○
熊谷国務大臣 まずもって、十五、六日に現地に赴かれましていろいろな非常に暗い印象を持ったというお話でございまして、これは私も大変残念に思っているところでございます。
それから、過剰警備という観点から
科学技術庁にいろいろ言っても所管違いと言って逃げるかもしらぬというようなお話でございますが、決してそういう気持ちではありませんが、何分私
どもとしましては、警備の点は私
どもの守備範囲以外でございますから、かれこれお答えする資格はありませんが、これは私の想像でございますが、これは新聞に書かれたことがどうも誤報であるならばそこはやむを得ないかもしれませんが、とにかく東の成田、西の「むつ」というふうなことが毎日書かれまして、いわゆる秩序ある反対運動を超越した暴力的なそういういろいろな騒ぎが起きるのではないかと心配される警備当局のお手配もあったのではないかと
考えるわけでございます。しかし、これも決して歓迎すべきことであるとは思っておりませんが、万やむを得ない処置であると
考えておりますので、この点も御了承を願いたいと
考えておるわけでございます。
それから、新母港の問題でございますが、御承知のように、もちろん佐世保は五者協定によりまして、一日も早く、できることなら入港するまでにでも決めるというように努力せよということを五者協定の上で述べておられて、われわれもそれに同意しているわけでございますから、われわれとしては極力努力しなければならぬわけであります。また、一方の「むつ」におきましても四者協定ができているわけで、政府といたしましてはこれを履行する
立場におりますから、この面からも同様なことでありまして、一日も早く選定を急がなければならぬという決意には変わりはありません。これは私が長官であると否とにかかわらず、現在政府としては一刻も早くこの母港を決めなければならぬということは確言できると
考えるわけであります。
そこで、選定の方針でございますが、従来、母港の問題に伴いましていろいろなことが議論になっているわけでございます。あるいは地域
開発的ないろいろな問題あるいはその他のいろいろなメリットの問題に引き回され過ぎるというような、そういう批判が存在しておりますことも十分了承しているわけであります。
いろいろなことを申し上げれば切りがありませんが、今日までの「むつ」の問題につきましては、私は出発点からも
考えまして、いろいろ反省すべき点がありますが、その反省しなければならぬ点の一つは、何よりも前に、
原子力船に対する地元の皆様の御理解、そういうものを求めるということが欠けていたのではないかと
考えるわけであります。特に、
原子力船の必要性なりあるいは安全性という問題がありますが、その
原子力船の安全性に対する理解が十分でなかった。これはもちろん
一般なり地元なりの問題というよりは、やはり政府としての責任と
考えなければならぬ。
原子力船「むつ」には「むつ」に関するいろいろ安全性をめぐる問題があると
考えます。あるということは、安全であるかないかということは別としまして、住民のこれに対する理解が一番大切でありますが、これが十分でなかった。それがいろいろな問題を起こし、また今日までそれが尾を引いている、こういう
現状であると思っております。
したがって、母港選定につきましては、どこまでも政府が地元の方の御理解を得た上で話を進めていく。地元の方の御理解を得るということになれば、多少のその手間は事実かかると思うわけでありますが、しかし、この点をないがしろにいたしましてほかの問題で母港の問題を進めていくということは不可能に近いことでもありますし、あるいは一たんそういう形が生まれましてもすぐに瓦解するおそれがある問題でありまして、どこまでも地元の方々の御理解を得るということをもう第一義的に
考えている。これはいま申しましたように多少日にちがかかると思いますが、やはり急がば回れということわざにもありますように、この第一の問題が幸いに解決しますと、あとの問題は必ずしもそう厄介な問題ではないと私は
考えているわけでございます。
したがって、いつ幾日までに母港を決めよと言われましても、あるいは確信を示せと言われましても、残念ながら具体的にいつまでにということは申し上げられませんが、何としましてもそういう方針で努力を傾注いたしまして、なるべく早い機会に母港を選定する、こういう方針で
考えているわけであります。私は、これは政府としての
考え方であるということをここで申し上げても差し支えないと
考えるわけでございます。