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中村(重)
委員 宮澤長官、私はお答えを伺っておりましても、どうも説得力というものに欠けるような感じがするのですね。
輸出というものは、お認めになったように数量ベースという形で減ってきているのですね。それから、
円高がこんなに二百円を割っているというような状態からいたしますと、金額的にも減ってくるのです。そうすると、
輸出による七%成長ということについての迫力というものは非常に弱いと見なければいけないですね。
それから国内的な問題については、先ほど私が指摘をいたしましたように、
輸入がふえてくるということは、これは企業にとっては一面――原料は別でありますから、製品
輸入というのが最近は大分ふえつつある。企業にとってはマイナス要因という形で働く点が非常に大きいということです。
そうしてみると、
輸出というものが七%成長に果たす役割りというものの期待は持てない。そうすると、挙げて国内要因によって、国内的な九月二日に決定された
政府の総合政策によって達成していく以外にはないということになる。
それでは、その中で何があるのか。緊急
輸入の問題もお挙げになっていらっしゃる。ところが、これはなかなかもたもたして、それらしい成果というものは、全く上がっていないとは言わないけれ
ども、これは大きな成果というものは出ていない。だから、この間通産省の黒字減らしいということで、何か外車を一台
輸入するんだというような、それも思いつきかどうか知らないけれ
ども、国民はどんな気持ちで、あの通産省の決定か何か知らないけれ
ども、あれを読み取っただろうか。
それらのことを考えてみると、公共投資というものに期待する以外にはないんだ。その公共投資、これは五十三年度の予算の中においては前倒しでやったが、なかなかそれが七%成長に達していないというので、今度補正予算をお出しになった。それによって達成しよう、こういうことであろうと思うのです。
それでもなお弱い。そうすると、個人消費をどう見るかという問題になってくるのですね。個人消費は、御承知のとおり、GNPの五五%から五七%という
数字を占めている。個人消費、それは内需を喚起することによって高めてくるということにならなければいけないでしょう。個人消費を高めてくるということになってくると、所得税の減税というものの果たす役割りは大変大きいだろう。
それから、賃金の問題なんですけれ
ども、今度の補正予算で、公務員の賃金を七・二%予算化しておったのを、それだけにならなかったから、交付税の削減をやって、それを別に振り向けようとしていらっしゃる。ということは、労働者の賃金は抑えられた。ボーナスも〇・一低く抑えたのです。そうなってくると、その面からくる個人消費の高まりということは抑制をされたということになる。
所得税の減税もやらない。福祉に対しても、残念ながら前向きの政策をやっているとは私は考えない。個人消費を高めるための施策というのは何もやってないじゃないか。何もやらないということは語弊があるのかもしれませんけれ
ども、積極的な個人消費の喚起策というものをやっているようには思われない。してみると、七%成長というもののこれならばいけるということは、これは
経済界の連中も実感として、直接みずから携わっているわけですから、これじゃいかないのじゃないかということが、いわゆる百人アンケートという形になってあらわれてきたのだろうと思います。
それからもう
一つ、こういう
円高がどんどん続いてまいりますと、結局
輸出は採算がとれないということになる。だから省力化ということになる。機械化、自動化ということになる。労働者はどんどん首を切られていくじゃないか。非常に危機的な状態がある。ますますもって国民は財布のひもを締めなければならぬ。そうすると、個人消費は高まってこない。そういうことになるのじゃありませんか。
〔
委員長退席、中島(源)
委員長代理着席〕
だから、私は
政府の言う七%成長が単に願望に終わる可能性があるということを指摘せざるを得ないのです。
総合的とおっしゃるならば、言葉だけの総合策ではなくて、名実ともに総合的な、国内需要を喚起するような政策をおとりになる必要がある。いたずらに労働者の賃金を抑制する、そしてまた人減らし策を盛んに奨励していく、失業者を町にほうり出していく、社会的摩擦はますます
拡大をしていく、国民の不安というものはますます高まっていく、そういう
情勢の中でどうして個人消費を高めることにつながっていくでしょうか。所得税の減税もやりますよ、むやみに労働者の賃金を抑えるような抑制策ばかりはとりませんよ、社会保障にも力を入れますよ、インフれはこういうことで抑制策を講じますよ、どうぞ国民の皆さん心配をしないようにひとつやっていただきたい、そういうことです。
中小企業も、いまのような状態の中ではますます深刻な状態になるから、この前の特定不況
産業安定臨時措置法は後ろ向きの
法律案であったから、私
どもは、これは後ろ向きである、前向きの施策を明らかにしなさいということを強く要求いたしましたが、今回通産省がお出しになっている不況地域、労働省がお出しになる不況地域に対する離職者対策は、私は前向きの施策である、
法律案であるということを評価をして、できるならば深夜をいとわず積極的にこの
法律案の審議をし、成立の促進を図りたい、そういう
考え方を持っているのです。私
ども、そういう迫力のある、
政府の出す施策よろしきを得たということを感ずるならば、積極的にこれに
協力する用意を持っている。だから、余り
政府もこだわらないで、こうしなければならぬと思うならば、積極的にそういう
方向で推進をしていくということでなければならぬ。
その点に対しては、宮澤
経済企画庁長官、あなたに対する期待も非常に大きいわけだし、あなたが果たさなければならぬ役割りというものは非常に重大である。また、
河本通産大臣は、特に景気対策に対するところの実施の役割りを果たす主務省であるわけでありますから、両
大臣が、福田内閣のエースでもあるわけなんですから、もっと
話し合いをやって、閣議の中で積極的な発言もし、決定を促していくというようなことをおやりになるのでないと、指摘いたしましたように、単なる願望に終わるということを私は申し上げざるを得ないのです。いかがですか、間違っていましょうか。