○工藤(晃)
委員(共) 八月に日鉄鉱業の釜石鉱業所の閉山
計画、それから十月二十六日に新日鉄の
合理化計画が明らかにされて、共産党は私を団長としまして二日にわたり釜石市に
調査に入りました。
御存じのことだと思いますが、八月十七日に釜石市は市議会の全員協議会を設けて、そしてこの二つの
合理化を回避するという方向での運動が、市挙げての運動となっております。市としての対策本部も設けられております。市長から伺ったところによりますと、岩手
県知事は十月十七日に総理にもこの問題についての要請を行っている。こういう問題になってきているわけであります。
さて、この問題を
考える場合に、釜石市は鉄鉱石を出す山と製鉄所に強く依存した鉄の町であるということは言うまでもありません。市の純
生産額の八割近くがこの鉄鋼と鉱山であります。しかも歴史的には、東海製鉄所への配転、
合理化ということがあったときに、ここでは著しく市の人口が減りまして、商業などが打撃を受けたわけであります。たとえば一九六二年に人口が九万一千六百六十四名、それが七七年には六万八千五百六十七名と二万三千人減りましたし、六四年から六八年に商店数が二百六十四減った。こういう歴史があり、こういう歴史があるからこそ、また市民は非常に深刻に受け取っているわけであります。
しかも、市の行った
調査があります。この
調査はアンケート
調査に基づいた非常に丁寧につくられた根拠のある
調査でありますが、それによりますと、今回発表されたこの
計画が行われた場合に、離職者が二千九百八十七人、家族を合わせると一万人を超える、そういう数が出ております。そして転廃、規模縮小は二百六十五に及ぶ。また、いわゆる関連企業だけでなしに、商店街などで九百六十五名の従業員減少というのを見込んでおります。言うまでもなく、市税その他にも大きな
影響が出るわけであります。
ところが、この
合理化計画、特に新日鉄の
合理化計画というのは、あそこの一番大きな中心部分である大形圧延工場の休止ということであります。そうすると、この大形圧延工場の休止であるがゆえに、製鉄所として大きな変貌を遂げる。縮小に向かうというだけでなしに、このままいくと、第二高炉の方の五十七年度の改修で果たしてこれを続けるのかどうかということが問題になっております。私は副所長に対してこの問題について突っ込んで聞きましたが、五十五年度まではともかく続けると言うけれ
ども、それ以後については言えないと言って、明らかにこの方向をにおわしているわけでありますから、もしここでそういうことになるならば、東北ただ一つの一貫製鉄所というのが失われることになるわけであります。
それに加えて、私もいろいろ
調査してつくづく
感じたわけでありますが、釜石は、それこそ安政年間から、大島高任がここで近代製鉄をつくり出して以来、百年を超える製鉄の町として、そして最も古い歴史があるわけでありますが、市を挙げて製鉄の発展のためにいろいろ犠牲をこうむり、協力させられてきた。市が余りにも製鉄に依存し過ぎると言われても、そうせざるを得なかったし、そうさせられてきたというのが
実情であります。
これは、戦前はそれこそいやがおうでも協力させられましたし、戦争中は、それこそもう終戦、敗戦の直前に艦砲射撃で七百五十名の命が奪われ、市は壊滅、これはみんな製鉄所があったからである。戦後の歴史を見ましても、埋め立て、そして漁業権を失う、専用桟橋をつくらなければいけない、あらゆる面で協力させられてきた。山の多いところですが、平たん部の八〇%が製鉄所その他の関連ですから、何かほかの関連、ほかの
業種の企業を誘致するといったって来る空間さえない。いやがおうでもこういう状態で来たところ、そうしていろいろ犠牲をこうむって製鉄所の発展に協力してきたあげく、突然このように製鉄所を失う、そして一万人に及ぶ人口減も起こるかもしれないこういう
合理化が企業の私的な
決定として行われる、こういう性質の問題になったわけであります。
したがって、この問題は決して一
地域の問題ではない、また一私企業、これは日鉄鉱業を含めれば二ということになりますが、その問題ではなしに、明らかに国政の場で当然取り上げなければいけない問題じゃないか。第一に、それは企業のそういう
決定で
地域経済に先ほど私が申したような重大な崩壊と言っていいような
状況をつくり出す、それが許されていいのかどうか、そういうことにかかわる問題ではないか。
また、この問題は東北挙げての強い関心を呼んでいると聞いております。というのは、これまで東北を発展させると言ってきたけれ
ども、それこそ高度成長期には出かせぎ、それで奉仕させられてきた。いわゆる低成長という時代になると、ただ一つの重工業の基地、一貫製鉄所を東北から奪ってしまう、こういうことがやられてしまう、これが許されていいのか、こういう問題になると思います。
また、私は、十月十八日の商工
委員会では特に、大企業の方が人減らし
合理化をどんどんやって、一年間に二十万人も三十万人も人減らしをやっている、こういうものを放置していたんじゃ、幾ら公共事業で雇用をふやしますと言ったって、雇用政策なきに等しいではないかと強く申したわけであります。
こういう雇用政策、国全体としての不況政策という見地からいきましても、この釜石の問題というのは国の
経済政策において重視すべきでありますし、特に鉱業、製鉄、ともに監督官庁は
通産省でありますから、やはり
通産省としましても雇用への
影響や
地域経済への
影響、この問題を重視して、市や岩手県の協力も得まして
調査して、何らかの対策を立てるべきではないかと
考えるわけでありますが、その点について、きょうは
大臣はおられませんが、政務
次官、
答弁をお願いします。