけの実力と気力を持っておれ、このとおりだと思います。そこに私は三つ問題があると思います。  一つは、安定株主工作という言葉を言われましたけれども、本来私どもの立場からいいますと、株式の流動性をある程度持ってもらって、大口の固定安定株主というものがふえることについては取引所としては問題があろうかと思います。ただし、株式はそういう意味で、流動性を持ち、取引所市場にたくさん出回ってくれて、みんながそれぞれの立場で買ったり売ったりできるということが望ましいと思いますけれども、取引所市場外で直接にどうだどうだというような話に、まあそれじゃしょうがねえかというふうなことで乗るというような話があるとすると、私はそういう意味での取引が問題ではないか。  これは非常にむずかしい問題でございます。世界じゅうを通じまして、私どもこの間も取引の世界会議に行ってまいりましたけれども、取引所取引と市場外取引という問題をどう扱っていったらいいか、特に株式の問題についてこのことがどこでも問題になっております。法律上はもちろん、受託を受けた証券会社は必ず取引所に集中することになっておりますけれども、A法人がB法人に売ること、B法人がA法人から直接買うこと、これは自由でございます。そこでいま私どもは、いわゆる直取引といわれるものをどう扱ったらいいかという問題として、いままで出ました闘い占め売り込みのその売り込みのときの尤なるものは、まあまあこの辺の値段でどうだとしかるべき人が口をきき、しかるべきところがそれを引き受ける、発行会社は商法上自分で買うわけにはまいりませんから、当然関係のものが買い取る、そこの問題をどう処理できるかというのを私どもとしては一つのポイントに考えて、現在私どもの内部でも議論をいたしておりますし、大蔵省にもときどき議論を吹っかけに行っております。  たとえば、すべてのものがすべてそうしろとはなかなか言えないにいたしましても、せめて上場会社でありますとか、あるいは上場会社ではないけれども有力な機関投資家として政府から免許を受けておるような、そういう公開された法人というようなものは、その取引した価格面の公正さを担保するという意味において必ず取引所市場を通す。直接の取引を、この辺でどうだとか、いや取引所価格と一割も離れていないからこの辺でどうだとか、そのときの取引所価格というのは私どもの立場からいたしますれば、公示はいたしておりますけれども、残念ながらゆがんだ価格になっているかもしれない、もし取引所を通せば別の角度で値がつくかもしれないというふうなときに、それを直接取引してしまう。せめて上場会社なり、先ほども言われておりましたが、いわゆる継続的開示会社というものは取引所を通して、きちんと売った、きちんと買ったということを、その経理内容の公正さを保証する意味においてやるというようなことは考えられないだろうかとか、これはまだ私がつぶやいている段階でございますけれども、思っているような点でございまして、やはり取引所取引のやり方なり何なりにも問題点がございますけれども、直取引で直接にこの値段でどうだどうだという、その点をどう考えたらいいか。安定株主工作とこうはっきり言われてしまいますとちょっと私も困るのでございますが、そういう問題も絡みますが、ひとつそれを今後の問題として考えたい、これが第一点に対するお答えでございます。  第二点の資本金過小の問題、これは私は全く同感であります。よく市場関係の方々は、品薄でもって需給関係がタイトになっている方が値がいいし、ちょっとした荒っぽい動きもするし、株式市場としてはおもしろいとおっしゃる方もございますけれども、私はここ三十年来、少数の株が荒っぽく動くよりも、大量の株式が静かに、しかし着実に流動性を持って動いていく市場というものが本当である、かように思っております。この点から二つの答えが出てまいります。  一つは現在、額面中心の資本金というものからある程度離れまして時価発行その他が定着してまいりました。そして時価発行になりました結果、金はたくさん集まりますけれども、株式の発行数は少のうございます。それを補う意味で、たとえば無償交付というような形で株数を、小刻み分割でございますが、私どもはやっております。しかし、一般的な意味での株数の増加というものはそれほど出てまいりません、増資というものがありましても。増資それ自身も必要でございますが、資本金という形式的な、商法上のいわゆる額面掛ける発行済み株数というもの以外に、株主資本というものが資本剰余金なり利益剰余金なりという形で実はたくさんあるわけでございますが、この株主資本全体がどういう形で株式という姿であらわれてくるか。たとえばそれは一つは株式分割という姿でも出てまいりましょう。そういう問題を、これから商法改正等の問題もございますけれども、私どもは資本金から離れて株主資本全体と株数という形でどう取り上げていったらいいか、ちょっとやっかいな話でございますが、それを私は考えております。  しかし第二に、やはり基本的に必要なことは、日本の上場会社がいわゆる株主資本が少ないということでございまして、この点では、やはり株主資本をふやすということが必要になると思います。そして発行済み株数もふやすことが必要であると思います。この点では、これは大蔵委員会の御専門になることでございますけれども、私ども昔から長年勉強もいたしておりますが、日本における資本のいわば提供する側とそれを使う側の両方を結びつける、俗に言う直接金融、間接金融というようなもの、それの中でのたとえば税制の問題を私どもはどう取り扱ったらいいか、この話をし出しますと長くなりますが、この問題にも触れて考えていかなければならぬ大事な問題だと心得ておりますが、方向としては佐藤委員のおっしゃるとおりだと私は思っております。  それから第三番目に、買おうと思ったときにまずちょいと信用で買っておく、そして後現で引いていくというような例で、またそれが買い占めの手段にも使われますが、それとは別に、信用取引の荒っぽい動きというのが一体過小資本のものに許されていいのか、非常に核心をついた御指摘だと思います。私どももここ三年来、いわゆる信用取引のいろいろな問題を勉強してまいりました中で、資本金の少ないもの、これは、金の方を引っ張ればすぐ買いが立ちます。売りの方はすぐ株数不足になってまいります。貸し株不足になってまいります。信用の売りと買いのバランスが破れてしまいます。買いが力づくでやっていけば負けてしまう、そういうような問題をはらんでおり、値動きもあるわけであります。  そこで、こういった問題をどう考えていくかというのは、基本的にはいろいろ問題がございますけれども、それの一つの端緒と申しますか、解ける方法の一つとして、実は先般大蔵省の方にも御相談して御認可を得まして、十月二日から実行に入りました新しい信用取引のやり方というのが、それのいわば方向を示す一つのきっかけになるかと思います。と申しますのは、特別に手数料も安くし、売り方金利も高くして、したがって負担を軽くする、期間も三カ月にいたしましたが、指定銘柄制度という、これは御指摘のように、相当代表的な株式であり、柄も大きい銘柄であり、どんなに売りが立とうと、どんなに買いが立とうと、四つに組んでちゃんとやっていただける、余り荒っぽいことにはならぬ、だからおもしろくないとおっしゃる方がいるかもしれませんが、そういう信用取引という仮需給まで入れて株価の公正な価格形成をやっていただくのにふさわしい銘柄として指定銘柄制度を中心に考えていこう。それから残余のものにつきましては、いまのお話のような資本金といいますか、むしろ株数の大小に応じましてガイドラインを分けてつくりまして、そして個別的に売りまたは買いのそれぞれについて細かく規制ができるようにしていこう。これも本当はそう望ましいことではございませんけれども、信用取引銘柄約四百六、七十ございますが、そのすべてがすべて、さあいらっしゃい、どれでも御随意にと言えるかというと、注意して扱っていかなければならぬものと、どうぞ御随意にひとついろいろな角度からなすってくださいというのとあると思います。そういう振り分けはある面ではいたしまして、そのガイドライン方式というものをとりました個別規制の方は、これはやかましくやることはもちろんいたしませんけれども、いま御指摘になったような危険性が出てまいりましたときは発動していきたい。これがいわば取引所といたしまして、いま言われましたように、できるだけ危険性を避けながら、しかし取引所の持つ価格メカニズムをはっきり生かしていこうというための方途としての一つの端緒と申しますかきっかけになるか、かように考えておるわけでございます。御指摘の点にはまだ及ばないかと思いますけれども、われわれとして大蔵省とも御相談して努力しておるところでございます。
  43. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 もう時間ですからやめますけれども、ちょっと重要なことなので確認だけしておきたいのですけれども、二番目のことで、資本金が小さいという問題について、いまの理事長のお話は、一般論としてお伺いしておいた方がいいのか、それとも証券取引所も上場基準を五億円から十億円と順次上げてまいりましたね、これをまた上げるという、私はそうすべきではないかという御質問をしたのでありますが、理事長の言われたのは、一般論としてということなのか、それともいずれなるべく早い機会に資本金の上場基準を上げるということに賛意を表されたのか、私ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、非常に重要なことなので、これだけを聞いて終わりにしたいと思います。
  44. 谷村裕

    ○谷村参考人 大変重要なことを聞いていただいてありがとうございます。  現在の取引所の体制のままで近い将来に上揚基準を変えるというつもりは、私どもはただいまは持っておりません。しかし、全体として取引所制度がどうなるかということ、これを考えたときに、また問題は別であるというふうにいまは申し上げておきます。
  45. 野田毅

  46. 沢田広

    沢田委員 大変お疲れのところ、昼にもなっておなかもすいただろうと思いますが、ひとつお許しをいただいて続けさせていただきたいと思います。  いま佐藤委員の方からもお話がありましたが、岡本理研とヂーゼルと大同酸素を例に挙げられました。そういう特別報告銘柄にされましたその後のことを佐藤委員が大変詳しく御質問されましたが、その後の取り扱いというものはこれからどういうふうに展開をするのか。それぞれ思惑が両者にあると思います。たとえば大同酸素の場合はそのままの状態に置かれております。一方としてはいまの値で売ろうという気はない。もし指定をされればある程度そのままでいかなきゃならぬ、指定されないでそのまま置いて、何かだれか仲介者が入ってきて適当に売り込みができればその方法をとろうとする、これは人情だろうと思うのですね。それで、その先の扱いというものについてはどういうふうにお考えになっておられるか、これは関連してお伺いしておきたいと思います。
  47. 谷村裕

    ○谷村参考人 その先がどういう状況のもとに展開していくかということにかかってくると思いますけれども、私どもの現在とっておる立場から言いますならば、大同酸素の方は、実は大阪証券取引所が主たる取引所でございまして、私どもの方はほとんど取引ございませんから別にいたしますが、たとえばヂーゼルのことについて申し上げますと、私どもは、ヂーゼル機器という株式の売買一切を差しとめているというふうなことはしていないわけでございます。証券会社がその売買を取り扱い、あるいは直接取引を仲介なさるというか、媒介なさるというか、お世話すると申しますか、そういう際には、信義則違反にならないようによく注意してくださいよということを申しておるわけでございます。決して一般に売買されること、取引所取引であれ、それ以外の取引であれ、それを差しとめたり、抑え込んでしまったりしているわけではございません。ですから、たとえば特別報告銘柄にしているから動けないとか、特別報告銘柄にしてなければ自由に動けるとかいう差があるのではなくて、証券会社の手をかす、その手のかし方にどの程度の注意、関心を持つか、こういうことの差だと思うわけでございます。したがって、たとえば香港のさる筋が王子製紙のものを相当買っていろいろ話をしたけれども、まあこの辺でということで、六月でございましたか、処理を済ませてしまったというふうな形で処理がついたというふうな例が、たとえばいま申し上げました特別報告銘柄によりますヂーゼル機器についてどういう形でどう出てくるかということ、私どもは具体的にこうであるべきだとか、こうするまでは解かないとか、こうしたら解いてやるとか、そういうことでなしに、当事者同士の動きがどう出るかということを見るというふうに申し上げる以外にないわけでございます。
  48. 沢田広

    沢田委員 この間の事情の中で、買い占めと売り込みというような事態があったと御認識なさっておられますかどうか、その点だけお聞かせいただきたいと思います。
  49. 谷村裕

    ○谷村参考人 こういうところでの公の御質問でございますから、私の答弁の仕方というのは非常に注意をしなければならないと思いますが、客観的な事実として何月何日こういう動きがあったということを申し上げるということは避けまして、ただ、かように申してお許しいただけるならばそうさせていただきたいのでありますが、東京証券取引所としては、あるいはこういうことにすると決断をいたしました東京証券取引所理事長としては、そういう特別報告銘柄に指定することについて十分な心証を得ておる、こういうふうに申すことでお許しいただきたいと思います。
  50. 沢田広

    沢田委員 証券取引法そのものの本旨が一般消費者の保護にある、こういうふうにおっしゃられるのでありますが、私の手元にあるこの資料では、一般消費者という範囲に属するものをどの程度と考えておられるのか。たとえば五百万株以上を持っておる者が全体の株の三五・五三%、これは五十一年度の証券局年報統計でありますが、持っている。百株以下というのは〇・〇三%である。人数にすると百五十四万ぐらいでありますが、じゃ、千株以下と仮定いたしましても〇・九四%である。五千株以下に至ってようやく一二・三九%である。一般消費者の保護という言葉はきれいな言葉なのでありますが、一般消費者を守るというこの取引所の位置づけというものから考えますと、どの程度の範囲を一般消費者と——これは区分をされてないとおっしゃられるかもわかりませんけれども、われわれ庶民から見ますと、一般消費者というのは、五百万株も持っているような人は一般投資者と言うわけにはなかなかいかぬのではないかというふうに理解をいたします。どういうふうに位置づけて御判断をなさってどのような方向で考えておられるのか、その点お聞かせいただければ幸いであります。
  51. 谷村裕

    ○谷村参考人 ちょっと言葉が混乱いたしましたが、投資家という意味であると思います。(沢田委員「投資家です」と呼ぶ)私は、かつて公正取引委員会におりましたときに一般消費者という言葉をよく使いました。公正取引委員会で一般消費者と言っておりましたときには、たとえば不当表示、変な表示をしているということでよくわからないじゃないかというその知恵、知識の範囲は、小学校の四年生ぐらいの者がわかるようにちゃんと、うそつき表示をしないように表示をしなさいということを言ったのを覚えているのであります。  なぜこんなくだらぬことを言うかといいますと、投資家という方になりますと、二つのメルクマールがありまして、一つは、小学四年生ぐらいの知恵しかない投資家とか、非常に経済のことがよくわかっている投資家とか、そういう区別は私はない。むしろ投資家というものは本来ならば、機関投資家がそうであるぐらいの知識と判断力と責任とを持って行動していただきたいと考えておりますから、いわゆる一般消費者的な意味で投資家一般を考えませんで、相当責任を持ち、判断力もあり、知識も持っている方を私どもは投資家として考えている、そういう方々の保護である、かように考えている点が第一点でございます。  それから第二点が、量的に多数の株を持っている人か、それとも小口の投資家かという点でございますけれども、その点で、たとえば上原正吉さんであるとか松下幸之助さんであるとかいうのは投資家ではない、それはオーナーでございましょう、大株主でございましょう。しかし、会社の経営に直接関与していようといまいと、投資家という立場で見る限りは、証取法に言う投資家というのは、大口の方であろうと小口の方であろうと、その方々が取引所、証券市場というもので公正に売りあるいはお買いになるということをなさる、その立場はすべて同じである、かように考えております。
  52. 沢田広

    沢田委員 よくわかりました。  それでは、証券取引法その他には細かい禁止、不適正行為ということで挙げられております。この不適正行為というものについて、取引所としてはいままでの指導なり——率直に申し上げますと、サラ金がこれだけ社会問題になったということは、やはり一般庶民に被害者が多かったということであったと思いますし、不特定といいますか、特定の多数といいますか、相当そういう形でマスコミその他にも乗って大変な被害を及ぼした。ところが、証券の取引の上においての不適正な行為というものは、表に出る場合はこういう買い占めであり売り込みであり、わりあい大型になってまいります。ですから、個々の場合の不適正な行為がなかなか摘出できないという欠点があるのではないかと思っておりますが、そういう立場で証券の営業行為そのものが、先ほどもちょっと触れられましたが、この不適正行為に対する自粛といいますかあるいは自律といいますか、そういう点に対してどのような指導をなさっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  53. 谷村裕

    ○谷村参考人 大局的には行政当局であります大蔵省の方からお答えする問題であるかと思いますが、私どもの証取法の関係でございますので申し上げますと、大きく分けて二つ禁止行為なり不適正行為なりというものがあると思います。  一つは、いま多分その意味で御指摘になったと思いますが、証券会社は次のようなことをしてはならない。さらにそれを分けますと、証券会社の役員はとか、従業員はとか、外務員はとかそういう形における、たとえば先ほど問題になりましたような勧誘行為等の問題でございます。  第二番目には、何人といえども次のようなことをしてはならないということで証取法が規定しているわけでございまして、たとえば何人といえども「有価証券の売買その他の取引について、不正の手段、計画又は技功をなすこと」などというのがあったり、あるいは仮装の売買取引をしてはいかぬとか、流説を流してはいかぬ、いわゆるデマゴギーを流してはいかぬとかいろいろございます。これは何人といえどもそういうことをしてはいかぬ。  この証取法上の規定、罰則を持っておりますけれども、なかなか具体的に適用する問題というのはむずかしいわけでございますが、特に一般に何人といえどもと言ってやっていることについては非常にむずかしいわけでございますが、少なくとも証券会社の行為に関する限りは、取引所の会員であれば、取引所定款あるいは業務規程、受託準則とかそういうようなものである程度自主的に自分らの守るべきルールというものを立てておりますし、さらに証券会社一般あるいは外務員等の動きについて大蔵省の指導があると思います。  一般の問題になってまいりますと、私どもは、先ほど佐藤委員からもお話がありましたときに実は触れたかったのでございますけれども、たとえば科研化学、あそこは何かいいがんのやつを企業化するそうだといったうわさが出て、これが市場を駆けめぐります。そのうわさのもとは、実はそういうものを発明なすったお医者さんだ。そのお医者さんから話を聞いて何か他のお医者さんたちが、それはそれはとおっしゃったとか、これはいろいろな記事が出ておるようにいろいろな話がございます。そういううわさが一般に流れましたときに私どもができる唯一のことは、そのうわさの中に入っております上場会社、値がどんどん上がっていく、たとえば科研化学に対して、本当かうそか、どういう状況なのか早くディスクローズしてくれということをお願いするということでございまして、現に私どもは、昭和四十九年にタイムリーディスクロージャーのことをやるようになりましてからずいぶん、常磐沖で帝石が掘り当てたという話が出れば、実は残念ながらそれはうそでしたということをすぐ言わせるとか、そういうディスクロージャーを上場会社にお願いするということ、それ以外の一般のお医者さんがそういうことを言ってはいかぬと言うわけにはなかなかまいりませんけれども、そういうことをできるだけやっているわけでございますが、これも実は力及ばず、たとえば科研のような場合には、自分が発明したわけではないし、企業化するためにはまだまだやるべき順序、手だて、厚生省との関係等々があるから、自分らとしては発表できないというやりとりなどがございまして、ディスクローズも十分いかなかった。しかし、投資家保護という点からいくと、私どもは何どかディスクローズの問題を、いろいろな情報公開の問題をきちんとルールに乗せてやりたい、上場会社の協力を得たい、これは私どもとして非常に大きな仕事としてやっておるところでございますが、なかなか思うようにいかない。  詰めて申し上げれば、証取法上、投資家保護ということをやるための、これは本来自由な行動でございますけれども、その中でルールを立てる一つは、証券会社の行動基準、これはただいま御指摘のとおりでございます。それから第二に、上場会社のディスクローズを正しく、広く、早くさせることによって投資家に情報をちゃんと得させたい、内部者取引のようなものであってもらっては困る、この二点に私どもは力を置いておるということを申し上げておきます。
  54. 沢田広

    沢田委員 なれ合いは一般用語として使われておりますから、これは内容的にすぐわかることです。これは当局の方からも後でお答えいただければと思うのですが、「一連の売買」という禁止項目があります。この「一連の売買」の買い付けの回数その他というものについては、どういう指導をなさっておられるのか。これも禁止命令なり賠償責任なりその他も受けることになっているわけであります。  それから情報の問題について、これはいまお話しになりましたけれども、現在の情報提供というものは適正な状況になっていると御判断なさっておられるのかどうか、まだ不十分であると考えておられるのか、行政上は大体この程度がやむを得ないものなんだと御理解なさっておられるのか。一般的な情報でありますけれども、集約してお答えいただきたい。  虚偽の表示というのはめったにないという考えをいたします。ですから、外務員が結果的には勧誘をする場合に、こういう情勢の中で、たとえば一つありますけれども、今度建設省が土地の税制を緩めることになりそうだ、だから不動産株が上がるでしょう、こう情報を流した。外務員は、それはもう確定の要素として言うだろうと思うわけですね。それで、どこには調整区域が何%あるから危ないでしょう、これは市街化区域をたくさん持っているからすぐ上がるでしょう。それは、そういう情報の程度のものですが、言うときには、確定的な印象として相手に伝わるのではないかということを考えた場合に、この情報の言い方といいますか徹底、相手の受けとめ方は果たして妥当なのかどうか。その辺の見解は——これは外務員は、会社の代表者としての代表権を担っていま外交をしておられるわけであります。社長さんがということではありませんので、会社の代理権を担ってやっておられるわけでありますから、その意味においての徹底の仕方等についてはどう考えておられるのか、その点お伺いいたしたいと思います。
  55. 谷村裕

    ○谷村参考人 いずれも本来は行政当局の方がお答えになる問題かと思いますけれども、第一番目は、健全性省令の第一条第二号で、「有価証券の売買その他の取引につき、顧客に対して特別の利益を提供すること」、あるいはその次の第三号で、「一連の売買若しくはその委託をする行為」云々、こういうことが列挙されている点についてだと思います。取引の実態をその瞬間において把握するということは非常にむずかしいことでございまして、流れている段階ではなかなかわかりにくいのでありますが、私どもの取引所の中で売買審査を担当いたしますところが、どうもきょうの値動きは少しおかしかった。引けにかけてずっと買い上がっていって、最後にその値段でいつもさらっていった。しかもさらっていったのがいつもあの会社だ。どうもあの会社がやっていることはおかしいのではないか。変な例を言いましたけれども、たとえばそういうふうに、一連の委託売買であれ自己売買であれ、だんだん値をつけていって、最後にそういう値ですっと持っていってしまったとか、仮にそういう売買の動きがあったときに、それは最適な売買になるのではなかろうかというような意味で、当事者を呼んで説明を求めたり、どういうことであったかというようなことを聞いたりいたしますと、大抵微妙な、国会特有の言葉で言えば灰色とか、灰色にはまだならない程度、なかなかその辺はむずかしいのでございますけれども、私どもの方がぼんやりしているということだとばかにされますが、場合によってはそのときにその当事者に厳重な注意を与えるというふうなことをいたしまして、いわゆる相場形成的な意図的な動きというものを、ある意味では事後的になってしまいますけれども注意するというふうにしてやっている点がございます。それが一つです。  第二番目のディスクロージャーがうまくいっているかどうかという問題、それから、その情報についてのさっきちょうどお話が出ましたような意味での外務員なりとお客とのやりとりの問題、木で鼻をくくったようなやりとりをしても困りますし、余り勧めるような話になっても困ります。断定的に受け取られては困りますが、さりとてというような微妙なお話、これは、取引所と申しますよりはむしろ営業関係の問題になってまいりますので、その辺のことは私の口から申せませんが、注意はしてもらうようにしております。  その前の段階のディスクロージャーで非常にうまくいっているかどうかという点で申し上げますと、何か技術的にいい発明があったとかなかったとか、今度は大分赤字が出そうだとかいやうまく売り上げが伸びたようだ、そういう情報だと、いろいろうわさが流れましたときにすぐ会社の方から出てまいるのでありますけれども、一番弱っておりますのは、危ないのじゃないかという話、危ないという意味は、金融的に詰まってきて不渡りが出るのじゃないかとか何だとかといううわさがちょろちょろ出たときというのは、これは会社の方としてもそうでございますとなかなか言い切れませんし、いま必死になって動き回っているところでございますという段階のときに、言葉は悪いのですけれども、新聞の方もここにたくさんおいでになりますが、ひょいと新聞あたりに出ますと、なかなかその辺がむずかしい問題になるわけでございまして、日本は報道の自由ということが言われておりますから、情報を変なふうに漏らすななんということを取引所が上場会社に余りやかましく言い過ぎましてもむずかしいし、そこらを全く野放しにしておいてもむずかしいしという、どうもこれでは御答弁になりませんけれども、むずかしい問題がディスクロージャーについてはあるのだということを率直に申し上げます。その点については努力をいたしたいと思いますけれども、あとの外務員等のことについては、私の口から申し上げるのは控えさせていただきます。
  56. 沢田広

    沢田委員 じゃ、それは証券局の方から……。  いま言われたいわゆるなれ合いの問題、一連の売買の問題、情報の問題、虚偽の表示というのはほとんどないと思いますが、不適正行為の関係については、証券行政としてどういうふうに考えて指導されているのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 御指摘の点は、法律で禁止している行為あるいは省令で禁止している行為があるわけでございますが、これは一般的な禁止規定でございまして、具体的なケースがあった場合にそれは当てはめながら考えるということでございます。  たとえば先生指摘の一連の売買というのは、一連というのがどの程度であれば一連かというふうなことが基準としてあるわけではございません。一番の問題は、先ほど申しましたように、価格形成の問題と投資勧誘の二つでございますが、価格形成の問題につきましては、先ほど来東証の理事長も説明しておられますように、常時取引所において監視しておられるわけでございます。  問題は、投資勧誘でございますが、証券会社の場合には、店で勧誘行為を行うということよりも、むしろ店から外に出ていって勧誘するわけでございまして、そういう場合には、証券外務員の資格を持っている者でなければそれができないのでございます。証券外務員は、大蔵省に登録することが必要でございますし、また、外務員の資格を与える前に証券業協会、これは御存じのように証券取引法に基づく協会でございまして、証券会社の自主規制機関でございますけれども証券業協会で試験を行って、その上で資格を付与しているわけでございます。さらにまた、直接顧客に接する外務員につきましては、証券業協会の自主ルールで外務員に関するいろいろな規則をつくっております。それに違反した場合には、不都合行為者ということで外務行為ができなくなるわけでございまして、そういうのは、具体的個々のケースの場合にはいままで例もございますし、そういうことで、投資勧誘というのが適正に行われるように、行政当局あるいは自主規制機関である協会と協力しながらやっているところでございます。
  58. 沢田広

    沢田委員 言葉が出ましたから、じゃ、ついでにこの機会にせっかくおいでになっておりますからお聞かせいただきたいと思うのです。  現在の給与を考えてみました場合に、これは関連したら両者からお答えいただきたいのですが、五十一年度実績でいきますと、職員一人当たり一カ月二十九万、三十万ぐらいであります。外務員の場合、いわゆるノルマ制、請負制あるいは割り当て制、こういうふうないろいろな制度があるわけであります。この間、川越の方で四千万円持ち逃げをしたという事件がありました。要するに、生活が厳しくなればそういう形で、いま言ったような法律でどう禁止されておりましても、ノルマがあり、請負があり、割り当てがあれば、不確実な情報であっても断定的な情報として伝えなければその株の売買に寄与できない、自分のノルマが達成できない。結果的にはその生活水準というものが裏側にあって、自分のノルマを達成するためには不確実な情報でも確実な情報として相手に売り込まざるを得ない。平面的に見ますと、法律どおりですからという答弁がいまありましたけれども、実態はそうはいかない一つの要因が背景として存在しているだろうと私たちには言えるわけであります。  ですからそういうことで、いま言葉が出ましたが、じゃ、外務員の給与なり生活条件なり、このノルマ制なり割り当て制なりは両者の立場から見て、これは生命保険でも大変やかましくなって改められたわけでありますが、証券の方の外務員も登録をしてということになっておりますが、結果的にはこの関係はまだすっきりしていってないんじゃないか、私たちが現場で聞く声としてはまだそこまですっきりしたスタイルにはなっていない、こういうような気がいたします。ですから、そこに情報の流布も、あるいは一連の売買、これはアメリカなんかでは三側とか二回とかに決められていると聞いておりますけれども、そういうようなことについて、結果的にはそれが守られていかない、こういう条件が生まれてくるんだろうと思います。  さらに、調査部で出されているいろいろな資料を見ましても私は、完全かどうか、まあまあかということをお聞きをしたかったわけでありますが、さっき言ったように、これはほかにもあったのですが一部だけ持ってきましたが、建設省から出されている土地税制の案がもう通るかのように言って、どこの不動産の含み資産はこれだけあるからこれくらいになるだろう、こういう推定で出されるということになると、外務員の姿勢そのものとしては、いやおうなしに禁止事項を逸脱せざるを得なくなってくるのではないか、その背景には給与の問題あるいは支払い条件の問題、こういうものもあるのではなかろうかと思いますが、その点ひとつ両者から、恐縮でありますがお答えいただきたいと思います。
  59. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 先生指摘の点は、実際に勧誘するときにそういう問題が出てくる可能性がいろいろな条件からあるんではないかという御指摘かと思うのでございますけれども、株式の投資勧誘というのは、そういう点確かに微妙なものを含んでいるケースであろうかと思います。したがいまして私どもも、外務員と申しましても、社員外務員で給料をもらう人と、歩合外務員で歩合給をもらう人と二つあるわけでございますが、特に社員外務員につきましては、成績評価だけでいろいろ給与の問題あるいは昇進の問題をしないように、そういう評価制度というものを十分考えるように証券会社を指導しておりますし、現在、証券会社もそういう体制にしているところでございます。  ただ実際問題として、勧誘いたします場合に、投資家も情報を求めるわけでございますし、何らの情報も提供しないで勧誘をするということがなかなかむずかしいという非常にデリケートな営業でございますので、なお御指摘のような具体的なケースがあった場合には、ケースごとに証券会社を注意し指導するということを積み重ねていくことが必要か、こう考えております。
  60. 谷村裕

    ○谷村参考人 ただいまの局長のお話に私つけ加えることは特別ございませんが、私どもが取引所で会員業春とお客さんとの間のいろいろなトラブルを持ち込まれてきて、それの仲介に立つというのが制度としてございます。そういったケースを通じてみましたときに、一番問題になりますのが、やはりセールス、いわゆる営業の方々とお客さんとの接触の仕方の問題でございます。いま問題を情報あるいは投資勧誘の仕方の問題だけに限って言われましたけれども、それ以外に外務員の問題というのは、たとえば注文をちゃんと受けたとか受けなかったとか、電話で指図しておいたのにあれはどうしたとか、いやそういう電話はなかったとか、お客さんとの間のいろいろなトラブルがありますときに、きちんとしなければならない点は確かにございますけれども、投資家の方にも、都合のいいときは口をぬぐっているけれども、都合の悪いときにはいろいろ文句を言うというふうな例が全くないわけではない。値が下がったときには、そんな注文をおれがいつしたというようなことをおっしゃってみたりするというような例なども、これは外務員が泣き寝入りになってしまうこともあれば、会社が何とかしなければならぬということで、いつも大変なあれがあるのですが、私の気持ちから言いますと、そこが非常にむずかしいところでございますが、その辺を何かもう少し近代的なものにできないだろうか。これは講習だとかいろいろな形でやっておりますけれども、いま証券局長も言われましたが、これからの一番大事な問題の一つではないかと思っております。具体的におまえどうするつもりだと言われても、ちょっといまお答えできませんけれども、確かに大事な接点だという意味で私も認識しているということだけ、加えて述べさせていただきます。
  61. 沢田広

    沢田委員 大体時間が来ましたから、最後の問題で、現在、理事長さんが運営されておりますのに、理事の中に十七人が会員から出ておられる。全部で二十二名。これで証券取引の運用の基本方針を定められるわけでありますが、十七人が会員から出ているということは、過半数以上が出ているということになります。これが果たして証券取引の上に立って、正鵠な判断のもとにいま言ったような点も自律をさせるなり自粛をさせるなり、あるいは指導をなされる上においても、妥当な構成かどうか。これではやはり第三者と申しますか学識経験者と申しますか、そういう方が少な過ぎる。少なくとも半数に一名超えた程度は第三者機構が含まれるのが妥当じゃなかろうか。これではもう会員の言いなりにならなければ理事長はいつでも首が吹っ飛んでしまう。気に入らないようなことにしていれば、さっきの公認会計士ではありませんけれども、会員におべっかというか迎合しなければ理事長の職が務まらない。これで果たして日本証券行政が正確に運営されるかどうか、構成として若干疑問があるのであります。  いま理事長さんが心配ありませんと答えられるだろうというごとは予想いたしておりますけれども、それは本音とたてまえがあるだろうと思います。だから、理論的なものとしてそういうものが果たして妥当なのかどうか、その点の見解だけお聞かせいただきたいと思います。
  62. 谷村裕

    ○谷村参考人 答えを先におっしゃったのでなにでございますけれども、理事会、それから理事会のもとに私どもが常務役員として常務を執行いたします際に諮問する委員会、これはたとえば財務でありますとか業務でありますとか会員の関係でありますとか、そういった面の委員会というものも持っております。そこにも外部の方々に入ってきていただいておりますけれども、総じておっしゃるとおり、会員組織の取引所でございますから、株主総会に相当いたします会員総会、これは定款などを決めるという一番基本でございますけれども、そこも会員総会でございます。また、定款の執行等に当たって大局を執行いたします理事会も、いまおっしゃったように会員出身の理事の数が多うございます。公益理事というのももちろんおりますけれども、また、われわれ常務役員も理事会を構成しておりますけれども。  しかし、現実の常務の執行につきましては、特にたとえば売買審査のような問題についてでもそうでございますし、また信用取引の規制等の問題についてもそうでございますけれども、ルールの執行につきましては私ども、特に理事長に権限を委任されている面が相当ございます。ですから、悪い言い方をすれば、理事長は余り権限を持ち過ぎるという非難もあるくらいでございますが、私は、その理事会からいただいている権限をいまおっしゃったような意味で正しく、間違いなく執行していこうと思っておりますけれども、理事会がすべてを決めるというのではなくて、会もまた一つのルールを決めているというところで、そのルールの執行は私の方の判断に立ってやらしていただいております。  したがって、たとえば先ほどの浮動株基準をこの際変えようという発議は私がいたしまして、それは理事会でそういう上場関係の規則を直す、そして理事会が決めたことをまた大蔵省が認可するとか承認するとかいう形でルールの改正が行われますけれども、具体的適用の問題はまた私に一任されておる、そういうふうな形でございます。  常務会と取締役会とか、株主総会とか、いろいろな段階と似たような話もございますが、かつて昭和四十年代の初めでございましたか、取引所機構の改正ということをいまのような角度からいたしまして、当時たしか森永さんが理事長に見えたときじゃなかったかと思うのですが、そういうときに一遍見直して現在の体制をつくっております。私は、現在の体制の中で、それが答えになってしまいますけれども、十分一般の負託にこたえてやっていけるものと思ってやっておりますことを、ここに申し上げておきます。
  63. 沢田広

    沢田委員 以上で終わりますが、また、一般投資者を守るという立場に立てば、それは会員が過半数を超えるということは文字どおりうらはらの問題だと思いますので、さらに御検討いただくよう願って終わりたいと思います。
  64. 野田毅

  65. 宮地正介

    宮地委員 谷村参考人には、大変に御多忙のところ、また昼食の時間を過ぎまして御奮闘いただきまして、大変ありがとうございました。  私は大蔵委員会に、株の買い占め問題、また肩がわり事件といいますかあるいは売り込み事件といいますか、この問題について正式に理事長が来られてお話しになるのは、きょうが初めてであろうと思いますので、いろいろマスコミ等を通じまして国民が抱いている疑問、また問題点、こういう点につきまして、私は初歩的な問題から、限られた時間でございますが、御質問さしていただきたい。  まず、一連の株の買い占め売り込み事件と言われるこの問題が起きてきたわゆる背景といいますか、そういう問題について理事長、どのように認識をされておるのか。また、マスコミなどにいろいろ報道されておる特定の買い占めグループというようなこういうグループは、一体全体どういうグループを指して言われるのか。また、そういうグループが実際に買い占めをやっている、あるいはやっていると思われるような株の銘柄というものは、いろいろ新聞報道などによりまして相当の数に上っていると言われているわけでございますが、そういう銘柄は一体全体どんなものがあるのか、国民の前に明らかにしていただきたい。
  66. 谷村裕

    ○谷村参考人 二つほど御質問がございましたが、第一に、たとえばどういう背景のものが、あるいはどういうグループとか言われるものがあるのかという点でございます。  実は御承知かもしれませんが、現在私どもの取引所の定款が、この買い占め売り込みについて加担することは信義則違反であるというふうに決めましたのは、昭和三十六年のことでございます。そしてたしかそのころに所得税法の関係でも、買い占めたその地位を利用して発行会社の関係者に売り込むことによって得た譲渡所得は非課税の扱いはしないというふうに税法関係でも直された。それはまさにその当時、当大蔵委員会等において大変御議論があったその結果にもよることだったと私は記憶いたしておるわけでございますが、現在いろいろ言われておりますことは、実は買い占め、売り込み、肩がわりといったようなことが、十五年ほど前も、あるいはもっと前になりますか、二十年近く前にも実は一連のいろいろな現象としてあったわけでございます。そのときはどちらかといいますと、ある方が個人の名前で動くというふうな例が多くて、グループというふうな形で言われるような姿では、それはいろいろのがございますけれども、なかったように思います。  ところが最近、たとえば香港グループみたいなそういうものの言い方が出てみたり、日本のわが国内でも、何々グループと言われるように言われてまいったということでございますが、これは一つは、私どもの方が値動きがおかしいということで調べてまいります。報告をとってまいりますと、いろいろな名義で買受人、株をお買いになる方、委託者と私ども申しておりますが、それが出てくるわけでございますが、その方々が、本当にそれぞれ別々のお立場でおられるのか、それとも何か派絡を相互に通じているのか、この辺になると、私ども警察じゃございませんからとても調べ切れませんけれども、何かそういう端緒になるような手がかりはないかというようなことで報告したものを整理してみますと、多少その間に脈絡があるかのように私どもとしても受け取ったわけでございます。ただ、それが具体的に何という会社であり、その何という会社と何という会社が実は裏ではつながっているのだとかつながってないんだとかいうことをはっきり、これはもう非常に限定されておりますから私どもとして調べるとしても、そこまではとても調べられません。しかし、どうも多少そういういろいろな名前で買う人たちが気脈を通じているんじゃないかというふうに見られる。そうじゃないと言われればあるいはそうかもしれませんが、そういう節がなかったとは言い切れない。そういう意味で、いま御質問がございました、グループというのはどうなんだと言われますと、私どもとしてもそういう形跡はあるのではないか、そういう見方をしているわけでございます。それが一点。  それから第二番目には、いままでどんなあれがあったかというのが新聞雑誌等にもいろいろ書かれておりますけれども、最近のところから逆にずっとさかのぼって、三十六年までさかのぼることもございませんが、言ってみれば、現在ヂーゼル機器の問題がそうであり、かつてこの春ごろあった岡理ゴムの問題がそうであり、そうしてあのころ同じように肩がわりが行われました王子製紙の問題がそうであり、それより前には、たとえば大阪の方であった山科精工といったような問題がございましたり、あるいは宮地鉄工というようなものが出てまいりましたりというふうに、いろいろな例があるわけでございます。
  67. 宮地正介

    宮地委員 肝心なことはいま答弁されてないわけですが、こういういわゆる買い占め売り込み事件というものがいきなり起きてきたわけじゃないわけですね。この背景、なぜこの時期にこういう問題が続発してきたか、この問題について明快にお答えいただきたいことと、きょうは理事長こちらに来た以上は、もう少しきちっと国民の前において明らかに具体的に答弁していただきたい。いまのあなたのお話を聞いていると、何かこんにゃく問答みたいで、責任ある東証の理事長としての答弁じゃない。もう一度お願いしたいと思います。
  68. 谷村裕

    ○谷村参考人 背景と言われる意味が実はわからないので、なぜこの時期にこう出てきたかと言われるのでございますが、先ほど申し上げましたように、買い占めて売り込むというふうなやり方というのは、十年前あるいは十五年前等においてもありましたし、また、あったその背景と申しますか、どういうわけでそういうことをやっておるんだとかいうことは、当人に聞いてみないとわからないわけでございますけれども一つには、金の問題というのがあるだろうと思うのです。金融的に詰まっているときかある程度金融が楽なときかというような問題は多少あるかもしれないと思います。しかし、なぜいま急に出てきたかというのを私にはっきり言ってみろと言われても、こういう理由でいま急にこういう姿が出てまいりましたというふうに、ちょっと私自身が自信を持ってお答えするようなものはございません。しかし、金が緩んで、金がある程度自由になる人じゃないと、やはり大量に買うというわけにはいきませんから、金の問題というのは多少はあるんではないか、これが一点だけ私の申し上げられることでございます。  第二番目に、もっとグループの名前をはっきり言ったらどうだというような御指摘かと思いますけれども、私は、私の公の立場として断定的にどうだというふうに申し上げることはまだできないと思います。ではなかろうかとかというようなものは、さっきの投資勧誘とちょうど同じようなことになってしまうと思いますけれども、断定的に私が申し上げられるだけの捜査能力とか証拠能力とかいうものを私どもは持っておりませんから、したがってお許しをいただきたいと思います。
  69. 宮地正介

    宮地委員 じゃなぜ先ほどあなたは、ヂーゼル機器と岡理と王子製紙の名前を挙げましたか。そういう名前が挙がってくれば、当然これは、先ほども佐藤委員お話しになっていましたように、ヂーゼル機器においては笹川陽平氏との問題とか、あるいは岡理も同じように笹川氏の問題とか、あるいは王子製紙は香港グループとの問題とか、そういうふうな問題が明らかに先ほどからも出ているわけですね。先ほどから出ている問題についてもなぜちゅうちょするのか。そこはやはり東証の理事長としての姿勢にも問題があるのじゃないか。じゃなぜ今回のこの特定報告銘柄の制度をつくることを考えたのか。この辺のきっかけの問題をどういうふうに国民に御説明になりますか、伺いたいと思います。
  70. 谷村裕

    ○谷村参考人 まさに岡理の問題は、岡理というところの株が動いたことによって私ども承知いたしておりますし、ヂーゼル機器については、私どもがヂーゼル機器ということで特別報告銘柄に指定いたしましたから承知いたしておりますし、これは私ども承知しておりますこととしてはっきり申し上げることができます。  ただ、特定グループと言われるものの問題について私の立場から、これがこうだというふうに断定的に公の席で申し上げることは控えたいと思いますけれども、しかし、それじゃおまえ何にも知らぬのかと言われれば、それはいろいろな情報を得ておるがゆえに、それがゆえにわれわれとしてはいろいろなことをしたということは、これは責任を持って申し上げることができると思います。
  71. 宮地正介

    宮地委員 先ほど余剰資金の問題がその背景に非常に強いんではないか、こういう話がありましたけれども、これは新しい円の急騰という問題とこのような異常株値、この連動性は私も十分理解できるところですね。ただここで、いわゆる個人投資家、この育成保護という一つの大きな目的に向かって東証理事長としてもいろいろ御労苦をいただいているわけでございますが、五十三年の証券市場の現況をあなたの方の資料を見ましても、実際に個人投資家と法人との割合、確かにパイが大きくなっていますからふえてはきていますね、しかし、比率から見ますと大体三二、三%前後ということで、昭和二十五年度六一・三%くらいだったのですね。現実的にはやはり減少傾向にあるというふうに見て私は間違いないと思うのですね。やはりこの辺の問題の改善をしていくことは非常に大事なことである。  いまこういう株の買い占めあるいは売り込み、こういった問題によって、国民の間に証券市場に対する不信あるいは疑惑というものが非常に高まってきたら、これは自由経済市場として何か心配があるわけですね。そういう意味において突っ込んで考えてみますと、確かにいわゆる特定グループと言われる投資家、ここにも大きな問題があろうと思いますが、やはり証券会社の体質にも大きな問題があるんじゃないか。株の買い占めに加担をしたり勧誘したりする。この証券業界の体質改善なくしてはこの問題の解決にはならないのではないかと思う。  そこで第一点は、そういう買い占めグループと言われる人たちに対する対応策、さらに証券業界の今日までにおける積年の病弊的な体質の改善、これもやっていかなくてはならないと私は思うのです。  さらに、時間が限られておりますので、きょうは国税庁にも来ていただいておるわけですけれども、その二点について東証理事長に伺って、先ほど出た問題の中で、特に最近国民の間で非常に疑問に思っておるのは、所得税法令の二十七条ですね、この施行令の適用が一体できるのか、また、適用のために調査しているという問題もいろいろマスコミで報じられておるわけですが、実際どの程度調査されておるのだろうかという問題について、国税庁から答弁いただきたい。  また、これは一般投資家の育成保護に逆行するなどということで、証券業界としては余り好んでないようでございますけれども、一般の国民から見ますと、いわゆるキャピタルゲインの課税問題については是正をすべきであるという声が強いわけです。五十回、二十万株、同条件でないと非課税である。この制度の是正、この問題について、主税局としては来年度の税制改正の中で十分検討するということも報じられておりますけれども、本気になってこの問題に取り組んでいるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  72. 谷村裕

    ○谷村参考人 宮地委員の御意見、私は大変ありがたく存じます。私自身が同様の気持ちで、証券市場の信頼性の確保ということ、そしてまた、大衆投資家と申しますか、そういう方々の保護ということを中心にして考えておりますだけに、大変ありがたく存じます。  そういう意味で、たとえば個人持ち株という問題等について考えました際に、確かに御指摘のように、今日の姿では持ち株比率で、分布状況で見ますと、三分の一を切るような姿になっております。ただ、株式というものについて、一方では機関投資家現象ということが言われておりますけれども、その中には、たとえば投資信託というような形において個人のいわば集合という形での投資も行われておりまして、個人が一人一人、それぞれの株を持つということも必要とも思いますが、ある意味では、すべての人がみんな株を持つというわけにいかないし、むしろそれは危ないことかもしれませんし、機関投資家を通じて持っていただくということは一つの方向としても大事なことじゃないかという点、これが統計にあらわれてこない点になるかと思います。  それからもう一つ宮地委員よく御承知のように、従業員持ち株制度というのがございます。これも私ども調査によりますと、全上場会社が市場一部だけで言えば約千ぐらいの上場会社がございますが、そのうちの八割の会社はすべて従業員持ち株制度というものを実施いたしております。そうして、その実施しております会社の従業員、これは男性もおれば女性もおり、若い方もいれば年をとった方もおいでになりますが、その実施している会社の従業員の中のほぼ四割くらいの方が、わずかではございましょうけれども、その会社の株式を持っております。これも統計の上から言うと、従業員持ち株会というもののあれになって個人が出てまいりませんから、出ておりません。しかし、会社によって違いますけれども、全体ではわずか一%とか二%とか、多いところでも六%とか、まあ一〇%になっているところもありますが、そういうことでございます。  御指摘になりましたような個人株主の問題、大衆株先というふうな問題、これをどう進めていくかという点について、まさに御指摘になったような観点から一生懸命私どもは努力しておりますので、その点では、今後ともひとつ証券市場の信頼性確保という点から努力を進めてまいりたいと思います。
  73. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答え申し上げます。  最初にお断り申し上げておきますが、私どもの方の立場からいたしますと、個別的、具体的なことにわたる御答弁は差し控えさせていただきまして、一般論をもって御答弁申し上げたいと思います。  御指摘の所得税法施行令二十七条に該当するような株の買い占めのような案件につきましては、私ども従来から常に関心を持って資料収集を行い、実態の把握に努めているところでございます。したがいまして、最近新聞等で報道されております事案につきましても、その例外ではないというように御承知をいただきたいと存じます。  さて、この問題でありますが、株の買い占めによる所得として課税できるためには、法令上所定の幾つかの要件を満たす必要があることは先生承知のとおりでございます。したがいまして私どもといたしましては、実態を明らかにいたしました上で、課税要件を満たすものについては課税をいたしてまいる、かような態度で臨んでおるわけでございます。
  74. 宮地正介

    宮地委員 具体的にいま取り組んでいるものもあるのですか。
  75. 藤仲貞一

    藤仲説明員 どれに取り組んでおるかということは申し上げるわけにはまいりませんが、実態把握に努めておるものがございます。
  76. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 二十万株、五十回につきましてお答え申し上げます。  有価証券の譲渡益につきましては、一般的な考え方といたしまして、このような時勢において税負担の公平の観点からは、できるだけより広く課税対象に取り込んでいくということが望ましい、これは言うまでもなくそのように考えております。しかしながら、有価証券の譲渡につきましては、有価証券が転々流通いたしますので、その間における取引をどのように把握していくか。あるいは、いわゆるキャピタルロスというものも生じております。これについての扱いをどうするか。もしそのままにロスを認めるようなことにいたしますと、むしろロスばかりの申告が出てくるような事態も生じてまいります。そういうことを全部含めまして、ただいまのような状態で直ちにすべてを課税対象に取り込むということは、そこにむしろ新しい不公平と混乱を招くおそれがある、このように考えております。  昨年秋の税制調査会の中期答申におきましても、同様な観点から、段階的に課税の強化を図っていくことが適当であるとされておりますし、政府といたしましては、これらのすべてを勘案いたしまして、段階的に具体的かつ実施可能な改善策を見出すべく検討をただいま重ねておりまして、できるだけ早期に何とか解決策を見出したい、このように考えております。
  77. 宮地正介

    宮地委員 証券局長にお伺いしたいのですが、先ほど理事長にちょっと伺ったのですけれども、余り歯切れがよくないので……。  今回の買い占め売り込み事件の問題は、先ほど申し上げたように、一つは買い占めるグループの姿勢の問題、またそれに加担する証券会社の体質の問題、これがあると思うのですね。この問題について、まず一般論的に今後どういうふうに行政指導していく考えであるか。それから、その具体的な例として、先ほど佐藤委員もおっしゃっておりましたが、日興証券の問題、あるいは糸山氏と野村証券の問題、こういう問題が現在発生しておるわけですね。この問題の処理に対して実際どういうふうに進めていかれようと考えているか、この点について伺いたいと思います。
  78. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 いわゆる株式の買い占めと申しますのは、単に継続的に株式を買い集めることだけではなくて、最終的には肩がわりと申しますか、売り込みを発行会社に求めているものがある、これがいわゆる買い占めではないかとわれわれは考えております。買い占め以外にも、継続的に株式を買い集めていくということは全くないわけではないと思います。たとえば経営参加の目的ということもございましょうし、また純投資という場合もあろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういう注文を受注する証券会社の立場に立ちました場合に、一体買い集めを行っている投資家がどういう目的で買い付けているのかというその目的を調査するということは、実際問題としてはなかなかむずかしい面があろうかと思います。したがって、結果的にはそういう行為に加担したのではないかと疑われてもやむを得ないようなケースというのが、現実に出てきているのではないかと思う次第でございます。  ただ、先ほど東証理事長からも御説明がございましたように、今回特別報告銘柄制度というのが、ある意味では新設であり、ある意味ではいままでの制度の運用の強化ということで発足したわけでございまして、この制度については、一般に高い評価も行われておりますと同時に、いろいろ運用上のむずかしい問題があるのじゃないかという指摘があることもそのとおりかと思います。しかし私は、この制度が発足することによりまして、今後いわゆる買い占めのような行為というのはきわめてしにくくなる、かつまた証券会社もこの制度によりまして、買い集めの動きがあった場合には十分な調査を行わざるを得ない、または行っていくということには結びついていくと思いますので、そういう意味では、買い占めについての防止と申しますか、そういう効果は十分働いているのではないかと思うわけでございます。  一般的に第二の問題は、証券会社の現在のような株式市場のもとでの投資勧誘の問題、これは具体的には先生指摘の科研の株あるいは大同酸素についてだろうと思うのでございますけれども、科研株につきましては、現在調査をいたします段階では、法令違反、通達に抵触する等の具体的な事実というのはございません。しかし、個々の投資勧誘に問題があったかどうかということは、さらに調査を進めてまいりたいと思いますし、またその過程で、証券会社に対し何らかの形で注意すべき問題があれば、行政当局として対処してまいりたいと思っております。大同酸素の問題につきましては、現在大阪の証券取引所でも調査しているところでございます。大阪の取引所とも連絡をとりながら、さらに私どもの方も調査を進めてまいりたいと考えております。  なお、さようなことを踏まえ、先生の御指摘も踏まえまして、さらに証券会社の現在のような株式市場のもとでの投資勧誘のあり方、営業姿勢というものについては、投資家保護に欠けることのないよう私どもとしても注意してまいりたい、監視してまいりたい、かように考えております。
  79. 宮地正介

    宮地委員 私の地元にはヂーゼル機器という会社があるわけなんですが、従業員の方々から非常に心配のいろいろな相談、電話が来るわけです。  こういうような一連の株の買い占め売り込み事件というものが連続的に非常に国民の間に問題化されてまいりますと、そこに働く従業員もやはり非常に大きな心配と懸念にさらされるわけでありまして、国民生活を営む上において、証券市場における健全なるあり方というものは、大蔵省におきましてもまた東証理事長としても、これはぜひしっかりと対応策、また姿勢を持っていただきたいと思います。いわゆるちまたに言われるような黒い株だとか政治株が動いているとか、そういうようなことになりますと、これがかえってまた政治不信にもつながるわけでありますし、この問題は非常に重要な問題であろうと私は思いますので、本日のこの委員会を契機といたしまして、行政当局、また、その一番の出先の最先端で御苦労している東証理事長御両人の御決意を最後に伺って、質問を終わりたい、こう思います。
  80. 渡辺豊樹

    ○渡辺説明員 ただいまの先生の御指摘、私ども大変参考になる点が多々あったわけでございまして、現在のような株式市場のもとで証券行政を進めていく上におきまして、大変有益な御意見を伺わせていただきました。  そういう御意見を体しまして、今後の証券会社の営業姿勢等を含めまして、十分注意しながら監督指導してまいりたいと考えております。
  81. 谷村裕

    ○谷村参考人 ある意味では御叱責の言葉であり、ある意味では御激励をいただいたものと心得ます。  東証理事長として与えられた私の職責を、今後とも御期待に沿うよう一生懸命努めてまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  82. 宮地正介

    宮地委員 どうもありがとうございました。
  83. 野田毅

    野田委員長 谷村参考人には、御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後二時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  84. 野田毅

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。沢田広君。
  85. 沢田広

    沢田委員 残された時間で若干の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  一つにには、国民からロッキード事件あるいは地下鉄の疑獄事件、これは予算委員会でも、私が出席しておりました際にも取り上げられまして、いろいろと質問をされ、答弁をされておりました。ともかく日本の官僚の皆さんは、アメリカからでも入ってこない限りは物を言わないというきわめて悪い体質を持っておられるようであります。  今回も、なぜ私がこう言わなければならないかということは、これはさんざん日本の中で問題になっていながら全然知らぬ存ぜぬで通していて、今度フレーザー委員長からこういうことだと言われると、ああそうでしたかというふうに言われているわけでありまして、今回のことも、予算委員会で各党がそれぞれ質問をされました。当時は、この結果還流されているなんということは言われていなかったわけでありますが、これは日本の銀行がこういう体質を持っているのか、あるいは銀行局長を初めとする大蔵官僚がそういう体質を持っているのか、きわめてこれは疑問に感じざるを得ないのでありますが、報道から申し上げますと、使途不明金として四商社に対する課税処理は、三井銀行などその他について税務処理は終わったというふうに理解していいのかどうかというのが、第一の設問であります。  それから第二は、使途不明金としたが、この二億六千万円は追徴課税をしたけれども、さらにこれは追及する必要がある、こういう観点に立っていると理解していいのかどうか。  それから第三番目は、きょうも若干触れられておりましたが、フレーザー委員長のアメリカからの報道で、その分は日本へ還流されていたということになってまいりまして、その日本に還流された先は韓国外換銀行の東京支店である、これもそのとおり理解をしていいのかどうか。  それについて、その当時のドル価格、円に換算いたしますと三百円くらい、いまの値段でありませんから三億円くらいになりますけれども、これに対する調査を行う意思はあるのかどうか。報道にはいろいろなことを言われているようでありますけれども、正式に、国民としてやはり知る権利といいますか、知らされる権利といいますか、そういうものがある以上、ただマスコミからこう言われたからということだけでわれわれも判断したくありませんから、あえてこの機会に、それぞれの担当の側から明確にお答えをいただいておきたいと思いますので、ひとつこの点、銀行局長を含めてそれぞれ御回答いただきたいと思います。
  86. 西野襄一

    ○西野説明員 国税庁といたしまして課税処理をいたしましたこれまでの内容でございますけれども、この点につきましては、二百五十万ドルの特別手数料につきまして、商社連合が総額二百五十万ドルを特別手数料として各社の米国現地法人を通じて米国内の指示された銀行口座に払い込んでおります。これにかかわる税務処理につきましては、支出の金額を損金に算入しないとする取り扱いによりまして修正申告書を提出するなど、所要の課税措置を終わったところでございます。  それで今度、いま先生から御指摘がございましたような報道と申しましょうか、事実と申しましょうか、報告と申しましょうか、そういったふうな事実が新しく指摘されたわけでございますけれども、このソウル地下鉄に関連しますリベートの一部が日本へ還流されたという御指摘の内容につきましては、何分にも五年以上経過いたしました古い事柄でもございます。また、具体性にも欠けるといったことなどがございまして、いろいろむずかしい点もありますけれども、いずれにいたしましても国税庁といたしましては、これを一つの情報といたしまして必要な調査を行っているところでございます。  この調査の結果、直接課税関係が生ずるような事実が把握された場合におきましては、税法の定めるところに従いまして適正に処理してまいりたい、このように考えております。
  87. 沢田広

    沢田委員 いまの言葉で、情報として調査という、この情報としての調査というのはきわめてあいまいだと思うのでありますけれども、今日のところは、少なくともアメリカのフレーザー委員長が対外的に発表したのでありますから、客観的な条件としては、事実と申しましょうかではなく、事実として把握をするという姿勢が必要なんじゃないかということが一つ。それからもう一つは、韓国の銀行は東京支店でありますから、ちょっと行く気になればすぐ行けるわけでありますが、調査をする意思はあるのかないのか、その点再度お答えいただきたい。
  88. 西野襄一

    ○西野説明員 ただいま情報といたしましてと申し上げましたのは、その内容につきまして具体性が必ずしも伴っていないというようなことから、さように御答弁申し上げた次第でございます。  それから、調査しているのかどうかという点でございますが、現在調査中でございます。
  89. 沢田広

    沢田委員 こういうことは、事の善悪は別といたしまして、もちろん悪いことは決まっているのでありますけれども、とにかくやはり日本の自主性というものを尊重していく。金大中さんのときもそうでありますけれども日本の自主性というものが最大限に尊重されるたてまえというものが生かされなければならないと思いますが、その点は、韓国だから遠慮する、あるいはどこそこだから遠慮するということではない、やはり当然そういう姿勢が保持されなければならない、このように確信を持っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  90. 西野襄一

    ○西野説明員 私ども税務調査に当たりましては、税法で定められた権限の範囲内におきまして、必要な調査につきましては調査を遂行する、こういうふうな構えで従来からも調査を進めてまいりましたし、今後もその心構えで調査を進めてまいりたい、このように考えております。
  91. 沢田広

    沢田委員 では、以上の点は、調査の結果を待つことといたしまして、次の問題に入ります。  次に、大蔵省がサラ金の問題に具体的な案を提示した、実はわれわれももらったわけではないのでありますが、これも報道で知る限りのものであります。また、これも報道の範囲内では、たたき台として出した、こういうふうに言われております。その辺もどうも国会議員としてまことに情けない話だと思うのでありますが、それが事実でありましょうかという質問をまず第一前提にいたしまして、そのことは事実なのかどうか、お答えをいただいて次の質問に入りたいと思います。
  92. 徳田博美

    ○徳田説明員 サラ金問題につきましては、社会的に非常に大きな問題になっているわけでございますので、関係六省庁の連絡会議においていま鋭意検討を進めているところでございます。  先生も御承知のとおり、サラ金問題に関しましては現在、届出制になっているわけでございますが、この届出制をどのように今後改めるべきかという問題が一つございます。それから、高金利の規制をどのようにするかという問題もございますし、また、行為規制をどのようにすべきかという問題もあるわけでございまして、この三つの問題を中心にいたしまして現在、大蔵省といたしましても、大蔵省の立場からいろいろ検討を進めているところでございまして、まだ確たる成案を得てこれをしかるべきところへ提出するという段階にまでは至っておりません。
  93. 沢田広

    沢田委員 このサラ金の問題の把握をする場合に、現状を修正するとかあるいは手直しするとかそういうことでなしに、基本的な人権なり、あるいは被害者をなくす、そういう基点からたてまえというものをつくっていって、それを現実とどう調整するかということは、これは配慮しなければならぬでしょうけれども、いま問題になっていることは、高金利であるということが一つですね。それからもう一つは、取り立てに対して非常にひどい人権無視が行われるということが二つ目ですね。ですから、大きく言ってこの二つが一つの法の改正を求めるゆえんのものだと思うんですね。  だから、それは二分の一になるからいいや、三分の一になるからいいやということではない。それから、もちろん一般の金融機関がそれをカバーすることができるのかできないのか、その辺のことも検討の材料に入らなければならないと思いますが、その点をただたたき台で出すというのじゃなくて、その辺が撲滅できる、もし撲滅できないとするならばサラ金というものは全部やめさせてしまう、社会的にどうしても必要であるならばもっと公的なものでそれを問に合わせる。社会の混乱をより起こさせるデメリットの方が多いと判断をすれば、そういう妥協案を出す以前の状態として、それはもう取りやめるとか、あるいはもっと正規の、届け出だなんというのじゃなくて、許可制にするとかそういうことが必要だと思うんですね。ですから、いまおっしゃっているのは、現状を何とかひねり回して、粘土細工のようにして何とか適当におっつけよう、それでは被害者が後を絶たないと思うんですね。その点についてはどうお考えになっておられますか。
  94. 徳田博美

    ○徳田説明員 サラ金問題は、先ほど申し上げましたように、非常に幅の広い、また底の深い問題でございますので、先生指摘のように、非常に各方面からの検討を進めていく必要があると思います。したがいまして、このサラ金業者を規制するだけではなくて、先生指摘のように、むしろ市民の健全な資金需要に対してどのようにこたえるべきかという基本的な問題もまた別途あるわけでございまして、そういうものを含めまして総合的に六省庁の連絡会議で検討してまいりたい、このように考えております。
  95. 沢田広

    沢田委員 それでは、いま出されている案が健全な案だと思っておられるわけですか。そのたたき台に出されたと言われて——報道でですから、感じているものなんですが、だからそのことをまず第一に前提として、事実なんですかということを聞いたわけなんです。そういう考え方でこれから進めたい、報道で出された分は、これは間違いとまで言わなくとも、においをかいだ程度である、こういうことですか。
  96. 徳田博美

    ○徳田説明員 先ほど申し上げましたとおり、現在の届出制を登録制あるいは免許制に改めるということ、あるいは高金利、現在日歩三十銭となっておりますのを何らかの形でもう少し低くできないか、それから先生指摘のように、暴力による取り立てのようなことを含めまして行為規制をどのようにすべきかということにつきまして、いろいろ検討を進めているわけでございまして、まだ確たる成案を得るには至っておりません。ただ、一部に報道されたようなことも、幾つかの案の中の、材料としてはそのようなものも出てきておりますけれども、これをはっきりした一つの案にまとめるという段階にはまだ来ていないわけでございます。
  97. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 ちょっと関連して。  これは銀行局長マターの問題じゃないかもしれないのですが、いま新聞の報ずるところ、あるいはわれわれが県から聞いたところでは、来年規制されるだろう、恐らくこれは大蔵委員会の問題になると思うのですが、規制されるだろうということで、いま駆け込みの申請が非常に多いわけですね。あるいは片面、では、規制されるならばやめておこうかということがあるわけで、その駆け込みの申請の問題なのですけれども、これは法律的にぴちっとどうなっているかという問題でなく、われわれの頭の中では、いま既存の人も、登録なりあるいは届け出なり何らかの形で法律に従ってもう一度出し直してもらう。単なる届け出じゃなくてもう一つきつい登録制度ということになれば、既存の、いま協会へ入っている人も入っていない人もすべて、もう一回届け直してもらうというつもりでお互いにわれわれは話をしているのですが、これは法律的に、従来そういった業をやっていた方が、法律がそういう意味で変わったからといって届け出る必要はないのですか、また、そういうことを新たにやらせること自体というのは法律上むずかしいことですか。ちょっと銀行局長マターの話ではないかもしれませんが、ひとつ要望として入れておいていただきたいのは、この際もう一回、全部洗い直す必要があるだろうと私たちは思っているわけです。その点で、いまの質問に対してどういうふうに考えていらっしゃるか、ちょっと突然の質問でございますので、また、銀行局長マターでなくて法制局かなんかの問題も入っていますので、お答えにくいかと思いますけれども、御見解があればちょっと聞かしてください。
  98. 徳田博美

    ○徳田説明員 御指摘の問題点につきましては、現在検討中の事項ではございますけれども一つの方向といたしましては、現在届け出をされている業者の既得権をそのまま認めるということではなくて、仮に登録制なり免許制が施行されますならば、一定の経過期間を置いて全部、登録制なり許可制、免許制に移行してもらうという方向をいま考えております。
  99. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 結構です。
  100. 沢田広

    沢田委員 これの担当の窓口としては、最後になりますと各省と打ち合わせをして、どこの省に言っても各省と打ち合わせをして、これでは答弁になるようでなっていないのですね。最終的な窓口としては大蔵省なんですか、それともどこでやられるのですか、一応念のためお聞かせいただきます。
  101. 徳田博美

    ○徳田説明員 実は現在六省庁の連絡会議でこのことを議論をしているということ自体が、それぞれの各省の分野にまたがる事柄が非常に多いわけでございます。したがいまして、最終的な一つの窓口にしぼるということ、すべての事柄をまとめて一つの省庁にしぼるということは、かなりむずかしいのではないかと考えております。したがって、それぞれの省庁の権限範囲に応じまして幾つかの省庁で分担するような形になるのではないか、そういう方向も考えられるのではないかと思います。
  102. 沢田広

    沢田委員 時間の関係で次に移らせていただきます。  医師の優遇税制の問題については、これはもう各委員会ごとにいろいろ発言があって、大蔵大臣も参議院で、今年度じゅうはもちろん前から言われていたのですけれども、廃止をしますということを改めて答弁をされておりました。  これもまた報道の限りで聞く範囲内でありますが、これも大蔵省では租税特別措置法の中で考えていくわけですが、お聞きをしたいことは、経費控除という経費は、お医者さんだけではないわけですね。すべての企業、すべての人にそれぞれある意味においては該当するものがあるわけです。設定されたときの趣旨は、当時の医療体系、医療水準、そういうようなものから見て七二%ということが設定されたわけであります。ところが、報道その他で見ますと、五〇%とかあるいは六〇%とか、消費税じゃありませんけれども、年間の金額によって差をつけるというようなことが議論の対象となっております。これはわれわれの当初の大蔵大臣の答弁なり租税特別措置法の改正をするという趣旨とは大変離れているわけであります。その点は当局としてはどうお考えになっておられるのですか。
  103. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 社会保険診療報酬課税の特例の問題につきましては、若干過去の経緯になりますけれども昭和四十九年十月に政府の税制調査会におきまして、改善に関する答申というものを出しております。同時に、同年十二月の五十年度税制改正に関する答申におきまして、すでに御承知かと思いますが、千五百万円以下七二%から五千万円超五二形までという案を政府の税制調査会の案として提案しております。  ただいま政府といたしましては、この社会保険診療報酬課税の特例措置の廃止の問題に絡みまして、その後の問題といたしまして、これをどのようにしていったらいいかということを真剣にかつ具体的に検討を続けている段階でございます。したがいましてわれわれといたしましても、政府税制調査会の案というものを尊重するというたてまえもあり、同時に、現実の問題といたしましていかなる案が国民に御納得いただける案であるかという観点からも考えるということで、ただいま鋭意検討を続けております。したがいまして、ただいま先生のおっしゃいました廃止をすべきであるということも、一つの御意見として十分承っておきたい、このように考えております。
  104. 沢田広

    沢田委員 非常に短い時間で、もう時間が来てしまったようでありますから、他の人に御迷惑がかかってはいけません。最後に、これは答弁は、できればしていただきたいと思うのですが、わが国の予算は総計主義をとっているわけでありますね。ですから、当然一切の支出を一切の支出として予算に組む、歳入は歳入として組む、これは一貫した方針だと思うのであります。  聞くところによると、来年度の公務員の給与等あるいは定期昇給の分も含めて、予算には組まないとかいうことも、これまた報道で知る限りにおいてうわさをされております。ですから、総計主義をモットーとするわが国の予算編成上、そういうことはあり得ないと私は思っているわけでありまして、これは何か誤報である、こういうふうに考えているわけです。ですから、あえてここで質問をしなくともいい題材だというふうに、そんな違法な措置を主計局やその他が、大蔵官僚がやるとは思っていないという前提に立って、そういうことはあり得ないのだというふうに理解をしてまいりますけれども、われわれは非常にこれは精神的な圧力になると思うのであります。これは単なる組む組まないの単純な問題ではなくて、非常な精神的な職員に対する圧力、あるいは心理的な問題を提起することになりかねない。あえてひとつそういう間違いを起こさないように考慮していただくことを願って、もしお答えがあればお答えをしていただく。まあそんなことは御心配は要りませんという答弁であろうと思いますけれども、あえてもしお答えいただければいただくことにして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 禿河徹映

    禿河説明員 ただいまお話がございました、来年度予算におきまして公務員の給与改善費をどうするかということにつきましては、私ども現在検討いたしているところでございますけれども、何らまだ結論を得ておりません。したがいまして、さきに一部の新聞等に報じられました、政府として計上しない方針を決定したとかいうことがございましたけれども、そういう事実は全くございません。ただ、従来と違いまして、本年度の人事院勧告におきまして三%台の勧告が出る、それに対しまして、従来ずっと昭和四十四年度から五%の給与改善費を予算上計上してきたということとの関連において、来年度、従来どおりやはり五%の給与改善費を来年度の財源上の措置として計上すべきかどうか、そういうものはいま検討いたしておる段階でございます。
  106. 沢田広

    沢田委員 終わります。
  107. 野田毅

  108. 宮地正介

    宮地委員 最初に、先ほども質疑で出ておりましたが、サラ金問題について御質問をしてまいりたいと思います。  このサラ金問題というのは、現在国民の間で大きな社会問題となってきているわけでございまして、基本的には、一つは利息が非常に高いという金利の問題、そしてさらには、その金利が高いがゆえに取り立てで今度は苦しむ、また、その貸金業をやる業者がいわゆる届け出制ということで安易にできる、この三つが基本的な大きな問題で、現在いろいろと改善が叫ばれているわけであります。  この問題について、関係六省庁も連絡会議などを開きまして、鋭意御努力をされていることに対しましては十分理解ができるわけでございますが、特に最近、このサラ金問題において、九月二十九日に警察庁が「貸金業をめぐる事件事故等の実態調査」というものを発表されたわけでございますが、この実態調査の結果、特に警察庁として、今後の対策として重点的にどういうふうにこのサラ金問題を解決していくべきであるというふうに感じられたか、その点の所見をまず伺いたいと思います。また、あわせて概要を御説明いただきたい。
  109. 柳館栄

    柳館説明員 最初に、貸金業をめぐる事件事故等の概況につきましてお答え申し上げますと、従前ともこの状況につきましては、私ども統計をとっておらなかったわけでございます。それをことし初めて特別調査をいたしまして、それをまとめたのが、ただいま先生が御指摘になった資料でございます。  それによりますと、貸金業の利用に関連を有します利用者の自殺の数は百四十二人でございます。それから家出でございますけれども、これが千七百人、それから売春強要、これが十三件ということになっております。  その取り立てをめぐる問題でございますけれども、これにつきましては大体御想像がつきますように、取り立てをめぐって口論の末に人を傷害してしまったとか、あるいは人の家に入っていきまして、もちろんこれは借り受け人でございますけれども、ミシンとかテレビとか、時価三十数万円のものを全体として持ってきたというようないろいろな事例等がございます。  そこで、警察庁としてこの問題に対してどういう考え方をしているのかということでございますけれども、こういう不法な取り立てにつきましては、厳重に取り締まりをするように重ねて指導もいたしております。それから、この抜本的な解決を図るためには、一つは、届け出ということではなしに許可制なり登録制なりというような制度を導入いたしまして、そこで貸金業の悪質なものを排除していくということがどうしても必要だろうと思っております。それからいま一つは、金利の問題等とも関連するわけでございますけれども、一定の遵守義務を課して、その義務を履行していただくという法律上の義務を課する、この二つを同時に、まあ立法化によってそれが進みますれば、私どもの取り締まりとしては大変やりよくなるのではないだろうかと思っておる次第でございます。
  110. 宮地正介

    宮地委員 警察庁のこの報告によりましても、特に深刻なのは自殺の状況ですね、月平均約十六・二五人が自殺しておるということで、これは大変深刻な問題であろう、こう思うわけです。その中でも、警察庁の報告によりますと、年齢的に見ましても、男女とも三十歳から四十歳代、社会的には一番の働き盛りの方が約三分の二を占めておるということ、また職業別に見ましても、特に男性の場合、会社員並びに公務員が約半数を占めておる。先日も残念ながら警察職員の中からも、サラ金が原因で不祥事件が起きておる、こういうような事件もあります。そして借りる理由についても、男性の場合ギャンブルが半数近くある、女性の場合は生活費が約四分の一。関東、関西においても傾向が若干違うようでありますね。  そういうようなことで、今回の警察庁の御報告を私も見さしていただきまして、これはもう大変な憂うべきことである。単に関係六省庁が御労苦をされて、何か国民の目から、どうも各省庁なすり合いをしているのではないか、また立法府も少し法の改正について遅々として進まないじゃないか、こういうような国民の批判もいろいろあるわけです。先日来ネズミ講につきましては、議員立法でネズミ講禁止法という法律がさきの臨時国会で成立して、来年の四月中旬以降に施行になるわけでありますが、この問題について私は、こういう実態というものをもっと深刻にわれわれ立法府を預かる者としても受けとめ、また行政府の皆さんも相当深刻に受けとめませんと、国民の期待にかなった方向に持っていけないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、この報告の中で一番問題になるのは、一つは、やはり先ほど申し上げましたように高金利ですね。この高金利で検挙された貸金業者の問題、これは、日歩三十銭で年利一〇九・五という現在の出資法によって実際適用されているわけでありますが、私もいろいろ被害者にも会って聞いてみますと、どうも金利の一〇九・五をオーバーして、たとえばトイチなどといって十日間で一割金利を取っておる。そして領収証は発行しないということで、またそのやり方も、印鑑証明とか白紙の小切手だとか、まことにわれわれが常識で考えられない、まあ一家の重要な番数が白紙委任状的なものまで含めて持っていかれてしまう。こういう中において、特に高金利で検挙された貸金業者の前歴なども、いろいろ暴力団だとか国民を非常に困らせているのが多い、こういうような状態であるようでございます。  特にこの点で御報告いただいているわけでございますが、五十三年一月から八月までの検挙三百八十三人のうち、四十一人、一〇・七%は出資法違反の前歴者である、そして三四・二%、百三十一人はその他の法令違反のいわゆる前歴者である、これは何をか云わんやだと思うのですね。そしてさらにひどいのは、御報告の中にありますが、五十三年一月から六月までの検挙三百二十九人のうち、三九・二%、百二十九人が何と逮捕歴があるというのですね。逮捕歴があるだけではなくて、その逮捕歴も五回以上の者が三十二人もおる。こういう人がいわゆる貸金業をやっておる。これは常識を超えた問題ではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  いま警察庁のお話を伺ったわけですが、なまはんかの甘い取り締まりではこの桟は絶てないのじゃないか、こう私は思うわけですが、いま申し上げましたような事情から見て、警察庁としては、単にこの委員会で何とか答弁をすればいいというのではなくして、こういう実態をいかに生かして行政府として国民にこたえていくか、この点についてもう少し詳しく、また強い姿勢などを示していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  111. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま先生指摘のとおりのことが私ども調査の結果判明いたしまして、大変驚いておるようなわけでございます。  そこで、これらのものにつきまして逮捕、あるいは違反があった場合には、いろいろな特別な取り締まりといいましょうか、重点をそこに指向してわれわれがやっていくことは当然なことだと思っておるわけでございます。と同時に、私ども考えておりますのは、こういう実態になっておることを報道機関を通じて国民の皆様方が御承知になること、あるいは私どもが国会の諸先生方を初め関係機関にこれを提供することによって、いろいろなことを考えていただくという考え方もありまして、特別な調査を実施いたしたわけでございます。そういう全問の姿勢といいましょうか仕事の仕方の中に、私どものこの問題に対する取り組みの姿勢を感じていただければ大変ありがたいと思っております。なおまた私ども、今後とも一生懸命この取り締まりを実施していきたいと思いますし、PRにも努めていきたいと思っております。
  112. 宮地正介

    宮地委員 そこで、姿勢というのはもちろん基本的に重要な問題でございますが、やはり行政機関でございますから、いま申し上げましたようなこれだけのひどいデータが掌握できたので、機構的にも機能的にもやはり警察庁としてサラ金問題に対する対応を具体化する段階に来ているのではないか、こう私は思うわけでございますが、この点について、たとえば来年度予算の中で、具体的なそういう対応、行動というものをして国民の生活を守り、国民の皆さんが安心して生活できる環境——治安維持などをされるためにも非常に御苦労されている警察でございますから、姿勢についてはいま伺いましたけれども、これをいかに具体化して国民生活のために役立てていくか。具体的には機構改革、機能の充実あるいは予算化、場合によっては人員の配置、増加、こういう問題にいかなくてはこの実態は生かされないのではないかと私は思うわけですが、この点について十分検討されているのか、またそういう考えを持っておられるのか、伺いたいと思います。
  113. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま御指摘のように、サラ金をも含めまして近年、国民生活に直接密着した違法行為というものは多いわけでございます。警察は、犯罪を犯した者を逮捕するということも仕事でございますけれども、それ以前に、どうしてこれを未然に防止するかということが非常に重要なことだと考えております。具体的には私ども来年度の予算組織要求の中で経済課というようなものを要求いたしておりますけれども、そういうことを通じまして、さらにサラ金を含めた全般的なそういう国民の日常生活にかかわる問題に対応してまいりたい、こう考えておる次第でございます。あわせまして、国の機構以外に各都道府県の機構も、そういうものに十分対応できるようなものにしていかなければいけないということを考えておりまして、現在各都道府県に対してもその整備方を強く指示いたしておるところでございます。
  114. 宮地正介

    宮地委員 いまは警察のいわゆる摘発など、最近の事件事故の実態調査に基づいてのお話、警察の考えを伺ったわけでございますが、もう一つ、われわれ国民から見て解せないのは、こういう悪質な貸金業をやっておる業者が今度はいわゆる脱税行為をさらにやっておる。私も資料をいただきましたが、国税庁として告発件数が、四十八年度から五、十二年度まで、四十八年四月から五十三年三月才でですが五件、犯則所得が四億六千六百万、こういうようなことでございますが、果たしてこんな数字なのか。先ほど来の警察庁の事件事故の実態調査と比較しますと、国税庁の御報告も、いろいろ御苦労しておつくりになったと思うのですが、実態から見てまだまだ非常に甘いのじゃないか、こういう感じを受けるわけでございます。国税庁の御調査されたいわゆる基本の考え方あるいはその経過、またこうして数字にあらわれたことを踏まえまして、その点に甘さが少しあるのではないか、逆に言えば少しかために状況を報告されているのではないかという感じがするわけでございます。  この実態のその辺の掌握の仕方、また、これに基づいて今後国税庁も、先ほどの警察庁の事件事故等の実態調査などを踏まえてやはり連動した対策というものが必要ではないか、私はこう思うわけでございますが、この点について伺いたいと思います。
  115. 西野襄一

    ○西野説明員 サラ金業者に対します査察調査状況に関する件数は、先生いま取り上げられたところでございます。  査察調査でございますので、国税庁が実施しております調査の中の一部でございます。査察調査につきましては先生御案内のとおりでございまして、この調査は、告発を目的といたしまして、国税犯則取締法に基づきます強制調査権を発動して行うものでございます。したがいまして査察立件に当たりましては、偽りその他不正の行為に該当する行為があるかどうか、また不正の行為と遁脱の結果との間に因果関係があるかどうか、さらに遁脱の犯意があるかどうか、そういったことにつきまして立証し得る見通しに立って行うものでございます。  なお、査察件数でございますが、年間大体二百件程度でございます。その中で、先ほど四十八年四月から五十三年三月まで五件の告発を行ったという件数を御報告したわけでございますけれども、最近二年間では、五十一年度、五十二年度各二件告発をいたしております。われわれといたしましては、そういったふうな計数で御判断をお願いいたしたいと思っております。  なお、サラ金業者についての最近の情勢につきましては十分考慮に入れまして、今後サラ金業者の査察につきましては積極的に立件をしてまいりたい、このように考えております。
  116. 藤仲貞一

    藤仲説明員 調査査察部長から査察立件をいたしたものにつきまして御答弁申し上げましたので、私から、一般の調査においてサラ金業者を含む貸金業者に対していかように対処しておるかということにつきまして、お答え申し上げます。  調査事績につきましてはお手元に資料を差し上げておるところでございますが、貸金業を営む法人個人に分けまして調査状況をまず御報告申し上げますと、法人につきましては、五十二年六月に終了いたしました五十一事務年度中の事績でございますけれども、実地調査件数が六百六十九件でございます。そのうち調査の結果、不正申告、すなわち行政罰でございます重加算税を課する対象となったような不正所得がありました件数が百八十三件、この割合が二七・四%でございます。それから、その脱漏しておりました不正所得の合計額が全体で二十億六千五百万円、かように相なっておるわけでございます。一方、貸金業を営む個人調査事績でございますが、これは五十二年中の事績というぐあいに御理解をいただきたいのでございますが、実地調査をいたしました件数が三百八十四件、そのうち、申告所得金額に対する申告漏れ所書金額の割合が六三%、その申告漏れ所得の合計額が十六億六千七百万円、こういう状況になっておるわけでございます。  それで私ども一般調査の面におきましても、先生指摘のように、貸金業は税務行政の面から見ましても不正申告の割合が商いというように問題の多い業種でございますので、従来から積極的に調査の対象に取り上げまして重点的な調査を実施しているつもりでございます。すでに木事務年度におきましても、たとえば東京国税局であるとか大阪国税局であるとか貸金業者が非常に集中しております大部会の地域におきまして重点調査業種として取り上げておりまして、有効な調査方法の開発であるとか、資料、情報の収集を行うとか、あるいはまた先ほど申し上げましたように、調査対象に数多く選定するなど、特にその調査内容の充実に努めておるところでございます。  今後の方針でございますが、今後におきましても、いろいろ問題のある業種でございますので、いま申し上げましたような方針のもとにさらに充実した調査を行いまして適正な課税をやってまいりたい、かように考えております。
  117. 宮地正介

    宮地委員 この脱税の一番の根っこは資金源だと思うのですね、この根っこの資金源について国税庁長官も、先ほどの告発件数五件の中においても、貸付賞金というものを借入金で賄っている純粋なものは一件だ、ところが、この資金源が信用金庫とか農協だとか銀行だとかやはりそういうところからお金が実際に出ておる、こういうのが非常に多い、約八割程度である、こういうようなことについても大蔵委員会で御答弁なさっているわけでございますが、やはりこの資金源をつかむということが非常に重要なポイントであろうと私は思うのですね。これについては、いろいろ御努力もあると思うのですが、まず国税庁として、脱税の査察あるいは調査、こういうものについて、余りア・ラ・カルト的なことを発言できないと思うのですが、やはりそこに重点を置いておられる——当然銀行局とも連絡をとり合っておると思いますが、銀行局長としても銀行協会などに通達なり指示などいろいろ接しておるようでございますが、この辺の連係といいますか、行政機関として、銀行局と国税庁ですから同じ大蔵省の屋根の下でございますから、当然事務的には連絡をとり合って、その点についての連係プレーはきちっといっておると思うのでございますが、具体的にこの資金源対策ですね、いわゆる根っこの対策、これについて、国税庁としては脱税という立場からの対策でありましょうし、銀行局としてはやはり健全なる貸金業というもののあり方という立場からの資金源対策というものが非常に重要なポイントではないか、こう思うわけでございますが、御両者のお話を伺いたい、こう思います。
  118. 藤仲貞一

    藤仲説明員 宮地委員ただいま御指摘資金の問題、これは貸金業者の調査におきまして非常に重要な点でございます。しかしまた同時に、これが非常にむずかしいポイントでもございます。  私ども必ずしもこれをつまびらかにいたしておりませんが、いろいろな事例を見ました上でのきわめて大ざっぱなことを申し上げますと、金融機関からの借り入れに依存しておるというのは大きな貸金業者の場合がほとんどである、かように私どもは理解いたしております。それから、規模が小さくなるに従いまして借り入れに依存する割合が減ってまいるわけでございますが、小さい方では個人からの借入金も源泉としておるもの、これが間々ございます。しかしながら、私どものこの局署にわたる一般調査の事績に徴しますると、小さいものは自己資金で賄っておるというものが非常に多い、かように理解しておるわけでございます。しかしながら私ども、この実態を必ずしもつまびらかにしておりませんので、ただいま申し上げましたことは、先ほどお断り申し上げましたように大ざっぱな印象という域を出ませんので、御了承いただきたいと思います。
  119. 徳田博美

    ○徳田説明員 貸金業者の資金源につきましては、先般貸金業者につきまして実態調査を行ったわけでございますが、その結果によりますと、アンケート調査に応じた業者についての数字でございますけれども、自己資金が三三%、金融機関からの借入金が一七%、それからその他からの借入金が四三%、このようになっているわけでございまして、貸金業者全般といたしましては、金融機関以外からの何らかの形の借入金に頼っている画が非常に多いわけでございます。  なお、金融機関からの貸金業に対する貸し付けにつきましては、これは御承知のとおり、ことしの三月に各金融機関の団体の代表者を呼びまして指示したところでございまして、金融機関の貸し出しは、本来各金融機関の社会的公共性を意識した良識にまつべきでございますけれども金融機関の貸金業者に対する融資につきましては、その金融機関の公共的性格にかんがみまして、社会的信頼性を損なうことのないように慎重に配意してもらいたいということを指示したわけでございます。特に、高金利による融資であるとかあるいは過当な収益の追求、その他暴力行為等によって社会的に批判を受けている行為を助長するような融資は厳に戒めているところでございます。
  120. 宮地正介

    宮地委員 はからずも銀行局長から、この十月に発表されました「貸金業の実態調査」についていま概要お話があったわけでございますが、この実態調査に基づいて、また予算委員会などにおける村山大蔵大臣のいろいろな発言などから、今回出資法の改正などといった問題も大きくクローズアップされてきているのではないか、こう思うわけでございます。  その問題については後で触れることにいたしまして、大蔵省として当面、いわゆる応急ローンというのをつくられた。ところが、この応急ローンがどうも当初の見通しどおり運用されている割合が非常に低いのではないか、こういう国民の批判もあるわけでございますが、この「貸金業の実態調査」と、それから実際に応急ローンを大蔵省として実施に踏み切って、現段階においてその運用の面においていろいろ示唆する点が多いのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点銀行局長、どういうふうに現在お考えになっておりますか。
  121. 徳田博美

    ○徳田説明員 応急ローンにつきましては、従来の金融機関の貸し出しのあり方といたしまして、いわば金融の原則のぎりぎりのところで、本当に庶民の健全な資金需要に対して迅速にこたえるという制度になっているわけでございまして、制度を発足するための準備にかなりの期間を要したものでございますから、若干発足はおくれているわけでございますけれども、都市銀行につきましては、十月二十三日にまず最初の銀行が実施をいたしまして、その後逐次実施に移しまして、現在ではすべての都市銀行がこの応急ローンの実施に踏み切っているわけでございます。また地方銀行につきましても、今月中にかなりの部分が実施に踏み切ると思いますし、それから、相互銀行も応急ローンの実施を決定しております。また、信用金庫もこれに追随することになっておりまして、近い将来におきまして、全部の金融機関が何らかの形で応急ローンを進めることになるのではないかと思います。  なお、まだ実施して日が浅いわけでございますので、実情につきましてはまだ十分把握してないわけでございますけれども、その実施状況を見ながらさらに必要な指導を行っていきたい、このように考えております。
  122. 宮地正介

    宮地委員 そこで、いわゆる実態調査をされて、率直に言って局長は、この実態調査から何を学び、今後対策を講じていく場合にどこに重点を置いてスピーディーに処理されようという決意に立たれたか、その辺を伺いたいと思います。
  123. 徳田博美

    ○徳田説明員 この実態調査の項目はかなり多岐にわたっているわけでございますけれども、特に実態調査におきまして把握できました主な結果といたしましては、貸金業の事業形態が個人が非常に多い、しかも従業員が代表者を含めて一ないし二名という業者が非常に多いということが明らかになったということが一つだと思います。  それから貸出金利の面につきまして、消費者向けの無担保貸し出しの平均金利で見ますと、貸出金額十万円以下のところで年利平均八五%でございます。また、日歩十五銭以下の金利を適用している者は業者全体の七・八%程度でございまして、全般に非常に高い金利が実施されているわけでございます。  それから、貸金業者の中で兼業している者もかなりあるということもこれで明らかになっております。  また、利息表示の単位といたしましては、年利だけを使っている業者は二%に満たないわけでございまして、大部分の業者が日歩その他の一般の借り手にとってはわかりにくい表現を使っているというようなことも明らかになっているわけでございます。  このようなことを踏まえまして、今後貸金業者に対してどのような規制を行うべきかということにつきまして現在、六省庁の連絡会議を通じていろいろ検討しているわけでございますが、そのポイントとしては、先ほど申し上げましたけれども、大体三つにしぼられると思うのでございまして、一つは、現在のように届出制で、すべての人が届け出だけによって直ちに営業できるという体制については非常に問題があるわけでございます。ただしかし、登録制その他を実施する場合にも、非常に個人の業者、しかも零細な業者が多いということを踏まえてこれに対処する必要があるわけでございまして、都道府県知事にどの程度事務処理能力があるかということも勘案しながら検討しなければならない、このようなことを考えております。  二番目に、高金利の規制が必要でございますが、ただ実態は、いま御説明しましたように、サラ金の場合には平均金利が八五%というような非常に高い金利で行われているのが実態でございますので、これを規制するのにどの程度金利が適当であるかということについては、さらに検討を進めていく必要があるのではないかと思います。  それから行為規制でございますが、貸し金の取り立てであるとかあるいは金利の表示方法、計算書の交付、領状証の交付等につきましては、実施状況必ずしも良好ではございませんので、この点については、各方面からかなり厳しいいろいろの規制を行っていく必要があるのではないか、このように考えております。
  124. 宮地正介

    宮地委員 そこで、法務省に伺いたいわけでございますが、いま警察あるいは国税庁、そして大蔵省銀行局の考え方なり対策をいろいろ聞いてきたわけでございます。各省庁における具体的な実態調査、事故、事件の発生状況、また大蔵省などの基本的な考え方、こういうものがいろいろ具体化していま詰まってきていると言ってもいいのではないかと思うわけでございますが、このサラ金問題に対して法務省としては、どういうふうに取り組み、今後の対策としてはどういうふうにお考えになっておるか、この点について伺いたいと思います。
  125. 佐藤道夫

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま大蔵省の銀行局長から御紹介がありましたとおり、この問題につきましては三つのポイントがあるのではなかろうかという点につきましては、われわれも同様に考えております。  その第一は、現行の届出制度を登録制ないし免許制に改めることの是非、その第二点は、現在の高金利をさらに引き下げる必要があるかどうかという点、第三番目は、取り立てに関しましていろいろ問題がある、いわゆる行為規制、営業規制をどのように持っていくか、この三点であろうかと思いますが、いずれにいたしましても当面問題とされておりますのは、サラリーマン金融をめぐるいわゆる小口金融業なるものの業種規制はいかにあるべきかということではなかろうかと考えておりますので、当面、業界を主管いたします省庁の考え等も十分に伺いまして、取り締まり当局の立場からこれに協力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  126. 宮地正介

    宮地委員 そうなりますと、いま最大の金利問題の隘路というのは御存じのとおり、出資法と利息制限法との関係の問題であろう。こういう問題をもっと具体的に詰めていきませんと、その辺にいろいろ各省庁の立場の違いで、なかなか遅々として進まないという意見もあるわけでございますが、大蔵省としては、聞くところによれば、いわゆる現在の出資法を改正して、何とか金利を五〇%ぐらいに下げてはどうかなというようなことが新聞報道などにも出ているわけでございますが、仮に五〇%程度金利を落としてきたといたした場合、この点についてのいわゆる金利による規制、これがベターなのか。あるいは、先ほど来から出ておりますように、届出制によって現在行われておるこの貸金業者の問題を登録制あるいは許可制、こういうやり方によって規制していくことがベターなのか。わが党は併用していくべきではないかという考えを持っておるわけでございますが、この点について、法務省また銀行局の見解を伺っておきたいと思います。
  127. 佐藤道夫

    佐藤説明員 ただいま申し上げましたとおり、この問題の解決の要締は以上の三点にあろうかと思いまして、この三点につきましての総合的な検討なり問題の解決方が必要なのではなかろうかと考えておりまして、その中の一つである金利のみを取り上げまして、金利引き下げについていかなる効果があるか、いかなる実効が期待できるかという観点だけの議論といたしますれば、余り当を得てないような感じもいたします。われわれといたしましては、やはり総合的な業種規制の一環としてこの金利問題も考えるべきではなかろうかというふうに理解しておるわけでございます。
  128. 徳田博美

    ○徳田説明員 大蔵省といたしましても、ただいま法務省からお答えがありましたように、ただ一つの点だけではなく、やはり先ほど申し上げました三つの点について総合的な施策を行っていく必要があるのではないか、このように考えております。
  129. 宮地正介

    宮地委員 その二つの総合的な施策が必要であることはわれわれも十分に理解をし、むしろわれわれはそれを事務的にスピーディーに処理することを皆さんに要請をしているわけでございまして、具体的に事務的に取り扱っていく場合、その中身の問題ですね。たとえば現在、出資法においては罰則規定がある、利息制限法にはない、こういったような問題が絡むだけに、この三つの総合的と、これはわれわれ国民もわかっておるわけでございまして、この総合的という問題の中身をどう事務的にスピーディーに処理をするか、ここにいま最大の問題があるわけでございまして、この点もう少し具体的に、法務省としてはどの程度この問題を現在詰めておられるのか、伺いたいと思います。
  130. 佐藤道夫

    佐藤説明員 私から御説明いたすまでもなく、出資法の五条の偶金利違反というものにつきましては、これは一般の貸借にも適用のある言うならば原則規定でございます。半面各方面におきまして問題とされておりますのは、いわゆるサラリーマンによる小口金融の問題でございますので、この小口金融解決の一策といたしまして、一般金融にも適用のある原則規定を改正することが果たして適当かどうか、よほど慎重な検討が必要ではなかろうかというふうに考えております。  御案内のとおり、全国の一質屋さんなどは〇・二五ないし〇・三八ぐらいの金利で行わざるを得ないということもございますので、その辺の質屋営業の状況あるいはまた手形割引の状況等も総合勘案した上でなければ、この一般原則規定を引き下げるということにはなかなか踏み切りがたい面がございますので、でき得べくんば、サラリーマン金融対策という観点から問題が取り上げられているという状況も踏まえまして、小口金融業の中で特定な金利の設定が果たして可能なのかどうか、若干技術的な問題もございますので、その辺も踏まえて、主管省庁ともども協議してまいりたいというふうな考えでございます。
  131. 宮地正介

    宮地委員 ということは、現行の法改正でいくのがベターなのか、あるいはネズミ講の禁止立法をつくったように議員立法でいくのがベターなのか、その点ですね。法務省として、ここで結論めいたことはこれは言えないと思いますが、この辺についても十分検討を、そしてわれわれとしても具体化する段階で研究をしていかなければなりませんので、この点はまた篤と別の機会に審議をして、また研究をさせていただきたい。  時間も迫ってきておりますので、経済企画庁に伺いたいわけでございますが、五十三年度の国民生活白書の中におきましても、このサラ金問題については特に「国民生活センターの各種広報媒体を通じて、サラリーマン金融利用上の注意等につき啓発活動を行っている。」ということが報告をされているわけでございますが、やはり現在、きょうにもこのサラ金による事故、事件が発生をしておるわけです。われわれがこうして国会で審議をしている閥にも毎日続出をしているわけでございまして、やはりこのサラ金の問題に対する啓蒙活動、これは非常に私は重要ではないか。ネズミ講においても、非常にいろいろ週刊誌を使ったりあるいはラジオなどを使っていろいろとやりました。と同じように、やはりこのサラ金問題についても、もっと積極的にテレビあるいはラジオ、新聞などを通じましてPR活動をすべきではないか。  特にその中の一番大事なことは、防止に関する問題と、それからやはり実際に扇金利、たとえば出資法を超えた、一〇九・五%を超えた形で、領収書も取れずに現実にトイチなどと言われるような高い金利で泣く泣く借りている方も非常に多いわけですね。その一部が摘発をされたりいろいろとされておりますけれども、まだまだ氷山の一角であろう。そういう方は、いわゆる救済の道を知らない方も多いわけですね。たとえば出資法で限られた一〇九・五を超えた利息で取られて、簡易裁判所に調停願いを出すとか、そうすればたとえばそのオーバー分に対しては返ってくる、こういうふうな初歩的な問題、それが私は国民生活の中に非常に役立つ。私なんかもいろいろと地元で相談事を受けましたとき、いまあなたは実際どの程度金利払っていますか、やはりこの一〇九・五%オーバーの方が非常に多い。早急にこれは、相手が暴力団であろうと勇気を持って、やはり簡易裁判所に調停願いを出すべきである、いろいろ私たちアドバイスをしているわけですけれども、やはり経済企画庁として、これだけ社会問題になっているサラ金問題について、私はそういう具体的な問題についても大いにPRしていくべきではないか、こう思うわけでございます。この点について、現在どういうふうに取り組んでおられるか、また、来年度予算の中においてこの問題、積極的に具体的に予算を計上して国民に啓蒙活動をしていく考えがあるか、この点について伺いたいと思います。
  132. 加藤和夫

    ○加藤説明員 特にサラリーマン金融問題に対する国民生活センターの活動でございますが、この点につきましては、現下の重要問題と考えまして、昨年来から三十分番組のテレビ番組であるとか、本年に入ってももう数回三十分番組で出しておりますが、そのほか、「国民生活」とか「生活行政情報」といったようなもの、それから「くらしの豆知識」として、具体的にそういう適正金利の水準その他のPRに努めておりまして、非常に努力しているところであります。それからさらに、国民生活センターを通じまして、全国百八十にも上る地方の消費生活センターがございますが、そこにこれらの情報をたくさん流すとともに、苦情相談を通じまして、そういう実際的な苦情について相談を受けておるわけでございます。ただ、具体的ケースになりますと、はなはだ弁護士業務に近くなるところというのはまだ手の届かないところがございますけれども、そういうところは一種の限界がございますが、極力こういう苦情にも相談に応じ、情報をも提供するということで今年度も努力しておりますが、来年度にわたりましても、このサラ金の問題が急務である限り、引き続いて努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  133. 宮地正介

    宮地委員 内容的なことにちょっと触れて恐縮ですけれども、いま私がお話ししたような内容は含まれているかどうか、伺いたいと思います。
  134. 加藤和夫

    ○加藤説明員 たとえばテレビ等でやっておりますのは、題名はちょっときついんですけれども、「サラリーマン金融その一」、「その二」というようなことで、「サラ金規制の法律について」それから「サラ金の問題点」それから「サラ金業者の実態調査」というようなことについても述べております。それから各都道府県で出しております「サラ金に対する指導要綱」の周知、それからテレフォンサービスでは「貸金請求事件判決」、「あとをたたない悪質なサラ金」、それから「国民生活」として情報を出しておりますのは「消費者金融金利」といったこと、「生活行政情報」では具体的に「高金利事犯の被害実態」、「最近の検挙事例からみた高金利事犯等について」の紹介、それから「くらしの豆知識」として出しておりますのは、これはそういう知識を集大成したものでございますが、「お金の貸借は借用書を作ってから」というようなことで、具体的な借り方あるいは金利規制というものについても十分にわかりやすく解説して、しかもこれを消費生活センターの方で具体的な相談にも用いております。
  135. 宮地正介

    宮地委員 最近このサラ金の問題につきまして、国としてもいま関係省庁はいろいろ御努力されているのを理解できるわけですが、余りにもスピードの速い事故の続出ということで、各都道府県が非常に熱心にサラ金対策として、たとえば埼玉県などは商工部が実態調査をする、あるいは東京都においても厳しい規制をつくるなど、各地方自治体が非常に——言うなら、国の対応が遅々として非常に進まないというようなことも私は含まれると思うのです。そういう中から、何とか地方自治体の段階で自己防衛といいますか、できる範囲で最大の努力をして、サラ金地獄、サラ金問題というこの社会問題の解決にできるだけの努力をしていこう、こういうことが積極的に最近各都道府県で行われているわけでございます。それだけに私たちは、もっとこのサラ金問題というものをスピーディーに国民生活に対応できるように解決を迫っていかなくてはならない、こういうふうにわれわれも責任を感じているわけでございますが、ぜひともきょうお集まりの関係省庁の皆さんもこの点をよくよく踏まえていただいて、でき得れば次の通常国会あたりで何とか新規の立法あるいは現行の法改正で行ける、この点の具体的な行動を起こしていただきたいし、われわれとしても立法府として積極的にこの問題と取り組んでまいりたい、こう思いますので、強く強くきょうは要望をしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。  最後に、きょうは禿河主計局次長さんが見えておりまして、実はアメリカのドル防衛政策と円の急騰問題について若干、主計局の見解を伺いたいというふうに考えておったわけでございますが、時間が参りましたので質問できませんでしたことをおわび申し上げまして、失礼させていただきたい、こう思うわけでございます。  本日は大変ありがとうございました。
  136. 野田毅

    野田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会