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村山国務大臣 いま
大石委員の御
指摘になった点が、実は
財政問題としては最大の問題であるわけでございます。
石油ショック後を考えてみますと、やはり
石油ショックによりまして
日本の
景気が急に落ち込んだ、その上にいろいろな
構造変化があったわけでございましそ、そういうものを反映いたしまして
税収の
伸びは極端に落ち込んだわけでございます。しかし今度は逆に、そのことがまた
日本の今後の
景気の
立て直しを必要とするということになったわけでございます。そういう意味で、
経常費の方は相変わらず従来
どおりと同じようなペースで
伸びてまいる。それから
公共投資の方は、
景気立て直しの面から
財政主導型という形でふえている。にもかかわらず
税収の方は、現実の
経済を反映いたしまして、
伸びは以前よりはるかに落ち込んできた、その
ギャップが結局、現在の
財政状況をそのまま物語っているのでございます。
したがいましてわれわれは、
財政収支の
健全化を早く図らねばならぬ、こう思ったのでございますが、何しろ
民間企業の
体質がきわめて悪うございます。同時に直すことはなかなかむずかしいので、五十三年度当初
予算におきましては、まず
企業の
体質改善の方を図っていこうということで、
臨時異例の
措置を講じました。したがって、従来からの
財政収支のアンバランスというものはさらに一段と拡大されてきた、こういうことでございます。
しかし一方、中期的な
展望に立ってみますと、このままでいきますと、
財政が
経済に奉仕するというよりも逆に、
財政が今度は
経済の足を引っ張るおそれがたくさん出てくるわけでございます。特に
心配いたしますのは、このまま
公債がどんどんふえていくということになりますれば、いま御
指摘のように
公債費はどんどんふえていく、そういうことになりますと、
歳出規模にもおのずから制約があるわけでございますので、
財政というものは絶えずそのときどきの
国民の要望に応じて機動的にやっていかにゃならぬのでございますけれども、それがだんだんできなくなってくるという問題がございます。
それから、特にもし
設備投資が少しよくなりまして、
民間の
資金需要が出てきたときは一体どうなるであろうかということを考えますと、これは大変なことになってまいりまして、
財政資金のために
民間資金をもし抑さえつけようとすればいわゆるクラウディングアウトになりましょうし、両方賄うとすれば
過剰流動性の問題が出てくることは当然でございます。その場合に、
金融操作だけでやれるかどうかという問題は、われわれは非常に困難であろうと思うのでございまして、これは過去の経験でも、そういう仕組みの上でやった
金融操作がうまくいかなかったということを実は
日本の
経済は物語っているわけでございます。それであればこそ、新
憲法下の
財政法では、
日銀引き受けを禁止してみたり、あるいは
特例公債を原則として認めないという立場に立っているわけでございます。
特にそのうちわれわれが
心配しておりますのは、いわゆる
四条公債でございますと、これは
民間資金需要が出てきたときには一時ずらすとかおくらすということは可能なわけでございます。しかし、いわゆる
経常経費を賄っている
赤字公債については、これは何しろ
人件費であり、あるいは
社会福祉、
年金とかこういった問題でございますし、文教の問題でございますので、全部裏づけに法律があるわけでございます。それではそれをその
段階でベースダウンするとか
年金は減らすというようなことはとてもできないということを考えますと、これは計画的にやっていかざるを得ない。
また、特に
償還財源から考えてみましても、
四条公債でございますと六十年の
耐用年数ということで、計画的に百分の一・六を積み立てているわけでございます。
償還財源があるわけでございますが、十年で、借りかえをやりません、こう言っておる
赤字公債については、
財源措置も実はとれていないのでございます。したがって私たちは、ただいま御
指摘がありましたように、少なくとも
赤字公債に依存する
財政状況から早く脱却したい、このように考えておるのでございます。
大石委員御
指摘のように、
前期経済計画におきましては、五十五年脱出ということが
経済計画に織り込まれておったのでございますけれども、やはり
需給ギャップの
状況あるいは
設備投資が盛り上がらないということからいたしまして、それがずれてまいりました。ことしは、それでは五十七年脱却ができるかどうかということを
経済審議会の
企画委員会で
暫定試算をしてもらいまして、そしていわゆる
Cケースというものをお示ししたわけでございます。これは結論的に申しますれば、大体従来の
中期経済計画、
前期経済計画の線に従って五十七年度に脱却できるという線を示したのでございますけれども、具体的にはどうするかということは今後の問題にかかっているわけでございます。
そこで、今後一体どうするのかという御質問でございますが、われわれはそういう厳しい
財政状況にあることを考えまして、
歳出についてはもちろんできるだけ冗費を省く、
庁費等につきましては大体前年同額というふうにことしも
概算要求の
段階で示しておりまして、この線は貫いていきたいと思います。また、
新規政策につきましては、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方式で、
新規政策をやるのなら何か一つ不要なものを見つけてつぶしてやってもらいたい、こういう
方針をとっているのでございます。
そして最後にでございますが、今度
昭和六十年に向かいまして、
経済計画の見直しをやるということでございます。われわれはいまの
財政状況というものを強く訴えまして、そしてできるだけ早く脱却できるようなことを織り込んだ
中期経済計画、これをつくってもらうように要請してまいりたい、かように考えているところでございます。