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1978-10-17 第85回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十七日(火曜日)     午後二時三十三分開議  出席委員    委員長 細谷 治嘉君    理事 田中 六助君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君    理事 西中  清君       大坪健一郎君    藏内 修治君       篠田 弘作君    山崎平八郎君       岡田 春夫君    西田 八郎君       安田 純治君    中川 秀直君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野中 英二君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君     ————————————— 委員の異動 十月三日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 同月十七日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     稲富 稜人君 同日  理事稲富稜人君同日委員辞任につき、その補欠  として稲富稜人君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件(貯炭問題等)      ————◇—————
  2. 細谷治嘉

    細谷委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  貯炭問題等について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、通産大臣の当委員会への出席は午後三時三十分までとなっておりますので、まず、大臣に対する質疑を行います。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭政策は今日新政策として二千万トン体制維持、こういう一つ位置づけがなされておるわけです。過般、エネルギー答申中間報告の中でも、国内炭は二千万トンということが位置づけられておりますし、恐らく今月の二十日以降に出されるであろう本格答申位置づけについても、中間答申と変わらないのではないかと私は実は考えておるわけです。しかし、最近の国内石炭需給の動向を見ますと、果たして二千万トン体制維持できるかどうか、こういう点について非常に危機感を感ぜざるを得ない要素が日増しに強まってきておると私は思うわけです。そういう意味で、政府はこの二千万トン体制維持という基本方針については変更ないと言い切れるのか。エネルギー答申の中にもありますように、今後、昭和六十五年に向けて長期的に二千万トン体制維持をしていく、こういう方針に変わりはないのか、改めて大臣所見を承っておきたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭政策の一番の基本は、二千万トン体制維持するということで進めてまいりました。ところが、最近の貯炭事情を見ますと、当初の計画に比べましておおむね二倍ぐらいの貯炭量になっております。現在は約二百八十万トンでありますが、このまま参りますと年度末には三百万トンを相当超える、こういう状態でございます。  その原因は、御案内のように、一つ国内景気がまだ十分回復しないということもありますけれども、もう一つには、やはり何と申しましても最近の円高が非常に大きな影響になっております。円高のために、輸入炭と比べますと一般炭の方は二倍以上になっております。輸入炭が大体七千五百円くらいの数字でございますが、国内炭はそれのほぼ倍以上になっております。それから、原料炭の方もほぼ倍くらいになっております。輸入原料炭が約一万円でございますが、国内のものは約二万円、こういうことになっておりまして、そういうことから製鉄業界の方も引き取りにやや難色を示す。もっとも石炭需要量そのものが減っておるという前提条件もございますが、そういうことで貯炭が大幅にふえました最大の理由は、製鉄所原料炭貯炭がふえた、こういうことになっております。  そういうことから、実は通産省といたしましても、二千万トン体制維持しながらこのまま進めていきますと、景気現状のような状態ではますます貯炭量がふえますし、なかなかむずかしい問題になってきた。しかし二千万トン体制を崩すということになりますと、これまた国内でいろいろな問題が起こりますので、この問題をどのような形で調整すべきかにつきまして、いま総合的に鋭意検討しておるところでございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国の歴史的な石炭政策は、ヨーロッパの西ドイツルール炭田一社化を断行した、しかし依然として民間私企業体制にあるわけでございますから、いわば相互に政策的に作用し合ってきたという側面もあると私は思うわけです。そういたしますと、いま大臣が述べられた円高の問題を考えても、西ドイツの場合も同様にマルク高で、しかも輸入炭が安く入る、あるいはまた油と一般炭との格差増大をする。こういう状況で、これに対して西ドイツ政府価格差補給のような体制で、たとえば一般炭の場合にはトン四千円補給する、あるいは原料炭についても、輸入炭国内原料炭との差額についてこれを補てんをする、いわばもろもろの石炭政策以外にそういう思い切った措置をとって、そして八千万トン体制維持し、また褐炭三千万トン体制を今日維持しているのが西ドイツ政策であります。これは、国有化されているイギリスあるいはフランスの場合を見ましても同様な措置をとって、国内炭の保護をぴちっと位置づけをしておるわけです。特にフランスの場合には産炭構造が非常によくございませんから、そういう意味では、日本フランス出炭規模というものは歴史的に大体五千万トンの場合にはフランスも大体五千五百万トン、今日では大体二千百五十万トンから二千二百万トン体制フランスでも維持しておる。私も十年前にフランスに参りましたときには、いずれ千五百万トンぐらいに縮小しなければならぬだろう、そういうことを石炭関係者は言っていたのでありますけれども、今日依然としてやはり二千万トン体制というものは維持をされている。いまわが国は千九百十万トン出炭規模でありますから、どうもそういうフランスの面から見ても水準が落ちている。そして、申し上げました円高措置等についても、その対策というものは非常に適確性を欠いている、実はこういう気がしてならないわけであります。  したがって、わが国の伝統的な石炭政策の面から考えても、需要がないという場合には問題は残りますけれども、需要がある以上、これをセットできないというのはもはや石炭政策不存在だ、私はこう指摘しても過言ではないのではないかと思うわけです。そういう判断から考えて、大臣は、これからそれぞれ対策を検討していく、こう言われますけれども、政府のやはり基本的な姿勢というものがぴしっとしなければ、どうも折衝しても問題は解決しないと思うわけです。したがって、価格差がある場合にはある程度思い切った補給をするとか、でなければ、輸入原料炭の一二%程度国内供給炭量でありますから、大体一割程度のものはセットしていくということがぴちっと姿勢として確立されないと、検討しても結局は貯炭が激増していくということになるのではないか、こう私は考えざるを得ないわけです。そういう意味で、もう一歩この貯炭激増状況を打破するための決意のほどをお伺いいたしたいと思うわけです。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は、製鉄業界鉄鉱石それから原料炭長期契約を各方面ともいたしておりまして、毎年の引き取り数量が長期契約に基づいて決まっておるのですけれども、現在の生産能力一億五千万トンに対しまして約七割弱、一億トン強の生産でございますから、原料炭の引き取りも、相手国に頼みまして、若干のトラブルは起こっておりますけれども、大体七割ぐらいしか引き取っていない、三割ぐらいカットしておる、こういう状態でございます。もっとも、さっきから申しておりますように、国内景気がよくなりまして製鉄量が若干ふえればもう何もかも一遍に問題は解決するわけでありますけれども、残念ながらいまの状態は、諸外国に対してもそのようにしんぼうしてもらっておる、こういう状態でございます。しかしながら、国内における状態は緊急を要しますし非常に深刻になっておりますので、さてここで一体どのような総合的な対策を立てればいいのか。もちろん、輸入炭との差額を全面的に補助をいたしましてそして格差をなくしてしまう、こういうことになれば問題は解決するわけでありますが、この場合には財政問題が当然起こってまいります。そこらあたりのことを十分総合的にこの際は判断をしてみる必要があるのではないか、こういうことで関係者の間を督励をいたしまして、いま答えを出そうとして努力しておるところでございます。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はいまの状況で昨年の原料炭の引き取りベースを基礎にして計算してまいりますと、当初政府は非常に楽観的でありましたけれども、本年度末、いわゆる三月末には三百五十万トン貯炭に達するだろうというのが私の試算であります。したがって、このベースでずっと推移していきますと、政府には大体五十六年三月末には五百五万トン程度という試算もあるようでありますけれども、原料炭の引き取りベース現状のままで推移するとすれば昭和五十六年三月末には七百万トン貯炭になる、こういう私自身の計算が実はできておるわけです。現在の貯炭能力というものは、大体全国貯炭場で四百万トン程度ぐらいの貯炭能力しかないだろう。したがって、それ以上の貯炭になれば貯炭場を新たに建設をしなければならない、こういう状況になるのが私は現状だと考えるわけです。いずれにしても、いま大臣が述べられたけれども、相当程度貯炭というものは、残念ながらいまのこの対策状況では出てくるということを見なければならないのだろうと思うのです。そうすると、この貯炭を一定期間支えて、そして三年なら三年の展望の中で、それ以降これらが解消していくというような措置はやっぱり現実にはとらざるを得ないのではないか。そういう場合に、貯炭に対する対策、たとえば貯炭場も新しくつくらなければならぬという問題もあるでしょう。あるいはまた、貯炭を支える融資体制展望がなければ民間ベースでは融資が行われませんから、そういう金融措置については一体どういう対策を立てるのかという問題が非常に重要な問題になってくると思うわけです。でなければ結局思い切った減産をやる以外に私はないのではないかと思うのですね。減産をやるとすれば二千万トン体制基本が崩れてしまうと思うのです。たてまえは二千万トン体制だけれでも、そこでレイオフみたいにやったり、あるいは縮小させて生産を抑えてしまうということになれば、実質は二千万トン体制は崩壊をするということに事実はなるのだと思うのですね。したがって、この二千万トン体制維持してしかも需給バランスをとるという場合に、そういう貯炭を一定量抱えるという問題、あるいは生産を抑えるというのか、そういう点について大臣は、二千万トン体制維持するのだから大体いまの水準貯炭を支えながらこれを解消する方向に向かっていくという考え方を持っておられるのか、それとも一定期間非常に困難であるからやはり生産制限もやむを得ないという立場でこの問題に対処しようとするのか、非常に重要だと思うわけです。この点いかがでしょうか。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 いずれにいたしましても、これの解決には若干の財政資金が必要だと私は思います。ただ、先ほども申し上げましたように、外国との長期契約は大体七千五百万トンの引き取り最に対しましてその三割減、二千万トン強削減をしておるわけでございます。豪州を初めそれぞれの長期契約の国にいずれも泣いてもらっておる、こういう状態であります。相手政府もずいぶんいろいろなことを言いますけれども、日本国内景気現状製鉄現状を説明いたしまして、しばらくの間ぜひしんぼうしてもらいたい、こういうことで理解を得ておるという状態でございます。でありますから、ある程度財政資金を出させようとしますと、日本は二千万トン体制だから、どんなことがあってもあくまで二千万トンは掘るのだ、それに対して全部財政資金を出せ、こういうことを言って通るのかどうか、やはり若干は一時的に削減をしないと財政資金を出させるということがむずかしくなるのか、あるいは貯炭問題を一体どうするのか。いまお述べになりました年度末三百五十万トンぐらいだろうというお話もございましたが、通産省計算もほぼそれに近い数字でございます。三百三十万トン見当を考えております。あるいは三百五十万トンという方が正確かもわかりません。この貯炭問題を一体どうするか、こういう問題もございます。しかし、いずれにいたしましても事態はきわめて深刻でありますので、このまま放置できませんので、先ほども申し上げましたように、何らかの対策をここで考えることが必要だ、こう思っております。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 いままでの石炭政策の流れで考えてみますと、なかなか理想とするようなところにいかないわけですね。したがっていろんな工夫が講ぜられるという傾向が多いわけです。そうして、ともすればとられる方法というのは三方一両損方式、こういうような政策方式が間々そういうときにはとられるという傾向があるわけです。そうしますと、たとえば原料炭でいえば、客体があるわけですから、当初計画の三分の一は引き取ってくれぬか、民間は三分の一ぐらいは支える努力をすべきじゃないか、あとの三分の一については大体政府財政資金等で、これはいろんな方法があるでしょう、たとえば利子補給なんか財政措置としては非常に少ないわけですから二、三年ぐらいはそういう緊急措置をするとか、そういうようなことが大体いままでの政策ではとられるわけです。大体今日の現状を見て、大臣もそういうようなところにやはりこの問題の一応の乗り切りの焦点というものを置かざるを得ないとお考えになっているのではないかと思うのですが、そういう私の指摘に対していかがでしょうか。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 やはり先ほどから申し上げておりますように、まず、この景気回復を図って鉄の生産を高めるということが一番の骨子になるわけでありますが、そして同時に、製鉄業界に対しては、少々負担になっても国内炭をできるだけたくさん引き取ってもらいたいという要請もしなければならぬと思います。財政資金もある程度出す必要があろうと思います。しかしながら、事態が非常に深刻である場合には、石炭業界もあるいは二千万トン体制をしばらくの間しんぼうしてもらう、こういうことをお願いするようになるかもわからないと思うのです。まだ何も結論を出したわけじゃございませんが、いずれにいたしましても、だれの責任というわけではありませんが、非常に困った状態になっておりますので、関係者がそれぞれしんぼうして解決策を見出していく、こういうことが望ましいのではないかなあ、こう思っておるのですが、まだ結論が出たわけではございません。先ほど来繰り返して恐縮でありますけれども、何とかしなければなりませんので、早く適当な方法を考え出すように、こういうことでいま鋭意努力をしておるところでございます。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭一般炭の場合は多少事情を異にいたしているわけです。一般炭の場合は、特にハウスコールの落ち込みというものが非常に急激に落ち込んできている、こういうような関係で、どうしてもエネルギーとして火力発電所に頼らざるを得ないというのが一般炭状況であります。大体貯炭ベースで見ますと、貯炭量の五五%近くが一般炭になる、こういう数字が出てまいるわけですから、これまた一般炭対策は別途に非常に心配な対策であります。しかし、この中でも一般炭産炭構造を考えてみますと、三池がいま五百三十万トン生産体制で、大体二百五十万トン近く一般炭が出る。第二には、北海道釧路太平洋炭礦が二百五十万トン生産能力を持っている、そういう体制にある。先般復活した北炭幌内炭鉱、大体百十万トン前後の出炭能力体制がある。いわば一般炭の特にウエートのかかっているのはこの三山、そして松島炭鉱の大体八万トン近い一般炭、各社それぞれございますけれども、そういう状況にあるわけです。いわば、一般炭供給構造というものは、そういう意味で二百五十万トンずつ供給できる、五百万トンの過半数を供給できる山が北海道釧路九州三池炭鉱にある、こういう状況であります。しかも、三池炭鉱は御承知のようにサルファが非常に高い。こういう意味で、なかなか一般炭消化についてはいろんな苦労をし、今日では輸入一般炭である程度ローサルファに薄めて使っている、こういう状況もあるわけです。そういうような関係から考えますと、九州三池は、高サルファ石炭をたき得る特殊な専門の発電所現地につくることが一番ベターであることは間違いがないわけです。そしてまた、北海道釧路の場合には、東北海道でありますから火力発電所というのはないわけであります。しかも、今日では釧路から空知石炭を五十万トン供給して、そこでできた電力が今度は道東に送られている、こういうことが北海道現状であるわけです。  したがって、こう考えてまいりますと、先般大臣釧路に参られまして、釧路火力の場合には、昭和五十八年には道東電源道東だけで見れば三十八万キロ供給が不足する、こういう発言現地大臣もなされているわけです。この数字は正しいと思うわけです。こうなってまいりますと、この一般炭関係セットというものは、もちろんこれから苫小牧運開とか松島運開とかいろいろありますけれども、最終的には釧路三池火力発電所をつくらない限り、二千万トン体制一般炭消化体制は完了しないということになるわけです。だが、これらはいずれもまだそれぞれの電力会社計画に明確に組まれていないことを私は非常に残念に思っているわけですが、大臣現地発言された趣旨から言えば、五十八年運開を目途にして道東火力というものを建設していくというのが正しいという見地に立たれての発言だと思うのですが、この点、三池炭対策と含めて大臣所見を承っておきたいと思います。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 一般炭につきましては、いまもお述べになりましたが、暖房用石炭需要が減っておりますので、結局、石炭火力発電をできるだけたくさん方々につくるということが解決策になるわけでありますが、八月に私は釧路へ行きまして、いまお述べになったようなことを現地発言をいたしました。まだ発電用地が正確に決まりませんので詳しいことは申し上げられませんが、やはり最近の電力事情から言いまして、五十八年ごろにはぜひ発電所の完成をさせたい、このように考えております。北海道電力も同じような考え方であります。  それから、西日本におきましては、いま数カ所、瀬戸内海から九州にかけまして石炭火力発電が進んでおりますが、これからつくります火力発電は主として石炭中心のものにしたいと考えておりますので、地元との調整がつくものはすべて石炭中心にできるだけたくさんの石炭火力建設したい、こう思っております。いまのところは、昭和六十五年までに石炭火力を千六百万キロ開発したい、こういう計画で進めております。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣電源多様化の問題で石炭火力を進めていくということは、その一つ基本としていまお述べになったことは理解ができるわけです。ただしかし、石炭火力というものは私はやはりなじみの問題があると思うのですね。そうすると、どうしても旧産炭地に設置しやすいという傾向は強いと思うのです。たとえば北海道九州あるいは中国地方、概して東北には石炭は若干しかありませんでしたけれども、亜炭等もありましたから秋田あたり東北の若干の関係ですね、あえて挙げれば四国などもそのうちに入るかもしれません。大体こういうところに石炭火力ができて、そして高圧送電で結ばれて電力供給されるというのが、どうしても先行してくるのだと思うのです。こうなってまいりますと、円高差益還元等に見られるように、ほかは円高差益還元があるけれども、北海道電力だけ、道民は円高差益の恩恵に浴さないという結果になっておるわけです。もちろん、これから国内炭が一千万トン程度セットをされて、あとの一千六百万トンというのは安い外国一般炭を輸入するから、その点は油と競合ができて価格バランスがとれて解消していく、こう答弁、説明があるかもしれませんけれども、だがしかし、北海道とかそういう地域は、どうしてもそういう採算性の問題は相当期間残っていくのではないか。長期的には一応解消できると思いますけれども、相当長期間、そういう悩みを背負っていくことになるのではないかと思うわけであります。  そうすると、やはり石炭というものは、物量的なものですから、近いところでたかして、遠いところには遠いところから持ってくる石炭をたかせるというのが一番経済効率があるわけです。したがって、石炭の場合にはもう少し横断的に政策的に、これをある程度プール的に、価格体系についてもそういう方向バランスをとるというような政策措置がなければ、いま大臣の言われている電源多様化に向かって石炭火力を増設していくということは非常にむずかしいんじゃないか、こう感ずるのでありますけれども、この点の御所見はいかがでしょうか。
  14. 河本敏夫

    河本国務大臣 これからのエネルギー政策のうち、電源多様化という問題が一つの大きな課題でありますが、これは石炭火力だけに限らず、水力発電あるいは地熱発電、こういうものを考えますと、やはり同じような問題があります。  そこで、この電源多様化を進めるのには一体どうしたらよいか、これもあわせていま考えております。これも近く結論を出すつもりでございますが、その過程におきまして石炭火力の問題も解決をしていきたい、こう思っております。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣参考までに数字で説明したいと思うのですが、北海道釧路から磯子の電発火力石炭を輸送いたしておりますけれども、これはマル近、近代化船トン千二百七十五円かかるわけであります。高砂に持っていきますと千六百四十二円かかるわけです。それから九州三池まで持っていきますと、夏場冬場で百円ちょっと違いますけれども、夏場で千八百七円、冬場で千九百六十七円かかるわけであります。北海道釧路から空知火力発電所に国鉄で石炭を輸送いたしますと、一トン三千二百三十円かかるわけです。そうしますと、北海道内の釧路から空知石炭を持っていって三千二百三十円かかって、九州三池まで持っていって二千円かからない、こういう流通経費、運賃が出てまいるわけです。ですから、石炭火力発電所を設置していく場合、港に近いところに持っていった方が一番メリットがあるわけです。引き取り先があれば、たとえば釧路の炭は苫小牧に持っていった方がいい。近い方に持っていった方がいい。外国から将来来る場合にはそれは遠いところへ入れればいいわけですね。流通面についても、単に従来のように西、東と分けるのではなくて、そういう点でも思い切った流通関係を考えて炭の供給、そしてまた火力発電所の設置をやっていく、こういうことが日本列島の場合に一番大事だ。宿命的に九州北海道という南北に炭田があるわけでありますから、こういう実態では、数字が出てまいりますので、この点について、特にこれからの火力発電所建設について考える場合、いま大臣も述べられましたけれども、こういうところを基本にして電源多様化石炭火力建設を考慮してもらわなければならないと思うのですが、いかがですか。
  16. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいまの数字はこれから十分参考にさせていただきます。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  18. 細谷治嘉

  19. 西中清

    西中委員 ただいまも問題になっておりましたけれども、国内炭の在庫の増大の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  従来より二千万トン体制ということで、会社も労働者もその目標達成のためにそれぞれある種の使命感を持って今日までがんばってこられたわけでございます。一方、ことしの出炭生産高というものは千九百十万トンというふうに見込まれておるわけでございますけれども、二千万トンに達しないのに国内炭の在庫は非常にふえてくる。先ほどからまた一般の新聞報道でも、その原因は円高外国炭との格差があるんだ、こういうことでございますけれども、原因としては余りにも単純な感じを受けないわけでもありません。しかも、この円高状況というものが将来続くとするならば、これは非常にゆゆしい問題と言わなければならないと思うのです。原因はそういった面だけなのか、それ以外にも考えられる何かがあるのか、その辺のところをまずお伺いをいたしたいと思います。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 貯炭増の問題でありますが、数量につきましては先ほど述べたとおりでございまして、当初の計画のおよそ二倍近くになっておりまして、関係者の間で大変頭痛の種になっておるのでございますが、原因は、いまもお触れになりましたが、いろいろございます。  一つ国内の不景気一つ円高、この二つがやはり一番大きな原因だと考えております。しかしながら、現状は放置できませんので、やはり何らかの総合的な対策が必要だということで、いま関係者の間でいろいろ工夫をしておるところでございまして、近く何らかの案をまとめたいと思っております。
  21. 西中清

    西中委員 年度末の貯炭量は恐らく三百五十万トン前後ではないか、こういうふうに予測をされておるわけでございますが、円高等の推移もございますけれども、現に国内で消費する石炭量等々を考えあわせまして、ここ数年どういう見通しを現在持っておられるのか。それから、この三百五十万トン、そして将来五百万トン等と言われる在庫量に対して、各社が年間どれほど貯炭によるところの負担増があるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  22. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  五十三年末は先生御指摘のとおり三百五十万程度貯炭になるかと思います。われわれの試算では、相当の引き取り努力をしていただいて、七百万トンベース程度の引き取りであるならば、五十六年度末で約五百万トンの在庫になるのではないかと考えております。しかし、いま置かれておる鉄鋼の状況を考えますと、七百万トンの引き取りというのは相当の努力をしなければならないというふうに考えておりますので、五百万トンを超えるというふうに考えております。  五百万トン貯炭というのを、これはちょっといま思いつきの計算になりますが、大体平均で一万五千円程度になりますので、約六百億か七百億になるのではないかと思います。
  23. 西中清

    西中委員 これについて先ほども少も触れておられましたが、対応措置として当面考えておられること、それから中期的にお考えのこと、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  24. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  貯炭増に対する資金対策につきましては、企業みずからの努力でやるというたてまえに立っておりまして、現在それを前提として御努力を願うというふうに考えております。しかし政府といたしましても、現在、経営改善資金という制度がございまして、それをフルに活用すると、五十三年度については資金対策は大体こなせるのではないかというふうに考えております。  将来、五十四年度以降どうするかということでございますが、やはり将来の展望を描いた上で、資金対策を別途関係者の間で協議しながらつくっていきたいというふうに考えております。
  25. 西中清

    西中委員 いずれにしましても、現実こうした非常事態ともいうべき状況に来ておりますので、適切なる御処置をお願いいたしたいと思います。  同時に国内炭の引き取り促進、こういう面でお伺いをしておきたいわけですが、二千万トン体制維持するという前提に立って考えますと、大口の需要先であります電力、さらにまた鉄鋼業界、こういう業界に対して、競合するエネルギーとの価格の差、これを一部補てんする考え方が出てくるわけでございますし、すでに政府としても石炭増加引き取り交付金制度を設ける、こういうようなことも伝えられておるわけでございますが、現在どういう点までこの話が進んでおるのか。具体的に、いま予算要求等をされていると思いますが、トン当たりどのくらいの交付金をお考えになっておるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  26. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 従来からの原料炭一般炭の引き取りにつきましては、価格差が余りございませんでしたので、需給部会等でいろいろお話をしてお引き取りになったということであります。最近は、先ほど大臣が御説明したと思いますが、内外比の格差が大きくなりましたので、その需要家の負担を軽減するという意味で、従来からあった制度でございますが、増加引き取り交付金という制度がございます。これは従来電発だけにやっておりましたものを鉄鋼その他に拡充してきたというふうに感じております。いまのところ予算要求のベースでは、鉄鋼につきましてはパートン約四百円程度ということを考えております。
  27. 西中清

    西中委員 そうすると、その程度で仮にいま皆さん方が予定といいますか考えておられる手当て、こういうことでどのくらいの引き取りが増加をするように見込んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  28. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 的確な数字はいまのところわかっておりませんが、いずれにしても、やはり負担を軽減するということで、関係業界の方とそれをベースにしていろいろお話し合いをしていくということが必須だと思います。現在そのお話し合いをするということで事務的に話し合いが開始されておりますので、その辺の推移を見て、議論の結果ある一定の数字が固まってくるのではないかというふうに考えております。
  29. 西中清

    西中委員 先ほど大臣の御答弁の中で、私、少し聞き漏らしたかもわかりませんが、ニュアンスとして生産削減、調整、こういう感じで受け取れるような御発言があったように思っております。要するに石炭会社もこういう非常事態ですから協力をすべきだ、こういう御意見ではないかと思いますが、その点の再確認をしておきたい。同時に、一たん生産体制というものを下げた場合にはなかなかもとに戻すことは不可能でございます。したがいまして、これは二千万トン体制の見直しにつながるものかどうか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 二千万トン体制はあくまで堅持をしたいと考えております。ただ、景気回復の見通しがどうなるのか、鉄鋼生産がどうなるのか、そこらあたり判断を十分いたしまして、若干時間がかかるようだという場合には、貯炭が幾らでもふえるということは困りますから、外国の方も三割ばかりカットしておるわけでありますので、国内でも一時的に、これはもちろん皆さんとよく相談をしなければなりませんが、解決策に対してやはり業界の協力を求めるとか、そういう場合もあり得るのではないか、できるだけ迷惑をかけないような方法を考えてみますけれども、いずれにいたしましても総合的な対策が必要だ、こういう感じでございます。
  31. 西中清

    西中委員 当然これは各会社の経営の実態等も非常に大きな問題があるわけでございますから、慎重なお取り組みをお願いいたしたいと存じます。われわれ委員会で調査に行きました場合も、要するに生産を上げて、そして採算を合わさなければならないということで、会社としても非常に必死になってやっておる、こういう姿と、こういう生産削減等の考え方と、非常にまた問題が多いと思うわけでございます。  次の問題に移ります。新聞報道でございますが、通産省としては、水力や石炭火力地熱発電など、石油にかわるエネルギー電源の立地対策に充てるためとして、現行の開発促進税を五十四年度当初から二倍に引き上げる方針で大蔵省と協議に入った、こういう報道があったわけでございます。ここで、当然これは電力業界としてもそれなりの意見があろうかと存じますが、ここで確認をしておきたいことは、もしも実施された場合、円高差益還元の一環として五十四年度まで現行料金は据え置くんだ、こういう方針が今日確認されたようなことでございますけれども、この負担増によって円高差益還元、こういうことが崩れる、要するに据え置きがほごにされる、こういう心配が出てくるのではないか、われわれはそういうように危惧しておるわけでございますけれども、この問題について御所見をお伺いをいたしたいと思い  ます。
  32. 豊島格

    ○豊島政府委員 ただいまお話のありました電源多様化促進のための税を取るという構想につきましては、電源多様化促進のためにいろいろな検討をしております一つの案として内々検討しておるわけですが、まだ来年から実施するかどうか、あるいはその率をどうするかということは一切決まっておらないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、五十四年度末まで据え置く、非常に大きな経済上の変動がなければ据え置くという方針は変わっておりませんので、これを仮に実施する場合でも、そのような影響のないようにするというのがたてまえであるということでございます。
  33. 西中清

    西中委員 ただいまの問題につきましては、円高差益還元ということで非常に政治問題にもなったわけでございますので、くどいようでございますが、大臣からも御答弁をお願いしたいと思います。
  34. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十四年度電力料金据え置きという方針は変えません。
  35. 西中清

    西中委員 それから、せっかくの大臣の御出席でございますので、せんだって、九月でしたか訪中されました際に、中国側からの要請だったと思いますが、石炭開発についてのお話があったようでございます。この点について経過、今後の見通し、そういった点についてお話しいただきたいと思います。
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 すでにことしの中ごろから、日本石炭業界に対しまして、山東省と山西省において石炭開発に協力してもらいたいという申し出がございまして、日本側はこれを受け入れる準備を着々進めておりました。  私が先般中国に参りましたときには、さらにその二カ所に加えまして河北省、河南省それから遼寧省、合計新規に三地点での石炭開発に対しても協力してもらいたい、こういう要請がございましたので、直ちに日本石炭業界にこれを伝えまして、いま研究をしていただいております。先月末に石炭関係のミッションが再び中国を訪問をいたしましてその話し合いをいたしておりますが、一両日前には、かねて話のありました二カ所については開発を進めていきましょうということに対して大体の合意ができたようであります。文書は交換いたしておりませんが、基本的な考え方は合意を見た、こういう報告を受けております。新規の三地点につきましては、まだ日もないことでございますから、十分準備をいたしまして、日本にそれだけの力があるならば、余力があるならば、これは受けて立ちたい、こういう考え方でいま検討しておるところでございます。  ただ、問題は、先方は開発のために協力した資金は石炭を引き取ってもらえないか、こういうことを言っておるわけです。ここに非常に大きな問題がありまして、石油の場合は、これから需要が激増しますから、これは工夫をすれば幾らでも引き取る余地は出てくるのですけれども、石炭の場合は、原料炭の場合は製鉄業界がよくなりませんと需要が増量しませんし、一般炭の場合は、石炭火力発電が予定どおり建設されませんと引き取り増量は不可能であります。でありますから、将来、仮にある程度引き取るということにいたしましても、そこはよほどいろいろな角度から十分計算をいたしまして、国内にもトラブルが起こらないように、相手に対してもまた迷惑がかからないように、よほどしっかりした計算をする必要があると考えております。
  37. 西中清

    西中委員 終わります。
  38. 細谷治嘉

  39. 西田八郎

    西田(八)委員 せっかく大臣の御出席でありますから、さきの二人の委員と重複するかもわかりませんが、ひとつエネルギー政策基本についてお伺いしておきたいと思いますが、大臣先ほど御答弁のありましたように、国内炭二千万トン生産体制は変えないというのは確認してよろしゅうございますね。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 二千万トン体制は変えないで、それを原則としていろいろな工夫をしてみたい、こう思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、その原則は続けますけれども、何分にもいまはひどい状態になっておりますから、一時的に石炭業界にも若干の協力をお願いする、こういうこともあろうかと考えますが、その辺はこれからよく相談をしてみたいと考えております。
  41. 西田八郎

    西田(八)委員 多少減産もあり得るというふうに受け取っておるわけでありますが、もしそういうことになりますと、現在の炭鉱状況からいって非常にむずかしい問題が出てくるのじゃないだろうか。かなりの設備をいたしております。その設備を休止させるわけでありますから、休止させることについて、ある一つの坑道なり切り羽なりがとまってしまうと、炭鉱はもとへ戻すのにずいぶんと費用がかかると思うのですが、そういう面で、これは大臣というよりも事務局の方で、そういうことが可能なのかどうか。仮に可能とするなら、どういう方法があるかということ。  もう一つ、そうなると労働者の方の収入減というものも考えなければならない。さもなくてさえ非常に悪い労働条件下で働いておられる山の労働者に対して、まことに申しわけないことになるわけでありますから、そうするとするなら、それに対するいろいろな措置が当然講ぜられなければなりませんが、そういう面についてどう考えておられるのか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  42. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  石炭生産というのは労働集約的でございまして、したがって、急激な生産調整というものは技術的にも困難ですし、コスト的にもかなりむずかしいと思います。しかし、現下の需給状況を考えますと、段階的といいますか、徐々にやるということは技術的に可能でございますが、これはかな、り時間を要することだと思います。したがいまして、絶対的に貯炭解消に直接につながるという手段ではないかと思いますが、補助的な手段として一考に値するのではないかと感じます。
  43. 西田八郎

    西田(八)委員 そういう点は、でき得べくんば操短はしないという方向で、炭は出すだけ出す、しかし、それを貯炭する方法についてもう少しお考えいただけないか。ということは、大体貯炭をするためにはかなりの資金が寝るわけでありますから、そういうものに対する特別の融資制度を考えるとか、これは一般の製造工場でも、つくった製品の在庫品に融資してくれと言われれば非常に問題があるかもわかりませんが、少なくともそういう方法を考えるべきじゃないかということが一つ。  もう一つ輸入炭が減少はしておるものの、鉄鋼等の引き取りの量を見てみますと、国内原料炭が、四十八年を一〇〇とした場合には大体五〇%程度に下がっておるわけですね。五〇から五五%ぐらいまで引き取りの量が下がっている。ところが輸入炭の方は、同じように計算した場合、九九%ぐらいをまだ引き取っておるという数字が実は調査で出ておるわけであります。したがって、そういうことであるなら、この際、輸入炭についてもう少し考える必要があるのではないかと思うのです。しかも、先ほど西中委員の質問にありましたように、中国からも石炭を入れるというような情勢になってくれば、ますますもってそういう問題が深刻化してくる。  また、一般炭等につきましては、いわゆる火力発電所といったって立地が非常にむずかしくて、もうすでにできておる発電所でも回すのがむずかしいという状況にある。そういう状況下にあってこういうところに持っていくのはむずかしいし、北海道あたりで産炭地でありながら石油ストーブをたいておられるという現状、こういうことから見て、一般炭が今後これ以上ふえるということも考えられない。そういうようなことを考え合わせましたときに、輸入炭についてはかなり制限をしていかなければならないのじゃないかと思いますが、これについて、大臣、どのようにお考えになりますか、ひとつ伺いたいと思います。
  44. 河本敏夫

    河本国務大臣 輸入炭長期契約をしておりまして、これをここ一両年非常に削減をしておるわけでありますが、その削減の交渉の過程で相手国の総理大臣とか副総理とか担当大臣もたくさんやってこられまして、これは業界の契約であるにかかわらず、日本政府に対していろいろ強い抗議を申し込まれる、こういうこと等もあったのですけれども、しかしながら、そこはやはり事情が万やむを得ませんので、懇々と事情を説明をいたしましてようやく納得をしてもらっておる、こういう状態でございます。  そういうことを考えますと、これ以上製鉄業界に対して外国からの輸入を減らせと言うのはいかがなもんだろうか、こう思います。しかしながら、国内事情もきわめて深刻でありますので、関係者にそれぞれ若干のしんぼうをしてもらいまして、皆さんが何らかの合意をしていただけるような案を考えてみたい、こう思っております。
  45. 西田八郎

    西田(八)委員 この点は、大臣の時間がもうあと一分ほどしかないらしいので、時間が来たらお帰りになっていただいて結構ですが、非常に重要なエネルギー問題でありますし、しかも数少ないわが国の資源でありますから、大切に使っていかなければならない。しかし、いま大臣の言われるように、国際関係というのを無視してわが国経済は成り立たないわけでありますから、その辺の関係はうまく調整してもらうとしても、少なくとも国内の業者は今日二千万トン体制維持するために非常に努力をしてきた。これは労使ともどもに努力をしてきておるわけでありますが、特に労働者は、その中にあっていろいろ苦労をしてきておるわけであります。したがって、そういう労働者が、そのことによって再び失業するようなことのないよう、あるいはまた生活が破綻を来すことのないよう、たとえば貯炭に対する特別な融資を行うとか、あるいは特別の交付をするとかいうような方法でぜひともひとつ処置していただくよう、対処していただくようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  46. 河本敏夫

    河本国務大臣 御意見ごもっともでございます。私どもも、いまお述べになりましたような御意見を十分体しまして総合的に判断をしてみたいと思います。
  47. 西田八郎

    西田(八)委員 終わります。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員長 引き続き政府当局に対する質疑を続行いたします。岡田利春君。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石炭産業の今日の生産能率あるいはまた炭価水準というものは、ヨーロッパ、西ドイツ、イギリス、フランスに比べて、能率においても遜色はない、むしろ高いくらいだということが言えるのだと思うのです。炭価水準についてもそう変わらない。こういう状況にあって、まさしくヨーロッパ三国よりもむしろ生産性においては高い位置にある、私はこう認識しているのですが、通産当局は、こういう認識についてはどうですか。
  50. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 いま先生が御指摘になりましたような事情でございまして、日本生産性は、世界でアメリカの次くらいの水準にいるのではないかと考えております。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう状況の中で、今日需給問題が、質疑があったように大変な問題になっているわけです。  そこで私は端的にお伺いいたしますけれども、今年度当初見込みで、鉄鋼関係は七百五十万トン程度の引き取りを期待した。現在のペースで大体六百四十万トンベースではないか。したがって百十万トンの差がある。これは大臣もいま説明されておりましたけれども、まるきり百十万トンを、さらに引き取り増加を下期で行うということは困難であっても、少なくともその半分ぐらいの水準は、鉄鋼業界も大変ですけれども、電力円高差益もあったわけですし、鉄鉱石石炭においては円高差益もあるわけでありますから、やはり百十万トンの少なくとも半分程度の引き取り増加がなければ、なかなか需給バランスはとれないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  52. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  いまの引き取りの水準は、先生御指摘のように六百四十万程度でございます。したがいまして、われわれとしては、下期大分鉄鋼の生産が回復しておりますので、増量引き取りをお願いしたい。しかし、いまわれわれの困っておりますのは、一つは炭価の値上げの問題と引き取りの問題、両面を抱えているわけでございまして、いまの時点で、どちらを優先するかというところはまだ確固たる判断が出ておりません。しかしながら鉄鋼の方は、われわれの主張に対しまして、鉄鋼の置かれている事情理解してくれ、したがって、引き取り増、炭価アップについては勘弁願いたいということを再三言っているわけでございますが、最近に至りまして、今後の需給見通しにつきましてお互いに話し合いをしようというチャンスが生まれてきましたので、その辺を踏まえて今後の問題を考えていきたい。われわれの希望としては、やはり引き取り量は、現在の六百四十万トンを先生御指摘の六百七、八十万トンまで持っていければ非常にハッピーであるというふうに感じております。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 一般炭の動向は先ほども質問いたしたわけですが、具体的にお聞きしますけれども、苫小牧東の三十五万キロは昭和五十五年三月運開、したがって来年度三十万トン程度の前出し引き取りが行われる、この点については、そのように確定的に理解してよろしいですか。
  54. 豊島格

    ○豊島政府委員 運開時期につきましては、先生の御指摘の時期だと思います。したがって、国内炭を利用することになっていますから、そういうことであれば当然そういう計算になるかと思います。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 北海道の砂川の四号機ですね、これは、ことしの電調審にかかっておりませんが、伝え聞くところによれば来年の電調審にかける。電調審にかけた場合には、すでに火力発電所の立地があるわけだから建設は一年半で完成する、こう承知をいたしておるわけです。そういたしますと、五十四年の電調審にかけて五十六年には砂川四号機は運開する、こう理解してよろしいですか。
  56. 豊島格

    ○豊島政府委員 砂川四号機につきましては、現在北海道電力が、計画を具体的に進めるために必要ないろいろな条件がございまして、冷却水をどのようにして確保するか、環境対策等についてどうするかということで検討しておるように聞いております。ただ、これがどのような時点で運開になるかということにつきましては、まだこれからの問題でございますが、いずれにしましても、私どもとしましては、石炭火力推進の見地から、北海道が一層早く検討を進めるということを期待しておるわけですが、時期についてはっきりしたことはちょっと申し上げかねるのが現状でございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 砂川四号機ができても、古い火力発電所は廃棄するわけですから、実質は四万キロ程程しか増にはならないわけですね。したがって、六千カロリーにして石炭八万八千トン、その程度の引き取りということになるわけですから、そういう意味では、すでに立地いたしておるわけですから、そうむずかしい問題がないと思うわけです。私の情報では、やる気であれば一年半で建設できる、こう聞いておりますので、この点も十分ひとつ位置づけを検討を進めてほしいと思います。  次に松島の火力ですが、これは五十六年三月、それから七月に一号、二号機が運開するわけです。百万キロ、これは変わりがないと思うわけです。この場合、外国炭と国内炭をたくわけですが、先ほど言いましたように、一般炭需給がいろいろ問題があるわけです。したがって、電発の松島火力については、当初計画よりも国内炭の引き取り増をやはり推進しなければならない。どの程度を考えてこれからセットしようと検討されておるか、承っておきたいと思います。
  58. 豊島格

    ○豊島政府委員 松島一、二号につきましては、五十六年一月、七月運開という先生の御指摘の時期が予定されております。ただ、これに使います石炭につきましては、原則として輸入炭を使うという方針になっております。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの答弁に対して、石炭部長の所見を聞きたいと思います。
  60. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 松島火力につきましては、原則的に海外炭を中心にして発電所建設するという方針で当初スタートしたわけでございますが、現在のところ、われわれとしては国内炭の活用についてお願いをしておりまして、ある一定の数量はお約束をいただいております。しかしながら、今後の石炭需要を考えますと、より一層のお願いをしなければならないというふうに感じておりますが、何分にもあそこの発電所サルファの規制がございまして、どの石炭でも投入できるというわけにまいりませんので、その辺につきましては電発等々と今後十分に話し合っていかなければならないというふうに感じています。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 九州三池炭鉱のウエートが高くて、サルファが高いという問題があるのですが、先ほど言いましたように、北海道釧路から空知に持っていくのに三千二百三十円かかって、北海道釧路から三池に持っていくのに千九百六十七円しかかからない。サルファ北海道一般炭は少ないのですね。そして需給バランスが崩れているとすれば、どうしてもこの点について国内炭をある程度ウエートを高めてたかなければならない。でなければ解決策がないのですから。エネルギー庁長官どうですか。
  62. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 非常にむずかしい問題でございますけれども、現在のような石炭需給バランス、特にいま一般炭需給バランスが悪化いたしまして炭鉱企業が非常に窮迫している実態、他方、竹原の方におきましては、電発がこれは輸入炭をということで初めから計画を立てて進んできている。この両者の調整、妥協はどの辺で可能か、今後とも通産当局としてこの両者間の調整、妥協に努力をしたいというふうに思っております。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 松島の質問をしたのですけれども、長官、竹原と言われたのですが、竹原は次に聞きたいと思うのです。  竹原は、これは四号機なんですかね、これも計画が当初から立てられて、現有場所に設置をする。この運開は大体いつの見通しでありますか。
  64. 豊島格

    ○豊島政府委員 竹原三号機につきましては、目下、本年度中に電調審にかけるべく鋭意努力をしておるところでございます。現在までのところの運開時期は一応五十七年七月ということになっておりますが、電調審の時期その他もございますので、一応現在申し上げられるのはこのような時期でございます。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど、これは大臣から答弁いただいたわけですが、北海道道東火力については昭和五十八年運開ということが北電の計画にも位置づけられておる、こういう答弁がありましたけれども、間違いありませんね。
  66. 豊島格

    ○豊島政府委員 先ほど釧路発電所でございますが、北海道需給関係を考えますと、五十八年には大体いままで決まっておる地点以外に道東に必要であるということの結論は出ておりまして、その最も有力な候補の一つとして釧路の発電計画があるわけですが、これは正式な計画としてまだ出ておるわけではございませんで、目下その地点の選定を含めて調査検討が行われているということでございます。私どもに電力会社から正式に出ている施設計画にはまだ載っておらないということでございます。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど大臣が答弁しましたように、五十八年には三十八万キロ道東では電源が不足をする、したがって、この五十八年を運開目途にして北電もそのような方向でいま進めている、こういう具体的答弁があったのですが、部長の答弁はちょっと後退しておるようなわけです。大体いままでどこの電力会社でも、いろいろな調査をしてここにやりたいと言ったら、たとえば漁業団体が反対してもやるわけですよ。そしてずっとやりながら協議をするわけですね。道東の場合には、漁業関係者もいままでは反対という態度でありましたけれども、幸い火力発電所について十分話し合いします。要するに窓口をあけたわけですよ。しかも、調査の体制もとられている。とすれば、問題はいつを運開目途にするかというめどがなければ進まないわけです。ここが一番問題なんですね。それは目途があれば、漁業者も窓口をあけたわけですから、地域の住民は公害対策をやってもらえれば、政党と言えば共産党から自民党まで賛成なわけですから、いま全国で珍しいと思うのですよ。だからあとは、漁業関係で窓口もあいたのだから話を進めていって、いつ運開をするという目途を示さなければ話の進め方もなかなかむずかしいわけです。五十八年と言えばまだ四年半あるわけですから、大体最短距離でいけるわけです。ですから、ここは明確にしないと問題は解明しないと思うのですね。いかがですか。
  68. 豊島格

    ○豊島政府委員 御指摘がございましたように、大臣は五十八年運開ということを申しましたが、われわれもそのような方向で大体進むことを期待しておるわけでございまして、先生の御質問に対してやや形式的なお答えに過ぎたかと思いますが、正式になっておらないということですけれども、そのような方向で進むことを期待して協力していきたいと思っております。
  69. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に立地立地と言いますけれども、そんなに立地がたくさんあるわけじゃないのですね。問題は、釧路西港基部につくるか、ちょっと離れたところにつくるか、もう立地点はないのですから。いつ運開するとなれば、二つ基礎的な調査をすれば、NOx対策はどうなのか、海との調整はどうなるのか、灰捨て場はどうなのか、運炭関係はどうなのか、むずかしい問題は何もないのですね。ぜひひとつそういう点で検討を進めていただきたいと思います。  同時に、三池石炭を専用的にたく火力発電所建設すべきだ、私はそういう意見を持っておるわけです。ということは、松島の場合でも最近、炭種で協定するわけですよ。そうすると、三池サルファの多い炭はどうしても除外されていくわけですね。そうすると薄めなければならない。薄めると、外国から持ってくるか何かやらなければならぬ。そういうことになるので、そういう構想について積極的に進められるべきだし、検討されておるとも聞いておりますが、いかがですか。
  70. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のように、サルファ分その他高いということで非常にむずかしい問題であるというふうに思っておりますが、具体的に検討しておるという話は、私、寡聞にしてまだ聞いておりません。先生のおっしゃる御趣旨はよくわかりましたので、そういう御趣旨もよく検討さしていただきたいと思います。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 二千万トン体制需給バランスをとるためには、原料炭は、鉄鋼で将来六千万、七千万ふえていくわけですから、その中でとにかくセットする以外にないし、一般炭ハウスコールは減ってくるから、ほとんど電力エネルギー消化をする。このセットが完成すれば一応供給関係の二千万トン体制はできるのだと思うのですね。したがって、最終的なその完成というのは、一般炭でいえば道東火力三池の炭をたく火力が完成した時点に需給バランスが完全にとれる、そしてまた外国炭との混合関係も非常にうまくいく。こうわれわれは判断しているわけです。それ以外に一般炭の二千万トン体制需給セットは完丁しないのだ、私はこういう認識なんですが、部長、いかがですか。
  72. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 ただいまわれわれの方で、将来の需給関係のあり方について検討するということになりました。近い時期に第一回の会合を持つわけでございますが、その場合に先生の御趣旨を皆さんに御披露いたしまして、一つの検討の対象にさせていただきたいと考えております。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 従来の石炭火力の安定供給というのは、山の数があって——たとえば事故があると、山の数がないと安定供給ができない、これが常識だったわけですね。北海道のように空知、内陸の場合には、このことは確かにいまでもそのとおりだと思うわけです。運ぶといったら油の方が高いわけですから。ただし、臨海の場合には、石炭でも内外の石炭。もちろん混焼だきの設備を持っていますから、こういう意味では安定供給という概念は従来の石炭火力と変わってきている。一つ炭鉱があっても、それは油と外国石炭をも考えて安定供給体制がとれるわけですから。臨海立地の場合には、そういう意味では供給ソースが、石炭火力だから山がたくさんなければならぬという概念は変わってきていると思うのですが、いかがですか。
  74. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のとおり、供給ソースが多元化できるということでございますが、それはそれなりに、また貯炭とか貯油の設備も要るのではないかという問題があろうかと思います。これは程度問題でございます。  それからもう一つ困ったことは、そういう地域であれば、逆に石油とか輸入炭の方が安いということで、経済性の問題がございまして、こういう問題をどう解決していくかというのがむしろ大きな問題ではないかと思っております。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭火力ですから、貯炭場は必ずあるわけです。油も、いまの設備の場合を検討しますと、相当混焼だきでき得るタンクが備えつけられておるというのが常識であります。ただ、価格の問題は別な問題ですけれども、立地としては余り心配はないと思うのですね、石炭火力として出発したわけですから。そして混焼だきもできる。貯炭場は必ずあるわけですから、国内炭外国炭かということだけなんですね。  しかし、当面一般炭がだぶつくわけです。そこで一つには輸入炭、本年度も当初計画八十六万トンですか、九十万トン近くなっていますけれども、これをできるだけ抑えることが必要だと思うのです。たとえばセメントキルンなどの場合には、ある一定割合を引き取ってもらう、そして価格の調整も図る、いわば国内炭の混焼率を上げるというのも一つでしょう。  それと同時に、第二には、調整輸入炭の振りかえを国内炭にするということも大事ではないでしょうか。いま基準炭価というのはありますけれども、基準炭価はある部分ではすでに崩れているわけですね。たとえば太平洋から三井物産に売って三池で混炭している石炭を調べてみますと、これは実際は、六千カロリーで手取り八千四百円、五千五百カロリーで四千九百五十円なんですよ。そうして、先ほど言ったように、空知に送った方が三千二百三十円かかって、三池に送ったら千九百六十七円です。そうすると、これは余っている以上、基準炭価は基準炭価として、政策需要でやるが、余った部分については当然調整するべき性質のものではないかと考えるわけです。同時に、既存の火力の石炭運開率をできるだけ高めるという措置以外に、だぶついている需要関係で進めていく方法は当面これ以外にないのではないかという気がするわけです。あれば教えてもらいたいし、そういう意味で、私の指摘についてどういうお考えか、承っておきたいと思うのです。
  76. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 従来は、九州の高サルファ炭に対しましては、水洗炭とか輸入炭等々でサルファ調整をしておりました。しかし、一昨年ほどから需給が逼迫してまいりましたので、それではいかぬということで、水洗炭それから輸入炭国内炭に切りかえるという措置を現在しております。しかし、それでもなお需給がルーズでございますので、この方針をもう少し強力に進めていきたいということで、目下のところ、業界に対して、民間で何らかのグッドアイデアを出してくれということを指示してございます。  それから、既存火力の運開でございます。これは利用率の問題でございますが、私の担当でございませんので、公益事業部長の方から説明させていただきます。
  77. 豊島格

    ○豊島政府委員 混焼率につきましては、石炭を利用し得る限度いっぱい石炭を使っておるというふうにわれわれ理解しております。
  78. 岡田利春

    岡田(利)委員 これから、たとえば苫小牧運開していくと、やはり古い火力発電所のロードを下げるということになるわけです。そうすると、できた分だけ石炭の引き取りはふえないわけですね。問題は、長期的に償わなければいけないわけですから、短期的にはそういう面で検討していく、調整をとる、こういうことが大事だと思うのです。長官、どうですか。
  79. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  80. 岡田利春

    岡田(利)委員 次に、露天掘りと水洗炭の問題なんです。露天掘りというのは、これはいわば貯炭みたいなものなのですね。水洗炭もあるのだから、後から水洗しようが、来年水洗しようがいいわけですよ。ただしかし、北電の内陸のような場合は、一定量供給するための露天掘りも必要なわけです。特に、雇用の面から言っても坑内掘りを優先さしていくということになれば、露天掘りをなくするという意味ではなくして、計画的に調整をする、そして全体のバランスを考えていく、こういう点で露天も計画生産といいますか、調整といいますか、このことも今日の需給問題では避けて通れない問題ではないか、こう思いますがいかがですか。
  81. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 露天炭につきましては、現在も若干そういう方向で検討しておりますが、いろいろな問題がございまして、急激にはなかなかいかないというふうに感じますが、何分にも業界全体の需給がこういう状態でございますので、御協力を得るよう指導してまいりたいと思います。
  82. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま私が指摘した点を適確に対策を立てても、なおかつ貯炭量は相当量出るわけであります。そうしますと、貯炭に対する対策をどうするかということでありますが、従来の貯炭対策というのは、経営改善資金を弾力的に運用するというような面で多少調整をする、あと民間関係貯炭融資というものを得られるように、通産省としてもサイドからそういうお手伝いをするという程度に終わってきたのだと私は思うわけです。これからの場合を考えますと、その程度ではこの対策にならぬではないか。大臣の答弁から考えても、もう一歩進めなければならない。その場合に、一つには、経営改善資金を強化して弾力的に運用をするということが従来の政策として考えられる。第二の民間関係は、政府展望を示さないと、これは掘って貯炭になった炭がいつどうなっていくのかという展望がないと、なかなか金融機関は金を貸さないわけですね。それをできるだけ早く明らかにすると同時に、政府も一歩踏み出して、そんなに財政資金はございませんから、たとえば三年間なら三年間、臨時的に百億程度の金なら金を別途に考えて、五%ほど、五億程度の利子の補給をする、こういう予備率的な政策を出すことによって、民間の金融機関の協力体制がとれるのではないか。こういう方法をやらなければ、三百五十万トン近くになる貯炭を抱えているが、これは今年三月末ですから、来年の予算では、来年四月一日から再来年の三月三十一日までですから、一年間非常にピークの時期であります。そういう点について、一時的なストックに対して、長期と言いませんから、三年なら三年、ある程度セットできる期間だけは財政当局の理解も得てそういうような措置をとるべきではないか、こういう意見を持っておるのですが、いかがですか。
  83. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明しましたように、五十三年度までは何とかめどがございますが、五十四年度以降の問題につきましては、中長期の展望を明らかにしまして、引き取りについての何らかの具体的保障をつくる必要があるのではないか。それを前提にいたしまして、五十四年度につきましては、そういう話し合いの中で何らかの資金対策をしていかなければならないのではないかと考えます。いまの段階で具体的に明確には言えませんが、現在あります経営改善資金制度を財政当局と十分に話し合ってこれを拡充強化するというのも一つの案ではないかというように感じています。そのほか、民間資金の調達方法について金融機関等と十分な話し合いをする必要があるのではないかというふうに感じております。
  84. 岡田利春

    岡田(利)委員 現状は大体四百万トン程度のぎりぎり貯炭能力、そうすると、大体三百五十万トンぐらいになると窮屈になる。ところが、これはマクロですから、各社別、地域別に見ますと、貯炭量が違いますから、貯炭場の確保対策は当然一時的に必要になってくるのではないか。同時に貯炭をするということはコストアップにつながるわけですが、この貯炭は大体どの程度のコストアップになると見られているか、この点についてお聞きしたい。  もう一つは、電炭会社がかつてあって、これが廃止になって、そうしてそれの方は昭和石炭にいき、それから瞬間タッチの方式は事業団に分離したわけですね。私は、あれは政策として失敗だったと思うのですよ。結局あれは分離する必要もないのであって、特殊法人をなくするという政府方針のいわば犠牲だったわけですから。そうすれば、事業団が出資の会社をつくればよかったと思うのですね。要するに、特殊法人をやめるけれども、いわゆる事業団出資の電炭会社、こういうものをつくればよりベターだったと思うのですよ、やっていることは同じでありますから、業務内容は分ける必要がないわけですから。そういう意味では、ドイツの場合もルール炭田の一社化というのは販売会社の一社化から始まっているのですね。そうしてその次にルール炭田生産体制を一社化しているわけです。日本の場合には、販売の方も生産の方も私企業だ民営だと頑迷固陋に今日まで続けてきているわけですが、そういう意味では販売政策、販売組織についてもう一つ工夫する必要があるのではないか。私は特殊法人をつくれとまで言いませんけれども、工夫の仕方では方法があるのではないかという感じがするのですが、そういう点について需給部会等でひとつこの貯炭対策も含めて検討してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  85. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 第一点の貯炭コストについて御説明します。  これは土場で横積みなしという形で約五百円、それから横積みということで千円ということでございます。  それから、先ほどの販売方法の問題、貯炭金融等の問題については、いまここで明確に答えるわけにまいりませんけれども、かなり問題が深刻なものでございますので、需給部会等々で議論させていただきたいと思います。
  86. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは長官にも承っておきたいのですが、先ほど大臣への質問で私が述べたように、西ドイツ価格差補給金で重油との価格差補給する。一トン四十ドイツマルク、まあ百円にして一トン大体四千円ということです。しかも、石炭火力建設する場合にはキロワット当たり百五十ドイツマルク、一万五千円、これを補助として出す。非常に思い切った政策をやっておるわけですよ。しかも量的には、日本は二千万トンですけれども、ドイツははるかに高いわけで、四倍も五倍もあるわけですから。そうして円高マルク高で共通の状況であります。今度の円高差益を見ても、北電の場合、円高差益がないなんということになっておるわけですが、何らかプールにある程度考えていくか。そういう制度をつくるか、あるいは石炭火力、特に国内石炭火力の場合には需要対策程度ということではなくて、もう一歩思い切った政策を、ドイツ並みといかなくても、ドイツに準じてやるくらいのことでなければならぬではないかなと思うのですが、この点いかがですか。
  87. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 石炭鉱業は非常に貴重な国内の安定したエネルギー供給資源でございますから、これを大切にしていかなければならぬということはわれわれの痛感しておるところでございます。しかしながら、他方、その維持の仕方にドイツ並みということは非常に望ましいことではございますけれども、財源の問題であるとか歴史的な経過であるとかいろいろございますから、われわれとしても努力はいたしますが、一気にドイツ並みということもむずかしい問題でございます。  それから、プールするというお話もございましたけれども、これまた九電力体制というような基本的な体制がございまして、それとの関連等をどう考えるか、非常に頭を悩ましているところでございまして、この九電力の場所によりまして使用するエネルギー源が異なるために供給コストが異ってくるというような問題につきましては、何らかの合理化策を講じなければならないということで現在検討をしているところでございます。御指摘の点はいろいろよくわかるのでございますけれども、今後とも一生懸命検討さしていただきます。
  88. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国は電発を入れて十電力体制。ドイツは、私の気憶では三百近く電力会社があるわけです。そこにもそういう大胆な補助政策をとってやっておるわけです。ドイツの政策を十年間歴史的に検討してきて日本石炭政策を検討してくると、非常に似通っているのですよ。ドイツの方も日本政策を非常に敏感に勉強していますよ。われわれもドイツに行ってドイツの政策をよく勉強する。あとは国有、国営ですが、それでもやはりヨーロッパの場合には、てこ入れの仕方は非常に似ているのですよ。そういう意味で、要するに需給の安定を図る体制を実現する方法として、もう一回ここで、いままでの政策の流れに立っているだけではなくして、現時点の情勢をもう一度しっかりと足元から再検討するべきだ、こういう意味でそういうような意見を申し上げていることを特に御理解願っておきたいと思うのです。  次に、五十三年度の基準炭価の決定は、見込みではいつになりますか。
  89. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 炭価のうち特に一般炭につきましては、業界間ですでに交渉を開始しております。しかし、先ごろから置かれましたような経済環境なものでございますから、話し合いがなかなか進展しておりません。したがいまして、いまのところ私どもの方としては、可及的速やかにという気持ちでございますが、まだ結論を得ている段階ではございません。したがいまして、いつになるかというのは、いまのところ見当がつかぬというところでございます。
  90. 岡田利春

    岡田(利)委員 次いで、北炭問題について若干お尋ねしたいのですが、北炭が三社分離したわけです。この三社の状況を見ますと、現在の幌内は大体計画出炭を上回っておる。それから真谷地、登川も計画出炭を上回って安定している。問題は北炭夕張新鉱なんです。分離してから今日までいろいろの対策を立ててきたわけですが、北炭の新鉱の見通しについては現時点でどのように理解をされているか、承っておきたいと思うのです。
  91. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 先生御指摘のように、われわれが一番心配しておりますのは夕張新炭鉱でございまして、現在の切り羽の配置は五切り羽でしたがいまして稼働場所は十五ございまして、クルーが十二クルーということで、切り羽余裕はございます。しかしながら、いろいろな統計を調べてみますと、まずやはり自然条件が思ったよりよくないという点が一つ、それから、これは管理上の問題だと思いますが、機械の故障がかなり大きいということがございまして、一方、出荷率の方は、労務者の皆様の御協力によりまして順次好転をしております。九月の平均は大体三千八百程度だったのですが、最近、十月に入りまして、十四日までの統計がございますが、そのうち四千を超えた日が四回ということで、大体平均で四千トンのレベルに回復しています。したがいまして、われわれのところは、いまの管理体制、それから切り羽の管理、機械保守等々についてもう少しきめの細かい努力をすれば、徐々ではあるけれども四千三百のラインに近づくのではないかというふうに考えております。しかし、四千三百のラインに近づくためには、やはりもう一段と厳しい努力をしなければいけないというふうにわれわれは見ております。
  92. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま生産が上がらぬということは、炭が余っているから、少しでも、それだけ需給関係バランスがとれる。ところが北炭に関しては増産して出してもらわなければならぬということを言わなければならぬわけですね、部長の答弁でも。実は皮肉な現象になっているわけです。ただ、私は新鉱に入ってみて思うのですけれども、もしあそこで労働者が熟練をして機械を十分使いこなせれば、何しろ重装備しているのでございますから、逆転の発想で、できないことをやったけれどもこなしたらよくなるという可能性はないとは言えないと思うのです。あると思うのです。問題は、そういう意味で、切り羽を支えていく坑道ですね、この体制の整備がぴしっとついていくかどうか、そして大体二年か一年になりつつありますから、労働者の技能も高まっていく、こういう点ができれば一応の展望は開けてくるだろう。もう一つ欲を言えば、いまのマイナス六百メーターレベルですね。もう一段展開をして、そして二つの面で切り羽を設定して生産体制をつくることができればなお安定する炭鉱になるのではないか、こういう見方もできるのだと私は思うのです。  そこで、特に北炭の場合には、来年度、清水沢鉱の閉山ということも予定されているわけですね、清水沢は労使協定になっているわけですから。したがって前回、私は宮本部長に質問して、とにかく閉山交付金というのは七年間も変えてないじゃないか、オイルショック以前の基準がそのまま今日七年間も変わってないのはどうなんだ、しかし現実に閉山協定を北炭再建で結んでいるわけです。また、その前の年には夕張二鉱が閉山しているわけですよ。この基準を七年間も変えないというのは北炭の再建に非常にマイナスになっていると私は思うのです。これがもし適正なものに改善されていれば、大体労務者の債務を支払うということが重点でありますから、そういう点ではこの点は改善すべきだと言ったら、それまでの間に十分検討してそういう方向で改定していきたい、こういう答弁をもらっておるのですが、この点については引き続き検討されておるものと理解しておいてよろしいですか。
  93. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 清水沢の閉山は五十五年でございますので、まだ若干時間がございます。それで、われわれは、いまのところ先生の御趣旨の方向で検討さしていただいておりますが、何分にも六次答申ではその辺が非常に微妙な書き方をしておりますので、それを踏まえて財政当局と検討してまいりたいと思います。
  94. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから終わりますが、最後にこれは要望いたしておきますけれども、いま国会では不況地域の対策のための法律案が審議され、そしてまた離職者の関係についても法案が審議をされておるわけです。  そこで、産炭地振興対策、これは従来われわれが進めてきたのですけれども、今度の政策内容と対比をしてみますと、関連中小企業対策という面では、不況地域の対策の方がずっと内容的に進んでいますよ。産炭地の場合には中小企業には信用保険の運用しかないわけですから、そういう意味では、今日疲弊している産炭地、またそういう閉山関連関係が出てくるというような場合には、やはりこの産炭地対策も今度の経験にかんがみて十分検討しておく必要があるのではないかなと思うわけです。これは答弁は要りませんけれども、そういう点で次回にいろいろまた御質問いたしたいと思います。とにもかくにもいまのままではなかなか振興策が計画どおりいかないわけですよね。ですから、不況地域対策等の内容等も判断に入れて、こういう政策が出てきているわけですから。大体いままでの政策というのは、石炭政策があって、離職者の政策でも、あるいはまた地域振興の政策でも、大体石炭政策というものをモデルにして、それに追いつこう、こういう形での政策展開がなされてきているのが歴史なわけですよ。今度の場合には、新しい面での政策が出されておるわけでありますから、そうすると、やはり産炭地の場合にも、そういう面をも十分検討して、政策的に再検討する必要があると私は思うものですから、ぜひそういう点について検討していただいて、いずれまた所見を承りたいと思います。  きょうはこれで終わります。      ————◇—————
  95. 細谷治嘉

    細谷委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 細谷治嘉

    細谷委員長 御異議なしと認め、理事稲富稜人君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会