運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-10-12 第85回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十二日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君    理事 志賀  節君 理事 矢山 有作君    理事 湯山  勇君 理事 広沢 直樹君    理事 神田  厚君       稲垣 実男君    越智 伊平君       小島 静馬君    後藤田正晴君       佐藤  隆君    斉藤滋与史君       谷  洋一君    谷川 寛三君       津島 雄二君    中島  衛君       森   清君    山崎武三郎君       渡辺 秀央君    池端 清一君       小川 国彦君    柴田 健治君       渋沢 利久君    竹内  猛君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       瀬野栄次郎君    武田 一夫君       薮仲 義彦君    山本悌二郎君       津川 武一君    伊藤 公介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 櫻内 義雄君  出席政府委員         国土政務次官  丹羽 久章君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         農林水産大臣官         房審議官    佐々木富二君         通商産業省立地         公害局長   伊勢谷三樹郎君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   水野  勝君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         国税庁税部所         得税課長    小野 博義君         国税庁間税部酒         税課長     大橋  實君         文部省管理局企         画調整課長   塩津 有彦君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       大池 真澄君         厚生省社会局施         設課長     山内 豊徳君         農林水産省経済         局保険業務課長 大塚 米次君         農林水産省構造         改善局農政部地         域農業対策室長 湊  清和君         農林水産省構造         改善局建設部設         計課長     浅原 辰夫君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     高田 徳博君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 泉田  収君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         林野庁指導部森         林保全課長   野村  靖君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 檜山 博昭君         工業技術院総務         部研究開発官  越川 文雄君         中小企業庁計画         部金融課長   山本 幸助君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         郵政省電波監理         局無線通信部陸         上課長     徳田 修造君         建設省都市局街         路課長     並木 昭夫君         建設省都市局都         市防災対策室長 井上 良藏君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       上田 康二君         建設省住宅局住         宅企画官    浜  典夫君         国土地理院地殻         調査部長    藤田 尚美君         自治大臣官房参         事官      野村 誠一君         消防庁防災課長 千葉  武君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     竹内  猛君   米田 東吾君     柴田 健治君   渡辺 芳男君     小川 国彦君  平石磨作太郎君     薮仲 義彦君   永原  稔君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     渡辺 芳男君   柴田 健治君     米田 東吾君   竹内  猛君     伊藤  茂君   薮仲 義彦君    平石磨作太郎君   伊藤 公介君     永原  稔君     ――――――――――――― 十月十二日  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に  対処するための特別の財政援助等に関する法律  の一部を改正する法律案災害対策特別委員長  提出参法第一号)(予) 同日  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び激甚じん災害に  対処するための特別の財政援助等に関する法律  の一部を改正する法律案参議院提出参法第  一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月九日  宮城県沖地震に伴う被害対策に関する陳情書  (第八七  号)  大都市の地震対策確立に関する陳情書  (第八八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地震対策及び活動火山対策等  昭和五十三年七月上旬以降の干ばつによる災害  対策      ――――◇―――――
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  来る十九日、災害対策に関する件、特に、地震対策及び活動火山対策について、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川崎寛治

    川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川崎寛治

    川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 川崎寛治

    川崎委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、地震対策等について議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
  6. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 せんだっての国会で、活動火山対策特別措置法をここにいらっしゃる諸先生方並びに政府当局の御理解を得てつくらしていただき、桜島は大変感謝いたしております。厚く御礼申し上げる次第でございます。  私、先週の土曜日、その桜島古里温泉へ行ってきました。道路は、実は桜島噴煙でもうもうとしまして、猛吹雪の中を車が走るような感じでございます。御承知のとおり古里温泉というのは、林芙美子が「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」とうたった碑の建っているところでございますが、いま桜島町民ひとしく、この林芙美子の、花の命は長くて苦しきことのみ多かりきという感を抱いているのではないかというふうに思っております。  しからば、どうすればいいんだということの議論でございます。せんだっての国会活動火山対策特別措置法はつくってはいただきました。つくっていただきまして、そして政府としても、地方公共団体としても、できることはすべてやっていただいたというふうに思っておりますし、感謝もしておりますが、それではどうにもならぬところまで実は来ているような感を深くしておりまして、きょうは、私は、政治というのは、国民に前途に希望を与えるのがやはり政治であろうという観点から質問をするわけでございます。  まず第一番目に、この桜島噴煙がずっと続いている間はまさに後追いでございまして、予算を幾らつけてみてもつけてみてもどうにもならぬという感じでございますが、実は、この桜島噴煙もとから断ち切る方法はないのかという、これでございます。科学が発達しまして、海水から発電をさせる、海水から真水をとる、ロケットが月まで行くということ御時世において、桜島火山活動、この噴煙というのをとどめることはできないのか。言い直しますと、火山発電というのができるのであれば、桜島噴煙というのは実はこういう状態にならないのではないかと思うわけでございます。桜島の土手っ腹に穴をあけても結構です。あるいは桜島噴火口の周辺に火山発電装置というのをこさえて、そしてこの地熱というのを常時吸収しておれば、爆発エネルギーというのは常時発散してしまうわけでございますから、かような火山活動というのは消滅する、ないしは停滞するはずだというふうに理屈では考えられるわけでございます。  いま私が申し上げたようなことが荒唐無稽なことであるのかどうか、現在の科学の発達のぐあいというのは、いま私が申し上げたようなことを不可能としているのか、あるいは可能性があるというふうに考えておられるのか、この辺のことを実は承りたいわけでございまして、鹿児島市民鹿児島県民桜島もとよりでございますが、あまねく、心の底から私のいま申し上げたことについて実は大変な期待を持っているのではないかというふうに思っておりまして、あえて御質問する次第でございます。
  7. 越川文雄

    越川説明員 研究開発官越川でございますが、火山発電は、火山の持つエネルギー利用いたしまして発電を行おうというものでございます。したがいまして、その実用化が図られた場合には、火山活動鎮静化というようなことにも貢献し得ることが考えられるわけでございます。ただ、これはあくまでも理論的に考えられるという段階でございまして、これの実用化に当たりましては、火山自体解明等、総合的にいろいろ研究あるいは解明をいたしてまいらないといけないわけでございます。そういったようなことでございまして、わが国といたしましては、今後、そういったような諸種の研究テーマにつきまして総合的に解明あるいは研究が行われて、その結果、その利用可能性というようなものも明らかにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、特に火山発電研究をいたしていく上におきまして技術的に大いに貢献されると考えられておりますものに、高温岩帯利用技術というものがございます。これは火山から少し離れたところに高温岩帯が賦存しているというようなケースがあるわけでございますけれども、そういった、岩に割れ目をつくってそこに水を通して、それで、その岩帯で水を温めてエネルギーを取り出すというような技術も考えられておるわけでございますけれども、まずそういったような基礎的な研究を積極的に進め、高温岩帯利用技術というものをとりあえず実用化していく。それで、将来におきましては、火山発電へもそれが利用されていくような可能性というものをわれわれとしては期待して、鋭意研究をいたしておるところでございます。
  8. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 もうちょっとお聞きしますけれども、この火山発電というのが理論的に可能であるのかどうか、可能であるとすれば、当面はむずかしいとしても、ほぼいつごろになったら火山発電なるものが研究に着手し、実現可能の方向に向かうのか、その辺のことについて御答弁願いたいと思います。
  9. 越川文雄

    越川説明員 理論的には可能であると私どもは考えております。とりあえずは、先ほども答弁申し上げましたように、高温岩帯利用技術というようなものの実用化を図って、その時点でまたその火山のいろいろな面での知見がどの程度得られているか、そういったような点をよく見きわめまして、火山発電利用可能性というものを見きわめていきたい。そういうことでございますので、われわれとしては二〇〇〇年以降超長期の課題だと考えております。
  10. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 二〇〇〇年以降ということであれは、桜島噴火が続いている間は——恐らく私どもが死んだ後のことであろうかと思いますし、生きている間は、これは孜々営々としてこれに取り組まざるを得ないわけでございます。  したがって、農林省にお聞きするわけでございます。一生懸命農林省はやっていただいておりますし、感謝しています。せんだって農林大臣桜島にお行きくださいまして、桜島農業実態をつぶさに御視察くださいました。「これはひどい」というお言葉が鹿児島の各新聞に報道されまして、町民ひとしく期待を持っておるわけでございます。しかし、さて何をこれ以上やるのかということになりますと、桜島町としてもなかなか具体的な施策についてはまとまっていないような感じでございまして、いまある制度、今回おつくりいただいた制度というのを深く、そして厚くする以外に私どもはないのではないかと思っていますし、その観点から御質問するわけでございます。現在桜島農家救済のために防災営農対策事業として農林省はどのようなことをやっているのか、お聞きいたします。
  11. 湊清和

    湊説明員 桜島におきます防災営農対策事業につきましては、活動火山対策特別措置法、ことし名前がかわりましたわけでございますけれども、制定当初の昭和四十八年度から、鹿児島県知事が作成いたしました防災営農施設整備計画に沿いまして、灰を落とすということ、あるいは一般農業にとりましても非常に水が大切でございまして、そういった関係から水源の開発でございますとか、また野菜等に降ってまいります灰がかからないように覆いをいたしますとか、あるいはお茶とかたばこ、こういった葉についた灰を落とす事業、そのほか、桜島火山灰は非常に酸性の強いものでございますので、農業に悪影響がある場合もありますので、その酸性を矯正する事業、それから比較的灰に強いビワとかあるいは花木、こういった他の作物へ転換する事業、こういった各種事業を実施いたしてきているところでございまして、国はこの事業が円滑に実施されますようにこれに要する経費を助成してきているわけでございます。  それで、この防災営農対策事業に基づきます整備計画は、当初昭和四十八年度桜島島内中心にごく限られた地域で実施いたしてきたわけでございますけれども、その後の火山活動状況等にかんがみまして、対象地域の拡大、事業内容の充実を図ってきているわけでございます。一応昭和四十八年度に作成いたしました防災営農施設整備計画は五十二年度で終了いたしたわけでございますけれども、最近の桜島火山状況はきわめて活発でございますので、本年、新しく五十三年度から五十五年度までの三カ年計画もと鹿児島県知事の方で作成されました防災営農施設整備計画、新計画に基づきまして、対象地域をさらに鹿児島県の日置郡を中心とした地区に拡大いたしますとともに、事業内容等につきましても、県の各種研究機関等でいろいろと開発された新しい事業等も組み込みまして事業を実施するように努めているところでございます。  指定市町村は、鹿児島県内で、今度追加いたしました九市町を含めまして四十三にわたるわけでございますけれども、その中でも特に火山のあります桜島島内はきわめて灰の降る量が多く、被害も著しいわけでございますので、この防災営農対策の実施におきましても、各種事業を最優先的に桜島島内で実施するように努めているところでございまして、特に桜島島内は昔からミカンが非常に重点の高いところでございまして、そういったところから、果樹生産安定対策事業でありますとかあるいは土壌の酸度矯正事業、あるいは先ほど申し上げましたビワ等への転換の事業、これを引き続きまして従来どおり実施いたしますほか、新しく、ミカン覆いをかけまして灰の被害を防ぎたい、こういう事業あるいは野菜周年栽培のため、灰に比較的強い硬質のビニールハウス施設整備等、こういった事業等も新しい計画では取り組んでいくことにしております。  このうち、ミカンに被覆する事業につきましては、これまでこういった例がないものですから、いきなり農家方々に導入いたしましても、技術上の問題等もあるということで、昨年と今年度の両年度にわたりまして、県が改良普及所あるいは果樹試験場中心にいろいろと実証的な事業を行っておりまして、今年度の分は十一月中にまとまるようでございますけれども、その結果に基づきまして、適地を選定し、五十四年度から新しくミカン被覆栽培施設、これを導入するような計画を立てているわけでございます。  なお、以上は補助事業でございますけれども、そのほか、融資事業といたしまして、桜島火山噴火に係る自作農維持資金の融通につきましては、一般貸付限度枠以上に特別枠を設けまして、被害農業者資金需要に対応いたしているところでございます。
  12. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 防災営農を一生懸命やっていただいてはおるのでございますけれども桜島というところはミカン名産地でございます。御承知のとおりです。長期にわたりましてずうっと被害を受けておりますから、必然的に果樹共済対象、まあ果樹共済保険金をたくさんもらわないとやっていけない。現実問題はしかし基準収穫量そのものが、例年打ち続いた桜島の降灰によりまして、ぐんと低くなっております。したがって、そのもらい受ける金額そのものが、平均値が低くなっておりますから、ほんのちょっぴりしかもらえないという現実的な問題になりまして、桜島町民ひとしく、この基準収穫量算定方法を何とかして見直してくれないかという強い熱望がございます。そこで農林省に、基準収穫量算定方法について何か一工夫できるのかどうか、この点をお聞きするわけでございます。
  13. 大塚米次

    大塚説明員 お答えいたします。  果樹共済におきます基準収穫量というのは、平年的に収穫し得るであろう量とされております。その算出の方法といたしましては、都道府県知事が各組合等に指示する際に、五年中中庸三カ年、つまり豊作年凶作年を除いた三カ年間の平均による数字を算出いたしまして、これを組合に指示いたします。ところが、災害発生態様、ただいまの例でございますと、桜島町のように激甚被害を連年受けているというような場合に、機械的に五年中中庸三カ年と申しましても、基準収穫量はきわめて低い数字になって、必ずしも実態に合わないということがございます。そういう場合は、たとえば専門的な知識を有します果樹試験場でありますとか農業試験場でありますとか、そういうところの技術者方々の御意見も聞きまして計算方法を少し工夫する、こういう余地がございますので、私どもとしては、桜島町のような場合は、そういう工夫をいたしまして、できるだけ実態に即した、しかも共済制度として無理のない基準収穫量が指示できるように、県と今後細かい相談をいたしまして指導していきたいと考えております。
  14. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 一工夫していただけるというところで、農林省についても実は同様でございますが、建設省にお尋ねするわけでございます。  地方公共団体公共施設等々については、今回の法律予算がつきまして、道路は、灰が降りますと除去されます。実は、今回の法律庭先に積もった灰も道路のところまで持っていきますと持っていってくれるというぐあいになっております。ところが、現実桜島町民の生活というのは、打ち続く灰によりまして、農業をするすべもなく、町民は近所の土建会社に土方として働きに行くか、さもなければ、船で渡りまして鹿児島市に行き、そこで労務者となって働く。したがって昼間は、桜島町にいて働いているという数は数えるほどでございます。道路は、まさしく今回の法律によりましてきれいになりました。ところが、自分のうちの庭先、畑というのは灰が積もるだけ積もりまして、実はそれを除去する暇がないわけでございます。そんなことをするよりも、実は働きに行かなければ飯が食えぬわけでございます。だから、道路はきれいになったかわり、自分庭先、畑、屋根にいっぱい灰が積もって、どうにもできない状態でございます。今回法律をつくっていただいて、うれしい悲鳴と悲しい谷間の現実が露呈されたわけでございます。  まあ非常にむずかしいことでございます。この庭に積もった灰あるいは畑に積もった灰、これを袋に詰めまして道路の先まで持っていくと一俵幾らで買ってくれるということでもしてくれない限りは、実は手がつかないという状態でございます。しかし、今回の法律では実はそこまで手が及んでおりません。個人救済というところまで手を伸ばしていかなければ、桜島町民というのは、先祖代々住みなれたところでございます。そこに墓もございます。先祖伝来の田畑もございます。家屋敷もございます。そこを打ち捨ててほかに移り住むということはしょせん不可能なことを強いるような感じがいたします。だとするならば、個人救済という観点からそこまでしてやらなければ林芙美子の歌のとおりになってしまうのじゃないかという感を持っているわけでございまして、いまつくったばかりの法律でそこまで手を出せというのは余りじゃないかという議論もあるかもしれませんけれども、行く先の方向というのはそこまでいかなければどうにもならないのじゃないかという感を私は持っているのでありまして、この辺についてのそういう方向について、党としても検討いたしますが、検討してみようというようなお考えはないものか、そのことについての御見解を建設省から賜りたいわけでございます。
  15. 並木昭夫

    並木説明員 宅地に降りました灰の除去につきましては、ただいま先生おっしゃられましたとおり、これを市町村長が指定しました場所まで個人で出しまして、その指定された集積場所から最終の処分地まで持っていくという費用につきまして、国が補助をするというようなことができるようになっております。したがいまして、いま先生の御指摘がありましたような、宅地から集積場所までの運搬費用についても、宅地所有者である個人負担でなく、これを何らかの形で買い取るというような方法等でできないかと、こういう御指摘でございますが、現行制度上は非常にこれはむずかしゅうございます。したがいまして、宅地の灰を収集して集積場所まで運搬するに当たりまして極力個人負担をかけないというような意味で、その集積場所指定等につきましては十分きめ細かく配慮していくというようなことは考えておりますが、現行制度上はその辺が限界であろうかというふうに存じております。
  16. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 役所側答弁を求めるとそういう答弁が返ってくるであろうということもわかっております。が、やはりそこまで私どもは努力してまいりたいというふうに思っております。  先週の土曜日私が古里温泉街まで行ったというお話を申し上げましたが、私が行ったホテルでは、実は夜行きましたが、どの部屋を使っても結構だというのです。お客さんがただの一人もいないのです。もうがらがらもいいところでありまして、これは、全くいつ岩が落ちてくるかわからぬし、大爆発が起こるかわからぬから、お客さんが泊まるわけはないわけでございまして、全くひどいものでございます。町民は昼間は鹿児島市に出かせぎに行きますから、そこにあります商工業者というのもお客さんがいるわけがないわけでございまして、これは農業をやっている方だけではないのでございます。ひとしく桜島被害に打ち悩んでおるのが現実でございます。だとすれば、この商工業者を救う道はないのかという議論でございます。頭に浮かぶことは、税金の問題もさることながら、これは大蔵省に聞きますが、こういう打ち続く桜島の灰に打ちひしがれている商工業者に対する政府系金融機関金利引き下げということについて、もう一遍再考する余地はないか、お尋ねいたします。
  17. 山本幸助

    山本説明員 お答え申し上げます。  中小企業金融公庫及び国民金融公庫、この二つの政府系の金融機関から灰が降った場合の防除のための貸し付けというのを現在実施いたしております。これは実は産業安全衛生施設貸し付けという制度でございまして、その一環としてやっておりますが、これは現在、年六・〇五%という金利で貸し付けをいたしております。この六・〇五%という金利は、いわゆる特別貸付制度といたしましては産業公害防止貸し付けと並びまして最も低い利率に現在なっております。また中小公庫等が実際にお金を借りてくる、これは資金運用部から借りるわけでございますが、そこから借りてくる金利も六・〇五ということで、全く借りた利率と同じ利率で貸すという形になっております。したがいまして、この利子をさらに下げるということは非常に困難であって、これは現在なかなかむずかしいことだと考えております。
  18. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、鹿児島の市民も実はそうでございます。毎日毎日灰が降ってきまして、屋根は傷む、干し物はできない、どうすればいいんだろうというわけでございます。しようがないじゃないかと言ってしまえばそれっきりでございまして、恐らく大蔵省はしようがないじゃないかと言うだろうと思いますから、あらかじめ言っておきます。しかし、せんだってのときもそうでございました。税金の面からこれを考えてくれる余地はないかということでお願いしたわけでございますが、申告すればいいよというわけでございます。ところが、毎日灰が降っておりまして、これをこの程度損害をこうむったということで現実問題としてあのうるさい税務署長のところへ行って申告するのが一人もおるはずはないわけでありまして、恐らくこれは理屈とは離れた現実問題としてはできっこないわけでございます。だから、こんなに毎日、降る雨のごとく、降る雪のごとく灰が降り続いている中で、大蔵省として再度画一的に税金の減免措置というのを考えるべき方向というのは絶対に不可能なのかどうか、その辺のところを、その感触をお聞きしたいわけでございます。
  19. 水野勝

    ○水野説明員 お答え申し上げます。  災害によりますところの損失につきましては、先生承知のように災害減免法によりますところの減免でございますとか、雑損控除によりますところの所得控除とか、こういった制度があるわけでございますが、やはり税制上の措置といたしましては、そうしたものによりますところの損害が幾らであって、それによって税額が幾ら減免されるかということにつきましては、やはり個別的に申告をいただきまして措置するほかはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、災害減免法におきましては、資産が半分以上とかそういった損害が生じた場合におきましては、所得水準に応じまして全部をまけるとかあるいは半分まけるとか、そういった画一的な処理はいたしておりますが、雑損控除の方の適用につきましては他の制度と同じでございまして、個別的に具体的な数字を出していただいて算定していただく、これはまたほかの県でもそうしたことにつきましてはそういう手続をとっていただいておりまして、毎年数多くの申告をいただき、それによりまして処理をさせていただいておるところでございます。
  20. 山崎武三郎

    山崎(武)委員 終わります。
  21. 川崎寛治

  22. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、先般社会党の調査団の団長として桜島火山活動被害状況の調査に参りました。そういう関係で、党を代表して、きょうは時間が十分ございませんから簡潔にお尋ね申し上げたいと思います。われわれ社会党としても、本問題については今後党内で詰めて対応策を検討しなければならぬというときを迎えておりますので、その前段で関係省庁にいろいろとお尋ねしておきたい、こう思うのであります。  この問題については、大蔵省から国土庁、自治省、農林省、文部省、建設省、各省にわたる問題でありますが、時間の関係でそう各省にわたるわけにまいりませんから、簡潔に、当面早急に取り組んでもらいたいと考えておる省庁にお尋ね申し上げたいと思うのであります。  まず国土庁にお尋ねしたいのですが、この桜島火山活動は、いまの状態がいつまで続くのか、いつとまるのか、大体の見当があろうかと思うのであります。見通しをまず聞かしていただきたい。
  23. 四柳修

    ○四柳政府委員 具体的にいつめどということは申し上げかねると思いますけれども、私どもこの法律をお世話している側から見ますと、やはり当分の間は相当続くものだろうと理解しております。
  24. 柴田健治

    柴田(健)委員 当分の間と言うたらごまかしになるので、正直言うて見通しがないのでしょう。大体専門家で調査をやられて、いつごろ大爆発がありそうだとか、大体何年ぐらいは続くだろうとかいう数字を出してもらわないと、当分と言ったら三日間でも当分だし、十年でも当分だし、どうにでもごまかしがつくのだが、どうでしょう。
  25. 四柳修

    ○四柳政府委員 具体的にいつということは申し上げかねますけれども、私どもが観測側の気象庁を中心に伺っている話では、最近の桜島火山活動につきましては、特に昭和三十年以来二十三年間に及ぶ継続的な活動の結果、いわゆるマグマが容易に火道を通りやすくなって火口外へ放出されやすくなっている、そのために非常に活動が活発になっているということで、その状態はそれ以前の状態と大分違うと思います。そういう状態がここしばらく続きました上で、後は従来とは違ったパターンでの火山活動になるのかどうか、そこら辺のところが見きわめがつかない状態でございまして、具体的にはその状態がいわゆる大きな噴火につながるのかどうかということが非常に心配される点で、私どもそういう意味では、いつになったら鎮静化するということはちょっと申し上げかねるかと思います。
  26. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういう見通しであるだけに、われわれは抜本的に恒久策をとらなければならぬ、こういう考え方に立っておるわけでございますので、国の方もそれに対応してもらうような施策を進めてもらわなければならぬ、こう思っておるのであります。  まず具体的にお尋ね申し上げたいのですが、先ほども意見が出ておりましたが、果樹の問題、特に今度の火山活動における降灰地域というものは五市三十八町村にも及ぶという相当の広範囲にわたっておるわけです。その間の面積というものは、田が二万七千五百二十七ヘクタール、畑が四万六千五百七十ヘクタール、山林が二十四万九千百六十三ヘクタールという五市三十八町村の面積に降灰を続けておるわけでありますから、この中に住んでおられる人々の気持ちをくむと、早急に対応策を考えなければならぬ、こう思うわけであります。いままで活動火山対策特別措置法で、防災整備計画というもので順次施工されておることは事実でありますけれども、いまのこの特別措置法だけでは十分でないということも言えるわけであります。当面、われわれが問題にしているのは果樹の問題、桜島町は六百ヘクタールのミカン山を持っている、これはほとんど全滅だという状態であります。われわれも現地を調査してびっくりしておるわけですが、とにかく果樹共済について先ほども意見が出ておりましたが、五年のうち中庸三年ということで平均作を出すという基準収穫量の出し方、これが大きな問題だと思うのですが、先ほど答弁を聞いておりますと、いつごろこの結論を出すのか、いつから鹿児島県と詰めに入る作業をやるのか、明春の三月までに出すのか、四月までに出すのか、この点をまず農林省に聞きたいのです。
  27. 大塚米次

    大塚説明員 五十四年度の引き受けに間に合いますように、五十三年の収穫の実績も材料として使いますので、二月ころには県と具体的な相談に入れるかと存じます。そして、年度末ころまでにはその方法を決めまして、新年度の引き受けに間に合わしたい、このように考えております。
  28. 柴田健治

    柴田(健)委員 それでは収穫の完了、二月から詰めに入って新年度というと三月いっぱいにはもう結論を出す、こういうことで受けとめておいてもよろしいですね。
  29. 大塚米次

    大塚説明員 新年度の引き受けに間に合いますように年度末を目途にして協議を進めたいと考えております。
  30. 柴田健治

    柴田(健)委員 もっと細かいことを聞きたいのですけれども、時間が三十五分までですから、次に防災営農についてお尋ねしたいのです。  現在まで防災営農の施設整備計画というものがございまして、順次やっておられますけれども、これでは十分とは言えない。特に今度のように降灰が続く、仕事がない、どこかへ出かせぎをしなければならぬというような事態に立ち至って、いつ爆発するやらわからないから家も心配だ、遠方には出かせぎに行けない、というて遊んでおったのでは食えないしといういろいろな悩みがいま出ておるわけですが、どうしても地元で仕事をしたいということになれば、それに仕事を与えていく、雇用問題に関連するわけですが、雇用政策上から見ても農家の出かせぎを食いとめる、そのためには、防災事業を含めて救農土木事業というような形で、当面、道路だとか河川だとか農耕地の基盤整備事業であるとかいうものを思い切ってやる必要があると思うのですが、これに対する考え方を聞かしていただきたい。
  31. 浅原辰夫

    ○浅原説明員 救農土木事業につきましては、従来、冷害等によりまして全国的に広域にわたって農作物に著しい被害が発生しまして、他に就労の機会もなく、被害農業者の所得の確保が著しく困難となった場合に、臨時応急措置として実施してまいったものでございます。  本年度につきましては、五十三年度農業基盤整備事業だけについて申し上げますと、当初予算におきまして対前年比一三六%と大幅な拡大を図っております。さらに、現在、当初予算の七%に当たる補正予算の要求を行っているところでございます。こういう基盤整備の推進を通じまして、ただいまお話しのあった救農土木的なものは新たに興しませんけれども、現在の事業で対処してまいりたい、こう存じております。
  32. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうもぴんとこないのですが、九月二十一日の集中豪雨というか、局地豪雨というか、あの桜島中心とした相当の降雨量によって被害が起きておる、林地荒廃、農地荒廃、いろいろな荒廃地を起こしておるのですが、この復旧策においても、半ば救農土木事業の一環として早急に着工する必要がある。特に林野庁の関係であるが、治山事業で、野尻川という川を中心とするあの付近一帯の荒廃、林地の荒廃というよりか河川流域全体の荒廃は大変なものであります。土砂の流出も非常に大きいし、また早急にこれをやらないと、地質上二次、三次被害として拡大されていくのではなかろうかという気がいたします。  また、私たち現地を見て、この治山事業というもののあり方、だれが設計をしたのか。予算的にああいう設計をせざるを得なかったのか。技術者の罪ではないと思うけれども、財源的にああいう設計をしたのか、地形的にああいう設計をしたのか、どうもわれわれにはぴんとこない設計なんです。ああいう施工をすると被害が大きくなるようなことは大体常識でわかると私は思う。上が広くて下が狭いなんというのは、およそ常識では考えられない。何であんな治山事業をやったのかという気がするわけです。責めてもしようがないのだから、十分反省をしてもらいたい。反省してもらって抜本的な復旧事業をしてもらわないと二次、三次災害として拡大される懸念が非常に強い。この点について林野庁の見解を聞きたい。
  33. 江藤素彦

    ○江藤説明員 お答え申し上げます。  今次、九月の二十八日、二十九日にかけましての南九州に停滞いたしました秋雨前線につきましては、鹿児島県下に局所に一時的に集中豪雨をもたらしたわけでございます。特に、当桜島地区におきましては、二十八日の二十一時から二十二時の間と、二十九日の十時から十二時の間にのみ降雨が集中いたしまして、多量の土石流が発生したわけでございますが、いま先生の御指摘があったわけでございますけれども、治山工事の進んでいるところにつきましては何とか被害を僅少にとどめ得たというふうに私ども感じておるわけでございます。しかしながら、主に標高百五十メートルから二百五十メートルの間の、まだ荒廃が進んでいない、渓流開析の進んでいない山腹面におきまして新しいガリを生じまして、多少の土石の流出があったわけでございます。そして、その流出によりまして下流の農耕地にかなり大きな被害をもたらしたということでございます。  その被害の額につきまして申し上げますと、新生崩壊地が九カ所できたわけでございまして、渓流、山腹ともに二ヘクタールあるいは一・六ヘクタールという面積の被害をもたらしたわけでございます。被害額といたしましては約一億五千万円ということでございますが、これにつきまして私どもは、いままで、治山事業につきまして直轄治山事業等を含めて積極的な対処をしてきたつもりでございますけれども、なお今回の災害につきましては、緊急的な対応といたしまして、谷どめ工二基、土どめ工二基、水路工といたしまして二百メートルということで、約五千万でございますが、緊急に今回の災害に対します対応をしてまいりたいと考えるわけでございます。  なおまた、この治山事業とともに、下流の農地関係あるいは建設省所管の砂防関係といったものとの調整につきましては、先生の御指摘もございましたが、今後とも十分な調整を図りまして粗漏のないようにやってまいりたいと思うわけでございます。  ただ、先生から御指摘いただきました野尻川につきましては、実は直轄砂防の担当区域でございまして、治山の担当ではございません。その点だけはお断り申し上げておきたいと思います。
  34. 柴田健治

    柴田(健)委員 野尻川の工事は直轄工事ですからあなたの関係ではない、こう言われるが、どこの関係であろうと林野庁は、そういうなわ張りやセクトで工法が変わっていいというものではない。そういう役所のセクトというものがいろいろな形で弊害を起こしていく。もう少し機構的に内部で反省してもらわなければ困ると私は思います。  それから、そういうものを含めて救農土木事業を早急にやる。これは林野庁だけでなしに、農林省全体で、特に灰が降り続けていくとするならば畑であろうと田であろうと土壌そのものが根本的に変わってくる。土壌改良をしなければならぬ。土壌改良も基盤整備の一環として早急にやる必要がある。ところが毎日毎日降るんだから、やってみたところでむだだということになれば、別の方法で、あの地域だけは施設栽培に全部切りかえるというように、防災営農のあり方を抜本的に変える。ということは、ただ経済局であるとか構造改善局であるとか林野庁であるとかの部分的な分類で考え方を集約するのでなしに、農林省全体であの地域をどうするかということを考えなければならぬと私は思う。それから各局なり各省でばらばらに考えて、自分のなわ張りのところだけやればいいんだということでは、これは解決するものではないと私は思う。だから土壌改良も思い切ってやらなければならぬのじゃないか。もうあのままでは、灰が降るのがやまったからといって農作物ができる可能性はない。だからその点について、今後の防災営農地域として抜本的に——現行制度の中では十分手が打てない、われわれはそう思っている。だから何とかしなければならぬ。それからその防災営農地域のあり方、あそこだけは特別にあり方を変える、もっと角度を変えて検討する必要があるのではないか、こう思うのです。  農林省の責任者は、きょうは答弁課長くらいでこらえてくれと言う。何でやと言うと、局長以上というのは各省は専門官でないので、課長が専門官だ、こう言われるんだから、専門官的な十分権威のある人が答弁願いたいと思うのです。
  35. 湊清和

    湊説明員 活動火山に伴います被害防除、防災営農対策につきましては、非常に技術的な問題と、あるいはその被害の軽減の仕方等につきまして、十分な学問的な実績等のないものもあるわけでございますけれども、そういった観点もとらえまして、これまでも逐次開発したいろいろな手法等におきましては、鹿児島県等とも十分な協議等を重ねながら、その防災営農のあり方につきましていろいろと拡充強化を図ってまいっているところでございます。特に昨年からことしにかけまして第一次の防災営農整備計画が一応終了するという観点で、引き続きこれを継続拡充して実施するという観点から、五十三年度から五十五年度に至ります計画におきましては、いままでなかった新しい事業も取り上げて、事業内容も拡充実施しているわけでございまして、これは本年の春に鹿児島県知事が作成した計画に基づきまして、今後三年間実施いたすことにしているわけでございます。その中には、いままでは、桑を採取いたしまして灰を落としまして、それを小さい蚕に与えますと病死するという例が非常に多かったわけでございますけれども、それを人工的なえさ、人工飼料に稚蚕段階で切りかえまして、灰のかぶった桑を与えなくても済むような事業を新しく取り入れましたし、また先ほどの答弁でも若干触れましたけれども桜島町及び東桜島地区を対象にいたしまして、いままでは野菜について行ってきたわけでございますけれどもミカンにつきましても上に覆いをつけまして、それで灰がかぶらないようにしてうまく収穫できるかどうか、こういう事業につきましてぜひ新しい計画もとにやってもらいたいという要望が強かったわけでございまして、新しい計画ではこれも事業内容に含めて実施するようにいたしているわけでございます。  ただこれは、具体的にいろいろと桜島等をごらんになっておわかりだと思いますが、非常に傾斜地の多いところでございまして、風の関係とかあるいは日照等、いろいろと、ただやみくもにやってはうまくいかないということで、鹿児島県が試験場であるとかあるいは改良普及所等を通じましていろいろと実施をやっておりますので、この結果がわかり次第、適地を選定してやる、こういうような実施を行ってきているわけでございまして、鹿児島県も試験場を中心に新しい防災営農の施設等のあり方についていろいろと研究いたしておりますので、今後ともそういった新しい技術開発されますれば、この法律に基づきます事業として適切なものにつきましては、この事業計画に取り入れて実施していきたい、こういうように考えているわけでございます。
  36. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がございませんから次に進めさしていただきたいのですが、まず国土庁に早急にお願いしたいことが一つあるのです。  私、現地を見たのですが、どこの省にも所属しない戸籍不明の道路があると言うのですね。私も町村長をやってこの経験があるが、そんなばかなことないじゃないかと言っても、あるのです。どのくらいの幅員だ、二メートルぐらいの幅員だ、それが何十キロ、何百キロあるかわからないけれども、相当のキロある。国の道路だ。国のどこだと言うたら建設省でもなし、どこでもなしというようなことですね。道路法に適応しない道路もあるけれども、そういう戸籍不明の道路は、やはり何としても町村にとっては財政的に非常にしわ寄せを食う。それは交付税の中で、基準財政需要額の算定基礎に入らない道路があるということになれば、町村にとっては大きな財源不足が来るわけですから、この点は早急に——向こうに名前は何という名前だと聞いたら、赤線だとこう言う。いろいろ解釈が違うですけれども、とにかく赤線という名称をつけている。そういう戸籍不明の道路があるために林地の荒廃やいろんな荒廃が起きる。こういうことで、これは国土庁の方で早急に、事実そういうものがあるのかないのか、あった場合にはどこに所属させるのか、町村道に落とすのか県道にするのか、建設省直轄にするのか、林道として林野庁に所管させるのか、その点を明確にしてもらいたい。国土庁の責任で調査してもらいたいということをお願いしておきます。  それから自治省にお尋ねしたいのですが、こういう災害は、水害であろうと火災であろうと、災害市町村の財源不足が来るのはもちろんでありますが、特別の処置として、特別交付税制度がある。これについて地元の町村長の方から強い要望があるわけです。もう少し大幅に引き上げてくれ、こういうことで、いろんな目に見えない雑費が要る、ああいう災害地域は雑費の要ることは全くよくわかるわけであります。そしていろんな賃金の支出においても、それはもう大変査定が低い、こういうことで財源不足が来る。何としても人海戦術で灰を防除するわけですから、人を頼まなければならぬ。経費が要ることは当然であります。  だから自治省としては、この町村の財源を確保するという意味で、特別交付税の引き上げを思い切ってやってもらいたい。その考え方を聞かしていただきたいということが第一点。  それから厚生省。厚生省は、毎日毎日風向きで方向が違うけれども、きょうは灰が降らない、ありがたいなと思うても、夜降ってくる、道路へたまる、自動車が通る、そして粉じんとしてそこらじゅうに飛ぶ、風が吹くのと一緒で、風が吹いても灰が飛ぶ、自動車が通っても灰が飛ぶということで、家の中におっても外で歩いておっても、人間みな灰を吸っておるわけですが、われわれ専門家でないからわかりませんが、灰の成分はどんな成分なのか、それを吸ったら人体にどういう影響をするのかということは、厚生省としても、肺に関係することだから結核療養所関係かどこか試験研究機関があるわけですから、調査をやらしておるとか、研究さしておるとか、研究しておるのは、人体に影響があるのかないのか、結論がいつごろ出るのか、簡潔にお答えを願いたい、こう思います。
  37. 野村誠一

    野村(誠)説明員 お答え申し上げます。  活動火山に伴い、いろんな被害によって、あるいは防除の関係で地方、特に関係市町村について相当な財政需要、財政負担があることは十分承知しております。私ども自治省といたしまして、関係地方公共団体におけるそういった活動火山対策にかかわる特別の財政需要というものにつきましては、かねてから仰せのように特別交付税において所要の措置を講じてきたところでございます。今後とも当該団体の地方負担額の状況あるいは財政状況等十分勘案いたしまして、適切な配慮をしていきたいというふうに考えております。  ちなみに特別交付税でございますが、たとえば活動火山対策といたしまして、鹿児島県に限定して申し上げますと、五十一年度は一億七千七百万、五十二年度で三億六千九百万というのが特別交付税の交付措置を講じさせていただいたというところでございます。今後とも十分適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
  38. 大池真澄

    ○大池説明員 お答えいたします。  御指摘のような状況に対応するために、国におきましても、地元の鹿児島県と密接な連携をとりまして、本年度から国及び県の研究費をもちまして研究班による調査研究を推進することにしておるわけでございます。この研究班は、臨床、呼吸器のいろんな診断の問題あるいは小児の臨床の問題並びに広く集団的な現象でもございますので、公衆衛生の分野、こういった専門家から成ります研究班でございます。  五十三年度におきましては、当面、学童それから一般地域住民につきましての呼吸器の状況につきまして、断面をよく調査をいたしたいということでございまして、今年度の成果を踏まえまして、次年度以降、さらにこの推移を見るというような研究も想定されるわけでございますが、ともかくできるだけそういった研究成果を早く得るように現在鋭意取り組んでいただいておるところでございます。
  39. 柴田健治

    柴田(健)委員 尋ねたことのポイントは、どういう成分の灰かということをまず聞かしてもらいたい。この研究調査費、国と県と何ほの予算額で、およそいつごろまでには大体の調査結果が出るという目標を定めておられると思いますから、たとえば五十三年度じゅうだとか、五十四年度じゅうだとかということを目標を持ってもらわなければ、ずるずる行ったのでは住民はかなわぬですよ。三つの点、もう一遍答弁してください。
  40. 大池真澄

    ○大池説明員 火山灰の成分につきましては、一般的に粘土分、砂分その他が主たるものでございまして、これは珪酸とかアルミとか鉄分とか、そういったものが地元の衛生関係の試験研究機関でも掌握されておるわけでございますが、さらに専門的に詳しくは文部省関係でございますが、鹿児島大学が中心になりまして、それ専門の研究が並行して進んでおると承知しておるわけでございます。  それで、私どもの人体影響を担当いたします研究班におきましても、こういった関連する研究班の調査成績も十分踏まえて今後検討の対象としていく予定でございます。  それから研究費の額の御質問でございますけれども、厚生省におきまして二百万、県におきまして二百七十六万という予算で本年度は対処することにしております。  それから第三点でございますが、本年度の研究につきましては本年度の検討のまとめをもちろん行うわけでございますけれども、何分にもこういった灰の影響という点につきましては不明の点も多うございます。いろいろと疫学的な手法の問題もございまして、いつまでに明確な結論が出るということをあらかじめ想定することは困難でございます。特に一つの原因でこういう病気が出るのだということの明らかなものについて取り組むということではございませんで、一過性の症状から慢性的な症状に至るまでの、そういうものがあるかないかということも含めて検討するわけでございますので、今後の研究成果の推移に待たざるを得ないというのが現状でございます。しかし、事態に対応するために、できるだけ研究を急いでいただくようにお願いしておるところでございます。
  41. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が来ましたから終わりますが、いま聞くと、予算が厚生省と県で二百万と二百七十万、これでは話にならぬと思う。調査とか研究しておるとか、誠意を持ってやっておるとは言えないので、国土庁の方にも、各省の調整をやられる省ですから、この点については国土庁は十分配慮してもらいたいということをお願いして、質問を終わります。
  42. 川崎寛治

    川崎委員長 渋沢利久君。
  43. 渋沢利久

    ○渋沢委員 宮城沖の地震災害を顧みて、大都市での大地震災害に対する対応がかなり見直し、再検討を迫られる部分があったと思うわけです。きょうはその中で、その後改めて検討が関係者の間で求められている地震保険の問題で一、二お尋ねをしたい。  大蔵省、おいでをいただいておると思うのですが、まず地震保険の全国の加入者数、それから今度の宮城沖被災地での地震保険の加入者、それで保険金を支給された、あるいはされることの確実な支給者数、支給率、ちょっと説明してください。
  44. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  五十三年の三月末現在で全国での地震保険の加入件数は五百三十七万七千件でございます。  先般の宮城県沖地震でございますが、その地震の被災地域の契約件数は、地震の起こりましたとき現在で八万七千七百五十七件、それから本日まで保険金の支払われました件数は百八十三件、したがいまして、給付率、保険支払い件数を契約件数で割りますと、〇・二一%ということに相なっております。
  45. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは何でこんなに低い給付率というか、状態が出てきたのかということは聞かなくともわかっておると思うのですけれども、そしてこの数字だけを見てもわかるように、地震になったときの損害、その場合の保険金の支給に期待をかけてそれぞれ加入しておるにもかかわらず、宮城沖の被災地の中で八万七千世帯の加入者があって百八十三件しか支給対象になっておらない。こういうひどい数字というのは、つまり現地の関係者が悲痛な声で言っているように、土台がもう壊れちゃって、家は全部傾いちゃって、どうにも使いものにならぬような状態であるが、しかし柱が残っておって全壊とは言えないということだけで、びた一銭保険金の支給がされない、こういう状況の中で非常に大きな不信と不満が起こっておる、こういうことじゃないかと思うのです。  そこで、しかも現地の被災者は、この地震保険に加入する際に、必ずしも全壊の場合に限って支給するというような条件を明確に説明をされておらないというところに問題があるわけです。契約書の約款何項目にどう書いてあるというようなことで、いまになって開き直ってみても、現実には、火災保険に入っている者が保険料の三割増しをすれば、自動的に地震保険に入れるんだからという誘いを受けて、みんな入っておるというのが現実である。大蔵省としては、この状況についてはどのように受けとめ、そしてどう考えているのですか。
  46. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  まず、地震保険というのは非常に保険に乗りにくいものでございまして、保険審議会を経まして現在の法律ができましたときも、全損だけというふうに限る等、非常に制約のある保険で発足したわけでございます。決してお言葉を返すわけではございませんけれども、私は宮城沖地震の後、現地へ参りました。そしていろいろと現地の人の話を聞きましたが、いまおっしゃったように地盤が緩んで機能を喪失した場合、それから使用ができなかった場合、そういう場合には支払っております。ところが、先生のお耳に達したのは、そういういざこざの以前じゃないかと思うのですが、これについては確かに損保を監督しておる私どもも深く反省をしなければいかぬのですけれども、平生の訓練が非常に悪いので、ある会社へ電話がかかって、地震でやられたがどうかと聞いたときに、全壊ですかと聞かれていや全壊じゃありません、ただ地盤が緩んでと言ったので、それじゃだめですと電話を切った会社が二、三ありました。そのほか、ただいま先生の御指摘のありましたように、私、現地へ行っていろいろ関係者と話をしましたが、説明が十分でなかったことは認めざるを得ません。  そこで、地震保険に限らず対象保険というのは、いつもよく説明するように、パンフレットなんかによく書くように指導しておるのでございますが、もう一遍全社のパンフレットなどを全部取り寄せてみましたが、大変不親切でございます。これは私の方の監督も悪いのでございますが、たとえば全損ということがさっと書いてあって、せめてゴシックにするなり赤字で書いたらいいじゃないか。それから、保険金を払う場合に全損と書いてあって、払えない場合に全損でなきゃ払えないということを書いてないわけでございますが、その点でも不親切ということで、至急私たち善後策を講じまして、九月、十月中にほぼ全社できると思いますが、ちらしでございますとか、パンフレットでございますとか、そういうものを全面的に改定いたしまして、すでに一部ではお手元に行っているものもあると思いますが、その点、宮城沖地震につきましては対応の面、そのほか平生の説明の面で不十分であったことは、私深く反省しております。
  47. 渋沢利久

    ○渋沢委員 私は、地震災害救済というものは基本的には国自身の責任において行うべきものであって、国はその点での対応を十分に整えずして保険事業に地震災害による救済を転嫁する、そういう性質を持っておるんで問題があるというふうに思うわけであります。にもかかわらず、ともかくいま現に存在するこういう制度の中で、しかもその制度が、いまPR不足程度のことを言うけれども、これは状況によってはまさに、言葉はきついかもしらぬが、私も聞いておるけれども、大変詐欺的なと思われるくらいの加入時の保険企業の勧誘が行われておるわけです。言うまでもありませんが、全共連ですか、現に、全壊にとどまらず一部損壊、半壊等に応じてそれぞれ支給されるという制度も一方に存在する。こういう状況の中で、全壊に限るというところに、地震保険と名をつけた制度が、どだい問題があるのじゃないですか。その点について、大蔵省は、PRが不十分だったからこれはきちんとやらせるようにするということでとどまるのじゃ問題にならぬので、当然その点は全共連並みに是正ということが急がれぬばならぬはずだと思うのです。そういう検討はされておることだと思うのです。いつ、どういう形で結論を出すつもりですか。
  48. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  PRということは、現在の制度を前提としたPRでございますが、現在、ことしの夏からわれわれと損保業界との間に特別な委員会を設けまして、制度の全面的な見直しを行っております。  その一つとして、分損ということが一番大きな問題になっております。そのほかに付保割合、いま三〇%しか付保できませんが、三〇%をどうするかとか、それから建物二百四十万という制限がございますが、これを上げるときどうなるかというのを総合的に検討しております。  われわれが、壁といいますか、非常にむずかしい問題に突き当たっておりますのは、全損でございますと、統計がわりあいございます。いろいろな地震の統計がございまして、それから地震があったときにどのくらいの全損があるか、それからどのくらいの火災が起きるかというようなのは学者の理論もございますが、分損と一口にいま私は申しましたけれども、分損というのはいろいろ態様がございまして、半壊半焼の分損もございますし、極端にいえば壁がちょっと落ちたのも分損でございます。そういう点につきまして、まず範囲を明らかにしなければいけませんが、それについての資料がきわめて不足しているわけでございます。それから理論も非常にないので、この十年間、発足以来いつもこの壁にぶち当たったわけでございますが、そんなことを言ったら永遠にこれは解決しないということで、相当大胆な推定を加えるべきではないかということで、われわれはいま損保業界を指導しております。  スケジュールでございますが、夏から発足いたしましていろいろな問題をやっておりましたが、いま言った分損の問題、限度額の問題、三〇%の問題、全部相関連いたします。民間の負担額、政府の財政の話、それから保険契約者がどのくらい負担するかという負担率の問題、全部に関係いたしますので、これを総合的にいろいろなケースごとに、こういう場合幾らになる、こういう場合幾らになる、いろいろなケーススタディをやりました。できれば、希望でございますが、われわれは年内につくりまして保険審議会に付議したい、一応そういうスケジュールで考えております。
  49. 渋沢利久

    ○渋沢委員 その検討は、部長は、半損、一部損壊の場合も支給するということ、そのために必要な手当て、いろいろ相互分担とか言われましたけれども、基本方向は、そういう是正を軸にして年内に検討を仕上げよう、こういうことですね。
  50. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 おっしゃるとおりでございます。
  51. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そこで、検討は検討として、その検討を待たずとも、現在の全壊ということに限定をして考えた場合でも、現在の企業の準備金、それから加入者の保険料の積み立て、そういう財源的な状況から言って、もし仮に、あっちゃならぬことですけれども、大規模な地震が起こったという場合に、加入者はいつでも全壊の場合は支給を受ける資格を持っておるわけなんです。いまの企業の財源的な裏づけから言うと保証できる、支給保証の範囲というのがあるわけでしょう。先ほど言いました全国でおびただしい、五百三十七万が全部まとまって全壊という場合に全部責任を持つようなことができるわけがない。こういう事実も起こり得ないだろうけれども、その限度というのは現状で言うとどういうことになっていますか。
  52. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  ただいま民間の準備金といいますか、従来から入りましたものを全部積んでおります。それから一部いままでに少し払っております。それから、そこから当然運用益が出てまいりますが、それも一般の勘定から分離いたしましてこれを積ましておりまして、五十三年三月現在で民間は六百八十億の準備金を持っております。
  53. 渋沢利久

    ○渋沢委員 六百八十億の準備金で仮にあした全壊、そういう被害者が出た場合には何世帯責任を持って支給できるのですか。
  54. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  ちょっと申しわけございませんが、何世帯ということはお答えできませんので御勘弁願いたいと思います。
  55. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いま六百八十億しか積立金がないということですが、これはつまり法定限度額というのがあるわけですね。これは幾らになっておりますか。法定限度額というのは幾らなんですか。
  56. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 先生承知のように国と再保険をやっておりまして、一兆二千億円までは削減しないで払うということになっております。一兆二千億を超えたら削減するようになっておりますが、そのうち民間は千八百三十七億持つ。したがいまして、千八百三十七億に足りない分はもし一朝事あるときにはいろいろ関係方面から融資を受けるなりして措置せざるを得ないと思います。
  57. 渋沢利久

    ○渋沢委員 伝えられるところによると、いまの準備金をもってしては、つまりいま言う民間の分担の千八百三十七億、一兆二千億のうち国が大部分分担するという形になっておりますが、それにしても、民間の千八百三十七億ですか、そういう負担割合の中で実際には六百八十億しか持っておらぬ、こういう状況ですから、足らぬところは何とかする、こう簡単におっしゃるけれども、現状で言いますとその金のやりくりもつかない、こういう状況があるように言われておるわけですが、そういう心配は全くない、こう言えますか。
  58. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 実は損保、生保を問わず地震対策というのは非常に大きな命題でございまして、話をそらすわけではございませんが、生保の方も試算ですと四兆円から六兆円の金が要ります。それにつきまして財務担当者が非常に苦労いたしまして、外国の債券を買いましたり、日本の有価証券を持っていてもいざというときにはなかなか換価できないので、そういった方面で財産の多様化、国際化を図って有事の際に備えておりますので、その点は私ども責任を持ってお支払いすると申し上げておきます。
  59. 渋沢利久

    ○渋沢委員 もう時間がありませんので地震保険についてはやめますけれども、当面差し迫って、先ほど意見を求めました地震保険の支給条件の是正についてはぜひ早急に前向きの結論を出していただくようにお願いをしておきたいというふうに思います。  残った時間若干建設省にお尋ねをしたいのは、宮城沖の地震の経験から言いまして、特に東京のような超高層ビルを含む大都市での建築の中で、特に耐震基準のありようが一体いまのままでいいだろうかということが当然問題になってくるだろうというふうに思うわけです。その点の再検討は行われておりますか。
  60. 上田康二

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  一般的に申しまして、地震に対する建築物の安全性は現行の建築基準法令によりましておおむね関東大震災程度の地震に対しては安全であるということになっておりますが、最近の幾つかの地震の災害例から見ますと、特殊な型式の建物の場合、非常に壁の少ないいわゆるピロティー型式と呼ばれるような建物の場合、かなり被害が集中的に起こっているという実態がございます。こういう実態に対応するために、建設省といたしましては昭和四十七年以来五年間かかりまして新しい耐震設計の設計方法開発しております。非常に理論的にむずかしい内容を持っておりますので、これを現実の法規の中に取り入れるためにはかなりこれをかみ砕いて利用しやすい形に直す必要がございますので、現在その準備を進めているわけでございます。できるだけ早い機会に建築基準法令の中にこの新しい基準を取り入れたいというふうに考えております。
  61. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この際建設省として、とりわけ宮城沖地震の経験から言って、再検討を要する、見直しを必要としようと思っている問題はほかに幾つかありますか。
  62. 上田康二

    ○上田説明員 お答えいたします。  今回の宮城県沖地震の建築物に関する被害の例としましては、たとえばガラスの損壊とかあるいはブロックべいの倒壊とか幾つかの特徴的な現象があったわけでございます。  こういう問題につきましては、たとえばガラスの破損の問題につきましては建築基準法に基づきます告示を出そうということで準備しておりまして、近くそういう破損の危険のあるような工法は今後認めないというような形で構造基準を直していきたいというふうに考えておりますし、またすでにございますビル等で危険なガラス窓につきましてはこれを改修指導するように現在努めているところでございます。  また、コンクリートブロックべいの問題としましては、構造基準自体の問題というよりは、これが正しく守られていないということに問題があるということでございますので、九月一日の防災の日を一つの契機にいたしまして、現在全国的にブロックべいの安全対策、正しい施工が行われるように、また既存のブロックべいを補強するようにという行政指導を展開しているところでございます。
  63. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いろいろ規制を強化したり、それから決めたことがやられていないからブロックべいなんかはああいう事態が起こるんだからということで監督を強化したりすることもわかるんだけれども、それはそれできちっとやってもらわないといけないが、いまお話になかったけれども、たとえば広告物の損壊による被害などが東京なんかで考えた場合にはかなり想像できる。そのきめの細かい建築構造上の規制を強化するという手だては必要だと思うのだけれども、大都市部での住宅建設の困難な条件、そう簡単に家がつくれない、つくった家を金をかけて堅固なものにそう簡単につくりかえられない条件——そこで本来フロックべいなどでもあの程度のものでは崩れぬでもいいようなものが崩れるという状況も出てきているように思う。監督、規制を強化するという一面と、東京などの大都市部では思い切った耐震性の都市構造、地震に強い都市づくりというようなテーマで本腰を入れてやっていこうというならば、耐震性の建築物を強化していけるような、それを誘導するような建築助成の制度、税制面あるいは融資面、補助面でかなり大胆な助成の施策もあわせて検討しないと、実際は生きてこない。いろいろ通達や指令だけは出すけれども生かされないということの繰り返しになるのじゃないかという心配もある。そういう検討はしておられますか。
  64. 上田康二

    ○上田説明員 先生の御質問の趣旨から言えば、ごく一部の対策かもしれませんけれども、現在すでにでき上がっております建物の耐震点検を行って、これを補強、改修するというような融資制度を新しく本年度から実施いたしております。  一般的に都市全体の不燃化とか耐震化といった問題になりますと、非常に大規模な長期的な対策が必要でございますが、これは都市防災対策の中でそういう都市構造の防災化ということで現在真剣に取り組んでいる状況でございます。
  65. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いま都市防災対策本部と言われましたか、真剣に取り組んでいるという、それはどこか——いま真剣にやっていますという程度の話じゃ困るので、どう具体的にやっているか、そこをちょっと……。
  66. 井上良藏

    ○井上説明員 お答えいたします。  建設省の都市局におきまして都市防災対策を進めておるわけでございますが、従来から進めております施策といたしましては、特に大震、大きな震災が起こった場合の火災による人命等に対する損傷がきわめて問題であろうというふうに考えております。そういうことで従来から地方公共団体を指導しておるわけでございますが、その内容といたしましては、避難地、避難路の確保をするようにということで、公共団体に防災対策の緊急事業計画をつくるようにという指導をいたしておりまして、そういうものに対しましては建設省も優先的に補助事業等をつけ合っていこうということでやっておるわけでございます。  また、来年度の予算要求といたしましては、その避難地、避難路等の安全性を確保しますために、避難地、避難路の沿道あるいは周辺の不燃化を促進するということで、そういう地域で不燃建築物を建てる民間に対しまして補助、融資あるいは税の減免といったような新しい制度を設けようということで防災建築促進制度を要求をいたしておるところでございます。  以上のような施策を進めているところでございます。
  67. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いまの二点のお話の後段の施策、これを積極的に推し進めていかないと、大都市での災害対策の詰めにならぬわけですね。避難路や避難場所もいいけれども、逃げ場づくりの政策、どうも逃げ場づくりと火消しの消防活動に依拠しているというような震災対策では実際生きてこないというふうに思うわけですが、その点で特段の取り組みをひとつお願いしておきます。  時間がありませんので、最後にいま一度重ねて最初の質問を聞きますが、東京の場合は超高層ビルとか、それから地下道、地下街、地下鉄というような地下構造もあって、これは関東大震災級の大地震に対してもいささかも心配のないものだと従来はされてきたわけです。しかしそこはここで思い切って徹底的に見直しをやるということでいまその作業に取り組んでいるということでしたが、これはすでにこういう建築物が存在している中で、現状からいろんな条件を考えると、私は、大胆な検討がどこまでされるか、非常に心配もしながら注目しているわけです。しかし、これは、こんなはずでなかったというようなことが現に宮城でも起きているわけです。あの石油タンクにしてもそうだけれども、あり得ないはずのことが起きているわけで、思い切った検討が必要だ。しかもそれは急いで取り組んでほしい。年内にというようなことでありましたけれども、その点をもう一回最後に伺っておきます。
  68. 上田康二

    ○上田説明員 先生指摘のような方向で現在検討しております。ただ、これは一般の建築の設計者がこれを十分理解して具体的な設計に取り入れていくというためにはかなりのPR期間も必要でございますし、早急にやることは逆にマイナスも多いということも当然考えなければいけないので、新しい法令に取り入れることにつきましては、そういうPR、また技術者の訓練等も十分にやった上で実施したいと考えております。しかし、それまでの間何もやらないでいるかということではなくて、新しい建物についての、非常に特殊な危険度の高い構造物はつくらないような行政指導なりあるいは既存のビルについての耐震補強なり、そういうことは並行して進めてまいりたいと考えております。
  69. 渋沢利久

    ○渋沢委員 最後に、大臣お見えなので、一つだけ伺っておきますが、建設省建設省で、宮城沖のああいう地震が起きると建築研究所が一定の調査をやる、これはまだ報告書もまとまっておらぬようだけれども。たとえば土木研究所は土木研究所で一定の調査をやっておる。それから恐らく通産も、ああいう石油貯蔵庫の損壊というような事態かあって——あれも大変なことなんだ。きょうは通産は来ていただいていないけれども、この関東、東京周辺のコンビナートの状況から言って、いかなる地震にも耐え得るものとして設計したはずのものがああして壊れるというような事態を京浜や京葉コンビナートに当てはめて想像した場合には、本当に背筋の寒くなるような話なんです。これはこれで、通産は通産でやっていると思う。しかしそういうものを本当に総合的に宮城沖地震が教える幾つかの重要な問題点というものを整理して、そしてそれを国の地震対策という形で生かしていくというようなものがどうもできていないような感じがする。建設は建設でやっておる。国土庁ば国土庁でやっておる。第一、そのまとめも時間がかかることおびただしいのだ。何をもったいつけているか知らぬけれども、やたらと時間だけかけている。そして、マスコミの調査団の方がよほど的を射た調査をちゃんとやっておる。似たようなことを追っかけて役所が出してくるだけのことなんで、実に対応が遅い。ばらばらなんだ。まとまらない。だから、実際の予算化や法律改正や行政指導の上で生かされていかない。テンポがおくれるし、狂ってくる。ここを、法律をつくったけれども、実際はそういうまとめる政府部内の指導体制というものが、私は、あの法律ができてからにわかに進んだというようなものをいささかも感じない。ここのところは、ひとつ大臣のお考えと、これからやり方の上で是正していくというものがあれば、ぜひ伺っておきたい。  東京の問題なんかは、これはもうぞっとすることなんです。ビルがひっくり返らない、それは保証すると言ってくれるか知らぬけれども、宮城の例で言えば、あのガラスの破損や広告物や電柱やブロックべいの損壊だけで死者をつくっているような状況を見ますと、これを東京に推し当ててみたら、いや大きなビルは倒れないと言われただけでは全く安心できない事態が、あの宮城沖地震だけ考えても幾つも問題がある。一日もじっとしておれぬはずだ。役所の中で地震というものを担当している役所の方がおいでになるのなら、これは片時もじっとしておれぬような状況が実際にはあると思うのです。そういう意味で、私はもっと積極的なまとめと対応をぜひひとつ見せてもらいたい。最後にその点を大臣に伺っておきたいと思うのです。
  70. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 渋沢委員のいま御指摘の点は、まさに的をついておる点である、私どももよく御趣旨を玩味しなければならない、こう思います。  地震対策は非常に広範な施策が必要であるということはいまさら申し上げるまでもないことでありますが、現在、それでは何ら対応しておらないか、こう言うと、それは少し酷に過ぎると思うんですね。御承知の中央防災会議中心になりまして、いま手元に資料がないので記憶が多少違うかもしれませんが、昭和四十六年当時から大都市に対する震災対策要綱というものをつくって、それに基づいての基本的な行政指導が行われておるわけでございまして、それにつきましては、地震に強い都市の構成、あるいは地震に際しての直接の対策、あるいは地震に対する避難路、避難地の指定とか、あるいはそういうものを地方のそれぞれの都市との連携の上であらかじめ準備をするようなこととか、非常に広範囲にいろいろな対策を講じておるわけでございます。また、訓練もしておるわけでございますが、ただいまのお話の中で、今後、この宮城沖地震の経験にかんがみての、さらに都市に対する地震の対策を講ずる、これはもう全くそのとおりのことでございまして、これらの点につきましては、中央防災会議で横の連絡をとりながら、先ほどから建設省建設省でお答えをいたしましたが、また、通産省は通産省で建築上の欠陥、特にガラスの破損あるいはブロックべいに対してのこれからの基準をどうするか、これはもうどんどんやっておるわけでございます。  また、石油コンビナートに対して一応の基準があったにもかかわらず、なお油の漏洩を来した、こういうようなことにつきましては、これは専門的に現に検討しておるわけでございまして、御批判は、私はそのまま受けていいと思うのです。われわれとして十分その批判にこたえての対策をすべきであると思いますが、しかし、ひとまず現にやっておることは、不十分ながらも対応策を立てておるということは、これはまた御認識をちょうだいしたい、こう思います。しかし、今後、われわれとしてもただいまの御質問の趣旨に沿って十分対応してまいりたい、こう思います。
  71. 渋沢利久

    ○渋沢委員 ありがとうございました。
  72. 川崎寛治

  73. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先般発生しました伊豆大島近海地震、その際に起きましたあの持越鉱山の鉱倖置き場の築堤が崩壊した、あの問題を中心にいたしましてきょうは質問いたしますが、私は、あくまでもこの問題を通じまして、将来このような災害を二度と起こすべきじゃない、また、起こさないために今日までもいろいろとそれに心は配ったかもしれないけれども、今回このような不測の事態が起きた、こういうことを含めまして、やはり全国にまだまだあるこういう捨て石あるいは鉱滓置き場の安全基準についてさらに精度を上げなければならないだろうし、住民の不安を解消しなければならない、そういう意味から、そのような防災の観点から国土庁長官並びに関係の省庁の皆さんの御意見を承りたい、このように思います。  最初に、通産省にお伺いしておきたいのでございますけれども、持越鉱業所、ここの鉱滓置き場、ほうずき沢でございますけれども、このような鉱滓置き場というものは、現行の鉱山法あるいは鉱山保安法、捨石鉱さいたい積場建設基準、このようなもので非常に厳しい厳格な安全基準が義務づけられ、鉱業権者には無過失の責任すら負わされているわけでございます。このような条件のもとでつくられたあの持越鉱業所の築堤というもの、これはすべてこれらの通産省の条件をクリアしていればこそ認可になったと思うのですが、その点をもう一度確認をしておきたいと思います。
  74. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 お答え申し上げます。  現在生きております鉱山あるいはすでに使い古しました鉱山全部合わせまして、全国に約四百三十ぐらいの堆積場がございますが、それらにつきましては、先生いまおっしゃいましたような非常に厳密な認可基準のもとにおいて認められたものでございます。
  75. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の聞いているのは、持越鉱山はこれらの条件を十分に満足したのですかと聞いているのです。明確に答えてください。
  76. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 もちろん持越鉱山のほうずき沢堆積場につきましては、認可に当たりまして十分な審査が行われ、その結果認可されたものでございます。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 重ねて伺いますけれども、認可するからには一応その基準を通過して、安全であるということが確認されたればこそ通産省は許可したと思うのですね。その時点において安全が確認されたのかどうか、それが一点。  もう一つは、地震についてはとの程度——当然これはガルで出てくると思いますけれども、どの程度の地震までということを想定したか。数字的にはガルで出てくると思うのでございますが、特にいま一般国民にわかるように言うためには、やはり震度階級で言っていただいた方が国民はより理解ができると思います。震度階級に換算すれば、どの程度の地震まで安全であると考えて許可なさったか、その点を明確にお答えいただきたいと思います。
  78. 檜山博昭

    ○檜山説明員 ただいまの第一点の安全の確認の問題につきましては、十分安全を確認して認可をいたしております。  それで、その第二点の問題でございますけれども、私どもの方はその認可をする際に震度階ではございませんで、〇・二五あるいは〇・二、こういうふうな水平震度の考え方をとっておりまして、これで大体震度階に換算しますと五ぐらいになるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 次の質問のために、客観条件のために気象庁の方にちょっと伺っておきたいことがございますけれども、いま震度階というお話があったのでございますけれども、これは気象庁からいただいた資料で、たとえば震度四、最近の参考事項としてつけ加えられたところを見ますと、震度四ですと眠っている人が飛び起きるというのですね。恐怖感を覚える。これが震度四でございます。震度五になりますと、立っていることがかなりむずかしい。このような揺れ方で言うと、気象庁の震度階級の説明の中でも震度五といいますと立っていることがかなりむずかしいというのですから、相当揺れるわけでございます。これを前提にいたしまして気象庁にお伺いしておきたいのは、持越鉱山周辺の正確な震度、もしも測定値が明確であれば明確に、震度階級ではわからなければわからない、それで結構でございます。この辺のところ、持越鉱山周辺を震度階級で言ったらどの程度と想定されるか。もしもそれが全然わからないならわからない、それを明確にお聞かせいただきたい。
  80. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  持越鉱山に一番近い気象庁管区の測候所は網代と石廊崎でございまして、御指摘の地震の場合には震度四を観測したわけでございます。ただ、この地震は断層が伊豆大島から伊豆半島の方へ伸びましたために、御承知のとおり稲取付近を断層が通過いたしました。したがいまして、被害もこの断層周辺に発生いたしたわけでございますが、私ども残念ながら持越鉱業所付近には観測をいたしておりませんために震度についての量的な数字は控えさせていただきたいと思います。
  81. 薮仲義彦

    薮仲委員 気象庁にもう一問伺いますけれども、気象庁のデータの中でもしもおわかりになればこの周辺はどうか。重ねて伺いますが、東伊豆町、河津町、この周辺の震度階級は気象庁のデータの中ではどの階級だとお考えですか。
  82. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま御説明申し上げましたとおり、約二十キロから三十キロ離れました網代、石廊崎等で震度四を記録しております事実が一つ、それから御指摘の地点のごく付近を断層が通過したこと、この二点に基づきますと、この周辺での震度は震度四を上回っていたのではないかという想像と申しますか推定はいたしておりますが、何分観測値がない以上量的なことは控えさせていただきたいと思います。
  83. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま客観的にちょっと、東伊豆町、河津町、それから持越周辺というふうに伺ったわけでございますが、なぜこれを取り上げたかと申しますと、時間がありませんので、こちらから確認の意味で申しますけれども、これは国土庁にも建設省から被害の状況については資料が届いていることと思います。それについてただ確認だけさせていただきたいと思うのでございますが、私の手元にあります建設省調査資料、いただいたものでは、東伊豆町とか河津町の家屋の全壊、半壊、これは三百とか、非常な高い倒壊件数で出てくるわけです。ところが天城湯ヶ島町は、家屋の半壊、全壊はゼロでございます。また、天城湯ヶ島町全体を通じまして、これは町にも再三、私確認しましたように、私も伊豆大島近海地震が発生しましてから、河津、東伊豆はもちろんのこと、持越鉱業所へ二度、三度と——持越には私、三度参っておりますが、あの周辺に行ってしみじみ感じますことは、一体ここに地震が起きたかなというほど、道路も損壊しておりませんし、家屋もかわらが落ちた程度のことであって、先ほどの震度階級の五といいますと立っているのはむずかしいなどという実感は天城湯ヶ島町全体の方は持ってはいらっしゃらない。また、それに該当するような被害は、この建設省の資料にもありますように家屋の全壊、半壊はほとんどない。いま申し上げた東伊豆、河津は、伊豆大島で一番ひどかった。いま四を上回るとおっしゃった。五とは言わなかった。それですら半壊が三百九十一とかあるいは全壊が四十九とか、このような形で、大きな数で全壊、半壊という被害が生じているわけです。片や天城湯ヶ島町は全然ゼロだ。少なくとも震度階級で五といいますと、先ほどの御質問の方にもありましたように、五を想定したときの地震というものは、過去日本の国に起きた地震でこんなに家屋の全壊、半壊がゼロですなんという被害経験は一度もなかったのじゃないか、震度階級がもしも五であれば。私のところに、過去の濃尾地震とか十勝沖地震とか、過去の大地震と言われるもののデータがありますけれども、こんな軽微な被害で震度五というものの災害がおさまっている例はないと思うのでございますが、その辺ちょっと国土庁の方に聞くのは酷かもしれませんけれども、一応私が申し上げた天城湯ヶ島町の建設省の資料——きょうは建設省を呼んでいませんので、確認の意味でお伺いしたいのは、私の申し上げた数字は間違いがないかどうか、それから、一般的に震度階級五という被害想定を考えたときに、家屋の全壊、半壊、道路の亀裂等、相当な被害が発生するのじゃないかと思うのでございますが、その辺の一般的なお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  84. 四柳修

    ○四柳政府委員 正確な数字は記憶しておりませんけれども、私ども、地元の県あるいは警察庁、消防庁等から伺った数字につきましては、確かに、東伊豆、河津につきましては地震による被害と、その後、やはり御案内のように後ろの山が崩れたとか、そういった部分が入ると思いますけれども、そういう意味で家屋の被害が非常に多うございましたけれども、その他の町村につきましては、大きな数字は伺っていないと記憶しております。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではいよいよ本論の方に入りたいと思うのでございますが、いまのような客観的な条件をもとにして私が問題にいたしたいのは、このたび政府がいろいろと調査研究機関をお使いになったりして持越鉱山の崩壊の原因について報告書を一冊このようにおまとめになったのでございます。この報告書について、私はまず通産省の基本的な考えを伺っておきたいのですが、私もこれを読んだ限り、この原因についてどういう決定を下しているかというと、堆積場内の液状化によって内部圧が加わって、築堤の設計時点での本来の強度を上回ったので崩壊した、これは設計の段階において想定することは困難であったということで結論づけていらっしゃるわけでございます。  まず通産省に簡単に伺っておきたいのは、通産省もこの政府の報告書の、液状化に原因があったとお認めになるのかどうか、その点、認めるか認めないか、はっきりお伺いしたいのです。
  86. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、原因といたしましては土質による液状化というところに原因があったということでございます。
  87. 薮仲義彦

    薮仲委員 政府がその権威をかけておやりになったのでしょうから万々が一にもその調査結果に間違いはないであろう、こう私は善意に解釈いたします。しかし、私も、先ほど申し上げましたように、こういう土木工学の専門家ではございませんが、現実に静岡に住んでいる一人であります、災害が起きればいろいろなところを飛んで歩いております。震度五における被害というものはどの程度のものか、われわれはわれわれなりに、震度五というのはこのくらいの地震なんだなというのは地震県に住んでいますから実感としてわかっております。  もう一点は、たまたま日大の守屋教授から、このような事実に対して、ちょっと政府の考えとは違いますよということで反論が私の手元に来ておるわけでございます。それを私は一〇〇%云々ということではございませんけれども、しかし私が生活実感として抱いているものと共通する部分が相当ありますので、その守屋先生の理論、また私たちが独自に調査したことをもとにして何点かお伺いしたい、このように思うのでございます。  まず学説的には、この液状化というのは確定的な結論が出されていないということはもう先般御承知のことでございまして、これをいまさら云々するつもりはございませんが、いま一般的に認められている定説といいますかそういうものはどうかといいますと、液状化の起きる客観条件として、一つは、震度階級で言えば震度五以上の揺れが起きた場合、これは日本の過去の地震の例からそういうことになっております。五未満では起きておりません。五以上ということが一つ。それから土質については砂の地盤、砂質地盤、中砂とか細砂、粘土質が一〇%以下の土壌であるということ、それからエネルギーでいきますとマグニチュード七の場合は震央距離が二十キロ以内、こうなっております。四番目には、地盤が水で飽和状態になっている。以上申し上げた四つが客観的にいま認められている液状化の理論だと私は思うのです、、  このことでまず最初の震度五以上という条件についてお伺いしたいのでございますが、その液状化が過去に起きた例が私の手元に来ておるわけでございますけれども、こういう例からしてもちょっとどうかなと思うこともございます。これは日本の国で過去の大地震で発生した地盤の液状化の事実だけ述べてございますが、濃尾地震は震度階級でいくと気象庁の観測が震度六です。関東大震災は震度六です。それから東南海地震も震度六です。福井地震も震度階級で言えば五です。新潟地震も五です。十勝沖地震も五です。五未満、いわゆる五が欠ける数字の地震はございません。しかも、マグニチュードの階級で言えば最低の福井地震でマグニチュード七です。最高は八・三、八・四、こういう階級でございまして、七をほとんど超えておりますが、震度階級でいけば五以下では全部液状化が起きていない、これは事実でございます。  いま事実を申し上げたわけでございますけれども、さらに、過去にこのようないわゆる震度階級五未満の地震でそれが起きていないというようなことから、私はここでちょっと政府の報告書の中でこの震度五というものを何とか理論づける——悪い言い方で恐縮でございますけれども、震度五というものはガルで言いますと八十から最高、上限二百五十ガルである、こういうことから、その二百五十ガルという数値を出すためにどういうふうな理論づけをしたかといいますと、あそこの中では変圧器が動きました、それから墓石が転倒しておりました、これをもとにして転倒率からおおむねそのガルの計算を出されておる、もちろん強震計のこともございますけれども一般的に言ってわかるのは、墓石の転倒率と変圧器が動いたということで出ているわけでございますが、私はこの点に非常に疑問といいますか、特にこの資料、政府の報告書をお出しになるときに挿入なさった墓石の転倒率のデータあるいは持越周辺はどうなんだということで資料をいただきました、これとわれわれが現地調査したものと、墓石の転倒率については非常に違うわけですね。矛盾がある。この中で、特に通産省から私の方にいただいた中では、山村開発センター、ここが転倒率が高いですよということが出ております。これはお寺で出ていなかったものですから最初合わなかった。先ほど御連絡いただいて、これは明徳寺ですということでわかったのですが、ここにお寺の名前が出ていれば、ここだなというのはわれわれはすぐわかるのです。ここにもやはり行きました。ここで倒れているのは、よくお調べいただきたいのですが、造成した部分の墓石は確かに倒れておるのです。しかし、地甘に建っている部分については、転倒率はこのような率ではない。ここの中へお入れになったのは、持越郵便局付近ということでこのように一カ所しか入っていないのです。でも、持越周辺には弘道寺、法林寺、延命寺とかいろいろお寺がありまして、これらのお寺はほとんど倒れていない。また、ここにある中では、月ヶ瀬の嶺松院付近、私どもで調べたところ、これも政府の転倒率と大分違うのじゃないか。現地の人にも行ってもらいましたし、その辺の証言も集めてみました。場所がはっきりしないところは私の方で確認できなかったのですけれども、確認のできるところはほとんどこのデータについて確認したのですが、墓石の転倒率がちょっと違うな、これはまあいまさら云々しても大分日にちのたったことですから私は争う気持ちはございませんけれども、この点には問題がある。  また変圧器にしても、水平加力試験で一・一トンの力によって動き出したからこれは大体二百五十ガルだろう、このような結果を出しておるわけでございますが、これに対しても、われわれ素人が考えてもそうでございますけれども、先ほど名前を挙げて恐縮でございますが、守屋教授の反論の中で言われていることは、いわゆる地震というのは地盤がこう動くでしょう、地盤にある程度傾斜がかかるでしょう、傾斜の状態で力を加えたのと水平で力を加えたのでは相当数値に違いが出てくるのではないでしょうか。これはわれわれ、専門家でなくても、確かに傾斜に力を加えたのと水平で力を加えたのでは違うなという点も考えられます。こういうことからして、私はこの震度階級について政府調査資料の中に多少疑念がある点、まず第一点です。  それから、これも続けて指摘だけしておきますけれども、液状化の問題で、特に土質について流状化といいますか、土質の試験をやっておられます。この数値については、研究室によっていろいろな数値が出てくるわけです。ですから、これはある意味では、政府機関の流状化の試験だけではなくて、やはり第三者的な方の意見も含めて土質の検査というものは——この土質がいわゆる液状化の一番のポイントですから、砂なのか、それとも粘土なのかシルトなのか、この辺が決め手になりますので、この土質試験については、異論がある以上もう一度第三者的におやりになる方がいいのじゃないか。ちょっと私、いま手元に持ってくるのを忘れたのですが、現地から土壌を持ってきて少し水を入れまして、こうやってやってみたのですけれども、われわれが子供時代に扱った粘土と同じ形状になるのですね。ですから、完全にあれに水を含ませますと粘土ということがわれわれ素人には実感としてわかっているわけです。少なくとも液状化というのは粘土では起きない。政府のあれはシルトロームになっています。しかし、シルトロームというのは起きにくいというようなことがいろんな先生方によって指摘されているわけです。ですから、私が指摘したいのは、土壌についてもう一度客観的な意見を求める、いわゆる政府調査というものを権威あらしめるためにそのような異論をやはり納得させるためにも必要ではないかという点。それから、特にシルトロームについては、政府が液状化が起きたと言いますけれども、シルトロームは起きにくいというのが定説になっています。一つは東京大学工学部助教授渡辺助教授のあれでございますが、このいわゆる液状化というのは砂に特有の現象で、粒子の小さいシルトや粘土では粒子がお互いに付着する性質を持ち、しかも透水性が悪いので生じないのであると、ある意味では断定的にシルトや粘土、いわゆるロームには起きにくいとしている。  もう一点は、東京防災会議の東京の地震を想定しての非常に権威のある東京防災会議の資料でございますけれども、これの地盤の液状化現象のところでこのように断定しています。いわゆる粘土及びシルトの名称で呼ばれている土は、一応液状化しないものとみなさなければならないことがここにうたわれているわけでございます。それでこの防災会議のいろいろな手続が進んでいるわけでございますけれども、この土質の検査でもシルトあるいはロームというものは起きにくいとされている。ここでも液状化する土と液状化しにくい土と分けています。この中で、液状化しにくいの中にシルトロームが入っております。  こうなってきますと、やはり私は、土壌の検査というものが非常に大事であって、今後のためにも、やはり第三者的な中立的な立場の方によって土質についてのきちっと説得できるものをやらないと、この政府調査そのものが根底からおかしいんじゃないかという疑いは晴れないと思うのです。そのためにも私はこの土質の客観的な調査というものを要求したいと思いますし、もう一点は、この東京防災会議等でも起きにくいと言っているこのことを根本的にこれは覆すわけですから、先ほど立地公害局長は液状化だとおっしゃった、断定したということは、この東京防災会議ではシルトとかロームは起きにくいということを根本的に改めなければならない問題でございますので、この辺ちょっと局長の見解を伺っておきたいと思います。
  88. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 先生の御質問は大変専門的にわたっております。また、先生があらゆる方面から御勉強なさいましたことにつきましては敬意を表するものでございます。ただ、私どもの方は、東工大の土木工学科教授山口先生をリーダーといたしまして約二十人の各界の専門家を集めまして、この事故調査委員会というものを組織いたしまして延べ約六カ月、会合の数にいたしまして約二十回以上の会合を開きまして、先生のお手元にもございますような調査報告書というものをお出しいたしたわけでございます。そしてその中で、これは先生がまさに御指摘されたとおりでございますが、この電力の変圧器の移動の再現実験それから持越付近の強震計の記録の分析、それから第三点は、先生も御指摘になっておりましたが、墓石の転倒率の調査の解析というようなことから、ガルで申しますと、この付近は大体二百五十ガルであったということを推定しております。これは先生の御指摘になられたとおりでございます。  それから第二に土質の問題でございます。これもまた先生指摘になりましたように、土質の問題はきわめて重要でございます。この委員会といたしましては、ほうずき沢につきましては約二十  一本のボーリングを行いまして、それから八十一のサンプルを採取して分析をいたしております。その結果といたしまして、この持越鉱山の鉱津は粘土分が一〇ないし三〇%、シルト分が六〇ないし八〇%、砂の分が一〇ないし二〇%ということでございまして、これはシルト質ロームという名前をつけて呼ぶにふさわしいということでございます。したがいまして、従来、土質の液状化現象というのは主として砂質土であるというふうに言われていたことば、過去の地震の経験から十分認識されていたわけでありますが、このようなシルト質ロームで、ロームと呼ばれる土質で液状化を起こしたということは初めての知見ではないかというふうに考えられます。液状化が起きたという現象の決め手になりましたのは、堆積場の表面に地震後に噴泥現象が見られたということによって判断をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、全く新しい知見であるということは間違いございませんし、その知見をとるかとらないかというところは、先生指摘のように一つは、どのくらいのガルの振動であったかということが第一点、それから第三点は、その振動のもとにおいてこの土質がいま私の方が報告書の内容というかっこうで申し上げましたシルト質ロームであるのかどうかということにかかっておるということは、まさにそのとおりであると思いますが、この委員会の行いました調査といいますのは、私どもの目から見ましても、少なくとも十分な調査ではなかっただろうか、改めてここでまた調査を行う必要はないのではないかというのが私どもの感想でございます。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃあもう一点、立地公害局長に伺っておきますが、この東京防災会議の中のいわゆる液状化の起きる条件として現在東京理科大学の教授、元東大教授の福岡先生のデータがここに出ております。液状化が発生するときの震央距離、マグニチュード、加速度の関係、これは立地公害局長御存じだと思うのです。これによりますと、伊豆大島近海地震はマグニチュード七です。震央距離で二十キロのところしか液状化は起きないと出ております。このデータについて一言立地公害局長の見解、このデータが覆るわけですけれども、通産省としては——じゃあまとめて聞きましょう。  この福岡教授の液状化の起きる震度七で震央距離二十キロという学説を通産省は壊すのか。それから東京防災会議でもシルトロームは液状化は起きない方へ入っております。これも否定する。そうなってくるのであれば、東京防災会議のこの問題を通産省としてこれは改めなさいと言わなければならない重大な問題を含んでいます。あなたがこれを簡単に否定なさるけれども、これは東京防災会議がこんなに一生懸命やっていることを全部否定する重大な意味を含んでおりますから、その点は心してお答えをいただきたい。  それから噴泥現象が見られるとおっしゃった。これは国土地理院がお撮りになった写真です。十八日から三十日。これのどこが噴泥現象なのか、これは正式な政府の写真ですから、どこが噴泥現象なのか御指摘いただきたい。いみじくも立地公害局長が噴泥現象とおっしゃったので、時間がないからまた改めて質問させていただきますけれども、噴泥現象とはそんななまやさしいものじゃない。一センチやニセンチで二〇%の——政府からいただいた写真があります。これがいま立地公害局長の噴泥現象とおっしゃる写真です。通産省からいただいた。これが噴泥ですよ、一センチか二センチのさらさらさらとあばたのえくほみたいなのが出ております。これとこれと比べてください。これは三十日の写真です。これは十八日から二十日で直後です。全然違うじゃないですか。もっと詳しくお見せしましょうか。  われわれは素人ですけれども、素人写真でもカメラは正確に撮っているのです。これはほぼ数日に近いときの後の素人写真です。噴泥現象と見られるのはほとんどありません。私もここには行きました。これは地震直後に航空写真で撮ったものです。これは解析しても、噴泥現象などというものはほとんど見当たりません。よくこれを御専門の立場で解析していただきたい。私がさっき申し上げた、いままであった新潟地震や何かの噴泥現象の本当の規模というのはどんなものか、簡単にそれを噴泥現象とするには余りにも、これは私は大臣にも見ていただきたいくらいでございますが、これがそうです。こんなに大きいのです。これは新潟地震です。それからこれが十勝沖地震です。明らかにわかるのです。わかるでしょう。このようなものすごいものですよ。エネルギーというのは、そんな簡単なものじゃないはずです。これがこんなに掘れるほど大きいのです、噴泥現象というのは。亀裂を生じ、数メートルの穴があいて、深さもものすごいのです。これは新潟地震の「建築界」のやつですが、噴泥現象がこんなにものすごいのです。この写真と、いま通産省がこれが噴泥ですと私のところにお見せになったものと並べて、少なくとも土壌の専門家の方にこれが噴泥ですよと言ったならば何とおっしゃるか。われわれ素人が考えても、ちょっとこれは噴泥とは思えませんね。  さっきから申し上げたように、震度階級で言ったって、持越の人は地震がそんなにひどいとは生活実感にないのですから。これも噴泥です、こんなにひどいのです、これを噴泥というのですよ。こういうのはいま航空写真にもありましたように、噴泥現象などというものは起きていないと断定せざるを得ない。私は、政府が権威ある研究をなさったのを文句を言うのじゃないが、やはり現在このような堆積場が全国各地にあるのです。こう見ますと、そこに生活している人は非常に危険を感じているわけです。  時間の関係で私は結論だけ申し上げますが、立地公害局長はいま申し上げたように、もしもこれを是とするならば、東京防災会議を初め、このデータを全部覆さなければそれは成り立たない。覆すのかどうか、その点が第一点。  それから、先ほど申し上げた変圧器、土壌の試験はもう一度やる必要があるんじゃないか、こういう点。それからこの写真について御感想があれば一言お伺いをいたしたい。  この三つを局長にお伺いし、まだまだいろいろな問題があるのですけれども、きょうは時間がありませんからこの次に譲らしていただきますが、大臣にどうかこのような危険な事態が発生した以上、新たな条件を加味して、全国の鉱山については総点検をおやりになったと通産省は言いますが、今度防災の立場からもう一度、液状化ということがもしも起きるという断定があったならば、なおさら再点検の必要があるのではなかろうか、この点は大臣にお伺いをしたいと思います。最初に局長。
  90. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷政府委員 私が申し上げることは、一々先生のおっしゃることを否定するようなかっこうになりまして、私としても大変心苦しい感じがするわけでございますが、私どもといたしましては何遍も申し上げておりますように、調査専門委員会というものをつくりまして、その調査の結果に基づいて一つの判断を下したということでございまして、まことに申しわけないのでございますが、今度の調査が非常に不十分であったというふうには考えていないわけでございます。  それから東京都の問題あるいは福岡先生の問題につきましては、私よりはむしろ鉱山課長の方が適任と思いますので、御必要があれば鉱山課長の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  91. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がありませんから大臣の方から……。
  92. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の持越鉱山の鉱滓流出に対して詳細な調査結果に基づき、それに対する数点の疑問点をお示しでございました。  私承っておりまして、私どもの持っておる常識的な見地で判断ができない、相当専門的にわたっておられますので、これはこれで私としては——いま通産省の方としては調査の結果について相当自信のあるお答えをしておりますが、しかし貴重な御意見であって、震度五に対する疑問、あるいはシルト質土である鉱滓が液状化する点についての御疑問、土質についての再調査、いろいろと御提案されておるわけでございますが、これはこれで私は後日のために、でき得るならば御所見に基づくなお十分な検討をすべきである、こう思います。  今回のこの堆積場の災害、これにつきましては、御承知のように二月ですか、各鉱山保安監督局部長に対して総点検の指示がされておる。これはいまの調査に基づいて、こういう液状化を起こしておるから調べよとかいうことじゃなくて、これは地震によってこういう問題が起きたから、鉱滓場について点検せよ、それでその点検はほぼ完了しておると思うんですね。また、それに基づく鉱山保安監督局部において審査、検討をされて、五〇%方終わっておるというふうに聞いておるわけでございます。したがって、そういう調査、点検、それに基づく審査、検討によりまして、この鉱滓の堆積場について、地震時においてその流出等を防止するための対策を十分に講ずる。この持越は持越で原因究明は必要ですが、しかし全般的な鉱滓堆積場に対する対策を講ずる。特に、扞止堤等の安全性を十分確保する。こういうことで対策はやっておるわけでございますから、その方は御理解をいただいて、この持越に対する原因究明等については御所見をわれわれも参考にして、なおよく検討を続ける必要があるのではないか、これが私のただいま承ったところの所見でございます。
  93. 川崎寛治

    川崎委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  94. 川崎寛治

    川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。津川武一君。
  95. 津川武一

    ○津川委員 ことしは一月に伊豆沖地震、六月に宮城県沖地震、そして九月、最近は青森県の西海岸に群発地震が起きておりますし、福島沖にも学者の研究では地震があるなどという発表が出ております。地震対策は、ほっておけない、かなり緻密に進めなければならないと思います。  そこで、この間大規模地震対策特別措置法による新たな防災体制整備をすることになったのでございますが、その整備関係はどの程度予定されて、要求されている予算面でこれをやっていく体制の準備などがどうなっているか明らかにしていただきたいと思います。  そこで、私たちはこの間九月一日に、防災の記念の日に党で震災予防の提言をいたしまして、私も内閣への申し入れに一緒に行きましたが、そのとき震災予防庁をつくる、そうしなければこの状態に間に合わない、そこまで思って政府に申し入れしておるのでございます。新しい特別措置法による体制、予算はどうなっているか、お答え願います。
  96. 四柳修

    ○四柳政府委員 地震法を前提としました明年度の予算あるいは機構の要求ということでございますけれども予算の点につきましては、大変恐縮でございますが、いわゆる予知関係と防災関係とございまして、予知関係につきましては科学技術庁の方で主宰しております地震予知推進本部の方で一応おまとめいただきましたので、その数字は手元に持っておりますが、五十三年度が各関係省庁のものあるいは大学等合わせまして四十一億の予知関係の予算でございましたが、明年度は一応九十億の予算要求でございます。  それから、防災関係につきましては、まだ各省庁の方でもまとめておりませんものですから、具体的な数字はちょっと持ち合わせておりませんけれども、大体そういうふうにやはりそれ相当の伸びをしておると思います。  それから、体制の問題につきましては、私ども国土庁の方で災害対策局の新設要求をしているほかに、気象庁あるいは消防庁とそれぞれやはり震災関係の部の要求等がございます。あるいは試験研究機関におきましても、観測要員等の増加での人員増の要求がございます。
  97. 津川武一

    ○津川委員 そこで、予知関係の予算はわかりましたが、防災関係の各省のをまとめて十九日のこの委員会まで発表ができますか。できたらここで委員会に発表していただきたいと思います。いかがです。
  98. 四柳修

    ○四柳政府委員 詳細のものはまとめかねるかもしれませんけれども、主なものだけでも比較対照させていただきたいと思います。
  99. 津川武一

    ○津川委員 では委員長、よろしくお願いいたします。  そこで、これほどいま大事になってきて、予算もふえる。ところが防災体制でかなり不安な点があるのです。それは大規模の地震のときの救急医療体制です。戦後かつて伊勢湾台風のとき、名古屋市の医療機関が被害を受けて病院、診療所が、自分の病院、診療所の後始末をするだけでほかに手が回らなくて、被災者の医療はほとんど行われなかったことがございます。私たちはそのとき東京から救急医療の応援に出かけておりました。  こんなことがあるのですが、今度の場合、伊豆沖地震では医療機関もやられたのです。特に辺地で負傷者が出たときに、これを医療機関に運ぶ交通がかなり混乱を来している。結局けがした人を医療機関に運ぶのにかなり混乱がある。とにかく運びましたが、かなり混乱があったわけであります。  宮城県沖地震では死者が二十八名、負傷者が千二百十九人に上っております。被災直後この人たちが一一九番を呼んだ、それが二百二十二件。それに対して仙台市の消防局には五台の救急車よりない。二百二十二件の一一九番で医療機関に運ばれて医療を受けたのは二十二人。収容の時点で亡くなってしまった人もおります。  こうした外傷者は、地震の場合一番多いのが骨折、その次に多かったのはブロックべいの下になっての頭部損傷、内臓破裂、これは即刻緊急収容を要して緊急手術をする、こういう急を要さなければならぬ患者の状態、こういう形で千二百十九人。  一方、医療機関がどうであったかというと、医療機関も被害を受けております。健康保険の宮城第二病院、東北公済病院、仙台厚生病院、仙台市立病院、仙台赤十字病院を初めとして、病院、診療所、医院も被害を受けて、それらの医療機関は自分が受けた被害の処置で手いっぱいだった。ガスの供給はとだえておる、酸素ボンベが使えなくなっておる、非常用発電機、これは主として手術のためにありますが、電気がとまったために、全病院にその発電機でやると容量が足りなくて、これで事欠いた。自動化のボイラーが停電で、重油はあってもボイラーが動かない、滅菌装置が使用できない、電話が通じない。そこで病院のあるところでは地震後お年寄りの人や軽い患者さんに一たん帰宅してもらったが、その帰った自分のうちで損害を受けて、飯も炊けないので病院に帰ってくる。けがをした人たちが病院、診療所にやってくる、救急車も来る、地震直後の病院の外来、診療所はそうした患者で実にごった返しの混乱、さながら野戦病院のような状況であった。以上申し上げたことは、日本病院協会のその後の実態調査によって明らかになったことでございます。これが宮城県沖地震の発生した患者被害実態の一部と医療機関の対応の一部でございます。  予想される東海地震、東京、横浜、川崎などの南関東の大地震では被害患者の発生はもっと多いと思われます。そう覚悟しなければなりません。医療機関の混乱ももっとひどいものだと思います。とすれば、地震発生とともに直ちに応急処置を要する患者の治療、収容、これはほっておけない。特別の思い切った抜本的対策が必要になっております。したがって、今度できました大規模地震対策特別措置法のもとでこの体制を整備しなければならぬ。その方針を聞かしていただきたい。政府の「災害救助の実務」、これはことしの一月に出しておりますが、災害のため医療機関が混乱し、被災地の住民が医療の道を失った場合に、救護班でやると言っております。実際上救護班がやらなければならぬと思いますが、その救護班が人員が三人や四人のちゃちなものではいかぬ。私も岩木山ががけ崩れしたときに救護班で出てみたが、骨折した患者に対してはそんなちゃちなものではいけません。たとえば悪いのですが、やはり野戦病院的なものが計画されていなければ、そのための人員がちゃんとリザーブされていなければ、そのための手術のものが、内臓破裂の場合処置するものがちゃんとどこかに支度されて出動する態勢でなければ間に合わないと思います。この点で今度の大地震の臨時措置における対策を組んでいますが、こういう医療体制に対して、どうなっているか、どうなさるのか、お聞かせ願いたいと思っているわけであります。
  100. 山内豊徳

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  この問題は、先生の御指摘の患者の搬送から始まりまして、受け入れ側の医療機関の体制整備の問題、それから最後にお触れになりました具体的な災害救助法における若干の扱いの問題と、三つになっておりますので、後ほど消防庁の御当局からも御説明があろうかと思いますが、やはり基本的に申し上げますと、たとえば現在の災害救助法でやっております措置は、起こった場合の文字どおりの応急の救護班体制を言っておりますが、先生指摘のような抜本的な地域防災計画的な医療版というものにはなっていない点は御指摘のとおりと思います。  実は、具体的な御説明の仕方になって恐縮でございますが、当面静岡を中心に強化地域の指定が行われるであろうということで、ことしの六月ごろから私ども公式、非公式の会合を重ねて、実は何か地域的な応急計画のモデルの中でこの救急医療面で少しのブランが立てられないかと検討はしております。しておりますが、その地域の医療機関の現にある状態とか、また、起こり得る災害の地理的なウェートのかけ方などで、なかなか県の衛生部当局だけでも知恵が出切っていない点がございます。現段階では、近々所定の強化地域の指定も行われますので、もう少し具体的な、厚生省としてもある程度全国に通ずるようなモデル的な緊急医療計画の立て方の指導の基準なるものを見つけたいと鋭意努力はしているところでございますが、まだここで、きょう現在モデルとしてお示しできるものは、私ども医務局においては作成されていない状態であります。
  101. 千葉武

    ○千葉説明員 お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、大地震のときには負傷者が多数出ます反面、それを搬送するにつきましても、非常に交通渋滞等が起こりますので、そもそも医療機関に運ぶことすらむずかしい、こういう事態が起こることは十分予想されることでございます。したがいまして、私どもは消防機関における救急体制を充実することはもちろんでございますけれども、他面、自主防災組織というものをたとえば小学校区単位につくっていただきまして、地域の住民の方がそういった自主防災組織の中で、たとえば医療班というような担当をつくっていただきまして、そういった住民の方がまず最初は負傷者の手当ては御自分でやれるような体制をつくったらいかがかということで、実は指導をしているわけでございます。  と同時に、そういった医療に限りませんが、その他の水とかあるいは消防のための資器材とかそういうものも必要になってきますので、そういうものにつきましてもひとつ全般的に何か自主防災組織が活用できるような、そういったいわば防災センターと申しましょうか、こういうようなものを来年度から一つモデル事業として整備したいと思いまして、実はその関係の予算を関係当局にいま要求をしているところでございます。
  102. 津川武一

    ○津川委員 これは委員長にもお願いして、委員会としてもやはり救急医療の体制をつくってみたいと思いますが、もう一つ指摘しておきたいのは、関東大震災。あの上野の山に集まった避難民、東大の構内に集まった避難民で一番困ったのはうんこ、おしっこ、医療でも何でもない。そういう点での処理場もやはり考えていくことが大事で、一番の問題はそこだったのです。これは東大の学生たちが物を持ってきてスコップで処置してやっと難から免れたということがあります。それはそれでいい。  そこで、今度は仙台の実際の場合のことをもう一つ聞いてみます。  伊豆大島近海地震のときは死者は二十五名、負傷者は二百五名、宮城県沖地震のときには死者二十八名、負傷者、さっき話したとおり千二百十九名。これを救助法による医療救助は、伊豆大島の場合は入院二百八十五人、通院四百七十二人、七百五十七人に適用されています。一人当たり九千円支給されている。ところが、宮城県沖地震では適用なし。どうしてこうなったのか。恐ろしい状態ができたんです。皆さんのあれによると、十四日までは外傷を入院させるといって、条件によってはそれを延ばしてもいいという緩和条件もあって、百沢のがけ崩れの場合は十四日以上の者もやってもらったのですが、宮城県の場合適用が一例もなかったというのは、これはどういう意味なんです。なかったのか、なぜこうなったのか、自後こういうことをどうするのか、厚生省から方針を聞かしてもらいます。
  103. 山内豊徳

    ○山内説明員 お答えいたします。  この点につきましては、先生も先ほど御引用いただきましたように、災害救助法におきますところの医療という表現でございますが、救護活動については、現地の医療機構が混乱を生じた場合に知事が発動するという前提になっておりまして、端的に申し上げますと、宮城県沖の地震に際しては宮城県知事の方でこの災害救助法による医療の措置を発動しなかったということでございます。これについては数量的なもので表現しがたい点もございまして、伊豆大島沖の場合は確かに先生指摘のような規模で医療が対象になっておりますが、医療機関の分布状態その他から見て、必ずしも患者さんの数、入院の延べ件数だけでは比較できない点もございますので、ちょっと先走った御説明になるかと思いますが、私ども県当局と二度ばかり実はかなりその点の詰めをやったのでございますが、今日まで県としては、災害救助法にいう救護班活動を適用しなくてもよい状態であったという判断で法の適用をしなかったということでございます。
  104. 津川武一

    ○津川委員 これは、厚生省、とんでもない話だよ。宮城県の知事は県議会で何と言っているかというと、他県の医師の応援を受けて体育館などを使用して救急医療をやった場合にだけ適用するというのです。私たち仲間の病院が外から医療応援に出ている、それでも適用していないのです。実態を調べて、もう一回、どう指導するのか、これを明らかにしてもらわなければならぬ。百沢の土砂崩れのときも、県も皆さんも十四日で入院をとめたんです。ところが、実態はそうはいかない。これを指導する通達などがぜひぜひ必要になってきたと思うのです。  この中で、庄子さんという女の人がどのくらい医療費を負担しているかというと、仙台市立病院に入院して、地震が起きてから八月十一日までの入院費用が六十五万三千八百三十円、このうち本人負担が十九万六千百四十九円になっている。これに対して政府も宮城県も災害救助法を適用していないという、こういう状態なんです。重ねて事態をよく調べて問題のあり場所をこの委員会に報告して、政府として各地方自治体にこういう場合の医療救助を災害救助法でやる方針を、二週間というのがぎりぎりあるけれども、あのとおり皆さんが出している通達にあるように明示して指導すべきだと思うのです。重ねてお伺いします。
  105. 山内豊徳

    ○山内説明員 これは宮城沖地震に限らず、地震という形での災害時における災害救助法の適用といいますか、運用問題については、それ自身その都度その都度積み重ねの経験でございますので、率直に申し上げまして、宮城県におけるいろいろな救助法の運用については、事態をもう少し積み上げて、私どもなりに将来の備えとしては研究したいと思っております。  ただ、宮城県知事のそういった判断については県議会でもかなり問題になっているようでございますけれども、私どもとしては、この法体系が一応県知事の発動ということでゆだねられております手前もありまして、そのこと自体を改めて吟味し直すということは、事実行為として終わったということもございまして困難な点もございますが、先生の御趣旨はよく踏まえて事態の調査に当たりたいと思います。  なお、医療費負担がかなり高額になるというところから、何か救助法の適用によってこういった場合の医療費の、特に本人負担分の軽減が図られないかという点がある意味では先生の御指摘点だと思いますが、こうなりますと、救助法そのものが応急的な救助を、しかも現に救助を要する者に行うという大前提でできておりますだけに、そのことをもって直ちに、たとえその救助法の発動があったとしても、十四日ということは実は炊き出しに比べますと長い方でございまして、炊き出しその他は七日のところを医療に限り十四日にすでに基準自体が長くなっておるところもございまして、先生の御指摘のように十万を超える自己負担を直ちに救助法によって置きかえることができるかどうか、そこまで研究がいけるかどうかについては、なお私どもに検討の時間をいただきたいと思いますが、御趣旨の点については、私ども一つの教訓として事態をとらまえたいと考えております。
  106. 津川武一

    ○津川委員 そんな実情に合わないへ理屈を述べてもだめだよ。というのは、これは皆さんの出している文書だ。ことしの一月「災害救助の実務」、いいですか、「重症患者等で、救護班では人的、物的の設備又は薬品衛生資材等の不足等のため医療を実施できない場合には、病院又は診療所に移送し治療することも差し支えなく、また、応急手当後も患者の治癒に要する相当期間引き続き入院させておくこともよいとしている。」と書いてある。二週間なんて何ですか、そんなさもしいことを言うのかというのです。あなたたちはこれを出しているのですよ。いまの答弁どうです。——これは後でまたやります。  そこで大臣、伊豆大島近海地震で死者が二十五名、負傷者が二百五名、延べにして七百五十七回災害救助法で治療しているのです。仙台沖地震で二十八名死んで負傷者が千二百十九名、災害救助法で治療したのが一例もないのです。これでいいのか、政府は地方自治体をどう指導していくのか、ひとつ大臣の所見を伺わせていただきます。相当仙台は問題があったと思うのです。
  107. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 伊豆大島近海地震の災害の場合と宮城県沖地震災害の場合とを比較されていろいろ御所見があったわけでございますが、この当事者が知事であるわけで、当時知事がどのような判断をしたのか、その辺のことをいまここではっきり私としても推察するわけにもいきませんが、しかし結果としてあらわれておることが、津川委員がおっしゃるようにこれはどういうことかという疑問がわく、したがってその疑問を解くために、災害救助法の的確な運用がされたかどうかということについては、私どもとしてもよく検討をさせていただきます。
  108. 津川武一

    ○津川委員 大規模地震が予想されるときにもう一つの問題咲情報伝達防災の問題なんです。国は四十八年度から都道府県防災無線の補助を行って、五十五年度までを目標に全国の県に設置整備を進めてきております。現在四十七県中三十県が整備されておって、三十県のうち八県はいま実施計画中、二十二県が運用されております。そこで、いつどこでどう起きてくるかわからない。したがってまだ残っておる県に早急に防災無線の設置をしてあげなければならぬ。ちょうど各県に中央病院無線という制度があって、これをやると補助を出す、必ずやらなければならぬ、やるように、そういうふうな指導の必要があると思いますが、この点はいかが考えておりますか。五十五年度までの計画全部やれるかどうかという点、これもぜひ明らかにしていただきたいのでございます。  もう一つは、国の助成前に整備した先進県が、その後の技術改善のために施設が古い状態ができてきている、施設更新の時期になってきておりますが、何しろ高いもので、宮城県でも青森県でもこの施設を更新するときに補助が欲しい、この点で補助がないので頭を痛めている。この二点を答えていただきたい。  第三点は、宮城県沖地震、伊豆大島近海地震で防災無線がどんな役割りを果たしたかということをもう一度検討してみたいと思うのです。  伊豆大島近海地震では、機器が破損したままで、財政事情のために故障のまま残しておいて役に立たなかった、使えなかったわけであります。  宮城県では、私たちの書記局長を中心に私たち調査に入ったわけであります。行きましたら、知事が劈頭、開口一番、市町村の防災無線は役に立たなかったと言う。なぜかと言ったら、県と市町村を結ぶ中継地点に、十二も線があるので、これにみんな一斉に来てしまって全然役に立たなかった、もう少し無線の波が欲しい、こういうことでございます。  青森県などは、十勝沖地震があったり、この間の岩木山地震があったりしているので、いま十二を六、六に分けている。宮城県はまだ十二が一本なんです。こういうことではとてもとてもだめなんです。八戸もいま十でぎりぎりなんだけれども、分割したいと思っている。こういう点で、ぜひこれは分割して、防災無線が役に立つようにすべきだと思うのですが、これは今度の地震の場合、また東京・南関東・静岡・東海の場合同じことが心配されます。いま東海地域では皆さん無線の設備の整備をやっていることを聞いておりますが、このままではやはり大規模地震が起きたときに役には立たないので、お答え願いたいと思います。
  109. 千葉武

    ○千葉説明員 お答えを申し上げます。  御質問は三つございましたが、まず最初の現在未整備でございます十七の府県に対して今後どのような整備についての指導をするか、こういう御質問だったと思いますが、私どもは、御指摘ございましたように、昭和四十八年から県と市町村を結びます防災無線の整備のために補助金を交付しております。毎年計画的に取り上げて補助金を交付しているわけでございますが、十七の府県につきましても、現在半分以上のところが調査を完了し、あるいは現在調査中ということでございまして、逐一これらが具体的な計画を持ってまいる手はずになっておりますので、大地震に備えましてできるだけ速やかに整備がなされるように、財政措置とともにそういった計画作成、実行についての指導をいたしてまいりたい、このように思います。  それから第二点は、いままで補助金を受けないで設置した団体について更新をする場合に補助金を出したらどうか、こういう御質問であったかと思いますが、私どもの方は、原則的にはいわゆる未整備の十七の県をやはり最優先に考えたいと思っております。しかし、御指摘のような問題は、実は関係の府県から私どもも実情を聞いております。したがいまして、今後これは個々具体的な実情に応じまして、関係の省とも協議をしてまいりたい、このように思います。  それから第三点で、無線が役に立たなかった、こういう御指摘でございましたが、まあ全部がそういうことではもちろんないと思いますが、一部に御指摘ございましたように波の数が少ないという事情も一つございまして、話がなかなか通じなかったというような事実があったことは確かでございます。私どもも聞いております。  したがいまして、これは基本的には郵政大臣の権限でございまして、私どもの方からどうこう申し上げるということは筋ではございませんが、せっかくのこういった無線がいざというときに使えないということでは大変問題でございますから、そういういざというときに支障なく情報の収集とか伝達ができるように十分配慮をしていただくように、私の方からも郵政省の方にお願いをいたしたい、このように思います。
  110. 徳田修造

    ○徳田説明員 お答え申し上げます。  防災行政用無線局につきましては、その重要性にかんがみまして、郵政省といたしましても、周波数の割り当て等の面で従来から優先的に周波数を割り当てるというふうに配慮してまいっております。最近では五十一年の免許方針の改正の際において、同一の周波数を使います、ぶら下がっております市町村の数を減らすというような措置をいたしております。今後も必要があると認められるところにつきましては、さらにこの周波数の追加割り当てを行っていくというふうに検討してまいりたいと考えております。  このほか、災害時における緊急重要通信の疎通の優先的な確保のために、県庁及び県の支部において一元的に通信の制御を行うというような機能をさらに充実していただくように、いろいろ御指導申し上げたいというふうに考えております。  宮城県におきましては、昭和四十一年度以降、防災行政用の無線局の整備を進めてまいっておるところでございますけれども、今後は、先ほど申し上げましたような同一の周波数を共用いたしております端末の局の数を平均化するといいますか、現在のところは、ある系統は二つ、三つしかぶら下がってない、ある系統は十二もぶら下がっておるというようなことで、通信量がアンバランスになっておりますので、その辺の平均化を図る。それから、先生指摘のように確かに波がないために通信が円滑に行われないというような場合には、波の増波を考える。それから予備電源等、老朽機器があるようでございますので、こういうものを新しいものに改善していただくというようなことを御指導申し上げまして、災害時において通信が円滑に行われる。こういうふうに郵政省といたしましても今後引き続き指導をしてまいりたいと考えております。
  111. 津川武一

    ○津川委員 これは大臣、仙台の場合十二なんです。それで十二の市町村が同じ一つの周波数を便っておる。いま、ひどいところは十五のところもあるのです。したがって、青森県あたりはひどい目に遭ったので六——十二のものを二つに分けているので、そういう点で十分留意して指導していただくことを大臣に要請して、最後の質問に入ります。  それは、青森県の西、日本海岸の岩崎村、深浦町で九月十三日から群発地震が続いております。村では大変心配して、非常に緻密な防災計画を村を挙げて岩崎村ではやっております。そこで、この原因、今後の見通しがどうなるのかを村の人たちに明らかにしてあげることを望んでいるわけです。これが一つ。  第二番目には、今度の特別措置法とも関連して、秋田・山形西部を特定観測地域にいまのとおり指定したわけです。この境界が青森県のどこで秋田県のどこかは必ずしも明らかでないと聞いております。ちょうど県で線を引くと県境のすぐ北のところに今度の群発地震が起きているわけです。したがって、当然観測されると思うのですが、この秋田西部の特定観測地域にすぐ隣接しておりますので、岩崎村、深浦町が入っていると考えてよろしゅうございましょうか。これが二つ目の質問です。  三つ目には、岩崎村と深浦町に検潮所がある。これをいま一つにして深浦町に統括していますが、岩崎に検潮所がまだりっぱに残っている。いま地元で大学の人たちもこの観測をやっていますが、岩崎村の人は、とりあえずこの問題が決まるまでこの検潮所に臨時に地震計を欲しい、そして一応の見通しがついたならば、深浦に測候所があるので、ここに一つどんな形でもいいから地震計を欲しい、こういう要求、お願いなんでございます。  この三点についてお答え願います。
  112. 末広重二

    ○末広説明員 先生の最初の第一点と第三点は大変関連いたしますので、一緒に御説明申し上げたいと存じます。  私ども気象庁は全国の大中小、この小と申しますと、ほとんど体に感じないような小さな地震でございますが、これを全国的に把握いたしますことを目的に整備を進めてまいりまして、本年度でこれを完成する予定でございます。そのうちの一つが青森県の相馬にございまして、ことしの八月から観測を開始いたしております。これが、いま御指摘の群発地震が起こっておりますところから約四十キロ離れております。大変遠いとお感じになるかもしれませんが、大変高倍率の観測所でございまして、いま起こっております群発地震の動向はこの観測所が十分に把握しておるわけでございます。  さらに、第三点でお述べになりました現地での臨時の観測所でございますが、これは東北大学がさらに御研究を、きめ細かいデータをおとりになりますために、岩崎村の村内にすでに四カ所臨時観測点を展開しておられますので、それと現在緊密な連絡をとっておりまして、青森地方気象台、深浦の測候所を通じまして現地に十分な情報を差し上げるべく、この点は遺漏がないかと思っております。  さらに、群発地震が終わりましても、この相馬の観測所はいま申し上げたとおり大変高倍率でございますので、これで十分にあの辺一帯の監視はできるかと思っております。  さらに、現地の住民の方が今後の見通しについて大変御心配でいらっしゃるということは私ども十分に青森の地方気象台から報告を受けておりまして、現在の地震学の学問、私ども技術の許す限りの詳しい、わかりやすい情報を差し上げることによって少しでも御心配を安んじていただくという方向で努力さしていただきたいと思います。
  113. 藤田尚美

    ○藤田説明員 第二点についてお答え申し上げます。  深浦群発地震に関し、この地域が特定観測地域に含まれていると考えてよろしいかという御質問でございます。  地震予知連絡会は五十三年八月に全国的な見直しを行いまして、全国に八カ所指定いたしました。それで、この特定観測地域の境界線というのは明瞭なものではないということでございまして、この地域が特定観測地域に含まれていると解釈することもできます。  いずれにしても現在この地域では検潮所もございますし、現在水準測量も実施中でございます。ということで、特定観測地域と同じ扱いをしておるということでございます。
  114. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、問題の岩崎と深浦、三百年ほど前にかなり大規模な地震があって、十二湖という名称の湖が陥没湖としてできておるのです。百八十年前にまた大地震にやられているので、特定観測地域に入れて観測していくといういまの話なので、私の質問をこれで終わります。      ————◇—————
  115. 川崎寛治

    川崎委員長 次に、干ばつによる災害対策について議事を進めます。  この際、政府当局から説明を聴取いたします。農林水産省佐々木審議官
  116. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 干ばつによる農作物の被害状況とその対策について御報告を申し上げます。  本年は、四月から五月にかけて西日本における少雨が続き、それに続いて梅雨明けが七月上旬と平年よりかなり早く、梅雨期間中の降水量も東北、北陸の一部を除き全国的に少雨の傾向を示しました。  また、梅雨明け以降は、優勢な太平洋高気圧に覆われ、日本付近は安定した夏型の気圧配置となって猛暑、干天が続き全国にわたって記録的な高温少雨の状況となり、中でも北海道、東北地方の高温、東北南部、関東東部、近畿、中国、九州北部地方の少雨が特徴的でありました。  干ばつの状態は北海道、東北、北陸の各地方では八月中旬まで、その他の地域では九月中旬まで続きました。  このため、ほぼ全国的に野菜、水陸稲、果樹、飼料作物などの農作物に被害が発生し、統計情報部による調査によりますと、その総被害見込み金額は約一千三百八十二億円となっております。  被害の内訳を作物別に申し上げますと、最も被害の大きいのは野菜で約四百八十三億円、次いで被害の大きいのは水陸稲で約三百四十一億円、以下、果樹約二百七十五億円、飼料作物約八十二億円、工芸農作物約七十五億円、その他約百二十六億円となっております。  地域別に見た被害の最も大きいのは関東で、被害見込み金額は約五百八十七億円で野菜が半分近くを占めており、その中の県別では茨城県約百七十四億円、千葉県約百十二億円、長野県約八十五億円が被害額の大きな県でございます。  次いで被害の大きいのは東北でございまして、被害見込み金額は約二百六十三億円であり、果樹野菜などの被害が大きく、県別では山形県約八十二億円、岩手県約五十四億円等になっています。  以下中国・四国は約百七十六億円、九州は約百二十二億円、近畿が約九十五億円、北陸約八十二億円、東海約四十四億円となっております。  このような被害の状況に対しまして、農林水産省としてはこれまで用水の確保、計画的な水使用、病害虫の適期防除等の対策を講じますとともに、すでに借り入れた制度資金の償還条件の緩和及び農業共済金の仮渡しについて被災農家の実情に応じて適切に対処するよう関係機関に対し指導を行ってきたわけでございますが、このほか、消費者対策といたしまして、供給不足が懸念される野菜について野菜出荷促進事業を実施し、その供給の確保に努めているところでございます。  今後の対策といたしましては、天災融資法及び激甚法を発動することといたしまして所要の手続を進めるとともに、自作農維持資金災害枠の設定についてもあわせて検討することといたしております。また、このほか干害応急対策事業への助成については実施状況の把握に努めるとともに、過去の例等を参考にしながら積極的に検討してまいりたいと考えておるところでございます。  以上をもちまして干ばつによる農作物の被害状況とその対策について御報告を終わらせていただきます。     —————————————
  117. 川崎寛治

    川崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  118. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、ただいま報告がありました農作物の被害並びにそれに関連をする諸問題について質問をいたしたいと思います。  まず、本年は多くの被害がありましたが、その被害についての特徴というか、そういうものについてそのあらましを、先ほども報告があったけれども、農作物、山林原野あるいはその他という形で、農作物だけじゃなくて、なおその他にも被害があったはずでありますから、その点についての報告を願いたい。そしてまた、それの主たる原因は何であるかということについてもぜひ知りたい。
  119. 四柳修

    ○四柳政府委員 本年一月以降の現在までの主な災害、その原因と対策ということでございますけれども、一月に御案内のように伊豆大島近海の地震がございました。これは地域は非常に限定されておりますけれども、東伊豆あるいは河津といった関係町村の被害が非常に甚大でございましたので、関係町村を中心に主として中小企業関係の局地激甚の指定によりまして中小企業関係の特例措置を講じております。  次に、六月になりまして宮城県沖の地震がございまして、これは御案内のように震源は金華山沖でございますけれども、同様にやはり相当大きな被害がございました。特に宮城県の仏台市を中心としました関係地域の住家の倒壊あるいはブロックべい等の倒壊による人的被害等もございましたが、具体的には伊豆大島同様に中小企業関係の被害者に対しまして、全国激甚の指定によりまして融資等の措置を講じたほかに、罹災者に対します公営住宅の補助の特別措置が同様に講じられております。  さらに、六月十日から七月にかけましての豪雨がございました。これは新潟県、福島県あるいは九州の長崎県等、各県で、短時間ではございましたが、豪雨によりまして中小河川の決壊ですとか、あるいは農地の埋没ですとか、そういう状況によりまして、これも関係県地域一丸としました全国激甚の指定によりまして措置を講じております。具体的には農地等の災害復旧に対する補助の特例、あるいは天災による被害農林業者に対します資金の融通の特例、さらには土地改良区等の行います湛水排除事業に対する補助の特例とかあるいは養鯉事業に対する災害の助成の特例ですとか、その他幾つかの措置を講じておりますが、これも一応全国激甚という形で措置してございます。  さらに、ただいま議題になっております七月上旬から今日までにかけましての干ばつの問題がございます。これもただいま農林省の方から御報告がありましたような関係地域がございます。  その他局地的ではございますけれども、新潟県の妙高付近の地すべりの災害等がございました。
  120. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣が時間で、大体二時半ごろ去られるようですから大臣に質問をしますが、今度の災害は、先ほど佐々木審議官から話があったように、農村だけでも千二百八十億というような相当な額であります。しかもそれは各県にまたがっているわけでありまして、そういう点で天災融資法あるいは激甚の指定、こういうものについて早急にこれを指定して、そして災害農家に不安のないようにしてもらいたいと思うのですが、この点については、本委員会を通じて法律の改正をするという形でこの臨時国会の中で改正案がもうでき上がっておる。それと同時にこれを早急に実施をして不安のないようにしてもらいたいと思うのですが、この点について大臣から答弁をもらいたい。
  121. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 最初に天災融資法及び激甚法の一部改正の件でございますが、これはあわせて改正を行う予定でございます。  それから激甚法適用につきましては、現在予定地域といたしておりますのは山形県、茨城県、群馬県、千葉県、大阪府、和歌山県、鳥取県、広島県、山口県、徳島県、佐賀県、長崎県、大分県を考えております。
  122. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはぜひ改正と指定を早急にしていただいて、その実施も六月一日以降の災害についてということになっているようでありますが、六月以降の災害が非常に多いわけですから、ぜひそのような取り扱いをしていただきたい。  そこで、国土庁の方にさらに質問しますが、今度の災害の特徴というものについて、どういう特徴があるかということについて調査をされたことがありますか。
  123. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 先ほど国土庁の四柳審議官から御説明ございましたように、本年に入りまして数多く災害がございますけれども、私農林水産省でございますので、農林水産関係に影響のあった災害ということで申し上げたいと思いますが、本年の災害の特徴は、一言で申しますと、伊豆大島近海地震、それから宮城県沖地震といった二つの地震による施設中心被害、しかも地域の限定された災害というものと、それからもう一つは、四十八年以来五年ぶりの干ばつによる農作物中心被害でかつ地域もほぼ全国にわたった災害という二つの特徴を持っておるのではないかというふうに考えます。
  124. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまお話になったとおりで、ことしの特徴は、従来ならば台風の常襲地帯が被害があるのに、ことしは干ばつによって従来被害の少なかった地域被害が多いということが特徴だと思うのです。  そこで、干ばつというものを、単に雨が降らないから、それでは雨を待つだけで問題が解決をするかということについて、これはぜひ考えてもらわなければならないことがある。たとえば東京で給水制限をした。福岡でも給水の制限をした。これはどういうことかというと、水源林の里山が切られてしまった。つまり開発による水不足というものが大きいのではないか。この点は国土庁に考えてもらわなければならないことだと思うのです。そういうことについては考えていますか。それはどうですか。
  125. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘のように、ことしの干ばつというのは非常に全国的なものでございまして、確かに里山の方の問題もあろうかと思いますけれども、もちろん山奥の方で、ことし比較的台風が多うございましたけれども、その台風がどちらかといいますと水源地域の方を避けて通ったといいますか、そういうことによってせっかくの水がたまらなかったということもあったかと思いますが、御指摘のような点も一つの原因であろうかと考えております。
  126. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私はやはり干ばつを雨を待たなければ処理ができないということでは、これは対策にならないと思う。これは後で問題にしますけれども、いま言ったように、里山の乱伐というものはやはり水を非常に問題にしているということをここで指摘をしておきたい。  畑作の問題については、これは後で同僚の委員の方から質問がありますから、私は主として果樹に関する災害を質問をしていきます。  農林水産委員会調査として、あるいは社会党の現地調査の中で問題になったことが幾つかあります。  まず青森県のリンゴに関しては、特にデリシャス系のリンゴが六月ごろに落果をする。そしてそれと関連をして腐乱病が出る。こういう形で大変青森県のリンゴの被害というものは大きいのです。山形県のサクランボあるいはブドウのデラウエア、こういうものは現物にして六割減、価格にして約半分、こういう形ですから、大変この被害が大きい。それから茨城県の場合には長十郎のナシでありますが、これを中心にした被害というものも相当のものであります。  この三県に一つの例をとってみますと、これは政府の一定の指導のもとにこの果樹が植えつけられているということが一つの特徴なんです。昭和三十五年以来農業基本法の成立、果樹振興臨時措置法等々を通じて、あるいは稲作の転換、それから今度の減反という問題を通じてみても、永年作物として果樹に移行をしていった経過があります。農民が勝手につくった面もないとは言えないけれども、この点については、やはり政府主導のもとで作付を転換をして、そこに被害が起こっているということで、果樹に対する一定の補償措置というものがとられてしかるべきじゃないか。青森県のリンゴに関しては三十五年以来余り面積がふえておりません。けれども、山形県のブドウなどは三十五年以降大変な面積のふえ方であります。特に茨城県のナシについては、三十五年から今日まで約三倍面積がふえている。こういう状態であるわけですから、これに対する被害が大きい。このことはやはり果樹農家に対して、一定の定着したものに対してこれをさらに安定をさせていくという意味において、先ほど大臣から指摘のあった天災融資法及び激甚指定というものをぜひ早くして、農家の生活と再生産を確保できるようにしてほしいということがまず問題でありますが、これについて農林省の方としてはこの果樹の災害についてどのようにとらえられているのか、まず農林省からお答えをいただきたいと思います。
  127. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 ただいま御指摘がございましたように、果樹は選択的拡大の対象作物ということで、政府もこれを奨励し、逐次拡大をしてまいったということは御指摘のとおりでございます。  天災融資法等の発動をすべきであるというお話でございますが、たとえば青森のリンゴにつきましては、梅雨前線豪雨等の一環といたしましてすでに天災融資法を発動いたしておるわけでございます。なお、政府といたしましては、こういった果樹の災害に対する災害対策といたしまして、一つには四十八年以来果樹共済制度というものを本格的に実施いたしております。そういった共済の制度を通じまして果樹農家の経営の安定を図る、また一たん災害があれば天災融資法その他の法律によりまして所要の資金の融通に努める、こういったことで対処してまいりたいというふうに考えております。
  128. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういう努力はぜひしてほしいわけですが、農家の立場に立ったときにはさらに切実な要求があります。自作農維持資金というものの枠をさらに拡大をして経営資金と生活資金、こういうふうに分けていくとこれは両方ともぜひ必要なわけであって、それで一方においては生活をするための金、もう一つは再生産のための金、さらに前に借りた金、いろいろな金を借りているから、それを借りかえて何とかしていきたい。こういう果樹の農家というのはかなり施設に金がかかるわけですから、そういう点では金も入るけれどもかかる率も多い。だから被害があるとその被害は大きいですから、そういう点についての考慮をされておるかどうか、この点についてもさらにお伺いをしたいと思うのです。自作農維持資金その他の金に対する資金の問題……。
  129. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 お答えする前に、果樹農家の借入金の状況について簡単に御説明をしたいと思います。  農家経済調査によりますと、昭和五十一年度における果樹農家の借入金は平均いたしまして百九万円、うち制度資金が三十九万円でございます。これを全農家平均と比較いたしますと、全農家平均では借入金は百一万円ということでございまして、それほど大きい差があるということではございません。  なお蛇足でございますけれども、貯蓄は一戸当たり六百七万円ということでございまして、これも全農家平均とほぼ同じ水準でございます。  一般的にはそういう状況でございますけれども災害がありました場合には御指摘のように天災融資法によりまして再生産のための資金を貸し出す。それからまた生活上の資金に対しましては自作農維持資金によって対応していく、こういう形になっておるわけでございます。  また、すでに借り入れておる資金の償還条件の緩和の問題でございますけれども災害被害を受けた農業者がすでに借りておる制度資金の償還が困難であるという場合におきましては、たとえば農林漁業金融公庫資金については被害者の実情や被害の程度に応じまして中間据え置きを設定するといった貸付条件の変更ができることとなっております。  また、農業近代化資金につきましても法令の範囲内で償還期限、それから据え置き期間の延長ができるということになっておりまして、私ども災害の発生の都度関係機関に対しまして被災農家の実情に応じてこういった緩和措置を適切にとるように常々指導しておるところでございます。
  130. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農災法に関連して質問しますが、四十八年に果樹の制度ができましたが、この制度が新しいために十分に浸透していないのかあるいは制度自体に欠陥があるのか、農家がこの災害補償制度というか、その制度に余り加入をしていない。だから災害があっても、これを概算払いをしてくれと言ってもこれは払いが少ないということになります。この点はもう四十八年からかなり時間がたっているから一遍総括をして、なぜ農家が入らないのか。これは農家の方に問題があるのか、制度に問題があるのか。それとも浸透をすることについて欠けたところがあるのか。これはどういうふうにとらえていますか。
  131. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 果樹共済昭和四十八年に発足いたしまして五年目になるわけでございますが、加入率は低いながらも年々上昇はしてきておるわけでございます。  ちなみに申し上げますと、引受初年度であります四十八年度の収穫共済の加入率は一三・八%でございましたが、五十二年度には二二・四%まで上がっておる。それから樹体共済につきましては引受初年度の四十八年度には五・八%でございましたが、五十二年には八・二%まで上昇しておるということでございます。ただ、もちろんその加入の水準は非常に低いわけでございます。これは平均的にも低いわけでございますけれども地域によってもかなり差がございますし、また樹種によってもかなり加入率に差がございます。こういう状況でございますが、やはり制度発足後五年といいましても、農作物あるいは蚕繭共済に比べましてまだまだ歴史が浅いという問題がありまして、制度の仕組みや内容について関係者に十分理解されていないという点が大きいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  また、それ以外にその樹種や地域による加入率の差というのは、やはり被害発生態様がそういうものによってかなり異なっておる、あるいは産地間であるいは農家間の栽培形態とか栽培技術に格差がある、こういったようなことがかなり影響をしておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  五十二年度から、たとえば減収暴風雨方式という方式、これは暴風雨だけを対象とした果樹共済でございますけれども、こういうものを導入いたしまして、できるだけ実際の共済需要に合ったような共済方式を新しくやっていくという試みをやっておりますし、それからまた、果樹共済モデル組合等育成指導対策事業というものを実施しておりまして、こういうもので加入推進を積極的にやってまいるということを考えておるわけでございます。
  132. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いずれにしても、果樹共済がまだまだ十分に活用されているとは言えないわけで、農林省としても大いに工夫をして、もっと農家がこれに加入ができるように、そしてまたそれが災害に対する安心のよりどころになるようにしてほしいということを要望します。  そこで、現地へ行ってみると、先ほど災害のときの問題に水の問題があったように、雨が降らなければ水は全然とれないということでは、これはもう何をか言わんやであるが、スプリンクラーなどで水が何とか供給できる、それには常に水を確保する、そういう土木事業なり、あるいは井戸を掘るとかいう事業を起こす。そのために現金の収入が農家に与えられ、同時にそれがまた次の農業の再生産になる、こういったようなことに対する考え方は持っておられるかどうか。
  133. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 干ばつの際に干害応急対策事業といいまして、自主的に井戸を掘りましたり、それから水路をつくったり、あるいはポンプを据えつけるといったようなことが行われておるわけでございます。過去も、たとえば干ばつ年でありました昭和四十八年にもそういう事例がございました。過去におきましても、こういった事業に対して助成を行った例がございます。これから私どもそういう事業実態をさらに詳細に把握することが必要でございますが、と申しますのは、ごく最近までそういう事業が行われておるということで、まだ十分掌握する段階に至ってはおりませんけれども、その掌握に努めまして、さらに過去の例等を参考にいたしながら助成についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  134. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ大事な問題で、ぜひ農林省に努力をしてもらいたい問題は、リンゴの腐乱病、それからブドウの晩腐病、そしてナシのハダニ等々の病気があります。これはなかなか取りがたい病気であって、病原菌がなかなかわからない、こういうことでこれは早急に研究をしてもらいたいことだし、同時に、なかなかこれがわからないということですから、農薬等についてもこれに適応する薬をつくるように努力をしてほしい。しかし、一方消費者側から言えば、残留物の問題でこれまた問題になるわけです。  そこで、山形県あたりの、あるいはまた茨城県の果樹の生産費の中に占める農薬の割合というものは非常に大きいです。この農薬も含めたこういう病害虫の処理問題についてどのような研究をされておるのか、これは大事なことですからぜひ農林省として、あるいは関係省としてしっかり考えてもらいたい。この点はどうですか。
  135. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 農薬の問題でございますが、新農薬の開発を促進するために、農薬登録に必要な資料のうちで、比較的期間を必要とする慢性毒性試験等の実施に必要な経費を補助することにいたしております。本年度予算におきましては、これに必要な予算といたしまして七千三百七十九万九千円を計上しておるところでございます。  具体的に申しますと、五十三年度から三年計画によりましてリンゴ腐乱病の農薬、これについて開発促進を図るために助成をするということにいたしております。なお、五十四年度以降についても、さらに継続して所要の措置を講ずるように検討をしていきたいというふうに考えております。
  136. 竹内猛

    竹内(猛)委員 山形のサクランボに関して、これはいろいろの努力によってビニールの雨よけハウス、こういうものをつくっている。これは最低十五万から、いいものになると七十万ぐらい金がかかる。これによってサクランボはかなり救われた面がある。これをブドウにも適用してくれ、こういう話があるのですが、これは個人のことだからそう簡単にはいかないが、こういうことについての融資とか補助とかいう形で国が指導してきた範囲内においての努力というものはどうされるか、最後にこの問題についてもお伺いします。
  137. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 雨よけハウスでございますが、これは個人施設でございまして、いまの体系のもと補助に踏み切るというにはなかなか問題があろうかというふうに思います。  融資といたしましては、農業近代化資金等の制度もございますので、そういうものを活用して対処していくように指導してまいりたいというふうに思います。
  138. 竹内猛

    竹内(猛)委員 干ばつについての果樹に関しては、おおむね、いまの問題でかなり前進をしているような感じがします。だから、この委員会を通じて国会が終了する段階で天災融資法並びに激甚法の改正をし、それがいろいろな面でいい役割りをしていくことだと思いますが、それについて一層の努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  次いで、これは天候による被害ではありませんが、ともかく転作によってビール麦が米にかわって、農家では米より収入はないけれども、それに匹敵するような生産と収入があるということで、全国の農家がこのビール麦に対する生産を伸ばしてきました。確かにことしはずいぶん伸びております。そういう中で、最近ビール会社が来年度のビール麦についての契約、ことしにもいろいろ問題がありましたが、これはことしよりも少ないというような形である。  ところが、昭和三十七年の段階でいろいろな話し合いがあり、麦芽の自由化の問題のときにも申し合わせがあって、国内麦を重点にする。そして農林省昭和六十年を展望する長期農業計画の中にも国内麦によるところの原料というものは五〇%ぐらいまではやる、こういうふうに見通しをしている。そして本年は七万ヘクタールの麦の生産があって、その中でかなりの伸びがある。そしてこれを毎年一〇%ずつ伸ばしていけば、大体六十年の展望に見合った形になるわけですけれども、これがいま大変問題になっていく、生産者団体、それから酒造の関係の者、そして何回か話が決裂をしている。そういう中で行政の指導として、農林省、それから関税等々で努力をされているけれども、いまどうなっているか、現状はどうなっているか、この点についてお聞かせいただきたい。
  139. 泉田収

    ○泉田説明員 お答えします。  いま先生からお話がございましたとおりでございまして、ことしは七万ヘクタールぐらいの二条麦の作付でございましたが、来年は、府県の計画、これは生産者の計画ということでございますけれども、八万ヘクタールぐらいつくりたいということになっております。これにつきまして再三再四にわたりまして生産者団体とビール会社等の間で協議をやっておりますけれども、まことに残念ながら今日まで合意を見ておりません。  その大きな争点になりますのは、やはり何と言っても内外麦の価格、要するに原料のコスト問題でございますが、価格差が大きいということから、なかなか会社側としては、国産麦を優先して大量に使うということについて難点があるようでございます。そういうことでございまして寸私どもは関係省庁、特に国税庁でございますけれども、たびたび相談をして鋭意進めておりますが、まことに申しわけありませんが、本日まだ決着を見ておりません。
  140. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大体、茨城県では十月二十五日以降、それから全国でも十一月十日ごろまでには来年の麦の作付、種まきをしなければならない。そういう段階でまだ話し合いができていないということ。最終的にはこれは国税庁の方の指導にまたざるを得ない、これが指導の責任の一環だろうと思いますね。今日まで相当の努力をしてこられたことは承知をしておりますが、いよいよこういう段階に来て、農家の方では国の指導で米から麦にあるいは大豆にという転作をする。その中の最も安心したものとして契約栽培のビール麦に期待をかけている。それが面積において一五%ぐらい伸びることはわかるけれども、数量においての契約が十分じゃないというところに実は悩みがある。その点について国税庁の方の一層の努力を求めたいのですが、国税庁の方の決意をこの際聞かしてもらいたい。
  141. 大橋實

    ○大橋説明員 御質問にお答えいたします。  五十四年産のビール麦の作付時期が大変迫っておりますのに対じまして、まだ契約が、見通しが決まっていないということで生産農家が不安を持っておりますことにつきましては私ども十分承知しておりまして、現在、農林水産省及びビール麦生産団体及びビール業界、それぞれの関係者間でいろいろと、早急に円満な打開が得られるような話し合いを進めております。私ども、実質的には昨年よりは改善されるのではないかというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、現在まだ若干の相違点がございまして詰めておりますので、今後とも関係者間で努力するということを約束させていただきまして、善処したいと思っております。
  142. 竹内猛

    竹内(猛)委員 最後に、これはやはり指導される国税庁の方にお願いしたいわけですが、ビールの方は去年も六、七%生産が伸びて販売も伸びているし、ことしは恐らく一〇%ほど伸びているだろうということですね。だからビール会社は損をしているわけじゃない。これはもうかっていると言えばまたいろいろ語弊があるかもしれないが、ともかく損はしていない。そこで、確かに日本のビール麦は原料としては価格は高いことは承知しておりますが、にもかかわらず国の方針として、国内麦を守りながらなおということで歴史的な経過があるのですから、そういう経過を踏まえてぜひ一層の努力をしていただきたいということをきょうはお願いをし、またいずれ次の段階でもう少し詳しい質問をするときを待ちたいと思います。  そこで、時間がありませんから最後の問題に入りますが、これは山の問題に関連をするのですが、茨城県の筑波山のふもとに筑波町という町があります。ここに徳川時代からの共有林がありまして、その共有林が昭和四十四年ごろに国定公園になったわけでありますが、四十七年にはゴルフ場に一部買い取られた。そのゴルフ場は、雨が降れば年じゅう田畑を流し、家屋に被害を与えるということで、その被害の処置に行ったところが、そこのところでまた今度は新しい問題が起こっております。大変びっくりしましていろいろ聞くと、もと田井村の保全林というものは所有者が四百五十名、理事長の武井邦三郎というものの名前によって、きょう本日ただいま——いまごろやっていますが、十月十二日午後一時三十分から小学校で約八十町歩の古い民有林を貸し与え開発をする、こういうことの会議が持たれている。それでいろいろ調べてみると、国士舘大学の兄弟校として鏡泊学園再建設立準備委員会の名をもって、その委員長山田徳という者が千平方メートル当たり一万円の賃貸料を払ってこれを借りるんだ、こういう話になっている。ところがその共有山の定款を見ると、学校に貸すというようなことはどこにも書いてなくて、「共有の山を育て自然を守り、」こういうふうになっているわけですね。そうすると、これは定款に違反をするし大変な問題だということで、いまてんやわんやになっている。  そこで、これは学校のことですから文部省にお伺いをするのですが、鏡泊学園というものが国士舘大学との関連で存在をしているのかいないのか、この点について文部省は調査をされたと思うのですが、どうですか。
  143. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの鏡泊学園でございますが、私ども調査ではこういうものは存在は確認されません。と申しますのは、文部大臣所轄の学校法人の中にはございませんし、文部大臣所轄の学校法人として認可申請されている事実もございません。また茨城県知事所轄の学校法人あるいは準学校法人として存在しませんし、またそれらとして認可申請されていないという報告を茨城県から受けております。  なお、国士舘との関係でございますが国士舘に聞き合わしたところ、そういうものは知らないということでございますが、さらに調査したところ、昭和八年に旧満州開拓従事者のための教育施設として、同じ名前でございますが鏡泊学園なるものが満州に存在したようでございますが、終戦とともになくなっておるということでございます。
  144. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは大変重大な問題でございまして、きょうの会議を見ると、多数決で白紙委任で押し切って貸すことが決まると思うのですね。そうなると、当然開発の申請が始まってくる。いま文部省から言ったように、存在をしない、学校法人か何かわからないものがともかく数を頼んで押し切って、定款に違反をした形で賃貸料を決めて、今度それが開発をするということになると、これは国定公園であるし、民有林ではあるけれども林野に関係するものはやはり林野庁が指導しなくてはならぬことだと思うし、やがては国土庁にも関係をしてきますが、そういう点で山の管理をしている林野庁の方では、こういうところがもし仮に申請をした場合にはどういうようなことになるのか、この点についてのお答えをいただきたい。
  145. 野村靖

    野村(靖)説明員 お答えを申し上げます。  森林法に規定されております林地開発許可につきましては、普通林の場合、その権限が都道府県知事に属しております。御質問の件につきましては、茨城県からの報告によりますと、現段階では林地開発の許可の申請が行われておりません。開発目的、開発規模等について承知していないとのことでございます。  この林地開発につきましては、ただいま申し上げましたように都道府県知事が申請を受けました段階で十分にその内容を審査いたしまして、特に森林が現に持っております公益的機能の維持に支障がないかどうかといったようなことにつきまして、現地の調査も含めまして申請内容を慎重に審査の上、処理をするということに相なっております。
  146. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはもう最後ですが、私はゆうべこの問題について現地の人と話をしたら、現地の代表は東京に連れてこられて鏡泊学園というものを見せられずに国士舘大学を見せられて、満足して帰っていって賛成に回った、こういう話ですが、これは大変なことです。ですから、これは直接被害を受けてはおりません。公害ではないですけれども政治的にはまことに公害ですね。  それから東北方面からの現地調査で、私はリンゴとか洋ナシとかあるいはブドウの写真など持ってきましたが、時間がないからこれはもう出しませんが、ともかくこういった天災に等しい災害、それからあるいは人災にも値するようなそういうものについて、後の二つはこの委員会の仕事だけじゃないと思いますけれども、何とか防止していかなければ大変なことになるのではないか、こう思います。  きょうは、干ばつに対する天災融資法と激甚災害法の改正をして、従来の倍の貸し付けをすることが可能になる、六月一日から適用するということで進められていることについては、ぜひこれを実現して、現段階においての農家の生産と生活に安心ができるようにしてほしいということを再度申し上げて、私は終わります。
  147. 川崎寛治

  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十三年七月上旬以降の干ばつによる農作物被害等について、政府に質問いたします。  本年三月以降の雨不足、また今夏の猛暑と引き続く少雨の異常気象により、全国的に農作物に対する干害が発生し、農業者は被害防止のためあらゆる手段をもって応急対策に努力いたしたところでありますが、その被害はかつてなく膨大な額に達したのであります。  七月上旬の梅雨明け以降、全国的に降雨量が少なく、高温多照に経過したために、北海道、東北、北陸の各地方で八月中旬、九州などその他の地域では九月中旬まで干ばつ状態が続いたことは、先ほど政府からも報告のあったとおりでございまして、皆様の御承知のとおりでございます。このためほぼ全国的に野菜、水陸稲、果樹、飼料作物などの農作物に被害が発生し、この総被害額の見込みが約千三百八十二億円に達したということでございます。  そこで、九月二十九日に農林水産省統計情報部は先ほど報告がありましたような経過を発表になったわけでございますが、今回の農作物の被害野菜が四百八十三億円、水陸稲が三百四十一億円、果樹二百七十五億円、さらに飼料作物が八十二億円というようなことでございますが、今年の干ばつは野菜、水陸稲、果樹の被害が主な特徴になっております。  その後の調査によりますと、私の承知しておる範囲では、九州関係では最終的に福岡県が七億四千二百万、佐賀県が二十五億二千万、長崎県が二十九億二千万、熊本県二十二億六千万、大分県二十八億、鹿児島県が九億二千七百万。九州全体で約百三十二億というように聞いておりますけれども、全国的な最終取りまとめはどのくらいの被害になるのか、これは九月二十九日現在でございますので、どういうふうな見込みになるのか、その点さらにひとつ御説明をいただきたいと思います。
  149. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 先日公表いたしました統計情報部の調査結果は、一応干ばつの被害の進行が終了したという前提で取りまとめたものでございます。したがいまして、最終の数字が先ほど申し上げました千三百八十二億円ということに相なるわけでございます。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産省の統計情報部の報告の後九州は若干ふえているように思うのですが、その点はさっきの報告どおりで異同はございませんか。
  151. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 九州の干ばつによります被害額は、被害見込み金額でございますけれども、百二十二億円、総被害金額の九%ということでございます。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府の発表と私たちの掌握では若干食い違いがあるようですが、これは手元に資料がないようですから、またいずれ検討することにいたしたいと思います。  次に、天災融資法、激甚災害法、これは午後の政府の説明によって発動の方向でいま検討中であるということで、御承知のように当委員会で来る十九日には天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正を行って、会期末の二十日ないし二十一日の本会議で可決という見通しで、融資額も倍に、しかも六月一日から施行というふうなことで進められておりますが、この点はわれわれも評価するわけです。     〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕 特に天災融資法の一部改正の中でも、被害農林漁業者に対する経営資金の貸付限度額の引き上げ、組合等に対する事業資金の貸付限度額の引き上げ、さらには激甚災害法の一部改正では、天災融資の特例措置に係る貸付限度額の引き上げ、中小企業者等に対する貸付金利の引き下げ及び貸付限度額の引き上げ等でありますが、現在経済局を中心資金需要を取りまとめ中と思いますが、発動の見通しは大体いつごろになりますか。
  153. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 現在天災融資法、激甚法の適用につきましては適用を行うということで、準備を進めておるところでございます。  発動の時期でございますが、ただいまも御指摘がございましたように、天災融資法及び激甚法の改正が今国会で予定されておるわけでございますので、できればその改正法の成立と符節を合わせて発動ができるように準備を進めたいというふうに考えております。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 法律が通った後は一日も早くひとつ天災融資法並びに激甚災害法の発動をしていただくように、強く要望いたしておきます。  次に、自作農維持資金の融資枠の確保についてでございますけれども天災資金との関係において検討することになるわけでありますが、貸付限度額の引き上げについて、実情に応じ対処していただきたい、かように思うわけです。と申しますのも、特に青森、山形、北海道等においては、現在の限度額百五十万円を二百万円にしていただきたいという要請が強いわけでございます。政府にもこのことは十分耳に届いておると思いますけれども、こういう強い要請に対してどう対処をされる考えであるか、その点お答えをいただきたい。
  155. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 自作農維持資金につきましては、御承知のように天災融資法の発動と関連いたしまして、災害枠を設定するということにいたしております。  限度額でございますけれども、五十三年度から百万円を百五十万円に引き上げたわけでございまして、一般的にはこの限度額で対応できると考えておるわけでございますが、連年災害を受けた場合でございますとか特殊な事情があるものにつきましては、実情に応じまして関係の県と連絡、協議をいたしました上で適切に対処するようにしたいと考えております。  なお、ただいま御指摘のございました北海道、山形、青森、三県でございますけれども、このうち青森県については私ども特にそういった御指摘のようなお話を伺っておりません。念のため申し上げておきます。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、実情に応じ関係県と連絡、協議をして決めたいということですが、青森県の方も私、要請を受けております。いずれにしても、山形、北海道と青森を含め、要望があれば限度額については二百万円ということも当然考えられる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  157. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 金額につきましては県庁からよく実情を聴取いたしまして、なお大蔵省とも協議をいたしました上で決めてまいりたいというふうに考えております。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 県庁から要請があればぜひとも大蔵省とも折衝して、要望にこたえるようにひとつ御決定をいただくように努力をさらにお願いをしておきます。  さらに、既存借入金の条件緩和の問題ですけれども制度資金については、被害状況に応じ償還猶予措置を政府においては現在指導なさっておられるわけであります。  そこで、公庫資金の問題ですけれども、普通は法定貸付期限以内の償還ということで、かなり短い期間になっております。そこで、今回のような災害でございますので、ぜひとも法定期限いっぱいまで延ばすようにしていただきたいという要請が強いわけですが、この点はどういうように検討しておられますか。
  159. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 公庫資金等の融資につきましては、営農上その返還が可能なような計画を立てまして、それに基づいて償還期間を設定するというのが実情でございます。したがいまして、もし法定期間いっぱい営農上必要であるという事情がございますれば、それはそのように対応してまいりたいというふうに考えます。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 法定期限いっぱい融資されるようにぜひひとつお取り計らいいただきたいと思います。さらに、法的期限いっぱいの農家の場合、債権保全の立場から支払い猶予などの措置で緩和を図る、こういうことについてもあわせ御配慮いただきたいと思うのですが、この点についてはどういうふうに検討を進めておられますか。
  161. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 公庫資金につきましては、そのような措置もとり得るようになっております。
  162. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、近代化資金についても法定限度まで貸付期限を延長し、利子補給を行うようにしていただきたいという要請があるわけですけれども、この点もお答えをいただきたいと思います。
  163. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 近代化資金につきましては、法令の償還期間の範囲内で、実情に応じまして同様に償還期限の延長をすることが可能でございます。
  164. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業共済金の早期支払いの問題でございます。これは災害のたびに起きる問題でございますが、ことしの干ばつは大変異常な干ばつでございましたし、農業共済加入者に対して共済金の仮渡しをぜひ早急にやっていただきたいというのが農民の要望でございます。  去る九月二十六日、農林水産省経済局長は、知事あてに「農作物共済、蚕繭共済及び果樹共済に係る被害に対する共済金及び保険金の仮渡し等について」という通達を出しておるわけであります。御承知のように共済組合独自で国の再保険金の支払いまで仮払いができるわけでございます。しかし、この場合損害評価が終わっていることが前提であることは言うまでもありません。仮払いに伴う資金は共済組合の特別積み立て百八十億の取り崩しを初めとする資金によるわけでございますが、不足の場合は農業共済基金の融資による、そして概算払いについては政令によって七割以上の被害があったとき再保険の三分の二について概算払いができるようになっておりますが、ことしはこのような異常干ばつでございまして、いわば天気による生産調整が行われた、こういうふうに農民は言っておりますが、水稲の全面枯死に対しては七〇%仮渡しをしていただきたい、また七〇%の仮渡しをする、こういう意味の通達と理解していいのか、その点どういうふうに政府は指導しておられるか、この機会に明確にお答えをいただきたい。
  165. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 七割まで仮渡しを行うことが可能でございます。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、干害の応急対策事業についてお伺いをいたしておきます。  地方公共団体における干害対策事業の施行状況を早急に掌握して現在実態調査をしているところでありますが、この実態調査はいつごろまでに調査が終わる見通しでございますか。まずこの点からお答えをいただきたい。
  167. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 ただいまその実態の掌握に努めておるわけでございます。干害応急対策事業は九月いっぱい継続して実施されたという事情もございまして、その後掌握に入っておるということでございますので、なおしばらく時日を要すると思いますが、できるだけ速やかに掌握するように努めたいと思っております。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 おおむねの見当としては十一月上旬くらいまでかかるものなんですか、今月末くらいで終わるという大ざっぱな見通しでございますか、見通しも立ちませんか。
  169. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 今月中には終わるようにいたしたいと考えております。
  170. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は去る八月二十八日から四日間、大分県国東半島、姫島、熊本、福岡県など調査団長として現地を調査してまいりました。その結果一、二の例を申し上げますと、大分県の国見町等では、ため池四十九カ所のうち水がわずかに残っておったのが二カ所です。もっとも国東半島は百年たった老朽ため池が多くて、今回の干ばつでそのため池が役に立たないということがしみじみわかりました。従来から農業はばくちみたいなもので、水は天からもらい水というような農法でしたが、今後の農業のあり方としては、やはり人為的に、何としても灌漑用水の確保をしなければならないことは当然のことです。そういった意味で、もちろんダムの建設等も考えられておりますが、いろいろ地域の実情等もこれあり、早急に地元の話がつかずになかなか難渋しておる状態もございます。しかし、いずれはダムの建設に踏み切るということで進めねばならぬ、かようにわれわれも国会議員の一人として百年の大計からいろいろと協力を惜しまない、かように思っておりますが、当面何としても老朽ため池、明治以来百年の古いため池に対して改修をするなり補強をするなり、また水の確保に十分対処せねばならぬ、かように深刻に各地を回って理解をしてまいりました。  国東町においても老朽化が目立っておりまして、やはり六十幾つもあるため池の中で本当に三カ所しか水がたまっていないという実情で、深刻に改修またはため池の補強を要望しておりました。こういったところは至るところに散見されたわけでございます。そこで、干害応急対策事業として、水路の掘削、井戸の掘削、また動力線の架設、送水管の設置、揚水機場の設置及びその他の用水確保のための工事、また揚水機及び揚水機の付属部品の購入及び賃貸、こういったことについてきめ細かく対策を講じなかったならば将来に大変な問題を残すということが今回の干ばつで明らかになってまいりました。干ばつのたびにいろいろこういったことが論議されますけれども、今度の干ばつは特に激甚な干ばつでございましたので、こういった要請が各地で強いわけです。したがって、緊急、応急の対策の必要性を深刻に私は感じてきましたが、政府も先ほどの干ばつの報告の中で、積極的に対策を講ずる、こういうふうに説明がございました。  そこで、積極的な対策を考えるということはどういうふうに考えておられるのか、具体的にひとつ干ばつ地の農民のために明らかにして、今後二度と禍根を残さないための緊急並びに恒久的な対策を早急にやっていただきたい。また、来年度の予算にも十分反映していただきたい。大事なときでございますので、その点を含めて政府の対処方針を承っておきたい、かように思います。
  171. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 干害応急対策事業に対する助成の問題でございますけれども、過去の事例等を参考にいたしまして検討をしてまいりたいということでございます。  どういったものに対して助成をしていくかという問題でございますが、たとえば地方公共団体、土地改良区、土地改良区連合、農業協同組合、それから共同施行者が実施しました用水確保のための水路、井戸の掘削、動力線の架設、送水管、揚水機の設置等の工事、さらに揚水機及び揚水機の付属品等機械の購入、借り入れ、こういうものに要した経費を対象として過去の事例等を参考にしながら助成について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  172. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産省は、全国のため池が先ほど申しましたように明治以来百年を経たため池が多く老朽化している、それで干ばつの際にほとんど役に立っていない、水がたまっているのは本当にその中のわずかであるというようなことについて、全国的にため池の実態というものはどのように把握しておられますか。私が言ったように認識しておられますか。その点ひとつ今回の干ばつに当たっていろいろ調査をなさったと思うが、その点もあわせてお答えをいただきたい。
  173. 高田徳博

    ○高田説明員 先生おっしゃいますように全国には相当な数のため池がございます。その老朽化いたしましたため池につきましては、農業基盤整備事業の中の農地防災事業の中でため池等整備事業ということで、老朽ため池の整備について事業を行っておるところでございます。  なお、全国のため池の調査につきましては、かつて調査をいたしまして、いまその老朽の激しいところから事業を実施しているというところでございます。
  174. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 老朽ため池が各地にたくさんあることは皆さんも十分御承知だと思いますけれども、こういう干ばつの大変なときでございますので、救農土木的な考えで、この際、干ばつ地においては十分老朽ため池の改修等、また補強整備に当たるように、そういったことの配慮もしてもらいたいと思うが、そういう点についても検討しておられますか、あわせてお答えいただきたい。
  175. 高田徳博

    ○高田説明員 老朽ため池の改修事業につきまして、全国調査をいたしまして、それに基づきまして計画を立てまして逐次整備を実施しておる、こういう段階でございます。
  176. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 はっきりしないけれども、要するに天災融資法、激甚法で指定をされると当然いろいろ救農土木的な問題も起きてくるわけですが、もうすでに被害額も相当出てきておりますし、激甚法に基づく町村の指定等もいずれは明確になるわけで、大体のことは線がわかっておるわけです。私は当然こういったものに対する救農土木的な検討も進めていただかなければ、その場限りの場当たりでは困るという意味で申し上げたわけで、十分検討を進めていただきたいと思います。  もう一点干ばつについてお伺いしておきますけれども、先ほども政府の方から説明があったわけですが、消費者対策として十月一日より一カ月間夏秋野菜の規格外出荷促進事業としての対策を考えている、すなわち供給の確保に努めておりますというような抽象的な答弁でございましたが、この夏秋野菜の規格外出荷の促進事業として、具体的に野菜農家は包装費、それから輸送費をぜひ見てほしいというのが切なる要望でございます。農業団体からも強い要請が出ていることは御承知のとおりですが、政府は、供給の確保に努めている、こういうような抽象的な答弁でございましたけれども、こういった農業団体並びに野菜農家の強い要望であるところの包装費、輸送費を含めてこれらを見る、こういうふうに私は理解したいのですが、そのような理解でよろしいですか。     〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 野菜の出荷促進事業につきましては、夏秋野菜がかなり干ばつによって被害を受けたというところから、秋冬野菜につきましてその出荷の促進を図るということにしておるわけでございます。この時期に出回る主な野菜につきまして、平常時であれば出荷されないような規格外品に出荷奨励金を交付しまして出荷の促進を図る、こういうことを十月から実施いたしまして野菜価格の安定に努めているわけでございます。  その出荷奨励金でございますが、これは、対象野菜はキャベツ、キュウリ、白菜、大根、ニンジン、レタスの六品目でございます。それから出荷の対象地域は京浜、中京、京阪神の三地域でございます。対象数量は当面十月一日から十月三十一日までの間に対象出荷圏から出荷される約六千七百トンというものを対象にしておりまして、その出荷の実績に基づいて包装費と運賃の八割相当額を出荷奨励金として生産者に交付するというのがその事業の内容でございます。  なお、この事業は十月、十一月、二カ月にわたって実施することを予定しておりますが、十一月の事業規模等につきましては十月の実施状況と今後の価格動向等を勘案しながら検討していきたいというふうに考えております。
  178. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの点は一応了解いたしました。ぜひひとつこういった包装費、運送費等を見て十分消費者対策を図っていただくように重ねて要望しておきます。  干ばつ問題は以上で終わりまして、台風十八号問題について若干お尋ねをいたしておきます。  台風十八号については、御承知のごとく小型で被害自体は少なかったわけでありますが、風の被害が多かったわけで、別名風台風、こういうふうに言っておるわけであります。  すなわち、九州北部地方は、各地で二十ないし二十五メートルの暴風雨となりまして、特に壱岐の島では、最大風速三十メートル、福岡で最大風速二十四・四メートル、最大瞬間風速四十六メートルを記録しました。これは、福岡管区気象台開設以来第一位の記録ということで、テレビ、新聞でごらんになったような大変な想像以上の被害であったことは言うまでもございません。  そこで、被害並びに災害状況は、九州、四国、中国、中部の十三県にまたがったわけでありまして、現在政府においても調査中であるということのようであります。ぜひ早期査定をしていただきたい、かように思うわけでございますが、県の報告によると、農林水産関係の被害は総計三百七十一億円となっております。農林水産省は、今月中旬をめどに被害状況の把握に努めており、その結果に基づいて具体的な災害対策の検討に入る考えだと、こういうふうに私は一応聞き及んでおりますけれども、大体この見通しはどういうふうになっておりますか。被害額三百七十一億というのは、相当数字も変わってきているんじゃないかと思いますけれども、その点あわせて総括的にお答えいただきたい。
  179. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 前回の衆議院の農水でお答え申し上げたと思いますが、今月中旬をめどに統計情報部で調査をするということでございましたけれども、本日それを取りまとめまして発表いたしたわけでございます。  それによりますと、台風十八号による農作物関係の被害は、全体で百三十三億円、うち福岡県が五十四億円、長崎県が三十三億円、佐賀県が二十一億円等、九州北部を中心にして、いま申し上げましたような百三十三億円ということになっております。  また、施設関係の被害につきましては、県からの報告、これは九月二十九日現在でございますが、これによりますと、農業関係の施設被害が八十九億円、林業関係が二十億円、漁業関係が二十億円、合計いたしまして約百二十九億円ということでございます。
  180. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 干ばつ等いろいろ激甚災害もあったものですから、台風十八号が何となく陰に隠れたようなかっこうになっておりますけれども、この台風十八号の被害で九州北部に大変打撃を受けたわけです。これに対する被害対策については、政府としてはどう対処すべく検討しておられるか、これもあわせてひとつお答えをいただきたい。
  181. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 対策でございますが、これまで農林水産省といたしましては、すでに借り入れました制度資金の償還条件の緩和と、農業共済金の仮渡しにつきまして、被災農家の実情に応じて適切に対処するよう、関係機関に対し指導をいたしました。またこのほか、農地、農業用施設、漁港、林地等の施設災害につきましては、被害状況の早期把握、復旧方針の指導、応急工事への着手等を実施し、被害の早期復旧に努めておるわけでございます。  今後の対策といたしましては、被災農家資金需要等を把握いたしました上で、天災融資法の発動、自作農維持資金災害枠の設定について検討いたしますほか、施設被害につきましては、現地の準備が整い次第早期に査定を実施して、早期復旧に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 台風十八号についてもどうか干ばつと同様、北部九州等大変局部的な災害を受けておりますので、十分な対処をしていただくように、あわせてお願いしておきます。  時間が限られておりましてわずかになってまいりましたが、以下、桜島と有珠山の問題でたくさん通告いたしておりましたけれども、もう数点の質問しかできないので、残余の問題はいずれ改めてということにしまして、重要な問題だけ若干お尋ねしますことをお許しいただきたいと思います。  桜島の問題で一点お伺いします。桜島南岳は昨年秋以来活動が活発となりまして、ことしに入りすでに爆発回数は十月六日現在二百十二回に達しております。このため、噴石、空振、火山れき、降灰等による農作物、自動車、建造物等に被害が発生し、またことしの夏は噴煙活動が活発な上、晴天続きで連続して東風が吹いたことにより、鹿児島市街地はかつてない大量降灰に見舞われました。台風十八号の際は強風と爆発が重なりまして、火口からかなりの距離、熊本の水俣付近まで、噴出物といいますか降灰があったわけでございます。実情はもう十分御承知のとおりでございますけれども、この桜島の問題については午前中も同僚議員からいろいろ指摘がございましたが、桜島火山活動による降灰量の観測強化ということについて、ぜひひとつ気象庁も今年度予算調査費を織り込むなり、十分考えていただきたいということを要望申し上げたいわけです。  と申しますのは、活動火山対策特別措置法に基づく降灰除去事業を実施する場合、公信力のある気象官署による降灰量の観測数値によることが要求されるわけでございますが、現在の一カ所のみの、すなわち鹿児島地方気象台だけでは、必要かつ十分な降灰量の測定が期しがたいわけでございます。今後桜島火山活動による降灰量の広域的かつ正確な観測のために、地元県でも、鹿児島市、垂水市、桜島町等に新たな観測地を設けて観測体制の強化を図っていただきたい、かように言っておるわけです。  従来私たちはこういった観測体制について気象庁等にもいろいろ伺っておったのですが、気象庁は降灰は領域外というような印象を受けておりました。よく調べてみると、やはりこれは気象庁の所管でありまして、これは当然気象庁が対処すべき問題である。火山予知には積極的であるけれども、気象庁はどちらかというと降灰の観測には消極的である、かように私は思うのですけれども、けさほどから論議された鹿児島の特異な火山爆発状況、また降灰状況から見て、ぜひとも積極的にこのような新たな観測地点を設けるように努力をしてもらいたい、かように提案するわけですが、その点について御答弁を、また政府の見解を承っておきたい、かように思います。
  183. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘桜島の降灰観測につきましては、本年の活動火山対策特別措置法の施行後、建設大臣のお定めになるところにより、すでに鹿児島県及び建設省等で、桜島中心といたしまして相当広範囲で、実際の個所数は私定かでございませんが、御指摘鹿児島、垂水、桜島の三点は当然含まれまして相当多数で実施されておるわけでございます。もちろん私ども鹿児島地方気象台でも、昭和三十年火山活動が活発になりまして以来、火山現象観測の一部として降灰量の観測は続けております。したがいまして、今後私どもといたしましては、現地に防災対策協議会というのもございますので、この場を利用いたしまして実際の観測をなさっていらっしゃいます関係機関とも十分に連絡をとらしていただきまして、降灰観測の方法等に関係いたします情報交換をさらに密にいたしまして、たとえ観測をなさる場所が違ってもあるいはなさる方が違っても同一の質のデータがとれるという方向に協力体制を強化いたしていきたいと思っております。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 個所数がわからぬということですけれども、そういうことだからあいまいなんです。実態をもう少し調べて、ぜひ鹿児島市、垂水市、桜島町等には新たな観測地点を設けていただく。現在の鹿児島地方気象台は風向からいってもちょっと場所がどうかと思うし、また火口からずいぶん離れているということで、地元住民としては果たして観測気象台の位置が的確であるかどうかという不安があるわけです。そういった面で、ひとつこの要望にこたえて的確な観測ができるように、新たな観測地点を設けるようにさらに努力していただきたいと思います。  時間が迫ってまいりましたので、通告しておきました有珠山の問題で二点続けて簡潔に申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。  有珠山については私も四回ほど調査に参りました。ことしもまた新たな爆発がありましたので調査をいたしましたが、御存じのように地層が二、三本壮瞥町の方向へ走っており、また一本は洞爺湖の方にも動いていると言われまして、有珠が移動している、いわゆる地殻変動が起きております。そこで、一般住宅における被害が虻田、壮瞥両町で五十件、一億二千六百万円近い被害額となっております。この被災者に対し、住宅金融公庫の特別貸付制度の活用を図るよう指導されておりますが、現在新築二件、八百万円、改築四件で五百六十万円が貸付実績に出ております。地元では、こういった新築、改築もさることながら、補修工事をぜひ貸付対象にしていただきたいというのが一点でございます。  現在、補修工事は対象になっていないのでこれを対象にしていただきたい。実際申しまして現地の状況を聞きますと、被災者は、先ほど申しましたように地殻変動があるためにいつ落ちつくかわからない、それに地盤が緩んでくるから地殻変動中は新築も補修もなかなか踏み切れないという精神的な問題もあるわけです。御存じのように、もう北海道は大分寒くなってまいりました。冬場に向けて、地殻が移動しておってもいつおさまるか見当がつかぬわけでございますから、早く補修工事を貸付対象にするように、そうして冬に向かっての対策を講じてもらいたい。これに対してはどう考えておるかというのが一点。  もう一つは、ことしに入りまして有感地震は四月一回、五月二回、六月三回、七月に三回、八月に三回、九月に八回ありました。中でも九月十二日はマグマが中央へ出て水蒸気爆発で昨年十二月以降最大のものであったわけでございます。また被害も七億円近い被害を出しております。そこで、自作農維持資金の融通の特別枠の設定をお願いしたい。昨年の災害で限度額の百五十万円は借り切っております。特にことしの被害戸数が七百五十一戸ございまして、三〇%以上の被害をこうむった農家が百六十四戸ございます。これに対して限度額百五十万円とは別に新たに百五十万円の特別枠を考えてほしいというのが一つと、なお農業災害に関連して制度資金の償還猶予を願いたい、近代化資金とか農林漁業金融公庫とかございますが、これをあわせてお願いしたい、この二点でございます。  大きな項目では二つでございますが、時間もあと一分しかございませんから簡潔で結構ですので、ひとつ政府答弁を求めます。
  185. 浜典夫

    ○浜説明員 御説明申し上げます。  有珠山の爆発等に伴って住宅に被害が生じたものにつきましては、いまお話しのような住宅金融公庫からの資金の貸し付けを行うわけでございますが、被害の状況が貸付種別の災害復興住宅資金という特段に有利な条件を満たすに至りましたので、当該災害復興住宅資金の貸付受け付けを去る五月二十九日から始めております。  この場合の融資対象は新既設でございまして、新築はもちろんでございますが、補修も対象となります。  ちなみに、その額でございますが、三百十万までとなっております。
  186. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 自作農維持資金の限度額の問題でございますが、昨年の噴火の際に二百万に引き上げる特例措置を講じておるわけでございます。  今次の噴火につきましても、被災農家の貸付金残高、被災農家資金需要、そういうものを踏まえまして道庁とも協議をし、検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、制度資金の償還猶予の問題でございますが、先ほど来お答え申し上げたようなことをこの場合にも被災農家の実情に応じて弾力的に措置するようにということで、通常は災害の都度そういった指導をしておるわけでございますけれども、有珠山につきましては噴火が常時あるというようなことから、常々そういう指導をいたしておるところでございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 通告した残余の問題は次回に譲るといたしまして、時間も参りましたので、以上で質問を終わります。
  188. 川崎寛治

  189. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、ことし全国的に日本を襲いました干ばつ被害の問題とその対策の問題について質問をいたしたいと思います。  ことしは大変なひでりでございまして、真夏の最中四十五日くらい雨が降らなかったということで人間も大変な苦しみをしたわけでございます。特に農作物における被害は大変甚大なものがあったわけでございます。  私どもの千葉県では三年ごとにございますこういうひでりの際に知事が雨ごいに参る習慣がございます。千葉県は銚子の猿田彦神社というのが非常に雨の御利益があるそうでございまして、お祈りに行きますと雨が降るというのですが、ことしの知事はどうもそういう迷信めいたことはやりたくないというので、農林部長が代参で参りましたら、その翌日ちょこっと雨が降ったのですが、本当の雨は降らなかったわけなんです。中世ならまだしも、現代においてそういう雨ごいをしなければならないという事態は農林水産業、特に農政の中の干害、ひでりの対策としてはやはりいろいろと立ちおくれている面があるのではないか、そういうふうに思うわけでございます。そういう点で、農林水産省のこういう問題に対する適切な今後の対策を望む、そういうような面から質問をいたしたいと思うわけでございます。  最初に、ことしの干ばつ被害の状況につきましては先ほど農林省から配られました統計調査の中で、一千三百八十二億円という農林省の報告、これは従来ですと都道府県の報告の方が、水増し報告ではございませんが、上回るというような例が多いそうでございますが、都道府県の報告でも一千三百四十九億ということでございますから、かなり被害の正確度の高さというものが出ているように思うわけなんです。そういうことから天災融資法の発動の側面は成立しているというふうに私ども思うわけでございます。  もう一つ、資金需要の問題について、その集約はどの程度に進んでおられるか。それから、その資金需要の判断において天災融資法を発動する条件というものは資金需要の面から満たし得ているのかどうか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  190. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 天災融資法及び激甚災害法を適用するための準備の一つといたしまして、目下資金需要調査を行っておるわけでございますが、この調査は各県、各市町村を通じまして、十月下旬に政令を発動することができるように、現在取りまとめ中でございます。
  191. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、先ほど来の同僚の質問の中で、天災融資法の発動の時期というものは、今度の国会に上程されております天災融資法、激甚災害法の改正の成立後直ちにというふうにまあ私ども印象として受け取っているわけですが、それはおよそ十月いっぱいというめどでその作業が進んでいる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  192. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 そのとおりでございます。
  193. 小川国彦

    小川(国)委員 それから同時に、先ほど建設大臣の方から、この天災融資法の発動に基づいて激甚災害指定予定地域というものが、最大の被害を受けている茨城、千葉を初めとして、これらを含めて十三府県発表になりましたけれども、この激甚災害指定予定地域に対処する農林省の準備というものも進められておると思いますが、それは一応完了しているというふうにみなしてよろしゅうございますか。
  194. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 激甚災害の適用地域、また、別に言い方をかえますと、特別被害地域を指定できる都道府県でございますが、これにつきましては、私ども現在検討中でございます。先ほど櫻内国土庁長官からお話もございましたが、大体あのお示しのようなことになろうかというふうに推定いたしておるところでございます。
  195. 小川国彦

    小川(国)委員 これは建設大臣の指定が行われてから農林省の方がそれに対応していく、こういう手順になるのですか。あるいは、建設省農林省の間で協議が行われて、この指定と同時にその措置がとられるというふうに理解してよろしいのか。これは手続的にどういう順序になりますか。
  196. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 激甚災害の適用都道府県につきましては、国土庁と協議をいたしまして決定するということでございます。
  197. 小川国彦

    小川(国)委員 その協議はこれからでございますか、現在進行中ということですか。したがって、建設大臣の指定が行われる予定ということは、それに対応する農林省の措置も作業が行われている、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  198. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 事務的な協議は現在取り進め中でございます。
  199. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほど資金需要の集約はどの程度になっているかということを伺ったのですが、まあ十月下旬をめどにということですが、数字的にはまだまとまっておらないのでございますか。
  200. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 まだ完全にはまとまっておりません。
  201. 小川国彦

    小川(国)委員 何割程度まとまってきているというような……。
  202. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 まだ最終的にはまとまっていないということでございます。
  203. 小川国彦

    小川(国)委員 ただ予想としては、この資金需要の面からも天災法を発動する条件はほぼ具備している、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  204. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 おおむねそのように判断しておるわけでございます。
  205. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、ことしの農作物の被害の中で水陸稲が三百四十一億、果樹が二百七十五億ということでございますが、一番大きいのは野菜の四百八十三億で、全体の三五%を占めているというような状況でございます。この野菜のことしの被害状況を見ますと、まあいろいろ輪作をしてまいりますので、その影響はそれほどではないのではないかというような見方もあるようなんですが、確かに上半期、スイカの成績は非常によかった、しかし、春まきの農作物のサトイモ、ショウガ、ゴボウ、落花生、サツマイモというようなものの被害があり、それから今度、裏作物のニンジン、ハクサイ、大根というもののまきつけ不能があり、今度は後作もののトマト、ナスの植えつけ不能があり、こういう面からいきますと、五〇%以上の減収被害というものが出ているわけでございます。そういう面から、こういう激甚被害の中で一体農家が本当に望んでいる施策というものが行われるのかどうかということが問題になってくるわけです。  そこで、先ほど来お尋ねしている天災法の発動がほぼ確実、それからまた激甚地区には激甚指定も同時に行われていく、こういう見通しがはっきりしてきたわけですが、その中で、問題は貸し出される資金の内容でございます。まず、天災資金についていきますと、これは経営資金に限られておりまして、肥料とか資材とか種とか小農具、こういうようなものを購入する面についてはこの天災資金を借りられる、しかし、現実農家が生活に苦しんでいる生業資金といいますか、生活資金といいますか、その項目がこの天災資金にはない。こういう面がありまして、現実に私、干ばつ被害農家をずっと回ってその要望を聞いてまいったのですが、全国的にも一番農民の要望しておりますのは、これは秋田、青森、山形、あるいは千葉、茨城回りまして、そういう激甚地を回った中でも、やはり生業資金を借りたいんだという声が非常に強いわけなんです。この点については、生業資金に対する対策というものをこの天災資金の中に項目として織り込めないものかどうか、その点の見解をひとつ承りたいと思います。
  206. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 生業資金と申しますが、天災融資法によりますものは再生産を確保するための経営資金だけでございます。それ以外の資金制度といたしましては自作農維持資金がございまして、これは相続、疾病、災害等によりまして農地を売却しなければならないというようなことを防止するための資金でございます。したがいまして、これについては特段の使途の制限があるわけではございませんので、生活資金あるいは一般の生業資金、そういったものにもある程度活用は可能ではないかというふうに考えます。
  207. 小川国彦

    小川(国)委員 実は先日、社会党の調査団で山形のブドウ等の被害調査にも行ったのですが、その中で、たとえば山形県の場合には、一昨年は冷害があった、昨年は晩腐病という病害があった、ことしは晩腐病に加えて干ばつの被害があった。三年連続農業災害を受けているという状況の中では、借金の上に借金という形で推移してきてしまう。そういう状況の中で何が一番望まれるかというと、やはり生活資金を貸してもらいたいということなんです。それからまた、現実に各地の、ことし五割以上の農業災害を受けている畑作農家の状況を聞きましても、実はこの天災資金を発動してもらえることはありがたいことなんだけれども、それは先ほど申し上げたように、いろいろな資材、農具というものを買う資金であって、いま、ことし年間収入が半減した、あるいは三分の一しか収入がなかった、こういう生活に苦しんでいる状況の中でそういう農具や資材の金を借りられても、そういう農具や資材を買っても、これは来年の必要な時期まで寝せておくしかないんだ、農家現実に困っているのは、その間をどういうふうに食いつないでいくかという生業資金が一番苦しいんだ、こういう実態がいずれの被害農家からも出ているわけなんです。問題は、いま御答弁のあった自作農維持資金を使ったらということなんですが、自創資金は非常に手続がめんどうで、農業をやっている者から見るとその手続でうんざりして借りるのがおっくうになってしまう。農家の声としては天災資金の方が非常に借りやすい、手続も簡便であるということから、いろいろな条件も自創資金よりは恵まれている天災資金の中で生業資金、生活資金の項目を設けてそれを貸し出せるようにできないのか、こういう大半の農家現実の希望の声があるわけです。ですから、せっかくこの災害対策として天災法を発動されることばまことに結構なんですが、具体的にその内容の中でそういう農家の望んでおられる資金項目というものをつくっていけないのか、こういうことをお願いしたいわけでございます。
  208. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 自作農資金の手続が非常に複雑であるという御指摘でございますが、自作農資金は一定の原因によって農地を売却しなければならないようなものを救済する、こういうことでございますので、そういう制度の性格からある程度の手続というのはどうしても必要でございます。ただ、そうではございますけれども、私どもとしてはでき得る限り手続は簡素にしていきたいということで、従来も努力してまいりましたし、これからもそういう方向で努力をしていきたいと考えるわけでございます。  それから、天災資金の中に自創資金のような生活資金も含めて貸すようにしてはどうかという御指摘でございますけれども、これはいろいろ沿革もございましてなかなかそう簡単にまいりませんということと、それからこれもそれぞれの制度の性格によるわけでございますけれども、自創資金は金利が四分六厘でございます。元来五分でありましたものを先般の金利の引き下げによりまして四分六厘に引き下げたわけでございます。一方、天災資金の方は確かにそれよりも有利であります三%の資金というのもございますけれども、これは非常に適用条件が厳しく限定されておるわけでございまして、一般的には自作農資金よりもそういった面ではやや不利な形になっておるわけでございます。そういった二つの制度の性格なり、それから融資条件の上での優劣といったような問題もございまして、御指摘の点は一つの御意見であると思いますけれども、なかなか簡単に承認するということができかねるような状況にあるわけでございます。
  209. 小川国彦

    小川(国)委員 これは農林省制度を変えてもらうことですから大変むずかしい問題だとは思うのですが、自創法の場合二十五年の長期返済になる。それから天災融資法の場合は三年ということなんで、片方は短期の返済なんで非常に審査が緩やかで、二十五年の方は非常に厳しい。  それからもう一つは、数年前スイカのウイルス被害が起こった際に自創資金で申し込みましたところが、申し込み者の半分ぐらいしか貸付対象にならなかった、こういう事例もございます。  それからまたことしの災害の場合に、この異常な四十五日を超えるひでりのためにめいめいが井戸を掘った。ところが、井戸を掘る資金は緊急の場合農業近代化資金では間に合わない。事前着工は認められませんから近代化資金では間に合わない。そこで、結局自己資金で、自分の生活資金で井戸を掘った。ところが、この場合には実質的には生活資金で井戸を掘ったわけなんです。ですから、生活資金の穴埋めをしてもらわなければならないのですけれども、これが天災資金対象にはならぬということになってしまう。こういう意味で、ぜひ天災資金で生業資金を貸してもらいたいという声が非常に強いんで、これはせひ今後の検討課題としてお取り組みを願いたいというふうに思うわけです。  それからもう一つは、この天災資金の貸し出しの償還期限が三年ということになっているのですが、農家が一年の収入の半分以上被害を受けた場合、三年で返すということは大変にむずかしいので、これは五年くらいに償還期限の延長はできないか、こういう声があるのですが、この辺について農林省の御見解をひとつ承っておきたいと思います。
  210. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 天災資金につきましては償還期限は三年ないし六年ということでございます。激甚災の指定がございますと、それが一年延びまして四年ないし七年ということでございます。恐らく現実には三年という場合が多いかというふうに思いますけれども制度上はそういう形になっておるわけでございます。
  211. 小川国彦

    小川(国)委員 農家の人の大半の理解が三年になっているというので、私も詳しい規制を調べずにお伺いしたのですが、そうすると実質的には四年ないし七年、最大限度でいけば償還期限はそれでもよろしい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  212. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 ちょっと私御説明が足りませんでしたが、一般の場合には三年でございまして、果樹栽培者それから家畜等飼養者につきましては五年というふうに、経営の態様に応じまして償還期限に差を設けておるわけでございます。
  213. 小川国彦

    小川(国)委員 ですから、それを一般を五年にしてほしい、こういう要望が出ているわけなんですね。これは現実に考えてみましても、国を考えてみても、いろんな国債の償還を見ても、なかなか三年ぐらいで国の起債を返せる見通しはないわけです。まして農家がこれだけの被害を受けた場合には、なかなか三年で返すのは大変だというような実情があって、これは最低限度五年ぐらいにはしてほしいということなので、そういう点をひとつぜひ検討願いたいということです。
  214. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 天災法によります経営資金は、俗な言葉で申しますと運転資金でございます。そういった資金の性格から申しまして、余り長期の償還期間というのにはもともとなじまない性格を持っておるわけでございまして、御指摘の点は長期的な観点から検討はさせていただきたいと思いますけれども、なかなか困難ではないかというふうに考えております。
  215. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、応急干害対策事業と畑灌対策事業について伺いたいのですが、ことし干ばつの後で市町村とか農協、あるいは二人以上が共同で井戸を掘った場合にはその費用を助成するということが行われているわけなんですが、実はこの制度のPRとか周知徹底が非常に不十分でございまして、干ばつのひどいときに実質そういう助成があるということを知らない。干ばつが済んでしまってからそういう制度があるということを知らされて、そういう制度があるならわれわれも井戸を掘ってサトイモでもショウガでも助けることができたじゃないか、そういう悔やみが農家の人たちから訴えられているわけですね。そういう点で、応急とは言いながらこういう干害対策事業、ことしは井戸を二人以上で共同して掘った場合にはこういう井戸掘りの費用の助成ができますよということをもう少し農林省として徹底PRする方法はなかったのか、その点が一つですね。  それからもう一つ恒久的な面では、何といってもこういうひでりに対して常時備える体制というものをつくっていくのには畑地灌漑というものを全国的にもっと徹底させていく必要があるのじゃないか。それには、いま全国の畑地灌漑の必要面積をどういうふうに把握して、そうしてそれに対応して何%ぐらい畑地灌漑が実施され、そして残った面積は今後どういうふうにして畑地灌漑を実施していくのか、そういう展望はどういうふうに持っておられるか、その点をひとつあわせて伺いたいと思います。
  216. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 干害応急対策事業のPRが不足ではなかったかという御指摘でございますが、干害応急対策事業は、全国的にかつ大規模に、非常に干害応急対策が行われましたような場合に、臨時特例的な措置として従来から行ってきたわけでございまして、そうした意味でこれを恒久的な制度にするということは考えておらないわけでございます。やはり御指摘のありましたように、干害に対する恒久的な対策といたしましては、畑地灌漑の実施でありますとか、灌漑排水事業の整備でありますとか、そういった方策によるべきではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点からも干害応急対策事業を今後一つの制度として制度的に位置づけるということは考えておらないわけでございます。  それから第二点でございますが、畑地灌漑の問題でございますけれども、御承知のように、昭和四十八年に閣議決定をいたしました十年間を期間とします土地改良長期計画というのがございます。しかし、この土地改良長期計画におきましては、畑地灌漑の事業量というものを特に特掲して明らかにしておりません。そこで、その事業量をいまはっきりさせることがなかなか困難なわけでございますけれども、その長期計画の積算基礎によりますと、末端圃場条件の整備の一環といたしまして、約六十七万ヘクタールの畑地について灌漑施設を整備するというふうに見込んでおるわけでございます。したがいまして、畑地灌漑の要整備量ということになりますれば、この六十七万ヘクタールということになろうかというふうに思います。また、五十一年度末現在の畑地灌漑施設の整備状況でございますが、これは約十二万ヘクタールでございます。  今後の問題でございますけれども、必要な畑地灌漑事業につきましては、地域の要望に応じまして積極的に推進してまいるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  217. 小川国彦

    小川(国)委員 これは今後大規模な畑灌あるいは小規模な畑灌につきましてもぜひ積極的に進めていただきまして、こういう干ばつに対する日常の備えを進めていただきたいというふうに思います。  それから、次に畑作共済の問題についてお尋ねをしたいわけでございますが、八十四国会農業災害補償法の改正があり、来年の四月一日からこれが実施される、そういうことで、試験実施の作目としてはバレイショ、大豆、インゲン、ビート、サトウキビ、こういうものが一応政令指定の作物というような形で試験実施をされている、こういう状況を伺っているわけでございます。この作目は、どちらかといいますと皆北海道産のものばかりでございまして、私ども内地といいますか、ことしの全国的な干ばつ被害の状況から見ますと、こういうふうに五割以上あるいは七割を超える農業災害のあった畑作農家野菜づくり農家のことを考えますと、当然この政令指定の作物というものも干ばつに対応して考えていかなければならないんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、その点について、農林省として政令指定の作物についてどういうような対策が進められているか、しその点をお伺いいたします。
  218. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 先国会農業災害補償法等の一部改正法が成立したわけでございますが、その一部改正法によりまして、当面御指摘のありましたような六つの作目、これを対象とするが、それ以外に必要があれば政令で共済の対象となる作目を追加指定することができるような制度を設けたわけでございます。もともと北海道に偏しておるということでございますけれども、当初のこの六作目は典型的な大規模な畑作地帯であります北海道と九州、それを念頭に置きましてこの六作目が選定されたわけでございます。今後は必要に応じまして、共済需要があり、かつ共済として仕組むことができるようなもの、しかも農業政策上も共済の対象とすることが必要である、こういったものにつきましては政令をもって追加指定をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、御承知のように、共済事業に仕組むためにはかなりの調査期間が必要でございます。そういうことで現在調査を進めておりますものは、お茶、たばこ、ホップ、イグサ、それから露地野菜の一部、カンショ、落花生、飼料作物、なたね、ソバ、こういったものにつきまして現在調査を進めておるところでございます。
  219. 小川国彦

    小川(国)委員 いま挙げられた研究作目も、畑作地帯のこういう干ばつ被害が生活に与える影響を考えますと、いま申し上げたほかにサトイモとかショウガとかニンジンとか、こういうようなものもかなり大量に現在生産されておりまして、そういうものの被害農業生活に与える影響がかなり甚大なものがありますので、将来こういうものもぜひひとつ研究作目、調査作目に加えていただければ、こういうふうに思います。  それから次に、税の減免対策の問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、この干ばつ被害のためにことしの農家の年間収入というものが半減している農家もあるし、あるいは三分の二以上減じて所得が例年の三分の一を割っている、こういう被害農家も続出している状況であるわけでございますが、これに対して、ことし税金の面ではどういう減免措置がとられるか、大蔵省としての取り組みはどうなっているか、この点をお伺いしたいと思います。
  220. 小野博義

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  所得税は、実際の収入及び経費をもとにして計算した所得に対して課税するたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、帳簿等が完備されております青色申告農家の方の場合につきましては、先生おっしゃいましたように、干ばつにより農作物が被害を受けて収入金が半分になったあるいは三分の一になったというような場合に、その被害状況を十分織り込んだところで所得計算が行われるわけでございます。たとえば、その結果所得が半分になれば当然それに応じて所得税が下がるわけでございますし、たとえば収入が三分の一になって経費が上回って赤字になるようなことがあれば、当然のことながら課税にならないわけでございます。そういう形で、その被害実態に即した無理のない課税がされることになると考えております。ただ、大部分の農家の方は帳簿等の記載が十分でございませんで、先生御存じのように、各地区ごとにその年の実情により作成されます農業所得標準に基づいて所得計算をして申告をしているわけでございますが、農業所得標準の作成に当たりましては被害実態をよく調査するとともに、市町村とかあるいは農業団体等の意見を十分伺いまして、被害を受けた農家の実情にきめ細かい配意をするよう、常に国税局、税務署を指導しておるところでございます。  また、なおつけ加えますと、農作物が被害を受けたことによりまして、本年分の農業所得が前年分より減少する場合があるわけでございますが、こういった場合には本年分の予定納税額について減額承認申請の制度が設けられておりますので、この制度の周知を十分に行うよう現地の税務署に指示しているところでございます。
  221. 小川国彦

    小川(国)委員 この農家の場合に、所得税が青色申告の場合には非常にいいわけなんですが、実際この農作業、米をつくり野菜をつくり、その重労働をやっている農業労働者というような立場から見ますと、実際この青色の帳簿をつけるというのは農家の人たちはきわめて不得手でありまして、実質的にこの青色申告をやっている農家というのは一割か二割程度で、大半の人は白色といいますか、帳簿なしに申告をするというような形のものが非常に多いわけです。その面で問題になりますのは、いま御答弁ありましたいわゆる青色申告をしていない農家の場合に、その年の農業所得標準というものによって課税がされるわけなんですが、この農業所得標準というものがほとんど動かないというのが実情としてあるわけなんです。これはたしか毎年一月ごろ、市町村の税務課長さんとかあるいは農協関係者、農業委員会の代表者等が集まりまして、税務署ごとにこの農業所得標準をつくっておられるのですが、こういう災害があってもなかなか農業所得標準が動かされないという実態がありますので、この点はぜひことしのようなこういう災害激甚な年の状況というものの把握に十分努められて、その上で国税庁農業所得標準というものの決定に当たっては被害農家の実情を十分把握した上で決めるようにというような、具体的な通達なり指示なりを願えればというふうに私ども思うわけです。従来は被害の実情に応じた標準の変更というのがなかなか困難なんです。そういう実情がありますので、ことしのようなこういう激甚災害の年にはぜひその辺の御指導を徹底していただきたい、こういうように思いますが……。
  222. 小野博義

    ○小野説明員 お言葉を返すようでございますけれども、大きな災害の場合には従来とも地域的な実情に合わせて標準は変更しておるところでございますけれども、なお今後これから標準作成についてのいろいろな会議等もございますので、そういう場で御趣旨十分に指示したいと思っております。
  223. 小川国彦

    小川(国)委員 この点については農林省当局も統計調査をやっておられますので、ことしの一千三百億に達するというような激甚被害調査状況について、国税庁に資料の提供等についてはひとつできる限り御協力をしていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょう。
  224. 佐々木富二

    ○佐々木政府委員 税務当局から御要望ございますれば、そのように取り計らいたいと思います。
  225. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は、来る十九日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会