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1978-11-21 第85回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十一日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君    理事 志賀  節君 理事 矢山 有作君    理事 湯山  勇君 理事 広沢 直樹君    理事 神田  厚君       稲垣 実男君    越智 伊平君       小島 静馬君    後藤田正晴君       佐藤  隆君    斉藤滋与史君       谷  洋一君    谷川 寛三君       津島 雄二君    中島  衛君       中村  直君    原田昇左右君       森   清君    山崎武三郎君       伊賀 定盛君    池端 清一君       瀬野栄次郎君    武田 一夫君       野村 光雄君    津川 武一君       永原  稔君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 中島 良吾君         国土政務次官  丹羽 久章君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         文部省学術国際         局学術課長   植木  浩君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         厚生省医務局総         務課長     森  幸男君         農林水産大臣官         房審議官    塚田  実君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         林野庁業務部業         務課長     高野 國夫君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     伊藤 謙一君         気象庁予報部長         期予報課長   片山  昭君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省河川局防         災課長     瀬戸  充君         建設省河川局砂         防部砂防課長  小藪 隆之君         建設省道路局国         道第一課長   多田 宏行君         建設省住宅局民         間住宅課長   浜  典夫君         消防庁防災課長 千葉  武君     ————————————— 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     野村 光雄君 同日  辞任         補欠選任   野村 光雄君     古川 雅司君     ————————————— 十月二十日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  有珠山周辺等における災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、去る六日から八日までの三日間、有珠山ろく発生した泥流による被害等有珠山周辺における災害対策実情調査するため北海道現地調査を行いましたので、私が派遣委員を代表して、便宜この席から調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、有馬君、高鳥君、湯山君、広沢君、神田君、谷君、津川君、永原君及び私、川崎の九名と、それに地元池端君及び野村君の現地参加を得て被害実情等をつぶさに調査してまいりました。  まず、泥流発生状況について申し上げます。  去る十月二十四日夜半有珠山周辺集中豪雨があり、このため午後九時四十分ごろに火山灰を含む泥流が瞬発的に発生いたしました。泥流は、木の実の沢、全日空の沢及びカトレア沢等急傾斜の山ろく一帯にある洞爺湖及び壮瞥の両温泉街等中心流出したため、民家公営住宅等が埋まるなど甚大な被害をこうむったのであります。  この泥流発生の原因につきましては、地元関係者説明によりますと、まず第一は、すでに御承知のとおり、昨年八月の大噴火により火山灰山腹に大量に堆積し、その表面コンクリート状になり、加うるに、ことしに入ってからの水蒸気爆発の続発によって火山灰山腹で十センチ以上、火口原周辺で数メートルもこの上に積もり、その表面を流れ出てきたものと思われます。  第二は、去年の大噴火以後、地元では泥流発生に備えて激特事業等によって、大型砂防ダム及び山腹床め工等設置したのでありますが、去る十月十六日の降雨による第一次泥流によって、防止ダムはほとんど埋もれてしまいました。  このため、地元におきましても第二次泥流による被害を懸念し、急ピッチで大型ダンプ車クレーン車等を導入の上、ダム内に堆積した土砂の排除に当たったのでありますが時間的に間に合わず、また、その下流部流路工等が未完成であったため今回の第二次泥流被害発生したとのことであります。  次に、被害概況について申し上げます。  北海道庁、伊達市、壮瞥町及び虻田町等からそれぞれ被害概況について説明を聴取いたしました。それによりますと、人的被害は死亡・行方不明三名、負傷者二名であります。被害総額につきましては、十六日及び二十四日の両日のみで約百五億円に達し、その内訳は、農業被害八千五百万円、土木被害八千三百万円、林業被害八十三億六千五百万円、衛生施設被害十二億二千五百万円、市街宅地及び温泉源被害七億七百万円及び開発局関係その他三千八百万円となり、このほか室蘭本線の一時冠水及び停電等相当な被害が生じております。  これに対し、関係当局がとった措置でありますが、十月二十五日政府応急対策推進するため、四柳国土庁審議官を団長とする有珠山泥流災害調査団現地に派遣し、同日十七時、虻田町及び壮瞥町に災害救助法を発動いたしました。  また、その後の降雨に伴う泥流被害防止するため、緊急に遊砂池流路を掘削し、土のう等を積むほか、被災者及び危険住民に対しては、体育館等避難所に収容し、延べにして、百二十九世帯、六百五十二人の住民が避難いたしておりました。  まず、伊達市の大平地区でございますが、この地区有珠山東山腹崩壊によって沈砂池農業用水路等泥流が流入したため、被害を最小限に食いとめることができましたが、山腹浸食状態ははなはだしく、農地ゴルフ場などに堆積する降灰災害が目につきました。  次に、壮瞥町の湖畔地区に参りましたが、この地区有珠山北東山ろくに当たり、洞爺湖と羊蹄山を望見できるすぐれた自然的景観に恵まれ、しかも、湖岸には壮瞥温泉街があります。この地区においては、地殻変動が大きく、特に外輪山ふもとにある三恵病院の損壊は著しく、三階建て鉄筋コンクリートがつぶれて二階に崩れ落ちるなど廃屋と化しており、その他随所に地表のひび割れも目につき、市営住宅及び民家の中には空き家となって放置されたままのものもありました。  さらに、泥流被害を受けた町営住宅のあるカトレアの沢においては、有珠火山観測所横山北大教授から説明を受け、有珠山火山活動は鎮静化しつつあるが、地殻変動等については、なお終息宣言はできない状況にあり、泥流についても、山の活動がおさまり、山腹緑化の目途がつかない限りその流出経路等の予知は困難な問題だとのことでした。  次に、虻田町の洞爺湖温泉地区に参りましたが、この地区温泉街中心を形成しながら山に近く、特に全日空の沢及び木の実の沢の下流部被害が最も大きく、悲惨な状況でありました。  このうち、全日空の沢においては、泥流発生を予測して、高さ八・五メートル、長さ七十ないし九十メートル、貯砂量にして約四万五千立方メートルの大型砂防ダムを二基設置したにもかかわらず食いとめることができず、これらのダムを越えて流出した泥流温泉街を襲ったとのことでした。このため、町全体が一時停電し、小学生の犠牲者を出すなど相当混乱した模様で、随所土砂岩石が散乱し、再度の泥流被害防止するため、道路沿い土のう石がきが高く積み上げられて、さながら市街戦に備えているような観を呈しておりました。  一方、二人の犠牲者発生した木の実団地の現場は、建ち並ぶ鉄筋三階建ての一階部分が岩石土砂流で埋もれた跡が残り、泥に汚れた家財も散乱し、窓を破って押し寄せた泥流の恐ろしい爪跡を残しておりました。また、虻田町の湖岸地区の一部においても地殻変動が激しく、特に脳卒中リハビリテーション及び、職業病を中心とした社会事業協会病院鉄筋建て院舎には亀裂が入り、床や壁にすき間が生じ、外来棟の一部には使用不能なものもあるような状態でした。  なお、たまたま調査当日に行われました今回の犠牲者の方々の虻田町民葬儀に、私ども全員参列し、その御冥福をお祈りしたところであります。  最後に、調査を終え、現地で感じましたことを申し述べます。  まず第一は、二次災害防止対策見直しについてであります。  数多い自然災害の中で、危害が次々と何度も繰り返されているのが噴火の特色であります。地殻変動もなかなかとまりません。そのような条件下にあって、当面は、今回の泥流による二次災害教訓を生かし、砂防ダム流路遊砂池等設置位置規模の再検討などの応急措置を講ずることによって対処しなければなりませんが、今後とも防災関係者の一層の努力をお願いいたします。  第二は、恒久対策としての緊急治山砂防事業推進であります。  現在の有珠山ろくはちょっとした小降雨によっても山腹崩壊し、そこに新しい沢を形成し、今回の噴火に伴う降灰のみならず、過去の噴火によって噴き出した岩石等を伴って泥流となる危険地区随所に存在しております。来春の融雪期や夏の降雨期も控えております。このためには、まず山に緑を取り戻すことができるよう、山腹床固め緑化推進等が必要でありますが、これとともに下流部での砂防工事沈砂池用排水路等設置が必要と思われますので、関係当局におかれましては、特段配慮をお願いいたします。  第三は、危険地区における住民安全管理でございます。  いつ泥流地殻変動が起こるかわからない現状にかんがみ、危険区域予防工事を講ずるとともに、危険区域住民の理解と協力を得て避難体制を整えるとともに、集団移転等についてもその検討を進めていただくことが肝要と思われます。このためには国及び自治体が連係をとって適切な指導を進められんことをお願いいたします。  第四は、被災地域及び被災者等に対する財政、金融措置上の配慮であります。  今回の泥流は昨年の大噴火に引き続く災害でございまして、公共施設を初め農業施設居住用及び事業用等資産復旧もようやく軌道に乗ったやさき被害であります。このような現況にかんがみ、被災自治体に対する特別交付税交付被災者に対するより長期低利災害貸付資金の供給に特段配慮をお願いいたします。  以上、現地調査いたしまして感じたことを申し上げましたが、それ以外にも被災地からはさまざまな御要望がございました。政府におかれましては、被災地に対する各種の救済措置等十分活用の上、災害復旧に御尽力願いたいと存じます。  このような甚大な被害をこうむった有珠山周辺被災地が一日も早く復旧されんことを切望するとともに、あわせて、日夜復旧活動に当たっておられる関係各位の御労苦に感謝申し上げたいと存じます。  最後になりましたが、函館に参りまして、一九六八年十勝沖地震に対する恒久対策等について調査いたしました。  市当局からの説明によりますと、函館においては、この地震のほか、昭和九年の大火にも遭遇しており、市としても防災対策に格段の努力を続けております。最近においても群発地震発生しておりますが、直ちに大地震には結びつくものではないとの説明でした。  これに対し、派遣団からは、群発地震地域、過去の大地震の前兆及び防災体制あり方等について質疑がなされました。  以上今回の現地調査報告を終わることといたします。  なお、北海道並び関係当局から提出された要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載することをお願いいたしたいと存じます。  派遣委員の皆様には、まことに御苦労さまでした。  この際、お諮りいたします。  ただいまの派遣報告にありましたとおり、北海道並び関係方面からの詳細な要望事項等につきましては、本日の会議録末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川崎寛治

    川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 川崎寛治

    川崎委員長 災害対策に関する件、特に有珠山周辺泥流災害等について議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  5. 池端清一

    池端委員 ただいまも御報告がありましたが、今般の有珠山泥流災害について以下お尋ねをいたしたいと思います。  かねてから、有珠山噴火活動による大量の降灰地殻変動による外輪山崩壊等によって山腹への堆積物が膨大な量になり、泥流災害等二次災害発生、その危険性がつとに指摘をされ、その防止が強く叫ばれてまいってきたところであります。私も先月十九日の本委員会におきまして、噴火活動による災害天災であっても、当然予測される泥流災害等二次災害発生したならば、これは天災ではなくして人災である、事柄は緊急にしてかつ人の命にかかわる問題であるとして早急な防災対策見直しを求めてきたところであります。しかるに、ただいま委員長から御報告がありましたように、十月二十四日の大規模泥流発生によりまして御案内のような悲惨なる災害を惹起するに至ったのであります。まことに残念ながらその不安が現実のものとなったことに私は深い悲しみを覚えるものであります。  防災対策の甘さ、各省庁間における統一的な防災体制の不十分さ等、多くの問題点指摘できると思うのでありますが、政府としては今回のこの災害に当たってどのような反省教訓を持っておられるのか。きょうは大臣がおられないようでありますので、まずその点を政務次官からひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
  6. 丹羽久章

    丹羽説明員 池端委員質問に対してお答えを申し上げたいと思いますが、その前に、委員長初め派遣委員皆さんには現地にお出かけいただき、つぶさに種々御検討いただきまして、ただいま委員長からの御報告を承り、心から感謝を申し上げると同時に、政府としてはこの現地報告趣旨を体しましていろいろと考えていかなければならぬと思うのでございます。  池端委員に対してお答えを申し上げますが、今回の泥流災害を通じての反省教訓に対してどう考えているかという御質問のようでございます。  有珠山噴火以来、御承知のとおりに一年有余の間幸いにもこの間に人的の被害がなくてその復旧に当たっていたにもかかわらず、今回の泥流によりまして死者二名、行方不明一名というとうとい人命を失い、このような被害発生いたしましたことはまことに残念でございます。亡くなられた方に対しては謹んで哀悼の意を表する次第でございます。  御承知のように、昨年八月の噴火以来、本年に入っても、たび重なる水蒸気爆発により、大量の降灰が堆積して、また、地盤の変動外輪山の地形も変換しておるような状態でございます。この降灰による二次災害防止するために、昨年以来治山砂防計画を立てて緊急事業として実施してきたところでありますが、さらに、最近の泥流発生にかんがみ、全体の計画見直しにも取りかかっていたやさき泥流災害でございます。今後は、この泥流災害教訓として、泥流エネルギーを分散させるための方策や不測の泥流発生に備えた避難体制整備住民への徹底等対策を初めとして、活動火山ふもとに位置する観光地という地元の条件をさらにまた考えて、将来を見通した長期的な展望に立った対策検討していかなければならないと政府は大きく反省していることをこの席をかりて申し上げる次第でございます。
  7. 池端清一

    池端委員 私はいたずらに政府に対してのみその非を向けるものではございません。私どもも政府を督励する立場にあったものとしてその一半の責任を痛感せざるを得ない、こう思っておるのであります。しかしながら、当然泥流災害が、しかも大災害があらかじめ予測されていただけに、実に無念の気持ちでいっぱいでございます。川崎委員長は先般の十一月七日の町民葬の弔辞で、人の命は地球よりも重い、こういうふうにおっしゃっておられました。まさにそのとおりであります。その地球よりも重い住民の生命と貴重な財産を守り、二度と再びあのような惨事を繰り返さないために、いま政務次官からいろいろお話がありましたが、再度、具体的にどのような決意で今後対処されようとしているのか、その具体的な所信をひとつ承りたい、こう思うのであります。
  8. 丹羽久章

    丹羽説明員 池端委員に御答弁申し上げます。  予測していたことが予測していたようになったのだ、これからどういうふうに考えるかということでございますが、先ほど申し上げましたようにそうした二次災害が起きるのではないかということで、もう一度見直しをして計画を立てなければならぬという対策検討中に起きたことでございます。この点については、御指摘のとおりに政府としまして深く反省いたしております。第三次災害の起きないような対策をこれから一日も早く立てて、御期待に沿い、住民皆さん方に安定していただくことをこいねがい、そのような方策に進んでいきたいと考えておるわけでございます。先生の御趣旨に対して、十分政府としてはその対策を進めるべくすでにもう着々進めておるので、御了承いただきたいと思います。
  9. 池端清一

    池端委員 防災対策を進める上で何よりも重要なことは科学的な調査である、こう思います。昨年八月の噴火で約二億立方メートルの灰が降ったと言われておりますが、そのときは近隣市町村を初め全道一円に広く灰が拡散をいたしました。しかし、本年に入ってからの引き続く小噴火は、ほとんど有珠山周辺に灰を降らせて、その堆積量は当初のものよりも数倍に及ぶというきわめて膨大なものとなっている、このように推定されるのであります。しかし、お聞きしますと、この火山灰堆積量にいたしましても、その調査は昨年十二月までしか行っていない、このように承知をしているのであります。もしもそれが事実であるとするならば、これはきわめて重大な問題だと言わざるを得ないと思うのであります。堆積量調査が不十分なままで治山砂防対策を進められた吟ということであれば、災害対策はきわめて重大な欠陥があった、こういうふうに言わざるを得ないと思うのでありますが、その点については一体どうなっているのか、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  また、現地での説明をお聞きしますと、危険土砂量堆積量の二〇%、このように算定をしているようであります。どのような根拠でこの二〇%という数字が出てきたのか、その点についてもひとつ具体的なお答え建設省の方からお願いをしたいと思うのであります。
  10. 小藪隆之

    小藪説明員 お答えいたします。  現在、有珠山はたび重なる噴火と、特に地殻変動による山容の変貌が継続しておりまして、正確な降灰量の把握は非常に困難をきわめております。現在、有珠山の総括的かつ細部にわたる調査を実施中でございまして、その結果を待たなければ数字は明らかでございませんが、現在新規の砂防激甚災害対策特別緊急事業として対象にしている西山川等五渓流における流出する危険性の高い土砂量といたしましては、総概数百八十万立方メートルを想定しておるわけでございます。  なお、お尋ねの二〇%の問題につきましては、これも現在調査中の結果を待って再検討してまいりたいというふうに考えております。
  11. 池端清一

    池端委員 二〇%の問題については調査中の結論を待って善処をしたい、こういうことですか。二〇%という数字がどういう根拠で出てきたのか。現実にいま有珠山泥流発生状況を見ますると、相当以前の噴火の際のものも一緒に流出をしてきている、土石流となって流れてきている。こういうような状況の中で二〇%が危険土砂量であるというふうに算定した根拠、理由、その点についてもっと具体的にお答えをいただきたいと思うのです。
  12. 小藪隆之

    小藪説明員 お答えいたします。  先ほどの二〇%の数字につきましては、五十二年の激特算定の際に一応根拠とした数字でございまして、当時西山川通称木の実団地の沢でございますが、総降灰量八十七万四千五百立米というふうに推定いたしまして、そのうち危険土砂量といたしましては、二十四万三千三百ということで算定したわけでございます。そのうち砂防計画といたしましては、計画対象土砂量として十二万一千を砂防の方で一応対策値として考えたいということで、十二万一千に対する計画をいたしたわけでございます。したがいまして、その工事内容にいたしましては、西山川は一号ダム、二号ダムによりまして二万七千ということで、今後の対策といたしまして、一号ダムをさらにポケットを広げまして五万立米、二号ダムに四万立米ということで、現在緊急砂防を早急に実施したいということで考えております。その他、全日空沢等につきましても同様の計画で、大体計画対象土砂量の約二〇%をとりあえず建設省の方で砂防事業として対象に考えたいということで進んでまいったわけでございます。
  13. 池端清一

    池端委員 どうもお答えが納得できないわけでありますが、確かに正確な降灰量調査等もなかなか困難であるということはわかります。しかし、少なくとも昨年の十二月までは曲がりなりにも調査が行われている。これは事実でしょう。本年に入ってからの調査が全くなされていないというところにやはり片手落ちではなかったのか、こう思うし、二〇%という数字も、いろいろ聞いてみまするけれども、どうもその科学的根拠が乏しいと言わざるを得ないと思うのであります。私は、いまのお答えを聞いてもどうも釈然としないのでありますが、もっとやはり防災対策を進める上では、特に砂防については十分な科学的な調査が前提にならなければならないと思うのです。その上に立っての砂防ダム建設であり、それから沈砂池なり遊砂池建設ということになると思うのであります。どうもその点が不十分でありますので、この点はもう少し科学的にやはり実態を調査されて万全の対策を進めてもらいたいということを強く申し上げておきたい、こう思うのであります。  そこで、今回のこの災害での教訓は、一応山の方は曲がりなりにも治山なり砂防工事が進められておった、しかし、下の方のといいますか、その下部の方における対策がほとんどなされていなかったところに大きな問題があったのではないか、こういうふうに考えるわけであります。たとえば、砂防ダムは防壁ではない、そして、泥流の直撃をやわらげるものであるというのであれば、それに連動するところの一連の遊砂池沈砂池建設、あるいは流路工建設が絶対必要不可欠であったはずであります。それがいずれも未着工であったところに今回の災害発生の大きな要因があったのではないかというふうに考えられるわけであります。  そこで一つ。具体的になりますけれども、以下主要な沢ごと堆積土砂量がどうなっているのか、砂防ダム流路工建設を初めとする今後の治山砂防、あるいは農地災害復旧工事、それから砂防ダム建設する場合にはそのポケット容量が幾らふえるのか、こういう点を含めて建設省、林野庁、農林省の各省からその対策をお聞きしたいと思うのであります。  その主要な沢と申しますのは、いろいろな沢がございますが、虻田町につきましては木の実の沢、全日空の沢、泉一の沢、壮瞥町につきましてはカトレアの沢、源太川の沢、ロープウエーの沢、伊達市につきましては大平地区、これらの沢についての今後の防災対策について具体的にそれぞれの省庁からお答えをいただきたいと思うのであります。
  14. 小藪隆之

    小藪説明員 有珠山泥流及び土石流の災害対策といたしましては、砂防事業として堆積した火山灰流出を抑制するため、現地形を極力生かした大容量の砂防ダム設置するとともに、なお砂防ダムを越流する土砂に対し、安全に流下させるための流路工の開削整備を実施し、また、沈砂池等により、土砂の掘削排除を計画しており、上流治山事業と調整連携を図りながら対処してまいりたいと考えております。これらの施設計画は、五十二年度からの砂防激甚災害対策特別緊急事業、総事業費約三十億円をもって対処してまいったところでありますが、今回の泥流災害にかんがみ、本年度より、五十六年度完成を目途とした総事業費約百億円の事業費をもって新規砂防激特事業により実施してまいる所存でございます。  各渓流の対策といたしましては、西山川、通称木の実の沢でございますが、現在までに砂防ダム一基を完成の上、さらに一基に着手し、施工中でございます。対象流出土砂量は約四十二万二千立米計画し、これに対する計画総貯砂量を十九万四千立米といたし、また計画総扞止量及び調節量を十一万八千立米といたしました。五十三年度は、緊急砂防事業及び補正予算等により砂防ダムを二基及び下流における支障物件、地下埋設物等関連する諸問題を解決の上、流路工七百二十メーターを新規に開削いたします。五十四年度以降砂防激特事業及び通常予算により砂防ダム五基、床固め工一基及び流路工七百二十メーターを整備することにより災害に対処してまいりたいと考えております。  以下、他地域についても同様に、小有珠川、通称全日空の沢でございますが、現在までに砂防ダムを二基完成しております。対象流出土砂量は五十四万二千立米計画し、これに対する計画総貯砂量を十一万八千立米とし、また計画総扞止量及び調節量を十二万二千立米といたしました。五十三年度緊急砂防事業により砂防ダム一基及び流路工千四十メーターを新規に開削し、五十四年度以降砂防激特事業により砂防ダム六基、導流堤百七十メーター及び流路工千四十メーターを整備してまいりたいと考えております。  次に、小有珠右の川、全日空の沢の支川でございますが、現在砂防設備はございません。対象流出土砂量は十三万五千立米計画し、これに対する計画総貯砂量を八万三千立米とし、また計画総扞止量及び調節量を五万二千立米といたしました。五十三年度緊急砂防事業によりスリットダム一基を施工し、五十四年度以降砂防激特事業により砂防ダム二基及び流路工四百九十メーターを整備してまいりたいと考えております。  次に、壮瞥温泉川、通称カトレアの沢でございますが、現在砂防設備はございません。対象流出土砂量は四十四万六千立米計画し、これに対する計画総貯砂量は六万六千立米とし、また計画総扞止量及び調節量を六万立米といたしました。五十三年度緊急砂防事業により砂防ダム一基を施工し、下流流路工の暫定開削については、北海道と協議の上検討してまいりたいと考えております。また五十四年度以降砂防激特事業により砂防ダム二基、導流堤二百八十メーター及び流路工三百二十メーターを整備してまいりたいと考えております。  次に、大有珠川、通称ロープウエーの沢でございますが、現在砂防設備はございません。対象流出土砂量は二十五万四千立米計画し、これに対する計画総貯砂量を三千立米とし、また計画総扞止量及び調節量を二千立米といたしました。五十三年度緊急砂防事業によりスリットダム一基を施工し、五十四年度以降砂防激特事業によりさらにスリットダムを一基施工し、導流堤千百四十メーターを整備することにより災害に対処してまいりたいと考えております。  なお、源太川につきましては防災課長よりお答えいたします。
  15. 瀬戸充

    ○瀬戸説明員 防災課長でございますが、ただいまの先生の御質問に対して私どもの所管が適切なお答えになっているかどうかちょっと問題のところもございますが、源太川の災害復旧工事につきまして御答弁申し上げます。  源太川は昭和五十二年八月に有珠山噴火に伴う地震によりまして被災したために災害復旧事業として決定いたしました。これはいわゆる下流部分でございますので、砂防計画とか貯砂量云々ということは一応関係なしに災害復旧事業として取り組んでおります。さらに、本年の五月及び八月にまた地震によりまして被害が増加いたしましたので、本年の災害査定によりましてこれを採択いたしまして、このうち特に住宅の近接部分につきましては民生安定のために仮工事を実施いたしております。非常に地殻が動いておりますので本工事実施は様子を見ながらということで仮工事だけを実施いたしました。さらに引き続き十一月十三日の地震によりましてまた大きく増加いたしましたので、これから十二月上旬の査定によりまして全体についてもう少し本格的な工事といいますか粘り強い工事というようなものを考えまして査定を行い、この復旧工事に着手する予定でございます。  以上でございます。
  16. 塚田実

    ○塚田説明員 農林水産省でございますけれども、まず農地、農業用施設に係る泥流被害について御説明いたします。  まず、泉一の沢の被害でございますが、農地といたしましては、十一月十三日現在同報告で約七ヘクタールということになっております。それから農業用施設につきましては三億三千万円ということになっております。もっともこの規模につきましては上流との関係で今後さらに検討を要するところがあると考えております。  そこで対策でございますけれども、上流から沈下する泥流を調整する施設、沈砂池を設けるなど下流の農地被害が及ばないような農地保全施設の工法を検討するようにいろいろ指導しているところでございます。私どもは災害査定終了後直ちに工事に着手するということを考えております。  なお、林野関係につきましては林野庁治山課長の方から答弁いたします。
  17. 江藤素彦

    ○江藤説明員 林野庁関係についてお答え申し上げます。  昨年八月の有珠山噴火以来、林野庁といたしましては荒廃林地のうち二次災害防止のため緊急を要する個所から逐次治山事業を実施いたしまして、その復旧に努めてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、降灰等不安定土砂をでき得る限り林地内におきまして抑止いたしますように、山腹斜面におきましては編棚工、土どめ工、緑化工等実施してまいりましたし、また渓流にありましては縦横浸食の防止を目的といたしました谷どめ工とか床固め工、流路工、こういった工種を実施してきたわけでございます。  本地区につきまして五十二年度から現在までに実施いたしました治山事業につきまして具体的に申し上げますと、まず虻田町関係でございますが、泉一の沢関係で二億六千三百万円、この地区につきましては谷どめ工、床固め工、水路工、こういった工種を実施いたしております。それから同じく虻田町関係の木の実団地の沢でございますが、この地域につきましては、事業費一億三千六百万円をかけまして、土どめ工、棚工、それから床固め工、山腹工、こういった工種でございます。さらにまた、虻田町の全日空の沢でございますが、この地区につきまして、七千九百万円の事業費によりまして、もっぱら床固め工を実施いたしております。  それから次に壮瞥町関係でございますが、壮瞥町関係のカトレアの沢につきましては、事業費八千三百万円をもちまして、床固め工、谷どめ工、土どめ工、それから柵工といった工法でございます。さらにまた、三恵病院の裏の沢、源太川でございますが、この関係につきましては、事業費五千万円で、この地区についてはもっぱら床固め工を実施いたしております。もう一つ壮瞥町関係のロープウェーの沢でございますが、この関係につきまして、事業費五千六百万円をもちまして、ここも床固め工を主体に山腹工を若干やってきておるわけでございます。  それから最後伊達市関係の大平地区でございますけれども、この地区につきましては、事業費四億五千四百万円をもちまして、谷どめ工、それから床固め工、土どめ工、さらにまたこの地区につきましては特に泥流の激しいところでございますので、導流工、水路工さらにまた遊砂池を設けておるということでございます。  今回の泥流災害にかんがみまして、また今後の降雨あるいはまた明春の融雪期に予想されます二次災害防止を図りますために、補正予算あるいはまた予備費を含めました緊急治山事業費をもちまして、従来の復旧工法に加えまして、導流工とか遊砂池等を実施いたしまして、二次災害防止に今後も努めてまいる所存でございます。  なお、地区別の緊急の今後の予定額を申し上げますと、まず虻田町関係の泉一の沢関係で今後緊急にやりまする事業費関係は二億八千七百万円でございまして、この地区につきましては、谷どめ工、床固め工を主体に渓床の安定を図ってまいりたい、このように考えております。さらに 同じく虻田町の木の実団地の沢でございますが、この地区につきまして、三億六千四百万円の事業費をもちまして、床固め工により渓床の安定を図りますとともに、土どめ工とか伏せ工によりまして山腹の安定を図ってまいりたい、このように考えております。もう一つ、虻田町関係の全日空の沢でございますが、この地区は、一億五千百万円の事業費をもちまして、主として床固め工によりまして渓床の安定を図ってまいりたいと考えております。  次に、壮瞥町関係でございますが、カトレアの沢につきまして二億六千七百万円、床固め工を主体にいたしまして渓床の安定を図ってまいりたいと思いますし、また三恵病院の裏の沢の源太川関係は、五千万円をもちまして床固め工を実施いたします。同じくロープウエーの沢につきましても、床固め工、事業費三千三百万円を予定しております。  最後に、伊達市の大平地区でございますが、この地区につきましては、事業費八億七千百万円をもちまして、谷どめ工、床固め工によりまして渓床の安定を図りながら、その下流に遊砂池を築設いたしまして、土砂の林内抑止を図ってまいりたい、このようなことを考えておるわけでございます。  さらにまた、明年度以降につきましては、建設省等関係機関と調整を図りながら、民有林治山につきましては、五十三年度から実施しております治山激甚災害対策特別緊急事業見直しをいたしまして、拡充実施することとしてまいりたいと思っております。また、国有林につきましては、復旧治山事業の拡充に努め、計画的な事業の推進を図ってまいる所存でございます。  なお、現在も小噴火及び地殻変動等によりまして林地荒廃の状況も変化してございますし、また工事施行の上で、特に国有林の奥地あたりにつきましては非常に危険な個所もございますことから、現時点で恒久的対策の樹立に万全を期すということはなかなか困難な状況にあるわけでございますが、広大な山腹面に推積いたしました火山灰の浸食、流出防止するために火山活動の動向を勘案しながら、ヘリコプターによる航空緑化等の方策を含めまして、山腹面の安定を図る対策に今後とも極力努めてまいりたいこのように考えておる次第でございます。
  18. 池端清一

    池端委員 ただいま今後の治山砂防対策について御説明がございました。問題は、来年の融雪期に向けての対策、これが非常に重要になってくるわけであります。  そこで、流路工の問題について確認の意味も含めてお尋ねをしたいわけでありますが、全日空の沢、木の実の沢については、流路工は各一本ずつ明年三月までに完成する、こういうふうに確認をしてよろしいか。なお、この流路工については、全日空の沢の四十三山沿いにどうしてももう一本流路工が必要である、こういうふうに言われておりますし、皆さん方もお認めになっていると思うのであります。これもぜひとも明年融雪期までに間に合わせるべきではないか、工事を急ぐべきではないか、こう思うのでありますが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思うのであります。  次に、壮瞥町のカトレアの沢についてでありますが、ここにも二本の流路工が必要ということが言われております。地元では、これまた明年の三月まで融雪期に向けて、一本素掘りでも結構だから何としてでもこれは通してもらいたいという強い要望がありますし、また地元民の協力も得られている、こういう状況でありますので、これについてはどういうふうにお考えになっておられるのか、この点を確認の意味も含めてお尋ねをしたいと思うのであります。
  19. 小藪隆之

    小藪説明員 初めに全日空の沢につきましては、仮排水路といいますか暫定掘削で一応洞爺湖までやりたいということで、支障物件その他地下埋設物の交渉をいま始めたところでございます。地元のそういう御協力が得られれば、全日空の沢については予算も計上しておりますし、来年三月までに竣工することで事業を進めております。  それから全日空の沢の支川の方の、もう一つ四十三山沿いの流路工でございますが、これは御承知のようにいろいろ支障物件がたくさんございまして、いまの段階では来年の三月までというわけにはなかなかいかないんじゃないかという予測があります。ただ、今回の泥流につきましても、全日空の沢で大きいダムをつくりまして、いまの全日空の沢の方に導流いたしますとある程度の災害が防げるし、四十三山沿いのあの流域からは比較的に泥流が少のうございましたので、そういうことで一応対処してまいりたいというふうに考えております。  それからカトレアの沢につきましては、これも地元関係がございますが、でき得れば三月までに仮水路につきまして掘削してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  20. 池端清一

    池端委員 農林水産省にお尋ねをいたしますが、一の沢地区でございます。この入江地区の農民は、これまで昨年四回、ことし二回の泥流災害を受けておりまして、その被害はきわめて甚大であります。何としてでも安心して営農できるような態勢をぜひとも早急につくってほしいというのが切実な願いでありまして、ただいまの御説明では、下流に被害が及ばないように工法等も十分検討して早期に着工する、こういうお話でございました。したがって、明年の営農に支障がないというふうに私は理解をしたわけでありますが、そういう確認でよろしゅうございますか。
  21. 塚田実

    ○塚田説明員 いま御質問がございました一の沢の農業用関係の被害でございますが、私ども何よりも心がけなければなりませんのは、来年の春から始まる農民の皆さん方の営農に重大な支障がないようにしなければならぬということでございます。そこで、ただいま下流の農地被害を及ぼさないような農地保全施設の工法を検討するよう指導していると申し上げましたし、災害の査定も現に農林省内部では本日二十一日から始めております。それで、今週中にも査定を終えまして、関係各省と協議いたしまして早期に所要の準備が終わるようにしていきたい、このように考えております。
  22. 池端清一

    池端委員 それでは次に進ませていただきます。  山腹周辺一帯に堆積しております火山灰、火山れき、これは先ほども御報告がありましたように膨大な量に達しておるわけであります。この沈砂池遊砂池等に堆積する土砂の除去というのは今後数年、いや十数年の長きにわたって繰り返していかなければならない、こういうふうに予想されるわけであります。この土砂泥流等の除去については莫大な費用がかかるわけでありますが、これについては当然全額国費によって措置されるもの、このように考えておるわけでありますが、こういうことでよろしいかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
  23. 小藪隆之

    小藪説明員 砂防ダムに堆積した土砂の排除につきましては、砂防激特事業が継続されている渓流におきまして既設ダムに異常埋没が生じた場合には、砂防激特事業が完成するまでの間、工事の安全性を考慮の上措置することで検討してまいりたいと考えております。
  24. 池端清一

    池端委員 工事が完成した後どうなるかという問題であります。
  25. 小藪隆之

    小藪説明員 工事が完成した後は、いろいろな条件がございますので、その時点で除石工ということで採択可能であれば公共事業で採択してまいりたいというように考えております。
  26. 池端清一

    池端委員 次に、浄水場の問題であります。  昨年の噴火以来温泉町の浄水場はきわめて危険であり、早期に移転をしなければならないということを強く訴えていたにもかかわらず、これについては今日まで実現をされておらなかった、こういう経過になっておるわけであります。しかも、御承知のように十月二十四日の泥流は浄水場を直撃いたしました。したがって、あの浄水場は当然移転をしなければならないわけであります。当面としては来年の三月末まで現在のものを応急修理して使用し、そして中継ぎの措置として、恒久施設ができるまで埋立地に仮プラントを設置をする、そして約一年間の工期をもって新浄水場を建設する、こういう三段階方式をとらざるを得ないと思うのであります。  この三段階、すなわち応急復旧に要する経費、暫定的な浄水装置の設置、恒久施設の移転整備事業については、当然のことながら公共土木施設災害復旧事業と同様の国庫補助、こういう措置が講ぜられる、このように考えておりますが、この点よろしゅうございますかどうか、お伺いをしたいと思うのであります。
  27. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、このたびの土石流によりまして水道が被害を受けたわけでございまして、応急復旧並びに本復旧までの暫定仮浄水場及び浄水場の移転工事等一連の事業を実施する必要があるというふうに考えておりまして、現在移転地の選定を終えた段階でございます。大体今月じゅうには新浄水場の設計を完了する、並行して暫定工事であります仮プラントの設計等も完了するということで準備を進めておる段階でございます。十二月上旬、現地査定によりまして事業内容並びに事業費を決定するという運びになっております。  御指摘の、これに要する経費の国庫補助率についてでございますが、復旧費が相当高額に及ぶ、ひいては地元負担が高くなるというような事情もございますので、従前、若干の特例措置もございますので、これらを参考としながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  28. 池端清一

    池端委員 この段階で今後検討してまいりたいということでは私は納得できないわけです。この問題はかなり以前から強く要請し続けてきておったところであり、それなりに大蔵当局との折衝も進んでおるというふうに聞いておりますが、今後検討するということではなしに、現段階においてもっと明確なお答えをいただきたい、こう思うのです。
  29. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  事業費の概算、大体十二、三億と理解をいたしておりまして、その線で財政当局とも相談に入っておるのでございますが、従来の特例措置を見ますと、いわゆる一般公共災害並み、十分の八の例もございますが、十勝沖、えびの等の地震については三分の二という措置もあるというように種々の事例がございますので、もう少し内容が詰まった段階で財政当局とお話を詰め、決定したいというふうに考えております。
  30. 池端清一

    池端委員 この問題は、私どもが昨年言っておったとおりに措置されておれば、この三段階方式、一、二の段階をとらずともこれはやり得たのです。それを今日まで放置してきたところに問題があったわけであります。これは一にかかって政府の責任なわけです。ですから、やはり政府の責任においてこれはきちっと措置をしてもらいたいということを強く申し上げておきます。  次に、噴火泥流によるところの道路なり宅地あるいはダム内の堆積土砂の捨て場の問題であります。大変膨大な量になっておるわけでありまして、今後また引き続き数量がふえていくわけでありますので、どうしてもその恒久捨て場を国として確保すべきではないか、こういうふうに思うのであります。なお、すでにお聞き及びと思いますが、地元ではその用地として洞爺湖畔の月浦キャンプ場のところを埋め立ててはどうかというような考えも持っておるようであります。これについての建設省の御見解と、国立公園内でもございますのでこれは環境庁のお考えも聞かなければなりませんから、環境庁の方からもひとつこれについての御見解を承りたい、こう思うわけであります。
  31. 小藪隆之

    小藪説明員 噴火泥流等によります流出土砂あるいは砂防事業等による掘削土砂は膨大な量に上っておりまして、限られた地形の中での土捨て場の確保が相当困難となることが予想されるわけでございます。これらの土捨て場につきましては、道を初めとする関係機関の意向を聞きながら対処してまいる所存でございますが、土捨て場の土砂流防止施設が必要となる場合は他事業と調整の上、その必要限度におきまして砂防事業として検討してまいりたいというように考えております。
  32. 中島良吾

    中島説明員 泥流の処理問題につきまして、現在、北海道庁から月浦地区におきまして埋め立てをしたいという話がすでに来ております。これにつきましては、認める方向で検討させていただきたいと思っております。
  33. 池端清一

    池端委員 今度の泥流の問題はここ一、二年でおさまるものではなくて、かなり泥流対策は今後長期にわたって続けていかなければならないというふうに判断をされるわけであります。たとえば建設省は桜島に大隅工事事務所桜島出張所というようなものを設置して砂防対策を進めておるようであります。私は、有珠につきましても国の責任をもっと明確にした形で有珠山対策を進めていくべきではないか、このように考えるわけであります。これからも長く続くであろうところのこの自然との闘いに対して、政府はいままでのような体制でよいと判断されているのかどうか、有珠についての防災体制のあり方の問題についてひとつ国土庁にお尋ねをしたいと思うのであります。  また、この際林野庁関係につきましてお聞きをいたしておきますが、林野庁の国有林関係では、現在、室蘭営林署の治山係の四名の職員がこれを担当しておるわけであります。従来、これらの職員の取り扱い金額というのは平均一億五千万円程度だったそうでありますが、今年度は約十一億円程度の事業費を扱う、こういうことになるわけであります。とうていこの程度の人員では賄い切れるものではない、こう思うわけであります。したがって、林野庁におきましても、これまた長期化する治山対策を進める上で、専門の職員を配置した有珠治山作業所、これは仮の名前でありますが、こういったようなものを設置してこの治山対策を進めるべきではないか、このように考えておるわけでありますが、これについての林野庁の見解もお聞きしたいと思うのであります。
  34. 四柳修

    四柳説明員 有珠山の今後の砂防対策の進め方につきまして、鹿児島の大隅工事事務所並みの現地の体制という御指摘がございましたが、先ほど関係省庁からそれぞれ御答弁ございましたように、計画見直しによりましてそれぞれの事業量の確定を見、今後の進め方で御指摘のような問題が必要になった場合には、関係省庁それぞれの現場でお考えになろうとは思いますけれども、私ども道庁の方から伺っておる話としまして、御案内のように、道側もそれらの対策を進めるために現地に駐在の方々の組織を設けたいということを伺っております。国としまして、個々の事業の推進のための工事事務所ということは事業量等によりまして考えられるかもしれませんが、全般的な調整という問題につきましては、道庁のそういった現地の組織との連絡なり、あるいは道側でおつくりになっておりますいわゆるプロジェクトチームに対します国の専門家の人的な協力といいますか一そういう体制の中でできる限り対応してまいりたいと考えております。
  35. 塚田実

    ○塚田説明員 お答えいたします。  室蘭営林署の治山事業担当職員につきましての御質問でございますが、私どもは有珠山における泥流等の災害に対処するため、国有林治山事業においても積極的な対応措置をとっているわけでございます。そこで、室蘭営林署の治山事業担当職員だけではなかなか現在のような事態に十分対応できませんので、函館営林局の治山課、現在、職員二十名おりますけれども、そのうちの七名を室蘭営林署の方に応援をさせているところでございます。ただいま先生の方から治山事業所の新設というお話もございましたけれども、私どもはこういう応援体制を今後とも機動的に発揮させまして、事業の円滑な実行が図られるように努力していきたい、このように考えております。
  36. 池端清一

    池端委員 時間が迫っておりますので、あと簡潔、明確にひとつお答えをいただきたいと思うのでありますが、この十月二十四日の災害によりまして三名のとうとい人命を失いました。また、地域住民も莫大な家屋、財産等に被害を受けたわけであります。しかしながら、御案内のように、現行制度ではこの一般の被災者に対する救済の道が全く閉ざされているわけであります。特に今回の災害は、先ほども触れましたように、あらかじめ予測された災害であります。防災対策の甘さ等から惹起された人災であると言わざるを得ないわけであります。したがって、必要ならば法律改正、制度改正をしてでも、国の責任においてこれら被災者個々の方々に対して救済の手を差し伸べるべきではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうお考えになっておるか、端的にお尋ねをしたいと思うのであります。
  37. 四柳修

    四柳説明員 お尋ねの個人の災害の救済につきましては、たび重なる災害ごとにこの委員会でいろいろ御質疑があり、それに対しまして現在の弔慰金の制度ですとか、あるいは援護資金の貸し付けですとか、あるいは住宅復興資金の貸し付けですとか、現行制度で対応しながらそれぞれの融資の条件等を改善してきた経緯をお答えしてまいりました。私ども、御指摘の点、やはり非常に財政事情むずかしい点はあろうと思いながらも、いままでそういった経過で改善してきたわけでございますが、今回の泥流災害被害者につきましても、御案内のように、弔慰金も町の条例を改正していただきましてたしか支給されたと思いますし、その他の制度につきましても、これまでの噴火災害等に対しましても援護資金等の貸し付けをやり、あるいは営業関係の資金の貸し付けをやってこられた。それに続いて今度の再度の災害で、ケースにもよろうと思いますけれども、従来とってまいりましたような形でのいわば連年災害に対する被災者の償還猶予とか、そういった問題が具体的に取り上げられると思います。そういう過程の中では、御指摘の点、十分御答弁にならないかもしれませんが、この個人災害対策の救済の問題につきましては、かつて共済制度の創設ということも議論されましたが、いろいろな難点がありまして、いまの弔慰金制度というものが発足した経緯もございます。また、国会におきましても小委員会等で数次にわたりその改善方を御議論いただいている経緯もございまして、いまはっきりしたお答えが出せない状況でございますが、今後とも関係省庁ともどもそういった方向を踏まえながらその改善に努めてまいらなければならないと考えております。
  38. 池端清一

    池端委員 御承知だと思いますが、地元の労働団体、地区労でも、今般の災害は明らかに人災であり、個人の救済ができないというのであるならば、これはもう泣き寝入りすることはできない。何年かかろうとも、行政の責任を明確にさせるために損害賠償請求の行政訴訟も辞さない、こういう態度をとっておられるわけであります。したがって私は、国もこの際、訴訟が提起されればこれを受けて立つ、こういう姿勢ではなしに、やはり、いま審議官も言われましたように、これは長年の課題でありまして、古くて新しい問題であるわけであります。毎回毎回繰り返されている問題でありますので、この問題については前向きに問題解決をするという姿勢を明確にすべきではないか、こう思うのでありますが、重ねてお尋ねをいたします。
  39. 四柳修

    四柳説明員 御指摘の点、先般私どもの本部長のところに現地の方々がお越しになりましたときにも、大臣の方から、今回の災害についてのいろいろなお気持ちを交えながら、いま御指摘のような受けて立つというような姿勢ではなくて、やはりともにこの苦しみを何とかして解決していきたいという方向でできるだけ努力をしたい。しかしいろいろな制度的な制約もございますし、あるいは地元の方々の御協力を得なくてはならない部分も幾つかあろうかと思います。そういうことで精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
  40. 池端清一

    池端委員 それでは最後に、活動火山対策特別措置法に基づくところの例の地域指定の問題については、私は先般十月十九日の委員会でもお尋ねをしたところであります。四柳審議官から、道庁の方とも十分相談してできるだけ地元要望に沿えるような方向でやりたい、こういうお答えがあったわけであります。それからもうかなりの期日を経過しておりますが、この問題について現状はどうなっているのか、またその指定時期の見通しはどうなっているのか、見通しについてお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
  41. 四柳修

    四柳説明員 現在の段階でございますが、北海道庁で地元市町村の具体的な避難施設なりあるいは防災営農事業等の計画要望をお取りまとめになっている段階と伺っております。私どもを初めとし関係省庁としましては、道庁からそれらの計画なり要望というものがまとまりまして正式に出された時点で寄り寄り協議いたしまして、指定すべき地域の範囲ですとか、それらの中で緊急に整備すべき施設、事業等の内容を定め、この道庁からの要望が出される時期にもよると思いますけれども、やはり先ほど来御議論ございますように、来年の営農ですとか来年のいろいろな事業計画というものがある程度めどが立つようにそれらの地域指定なり計画作業等もあわせてできる限り努力してまいりたいと思います。
  42. 池端清一

    池端委員 終わります。
  43. 川崎寛治

  44. 野村光雄

    野村委員 私は、今回の有珠山泥流災害に当たりまして、地元の議員といたしまして、政府関係並びに先般は特別委員長を初め委員皆さん方が早々に現地に視察並びに対策においでいただきましたことを現地住民にかわりまして最初に厚くお礼を申し上げます。  御存じのとおり、昨年八月のこの有珠山の爆発以来たび重なりましての噴火、絶え間なく襲ってまいります地震泥流、こういう悲惨な状態のさなか、現地住民はこの一年間黙々として郷土の保全とわが身、生命、財産保持のために活動を続けてこられたわけでございます。先ほど来お話がございましたとおり、はかなくも去る二十四日、三名の犠牲者を出しまして、地域住民の方々のいままでの努力が一瞬にして水泡に帰した、こんなような空虚な気持ちで現在いるわけでございます。  そこで、まず政務次官に基本的なことで一、二点お尋ねいたしたいのでありますけれども、今回の泥流災害に対してどのように認識をしていらっしゃるか、こういうことでございます。ただいま申しましたように、地域住民はとうとい人命を失ったこの泥流災害がなぜ起きたのか、噴火以来初めて犠牲者を出したことによりまして大きなショックを受けております。昨年来再三にわたりない災害だったとは言えないのじゃないか、こういう大きな不満、ぬぐい切れない、たとえようのない、あきらめ切れないものを抱いているのが現地住民の偽らない実態でございます。そういう中から、改めてひとつ政府として今回の災害に対してどのように認識をしていらっしゃるのか、もう一回ここで確認をさせていただきたいと思います。
  45. 丹羽久章

    丹羽説明員 お答えを申し上げます。  昨年の八月に発生いたしました有珠山噴火周辺一体は大変な泥流、灰に取り巻かれております。先日は委員長を初め委員会皆さん方に御視察をいただき、つぶさに御検討いただきましたことに対し感謝申し上げますとともに、さらに亡くなられた方々に対しましても政府として心から申しわけなく、遺憾の意を表する次第でございますし、また亡くなられた方々の御冥福と、けが人の方々が一日も早く治っていただくことを心から私ども祈る次第でございます。  さらにただいまの御指摘は、これが避けがたいものでなくて避けることのでき得るものを政府の手落ちではないかという御指摘でございまするが、あの八月の災害後に、私は、長官が行かれた後現地を視察さしていただきました。灰のたまり方、周辺等を視察させていただきまして、これに対して国と道と町が相ともに一体になっていただいて善後策を早くやっていただくようにというお願いを私どもはしてきたつもりでございます。  そのような考え方でお進めいただいたのでございますが、まことに遺憾なことでありますけれども、その対策ができ得ないうちにすでにこのような事態が起きましたことは御指摘のとおりで、政府としても深く反省をし、こういうことは金にとらわれず、何におきましても指導する面は指導し、御協力いただく面においては十分御協力をいただいて、一日も早く進めなければならないということを御指摘のとおりに率直に反省をいたしておるわけでございます。  今後の問題についてはどうするかということでございますが、第三次災害が起きないように、あれ以来長官を初め、それぞれ各省が連絡をとりながら懸命な努力を続けておるわけでございますので、どうかひとつ政府自体もこの点に真剣に取り組んでおることを御認識いただきますことをお願いいたしまして、答弁とさせていただきます。
  46. 野村光雄

    野村委員 いま政府としての率直な責任の披瀝がございました。     〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕 しかし、御答弁を伺っておりますと、当然考えてはいたけれども対策が十分にできないさきに惨事が起きてしまった、これは偽りのない本当のことだろうと思うのですけれども、私から言わせるなら対策自体に手おくれがあったのだ。地元住民が言っている。昨年の噴火泥流を一番こわがってこの対策を何回となく要求した。しかも昨年の噴火より一年有余という対策を講ずるのに対して十分なる日月というものがあった。いいですか、日月が足りなくて対策がおくれた、こうは言わせない、十分なる日月があった。もう一つは、昨年来のたび重なる噴火によりますところの火山灰、火山礫の堆積量、こういうものもあらあら科学的につかんでいた。最たる証拠に、昨年、入江地区、泉地区で泥石流の最も悲惨な実態が具体的な実例として目の前にあらわれた。しかも今回三名のとうとい人命を失ったこの二つの沢に対しましては、すでに十六日に、ちょうど二十四日の悲惨な状態を受ける前に、あたかも予告をするように生々しい泥流の実態があそこで地域住民の財産を一なめにしたのです。  これだけの素人でもわかるような実態ざらに、この泥流が押し寄せてこようとする今回の被害のひどかったカトレアの沢、木の実の沢、全日空の沢、入江地区、だれが考えても地形上から言って一番危険なところだということはわかっていた。突如起こったのではない。こういうさまざまな幾つかの実態から見たときに、災害対策ができないさきに起きたのではなくて、やらなかったためになったのだと率直に反省する姿勢がなければ、今後の現地の実態に即した対策はできないだろう、私はこう思っているわけです。  これに対して、改めて率直に、いまの実例を通しながら、これに反論するものがあるならば、科学的に、実態的に、おくれたのだ、できなかったのだという理由があったら出していただきたい。いまの幾つかの実例を知っていたのでしょう。
  47. 丹羽久章

    丹羽説明員 ただいま一つ一つの具体的な例を挙げて、政府対策がおくれたがためにこのような被害が起きたのではないかという貴重な御意見に対しましては、政府としてお話をさらに耳新たに聞き入れて、今後の進め方について大きく反省をしていかなければならぬと思うわけであります。  ただ、一点申し上げたいと思いますことは、これに対して政府は緩慢な態度をとっておったのではなくて、先生御承知のとおりに、山が動いておった現実というものはお認めいただけるだろうと思っております。そうした小さい地震がさらに動きつつあるということで、それの調査的なものに大変手間取ったということが今度の御指摘いただいたような点に大きく影響してきたということもあるわけでございます。決してこれに対してなすべきことをなさずしておったわけではございません。しかし、貴重な意見として十分政府は取り入れ、そして、今後こういうことのないように方策を考えていかなければならぬ。いっそうした災害対策中に起きないとも限らないということを前提にして、今後の方針を立てるということを十分考えていきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  48. 野村光雄

    野村委員 私も、なぜ声を大にして申し上げるかと申しますと、現地住民の立場にとって、何回も言っていた、その中でとうとい人命を失った、金銭にかえがたい命を失った教訓だけは今後生かさなければならない、これは地元の率直な本当の意見なんです。ぜひ私は生かしていただきたい。  そこで、私は次にお尋ねいたしますことは、現地対策本部の設置をせよ、こういうことでございます。昨年九月十二日の有珠山爆発直後の質問で、私は当時の田澤長官に要請をいたしております。先ほど来御答弁に立っておりますところの皆さん方が、いろいろな手を打ってくださったということは私なりに評価はいたしますけれども、しかし、このような災害対策というものは、政務次官よく聞いていただきたい。現地から陳情を受けながら、その陳情を検討して対策をするというのではいけないのです。政府みずからが国民の生命、財産を守るために、みずからの責任の中において対策は講ずべきなんです。何か関係市町村から陳情を受けて、その陳情の内容がどうだこうだと、一般行政とは違うわけですから、少なくとも今回の災害の要因になっておるのは国立公園でありますために、有珠山というものの大半は国自身が管理をしなければならない国有林でありますとか公園内でありますとか、こういう中に、関係住民の生命、財産を失うような要因が、国自身の管理する地域内にあるのですから、それを現地住民から、市町村から陳情を受けて判断する、そんなんじゃないのですよ。みずからが生命、財産を守るために、この現地のたゆまなく変動する実態を——先ほど政務次官言っているようにたゆまなく地震が起きているわけでしょう。たゆまない噴火が次から次に起きているわけでしょう。これほど激動しているわけですから、単にこっちから派遣員を出して、たまに見に行くぐらいで、この地域でみずからの生命、財産を危険にさらされている住民が守れると思いますか。そのためには、おくればせであるけれども現地対策本部をつくるべきだと私は思います。御答弁いただきたい。
  49. 丹羽久章

    丹羽説明員 野村委員に御答弁申し上げたいと思います。  非常災害対策本部を国は設置せよという御意見のようでございます。昨年の八月の噴火直後、先生御承知のとおりに災害対策基本法による災害応急対策推進のための非常災害対策本部を持ちまして、本部長には長官がなったわけでございます。また、北海道及び地元市町村においても、それぞれ同法の規定に基づきまして防災の推進を図るために対策本部というものが持たれておるわけでありまして、これはやはり市町村、今度の有珠山の場合におきましては道知事を中心にいたしまして、相互に連絡をとりながら、そして災害の応急復旧並びに防災対策推進してきたところであります。  御質問は、ただいま申しましたように現地の情報の収集及び応急対策推進に遺憾のないようにせよというよりも、むしろそれは遺憾でないか、手おくれではないかというような御質問のように承るわけであります。しかし、ただいま政府の方針といたしましては、道の方からもいろいろと情報をいただき、私の方からも情報を聞くというような対策で進めてきておるわけで、これですべてが悪いんだという考え方も持っておりませんので、きょうまで進んでまいりました。ただいま先生からそれは大変おくれることである、しかも有珠山というのは国立公園なるがゆえに国家が管理をするところにそうした問題のことが起きておるんだ、だからこれに伴って対策本部は国が持つべきでないかというような御意見のようでございます。いまのところは地方を尊重し、地方の御意向を聞きながら、さらにきめ細かくは電話でも、派遣員によっても、それぞれの連絡をとり、万遺憾なきを期したつもりでありますが、あのような突然の第二次災害が起き、それはもっともっと緊密な連絡をとっておったならば事前に防ぐこともできたのではないかという御意見から発生したのが対策本部を速やかに設置せよという御意見のようでございますが、これは問題点として十分研究をし、道側とも市町村側とも研究をいたしまして、そして答えを出したいと思っておるので、御了承いただきたいと思います。
  50. 野村光雄

    野村委員 あの現地に、名称は別として、私の申し上げた趣旨にのっとった対策機構というものをつくるために前向きに検討する、こう言うのですか。お伺いしたい。
  51. 丹羽久章

    丹羽説明員 御指摘の点につきましては十分取り入れて考えなければならない点も多くあります。そういう意味におきまして、道とも市町村とも十分連絡をして、対策本部を国の方で設置せよという意見が強ければこれはやはり考えていかなければなりませんし、先生の御趣旨に沿わなければならないと思うわけでありますが、いまのところはそういう話も出ておりません。国からの対策本部を設置せよというお話はございません。それで現地に国の対策本部を持てという話があるわけではございませんし、私どもも連絡をすることによって十分行われていくと考えておるわけでございます。  そういう意味から、今後先生の御指摘の問題を課題にしながら、先ほどの御質問にもそういう問題がございました。ぜひ対策本部をつくったらどうだというお話がございましたので、あわせて皆さん方の御意見を総合しながら、どうしても現地対策本部の必要性が必然的にあるとするならば、これは考えていかなければならぬということを私は申し上げるわけでございます。
  52. 野村光雄

    野村委員 政務次官、私はなぜこれをやかましく言うかといいますと、御存じのとおり、こういう泥流というのは、気象条件の変化、いつどういう時点で、どういう方法で地域住民をどこに避難させるか、これはいま現在、現地の市町村長の一身にこの判断がゆだねられている。この重い責任、これは電話連絡で、国の対策本部として、いま雨量は何ぼだ、これからまた何ぼ、気象庁の判断で言うとこうだ、山の状態はこうだ、避難さしていいですか、どうですか、こんな悠長な問題ではないのです。しかもその泥流の堆積しているのは、国の管理する土地にたまっているのですよ。いいですか。人ごとでないんですよ。あなたの管理する、あなたの責任ある地域から、人命が失われるかどうかということ。地域住民が下にいるのですよ。だれが判断するのですか。今度の問題でも、私は岡村町長から聞きました。対策が遅かったから人命が失われたんだ。毎日毎日電話でがんがん痛めつけられる。責任は確かに感ずる。しかし、天文学者でも地震学者でもないんです。そういうときに、人命を守るための対策は、現地に責任ある者が、やはり総合的に判断できる立場の者がいないというところに大きな手抜かりがあるんだということを実証で今度示されたわけですよ。これだけの実証がありながら、まだ電話連絡で事が済むと思っているのですか。もう一回答弁していただきたい。それにかわるものがあるのでしょう。
  53. 丹羽久章

    丹羽説明員 御質問に対してお答えを申し上げたいと思いますが、いま先生がおっしゃったように、電話によってそれで聞き、それによって判断をするというような手ぬるいことでそれでいいと思うかという御質問のようでございますが、いいとは思っておりません。  今後の問題は、そういうのを踏まえて、そうして現地対策本部を持つことが道としては適当である、市町村としてもぜひでかせ、先生方もぜひでかせ、こういう御意見ならば、それに対して政府はきょうまでのことを深く反省しながら一歩前進し、二歩前進し、あるいは百歩前進した対策と、とうとい人命をなくすようなことは、これは全くもって申しわけないことであるという反省のもとに考えていこうと思っておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  54. 野村光雄

    野村委員 大変前向きなよい姿勢が出てまいりまして、現地の道並びに関係市町村の要請さえあれば前向きにその方向で設置したい、こういうお話がございましたので、後日、道並びに関係市町村長と私はこの問題は討議をいたしたいと思っております。  次に、危険地域の集落再編成、これについてお尋ねをいたします。  時間がなくなりますから、端的にお尋ねをいたしますけれども、泥流常襲危険地域から民家の集団移転をすべきだ、これはいかなる砂防ダムをつくろうとも、この全日空の沢なり木の実の沢なりカトレアの沢なり、この危険区域というものは防災工事だけでは人命の保障はしがたい、そのためには思い切って集団移転というものを実施すべきだ、そのためには全面的に土地、家屋の買い上げ、移転、これは国において補償する、それからすでに災害を受けた民家の全面補償並びにそのための必要な制度の制定、改革、これも行う、そうして集落再編成を速やかにやるべきだ、こう思いますけれども、御答弁をいただきたい。
  55. 丹羽久章

    丹羽説明員 お答えを申し上げます。  有珠山周辺危険区域の集落の集団移転を実施すべきではないかということのようでございます。  被災地域におきましては、先生御承知のとおりに、ただいま復旧事業が行われている段階でありまするが、今後この災害地で関係地方公共団体と住民との間で十分な話し合いが行われて、集団移転事業を行う方向になった場合には、住民の意向を十分尊重いたした上において道及び町当局と密接な連絡をとりながら適切な措置を講じていきたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。     〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 野村光雄

    野村委員 一応集団移転対策につきましても、国の基本的な姿勢としては地元住民、町村との連携の中で前向きに対処したい。またそれに伴うところの補償問題、これも当然大きな課題になってくると思いますけれども、ぜひただいまの私の提案を一つの基本とできればしていただいて、この際この危険常襲地帯の人命尊重と保障のためには私はやむを得ないだろう、こう思っているわけでございます。具体的にせっかく私が発言しておきながら対策がおくれたためにまた同じところで同じ災難が起きた、こういうことにならないようにひとつ念を押しておきますから、この点は速やかな対応策をひとつお願いいたしたい。  次にお尋ねいたしたいことは、浄水場の移転と水道施設の復旧についてであります。  昨年の噴火以来地元の町長さん、市議会、地域住民挙げて木の実の沢にありますこの浄水場は泥流地帯の最も危険地帯にあるので早く移転をしてほしい、災害があってからでは遅いんだ、——なぜか、よく聞いていたたきたい。——単に現地温泉街住民四千数百名の生活水だけではないんです。毎日何千、何万という観光客を養っていく生活水です。一たび断水するとこの観光客までも被害の中に巻き込まなきゃならない。だから危険があるから移転してくれと言った。一向に聞かない。とうとう埋没した。これに対する移転の計画と移転の時期、しかも費用は全額国庫負担でやるべきだと思うが、これに対する考え方を聞きたい。
  57. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年度から移転したいという要望のあったことは承知をいたしております。昨年度の判断は、木の実沢に所在する浄水場のあの地域が、昨年度実施された緊急治山なり緊急治水事業あるいは引き続いて行われる治山治水事業によって泥流からは保全されるという防災サイドの一つの判断がございました。かつまた、移転には大きな地元負担を伴うことに相なりまして、水道の料金にも影響するというようなことも考慮いたしまして、移転については保留し、融雪期等の泥流状況を見て判断しようということにいたしたものでございまして、結果的には判断が甘かったということに相なるわけでございますが、今後は万全を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。  今後の移転等の計画でございますが、まず災害直後自衛隊等の応援を得まして、給水車による給水を開始いたしまして(野村委員「そんなこといいよ、知っているから。移転するのかしないのか。いつやるのか。現地の人間なんだから、給水事業やったなんて知っているんだよ」と呼ぶ)移転につきましては、御指摘のとおり再度災害のおそれがございますので、移転する方向で現在検討を進めております。現在移転地の選定を終わった段階にございまして、すでに新浄水場及びその連絡の管路等の設計を進めております。  また、この新浄水場の建設には一年半ばかり期間が必要でありますので、その間また現在の既設の浄水場が停止するというおそれもございますので、暫定的な浄水のプラントを別途つくりましてその間をつないでいきたいということを考えております。その暫定的なプラントにつきましては、今後現地査定等によって事業内容及び事業費を確定していきたいと思っておりますが、大体二カ月ぐらいででき上がるという見通しもございますので、仮に十二月中旬に着工しますと二月中旬には仮プラントができる。したがいまして、需要期の四月以降には十分対応できるというふうに考えております。  なお、本格的な新設浄水場の設置完了には一年半ということを申し上げましたが、見通しとしては五十五年の六月末ぐらいをめどに完成をするよう進めてまいりたいというふうに考えております。  また、これに対する経費の負担でございますが、従来、地震等の被害によって通常の二分の一を引き上げまして十分の八ないし三分の二の特例措置をとったという例もございますので、このたびの復旧費が相当高額になるものと考えておりまして、できるだけ高率な補助金が確保されるよう財政当局と調整してまいりたいというふうに考えております。
  58. 野村光雄

    野村委員 政務次官、お聞きになってわかると思います。昨年以来この問題も何回か言い続けてきた。しかし、いま答弁がありましたとおり、よもやこんなふうになるとは思っていなかった。しかし、やはり現地の言ったとおりになった。あわ食っていま移転だ。これも遅きに失し過ぎている。だから私はさっきから言っている。現地の実態、災害は一番知っているんだ。その切実な要望を聞かない。ここに今日の災害復旧というものが手おくれした最大の要因がある。これだけはひとつ肝に銘じて、政務次官、改めてもう一回思い直していただきたい。  もう一つは、先ほどの経費の負担でありますけれども、宮城、新潟では八割の負担をしているわけですか。こういう災害の場合は少なくとも十割ぐらいするのはあたりまえなんです。政務次官、この点もあわせて、どのように反省して認められたのか伺いたい。
  59. 丹羽久章

    丹羽説明員 ただいま聞いておりましても、なるほどなさねばならぬことがおくれ、御指摘いただいたのになぜもっと早くやらなかったかということになるわけでございます。しかし、これは町の方とも十分連絡もとりまして、それをどういう方向へ持っていくかということについて決まらないうちは原形復旧しかできないので、そういうことに甘んじ、政府側としてもそのような段階ではそれをするということになると何ら補助的なことができませんので、その場合には町に全面的な負担をかけることも大変な御迷惑であろうと考えたのであります。そしてこのような大きな災害になると思わなかったのでありますから、やはりいまのような体制で浄水場の周囲を囲み、そして利用できるだけここは利用しようというような考え方をしておったようであります。こういう点については、根本的に直すべきところを直し、政府が補助すべきものは十分に補助をする、そうした処置をとっていかなければならぬということが——今回浮き出された幾つかの問題によって、さらに検討を続けなければならぬということを私自身も知ったわけであります。  町側ということよりも、むしろ住民側に負担をさせるというようなこと、思いがけないそうした災害において一部が破損した、全体が破損しないと国はめんどう見ないというようなあり方が果たして適当であるかどうかということに対しても、今後検討が加えられていくであろうと思っております。  いまの話で、宮城が八割、伊豆も八割、一体今度の有珠山方向に対しては二分の一なんておかしいじゃないかというお話のようでございますが、これは大蔵当局がどういう補助対策をとったかということに対して、きめ細かく御答弁を申し上げることにいたしたいと思いますので、大略私は法に基づく根本的な問題を考えていかなければならぬだろうということで申し上げておきます。これは先ほど先生からも御質問がございましたので、あわせて私どもは検討いたしておこうと思っておりますから、御理解いただきたいと思います。
  60. 野村光雄

    野村委員 補助率の問題は実例もあることでございますし、現地の、いま言ったただならない実情に追い込んでの移転でありますので、全国に類例のないような全額国庫負担で移転をするぐらいの決意でひとつ取り組んでいただきたい、要望いたしておきます。  時間がございませんので、次にお尋ねいたしますが、災害復旧並びに防災対策のめどについてでございます。  先ほど池端委員からいろいろ御指摘ございまして、各種災害対策計画、予算、これを含めて詳しい御答弁がございました。重複を避けまして端的に一点だけお尋ねをいたしたいことは、この流路工沈砂池等が町の中に完成した暁に、この管理は一体どこがやるのか。私自身は、当然この管理は国が将来ともに管理すべきだと思います。これを町に負担させるようなことのないようにすべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  61. 小藪隆之

    小藪説明員 お答え申し上げます。  流路工沈砂池等につきましては、現在道工事でやっておりまして、将来ともその管理等につきましては北海道庁の方で管理することになるわけでございます。
  62. 野村光雄

    野村委員 そうすると、地元の町には負担はかけない、こういうことでございますね。——では確認しておきます。  次に、板谷川の改修と避難道路の新設工事についてお尋ねをいたしたい。  現在、御存じのとおり虻田町本町から温泉に至る国道、すなわち二百三十号線の側溝の改修が計画されて行われております。この計画から見ますと、この側溝は、泉地区の研修所前で普通河川、すなわち板谷川に合流される、こういう計画になっているようでございます。特にここは土石流が非常に多いわけでございますが、この普通河川板谷川に、途中で国で大幅な側溝工事をやって、上流の土石流を流してくる大幅な河川改修をやって、途中から町の管理する小さい河川に合流した場合に、全部下がのまなくなる、いま地域住民がこういう不安を抱いております。当然これは一貫した災害対策の事業として国が河口まで全部改修をすべきだ、こういうふうに思いますけれども、この計画と方向について明らかにしていただきにい。
  63. 川本正知

    ○川本説明員 板谷川につきましては、河口から約一・八キロの間につきましては、災害関連事業といたしまして、昭和四十四年度に護岸も含めまして一応整備ができておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、板谷川の上流におきまして、道路の側溝等が整備されてまいりますと、その受け皿といたしまして板谷川があるわけでございますが、板谷川の流量も増加してくるということも予想されます。そういったことから、下流の河道に洪水を流下させる能力があるかどうか、あるいは洪水時の被害、そういったものについて早急に検討いたしまして、改修の必要性がありますと、先ほど先生おっしゃいましたように、板谷川は現在は河川法の適用を受けない普通河川でございますが、普通河川の改修として、道の補助の改修制度というのもございます。あるいは町が河川法を準用いたします準用河川というものに指定されまして、そしてその改修に対しまして国が補助をいたしますという準用河川改修制度というものもございますし、そういったことも含めましていろいろ改修方策がございますので、実は測量等の調査を早急に実施することにしておりまして、そういった調査の結果を受けまして対策を講ずるように、道や市と今後早急に協議を進めていきたいと思っております。
  64. 野村光雄

    野村委員 いずれにいたしましても、地元の町に負担をかけない、こういうことで、これを一級河川に変更なさろうと国でやろうと、これは道ともいろいろ詰め合わせなければならない問題が残っていると思いますけれども、いずれにいたしましてもそういう不安があるということでひとつ遺漏のないような調査をするとともに、願わくは一緒に改修すべきであると同時に、その改修の費用は、ただいま申しましたように地域に負担をさせない、こういう中で計画を進めていただきたい、そういうことをさらに確認いたしましてこの点は終わります。  次に、避難道路の新設でございます。現在の国道二百三十号線、四柳審議官はしょっちゅう行っていますからおわかりと思いますけれども、その温泉街からちょうど見晴らし台を通ってキジ公園の方へ上がっていく曲がりくねった道路、御存じのとおりあの町のちょうど真ん中が問題の木の実の沢の泥流の常襲地帯に入っております。しかもあの曲がりくねった見晴らし台の山手は急傾斜になっておりまして、有珠山泥流火山灰が相当堆積されているところでございます。いざというときに緊急避難には非常に支障を来すのではないか。私が申し上げるまでもなく現地観光地でもございますから、現地住民の避難だけではおさまらない。こういうための緊急避難路としてこの左へ曲がりました、ちょうどくぼみになっておりますね、キジ公園のところからこっちの湖の左側ずっと回ってきたところ、あれから直接に直線コースの避難道路というものを新たに新設すべきだ、私はこういうふうに思うのでございますが、これは事前にちょっと説明してありますので、ひとつ御答弁いただきたい。
  65. 多田宏行

    ○多田説明員 お答えします。  虻田町の洞爺湖温泉街を通過します国道二百三十号の珍古島というところですか、あれからキジ公園までの間、この間では、ことしの十月十六日それから二十四日と二回にわたって泥流のため一時交通不能になりましたが、これらの原因となっています例の沢につきましては仮排水路が早期に整備されることになりましたので、これにより二百三十号線の交通は一応確保されることになりました。しかしながら、今後の火山活動状況やそれからいま進められております泥流流出解析、そういったような技術的検討によりまして二百三十号線について迂回路などの対策が必要とされることも考えられますので、他機関の計画とも調整しながら前向きに検討してまいりたいと存じます。
  66. 野村光雄

    野村委員 ただいま前向きに検討する、こういうことでございますので、現地住民はこの前向きの検討を非常に期待しておりますので、ぜひひとつ現地の避難対策上からも早急な実現を強く要求しておきます。  残り時間があと十分になりましたので、観光地対策について伺っておきます。  この問題は今回の爆発以来一年前からの問題でございまして、特に観光地におきますところのホテルの経営、みやげ店、こういう商工業者、これらの方々が、昨年の爆発以来観光客が平時の約二分の一以下に減ってまいっておりまして、非常に大きな経済的な経営難に陥っております。そういう中で、今日まで政府におきましても各種の対応する融資制度というものの中で非常に大きな温かい配慮をしていただいたわけでございます。しかし、昨年来受けておりますこれらの融資に対しましてもほとんどが一年据え置き、こういう中でことしすでに返済期に入ってきております。そこで、この返済期限の延長並びに融資枠の拡大、こういうものをぜひひとつ図っていただきたい、こういう御要望、考えを申し上げるわけでありますけれども、これらに対する対応策について御答弁をいただきたいと思うのであります。  次に、引き続いてもう一点。時間がございませんから文部省の方にお尋ねいたしますが、カトレアの沢に新設されました観測所が、この間行ってみますと不幸にいたしましてこのカトレアの沢の泥流の直撃を受けております。しかもこの沢から出ております火山石はこれくらいの大きさのものが一面にごろごろと山積みされて押し流されてきている。建ててまだ幾ばくもないところに襲われた、こういう実態でございます。人命の危険を冒されながら観測するという精神はとうといと思いますけれども、私は皮肉にここに建てたことをいまどうやこうや言ってもしようがないのですけれども、この対応策について、ここを選んだ経緯、また大丈夫なのか、こういう点につきまして心配なものですから、文部省側に建てた経緯と実態をどういうふうに把握してどういう対策をしようとしているのか、つい十月に建ててこの災害を受けたわけですから……。  もう一つは、ここで横山博士から聞きましたのは、いずれにしても地震とか火山に対するこういう知識を学ぶということは、五年や十年でこういうことについての知識を得られるものではない、少なくとも三十年かかるのだ、そういう点からいくと、わが国にとって火山とか地震に対する学者の養成が非常に少ないと嘆いておりました。これらの養成に対しては、やはり地震国であり火山国であるわが国の実態からいって、後輩の養成をこういう現実の生々しい実態の中から当然させるべきだ、こういうふうに思いますけれども、この点に対する考え方を伺っておきたい。  以上、幾つかの点について御答弁をいただきたいと思います。
  67. 四柳修

    四柳説明員 前段の点、所管は中小企業庁だろうと思いますけれども、おりませんものですからかわってお答え申し上げます。  各種の災害融資の償還期間あるいは据え置き期間の延長の問題でございますが、政府系中小企業金融機関の既往の貸付金の償還に当たりまして、今般の再度災害により返済が困難となっている中小企業の方々につきましては、個々の実情に応じて償還猶予が行われるよう各機関の指導に当たっているが、重ねての御要望でございますから、そのこともよく伝えておきたいと思います。  それから、それに関連しましてさらに追加融資等の御要望でございますが、そもそもが閣議決定によりまして非常に特例的な措置をとったわけでございますけれども、地元の道もあるいは町もそれぞれ単独のいろいろの御措置をおとりのようでございます。それらの点も踏まえまして、今後地元の地方公共団体と連絡をとりながら、その実態に応じて対処してまいりたい、そのように伺っておりますので、その点につきましても重ねて伝えておきたいと思います。
  68. 植木浩

    ○植木説明員 お答え申し上げます。  まず、先生の御質問の第一点は、なぜあそこを選んだか、その辺の経緯を知りたい、こういうことでございますが、実は有珠の火山観測所をつくるに当たりましては、やはりできるだけ火山に近いところが研究上は必要であるという第一点がございます。それから第二点といたしましては、やはり民間の住宅等から比較的離れた、車の振動等のないところが研究にはふさわしい、こういう第二点がございます。そういった点をいろいろ加味いたしまして、民有地ではございましたが一番火山に近いところということであの場所を選んだわけでございまして、大体火山から一キロくらい離れておるわけでございます。  私どもとしても、泥流があそこまで来るとは実は予想いたしていなかったわけでございますが、実際、いま先生の御指摘がございましたように、いろいろ泥流が流れ込んだり岩がそばへ来たりというような実態でございました。しかし結果としては、沢が横にございまして、観測所はあそこの地域でも比較的高いところにございますので、泥流が参りましても、直撃とはいいましてもそう観測所そのものが痛めつけられるというようなことはなかったわけであります。  今後大丈夫かという点につきましては、実は泥流というものがいつどういうふうに起きるかという予測は大変むずかしいわけでございますので、私どもとしても絶対に大丈夫だということは申し上げられないわけでございますが、いま北海道大学の方ともいろいろと相談をいたしておるわけでございますが、比較的高いところにあるという点、沢が横にあるという点から、そう大きな泥流が来るということはまあ考えられないであろうと一応学者の先生は申しておりますが、なお十分に先生の御趣旨を体しましていろいろと慎重に考えてまいりたいと思います。  それから、地震とか火山、特に火山の学者の養成が少ないという御指摘でございます。現在、大学関係で火山の専門家というのは日本国じゅうで約六十人と言われております。確かにまだまだ研究者の数は少ないと思いますが、何分にも火山に対する学問的な知識というものが、その性質上、なかなか攻めるのがむずかしいわけでございまして、努力をしているわけでございます。なお、若い大学院生、その他につきましても、いろいろと応援を頼んで現地で実際に手伝ってもらったというようなこともございますので、そういう若手の中から将来のすぐれた研究者が出るように、及ばずながらいろいろとさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 野村光雄

    野村委員 これで質問を終わりますけれども、最後政務次官に、短い一時間の質問の中で、今回の一連の泥流災害を通して対応の甘さ、こういうものを身にしみて反省なさったと思いますけれども、こういう災害につきましては、いずれにしても現地住民が一番切実に身に体しながら生活している一番の体験者でございまして、こういう貴重な現地の意向を十分に尊重するという基本姿勢を持っていただいて、ぜひ三たびこういう災害の起きないような対策を講じていただきたいことを、地元住民にかわりまして強くお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  70. 川崎寛治

    川崎委員長 神田厚君。
  71. 神田厚

    神田委員 有珠山泥流災害について過日現地調査させていただきました。この問題についてはもうすでにいろいろと指摘がされておりますように、はるかに予測を超えた出来事であるとはいいながら、やはり人災のそしりを免れない、こういうようなことであるかと思うわけであります。私たちは亡くなられました方に対しまして深い哀悼の意を表しますとともに、こういう災害を再び起こしてはならない、こういうふうな気持ちで対策を万全にしていかなければならないと考えるわけであります。  そこで、いろいろな問題がございますが、非常に限られた三十分の時間でございますから、ポイントだけを御質問させていただきたいと思うのであります。  まず最初に問題になりますのは、泥流災害の一番基本的なもとになりました降灰の問題その他を考えますと、有珠山という山がどういうふうな形で落ちついていくのだろうか、これが非常に問題になってくるわけでありまして、気象庁その他では今後の火山活動の見通し、これはもう何回かかなり言われておりますけれども、それらについて大体どんなふうなお見通しを持っているのか。つまり、水蒸気爆発でもかなり降灰があるというような状況ですね、それが積もり積もっていくとやはり心配になってこないか。こんなふうなことを含めまして、有珠山の今後の火山活動の見通しは一体どうなのか、気象庁の方からちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  72. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  火山活動の尺度になりますものは、表面活動の現状と、それから随伴して起こります地震、それから地殻変動、この三つが基本的な尺度でございます。表面活動は七月から九月にかけて一時活発化しためでございますが、その後衰退に向かっておりまして、十一月に入ってからは噴火発生しておりません。また、地震、それから地殻変動も、噴火直後に比べますと、現在十分の一から二十分の一に減ってきております。これらを総合して判断いたしますと、有珠山火山活動は徐々に鎮静化に向かっていると私ども判断しております。  しかしながら、マグマの本体、これは溶岩でございますが、これが依然として地表近くにあるという事実はまだ続いておりますので、今後とも小規模噴火発生する可能性があると思いますし、また、これに伴って多少の降灰は考えなくてはならないかと思います。  なお、当然ではございますが、私ども、大学等の御協力をいただきまして、今後とも常時監視の手は緩めずにやってまいるつもりでございます。
  73. 神田厚

    神田委員 かなり落ちついたとはいいながら、やはりまだ非常に問題が残るわけでありますが、同時に、私ども調査に行きますと、地殻変動が非常に激しいのであります。この地殻変動がおさまらないために、いろいろな工事やその他で非常に支障がきているし、これから先の計画などをするに当たっても大変支障があるわけですが、こういう地殻変動をも含めて、たとえば地殻変動が進んで山容が改まってきているというようなこともあるわけでありますが、そういう大きな、いわゆる山そのもの、外輪山が少しずつ崩れてくるような形で、そういう意味でのまた一つの心配も出てきているわけありますが、そういう面での地殻変動の落ちつき方の見通しというのはどういうことでございますか。
  74. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御心配の地殻変動の現状でございますが、若干具体的な数字を挙げさせていただきますと、火口原内の新山、オガリ山、これがかつては去年の一時期には一日に一メートルも隆起していたのでございますが、これが現在一日当たり五センチ程度まで低下いたしました。それから、山ろく部における水平の地面の移動、これがいま御指摘復旧その他に大変関係があると存じますが、昭和新山方面では、現在この水平の移動は停止したままでございます。また、外輪山が洞爺湖の側へ押し出す水平移動も、これはかつては一日当たり六十センチから八十センチに及んだこともございますが、これは現在一日当たり五センチ程度まで低下いたしまして、こういうわけで山ろく部における地殻変動も一部では停止しておりますし、また現在進行しているところもございますけれども、これも鎮静化に向かっているわけでございます。
  75. 神田厚

    神田委員 さらにもう一点は、来年の融雪期、雪解けのときの泥流の心配、これが言われているわけでありますが、来年のことですから、これは予測するのはなかなかむずかしいのでありますが、たとえば気象的な見地から見て、融雪期に対することしの降雪の状況やあるいは来年の融雪期状況などから私ども非常に心配するんですが、その辺のところはいかがですか。
  76. 片山昭

    ○片山説明員 お答えいたします。  北海道では、この冬は大体暖冬傾向に経過いたしまして、降雪量も例年よりやや少な目という予想を立てています。しかし、雪の降り方というものは例年より変動が激しい。それで二月から三月にかけましては、道東、太平洋側、すなわち有珠山の位置する辺でありますが、そんな細かいことまで言えませんが、その辺で一、二度の大雪が降るという予想を立てています。大雪とは降水量に直しまして二十ミリ以上ということでございます。  それから次に、融雪期が問題になるのでありますが、いまの長期予報のレベルではあだそこまではちょっと、せいぜい三月までのことしか言えませんので、はっきりしたことは一替えません。  それから、融雪期の監視をどうされているかという質問に対しましては、ことしの融雪期は、御存じのように山ろくの二地点で毎日の融雪量を観測いたしました。来年もこのような措置検討いたしますとともに、融雪期の融雪に一番関係があります気温の上昇の強さとか降雨量というものの状況を常時監視いたしまして、融雪に伴う泥流発生についての情報あるいは注意報を発表して最善を尽くす考えでございます。
  77. 神田厚

    神田委員 さらにもう一点気象関係で、一部の新聞報道で何か温泉町の方に地熱が非常に高くなってきているということが報道された記憶があるのでありますが、この点については何かおわかりでありますか。
  78. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  約二カ月近くになりますが、ことしの九月二十四日に北海道大学であの有珠山の上を飛行機で飛びまして、そして赤外映像の写真をお撮りになりました。これはこの写真から地表面の温度の分布がわかるわけでございますが、そのときに横山教授が火口原の北の端に若干温度の高いところがあるということを、この写真判定の結果御発表になりましたものが新聞記事になったようでございますが、外輪山の外側あるいは現在人の住んでいらっしゃるところで地熱が高くなったというようなことはございません。
  79. 神田厚

    神田委員 まあそれなら結構でありますが、私はどうも温泉町の方で地熱が高いというような話を聞いたものですから、ちょっと心配をしたわけであります。いずれにしろ、火山が相手でありますから、一日一日状況が変わってきますので、どうかひとつ気象庁等でも常時警戒体制の中で監視を続けていただきたい、そんなふうにお願いを申し上げます。  続きまして、災害復旧対策につきまして主に道やあるいは地元の町から出ております問題について御質問をさしていただきたいわけでありますが、最初にまず砂防対策事業、これはほかの先生からも御質問があったようでありますが、これについては、これからどんな形でやられて、どういうふうなめど、計画をお持ちになっているのか、その辺につきまして御質問申し上げたいのであります。
  80. 小藪隆之

    小藪説明員 砂防計画につきましては、今年度は緊急砂防事業といたしまして約二十億予算を計上しております。これは上流の土石流を一応とめるということでスリットダムを各沢に計画しております。それと同時に、西山川についてはさらに現在施工中のダム規模を大きくしたりしまして砂防ダムの貯砂量をふやしてまいります。それから下流の流路工につきまして、一応流路工計画を仮排水路といたしまして河口まで掘削する計画をいたしております。それから全日空の沢につきましては、やはり一応スリットダムで土石流を抑えるとともに、大規模砂防ダムを下流に計画し、流路工計画したいというふうに考えております。それから、全日空右の沢につきましても上流のスリットダムで土石流の直撃を抑えてまいりたい。それから、カトレアの沢につきましては、これも上流のスリットダムで土石流の水勢を弱め、下流の大規模な堰堤を五十三年度中に施工したい。それから下流の流路工につきましても仮掘削の工事を実施したいというふうに考えております。なお、ロープウエーの沢につきましては、やはり上流のスリットダムで水勢を抑えるということで一応今年度は考えております。  引き続きまして、五十四年度以降につきましては激特事業の見直しをいたしまして、新たな激特事業といたしまして約百億円、五十四年、五年、六年と三カ年にわたりましてさらに上流の砂防ダム、それから地殻変動が落ちつきましたら、流路工の永久構造物としての工事等をやってまいりたいというふうに考えております。
  81. 神田厚

    神田委員 この砂防ダムの問題でありますが、一部新聞の社説などでも、今度の泥流砂防ダムが機能をしなかった、無力だったという指摘があるわけですね。これの原因は一体どういうことだったのだろうか。砂防ダムが有効に機能しなかった原因というのはきちんと究明をされておられるのかどうか、その点はいかがでございますか。
  82. 小藪隆之

    小藪説明員 昨年度五十二年度の激特事業で一応砂防ダム計画をいたしまして、とりあえずの泥流に対応します対策は行ったわけでございますが、御承知のように、九月二十四日あるいは十月十六日、さらに二十四日というような水蒸気爆発による噴火がございまして、それによってその後地殻変動をかなり起こしたわけでございます。そういうことによりまして、今回激特事業を見直して今後対応したいということでございまして、一応五十二年度工事中で、流路工等につきましては地元の用地の折衝に入っていたというようなことで、工事中にそういう災害を受けたというようなことでございます。われわれといたしましては、現地形でできるだけのことは対応してまいりたいというように考えております。  以上であります。
  83. 神田厚

    神田委員 ちょっと質問と答弁が食い違っているようでありますが、私が御質問申し上げているのは、砂防ダムが今度の泥流で余り役割りを果たさなかったという指摘があるのですね。そういうことについての原因は究明されているのだろうか、こういうふうなことでありますが、いかがでありますか。
  84. 小藪隆之

    小藪説明員 われわれといたしましては、砂防ダムが一応できたところにつきましてはそれだけの効果があったように判断しております。  なお、先ほど申し上げましたように、工事中であって十分泥流に対応できなかったということにつきましては、反省いたしております。
  85. 神田厚

    神田委員 次に、治山事業、これもいろいろ御苦労なさっているわけでありますが、先ほど来いろいろ御質問も出ておりますが、この治山事業の進めぐあいあるいはこれから先の対策についてはどういうふうにお考えでありますか。
  86. 塚田実

    ○塚田説明員 お答えいたします。  今回、御案内のような泥流災害にかんがみまして、治山事業という立場から、私ども農林水産省としてはこれから降ってくる雨による災害防止、それから来年の春の融雪期に予想される二次災害防止、こういうことが一番大事だと考えております。  そこで、事業といたしましては、補正予算で五億一千七百万円、それから一般会計の予備費の追加使用ということで十二億六千万円を含めたいわゆる緊急治山事業費二十五億五千八百万円をもって、本年度中に二十三カ所の治山事業を実施することとしております。具体的な工法といたしましては、山腹面には編柵工、土どめ工、緑化工を実施いたします。また渓流には谷どめ工、床固め工等従来工法のほかに、特に大量の土砂流出が予想される流域につきましては、できる限り林内に土砂を抑止すべく遊砂池の作設を計画しております。こういうような工事を早期に実施しまして、私どもとしては二次災害防止に万全を期していきたい、このように考えております。  なお、治山激甚災害対策特別緊急事業につきましては、建設省等関係機関と調整を図りながら、今後枠の拡大なりあるいは実施期間の延長なりを図る方向で現在検討しているところでございます。
  87. 神田厚

    神田委員 治山事業にかかわる問題で、有珠のいわゆる国有林の部分につきましてパトロール等がされていると思うのでありますが、そういう状況というのはどうなんですか。うまくカバーされておるのですか。
  88. 高野國夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  有珠山は千ヘクタールくらいございまして、大部分が国有林でございますが、パトロールにつきましては、現在現地の担当区事務所というのがありまして、そこの職員でございますとか、あるいは室蘭営林署が有珠山を管理いたしておりますので、そこの治山関係の職員四名ばかりおりますが、そういう職員と、それからさらに函館営林局、本局の方から数名の応援隊が行っておりまして工事の管理監督などをいたしておりますが、そういった職員によりまして国有林の中におきます監察などもいたしております。ただ、国有林は有珠山の上部の方を占めておりますので、まだ歩くのに非常に危険な地帯もございまして、全般にわたりまして十分把握するのが困難でございますけれども、先ほどお話しございました鎮静化の方向に向かいつつあるようでございますので、これからさらにそういった点につきまして観測体制と申しますか調査体制を強化していきたい、このように考えております。
  89. 神田厚

    神田委員 次に、農林省の方の農地、農業用施設、これも今回かなりの被害を受けているわけでありますが、これらについての災害復旧対策についてはどういうふうになっておりますか。
  90. 塚田実

    ○塚田説明員 お答えいたします。  今度の泥流災害によりまして、農地、農業用施設についてもかなりの被害があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては泥流災害発生後直ちに担当官を現地に派遣しましたし、また被害状況の把握、復旧方針の指導を行ってきておりますし特に緊急を要する地区につきましては、応急工事なりあるいは査定前の着工を積極的に実施するよう指導してきております。なお、今後復旧に当たりまして問題なのは、上流から流れておりてくる泥流被害が下流の農地に及ばないようにすることが大事であると思っております。そこで農地保全施設工法を多少工夫しまして検討するよう指導しているところでございます。私どもとしては、災害査定が終了後直ちに着手するということで進めております。  以上でございます。
  91. 神田厚

    神田委員 次に、住宅の復旧対策について地元から要望が出ておりますが、この点につきましては建設省はどういうふうにお考えでございますか。
  92. 浜典夫

    ○浜説明員 御説明いたします。  被害の態様と、それから住宅の種類によりましていろいろな対策を考えているわけであります。  まず、既設の公営住宅について生じた被害でございますが、これにつきましては、実は先ほど来お話のございました背後地の砂防だとか、そういう治山対策の方の成り行きを見ませんと、現地復旧したものかあるいは地区外に移設して復旧したものか等のこともございますので、その経過を見ながら地元ともよく相談して決めていく、こういう方針でございます。  それからさらに、公営住宅入居者じゃない一般の住民でございますが、それに対して公営住宅を供給するようにという要望が出ておりますので、それにつきましては地元の町、これは虻田町でございますが、御相談しながらやろうと思いますが、これまた同じく適地を求めるにつきまして、そういう防災対策を見越しませんと適地を定め得ないということから、それらとの関連で決めるという段取りにいたしております。  そのほか、金融公庫の融資を受ける系統の住宅につきましての災害に対する対策でございますが、これにつきましては償還の猶予とかそういう措置を講じている、そういうところが被害住民に対する住宅面での手当てでございます。
  93. 神田厚

    神田委員 いろいろお聞きをしてまいりましたが、なお水道施設の問題等はさきに御答弁があったようでありますから質問を省略いたします。  いずれにしましても、有珠山という一つの山のために地域社会が壊滅の状態に追い込まれそうである。それで、鎮静化をしておりますけれども、これから先どういうふうな形に落ち着くかわからないような状況の中で、地域住民に対しまして安心して生業に励めますような形で施策を強力にとっていかなければならない。これの問題は、一つはやはりどんな形で有珠周辺の町づくりをするのか、これは非常に大きな問題だと思うのです。問題が起きて、それの応急処置だけで済むのかどうか、そういう見通しも持ちながら全体の有珠周辺の問題というものを考えていかないと、せっかく応急処置をしていてもだめになってしまう場合があります。ですから、思い切った発想の転換もあるいはしなければならないのではないか、こんなふうなことも私どもは考えているわけであります。  そういう意味を含めまして、最後政務次官に、いわゆる災害復旧についてはこれを迅速にする、それから有珠山の特殊性にかんがみまして、有珠周辺の都市づくりについてはこれの将来の計画性をきちんと見きわめる、こういうことを含めた全体の問題についての御答弁をいただきたい、こんなふうに考えております。
  94. 丹羽久章

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話は十分心し、そして住民の幸せを願い、再び災害のないような長期計画のもとに、現在起きておるところの災害復旧に対しては一日も早くし、長期の展望を立てて、そして皆さん方が本当に安住の地として営々としてお住まいいただくような方向に持っていきたいと思っておりますので、ただいまの御質問に対して十分意を体していきたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
  95. 神田厚

    神田委員 終わります。
  96. 川崎寛治

    川崎委員長 津川武一君。
  97. 津川武一

    津川委員 私たちは、この間、川崎委員長を団長として現地を見せていただきまして、亡くなられた方の葬儀にも参加させていただきました。この席をおかりしまして、亡くなった方、行方不明の方、被害を受けた北海道現地の方たちにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  そこで、第一の質問は、もう一人まだ行方不明になっておる小菅雅敬さん、七歳の子供さんですが、この捜索はどうなっているでしょうか。私は、大事な人命のことなので引き続き全力を挙げて捜索を続けなければならないと思います。そこで、現状とこれからの方針を聞かしていただきます。
  98. 四柳修

    四柳説明員 手元でわかっている範囲内でお許しいただきたいと思いますけれども、御案内のように小菅さんのお宅は町の福祉施設で、全日空の左側の沢の直撃を受けて、奥さんとお嬢さんは泥流の中でたまたま通りがかりの人に見つかったり、あるいはバスにつかまったりして助かった。行方不明になっている雅敬君は、ちょうど同じ場所に寝ていたものですから、同じ方向に流されたのだろうという前提で、事故発生後一週間ばかりの間はほとんど自衛隊の方々、消防の方々が中心になりまして、町の中に堆積した土砂をどけながら捜しましたけれども、残念ながら見つかりませんでした。ところが、お嬢さんがたまたま湖畔の道の土木現業所の前で助かったという話がございましたものですから、ひょっとするとその近所の堆積土砂の中に紛れ込んだのではないだろうか、こういう話になりまして、珍古島に積んであった土砂をもう一遍ひっくり返して捜してみたけれども見つからなかった。それでは陸上部にはないんだろうかということで、湖面につきまして潜水夫も入りましたし、あるいは漁港のまんがを借りてきて引いてみたけれども見つからなくて、地元の方々あるいは御親族の方々から、二七日にもなるからそろそろ見切りをつけて葬儀をしたいからというお話で、私どもお供して参りましたときにちょうど町民葬が行われたという形でございます。  そこで、その後につきましては直接聞いておりませんけれども、そういう状況で、町の方の関係の方面には特に御出動をお願いして、湖面、湖底等を捜すというような作業は続けているということは伺っておりません。このままということになりますと、大変恐縮でございますけれども、三カ月後になりますとやはり死亡者並みの扱いという形になりますが、この寒い冬を越した後どういう形で地元で御対応になるか、私どもの方も非常に気になる点でございますが、ちょうど先生もお聞きのように、同級生の方々が声を出してもらいたいと言われたくらいに皆さんその遺体をお待ちになっていると思います。そういう気持ちは地元の方々も同じだろうと思います。そういうお気持ちが、またこれからの捜索の活動に際しまして、道あるいは国等に御要望があった場合には、やはりそれなりの御支援かたがた、何らかそういったお気持ちに報いられるように努力しなければならないと考えております。
  99. 津川武一

    津川委員 そこで丹羽次官、現地から要請があればそれにこたえて捜索に当たるという答弁でありましたが、政府自身から現地を督励して、現地と一緒になって小菅さんの遺体をあげてあげるようにしていただきたい、すべきだと思うのですが、いかがでございます。
  100. 丹羽久章

    丹羽説明員 先生の御質問に対してただいま審議官から御答弁申し上げました。審議官も本当に慎重な態度で、心から御冥福を祈りながらの答弁をいたした伊と思っております。それにとられた処置、これは満足ではございませんので、先生がおっしゃるように、国からも何とかして督励をしまして、遺体がわかるように全力を挙げていただくようお願いをいたす考え方でおりますので、御理解いただきたいと思います。
  101. 津川武一

    津川委員 現地調査してみまして、私たちにも責任があるかと思います。昨年調査したとき、第二次災害をあれほど心配したのに泥流で第二次の災害を起こしてしまったわけですが、現地に行ってみましたら、いま何としても当面一番片づけなければならないのは泥流の処置だと思います。この泥流で三人の方が被害を受けられているわけであります。  現地虻田町の教育委員会が「火の山うす」「火の山有珠」、こういう二冊の本を発行して学習資料として出しております。低学年用のこの中には、泥流に対して虻田小学校一年生なかぞえまさよさんという人の文章が載っております。読んでみます。   ようちえんに、いもうとをむかえにいこうとしたらでいりゅうを見つけました。いえの中にいてもゴーゴーと音がなっています。おにいちゃんはブロックをやめて、そとを見にいきました。そしたら、林さんといういえのほうから、ゴーゴーという音といっしょに、どろ水や火山れきがながれてきたのです。   おかあさんは、すぐながぐつをはいて、そとに出ていきました。そして、ひできくんのおかあさんといっしょに、スコップで、いえのほうによせないようにうらのほうへながしよせていました。でも、あまりどんどんながれてくるので、とうとうまけてしまいました。でもおかあさんは、おしよせてくるでいりゅうを、うらへながしよせていました。そして、やりながら、   「かいしゃへでんわをかけなさい。」といって、まだやっていました。   そのうちに、おとうさんが、いもうとをつれて、車にのってかえってきました。じえいたいの車がきました。おまわりさんもきました。じえいたいの人が、どのうをもってきて、いえのまえにつみました。   わたしはまごまごしていました。そして、まごまごしているばあいじゃないとおもって、べんきょうどうぐ、白ノート、さく文ノート、はさみなど、学校でつかうものを、かばんにおしこみました。  文章の中にあるブロックというのは子供の遊びのことだそうです。  これが子供さんを嘆かせている、子供さんを襲っている泥流です。きょうの委員長報告にもありましたし北海道庁の陳情にもありましたが、住みつくところにしなければならない。ところが一家はこのとおりで、泥流が来ればこれに対応している。おとうさんに会社を休ませる、電話をかけなければならぬ、子供さんは自分の学用品を心配しなければならぬ。ここには不安だけ残っている。集中豪雨が来たときには、台風一過で後は晴れて、その後片づけをすればいいのですが、いま北海道では泥流がずっと続くので台風に毎日見舞われている、集中豪雨が毎日来ているのと同じような状況なんです。したがって、この泥流の後片づけをしていく点というものはかなり大事な仕事で、私はきわめて短期間に片づけなければならないと思っているわけです。五十三年度での泥流の処理の執行状況はどうなっているか、五十四年度予算において大勢において政府はどうこたえようとしているのか、お答え願いたいのです。それでは五十三年度の予算を全部使って、今度は補正というのは間に合わないかもわからぬ、五十四年度でこの事業を徹底的にやるという方針を、担当の部局の人がいなければ四柳さんなり次官なりから答えていただければと思います。
  102. 四柳修

    四柳説明員 先ほど建設省、農林水産省あるいは林野庁等から、それぞれ沢ごとに五十三年度の計画と五十四年度以降の事業の予定について他の委員の御質問お答えしたとおりでございますが、とりわけその中で雪解け準備のための排水路の問題等、そういったことを御答弁申し上げたと思います。また、その御答弁の中にお触れになった点もあるかもしれませんが、場合によりましては関係省庁のとめ置き予算なりあるいは予備費等、十分活用してできる限りの対応をしたいと各省庁とも準備していることと承っております。
  103. 津川武一

    津川委員 五十四年度の要求予算では、私はこの間行ってみた状況では間に合わないと思いますので、必要な分をやはり使うべきだということを重ねて申し上げて質問を進めていきます。  現地に行きましたら、現地県庁初め関係市町村が非常に一生懸命おやりになっています。私も胸を打たれました。だが、この泥流がいつまで続くのか、全体としてどうなるのか、どこに行ってどういう形でおさまるのか、それがわからないで現地の人たちが対策に困っているわけです。緊急のものはやっているが、いつまで続いていくかわからない。どこまで続く泥沼なのか、どうするのか、最終的に泥流をとどめてしまうのか、流してしまうのか、そこらの一つ一つの計画がわからなければならないわけです。したがって、明治の噴火のときの泥流の処置の問題をどうしたか、昭和新山の泥流をどうしたか、今度はどのくらいの泥流が続いてどういうふうになるのか。恒久的な対策でなければ、ここのところで問題が出てこないわけであります。こういう点では、先ほど噴火がどうなるかの話が出ていましたし、さらには地殻変動がどうなるかの話も出ていましたが、ここいらでやはり根本的な対策を立てなければ、市町村長が臨時のものに振り回されてしまっている。この間現地へ行ってみたら委員長もそうだと言うし、皆さんもそうだということになっているわけでありますが、この見通しがどうなのかという点、もう少し具体的に伺いたい。  いままで教えていただいたのは、現状がどうなっているかということで終わっていて、これからどうなるのか、どうすればいいのかということが出ていない。  この「火の山有珠」、これの方も教育委員会で出した火山学習資料なんです。漢字で書いてある「火の山有珠」ですが、こう書いてあります。   今もなお、地下の活動はおとろえず、地震は  続き水蒸気をふき上げている。また、一月六日  発表の震源の移動のことなど、これらを考え合  わせると、有珠とその周辺は、これからも大き  く変わっていくものと想像される。   予知連が指てきしたように有珠山活動は長  期化のようすを深めている。   また、予知連は今後の活動を完全に予測する  ことはできないが、再噴火か、潜在円頂丘のま  ま終わるか、溶岩円頂丘を形成するか、この三  つを代表的なものとしてあげている。  これが教育委員会が子供に出している本なんです。やはりこれにこたえなければならない。火山がどうなるのかという点、いまどうなっていますと言うけれども、先に、ここいらはめんどうなことだと思うけれども、めんどうなことをあえて私は指摘しながら見解を伺うわけであります。この教科書で言っているような意味のものが一つ。  それからもう一つには、地殻変動、山の変動を観測されている。これはよろしい。だが、現実地殻変動で壊れるのは住宅なんです。したがって、どの地域地殻変動がどうなっているのか、これを全部リストアップして対策を組んで、将来来るとすればどうなるのかという見通しをつけてあげないと、現地の市町村長はどこに住宅をつくっていいのか、どこに水源をつくっていいのかわからないわけなんです。現状がこうだからでは済まされないことなんです。めんどうなことであろうが、やはり勇気を起こしてここのところは言っていかなければならない、このように考えるわけであります。この点まず答えていただいてから、その次にこの対策に入っていきます。
  104. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  現在の有珠の火山活動がどういう推移を示して終わるかということは、現在の学術、技術水準で的確な予想をするということはまだ大変むずかしゅうございます。しかし、現状といたしましては、地震活動地殻変動それから表面活動、三者とも鎮静化の方向に向かっておりますので、私どもといたしましては、まだ若干の時間はかかるけれども、このまま鎮静化あるいは活動の終息に向かうというふうに考えているわけでございます。  先生御指摘地殻変動でございますが、一番顕著なのは、何と申しましても火口原の中の新しい山、オガリ山の隆起でございまして、かつては一日に一メーターも山が隆起したのでございますが、現在は五センチ程度まで低下しております。それから外輪山の外におきます地殻変動、これは大変地域住民の方に影響が大きいわけでございまして、現在まだ続いておりますのは、大変場所が限られてまいりまして、外輪山の北側が洞爺湖の方へ押し出すという部分だけでございまして、これも一日当たり五センチ程度まで低下しております。なお、東に当たります昭和新山の方面での地殻変動、これは現在もう停止しているわけでございます。
  105. 津川武一

    津川委員 泥流が最終的にどうなるのか、どう処置するのか。
  106. 四柳修

    四柳説明員 泥流が最終的にどうなるのかというお尋ねでございますけれども、先般先生御視察いただきましたときも横山先生のお話にありましたように、一応山がまだ動いているものですから、動いている限りはやはり落ちつかないので崩れる。最終的には、やはり山にたまっているものが、山にとまっているものと山から出ていってしまうものとに仕分けをしなければいけない。山にとめるためには床どめ工なりダムなりをやりまして勾配を緩くして、その上に植生を促進して緑を戻さない限りは、やはり山にはとまらない。そういう方向で治山工事もやっております。あるいはその過程で山にとどまっていないものは、勾配の過程の中でエネルギーを減殺しながらやはりある程度湖畔まで落とさざるを得ない。そういう形で原理的には泥流は落ちつくのだろうと思います。  そこで、お尋ねの中で過去の噴火の場合にどうであったかというお尋ねがございましたが、御案内のように北海道の防災会議が北大の先生方に委託調査をなさいまして、有珠山についての調査レポートをおまとめになっております。その中で、明治四十三年の四十三山の噴火のときの記録につきましては、四十幾つかの噴火口がございましたが、その中でたしか五つか六つの噴火口跡周辺泥流が起きて、一人か二人かど忘れいたしましたが、人がお亡くなりになっているという記録がございます。  昭和新山の場合には、場所が限定的であったということもございますし、あるいは戦争中であったということもございまして、必ずしも記録は明らかでございませんが、ただ山ろくの滝地区でございましたか、滝地区の模範林が落ちつくまでには、相当期間がかかってようやく落ちついた状況でございます。それらこれらの点を考えますと、やはり今後緑が戻って落ちつくまでには相当の年数がかかるのではないだろうか。そういう意味で長期間の対策が必要ではないだろうかと考えております。
  107. 津川武一

    津川委員 気象庁、泥流一つとってみてもこの状況なんであります。どの泥流をどの谷をとめておいてどの谷を流すかなんということは、これは専門的な研究が必要なんだな。そこいらをやはりやらなければ関係市町村も住民も安心できない。そこでこれをやるのに大丈夫かという問題なんだ。  気象庁の職制を見てみたら、長官、次長、総務部、予報部、観測部。観測部の中に参事官、管理課、測候課、統計課、測器課、高層課、地震課、産業気象課。火山課はないんだ。地震課でやっているわけだ。これほどのときにこの火山を、地震課の付属にはしていないと思うけれども、せめて地震火山課という名前ならまだ話はわかる。そういう点で、これでいいかという問題なんです。  聞くところによると皆さん地震火山部というものを大蔵省に要求しているとも聞いている。そうすると要求している内容、予算、どのくらい要求しているのか、これも明らかにしていただいて、そうでないと何ぼ言っても問題がこんなかっこうで残って、永久に問題が解決されないのです。この点はどうなっているのか。  もう一つは、第二次噴火予知計画、火山観測研究の拡充強化、活動的火山をやるときに有珠というものをどう位置づけているのかという、こういう点での位置づけが明確にされていればよろしいし、この点で、これは測地学審議会が答申したもので、五十四年−五十八年度の答申の内容の中にこう言っているのです。「気象庁……火山専用の体積歪計、火山活動監視のための隔測手法、地球電磁気的手法による監視システム」こういうものはどうなっているか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  その次には、火山噴火予知体制の強化で、火山噴火予知の観測研究のための人員及び組織をふやさなければならぬ、人員が出ないことにはどうにもならないという答申を審議会はしている。参事官は大丈夫だと言っているけれども、ここいらあたりがどうなっているのか。時間も大分過ぎたので明快に答えていただきたいと思います。  このことと関連して、「泥流」でいいのか、この作文にも石が流れてきたと言っている。われわれが現地に行ってみても、こんな石が流れてきている。泥の流れ、これが世間に与えている印象がどうなのか、政府内で「泥流」と言っているときの考え方がどうなのか。これは「泥土石流」、こうなってくると対策も違ってくるのじゃないか。やはり私は名前から甘いと思うのです。ここいらの見方が、「泥流」と言うからあの大きな石が入ってきていることなんかが世間でもわからないかもしれない。現地でこれだけ苦しんでいる。この名称、体制、これについて答えていただきたい。
  108. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  最初に泥流の件でございますが、これはどういうときに泥流発生するかということはまだ大変未知の部分がございまして、早急に研究を進めなければならない問題であると思います。たとえば昨年の雪解け時には非常に心配したのでございますが、泥流発生しなかったわけでございます。  それから、現実にこの中に大きな石がまじっているというのはまさに御指摘のとおりでございまして、これは「土石泥流」とでも呼ぶのが正しい呼び方で、決してお汁粉のようなものだけではないわけでございます。  次に、気象庁の地震火山業務に取り組む姿勢でございますが、御指摘の火山につきましては、まだ課まではいっておりませんけれども、火山室というのは設けまして、現在地震課の中にございます。さらに、これで満足しているわけではございませんで、組織の面でも、五十四年度に要求を出させていただいているわけでございまして、御指摘の第二次の測地学審議会の建議の線もできるだけ満額達成すべく、予算措置、人員措置等も講じていきたいと思っております。
  109. 四柳修

    四柳説明員 ただいま気象庁の方から「土石泥流」という合成語のようなお話がございましたが、私どもも現地を見まして、むしろどろをまじえた土石流でございまして、本来は「土石流」でいいのではないだろうかという感じを持っております。そういう意味で、関係省庁、どういう使い方でこれからどういたしますか、いろいろ検討いたしてまいりたいと思いますが、たまたまこの用語の使い方は、実は報道関係の方から先に使われた点等がございまして、そういう意味では関係者の方々にはおわかりがいい点があるかもしれませんが、逆に誤解も多いという点があります点、私どもも注意してまいりたいと思います。
  110. 津川武一

    津川委員 そこで次官にお尋ねしますけれども、気象庁関係の五十四年度要求予算、表をいただいたのです。地震予知計画だとか、いろんなものをいただいた中で「地震火山部の新設。地震予知体制、火山現象監視体制等の整備強化を図るため、地震火山部を新設する。」とありますが、ここに予算が何もかかっていないのです。どれくらい人員をふやすかもかかっていない。したがって五十四年度これだと危ないのですよ。したがって政務次官に直接担当していただいて、いま聞きますと地震課の中に火山室があって、まだ課もできていない、われわれそれをもう少し聞いてみたところ、この地震火山部の中に地震課と火山課、二つの課を置いて、地震予知情報課と、三つの課にするとまで話は聞いているけれども、ここいらをぜひ実現していただかなければならなくなったので、丹羽さんにどうしてもこれをおねだりしてみなければならなくなりました。
  111. 丹羽久章

    丹羽説明員 ただいま大変な力強い御指摘をいただきまして、私どもも、室でなくて課にもし、もっと予算ももらい、いろいろと整備をしなければならぬと思っております。これだけでなくて、もう一つ局も持ちたいと思っております。行政管理庁の方は努めて局をなくするような行政整理をしていけというようなことを言っておるわけでありますが、必要なものはつくってもらわなければいけませんので、ただいま大蔵の方も乏しい予算だということで何か厳しいことを言っているようでございまするが、長官にも申し上げてありますので、先生たちの御趣旨に沿い、そして私どもも内部としてそのような整備をしていく必要があろうと思っております。私の担当になるのかだれの担当になるのかちょっとわかりませんけれども、政務次官としては努めてこの問題に取り組んで、そして予算折衝をしながら五十四年度に何とか皆さん方に満足していただけるような内部の整備をいたしていきたい。そして手薄な面には十分手薄でないような方途を講じていきたいと思いますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  112. 津川武一

    津川委員 次は、豪雪に対して若干お伺いしたいと思います。  ことしは台風を免れたので豪雪が来なければいいがなという話が委員長初め理事会でよく問題になるわけですが、豪雪を中心にした気象観測の状況はどうでございましょうか。これは連絡してないので答えられたらひとつ。豪雪予報、雪の三カ月なり六カ月の長期予報が何かわかっていたらひとつお知らせいただきたい。これは連絡していないので無理かもわかりませんが……。
  113. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  若干受け売りでございますので御満足いただけるかどうか自信がないわけでございますが、現在の見通しでは北海道がそう豪雪に見舞われるという長期予報は立てておりません。  それから、私ども最近積雪深計という雪の積雪状態をテレメーターではかる測器を開発いたしまして、これを豪雪地帯に次第にふやしてまいっておりますので、もし現実に雪が多くなるというようなことがあれば即時そういう状況は把握できると思っております。
  114. 津川武一

    津川委員 かつて秋田県で豪雪で交通が途絶して、人工透析で秋田に通わなければならぬ人が亡くなったことがあるのです。豪雪時において一番大事なことは道路の確保、その次は人命を救うということになるわけでございますが、豪雪時の除雪に対して、学校には除雪費の補助があるし、社会福祉施設にもあるわけです。豪雪の場合、苦労して患者さんを診ていく医療機関の除雪費、これがぜひ必要になるかと思うわけであります。この点は後にまた委員会委員長にもお願いして対策をみんなと講じてみたいと思っているわけです。  第二の問題は、豪雪は、同時に寒冷地帯でも出てくるのです。そこで診療するときの暖房、これがまたかさんでばかにならない。これがまた現地の僻地における医療機関を苦しめて、実際上は患者からもらっています。こんなことでは相済まないので、豪雪地帯における豪雪時の官公私立全部をひっくるめた医療機関の暖房費というものを当然ここで援助していただかなければならないと思うわけです。北海道では暖房費が出ているわけで、本土にも北海道に負けない豪雪と寒冷地帯がありますので、この二点を厚生省おいでになったら聞かせていただきたいと思います。
  115. 森幸男

    ○森説明員 厚生省医務局総務課長でございます。  いま御指摘の点でございますが、まず最初の、豪雪地帯の医療機関で先生おっしゃいますように除雪費あるいは暖房費そういう特別の費用が種々かかるということはおっしゃるとおりだろうと思います。ただ、それらの費用をそういうことを理由に国で助成するということにつきましては、率直なところ現在困難ではないだろうかと考えております。先ほど先生の御指摘にもございましたけれども、たとえば私どもがやっております僻地診療所に対する運営費の補助というようなものがございます。そういう運営費について国が助成を行っております場合には、そういう運営費の積算の基礎に先生おっしゃいますような除雪費であるとか暖房費を含めて助成の対象にしておるということは事実でございますが、そのほかの一般の医療機関につきましてはそれを国の一般の助成ということで取り上げていくことは現在のところ困難ではないだろうかというふうに考えております。  それからもう一つ先生のお話にございましたが、北海道では冬期間療養担当手当という名目でそういう暖房費用が認められております。御指摘のとおりでございます。一般の医療機関の場合にはその費用というのは原則といたしましては社会保険診療報酬で賄われるということになっておるわけでございます。これは先生御承知のとおりでございます。そういう先生御指摘のような暖房料あるいは除雪費というようなものがすべて含められた医療機関の管理あるいは運営に関する費用というものが診療報酬の中でどういうふうに取り扱いがなされるかということでそれが決まってくるのだろうと思います。そういうものの一環といたしまして先ほどの北海道の場合の療養担当手当というものが出てきているのだろうと思います。これを今後どんなふうに扱っていくのか、これは社会保険診療報酬の体系の問題として今後検討していくべきことであろうというふうに考えております。
  116. 津川武一

    津川委員 少し時間が早いようですが、そういう豪雪地帯における医療機関の除雪費、暖房費を委員長方に検討していただくようお願いして、終わります。
  117. 川崎寛治

    川崎委員長 広沢直樹君。
  118. 広沢直樹

    広沢委員 冒頭の委員長報告にありましたように、このたびの泥流二次災害に当たりまして、私も当委員会派遣の一員として現地に参りました。昨年の八月七日有珠山の大噴火以来大変な被害を受けたわけですが、人命に対する被害はなかった。今回の泥流災害で残念なことにとうとい犠牲を出すに至ったということは、私どもも身につまされて、その対策のいかんを考えていかなければならないということを痛切に感じた一人でございます。  現地に参りまして数々の問題があることがわかりましたが、午前中から同僚委員が詳細にわたりまして具体的対策について質問なさっておりますので、私は、当面する問題も含めまして、基本的な問題から二、三お伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、活動火山対策特別措置法に基づく緊急整備地域の指定についてでございますが、これも同僚委員から質問がございました。各方面で火山爆発以来関係者あるいは当局におきましては大変な努力をなさっておられるわけでございますが、いまだに活火山法の地域指定がなされていない理由は何であるのか。すでに四十八年にこの法律ができまして、熊本の阿蘇、そして鹿児島の桜島、ここに指定がされておりますが、現実有珠山も大変な被害をもたらしております。この法律によりますと、すでに御承知のように、噴火による被害またはそのおそれのある場合においてはこの指定をなして、事前に万全な対策を講ずるというのがこの法律の趣旨でございます。しかし、一年間たっておりますが、いまだにその指定がおくれている理由を明確にしていただきたいと思うのであります。
  119. 四柳修

    四柳説明員 御案内のように、活動火山法の避難施設等の緊急整備計画地域指定の問題は、内閣総理大臣が関係都道府県知事の意見を聞いて、特にその場合、知事は市町村長の意見を聞いて指定する仕組みになっております。  そこで、現在指定されておりますのは、阿蘇山と桜島で、それも実は関係市町村の字まで入って指定をしております。具体的にこの有珠山の問題につきましては、御承知のように北海道の場合は非常に町村の面積が広うございます。それからもう一つは、現実にこのお話が出ておりますのは、有珠山噴火問題についての関係五市町村の協議会という形での御要望でございますが、このための避難施設の問題ですとか、防災営農計画対象ですとか、そういう形になりますと、果たしてその五市町村でいいのかどうか、その場合にどういった計画を関係市町村でどこまでの範囲でつくるのかということがどうしても問題になります。  そういうことで、湖畔の南岸の虻田の温泉地区、あるいは泉、入江地区、さらには壮瞥昭和新山地区、あるいは伊達の長流川周辺地区等につきましては、地域として見ては一つの観念が浮かんでまいりますが、それぞれの地区につきましてそれではどういった事業をだれがやるのかということにつきましても、現在、道でいろいろ関係町村に聞いて詰めている状況でございまして、それらの地域と事業が遺憾ながらいままで詰まっていなかったということが一つございます。  もう一つは、そういったものの考え方の中に、この関係地域を広げるべきなのか、狭く限定すべきなのかという点で、観光地の特殊性としてなるべく狭くしたいというお気持ちが片一方にありながら、やはり火山活動が続く限りは関係地域ももっと広くなければならないんじゃないだろうかという相反するお気持ちもある。それやこれやがまだ地元としても調整がつかないものですから、私ども、事務的に指定するタイミングが、先ほど別の委員の御質問にもございましたように、単なる地域の指定ばかりではなくて、その指定の結果、この法律の対象としております特別の事業というものが、やはりある程度予算で対応いたしませんとなかなか具体的なメリットが上がってまいらないと思います。そこいらの点につきましても、関係省庁の予算要求のタイミング等もございますものですから、そういった点で若干おくれぎみになった点を非常に申しわけないと思っております。
  120. 広沢直樹

    広沢委員 せっかくそのための対策として法律をつくっておきながら、それが実際に発動が非常におくれるということは、いろいろ事情はありましょうが、法律の第一条にも書いてありますように、その趣旨にのっとっていけば対策上から考えても当然早く適用すべきではないか。それがいろいろな事情でおくれるということになれば、そもそも法律そのものを見直さなければいけないことになるのか、そこにも問題が出てくることでございます。そういう点をひとつ十分わきまえていただきたいと思うわけでございます。  先ほども話が出ておりましたけれども、気象庁の報告によれば、だんだん鎮静化の方向に向かっているということでございます。これは災害ですからいつ起きるかわかりませんけれども、少なくとも、起きた時点ではそういう法律の運用というものは適切にやるべきであろう、このように思うわけでございます。現地に参りましたときの陳情書の中にもすでに入っております。早期に指定をしてほしい、その中に「現在、北海道知事の指導によって整備計画案を策定し提出しておりますので、」こういうことになっておりますから、その点がどうなっているのかよくわかりませんが、それならば当然国土庁、政府においてそれを検討してもしかるべきではないのか、いつごろになるのか、そういった点をもう一度お伺いしたいと思います。  それから、いまいたずらに範囲を広げるということは必要ないと思います。それは実情に即した法の適用をしなければならない、これはそのとおりでございますが、いまの御説明の中にありましたように、観光上いろいろな事情があっておくれているということもございました。しかし、すでにいま有珠山の問題については全国津々浦々大変な状況にあるということは皆知らない人はないわけであります。むしろ、そういう法の適用を適切にやって、事前にあるいは事後におきましても十分な対策を講じてこそ、逆にまた対策を十分やっているから安全だということが言えるのじゃないでしょうか。そういう意味からも、いつごろになるのか、ひとつ再度御答弁願いたいと思います。
  121. 四柳修

    四柳説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、正式な文書といいますか、計画という形でこの法律で考えております避難施設の諸事業で、どの事業をどこの関係地域でやりたいというものは正式に承っておりません。個々のお話として、たとえば昭和新山側からの道路を延ばしてもらいたいとか長流川越えの道路をつくってもらいたいとか、そういう個別のお話は伺っておりますが、それでは、それがどこの地域に幾らのお金ということも実は詰まっておらない状況でございます。  そういう状況でございますものですから、この法律で考えております各対象の避難施設につきまして、どこにどの程度のものをということにつきまして、私どもの方ももう少し道庁なり関係市町村と詰めました上で、そういったものが出てまいりますればやはり早急に指定をしなければならないと考えておりますが、それらの経緯を考えますと、そういった個々の内容の詰めを含めまして、できる限り来春までにそういったものを関係方面と詰めた上で一つのめどをつけなければならないと考えております。
  122. 広沢直樹

    広沢委員 いまの陳情書と申し上げたのは伊達市から出ている陳情であります。したがって、この中にいま申し上げたとおり明確に策定して提出しているということでございますが、それじゃ、伊達市がそれを提出した場合は、部分的に適用するのか、全体がまとまらなければ適用できないのか、簡単にその点だけ……。
  123. 四柳修

    四柳説明員 やはり関係地域を一応まとめまして指定して、その中での計画事業を一括決める形になろうかと思います。
  124. 広沢直樹

    広沢委員 この問題で最後要望しておきたいのですけれども、法律にありますように、こういう活火山の地域というのは、事前によく関係県あるいは町村と打ち合わせをして、速やかな適用ができるように今後は考えていただきたい、このように要望しておきます。  次に、有珠山周辺は、降灰の堆積状況から見まして、全体が泥流の危険地域でございます。先ほどからもいろいろお話がありましたが、とうとい犠牲を出すまでに至った、こういう事態を招いた原因は一体どこにあるのか。いままで関係者、当局におきましてもあらゆる努力はなさっておることはよく存じております。それで、道が主体になりまして、この泥流の危険は火山周辺地域の常識でございますので、有珠山噴火再度災害防止対策プロジェクトチーム、こういうチームが噴火の一週間後ですか、昨年の八月十六日に設置されまして、学者、関係者を含めて調査活動をしたという報告がございました。しかし、この調査活動は五十二年に十回程度、最終的には昨年の九月二十九日で調査活動を終わっております。そして五十三年度は、すでに泥流災害が起こった十月の十六日に調査をし、そして実際に犠牲者を出した十月の二十六日に会議を開いているという状況であります。再度災害対策でありますから、すでにもう泥流等の問題が最大の課題になったことは否めませんし、緊急対策としてその中に降灰堆積状況調査あるいは降雨による危険地域調査危険区域における応急処置、避難体制調査、こういうことになっております。その具体的に提案されている状況、それからそれにどう対応したかということについて概略御説明をいただきたい。
  125. 四柳修

    四柳説明員 ただいまお尋ねの点は、北海道庁が道庁の対応組織としまして、道庁の関係部課のほかに、国の各機関あるいは北大の諸先生方等を入れておつくりになりましたプロジェクトチームの対応の結果と存じますけれども、いままでの対応の過程の中では、国としての対応ということはその構成メンバーになりました国の関係機関なりあるいは北大の諸先生方がそれぞれのお立場から御協力を申し上げてきたという形だと思います。ただいま後段でお話がございましたように、再度災害の問題についてどうかということでございますけれども、私どもいまの段階で道庁からこの問題についての協力要請という過程の中では、実は昨年も山の状況調査等につきまして科学技術庁の研究促進調整費を関係省庁等に移しがえをいたしまして調査をいたしましたが、本年度はとりあえず北海道開発庁の予算によりまして北海道庁に委託され、さらにこの問題についての調査をするので、実はこの道庁の構成メンバー以外に、国の試験研究機関のメンバーからもある程度協力してもらえないだろうか、こういう話が非公式にございます。具体的に、それではどういう専門家の方々がよろしいのか、道庁のこのプロジェクトチームの御会合なり目的、あるいはタイミング等によってどういうふうに対応できるか、そういったことをいま寄り寄り御相談しているところでございまして、そういった御要望がございますれば、関係省庁の試験研究機関等にもお願いいたしまして、そういう面でのこの問題についての対応は考えてまいりたいと思います。
  126. 広沢直樹

    広沢委員 いずれにしましても、このチームができたことは、いわゆるあの大噴火後直ちにつくられているわけでありますから、二次災害をいかにして防ぐか、いま内容を申し上げましたように降灰の堆積における問題を調査しておりますので、泥流等の問題についてもいろいろと検討されていると思うわけであります。しかし、せっかくこういう組織がつくられ、推進をされておりながら今回こういう事故につながったわけでございますね。しかし、その対策を講ずるならば、やはりそれは十二分にいま研究をする、これから相談をして考えてみるというのではなくて、これはもっと充実して真剣に取り組んでいかなければならない。そこで、先ほど同僚委員からもお話がありましたように、この対策対策本部を設けて一本化すべきではないか、そういった点もこれからまた、政務次官の御答弁にもありましたように道なり関係者と相談をしてという話でありますが、こういった点にもおくれがはっきり出ていることは明確であります。そういう面についてはもう少し積極的に取り組んでいかなければ、ただ議論だけして実行が伴わなければ、これはまた、二度とこういう災害は繰り返しませんと幾ら誓い合ってみたところで対応できないと思われますので、その点は十二分に早急な対応をお願いしたいと思う次第であります。  それから、泥流災害対策は、大ざっぱに考えてみまして、短期的、長期的に分けましても、短期的には、泥流処理をどうするか、あるいは堆積したいわゆる降灰の問題をどう処理するか、そういう問題があろうかと思います。そのために、陳情の中にもありますように、砂防堰堤の拡充をしてもらいたい、それだけでは十分ではございませんので、流路工を早く拡充し、つくってほしいという要望がございます。それともう一つは、避難体制の確立の問題があろうと思うのです。したがって、対策がぐんぐん進んでいけば、その避難体制に対する対策もある程度緩和されるであろう。逆に、この対策がおくれているということになれば、避難体制は緩和されるどころか、これはもう何か事が起これば直ちに避難しなければならないという問題に結びつく問題であろうと思うのです。長期的には、陳情の中にもございますように、町づくりを再検討していかなければならぬ、こういう問題がございましょう。  そこでお伺いしたいのですが、私も現地に参りまして、とりあえず流路工をつくろうということで対策が行われております。しかし、もしもいま雨が降り、いままた堆積された分が、土石泥流と先ほど申しておりましたが、そういう形で流れてきた場合に対応できるだろうかという心配がございます。発生状況及びその堆灰量といいますか、それから見て、流路工を現在考えているより以上にもっと考えていかなければならないのじゃないか。そしてまた、これは全体に堆積しているわけでありますから、いま考えているように、道路を使ってそれで流路工のかわりにしていこう、これは緊急処置としてはやむを得ないと思いますけれども、それでは対応できないのじゃないだろうか。すなわち、その道路、またこれは避難路にも影響しているわけであります。そして先ほどの措置法の法律にあります。事前に避難路をつくっておこうということも全然おくれているわけでありますから、その点から考えていきますと、その関係はどうなっているのだろうか。そこで、その堆灰量と、それからこれから流れ出してくるであろうという関係と、それから砂防堰堤を拡充してやっていこうという、この関係がどういうふうになっているのか、この点の御説明をいただきたいと思うのです。
  127. 瀬戸充

    ○瀬戸説明員 直接所管ではございませんので、多少御寛容にお願いいたしたいと思います。  いろいろな形で調査が進められておりますが、まだ十分な把握が行き届いておりません。しかし、関係諸官庁におきましては、対象流出土砂量とか貯砂量というようなものを想定いたしまして、それを各研究的なものと結びつけまして、これを確定いたしまして、対象土砂量を決めまして、それに従いましていろいろの貯砂堰堤あるいは流路工、落差工というようなものを考えまして、対策を講じているわけでございます。  流路工につきましては、何といたしましても、直接の土砂を吐くわけでございますけれども、これを非常に大きなものにいたしましても、つぶれ地の問題等もございまして、やはり適当な規模といいますか、そういうものを対象にしていろいろ事業を実施していかなければいけないわけでございまして、特に建設省関係におきましては、砂防激特といいますか、そういうものでとにかく対処して、いろいろ見守りながら動いておりますので、やってまいりたい、こういうようなことでございます。
  128. 広沢直樹

    広沢委員 直接所管でなければ、具体的なことは聞いてもわからないと思いますので、時間もございませんから、後ほど具体的にまたお伺いしたいと思います。  そこでもう一点、陳情の中にもあります町づくりの再検討の問題でございますが、これまでは、全般的なあらゆる災害におきましても、防災対策というのは非常におくれている。やはり経済の発展だとかあるいは営利事業だとかそういった面が重視されて防災対策がおくれているところに、いろいろな問題が生じてきております。特に、今回被害を受けました通称全日空の沢あるいは木の実の沢、ここには公営住宅があるわけでございますね。そういったところに公営住宅を建てるというところが一つやはり問題じゃないかと思うわけでございますが、そういった面についての再検討はどういうふうな考え方に立っておられるのか、この点についてもひとつ御意見を承っておきたいと思います。  すでにそういった地域には、砂防堰堤をこしらえたりいろいろ対策は講じておりますが、案外住民というのは、そういう対策が講ぜられればまず安心じゃないかという考え方も生まれてこようかと思うのですね。それがやはり避難体制だとかあらゆる体制をとる上においての一つの問題点にもなってこようかと思う。したがって、この町づくりについては、先ほども御指摘がありましたように、全体をよく調査をして、そういう地帯における町づくりというものにどう取り組んでいくのかということは、やはり政府としても基本的な方針というものを明らかにしていかなければならないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 丹羽久章

    丹羽説明員 先生のただいまの、公団住宅なんかに対する土地の選定のあり方、それが間違っているとたまたまこういうような災害が起きたときに大きな被害をこうむるではないかというお説でございまするが、全くそのとおりだと思っております。  私は、政務次官にしていただきましてから、何かつきが悪くて、伊豆大島の地震、仙台の地震、妙高高原の地すべり、有珠山といったようなことで、もう本当に数々現地を視察さしていただきました。その中で、住宅問題におきましての土地の選定の仕方というのは、過去そういうことが十分検討せられなかった中に建てられたところもありますし、現在、そういうところに建てたがためにそういうようなことが起きたということもあるわけであります。今後は、こういう地質的研究というものに重点を置き、そうした被害をこうむらないような、沢だとかそういうものに対しては十分検討していく必要があろうということを、先日も各関係局の局長さん、課長さんにもお話を申し上げたようなわけでありますが、ただいまの質問を十分意に体しまして、今後検討いたしていきたいと思っております。
  130. 広沢直樹

    広沢委員 もう時間がございませんが、気象庁にお伺いをいたしたいと思います。  今回、二十四日ですか、事故が起こった日でございますが、その日も雨が降った。午前中にも一応注意報が出ておりまして、その後解除になりました。それからまた夜に、ちょうどこの泥流発生する十分前に注意報を出しております。それから十分後でありますから、あれだけ大きな泥流が流れてくれば、何の対応もしようがないじゃないか。避難とかの一切の権限については、町村長に実際の権限は持たされております。したがって、その気象通報あるいは現場の状況、そしてまたそれを判断する市町村長——市町村長は、これは御承知のように専門ではございませんから、いつどうやって避難体制を出したらいいかということの判断がなかなかつきかねる、そういったところに、今回も、後から考えてみれば、もう少し早くやっておけばよかったという残念が残るわけであります。したがって、気象庁としてはもう少し的確に危険な状況を市町村長が判断できる範囲にまで、やはり密接な連携をとってこれをやるべきじゃないだろうか。この点についてどう考えるか。  それから違う件でございますが、過般の新聞に、これは小さく出ておりますが、有珠山周辺に高温地帯が広がっているという報道がある新聞に出ておりました。しかし、その分析を行ったのは、これは民間の三菱商事と財団法人リモートセンシング技術センター、ここが行って、いまの洞爺湖温泉街に高温地帯が接近しつつあるという情報が出されております。この点についてどういうふうにお考えになっているのか、正式な政府機関としてはこのことに何ら触れておりませんが、その点についての御見解を承りたい。  それから、時間がなくなりましたので、きょう質問を予定しておりました、別件になりますけれども、まとめて御答弁をいただいておきたいと思います。と申しますのは、いわゆるダムの堆砂の問題で建設省にそしてまた通産省においでいただいておりますので、この点、論講をしている時間がございませんので、これからお伺いいたしますことについてまとめてお答えをいただきたい。  それは、水害によりとうとい人命が失われていることは、毎年毎年そういったことが続いてまいりましたが、幸いなことに五十二年、五十三年は水害によるこういった犠牲はございませんでした。しかしながら、過般の新聞にすでに、それぞれのダムには目的がございますけれども、ダムの堆砂、このことが一つ問題になり、それはダムの機能低下だけではなくて、防災の面から考えた上でもより大変な問題として提起されております。その状況については具体的にもう出されておりますが、現状の状況報告がございますけれども、これから具体的にどう対応するかということが何らわかっておりません。したがって、通産省の関係は電力ダムの関係、建設省の所管は、自治体も含めてそれぞれ所管のダムがございますので、それに対する対応をどう考えていかれるのかお答えいただきたいし、またそれに対しては、いままですでに発表になっている実態調査から見ますと、何ら手を打たれていなかった、いわゆる堆砂率といいますか、ダムをつくったときに計画堆砂量というのがございます。それを超えてすでに——全貯水量に対する堆砂量の割合、いわゆるこれは専門的には全堆砂率と言っているようですけれども、計画堆砂量に対しての堆砂量は堆砂率という見方をしているようでありますが、私はやはり計画堆砂量を超えた時点でもう対応していかなければならぬというふうに思うわけであります。それをすでにもう倍以上にオーバーしているところがたくさんある。それに対していままで何ら対策が講じられてなかったのはどういうわけか、今後どういう対策を講じていくのか、そしてまたその対策には当然財源問題が影響してくると思いますので、大蔵省としてそれに対してはどういう考え方を持っているのか、時間の関係ではしょってまとめてお伺いしましたので、それぞれお答えいただきたいと思います。
  131. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私ども降雨と土石泥流には大変心配しているわけでございまして、普通の大雨注意報の基準に達しなくても特に有珠山周辺には気象情報として御注意を喚起するということをいままでやってきたわけでございまして、十六日の場合には大変前広にその情報を差し上げられたわけでございますが、御指摘のとおり二十四日の場合には確かに正式の大雨注意報は発災の直前であったということは深く反省しておるわけでございまして、今後ともその気象情報としてさらにきめの細かい情報を有珠山周辺には差し上げたいと思っているわけでございます。  それから高温部の広がりでございますが、先生御指摘になりましたデータは残念ながら私ども入手しておりませんけれども、約二カ月前の九月二十四日に北海道大学が飛行機を使いまして約二千メーターの高いところから赤外線の写真を撮ったわけでございます。これによりますと、高温部はすべて火口原の中に限られておりまして、山腹では地熱の高いところはそのときには認められておりません。それからまた地震活動も大部分が火口原の中に限定されておりますので、特に高熱部が山麓地帯に広がっていくというようなことはないのではないかと思っておりますが、なお先生御指摘の事実は早急に確認させていただきたいと思います。
  132. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  建設省所管の多目的ダムは、昭和五十二年度までで完成したダムは百八十四でございます。このうちで計画堆砂量を超えているのは八ダムでございまして、中部地方の天竜川の美和ダム等でございます。建設省ダムはまだ完成いたしましてから経過年数が古いのでも三十年程度でございますので、計画堆砂量を超えましてもダム機能そのものについては特に現在までそう問題にはなっていないわけでございますが、今後の問題を踏まえましてダムの堆積土砂の除去ということについてはこれまでかなり重点的にモデル的に検討をしてきておったわけでございます。特に天竜川の小渋ダムにおいては貯砂ダム設置を行って積極的に土砂の掘削、排出を行っているような現状でございます。本年度はまた堆砂の進んでいるダムに対しまして堆砂対策の有効な方策検討を行う、あわせて砂利資源への活用を図る、こういう調査を国土総合開発事業調査調整費で実施することとしておるわけでございます。こういう状態を踏まえまして、今後とも建設省所管ダムについては積極的に堆積土砂の排除を行うための方策について推進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  133. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  発電用のダムにつきましては、電気事業者に対しまして電気関係報告規則に基づきまして毎年その状況調査し、報告させております。堆砂によりまして発電機能が著しく低下しましたり、あるいは河床の上昇によりまして洪水被害のおそれのあるものにつきましては土砂のしゅんせつ等所要の対策を講ずるよう事業者を指導いたしているところでございます。今後ダムの堆砂の進行に伴いましてこの堆砂問題というのは非常に重要になってくると考えられます。建設省とも連携を保ちながら堆砂対策の確立に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  134. 塚越則男

    ○塚越説明員 御質問ダムの堆砂の問題につきましては私どもとしても問題意識を持っております。建設省の方からダムの保全事業としてダムの堆砂対策費の新規要求があるわけでございますが、これは五十四年度の予算編成の過程で検討を進めているところでございまして、いろいろな調査の結果とかいろいろなことを総合して考えてまいりたいと思っておりまして、現段階ではまだ具体的に何とも申し上げられない状態でございます。
  135. 広沢直樹

    広沢委員 もう時間が過ぎましたのでこれで終わりにいたしますが、いずれにいたしましてもダム対策の問題については過般の建設委員会でも問題になっておりますが、私ども災害対策委員会としては防災面からこれは起こってからではまた大変でございます。したがって、いま現実計画堆砂量を超えて堆砂をしている、そしてまた天竜川にも例がございますように、すでに河床が上がってきて立ち退きをしなければならないという状況まで生まれてきているわけでございますから、いまのようなあいまいなことではなくて、現在もう問題として提起されているわけでございますので、具体的にひとつ取り組んでいただきたいことを御要望し、そしてあと具体的な問題は次回にまた質問させていただくことにいたします。
  136. 川崎寛治

    川崎委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十七分散会