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1978-10-16 第85回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十六日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 橋口  隆君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       小川 平二君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       島村 宜伸君    中西 啓介君       楢橋  進君    渡部 恒三君       板川 正吾君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    武部  文君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    玉置 一徳君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         中小企業庁長官 左近友三郎君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 十月十四日  北海道、九州、沖繩及び離島の書店の運賃一部  負担撤廃に関する請願加藤清二紹介)(第  一六〇九号)  同(渋沢利久紹介)(第一六一〇号)  同(野村光雄紹介)(第一六一一号)  同外三十件(倉成正紹介)(第一八〇〇号)  同(後藤茂紹介)(第一八〇一号)  同(島田琢郎紹介)(第一八〇二号)  同(美濃政市紹介)(第一八〇三号)  同(横路孝弘紹介)(第一八〇四号)  大規模小売店舗法等改正強化に関する請願  (安田純治紹介)(第一六五四号)  同(安田純治紹介)(第一八〇六号)  小売商業調整特別措置法改悪反対等に関する  請願安田純治紹介)(第一六五五号)  同(安田純治紹介)(第一八〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、第八十四回  国会閣法第八二号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(中村重光君外九名提出、第八十二回国会衆  法第六号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(橋口隆君外四名提出、第八十二回国会衆法  第七号)      ————◇—————
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより会議を開きます。  第八十四回国会内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案、第八十二回国会中村重光君外九名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案、第八十二回国会橋口隆君外四名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。
  3. 清水勇

    清水委員 十三日のこの委員会同僚委員からそれぞれ質問を行っているわけでありますが、どうも聞いておりますと、政府答弁については納得のいかない点が少なくありません。そこで私は、質問事項について重複をする点もあろうかと思いますけれども、改めて質問をし、明快なしかも納得のいく答弁をいただきたいと思います。  ところで、最初大臣に所見を承りたいのでありますが、今回の法改正は、そもそも八十国会における分野調整法の成立との関連、またその際の附帯決議、さらには議員立法による商調法改正といったものを土台に据えて行われるべきではないか、こういうふうに考えているわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、この大店法は、石油危機の起こりました年、四十八年に制定をされまして、翌四十九年の春から施行されておるわけでありますが、何分にもその当時経済に非常に大きな変動があったものでございますから、施行直後から改正すべしという議論が相次いで起こってまいりました。しかしながら、実施に移したばかりだからもう少し様子を見たいということで、しばらく様子を見ておったわけでありますが、やはり地域経済との関係上、この際は法律を修正すると同時に、あわせて商調法との関係をある程度調整する必要がある、こういう感を深くしたわけでございます。同時に、国会の方におきましても、この委員会でやはりこの問題については抜本的に取り組め、こういう御趣旨決議等もございましたので、そういう決議も受けまして、先般来関係審議会等におきましていろいろ意見を聞いておりました。  ようやく答申を得ましたので、政府部内で調整をいたしました結果、今回改正案を御審議をしていただく、こういうことになったわけでございます。
  5. 清水勇

    清水委員 大臣、いまそういうふうにおっしゃられるわけでありますが、私がどうも了解できないのは、国会附帯決議のそもそもの趣旨というものは、言うまでもなく大企業出店規制強化というものを通じて中小小売商業の発展あるいは振興を図るというものであるはずであります。国が並行してそのために必要な施策を講ずる、こういうことを決議は強調をしていると思うわけなんであります。  そういう角度から言えば、たとえば立法の見直しあるいは基本的な検討課題といったものの中には、当然にたとえば大店法商調法の一本化といったような問題が含まれているはずでありますし、当然に中小小売商業振興のための指導といいましょうか、そういった角度のものが織り込まれなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、どうも法案を見るに、単に両法の一部改正にとどまっている、それ以上の前向きな姿勢が見受けられない、こんなふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  6. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  大臣もお答えいたしましたけれども、私どもといたしましては、いま御指摘がありましたように、いろいろな要請を受けまして、最近における情勢の変化に対応した小売商業政策のあり方というものにつきまして十分な検討をしたいということで、御案内のように、昨年七月から小売問題懇談会問題点の整理を行い、さらにその後、中小企業政策審議会産業構造審議会合同小委員会で、その点について関係各方面の意見も聞きながらいろいろと議論をしたわけでございます。その結果、本年の四月にこの小委員会から意見具申をいただいたということでございまして、私どもといたしましては、その意見具申の示された方向に沿いまして法案作成作業を進めたわけでございます。  したがいまして、確かに御指摘のように、この法案大店法商調法と一本の法律にはしておりませんけれども、その意見具申内容趣旨というものは十分織り込んで、それぞれの法律改正ということを行っておるわけでございまして、また、それによってその意見具申趣旨というのは十分取り入れられているというふうに考えましたので、今回、いま御審議をお願いしているようなかっこう法案提出したわけでございます。
  7. 清水勇

    清水委員 たとえばいまお話しの中で、小売問題懇談会の報告あるいは中政審とか産構審の小委員会意見具申、こういったようなものも勘案をしてというふうに言われているわけでありますが、たとえばそうしたものあるいは私どものかねてからの主張を通じて申し上げているのは、たとえば大店法商調法の両法の整合性というものがしばしば問題になっている。ところが、どうも今度の案を見ておりますと、両法の整合性を図るべきだという意見主張等をいささか逆手にとられるような形があるのじゃないか。たとえば商調法における小売市場許可制大店法における届け出制にそろえることによって整合性を図るなどというようなことがあったのでは、むしろ法制度の後退と言わざるを得ないのじゃないか。  そうではなしに、国会決議その他の審議を踏まえて、本来規制強化のために、たとえば届け出制よりも許可制の方がより有効なのじゃないか、こういう意見が各般にあるわけでありますから、整合性を言われるならば、大型店等が集中的に出店をしてきていることによって起こっている中小小売商業をめぐる厳しい環境あるいは現状といったようなものを正しくとらえて、むしろ逆に、大店舗法をいうところの許可制という形で大型店等進出規制強化に役立つような有効なもの、つまりよりベターなものにするということが本来あるべき姿ではないかというふうに思うのであります。その辺の見解も承っておきたいと思います。
  8. 島田琢郎

    島田政府委員 規制強化という観点から見て、これで一体十分できるのかという御趣旨になろうかと思いますが、御案内のように、今回の改正では、いろいろ議論がございましたけれども、私ども中小小売商大型店関係を考えた場合、問題は、要するに大型店顧客吸収力というものが周辺中小小売商に与える影響という点がまず問題になろうか、したがいまして、そういう点からいろいろ考えてみますと、これはいろいろ検討したわけでございますが、ある規模売り場面積といいますか店舗面積というものが、そこでワンストップショッピングの機能を持っているというようなところが顧客吸引力というものを持ってくる、こういう観点から見ますと、やはり売り場面積といいますか、面積主義というものを採用すべきであろう。その場合に、最近の状況をいろいろ検討し、また実態検討した結果、五百平米ぐらいというところで顧客吸引力に優位な差が出てくるというふうに考え、また紛争実態から見ましても、その辺のところを境にして紛争が多いというところから見まして、大店法を五百平米まで基準面積を引き下げるということにすれば、そういった制度をとることによりまして、現在起きているいろいろな問題というものは一応カバーし得るのではないか。さらに、かてて加えて、なおかつ個別に問題がある場合には、商調法の体系で処理ができるというふうに考えまして今回の改正を行ったわけでございまして、決して今回の改正というのは国会の御決議趣旨に反するものとは考えておりません。
  9. 清水勇

    清水委員 いまの点は、また中身に入って重ねて触れていくことにしたいと思います。  さて、大店法法案に触れながら質問をいたしたいと思います。  まず第一は、調整あるいは勧告期間、このことについてお尋ねをいたします。  たとえば熊本ダイエー進出等をめぐっても明らかなように、最近商調協における調整経過を見ますと、傾向として非常に調整が長引く、結論が出しにくくなっているという現状だと思います。そこで、政府も若干勧告期間を延ばそう、こういうことを提案をされているわけでありますが、どうも四カ月にプラス勧告をすることができない合理的な理由があるときは二カ月延長できる、こういった程度では現状に合わないのではないかと思います。どうも現実に最近の各地の商調協経過を踏まえて考えてみますに、プラス二カ月程度延長ではなかなか合理的な結論が出ない、そういった複雑なケースがあるのではないか。  そこで私は、政府プラス二カ月ということにこだわらずに、七条一項が規定をしている各事項について、あるいは十三日に通産大臣も触れておられましたけれども町づくりとの調和、こういった新しい大きな課題、こういうことなどについて、難航を予想されるわけですから、少しその期間を延ばした方がいい、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでしょう。
  10. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、最近大規模小売店舗出店規模が大きくなってきている、あるいは競争が激しくなってきているというような状況もございまして、いろいろと各地域出店をめぐりまして議論がございます。そういった状況から見まして、影響も非常に複雑になってきておるというような状況でございます。私どもは、従来のそういった調整実態というものを勘案いたしまして、今回勧告期間を、従来三月でございましたのを一月延ばして四月ということにし、さらに必要に応じて二カ月を超えない範囲で延長もできるというようなかっこう措置をとったわけでございます。  それで十分かというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、確かに事案によりましては非常にむずかしい複雑な事案もあるわけでございますけれども、一方、調整期間というのを余りに長期にとるということは、関係者関係を非常に不安定な状況に長期間置くということは、一方でそれもまた問題があろうかというふうにも考えられます。したがいまして、今回そういった点も勘案し、かつ調整実態というものも勘案いたしまして、今回のように四カ月、さらに必要に応じて二カ月というような措置をとれるように改正をしたわけでございます。  私どもといたしましては、小売商業事業活動調整という問題を考えました場合に、できるだけ地元で円滑な話し合いが行われるということが望ましいと思いますので、いま言いましたような制度の枠の中で、できるだけ関係者間の合意が早く得られるように、一方においては話し合いを進めるというようなことを指導しまして、できるだけこの調整期間中に措置ができるというふうに持っていきたい、またそれはできるであろうというふうに考えておるわけでございます。
  11. 清水勇

    清水委員 審議官は、この期間でできるのじゃないか、こう言われるわけでありますが、私は、たとえば商調協あるいは新たに設けられる都道府県審議会、こういったものが十分なデータに基づいて時間をかける、審議を尽くす、そして全体の合意を得る、こういう配慮を前提にしないと、やはり審議そのものに無理がかかって、十分な議を尽くすということすらできないのじゃないか。いたずらに利害関係相対立をして、たとえばエキサイトをする、こういうことになって、合意を得るための努力そのものが行われがたいような結果になる。時間が長いことだけがいいということを私は言うのじゃありませんけれども、しかし、さっきも審議官が述べられるように、低成長下を迎えて既存中小小売商業そのものが非常な困難な状況になっておるわけなのですから、そこへ新たに大店舗等出店をするというようなことは、まさに容易ならざることなのですね。  こういうことなどを考えますと、私は、いずれにしてもプラス六カ月ぐらいの期間延長というものがあってしかるべきなのじゃないか、六カ月という数字に特段の科学的な根拠があるわけじゃありませんけれども、しかし、それだけの時間をかけることによって、何とかひとつ合意を得ようじゃないか、こういうことで臨むことがよりベターな運営が可能になってくるのじゃないか、こう思うのです。そうじゃありませんと、時間が短く限定をされておりますと、たとえばいままでにもたくさんの例がありますように、事前商調協の段階で拒否反応が強くあらわれて、かえってその時間が実質的にはかかる、また調整そのものが混迷を重ねる、こういうふうに思いますから、この点はくどいようでありますが、私は、合理的な理由のある場合には、プラス二カ月と言わずに、六カ月ぐらいの期間延長する、この方がよほどベターだ、こう思います。
  12. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  確かにいまお話しのような考え方もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、先ほど御説明しましたような考え方政府案というものを一応つくり上げまして御審議をお願いしておるわけでございます。  なお、御指摘の中にありました話し合いといいますか問題を解決するためには、もちろん、たとえばその審議に必要な資料の充実ですとか、あるいは議論を円滑に進めるために一つ判断基準と申しますか、そういったようなものができることによりましてさらに議論が円滑に進み得るというふうにも考えますので、この点につきましてはそれぞれ別途私どもといたしましては努力をしていきたいと考えておりますが、そういったいろいろな方法をとることによりましてできるだけ円滑に、かつ、ある期間内に問題が処理できるように努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 清水勇

    清水委員 まあ、いずれにしても、提案者にここで延長について修正をいたしますというような答えを求めることは、あるいは無理なのかもしれませんが、いずれにせよ、本委員会審議を通して延長というような方向が大勢になる場合には、ひとつそういうものに沿うてもらいたい、こういうことを強く希望しておきたいと思います。  さて、いま商調協の問題についてちょっと触れましたから、直接大店法とかかわり合いがないわけでありますが、一つだけお尋ねをしておきたいと思います。  これは中小企業庁長官に聞いた方がいいのかもしれませんが、ダイエー熊本出店に絡んで御承知のような大きな問題が起こっております。五十年の三月に初めて届け出が行われる、これに対して同七月にいわゆるゼロ回答、次いで五十二年の四月に第二回目の届け出といいましょうか、商調協が開かれて、ダイエー売り場面積カットということを前提にした相談があったわけでありますが、これもその年の七月に委員全員基準面積ということで結論が出る、さらに、ことしの六月に本申請が出てきたわけでありますが、いままでの二度にわたる事前商調協結論と同様にいわばゼロ回答、ただ、この場合のゼロ回答といっても、基準面積の千五百は認めましょう、こういうことなんでしょう。  にもかかわらず、どうも通産局がこの上積みを求めるかのような印象を与える動きをする。また、たとえば大店審議会についても、多少有額回答といいましょうか、そういったようなニュアンス動きもなしとはしない。その結果、結局地元商調協に差し戻しというような取り扱いになっているわけなのでありますが、いずれにしても、私は、審査に当たって商調協等意見を聞くからには、当然に慎重審議を尽くして出された意見というものは尊重すべきものではないのか、こういうふうに思うのです。ところが、どうも私の承知をしている限りでは、地元商調協意見を尊重するという態度とは思えない。  そこで私は、この機会に、これにたくさん触れるつもりは無論ありませんけれども一体通産省審査に当たって地元商調協意見を尊重するのかしないのか、この辺のところだけ明確にお答えをいただきたいと思います。
  14. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  法律的に申し上げますと、御案内のように、七条の勧告をする場合に大店審議会に諮問をする、大店審は、これをそれぞれの案件の所在する商工会議所あるいは商工会意見を聞くということになっております。そこで商工会商工会議所からの意見が出てくる、それを聞いて審議を行う、こういう仕組みになっております。同時に、審議会は、それ以外に、小売業者団体あるいは消費者団体その他のもので意見のあるものについては意見を申し述べる機会というのがありまして、その意見というのも聞くというかっこうになっておるのは御案内のとおりでございます。  したがいまして、もちろん、私どもといたしましては、そういった法律趣旨というものに従いまして、それぞれ地元でいろいろ議論をされ、商調協議論をされた結果というものはきわめて貴重な意見であるということで、審議会においても十分その意見というものに耳を傾けて議論をされるということになっておるというふうに考えております。そういう意見を聞きながら、審議会としましては七条に関して公正妥当な審議を行い、大店審として結論を出していく、こういう関係にあろうかと思います。
  15. 清水勇

    清水委員 手続的なことはわかるのですけれども、問題は、この問題について二度、三度にわたって御承知のような地元商調協の慎重な審議が重ねられ、一定の答えが出された、これを上へ上げてきているわけですね。だから、そういう意見というものを尊重されるのかということを私はお尋ねをしたかったわけなんです。その点もう一回、簡潔で一言でいいですから……。
  16. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  大店審審議をされる場合に、そういった地元商調協意見というものを十分尊重しながら、かつ、審議会としての判断を行っていく、こういうことでございます。
  17. 清水勇

    清水委員 今後もたくさんあるわけでありますから、くれぐれもせっかく英知をしぼって、商調協あるいはこれから都道府県審議会なり審議をするわけでありますが、その意見を十分尊重する、こういうことをひとつ確認をしておいていただきたいと思います。  さて次には、十三日の委員会でもかなり問題点として出されておりましたが、七条の例の「削減すべき」という文言に触れてお尋ねをいたします。  「削減すべき」という文言意味を、まず最初にもう一回、簡明にひとつ御説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席山下(徳)委員長代理着席
  18. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  現行法では「減少すべき」というふうになっているのを、「削減すべき」というふうに直しているわけでございますが、すでに私ども現行大店法におきましても、この店舗面積に関する勧告限度というのは、法律的には、周辺中小小売業事業活動相当程度影響を及ぼすおそれがあると認めたときに、そのおそれを除去するために必要な限度内であれば特にどこまでという制限はない、したがって、極限としては個別小売業者店舗面積をゼロまでするということも可能であるというふうな解釈を一応とっておるわけでございます。  ただ、どうも従来の「減少」という文言では意味するところは必ずしも明確ではなくて、ゼロということまで含まないのではないかというふうに文章の文言表現からして疑義を抱く向きもあったようでございますので、今回の改正に当たって、その点をもっと明確にするために、「削減」というふうに直したということでございます。
  19. 清水勇

    清水委員 そういう御説明でありますが、私は、どうも「削減」という文言も、「減少」と比較をして多少強いかもしれませんけれども、一目瞭然その意味を読み取るという内容ではないのではないか、こういうふうに思えて仕方がないのです。一々法制局から来て解釈を求めなければならないというようなことであってはならないと私は思うのです。だれが見てもわかる、そういう規定であるべきだと思うのです。  特に問題は、既存中小小売業者が、たとえば大店舗新規出店によってその経営が立ち行かなくなってしまうなどというような場合に、どう規制をするのかということが本法の課題であるべきなんでありますから、そうだとすれば、いま御説明のようにゼロもあり得るんだ、こういうふうに言われている。つまり、ゼロとはすなわち出店中止ということを意味するわけでありますから、そうだとすれば、だれが見てもわかるように、文言を「中止又は一部削減」あるいは「全部又は一部削減」というふうにはっきりさせた方がいいんじゃないか、こう思います。
  20. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまの御指摘の点は、読めるとしても、何といいますか、一般に何となく読みにくい、したがって、もう少し明瞭に表現したらどうかという御趣旨であろうかと思いますが、この点につきましては、さきに十三日の御審議の際に法制局の方からも御答弁があったわけでございますが、その法律表現としていかなる表現をとるのが——その中身は申し上げましたようなことではございますが、それをいかに表現するかということにつきましては、やはり法律上の表現としての慣行その他あると思いますので、私どもといたしましては、いま申し上げましたような表現で御審議をお願いしているわけでございます。
  21. 清水勇

    清水委員 どうも法文の構成であるとか、法文表現上適否を言われるというようなニュアンスが強いので、私ははなはだどうかと思うのでありますが、問題は、ここで求められているものは、法律の体裁ではなしに中身だと思うのです。だから、仮に他の条文の表現との比較において体裁が整わないからなどというような法技術論といったものにこだわられるのではなしに、これが正しく運用される、これが関係者に正しく理解、受けとめられるということを重視して、私が先ほど申し上げたような角度で明確に改めてもらうことがいいのじゃないか、こう思いますが、もう一回ひとつお聞かせください。
  22. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  どういう表現が適当かという御議論かと思いますが、繰り返し若干重複して恐縮でございますけれども、従来「減少すべき」という表現でありましたものを、今回の改正で「削減すべき」というふうに表現を変えたということは、何のために変えたかという点につきましては、先ほど御説明をしたような趣旨でございます。したがいまして、今回そういう趣旨改正をしたということでございますので、その改正意味するところは明らかであろうというふうに思います。私どもといたしましては、一応政府の立場といたしましては、いま申し上げましたような表現にいたしたわけでございます。
  23. 清水勇

    清水委員 私は、先ほど申し上げたような立場を貫いていくべきだというように考えておりますので、十分その辺を踏まえて最終的な仕上げというものを政府側でも考えておいていただきたい、こういうふうに要望をいたしておきます。  さて、次の点は、法文上直接触れられているわけではありませんが、これから申し上げるような問題をどう対処されるか、お尋ねをしたいと思います。  それは、たとえばまだ商調協で、商調協と限りませんが、商調協等調整が進んでいないという段階に大型店の建築着工が行われるというようなケースが間々ございます。現に、過去にもそのことをめぐって紛争が激化をしたというようなケースも少なくありません。そこで、私に言わせれば、調整のめどが立たない時点に既成事実をつくり上げて、あたかも強引に進出を認めさせようとするような不当な意図が建築着工という陰に隠れているというような場合については、これはどうも法の運用面から考えてみても思わしくないことだというふうに思うのでありますが、いかがでしょう。
  24. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  建物の着工の問題は、この法律のたてまえでまいりますと、御承知のように三条で、一の建物であって、今回ですと五百平米を超えるものの新設をする者というものは、通産大臣届け出るということになっておるわけでございまして、建築をするかどうかということにつきましては、この法律では制限をしていないというのは御承知のとおりでございます。  ただ、実際問題として、建築をすることによって何か一つの既成事実をつくるのではないかというようなことで地元では非常に御心配になり、それでいろいろ地元で問題が起きるということもあろうかと思います。現にそういうようなケースもあるように聞いております。法律のたてまえからしますと、建物の建築をするのを待てというところまではこの法律ではできないわけでございまして、結局それは、地元で円滑に調整を進めていくために当事者間でどのようなかっこうで対処していくかという、現実問題の処理というふうに考えざるを得ないわけでございます。
  25. 清水勇

    清水委員 そういうお答えになるのじゃないかというふうに思っていたわけなのでありますが、現実の問題として、審議会なり商調協がこの調整作業を続けている、しかしめどが立たないというときに、いわば建築着工が行われ、既成事実がつくられようとする。それが一つの新しいトラブルの要因になろうといったような場合には、えてして有力者あたりが間に立って、商調協審議とは別に裏面でいろいろな工作が行われて、たとえば面積を減少するあるいは開店日をずらすというようなことで事実上の調整をするといいましょうか、手を打たせて、不安と心配に駆り立てられている中小小売業者を泣き寝入りさせるなんというようなケースがどうもなしとはしない。  ですから、私は、先ほど来言われているような商調協なり審議会なりの正常な運営を通じて一定の合意を得るような、こういう努力ということを前提に考えれば、この種のことは余り好ましい姿ではないのですから、冒頭に申し上げたように、法文に直接触れることではないのですけれども、何らかの行政指導で建築着工の凍結などといったような事前のチェックといいましょうか、こういったような歯どめをかけることが考えられていいんじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  26. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  まず、先ほどお答えいたしましたように、建築着工の問題ということになりますと、これは現在建築基準法等でそれぞれ建築設計の確認その他の手続が行われるというかっこうになるわけでございますが、現在のそちらの方の法制と大店法との関係では、これは法の目的その他も違いますので、直接にそれをリンクさせて考えていくということは、法制上はむずかしいというふうに思います。  それじゃ、実際にそういうことでいろいろ問題が起きるのではないか、そういう心配があるのではないか、そういったようなことについて何らかの指導ができないかというお尋ねであろうかと思いますが、実際に建物の場合も、三条の建物の場合いろいろなケースがございます。場合によりましては、たとえば住居兼用の店舗というようなものもございますし、あるいは建物をつくる段階でどういうものが中に入るのかというものにつきましても必ずしもはっきりしないというようなケースもありますので、一概に、いまのようなケースの場合に、あらかじめ商調協等々でその結論が出るまで店舗着工を凍結しておくというような措置を一律にとるということはむずかしいのではないかというふうに考えております。
  27. 清水勇

    清水委員 なるほど、一律にとるというたてまえを確立するというようなことは、現状ではむずかしいことかもしれません。ただしかし、客観的に見て、そういう意味での無理な着工がかえって商調協審議をおくらせたり、事態の合意を不可能にしたりするというようなことが予見できるというような場合には、ケース・バイ・ケースかと思いますが、ぼくはやはり一定の措置というようなものがあっていいんじゃないか、こう思いますが、どうでしょう。
  28. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のような御懸念というのは、私もよくわかります。現実問題としてその建物が建ってしまうということになると、何となしにもうそれで一歩既成事実ができてしまうのではないかという意味地元関係者が非常に不安を持つ、したがって、そういう状況になるとますます紛争が激化する、何とか方法はないだろうかというお話かと思いますが、法律のたてまえから申しますと、御案内のように、建物が完成した後でももちろん大店法に従っての調整というのは行うわけでございますので、したがいまして、一応その建物をつくるという方は、いわば建物所有者のリスクにおいて話が進むということでございます。したがいまして、ケース・バイ・ケースでいろいろ問題はあろうかと思いますが、そういったような事情というのを勘案しながら、また地元の実情にもいろいろケースがございますので、そういった状況でどういうかっこうが現地の解決で一番適当かということを考えていくべきであろうかというふうに思うわけです。
  29. 清水勇

    清水委員 いまの点は、今後この法の運用あるいは行政指導等の面でひとつ十分重視をしていただきたいと思います。  次に、第九条関係についてお尋ねをいたします。  私は、率直に言って、小売商業においては閉店時刻と休業日数の占めるウエートというものは非常に大きいのじゃないか、こう思います。しかしながら、本条においては具体的に何時とか何日というような触れ方をされていない。あえて避けて通られる、こういう立場をとっております。一方では、閉店時刻なり休業日数を法定したらどうだ、こういう意見が決して少なくないと私は思います。大勢ではないかもしれませんが、少なくないと思う。  そこで、まず最初に、この法定ということについてどういうお考えであるか。
  30. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、現行法では、閉店時刻、休業日数につきましては、法定遵守事項というかっこうではなくして、店舗面積あるいは開店日というのと同じように、個別の調整対象という事項にいたしておるわけでございます。  現在の大店法の場合には、御案内のように、昔の百貨店法とは違いまして、各種各様の小売業態というものを調整対象にしておるわけでございまして、したがいまして、業態も非常に違いますので、閉店時刻、休業日数というのを一律に法定遵守事項というふうにするのは適当ではないのではないか。また、この法律の立て方が、先ほど申しましたように、店舗面積、開店日というようなものも含めまして、全体として周辺中小小売業への相当程度影響を及ぼす事業活動の一環としてこの問題をとらえておるわけでございますので、閉店時刻、休業日数だけを取り上げまして、これだけを特別に法定遵守事項とするのは法律全体の体系のバランスから見ても適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  31. 清水勇

    清水委員 それではお尋ねいたしますが、九条の各項に規定されるいわゆる通産省令の定める云々と、まあこういう文言がございますね。現在省令の中身はどうなっておりますか。
  32. 島田琢郎

    島田政府委員 閉店時刻六時、それから休業日数月四日ということになっておると思います。
  33. 清水勇

    清水委員 省令では、六時閉店、月四日ですから年四十八日と、こういうことになろうと思いますが、そういう休業を定めているわけですが、実際問題として、たとえば五十二年三月一日の通産省の調査だったと思いますが、その状況が一覧されている。これを見ると、百貨店関係はおおむね八割前後これが守られるという形になっておりますが、他の部分では非常に劣悪な状況になっていると思います。  そこで、省令というものの行政指導上の意味というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御説明いたしましたように、本法では、店舗面積それから開店日とあわせて、閉店時刻、休業日数というものも調整対象にしているわけでございます。そしてそれはどういうことかと申しますと、七条にありますように、大規模小売店舗における小売業事業活動というのがその周辺中小小売業事業活動相当程度影響を及ぼすおそれがあるかどうかということで、おそれがある場合にそれを調整をする、こういうことになっておるわけでございますが、閉店時刻、休業日数につきましても、余りにたとえば閉店時刻が遅いというようなことで周辺の小売商への影響というものがある場合に、それが調整されるということになるわけでございます。  九条で省令で決めておりますものは、閉店時刻であればいわばそれより早い時刻、あるいは休業日数であればそれより長い休業日数につきましては、これは要するに、一般的に見てそういう周辺小売商への影響を及ぼすおそれがないというふうに考えられますので、その分については特に届け出を要しないという趣旨で設けられた規定であるというふうに考えております。
  35. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、たとえば閉店時刻を見ると、七時、八時なんというのがざらにあるわけですね。駅ビルとか月賦百貨店などといったようなところに非常に多い。あるいは年中無休なんというのもかなりございます。月に一日か二日といったのが大半を占めている。そういったようなこの状況を思うときに、どうも単なる通達でできるだけ省令の線に近づけさせようといったことでは、これは効果が上がらないのじゃないか、こういうふうに感じられるわけでありますが、この点どういうふうにお考えでしょう。
  36. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の大店法におきましては、いろいろな業態のもの、それからまた規模も、いまでも千五百平米ございますが、今度は五百平米まで引き下げられ、さらに規制といいますか、本法の対象の範囲は広がるわけでございます。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 そういった非常に広範な対象というものの中には、業態あるいはその地域も、ずいぶん大店舗は地方にも出ておりますので、地元のそれぞれの地域の実情といったようなものを考えますと、結局そういった個々のケースにつきまして、それが周辺中小小売商への影響を及ぼすおそれがあるかどうか、閉店時刻、休業日数に関してそういうものがどういうふうになるかというのは、やはりなかなか一律には論じがたいという面もございますので、そういう点を考えて運用していかなきゃいけないかというふうに考えております。
  37. 清水勇

    清水委員 むろん、現在は言われるように複雑多岐な状況である。だから、一度に一律にこれを律するなどということは、非常な無理があるというよりも、あるいは不可能かもしれない。この点は私も否定をしないのです。だからといって、現状がこうであるからといって、いつまでも現状に合わせるような指導であっては、いささかも事態を改善することができないのじゃないか。  私が理屈を言うまでもなく、小売商業というものは、一定の購買力といいましょうか、消費者を相手に商売をされる。ある店が休業日数を少なくしあるいは閉店時間をずらす、とりわけこれが大きな店であるなんというような場合には、これは周辺の商業者への影響がはっきりいたしますし、必ずしも中小商業者のみならず、他の店にも影響を及ぼす。そこで、お客を奪われまいとする意味合いから、引きずられて自分の店も休業日数を減らしたり、閉店時刻をずらしたりする。これでは、ますますもって無秩序な競争を促進するような結果になってしまう。あるいはそこに雇用される労働者、皆さんがおっしゃる従業者の福祉という点についても、これは重大な影響をもたらす結果になる。  ですから、なかなか複雑だから一律にはやりようがないのだ、こう言われるわけですけれども、それでは百年河清を待つような形なんであって、やはりそういう後ろ向きといいましょうか消極的な態度ではなしに、私は、この際、一定の指針といいましょうか指導基準といいましょうか、せっかく省令があるわけなんですから、どうこれを近づけるかというようなことでせっかくの努力があってしかるべきなんじゃないか。法定はむずかしいとおっしゃるけれども、現にEC諸国などでは大抵の国が閉店時刻あるいは休業日数の法定化をやっておりますね。だから、やる気になればこれはできないことではない。  ただし、同時に考えなければならぬことは、陸の孤島と言われるようなベッドタウン、こういうところの消費者の利便を一体どうするかというようなことを考えれば、必ずしも一律には律しられないから、たとえば経過措置とかあるいは経過期間といったようなものを配慮をしながら、対消費者との調和といったようなものも当然行政の俎上に上せて考えられていってしかるべきなんじゃないか。こういうことなどを含めて、私はやはりもうちょっとこの点にはきちっとした方針があっていいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  38. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  いまお話がありましたようなお考え方というのも、確かに一つのお考え方であろうかと思います。ただ現在、先ほどから申し上げておりますように、閉店時刻、休業日数の調整につきましては、周辺中小小売商に及ぼす影響等というものをどう見ていくかという点、それぞれの地域によって実情もいろいろ違うものですから、そういうものについて地元商調協等検討を経て、個別にそういう実情に合わせて、周辺小売商への影響がないように配慮しながら調整が行われておるという実態でございます。  それからまた、先ほど申しましたように、この問題を考えます場合に、その業態、地元商店街の実情、あるいはさきにお話しになりました立地場所というようなものによりましてもいろいろ違ってまいりますので、この問題をどう考えていくかという点はなかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、私どもの方としては、今後なおいろいろと勉強していきたいというふうに考えております。
  39. 清水勇

    清水委員 この点について大臣の御所見を承っておきたいと思うのですが、先ほども申しましたように、小売商業においては、閉店時刻あるいは休業日数のいかんが、競争上非常に大きな要素を持っているのじゃないかというふうに見ているわけなんです。通産省としても、公正な競争、秩序ある競争、こういうことをしばしば強調されておられると思います。だがしかし、閉店時刻や休業日数が現状こうだから仕方がないということだけで推移をしては、そういう公正でかつ秩序ある競争という観点から言えば、どうもそぐわない結果しか出てこないのじゃないか。  ですから、これは審議会にかけられるというお話もありますけれども、積極的に中小小売商業のあり方を総合的に勘案する、その一翼としてやはりこの問題も重視をしていただく。とりわけ昨今雇用をめぐる問題も非常に大きな課題になっておるわけですから、そこに働く労働者、従業者の福祉という観点も、大店法ができた際の国会決議でもこれを重視せよとうたっているわけでありますが、どうもこれが必ずしも重視されていないというふうに、ひが目ではなく見受けられますから、こういう点と両々相まって何らかの具体的な前進策を図っていただきたい、私はこういうことを特に強く要請しておきたいと思います。よく言われるように、小売商業の近代化が非常におくれている、零細性が非常に強い、それだけに効率性が低い、こういう克服をしなければならぬネックがたくさんあるわけですけれども、これを克服する一助にもつながるのじゃないか、私はこのように思いますので、ひとつ御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 御趣旨の点は私も十分理解できます。ただしかし、いま審議官も申し述べましたように、御趣旨を生かすにいたしましても、法律でやるかあるいは行政措置で指導していくか、いろいろやり方はあろうと思います。ただいままでのところは行政的にこれを指導していく方がよろしかろう、こういう判断で進めてまいりたいと考えております。
  41. 清水勇

    清水委員 それでは、次に移りたいと思います。  次は、商調法関係お尋ねをいたします。  私は、冒頭に、第三条の小売市場許可制届け出制に後退させたということについて意見を申し上げたのでありますが、この点は現行を維持してもらいたいという考え方を持つわけでありますが、お答えをいただきたいと思います。  同時にお尋ねをしたいことは、御承知のように、昨年の八十回国会での分野調整法の成立を通して、第十四条の二及び第十六条の二から六というものが追加され、つまり改正を見たわけなのでありますが、この点について十三日の長官の説明をお聞きしていると、この部分を削除しても大したことはない、こういうふうに言われているわけなのでありますが、私はいささか納得することができない、こういう気持ちでございます。まず最初に、その辺のところを、十三日に触れられて私も聞いておりますけれども、意のあるところを簡明にもう一回聞かせていただきたいと思います。
  42. 左近友三郎

    ○左近政府委員 今回の改正案商調法の第十四条の二と第十六条の二から六までを削除いたしたわけでございますが、この理由は、大店法の今回の改正に関連したということでございまして、大店法調整対象面積が五百平方メートルを超えるものというところに非常に引き下げられたものでございますから、従来紛争の対象になっておりました千五百平米ぎりぎりの線での紛争問題というのは、ほとんど大店法改正によってカバーされるということになりました。したがいまして、この商調法の問題にしておりました点は、ほとんど大店法改正によって手が打てることになりました。したがいまして、五百平方メートル以下の問題につきましては、現行の第十五条のあっせん、調停規定で処理すれば十分であるというふうな形になっております。そのように、いわば法律的に大店法改正とバランスをとったというのが今回の改正趣旨でございます。
  43. 清水勇

    清水委員 長官に重ねてお尋ねをしたいのでありますが、昨年の、議員立法による改正ではありますが、この改正意味するところは、確かにいま言われるような側面がありますが、基本的には当時の基準面積以下の大企業進出についても分野調整法並みの規制を行う、こういう観点であったと思います。  さて、今回これを五百平米に基準面積を下げられたことについては、私は評価をやぶさかといたしません。ただしかし、最近の状況を見ておりますと、立地その他の面からいって、大型店進出、非常に大きな店の新規出店というようなことがなかなか困難になってきている。そこで、むしろ既存大型店の衛星的な存在として、連鎖店といいましょうか、中規模店を大企業が相次いで出店させるというような傾向がふえてきているわけですね。その場合に必ずしも基準面積以上である必要はない。基準面積以下の面積くらいの店を次々に出店させるというような傾向がこれからもかなり予想されるのじゃないか。  ところが、そのことについての紛争は第十五条があるからいいじゃないか、こうおっしゃるけれども、この第十五条というのは、私が申し上げるまでもなく、大型店とたとえば中小小売商業者の紛争のいわば調整ですよ。つまり、大店法なり分野調整法なりが言わんとしている、そして商調法を昨年改正した条文が言わんとしているのは、小売商業者が大企業進出によって著しい影響を受ける、そういう事態をどうやって防ぐか、どうやって守るかということで大企業進出規制しよう、こういう観点なのですから、それと第十五条とは本質が違うのです。片方は、起こっている紛争をどうするかというだけにすぎない。  ここで重要なことは、影響のある場合には大企業進出をいかに規制するか、こういうことですから、私は、十五条が残るからいいじゃないかなんというようなことはとんでもない話であって、十四条の二及び十六条の二から六まではこのまま残すべきである、さもなければ、基準面積以下の進出といったようなものについては恐らく自由になるし、野放し状態になる、それによる影響というのはもう耐えがたいものになりはせぬか、こういうふうに思うわけですが、長官のはっきりした御所信を承りたいと思います。
  44. 左近友三郎

    ○左近政府委員 一つは、大店法基準面積を五百平方メートルを超えるものということにいたしました理由が、従来から、島田審議官から御説明申し上げておりますように、五百平方メートルというふうな面積が、いわば顧客の吸引力その他から見て、大規模店舗と小売店舗の間の差が認められる、つまり力の差が認められるのは五百平米であるということから、この線を切ったということでございます。したがいまして、そういう大店法の精神から申しますと、五百平方メートル以下というものは、中小小売店との間の競争力に余り格差がないのではないかというふうな法律的な考え方になっております。したがいまして、そういう法律的な考え方からいいますと、現在の商調法の十五条のあっせん、調停ということで十分ではないか、つまり大体大丈夫なんだけれども、まさかのときに備えて十五条でやる、こういうふうな考え方になるわけでございます。  しかしながら、われわれといたしましても、大企業進出小売商業に大きな影響を及ぼすということは、やはり十分に措置をしなければいけないというように考えておりますので、法律的な考え方はそうでございますけれども、十五条の運用を十分やりまして、事前にそういう問題が出てきた場合にも何らかの処置をするような形で運用してまいりたいということで、法律のバランスを保ちながら、かつ、この小売業の地位を擁護するというものを貫いていきたいというように現在考えておるところでございます。
  45. 清水勇

    清水委員 私は、これ以上議論はいたしませんが、第十四条の二、つまり調査の申し出、それから十六条の二以下六に至るまで、この条項を削るなんというようなことはとうていがまんができないという中小商業団体の皆さんの深刻な心配と意見のあることを、私は、中小小売団体といいましょうか、小売業者をどうやって擁護するかという立場の長官がわからないはずはないと思うわけでありますが、これは見解の相違などとおっしゃらずに、ぜひ現行の規定を残すということを通して、不安におののくことのないような状況を確保していく、こういう法制というものを維持していただきたいということを希望しておきます。  さて次に、ついでですからちょっとお尋ねをしたいんですが、商調協の構成については、通達によってこれがなされているわけでありますが、たとえば四十八年の大店法成立の際に、この委員会附帯決議としていろいろ、全文は省略をいたしますが、「その従業員の意見が十分反映されるよう措置すること。」ということがうたわれておる。  ところが、関係労働者を代表する委員というようなものが加えられていない。たとえば十三日の島田審議官のお答えなどを聞いていると、直接労働者の労働条件に触れる場ではないから関係がないというふうな言われ方をされておりますが、しかし、今日、さっき申し上げている閉店時刻一つとってみても、休業日数を見てみても、また大企業進出によって現在の働き場所がどうなるかという影響をおもんぱかってみても、そこに働く労働者には関係ないんだという筋合いのものではない、これは大いに深いかかわり合いがあるというふうに思っておりますから、まあこれは関係労働組合がないというような地域もあるはずですから、なかなか一律にはできないと思いますが、しかし、そういう代表を参加させ得るという余地を配慮されていいんじゃないか、これが一つ。  それからもう一つは、中央並びに都道府県に設けられる大店審議会、その構成の中にも、これはもうちょっと包括的な議論もあるはずですから、当然関係労働者の代表委員というようなものを参加させるような、そういう検討を構成に当たって考えていただくべきではないか、私はこう思います。
  46. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  二つ御意見があったと思いますが、商調協の問題でございますけれども、御案内のように、ここではいわば大型店進出した場合のそれに対する調整の場ということで、この商調協というのが非常に重要な役割りを果たしているわけですが、その場合、この調整をしていくに当たりまして、現在の構成というのが一応通達で定められているわけでございます。  お話の、労働者の意見をどこかで反映させるようなことを考えるべきではないかというお尋ねでございますが、私は、全然関係がないというふうに申し上げているわけではございません。ただ、実際問題としてこういった商業調整の場合に、やはり直接に影響を受けるのは周辺小売業者であり、そこに働く従業員というものは当然それに関係するわけでございますが、そこはいわば労使一体ということで、小売商業者がそれを含めまして議論ができるわけでございますので、制度的にそういったかっこうのいまお尋ねのような構成をとることがいいかどうかという点については、私どももう少し検討してみないといけないのですが、なかなか問題があるんじゃないかというふうに考えております。それで、むしろ直接にはやはりなかなかむずかしいんじゃないだろうかという感じがいたします。  それから、もう一つ審議会の問題でございますが、私ども都道府県審議会につきましては、これは都道府県でどういうような審議会の構成をとるかというのは、直接にはそれぞれの都道府県知事にお任せしているわけでございます。したがいまして、その構成をどうするかという問題もそこで検討されるわけでございますけれども、一般的に言いますと、従来の審議会、大店審審議の運用の実績等を考えますと、やはりこの審議会の委員というのは、いわば学識経験者と申しますか、中立的な学識経験者で構成するというのが最もいいのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  47. 清水勇

    清水委員 時間もございませんので、先へ行かざるを得ませんが、さて次に、たとえば十三日に中島委員も指摘をされておりましたが、昨年成立の分野調整法の第十条には「指導」という規定がございます。たとえば近代化であるとか、技術の向上であるとか、あるいは共同化であるとか、その他事業全体の改善を図るような行政に触れておりますが、この大店法等でどうもその点が欠落をしております。たとえば小売商業振興法があるからいいではないかというふうに言われるかもしれませんが、しかし、調整あるいは規制その他審査を行うということとの兼ね合いで、総合的な小売商業政策を展開をするという国の責務を織り込んでおくべきなんではないか。どうもこの点、触れられてないのは画竜点睛を欠くような感がいたしてならないわけであります。  それで、小売問題懇談会の報告を見ても、別にこれによらなくても、かねてから、百六十万という事業所、五百六十万に及ぶ従業員を抱えている小売商業、これはもう国民経済に占めるウエートというのは非常に大きいと思うのですね。ところが、零細性が非常に強い。さっき指摘をしたような急速なる近代化の方法というようなことが求められている。これを通して流通の近代化をどう図っていくかというような課題があるわけでありますから、私は、この際分野調整法の第十条に匹敵するような規定を加えるというようなことにどういうお考えであるか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  48. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話しの点でございますが、この大店法は、申すまでもなく、小売業における競争関係を整備して、大型店中小小売業との公正な競争を図るということで、小売業が国民経済の健全な発展に資するように伸びていくということを目的にしているものでございます。したがいまして、片方では、この法律では中小企業の事業機会を確保するというために調整を行うわけでございますが、その場合に、中小企業の方としては、単に調整を待つというだけではなくて、積極的に近代化に努力して、全体として小売業がより高い次元で公正な競争が行われるというようになっていくことが望ましいということは、申すまでもないところでございます。  ただ、いまの小売商のいわば近代化の問題というのは、現在、流通近代化というのが非常に要請されておりますが、これは大店法調整の局面だけで必要というわけではなくて、むしろ非常に大事な問題であり、一般的に強力に推進されるべき性格のものであろうかというふうに思いますので、この法律の中にその調整との関連でこういう規定を入れるのはいかがであろうかというふうに考えているわけでございます。
  49. 清水勇

    清水委員 時間がありませんから、意見があるのですけれども、先へ飛ばしたいと思います。  最後に、この法案に直接かかわり合いを持っているわけではありませんが、間接的には関係がありますので、お尋ねをしたいと思います。  たとえば先ほど来出ている分野調整法大店法商調法がある。いずれも言ってみれば、大企業進出から中小企業をどう守るか、こういう性質のものであります。ところが、分野法の方は、中小企業庁の取引流通課が所管をされる。さらに建設だ、厚生だ、農水だという各主務官庁でそれぞれ窓口をあける。大店法の方は通産省の商政課、商調法は中小企業庁の小売商業課、どうも行政がみんなばらばらになっていて、いわゆる一元性というものを欠いている。このために、法の運用というものがどうも中小企業者が期待をするような方向に進んでいない。たとえば分野調整法に対する大きな期待があったけれども、これが生かされないといったきらいが最近随所にあらわれております。  たとえば東食の子会社にアサヒ物産というのがございますが、さらにこの子会社というのでしょうか、ことしの五月時点で、東食とアサヒ物産の二分の一ずつの共同出資という形でタイヨー食品という一種の孫会社を、設立をしたわけじゃない、定款を変更して発足をした。そしてこの役員には、全部で五人ですけれども、東食関係から一人、アサヒ物産から三人、アサヒ物産の元役員が一人、まさに五人中五人がそれぞれ親企業から兼務をするというような形で出ている。資本金も二分の一ずつ、一〇〇%出資、役員もそっくり親企業から出ていく。わずか三百万円の資本金であったわけでありますが、御承知かどうか、二億円の設備投資を行い、これには当然東食が信用担保をしているわけですけれども、その上でタイヨー食品が日産二万丁の豆腐の生産に乗り出す。  これが実現を見れば、神戸及びその周辺の豆腐業界に大影響を来たす。二万丁といいますと、神戸市及びその周辺の二五%以上のシェアを占めることになる。これは大変だというわけで、分野確保協の兵庫県支部が近畿農政局へ五月の末に調査の届け出をする。しかし、担当課長が不在だから受理できないと言われる。六月二日になってもう一回申し出る。ここでも課長がいないということで、正式な受理がされない。  ところが、そうこうする間に、いよいよ分野確保協の支部が動き出したなどということを察知して、いわばダミー隠しを行う。こういうことで、出資金も個人出資に変える、役員も親企業の役員は引き揚げる。この七月ごろからこういうことになり、その間に、したがってこれは大企業あるいはダミーじゃない、だから分野調整法上の問題は何もない、こういう報告を受けて、結果としていま日産二万丁規模の生産が行われる。どんどん拡大をされて、資本金も六月二十日現在では四千八百万に増資をされるというようなことがなされているわけなんでありますが、どうも農林水産省あるいは建設省——建設省にまつわる三井不動産の進出をめぐる問題もあります。私は機会を改めてこれはお尋ねをいたしますけれども、他の官庁は、通産なり中小企業庁と違って、単に大企業と中小企業との間の紛争といったような取り扱いでこれを受けとめようとする。そうではなしに、既存の中小企業がどういう影響を受けるか、したがって大企業進出をどう規制をするかという角度で必ずしもこれが受けとめられていない。  ですから、やはりさっき申し上げたように、中小企業庁なら中小企業庁中心に、つまり行政の一元化といったようなことが強化をされないと、仏つくって魂入れずの結果になってしまうのじゃないか。いまのタイヨー食品の関連も含めて、この点ひとつ明快なお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
  50. 左近友三郎

    ○左近政府委員 このタイヨー食品の問題については中小企業庁も承知をいたしておりますが、分野調整法規定によりますと、結局、対象事業の所管大臣がその業種、業態の実情を一番よく把握しておるということから、事業所管大臣が主務大臣として処理をしておるわけでございまして、本件は、いまお話しのとおり、大阪農政局で扱っておるわけでございます。  したがいまして、いま御指摘の点もあろうかと思いますが、やはり法律規定に基づいて主務大臣に適切に処理をいただくということをわれわれからもいろいろお願いをしておるわけでございますので、今後とも、中小企業者の利益を擁護するために十分主務大臣が処置していただけるように、いろいろ連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
  51. 清水勇

    清水委員 ただ、長官、私、長官の気持ちをお聞きしたいんだけれども、普通、豆腐屋さんというのは、せいぜい従業員二人か三人で商っている零細業者でしょうね。ところが、このタイヨー食品の場合には、従業員が五十人余を数えている、日産二万丁を超えている、機械設備のために、さっき申し上げたように、二億余の資金をつぎ込む、こういった実態を見れば、これが周辺の豆腐屋さんに影響が及ばないなんというふうに考えること自体、ナンセンスだと私は思うのですね。  なるほど、主務官庁の方が実態に詳しいと言われるけれども、しかし、周辺の零細な豆腐業者を守る、その著しい影響を防ぐという観点で言えば、もっとやはり中小企業庁が前へ出て、たとえ主務官庁というものがあるんでありましょうけれども、それに積極的にアドバイスをする、あるいはもっと積極的なかかわり合いを持つ、こういうことをやっていただかないと、あの分野調整法意味というものが全くなくなってしまうのではないか、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  52. 左近友三郎

    ○左近政府委員 法律上のたてまえは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、いまお話しの御趣旨もまことにごもっともでございます。ことに中小企業の利益を擁護するというのが中小企業庁の使命でございますので、主務大臣、主務官庁とも十分御連絡をとって適切な解決ができるように、十分な御連絡、御協力を要請するということにいたしたいと思っております。
  53. 清水勇

    清水委員 じゃ、時間が参りましたので終わります。
  54. 橋口隆

    橋口委員長 長田武士君。
  55. 長田武士

    ○長田委員 ただいま議題となっております大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案について、私は、消費者の利益の保護を前提といたしまして、若干質問をしたいと思っております。  昭和四十年代の都市公害問題の高まりは、大企業に社会的責任の問題を促しましたし、低成長時代に移行した五十年代に入り、昨年、中小企業分野調整法が制定されまして、中小企業機会の適正化という新しい方向づけがなされたにもかかわらず、現在、全国各地で激化する大型店紛争はますますその加速を強めている現状でございます。  こうした産業社会を取り巻く環境の変化は、とりわけ非常に歴史は浅いわけでありまして、特に競争力に富んだ流通産業の分野では端的にあらわれておりまして、競争と調整の接点をどこに求めるか、そういう問題が大きな課題であります。これはただ単に経済システムの視点からでは片づけられない問題ではなかろうかと思っております。  通産省の五十一年商業統計調査によりますと、小売業全体の商店数は百六十一万四千店あり、このうち従業員が一人から二人という零細店は百万店、全体の六一・九%を占めておるわけであります。また、従業員が三人から九人までの店舗を含めますと百五十四万八千店となりまして、全体の九五・九%を占めております。これらの零細店の対策は大きな社会政治問題となっておるわけであります。  自由競争を標榜する中にあって、社会と経済という次元の異なる二つのシステムを重ね合わせ、大型店紛争を解決していかなくてはならないと考えるわけでありますが、この点につきまして通産大臣の御所見をまずお尋ねいたします。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国の小売業は約百六十万あると言われております。その従業員も六百万近いという非常に大きな数字になっております。したがいまして、この小売業が流通部門で果たしておる役割りは非常に大きなものでありますが、この流通分野が今後ともますます近代化されることを私どもは強く要請しております。  しかしながら、一方におきましてスーパー等の大規模小売店舗進出も御案内のような状態でありまして、この間、消費者の利益の保護ということのためにはどうしたらよいかという調整問題が非常に大きな課題になってくるわけであります。消費者の保護、流通部門の近代化、さらにまた多数の小売分野のこれまでの生活権の保護、こういう幾つかの要素をどのように調整したらいいかということは、経済問題であると同時に、大きな社会問題にもなっております。  今回御審議をしていただいております改正法律案は、以上申し上げましたようなことを最大限調整したい、こういうことでお願いしておるところでございます。
  57. 長田武士

    ○長田委員 まず初めに、消費者ニーズの変化に対応するための小売商業調整のあり方についてお伺いしたいのでありますが、小売問題懇談会の報告では、小売商業政策の基本的な考え方一つといたしまして、不断に変化し、かつ、多様化している消費者ニーズに機動的、かつ、適確に応えていくためには、多様な業態がそれぞれ固有の販売サービスを創出しながらバランスのとれた発展を図っていくことが必要であり、これを阻害するような急激な市場環境の変化については、これを緩和すべく調整することが必要であるといたしておるわけであります。  この消費者ニーズの変化、多様化がどのように進んでいるのかについて、最近、中小企業庁の調査によりますと、節約ムードにより購買意欲が低下しておるということが非常に多いわけであります。それから、品質、機能、個性的な商品、店の雰囲気や店員サービスを重視するようになった割合も高く、消費者は購買に当たってかなり選択的な態度で臨んでおるものと見られるわけであります。  そこで、本改正案は、店舗基準面積を引き下げまして、五百平方メートル以上のいわば中規模以上の店舗をすべて調整の対象とするものでありますが、調整に当たって通産省はどのような考え方を持っておられるのか、この点お尋ねをいたします。
  58. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  いま引用がございました小売問題懇談会考え方、それから、それを受けた後、中政審と産構審の合同小委員会でいろいろ検討を行われました結果、意見具申をいただき、それに基づいて今回の法案を作成したわけであります。  いまお尋ねのありますいわゆる中型と申しますか、千五百平米以下のような出店につきましてどんな調整を考えるかということでございますが、最近こういった中型店の出店というのが相当ふえております。それに伴い、各地で周辺の小売商との間に紛争がいろいろ生じております。そういう点も勘案いたしまして今回五百平米まで下げたわけで、それによって所要の調整が可能になるようにしたわけでございます。一方、中小企業がいろいろ近代化努力をし、それによって伸びていくというようなこともこういう問題にはございますので、そういったものにつきましてその近代化意欲をそぐことにならないよう、その辺は実態に応じまして調整をしていくという考え方で臨みたいと思っております。
  59. 長田武士

    ○長田委員 次に、調整制度改正に伴う行政体制の充実について伺いたいのでありますが、本法案改正によりまして、大規模小売店舗における小売業事業活動について調整の対象となる店舗面積の下限が五百平方メートルに引き下げられ、第二種大規模小売店舗、すなわち五百平方メートルを超え千五百平方メートル未満のもの、これは十大都市では五百平方メートルを超えて三千平米になるわけでありますが、についても都道府県知事を経由いたしまして届け出がなされます。それで、都道府県知事は、その届け出に係る事項が実施されることにより周辺の中小企業事業活動に及ぼす影響に関して通産大臣意見の申し出を行って、その意見を聞いて通産大臣調整するという仕組みになっておるわけですね。  一方、大規模小売店舗が所在する市町村長には、第一種及び第二種の大規模小売店舗届け出内容都道府県知事から通知され、当該市町村長は、その内容について都道府県知事に意見を申し入れることができるようになっているわけでございます。  このように出店調整権限が地方自治体にゆだねられる場合、それに備えて各自治体は小売商業関係のデータづくりが急務となるのは当然であります。現在、各条例や要綱等によって中型店の出店規制を実施してきている自治体は、客観的な観点に立った精度の高いデータづくりに必ずしも成功しているとは言いがたいものではなかろうかと思います。これについて、国と地方自治体との間における相互協力体制の不備を指摘する声も非常に強いように聞いております。したがって、今後調整問題の矢面に立つことが予想されます自治体において中央官庁と一致した指導ができるかどうか、この問題は、法律の運用の大きなキーポイントになるのではないかと私は考えるわけであります。  そこで、通産当局はこれらの問題をどう克服されていかれるつもりなのか、この点お尋ねをいたします。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席
  60. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  いま御指摘のありました点は非常に重要な点でございまして、今後の法律の運用に当たっては、私どもも特に留意をしていきたいというふうに考えております。  従来でも、この法律の執行に当たりましては、小売業関係のいろいろな資料が必要でございます。そのために、従来、この法律の運用に当たって必要な資料、統計等につきまして、私どももその整備を図ってきたわけでございますが、特に今回、都道府県に相当いろいろ仕事をお願いをするということになりました関係上、第二種の大規模小売店舗調整に当たっての基礎的な資料というものを整備するために、来年度の予算におきまして、第二種大規模小売店舗実態調査委託費というかっこうで所要の予算の要求を行っておるところでございます。  また、法律運用全体につきまして、私どもといたしましては、常時都道府県知事と密接に連絡をとりながら、法の運用が円滑に行われるように十分配慮していきたいというふうに考えております。
  61. 長田武士

    ○長田委員 こうした大規模小売店舗進出に関する地方自治体の長の調整権限等が大幅に拡大されますし、その意思が非常に強く反映されますその反面、行政責任の一端を国と分かち合う結果になるわけですね。また、地方自治体は、通産大臣に対して意見を述べたり、みずから調整を行うなどの事務処理量もふえることは当然であります。したがって、地方自治体において国との連携を密にし、公正な調整を行うための判断基準の整備等に努めるとともに、行政体制の充実を図り、公正な調整、処理が迅速に行われるようにすることが必要であると思うのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  62. 島田琢郎

    島田政府委員 今回の法律改正では、小売商問題と申しますか、問題がそれぞれの地域に非常に関係するという点を考えまして、いま御指摘がありましたようなかっこう法律の体制に直したわけでございますが、一方、流通政策全体、流通の近代化あるいは最近における大型店の全国的な展開等々を考えますと、国としてそういった全体の視野からこの問題を判断しなければならないということも必要でございます。したがいまして、両方の観点というものをうまくお互いに調整しながら運用していく必要があるわけでございます。  その場合に当たりまして、法の運用に必要な判断基準といったようなものにつきまして、私どもは現在でも特に七条の判断基準というものを何か考えたいと思っていろいろ検討しているわけでございますが、特にこの問題は、具体的に大型店進出した場合にその周辺中小小売商に及ぼす影響というのは、その地域の立地地点の人口あるいは周辺の小売商の状況等々いろいろな要因でまちまちでございますので、なかなか一律の物差しというようなものはむずかしいわけでございますが、それにしましても何か判断の目安になるようなものができないかということで、現在審議会におきましていろいろ検討いたしておる段階でございます。そういったものをできるだけ早く考え方をまとめまして、都道府県にもそういったかっこうで御連絡をするというようなかっこうで、運用のそごを来さないようにしていきたいと考えております。
  63. 長田武士

    ○長田委員 いまお話がありました調整判断基準と申しますか、その作成についてお尋ねしたいのでありますが、現行の大規模小売店舗法は、大型店出店について届け出制をとっておりまして、本改正案による改正後も同様に運用されると思います。この事前調整は、地域商工会議所または商工会に設けられる商業活動調整協議会が中心となりまして、主として大型店進出周辺中小小売商に及ぼす影響から見た調整内容、端的に言えば出店面積の削減割合について話し合うことによって行われるわけであります。したがって、届け出された大型店出店計画について、それによる影響程度をできるだけ客観的、そして数字的に予測する必要があるわけであります。その予測方法が確立していないため、合理的な調整が難航する事例が非常に多いと言われるわけですね。  そこで、この問題の解決に資するため、調整に当たっての判断基準となるような統一的、定量的な予測方法と地域ごとの固有の事情を勘案しての予測方法について、一つの目安を作成するよう努める必要があると私は思うのでありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  64. 島田琢郎

    島田政府委員 御指摘の点、そのとおりであろうかと私ども考えております。  ただ、先ほども申し上げましたように、実際にいままで私どもいろいろ運用してみました経験からいたしますと、先ほども申しましたように、個別のケースを考えてみますと、ある大型店舗の進出に伴う周辺中小小売業への影響というものは、場合によりましては、その店舗がどこへ出てくるかという立地地点の問題、あるいは周辺小売業がいまどういう状況になっているか、あるいはどんな近代化を進めつつあるか、あるいは周辺の人口がどれぐらいの規模であるいはどの程度増加の傾向にあるか、いろいろな要因によりまして異なってまいります。したがいまして、ある一つの、一律の適用可能な基準というようなものをつくるのは、いままで私どもいろいろ勉強してまいりましたが、なかなかむずかしいというふうに思っております。  ただ、そうは申しましても、いま申しましたいろんな要因というのはある程度捨象しまして、ある程度判断の目安になるようなものを作成することができるのではないかということで、昨年の春以来、大店審審査指標部会というものを設けまして、ここでこの問題の検討をいま行っているわけでございます。現在検討中でございますが、できるだけ早くここでの検討を終えまして、ある程度大型店進出した場合にそれが周辺の小売商にどの程度影響を及ぼすであろうかというようなものについての判断の目安になるようなものをつくってまいりたいということで、鋭意努力をいたしておるところでございます。
  65. 長田武士

    ○長田委員 さらに、大型店進出による影響が広範囲に及ぶと予想される場合でも、現在、一行政区域内単位での出店調整にとどまっているのが現状のようでありますが、出店による影響が広域化している今日、他の行政区域にも影響が及びそうな地域がある場合には、広域商調協が活動できる体制が望ましいと考えておるわけでありますが、このような体制がまだ確立されていない現在、これは早急に検討すべきだと思いますが、この点どうでしょうか。
  66. 島田琢郎

    島田政府委員 いまのお尋ねの広域商調協の問題ですが、確かに御指摘のように、特に最近大型店出店規模が大型化している、あるいは郊外立地というような傾向が出ているというところから、単一の商工会あるいは商工会議所の地区だけでは十分な地元調整が行いにくいといったケースも出てきておるわけでございまして、この点につきまして、私どもといたしましては、今後の商調協のあり方というものをどういうふうに持っていくかにつきまして、これから関係者とも十分相談しまして、十分な検討をして何らかの改善策を考えたいというふうに考えております。
  67. 長田武士

    ○長田委員 また、大店法改正に伴いまして、商調協の役割りは現行法以上に重要となるのではないかと考えるわけであります。  そこで、現在行われております事前商調協のあり方、さらに商調協の構成メンバー等についてどのようなお考えでしょうか。
  68. 島田琢郎

    島田政府委員 商調協の構成メンバーでございますが、これにつきましては現在通達を出しておりまして、商業者、消費者、学識経験者の代表のうちから均衡のとれるように、かつ、それらの人がそれぞれ各層の意見を正しく反映するようなかっこうで選定が行われるようにお願いをしているわけでございます。現実問題としてなかなかいろいろむずかしい問題もございますが、これにつきましては今後とも改善の努力をしたいということで、これも現在具体的な方策を検討しているところでございます。  それから、事前商調協の問題につきましても、従来、この商調協というのが、地元での問題を解決するために実際重要な役割りを果たしているという点にかんがみまして、今後ともこの問題、こういった商調協の運営というのを考えていかなければならないと思っておりますが、いま申しました広域商調協の問題等々を含めまして、具体的に今後どういうふうに持っていくかにつきまして、さらに改善の余地がないかどうかということもあわせて検討したいと考えております。
  69. 長田武士

    ○長田委員 今回、五百平方メートルまで対象範囲が拡大されることによりまして、商工会議所における商調協の事務量もかなり増大すると思われるわけであります。今後どのような対策を講じていくのか。  また、商調協を運営するところの商工会議所についてでありますが、商調協を開いて調整を行うための調査や資料作成あるいは会議等の費用と、労働による負担がかなり大きいと言われております。この点について現状はどうなっておるのか、さらに、国からの補助はどの程度出ておるのか、この点お尋ねいたします。
  70. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  現在商工会議所あるいは商工会に設置されております商調協の活動につきましては、大規模小売店舗法に基づく勧告等の審査を行うための資料作成というかっこうで委託費が出されております。五十三年度で委託費で三千九百万ということでございます。来年度は、この委託費につきましてさらに増加して要求をし、今後ともこの内容の充実に努めていきたいというふうに考えております。
  71. 長田武士

    ○長田委員 一件当たりどのぐらいの金額になるのですか。
  72. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  これは案件に応じて金額が違ってまいりますが、案件一件当たりで見ますと、大体四十万以内というぐらいのことでございます。
  73. 長田武士

    ○長田委員 四十万円程度の補助金では、負担が非常に大きいんではないかという声も実はあるのですけれども、この点、増額される予定はございますか。
  74. 島田琢郎

    島田政府委員 予算単価の問題、なかなかむずかしい点もございますが、今後実際の運用等を通じまして改善を図っていきたいと考えます。
  75. 長田武士

    ○長田委員 本改正案において基準対象面積が五百平方メートルに引き下げられたことと関連いたしましてお尋ねをいたします。  現在、地方自治体等が独自に、現行大店法の対象となっていない中型店規制措置として、条例、要綱等をつくっております。その制度について、約四十余の都道府県、市町村に及んでいるようでありますが、この条例、要綱の制定状況調整実態についてお尋ねをいたします。
  76. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  現在私ども把握しております限りでは、地方公共団体における条例、要綱の制定状況は、条例が、県が三県、それから市町村が十四市町村、それから要綱が三十六県、百五十六市町村というふうに承知しております。  それから、これらの条例、要綱に基づく届け出件数というのは、私どもの調査では、本年の八月十五日現在で全体で八百九十件、それからそれの調整件数は六百四十三件というふうに承知しております。
  77. 長田武士

    ○長田委員 本改正案施行時において、これらの条例、要綱に対してはどうされるお考えでしょうか。
  78. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  今回の法律改正によりまして、すでに御案内のとおり、一応五百平米まで対象面積を引き下げ、これによりまして、一般中小小売商との顧客吸引力の格差という点から見ますと、大体これで影響のあるお店というのはカバーされるであろう。また、小売業紛争をめぐる実態というのを見ましても、大体この辺が境になっておるというふうに考えられます。それからもう一つは、地方自治体で従来条例あるいは要綱による調整を行っておったというような実績にもかんがみまして、千五百もしくは三千以下の調整権限につきましては都道府県にこれを行わせるというふうにしたわけでございます。  そういうようなかっこう改正がされますので、いま申し上げましたような状況にございますので、現行の地方自治体における条例、要綱につきましては、その実態的な必要性はもう乏しくなったんではないかというふうに考えております。
  79. 長田武士

    ○長田委員 それでは、具体的にお尋ねしたいのでありますが、たとえば熊本、それから佐賀県の県条例では、三百平方メートルを対象にしておるわけであります。そのほか百とか二百とか、五百平方メートル以下の基準面積を設けておる条例や要綱などもあるわけでありますが、これに対してはどうでしょうか。
  80. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  条例で五百平米を超える部分につきましては、今回改正法が制定されますと、一応法律がそういうかっこうでできますので、その趣旨からいいまして、改正法が施行される時点で、その部分に関してはもう実際上効力がなくなるというふうに考えていいのではないだろうかと思います。  ただ、五百平米以下の部分につきましては、これは国は五百平米まででございますから、たとえば三百平米とか二百平米というようなところの条例というものにつきまして、これが法律との関係で直ちに違法かどうかという議論になりますと、これはその地域小売業実態等も踏まえまして、合理的な内容があるかどうかという点で個別に判断されるべき問題であり、直ちに違法だというような議論には法律的にはならないであろうというふうに思います。  ただ、先ほど申しましたように、大店法の方で五百平米まで引き下げられ、それ以下については商調法の方で個別に対処ができるということになりますと、実態的には十分対処できるというふうに思いますので、私どもといたしましては、そういう今回の改正法の趣旨に沿いまして条例の方もしかるべく措置をお願いするように、地方自治体に対して要請あるいは指導していきたいというふうに考えております。
  81. 長田武士

    ○長田委員 ここに、去る七月十日、東京商工会議所が行いました「「大型店に関する実態調査」結果の概要」という資料がございますが、これは、最近出店規模の大小を問わず大型店出店をめぐる地元商店街との紛争が多発、長期化の傾向にある状況にかんがみて、大型店店舗展開、営業活動、地元商店街に対する評価と協調関係などその実態を明らかにし、今後の大型店と商店街との望ましい共存共栄のあり方を探るために、ここに調査が行われたわけであります。  この調査対象は、東京通産局管内の一都十県に大規模店舗を有する本社百三十六社及び当該管内にある基準面積以上の営業店舗五百六十二店に対し郵送によるアンケート調査を行い、回答数は本社七十社、営業店舗三百九十一店となっております。  この中で店舗出店状況を見ますと、回答した七十社の中で六割に当たる四十三社が四十九年三月の大店法施行以来出店しております。大型店が盛んな出店意欲を持っていることを示しておるわけでありますが、特に、百貨店では十五社が三十三店出店したのに対しまして、スーパー、月販店の場合、二十八社が三百七店も出店しておるわけであります。これは一社当たり平均出店数は十一店となりまして、百貨店の五倍に相当するという状況であります。このうち二十店以上の多店化を進めたのは七社に上っておるわけであります。このように、スーパーにおける積極的な経営姿勢が見られるわけであります。  そこでお尋ねしたいのでありますが、この調査結果からも明らかなように、最近大店舗出店計画が全国的にも増加の傾向を示しております。こうした中で、今回の法改正までの間に駆け込みとも言われる新増設が見られるわけでありますが、これにどう対処されておるのか、お尋ねをいたします。
  82. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、この三月にも駆け込み新増設の自粛要請を行ったところでございますが、さらに、先国会決議がなされまして、この七月でございましたか、それを踏まえまして、関係団体に重ねて駆け込み新増設の自粛を要請しておるわけでございます。  現在の出店状況、その後の最近の大店法に基づく新設の届け出件数を見ますと、第一・四半期は五十九件、第二・四半期は四十三件ということで、平年度それまでは大体四半期で七十件ないしもうちょっと多いぐらいの件数であったかと思いますので、そういった水準から見ますと、それを下回っておる状況でございます。  それから、私どもが先ほどちょっと御説明しました調査によりまして基準面積未満の店舗の新設につきましても調べてみたところでは、最近特に駆け込み的な出店がふえているという傾向にはないように思われます。  改正法が今後仮に成立したとした場合に、施行までにまだ時間がございますが、その間も引き続き、私どもとしては所要のそういった従来の考え方で今後も指導していきたいというふうに考えております。
  83. 長田武士

    ○長田委員 二回の通達が出ておるわけでありますが、その通達によって自粛されておるという考え方ですか。
  84. 島田琢郎

    島田政府委員 私どもとしましては、そういうことで指導し、また、件数で見る限りそういうふうになっておるというふうに思っております。
  85. 長田武士

    ○長田委員 私は、そういう点ではまだ非常に不十分であるという感じを強く抱いております。そういう点、どうかひとつ行政指導を的確に行っていただきたい。  次に、商調法改正についてお尋ねをしたいわけでありますが、先ほどもちょっと議題になっておりましたが、本改正案では、小売市場をいわゆる伝統的小売市場に限定することによって、現行の許可制から届け出制改正しようとしておるわけであります。  そこで、まず届け出制に変えることにした理由についてお尋ねをいたします。
  86. 左近友三郎

    ○左近政府委員 小売市場許可制届け出制改正いたしました理由でございますが、これは、大店法改正で、調整対象面積が五百平方メートルを超えるものまでということで大幅に拡大されました。それで、従来の許可制の目的の一つでございました周辺小売商業との商業調整という問題は、この大店法で処理ができるということになったわけでございます。  しかしながら、この許可制のもう一つの目的でございます小売市場に入居いたします零細の中小小売商業対策、いわゆるテナント保護という点はやはり残さなければいけないということでございますが、ただ、そういうテナント保護という規定を残す場合におきましては、類似の法制のバランスから考えますと、貸付条件についての届け出勧告という制度にした方がほかとのバランスがとれるということで、現在の許可制届け出制に変えたというわけでございます。
  87. 長田武士

    ○長田委員 小売市場関係者の中には、届け出制に移行することでいま以上に紛争が生ずるという非常に危惧の念を持っておるわけであります。  そこで私は、現行法どおり許可制を存続すべきであると考えますが、その点どうでしょうか。
  88. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま申し上げましたとおり、小売市場とそれから小売市場周辺の中小商業者との商業調整の問題につきましては、現在の小売市場の中で周辺中小小売商業影響を与えるというようなものは、やはり五百平米以上のものが多いわけでございますし、最近の傾向を見ますと、小売市場が新しくできます場合には、大体五百平米を超えるものというのに該当するということでございますので、大店法の運用によって処置ができるというふうに考えております。
  89. 長田武士

    ○長田委員 昨年の中小企業分野調整法制定時に関連をし追加修正された商調法第十四条の二、それから第十六条の二について、いわゆる小売業における分野調整規定が施行後現在までの間に運用されておる状況についてお尋ねをいたします。
  90. 左近友三郎

    ○左近政府委員 商調法第十四条の二あるいは第十六条の二に基づきます特定物品販売事業に関する調査または調整の処理についてでございますが、御承知のとおり、昨年の九月二十四日に施行されたわけでございますが、それ以後現在までに都道府県からの報告を受けたところによりますと、正式に法律上の手続をとったものが事前調査関係で二件ございます。それ以外に、商調法規定をバックにいたしまして、そういうことがあるということで行政的に紛争の処理が行われたというものが一件ございます。つまり、正式の手続をとりませんでしたけれども、行政的に処理をして解決したものが一件ということでございます。それから、調査の申し出がございましたけれども、その対象が大店法の対象になりましたので、大店法で処理されたというものが一件ございます。以上でございますが、このほかに、現在地元の小売商から調査及び調整を申し出ているものがそれぞれ一件ずつあるように聞いております。これは現在その当該都道府県で処理中でございます。
  91. 長田武士

    ○長田委員 運用されておるのは九月二十四日からでありますから、まだ非常に少ないわけでありますが、運用の事例が非常に少ない、そういう意味で今回削除されるのか。そういう点、私はどうもこの改正案での削除というのは納得しかねるものがあるのですが、その点どうでしょうか。
  92. 左近友三郎

    ○左近政府委員 今回の改正趣旨は、運用の件数が少ないというふうなことからではございませんで、大店法調整対象面積が大幅に引き下げられたということに伴いまして、法律調整の対象になるものがほとんどない、しかも、もしあったとしても商調法の十五条のあっせん、調停という規定で処理し得る、こういう法律上の考えから削除ということになったわけでございます。
  93. 長田武士

    ○長田委員 政府は、大店法改正基準面積を五百平方メートルまでに引き下げたので、同条は必要ないという考え方ですね。面積が引き下げられたとはいいましても、大企業のダミー等のように、姿を変えて五百平方メートル以下にすれすれの店舗進出を行い、紛争が生ずることも将来懸念されるのじゃないかと思うわけであります。したがいまして、商調法第十四条の二及び第十六条の二、すなわち小売業における分野調整規定を存続させた方がいいのではないかと思いますが、再度お尋ねいたします。
  94. 左近友三郎

    ○左近政府委員 大企業がいまおっしゃいましたような五百平方メートル以下の小売スーパー等そういうものを出店させるというふうな場合に、周辺中小小売商紛争が出るという場合をどうするかということでございますが、先ほど申し上げましたように、商調法の十五条のあっせん、調停、これは都道府県知事が行うわけでございますが、この規定によって対処をしていくということで十分ではなかろうかというのが、今回の改正法の考え方でございます。
  95. 長田武士

    ○長田委員 また、この分野調整規定に基づく調整等の申し出件数が少ないのは、申し出適格団体がないことにもよると私は考えておるわけであります。  そこで、調査等の申し出適格団体に商店街振興組合を加える必要があるのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  96. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在の改正法では調査、調整規定そのものを削除することにいたしておりますので、申し出の資格の問題は出てこないわけでございますが、仮に現行制度ということで考えてみますと、現行の制度の場合に現在の申し出資格で十分かということになりますれば、これについてはやはりもう少し考え直してみる必要があるということは、われわれも考えておるわけでございます。
  97. 長田武士

    ○長田委員 私は、さらに今後の流通問題と都市構造のあり方について、通産大臣お尋ねをしたいと思っております。  一昨年来日しました欧州の流通問題の権威者、英国経済振興会顧問でありますところのマーガレット・ホール女史は、自由な競争を規制することは好ましいことではない、ただ、都市計画に沿って大型店出店を緩やかに規制していくことは必要だろうと言ったそうであります。私もこれには同感であります。  そこで、現在における小売業問題を見ますと、主として流通面及び経営面からの視点で論議が展開されておるわけであります。しかし、私は、大型店進出が及ぼす影響の中で忘れてはならないものといたしまして、都市計画からの視点があると考えておるわけであります。すなわち、都市計画に沿った出店こそ、対立する大型店と中小小売店の間で合意が可能な唯一の接点であるような気がしてならないわけであります。都市計画という枠組みの中で大と小を位置づけ、経済原則の働く生きた町づくりへの道であると考えるわけであります。しかし、計画的な都市づくりの伝統の乏しいわが国の現状では、生きた町づくり、大と小の商業を両立させ、共存共栄させる勇気ある発想のもとに何らかの立地ビジョンが必要であると思いますが、総理候補でもある通産大臣、御所見を伺いたいと思います。
  98. 河本敏夫

    河本国務大臣 都市に大型店出店をいたしますと、その地域にいろいろな面で非常に大きな影響が出てまいります。そういう意味から、都市計画という観点から判断をすべきじゃないかという有力な議論は前からあるわけでありますが、しかし、何分にもこの法律は別の角度からつくられた法律でございます。したがいまして、都市計画との関係は何ら規定をいたしておりません。  ただ、今度の改正で府県知事に相当大幅な権限が移譲されておりますので、法律の運用の過程におきまして、当然行政措置として、行政的な配慮からある程度都市計画というようなものを織り込んで考えていく、こういうことになろうかと思います。
  99. 長田武士

    ○長田委員 さらに伺いますが、御承知のように、流通革命は第二ラウンドを迎えたと言われておるわけであります。かつて大量生産、大量消費が定着した昭和三十年代から四十年代、この後を受けて五十年代は消費の多様化が目立ち、質と量が同時に求められるむずかしい時代とも言われておるわけであります。こうした中で流通問題の今後はどうなるのか。大型化から一転して小型多店舗化といったリバイバル的な動きも出てきております。  すなわち、通産省として大型小売業の業態をどのように把握されておるのか、この点お尋ねをいたします。
  100. 島田琢郎

    島田政府委員 非常にむずかしいお尋ねでございます。今後大型店といいますか、むしろ小売形態というものが全体としてどんなふうになっていくだろうかという見通しにつきましては、現在非常に流動的でございますし、将来を見通すことにはなかなかむずかしい点があるわけですが、少なくともこんなことは言えるのではないかと思いますのは、結局、小売業の存立基盤というのは、やはり消費者ニーズの充足ということでございます。しかも最近消費者のニーズというのは非常に変わってきており、非常に多様化しておるという状況でございます。  そういったものから判断いたしますと、たとえば第一に、生活水準が上がってくるに従って消費者ニーズがますます多様化してくる。それからまた、安定成長期に入ってくるにつれまして、商品の機能、価格のバランスというのが重視される、したがって選別的な態度はより強くなっていくだろう。あるいは時間の余裕あるいはモータリゼーションの普及というようなことに伴いまして、いわゆる買い回り品につきましては、買い物距離が長くなっていくのではないかというようなこと。そういった点を考えますと、買い物の距離あるいは品ぞろえの問題、商品の種類あるいは価格帯あるいはいわゆる付帯サービスというような点につきまして、消費者のニーズに合わせていろいろな組み合わせのお店というものが出現するというようなかっこうの小売の形態になっていくということで、ますますいわばバラエティーに富んだ小売業というものが展開されていくというように、これは漠然とした方向でございますが、私どもは感じておるわけでございます。
  101. 長田武士

    ○長田委員 そこでお尋ねしたいのでありますが、小型店の店舗がチェーン化して、小さいエリアにおけるコンビニエンスストアの動きがあるわけであります。その中で代表的なものといたしましては、イトーヨーカ堂のセブン・イレブンやダイエーダイエーローソン等があるわけであります。このセブン・イレブンとダイエーローソンについて、それぞれその概要を簡単に御説明いただきたいと思います。
  102. 左近友三郎

    ○左近政府委員 五十三年三月末現在の数字を申し上げますと、セブン・イレブンにつきましては、資本金が八億一千万円でございまして、加盟店数が四百七十三店、そのうち直営をしておりますのが十三店ございます。加盟店の総販売額は大体三百九十八億、これは五十二年度の実績でございます。それから、ダイエーローソンにつきましては、資本金が四億円、加盟店数が八十九店、うち直営店が十三店、加盟店の総販売額は七十九億円ということで、いずれもいわゆるコンビニエンスストアの代表的なものということは言えると思います。
  103. 長田武士

    ○長田委員 これらの経営方針といたしまして、独立の小売商、そこヘノーハウを売って、売り上げの粗利益の四五%を取り、そのかわり、商品の供給とか管理とか、ノーハウはスーパーバイザーがいていろいろ教えることになっておるわけであります。また、住宅街においては、半径五百メートルぐらいの小さな商圏でやれるという利点もあると聞いております。こうした小さな商圏でやれる可能性のあるところは日本国内にはまだいっぱいあるので、それを押さえていこうという方針とも聞いております。たとえばセブン・イレブンは、この九月末で五百店舗に達し、そのうち東京都内には約二百店と、非常に急速に伸びてきております。また、ダイエーローソンは、現在全国で九十店舗に達しておるとも言われておるわけであります。これは消費者ニーズを満たす新しい小売店として注目されるわけであります。  このような新しい小売業の形態について、中小企業庁ではどのように考えておられるのか。たとえば新しい中小小売業の近代化という視点からどう推進されていかれるのか、将来における中小小売業の形態についてのビジョンとあわせてお尋ねをいたします。
  104. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま御指摘のように、コンビニエンスストアが増加してきておりますけれども、従来の小売業者がこのチェーンに参加をいたしまして、本部が開発いたしましたすぐれた経営ノーハウだとか大量仕入れのメリットを享受していくという側面を考えますと、これは中小小売商業の経営近代化に資する面も大きいというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、この点について問題がないわけではございませんで、一つは、そういう小売業者が加盟をする場合に、本部の事業者に非常に依存することが大きくなります。したがいまして、よく事情を知らずに加盟をして、後でこういうつもりではなかったというようなことになりますと、非常に問題でございます。したがいまして、中小小売商業振興法では、フランチャイズチェーンの本部事業者に対して、加盟しようとする者に対して事前に加盟契約上の重要事項について書面を交付して、その記載内容説明をするということを義務づけております。こういう形で、コンビニエンスストアというふうなものが大体フランチャイズチェーンで出ておりますので、この契約上の問題を小売商業に不利にならないようにしていくというのが一つ観点であろうと思います。  それからもう一つの問題は、大企業でこれが直営で行うというふうな場合には、やはり問題点が生ずるおそれもございます。したがいまして、これについては商調法の十五条の規定を活用いたしまして、あっせん、調停ということに持っていきたいというふうに考えております。  ただ、コンビニエンスストアというのは規模が小さいということでございますし、与える影響の範囲、程度というものも、一般の小売商店とそれほど違わないというふうなことがございますので、小売商業者がそういうものに加盟してやっていくというものについては、今後の小売商業の近代化に資するものということで、いまのようなことを十分見ながら、そういうものの転換についてわれわれも推進をしていきたいというように考えておるわけでございます。
  105. 長田武士

    ○長田委員 最後に、中小企業対策について二、三お尋ねいたします。  今回の法改正で中小企業の保護は十分行われるとお考えでしょうか、その点お尋ねいたします。
  106. 左近友三郎

    ○左近政府委員 今回の大店法改正によりまして、一般の中小小売商と非常に競争力の格差があって大きな影響を及ぼすというものが、調整対象面積の引き下げ、つまり五百平方メートルを超えるものというところまで拡大されましたものですから、これによって現在発生しておるいろいろなトラブルが適切に処置をされるだろうということが期待できるということでございます。したがいまして、今後の法律の円滑な遂行によって、中小小売商業の事業機会が適正に確保されるということになろうかというふうに考えておるわけでございます。
  107. 長田武士

    ○長田委員 さらに、中小小売業振興対策についてお尋ねをいたします。  中小小売商業は、いまさら申すまでもなく、わが国小売業においてきわめて大きな比重を占めておるわけであります。この中小小売業の流通の近代化、効率化を図るためには、中小小売業振興を図ることが急務でございます。  現在、国及び地方公共団体にありまして、買い物公園造成事業融資、商店街改造計画作成助成金制度中小小売商業知識集約化研究、指導事業等が一般経費として、また、政府系金融機関にあっては、小売商業高度化貸し付け、流通近代化貸し付け、あるいは小売業経営改善資金等を初め、広範囲にわたって制度そのものはあるにせよ、これらの制度は予想外に不人気で、一部には資金を余すところもあるやに聞いております。また、一件当たり融資限度額が低いことや借り入れ手続がめんどうなことのほかに、低金利時代に突入した昨今では、もともと低金利を売り物にしておる流通近代化資金、小売商業高度化資金といった特別貸し付けの魅力もなくなりまして、都市銀行筋に低利の資金を求めて乗りかえておる、そういうことが大きな原因ではなかろうかと思うわけであります。  そこで、中小企業庁はこうした資金需要の構造変化をいち早くキャッチし、政府系金融機関の融資内容を再検討すべきではなかろうか、そう私は考えているわけであります。そこで、来年度の予算の編成にあわせて小売商業対策の推進としてどのように処置をされるのか、最後にお尋ねをいたします。
  108. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、中小小売業対策といたしましては、この大店法商調法によって調整を図るということと並行いたしまして、いろんな振興策、それもいま御指摘になりましたような金融的な振興策というものを確立していくということが必要不可欠であろうということで、われわれの方も従来からも努力をしてまいったわけでございまして、大体大きな系列としては、商店街の近代化だとか店舗の共同化、小売商業の連鎖化というふうなものにつきましては、中小企業振興事業団の高度化資金の融資がございますし、個々の商業者に対しては、政府系金融機関のそれぞれの融資が準備されておるわけでございます。ただ、いま御指摘のように、その制度についてまだまだ改善を要する点があるわけでございますので、来年度の予算要求といたしまして、この金融面につきましていろんな制度改正をいま要求をしておるわけでございます。  なお、金融面のみならず、やはり大店法商調法改正を機といたしまして、来年度は商業振興にも抜本的な対策を加えたいと思っておりますので、金融以外の各般の施策も充実いたしまして、先ほど申しましたように、調整振興というものがいわば車の両輪のようになってこの中小小売業振興に役立つようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  109. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  110. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 安田純治君。
  111. 安田純治

    安田委員 先日、つまり十三日に、私が、去る四十八年九月十一日の参議院商工委員会で当時の中曽根通産大臣が、スーパーの新設などにつきましては、商調協にかけて地元の了解を得るようにして、初めてその開店を認めるという形でやっていく、こういう趣旨答弁をされている事実を挙げまして、今回の法改正後もこの運用方針に変わりはないかどうか、中曽根答弁に変更があるのかないのかはっきりさしてもらいたいということを伺ったわけであります。そのときの審議官答弁を伺っていますと、関係方面と相談したいとかあるいは検討したいという答弁に終始をしておりまして、つまり地元の了解を得て初めて開店を認めるというやり方をとるのだと明言をされなかったと理解しております。言い方を変えますと、地元の了解がないのに開店を認めていくこともあり得るというふうに受け取られる答弁であります。  これはきわめて重大な答弁でありまして、私は、政府改正案が第七条に三項規定を設けていること、つまり知事または大臣の変更勧告ができる期間を最高二カ月間だけ延長できるという規定をわざわざ設けたことを考えますと、運用方針の変更は明らかに連動していると理解せざるを得ないわけでございます。  また、政府改正案作成のいわば実質的な責任者といいますか中心だと言ってもいいと思うのですが、通産省当局の幹部の二人の方の証言もあるわけです。  たとえば前の通産省の商政課長の野々内さんが、ことしの四月十六日の日経新聞の紙上で、「大型店規制是か非か」という話し合いをしていらっしゃいますけれども、その中を見ましてもこういうことを言っているわけですね。「紛争の解決が長びいたり紛争が過激化するようになってきていることは好ましくない。これは法律制度あるいは法律の運用に欠陥がある、と残念ながら判断せざるを得ない。その反省が、今度の改正に結びついたわけです。その中の一つ商調協のシステムは改善する必要があると考えている。今後はできるだけ商調協が延々と長びくことのないようにし、」云々と、こういう発言をされておるようであります。  それからまた、前の産政局長濃野さん、この方が六月五日の繊維新聞のインタビューに答えているようですが、この辺を見ましても、こういうことを言っているのですね。「第一に、従来、“事前商調協”というのがあって、ケジメのつかない面もあった。今度は、なるべく法律の場に引き込んで、そのかわり法律上の調整期間をある程度延長する。今後は、法律によって調整を進めてゆく。これは、むしろ出店者サイドからみればプラスの面だと思う。」こういうことを前の産政局長の濃野さんがおっしゃっているようであります。  このことといままで申し上げたことを照らし合わせてみますと、先日のこの委員会で、政府改正案大型店出店規制強化方向で出されたのかどうかという質問に対して、それは規制強化方向で出されたのだという御答弁があったようですけれども、しかし、いま挙げた濃野さんのお話によると、「これは、むしろ出店者サイドからみればプラスの面だと思う。」こういうことをおっしゃっているようであります。こういうことを比べ合わせて考えますならば、私は、延長規定を設けるならば、何カ月と明記せずに、必要な期間延長できるという書き方にすべきだと考えているものですが、もう一度お聞きしますけれども地元の了解を得て初めて開店を認めるといういわゆる中曽根答弁のとおりか、それとも変更があるのか、簡単に答弁をしていただきたいと思います。
  112. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  この前も御答弁申し上げましたけれども大店法の運用におきまして商調協における地元調整というのが非常に重要な役割りを果たしてきているということは、私どもも十分そういうふうに考えております。したがいまして、実際のところ、こういう商業問題、大店舗出店に伴う周辺小売商への影響というものを考えた場合にどうするかということを判断していく場合に、地元関係者、具体的に言えば商調協で十分検討がなされることが必要であるという点につきましては、私ども考え方が変わっているわけではございませんで、そういう意味で、前の大臣のおっしゃったのもそういう趣旨であろうかというふうに私ども思っております。  ただ、実際問題としまして、従来もう三年ぐらい運用してまいりまして、商調協の運用につきましては今後どういうふうにしていったらいいかという点についていろいろ議論がございますので、私どもといたしましては、具体的に実務的に考えた場合、さらにその運用を適切にしていくためにはどういうふうにしていくかということにつきましては、絶えず検討すべきであろうと考えております。
  113. 安田純治

    安田委員 相変わらず先日の答弁の範囲を基本的には出ていないように思うのですが、中曽根答弁を見ますと、決してそのようなことではなくて、地元の了解が得られないうちは開店は認めないという方法でいきたいという答弁をされているようですよ。ですから、どうしても最後のタイムリミットをきちっと決めてしまえば、その間、出店者側は何と言われようともしんぼうしていれば、つまり四カ月なり六カ月なりじっとがまんの子でいれば、六カ月間だけ待つのだよということになってしまう。だから、そういう意味で、これは最後のタイムリミットをきちっとコンクリートにしない方が、かえって話し合いもお互いに誠意をもって進められるのではないか、私どもは強くこのことを指摘しておかざるを得ないわけです。  これは強く指摘しておきますけれども、次に、どういう形になるかはともかくといたしまして、商調協は廃止しないということ、その点確認していただきたいと思います。
  114. 島田琢郎

    島田政府委員 商調協を廃止するという考え方は、もちろん持っておりません。
  115. 安田純治

    安田委員 この商調協は、商工会議所商工会に設置されておって、この運営については通産省、通産局が指導しているわけですけれども、この形は変わるのですか、変わらないのですか。
  116. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  商工会議所または商工会商調協を設置するという骨組みは、変わりございません。
  117. 安田純治

    安田委員 指導は通産局かどうかということ。
  118. 島田琢郎

    島田政府委員 指導という意味が、一般的に運営、構成をどうするか、あるいはどういうような——従来でも通達を出しておりますが、そういうような意味であれば、その点も従来と変わりがございません。
  119. 安田純治

    安田委員 そうしますと、従来の通達、広域商調協なんか、いろいろそういうやり方はともかくといたしまして、通産省、通産局が指導しているような形になるということだと思うのですが、そうすると、千五百平米以上も千五百平米以下も届け出は知事に出される、知事の窓口を通ずるということだと思うのですが、そこで、まず最初に、届け出審議するのは、改正案後でもやはり商調協ということになりますか。
  120. 島田琢郎

    島田政府委員 いまのお尋ね趣旨は、第二種についてどうかという御趣旨でございますか。そういうふうにとってよろしゅうございますか。
  121. 安田純治

    安田委員 いや、両方とも第一次的には商調協審議をすることになるかということなんです。
  122. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  今度の法律改正で、第一種につきましては、都道府県知事経由でこっちへ上がってくるわけでございます。たてまえとしまして、御承知のように、大店審から意見商工会議所に聞く、商工会議所商調協の場でいろいろ検討をするという仕組みになっておるわけでございますが、その点は今度の改正法でも変わりがないわけでございます。  それから、第二種につきましては、これは都道府県知事が調整を行うように今度の改正法律ではなっておりますが、その第二種について都道府県知事が本法を運用される場合に、商調協をどういうふうに使うかという問題、調整について商調協を活用するかどうかも含めまして、その辺については要するに都道府県知事にこの運用を委任するわけでございますから、都道府県知事の方の考え方も聞く必要があろうかというふうに思います。したがいまして、この点につきましては、今後都道府県、それから当事者である商工会商工会議所ともいろいろ相談しまして、具体的にどうしていくかというのを決めたいというふうに考えております。
  123. 安田純治

    安田委員 そうすると、第二種、いわゆる千五百平米以下の場合には、商調協を使うかどうかまだ決まっていない、これは知事や商工会議所などの意見を聞いてこれから決めようということですか。
  124. 島田琢郎

    島田政府委員 法律で委任をするわけでございますから、やはりそちらの方ともよく相談をする必要があろうかと思います。
  125. 安田純治

    安田委員 どうもそういう点でまだ決まっていないという答弁が先日来多いようでございますけれども商調協が千五百平米以下についても審議をすることになるとすると、千五百平米以下は知事権限なんですから、そうすると、商調協という機関の管理運営は、先ほどの御答弁ですと、権限を現行のように通産省、通産局が握っておる、都道府県には権限がない、商調協の構成とかいろいろな問題ですね。こういうことになるとおかしいことになるのじゃないでしょうか。第二種の方の調整権限は県知事にある、それは使うか使わないかはまだ決まっていない、相談して決めるというのですが、もし使うとなれば、従来の通達だと、通産局が商調協の指導を握っておる、調整権限は知事にある、こういう状態になりはしませんか。
  126. 島田琢郎

    島田政府委員 商工会議所意見を聞く場合に、商工会議所商調協にいろいろ諮って運用をしておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、その構成その他につきましてはらばらになっても困りますので、一つの方針を示しておるわけでございますが、今後二種についてどうするかというのは先ほどお答えいたしましたが、いずれにしましても、余り全国ばらばらのかっこうは好ましくないと思いますので、もちろん二種について都道府県知事ともよく御相談をしますが、やはり余りばらばらにならないようにしていきたいという意味で、私どもとしていろいろ指導していきたいというふうに考えております。
  127. 安田純治

    安田委員 ですから、その話し合いをして、この知事権限の部分についても商調協が第一次的に審査するんだということになれば、これは商調協の構成や何かについて通産局のルートで——いままでの通達では通産省、通産局のルートになっておりますけれども、もちろんいままでの通達は知事権限がないことを前提の通達でしょうから、これは全く知事が外れているわけですが、商調協の問題についてはよほどその辺考えていただかないと奇妙なことになるのではないかということを、ここで指摘しておきたいと思います。  次に、千五百平米以上の調整権限を現行どおり通産大臣としている点でございますが、これは先日の本委員会でも同僚委員質問いたしまして御答弁があったわけですが、どうも納得がぴしっといかないわけであります。大きな店舗ほど地域に与える影響が大きいわけですから、まさに超大型店出店に対して、自治体が主導権を握って調整すべきであるというふうに思うわけです。  そこで、たとえば千六百平米あるいは千五百十平米、つまり限界線からちょっとすれすれということだと、県に設置された審議会にはかからないことになりますね。その点どうですか。
  128. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  お尋ね趣旨が第一種に該当するものということであれば、そのとおりでございます。
  129. 安田純治

    安田委員 私は、やはりこの点も問題だと思います。大スーパーの側に立って考えてみますと、現在の仕組みと全く変わりがないことになります。千五百平米以上は通産大臣の権限である。それで、商調協で事前に審査をするということになるのでしょうけれども、そういう意味では全く大型店はいままでどおりである。全くいままでどおりかというと、そうじゃなくて、いままでよりも進出しやすくなる面があるのじゃないか、こういうこともどうも考えざるを得ない。  濃野前産政局長がおっしゃったのもその点だろうと思うのですが、つまり、商調協が長引いて困るので、ぴちっと法律の土俵の上に乗せてタイムリミットを決めてしまうということで、まさに出店しやすくなる。千五百平米以上の場合、いままでと同じに通産大臣であり、商調協があって話し合いをしてやるとしても、今度はタイムリミットがきちっと決まって、いままでの商調協の運営について中曽根答弁を変えるとまでははっきりおっしゃっていませんけれども、どうもその辺あいまいな御答弁がある。そこへ濃野前産政局長のお話を照らし合わせますと、どうも千五百平米以上はいままでより進出がしやすくなるんだというふうに理解せざるを得ないわけでして、そうなりますと、規制強化ではないのじゃないかというふうに言わざるを得ないわけです。  また、千平米以上千五百平米以下のいわゆる中型店を出店したいと考えたときに、たとえば革新自治体なんかで厳しい規制を避けるために、あらかじめ店舗面積削減を予定して、千七百平米とか千八百平米という面積で申請する手が可能になるわけであります。そうなりますと、まあ千五百平米以上ですから、第一種ということでいままでどおり。だから、本当は千平米から千五百平米くらいのところでやりたいんだけれども、うちの県の知事はどうもやかましくて、知事権限で調整されるとかなわぬということになって、これを千七百平米くらいで第一種に上げて申請をする、こういうことにする手があるわけです。そうなりますと、大臣権限と知事権限とに分けたことが必ずしも大スーパーにとって規制強化とならないのではないか、こういう点いかがでしょうか。
  130. 島田琢郎

    島田政府委員 いまの点でございますが、今回の改正では、当然御存じの点でございますけれども通産大臣調整にかかわる第一種の大規模小売店舗につきましても、御案内のように、都道府県知事あるいは場合によっては市町村長の意見というものが反映されるような仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、その点につきましては、従来に比べますとそういう地方自治体の意見というものを反映するという仕組みにしておるというふうになっておりますし、いま御指摘のようなことにはならないであろうというふうに私ども考えております。また、実際法律の運用のたてまえとしまして、七条の判断基準というのは一種と二種で違うはずはないわけでありますから、その点につきまして一種の方が緩くなるということにはなり得ないと私は考えております。
  131. 安田純治

    安田委員 では、千五百平米以上の店舗について知事が意見を申し出る際に、知事がみずからの意見を定めるに当たって県の審議会意見を聞きたいと考えた場合は、県の審議会は千五百平米以上のものについても審議できることになりますか。
  132. 島田琢郎

    島田政府委員 まず、法律論でございますけれども、今度の十五条の四の一で、都道府県の大規模小売店舗審議会というのは、「都道府県知事の諮問に応じ第二種大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する重要事項を調査審議」することになっておるわけでございます。ところで、都道府県知事が通産大臣が行う第一種の大規模小売店舗調整に関して意見を申し出られる場合にどういうやり方で意見を申し出られるかというのは、これは都道府県の裁量の範囲ということになるわけでございます。  したがいまして、その際に、もしこの案件に関しては都道府県の大規模小売店舗審議会に諮問をしたいというような考え方があるとした場合に、それができるかできないかということでございますが、法律上は、先ほど言いました都道府県審議会の所掌事務というものが、それ以外のことを一切やってはいけないということを排除する趣旨であるとは考えておりません。したがって、そこは運用の問題になるわけでございますが、この点につきましては都道府県とも十分相談をしていきたいというふうに考えております。
  133. 安田純治

    安田委員 相談をしていきたいということで、まだわからないのですかね。それとも審議できるということになるのですか。
  134. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほど申し上げましたように、法律的にはそういうことができないというふうにはなっていないということでございます。
  135. 安田純治

    安田委員 第十五条の二の二によれば、市町村長も千五百平米以上のものについて意見の申し出ができるとあります。  そこで、市町村においても条例に基づいて小売商業問題を審議する審議会が設置された場合、市町村長の求めによって市町村審議会もまた千五百平米以上のものについて審議できるのかどうか、この点はいかがですか。
  136. 島田琢郎

    島田政府委員 この点につきましても、改正法では、市町村長が意見を申し出るに当たってどのようなやり方でするかという点につきましては、特段の定めをいたしておりません。おのおの市町村長の判断にゆだねられているところでございます。条例で審議会等を設置するというようなことをするかどうか、これは市町村長の判断の問題であろうかというふうに思います。
  137. 安田純治

    安田委員 その判断で、条例で審議会ができれば、先ほどの御答弁と同じように、市町村の審議会でも千五百平米以上のものを審議してはならぬというふうに法律的には読めない。ただ、運用の問題としては相談をしたいけれども法律的には絶対千五百平米以上のものについて口出してはいけないのだというふうには読めないのだ、こういう趣旨でいいと思うのです。御答弁は同じだと思うのです。県の審議会と。  そうなって整理してみますと、千五百平米以上の店舗の場合に、商調協意見がまずあります。それから商工会商工会議所意見、それから、もし市町村の審議会をつくってこれの意見を求めるとすれば、市町村審議会意見も出てくる。そこへ市町村長の意見、それから都道府県審議会意見法律的には禁止されているわけではないから、知事の意見、そして大規模小売店舗審議会意見、そして通産大臣意見が決まる、こういう場合があり得る、法律解釈上から見れば禁止しているわけではないですから。そういうことになった場合に、地元関係者とも密着した機関が商調協と市町村の審議会、もし審議会ができれば、この二つが存在することになると思うのです。  どちらに大臣判断は重きを置くのか、こういうことが問題になってくると思いますが、いかがですか。
  138. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  いまずっと例を挙げられましたが、私が先ほど御答弁しましたのは、都道府県知事が意見を述べる場合に審議会意見を聞いて述べられる、あるいは市町村長がその条例で何か審議会をつくって、そこの意見も聞いて意見を述べられるということがあるかどうかという話でございましたが、ですから、結局出てくる意見は、都道府県知事の意見あるいは市町村長の意見。それで、市町村長の意見都道府県知事のところへ上がるわけですから、今度はそういうものを参考にして都道府県知事の意見もまたなされてくるということになろうかと思います。したがって、てんでんばらばらにはならないのではないだろうかというふうに思います。  それからまた、商調協との関係でも、従来調整を行うに当たりまして、各段階で必要に応じまして地方自治体あるいは小売業者消費者関係者意見も聞くことにしておりますし、それから商調協では参与というようなかっこうで従来そういう市町村、県という関係者の方にも入っていただいておるというような運用をいたしておりますので、実際上皆さんの意見というのはこの場で十分調整が行い得るのではないか、したがって、最終的には食い違った意見が出てくるのは実際には余りないであろうというふうに考えております。  ただ、仮にそういう場合があったらどうかということでございますが、最終的には大店舗審議会にそういった意見がいろいろ上がってくるわけでございますから、そういう意見を十分聞きながら、最終的に調整を図って判断していくということになろうかと思います。
  139. 安田純治

    安田委員 地元に密着した機関が二つ、商調協と、もし市町村審議会ができた場合はこの二つになるわけですが、どちらに重点を置くかということについては、お答えがすぱっとはなかったようでございます。  時間の都合で、あと五分しかございませんので、質問をまた進めたいと思います。  問題を変えて伺いますけれども大店法調整した後の商調法十五条の三号の調停の及ぶ範囲について伺いたいと思います。  たとえば大企業者から千八百平米の届け出が出て、千四百平米に削減されたとします。そして半年くらい営業した後で、その間の営業行為の結果予想以上の影響が生じた、周辺中小小売商との間に紛争が生じたとします。そして商調法十五条の三号に基づいて調停の申し出が出された。もしこの場合、知事が店舗面積をさらに削減せよという勧告を出せるのかどうか、これは合法かどうか、この点いかがでしょうか。
  140. 左近友三郎

    ○左近政府委員 商調法の十五条の「あつせん又は調停」という規定は、大店法規定に該当するものを排除しておりません。したがいまして、この大店法の対象になるものでも、大店法調整の事後にまたいろいろ問題があれば、あっせん、調停というものの対象にはなり得るということに考えております。
  141. 安田純治

    安田委員 私の質問時間も残り二分しかなくなっちゃったのですが、どうもこういう点、いろいろ先日来同僚委員に対しても、私の二回にわたってのきょうまでの質問でも、実にあいまいな点がたくさんございまして、この政府改正案商調法はもちろんですけれども大店法改正案も、必ずしも出店規制強化につながっているのかどうかということが、ますますどうも割り切れなくなってくるわけであります。  前回に私申し上げましたけれども、なおはっきりさせておきますが、問題点の一部分しかただすことができないので残念ですけれども、整理してみますと、今度の改正案は明確な改悪点がどうもある、大手スーパーなどの進出がいままでよりもやりやすくなる点があるのじゃないか。それは第一に、先日も指摘しましたけれども地元との調整話し合い期間に制限を設けた。法律上はいまでも設けてあるわけでございますけれども事前商調協の問題ですね。運用いかんによっては、これはもう非常に厳しいことになってしまう。それから第二に、商調法について従来の許可制の部分を届け出制に変えておる。第三に、商調法改正によって五百平米以下の大企業者の出店への規制が緩められることになる、こういうことを指摘せざるを得ません。いままでの質疑を通じても、どうもこの疑念が解消できないわけであります。  また、改善点であるとしきりに宣伝されております五百平米への引き下げ、知事権限への移行について見ましても、実態面から見てみますとさほど規制強化になるとは言えないのでございまして、これは先日も申し上げましたけれども、各自治体の地方条例なんかを見ますと、五百平米以下のものを対象にしているものが相当多くある。ですから、そういう点では、五百平米に下げたというのは、そのうちの一部の実態の追認にすぎないということになるのじゃないか。ですから、どうしても届け出制という法体系が変わらない限り、何ら新しい効果を生み出さないということを考えざるを得ないわけであります。  最後にそういうことを指摘しまして、すでに五十年以来一貫して国会に独自の改正案提出してきました共産党・革新共同の提案する方向、つまり届け出制許可制にする、あるいは面積主義ではなくて企業主義にするということこそ問題解決の基本であることを重ねて申し上げまして、この点は時間も来ましたので答弁は要りません。  質問を終わります。
  142. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十三分休憩      ————◇—————     午後四時六分開議
  143. 橋口隆

    橋口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺三郎君。
  144. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 短時間で質問を申し上げたいと思いますので、端的にお答えをいただきたいと思うのです。  まず最初に、いま審議をされておりますこの二法案については、さきの通常国会の末尾に提案をされて、審議できないままに今国会に持ち越されたわけでありますけれども、そういう状況の中で、御承知のように、本委員会では六月十六日に決議が行われています。この決議を受けた形で、たしか七月の初旬に通産省は通達を出されておると思うのでありますけれども、その通達の目的は一体どういうところに一番大きな目的があったのか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  145. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  本年三月に、すでにこの駆け込み新増設の自粛要請というのを一度行っているわけでございますが、いまお話がございましたように、先国会の終わりにまた当委員会において御決議をいただきましたので、それを踏まえまして、関係団体に重ねて駆け込み新増設の自粛という要請を行ったわけでございます。通達を出しました趣旨は、国会の御決議趣旨に沿って運用をするということを周知を図るというのがねらいでございます。
  146. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 国会決議趣旨についてはいまさら申し上げる必要もないと思うのですけれども、いま大きな紛争が幾つかの都道府県で起きておる、こういう状況の中で、特に本委員会においても質疑の中で繰り返されましたが、大型店進出に伴う紛争なわけでありまして、どうしてもそれをある程度規制をしなければならない、規制という言葉が悪ければ、調整が十分にできて、円満にその地域における商業、小売活動というものが行われるように、そういった目的を持って決議がなされておるわけでありますけれども、通産省が改めて七月の初旬に国会決議を受けて通達を出された、その後の全国の状況といいますか、とりわけ当時紛争議が起きておった状態について、その通達の結果どういう現象が出てきたか、その点をまず概括的に御報告いただきたいと思います。
  147. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほど申し上げましたような趣旨の通達を出したわけでございますが、その後の大店法の運用状況を私どもの方で調査いたしましたところでは、いわゆる新設の届け出件数について見ますと、本年に入りまして第一・四半期は五十九件、それから第二・四半期は四十三件ということで、平年度の届け出件数は、年によって違いますが、四半期でならしてみますと大体七十件を超すくらいかと思いますが、そういった従来の水準を下回っておる状況にあるわけでございます。  それからまた、あのときにもありました現行大規模小売店舗法の基準面積未満の店舗の新設につきましても、私どもの方の調査によりますと、最近の状況、この七、八月の状況を見ましても、特に駆け込み的な出店が増加しているという傾向にはないように思われます。
  148. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 念を押すようでありますけれども、そうしますと、あの国会決議が行われてそれに伴う重ねての通産省の通達が出されたことによって、はっきり言えば、この法案が成立するまではそのうちにやってしまおう、そういう駆け込み申請であるとかそういうものがある程度抑えられた。一つは、そのことが確認できるかどうかということ。  もう一つは、中身の問題であります。いわばあの当時全国的に相当の紛争議というか調整のつかないものがあったわけでございますけれども、そのつかないという内容調整がどうしてもうまくいかないという内容、それはいろいろなケースがあると思いますけれども、主としてどういうものが中身であったのか、その点もあわせてお答えをいただきたいと思うのです。
  149. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど申しましたような届け出状況から見まして、業界においても自粛がされておるというふうに考えております。  それからまた、紛争のケースについて、なぜそういうことになっておるのか、具体的にどういう点かというお尋ねでございますが、これはケースによりまして非常に千差万別でございますので、一概にこういう点が問題の中心であるとはちょっと言いにくいわけでございますが、やはり一般的に申し上げますと、最近の出店の傾向としまして、いわば大型店の面積の大型化と申しますか要するに規模の大型化、そういった傾向が見られる、それから地方への出店という傾向が強い、そういった状況が、各地における紛争と申しますか、いろいろ調整するケースがふえてきておる一つ理由かというふうに思います。
  150. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そこで、いろいろなケースがあると思いますけれども、私どもがこの問題、本法案改正を非常に重要視するのは、紛争中身が、いま審議官が言われましたように、地方の都市にも非常に大きな規模、場合によっては、私どもの常識から考えれば適正な商圏といいますかそういうものの範囲をはるかに逸脱した相当大規模なものがいきなり申請される、こういうことで、その地域の中小商店が非常な、何といいますか、驚愕の念をすら感じておる。一体何を考えてこんなにでかいものを出すのだろうかというふうなことから、紛争が非常に長引いているという事例が相当あります。  しかもこの調整を進める過程の中で、たとえば一万平米、こういうふうなものを許可申請してきた、ところが、商調協を中心にして、何だかんだそれが長い期間かかって、結局はそれを幾らか、八千平米にするとかあるいは九千平米にするとか、そういったような若干の削減だけで通される、こういうふうな状況が現実の問題としては非常に多いわけなんですね。それでは何にもならないじゃないか、こういうふうなことから、相当激しい出店をめぐるそれぞれの地域における紛争が行われておるわけです。  そこで、お伺いをしたいと思いますのは、現行法においての商調協の活動といいますか、この事前調整というものがいままでは非常に活用されてきた、そういうふうな傾向にありますけれども、今度の本法の改正に伴って商調協の役割り、果たすべき機能、こういうものがどのように変わるのか、全く変わりない、こういうふうなことなのか、ひとつこの点についてお伺いをしたいと思います。
  151. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話しのように、現在の大店法の運用におきましては、商調協による地元での調整と申しますか、これは事実上非常に重要な役割りを果たしてきておるわけでございます。実際こういった小売大型店出店した場合、それに伴う関連周辺中小企業への影響というものをどういうふうに見ていくかというような問題につきましては、やはり地元でよく知っておる関係者の間で十分話し合いが行われていくことが実際の解決に非常に大事なことでございますし、その意味で、商調協というのは今後とも非常に重要な役割りを果たすというふうに考えております。  商調協を今後どういうふうに持っていくかにつきましては、従来三年間の実績もございますが、そういったものを踏まえまして、その運営をより適切にしていくためにどのようにしたらいいかということにつきまして、今後なお関係者意見も十分聞きながら改善について検討していきたい。しかし、いずれにしましても、この商調協というものは今後も大店法の実際の運用に当たって重要な役割りを果たすものと私どもは考えております。
  152. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 次に、出店または拡張の調整基準の設定について、少しお伺いをしたいと思うわけです。  届けられる新たな大型店出店計画について、その影響程度であるとかそういうふうなものをある程度正確に予測する必要がある、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これはたとえば商調協でいいますと、消費者の代表であるとかあるいは小売商の代表であるとかあるいは学識経験者、中立的な立場の人であるとか、そういった立場によって主観的にまちまちに並行の議論がいつまでも繰り返されるという傾向が全国的にあると思うのです。  そういう場合の調整判断基準、これはもちろん地域の特性がありますから、なかなか画一的にはできがたいとは思いますけれども、そういうふうな一つの予測の方法といいますか判断基準になるべきもの、これを通産省としては考えておられるのか、あるいは全くそれはできない、ケース・バイ・ケースだ、地域によって違うのだ、こういうふうになるのであろうか、どのように考えておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  153. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、やはり実際この大規模店舗進出した場合、関連周辺中小小売商への影響程度をどう判断していくかというのはなかなかむずかしい問題でございますので、その見方をめぐっていろいろ議論が行われるわけでございます。したがいまして、そういった判断をする場合の何らかもう少し客観的なものがあれば望ましいということを、私ども痛感しておるところでございます。  ただ、いまもお話がございましたように、実際にいまの運用の状況を私ども見ましても、この問題はその地域のどこにお店ができるかというような立地地点の問題、あるいは周辺小売業状況はどうなっているか、その地域の人口の規模、要するに消費購買力の程度、それが今後どう推移していくかというようないろいろな要因が絡み合ってまいります。それで影響が出てくることになりますので、どういう場合でも適用できるような一律の基準はなかなかむずかしいというように考えております。  そうは申しましても、いま私ども痛感しているところでございますので、そういったいろいろな要因をある程度捨象しました上で、ある程度判断の目安になるようなものを何かつくりたいということを考えておりまして、昨年の春以来、大規模小売店舗審議会審査指標部会を設けまして、ここでいまいろいろ議論をしていただいておるところでございます。現在作業の途中でございますが、できるだけこの作業を急ぎまして、ある大規模店が出店した場合にそれが周辺の関連中小企業にどの程度影響を及ぼすかということについて、いま申しましたような意味で何らか判断のめどができるように努力をしたいと思っておりますし、また、それはぜひやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  154. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いまお答えいただきましたが、そうすると、その基準なるものについてはどの機関でおやりになるのか、それから、大体見通しとしてはいつごろまでにそういう判断基準というものが作成されるといいますか示されることになるのか、その見通しはどうですか。
  155. 島田琢郎

    島田政府委員 お尋ねのどの機関というのは、どういう意味でございましょうか。
  156. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま審議官が言われました判断基準といいますか目安、これはどこでおつくりになるのかということです。
  157. 島田琢郎

    島田政府委員 いま私どもは、先ほどお答えしました大規模小売店舗審議会審査指標部会で検討いたしておりますので、ここでそういうものの開発を急いでいただきたいというふうに思っております。  それから、いつごろまでにということでございますが、いま作業の途中でございます。今回こういう改正もお願いしておるわけでございますので、できるだけ新しい体制ができるのに間に合わせるように努力したいと思っておりますが、まだはっきりいつまでということはちょっと申し上げかねます。
  158. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは法文上その判断基準まで明文化するということは事実上できない相談だと思いますが、運用の問題としては、紛争を円満に解決する意味では非常に重大な一つの客観的な基準になると私は思うのです。そういう意味では、せっかく本法改正案が提案されて、それが今国会中に成立するだろう、こう言われておる、そして新たな決意でこれが運用されていくわけでありますから、これと余り期間をずらして、また何カ月か何年かずっと先になってということになれば、そういう効果が出てこないだろう。したがって、改正本法の施行と肩を並べて早急にそういうものをつくり上げなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。しかし、問題は中身でありますから、非常に慎重、公正を期さなければならないと思いますけれども、ぜひともそれは鋭意努力をしていただきたい、この点は要望を申し上げておきたいと思います。  それから、少し飛びますけれども商調法の十五条の「あつせん又は調停」の関係でありますが、十三日の質疑の際にも、この点については、たしか中小企業庁長官からですか、お話があったと思いますが、商調協の有効な機能が果たして発揮できるのであろうか、こういうふうな問題と関連をして、特にこの十五条三号の解釈についてもう一度、これは審議官でも長官でもよろしいですけれども、お聞きしておきたいと思うのです。
  159. 左近友三郎

    ○左近政府委員 商調法十五条三号には、「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関し、その者と中小小売商との間に生じた紛争」ということになっておりますので、大企業者がスーパー等を出店いたしますそれに絡んでの中小小売商との間の紛争はすべて入るということでございますので、この五百平方メートル以下のものの紛争ももちろん入りますし、それからそれ以上のものについてもこの対象にはなる。しかし、実際上はその五百平方メートルを超えるものについては大店法規制が先行するわけでございますが、大店法で対象としていない、たとえば売り場面積は一定でもその中の商品の置き方その他によって紛争が生じた場合にはこの十五条の対象になる、こういうふうに解釈しております。
  160. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そこで、商品構成の問題なのですけれども、私ども地方にありましてスーパーの営業実態というものを現実に見ておる者としては、あるいはまたスーパーの存在する周辺中小小売商業者、こういった人々の意見をいろいろ見てみますと、たとえば三万とか五万といった中小といっても小都市ですけれども、そういうところのスーパーなどの場合には、一夜にして商品の展示面積あるいは商品構成というものががらっと変わってしまう。何日も前からそういう計画が明らかにされて、そしてそこで一体いいか悪いかという議論が行われているのじゃなくて、前の晩にトラックで持ち込みながら商品構成ががらっと変わっているというふうな事例がたくさん現実のものとしてあるわけです。そういった場合に果たして有効な商調機能が発揮されて、そういった問題についての不満というものが解消されるかどうか、こういうことになりますと、現実の問題としてはなかなか問題があるのじゃないかという気がするのですよ。  そういうものとの絡みで、いま長官がおっしゃったような内容が事前に十分に明らかにされて、そして問題のある点については十分な議論を重ねて調整されるというふうな実態になるのでしょうか。これは一体どのように現実的にお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  161. 左近友三郎

    ○左近政府委員 十五条の規定の適用につきましては、実態が発生して後の紛争についてのあっせん、調停はもちろんのこと、その計画段階での紛争も含まれるというふうに解釈されておりますが、いま御指摘のように、急激な変更があって事前になかなか把握しにくいというふうな場合は、確かになかなか困難な点があろうかと思いますが、この点につきましては、事態が発生してすぐに、そういう紛争と申しますか、中小小売商からの申請に従って早期にあっせんなり調停なりをやるというふうなことでこれに対処せざるを得ないと考えております。
  162. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そこで、実際問題として、いま長官もお認めになったような、事前に十分それが対象にされて協議をされるというふうな実態が現実の問題としては逆に少なくて、問題が起きてからそのことをめぐっての紛議といいますか、とやかく不満が残ったり問題が出されたりしておる、こういうことなんですけれども、この商品構成についてのきちんとした規制といいますか、そういうものについては今度の改正によってどのようなことになるのか、いわゆる今度の改正によってそういう問題については十分に事前に明らかにされて、両者の満足のいくような調整ができるという仕組みになっておるのかどうか、その点ひとつはっきりしていただきたいと思います。
  163. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  商品構成についてということになりますと、いまの大店法では、これは前にもお答え申し上げましたけれども売り場面積全体としての顧客吸引力という点に着目して、要するにいろいろな品物が並んでおる、ワンストップショッピングの機能を持っておる、そういうようなところから顧客吸引力にも優位な差があるというところに着目しまして、ある程度以上の面積のものはそれだけ周辺小売商への影響を及ぼす蓋然性が高いということで、いまのような構成をとっておるわけでございます。  したがいまして、いまのようなお話、確かに現実の問題というのはいろいろあるわけでございますが、逆にその辺までこれをしようとしますと、実際そのお店の中での売り場構成というのは、最近特にいわわる消費者のニーズ中心の構成をとっておりますので、売り場の構成一つとりましても、必ずしも物品の種類ごとに構成されてないというようなかっこうになっておるケースがふえております。また、消費者の需要の変化に応じまして、ある程度商品構成も変わっていくというような状況を考えますと、商品別に規制をするというところまでは大店法の体系では現実問題としてむずかしいのではないかというふうに考え、今回の改正にもそういうかっこうをとっておりません。  ただ、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、実際に紛議の起きるようなケースにつきましては、商調法であっせん、調停というかっこうで対処し得るというふうに考えておるわけでございます。
  164. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 この法案の取り扱いをどうするかという調整が、当委員会自体でいまいろいろ議論されておるわけでありまして、その調整の時間も必要ですから、私は余り時間をとれないので残念でありますけれども、次の質問に入ります。  大店関係の十五条の三、これには、第二種大規模小売店舗の場合ですけれども都道府県知事が小売業者届け出についての審査をする際に必要があるというふうに思ったときには、国の関係行政機関の長に対して助言を求めることができる、こういうふうになっておるわけですが、この新しく設けられた十五条の三、いわゆる都道府県が国に対して助言を求める、これはどういう内容を予想してこのように書かれたのか、どういう助言内容というものを求めてくるというふうに予想されたのか、この点はどうお考えですか。
  165. 島田琢郎

    島田政府委員 十五条の二と十五条の三となっております。いまお尋ねの十五条の三の助言は、都道府県知事が審査をするに際しまして必要があるときは、国の関係行政機関の長に対して助言を求めることができるという規定になっておるわけでございます。それについてのお尋ねかと思いますが、この場合、都道府県知事が実際に審査をする場合に必要な、都道府県知事では自分のところで十分把握しておられないたとえば全国的な動向とかあるいは各種の計画とか、そういったようなものを知っていないとうまく審査ができないというような場合に、それぞれの関係行政機関の長に対しまして助言を求めることによって、都道府県知事として適正な審査ができるようにするという趣旨で入った規定でございます。
  166. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 大体わかるのですけれども、ただ、少し中に入って言えば、今度の法改正によって、都道府県知事の権限といいますか、第二種の場合にはこれが新たに出てきたわけですね。それで、新たな制度でありますから、そういう意味で、全国的なケースといいますかあるいは全国的な数字、こういったものについて参考意見として国の関係行政機関の長に対して助言を求めるといいますか、意見を聞くといいますか、それは確かに一般的には必要だと私は思う。  ですけれども、新しい店舗進出をしてきて、これを許すべきかあるいはどうすべきかあるいは面積をもっと削減すべきか、こういったような内容を具体的に判断をする際に、一般的な資料といいますか、あるいは全国的な一般的な傾向といいますか、そういうものについて国の機関から助言を求めるということはあり得るでしょうけれども、これは助言を求めて初めて国はそういう資料を出すなりあるいは助言をするなり、形としてはこういうことになるんだというふうには理解できますけれども、この場合に、せっかく都道府県知事に権限を与えておきながら、しかし、相も変わらず、非常に悪い言い方ですが、やはり国が押しつける、これについてはこうすべきだというふうな押しつけをやる、こういうふうになった場合には、せっかく新しいいい意味での条項が出されても、活用されるんじゃなくて、逆に悪くなってしまうというふうな危険性もなきにしもあらず、その点については国側としては十分に心しなければならない点ではないか、こういうふうに思うのです。  したがって、私は、助言をする際の範囲なり、助言する内容というものをやはり具体的に聞いておかなければならぬ、こういうふうに思って御質問申し上げたわけでありまして、改めてもう一度御答弁をお願いします。
  167. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  若干抽象的な答弁でございましたので、もう少し具体的に申し上げます。  十五条の三で助言を求めることができるという旨を規定した、具体的にどんな場合を想定しておるかということでございますが、都道府県知事が七条一項に基づく審査を行う場合に、あの法律規定にもありますように、周辺の人口の規模あるいはその推移、中小小売業の近代化の見通し等々いろいろな事情を考慮して判断をするわけでございますが、その場合、たとえば大規模な工業団地とかあるいは住宅団地の計画がどうなっておるか、あるいは中小小売業に対する近代化の指導方針、国としてはどんな方針を立てておるか、あるいは他の都道府県の類似都市における小売業現状はどうなっておるかというような事情というものを、うまく審査をするために知っておく必要があるというようなこともございますので、そういった場合に都道府県知事が必要に応じて国の関係行政機関の長に対して助言を求めるという趣旨でございまして、いま御懸念のような趣旨ではないということでございます。
  168. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そこで、七条、八条の変更の勧告、命令、この問題についてお伺いをしたいと思います。  これは十三日あるいは本日も重ねて法制局の見解も含めながら何回か質問され、お答えになった内容と同じでありますけれども、私もやはりどうしてもこれは少しお聞きをしておかなければならないというふうに思うのです。  それで、いままでもこの「減少」というものについてはゼロもあり得るしというふうな答弁がありました。しかし、「減少」という文言が現実に「削減」に変わった、しかし、内容は違ってないんだ、こういうふうな御答弁があったわけでありますけれども、少なくとも、「減少」というものを素直に読んだ場合に、一般の国民がどういう感じを受けるか、こういうふうな問題で、「減少」というのでは誤解を非常に生じやすいというふうな考え方から「削減」にされた、こういうふうに思うのですね。答弁も大体そのような答弁だったと思うのです。  ところで、その「削減」でありますけれども、繰り返し質疑応答がなされましたようにゼロもあり得るんだ、こういうふうに言われておるわけですね。しかし、その点だめを押すようでありますけれども、もう一回「削減」について明確にお答えをいただきたい、こういうふうに思うのです。
  169. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  この現行大店法店舗面積に関する勧告限度というのは、法律的に申しますと、周辺中小小売業事業活動相当程度影響を及ぼすおそれがあると認められるとき、そのおそれを除去するために必要な限度内であるならば、特に制限はないと考えております。したがいまして、個別ケースに即して言えば、極限として個別小売事業者の店舗面積をゼロとすることも可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  170. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、「削減」というふうなことがいま言われたような内容を明確に持っておる。その意味する内容、いまお答えになったような内容、これを具体的にどう周知徹底されるおつもりですか。  なぜこういうことを聞くかといいますと、「減少」であってもあるいは「削減」であっても、このまま解釈すれば削り減らす、たとえば具体的に言えば、千平米のものを八百平米に減らす、あるいは六千平米のものを五千平米に減らす、こういうふうな削り減らすというふうに一般的には解釈されるのではないか。どうしてもこういう考え方を持つために、この問題については本委員会において与野党を問わず執拗に質問された内容になっておるわけです。しかし、通産当局の答弁あるいは法制局答弁は、われわれが一般的に受け取り解釈しているようなものではなくして、もちろんそれはおそれある場合、必要な場合でありますけれども、ゼロもあり得るんだ、事実上の出店中止もあり得るんだ、こういう内容になっておるわけです。そこには受け取り方の非常に大きなギャップがあると思うのです。こういうふうに指摘せざるを得ないわけです。  いま島田審議官が言われたような内容であり、かつ、十二日以降の委員会において一貫して答弁されたような内容であるならば、その趣旨を徹底するために具体的にはどういうふうな措置をおとりになるのか、この点はぜひお聞きしておきたいと思うのです。
  171. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  今回、この法律改正法がもし国会で成立した場合には、この法律改正内容につきまして、当然関係するところにそれぞれ説明をし、周知徹底を図るわけでございます。それで、今回の改正では、改正条文に「減少すべき」というのを「削減すべき」というふうに条文を改正いたしておりますので、なぜそういう改正を行ったかという説明も当然十分にしなければいけない。そういう説明をする際に、いま申し上げましたように、要するに、従来の「減少」という文言では不明確であったので、それを改めて「削減」というふうに直すという趣旨はこういうことであるということを十分に周知徹底を図るというかっこうでやっていきたいと思います。
  172. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 本法案審議が始まってからはもちろんでありますけれども、その前から、私どもは、この「削減」という問題で中小の小売商の関係者から、いろいろ懇談をする中でこれについての受け取り方を具体的に聞きました。ところが、その関係者は、やはり「削減」というのは要するに店舗面積を減らす、こういうふうに解釈をしておるわけですね。それが一般的な受け取り方なんです。ですからだめだという意見が非常に強い。もちろん何もかにも中止というようなかっこうじゃありませんよ。私から言うまでもなく、また審議官もお答えになったように、おそれがある場合幾つかの歯どめを前提としながらこういうこともあり得る、そういうふうな解釈であることは当然でありますけれども関係中小小売業者の受け取り方というものは、したがっていままでと変わりない。ということは、逆に言えば、「減少」というものについてもゼロがあり得たということを現実的には知らないということです。いままでの法律の「減少」という表現も、店舗の縮小といいますか、一部面積を変えるというふうに一般的には受け取っておった。したがって、今度「削減」というふうに表現が変わっても、やはり同じように受け取られておるのが一般的な受け取られ方なんです。  それだけではありません。たとえば私の方の例で申し上げますと、いま私の方の県でも、大型店舗の進出に伴って幾つかの場所でずっと長い間紛争が続いておるわけです。そして商調協がいままで相当長い期間にわたってこの問題を取り扱って、まだ結論が出されていないわけですけれども、現にこの商調協の委員になっておる人々に、この「削減」という表現をどういうふうに考えるか、どういうふうに解釈するかということを聞いても、いままでと変わりないのじゃないですか、これは店舗面積を若干減らす、その点でお茶を濁されるだけじゃないですか、こういうふうな言い方を現実にはしておる。  したがって、この点については、繰り返し審議官からも法制局からも御答弁をいただいておるのではありますけれども、一般的には、やはり「削減」ということは面積を若干減らす、若干という言葉がよけいだとすれば、減らす、こういうふうに受け取られておるわけで、私どもの方の同僚委員質問をした「中止又は削減」であるとかあるいは「全部又は一部の削減」というふうな表現、それとは非常に違ったニュアンスで受け取られておるのが一般だ、こういうふうに思うのですね。  法律用語としては、「全部又は一部」というふうに書くことが差しさわりあるのですか、どうなんですか。
  173. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  解釈に関しましては、先ほどお答えいたしましたような解釈でございますが、これを条文の規定としてどのように表現するかということになりますと、従来の立法例等々そういったものとの関係もございますので、法制局審査を経まして、そして法律の通常の用語例にならって規定をしておるわけでございまして、その通常の用語例としては、いま改正案として御提出しているような表現でお願いをしておるわけでございます。  ただ、意味するところは、先ほど御説明しましたような解釈であることを重ねて申し添えさせていただきます。
  174. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、周知徹底をどう具体的になされるのかというふうな質問でお答えをいただいたわけでありますけれども、もうちょっとだけ時間をいただいて少し具体的に申し上げますが、たとえば新たに設けられる都道府県の大規模小売店舗審議会であるとか、あるいは現実に基本的にはこれまでと同じような機能を果たしていかなければならない商調協であるとか、こういったところで、この「削減」という法律用語をわれわれ委員が一般的に受け取ったような内容解釈をされるというおそれの方がむしろ強い、私は現実にそう思うのです。そういうふうに受け取る危険性が非常にあると思うのです。  先ほど審議官は、「減少」が「削減」になったという意味は、より法律用語を明確にするために、わかりやすくするために、混乱を生じないようにそういうふうに直したというふうにおっしゃる。ですから、それは関係団体関係機関には、法律改正に伴ってなぜこういうふうになったかという説明の中で明確に周知徹底なさる、こういうふうに言われておるわけです。その場合に、繰り返すことになりますけれども、この審議会あるいは商調協などでもそうは受け取られないだろうというふうに私は現実に心配をしますから、そういったところにも、この「削減」という意味はこういう意味なんですよということを周知徹底なさるおつもりですか。
  175. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  この法律の運用に実際関係する人が法律解釈について正確な理解がないのでは非常に困りますので、法律内容というものを正確に理解していただくように私の方としては努力をする、また、手だてを尽くしたいというふうに考えております。
  176. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 しつこいようですけれども、重ねてお伺いするのですが、一般的にはそれを周知徹底なさるということはわかりました。わかりましたが、たとえばの例で、それだけではもちろんないと思いますけれども、たとえばというふうに私が例示をした都道府県審議会であるとかあるいは現に紛争議が起きてそれを解決するために機能しておる商調協、これは数はたくさんになると思いますが、現に紛争議が起きてそれを扱っている商調協、そういうところには特に徹底をしてその内容解釈を周知なさる、こういうことですか。もっとほかにも方法は幾つもあると思いますよ。しかし、現に私は二つの例を挙げている。
  177. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  法律解釈を正確に伝える——その解釈があいまいであるために、実際の判断をしていくに当たって誤解を生ずるということがあっては困りますから、そういうことのないように、どういうところにやるかというのはいろいろ私どもこれから考えますが、そういった誤解の上にいろいろ運用が行われないように、十二分に配慮をしたいというふうに考えております。
  178. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 まだ商調関係その他でも相当の質問がありますけれども、冒頭申し上げましたように、約束の時間が参りましたし、さらに各党間の協議時間もありますから、以上をもって私は質問を一応終わります。
  179. 橋口隆

    橋口委員長 次回は、明十七日火曜旧午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会