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1978-10-13 第85回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十三日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 橋口  隆君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       小川 平二君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       島村 宜伸君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    松永  光君       渡部 恒三君    板川 正吾君       加藤 清二君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         公正取引委員会         事務局審査部長 妹尾  明君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         中小企業庁長官 左近友三郎君  委員外出席者         農林水産省食品         流通局企業振興         課長      安達 弘男君         自治省財政局調         整室長     井上 孝男君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     矢野 絢也君   工藤  晃君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     玉城 栄一君   不破 哲三君     工藤  晃君     ――――――――――――― 十月四日  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部  負担撤廃に関する請願稲富稜人君紹介)(第  六一五号)  同外一件(島田琢郎紹介)(第六一六号)  同(新盛辰雄紹介)(第六一七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第六一八号)  同(玉城栄一紹介)(第六一九号)  同(塚田庄平紹介)(第六二〇号)  同(美濃政市紹介)(第六二一号)  同外一件(米田東吾紹介)(第六二二号)  水素エネルギー実用化促進に関する請願(受  田新吉紹介)(第六二三号)  同(岡本富夫紹介)(第六二四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第六二五号)  同(西宮弘紹介)(第六二六号) 同月六日  水素エネルギー実用化促進に関する請願(山  崎拓紹介)(第七〇七号)  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部  負担撤廃に関する請願西岡武夫紹介)(第  七〇八号)  同外五十三件(愛野興一郎紹介)(第七六〇  号)  同(有馬元治紹介)(第七六一号)  同外四件(大坪健一郎紹介)(第七六二号)  同(川田正則紹介)(第七六三号)  同(國場幸昌紹介)(第七六四号)  同(田中正巳紹介)(第七六五号)  同(地崎宇三郎紹介)(第七六六号)  同外一件(辻英雄紹介)(第七六七号)  同(中村弘海紹介)(第七六八号)  同(西銘順治紹介)(第七六九号)  同(本名武紹介)(第七七〇号)  同外五十八件(松野頼三君紹介)(第七七一  号)  同(村上茂利紹介)(第七七二号) 同月七日  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部  負担撤廃に関する請願外三件(三池信紹介)  (第九二三号)  小売商業調整特別措置法改悪反対等に関する  請願荒木宏紹介)(第九二四号)  同(正森成二君紹介)(第九二五号)  同(三谷秀治紹介)(第九二六号) 同月九日  流通法規緩和に関する請願林義郎紹介)(  第一〇二五号)  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部  負担撤廃に関する請願宮崎茂一紹介)(第  一〇二六号)  同外三十一件(金子岩三紹介)(第一〇九七  号) 同月十一日  円高差益還元等に関する請願寺前巖君紹  介)(第一二一一号)  水素エネルギー実用化促進に関する請願(中  川嘉美紹介)(第一二一二号)  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部 負担撤廃に関する請願羽田野忠文紹介)(第  一二一三号)  茨城県柏野団地及び板宮団地近接地LPGプ  ラント設置反対に関する請願二見伸明君紹  介)  (第一三三二号) 同月十三日  北海道九州沖繩及び離島書店運賃一部  負担撤廃に関する請願外二件(篠田弘作君紹  介)(第一五〇五号)  同(渡辺三郎紹介)(第一五〇六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月九日  中小企業対策強化に関する陳情書外四件  (第六一号)  中小企業災害補償制度の創設に関する陳情書外  一件  (第六二号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律等改正に関する陳情書  (第六三号)  下請代金支払適正化対策に関する陳情書  (第六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、第八十四回  国会閣法第八二号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(中村重光君外九名提出、第八十二回国会衆  法第六号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(橋口隆君外四名提出、第八十二回国会衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより会議を開きます。  第八十四回国会内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案、第八十二回国会中村重光君外九名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案、第八十二回国会橋口隆君外四名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  以上各案のうち、中村重光君外九名提出及び橋口隆君外四名提出の両案につきましては、第八十四回国会においてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案(第八十回国会中村重光君外九名提出)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案(第八十回国会橋口隆君外四名提出)     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 橋口隆

    橋口委員長 これより各案の質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中島源太郎君。
  5. 中島源太郎

    中島(源)委員 大店法商調法について御質問を申し上げます。  この法律につきましては、すでに提案理由の御説明通産大臣から行われまして、拝聴いたしたわけでございます。その際お述べになりましたように、わが国の小売商業は、百六十万事業所数就業者数は五百六十万でございまして、そのほとんどが中小零細小売商である、特に、最近は大型店進出によって著しい影響を受ける場合も少なくない、さらに、大型店以外の中型店進出によりまして紛争も激化しておるというふうにお述べになっております。まことにそのとおりでありまして、なおかつ実情を踏まえてつけ加えるとするならば、集中豪雨的な出店という言葉が使われております。  実際面は、よりはっきり申せば、集中豪雨的な出店計画ラッシュと申してもよろしいと思うのですが、出店者側は数多くの出店計画出店予定地を持ち、しかも、それがスムーズに出店できるとは限りませんので、少なくとも三つの計画を持って、そのうち一つでも出店できればよろしいということで、出店計画はますますラッシュ状態をもたらしておりますし、一方、受け入れ側とすれば、一つの商圏内に二つ以上の出店計画がメジロ押しになるということで、危機感は増幅され、ますます出店側受け入れ側不信感は増しておるわけでございます。  こういう中に立って、この調整法は重要な意味を持つと思うわけでございますが、河本通産大臣は、この改正案の冒頭に、まず調整対象面積引き下げをうたっておられるわけでございます。細かいようでございますが、今度の改正案の大きな要点は、大店法部分を五百平米まで引き下げた、商調法部分を五百平米以下に圧縮したという形で理解いたさなければならぬと思うのですが、五百平米に引き下げ理由を簡単におっしゃれれば一応伺って、それから質問に入ってまいりたいと思います。
  6. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  今回の法律につきまして、いま中島委員から御指摘がございましたように、最近いろいろ議論が出ております。それにつきまして、私どもといたしましては、中政審産構審——その前に小売問題懇談会で議論したわけでございますが、その後中政審産構審でいろいろ御検討いただきまして、関係者意見も入れて、意見をまとめていただいたわけでございます。その意見の中の重要な柱としまして、いまお話がございました店舗面積引き下げる、その引き下げについては五百平米まで引き下げることが適当であろうという御意見をいただいたわけでございます。  私どもといたしましては、その審議会意見を受けまして今回改正をしたわけでございますが、五百平米にいたしました理由といたしましては、大体最近の実情を見ますと、いわゆる店舗面積が五百平米ぐらいのところがワンポイントショッピングと申しますか、そういった機能を充足するに足る一応の品ぞろえができる面積である、したがって、その辺を境にして顧客吸収力と申しますか、誘引力と申しますか、そういうものが高まるというようなことが見られる。もう一つは、紛争実態を見ましても、大体五百平米を超えたところぐらいから、これは基準面積未満の事実上各地でいろいろ起こっておる紛争実態を見ましても、その辺から紛争がふえておる、そういう実態を考えまして、一応五百平米というものを一つの区切りとしたわけでございます。
  7. 中島源太郎

    中島(源)委員 中小小売商方々は、今国会でこの法律が成立することを心から望んでおられる、このように理解しておりますが、小売商団体方々から、小売法強化改正全国推進会議という名のもとに私は何回か要望書をいただいております。  その第一に要望されておりますのが企業主義の導入ということであります。これははなはだ法体系上から見ると不可思議でございまして、企業主義と申せば、申すまでもなく現行法千五百、三千平米以下は商調法企業主義をとっておるわけでございますが、これが五百平米以下に圧縮されるということによりまして、いわば大店法面積主義であります、企業主義が圧縮されたということは、ある意味では退歩に通じるような気もいたすわけでございます。  また逆に、商調法に関しましては幾つかの捨てがたい利点があると私は考えております。つまり、大型店中型店出店に際しまして、一応それは原則自由でありますが、既設の地元中小小売商が甚大な影響を受ける、あるいは商業活動の秩序が乱れるという場合には、中小小売商団結組織力によりまして調査あるいは調整申し出をすることによって、みずからの力で出店者側との調整知事権限でもたらすことができるという形を持っておりますし、また、出店後売場の業種が著しく変えられた場合に、商調法ならばこれを調整しあるいは阻止することもできたはずであります。  この部分が圧縮されたということは、商調法をつかさどっておられる中小企業庁は、ある意味では御不満ではなかろうかというような推察もいたすわけでありますが、中小企業庁方々はこの五百平米まで引き下げられたことについてどのようにお考えでございましょうか。
  8. 左近友三郎

    左近政府委員 いま政府委員から答弁がありましたように、五百平米を超えるものということに拡大をいたしますと、現在大規模店舗中小小売商との間の紛争の多い事例は一応そこでカバーをされるということでございまして、その点ではむしろ非常に強化されたというふうに評価をいたしております。  それから、いま御指摘調整の問題、いわゆる商調法による調整の問題でございますが、これにつきましては、五百平米まで引き下げられましても、いわゆる店舗面積とか大店法に定めるもの以外の調整につきましては、今後の改正法によりましても十五条のあっせん調停というものができますので、その点では、つまり中小小売店以外の者のやる小売販売というものとの調整法律上可能になっております。したがいまして、われわれといたしましては、五百平米に引き下げられたということをやはり高く評価し、そしてそのことによっても企業主義でやっておりますこの商調法調整は存続し得るというふうに考えておるわけでございます。
  9. 中島源太郎

    中島(源)委員 与えられました時間が一時間しかございませんので、ややペースを速めて端的に御質問申し上げますので、端的にお答えをいただきたいのですが、改正商調法は昨年九月に施行されたわけでございます。商調法部分調整はいろいろとできるということでございますが、実際面、この商調法が活用されました実例と度数はどのくらいございましょうか。
  10. 左近友三郎

    左近政府委員 昨年の九月二十四日に現行商調法が施行されたわけでございますが、それ以後現在までの状況は、正式に法律上の手続をなされたものについては、事前調査の申請が二件でございます。それから、商調法規定を背景として事実上行政指導というふうな形で紛争処理が行われたものが一件ということでございます。それから、調査申し出がございましたけれども大店法処理をされた、大店法届け出をしたものでございますからそちらで処理したものが一件ということでございます。それから、現在地元小売商から調査ないし調整というものを申し出をしたいという希望があって、各県が処理中のものも一、二件ございます。  以上が現状でございます。
  11. 中島源太郎

    中島(源)委員 この商調法はある意味の力を持っておると思いますが、実例から申しますと、実際には一件ないし二件というようなことが実例だと思います。これは私の考える範囲で、中小小売商方々の自覚の問題もありますが、この商調法にかかわる指導が徹底しないまま現在まできているという面もあります。つまり活用し切れない。ある意味では、この申し出団体業種別その他の規制がありますのと、それから、これがいま法人化促進過程にあるというふうにも考えられるわけでございますが、いま長官がおっしゃったように、事前調査申し出あるいは調整までいったものが一件、あとは大店法に移行したものが一件、こう言われておりますが、商調法の生命は、調査調整申し出にあるということはもちろんであります。  ところが、現行法にあるものを、この改正法では少なくとも調査調整申し出にかかわる十四条の二、十六条の二が欠落をしておるというのははなはだ遺憾ではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。したがって、答弁を求めます前にはっきり申せば、十四条の二、十六条の二、つまり調査調整申し出にかかわる部分は少なくとも従前どおり入れておいてあたりまえである、これが抜けておるのは退歩につながるといいうふうに感じますので、これは従前どおり入れ込む方向が正しいと思いますが、いかがでございましょうか。
  12. 左近友三郎

    左近政府委員 十四条の二、十六条の二の規定を今回の改正法で削除することにいたしましたのは、大店法でこの基準面積を五百平米を超えるものというふうに改めたことに伴うものでございまして、これは結局、この五百平米を超えるところが一番従来からこの商調法でも紛争の生じやすいというところでございましたので、その部分がこの大店法による調整が可能になったということから、法律上こちらを削除するということになったわけでございまして、現実的には問題は解決をするというふうにわれわれは解しておるわけでございます。  なお、問題は、五百平米以下の大企業出店というものがございましたときには、御指摘のとおり今回の改正法ではカバーできないという問題が起こり得るわけでございますけれども、これにつきましては、十五条のあっせん調停という規定がございますので、これで処理をしたらどうかというのがこの法律改正趣旨でございます。
  13. 中島源太郎

    中島(源)委員 せっかくの御答弁でございますが、やや不可思議な感がいたしますのは、当然いままでの現行法商調法はゼロから千五百、三千平米まで、これを賄い得る調査調整申し出があったわけであります。しかも、十五条で賄えるとおっしゃいますけれども、少なくとも大店法部分商調法部分の並びからいたしますと、調査調整申し出、これは命令、罰則までいける部分でございまして、これこそが中小小売商にとっては頼みの綱とも言うべきものでございます。それを、千五百、三千まであったものを、五百以上が主に問題が多いのだから、そこが大店法にいくから商調法部分はもうなくてもいいのだということは、いままであったものがなくなるわけでございますから、これは大変な不信感につながると思います。  そこで、私は再度申し上げますが、十四条の二、十六条の二はもとに戻すのは当然でありますし、なおかつ、先ほど申されたように、それほどのものがあった時代でも一度か二度しか活用されなかったという点は、申し出団体規制にやや難があったと思います。  たとえば、地方都市に参りますと、一つ業種別にでも事業協同組合がつくれていない、つくろうと思ってもいまその促進段階にある。同時に、横並び商店街方々が、これはいかぬと思ったときに当然商店街横並び団結調査調整申し出ができると思っておったところが、それができない。これがあればもっとこの商調法は活用できたであろうにということは、私は現実面から見て十分考え得られるところでございます。  したがって、十四条の二、十六条の二はさほど必要ないとおっしゃるのは、これは逆でありまして、いまこそこれを取り入れ、さらに、スポット改正として、この申し出団体商店街振興組合並びに連合会等横並び申し出団体をつけ加えることによりましてこの商調法は初めて生きてくる法律である。私は、横並び申し出団体をつけ加えて十四条の二、十六条の二を入れ込む、もとに戻すということを強く要求いたしますが、重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  14. 左近友三郎

    左近政府委員 先ほど申し上げましたとおり、政府案といたしましては、この大店法改正に伴いまして、この十四条の二、十六条の二というものの規定を削除するのがしかるべしということで処理をしたわけでございます。  ただ、いま先生のお話しのように、そういうふうな考え方もあり得るというふうには思いますが、政府としての考え方は、面積的に言えば五百平米というところにやはりこの小売商における競争力という一つの限界が引けるのではないかということで、そういうふうな判断をいたしまして改正案提出したわけでございます。
  15. 中島源太郎

    中島(源)委員 長官は、この政府改正案を中心に御答弁いただいておりますので、私の方からは再度、調査調整申し出並びに横並び申し出団体をつけ加えることを強く要求いたしておきます。  同時に、話が商調法に入っておりますので、小売市場の問題に触れたいと思います。  小売市場は、現行法では許可制になっておりますが、今度は届け出制ということになっております。これはある意味で、この実態は非常に複雑でございまして、小売市場としての建物、それに対して小売商方々との賃貸契約その他で乱立をいたしておったのを、何とか歯どめをかけつつあったところを今度届け出ということになりますと、またまた乱立を呼ぶおそれがある、この点についても私は許可制に戻すべきであるというふうに要求をいたします。  同時に、小売市場定義でございますが、大部分が三十平米以下の小売商、こう書かれてございます。この実態の把握はなかなかむずかしいわけでございますが、三十平米以下ということで伝統的小売市場のどの程度部分カバーできますか、この点を伺っておきたいと思います。
  16. 左近友三郎

    左近政府委員 小売市場につきまして、今回の改正案届け出制にしたという趣旨は、従来、その小売市場規制につきましては、周辺商店あるいは周辺小売市場とのいわば過当競争の防止という商業調整的な見地と、それからもう一つ、その小売市場に入居いたします中小小売商に関する貸付条件のチェックという、いわばテナント保護趣旨二つがありまして許可制になっておったわけでございますが、今回、五百平米を超えるものは大店法範囲になるということになりますと、商業調整については、大店法で五百平米を超えるものについてやられるということで問題はほとんど解決するということで、今後の小売市場に対する規制というものは、主としてテナント保護、入居する零細小売商保護ということになろうということに判断をいたしまして、そういうことであれば、類似の法規を考えますと届け出制、しかしながら、届け出をした後必要があれば勧告をするという制度で十分ではないかということにいたしたわけでございます。  なお、そのときに零細小売商が入居するというその線をどの程度で引くかということで、これを店舗面積貸付面積で決めたわけでございますが、この三十平米未満というものについては、現在の伝統的な小売市場を調べますと、大体三十平米未満店舗面積に区分された部分が大部分を占めております小売市場は全体の七一%を占めておるということでございます。
  17. 中島源太郎

    中島(源)委員 せっかくのお話で、そう反対はいたしたくないのですが、七〇%強をカバーできておる、私は、その意味からいけば、三十平米をもう少し上げることによってカバー範囲を大きくできるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、とりあえずその定義部分はおきまして、許可制に戻すことをこの際強く要求をいたしておきます。  時間も半ばでございますので、大臣が言われました第二の問題、つまり大規模小売店舗調整問題について都道府県知事の関与を強められたわけでございます。私は、これは大変いいことだと存じております。特に都道府県知事意見あるいは当該市町村長意見申し出る機会を与えられたわけでございますが、私が考えるのに、一つ大型店中型店進出は、商業流通の問題と同時に、都市計画上の問題あるいは地域住民の問題であると考えますし、実態を見ますとそういうふうに把握せざるを得ない。たとえば大型店が出てくることによりまして非常な交通渋滞が起こっておるということも事実でありますし、また、土地の有効利用が果たしてそれで適切かどうかということもやはり考えなければならぬと思うのです。  いままで大型店が集中豪雨的に出店してきたところの主なものは、たとえば地方都市におきましても、ボウリング場跡地ですとか、残念ながら不況産業で撤退をいたした工場跡地などに急激に出店計画がある。これは大型店がいいのか、あるいは中小小売商にとってそれが是か非かという問題以外にもう一つ価値基準がありまして、地域住民からすれば、それが商業関係に使われるという以前に、たとえばそこに空き地ができたならば、これは地域住民の体育の場にしたい、庶民の健康の場にしたいということもあり得るわけであります。しかし、現状では、そのような都市計画上あるいは地方行政上の観念を入れるゆとりがないほど集中豪雨的につばつけをされる、契約金を打たれる、売買されるということがあるわけでございまして、そういう意味を含めて地方行政の長の意見を十分取り入れるという方向を示唆されたというふうに考えておりますが、大臣の全体のお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 都市計画との整合性の問題はどうか、こういうお話でございますが、この法律は、中小小売業事業活動の機会の確保を図るための大規模小売店舗における小売業者の事業活動調整する、こういうたてまえでございます。したがいまして、都市計画との整合性、いわゆる町づくりという観点につきましては、その意味するところがきわめて多岐にわたっておりまして、本法の体系におきましては、そのための所要の手段が用意されておりません。また、仮にこれらの手段を取り込むこととした場合に、小売業調整を目的とする本法の趣旨を著しくあいまいなものにする、こういうことも考えられまして、法の一貫性に欠ける、こういう問題も出てくると思います。しかしながら、小売業は都市機能の重要な一翼を担うものであることは、これは言うまでもございません。  そこで、本法の運用に当たりましてできるだけ町づくりという観点から配慮していくことが必要だと思います。また、法目的に地域商業の秩序ある発展という文句を加えなかったのは、「目的」中の「小売業の正常な発達を図り、」という文言にすでに地域商業の秩序ある発展という観点も織り込まれておるからでございます。
  19. 中島源太郎

    中島(源)委員 結構でございます。大臣の御答弁の中に、町づくりの観点から今後十分考えるという意味のことをくみ取れたと私は理解をいたしております。  さて、提案理由の中で述べられました第三点でありますが、これは「店舗面積に係る調整措置の強化」であるというふうにおっしゃっております。  さてそこで、その「強化」とは何かということになりますと、「一の建物の店舗面積が全体として五百平方メートルになるまで勧告、命令が可能となる」というふうにおっしゃっておられます。これは私は非常に有意義なことというふうに感じておりますが、大店法は五百平米以上でございます。さて、五百平米になるまで勧告、命令が可能だということになりますと、大店法にかかわる最低限であります。  さてそこで、文言からいたしますと、開店日の繰り下げ、店舗面積の「削減」というふうに改正案ではございます。現行法店舗面積は「減少」であります。「減少」を「削減」に直された明確な理由、そして五百平米まで勧告、命令が可能なのだとおっしゃる限りは、この「削減」というのは、一部の削減もありますが、大店法にかかわる全部の削減があり得るのだということを明確に提案理由説明に書かれておると思いますが、確認のために伺います。全部削減はあり得ますね。
  20. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘の点でございますが、今回の改正案では「減少」を「削減」というふうに直したわけでございます。私ども、現行の大店法におきましても、店舗面積に関する勧告の限度というものにつきましては、法律的には、周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあると認めたという場合には、そのおそれを除去するために必要な限度、この限度内であれば特に法律上の制限はない。したがいまして、極限としては個別の小売業者の店舗面積をゼロまで削減するということは可能であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、従来の表現が「減少」という文言を使っておりますので、その言葉の表現の意味するところが取り方によっては必ずしも明確ではなくて、ゼロとすることまで含まないのではないだろうかというような疑義を抱く向きもあったやに思われます。そういうことがございますので、今回の改正に当たりましては、この点を明確にするために、あえて「減少」を「削減」というふうに改めた次第でございます。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 ここは非常に大事な点でございますから、私からも重ねて申し上げておきますが、「削減」という意味は、全部または一部、こういう意味でございます。
  22. 中島源太郎

    中島(源)委員 非常に明確な御答弁をいただきまして、「減少」でも全部または一部と読めたんだが、読み切れないのではないかというおそれがあるので、「削減」という言葉を使って、全部または一部の削減であるという意味をさらに明確にしたということでございます。  法制局がおいでであれば、重ねてこれについて確認の意味で御答弁をいただきたい。
  23. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました現行規定は「減少」になっておりますが、改正案の「削減」につきましての島田審議官からの御説明そのままで私も結構だと思いますが、念のため法制局の立場から申し上げますと、島田審議官も申し上げましたように、「減少」ということで、当然必要な場合にはいわゆるゼロ削減、ゼロまで減少するということも可能かと思いますが、御存じのとおり、「減少」は、減らしまたは少なくするということだと、減らして少なくしてゼロになるというところまでいくのだろうかという点が恐らくいままで心配された点かと思いますので、その点を、削りまたは減らすということにすれば、削るという言葉の中には全部がなくなるという言葉が入ってくるだろうというつもりで、当方といたしましては「削減」という言葉に変えた次第でございます。
  24. 中島源太郎

    中島(源)委員 五百平米は、大店法部分でございますか、商調法部分でございますか。
  25. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  五百平米を超えるということでございますから、五百平米につきましては商調法でございます。
  26. 中島源太郎

    中島(源)委員 細かいようですが、五百平米まで勧告、命令が可能というのははなはだ不可思議なんですが、五百平米は商調法部分でございましょう。  それはひとつおきまして、審議官、大臣並びに法制局から明確な御答弁がありまして、全部または一部の削減であり、ゼロ削減があり得るということでございます。これはそう読めないように思われると困るので「削減」となさったというのですが、全部または一部の削減が読めるならば、「全部又は一部の削減」と書かれた方が明確であると思いますが、なぜ書かれないか。書かれるのが当然だと思いますが、重ねて御答弁を伺います。
  27. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  ただいまの大規模小売店舗法の中に「全部又は一部」という言葉が使ってあるところを念のため申し上げますが、たとえば三条で「建物の全部若しくは一部」、これは「又は」と同じでございますが、「全部又は一部の用途を変更する」というような使い方、あるいは十四条の「営業の停止」のところで「営業の全部又は一部を停止すべきことを命ずる」というような形で、「全部又は一部」と法制局の立場から申し上げますとわざわざ言っておりますところは、ここを「全部又は一部」と書きませんと、「小売業の営業の停止」と書きますと、営業全体の停止と誤解されるおそれがある、むしろそう読まれる可能性の方が大きいということを考えまして、一部の停止もあるんだというときに一部というのを入れるのが普通の用例でございます。  なお、いま申し上げましたように、建物の利用なり営業の停止の場合には、建物なり営業なりを全体としてとらえているという書き方でございますので、「一部」を入れる必要性が法律上あると当方は考えたわけでございますが、問題の七条の一項につきましては、店舗面積を減少するということで、店舗面積は当然具体的な坪数あるいは平米といういわば数量化されたものということでございますので、建物あるいは営業のように全体的なとらえ方をしていないという点からいいましても、ここに「全部又は一部」を入れることはかえっていままでの用例に反することになるということで、「全部又は一部」を入れなかったわけでございますが、先ほど御説明したような理由で結果的に全部が削減される、ゼロになるということが当然考えられることであれば、いままでの立法例からいいましても、「全部又は一部」という言葉を入れる必要がないという考え方をとったわけでございます。この点、御了承いただければと存じます。
  28. 中島源太郎

    中島(源)委員 専門家がおっしゃることなのですが、しろうとにははなはだよくわからないのです。つまり、それでは一つの建物の中で小売業が営む面積というのは、どうなんでしょう、全部の場合もあれば一部の場合もあるわけでございますね。一つの建物全部を小売商が使う場合もありましょう。一部の場合もあります。これは当然でございますね。あるいは建物の用途を変更する場合に、いままで病院だったものを貸し事務所にする場合もありましょうし、小売商にする場合もあります。貸し事務所を小売商にする場合に、必ず全部ということもありませんでしょうし、全部であることもありましょう。これは当然でございます。  そうすると、そういうことが当然あるんだから書かないとおっしゃいますか。特に、一つの建物の中の小売業を営む面積という点については、この七条と同じ意味に解釈できると思います。しかも、はっきり言って、三条の七項には、一つの建物の中で小売業を営む面積というのは全部の場合も一部の場合も当然考えられるので、意味からすればそうだ、そうだから書かないのかと思うと、ここは書いてあるわけでございますね。どこが違いましょうか。
  29. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  私の御説明の仕方に不適当な部分があったとすればおわび申し上げますが、三条では、これは御存じのとおりに、いわば建物の所有者あるいは建設者の届け出でございますので、建物全体を建物所有者が建物として見ている、あるいは先ほど例に挙げました十四条の「営業の停止」でございますと、小売業の営業の停止でございますから、小売業者ということで営業全体として考えている。それに対しまして、七条はいわば具体的な調整の場面でございますから、一つの事業者が、出店をしようとする小売業者が利用する店舗面積、その個別の事業者の店舗面積というのは具体的に何平米なら何平米ということがはっきり決まっており、それを減らす方向で物を考える、調整するということだとすれば、はっきり数量化されたものを減らす方向でというときに、それを全部ということを申しませんでも、今度は特に「削減」と直したことによって減少方向が、一番極端まで申し上げますれば結果的にゼロになるということが明確になるだろうというつもりでお答えしたわけでございます。
  30. 中島源太郎

    中島(源)委員 同じことをおっしゃっているのですが、両方とも「全部又は一部」と読めるのです、三条、十四条、七条ともに。片方は面積のものだと言うが、固定の面積を減らすこともあれば全部なくすこともある。また、三条でも十四条でもそうなのですが、一つの建物の中の小売商を営む部分は、全部の場合もあれば一部の場合もある。全部もあれば一部もと読めるという点については全く同じであります。ところが、片方は「全部若しくは一部」、「全部又は一部」と明記してあるのに、七条は、同じに読めるのだから明記の必要はない。同じ法文の中で、片方は読めるから明記してあります、この点は読めるから明記する必要はない。どうして固執されるのでしょう。  同じに読めるのであれば、これは大した問題ではないので、明確な御答弁をいただいておるのですから、明確な御答弁を明確に法文に番いた方がよりわかりやすくなるということだけでありまして、三条の一項、四項、七項、それから十四条に「全部又は一部」という文言があるのですから、この第七条も「全部又は一部」と書いた方が、御答弁いただいた意味を明確にただあらわすだけでありますから当然のことと思いますが、重ねて御答弁いただきたい。書いた方が親切だと思います。
  31. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  重ねて同じようなことを申し上げることになって申しわけございませんが、「全部又は一部」と法制局の立場で審査の際に書きますのは、先ほどの営業停止をもう少し例を広げますと、営業譲渡のような場合に、「営業の全部又は一部を譲渡する」というような言い方で書く場合と、「営業を譲渡する」あるいは「営業の全部を譲渡する」という書き方をする場合とがございまして、「営業を譲渡する」と書いた場合には、普通、営業の全部譲渡ということを考えるわけでございます。と申しますのは、営業というのは、先ほど申し上げましたいわば数量的に具体的などれだけということが言いにくいもの、一体としてとらえなくてはならないものを「営業を譲渡する」と言った場合には、一体としてとらえた全体を譲渡するということを考えるが、ただ一部の譲渡ということも実際にはあり得るので、一部譲渡を法律上の要件として特にそれに法律効果を付与するというような場合には、わざわざ「全部又は一部」と書くのが通例であるというふうなことを申し上げたわけでございます。  しかし、この場合、店舗面積、あるいは後で休業口数の問題が出てまいりますけれども店舗面積の場合でも休業日数の場合でも、これは先ほど申し上げましたように、たとえば千五百平米とかあるいは休業日数が五日とかいうふうにはっきりしておりますので、それを減少するあるいは削減するということであれば、当然五、四、三、二、一、ゼロというふうに順々に減っていくということが期待できますので、その際にわざわざ「一部」ということを入れるのは——通例でございますから私も別に固執するわけではございませんが、政府提案の法律案では入れないのが通例であるということを申し上げた次第でございます。
  32. 中島源太郎

    中島(源)委員 この点については、私はわかりやすくするためには再度——何回もお立ちになって全部または一部の削減があり得るとおっしゃる。それを中小小売商方々に徹底させるまで何回足を運んだらわかるのかわかりませんで、そういうことならば書かれた方が一遍で明確でございますから、書かれることが親切だというふうに私はどうしても考えますので、これは御答弁いただいても、せっかくお考えになって書かれた改正案でございましょうから、足を運ぶのは時間のあれでございますから、私は強くそう思うということを申し上げておきます。  同時に、時間がないのですが、全部削減ということは五百までというのか。少なくとも大店法にかかわる届け出について審査の結果ゼロであればこれは大店法部分はゼロであって、つまり先ほど言った五百平米以下は商調法部分に従って御自由にやっていただくという新たな作動がそこに生まれるわけでございますね。つまり大店法によって五戸まで調整命令ができるというのはややおかしいのであって、強いて言えば五百一平米、つまり五百までならいいということではなくて、大店法にかかわる部分ではゼロなんだ、しかし、五百以下は商調法部分なんだから商調法部分でどうぞ御自由に、そして商調法部分に従って申し出があればそれによって調整をしていただく、こういう考え方でよろしいわけですか。
  33. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  いまの御質問趣旨で大体いいと思います。  重ねて申し上げますと、いま申し上げましたように、いまのお尋ねは建物ベースの話に——ややこしくなりますが、建物ベースで考えた場合で申し上げますと、今度の改正案面積五百平米を超える店舗面積を有する大規模小売店舗における小売業について調整の対象にするというふうに拡大をされましたので、結局、今回の場合には五百平方メートルを超えるところまでは調整は可能になるということになります。したがって、五百平方メートル以下に関しましては大店法上は自由になりますが、これはいまお話がございましたように、もし問題があって商調法の要件に従って手続がとられる場合には商調法の対象として処理がされる、こういうことだと思います。
  34. 中島源太郎

    中島(源)委員 その点は明確にわかりました。  さてそこで、ゼロ削減があるということは当然のことだというもう一つ理由として、通産大臣にかかわる調整部分には、入る前におそれなしとおそれありということがあります。おそれなしという場合には全面出店意味するわけであります。おそれありという場合に全部または一部の削減があり得る、調整があり得ると思うわけであります。土俵というのは、やはり全面出店があれば全面削減もあり得る。その中でよりよい協議を続けていただくということで、土俵がしっかりすれば、出店者側受け入れ側もそこに正規の土俵に入ることを否やとは申す機運はなかろうと私は思うのです。しかし、その土俵ができましても、取り組み時間が少な過ぎる場合には、安心して土俵に上がれないということもあろうと思います。  正規の土俵と申しますと、第五条届け出以降でございますので、現在では実際の調整期間はたった三カ月であります。これが全部の実情を把握し、大型店中小小売商あるいは消費者あるいは学識経験者、あらゆる部門を含めて実情調査し、さらに先ほど大臣がおっしゃいましたように、都市計画上のリンクも考えながら、町づくりの視点の御意見も入れながら、どれがいいかという判断をするのに三カ月というのは短過ぎる。いま現在三カ月プラス一カ月、四カ月でございますが、これを大幅に延長することによりまして、土俵をさらに協議しやすい、そして清潔な論議の場にいたすことができると私は思うのですが、これをどのくらいにいたしたらいいかという問題はいろいろあろうと思います。  時間がないので、私の考えは、三カ月プラス一カ月というのが現行法でございまして、改正法はそれにプラス二カ月というふうに言っておられますが、私は、現行法の三カ月プラス一カ月にプラス六カ月は必要であろう、はっきり言って九カ月プラス一カ月、十カ月ぐらいは十分な討議期間を要するのではなかろうか、これがあれば、出店者側あるいは受け入れ側がその正規の場で資料を出し、意見を開陳し、都市計画上のリンクもさせ、あらゆる意味で、十分とは申せませんが、安心して土俵に上れる期間がとれる、このように思いますが、この期間の延長についてどのようにお考えでございましょうか。
  35. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話しのように、今回の改正案では、従来の調整実態というものを勘案いたしまして、勧告期間を三カ月から四カ月、一月延ばしたわけでございますが、さらに、今回新しい措置として、必要に応じて二カ月を超えない範囲での延長というものも可能になるというような措置をしたということはいまお話しのとおりでございます。  私どもといたしましては、一応この勧告期間というものの間で実際上の調整をやっていくべきであるし、また、いかなければならないだろうというふうに考えております。余り勧告期間を長くとるということは、逆に言いまして、その期間中いわば新規の事業活動が制約されるわけでございますから、これは余りに必要以上に長くするということは、その面からの問題もあろうかというふうに考えます。  ただ、実際、お話のように、具体的のケースを見ました場合にはいろいろとむずかしいケースがあり、特に最近のような状況を考えますと、いわゆる店舗の大型化あるいは地方への出店の増加というような点を考えますと、なかなかこの調整はよりむずかしくなっていくというのは事実でございます。したがいまして、私どもとしましては一応そういうことで考えているわけですけれども事業活動調整というのは、やはりできるだけ関係者の円滑な話し合いということで行われることが好ましいというふうに考えますので、できるだけ早く、まあ言いますと、関係者間の合意が得られるような話し合いというものが行われるように指導をしていくということはあわせ考えたいというふうに思っております。
  36. 中島源太郎

    中島(源)委員 実情を踏まえての御答弁でございますので、実情はよく御存じのとおりでありますが、正規の土俵に上がる前に、法文にはございませんが、いわゆる一般に言われておる事前商調協部分というのがございます。なかなかに時間を長引かせるということにある意味で不安がおありのようでございますが、実際、事前商調協部分で二年、三年、あるいは長いところでは七年延ばされておる実例もあるやに伺っておるわけです。私は、その点、正規の土俵に上げた場合、いろいろな御意見があるわけなんですから、それを三カ月や五カ月で切ってしまうということははなはだ不親切である、むしろそこを延ばすことによって正規な話し合いができるというふうに考えております。  もう一つ、時間がございませんので、この大店法というものの読み方がはなはだむずかしい面がある。たとえば、大型店中型店出店に対して商調協が持たれるわけでありますが、その商調協部分で商業者側が反対をする、消費者側はそれは商業者のエゴだと言う。消費者がもしその出店を歓迎するような言動があれば、商業者側はそれは消費者のエゴであると言う。利害相対立するようなことになるわけでありますが、強いて言えば、出店は原則自由であっても、大型店中型店出店することによりまして中小小売商が甚大な影響を与えられたり秩序が乱れたりする場合に、それを待たせるということはあり得る。  それはなぜ待たせるかというと、現状中小小売商では体力がそこまでいっておらないので、現在近代化努力進行中である、あるいは今日ただいまから近代化努力をいたします、そして体質を強化して出店者側と共存共栄ができるまで待ってくれというのは当然なことであり、また、そうであれば消費者側も、自分たちと同じ学校に学び、同じ社会に出てきた同僚がようやく中小小売商を営々として営んでおられるのですから、その小売商が十分に成り立つまで近代化努力を温かく見守り、待ってやるということは当然だと思うのです。  そこで、近代化努力に対して指導するあるいは力をかしてやるという条項がこの大店法にはどうも欠けておって、どこに書いてあるのか探してもよくわかりません、たとえば、分野調整法では第十条に指導条項が書かれてございますが、これに類するものがどう見てもこの大店法にはない。むしろ規制強化の一方で中小小売商に対して温かい指導をする、そして近代化を促進させるという意味の条項が必要ではないかというふうに私は考えております。これはお答えをいただいてもいいのですが、あと四分でございますので、それを強く要求し、私も研究をいたしたいと思っております。これは入れることは可能であるというふうに考えます。  同時に、細かい問題でございますが、出店した後の問題をやや伺いたいと思うのです。  スーパーその他で、目玉商品と称して不当に安い価格で物を売っておられることがあるわけです。あるときには卵であったり、あるときには牛乳であったり、あるときはコーヒー、あるときはしょうゆということであります。生鮮食料品でも最近は大分もちます。たとえばしょうゆやコーヒーというものは、廉売期間に一びんなり二びん買いますと、それを消費するまで大分時間がかかります。そこで、年じゅう廉売をやっておらなくても、不当に安い廉売時期をスーパー、大型店中型店がやるということによりまして、そこで安い物を買われて家庭に保存されますと、当然その周辺小売商の売り上げは激減をするということが起こっております。  これが不当廉売に値するならば公取の問題でありましょうが、さて、中小小売商は、公取といっても、どこへどういうふうに趣け込んだらいいのか、駆け込み寺がどこにあるのかわかりません。しかも、公取がそれに相対処しようとしても、失礼ながら、その人員、陣容によりまして即座に手を打てるとは限らない。その場合、中小小売商は一体どうしたらいいのでしょうか。つまり、商工会、商工会議所に力をかりることができましょうか。あるいは十五条の三を適用するとするならば、十五条の三は「紛争」と書かれておりますが、「紛争」とはどういう事例を指すのでございましょうか、これをひとつ伺いたいのです。  それを伺っておると私の時間が切れてしまいますので、もう一つだけ続けて伺います。  五百平米まで下げられたということについては、よくも悪くも了解をいたしましたが、商業の中には、五百平米まで下げられますととても営業が無理だとおっしゃられてもしかるべき業種があるように思います。たとえば家具などは、ほとんどが家具売り場、要するにショーウインドーそのものが店舗面積でございますので、これを五百と規定されたらば、なるほどこれはおやりにくいであろうなという感じはいたします。また、自動車のディーラーなども、第二条の括弧内に修理部分も含めるということにいたしますと、とてもこの中に入らないわけでございます。これは運用上、実態を踏まえて適宜適切な運用をしていただくように強く要望いたしたいと思います。  以上二点について、公取もおいででいらっしゃいますので、やや時間超過すると思いますが、答弁だけいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  37. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 お答えいたします。  独占禁止法上不公正な取引方法が幾つかあるわけでございますが、その中に不当廉売というのも一つございます。不当廉売といいますのは、法律上は要件といたしまして、一応一つはコストを下回るということ、それからもう一点は公正な競争を阻害するおそれがある、公正な競争を阻害するおそれといいますのは、具体的に申し上げますと、周辺小売業者等に非常な著しい影響があるという事態になろうかと思いますが、この二つの要素が必要なわけでございます。  私どもといたしましては、被害者である小売業者等の側からそういうふうな状況につきまして報告といいますか、調査を求める申告がございました場合には、その状況によりましてできるだけ速やかに問題があるような場合には措置をいたす、こういうことにいたしております。その窓口は、東京の本局の審査部、それから地方に札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、それから沖繩に出先がございまして、私どもの地方事務所でございますが、その中の審査課で受け付けております。したがいまして、報告されます場合には、単にコストを下回っているんじゃないかということだけではなくて、大変大きな影響を受けておるという状況もわかるようなお話を聞かしていただければ判断が容易でございますし、処理も容易である、こういうことでございます。
  38. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  第二問目の方のお答えでございますが、いまの家具の問題あるいは自動車の修理の問題、これについてどう考えるかということでございますが、法律上はやはり他の業種小売業と区分してそれぞれについて店舗面積に例外を設けるということは、この法律の性格上むずかしいというふうに考えております。  ただ、いまの家具の場合、非常に大きなものでかさばるからそれだけ店舗面積もよけいにかかる、あるいは自動車修理の場合に修理部門というものを持たなければいかぬし、そのスペースが非常に大きいというような事情につきましては、私ども十分実態は承知しておりまして、したがいまして、具体的に調整を行う段階でこのような事情というものをどういうふうに配慮していくかということにつきまして、通産局あるいは都道府県知事というものを十分指導していくという方向で対処したいというふうに考えております。
  39. 中島源太郎

    中島(源)委員 ぜひお願いいたします。  以上で質問を終わりますが、大臣、お聞き及びのとおりでございますので、質疑回答の中から、賢明なる大臣の御判断によりまして、運用並びに法改正につきまして一段の御努力をお願いをいたしたいと思います。よろしゅうございますか。  終わります。(拍手)
  40. 橋口隆

    橋口委員長 上坂昇君。
  41. 上坂昇

    ○上坂委員 大店法商調法の一部改正について質問をいたしますが、大店法制定以来、特に中小企業分野法の制定、それから商調法改正、これに基づいて衆参両院の商工委員会で附帯決議を行っておるわけであります。数回の決議を行っておるわけでありますが、そのたびごとに、大店法あるいは商調法の抜本的検討を進めるべきである、こういうふうにうたっておるわけであります。  今回のこの改正案は、一体私たちが行った決議の趣旨というものをきちっと踏まえてやっているのかどうか、抜本的な改正という認識に立っておられるのかどうか、この点について初めに大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 河本敏夫

    河本国務大臣 大店法が施行されましてから四年有余を経過しておりまして、もうすでにその直後からこれを改正すべしという非常に強い御意見が出ておりました。それを受け、さらに委員会の御決議等の内容を受けまして、通産省では関係の審議会にいろいろ検討をしていただいておりましたが、先般ようやくその方向が明らかになりましたので、今回改正をお願いすることにしたわけでございます。
  43. 上坂昇

    ○上坂委員 審議官にお伺いしますが、いま大臣がお答えになったということは、これはいわゆる抜本的な改正になっているんだ、こういうふうな認識ですか。
  44. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  私ども国会の御決議等を踏まえまして、すでに御案内のとおり、昨年の七月に小売問題懇談会というものをつくりまして問題点の整理をお願いし、さらにその後、昨年、中小企業政策審議会それから産業構造審議会の合同小委員会を設けまして、その前に関係各方面の御意見を十分聴取いたしまして、ここで徹底的に御議論をいただいたわけでございます。その御議論の結果、本年の四月に意見具申をいただきまして、その意見具申を受けて私どもとしては法律を検討したという経緯でございますので、その経緯で明らかでありますように、私どもとしましては、徹底的な検討を行った上で今回の法律改正提出したというふうに考えております。
  45. 上坂昇

    ○上坂委員 大店法商調法の整合性の問題については非常に前から問題になっておるわけでありますが、できるならば大店法商調法を一本化する法律が望ましい、どうも二本も三本もありますと非常にややこしくなる。特に商調法の場合の改正は中小企業分野調整法の段階での改正だったものですから、そこで、大店法とできるだけ整合性を持たせるという意味では、これは一本化してすっきりさせた形の方がいいというのが、私たちがたびたび指摘してきたところでありますが、今回のこの改正では、相変わらず大店法の一部改正あるいは商調法の一部改正になっているわけであります。これはどうして一本化した法律案提出できなかったのか、ここの理由を明らかにしていただきたい。
  46. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、この合同小委員会におきましていろいろ検討いたしたわけでございます。その際にも、大店法商調法の両法の錯綜した関係というものをできる限り整理するということも含めまして、そのほかに大店法店舗面積引き下げる、調整に当たって都道府県知事の関与を強化するというような内容の意見具申をいただいたわけでございます。  私どもといたしましては、この意見具申に沿いまして法案の作成作業を進めたわけでございますが、この商調法大店法は、法律規制の観点がそれぞれ若干法律の内容で異なる面を持っておりますので、この法体系上、これを一本化するというのは立法技術的にもなかなかむずかしい点がございます。かつ、一方、意見具申の内容、趣旨を取り込むという点につきましては、それぞれの法律の一部改正ということで十分いけるのではないかというふうに検討の結果私どもとしては考えましたので、新法の制定ではなくして、大店法商調法それぞれの一部改正というふうなかっこうで提案をいたした次第でございます。
  47. 上坂昇

    ○上坂委員 先ほどの質問にもありましたように、いわゆる大型店舗の進出が非常に経済的な混乱を各地に巻き起こしているということは御承知のとおりであります。そこで、どうしてそうなるかというと、どこでもこれを取り締まることができない、結局届け出を出されれば最終的には認めざるを得ない、どんなに調整をしてもだめだというところからこうした激化の問題が出てきたと思うのです。これはどこかできちんと取り締まることが、規制をすることができるならば、こういうおそれはなかったわけでありますね。ところが、非常に紛争が激しくなっているということは、これは届け出制にあると私は考えざるを得ないわけです。  どうして大店法届け出制許可制にできないのか。どうしてもできないという理由をお聞かせいただきたいのです。
  48. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  なぜ許可制にできないか、今回の改正の際にも現行法制度届け出制をそのまま残しておるというのはなぜかというお尋ねかと思います。  いまおっしゃいましたように、中小小売商とのいろいろな紛争が非常にあちこちで起きておるという実態を私どもも十分承知いたしております。ただ、全体を考えました場合に、一方では流通近代化あるいは消費者利益の保護というような点も忘れることはできない大きな時代の要請でございます。現在、流通にはいろいろな形態の店が出ております。それが多様化する消費者ニーズを充足するためにいろいろ工夫をこらして、消費者の求める方向にそれぞれ事業活動を展開しておるというのが状況でございます。そういった状況を考えますと、いわゆる許可制、原則禁止ということを前提にいたします許可制をとるというよりは、やはり現在の体系というものを維持しながら、さらにその規制対象を大幅に拡大していくというような方向で対処するのが適当ではないかというふうに考えたわけでございます。  それで、現行法規制体系でも、御案内のように届け出制ではありますけれども届け出がされた場合に、今回の改正ですと、通産大臣あるいは都道府県知事が十分内容を審査いたしますし、その結果中小小売業に相当程度影響を与えるおそれがあるというふうに認められる場合には、開店日の延期あるいは店舗面積の削減等々の勧告が行える、場合によっては命令を出すというようなかっこう、そして命令違反者に対しては営業停止命令もかけ得るというようなかっこうになっておりまして、したがいまして、形式的には届け出制でございますけれども、必要な規制の効果というのは許可制の場合と同じように担保されているのではないかというふうに考えた次第でございます。
  49. 上坂昇

    ○上坂委員 いわゆる許可制をやらなくても事前審査で十分やっていける、いわゆる事前チェックができるということをいつも強調しているわけですね。ところが、大店舗側に対しての政府説明は、事前審査制とは言っても許可制ではないのだから、これは実質的にはフリーなんだ、こういうふうな説明をしているようであります。そして今度は、どうしても許可制にしなければだめだ、届け出制ではだめだという中小小売商に対しては、いまおっしゃったような答弁の答え方をしてきたと私は認識しているのです。そういうやり方の中に今回の大きな紛争というものがあったのじゃないかと思うのです。根本的にやはり大店舗側を本当に取り締まる、規制をするという気持ちがないから、そこのところをいわゆる官僚的な非常にうまい言葉で適当にごまかしてきたというふうに私たちは考えざるを得ないわけですね。こうした二、重の考え方の中でいまの基本的な問題が生じていると私は認識せざるを得ないわけであります。  そこで、届け出制をやるということになりますと、この届け出制によって調整を行うということになると、これは事前審査制というものが一番重要になってくるわけですね。これを本当に強化をしていかなければならないと思うのです。今回の改正で、この事前審査と従前の事前審査というものとどういう違いが出てくるのか、一体どこまで考えているのかということをお答えいただきたいのです。
  50. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  届け出がなされましてそれに対して審査をするわけでございますが、事前審査とおっしゃっている意味があるいは届け出前のいわゆる事前商調協のことを言っておられるのではないだろうかというふうにも思うわけでございますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。——そういう意味であるといたしますと、これにつきましては、現在の大店法の運用につきまして商調協における地元調整、特にいまお話のありました法五条、六条に基づく届け出前のいわゆる事前商調協での調整というものは非常に重要な役割りを果たしてきたという点は、私どももそういうふうに考えているわけでございます。  ただ、一方では、最近この事前商調協における調整が非常に長期化しておるというような批判も一部にあるところでございます。したがいまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、調整につきまして地元でのいわゆる話し合いという解決が重要であるという認識は少しも変わっておりません。したがいまして、その意味で商調協方式というものにつきましては改善を図りながら今後も存続していきたいというふうに考えております。  どういうふうに具体的に運営していくかという点につきましては、関係者意見も聞きながらいろいろといま検討いたしておるわけでございますが、基本的には、やはり合理的な審議期間を設定した上で今後とも存続さしていくことが必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  51. 上坂昇

    ○上坂委員 届け出制になりますと、これは期限が来れば、第三条にしても第五条にしても、とにかく許可をしなければならないというのがいまのたてまえでしたね。そのたてまえは実際問題としては崩さないわけであります。ただ、面積の面で五百平米以上までに拡大をしたというだけにすぎないと思うのです。そこで、いわゆる届け出を出されそうな場合には、これはもう少し待っていろというかっこうで地元に渡して、そして地元の商調協なりであるいは商工会議所なりで調べさせるわけですね。そしてそこで事前にいろいろチェックをする、これしか実際のところは方法がないわけですね。ですから、どんなに事前にチェックしようと、どんなに通産省の方で調べようと、結局出されたものについては受けざるを得ない、こういう形のものがいままでのものだと思うのですね。ただそれを建物で縮めたというだけにすぎない。そこのところに私はやはり根本的な問題があると思うのですね。  やはりそこまでやるのなら、いっそのこと許可制にしてきちんと把握するというような形にした方が、すっきりして一番いいのじゃないかと思うのです。それをやらないというのがどうも納得がいかない。どうしてできないのか。これをやればいろいろな形で経済の運営に支障を来すのかどうか、ここのところがどうも私にはよくわからないのですが、その辺もう一度御説明いただきたい。
  52. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほどお答えした答弁に若干重複いたしますので恐縮でございますが、流通は現在も非常に変化をしつつあるわけでございます。そういう実情を考えました場合、一方では消費者の利益、それからわが国の場合特に重要なことは、流通の近代化ということが一方では必要であり、片方では、ここで種々御議論があります中小企業の、特に中小小売商への悪影響の防止という観点で政策を講じなければならない、そういった要請というものをどういうかっこうで具体的な制度として織り込んでいくかということを種々検討いたしますと、やはり現在のような届け出制をベースにしながら、片方で、もし周辺中小企業に相当程度の悪影響があるという場合には、それを是正するために必要な措置が担保されているという制度をとるということが一番合理的ではないかというふうに私ども考えておりますので、現行制度、いまのような仕組みを考えておる次第でございます。
  53. 上坂昇

    ○上坂委員 また後でこの問題が出てくると思いますが、先に進めていきます。  現行大店法の七条の一項では、通産大臣は、届け出があった場合に、第一番に大店舗周辺の人口規模及び推移、中小小売商の近代化の見通し、それから三番目には他の大店舗の配置と大店舗の営業の現状などを考慮して審査をする、こうしているわけですね。これは届け出が行われた時点でこれをやるのだと思いますが、この事前調査というのですか、こういう調査を行った事例というのはいままで幾つぐらいあるのか、それからどの機関を通じてこの調査を行ってきたのか、また、こういう調査をやる場合には一体どのぐらいの期間を必要とするものか、この点について御説明をいただきたい。
  54. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまの点、やや実務的になりますが、いまの七条一項の審査を行う場合、まず実際の実務から申しますと、通産局で周辺の中小小売業に相当程度影響を及ぼすおそれがあるかどうかというのを審査をいたしまして、おそれのあるものにつきましては、基本的には商工会議所あるいは商工会に設置されております商調協で、周辺の人口あるいは中小小売業の近代化の見通し等々を踏まえまして、店舗面積について調整を図るというようなシステムを実際とっておるわけでございます。それから、商調協で実質的な調整がつかないものにつきましては、商調協における調整経過等も十分考慮しまして、最終的には通産大臣審議会意見を聞いて判断をする。これはやや法の条文から外れますが、実際の仕事の流れを御説明したわけでございます。  いまどれぐらい審査にかかるかということでございますが、これは基本的には、いま申しましたような商調協段階での調整というものにつきましては関係者間でのいろいろな議論というものを踏まえて行われますので、ものによってはある程度長期にわたるというものもあるのが実情でございます。
  55. 上坂昇

    ○上坂委員 ある程度長期というのじゃなくて、一体一番長いのでどのぐらいかかっているのか、それからすぐにできているのかどうか、これを具体的にひとつ説明してください。
  56. 島田琢郎

    島田政府委員 通常の案件は三カ月以内ぐらいで相当程度処理されておりますが、非常に込み入った案件の場合には一年を超えるものというのが、正確ではございませんが、大体二割ぐらいはあるのではないかというふうに思われます。
  57. 上坂昇

    ○上坂委員 この場合、いわゆる商工会議所の中の商調協、ここで審査をするということになるのですが、現行の大店法でいけばこれは通産大臣がやることになっているのですけれども、これは商調協に任せてしまうという意味なんですか。  もう一つ、その場合、地方自治体なんかはどういうふうな役割りを果たすのですか。
  58. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまの商調協の問題は、法律上のたてまえとしましては、これは先生御案内のとおりに、審議会が商工会議所の意見を聞く、その商工会議所が審議会に対して意見を述べる場合に、そこの商工会議所に設置されておる商調協というところで実際上意見を尽くして、その意見を商工会議所に出し、商工会議所がその意見を踏まえて審議会に商工会議所の意見を述べるというかっこうになっておりますので、たてまえとしましては、商調協というのは商工会議所の事業活動一つというかっこうに相なるかというふうに思うわけです。  それから、地方の果たすべき役割り、ちょっと私、どういうふうにとっていいかわかりませんが、現在の実際の運用につきましては、御承知のように、商調協でいろいろ審議をする場合に、地方自治体は参与として出席して必要に応じて意見を述べるというようなかっこうで地方自治体も関与いたしておるわけでございますが、今回の改正案では、御案内のとおりに、都道府県知事が第二の小売店舗調整権限を有することになりますほか、通産大臣調整にかかわる第一種の大規模小売店舗につきましても、都道府県知事及び市町村長が通産大臣意見申し出ることができるというようなかっこうで措置をとっておるわけでございます。
  59. 上坂昇

    ○上坂委員 そうすると、いま私が聞いているこの審査はどこがやるのですか。
  60. 島田琢郎

    島田政府委員 どこがやるというお尋ねでございますが、結局、届け出が出てくる、その届け出について、法律上で申しますと、この七条の要件に該当する場合に、七条に規定されておりますいろいろの要件を勘案しまして、「周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあるかどうか」という点を通産大臣が、あるいは今度の改正ですと二種の場合には都道府県知事になりますが、審査をしまして、おそれがあると認めるときには審議会意見を聞いて、しかもその場合には——細かいことを省略しますが、審議会意見を聞きまして必要な勧告あるいは命令ができる、こういうかっこうになっておりますので、たてまえとしまして、審査をするのは通産大臣、今回の改正ですと二種につきましてはそれに加えて都道府県知事ということになるわけでございます。
  61. 上坂昇

    ○上坂委員 これは大臣にお伺いしますが、大臣、そういう審査をやったことはありますか。審査をやるのには調査をしなければならぬから、これはだれにやらせたのですか。
  62. 島田琢郎

    島田政府委員 大臣と書いてありますが、これは通産省ということでございまして、私どもその審査をするわけでございますが、審査のやり方につきましては、先ほど申し上げましたような実務上の流れを追って審査を行っていくということでございます。
  63. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、従来かなり審査をしてきたと思うのですね。その審査の状況から、大型店進出というものが周辺小売業に及ぼしている影響について、一般的に傾向というのが出てくるのじゃないかと思うのですね。その審査の結果そういう傾向がつかまれているならば、そういう傾向と特徴について説明をいただきたいのです。
  64. 島田琢郎

    島田政府委員 まず、その大型店の最近の進出状況というものにつきまして私どもが把握しております届け出状況から見ますと、一般的傾向としましては、店舗規模が年を追ってだんだん大型化しつつあるということ、それから地方の中小都市への出店が目立っておるということが、最近の傾向として、ごく一般的な非常に概括的な言い方ではございますが、言えるかと思います。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  65. 上坂昇

    ○上坂委員 審査をする場合、いろいろあると思うのですが、これは結局通産省がやるといっても、具体的な問題については地元の商工会議所なり商工会なり、そこら辺にやらせないと実際はできない。いままでそういうふうにしてやってきたのじゃないかと思うのですね。そうしますと、商工会議所なんかではこれに対応するところの力を持っているところもあるでしょうが、商工会などになるとなかなかこれにたえられないと思うのですね。そういう点で非常に時間がかかったりあるいはやり切れなくなったりしていたところが、実際問題として私たち現地へ行ってみますと非常に多いわけですね。通産省はこういうのは特にただでやらせていますから、地元に全部経費を負担させてやらせているということになりますから、そこでとてもできないわけです。そうなりますと、どうしても大店舗側の調査能力にかなわない。そこで根拠が弱くなって、商調協の意見なりあるいは審議会意見なりもそういうかっこうの反映をせざるを得ない。  こういうところにいろいろ紛争が起きても結局のところは泣き寝入りをするというのが、いままでの一般的な状況だったんじゃないかと私は思っておるわけでありますが、この点について通産省はやはりいままでどおりこれを踏襲していくしかないのだ、こういうふうにお考えになっているのかどうか、お伺いをしたいのです。
  66. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  商工会議所、商工会が意見を述べる、商調協で実質的にいろいろな仕事をしていただいておる、そういう費用についてどうなのかというお尋ねかと思いますが、現在、商工会議所等に設置されておりますいわゆる商調協、商業活動調整協議会の活動につきましては、この大規模小売店舗法に基づく勧告等の審査を行うための資料作成ということで委託費が出されております。この委託費につきましては、私どもも今後ともその充実が図られるように努めていくということで、できるだけそういう方向で努力をいたしたいというふうに考えております。
  67. 上坂昇

    ○上坂委員 いま御説明にありました中小小売業事業活動影響するおそれがあると考えられたときには大規模小売店舗審議会意見を聞く、おそれがないと考えた場合には申請どおり出店ができるということになってしまうわけですね。その審議会意見というものがすべてを決定することになってしまうと思うのです。その点で、審議会の構成とか選考方法というのが非常に重要なポイントになるんではないかと思うのです。この構成について、従来はどのような選考あるいは構成をとってきたか、そして今後はこれをどういうふうに強化をされる考えなのか、これについて御説明をいただきたいと思うのです。  それから、今回の改正に当たっては、都道府県は必ずしも審議会を置かなくてもいい、こういうふうになっておりますね。これは条例で制定をするようにというふうになっているわけですが、これを置かなくてもいいというふうにした理由というのは何であるか、お伺いをしたいのです。
  68. 島田琢郎

    島田政府委員 最初の大規模小売店舗審議会の問題でございますが、いまお尋ねのように、大店法の運用につきましては大店舗審議会で中立かつ公正な判断を行わなければならないということで、これは非常に大事な機関でございます。したがいまして、私どもといたしましては、大規模小売店舗審議会につきましては学識経験者により構成をするということにいたしておりまして、従来の運用の経験にかんがみますと、今後ともこういう構成は変えないでいくべきではないかというふうに考えております。  利害関係人の意見につきましては、法律の七条二項に規定がございますように、それぞれ申し出のあった者の意見を聞くということになっておりますし、また、地元実情につきましては、先ほど来御議論がありますように、商調協、それを受けて商工会議所あるいは商工会から意見が出てくるというシステムになっておりますので、そういうような各方面の意見を反映して、中立の学識経験のある者というものによって構成される大店舗審議会で審議をいただくというのが妥当ではないかというふうに考えております。  それから、第二の問題の、都道府県の審議会をなぜいわば任意設置にしておるかという点でございます。  今回、大店舗法の適用対象としました第二種の大規模小売店舗における小売業につきましては、調整事務を都道府県知事に委任をいたしております。委任された事務をどのようなやり方で処理するかということにつきましては、基本的に都道府県知事に任されておるかっこうになっております。したがいまして、場合によっては、届け出件数が非常に少ないとかあるいは調整すべき実体が当該都道府県に余りないというような場合に、必ずしもこの種の審議会を必要としないという場合もあり得るかもしれないという理由によりまして、審議会の設置について義務づけをするということはしなかったということでございます。
  69. 上坂昇

    ○上坂委員 いまの説明はわかりました。  そこで、今度七条一項の問題なんですが、四十九年の二月二十八日の第百十九号の通達で、いわゆる大型店の新設の際に、大型小売業者が入居しない大規模小売店舗、Aグループ、これはおそれなしと最初から決めておるわけですね。それで、この場合には意見申し出関係者からあったときに取り扱う、こういうかっこうになっておるわけですね。  ところが、二番目になりますと、大型小売業者が入居しているいわゆる大店舗では、一万平米、二万平米未満のものをBグループとして、そしてこれは地元商工会議所または商工会の意見を聞いておそれの有無を判断する、こういうふうになっておるわけですね。  すると、最初から通産省が審査をして、おそれがあるかないかということを決める場合の審査というのは、これは大店舗の中にいわゆる大型小売業者、大規模小売業者が入っているか入っていないかということだけを審査をすれば、もうそれでおそれがある、おそれがないということを決められるというように解釈せざるを得ないわけですね。こういう解釈でいいんですか。
  70. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  おそれの有無の判断につきまして、いまお尋ねのような通達が出されておるわけでございます。実際に周辺小売商への相当程度影響があるかどうかというおそれの判断でございますが、一応これをどういうかっこうで判断していくかというための一つの基準といたしましてこういうかっこうになっておるわけでございますが、これはよくごらんいただきますと、いまもお話ございましたけれども、一応そういうかっこうでA、B、Cに分けておりますが、関係者から意見申し出があった場合には、そのおそれの判断を変えていくというかっこうの勧告になっておりますので、実際上こういうかっこうでやっていけば、いままでの運用では支障がないのではないかというふうに考えているわけです。
  71. 上坂昇

    ○上坂委員 いまのAグループについて、いままで紛争の起きた事例はありますか。
  72. 島田琢郎

    島田政府委員 Aグループは、要するに大型小売業者が入居しない大規模小売店舗でございますので、普通われわれの頭にありますのは、中小企業からの寄り合い百貨店みたいな、こういうものを頭に置いているわけでございます。したがいまして、こういうものについては一応おそれなしという判断をしているわけでございますが、これについて問題が後になって起きたという意味でございますか。——こういうことで運用して特段支障はないというふうに私ども考えております。
  73. 上坂昇

    ○上坂委員 大型小売業者の場合は、いわゆる店舗面積あるいはその資本系列とかなんかも入るわけですが、これが一千五百平米以上の店舗を持つ小売業者だ、こういうようになっているわけですね。すると、これは一千四百五十平米のものでも、たとえば寄り合い百貨店というふうになりましたが、三つなら三つ入っていて、非常に大きな建物でその中に一千四百平米持っているものが三つ入った場合に、これは周辺のものに影響するおそれがあると私は思うのですがね。それでもやはりおそれはありませんか。
  74. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  そういうケースが仮にあったとして、実際そういう問題、そういうケースがあって、周辺中小小売商影響がありそうだという場合は、当然ここにありますように、関係者からの意見申し出があるという場合が想定されますので、そうしますと、これはAグループとしては扱われないということになりますので、そういうかっこうで処理がされるのではないかというふうに考えます。
  75. 上坂昇

    ○上坂委員 問題はたくさんありますが、次に移ります。  百二十二号の通達、「大規模小売店舗が所在し及び所在することとなる地区に関する必要資料の整備について」というのがありますね。この通達で一体どのぐらいの資料が整備されているのかどうか、また、整備されているとすれば、そういう資料をどのように活用されているのかということについてお伺いをしたいのです。
  76. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  いまのお尋ねの件でございますが、大規模小売店舗法の運用の円滑化を図るために、同法に基づく届け出があり次第、当該店舗の所在する商工会議所あるいは商工会にその内容を通知いたしまして、その影響についての意見の照会等をやっておるわけでございます。この通達につきましては、こういった意見照会に対しまして速やかに対応できるように、各商工会議所あるいは商工会が関係資料の整備をしておくように通達をしたものでございます。現在の運用状況からいたしますと、商工会議所あるいは商工会におきましては、この通達に基づきましてそれぞれ所要の資料を大体整備していただいておるようでございます。  この資料はどこで活用されるかといいますと、商調協でもこの資料を活用いたしまして個別案件の審査を行うというかっこうで使われておるわけでございます。
  77. 上坂昇

    ○上坂委員 この資料の内容は、一項から七項まで大変詳しくなっておるわけですね。こういう資料が各商工会議所で整備をされているならば、それに基づいて通産省としては非常に早く手の打てる行政ができるのではないかというふうに思うのです。ところが、もうあっちこっちでやたらに紛争が起きてくるということは、どうもこうした資料というものがきちんと整備されていない、したがって、大店舗、いわゆる大型小売業者に対するところの指導もうまくいっていないというところに問題があるのではないかと私は思うわけであります。その点についてはいかがですか。
  78. 島田琢郎

    島田政府委員 資料の整備はもちろん必要でございますし、私どもも鋭意資料の整備をしていただくように指導しておるわけでございますが、実際に案件の処理をいたします場合には、資料が整備されているということはもちろん必要でございますが、やはりそれだけでは現実には調整はできないわけでございまして、具体的案件に即してそれをどういうかっこうで調整していくかということになりますと、そこにはいろいろな事情がございますので、資料が整備されていることは、確かに非常にその審議といいますか、それを促進していく上では必要なことでございますが、逆にそれだけでは調整が短期間で全部終わるというわけには必ずしもまいらないということに相なるかと思います。
  79. 上坂昇

    ○上坂委員 余り答えがわからないのですが、少し前に進ましてもらいます。  七条の二項について、通産省令の十七号というのが出ております。これは施行規則ですね。この九条に基づいて、消費者またはその団体小売業者またはその団体その他のものは意見の内容を審議会提出することができる、こうありますね。いままでこうした意見はこうした各関係団体からどのくらい出てきておるものか、こうした申し出があったか、そのことについてお伺いをしたいのです。  それから、こうした申し出に対して、これは全部審議会に任せっ放しだという形で来たのかどうかということについてお伺いしたいのです。
  80. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  いまの意見申し出でございますが、これは大規模小売店舗法施行規則第九条に基づきまして、官報公示後二週間以内に大規模小売店舗審議会にあてて提出するということになっておるわけでございます。  運用の実態から申しますと、何件くらいあるかというのはちょっと私ども手元に数字がございませんが、個別案件の状況を見ておりますと、相当数の意見申し出がなされていることはございます。そして、これをどう扱うかにつきましては、その審議会で、会議の席上こういう意見が出ておりますということを紹介いたしまして、委員判断材料としてこれを供している次第でございます。
  81. 上坂昇

    ○上坂委員 今回の改正案で、先ほど問題になりましたが、大規模小売店の届け出対象を五言平米以上とした根拠をもう一度説明願いたいのです。  それからもう一つ、従来中型店と呼ばれていたものがあります。この中型店というのはどの程度面積を指しているのか。  それから、都道府県知事の扱う第二種大店舗、これはいわゆる従来の中型店というものであって、大型店は含まない、こういうふうに考えていいのかどうか、これを御説明いただきたいのです。
  82. 島田琢郎

    島田政府委員 現行の大店法は、御案内のように、千五百平米以上ということになっておるわけでございますが、法制定後のわが国の経済の安定成長への基調変化というような状況の中で、小売業を取り巻く環境というのも次第に厳しさを増しておる状況でございます。現在、基準面積未満店舗をめぐる紛争も非常に増加してきているという傾向にございます。したがいまして、今回、先ほど申し上げました審議会でいろいろ検討いただきまして、そういった意見も踏まえまして検討いたしました結果、これを五百平米を超えるというかっこうで五百平米まで引き下げることにしたわけでございます。  なぜそうしたかという点につきましては、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、一つは、最寄り品中心の店舗で見ました場合に、五百平米で大体一応の品ぞろえが可能になるということでございます。したがいまして、ワンストップショッピング機能を発揮し得るということから、大体五百平米くらいを境にしまして店舗の顧客吸引力が高まる、したがって、逆に言いますと、周辺中小小売商への影響が大きくなると考えられる。また、現実を見ましても、最近の基準面積未満店舗紛争件数で見ましても、五百平米以下のものは余りございません。五百平米を超えるところからいろいろ紛争の件数がふえておるということでございます。したがいまして、そういった事情を勘案いたしまして、今回五百平米というところを一つの線として考えたわけでございます。  それから、中型店というのをどういうふうに考えるかでございますが、通常地方あたりで使われている中型店という意味ですと、私の理解するところでは、いまの千五百以下五百平米ぐらいのものを指して言っておられる場合が多いのではないかと考えます。
  83. 上坂昇

    ○上坂委員 五百平米未満のストアなりショッピングセンター、いろいろございますが、小型店というのですか、こういうものはいまのスーパーの戦略展開に入っていない、こういうふうな認識を持っておられるのか。スーパーなんかは、法律で決めると、必ずその法律に抵触しない盲点をついて出てくるのじゃないかと思うのですよ。実に巧妙にやってくるのじゃないかと思うのです。そういうところは、五百に下げたからといってそれで安心できないので、五百に下げると、また五百平米の範囲内、それ以下の中で戦略を展開する、そういうおそれが私は多分にあるのじゃないかと思う。  特に商調法改正の方でいわゆる特定販売——企業主義が抜けてしまうのと、特定品目の販売項目がなくなってしまう。そうなりますと、小さくても、五百平米以下でも十分企業戦略を展開することができるような余地を政府側が認めてしまうというような結果になりはしないかということを非常に恐れるわけであります。商調法ですと、いま申し上げましたように企業主義ですから、売り場面積にかかわりなく大企業進出というのは申し出の対象になったのですね。ところが、今度はならなくなる。野放しになる。ここに問題があると思う。  それから、同一町内あるいは同一地域内で五百平方メートル未満店舗二つ以上つくっていく。これは俗に双子店というかっこうで、道路をはさんだり駅をはさんだりして出している店舗が非常に多いわけですね。これを四百九十九でやりますと、一千平米近くなってしまいます。三つ出せば一千五百近くなってしまいますね。そういう形で、そこへ今度は品目を変えていけばいいわけです。A、B、Cとあったら、Aのところへは二十品目、こっちのBにはそれと異なった品目を三十置く、こういうかっこうでいけば戦略的には十分できるのじゃないか、土地ももっと安くなるのじゃないかと思うのです。そういうような形の進出の方法が出てくるのじゃないか、私はそう思うのです。そうなると紛争がまたひどくなる。そういうことは考えたことはありませんか。
  84. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  流通の場合はいろいろな店舗展開というのがあり得るわけでございますから、いまお尋ねのようなケースが絶対ないのかという御趣旨だとすると、これは私ども少なくとも現在までのところちょっと承知してはいないわけでございます。  ただ、一般的に私どもこの法律改正のときに考えましたときには、先ほど申しましたように、五百平米というのが顧客吸引力というものの一つのメルクマールとして考えられる、したがいまして、それ以下の場合につきましては、一般中小小売商に比べまして顧客吸収力に優位な差があるというふうにも考えられないし、また、従来の紛争実態からいいましてもそういったものがほとんどないというところから、少なくとも現状においては、届け出制をとる本法の対象とすることは適切ではないというふうに考えたわけでございます。  また、仮にそういったものが生じました場合には、先ほど中小企業庁長官からも御答弁がありましたが、商調法に基づくあっせん調停規定により対処することも可能でございますので、大店法商調法の両方の法律によりまして十分な対処ができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  85. 上坂昇

    ○上坂委員 十分対処できるだろうと考えているだけの話で、実際対処できるかどうか、実際に当たってみなければわからなくなってしまうのですね。そこで紛争のおそれというのが非常にあると私は思うのです。紛争がもし数多く起こった場合は、これはまた大変なことになってしまう。そこで、地方自治体がこれを規制をしあるいは調整を行うということが必要になってくると私は思う。  そこで、こうした場合には条例規制を置いて地方自治体の方でこれを取り締まることができるという条項を一つ加えるべきではないか、こう思っているわけです。それでないと、また地方自治体が負担をこうむってしまう。そういう考えはありませんか。
  86. 島田琢郎

    島田政府委員 条例でというお話がございましたが、私どもは、先ほど申しましたように、大店法のほかに商調法という体系もございますので、それを活用していけば十分対処できるというふうに考えておるわけでございます。
  87. 上坂昇

    ○上坂委員 条例で規制をしても私はいいと思うのですが、しない方がいいというふうに考えているのですか。
  88. 島田琢郎

    島田政府委員 現在、条例につきましては、基準面積よりもいまの千五百平米以下で条例を設けておるところが相当数あることは御承知のとおりでございます。五百平米以下を対象にしておりますのが十四市町村でございますか、ございます。今回の改正によりまして、一応私ども考え方を言わせていただきますと、先ほど申しましたように、五百平米以下の店舗につきましては、いまのところは商調法あっせん調停規定により対処し得るというふうに考えられますし、従来紛争の多かった五百以上につきましては、今回法律改正しまして都道府県知事がその調整に当たるということになったわけでございますから、大体今回の改正で対処し得るというふうになりましたので、現行の条例、要綱につきましては実態的な必要性は乏しくなったものと考えておるわけでございます。
  89. 上坂昇

    ○上坂委員 審議会を置く場合には、これは都道府県の自主性に任せるということで条例化をして置く。それと同じで、地方自治体といったって県もあるし市町村もあるわけでございます。これはどこが上でどこが下だということはないので、同格なのですが、市町村が実際に扱うこうした紛争について条例を定めることができる、こういうふうにすべきだと私は思うのです。それはだめだということなのかどうか、もう一度お伺いしたい。
  90. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  条例を定めることがいいか悪いかという議論になりますと、いかなる内容の条例を制定するかということとの関係抜きでは議論ができないわけでございますから、およそというかっこうでのお答えをするのは、どうも私どももできにくいわけでございます。ただ、申し上げられることは、今回の法律改正で一応カバーされたものにつきましては条例の必要性はなくなったということではないかというふうに思っております。
  91. 上坂昇

    ○上坂委員 五百平米以上のものについてはそういうおそれがないから、これは大店法で十分できるから必要がない。しかし、五百平米未満のものについては、いま言ったように、紛争のおそれは多分に出てくるわけでございます。先ほど申し上げたように、スーパーの戦略展開というのは、全くどこにどう来るのかこちら側がわからないように、これは商売でありますからそういうものが出てくる、そういうときに困るから、だから五百平米以下については市町村で規制をすることができるということを認めるべきじゃないですか。どうですか。
  92. 島田琢郎

    島田政府委員 条例を制定できるかどうかという点につきましては、これは都道府県の問題でございますから、それを私どもがそういうものは制定できないとかできるとかいう議論ではないわけでございますが、ただ、私どもの立場としましては、制定できるかどうかという議論ではなくして、現在の小売業調整につきましては、大店法商調法実態的に十分対処が可能であるというふうに考えておりますので、各自治体が個別に条例、要綱を制定することが果たして特に必要なのかどうかという点につきましては、私どもは、現在の状況からしますと、大体大店法商調法で対処し得るというふうに申し上げておるわけでございます。
  93. 上坂昇

    ○上坂委員 そうしますと、その点については、これは地方自治体の裁量といいますか自主性に任せる以外にはない、こういうお答えだと思うのです。ですから、三百平米、四百五十平米にするかどうかわかりませんが、地方自治体がやっても、そのことについては通産省としてはとやかく言えるものはない、こういう答弁だと認識していいですか。
  94. 島田琢郎

    島田政府委員 私どもといたしましては、繰り返して恐縮でございますが、実態的には今回の改正による大店法商調法で対処できると考えておりますので、そういう体系に類したかっこうで各自治体が個別に条例なり要綱を制定するということは必ずしも好ましいものではないというふうに考えておるわけでございます。
  95. 上坂昇

    ○上坂委員 好ましくないけれども、やればできる、こういうことですね。  私たち社会党は、今度の改正をする場合、抜本的な改正においては五百平米以上の店舗については許可制にすべきである、それから未満のものについては分野法の制度を導入して、そして調査申し出による勧告、命令を出せるようにすべきである、こういうふうに考えているわけなんですが、この点は実際問題としてはこの法改正には出てこなかったわけであります。そこで、基準面積による規制だけが今度の改正で存続をしているわけでありまして、大資本の出店規制する何物もないわけなんです。この大資本の出店というものを規制しなければならないのではないかというふうに思っているわけでありますが、その点はどうでしょう。  それからもう一つ許可制にしないで届け出制にするものだから、一千五百平米までは知事とか、それ以上は通産大臣だなんてめんどうなことをやらなければならなくなってしまうのじゃないかというふうに思うのです。どうせやるならば全部都道府県知事に任して、都道府県知事の許認可事項ということにした方がすっきりしていい。実際に先ほどの戦略展開から見ても、一般的な傾向は中小都市の方にどんどん向いてきているということが言われているわけでありますから、その方が実情に即していると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  96. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  最初に、いわゆる企業主義と申しますか、そういったものを導入して規制する必要はないかというお尋ねでございますが、御承知のように、大店法はそうじゃなくて、面積主義を採用しているわけでございます。なぜ面積主義をとっておるかという点につきましては、私どもは、一般的に大きな店舗面積を有する建物における小売業というのが、店舗全体として見ました場合に、やはりそこが品ぞろえが豊富である、あるいはワンストップショッピングの機能を持つというような意味で、大きな店舗面積を持つということが大きな顧客吸引力を有する、したがって、周辺小売業事業活動に大きな影響を与える蓋然性があるというふうに考えられるに対しまして、小型店舗の場合では、それが仮に百貨店等の大企業が経営する場合でありましても、その影響というものは、それほど広範な地域に影響を与えるものではないというのが一般であろうかと思います。また、従来の実績から見ましても、問題となったケースがほとんどないわけでございます。そういった状況からしまして、中小小売業保護という本法の目的につきましては、こういった面積主義というのが妥当であろう、また、面積主義をとることによりまして、百貨店法時代に問題になっておりました脱法というものも防ぐことができるというふうに考えているわけでございます。  この点につきましては、今回の中小企業政策審議会と産業構造審議会意見具申の中でも、「小売業事業活動調整に当たっては、中小小売商に対し影響が生ずる蓋然性が基本的には店舗面積の大小に依存することから、店舗面積に着目して調整すること。」というような指摘がなされているわけでございまして、私どももその考え方に従っているわけでございます。  それから、なぜ通産大臣都道府県知事二つに分けているのか、こういうお尋ねでございますが、小売商業調整の問題につきましては、一方では流通近代化施策との整合性にも配慮しなければいけませんし、また、最近の傾向としまして、広域な影響のあるような店舗展開というようなものも見られますところから、全国的な視野に立って調整を行う必要性が高いというふうに考えております。また一方では、小売業というのが地域的な性格が強くて、先ほどもお話がございましたが、いわゆる商業施設というのは都市機能の重要な一翼を担っているというような点を考えました場合に、地域政策的な観点というものが必要になってまいるわけでございます。したがいまして、比較的大規模のものにつきましては通産大臣調整する、それより規模の小さいものにつきましては都道府県知事調整する、それから、大きなものにつきましても、都道府県知事経由、意見を述べるというかっこうで、地方自治体の関与も強めるというかっこうで調整をとるというようなシステムにしたわけでございます。
  97. 上坂昇

    ○上坂委員 先ほど出しました七条一項のおそれの有無の審査基準というものですね、これは今後も生きてくるのかどうか。  それから、この中に入っている大型小売業者は一千五百平米以上の店舗を有する小売業者、こうなっておりますが、これはそのまま生きてくるわけですか。
  98. 島田琢郎

    島田政府委員 今度の改正法を成立させていただいた場合、その施行に当たっては、一応従来の運用通達等々については見直しをいたしたい。ただ、どういう結果にするかは別にしまして、一応検討はいたしたいというふうに思っております。
  99. 上坂昇

    ○上坂委員 見直しをするということでありますが、見直しをする場合、面積規模だけでなくて、いわゆる企業規模、それから市場の占有率、こういうものを勘案する必要があるだろうというふうに思うのです。基準を一千五百平米にするか、一千平米にするか、その辺は五百平米との関係で決まってくると思いますが、やはり店舗を全国的に五店舗なら五店舗以上持っているという者については、これはいわゆる大型の小売業者、こういうふうな形のものでこれはひとつ検討をしていただきたい。  それから、大型小売店の場合は、いま行われている戦略というのは、人口増加地域、それから地域の開発予定の地域、あるいは区画整理の実施されている地域、こういうようなところに出ていくわけでありますね。これらの地域に必ず問題が将来起こってくる。そこで、どういう基準になるかわかりませんが、大型小売業者、特にナショナルスーパー、ナショナルチェーン的な企業に対しては、これは最初から一体どのくらいまで拡張をするのか、年次別で出店はどのくらいの計画があるのだ、このくらいのことを先に出させておくことが紛争解決を図るに非常にいいし、それから、先ほどから問題になっているいわゆる都市機能といいますか都市計画といいますか、そういうものと非常に関連をしてくるわけでありますから、これからの将来の国土計画あるいは生活圏構想とか何かいろいろあるわけでありますから、そういうところに資するためにもこうした出店計画というものが必要になってくる、これを出させておくことが必要だ、私はこう思っているわけでありますが、その点について考えを述べていただきたいと思います。  それからもう一つは、面積で二万平米あるいは四万平米というところが新しいニュータウン等のところに進出する、こういうようなことが出てくるわけでありますが、その場合には単に建物の面積だけで抑えるのじゃなくて、やはり駐車場なんかもその中に入れて、そして抑えていくということが必要じゃないかと思うのです。本当のところを言うと、一千五百平米あるいは二万平米にしても、駐車場で抑えていくと、それは非常に中小企業に与える影響を少なくしていくことができるのではないかと私は思っているわけであります。この辺についてはいかがですか。
  100. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  最初の大型店出店計画の将来計画をあらかじめとっておくということにしたらどうだろうかという点につきましては、大店法の行政としてそういうかっこうにし得るかどうかというのは、私は、いまの大店法のシステムからいいますと、それとの関係で考えるというのは非常にむずかしいのではないだろうかというふうに思います。ただ、将来のわが国の流通というものを考えた場合に、一体各流通業態のものが将来どういうふうに発展していくあるいはどういうふうな傾向をたどっていくだろうかということにつきまして勉強することは当然必要であろうと思いますので、なお私どももいろいろ検討、勉強させていただきたいというふうに思います。  それから、駐車場の問題についてでございますが、一応先ほど申しましたように、現在の大店法におきましては建物の店舗面積に着目して規制をしているわけでございまして、その理由は、るる申し上げましたように、店舗の顧客吸引力というものが基本的には店舗面積の大小で決定されるという考え方によっておるわけでございます。いまの駐車場につきましても、確かに顧客吸引力を左右するという点もあり、これを規制対象に加えるべきではないかというようなお考えかと思いますけれども、その辺につきましては、たとえばエレベーターとか食堂とか娯楽施設その他店舗の併設施設というものとの関係等々考えますと、それと同じような意味で顧客吸引力との因果関係というのはやや間接的になるわけでございまして、駐車場のみを取り上げまして店舗面積に加えるというようなことは、いかがであろうかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  101. 上坂昇

    ○上坂委員 エレベーターなんかは建物の中に入ってしまうわけです。それから、娯楽施設なんかは大体入るのが普通であります。ただ、表の駐車場の場合には、建物をつくって雨にぬれないようにするわけじゃありませんから、ここは非常に自由になって、ここのところを大きくすればするほど、吸引力というものは大変なものになるわけですね。ですから、その点については今後ひとつ十分検討していただきたいと思うのです。これはそういう検討はしませんか。
  102. 島田琢郎

    島田政府委員 この駐車場の問題につきまして一言申し添えておきますと、ただ個別のケースを考えます場合に、ある店が出店する、その場合に、周辺中小小売商にどの程度影響を与えるかということで調整が行われる場合につきましては、そういった駐車場のあるとかないとかいうような問題、もちろんそれだけじゃございませんが、そういうもの全体を含めまして、総合的に当該大規模小売店舗周辺への影響というようなものがいろいろ議論されるわけでございますから、そういった現仕組みの中で中小小売業事業活動を確保していくということができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  103. 上坂昇

    ○上坂委員 前へ進みます。  この七条で、三カ月以内の変更勧告を四カ月に一カ月延ばしたですね。この理由と、それでどのような効果を予想しておられるのか、この点について一点。  それから、先ほど問題になりました店舗面積について「減少すべきことを勧告」というのを「削減すべき」というふうに改めた理由でありますが、これは先ほどお話がありましたように、全部または一部という形でありますが、この全部といった場合には、五百平米のところまでで、あとのところはもう五百平米以下ならば、これはもう構わないのだ。ですから、まあ六百平米出しても、四百九十九平米であるならば、これはもう構わなくなっちゃう、こういう意味なのですか。
  104. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  最初の、変更勧告の期間を三カ月から四カ月にした理由は何かというお尋ねでございます。  今回の改正でそういうような改正にいたしておるわけでございますが、これは最近の大規模小売店舗出店規模が大型化している、あるいは郊外出店の増加というようなことから、周辺中小小売商に及ぼす影響も非常に広域化している、あるいはその影響も複雑化している。それからもう一つ都道府県知事意見も十分考慮する必要があるというような点から、審査に長期間を要しますので、現行の勧告期間をさらに一カ月延長するということにいたしたわけでございます。  それから、いまのお尋ねでございますが、もう一度繰り返して申し上げますと、いまの店舗面積に関する勧告の限度でございますが、法律的には、周辺中小小売商事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあると認めたときは、それを除去するために必要な限度内であれば特に制限はないというふうに考えておりますので、極限としては、個別小売業者の店舗面積をゼロにすることも可能であるというふうに考えております。  五百平米との関係でございますが、建物全体として見ました場合には、五百平米を超えるものが今回の大店舗の二種あるいはもっと大きくなれば一種ですが、直接的には二種になるわけでございます。したがいまして、建物面積全体として五百平米以下になりますと、これは大店舗法上の届け出を要しないものになりますので、それはもし問題があるとすれば、商調法の方の体系であっせん調停というかっこうで処理されるべきもの、こういうことになろうかと思います。
  105. 上坂昇

    ○上坂委員 ところで、現在も紛争はとどまらないで、ずっと続いているわけでありますが、現在紛争中の出店計画については、今度の法ではどういうふうに措置をとられるのか。特にダイエーの熊本店の進出問題については、これは商調協がゼロ回答をしているわけです。こういうものに対してはどのような措置をとるべきだとお考えなのか、お答えをいただきたい。
  106. 島田琢郎

    島田政府委員 いまの熊本ダイエーの件につきましては、経緯は繰り返して改めて御説明いたしませんが、現在地元の商調協で、審議が行われている最中でございます。私どもといたしましては、その動向を注視している段階でございまして、商調協で公正妥当な結論が出されることを強く期待をしておるというのが現在の状況でございます。
  107. 上坂昇

    ○上坂委員 一般的な紛争については……。
  108. 島田琢郎

    島田政府委員 現在、一般的な紛争の案件につきましては、これは先国会におきまして国会で決議もなされております。したがいまして、そういった決議の趣旨も受けまして、現在の大店法趣旨にのっとって円満に紛争調整されるように指導をするという方針で今後ともいくつもりでございます。これがいまの段階でございますが……。
  109. 上坂昇

    ○上坂委員 そうしますと、いま駆け込み出店なんか大分あったわけでありますが、二万平米なら二万平米あるいは一万五千平米というのが人口一万か二万のところへも出店計画を出しているわけです。そこで紛争が起きているという場合には、これはぎりぎり縮めちゃって五百平米まで縮めることができる、こういうふうにするわけですか。この法律はいつから改正されるかわからないけれども、それまでの経過の措置として、第一点どうするか。  それから、この法律が成立をしたら、その時点で、いままでの紛争も一切含めて、先ほど申し上げましたように、五百平方メートルまで縮めることができるのだ、こういうふうに考えていいですか。
  110. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  この法律が施行になるまでは現行法が生きておるわけでございますから、現行法では千五百平米、あるいは政令都市につきましては三千平米というのが基準面積になっております。したがいまして、いまお尋ねのように、それを五百平米まで削減するというような調整は、現行法ではできないわけでございます。  それから第二点の、法律が施行になった段階ではどうか。解釈は先ほど申し上げたとおりでございます。問題は、個別案件に即しまして、実際にそういった大規模小売店舗店舗面積というのが、あそこの七条の要件に書いておりますような事項を勘案しまして、周辺小売事業者への相当程度影響を及ぼすおそれがあるかないかという判断をして対処をしていくということになるわけでございます。
  111. 上坂昇

    ○上坂委員 それじゃ次に、第五条の届け出について質問をいたしますが、施行規則の第七条で、一つは、株式会社では株主の氏名、名称、持ち株数、二番目に、当該店舗の配置、三番目に、主として販売する物品の種類、四番目には、物品の種類ごとの販売額の予定、五番目に、兼営する事業の概要、こういうものを提出させる、こういうことになっておるわけですが、これを提出させていままでどういうふうな参考にしたのか、その点を御説明いただきたいのです。  それから、この届け出提出させた場合には、この提出をした方の大店舗側が、この内容について、届け出たものについてどの程度まで守る義務があるのか、義務というよりも社会的な責任のようなものだと思いますが、その点についてはどういうふうに考えておられるのか。まあ、こういうものは参考だから、出させても、後、内容を変えることは勝手なんだ、こういうふうに考えるのかどうか、その辺についてお答えをいただきたい。
  112. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  再々申し上げておりますように、大店法は、大規模小売店舗の吸引力により買い物客の流れが変わってくる、それで中小の小売業者が影響を受けるというような場合に、それを調整の対象にしておるわけでございます。したがいまして、特定の物品の販売業者間の事業活動調整を目的にしていないということでございます。したがいまして、販売商品とかあるいは営業形態というものは、法律上の届け出事項には含めさしていないわけでございます。  ただ、販売商品、予想売上高等につきまして実際にこの添付書類で七条でとっておりますのは、周辺中小小売商に対する影響の及ぼし方にそういったものが密接に関係しておりますので、届け出の添付書類として調整を行う場合に一つ判断材料としておるわけでございます。したがいまして、添付書類に記された事項につきましていわゆる法律上の遵守義務があるということにはなっていないわけでございます。  じゃ、実際にそれがその後変わった場合どうなるのかということでございますが、これにつきましては、一般にその小売業における業種が変わったという場合に調整手段としてどういうようなことがあるかということになるわけでございますので、商調法十五条のあっせんあるいは調停というようなことで対処をしていくということになろうかと思います。
  113. 上坂昇

    ○上坂委員 藤沢市で、志澤デパートというところが倒産というか経営が行き詰まってしまった。そこで、西武グループがこれにてこ入れをして、五十三年の二月に三条の申請を行ったわけであります。すでにこれは店舗ができておって、それを引き受けるわけでありますがね。面積は一万一千平米ですね。地下二階で地上八階の建物なんです。当初五条申請のときには、通産省の指導によって商工会議所に提出をした資料について、六階の部分については呉服、寝装具というふうになっておりまして、これが千三百七十一平方メートルになっていました。こういう説明をしていた。したがって、それについては四月の事前商調協では了解をしまして、そして五月に五条の申請を受け付けたわけであります。ところが、六月末になっていざ開店をするという段階になりますと、この呉服、寝装具売り場がすっかり変わってしまって、書籍売り場八百二十五平米を設置するという通告が来たわけであります。  そこで、地元のいわゆる書店業界は非常に驚きまして、これに対してクレームをつけているわけでありますが、この西武の西友ストアーの書店面積は、現在の藤沢市の書店の組合加入三十五店、売り場面積二千四百平方メートル、実にこの三〇%に達するわけであります。したがって、これは非常に大きな影響を持つということであります。  デパートの場合、御承知のように、書籍というのは人寄せになるし、それから目玉商品にもなる。価格はどこで買っても同じものだ。したがって、どこのデパートあるいはスーパーでも書店を設けるような傾向にきている。  この点を考えた場合に、この事前の商調協に提出した売り場の構成、その内容が営業開始時では違ってくるということになりますと、商調協の判断というものが間違ってしまうというふうに思うのですね。この判断を正しくしなければ紛争というのが起こってくるわけでありますから、紛争をなくすという場合には、やはり正確な資料で、その提出した資料に基づいて営業を開始するということが、いわゆる大型小売店とそれから中小零細小売業との共存を私は促進するものだと思う。それをなくしてしまうということは、非常にこれは問題があるのではないかというふうに思うのですね。こういうやり方をされてしまいますと、これはどうにもならぬ。  そこで、いわゆる売り場の内容、それから取り扱う商品、これは非常に重要な役割りを果たしてくると思うのです。面積でばかり規制をされるようでありますが、実際に周辺小売業が困るのは、同じような品物を安く売られたり、あるいは大変な宣伝力を駆使してこれを売られたり、それから非常に便利でそこで子供まで預かるような、あるいは冷暖房完備というようなところで同じ商品が扱われるというところに一番困る問題があるわけです。商店街にはいろんな種類の商店があるわけですから、一つ一つの商品そのものが当然問題になってくる。そこが競合の問題になってくるのです。単に売り場面積が小さくなれば何を売ってもいいのだという形だけでは、これはおさまらない問題が出てくると思うのです。  したがって、私は、どうしてもこの販売品目についてもきちんと規制をしていくというかっこうのものにしていくか、あるいはまた届け出た販売品目については内容を変更したり何かしない、よくよくのことでなければ変更ができないというような形の制限をやはりすべきではないか、こう思うわけですが、その点はいかがですか。
  114. 島田琢郎

    島田政府委員 いまのお尋ねの点につきましては、要するに個別の物品ごとのところまで含めて規制をしたらどうかという御趣旨かと思いますが、若干繰り返しになって恐縮でございますけれども大店法の場合には、要するに全体としての一つの売り場の大きさというものが吸引力の点ですぐれている、それが中小小売業の経営に影響を及ぼすという蓋然性というものに着目して構成されておるわけでございます。  一方、いまお尋ねのようなかっこうでやるといった場合に、個別にやっていくとしました場合、たとえば総合小売業のような場合ですと、物品の売り場ごとに調整をやったといたしましても、消費者の需要の動向の変化に応じましていろいろ経営の方としてはそれに対応していく必要がございます。したがいまして、それを完全に固定してしまうということになりますと、最近におけるその時に応じた消費者の需要、好みに応ずるかっこうの商品の配置というのができないということになりますし、それからまた、最近はどちらかといいますと、店舗内の売り場構成というのがいわゆるニーズ中心になっておりまして、物品の種類ごとに売り場を設けるというかっこうから変わってきておるというような状況でございますので、物品ごとに面積調整していくというようなかっこうは厳密にはむずかしいのではないかというように考えております。  ただ、添付書類といえども、実際に出されたものにつきましてはなるべく正確なものを出されるのは当然のことでございますし、そういうことでなければならないというふうに思っております。  現実に藤沢のケースにつきましては、いまお話しのようなケースがあったわけでございますが、これにつきましては当省も行政指導を行いまして、商店店舗組合との間で話し合いを行わせて解決をするというようなかっこうにしたわけでございまして、問題が実際に起きた場合にはそれに即して現実的な対処をしていく、それで、先ほど申しましたように、法律的には商調法規定が活用できるというふうに考えておるわけでございます。
  115. 上坂昇

    ○上坂委員 藤沢の西友ストアーの場合ですが、いわゆる書籍売り場を設けたわけでありますが、これが八百平米以上なわけですね。そうしますと、五百平米以上の売り場になりますね。そうすると、建物の中に入ってしまっているから販売品目を変更してももうどうにもならない、こういうことになってしまうと、いまあなたが商調法の方ではこれは取り締まることができる、こう言ったけれども商調法の方では企業主義がなくなってしまって、特定販売事業に対する届け出も削除されてしまうわけでしょう。そういう発想でしょう。そうしたら、これは持って行きどころがないではないですか。どうにもならぬではないですか。そうしたら、野放しで、これでははち巻きでも締めて反対をするしかない、こういうことになってしまう。そんなことやったって、建物がつくられて、その中が変更されて、そこに一千五百平米を持とうと二千平米の書籍を持とうと構わない、こういう矛盾が出てくるのではないかと私は思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  116. 島田琢郎

    島田政府委員 いま私が商調法と申し上げましたのは、商調法あっせん調停規定でございまして、これを活用し得るのではないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  117. 上坂昇

    ○上坂委員 そうした場合にはこれが活用ができるのですか。具体的にはどういうふうにやるのですか。
  118. 左近友三郎

    左近政府委員 商調法の十五条は、今回御審議願っております案でも、十五条の三号で、「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関し、その者と中小小売商との間に生じた紛争」ということについてはあっせん調停の対象になるということでございますので、大企業がやりますいまのような販売について、周辺中小小売商との間のトラブルについてはやはりあっせん調停の対象になるということで、この部分では企業主義が残っておるというふうにわれわれは解しておるわけでございます。
  119. 上坂昇

    ○上坂委員 そこでは間違いなく企業主義が残っておるわけですか。企業主義は全部排除してしまうというところで、今度は企業主義が出てきたり、どうもその辺が明確でないものだから心配してしまうのですよ。われわれが心配するようなことのないような法律をつくってもらうことが必要だし、そういうようなおそれのないような形でやるところに整合性というものが出てくるのではないかと思うのです。商調法では企業主義を廃止してしまって、特定物品の販売まで廃止するようなやり方だが、こっちではちゃんと残っているんだ。ところが、大店法ではもう最初から企業主義というのは入ってないわけですね。そうしますと、企業主義商調法の中に残されている、こういうことなんですか。
  120. 左近友三郎

    左近政府委員 あっせん調停に関しては、企業主義が残っておるということでございます。
  121. 上坂昇

    ○上坂委員 それでは、どの条文のどの条項だということを、もう一度きちんと指摘してください。
  122. 左近友三郎

    左近政府委員 商調法の十五条でございまして、本文といたしましては、「都道府県知事は、次の各号の一に掲げる紛争につき、その紛争の当事者の双方又は一方からあっせん又は調停の申請があった場合において、物品の流通秩序の適正を期するため必要があると認めるときは、速やかに、あっせん又は調停を行うものとする。」ということでございまして、その各号が並んでおりますが、その第三号に、先ほど申しましたように、「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関し、その者と中小小売商との間に生じた紛争」ということが挙げられておりまして、いまのようなスーパーというようなものはやはり中小小売商でございませんから、そういうものと中小小売商との間に生じた紛争についてはこの十五条が生きておるということでございます。
  123. 上坂昇

    ○上坂委員 はい、了解。  そうすると、いまの問題については、これは都道府県知事あっせん調停の問題である、したがって、そこへ申し出をすればあっせん調停を受ける、こういうことになるわけですね。  そこで、次の問題に入りますが、いま言ったように、あっせん調停ができるという形のものを、これはきちんとどこかでしておく必要があると思うのです。  そこで、第五条の届け出に関して、施行規則の第六条というのがあるわけですね。その中に、さっき言いましたように、「主として販売する物品の種類」というのが入っているわけですね。この施行規則も見直す必要があるだろうと私は思うわけであります。その場合に、これは何とかここで、大店法の中に入れられないとしても、実際に競合するのは小売業者の販売品目なんだから、その販売業者の競合する販売物品については、これは出店を審査したりあるいは届け出を受理したりするときの一つの要件である、こういうふうにきちんとしてもらいたいと私は思うのです。それでないと、やはりどうしても不安が生ずるわけです。その点に対するお考えをひとついただきたい。
  124. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、大店法での調整考え方というのは、あくまで要するに売り場面積というものに着目いたしまして、その面積の大小というものが顧客吸引力の大小という点になってくる。それで中小小売業の経営に影響を及ぼすおそれがあるかどうか、こういう判断をしていくわけでございますので、いまの個別物品についての調整を行うという考え方は、大店法ではやはりどうしてもそこはとり得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、実際に全体としての影響があるかどうかという判断をする場合に、そのお店がどういった事業活動をやっていくかということを考えて判断をするわけでございますから、その考える際に、そういう点にも配慮をして運用をしていくということになるのではないかというふうに思うわけです。
  125. 上坂昇

    ○上坂委員 前へ進めますが、いまの点についてはひとつ今後前向きで検討してもらうように要望をいたしておきます。  そこで、第九条の閉店時刻と休業日数についてでありますが、最近、ナイトスーパーなんというものが出てきている。これはアパート街であるとか、共かせぎ世帯、それから夜間勤め人の多いようなところに出てきているわけでありますが、こういうものがどんどん出てくるということになりますと、これは問題になるわけですが、この点はどういうふうに今後取り締まっていかれるのかということと、それから、閉店時刻と休業日数について非常にトラブルが出ているわけであります。したがって、このトラブルをなくするようにするのにはどういうところに基準を置いていくことが必要なのかということについてお伺いをいたしたい。
  126. 島田琢郎

    島田政府委員 閉店時刻、休業日数の問題につきましては、大店法の九条に規定があるわけでございます。この法律の立て方といたしまして、閉店時刻、休業日数につきましては、省令で定める時刻以後あるいは省令で定める日以下の休業日数という場合には届け出をして、その届け出に基づいて、閉店時刻あるいは休業日数が周辺中小小売業事業活動に相当程度影響を及ばすおそれがあるかどうかということを審査をして、必要があれば勧告、命令をするという体系になっているのは御承知のとおりかと思います。したがいまして、そういうかっこうで個々の事情に応じまして商調協での検討を経て行っておるわけでございます。  閉店時刻、休業日数の問題につきましては、いろいろの業態、地元商店街実情あるいは立地場所等々いろいろな関係でなかなか一律には議論しがたい面もございます。したがいまして、そういった点を考慮しながら現在七条で個別に審査をしているということでございます。
  127. 上坂昇

    ○上坂委員 閉店時間を何時にするか、あるいは休業日数一年に幾らをとるかというようなことについてはまだ固まっていない、こういうことですか。
  128. 島田琢郎

    島田政府委員 どのような閉店時刻あるいはどのような休業日数というのが望ましいかというようなものになりますと、先ほど申し上げましたようにいろいろな点を考慮しなければなりませんので、慎重に検討する必要があろうかと思います。
  129. 上坂昇

    ○上坂委員 次に、商調協についてお伺いをいたしますが、百二十三号という通達がありますね。これは「商業活動調整協議会の運用について」ということであります。この商調協がやらなければならない仕事というのは、先ほども出ましたが、なかなかむずかしいわけですね。「当該届出都市(商圏)と類似都市(商圏)の人口・店舗面積比の比較」、あるいは「届出対象都市及び届出対象商圏の人口動態、小売売上高の動向、購買力の増加見込み等」、三番目には、「周辺の中小小売業者に及ぼす影響程度と対応策の有無」、それから、「周辺の消費者等にもたらす便益の程度」、五番目には、他の大規模店の配置と小売業現状、こういうことを調査をしなければならないので、これを審議をする場合、大審の方では商調協にかけて、商調協は三週間以内にこれを出す、こういうことになっておりますね。それから、先ほど問題になったBグループについては二週間以内に提出しろ、こういうことになっておるわけでありますが、これは地域の商調協の力、それから商調協に出ている人は、一般消費者あるいは学識経験者もおりますが、小売業者の代表とかという人たちが出ているために、こうしたものを調査をするということは非常に困難だと思うのですね。三週間以内や二週間以内でこういう意見が一体提出できるものかどうかというところに私は疑問があるわけです。そういう点は先ほども指摘をされていたところだと思うのです。  それからもう一つ、これは周辺実態調査をやるということになれば、ここでもやっぱりかなり金がかかるわけですね。これがなかなかできないものですから、結局のところ、いわゆるスーパー、大型小売店の調査にかなわない、こういう問題があると思うのです。  こういう調査が行われるようにするのにはどんなふうな配慮が必要なのか、通産省としてはどういうふうな措置をとるべきなのかということについて、お考えをお聞かせいただきたいのです。
  130. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  審査の期間が短いではないかという点が一つかと思いますが、これにつきましては、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、できるだけある程度早目から実際上地元関係者での話し合いというようなものが行われるということも必要であろうかと思いますので、ただこれが余りに長くなるというのは片方で問題がございますが、そういった点も考慮しながら、どういうような運用をしていくかということを考えたいというふうに思っているわけです。  それから、いまのいろいろな資料の問題でございますけれども、いろいろな実態調査につきましては、もちろん今後ともどういうかっこうでやっていくか十分検討しなければなりませんが、現在でも、たとえば商工会議所とかあるいは地方自治体等でもいろいろな地域の商業実態調査というようなものも行われるようにだんだんなってきておりますので、そういった資料も大いに活用していくということも考えたいというふうに思っておるわけでございます。
  131. 上坂昇

    ○上坂委員 この商調協は会議所に設置されることになるわけですね。そして委員会議所の会頭とかあるいは商工会の会長が委嘱することになっているわけですね。この会議所等によって委嘱をされるということよりも、都道府県知事とか市町村長が委嘱をするようにした方がいいんじゃないかと私は思うのです。  というのは、どうもあっちこっちの実態を見ますと、商工会議所の会頭は大型店進出には大体賛成なんですね。そしてその下にいる人たちが皆反対なんですね。そういう傾向がほとんどなんです。まあごく小さな町で商工会の会長がみずから反対の先頭に立っているという例もありますけれども、大体は先ほど言ったような状況なんです。ですから、どうも商工会議所の置かれている状況と、それから利害関係といいますか、そういうものと商調協のところとの間が食い違ってきている点が多いので、私は、会議所の会頭や商工会の会長に任せるんじゃなくて、これはいわゆる地方自治体の長が委嘱するようにしてはどうか、こう考えているわけでありますが、その点について御意見をいただきたいと思います。
  132. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお尋ねの商調協の委員の構成の問題でございますが、これは御案内のように、通達によりまして、商業者、消費者、学識経験者の代表のうちから、相互に均衡のとれるように考慮して選定するというように指導をいたしているわけでございます。また、小売業者あるいは消費者等各層を代表する委員につきましては、そういった人たちの総意を正しく反映するように留意するというように指導をしているわけでございます。  ただ、そうは申しましても、実際になかなか現実にはむずかしい問題もあるわけでございますが、この点につきましては今後とも一歩一歩改善の努力を積み重ねていく必要があろうかと思います。具体的にどういうふうにしていくかという点についてはなお検討をする必要があろうかと思いますが、ただ、この商調協というのは商工会議所あるいは商工会に置かれるわけでございますから、任命につきましては、やはりその商工会あるいは商工会議所が任命するというかっこうにはなるのではないか。ただ、それを人選についていかにチェックしていくかというようなことをさらに検討する必要があろうかというふうに思うわけでございます。
  133. 上坂昇

    ○上坂委員 都道府県に置かれる審議会というのは、これは都道府県の自主性に応じて条例なり何なり設けてやれるということになっておるわけですから、商調協についてもこれは同じ方式をとったらいかがですかね。その点いかがですか。
  134. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えします。  もしお尋ねのようなかっこうになりますと、むしろ商調協ではなくして、審議会の何といいますか部会と申しますか、そういったようなかっこうに構成としてはなるかと思います。私ども考えておりますのは、やはりその地域の商工業者の団体である商工会あるいは商工会議所の意見を聞く、その意見を聞くに際して公正にその意見が形成されるようなシステムということで商調協というのは考えておるわけでございますから、それはそういう観点からしますと、先ほど私が申し上げましたような構成になるのではないかというふうに思うわけでございます。
  135. 上坂昇

    ○上坂委員 この商調協の運用について、先ほど言ったようないろいろな調査をやらなくちゃならぬわけですね。こういう調査があるので、これは大変なわけであります。そこで私は、いま言ったようなこういう調査もやらなければならないということになると、商工会議所だけで委任をしたりなんかしても、これは一方的になってしまうからもっと検討すべきだ、こういうことを言っているわけでありまして、その点については時間がありませんからなお質問いたしませんが、ひとつ検討していただきたいと思うのです。  最後に、商調法の問題についてお伺いしますが、この第一条の二の一、小売商定義、それから二項、三項と、こうなりますが、特に三項ですね、これは全文削除されておるわけです。なぜこれは削除になったか。  それから第三条ですね、第三条の許可事項をなぜ届け出事項にしたか、この二点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  それから、第四条と第五条も削除になっているわけでありますが、小売市場の場合、一つの建物であって、その建物内の店舗面積の大部分が三十平方メートル未満店舗面積に区分されている、それが十以上の小売商店舗の用に供される、こういうふうに今度変わったわけでありますが、先ほどの答弁では、大体いまの市場の構成というのが三十平方メートル未満、その程度のものだからこういうふうにしたのだ、こういうわけでありますが、今度はこうした三十平方メートルなら三十平方メートルというものをぴちんと出したということは、どういう理由があるのでしょうか、この辺について御説明をいただきたいと思うのです。
  136. 左近友三郎

    左近政府委員 まず最初に、商調法の一条の二の第三項を削除した理由から御説明申し上げます。  本件につきましては、特定物品販売事業の調整に関する規定が昨年挿入されましたときに、それに必要な大企業者の定義を定めたわけでございますが、今回大店法改正によりまして、五百平米を超えるところまで基準面積引き下げられましたので、この特定物品販売事業に関する規定を削除することにいたしました。そういたしますと、大企業者という定義も必要がなくなりますので削除したということでございます。  それから第二点の、三条の許可制届け出制にしたという理由でございますが、これについては、いま申しましたように、大店法改正でこの基準面積が大幅に引き下げられまして、それによって調整の対象が拡大されました。そういたしますと、従来商調法小売市場に関する規制の目的といたしておりました周辺の中小小売業者との商業調整という点では大店法で行うことができるということになりましたので、今後は小売市場に対する規制につきましては、当初からの目的のもう一つの目的でございました小売市場に入居しております零細な中小小売商業者の保護というもの、いわゆるテナント保護というものを残していくことにしたわけでございます。そうしてその分を残しますと、これは他の類似の法制との均衡から見まして、許可という厳しい制度でなくても、貸付条件等につきまして届け出をし、必要があれば勧告をするという制度で十分ではないかということで、こういう形にいたしたわけでございます。  それから第三点の、三十平米というものを取り上げた理由でございますが、いま申しましたように、小売市場規制についての規制目的を零細な中小小売商業の保護、つまり入居テナントの保護ということにいたしますと、どこかで零細というものの線を引かなければいけないということになったわけでございまして、その点をはっきりさせようということで、現在の小売市場の中で約七割くらいをカバーし得る程度ということで、まあ三十平米という数字を考えて、これで抑えれば小売市場の目的、つまりテナント保護という目的を達するには十分であるということで、この三十平米という数字を出したわけでございます。
  137. 上坂昇

    ○上坂委員 時間がありませんから、もう一点だけお伺いしますが、五百平米に下げたから大丈夫だと、こう言うのですね。ところが、たとえば二十九平方メートルで十一店入れたとします。そうすると、これは三百十九平方メートルになるのです。そうすると、五百平米以下ですから、これはもう野放しになっちゃうわけですね。野放しになっちゃうと、既存の小売市場との競合関係というやつがやはりあちこちに出てくるんじゃないか、そういうおそれがまたあるわけです。市場ができないということは、これは必ずしもないのであって、五百平米以下ならば幾らでもつくっていいというようなかっこうになっていれば、これは小売市場をどんどんつくることができるわけです。  特に小売市場の場合には、むしろ不動産業者が市場をつくって、その中にテナントを入れて、そしてそこから高い権利金を取ったり、それから借地料を取ったり、いわゆる賃貸の非常に高いのを取ったりしているわけですね。そういうものがどんどんできたら、これはもう今度は市場同士の問題になってくる、そういう問題が出てくると私は考えざるを得ないわけですね。そういうことを防ぐためにはどうしてもやはり許可制にしないと、届け出制にしておけばこれは防ぐことができないわけでありますから、この辺のところを非常に心配をするわけであります。そういう心配がないというふうに考えておられるのかどうか。私はあるだろう、こう思っておるわけであります。  それからもう一つは、調査申し出団体の中に、むしろこれは届け出制でなくて許可制にして、そして小売市場の協同組合なんかもやはり加えていく。先ほどもこの点は出てきたと思いますが、そういうことによって過当競争を防いでいくということの方がむしろこの法律を生かすことになるのではないか、私はこう考えますが、長官、いかがですか。
  138. 左近友三郎

    左近政府委員 小売市場が今後もどんどんふえて、その辺の過当競争についてどう措置をするかというふうな御指摘でございますが、これにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、五百平米を超えるものについては大店法の適用があるわけでございますが、現在新設されます小売市場につきましては、ほとんどが五百平米以上というような現状でございますので、われわれといたしましては、その現状から見て、この大店法規制範囲の拡大ということで、大店法の措置でその調整は行われ得るというふうに考えておるわけでございます。  それから、後段のお尋ねでございますが、実は今回提案をしております政府案では、例の特定物品販売業に関する調整規定を削除いたしておるものでございますから、御指摘についてはどうかというお答えをいたしかねるわけでございますが、もし仮にそういう現行法のような調整をやっておる場合に、現在の申し出団体範囲を拡大する必要があるかどうかというふうな点を考えてみますと、それについては、現在の規定で十分であるかどうかということについては検討の余地があろうかというように考えております。
  139. 上坂昇

    ○上坂委員 時間が来ましたから私はこれで終わりますが、どうも五百平米以上がほとんどだからと——いまの時点ではこれは五百平米以上がほとんどでしょうけれども、さっき言ったように、これは五百平米以下のものをつくることができるわけでありますから、その点について十分検討されて対処されることを希望しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  140. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 午後二時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  141. 橋口隆

    橋口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  142. 中村重光

    中村(重)委員 私は、午前中しばらく別の委員会の方へ行っておりまして、こちらへおくれましたから、同僚委員質問と若干重複するところが出てくるであろうと思いますが、その点はあしからず御了承いただきます。  五百平米までを調整の対象とした理由については、審議会の答申がそうであったからといったようなお答えであったようでありますけれども、その提案者である通産省としては、積極的な理由というものがなければいけないと私は思う。だから、あなたの方で全く諮問がないのに審議会が独自の考え方で答申を出したということには考えられない。  やはり第三次産業というのが不況の関係もありまして非常にふえてきている。雇用も同様に製造業から第三次産業の方へ移ってきているわけですね。それは過当競争となり、倒産というものも、円高不況の関係だけではなくて、申し上げたように過当競争その他の関係によって非常に増加している。今後ともそうした傾向は相当強まるであろうというようにも考えなければいけないと私は思う。いま日本経済を非常な混乱に陥らしている円高不況、あるいはまた円高による輸入が非常にふえてきている、そういった現象のみではなくて、構造的な問題というものが多分にいま考えられて、力の弱い中小零細企業には大きな打撃というものが及ぶであろうというように私は考える。そういったようなもろもろの点もあって、五百平米までを調整の対象とする必要があるというお考え方の上に立って諮問をされたんだろうと思うのでありますけれども、その点どうなんですか。
  143. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお尋ねのように、最近のわが国の安定成長への基調変化という中で、小売業を取り巻く環境というものは非常に厳しくなってきておるわけでございます。一方、大型店出店パターンというものもだんだん変化してきている、こういう状況で、したがって、基準面積未満紛争というものも増加する傾向にあるということであるわけでございます。したがいまして、今回の法律改正につきましては、そういった事情というものをいろいろ検討いたしまして、基準面積の見直しをいたし、もちろん審議会にも諮ったわけでございますが、五百平米まで引き下げたということでございます。  なぜ五百平米にしたかという点につきましては幾つかの理由が挙げられるわけでございますが、第一点は、最寄り品中心の店舗というものを考えました場合に、大体五百平米程度で一応の品ぞろえができる、したがいまして、いわゆるワンストップショッピング機能というものを発揮し得る面積であるという意味で、店舗の顧客吸引力がその辺から高くなるということであろうかと思います。したがって、それだけ周辺中小企業への影響というものもあるというふうに考えられる。それからまた、実態から見ましても、最近の基準面積未満店舗に関する紛争件数を見ますと、大体五百より上のところでいろいろ紛争のケースが多い、それ以下につきましては比較的件数が余り見られないというような実態にあるというような点を考えまして、五百平米ということを一応決めたわけでございます。
  144. 中村重光

    中村(重)委員 本日の委員会は時間的な調整がありまして、実は私は一時間以内というような連絡を受けたわけでして、意見を申し上げることをできるだけ避けて、端的にお尋ねをいたしますから、お答えもそういう方向でお願いをいたします。  この五百平米以上のいわゆる第二種中核店舗都道府県知事調整権限をゆだねた理由というのは、自治権の尊重ということであろうと思うのでありますが、中小企業政策ということになってまいりますと、残念ながら国の専権事項みたいなことになって、都道府県が半分その費用の負担をしなければならないのにもかかわらず、国が決めたことに対して右へならえというような形である。そのことがやはり地域の実態というものを無視した中小企業行政というものが行われてきたというように考える。そういった面では、私どもがかねて主張してまいっておりましたように、できるだけ地方自治体に中小企業政策というものを積極的に取り組んでもらわなければならないし、国もまたそういう方向で権限を移譲できる点は移譲していくということが望ましいということを考えてまいりましたから、また政府に向かってもそういったことを強く求めてまいりましたから、この点は評価をしたいと思うのです。申し上げたように、この自治体の尊重というようなことであるのかどうかという点が一点。  もう一つは、都道府県が条例で審議会を設置することができるというように、強制規定になっていない。この点もまた自治権尊重ということで、設置するというように国が規定してしまうことには問題があるのでありましょうから、そういうように理解をしてよろしいのかどうかという点であります。
  145. 島田琢郎

    島田政府委員 簡潔にということでございますので、できるだけ簡単に申し上げます。  第一点につきましては、いまお話しのように、小売の問題というのは非常に地域的性格が強い、したがって、これまたその施設が都市的機能の重要な一翼を担っておる、そういう意味で地方政策に非常に関係がありますので、そういう意味都道府県知事というものがその行政の任に当たるというようなことが適当であろうというふうに考えまして、第二種につきましては、従来の調整実績、行政効率等も勘案した上でそういうふうにしたわけでございます。  それから、いまの審議会につきましては、一応調整事務を都道府県知事に委任をしているわけですが、委任された事務をどういうふうにやっていくかということについては都道府県知事にお任せをしたいというふうに考えまして、いまのような規定にしたわけでございます。
  146. 中村重光

    中村(重)委員 それから、千五百平米以上に対しても都道府県知事意見申し出ることができるとあるわけですが、この意見の内容はどの範囲というのか、どのようなことを期待をしているのかということであります。その意見というものは、都道府県知事が自主的に地域の実情といったような点にのっとって意見申し出るということになるのか、その場合にその意見をどの程度尊重するということになるのかという点をひとつお聞かせいただきたいということと、都道府県が調整事業をやるということになってまいりますと、当然予算措置が必要になってくるわけでありますから、その額をどの程度お考えになっておられるのかという点であります。国の場合は、大規模小売店の調整事業費というのは五十三年度は五千九百万、五十四年度の概算要求では七千四百万というように非常に額は少ないわけであります。別に流通合理化の推進という面で計上しているということではないかというように思うのでありますけれども、これらの点をお答えいただきたい。自治省もお見えでありますから、その点はどうお考えになるのかお聞かせをいただきたい。  それから、中小企業庁長官、当然あなたの方と合い議をされて提案ということになったんでありましょうが、直接中小企業政策については都道府県との接触はあなたの方でおやりになるわけでありますから、今後の運営について、運用がうまくいくというように確信をお持ちになっていらっしゃるのかどうかという点、それぞれお答えをいただきます。
  147. 島田琢郎

    島田政府委員 お尋ねの点にお答えいたします。  都道府県知事意見を述べる場合にどのような意見内容かということでございますが、これにつきましては、その当該小売店舗における小売業事業活動がその周辺の中小企業者の事業活動影響を及ぼすその影響等についての意見を述べるということでございますが、そういう点につきまして特に制限を設けていないわけでございますから、都道府県知事としての見解を十二分にお述べいただきたいということでございますし、私どもはその都道府県知事の出てきた意見というものを尊重をするということでございます。  それから予算でございますが、大店法の施行に伴う地方に対する財政措置はどうするかという点でございますが、これにつきましては、私ども、今回の大店法改正によりまして都道府県知事に委任されました事務の執行に要する経費につきましては、地方交付税の基準財政需要額の単位費用算出の対象とするように関係省に要求をしたいというふうに考えております。  それ以外に、その第二種店舗調整につきましての基礎的な資料を整備するというために、余り大きな額ではございませんが、来年度予算につきまして第二種大規模小売店舗実態調査委託費として約千三百万でございましたか、要求を行っておるところでございます。  それから、もう一つの点は、ちょっと数字を調べて御報告します。
  148. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業庁といたしましては、小売商業問題については、従来とも調整問題あるいは振興問題につき都道府県等の自治体と密接な連絡をとってやってきたわけでございますが、御指摘のとおり、今回もし法律改正されますと、大店法の運用について都道府県知事のウエートが非常に高まります。したがいまして、そういう点につきましては従来以上に密接な連絡をとりまして、この法の施行に遺憾なきを期したいと思っておりますし、実は、こういう法律改正を発議するに際しましても、われわれとしてはそういうつもりでこの法律改正についても省内でも意見の一致を見たわけでございます。
  149. 島田琢郎

    島田政府委員 予算の関係でございますが、ただいま御指摘がありました大店舗関係の予算七千数百万のほか、流通合理化関係として約一億一千万の予算を要求いたしております。
  150. 井上孝男

    ○井上説明員 都道府県における所要経費の問題でございますが、今回提案されました法律によりまして都道府県知事調整事務等がふえるわけでございます。これに伴いまして、府県におきましても所要の経費が新たに必要となるわけでございますけれども、これにつきましては、所管省におきまして国費で所要の財源措置が講ぜられるよう最善の努力をされるものというふうに承っておるわけでございます。都道府県はこの措置によりまして所要の経費を賄うべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  151. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、特に御留意いただきたいことは、今回この第二種の調整事業を都道府県知事に委任をするということは、私は非常にいいことだと思うのですが、せっかく政府が中小企業政策を進めていく、非常にいい政策、制度というものを推進をしていこうとする場合、都道府県の財政事情ということもあるわけです。たとえば高度化資金、特別高度化資金なんというのはいい制度なんですね。ところが、ある県では全くこれを活用しない。自分の県のことを言うのはどうかと思うのだけれども、わが長崎県におきましては、この特別高度化資金の制度ができてからたしか四年以上になるんだろうと思うのですけれども、きわめて最近ただ一件だけこれを活用したとか活用しようと言っている。したんだろうと思うのでありますけれども、そういったようなこともありますから、やはり財政的な関係というものは十分今後配慮していく必要があるということと、せっかく制度をつくってこれを推進していこうとするならば、ただ意気込みだけでなくて、点検もやって、いい制度を活用していない、生かしていないという都道府県があるならば、その原因は何かということを十分調べて、そして実情に応じて対処していくということになりませんと、同じ国民が不平等な扱いを受けるという形になってまいります。そのことはまた地域経済に及ぼす影響というものも、悪い影響いい影響ということによって、都道府県のあり方によってずっと変わってまいりますから、その格差が拡大をするという好ましくないような傾向に流れる可能性もなしとしません。  したがいまして、今後都道府県に中小企業政策をゆだねていくという方向はさらに強まってくるだろうと考えますから、今後どういう態度で臨もうとされるのか、大臣の見解をひとつお伺いしておきたいと思います。
  152. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘の点は運用上きわめて大事な点でございますから、十分注意をいたします。
  153. 中村重光

    中村(重)委員 大規模小売店舗法とそれから小売市場を対象とする小売商業調整特別措置法を今度の改正で一本化しようとしているのですが、なぜにこれを一本化するのか、この点がどうもはっきりしない。なおまた、その一本化に当たって、私は、小売市場中小零細企業者に非常に好ましからざる影響というものを与えていくような感じがしてなりません。  かつてこの百貨店法というのは許可制であったわけです。ところが、大型スーパーが進出をすることになって、やはり大型店舗というものは同一土俵の中で営業行為をやらせることが適当であるということで、たしか両角電発総裁が企業局長当時からこの問題、大規模小売店舗法というものを制定をして、同一土俵でひとつ営業行為をやってもらおうということを考えられて、相当な期間にわたって通産省はこれを検討してこられて、そして大規模小売店舗法というのができたわけですけれども、百貨店法の許可制が今度は届け出制ということに変わった。  これは、百貨店というのは許可制であっても届け出制であっても、その後営業時間であるとか休日とかいったような状況を見てみますと、届け出基準の月四日、年四十八日、それから閉店時間の六時というものを実施しているのが八〇%以上に達しているのですね。ですから、百貨店は許可制届け出制というものは、そうした点においては何も影響はない。ところが、スーパーが年中無休というところもあったり、相当遅くまで営業しておったといったような点等も勘案されて、そして届け出制という形に変わられた。  それでは中小企業が大変圧迫されるという形になるのではないかということで、当時審議会の答申もあったわけでありますけれども、私どもは通産省といろいろと折衝いたしまして、事前届け出制という、当時は事前届け出というものは実質許可制になるのだというような説明でもありましたし、まさか通産省が私どもにうそを言うことはないだろうと思って、それを信頼して事前届け出、実質許可制という扱いをされるだろうと思っていたわけですが、その運営の問題においてはそういうことになっていない。したがって、大規模小売店舗法を許可制に戻してくれ、これは私どもだけではなくて、政府に対しても猛烈な陳情というのか要請が続けられてきていると思うのです。  ところが、そういったような方向に、許可制の方向に進めていくということではなくて、現在許可制であるところのこの小売商業調整法までも一本化することによって届け出制に後退させる。とんでもないやり方だと私は思う。大体そうしなければならないという積極的理由というものはどこにあるのです。まず簡潔にその点お聞かせください。
  154. 左近友三郎

    左近政府委員 現行の商調法小売市場規制、これは許可制になっておるわけでございますが、これについては二つの目的があるということでわれわれは解しております。一つは、周辺中小小売商業あるいは小売市場自身等との調整、いわゆる商業調整の観点と、それからもう一つは、小売市場に入居しております中小小売商に対する保護といいますか、いわゆるテナント保護の観点、この二つがあるわけでございます。  ところで、今回この大店法改正されまして、規制対象が五百平米を超えるものまで拡大されます。そういたしますと、実は小売市場の開設に際して必要な商業調整という点については、この大店法範囲で、ほとんど大店法の拡大によってカバーできるというふうに判断をしたわけでございます。しかしながら、零細な小売商が入居しておるという事実から、そのテナント保護ということはやはり維持しなければいけないということになりまして、この小売市場規制テナント保護を目的としてやるということにしたわけでございます。  そういたしますと、このテナント保護という観点から見ますと、他の法制度のバランスその他から考えますと、やはりこれは貸付条件等の事前届け出制ということでバランスがとれるのではないかという形になりましたものでございますから、こういう改正をいたしたわけでございます。ただ、実態はそういうことでございますので、大店法強化されましたので、商業調整の目的は依然として大店法の方で確保されておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  155. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたの答弁を聞いていると、説得力がないんだな。産業政策局は、これは大規模小売店舗法の所管だ。あなたの方は商調法。少なくとも中小企業庁長官小売商業というものが不利益になるようなことを同意するなんということは、小売商業の利益を守っていこうとする立場の上に立っていない。私は、俗な言葉で言うならば、なぜに中小企業をこんなにいじめるのかと言うんだ。零細企業を守ってやるというような考え方の上に立って対処していくのでなければならない。わざわざ二本ある法律を一本にして、そうして許可制届け出制に後退させるといったようなことは、いまのあなたの答弁の中からはこれは納得できないわけだ。私どもはこの点は同意できないということをはっきり申し上げておきたい。  それから、この点も同僚委員から質疑があったように思うのですけれども小売業における分野調整規定の第十四条の二と第十六条の二から十六条の六、これを削除しようとしているのですね。それは何か正当化しようとするようなお答えがあるのだろうと思うのですけれども、それはそれなりに伺うのですけれども、どう考えてみてもこれを削除するということは妥当ではない。これは当の直接この法の適用によって経営をやっているところの市場関係の零細業者だけではなくて、中小企業全体がなぜにこんなばかげたことをやるのかといって反対をしている。こんなことをしなければならぬという積極的な理由はないじゃありませんか。  私どもは、議会は議会の立場からこの問題に対しては処理していこうと思いますから、長々としたお答えは聞こうとは思いません。同僚委員質問に対してお答えがあっているようでありますから、それで大体考え方はわかるのですけれども、その答弁をしておられるのをメモしているのを読んでみましても、説得力がないというように考えます。したがって、端的にもう一度この点をお答えいただきたい。
  156. 左近友三郎

    左近政府委員 今回、商調法の特定物品販売事業に関する調整規定を削除いたしました理由は、大店法調整対象面積が広がったということで現在起こっております紛争は大体解決ができるという判断、それから、法律上そういう大店法強化ということで、このバランスからいうと削除すべきである、こういうふうな理由からこうなったわけでございます。  ただ、十五条、いわゆるあっせん調停規定は残っておりますので、五百平米以下の問題につきましては十五条の方でカバーできるというふうになっておりまして、以上、要するにこの法律上のバランスという形でこういう形に相なったというふうにわれわれ考えております。
  157. 中村重光

    中村(重)委員 小売商業調整特別措置法というのが制定をされてからたしか十七、八年になる。これは、この法律過当競争の中で相当活用されなければならないにかかわらず、大して活用されていないというのです。むしろこの法律があること自体を知らない零細企業というものが非常に多いということ。なぜにこれが活用されないのかということについての追跡調査ということをおやりになる必要すらある。そしてこの法律が本当に動くようにおやりになることが中小企業庁長官としての当然の責務だと私は考える。にもかかわらず、ますます役に立たないような形の、骨抜きとまで言いませんけれども、かえって期待ができないような形に改悪をするということはよろしくないということを申し上げておきたいと思う。  なお、同僚委員質問に対して、トラブルというようなものはこの五百平米以下については起こってこないというようなお答えをされたようでありますけれども、そういうような甘い見方というものは私は正しくないというように考えますから、この点も納得できないということだけは申し上げておきます。  それから、今回の改正法案の柱というのは出店規制であったというように思うのです。許可制には戻してない。だがしかし、中小企業者の要求というもの、許可制にせよという要求も十分理解できるということで、審議会で相当長い期間この点が一番問題になったと私は思うんだけれども、相当長い時間をかけて意見をお聞きになった、その真摯な態度というものは私は評価をいたします。いたしますが、どうも最終段階になってくると、それを許可制ということを取り入れないで、そして出店規制、中止というようなことも、私ども審議会の審議の途中で何回も御説明を受けましたが、そういう方向で行きたいというお答えであったわけですけれども、「中止」というのは消えて、「減少」であったのが「削減」というように改められている。  法制局にお越しをいただいておるわけですが、「減少」ということは、減すと「少」がありますから、何か少し残るということになる。「削減」ということになってくると、削り減らすということだからゼロになるというように解釈されないでもないんだけれども、何かやはりゼロにするということについては相当無理が出てくるのではないか。だから、ゼロにすることに相当反対する発言というのが、審議会の中においてもあるいは商調協の中においても出てくるというように私は感じられる。だから、許可制にするのを許可制まで行けない、だがしかし、中小企業者の言うこともわかるから、だからして今回の改正出店規制というようなものを大きな柱としてやったのだから、もう余りこの点については将来の運営に混乱が起こらないように、「中止又は削減」とするのか、「全部又は一部の削減」というようにするのか、明確に規定されることの方が私は適当であろうというように考えるわけでございます。  まず、この点は法制局と十分お話し合いになっているのでございましょうから、解釈の問題にもなりますから、法制局の方からお答えいただきます。
  158. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  まず、今度の改正趣旨は、通産省の方からいままでも申し上げているとおりでございますが、その際に、ただいま中村委員の御指摘になりました七条一項のいわゆる変更勧告につきましては、当方で法律案の審査をしました際にも、いま中村委員指摘のような点が問題になったことは確かでございます。  したがって、若干審査の経緯に触れて申し上げますと、実体的に実は勧告の内容として出店面積あるいは増加面積がゼロになるような結果が生じるということがあり得るという点につきましては、政策問題でございますから、私の方は別に反対はいたしません。それを法律上どう表現するかという点でございますが、ただいままで、現行法では「店舗面積を減少すべきことを勧告する」と書いてございましたので、減らしたり少なくしたりするということではあとが残るじゃないかという疑問が一般にはあるというような話がございまして、これはまたそういうような意見が出てくることも当然考えられる、それでは減らし少なくするばかりじゃなくて、「削減」という言葉を使えば、削ったり減らしたりするということであるから、削ると言えば全部ゼロになるということも当然含意として出てくるだろう、そういう言葉を使うのはどうだろうかということで、最終的に「削減」といたしたわけです。  その次に、中村委員指摘の「出店中止」というような言葉を使うことが適当かどうかという点についても検討いたしましたが、御存じのように、七条の変更勧告の前提になっておりますのは五条ないし六条の届出でございまして、五条の届け出事項としましては、開店日と店舗面積ということがはっきり法律上うたってございまして、それを受けまして、変更勧告のところでは、開店日の繰り下げまたは店舗面積の、現行規定だと「減少」と書いてあるわけでございますけれども、そのような用語といわば質の違う「出店の中止」というような実体的な言葉を使うのは、そこの部分だけが全体の関連からいいますと浮き上がってしまうということで、これは法制局的な考え方だという御批判を受けるかもしれませんが、「出店中止」という言葉をここで特に使うことは不適当であろうというふうに考えた次第でございます。  それからさらに、「全部又は一部の削減」というような表現を使ったらどうかという御質問に対しましては、実は「全部又は一部」ということを言うような場合には、たとえば「営業の全部又は一部の譲渡」というような言葉を法律用語としてたびたび使っておるわけでございますけれども、営業はいわば全体として一体として把握されるものであるから、「全部又は一部」と言いませんと、一部の営業譲渡というものが入ってこないという考え方が法制局の立法審査の際の通例でございますが、今度の場合のように、出店面積と申しますのは何平米というような具体的な数量がはっきりしておりまして、それを削りまたは減らすということであれば、その出店面積がゼロになる、店舗面積がゼロになるということは当然考えられることであるから、わざわざ「全部又は一部」という用語をむしろ使わない方が、当方の立場から言えば適当だろうという判断をいたしたわけでございます。
  159. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ、ここで提案者の方から——いま法制局としての解釈はわかったわけです。「全部又は一部の削減」と書いても、ただ「削減」と書いても同じである、ゼロということは当然あり得るということなんですが、問題は、私が先ほど指摘したように、全部の削減というようにぴちっとなっていないわけだから、また全部の削減ということをぴちっとすることは問題もあるのでしょうから、要は、今回の改正の柱であった出店規制ということを相当頭に置いて作業してこられた、その趣旨にのっとって今後これをどう運用していこうとお考えなのかということを聞いておきたい。
  160. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いま法制局の方から御説明がありましたように、現行法でも、店舗面積に関する勧告の限度というのは、法律的には、周辺中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあると認めたときには、そのおそれを除去するために必要な限度であれば特に制限はない、したがって、極限としては個別小売業者の店舗面積をゼロにすることも可能であるという解釈をとっておったわけですが、しかし、文言が必ずしも明確でないということで、これを明確にするために今回「削減」というふうに改めたということでございますので、私ども考え方といたしましては、そういうかっこうで今度改正をしたということは、「減少」を「削減」と直したことによって明確になったというふうに考えておるわけでございます。
  161. 中村重光

    中村(重)委員 その文言だけの問題でなくて、これは今後運用していくわけだね。ゼロにするか、ゼロということは全部だからそうするか、あるいはそうではなくて、申請をある程度削っていくか、そういう場合に、「全部または一部の削減」とあるのと、ただ「削減」とあるのと、やはり審議会の中、商調協の中での響き、受けとめ方というものは相当影響があるというふうに考えられなければならない。これは政治論ということになるのかもしれないけれどもね。  それから、いま法制局としては、「全部又は一部の削減」も「削減」というものも同じなんだから、普通「削減」ということになっているんだからそれでいいというような意味のお答えなんだけれども、いろいろな立法例を見ると、「全部又は一部の削減」というのが数多くあるのですよ。だから、この際だけそれを——この際だけと申し上げていいのかどうかわからないけれども、ただ「削減」というのもあるかもしれないから。私が調べた限り、「全部又は一部の削減」という立法例があるから、だから、こういった場合は、今回の柱であったという点と審議の経過ということからして、「全部又は一部の削減」という形で書きあらわすべきであった、こう私は思うのです。それをことさらどうも避けたという感じがしてならないのだね。  これはそうすることに相当な圧力もどこからか知らないけれどもあったんじゃないかと思うのだけれども、審議官、どうなんです。同じであるなら書いた方がよろしい、明確にした方がよろしい、それの方が運用上混乱が起こらない、こう私は言いたいのです。
  162. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  何か意図的にとか運用上の配慮からどういう表現をとるかというふうな、たとえば「全部又は一部」という表現をことさら避けたということではございませんで、全く法律の用語の使い方として「減少」を「削減」というふうに改めたということだと私どもは了解いたしております。
  163. 別府正夫

    ○別府政府委員 簡単にお答えいたします。  ただいま中村委員指摘の特別の配慮というようなものは、法制局の場合には全然ございません。  なお、もしも七条で「削減」を「全部又は一部の削減」というふうに書きますと、実はまたこれもきわめて法制局的だというおしかりを受けるかもしれませんが、九条の三項にいま「休業日数の減少」と書いてあるところがございますが、休業日数の場合は、「休業日数の全部又は一部の削減」というようなことを言わなくても、たとえば五日を四日、三日、二日、一日、ゼロにするというようなことは恐らく考えられるということでございますので、休業日数のところまで「全部又は一部」というふうなことを書くのは、法制局的に言えばいわば蛇足だろうということも考えまして、この法律の全体の体裁から言えば「全部又は一部」は要らないというふうに考えた次第でございます。
  164. 中村重光

    中村(重)委員 それだけ御説明をいただいておきますと、これはもう御提案になっているわけですから、修正をするか原案のとおりでいくかということについては私ども判断で決めることですから、それはいまのお答えの程度で承っておくことにいたします。  それから、この運用の問題なんだけれども、仮にゼロになる場合というものは、いろいろなことを予測されたんだろうけれども、どういう場合が考えられます。——時間がないのだ。早く答えてくれよ。
  165. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  結局、この法律では、中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがある場合に、そのおそれを除去するために必要な限度ということですから、もし面積をゼロにしなければ周辺小売商への相当程度影響を及ぼすおそれというものを排除できないというような判断になれば、それは当該個別小売業者の店舗面積がゼロという判断が出てくるんではないか。あくまでその周辺小売商への相当程度影響を及ぼすおそれというものとの関係で判断されるべきものと思います。
  166. 中村重光

    中村(重)委員 今回の改正法案をお出しになるに当たって、総量規制の問題、いま議論されておりますような問題の扱いといったような点等から、物差しをどこに置くかということで、これまた相当あちこち実態調査をやったりして、慎重な取り組みをされたというように伺っているわけでございます。そうした資料も差し支えない限りひとつ御提出をいただきたいというように思うわけでありますが、調整に当たって、人口や交通密度、地域の経済状態、中小企業に与える影響といったこと、それから、立地の場合の都市計画や交通混雑など、そうしたことがこの調整基準、いわゆる物差しになるんだろうというように思うわけです。それから、自治体の方からいろいろな意見が出るということに対しては、その意見をできるだけ尊重するように努めたいというお答えがありましたから、その物差しの一つにはなるのでありましょうが、そのお答えは要りません。  一口に言って、あなたがお答えになった以外に、いま私が一つの例を挙げましたが、これらの点がやはり一つの物差しになりますね。
  167. 島田琢郎

    島田政府委員 影響判断をする場合には、いまおっしゃったことの大体繰り返しになると思いますが、たとえば店舗の立地地点とかあるいは周辺の中小小売業の状況とか周辺の人口規模あるいはそれがどう推移していくかというような要因、さらに、場合によってはいまおっしゃいましたような周辺の交通の状況等、そういったすべての状況を考慮しながら判断をしていくということになろうかと思います。
  168. 中村重光

    中村(重)委員 既存の商調協と審議会との関係というのはどうなるのかということ。法的には審議会が正式の諮問機関であるわけです。したがって、審議会というものが果たす役割りというようなものは、相当権威ある見識を持った委員の構成であり、かつまたその審議の内容でなければならないし、結論でなければならぬと私は思うのです。  それらの点について、商調協と審議会との関係ということを、構成、運営の問題を含めて、時間の関係がありますから申し上げると、審議会や商調協の構成とか運営というのが当を得ていないと私は指摘したいくらいであります。中小企業や当該店舗で働くところの労働者の意見というものが反映しない、時間とかあるいは休業日数という問題だけではなくて、建築基準法の関係等にもなるのでありますけれども、災害防止といったような点等についても、働く労働者等は、これはみずからの生命と健康の問題ということから相当関心を持つべき立場にあると考える。また、これはお客の生命、健康の維持は言うまでもありません。  以上申し上げたようなことに対して、今後どう商調協それから審議会の運営、構成をやろうとお考えになっていらっしゃるのか。
  169. 島田琢郎

    島田政府委員 最初に審議会と商調協の関係でございますが、これは申すまでもなく、審議会が案件が上がってまいりまして検討する場合に、案件の所在する商工会議所または商工会の意見を聞くというかっこうで商調協の意見を聞きまして、それを尊重しながら審議会として最終的に判断をしていく、こういうことに相なろうかと思います。  そこで、審議会、あるいはお尋ねは商調協も含めてかもしれませんが、審議会委員の構成その他でございますが、私どもといたしましては、審議会委員の構成につきましては、これが公正妥当な運営ができるように、専門の学識経験者によって構成される審議会というものを考えるべきだというふうに、いまそういうことで構成されておりますが、今後ともそういうかっこうで運営されていくべきであろうというふうに考えております。  また、商調協の委員の構成につきましては、御案内のように、商業者、消費者、学識経験者の代表者の中から相互に均衡のとれたかっこうで、それを考慮して選定をし、またそれぞれの委員がそれぞれ各層の総意を正しく反映するように留意するということになっておるわけでございます。実際にこれをやっていく場合、なかなか現実にはむずかしい問題もございますけれども、私どもとしましては今後とも改善の努力を積み重ねまして、公正妥当な運営が図れるように配慮をいたしたいというふうに思っております。  最後に、労働者の意見が反映されるように何か検討すべきではないかという御趣旨かと思いますが、私どもといたしましては、労働代表を委員とすべきかどうか、たとえば商調協の委員にすべきかどうかというような点につきましては、現在の商調協がいわば中小企業大型店との調整ということになっております。それで、小売業内部における労働条件等々の問題につきましては、非常に関係はあるわけでございますが、その関係は直接的ではないというふうに思われますので、現在のところ、従来のような構成でいくのが適当ではないかというふうに考えております。
  170. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるとおり、後段のお答えはそのとおりだと思うのです。商調協の中で店舗面積調整の問題については、労働者も入りたくないということだろうと私も思うのです。しかし、審議会等においては、そうした問題だけではなくて、いろいろな問題が議論されるということがある。そういう場合はその職場で働く労働者の意見も何らかの形で吸い上げていくというような配慮がなさるべきであるということだけは申し上げておきたいと思う。  それから、広域商調協というのが今度新たに入ってくるわけなんだけれども、従来は商工会議所に商調協が設置された。私は当委員会において、これは都市の市にしか商工会議所はないわけだから、町と市のほんの境目みたいなところに大型店舗が出ていく、商工会の人たちはこの商調協に行って意見を述べることができる、単なるオブザーバーということもよろしくないということで、この点は大分配慮されて通達等もお出しになったというように思う。ところが、それではいけないというので、今回は広域商調協というので明文化しようとしておられる。これは評価をいたしますが、問題は、商工会議所の中だけではなくて、商工会にも商調協を設置されるということもあるだろうと思っているわけです。そうしたことに対しての考え方をお伺いしたい。  それから、調整の対象には、総面積は変わらないけれども、テナントが入って、そのテナントが変わる場合とか、それから入っているテナントの使用面積の増減の場合、そのいずれも調整の対象になるんだろうと思いますが、そのとおりであるかどうかということをお答えいただきたい。
  171. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  広域商調協の運営につきましては、現在どういう考え方がいいか、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、商工会議所のみならず商工会の場合も、たとえば商工会と商工会議所とで、たとえば商工会地区に大型店が出ていく、あるいは商工会議所の隣接地区に商工会があって、その商工会議所の地区に大型店が出て、それが商工会の地区にも影響があるというような場合、もし広域商調協を構成するとすれば、商工会、商工会議所の区別なくやっていくという考え方でございます。  それから、いまのテナントの入れかえ等々につきましては、これは法律届け出が必要になりますので、届け出された場合は一応調整の対象になり得る。ただ、中小企業のような場合には、実際上影響がないということであれば、実際上調整を行うかどうかは別の問題でございます。
  172. 中村重光

    中村(重)委員 それから、これも先ほど上坂委員の方から質疑がなされましたから、あえてお答えをいただかなくても意見だけを申し上げておきたいのは、勧告のための審査期間というのは四カ月、それでなかなか話がつきにくい場合に二カ月延長することができる。プラス二カ月でもって六カ月ということになる。なかなか複雑な問題の際は、これは話がつきにくいんだ。ところが、届け出制ということになっているものだから、その期間が来ると、それは熊本もその一つの例だろうと私は思うんだけれども、強引に出店しようとするものは臨んでくることになる。そうすると、結局は弱い者が抑えつけられるという結果になりかねない。  そこで、この勧告期間というものは、私は、二カ月ではなくて、六カ月ぐらいにすべきであると思うんだけれども、審査期間そのものが四カ月であるのに、延期する期間がそれよりも長いということは問題だろうと思うんで、これは四カ月プラス二カ月ではなくて、四カ月というぐらいにはしないといけないだろうと私は思っているわけでございます。  国会の中でこれはどうするかということを話し合うわけでありますから、われわれの方で、これは実情からいって何とか改めなければならぬということについては改めて御意見を伺いますが、抵抗をなさらないように御注文申し上げておきたいと思います。  それから、最後になりますが、閉店時刻と休日について、意見という形で申し上げて、お答えも聞くことにもなりましょうが、この届け出基準に年間四十八日と六時、こうなっているわけなんですね。四十八日以上であり、六時以前であれば届け出の必要はない。この規定趣旨をどう認識をしていらっしゃるのかということであります。  この規定を入れられたということは、こうあることが望ましい、適当であろうという考え方の上に立ってこういう規定、いわゆる四十八日、六時ということを明定されたと私は思う。ですけれども、地域的な事情その他によってそうばかりいかないこともあるのだから、四十八日でなくてそれ以下の場合あるいは六時以降の場合は、ひとつ届け出をしてもらって調整の対象にしなければならぬということになっているわけだ。してみるならば、通産省としては、みずから提案されて法律の中に明定している四十八日、六時ということが実施されるような方向にできるだけ努力なさる必要がある。ところが、残念ながら、どうもそういう方向に努力をしておられるというふうに見受けられる点がない。  実は百貨店法から大店舗法に改正をいたします際に、さてどうするか、通産省が商調協に対してどうあるべきかということを示される必要があるということで私どもに御相談がありましたのは、当分の間、閉店時間七時、それから盆、正月の売り出しを含めて休みは三十日ということで通達をお出しになった。ところが、いただいております資料を見ますと、まず閉店時間については相当比率は——百貨店の方はほとんど先ほど申し上げたようなことでありますが、スーパーの方もたしか閉店時間七時というのは八〇%以上になっている。休日はたしか五〇%内外というようなことに実はなっている。そうなったことについて全く努力をなさらなかったと、私はそこまで強くは申し上げませんが、どうも積極的なものがない。当分の間というのは、私どもそのときの考え方としては、一年くらいであろうと思っていた。ところが、当分の間で三年もそのままほったらかされているということは、私はいかがなものであろうかというように思います。  ともかく日本は、御承知のとおり、円高不況という一時的な問題だけではなく、構造的な面からいたしましても、失業者というものは相当ふえる可能性がある。雇用問題というのが、どの内閣が政権をとろうとも、私は最も重要な政治課題であるというように考えるわけです。また、藤井労働大臣も、週休二日制というものを積極的に推進したいということも表明しておられる。また、世界的な傾向でもある。それらのことを考えてみますと、少なくとも届け出基準とされた四十八日、六時という方向にこれが実施されるように努力される必要があるのではないか。  さて、消費者の問題はどうか。日曜祭日は、中小企業の場合は言うまでもなく、百貨店とかスーパー、大規模小売店舗が休んでおるという事例はないと私は思います。日曜祭日は休みたいでしょう。ですけれども、消費者の利便を考えて休まないで営業しておられる。ならば、閉店時間というものは、弱い中小企業者の利益を守るという点からいっても、働いている労働者の健康保持という点からいっても守るべきだ。さらにはまた、店が休むときは自分たち労働者も休むということで、ときにはレクリエーション等をやってお互いの親睦、宥和を図っていく、そういったことが店全体の空気をよくして、サービスもさらに向上して、お客さんを喜ばせるという形になっていくのではなかろうかと私は考える。  それらの点に対してどうお考えになっておられるのか、その点をひとつ伺ってみたいということが一点。  もう一つは経過措置であります。いまの大型店舗というものは、その届け出基準によって申請をして、そうして商調協の調整基準によって認められている。ですけれども、今回のこの改正法案の——私どもは当然これをぴしっと法定すべきであると考えるのでありますけれども、御提案の中にはそれはございません。したがって、私どもといたしましては、百歩譲っても政令か省令で閉店時間あるいは休業日というものをはっきり明定すべきであるというように考えているわけであります。  そういったようなことになってまいりますと、申し上げたように、経過措置、既存の店舗はどうなるのか、一たん調整の対象として営業しているわけでありますから、この法律改正案が出たからといって直ちにまた再申請をしなさいというわけにもまいりますまい。ある一定の経過期間が必要になってくるでありましょう。さらに、五百平米から千五百平米の新たにこの法律の対象となりますいわゆる中型店と申しますか、こういうものは既存店舗とみなすのかどうか、新設店舗という扱いをすべきなのか、これらの点は経過措置との関連というものも出てくるであろうと私は思うのであります。  早口で申し上げましたけれども、以上申し上げたことに対しての考え方をお聞かせいただきたい。これは非常に重要な問題点でありますから、大臣からお答えをいただきます。
  173. 河本敏夫

    河本国務大臣 前段の問題につきましては、今後十分参考にさせていただきます。  後段の問題につきましては、政府委員から答弁をいたします。
  174. 島田琢郎

    島田政府委員 相当広範囲の御質問でございますので、ずっとお答えすると非常に大変でございますが、要点だけ申し上げます。  現在の法律で閉店時刻、休業日数について規定をいたしておりますのは、現在の法律では、その閉店時刻以前あるいは休業日数以上であれば、本法の目的である周辺中小小売商に対して相当程度影響を及ぼすおそれがほとんどないということで、本法の調整の対象とすることはあり得ないであろうという意味で、届け出を要しないというふうにしたものだと、私ども考えておるわけでございます。  それから、その次の御質問は、百貨店法以来の経緯等いろいろお話がございましたけれども、現在の法律では届け出制になっておりますので、全体のバランスを考えました場合に、店舗面積、閉店時刻とのバランス等を考えますと、閉店時刻、休業日数等につきまして、そこだけ法定遵守事項にするということは、本法の体系上バランスを欠くという意味で問題があるのではないかというふうな感じがいたすわけでございます。  それから、既存店舗の問題につきましてどうかという点でございますが、これは要するに、今後の新設店舗について、閉店時刻、休業日数についてどのような措置をとるかとの関係になるわけでございます。そういう何らかの規制が行われるといたしましても、既存店舗につきましては一応従来正常に営業活動を行っておるということでございますので、そういったものにつきましてさかのぼって何らかの措置をするということになりますと、これはよほど慎重な検討が必要になると思うわけでございます。
  175. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わります。  いずれにいたしましても、中小企業、零細の経営が苦しいのですから、やむにやまれずやっておられるのだろうと思うのでありますけれども、日本ほど長時間労働、遅くまで営業しているというところはどこにもありません。ヨーロッパに参りましても、イタリーのような経済的に比較的力のない国ですら夜の営業はない。そして年間二週間なり一週間なり、店を閉めて観光旅行をするといったようなこともやっている。これらのことを考えますと、少なくとも大規模小売店舗というものは、いわゆる立法の趣旨を生かす、それに速やかに近づける、そうしたようなことで対処していかれるのでなければ、みずから提案した立法の趣旨を尊重しないということになってまいりますと、法の執行者としての見識を疑われるだけではなくて、資格そのものを問われかねないということを申し上げておきたいと思います。  この点については良識を持って措置をしていただきたいということを強く要請をしておきますが、この点はひとつ、最後のお答えでございますから、大臣からお願いをしたいと思います。
  176. 河本敏夫

    河本国務大臣 法の運用上貴重な意見として拝聴いたしました。
  177. 橋口隆

    橋口委員長 西中清君。
  178. 西中清

    ○西中委員 今日、流通部門の動きというものは、流通戦争と言われるようにまことに激烈な競争が行われておるわけでございまして、それに対応して、今回また大店法商調法改正ということでございますが、非常に経済不況の中で大型店進出というものは中小小売店にとっては致命的な打撃になっておるわけであります。そういう点で、朝以来の質疑を聞いておりますが、私も重ねて確認の意味をもって同じような質問もあるかと存じますが、われわれの申しますことについて真剣にまず受けとめていただきたい。そうしてこの法が実効のあるものになることが一番大事だろうと私は思っておるわけでございます。  そういう点で、前提として、いまの流通戦争、戦争と言われる実態についてどういう御認識を持ち、今度の法の改正とどういう関連性でとらえておられるのか、まず最初にお聞きをいたしたいと思います。
  179. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  大店法が制定されましたのが四十八年、四十九年の三月一日から施行されたわけでございます。その後、約四年半ぐらい経過したわけでございますが、この間幾つかの要因変化があると思います。  一つは、経済成長がいわゆる高度成長から安定成長へ基調が変化してきたということ。それから、そういった中で大型店出店が非常に増加する傾向が見られるということ。それからもう一つは、出店のパターンにつきましても、最近は郊外立地あるいは地方中小都市への出店という傾向が見られる。それからもう一つは、中型店と申しますか、基準面積未満の、それよりもう少し下のところの店舗というものをめぐる紛争というのが増加する、こういったような現象が相まちまして、最近いろいろ流通で各地に紛争が起きておるというふうな実態ではないかというふうに思うわけでございます。
  180. 西中清

    ○西中委員 法の中にはいわゆる調整ということが大きなポイントになっておるわけですが、現在アメリカにおきましては流通部門の伸び率が若干鈍化をしておる、こういうことも聞いておるわけです。大型店はどんどん進出する、それにつれて小型店が倒れていく、縮小される、結局また過当競争の結果双方が非常に体力が弱まる、こういう形であれば、私は迷惑をこうむるのは消費者であろうと思います。この不景気を迎えて今日まで過剰設備に悩んでおる大企業も非常に多いわけでございますが、野放しの認可といいますか大型店の建設ということで将来そういった今日の大企業の設備過剰と同じような姿が出てくるのではないか、このようにも一方では考えておるわけでございます。  この長期展望についての御見解をお伺いしたい。
  181. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど政府委員答弁しておりましたが、四十九年の春からこの大店法が実施をせられまして、実は実施直後から改正すべしという議論が早々と出まして、その後、私どももいろいろ検討いたしておりましたが、第八十国会におきまして委員会の決議等もございましたので、積極的に対応しなければならぬということで現在まで対応してまいりました。  いまお述べになりましたことは、消費者の利益、小売業者の利益、この二つ調整をどうするのか、こういう御意見だと思います。流通部門を合理化いたしまして消費者の利益を図るということはきわめて大事でありますけれども、何分にも日本の場合には小売業が百六十万もありまして、それに従事する人が五百六十万あるそうでございます。この利害の調整を図るということはきわめて重大な課題でございます。でありますから、事前によく関係者等の間で話し合ってコンセンサスを得るということが何よりも肝心だと思います。そういう観点に立ちまして今後法の運用を図ってまいりたいと考えております。
  182. 西中清

    ○西中委員 それでは、具体的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今回の改正によりまして、大規模店舗における小売事業活動について調整の対象になる床面積店舗面積の下限が五百平米、こういうふうに引き下げられて第二種大型小売店舗、こういう形になったわけでございます。千五百平方メートル以上は第一種、こういうことですが、第一種大型店も含めまして、都道府県知事を経由して届け出がされて、そして通産大臣意見申し出を行う、こういった処置めしとられるようになりました。一方、大型店の所在する市町村も、市町村長が大型店の内容について都道府県知事意見申し出ることができるようになった。こういった点については、地方自治という点からいきまして若干調整権限が拡大された、これはある一定の評価をいたしておるわけでございますが、それだけに行政責任の一端を市町村長なり都道府県知事が負わなければならない、同時に事務処理費もふえてくる、こういう形になってまいりました。  ここで、調整する立場の皆さん方のお話をいつも伺っておりますと、問題になるのは、やはり調整判断、その基準はどういうことを基準にすればいいのかというのが一番困った問題で、面積をこれだけ小さくしろというのはどういう論理的な発展によって削減するのか、こう反問されると大体答えようがなくて非常に困る、一例を挙げますとそういうようなお話が多いわけでございます。ですから、この問題は判断基準がないために双方納得できる調整が困難だ、そういうことであろうかと思います。  この点について通産省としてはどういう考え方を持っておるのか、判断基準はどういうところに置くのか、まずお伺いいたしておきたいと思います。
  183. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘の点は、確かに法の運用をしていく場合に最も重要な点でございます。問題は、七条の「大規模小売店舗における小売業事業活動がその周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあるかどうか」、この辺の判断をいかにするかということでございますので、その判断ができるような明確な基準というものができれば問題の解決を非常に容易にしていくという点は、私も全く同感でございます。  ただ、実際にそういうおそれの有無を判断をしていく場合には、御承知のように、そういった大型小売店舗進出に伴う中小小売業への影響というものを考えますと、あるいは大規模小売店舗の立地点、あるいは周辺中小小売業の状況、あるいは周辺の人口の規模、推移といったようないろいろな要因というものを考慮して判断しなければならないということになります。したがいまして、どういった場合でも適用可能な一つの物差しというようなものをつくるということは、こういった性格からしまして非常にむずかしいというふうに私ども考えております。  しかしながら、何かそういうものが欲しいという点を私どももかねてから感じておりますので、そういったいろいろな要因を抽象した上で、ある程度判断の目安になるようなものがつくれないだろうかということで、鋭意検討をいたしておるわけでございまして、昨年春から大規模小売店舗審議会に審査指標部会というものを設けまして、現在鋭意検討を続けておるというのが現状でございます。
  184. 西中清

    ○西中委員 検討を続けているということでございますが、目安としてはいつごろまでにこれをやろうというお気持ちでしょうか。
  185. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  何分にもいままで前例のない試みでございますので、現在いろいろケーススタディーなどいたしまして、その結果をまとめながら検討を進めようということでございます。したがいまして、いつまでということはいまはっきり申し上げられませんが、できるだけ早く、といいますのは、それが一日も早くできることが紛争解決に資するわけでございますので、私どもとしては最善の努力を尽くしたいというふうに考えております。
  186. 西中清

    ○西中委員 いまお答えになれないようでございますが、ここで確認をしておきたいのですが、従来行われておりました事前調整、これは今回勧告期間の延長等という新しい動きになるわけですが、こういう事態があっても、従来どおり事前調整というものは行われるものであるかどうか、この辺は御心配の向きもあるわけでございます。それとも改正後、この事前調整については何らかの変更を行おうとしておられるかどうか、お答えをいただきたいと思う。
  187. 島田琢郎

    島田政府委員 事前調整とおっしゃる意味は、恐らく五条あるいは六条に基づく届け出前の、いわゆる事前商調協における調整を指しておられるのであろうかと考えておりますが、従来の運用では、これが実質上非常に重要な役割りを果たしてきているわけでございます。  ただ、一方におきまして、最近この調整が余りに長引いているということで、いろいろ批判も出ておる現状でございます。したがいまして、一方では、私どもといたしましては、商業調整につきましてはできるだけ地元の利害関係者の話し合いによる解決が重要であるという考え方からしまして、この方式は非常に重要であるとは考えておりますが、一方いろいろ問題が出ておる点も何とか改善しながら存続をしていきたい。どういうふうにしていくかにつきましては、現在いろいろ関係者意見も聞きながら、現在考え方を整理しているところでございます。  以上でございます。
  188. 西中清

    ○西中委員 いまの御発言、午前中も同じようだったと思いますが、若干気になるのは、事前調整が長過ぎるということについておっしゃっております。長いのは、作為的に長いのもあるでしょうが、しかし、大半はそれだけの理由があって長引いておるというのが実態ではなかろうかと思うのです。その点について、早い方がいいと考える立場に立って、どうも長過ぎるから短くしよう、こういうようなことを今度の改正に合わせて通達なり何なりを出すようなお気持ちがあったのでは、ちょっと問題があるのではないか。  私は、その点もう一遍確認をしておきたいのですが、これを従来より制限をつける、期間を限る、こういうようなことはお考えではないだろうと思いますが、どうでしょうか。
  189. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほど申し上げましたように、いろいろな御意見がございますので、私どもといたしましては、今後どういうふうにこれを運営していくかという点について、関係者意見も十分今後聞きながら、合理的なやり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  190. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、現在皆さん方は、この事前調整について何が問題だとお考えか。
  191. 島田琢郎

    島田政府委員 商調協の運営につきましていろいろ議論がございます。その一つとしていま問題になっておりますのは、先ほどもちょっとお話が出ましたが、広域商調協の問題でございまして、現在その出店の地点を地域とする商工会または商工会議所の商調協で審議を行うことになっているわけですが、最近の出店の大型化あるいは複雑化等から、影響が広範囲に及ぶというようなところで、その周辺の商工会の意見も聞くべきではないかというような意見、そういったところから広域商調協というようなものを考えたらどうかというような御意見もございます。それから、商調協の運営について、そのほかなお改善すべき点はないかという点につきましていろいろ御意見もございますので、そういう点を含めまして総合的に検討したいと考えておるわけでございます。
  192. 西中清

    ○西中委員 ですから、勧告期間の延長等について、後で十分時間はいままでよりもとってあるのだから、前の方は若干の制限をつける、こういう発想であっては困ると思うのです。その点は十分要求をしておきたいと思います。  そこで、いわゆる店舗面積の下限五百平米ということでございますが、これに関連をいたしましてお伺いをしておきたいのですが、店舗について面積を下げるとか下げないというようないろいろな調整が行われるその過程において、全体としてたとえば一万平米の店舗があって、調整の結果これを五千平米なら五千平米まで下げられた、こういう調整をされましても、その店舗内にたとえていいますと五百平米を超える大型の単品の店舗を出す、たとえば書店であるとか電気器具店であるとか。こういうように調整の段階では予測しない姿で、調整に応じて面積は狭くしたけれども商品構成については何らの規制がないというところから問題が起こっておる。  要するに、その店舗の中に大きな五百平米を超える単品の店が一つできる、そうしますと、その周辺中小小売店影響が起きる。藤沢の例なんかもそれだと思いますが、こういった場合には、新たに開店してから気がつけば周りの影響が大きいということで紛争になる。  紛争になった場合にはどういう処置をおとりになるのか、お伺いをしたいと思います。
  193. 島田琢郎

    島田政府委員 大店舗法は、御案内のとおり、小売業ごとに五条の届け出調整をしているわけでございます。いまのお尋ねは、その一つのお店の中のある売り場で売っている品物が、たとえば相当大きな面積の売り場で品物を売っているために、その品物を売っている周辺の他の小売業との間にトラブルが起きた場合どうするかという御趣旨だろうと思いますが、私ども考え方としましては、それは大店法では調整はむずかしいというふうに考えております。  というのは、店舗面積調整というのは、その一つ店舗面積の中でさらに売り場の単位でいろいろ物を考えていくことになりますと、実際上いまの総合小売業店舗実態からいいますと、その調整をすることは大店舗法のシステムではむずかしいと思います。  したがいまして、そういう場合に、それでは何かの手段があるのかということになりますと、私ども考え方では、小売業におけるそういった一つ業種がある事業をやった分はほかにかわる、たとえば新しいことを始めたことによって周辺小売商とトラブルが起きるというような場合には、商調法十五条の「あっせん又は調停」という手段で対処し得るのではないかというふうに考えております。
  194. 西中清

    ○西中委員 十五条の「あっせん又は調停」ということですが、この条項についてはいままで余り発動しなかったのじゃないでしょうか。その点はどうですか。
  195. 左近友三郎

    左近政府委員 商調法十五条の従来の運用の実績について御報告申し上げます。  これについては、正式なあっせんというものについては、従来の調査をいたしますと大体九件ということでございますけれども、実はこの条文がございますので、この条文をいわばバックに、都道府県がいろいろ実際に問題が起こったときに実際上の行政指導をやっております。これを調査をいたしますと、大体百三十六件というふうな件数に上っております。したがいまして、従来ともこの十五条の規定は、もちろんその規定を直接適用したものはいま申しましたように少数ではございますが、この規定があることによって事実上の解決を見ておるというものは相当あるというふうにわれわれ考えております。
  196. 西中清

    ○西中委員 認識としては間違っているのかもしれませんが、これが余り発動しておらぬ、私たちはそういう認識をいたしております。  同時に、これが今後強力に適用されるということ、これは行政上の問題として非常に大きいと思いますが、実際上これは都道府県知事に任せてあるというのが実情だと思います。  調停員というものをつくっておるわけですが、この調停はどれほどの拘束力を持っておるのか、この辺もよくわからない。言いかえると、調停を拒否した場合これはどういう処置をとるのか、この辺のところを明快にしていただきたいと思います。
  197. 左近友三郎

    左近政府委員 十五条では、都道府県知事調停またはあっせんということを行うわけでございますが、十七条というのがございまして、これは「勧告」という規定でございますが、これについては、やはり先ほどの十五条であっせん調停をやるようなケースにつきまして、それだけではうまくいかないというような場合には勧告をするという規定がございます。したがいまして、命令というところまでいきませんけれども、事実上勧告ということで、ことに都道府県知事の勧告ということでございますれば、事実上の相当な拘束力はあろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  198. 西中清

    ○西中委員 相当な拘束力があるということは、拒否してもやむを得ない場合もあり得るということですね。
  199. 左近友三郎

    左近政府委員 法律上は確かに勧告でございますから、この勧告を拒否することは可能でございます。しかしながら、現実、対象がやはり商店でございますから、府県がやりました勧告というものに従わなかったというようなことが一般にわかれば、これについてそういう商店としては経営をやることについて非常にむずかしかろうという事実上の判断がございます。したがいまして、命令ということではございませんから、法律的にはそれに従わなくともいいということになりますけれども、事実的には、先ほど申しましたように、法律に基づかない行政指導でも実態都道府県知事指導に従っているケースが大部分でございますから、実態上は差し支えがないというふうにわれわれは解釈しておるわけでございます。
  200. 西中清

    ○西中委員 こういう点について、十四条の二、十六条の二、これは削除されるわけでございますけれども、いまのお話を聞いておりましても若干危惧を持っておるわけでございまして、これは五百平米以上の店舗、五百平米以下の店舗、すれすれのところ、いろいろな問題があるわけですけれども、そういった点で私どもとしては、やはり削除された部分については存続すべきである、このようにも考えておるわけでございます。これは答弁要求いたしませんが、ただいま確認をいたしました部分で、いま現実問題としてこういう問題で紛争しておる個所もあるわけでございますから、かなり問題の多い点だろうと私は認識をいたしております。  それから、大臣にお伺いをいたしますが、大型店出店ということは、単に中小小売商や地域経済に影響を与えるというだけではなくて、都市の再開発、町づくり、こういう点にも大きなかかわり合いを持っておるわけでございます。この点について本法律改正案ともにどういう整合性を考えておるのか、まずそういう点ではほとんどお考えがないというような感じを私どもは持っておるわけでございます。  現在、この法の基本精神が、いわゆる面積主義というか店舗面積だけを問題にしておる。これに対していろいろな考え方がやはりあるわけでございますが、言うならば地域主義といいますか、そういった観点から見直さなければならない諸問題がやはり大型店進出によって各地で起こっておるわけでございます。ですから、それに対応して地方自治体は振り回されると言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、都市整備のためにいろいろと苦心もしなければならない。もちろん調整の段階で十分できておればいいけれども、現在の法律内においてはやはりこの関連性というものについてはそれほどの拘束性があるわけでございませんから、私はこれ全部賛成ではありませんけれども、たとえばこれは一つの例として、西ドイツなどは地域主義というような考え方を導入をしておる、それで大型店進出規制を試みておる。たとえば自己の行政区域の地域計画として、市町村は建設基本計画を策定しなければならない。策定は市民参加によって行われる。建設基本計画においては地域の用途指定を行わなければならず、大規模小売店舗の立地は都心地域か特別地域に限られる。大規模小売店舗進出の可否及び条件は、建設基本計画に照らして市町村が責任を持って決定する。あといろいろありますが、こういう観点からやはり大型店というものを考えなければならないんじゃないか、少なくとも町がさま変わりをすることは間違いのない事実でございますし、そういった点で通産省としてはどういう考え方を持っておるのか、お伺いをしたいと思います。
  201. 河本敏夫

    河本国務大臣 法律の性格上、いまお述べになりました町づくり、都市計画等につきましては直接関係のある条文はございませんが、しかしながら、スーパーができるということは、結果的には地域開発と非常に密接な関係にございます。今回は知事の権限等も非常に強化されておりますので、運営の面におきまして、町づくり等につきましてはよほど慎重に考えていく必要があろうかと考えております。
  202. 西中清

    ○西中委員 都道府県知事に今度はかなりの権限を与えているということでございますが、都道府県としても果たして短い期間でそれに対応してというようなことができるかどうか、これは当然地方財政にもかかわってくる問題でございますから、そう簡単なものじゃないと思うのですね。ですから、将来的にやはり十分お考えをいただきたいと思いますし、でき得れば当面問題になる幾つかの点、これを取り上げていただいて、通達なりなんなり考えていただきたいと思うのです。  たとえて言いますと、一番顕著に目につくのは大型店に面する道路の問題でございますが、非常に交通渋滞を起こしておる例があるわけです。一つの例を挙げますと、たとえば私らの住んでおります京都でまいりますと、九号線という国道がございます。つい最近でございますが、大型店進出をいたしました。これは京都の最も中心になる幹線でございますが、中心になる幹線ではあるけれども二車線、片側で一車線、こういう道路であります。これは府警本部に聞いてみたのですが、一日交通量は二万二千から二万八千台。往復で二車線です。こういう狭い国道ですが、そこに面してずばっと大型店は建っておる。  この店舗面積は四千五百七十七平米、商調協の調整の段階では付帯意見がつけられて、この店舗面積であるならば最低三百五十台から三百六十台の駐車のスペースが必要であるということが付帯意見としてつけられておる。しかし、実際現在のところ百六十台のスペースしかないわけであります。ですから、駐車場のあくのを待って国道に渋滞をしておる、その横を通過するためには長く待たなければならない、こういう問題です。これはひとりこの場所だけではなくて、私どもの行き来しております範囲の中でも何カ所かやはりあるわけでございます。  こういう点について、これも商調協の調整の段階でこういう意見はつけられておるけれども、現実はこういうふうに実行されない、こういう問題があるわけです。ですから、やはり一つ店舗をつくる上においての基準の問題、こういう条件が必要だということと同時に、こうした都市の交通問題についてもこうこうこういうふうに配慮していかなければならぬ、もう少しこういう面の積極的かつ具体的な指示が必要ではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  203. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えします。  調整を行う場合に、七条ではいろいろの要件を列挙しておるわけでございますが、実際上商調協でいろいろ検討される場合には、そういうものとの関連におきましていまお話がありました交通渋滞の問題等々も、そういうことが心配されるケースについては議論になるということを私どもも承知をいたしております。  現在、駐車場につきましては、御案内のように、駐車場法に基づきまして、条例によって、一定規模以上の店舗を有する建物の新増設につきましては、駐車場の設置を義務づけることができるようになっておるわけであります。そういうような法律もございますので、そういう点も勘案いたしまして、大規模小売店舗ができることによって地域の消費者の利便あるいは近隣の小売商との調和という点も勘案して、問題のないように、そういう設置ができるように私どもの方も指導いたしたいというふうに考えております。
  204. 西中清

    ○西中委員 次に、変更勧告、変更命令、こういった点についてお伺いをしますが、「店舗面積を減少すべきことを勧告することができる。」という現行法の言葉が「削減」というふうに変わったわけであります。これは再確認の意味でございますが、この削減というのは大店法における削減でございますから、五百平米までのことを言っておるのだと思うのです。その点は間違いないのかどうか。  それから、事実認識からいって、出店はまずいんじゃないかという判断も含んで考えていった方がいいんじゃないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
  205. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  大体いまお尋ねのようなことでよろしいかと思いますが、誤解のないようにもう一度申し上げますと、店舗面積の削減につきましては、法律上は、大規模小売店舗における小売業事業活動がその周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあると認められる場合に、そのおそれを除去するために必要な限度であれば、おそれを除去するために必要な場合にはゼロまで削減の勧告ができるということになるわけでございます。ただ、建物全体で見ました場合には、今回の改正によって千五百から五百平米まで拡大されたわけでございますので、店舗の総面積五百平米を超えるところまで削減ができるということになるということでございます。  それから、お尋ねは出店をやめたらどうかというようなことができるのかということかと思いますけれども、いま申しましたように、問題は、そういう小売業店舗というものが周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼす、そのおそれを除去するためには、結局面積をゼロまで持っていかなければおそれが除去できないという場合に、面積がゼロになるということの結果実際上できなくなるということはあり得るわけでございます。そういう解釈かと思います。あるいは建物全体として五百ということになれば、事実上それではむずかしいということで、その案件についてはそこへの進出ができなくなる、こういうことが現実問題としてはあり得ることだと思います。
  206. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、五百平米以下でなければまずい、仮にこういう判断が出たとした場合に、それは一たんまた商調法にかけて一から作業をすることになるのですか。判断としてその辺はどうでしょうか。
  207. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  制度としましては、一応五百平米というところが一般的に周辺中小小売商影響を及ぼすおそれが蓋然性が強い、こういうことで五百平米というところで切っておるわけでございますから、逆に言いますと、五百平米以下の場合には、一般的に言えばそういうおそれは多分ないであろうということで、制度としてそこは自由に認められるたてまえになっておるということでございます。  ただ、個別のケースについて、五百以下であっても事業活動の内容いかんによって周辺中小小売商との間で紛争が起きるということであれば、それは商調法の方で別途措置が行われる、こういうことになろうかと思います。
  208. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、くどいようですが、それ以下については申し出があるまでは関与しない、こういう考え方でいいわけですね。
  209. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  そういった場合には、商調法による申し出といいますか、あっせん調停の依頼と申しますか、そういったことがあって行われることになるわけでございます。
  210. 西中清

    ○西中委員 それから、変更勧告の期間の延長でございますが、先ほど来いろいろと御意見があったようでございますが、やはり期間を延ばした方がいい、こういう私ども公明党としての立場も同じような立場におるわけでございます。この辺、御意見があればお伺いしたいと思います。
  211. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  今回の改正では、従来の期間に一月プラスしまして、さらに必要があるときには勧告期間を二カ月を限度として延長ができるということにいたしました。したがいまして、従来の審査期間に比べますと、いわば相当程度期間の拡大と申しますか、延長を図ったわけでございます。したがって、私どもとしましては、そういったことによって必要な措置をその期間に対処し得るように努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  212. 西中清

    ○西中委員 それから、店舗面積の下限を五百平米に下げられたために、書店であるとか家具販売店であるとか自動車販売業、こういった商売は性質上どうしてもこれを上回る面積が必要だ、こういう場合にやはり大店法によっての届け出をどうしてもしなければならないのかどうか、例外措置はとれるのかどうか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  213. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお話のありました家具販売店あるいは自動車の販売店というようなものにつきましては、扱っている商品が大きゅうございますので、あるいは自動車の修理のような場合には修理施設が一緒にあるという関係もありまして、比較的店舗面積が大きいのが通常であると私ども承知しておるわけでございます。ただ、こういったものにつきまして、他の業種と区別して適用対象になる店舗面積として例外を設けることの可否でございますけれども、私どもはそれはやはりむずかしいのではないかというふうに考えております。  その理由としましては、法律の構成がまず建物設置者の届け出という三条から始まるわけでございます。この建物設置の段階では具体的にどういった業種に使われるかということを法律のたてまえとしてあらかじめ想定し得ない、こういうことで、三条の建物設置の届け出をいたしておるわけでございますので、その段階で業種別に異なった適用対象面積を設定するのはむずかしいのではないかということでございます。また、仮にその問題は別にいたしましても、実際に流通の場合にはいろいろなケースがあるわけでございますので、各業種によって適用対象面積を異ならせることにいたしますと、どういった場合にはどの程度面積がいいかという設定を行うのは現実問題として非常にむずかしゅうございますし、また、複数の品物を販売するというケースを考えますと、ますます事態はややこしくなってくるわけでございます。したがいまして、特定の業種について例外とするということは制度的には困難ではないかというふうに考えております。  ただ、実際にはそういった実情にあるということは私ども承知いたしておりますし、そういう場合には恐らく周辺中小小売商へ相当程度影響を及ぼすおそれも少ないということが考えられますので、調整の段階でそういった事情を配慮していくように指導していくことにしたいと思っております。
  214. 西中清

    ○西中委員 次に、店舗面積が五百平米に満たないすれすれの中型店といいますか、これを一定地域に大量に展開するというケース、そういうことも将来想定した上でいま申し上げておるわけですが、特定の地域に集中的にそういうものをたくさんつくる、これは企業といっても大きな企業でなければできぬことですから、当然一定規模以上の大資本、大企業というものがそういう店舗の展開をしてくる、こういう場合にどういう対応を考えておるのか、いまの法律ではどういう条項でこれを規制するのか、それとも、いや、それはしようがないのだと野放しにしておくのかどうか。いま、流通戦争というのは、単にこういう大型店だけではなくて、いろいろな業態のものを想定しておかなければ、やはり頭がいいですから、次から次へと進出を図っておられる、流通部門の拡大を図っておられる。  それから、たとえば一つのビルで単品の商品を扱うもの——単品と言えるかどうか、電気製品なら電気製品、書店なら書店、別の経営者が各階に出店をする。個々の面積が全部五百平米以下である。しかし、これはかなり五百平米に近い、地方にすれば大型とも言える店舗がつくられる。これは悪く言えばなかなか頭を働かせながらそういう形に出てくるというようなケース、こういう場合には何か調整の対象たり得る根拠があるのかないのか、この辺のところをお伺いしたいと思います。
  215. 左近友三郎

    左近政府委員 いまお述べになりましたような各種のケース、これはいずれも店舗面積が五百平米以内といいますか、以下といいますか、であった場合ということでございますが、その場合は、やはり先ほど申しました商調法十五条の適用があろうというふうに考えております。商調法の十五条では、府県知事があっせん調停申し出によってやるわけでございますが、その場合に、大企業がそのようなことをやる場合には十五条の適用があるということになっておりますので、その具体的な事例に即して、あっせん調停によってこの問題の解決を図るというのが当方の考え方でございます。
  216. 西中清

    ○西中委員 ビルなどというような形をとられますと、実際開店してから問題が大きくなるというようなことでございますが、事実上これを廃業させるとかというようなことはなかなかむずかしいですね。こういう調整、勧告で十分いけると思いますか、もう一度。
  217. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  先ほど二つの設例を挙げられましたが、前者の場合は中小企業庁長官がお答えしたようなかっこうで対処することになると思いますが、もう一つの後の方の想定されましたケース、すなわち一つの建物の中に五百平米をちょっと切るようなかっこうで別会社でいろいろなお店をずっと並べて、それぞれのお店は全体として五百平米以下であるというような場合どうなるのかということでございますが、これは建物の総面積が五百平米を超えることになりますので、その場合には大店法の対象になるということになります。そしてそれぞれのお店はその中に入る小売業者ということになるわけでございますから、大店法によりまして所要の調整が行われるということになります。
  218. 西中清

    ○西中委員 もう少しいまの点でお伺いしておきたいのですが、要するに全部が小売店舗になるビルでない、たとえば上の方がマンションである、それから事務所も入っている、こういう場合も最初から建設の届け出をしなければならないという判断ですか。
  219. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  その建物の一部に、要するに店舗以外の用に供するたとえば事務所だとかなんとかというものがある場合でも、店舗面積で五百平米、今度の改正であれば五百平米を超えるという場合には本法の対象になるということになります。
  220. 西中清

    ○西中委員 五百平米以下の場合は、やはり商調法でということになるわけですね。
  221. 島田琢郎

    島田政府委員 さようでございます。
  222. 西中清

    ○西中委員 その辺のところは非常に微妙なところだと思うのです。そういう戦略で資本が開店といいますか、店をつくっていく、こういうケースもやはり将来ないとは言えない。しかもそれが総面積で抑えられない範囲でスタートをして、途中から総面積を超えていく、こういうことも考えておかなければならぬ。そういった点でやはり若干問題があるのではないかと私は思っております。  その点については御答弁をいただきませんが、そういうことも含めて、零細な中小小売店にとっては五百以下の店がいろいろな形で出てくるということは非常に厳しい。そこへ大型店も入ってくる、こういうことになりますといわゆる流通戦争になる。一番最初に大臣にも御質問いたしましたけれども、そういうところから店舗面積の総量規制といいますか総量調整、こういった措置を考える必要があるのではないか。これはどこまでが適切な店舗面積であるか、こういう問題も一つあるわけでございますけれども、地方の都市にとってはこれは非常に大きな問題でございます。そういう点で総量調整、総量規制、この点については通産省としてはどういう考えでおるのか、お伺いしたいと思います。
  223. 島田琢郎

    島田政府委員 いま御指摘のように、相当大規模小売店舗進出が行われるところで総量規制という議論が行われているということを私どもも承知いたしておりますが、考え方といたしまして、やはり総量規制という方式をとった場合にはいろいろ問題があろうかと思います。  考え方として、やはり総量規制ということをやりますと、地域の小売業というのを固定化してしまうということで、長い目で見て小売業の発展、あるいは地域経済の健全な発展というものを阻害するおそれが強いのではないだろうかという懸念がいたします。  また、実際問題といたしまして、じゃどういう範囲でそれを考えるかということになりますと、区域の設定一つとりましても、一つの商圏というものをどうとらえるかというのは御案内のようになかなかむずかしい問題でございまして、商圏自身がまたいろいろな要素、たとえば交通事情ですとか、あるいは場合によってはそこに新しいお店、あるいはそれ以外に雇客を吸引するような何らかのものというものができることによって商圏が変化していくということでございますので、技術的にも非常にむずかしいということでございます。  それから、もう一つ懸念されますのは、もし総量規制というようなかっこうをとりますと、逆に大型店の駆け込み的な出店というものを誘発するおそれもあり得るというふうな点も懸念されますので、私どもは、考え方として総量規制というような方式をとるのはいかがかというふうにいま考えておるわけでございます。
  224. 西中清

    ○西中委員 時間も大分なくなりましたので、大臣にお伺いをしたいのですが、当委員会には特定不況地域対策臨時措置法案、これがかかっておるわけですが、これに該当するような地域というのは、現在地元小売商、非常に厳しい状況に置かれ、現実に売り上げも相当落ちておるというのが実情でございます。こういう地域に大型店進出をする。私の方の選挙区でも、舞鶴では特定不況地域の指定にもなっておりますが、せんだってここに大型店が一店進出をいたしまして、やはり商店街等につきましては非常に脅威になっておるわけであります。  この指定をされました地域、最終的に何地域になるかわかりませんが、この地域には大型店進出は一時見合わせる。ともかく経済の事情がもう少し安定的な状態になるまでというようなことでも結構ですが、大型店の新増設については一時凍結をする、こういうような施策をお考えにならないかどうか。現に金融面につきましても税制上の措置についても手当てはいろいろなされるようでございますけれども、そういう処置をとったにしたって、現実に大型店進出するような事態が生ずればこういう地域はもう一たまりもない。零細小売商は大変な打撃を受けるわけでございます。そういうお考えを大臣はお持ちでないかどうか、また検討はしていただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  225. 河本敏夫

    河本国務大臣 今度の特定不況地域に対する救済法は近日御審議を始めていただくことになっておりますが、この法律は、構造不況業種がその地域の中核産業でありまして、そのために関係する中小企業が非常に大きな打撃を受けておる、あるいはまた雇用問題も非常に深刻になっておる、こういう場合に地域指定をいたしまして、その地域の中小企業全体を救済していこうということのためにいろいろな対策を総合的に進める、こういう考え方でございます。したがいまして、困っておられます中小企業は新しい積極的な対応策によりまして救済を図るつもりでございます。でありますから、これは大型店舗の問題とはやはり別に考えていく必要があろうと思うのです。  大型店舗の問題は、消費者の利便ということもやはり考えなければなりません。それからまた、雇用問題から考えますと、必ずしもマイナスの面ばかりではない、私はこういう感じもいたします。かつまた、新しいスーパーが出ていきますためには、地域社会の合意、コンセンサスというものが前提条件として当然必要であります。だから、不況地域の地域指定をしたからといって、当分の間スーパーの進出規制する、ストップさせる、これは私は少し行き過ぎであろうと思います。おのずから別個の問題として考えていきたいと思います。
  226. 西中清

    ○西中委員 大型店進出することといまの特定不況とはちょっと性質が違うのだ、こういうお話でございますし、雇用の面でもというようなこともありますけれども、現実問題としては、きょう残念ながらここに、手元に資料を持っておりませんが、中小小売店の大半がそういう形になっておるわけでございますが、造船の不況によりまして大変な打撃を受ける。これの落ち込みが単に造船の不況だけなのか、大型店進出したことも加味されてこれだけ落ち込んでおるのかということが地元でもいろいろ分析をしているようでございますが、進出したことはほとんど影響ないという立場ではない。それから、小さな商店ばかりですから、実際これが経営が行き詰まりますと店員を解雇しなければならぬ、こういう関係にもなってくるわけでございますから、きちっとした、絶対出さないというような規制はむずかしいかもしれません。しかし、行政面の指導というかそういう点で、やはりこういうところは気をつけるべきである、進出する地域としては余り好ましくないという立場で、通産省としてはその立場を明確にしていただきたい、このように私は思うわけでございます。  いま大臣からはそういう御答弁でございますが、いずれ特定不況の法案も審議されると存じますが、その期間までもう一考していただきたい、このことを要望しておきたいと思いますし、大臣からもう一度重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  227. 河本敏夫

    河本国務大臣 具体的な案件が出てまいりますと、御相談をいたします。
  228. 西中清

    ○西中委員 以上でございます。
  229. 橋口隆

    橋口委員長 玉城栄一君。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
  230. 玉城栄一

    玉城委員 大規模小売店舗法並びに商調法改正案に対してあわせて質疑を行いたいと思います。  午前中からいろいろな角度から質疑が交わされてまいっておるわけでありますけれども、私も重複する点もあろうかと思いますが、私の立場からまた改めてお伺いしてまいりたいと思うわけであります。  まず最初に、大店法の第一条についてでありますけれども、この点につきましては、先ほどの西中委員の御質疑に対する大臣の御答弁があったわけでありますが、まだ私ちょっとわかりかねますので、審議官の方からもう一回改めてお伺いしたいわけですが、この第一条の「目的」につきまして改めて確認しておきたいわけであります。  「この法律は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業事業活動調整することにより、その周辺の中小小売業事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする。」このようにあるわけですが、私よくわかりませんのは、何か全然性格の異なる事柄が一種の並列的にこの「目的」の中に入っているような感じがしまして、これは後ほどお伺いしてまいりたいわけでありますけれども、いろいろな紛争の問題等に関連しまして、やはり第一条の「目的」というものは改めて明確に理解しておかなくてはならないのではないか。したがって、法の運用の立場からどこにポイントを置いて運用しておられるのか、特に「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」とはどのような御理解のもとにこの大店法の運用をしておられるのか、まず最初にこの点からお伺いしてまいりたいと思います。
  231. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いまお尋ねのように、この法律では、「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業事業活動調整することにより、その周辺の中小小売業事業活動の機会を適正に確保し、」こういう書き方になっておるわけでございます。  本法は、中小小売業者の事業活動の機会の確保を図るために大規模小売店舗における小売業者の事業活動規制するということになっておるわけでございますが、その調整を行う際に、一方、消費者の利益ということに配慮して行うということを言っておるわけでございまして、その旨を法律の「目的」で明らかにしておる、こういうことでございます。  したがいまして、どこにポイントがあるかということになるわけですが、この法の運用に当たりましては、結局消費者の利益の保護、それから中小小売業者の事業活動の機会の適正な確保、このバランスというのを絶えず考えながら運用していかなければいけない、こういうことに相なろうかと思います。
  232. 玉城栄一

    玉城委員 消費者のサイドに立つのか、あるいは大型店のサイドに立つのか、あるいは周辺中小小売店のサイドに立つのか、どっちにポイントを置くというわけではなくして、バランスをとりながら、そしてなお根底には消費者の利益の保護があるのだ、そういう意味だろうと思うわけでありますけれども、やはり第一条の「目的」から、そういう形に何かあいまいなような感じがしまして、それが常に今回のいろいろな紛争の問題に尾を引いているような感じがしてならないわけであります。  これ以上お聞きしても、調整という、そのバランスという問題で運用はしていくのだということでおっしゃると思いますけれども、ただ、カラスの鳴かない日はあっても、大型店出店に伴う紛争の問題が新聞に載らない日はないと言われるほど非常に問題があるわけです。したがって、巷間言われるところでは、大店法の機能はもうすでにストップしているのだというような批判をされる方もおるわけですね。これまでの大臣のお答えの中にもありましたけれども、四十九年の制定当時、直後からすでにこの法改正意見が出ているのだ。四年過ぎまして、今回こういう改正案が出てきておるわけでありますけれども、この改正案のとおり法律が制定されたにしても、果たして現状の多くの問題が解決できるのかどうか。これはいろいろな方々の御意見を承りますと、非常にむずかしいのではないかというような御意見もあるわけでありますが、この点、非常に大事だと私思いますので、本当にこの改正案のとおりに法律が制定されたときに、いま抱える多くの問題を自信を持って法の執行によって解決ができるのかどうかを、大臣からお伺いしておきたいわけであります。
  233. 河本敏夫

    河本国務大臣 四十八年に法律ができまして、翌年三月から施行しておるわけでありますが、この法律を施行いたしました直後から幾つかの問題点が表面化いたしました一番大きな理由は、昭和四十八年の秋に石油ショックが起こりまして日本の経済の姿が一変をした、流通面における動きも非常に大きな変化をしたということも一つの大きな理由でなかったかと私は思うのです。社会情勢、経済情勢の変化、これが施行直後から改正すべしという議論を生んだ大きな背景であったと思います。  しかしながら、制定当時はあの内容が一番いい、こう思ってつくったわけであります。今回の改正も、現時点では一番よろしい、こう思っていま御審議をお願いしておるわけでありますが、何分にも社会情勢、経済情勢は激動期でありまして、世の中が激しく変わっておりますので、それではこのままずっとこれが一番いい法律で終始できるかといいますと、これは私は断言できません。やはり現時点で一番よくても、あるいはもう少し世の中の動きを見ませんと最終的な判断は申し上げられませんけれども、現時点では、関係者の専門家のいろいろな知恵を拝借いたしまして、これがよろしい、こういうことで御審議をお願いしておるわけでございます。
  234. 玉城栄一

    玉城委員 抱える問題が非常に複雑な問題であるだけに、この法を運用される立場とされては相当な御苦労があることはよく承知をしておるわけでありますけれども、そこで審議官の方にお伺いしたいのですが、この紛争の事例は大体年間どれぐらいあるのか、それを地域別に概略おっしゃっていただきたいと思います。
  235. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  地域別というお尋ねでございましたが、全体の数字をちょっと申し上げますと、紛争というものをどういうふうに定義するかというのはちょっとむずかしゅうございまして、いろいろな考え方があろうかと思いますが、一応調整があったものと申しますか、あるいは商調協にかかったものを紛争があったというふうに一応考えまして調べてみますと、五十二年度中に大店法に基づいて調整をしました新設の案件、増設の案件というのは、延べにして約六百件ということでございます。
  236. 玉城栄一

    玉城委員 紛争という定義の中に入る六百件ですね、その紛争のトラブルのポイントといいますか、これをちょっとわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  237. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  紛争のポイントと申しますか、原因と申しますか、これも一件一件事情がそれぞれ全く違いますので、概括的には非常にお答えしにくいのでございますが、直接のお答えにならないかもしれませんけれども、ちなみに東京通産局管内で大型店進出反対ということでいろいろ言われた場合の要因、なぜ反対かということを言われた要因を調査した結果がございますが、それによりますと大体三つぐらいに分かれますが、一つは、オーバーストアになるという意味反対である。それから二番目は、大型店の立地場所が中心商店街と離れているという点が理由になっている。それから三番目は、大型店出店に伴いましていろいろな意味での環境悪化が懸念されるというところ、この三つぐらいが主な原因として挙げられているようでございます。
  238. 玉城栄一

    玉城委員 こういう問題の紛争の原因というのはいろいろなケースがあると思うわけであります。そういうことで、大店法並びに商調法という法律に基づいてその紛争調整ということで、過程の中でそういういろいろな問題が出てきていると思うわけでありますけれども、これは一つの事例ですが、大店法の違反事件として新聞に報道されていたものを私読んだだけでありますけれども大店法の十四条の罰則を適用するということは、全国的に同じような紛争を抱えている地域に対する波及効果というか、影響が大きいので、そういうことは、それに該当する事件であったにしてもやらないというようなこともあったということが報道されておったわけであります。それは何も罰則を適用せよという意味では決してありません。ただ、通産省のこういう問題解決に当たる基本的な姿勢が非常にあいまいといいますか、さっきも私、一条の問題、「目的」から少し申し上げたわけでありますけれども、何か逃げ腰と申しますか、責任転嫁と申しますか、そういうことが感じられてならないわけです。決して介入するという意味ではなくして、法の運用者としてもっと誠意を持って問題の解決に当たるべきではないかという感じがしてならないわけです。  そういうことで、これも一つの例ですけれども大臣の諮問機関である審議会、そして地元の商調協へ上がっていって、また差し戻すというような事例もあるわけですね。非常に無責任なと申しますか、これはこういう報道がされております。非常に無能ぶりを示しているんだというようなことですね。これは後の商調協との関連でもう少しお伺いしておきたいわけでありますけれども、中央の審議会がまた地元に差し戻しをする、そういう審議会地元の商調協あるいは商工会議所、商工会とのあり方、問題が宙に浮いたままになっているわけですね。それでいいのかどうか、その辺の御見解を承りたいわけであります。
  239. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えを申し上げます。  現実に各地でいろいろな紛争があるわけでございます。私どもは、この大店法という法律の仕組みに従いまして、現実に起きているいろいろな紛争を解決していかなければならないという立場にあるわけでございます。もちろん、このケースは千差万別でございますので、どういうやり方をしているかというのにつきましては、いろいろなやり方があろうかと思いますが、私どもといたしましては、地元関係者が非常に心配をし、いろいろ議論をされている問題につきまして、その問題が一日も早く解決するという姿勢でこの法律の運用をしていくという気持ちであることには変わりがないということを申し上げたいと思います。  それから、いま御質問のありましたのは、恐らく熊本ダイエーのケースであったかと思いますが、これにつきましては、経緯を一々詳しくは御説明をいたしませんけれども、結局地元で、熊本で五十年の三月に最初に三条の受付が行われたそのすぐ後、五十二年に再度申請が行われ、そして五十三年の六月に五条の届け出が出されたということで、地元の商調協の答申がございまして審議会に上がってきた、こういう経緯になっておるわけでございます。審議会では、この問題につきまして五十三年八月から九月まで慎重に検討いたしたわけでございますが、審議会といたしましては、商調協の審議が数字的検討を含めてなお検討すべき点が残されている、それから審議会も、論点が多岐にわたっており、十分な論議を尽くすに時間的余裕がなかったというようなこともございますので、当事者がそういった事情を勘案して一度届け出を取り下げて、関係者でもう一遍よく相談をしてほしいということに審議会の要望がございまして、それに従って取り下げが行われ、現在地元の商調協で審議が行われておるということでございます。  これは決して審議会として責任を回避したという意味ではなくして、あらゆる角度から本問題を検討いたしました結果、本件の経緯、本件の事情というものを勘案すると、やはりそういうようなかっこうにするのがあの段階では最も適切な措置であろうというふうに考えて、そういう要請をしたものでございます。審議会としてはそういうように要請をされたというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  240. 玉城栄一

    玉城委員 きわめて悪く解釈しますと——今回のこの大店法改正の二番目の柱になっていますいわゆる都道府県知事調整権を与える、そういう要請があることは事実です。しかし、悪く考えますと、何か政府の責任逃れのような感じがしてならないのですが、これもちょっと後でお伺いしてまいりたいわけです。  そこで、商調協、これは法文上から出てこない、制度の形式的な面からは出てこない、一つの組織とも言えないし、しかし、実質的にこの機関が調整の段階で大きな役割りを果たしていることは事実であるわけですね。したがって、商調協の現在の実態につきまして、そのとおりでいいとお考えになるのか、もっとこの改正に伴って現在の言われている商調協のいろいろな問題について改善すべき点があるとお考えになっておるのか、ないとお考えになっておるのか、その点、商調協のあり方についてお伺いしたいと思います。
  241. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  商調協というのは、実際問題としまして現在大店法の運用上非常に重要な役割りを担っているわけでございます。したがいまして、商調協の運用あるいは構成というものにつきましては、私どもは絶えず検討しなければいけないと思っておるわけでございますが、最近におきましていろいろ議論になっておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、一つは、最近店舗が大型化したということから影響する商圏の範囲が広がったということに関連しまして、一つの商工会議所あるいは一つの商工会の商調協で審議をするには範囲が広がったために、他の商工会議所、商工会の商調協とも一緒に審議をしないとうまい結論が出ないのではないだろうか、あるいはそういったところの意見を十分組み入れるようなことを考えなければいけないのではないだろうかといったような、いわゆる広域商調協というような考え方についてどういうふうに考えたらいいかという議論がございます。  それからまた、商調協の委員の構成等につきましても、いままでも十分商業者、消費者、学識経験者の代表者、相互に均衡のとれるように考慮して選定をするようにいたしておるわけでございますが、こういった構成、人選等につきましてもさらに改善する余地はないだろうかというような問題等々ございまして、私どもといたしましては、関係者と十分相談しながら、こういった問題につきましてできるだけ改善をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  242. 玉城栄一

    玉城委員 現在の調整システムの中において商調協のあり方、いまおっしゃるとおり非常に重要な役目を果たしている、そういう御認識のもとに、先ほど申し上げました審議会からもう一回地元で再審議をしなさいというようなこともしていらっしゃるわけです。そういう商調協のあり方については改善をしていきたいということをおっしゃっておるわけでありますが、そこで、従来商調協の意見というものは、もちろん商工会議所が聞きましてそれを審議会に出すわけですね。その意見というものはほとんどですか、あるいは半分、とにかく最大限に尊重されておるわけですか。その点をお伺いいたします。
  243. 島田琢郎

    島田政府委員 やや運用の実態に即して答弁申し上げますと、現在の大規模小売店舗審議会のやり方につきましては、たとえば法五条の届け出あるいは九条一項、二項の届け出で、会議所で商調協に諮ることも要しないもの、いわゆる軽微な案件でございますが、につきまして、会議所から商調協に諮ることもなく届け出どおり認めて差し支えないというようなかっこうで答申が出てきた場合、それから商調協で出席者全員の意見が一致した場合で商工会議所からも同じ内容の答申が出されているというような場合につきましては、これは原則として、審議会の方は審議会を開くことなくして会議所の意見と同内容の答申を出してもいいというような運用をいたしておるわけでございまして、そういった場合には商工会議所の意見というものをそのまま審議会としても採用していくというようなかっこうで運用がなされているわけでございます。  ただ、実際問題として、商工会議所、商調協でいろいろ意見が分かれるというようなものもございますので、そういった場合につきましては、今度は審議会でさらに審議をするというようなかっこうになるわけでございます。
  244. 玉城栄一

    玉城委員 その場合に、商調協の意見というものは、全会一致あるいは賛成、反対あります。あるいはまた中間的な意見もあるでしょう。そういういろんな形の結論が出ると思うのですね。その意見は従来はどういうふうに出ていますか。それとも、これからはその商調協で出た結論、意見というものはどのような形で出てもいいのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  245. 島田琢郎

    島田政府委員 法律の七条に、商調協と申しますか商工会議所と大店舗審議会との関係が規定されておるわけでございますが、申し上げますと、大規模小売店舗審議会は、通産大臣が勧告をするという場合に意見審議会に聞くわけでございますが、審議会意見を聞かれた場合に、その意見を自分が決めようとするときには、今度は「商工会議所又は商工会の意見及び消費者又はその団体小売業者又はその団体その他のもので通商産業省令で定めるところにより申出をしたものの意見をきかなければならない。」というかっこうになっているわけでございます。したがいまして、審議会が商工会議所あるいは商工会の意見を聞く、それから同時に、それ以外の者でも意見のある人は申し出ることができる、そういったものが今度は審議会に上がってまいりまして、審議会はそういう意見を尊重しながら審議会としてどういうふうな結論を出すのが適当かということを審議するというのが、法律のたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この法律のそういう趣旨に従いまして運用を行っていくということになろうかと思います。
  246. 玉城栄一

    玉城委員 問題は、審議会というのは、地元の商工会議所、当然商調協の意見を聞き、それがまた審議会に出ていくわけですが、一方、賛成と結論が出た意見であれば簡単、あるいは反対だという結論が出た意見であれば簡単ですが、賛成もあった、反対もあった、あるいはどっちつかずもあった、これは当然そういう審議機関ですからいろいろな意見は出てくると思うのですが、そういういろいろな賛否両論ということについては、会としてはどれを尊重されるのですか。
  247. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  それはどれをという立場にはないわけでございまして、その案件で、たとえばAという意見、Bという意見、Cという意見というのが商工会議所あるいは商調協の結論として出てきたという場合に、審議会は、実際に審議する場合には、商調協の審議の経過、それからそのときの検討の状況というものを詳しく聞きまして、そしてそういったものをもとにしまして、審議会としてそういった意見のどういった意見をとるべきか、あるいはそれらの意見を総合してどういう意見をとるべきかということを審議会として独自に判断をすることになるわけでございます。
  248. 玉城栄一

    玉城委員 結論としまして、商調協の意見というものは審議会は尊重するが参考だ、こういうふうに理解していいわけですね。  あわせて、従来の審議会、大店審の調整決定を不服として民事裁判に持ち込まれた例があるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  249. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  審議会の決定と申しますか、法律的に言えば審議会意見を聞きまして通産大臣が勧告するわけでございますが、勧告し、それに従わないときは命令を出す。これに対して不服であるとして訴えを起こされたというケースはございません。
  250. 玉城栄一

    玉城委員 そうしますと、大臣の諮問機関であるところの審議会調整決定、結論に至る経過というものは従来公表はされておらないし、あるいは今後はそういう審議会の審査の過程というものは公表されるのかしないのか、その点をお伺いいたします。
  251. 島田琢郎

    島田政府委員 審議会の結論というようなものはもちろん表に出るわけでございますが、詳細な内容を一々公表するというふうにするのは、審議会の運営を円滑、公正にやっていくという意味から適当でないと考えております。
  252. 玉城栄一

    玉城委員 次に、今回の改正で、第二種については都道府県へ調整権能が付与されるわけでありますけれども、この点につきましては午前中からも各委員の先生方から御質疑があったわけでありますが、この調整というものは非常に複雑で厄介な問題を抱えるわけですね。  それで、従来は国がやっていた、しかし、第二種については都道府県でひとつやってもらいたい、こういうことですが、当然事務量もふえますし、伴って行政責任というものも都道府県は負わされるわけであります。午前中の質疑のお答えの中で、当然それに要する財政的あるいは予算面については地方交付税の算定の対象にする、あるいは委託費につきましては一千三百万ですかの予算を要求をしておる、こういうお答えがあったわけでありますが、それで間違いないかどうか、お伺いいたします。
  253. 島田琢郎

    島田政府委員 それで結構でございますが、地方交付税の基準財政需要額の単位費用算定の対象とするというのは正確でございませんで、していただくように私の方としては関係省にお願いをしたいというふうに考えておるということでございます。  それから、委託費の方につきましては、千三百万で間違いございません。
  254. 玉城栄一

    玉城委員 責任も事務量の面においてもこれだけの問題を地方自治体に負わすわけですから、今後は都道府県が矢面に立たされてくるわけですね。ただでさえいま地方自治体は大変な財政状況で、財政的には非常に逼迫し、事務量も多く、問題を抱えているわけですね。そこでこういう問題が今回の改正によって負わされてきて、その予算についてはこれから自治省にお願いをして地方交付税で考えてもらおう、委託費についてはたったの千三百万ということで、これでいいのかどうか。たとえば委託費の一千三百万といいますのは、どういう算定基礎で一千三百万となっているのか、お伺いをいたします。
  255. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申します。  第二種大規模小売店舗実態調査委託費というのは、まさにこのとおりでございまして、第二種の大規模小売店舗実態調査するということを都道府県にお願いをいたしまして、そのための費用を委託費として計上するというかっこうになっておるわけでございます。  算定の積算基礎は、ちょっといま手元に持っておりませんものですから……。
  256. 玉城栄一

    玉城委員 私が申し上げたいことは、これだけの調整の権能を移譲するわけですから、それに伴って当然政府としてはそれ相応の財政的な手当て、があってしかるべきだと思うわけです。しかし、いまお伺いしている範囲ではそれ相応のものでは決してないわけですね。それでいいのかどうかという大きな疑問がまだ残っておるわけです。そのことについてもう一回、お答えがありましたらお答えしていただきたい。  と同時に、もう一点は、やはり地方自治体に第二種関係についての調整が負わされていくわけですから、その判断の基準と申しますか、そういうもの等につきまして通産省としてはどういう行政的な指導方針を持っておるのか、それをお伺いしたいと思います。二点です。
  257. 島田琢郎

    島田政府委員 まず、予算の方でございますが、私どもは先ほど申し上げましたようなかっこうでいまお願いをしておるわけでございまして、まず当面——これはいずれも要求になっております。要求しておるわけでございますから、この要求の実現に全力を挙げたいというふうに考えております一それで十分かという御指摘もあろうかと思いますが、私どもも今後とも努力をしていきたいというふうに思います。  それから、地方で調整をやる場合にどういうふうな指導をするかというお話でございますが、実際にこれから法律が通りました段階で具体的にどういうふうにこの法律を運用していくかという点につきましては、これは都道府県とも十分相談をいたしまして、やはり混乱の生じないように、何といいますか、連絡をとりながら必要な指導をするという体制で臨みたい。そのためには、いろんな実施の細目につきましてこれから検討して決めていかなければならないと思いますが、具体的にどういうかっこうにどういったものをたとえば通達を出すかというようなところまでは、現在のところまだ検討中でございます。
  258. 玉城栄一

    玉城委員 この点は強く要望をしておきたいわけですけれども、従来一本立てのものが国と都道府県で二本立てでやっていくわけですから、国と同じようなことを第二種に関しては都道府県はやっていかなくちゃならぬわけですから、いわゆる財政的な面にしろ、あるいはいろんな行政的なアドバイスにしても、これは十分な対応措置をやっていただきたい、このように思うわけであります。  次にお伺いしておきたいことは、従来三十八都県、それから六十八の市でいわゆる中型店舗の進出規制の条例とかあるいは要綱がつくられて、それ相応に地域の実情に合ったような形で対処をしておるわけです。当然今回のこの改正案とダブる面もあるわけですから、そういう自治体の条例や要綱の取り扱いを今後どのようにされるのか、その点をお伺いいたします。
  259. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  今度の改正法と条例との関係でございますが、今回の改正に当たりましては、いま既存店舗の条例、要綱というような調整実績というものをいろいろ考えておりまして、そういったものも十分勘案いたしまして、千五百平米以下の調整権限につきましては地方自治体に委任をしたわけでございます。それからまた、調整対象店舗面積は、先ほど申しましたように、五百平米を超えるところまで引き下げをするということにしたわけでございます。そういったかっこうで、改正法で条例を大体カバーできるような実態になってまいりました。  他方、五百平米以下の店舗につきましては、これは御議論のあるところかもしれませんが、私ども従来の実績を見ておりますと、一般の中小小売五百平米以下の店舗につきましては、一般中小小売業との顧客吸引力に余り優位な差は認められないし、その出店をめぐる紛争というのもほとんど余り実態としてないというところから、これは対象にせずに、別途小売商業調整特別措置法による調停あっせんというかっこうで対処するということを考えておるわけでございます。  そういうかっこうになりますと、現行の条例あるいは要綱というものも実態的にはその必要性は乏しくなってくるのではないかというふうに考えております。したがいまして、それで実際問題として条例のうちで五百平米を超えるものというのは国の改正法の方できちっと措置がされるものでございますから、改正法が施行されれば条例は効力がなくなるのではないかというふうに考えております。  それから、五百平米より下のものにつきましては、これは法律的にはその地域地域の実態というものを踏まえまして、それが合理的な内容のものであるかどうかということで判断されるべきものだろうと思いますから、こういった場合につきましては、恐らく個々の条例で具体的に判断されることになるのだろうというふうに思います。ただ、先ほど申しましたように、実態的にはもう今回の措置で大体カバーされるのではないかというふうに考えますので、各自治体が個別に今度の改正法のようなかっこうでの条例、要綱を制定するということは、余り適当ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  260. 玉城栄一

    玉城委員 その点につきましては、ただ現実の問題としまして、都道府県においては、今回の政府改正案のとおりに法案が成立した後も、現在抱えておる小売業界の出店紛争の問題がその状況を見ない限り、つくった条例あるいは要綱はただ簡単に廃止はできないというような意見もあることは事実ですね。その辺これからの問題だと思いますけれども、いわゆるその条例廃止によって生ずる混乱が決して生じないような、そういう対処を強く要望をしておきたいと思います。  次に、この点も質疑が交わされてまいった問題でありますが、大型店出店に伴ういわゆる町づくりの問題なんです。  これは現在は流通面あるいは経営面からのいろんな論議なんですが、やはり都市づくり、都市計画、都市構造、そしてまた町づくりというような点からこの問題は対処しなくてはならない重要な時期に来ていると思うわけですね。ですから、この件につきましてもそういう方向でこれから対処するんだという御答弁大臣からもあったわけでありますけれども大型店進出をし、周辺中小小売商がいろいろな面で犠牲を受ける。しかし、やってみたら思ったようには売り上げがない、そうするとさっと引き揚げる、そこはもう空き家になってしまう、建物が建物だけに使いようがないというようなことも出ていることはよく御案内のとおりであるわけですね。  ですから、今回のこの改正に伴いまして、そういう面から、この法はそういう立場からの法ではないのだということだけではなくして、やはり町づくりという問題についての通産省としての大型店進出に伴うビジョンというものは持っておかなくちゃならないのじゃないか。そういう第三次産業についての何らかの立地ビジョンと申しますか、これは考えておられないのかどうか、その点をお伺いいたします。
  261. 島田琢郎

    島田政府委員 いまお話のありました町づくりの問題でございますが、先ほども申し上げましたかと思いますが、法律の体系といたしましては、現在の法律が中小小売業事業活動の機会の確保を図るという観点から、大規模小売店舗における小売業者の事業活動調整をするという性格のものでございますので、都市計画との整合性等いわゆる町づくりの観点というところでは、必ずしも法律の体系としてその中へ取り込むということはむずかしいわけでございます。  一方、町づくりという話になりますと、これは非常にいろいろな観点から考えなければならない問題でございまして、その意味するところもきわめて多様であるわけでございます。そういったものをそっくりこちらの法律の中へ取り込んでくるということは、法律の体系として非常にあいまいになってしまうということで、むずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございますが、一方、現実に、御指摘のように、実際の小売店舗というものが都市機能として非常に重要な役割りを持っておるということも事実でございます。したがいまして、それがどういったかっこうで商業集積が進んでいくかということは、都市機能という立場から見ましても非常に重要な問題であるという点は事実でございます。したがいまして、大店法というのを運用していく場合に、可能な限りそういった町づくりの観点というものも配慮しながら運用していくという方向で考えてまいりたいというのが私どものいまの立場でございます。
  262. 玉城栄一

    玉城委員 これまでの傾向性としまして、こういう問題は今後多発していくのではないかと思うわけであります。したがって、そういう立地基準的なものも、審議会あるいは地元等においても当然、流通面だけあるいは経営面だけではなくして、やはり三本柱としてそういう町づくりという問題も基本の柱に置いてこの調整問題ということには対処していただきたい、このように思うわけであります。  次にお伺いをいたしたいのでありますけれども、やはり期待されている問題の一つに、今回のこの大店法並びに商調法改正に伴ってわが国の小売業に対する近代化ビジョンと申しますか、いわゆる説得性のある明確なそういう将来ビジョン、こういうものが当然この法案の改正に両々相伴ってやはり御説明があるべきではなかったか、そういう期待もあるわけでありますけれども、しかし、そういうこともまだないわけであります。したがって、これは私から申し上げるまでもなく、周辺の中小零細小売商方々にとっては、この大型店進出問題といいますのは死活問題ですから、そういう中で問題が紛争として多々あるわけであります。  したがって、小売業界に対する通産省としてのビジョンと申しますか、その点について、これは私の調べたもので少し申し上げておきたいのですが、これは五十一年の通産省の商業統計調査ですが、小売業全体の商店数が、飲食店を除いて百六十一万四千店、そのうち従業員一人ないし二人の零細店が実に百万店、六一・九%、それに三人ないし九人の従業員のものを含め合わせますと百五十四万八千店、全体の九五・九%、従業員百人以上の大型店というのは千六百店、〇・一%、こういう比率からして、この売り上げは全然そういう比率にはなっておらぬわけです。非常に零細過多性である、そういうふうな状況であるわけですね。  ですから、こういう小売業界の実態を今後どうしていくんだ、将来はどのように持っていくんだ、そういう考え方が示されていかないと、幾ら法律改正をし、店舗面積の基準を引き下げてやっても、本当にうまくいくのかどうか、そういう疑問もあるわけでありますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  263. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点、きわめて重要な問題でございまして、やはり今後日本の流通業界のあり方というのがどうあるべきかという点を、将来展望を示すということはきわめて重要な問題であろうかと思います。ただ、これは非常にむずかしい問題でございます。  現在の流通のあり方というのは、どちらかと申しますと、現在のような状況を考えますと、従来の高度成長下における量的な拡大への対応というのから大分異なってまいりまして、国民生活の安定、向上、それから経済の均衡ある発展を図るために、やはり質的な改善というのを進めるという方向で流通のあり方というのは考えなければいけないだろうというふうに思っております。現在、私どもそういう意味で、生産部門に比較しまして比較的立ちおくれているとよく言われておりますこの流通部門の近代化というのを一層強力に推進するということが何より必要であるというふうに考えておりまして、商取引、いわゆる情報の流通の問題あるいは物的流通の問題、そういった各面での改善を図るということで、流通機能全体としての高度化を進めるという方向を目指すべきであろうというふうに考えております。  そのため、通産省としましても、従来流通近代化のための基盤整備あるいは物流の近代化というような業種的な横断施策も検討しておりますが、同時に、業種別にやはり流通実態というものを調べまして、それに基づいて流通近代化構想というものを策定するというような作業も現在進めております。さらに、中小企業につきましては、私から申すのもなんでございますが、中小企業の体質強化を図るためにいわゆる小売商業の振興施策、組織化施策というようなものを鋭意進めておるというのが状況でございます。全体としてどういうビジョンになっていくかということにつきましては、なお今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  264. 玉城栄一

    玉城委員 ただいまおっしゃいましたことが通産省の今後の小売業界に対するいまの考え方である。実際に大型店進出しますと、さっきも申し上げましたとおり、周辺中小小売商方々はもう生活防衛に立ち上がらなくちゃならぬわけですね。ですから、それについてはやはり政府としてこういうふうに持っていくんだ、現在こういう助成策があるんだというようなものが、きわめて説得性のあるものが明確にぼんぼん出てきて初めて納得といいますか、そういう流通近代化の促進ということも出てくるのではないかと思うのです。  それで、まだちょっと時間がありますのでお伺いしておきたいのですが、現在こういう小売業界に対する助成策というものはどういうものがあるか。これは中小企業庁の方になりますか、この利用状況ですね、実績と申しますか、いろいろな点があると思いますが、その点を含めてお答えいただきたいと思います。
  265. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおり、中小小売商に対していろいろな助成策を講じて、その合理化、近代化を図るということが当面非常に必要でございます。したがいまして、政府といたしましては、金融、税制面の助成、あるいは経営改善に関するいろいろな調査研究、あるいは各種の経営のマニュアルの作成、あるいは診断指導というふうな小売商の近代化施策をやってきたところでございますけれども、近年いまおっしゃいますような大規模店舗進出というものに対応してますますその近代化の必要性がございますので、五十三年度予算におきましても、商店街の近代化対策とか、あるいは小売商がチェーンをみずからの手で結ぶというようなものの推進のための調査とか、あるいは小売業者の資質の向上を図るための研修指導というような点をやっておりますし、来年度の予算といたしましては、大規模店舗進出に伴います小売商の対応策を具体的なケースについて検討するというふうな予算も実は要求いたしております。こういうことで諸般の施策を講じまして、この中小小売商の振興というものを図ってまいりたいというふうに思います。  何分、御指摘のとおり小売商の数は非常に多いわけでございます。われわれ一生懸命になりまして、中小企業庁、地方通産局あるいは都道府県あるいは各市町村といったものを通じてやってまいっておりますけれども、まだまだ普及徹底の点で十分でないというような御指摘も受けておるところでございますので、今後はこの対策の質も考えますが、量的にも広めまして、末端まで行き渡るように努力をしてまいりたいというように考えております。
  266. 玉城栄一

    玉城委員 この点につきまして重ねてお伺いしたいわけですけれども、融資限度額の問題とか、手続の問題とか、あるいは金利の問題とか、それから融資期間の問題とか、これは具体的にこういう法律改正と両々相まちまして、特に政府系金融機関の融資内容を再検討するおつもりはないかどうか、その点をお伺いいたします。     〔山下(徳)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
  267. 左近友三郎

    左近政府委員 政府系三機関の融資の内容につきまして、逐次改善を図ってまいらなければならないということから、来年度要求については、その融資条件についての改善も要求しておりますので、その改善が実現すれば努力をいたしたいというように考えております。
  268. 玉城栄一

    玉城委員 時間がございませんので、最後に、やはり小売業界に対する問題の一つとしまして、小売店の方々の後継者の問題ですが、この後継者問題といいますのは、農業問題にしろ、あらゆる問題でいま非常に問題になっておるわけです。  特に、これは五十一年度の春の東京商工会議所の経営状況調査によりますと、二店のうち一店は商店主が五十歳以上の中高年で高齢化が進んでいる。しかも後継者が決まっている店はわずか三割しかなく、多くの店が長男などの家族にその意思がない、適当な候補者がいないと悩んでいらっしゃる。そして商店主の方は一日に十時間平均働く店が四割もある。にもかかわらず、売り上げは十店のうち六店までは伸び悩みである。これは東京商工会議所の調査の結果ですけれども、こういう小売業界の今後の一つの現実の問題としまして、後継者の育成ということについてどういう考え方、どういう御指導の方針で臨んでおられるのか、こういう実態からお答えをいただきたいと思います。
  269. 左近友三郎

    左近政府委員 中小小売商の後継者対策の重要性につきましては、われわれもっとに認識をいたしておりまして、それに対して幾つかの対策を講じております。  一つは、商工会、商工会議所に青年部、婦人部というものを設けまして、その活動を援助をしておりまして、次代の後継者の方々がそこでいろいろの会合を通じて育っていくということを助成をしております。  それから、若手後継者というものに対する海外の研修の機会を供与する、あるいは都道府県におけるいろいろな管理者の研修を行うとか、あるいは中小企業振興事業団における経営者の研修を行うというような諸般の研修を用意いたしまして、そういう後継者の方々がうまく育つように努力をしておるわけでございます。  さらに、来年度につきましては、やはり若手経営者の養成と申しますか、国際的な知識も広めるという意味で、中小企業青年の船というものの制度を取り入れまして、東南アジアを巡航しつつ研修するというような制度も考えておるわけでございます。  そういう形で後継者の方々の知識、経験を涵養するというふうな施策を講ずるわけでございますが、やはり基本的には、商店経営というのが魅力のあるといいますか、一生かけてやれる仕事だという自覚を持ってもらうということが必要でございます。したがいまして、これは実は単にこういう後継者対策だけではなくて、商業対策全般にわたりまして、この大店法による商業調整もその一つでございますけれども、そのほか商業振興もやりまして、中小商店においてこれがうまくやっていけるという自信をつけていただくということが重要かと思いますので、後継者対策というものを講ずるとともに、やはり商業対策全体を今後一生懸命になってやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  270. 玉城栄一

    玉城委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  271. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 宮田早苗君。
  272. 宮田早苗

    ○宮田委員 大規模小売店舗法及び商調法の審議に当たりまして、まず先に私の民社党の基本的な考え方を述べて、その後質問に入りたい、こう思います。  言うまでもございませんが、今度の臨時国会は、簡潔に申しますならば、減税を中心にした補正予算の編成と構造不況業種を抱えた特定地域の不況立法を審議する、不況からの脱出を意図した国会でございます。当然、当委員会でもこの地域不況法案を一日も早く審議をして、沈没寸前にございます地域経済対策を樹立する使命を負っているわけでございます。こういう観点から、私どもは、大店法及び商調法改正は、地域の不況法案の審議終了後速やかに取り組むべきだという主張を掲げたわけでございますが、両法案が前国会からの継続案件であるということ、及び各地域で問題化しております小売業企業活動の調整を急ぐべきだという考え方に立って、大店法につきましては政府原案どおり、また商調法については中小小売商業の振興のために若干の修正を加えることによって成立を図りたいということを前提に質問をするわけでございます。  午前中からいまの時間までそれぞれの方々質問をなさったわけでございますから、重複する面もございますが、確認のためにあえていたしますので、その点は御理解を得ておきたいと思います。  提案されております両法の改正案につきましては、通常国会以来、私どものところにいろいろな業界団体、さらには労働組合等から陳情が参っております。大型店中小小売店との不要な摩擦を避ける施策を立案するのが政治と思います。ややもすると、スーパーマーケット、チェーンストア等の今日まで果たしてまいりました流通近代化及び消費者利益の確保という大きな役割りを否定するかのごとき議論が先行しているのでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 もちろん、業界の店舗拡張主義という弊害も指摘できますが、とにもかくにも市場経済の原則にのっとり消費者ニーズにこたえてきたことは間違いないと思うのでございますが、産業構造、労働者の就業構造が徐々に変化しております今日の日本経済の中で、流通業界をどう評価し、今後どう位置づけていくべきか、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
  273. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本の産業の特徴の一つは、流通分野が非常に立ちおくれておるということだと思います。大規模店舗がこの流通分野の近代化のために果たす役割りというものは、私は非常に大きいと評価をいたします。  それから第二点は、やはり流通分野が近代化され合理化されますと、当然そこから消費者の利益というものが生まれてまいります。消費者利益に寄与するところもまた非常に大きい、このように理解をいたします。  さらにまた、流通分野の発展によりまして、雇用の機会の拡大ということも進んでおりまして、この分での評価も考えていかなければならぬと思います。  ただしかし、何分にもわが国の小売業界は軒数にいたしまして百六十万軒もありまして、従業員が六百万近い特異な存在でございますから、この間の調整を十分いたしませんと、メリットの面もありますけれども、やはり地域社会に紛争をもたらすことになりますので、そういう点について十分な配慮が必要かと考えております。
  274. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一点、大臣の御所見をお伺いしたいわけでございます。  ただいまおっしゃいました雇用の拡大ということについて、特にいま雇用対策ということが一番大きな問題になっておるわけでございます。この際雇用創出を製造業に求めるということは、非常に困難な情勢にあると思っております。傾向といたしましては、第三次産業とかサービス業に求めざるを得ない情勢、こう認識をしておるわけでございます。もう一つの問題は、政府がやっておられます公共投資と民間の設備投資という問題に余り期待が持てない。  そこで、この種の第三次産業に対する設備投資の関係、こういう雇用創出と民間の設備投資ということを踏まえて将来展望を、大臣の御所見がございましたならばひとつお知らせ願いたい、こう思います。
  275. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず、設備投資の関係でありますが、御案内のような産業の事情でございますから、なかなか製造業の設備投資ということは大きく期待できません。したがいまして、ことしの設備投資も、非製造業及び第三次産業、主として流通部門、金融部門等でございますが、こういう部門に非常に大きく依存をいたしております。そういう場合に、大規模小売店舗の新増設が設備投資に果たす役割りは相当高く評価していかなければならぬ、私はこう思います。  それから、雇用問題の動きを見ますと、現在の雇用者数は約五千五百五十万になっておりまして、昨年よりも約八十万人ふえておりますが、この大部分は第三次産業で吸収されておる、こういうことでございます。もちろん、一面完全失業者の数もふえておりますが、これは毎年若い人たちがたくさん社会へ出てくるためにそうなっておるわけでございますが、そういうことを考えますと、やはり第三次産業が雇用面で果たしておる役割りというものは非常に大きい、このように理解をいたしております。
  276. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、冒頭に大店法については原案賛成の意向を表明したわけですが、その理由について述べながら質問をさらに続けます。  両法改正案が継続審議になって以後今日まで、大店法については、スーパー等の営業時間の規制とか、あるいは調整過程での店舗面積の削減勧告の強化などが焦点になってまいっておるわけです。これらはチェーンストアの経営基盤そのものにかかわる問題点でございますが、今回の法律改正原案によってそれなりの効果が期待できるということ、さらには業界内部の話し合い機運が高まっていること等にかんがみまして、第七条の「変更勧告」について通産省の見解を承りたいと思います。  七条一項に「店舗面積を削減すべきことを勧告することができる。」とございますが、下限が五百平米ということになっております。五百平方メートルでなくゼロに削減することもあり得る、こういう解釈でよろしいかどうか、もう一度お聞きいたします。
  277. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  七条一項の勧告というのは、大規模小売店舗における小売業事業活動がその周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがある場合に行うということでございます。法律的には、そういったおそれを除去するために必要な限度内であれば、店舗面積の削減というものにつきまして、個々の小売業者に対してはそれがゼロまでの削減が可能であるということは、さっき繰り返し答弁したわけでございます。  ただ、これは個々の小売業者についてでございまして、建物全体として見ました場合には、要するに五百平米を超える店舗面積の建物につきまして調整の対象にしているわけでございますから、建物ベースで見ました場合には、今回の改正によりまして調整の対象が五百平米を超える店舗面積を有する大規模小売店舗における小売業というところまで、千五百から五百というふうに拡大されました。したがいまして、従来は、建物ベースで見ました場合には、大規模小売店舗内の総店舗面積千五百平米まで、これは大都市の場合は三千平米まででございますが、そこまで可能だったのですが、今回は五百平米を超えるところまで削減するということが可能になる、そういう関係に相なるわけでございます。
  278. 宮田早苗

    ○宮田委員 第七条に関連いたしましてもう一点お尋ねしておきたいと思いますのは、同条第三項で、変更勧告に当たって合理的な理由があるとき、二カ月以内の期間延長を条文化しているわけですが、この二カ月に限った根拠は何かということであります。これまでの地方都市におきます大型店立地の際の紛争経過等を踏まえて御説明をひとつしていただきたいと思います。
  279. 島田琢郎

    島田政府委員 勧告期間につきましては、今回の改正案では、従来の調整実態というのを勘案いたしまして、勧告期間を三月から四月に改めたわけでございますが、なお、最近の傾向としまして商圏範囲が広くなっておるというようなこと、あるいは地域の小売業の競争関係が複雑であるというようなことが最近考えられますので、調整に当たりまして、そういった場合には広域の調査あるいは詳細な調査等を必要とする場合もあり得るというところから、そのために必要な期間としてさらに二カ月間勧告期間を延長できるというような措置をしたわけでございます。これが今回の改正趣旨でございます。
  280. 宮田早苗

    ○宮田委員 地方都市において、こういうふうな形でお決めになった場合に、紛争経過等というものが十分に考えられておるのじゃないかと思いますが、その点について何かございましたら、お知らせ願いたいと思います。
  281. 島田琢郎

    島田政府委員 趣旨はいま申し上げたところでございますが、実際の調整というような実績を考えた場合に、これで十分だろうかという御議論もあろうかと思います。実際に調整を行う場合には、小売業における事業活動調整というような問題は、関係者間で円満な話し合いをやって解決していくというのが好ましい結果をもたらすということでございますので、勧告調整期間はいまのようなかっこうになっておりますが、法五条あるいは六条の届け出以前でも、できるだけそれより前にも関係者間で話し合いを行って合意を得られるようなことをしていくということによりまして、実際問題としては十分対処できるのではないかというふうに考えております。
  282. 宮田早苗

    ○宮田委員 いま答弁をいただきましたこの二カ月間の期間延長に対して、中小小売業者の間から、これでは短いのではないか、さらに延長すべきだという意見もございますが、通産省の御見解をさらに承りたいと思います。
  283. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  実際のケースはいろいろございます。したがいまして、そういったような御議論が出てくることもあり得るというふうに十分考えられるわけでございますが、一方におきまして、勧告期間につきましては、この期間というのが届け出者の権利を制限するということでもありますので、余りに長く延長すると、届け出者の権利をそれだけ制約するという関係に相なるわけでございます。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 それから一方、ある程度の期間がないとやはり円満な調整ができないという関係にございます。その辺を勘案いたしまして、政府原案におきましては改正案のような措置にいたしたわけでございます。
  284. 宮田早苗

    ○宮田委員 午前中の質問でお答え願った件でございますが、実は大手の大型店はさておきまして、中小規模の営業につきまして店舗面積が五百平方メートルということに規制されます結果、販売をいたします品種によりましては営業活動に支障をもたらす場合があるということであります。たとえば家具とか自動車等の関係でございます。これについて、法をいかに運用するかの問題かとは思いますが、答弁の中では十分にその点は考慮するということでございましたが、具体的にもう焦眉の問題と思いますので、どのような措置をなさいますか、その点の御説明を願いたいと思います。
  285. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、家具とかあるいは自動車修理といったような場合には、どうしても扱う品物が大きいということで、通常の品に比べまして売り場面積がどうしても広くなるということになるわけでございます。大店法では、先ほどから申しておりますように、周辺中小小売商に相当程度影響を及ぼすおそれがあるかどうかという判断をして、そういうおそれがある場合に必要な調整措置をとるということになっておるわけでございますから、いま申しましたように、物の性格上そういったかっこうである程度大きな売り場面積が要るということから、直ちにそういったおそれが出てくるかどうかという点になりますと、いろいろ議論のあるところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、前に御説明いたしましたように、法律上その面積について例外をつくるということは、この法律の体系、構成上それは困難であるというふうに考えておりますが、運用に当たりましては、いま申しましたような趣旨から、そういった場合には——この場合でも、実際周辺小売商影響を及ぼすような場合には調整の必要があるのは当然でございます。そういったおそれの程度というものが、一般的に言うと他のものに比べてそういう面積だけで比較した場合には少ないという点を、実際に調整を行う場合に、そういうおそれがあるかないかという判断をする場合に十分配慮してその判断をするということが必要だという趣旨指導をしていきたいということでございます。
  286. 宮田早苗

    ○宮田委員 最初の質問の際に、私は、チェーンストア業界が日本経済、とりわけ第三次産業分野で果たしてきた役割りを強調したわけですが、視点を変えまして、この業界の雇用吸収力に注目したいと思います。  大臣も見解をおっしゃったわけでございますが、御承知のように、構造不況業種の多い製造業が不振そのものでございまして、目下採用シーズンたけなわではございますが、若年労働力の採用計画は軒並みダウンをしておりますのが実態でございます。それに引きかえて、流通業界はこれから成長産業ということでございまして、若年層も集中しておりますし、一方、家庭の主婦の働き場所としてもかっこうの職場となっておるわけであります。最初の質問とダブる部分もございますが、雇用の面から今後の流通業界に寄せる期待といいますか、ビジョンといいますか、そういうものがございましたならばお示し願いたい、こう思います。
  287. 島田琢郎

    島田政府委員 直接のお答えになるかどうかわかりませんが、チェーンストアにおける従業員数は、昭和五十二年現在で協会加盟店舗で見た場合約二十二万人、うち七万人がパートタイマーということで、全体では約三十万人を超えるものというふうに一応考えられるわけでございます。雇用問題を考えました場合に、現在製造業における雇用というのがいろいろむずかしい問題を抱えておるという状況を考えますと、雇用を吸収し得るという部門としまして非常に重要な意義を持っておるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  288. 宮田早苗

    ○宮田委員 両改正案によって都道府県知事への権限移譲といいますか、権限強化が図られるわけでございますが、特に第二種大規模小売店について通産省サイドからの意見をどう反映させるおつもりか、この点どうですか。
  289. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正案では、御案内のように、第二種大規模小売店舗調整事務というのは、従来の調整実績、それから行政効率というような点から判断いたしまして、都道府県知事で行っていただくことが合理的であるというふうに考えまして、都道府県知事にその調整をゆだねたところでございます。  実際に大店法の運用をしていく場合に、そういうようなかっこうで、一種は通産大臣、二種は都道府県知事、こういうことになるわけでございますが、通産大臣としましては、都道府県知事調整に際しましては、法の総括大臣という立場から必要に応じて指導を行うということが可能でございますし、また、いろいろな運用のやり方につきましては、常時都道府県知事と密接に連絡をいたしまして、両方にそごの生ずることのないように配慮していきたいと思います。  一方、繰り返すのを省略いたしますが、第一種につきましては、逆に都道府県知事が窓口であり、それを経由して通産大臣に上がってくる、その場合に都道府県知事意見を述べることができる、こういうかっこうで両者の関係というものを円滑に運営していくというふうにしたいと考えておるわけでございます。
  290. 宮田早苗

    ○宮田委員 大臣、これから何か用事があるそうでございますから、一つだけお伺いしておきたいのは、この法律改正案と関係ない事項でございましてまことに失礼でございますが、間接的な関係があるものですからお伺いしておきます。  といいますのは、チェーンストア業界に対する国民の声として、例の円高差益の還元ということが盛んに言われておりますこのごろじゃないか。それは何と申しますか、輸入牛肉の関係について業界からもいろいろ要望もあるようでございますが、いろいろな方々から御意見を聞いてみますと、そういう意見があるにもかかわらず、業界に対する割り当てといいますのが、これは所管は違いますけれども、年々下がっておるという統計が出ておるわけでございます。この点については消費者の皆さんが要望されておりますこととは逆な現象を呈しておるわけでございますので、この点、通産大臣の方のより一層の御協力をお願い申し上げたいということでございますが、その点について何かお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  291. 河本敏夫

    河本国務大臣 この牛肉の問題は非常に大きな問題だと私は思います。つい数日前から、池袋のワールドインポートマートビルで、今度アメリカから通商ミッションが参りましたのを機会に牛肉の安売りを試みにやっておりますが、延々長蛇の列が毎日続いておりまして、非常な関心を呼んでおります。私は、現在の牛肉問題に対しては何らかの改善、工夫の余地があるのではないかと考えておりますが、御趣旨のほどは農林大臣に十分伝えまして、非常な関心を皆さんお持ちであるということを連絡をしておきます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  292. 宮田早苗

    ○宮田委員 大臣、どうもありがとうございました。  そこで、続いてお伺いいたしますのは、さきに都道府県知事との関係についてお聞きいたしましたが、千五百平米以上が大臣、それから五百平米から千五百平米までが知事の調整ということになっておるわけでございますが、この理由は一体どういうことですか。
  293. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正案では、いま御指摘がありましたように、店舗面積は、千五百平米以上というものに加えまして、新しく五百平米を超え千五百平米未満の建物というものも対象にして、これを一種、二種と分けて、そして一種は通商産業大臣、それから二種は都道府県知事、こういうことにしたわけでございます。  なぜ、どういう考え方で分けたかということでございますが、これはやはり従来のいろいろな実績、それから行政効率というようなものを勘案いたしまして区分したわけでございます。そしてまた、こういうふうにすることによりまして、一方では、流通の近代化あるいは最近における大型店のチェーン展開というような点を考えますと、全国的な立場から調整を行うという必要があるということ、片方は、そういったお店が地域経済に非常に密着した問題を含んでおるということ、そういった点も勘案いたしまして二つに分けまして、その関係を、先ほど申しましたように、一種の場合には都道府県知事経由で上がってくる、意見を述べる、こういうかっこうで二つの政策の調整を図るという考え方で構成をしたものでございます。
  294. 宮田早苗

    ○宮田委員 次にお聞きいたしますのは、小売市場の一店舗当たりの面積を三十平米ということにしておられますが、この根拠と意義について御説明をお願いいたします。
  295. 左近友三郎

    左近政府委員 今回の改正におきまして、小売市場につきまして零細な中小小売商テナント保護を図るという観点から措置をいたしたわけでございますが、その定義の中で、零細なテナントが入居しているというふうな趣旨から、この三十平米未満の区分という要件を追加したわけでございます。それはつまり零細性というものをそれであらわしたわけでございます。  そこで、その三十という数字の根拠でございますけれども、いまわが国全体の小売業の一店当たりの平均売り場面積というのは、試算いたしてみますと、大体五十平米ぐらいに相なります。それから、小売市場の中の小売商の平均の売り場面積というものを試算いたしてみますと、これが二十一平米ということになります。したがいまして、そういう数字を勘案いたしまして、大体小売市場実態に合致し、かつ、零細性ということを言うとすれば三十平米という基準ではなかろうかということで、この数字にしたわけでございます。
  296. 宮田早苗

    ○宮田委員 ところが、小売市場方々から、これを五十平米にしたらどうかという意見も出ておるわけでございますが、その場合の調整能力といいますか、メリット、こういうことはどういうふうにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  297. 左近友三郎

    左近政府委員 三十平米でございますと、現在の小売市場の中で約七割がそれに該当するということに相なります。それから、これを仮に五十平米ということで線を引いてみますと、約九割が入る、こういうことに相なるということの計算ができております。
  298. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に進ましていただきますが、都道府県、市町村独自の条例が非常にたくさんできておると聞いておりますが、この要綱との整合性の問題について、廃止すべきという行政指導の声が非常に強いわけでございますが、この法律ができたといたしましたならば、その点についてはどういうふうなお考えをお持ちか、その点をお聞かせ願いたいと思います。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  299. 島田琢郎

    島田政府委員 私ども考え方を申し上げさせていただきますと、今回の大店法改正に当たりましては、調整対象の店舗面積を五百平米まで引き下げるということにいたしました。と同時に、従来の地方自治体における条例、要綱による調整実績ということも考えまして、千五百平米以下の調整権限につきましては、これを地方自治体に委任をしたということは先ほど来申し上げておるところでございます。  一方、実態的に申しますと、もう一つ五百平米以下の店舗につきましては、これも前に申し上げたかと思いますが、私どもといたしましては、一応顧客吸引力等々の点から考えまして、一般中小小売商との顧客吸引力に、五百平米以下ということになりますと、余り際立った差というものは見られないのではないか。また、出店をめぐる紛争というのも従来までのところ余り実績がないというところから、一応そういったものが仮に今後出てくるとすれば、それは小売商業調整特別措置法あっせん調整規定により対処するというかっこうで臨みたいというふうに考えたわけであります。そういうかっこうになりますと、実際上現行の地方自治体における条例、要綱につきましては、実態的な必要性というのは、もう今回の改正案が成立した場合には乏しくなってしまうのではないかというふうに考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、この大店法商調法の今回の改正案ができました場合には、いままでこういった千五百平米までしか規制調整がなされてないという時代につくられました条例あるいは要綱につきましては、その必要性がもう乏しくなったというところから、そういったものについては都道府県においてしかるべく措置されることを期待しておるわけでございます。
  300. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの問題についてもう一度お伺いをいたしますのは、五百平米ということで一応規定されるわけでございますから、その範囲に入ります条例というのは自然消滅ということになろうかと思いますが、それ以下の条例で取り決められておる県、市町村というのも大分あるやに聞いておるわけでございます。たとえば三百平米とかいうところもあるように聞いておりまして、その点についてよろしく御指導ということなのでございますが、何らかの措置をとらない以上は、なかなかそれをやめさせるというわけにはいかぬじゃないか。これをそのままの形でほっておきますと、またぞろ五百だから四百にしろとか二百にしろとか、こういう条例というものができるおそれもなきにしもあらずじゃないかと思います。  そういう点についてはどういう考え方で臨まれるか、もう一度明確にしていただきたいと思います。
  301. 島田琢郎

    島田政府委員 私ども考え方は、いま申し上げましたようなことでございます。したがいまして、実際上の必要性というのは今回の改正によってなくなっていくのではないかというふうに思います。もちろん、条例を制定する権限というのは都道府県にあるわけでございますから、直接私どもがすぐそれをどうこうというわけにまいらないわけでございます。そういった実態でありますし、それからまた、商業調整制度というものも、余り複雑になるということはかえって混乱を生じますために、今回の改正案というものができました場合、できるだけすっきりしたかっこうで商業調整が行われるように、都道府県等にも十分私ども考え方を浸透させたいというふうに考えております。
  302. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に御質問いたしますのは、商調協の委員構成の見直しをやるべきだという意見もだんだんに出てきておるように見受けるわけですが、そういう意見が出ますところを見ますと、どうも商調協の運営に不明朗なところがあるのじゃないか、こういう問題について改善をしろという意見でございますけれども、この見直しをやるべきだということに対してどのようなお考えをお持ちか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  303. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  商調協というのがこの大店法を実際に運用していく場合にきわめて重要な役割りを果たしておるという点は、繰り返すまでもないところでございます。ところで、この商調協は商工会議所あるいは商工会ごとに設置されております。この委員の構成につきましては、通達によりまして、商業者、消費者、学識経験者の代表者のうちから相互に均衡のとれるように考慮して選定するということで指導いたしているわけでございます。また、その各委員がその代表する各層の意見を正しく反映する代表者であるということになるようにということも要望しておるわけでございます。これはもう当然のことでございます。  しかし、実際いろいろなケースということになりますと、現実にはいろいろ問題といいますか、むずかしい点もあるわけでございますが、これをどういうかっこうで改善していくかということが今後の課題でございまして、私ども、現在部内で具体的にどういうふうにしたらいいかということも検討をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、商調協の運営というのが公正中立に行われるということが、商調協の権威を高め、またその存在を重からしめるゆえんでございます。したがいまして、私どももそういったかっこうになるようにできるだけ検討し、関係者とも十分に相談をしていきたいというふうに思っております。
  304. 宮田早苗

    ○宮田委員 この問題については、御存じであったならばお答え願いたいと思いますのは、例の熊本の問題について、一応いきさつは御存じと思いますけれども、ああいう形になって再度申請なさったということが新聞あたりに出ておるわけでございます。この経過、わかっておりましたならば、簡単でよろしゅうございますからちょっとお知らせ願いたいと思います。
  305. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  熊本ダイエーの件につきましては、五十年に申請が出されまして、それから一度その後申請が変更されまして、最初が五十年の三月で、三条の届け出が出されました。それから、五十二年に面積が縮小されまして、さらに変更届け出がなされた。その間、第一回目の段階でも事前商調協が開催され、それから第二回の段階でも事前商調協が開催されたわけでございます。そして五十三年六月十六日に五条の申請が出てまいりました。  商調協が開かれた後、大店審で検討がされたわけでございますが、大店審といたしましては、五十三年の八月から九月まで鋭意検討を続けました結果、審議会としては、商調協の審議が数字的な検討を含めてなお検討すべき点が残されていること、それから、審議会も論点が多岐で十分に論議を尽くす時間的余裕がなかったということから、当事者の協力を得て、もう一度そういった事情を勘案しまして届け出者が一たん届け出を取り下げて、そして関係者で適切な措置をとられるように要望するという審議会としての要請がございました。  それを受けまして、現在ダイエーの方といたしましては、五条の届け出の取り下げを行い、それから九月十六日付で五条の申請がなされまして、現在商調協で審議が行われておるというのが簡単な経緯でございます。
  306. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に、もう一つお伺いしておきますのは、ここでの所管ではございませんが、例の農協、生協の関係に伴って考えられます今度のこの法律の問題についてであります。  本来、農協、生協というのは、特定のということが定義というふうになっておりますが、最近、小売商業方々とかその他の方々から、何しろ不特定多数が対象になって何ら変わらないじゃないかというふうな意見も非常に強く出ておるように聞いておるわけでございまして、この法律改正し提案されるに当たりましては、その点もある程度勘案をされたと思うわけでございますが、この関係をどうとらえてこの法律が出されたか、この点をお聞かせ願いたい、こう思います。
  307. 左近友三郎

    左近政府委員 生協や農協の出店とかあるいは員外利用ということで、各地で問題が生じておることはおっしゃるとおりでございます。これは生協や農協の中に、本来は組合員に対する生活物資の供給という組合本来の趣旨を逸脱した行為があるということであるからであります。したがいまして、われわれといたしましては、やはりそれぞれの生協、農協は組合本来の趣旨にのっとってその活動を適正化してもらわなければいけないということを考えておるわけでございます。  ただ、それぞれ生協、農協には根拠法規がございまして、しかもその法規では、やはりそれぞれそういう趣旨を守るための規定もあるわけでございます。したがいまして、直ちにすべてを大店法の中に入れてどうこうするというわけにはなかなかむずかしいことになりましたので、今回はこの改正の中に入れなかったわけでございますが、現在、それぞれの所管省でございます厚生省とか農林水産省におきましては、今回の大店法商調法改正に伴いまして、従来の活動のいわば自粛通達と申しますか、自粛を要請する通達を検討しておるというふうに聞いております。  当庁といたしましては、やはりそういう自粛通達を出されて、それが守られるように十分監視してまいりたいというふうに考えております。また、実際の個別の活動につきましては、商調法の十五条のあっせん調停という規定の活用もできるわけでございますので、そういうものを考えながら今後十分この動きを注目してまいりたいというふうに考えております。
  308. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  309. 橋口隆

    橋口委員長 安田純治君。
  310. 安田純治

    ○安田委員 私は、小売二法改正案にあらわれた政府のこの問題への基本的な姿勢に関しまして、一言まず伺っておきたいと思うわけです。  昨年の春ごろまでは、政府は法改正の必要を認めないと言明しておったわけですが、ところが、突如として法改正に一転した。外見上はそう見えるわけであります。そこで、なぜ法改正に踏み切ったのか、法改正を必要だと判断した最大の理由は何であろうかということをまずお伺いしたいわけです。  この点に関してまして、次に、大型店出店にブレーキをかける、抑制をするということに重点を置いたのか、それとも大型店出店をさらに促進させることに重点を置いたのか、そのいずれでもないということになるのか、改正案作成の方針についてどうであったのか、伺いたいと思う。
  311. 島田琢郎

    島田政府委員 第一のお答えでございますが、現行の大店法は御承知のように四十八年に制定され、四十九年三月一日から施行されたわけでございます。その後およそ五年を経過しているわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この間わが国の経済というのが基調が変化してきた。そうした中で大型店出店が増加してきた。特にその出店パターンというのも、郊外立地あるいは地方中小都市への出店傾向というのが見られるようになってきた。最近ではさらに、中型店と申しますか、基準面積以下の店舗というものの紛争事例が増加するというような傾向が見られるに至った。こういった条件の変化というものがあるわけでございますが、そういったものにかんがみまして、国会でも、小売商業調整制度のあり方について抜本的な対策を講じるように八十国会で特別決議がなされたわけでございます。  私どもといたしましては、そういった状況にかんがみまして、昨年七月以来、小売問題懇談会を開催し、さらに今年、その後におきまして中小企政策審議会、産業構造審議会の合同委員会小売商業政策のあり方について検討をお願いいたしまして、その意見具申が本年四月に得られましたので、その方向に沿って今回大店法及び商調法の一部改正を作成し提出したと、こういう流れになっておるわけでございます。  その改正に当たっての方向はどうかということでございますが、今回の改正につきましては、御案内のように、中政審産構審意見具申としまして、大店法商調法の両方の錯綜した関係を整理するということ、それから大店法の対象面積引き下げると、それから調整に当たって都道府県知事の関与を強化することというような内容の意見具申が出され、それを受けまして、私どもはその趣旨を十分取り込んで改正案を考えたわけでございます。  特に改正案につきましては、今回大店法調整の対象になる面積を五百平米まで引き下げるということにいたしましたので、中小企業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあるというものは、おおむね調整の対象になるというふうに考えておるわけでございます。また、そうした結果、調整措置におきましても、建物の店舗面積合計で五百平米まで削減できるというようなかっこうに相なったわけでございまして、これによりまして、周辺中小小売業への影響を除去するに十分な勧告命令というものが可能になったというふうに考えております。また、五百平米以下につきましては、引き続き商調法あっせん調停規定により対処できるという体制になっております。  そういった点を考えますと、今回の改正というのは大規模小売店舗における小売業に対する調整というものを強化する方向にあるというふうに私どもは考えておるわけです。
  312. 安田純治

    ○安田委員 抜本的改正をせよという国会の決議を受けた部分もあるとおっしゃいますけれども、どうも抜本的改正と言えるかどうか、いまの政府の案ははなはだ疑問でありますが、時間の関係で何が抜本かということについては若干飛ばしますけれども、少なくとも大型店出店規制強化するという方向で改正したつもりだ、こういうふうにおっしゃるわけですね。  従来の経過を考えますと、大店法などの改正要求する運動は、大店法が施行された四十九年の翌年、もう五十年からすでに始まっておるわけであります。中小小売業者だけの運動から、次第に労働組合や地域の住民組織、婦人組織へと広がってまいりまして、今日では自治体を含めてまさに町ぐるみ、地域ぐるみの運動も珍しくなくなっているわけです。そしてその要求は、大スーパーなどの地域の実情を無視した横暴な出店に対して有効にストップをかけられるような法律改正してほしい、こういう点が中心であると思います。つまり、法改正をめぐる運動の本流は、明らかに規制強化を求める側にあったと言わざるを得ません。この規制強化の法改正要求する闘いの発展を恐れて、にわかに大スーパーなどが巻き返しの策動を強めているわけであります。もし政府が公正な立場で真に国民的要求に沿って行政を進める立場に立つならば、この問題の事の経過からも、法改正規制強化に向かうものであるべきことは当然であると私も思います。  ところが、いまの御答弁にあったような規制強化のつもりと言われますけれども、現在提案されております政府案は、部分的にはなるほど改善点を含みながら、肝心のところでは要求に背を向けておる。あろうことか、幾つかの改悪点すら盛り込まれていると言わざるを得ないわけであります。たとえば、あれほど要求が強かった許可制導入を避けまして、一方、商調法許可制部分届け出制に改悪しようとしているのもその一つであります。ちょうどパンを求めるに石を与え、魚を求めるにヘビを与えるという、そういうことにぴったりするような政府の提案であると言わざるを得ないと思うわけであります。  そこで、改めて伺いますが、許可制届け出制とではどう違うのか、正確にお答え願いたいと思います。
  313. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  法律論かと思いますが、許可制届け出制につきましては、許可制は原則的に禁止されているものを一定の場合に解除するという機能を有しているというふうに考えております。これに対しまして、届け出制というのは原則自由という考え方でスタートしているという考え方の差があろうかと思います。  ただ、大店法届け出につきましては、この法制の内容は、御存じのように、通産大臣または都道府県知事が大規模小売店舗に入居し得る小売業者の届け出内容を事前に十分に審査する、その結果、中小小売業者に相当程度影響を与えるおそれがあると認められる場合には、審議会等の意見を聞いて、開店日の延長、店舗面積の削減等の勧告を行う、従わない場合には命令を行うことができる、それから、命令違反者に対しては営業停止命令または罰則を科するというような構成になっておるわけでございますから、必要な規制の効果につきましては、事実上許可制と同じような効果を上げ得るものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  314. 安田純治

    ○安田委員 昭和四十八年九月十三日に、参議院の商工委員会で森口審議官が答弁されておるわけですが、「許可は、その効力が発生しない限り営業ができないわけでございますけれども届け出は、一定の時日が経過をすれば営業できるという点で本質的な違いがあろうかと存じます。」こういう答弁をしていますが、それはその答弁どおりでいまでもいいのですか。
  315. 島田琢郎

    島田政府委員 届け出で一定の期間がたてばその営業ができる、その点だけをとらえればそのとおりだと思います。  ただ、その間に、いま申し上げましたように、本法におきましてはいろいろな調整が行われるという関係にあるわけでございます。
  316. 安田純治

    ○安田委員 要するに、許可制届け出制は根本的に違うわけであります。  次に、原則として出店を認めるといういまの体系のもとで、現行法の第七条の「変更勧告」に、開店日の繰り下げの勧告ができるということになっていますね。調整勧告ですね。開店日を無期限に延期せよという勧告ができるかどうか、伺いたいと思います。
  317. 島田琢郎

    島田政府委員 七条一項の勧告ですが、結局、大規模小売店舗における小売業事業活動周辺の中小小売業事業活動に相当程度影響を及ぼすおそれがあるという場合に行うわけですが、法律的には、そうしたおそれを除去するために必要な限度であれば、開店日についてはその必要に応じて何年でも繰り下げが可能であるというのが法律上の解釈であろうかと思います。
  318. 安田純治

    ○安田委員 では、店舗面積の削減について先ほど来同僚委員からいろいろ質疑がございました。要するに、一小売業者という範囲で見ればゼロ削減もある、しかし、一つの建物ベースで考えると最大限五百平米を超える部分までだ、そういう答えになると思うのですね、いままでの議論を聞いておりますと。結局、建物ベースに考えますと五百平米以下は規制できない、そういうことになると思いますが、それでよろしいですか。
  319. 島田琢郎

    島田政府委員 解釈としてそういうことでございます。  ただ、実際問題としまして、何千平米あるいは何万平米という申請が五百平米程度まで削減された場合に、実際上それで事業活動が行い得るかという事実上の問題を考えますと、そういうケースに関して言えば、実際上五百平米というのはきわめてきつい話であるということを申し添えます。
  320. 安田純治

    ○安田委員 それは、何万平米という極端な例を考えればそうですけれども、少なくとも知事権限の対象になっている五百平米を超える一千五百平米まで、そういうことを考えますと、そういう極端な一万平米の場合、何万平米の場合には非常にきつい規制と言われるかもしれませんが、いまの政府提案の規制対象の範囲で言えば、とにかく五百平米までは建物ベースで考えればいいんだ、そういうことになりますね。  ところで、観点を変えて伺いたいのですが、そういうゼロに削る、つまり、一つ一つの個々の小売業者に対しては場合によってはゼロもある、三百平米もある、しかし、トータルとして一つの建物で言えば五百平米まで削るということはあり得る。これはどういう基準でそういうふうに削りますか。
  321. 島田琢郎

    島田政府委員 その基準というのは、結局、るる申し上げておりますように、その店舗面積というものが周辺の中小小売業に相当程度影響を及ぼす、その影響を除去するに必要な限度というのがどれだけかという判断で決まってくるものだと思います。
  322. 安田純治

    ○安田委員 ということは、言葉をかえて言えば、その周辺小売業者に相当程度影響を与える、その影響を除去するために五百平米まで削ることが必要な場合があり得るということですね。そう伺わざるを得ないですね、そういうことがあるからゼロ削減もあり得るわけですから。  となりますと、じゃ、五百一平米までは建物ベースで考えて影響を除去するために削る。じゃ、五百平米はたった一平米しか差がないわけですけれども、その影響の除去と関係ないのかどうかですね。それで周辺小売店にとって影響がとたんになくなるものかどうか。五百平米を超えるというところで線を引いた以上、必ずそういう問題が起きてくると思いますが、いかがですか。
  323. 島田琢郎

    島田政府委員 理屈から言いますとそういうことになるかと思いますけれども、実際問題としましては、五百一平米まで削減するということになった場合、それは実際上は、もう先ほど申しましたように、どういうケースが想定されるかわかりませんが、私ども従来の運用の実態から見ますと、そういう場合、仮にそこまで削減をするということになれば、実際上そのケースに関しては、根本的にその出店計画を検討せざるを得ないような事態になるであろうというふうに考えております。
  324. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、たとえば六百平米の場合も、これは知事権限ですけれども届け出の必要がありますね。そうでしょう。ただ百平米、九十九平米ですか、減らすなんということは、根本的な出店計画とは直接関係がないと言えるわけですよ。何万平米ということを考えればおっしゃるとおりですけれども、六百平米も規制の対象ですから、そうなりますと、九十九平米減らすということはあり得る。しからば、それを一歩を進めて一平米、もう少し削って五百平米になると、今度は全然規制の対象外である。これはしかし、六百平米が五百一平米までゼロ削減もあるということでなるということは、そうしなければこの六百平米の第二種大店舗周辺小売業に対して相当程度影響を与えるという判断があって、九十九平米減らすわけですからね。ところが、あと一平米減らした場合、これは大店法届け出の対象外で自由にやれるのだ、こんな理屈、通りますですかね。
  325. 島田琢郎

    島田政府委員 どういうケースを想定するかということによって議論も異なってくると思いますが、実際上いま仮に六百平米の出店があった場合に、その周辺小売商への影響を除去するというために五百平米まで削減するというケース、それから、たとえば数千平米の建物の場合にそれを五百平米まで削減するという場合を考えた場合に、実態的には非常に違ってくるということがあり得るわけでございます。  それから、いずれにしましても、今回の法律では五百平米というのを一応の調整の最低限にしておるわけでございますから、それはこういう線を引く限り、千平米でも千五百平米でも必ず起きる問題であろうかと思います。
  326. 安田純治

    ○安田委員 ですから、理屈を詰めていくと、線を引く限り必ずそうなるということに陥らざるを得ないわけです。五百平米を超えるところまで規制の対象を広げた、しかもゼロ削減もあるという大変聞こえのいいことを言うのだけれども、いまの私の理屈を詰めていくと、線を引く限りはまことにこっけいな話にならざるを得ない場合もあるということになるわけです。  ですから、五百平米以下の規制ができないような法改正にはどうしても賛成し得ないという立場がここではっきりするわけでして、どうも理屈の上からいって、六百平米の場合、九十九平米減らさなければ周辺小売業の相当程度影響を除去できないということは実際あり得ないとすれば、何で六百を規制の対象にしたのだということになってしまうし、その場合に、ゼロ削減があるというけれども、実際ゼロ削減はほとんどないのじゃないかということになってしまうし、それが本当に五百平米を超える部分までゼロ削減があり得るというならば、それは相当程度影響を除去するために必要なんだということがあり得るとするならば、しからば五百平米の場合影響がないのか。これは線を引けば必ずそういうことが起きる。だから、五百平米に対象を下げたとは言うけれども、実際問題として、届け出制を前提として、そしてその中で一定の線を引けば、必ずこういう問題が起きてくるということをはっきり指摘しておかざるを得ないと思うのです。  次に、今度の改正案の中で、変更勧告ができる期間、つまり届け出から勧告までの期間について延長と短縮の規定を設けた目的は何かをお伺いしたいと思います。
  327. 島田琢郎

    島田政府委員 延長と短縮の規定を設けた理由いかんということでございますが、まず、延長の方でございますけれども、勧告期間につきましては、従来は三月ということになっておるわけですが、今回それを四月に延長したわけでございます。それから、必要がある場合にはなお二カ月延長ができるということにいたしたわけでございます。  特に、生月から四月に延ばしたという点につきましては、商圏の範囲が広くなる、あるいは地域の小売業の競争関係が複雑になるというような場合に、調整に当たって広域な調査等を必要とする場合があり得るというふうに考えられましたので、従来三月というふうになっておりましたのを四月に改め、さらに必要な場合に二カ月の延長ができるということで、所要の期間を確保するというふうにいたしたわけでございます。  同時に、勧告期間の短縮の方でございますが、これは主として想定しておりますのは、大規模小売店舗にテナントとして入居しております小売業者の単なる入れかわりの場合でございまして、周辺の中小小売業影響を及ばすことがほとんどないというような場合を想定しております。こういった場合にも、今度の改正ですと、五カ月間は営業開始ができないということになるわけでございます。  今回の改正で、調整期間をそういうかっこうで、特に五条の届け出時期につきましては、四カ月前から五カ月前というふうなかっこうにしておるわけでございますが、その反面、逆に実態的には何ら影響がないという場合に、その期間を待たせるということは、当該テナントあるいは建物設置者に対して過大な負担を課することになると思われますので、そういった問題のないケースについては直ちに営業を開始できるような手当てをするということで、勧告期間の短縮の規定を設けたという次第でございます。
  328. 安田純治

    ○安田委員 従来行われておりましたいわゆる事前商調協の場合に、先ほど同僚の西中委員から質問があって、何か奥歯に物のはさまったような答弁だったので、はっきりさせていただきたいのですが、事前商調協の調整期間といいますか話し合いの期間、これに制限を設けるということになるのかどうか。先ほどの御答弁を聞いておりますと、従前余りに長引いている、この弊害をなくしながら存続したいという言い方をされていますが、事前商調協の期間を制限を設けるつもりなのかどうか、はっきりさせていただきたいと思います。
  329. 島田琢郎

    島田政府委員 いまの商調協の運用の問題に関しましては、現在いろいろな点につきまして私ども検討している段階でございますので、関係者とも十分相談をいたしまして結論を出したいというふうに考えております。
  330. 安田純治

    ○安田委員 確かに商調協はストレートの法律事項にはなっておりませんので、直接この法案の条文の審議については対象としてはつかまえにくいわけですが、いかにも大型店規制強化の方向であるというようなお話、ゼロ削減もあるというような、いままで法改正要求しておった多くの方方の要求に沿うがごときうまい話があるわけですが、いざこういうことを一つ一つ詰めてみますと、これはかえって改悪になる場合があるのじゃないかということを心配するわけです。先ほど申し上げましたように、パンを求めたのに結局石を食わされるということになるのではないか。そういう幻想を、この法改正にいろいろ関心を持っている、利害関係を持っている方々に与えるということは、もってのほかであるというふうに思います。  結局、はっきりさせていただきたいわけです。調整がつかない、話し合っても折り合いがつかない場合に、結局見切りをつけて出店させることが、今度の改正によって合法化されることになるのではないか。そうなりますと、昭和四十八年に中曽根通産大臣が、「スーパーの新設等につきましては、商調協にかけて地元の了解を得るようにして、初めてその開店を認めるという形に依然としてやっていくつもりでございます。」こういうことを答弁されておりますが、この答弁が変更されるのかどうか、もし変更されるとしたら変える理由は何か、この点を伺いたいと思います。
  331. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えします。  先ほども申し上げましたように、現在の大店法では、特に商調協における地元調整というのが非常に重要な役割りを果たしているというのは疑いのないところであるというふうに私ども考えております。実際問題として、各地でいろいろ問題が起きている場合に、その解決のためには、地元の利害関係者の間で十分話し合いをして解決をしていくということが重要であるというふうに考えております。そういう点から、商調協方式というものも、いろいろな検討は行いますが、今後とも存続させるべきものというふうに考えておるわけでございます。
  332. 安田純治

    ○安田委員 いや、私が伺っておるのは、中曽根通産大臣が、昭和四十八年の九月十一日、参議院の商工委員会で、「地元の了解を得るようにして、初めてその開店を認めるという形に依然としてやっていくつもりでございます。」と答弁されているわけですね。ですから、中曽根通産大臣が当時答弁されたことをそのまま踏襲していくということになれば、事前商調協のいわば調整期間ですね、見切り発車ということについては一定の答えが出るわけですが、これはいまの御答弁ですと、これから関係者といろいろ話し合って決めたいので全くわからぬ。そうなれば、一体中曽根答弁を変える気なのか変えない気なのか、はっきりさせていただきたい。
  333. 島田琢郎

    島田政府委員 要するに、商調協での調整という方式をとっておるわけでございますから、商調協において十分いろいろな関係者の議論を詰めていくという考え方は、全然変えていないわけでございます。
  334. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、事前商調協は残して、いままでどおり十分そこでは話し合いをやるということに承っていいのでしょうか。
  335. 島田琢郎

    島田政府委員 十分話し合いを進めるという点は当然でございます。  ただ、そのやり方につきましてもっといろいろと改善すべき点があるのじゃないかという点もいろいろ御議論がございますので、そういう点もあわせて検討したい、こういうことでございます。
  336. 安田純治

    ○安田委員 その点では、中曽根通産大臣答弁を従前どおり踏襲するということに伺ってよろしいのでしょうかね。大変しつこいようですが、見切り発車をしないんだ。法律上はいままでも届け出受理から調整期間というのは限られていますわね。今度は幾らか延ばしているけれども、この法改正に伴って事前商調協がどうにかなって、見切り発車をするようになるのかならないのか、現在の状況でどっちとも全く言えないのか、どうなんですか。
  337. 島田琢郎

    島田政府委員 調整を進める場合にいろいろなやり方があろうかと思います。したがいまして、話し合いというのを精力的、効率的に進めるというようなかっこうでいろいろな改善は考えたいと思います。
  338. 安田純治

    ○安田委員 私の質問の制限時間が参りましたので、次回に残りの質問はいたすことにいたしまして、要するに、現在提案されております政府案は明確な改悪点がある。つまり、大手スーパーなどの進出がいままでよりもやりやすくなる点がある。第一に、地元との調整、話し合いの期間に制限を実際上設けたということになるのではないか。第二に、商調法について従来の許可制部分届け出制に変えていること。第三に、商調法改正によって五百平米以下の大企業出店への規制が緩められることになる、つまり調査申し出調整、そういうことが削られておりますので。こういうことをはっきりしておきたいと思うのです。その点が一つ。  それから、改善点であるとしきりに宣伝されております五百平米への引き下げにつきましても、いろいろ実態面でも問題があるだろう。地方自治体の条例、要綱は二百を超えております。その七〇%は五百平米以下から調整の対象にしているのが現状ですから、いわば追認行為みたいなものだ、改善点だと言っても。  そういうこともあるのじゃないかということを指摘しておきまして、また次回に残った質問をしたいと思います。
  339. 橋口隆

    橋口委員長 大成正雄君。
  340. 大成正雄

    ○大成委員 最後でございますので、お疲れでございますが、よろしくお願いいたします。  私たちがいまここに審議しております大店法商調法改正につきましては、全国の大型店あるいは中小小売店は、大変な関心を持って成り行きを注目しております。特に中小小売店の場合には、本法改正の成り行きによっては、いわゆるそれぞれのお店の死活にかかわる重大な問題であります。それだけに立法府としてのわれわれの責任を十分果たしたい、そういう意味から御質問を申し上げる次第であります。  今日、大店舗の展開状況を見ますと、郊外立地、地方分散等の傾向をたどりながら、大店法による届け出件数が、スーパー、百貨店で四十九年が三百九十八件、五十年が二百八十件、五十一年が二百六十五件、五十二年が三百十八件と、四十九年以後だけでも千二百六十一件という届け出になっております。また、政府の方からいただいた資料によりますと、五十二年から五十三年の八月まで、基準面積未満届け出、条例あるいは要綱等による基準面積未満届け出が八百五十三件、こういう数字になっておるわけであります。今日、日本列島に展開されておる大型店の状況を見ますと、四十九年の商業統計によれば、百貨店が三百二十二、スーパーが一万二千三十四、中小小売店が百五十三万六千店、こういう数字になっておるわけであります。  大店法のたてまえからいって、消費者の利益というものももちろん重要ではありますが、今日、消費者の選択の自由というものはある程度保障されておると見なければなりませんし、一方、私たちの立場からするならば、これらの大型店に圧迫されて死活問題になっておる小売店の立場をより一層重視をしていかなければならない、こういう立場でございます。  さて、そこで私が御質問を申し上げたいことは、前国会のときに特別決議を本委員会としていたしたわけであります。この特別決議を受けて通達も出されておるわけでありますが、いわゆる駆け込みの申請と申しますか出店と申しますか、そういったことの状況をまずお聞きをしたいと思います。
  341. 島田琢郎

    島田政府委員 お答え申し上げます。  前国会の決議を踏まえまして、関係団体に対しまして、これは三月にも駆け込み新増設の自粛要請をしたわけでございますが、前国会における決議を踏まえまして、さらに関係団体に対して駆け込み新増設の自粛を要請をしたわけでございます。  最近の届け出件数の状況を見ますと、本年度に入りまして第一・四半期は五十九件、第二・四半期は四十三件ということでございまして、先ほど先生もお話しになりましたが、それまでの平年の件数が大体四半期で七、八十件ぐらいでございますから、それを相当程度下回っている状況にあるわけでございます。  それからまた、基準面積未満店舗の新設につきましても、私どもの調べたところによりますと、最近において特に駆け込み的な出店が増加しているというような傾向はないように承知しております。
  342. 大成正雄

    ○大成委員 本法が改正をされまして、若干の修正は避けられないと思いますが、これの実施段階に入ることが予想されるわけでありますが、それまでの経過措置等に絡んで若干の御質問を申し上げたいと思います。  先ほどの審議官の御答弁では、現在各都道府県で持っております条例、要綱、これらはしかるべく措置されることを期待する、こう言われておるわけでありますが、全国の状況を見ますと、下限三百平方メートル以上というのが十六件、五再平方メートル以上が十五件、七百平方メートル以上が二件というような状況になっておるわけであります。本法大店法の適用五百平米未満ということになりますと、まだ条例、要綱である程度指導されるに足りる条件を満たしておる県が相当あるわけでありますが、これらに対してただ措置されることを期待するというだけのことでいいのかどうか、また、その条例、要綱というものは法律的にどのように理解していいのか、その点を承りたいと思います。
  343. 島田琢郎

    島田政府委員 先ほども説明いたしましたが、繰り返して申し上げますと、五百平米ということで、一応地方自治団体の条例の中で調整対象店舗が五百平米を超えるようなものにつきましては、これは今度の法律がそういうかっこうで五百平米以上につきまして調整対象にするということになりますと、実際上もう完全にダブってしまうわけでございますから、改正法が施行される時点におきまして、条例というのは実際上意味がなくなるのではないかというふうに考えております。  それから、五百平米未満のものも調整対象にしておるという条例につきまして、これが法律的に見てどうかという問題になりますと、これはやはり法律的には、当該地域の小売業のいろいろな実態というものを踏まえまして合理的な内容を持っているかどうかということで判断されることになると思いますので、この法律調整対象面積を下回っているということで、直ちにこれが今度の法律の関係で違法であるというような議論にはならずに、各条例について個別に判断されるということになるかと思います。  ただ、繰り返して申し上げますように、私ども今回の改正に当たりましていろいろ検討しました結果を申し上げますと、いろいろな各種データから判断いたしまして、大体五百平米というのが吸引力を持つ一つの線である、したがいまして、それより以下になりますと一般の中小企業とそれほど吸引力において優位な差があるというふうにも判断しにくいのではないかということ、それから、実際の紛争件数というのも、五百平米以下になりますと余り実例がないというようなところから考えまして、一応五百平米という線で調整を行うとすれば、実際問題としては十分対処ができるし、それからまた、例外的にいろいろ問題がある場合には、商調法あっせん調停という規定で対処し得るというふうに考えますので、実際上五百平米以下につきましても、個別に条例なり要綱を制定するという必要性は余りないのではないかというふうに考えております。
  344. 大成正雄

    ○大成委員 そこで、先ほどの質問にも関連するわけでありますが、今回の改正で十四条の二と十六条の二がそれぞれ削除されておるわけです。その理由として、この十五条が生きている。いまお話しになりましたあっせん調停ということなのですが、この十五条の内容というのは、この法文をごらんいただけばわかりますけれども、「次の各号の一に掲げる紛争につき、」ということで、その紛争の内容を四項目にわたって規定しているわけです、現行法では。これに当てはまらない紛争というのは十五条を適用できないのですね。ですから、そういう手落ちを考えますと、どうしてもこの十四条の二と十六条の二というものは生かしてもらわないとどうにもならない、このように考えるのです。  具体的な事例として埼玉県の八潮市の事例を一つ申し上げますと、八潮市のマルエツ八潮店の事例は、ことしの一月に、七百四十五平米の二階建てですから千四百九十平米の建物を長田さんという人がつくって、それをマルエツが借りて、そして申請を出した。地元の対策協と調停をして、協定を結んで、そして二階部分は使わない、七百四十五平米でということでスタートをした。ところが、この六月二十五日になって、マルエツが一方的に二階の方のオープンを始めた。それで、仮処分を対策協がかけようとしたところが、今度はそのマルエツの方の名義変更をして、その建物の持ち主である長田さんがこの経営者に肩がわりする、こういう形で、オサダ屋八潮店という形で始めた、こういういきさつなのです。  しかも、八潮市には指導要綱もあります。埼玉県の要綱もあります。そういったことば全く無視されて、一方的にこの開店がなされておる。従業員の服装からいっても、商品の仕入れその他からいっても、全く同一店と同じような状態で、そういう形のものがいままかり通っておるという事例があるわけなんです。  こういったことを踏まえますと、先ほどのお話の五百平米未満というものは、こういったケースでいかようにでもできるのではないか、こういうことが予想されるわけですが、いかがなものでしょうか。
  345. 左近友三郎

    左近政府委員 商調法の十四条の二及び十六条の二につきましては、今回の大店法改正に伴いまして削除をしたわけでございます。  御指摘の十五条のあっせん調停範囲でございますが、これは十四条の二及び十六条の二の範囲カバーをしております。したがいまして、この五百平米以下のときに問題が起こりました場合には、この十五条で従来の十四条の二及び十六条の二の範囲のものはあっせん調停に入れるというふうにわれわれは解しておりますので、この辺で、この条項で対処していきたいというふうに考えております。
  346. 大成正雄

    ○大成委員 いまの長官の御説明からしますと、十五条は、製造業者と中小小売商との紛争、それから卸売業者と中小小売業者との紛争、それから中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関する紛争、それからもう一つは、「当該小売市場開設者又はこれらの小売商と当該建物の所在する場所の周辺の地域内の中小小売商との間に生じた紛争」、こういうふうに四つが限定されているのですね。そうすると、いま長官のおっしゃるようにこれ以外の一般的な紛争はこの十五条のどこに当てはまるのでしょうか。
  347. 左近友三郎

    左近政府委員 この三号で、「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業」ということで、大企業が行います小売業については該当しておるわけでございまして、十四条の二及び十六条の二におきましても、これは大企業が行うものについての調整申し出でございましたから、この範囲は十五条の第三号で読めるというふうに考えておるわけでございます。
  348. 大成正雄

    ○大成委員 大企業以外の行うものとの間にこの三号に当てはまる紛争が出てきた場合に、どういうことでしょう。
  349. 左近友三郎

    左近政府委員 従来も、この調整申し出というのにつきましては、大企業の行う事業についての調整でございますから、それに該当するものは第三号に入るということでございます。そのほか、生協とか農協というような問題もここへ入るわけでございます。  ただ、本当の意味中小小売商同士のあっせん調停というものはこれに入りませんけれども、これは従来もこの商調法の中では入れていなかったものでございます。
  350. 大成正雄

    ○大成委員 そのことが確認できれば、結構でございます。  さて、そこで今回の法が改正された場合に、この五百平方メーター未満のいわばミニスーパー的なものが、われわれの居住圏、生活圏に密着をして計画的に乱立するといった、そういうおそれはないかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  351. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御指摘のとおり、今度の改正法が成立いたしますと、五百平米以下のものはいわば大店法範囲外になるものでございますので、そういう小型スーパーを出店させた場合にどうなるかという御指摘だと思います。  先ほどから島田審議官が御説明申しておりますように、五百平米というのが顧客の吸引力その他でつまり一般の小売商に対して優位の差があるというラインを引いたわけでございますので、理屈から申しますと、この五百平米以下のもののいわば中小小売商に対する優位性というのは余りないということになるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のとおり、そういうものを相当たくさんつくりましてやるというようなことになりますと、これはまた問題が起こってくるという可能性はなきにしもあらずという御指摘もうなずけるわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては、先ほどから申しておりますこの十五条のあっせん調停を活用して処理をいたしたい。そして乱立を避けさせたいということを考えておるわけでございます。
  352. 大成正雄

    ○大成委員 セブン・イレブン的なああいう百坪前後の店舗を戦略的に展開をしておるという事例もあるわけでありますから、未来の流通戦略の中で、この法の規制値以下の面積で新しいそういう手法が展開されないという保証はない、そういう意味でも十分ひとつこの点は注目をしていっていただかなければならない、このように思います。  さらに、この大店法の関係でお聞きしたいと思うのですが、大店法の七条二項をごらんいただきますと、商工会議所、商工会等の意見を聞く以外に、三つの方々意見を聞くということになっておるわけです。これは小売業者またはその団体、それから消費者、その団体、それから通産省令で定めるところにより申し出をしたものの意見、この三つがあるわけですが、通常、会議所、商工会の意見というものは商調協等を通じて反映される仕組みになっておりますし、商調協の構成も三者構成で、そういったものの代表も入っておるということでありますが、この七条二項の規定からいいますと、「意見をきかなければならない。」というような規定になっておりますと、商調協とは別に、こういった七条二項の消費者や小売業者やあるいは申し出たもの、こういったものの意見を聞くということは、行政の面としては非常に大事なことではないかというふうに考えるのですが、過去の運営の実績等からしますと、この点が無視されているような気がしますが、この点いかがでしょうか。
  353. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  いまの点につきましては、官報公示をしまして一定期間内に通産省令で定める手続に従いまして意見申し出のありましたものにつきまして、その意見審議会長あてに出るわけでございますが、この意見につきましては、審議会でこういう意見が出ておるということを御披露いたしまして、審議の参考にしておるわけでございます。  従来の実績からいたしましても、ちょっと件数はわかりませんけれども、案件によりましては幾つかの意見が出てくるというケースが幾つかございます。
  354. 大成正雄

    ○大成委員 せっかくの規定があるわけでありますから、この商調協そのものの構成、運営が、必ずしも過去の実績からすると適正であったとは言えないわけでありますから、この七条二項の規定を準用して広く意見を聞く、正しい意見が反映されるような、そういう運営にぜひ持っていっていただきたい、これは希望いたします。  次に、この七条の「相当程度影響」といった問題で、きょうもこの目安の問題、調整の基準といった問題でいろいろ議論されておりますが、役所側としては、研究する、検討する、早急に結論を出したい、こういった程度の答えしか出てこないわけであります。  自治体の中では、たとえば豊中方式であるとかあるいは京都方式であるとか、それぞれの目安をつくって調整基準としておるところもあります。ありますが、全国画一といったことにはいかないと思うのですが、客観的なあるいは数値的な予測システムを開発して、そうして統一的なあるいは定量的な基準をつくっていくということは不可能ではないと思う。  ですから、この「相当程度影響」というその内容は、一にかかってこの目安、基準ということになってくるわけでありますが、この目安、基準は早急に検討する、こういうことでありますが、それぞれの地域でそういった目安、基準を持つためには、ある程度の作業を集積していかなければならない、ある程度データを集積し、それを整理し分析していかなければならない、こういうことでありまして、相当の費用もかかるわけです。こういったことに対して政府はどのように考えるか、お聞きしたいと思います。
  355. 島田琢郎

    島田政府委員 お答えいたします。  現在、この審査資料の作成委託費というかっこうで、商工会議所、商工会に委託費を出しております。いろいろのそういった審査のために必要な資料の作成費というのを、委託というかっこうで出しておるということになっております。
  356. 大成正雄

    ○大成委員 会議所、商工会の財政の基盤からしたなら、とてもこのような権威のあるデータを集積することはむずかしいと思います。むしろ自治体があるいは都道府県がそれを所管すべきだと思いますが、この点はひとつ研究の中の重要な課題として来年度予算に反映できるように希望を申し上げておきます。  次に、全国の各主要都市の駅前周辺の再開発、恐らく都市計画事業として推進される事業の中にその再開発事業の核店舗として大型店が誘致される、こういった傾向は間違いないと思います。  この再開発は、日本住宅公団による開発、あるいは団体施行による開発、あるいは都市再開発法の組合方式による開発、あるいはデベロッパー方式による民間施行型の開発、いろいろこの方式はありますけれども、いずれも駅前周辺という高い地価の上に集積される再開発ですから、非常にそのコストが高くつく。そのコストを消化するために、あるいは負担を軽減するためにこの核テナントを誘致する、またそれによって魅力ある商業集積をやる、こういうことだと思うのですが、そのことによってその地域の中小小売商には大変な影響を与える、しかし、多少の影響があっても再開発はやらなければならない、こういった二律背反の立場に置かれておるわけでありますが、このことに関しまして通産省はどのような考え方を持っておられるか、承りたいと思います。
  357. 島田琢郎

    島田政府委員 答弁する前に一言、先ほどの御質問に対して申し落としましたので、つけ加えさせていただきますが、基礎資料の整備のための予算でございますが、来年度につきましては、第二種大規模小売店舗調整に当たっての基礎的な資料を整備するために、第二種大規模小売店舗実態調査委託費というのを計上するということで、これは都道府県を対象にして予算要求をいたしております。この点つけ加えさせていただきます。  それから、いまのお尋ねでございますが、いま御質問のありました駅前等の再開発裏業という問題、これはもう膨大な建設コストがかかるというような点から、地権者のほかに核テナントとして大型店を誘致するということが、その事業の成否に大きな影響をもたらすというようなことは恐らく否めないであろうと思います。ただ反面、そういった大型店の誘致というのが周辺の中小小売業に対して大きな影響を及ぼすおそれがある、この間の調整をどうするかという問題になるかと思いますが、これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。いずれにいたしましても、こういった場合に、結局は地元の商調協等で十分話し合いを行い、検討しながら問題の解決を個別に具体的に図っていくしかないというふうに考えます。  その際、何らか客観的なデータあるいは影響の予測というような方法があれば、より円滑に話し合いも進むであろうというふうに考えられるわけでございますが、この点につきましては、先ほども指摘がありましたように、現在当省でいろいろ検討いたしておりますが、審査資料というようなものを何らか策定、検討ができないかということで、鋭意勉強をしておるというのが現状でございます。
  358. 大成正雄

    ○大成委員 建設省の方は来ておられますか。来ておられませんか。  再開発コストの負担軽減については、いろいろな考え方もあろうかと思います。いわゆる再開発組合という再開発法の認可を受けた組合施行といったことのためにはいろいろの国庫補助もあるわけでありますが、一般のデベロッパー方式による民間施行型の再開発に関しましても、組合員の負担が軽減されるようにぜひひとつこの点は御検討を願いたい、このことは要望として申し上げておきます。  時間がありませんので、はしょらせていただきますが、この商調法三条の小売市場の地域指定の問題ですが、この小売市場という名称を抜き出して特にこれに対する法的な措置を講じておるということは、果たして今日の流通の現状からして必要があるのかどうか、こういったことです。  昭和三十四年といえば、日本全国にまだスーパーなんというものは展開されておらない、まだ流通そのものが今日のような近代化がなされない時点であったと思うのです。特に政令で野菜と生鮮魚介類、こういうことで扱い品目を限定しているわけです。ということは、最寄り品としてのいわば八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、そういったものに与える影響というものをなくすために昭和三十四年にこういった立法がなされてきたと思うのです。今日一般的な総合食品店的なそういうスーパーも、近隣の八百屋、魚屋、肉屋に与える影響は同じです。特に大阪とか兵庫県とかそういった地域を指定して、数多く都市を指定しておるといった考え方は何か実情に合わないのじゃないか、このように私どもは思うのです。  法のねらいとするところは、近隣の同業種に与える影響をなくすためにこういう規定を設けているわけですから、この商調法小売市場という特殊な名称をつけて、それを抜き出してこれを保護しているといった行き方は、今日の流通の現状からしては私は意味がない、むしろ包括的にこれを措置していくということの方が賢明だと思うのですが、いかがなものでしょう。
  359. 左近友三郎

    左近政府委員 商調法は、制定の当時の小売業に関するいろいろな問題点を解決するためにできたものでございまして、たとえば購買会に対する問題とか、それから小売市場に対する問題といったものが問題になっておったわけでございまして、小売市場につきましては、当時は、一つは、いま御指摘のような周辺小売商店に対する問題でございましたが、もう一つは、やはり当時小売市場というのをいわば特定の人が市場を建てて、そこに零細の小売店を入居させて、いわば相当収奪をしたというふうなことが言われておりました。そういうものを防止するという意味で、要するに零細のテナントを保護するという色彩が相当強かったわけでございます。したがいまして、この小売市場というものの規制というものが当時必要とされ、しかし、小売市場というのは全国に必ずしも行き渡っているわけではございませんので、小売市場が集中しておるところを地域指定をしたという経緯でございます。  われわれが見ておるところでは、いまおっしゃいますように、周辺に対する影響という問題につきましては、御指摘のとおり小売市場だけで問題が解決するわけではございません。したがいまして、実は今度大店法改正して、五百平米を超えるものまで範囲を拡大して、包括的な商業調整の問題に対処することにしたわけでございます。  それで、残りましたのは、やはり小売市場に入居の零細テナントの保護でございますが、これについては、やはり小売市場規制を全然やめてしまうのはどうか、やはりテナントの保護という点についてはやっていかなければいけないということで、これはやはり小売市場の集中しておる地域についてやっていくということを継続することにしたわけでございます。  したがいまして、商業調整趣旨としては、やはり大店法で今後対処していくというのが本筋だろうと思いますし、なお、商調法でも、その大店法規制以外のものについて、先ほど申しましたように十五条のあっせん調停規定も設けておりますので、その分を活用させていきたいというふうに考えているわけでございます。
  360. 大成正雄

    ○大成委員 時間が参りまして恐縮ですが、農林省からせっかくおいでいただいておりますので、ひとつそれだけ終わらせていただきたいと思います。  最近、インスタントラーメンから牛どんに始まりまして、幹線道路沿いのレストラン、そういった外食サービス店が数多く系統的に展開されておるわけであります。このことによって農林省は米がよけい消費されるということで結構な話かもしれません、インスタントラーメンは別ですが。これは既存の飲食店に与える影響も大きいわけであります。消費者のニーズがそれを要求しているということですから、これもやむを得ないことではございますけれども、これは決していかぬと言っているわけじゃありません。しかしながら、無秩序に放置されるということもいかがなものか。分野法によってある程度調整規制は行われるわけでありますが、現状と今後の見通し、あるいはその指導方針、こういったことに対して一言だけお聞きして終わりたいと思います。
  361. 安達弘男

    ○安達説明員 お答えいたします。  外食産業または飲食店につきましては、対象範囲としてどこまでをとらえるかの問題があるわけでございますけれども、五十一年の通産省商業統計によれば、全国の飲食店舗の数は六十一万六千店であり、そのうち従業員四人以下のものが約八〇%を占め、全般に零細であります。なお、商業統計は事業所ベースでございますので、企業ベースの数字ではございませんが、さしあたり手元にある公式の統計として申し上げさせていただきました。  なお、外食企業についての大企業と中小企業等との分野調整上の問題につきまして、まだ具体的事案は聞いておりませんが、問題がある場合には、必要に応じ当事者の話し合いの指導あっせんに努める等、中小企業分野調整法の適正な運用を図ってまいりたいと考えております。
  362. 大成正雄

    ○大成委員 終わります。
  363. 橋口隆

    橋口委員長 次回は、来る十六日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十七分散会      ————◇—————