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薮仲委員 政府がその権威をかけておやりになったのでしょうから万々が一にもその
調査結果に間違いはないであろう、こう私は善意に解釈いたします。しかし、私も、先ほど申し上げましたように、こういう土木工学の専門家ではございませんが、
現実に静岡に住んでいる一人であります、
災害が起きればいろいろなところを飛んで歩いております。震度五における
被害というものはどの程度のものか、われわれはわれわれなりに、震度五というのはこのくらいの地震なんだなというのは地震県に住んでいますから実感としてわかっております。
もう一点は、たまたま日大の守屋教授から、このような事実に対して、ちょっと
政府の考えとは違いますよということで反論が私の手元に来ておるわけでございます。それを私は一〇〇%云々ということではございませんけれ
ども、しかし私が生活実感として抱いているものと共通する部分が相当ありますので、その守屋
先生の理論、また私たちが独自に
調査したことを
もとにして何点かお伺いしたい、このように思うのでございます。
まず学説的には、この液状化というのは確定的な結論が出されていないということはもう先般御
承知のことでございまして、これをいまさら云々するつもりはございませんが、いま
一般的に認められている定説といいますかそういうものはどうかといいますと、液状化の起きる客観条件として、一つは、震度階級で言えば震度五以上の揺れが起きた場合、これは日本の過去の地震の例からそういうことになっております。五未満では起きておりません。五以上ということが一つ。それから土質については砂の地盤、砂質地盤、中砂とか細砂、粘土質が一〇%以下の土壌であるということ、それから
エネルギーでいきますとマグニチュード七の場合は震央距離が二十キロ以内、こうなっております。四番目には、地盤が水で飽和
状態になっている。以上申し上げた四つが客観的にいま認められている液状化の理論だと私は思うのです、、
このことでまず最初の震度五以上という条件についてお伺いしたいのでございますが、その液状化が過去に起きた例が私の手元に来ておるわけでございますけれ
ども、こういう例からしてもちょっとどうかなと思うこともございます。これは日本の国で過去の大地震で発生した地盤の液状化の事実だけ述べてございますが、濃尾地震は震度階級でいくと気象庁の観測が震度六です。関東大震災は震度六です。それから東南海地震も震度六です。福井地震も震度階級で言えば五です。新潟地震も五です。十勝
沖地震も五です。五未満、いわゆる五が欠ける
数字の地震はございません。しかも、マグニチュードの階級で言えば最低の福井地震でマグニチュード七です。最高は八・三、八・四、こういう階級でございまして、七をほとんど超えておりますが、震度階級でいけば五以下では全部液状化が起きていない、これは事実でございます。
いま事実を申し上げたわけでございますけれ
ども、さらに、過去にこのようないわゆる震度階級五未満の地震でそれが起きていないというようなことから、私はここでちょっと
政府の報告書の中でこの震度五というものを何とか理論づける——悪い言い方で恐縮でございますけれ
ども、震度五というものはガルで言いますと八十から最高、上限二百五十ガルである、こういうことから、その二百五十ガルという数値を出すためにどういうふうな理論づけをしたかといいますと、あそこの中では変圧器が動きました、それから墓石が転倒しておりました、これを
もとにして転倒率からおおむねそのガルの計算を出されておる、もちろん強震計のこともございますけれ
ども。
一般的に言ってわかるのは、墓石の転倒率と変圧器が動いたということで出ているわけでございますが、私はこの点に非常に疑問といいますか、特にこの資料、
政府の報告書をお出しになるときに挿入なさった墓石の転倒率のデータあるいは持越周辺はどうなんだということで資料をいただきました、これとわれわれが現地
調査したものと、墓石の転倒率については非常に違うわけですね。矛盾がある。この中で、特に通産省から私の方にいただいた中では、山村
開発センター、ここが転倒率が高いですよということが出ております。これはお寺で出ていなかったものですから最初合わなかった。先ほど御連絡いただいて、これは明徳寺ですということでわかったのですが、ここにお寺の名前が出ていれば、ここだなというのはわれわれはすぐわかるのです。ここにもやはり行きました。ここで倒れているのは、よくお調べいただきたいのですが、造成した部分の墓石は確かに倒れておるのです。しかし、地甘に建っている部分については、転倒率はこのような率ではない。ここの中へお入れになったのは、持越郵便局付近ということでこのように一カ所しか入っていないのです。でも、持越周辺には弘道寺、法林寺、延命寺とかいろいろお寺がありまして、これらのお寺はほとんど倒れていない。また、ここにある中では、月ヶ瀬の嶺松院付近、私
どもで調べたところ、これも
政府の転倒率と大分違うのじゃないか。現地の人にも行ってもらいましたし、その辺の証言も集めてみました。
場所がはっきりしないところは私の方で確認できなかったのですけれ
ども、確認のできるところはほとんどこのデータについて確認したのですが、墓石の転倒率がちょっと違うな、これはまあいまさら云々しても大分日にちのたったことですから私は争う気持ちはございませんけれ
ども、この点には問題がある。
また変圧器にしても、水平加力試験で一・一トンの力によって動き出したからこれは大体二百五十ガルだろう、このような結果を出しておるわけでございますが、これに対しても、われわれ素人が考えてもそうでございますけれ
ども、先ほど名前を挙げて恐縮でございますが、守屋教授の反論の中で言われていることは、いわゆる地震というのは地盤がこう動くでしょう、地盤にある程度傾斜がかかるでしょう、傾斜の
状態で力を加えたのと水平で力を加えたのでは相当数値に違いが出てくるのではないでしょうか。これはわれわれ、専門家でなくても、確かに傾斜に力を加えたのと水平で力を加えたのでは違うなという点も考えられます。こういうことからして、私はこの震度階級について
政府の
調査資料の中に多少疑念がある点、まず第一点です。
それから、これも続けて
指摘だけしておきますけれ
ども、液状化の問題で、特に土質について流状化といいますか、土質の試験をやっておられます。この数値については、
研究室によっていろいろな数値が出てくるわけです。ですから、これはある意味では、
政府機関の流状化の試験だけではなくて、やはり第三者的な方の
意見も含めて土質の検査というものは——この土質がいわゆる液状化の一番のポイントですから、砂なのか、それとも粘土なのかシルトなのか、この辺が決め手になりますので、この土質試験については、異論がある以上もう一度第三者的におやりになる方がいいのじゃないか。ちょっと私、いま手元に持ってくるのを忘れたのですが、現地から土壌を持ってきて少し水を入れまして、こうやってやってみたのですけれ
ども、われわれが子供時代に扱った粘土と同じ形状になるのですね。ですから、完全にあれに水を含ませますと粘土ということがわれわれ素人には実感としてわかっているわけです。少なくとも液状化というのは粘土では起きない。
政府のあれはシルトロームになっています。しかし、シルトロームというのは起きにくいというようなことがいろんな
先生方によって
指摘されているわけです。ですから、私が
指摘したいのは、土壌についてもう一度客観的な
意見を求める、いわゆる
政府の
調査というものを権威あらしめるためにそのような異論をやはり納得させるためにも必要ではないかという点。それから、特にシルトロームについては、
政府が液状化が起きたと言いますけれ
ども、シルトロームは起きにくいというのが定説になっています。一つは東京大学工学部助教授
渡辺助教授のあれでございますが、このいわゆる液状化というのは砂に特有の現象で、粒子の小さいシルトや粘土では粒子がお互いに付着する性質を持ち、しかも透水性が悪いので生じないのであると、ある意味では断定的にシルトや粘土、いわゆるロームには起きにくいとしている。
もう一点は、東京防災
会議の東京の地震を想定しての非常に権威のある東京防災
会議の資料でございますけれ
ども、これの地盤の液状化現象のところでこのように断定しています。いわゆる粘土及びシルトの名称で呼ばれている土は、一応液状化しないものとみなさなければならないことがここにうたわれているわけでございます。それでこの防災
会議のいろいろな手続が進んでいるわけでございますけれ
ども、この土質の検査でもシルトあるいはロームというものは起きにくいとされている。ここでも液状化する土と液状化しにくい土と分けています。この中で、液状化しにくいの中にシルトロームが入っております。
こうなってきますと、やはり私は、土壌の検査というものが非常に大事であって、今後のためにも、やはり第三者的な中立的な立場の方によって土質についてのきちっと説得できるものをやらないと、この
政府の
調査そのものが根底からおかしいんじゃないかという疑いは晴れないと思うのです。そのためにも私はこの土質の客観的な
調査というものを要求したいと思いますし、もう一点は、この東京防災
会議等でも起きにくいと言っているこのことを根本的にこれは覆すわけですから、先ほど立地
公害局長は液状化だとおっしゃった、断定したということは、この東京防災
会議ではシルトとかロームは起きにくいということを根本的に改めなければならない問題でございますので、この辺ちょっと局長の見解を伺っておきたいと思います。