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浜田委員 この機会に、
園田外務大臣並びに
政府を代表される方々の姿勢をただしたいと存じます。与えられました時間が限定されておりますので、明快に御
答弁を賜りたいと存じます。
質問に入らしていただく前に、まず私の
立場を明快にいたしておきたいと存じます。私は、残念ながら本
条約の
締結については、自由民主党の一議員として反対の
立場を貫くものであります。まず、反対の
立場を貫きます場合の基本的な
問題点を明確にいたしておきたいと存じます。
まず第一の問題は、今日まで外務
委員会において検討され、あるいは予算
委員会において検討されました
政府、野党のいろいろな
質問のやりとりを聞いておりますると、大事な点が明確にされておりません。それは国家安全保障という問題についてすべて避けて通っているきらいがあります。それはどういうことかといいますと、この問題は、外務省が、日中
条約を
締結する前に、
日本の防衛庁との間において国家安全保障の
問題点の詰めが行われていないと私は
考えているからであります。少なくとも、現在のような
国際情勢の中において、
日本国は、二国間軍事同盟、あるいは
平和友好条約の
締結をしまする場合には、
締結の事前において国家安全保障上の見地からこの
条約についていかような態度をとるべきであるかを明確に協議をしなければならない問題であると私は
考えております。しかし私の調べました段階の中では、本問題について防衛庁と外務省の間で、今後のあるべき姿について真剣な討議がされておられるようには見受けられません。すなわち国家安全保障を無視したような形で行われる
条約の
締結は、感情的には非常にプラスのように見えますけれども、本質的に国家の将来と国民の利益を守るために私は不利益な形になると思いまするので、この問題をまず第一の
問題点として反対をいたすものであります。
第二番目の問題は、先ほど
園田外務大臣は、六年前に田中訪中が行われて、その際行われました
取り決め、これを守るために行うのだということを言われましたが、そのときに
わが国は、北京からこのような要求を受けました。
日本と
中華民国の中にある
条約というものは早く放棄すべきであるという要求を受けました。そして
わが国はこの問題を放棄いたしまして、
一つの
中国という形で
中華民国を切り捨てまして、
一つの
中国の北京を選択する道を選んだわけであります。
しかし、今回もし仮にそのような北京の要求をのむとするのであれば、この
条約の
締結に当たって、来年の四月になればそういう問題は破棄すると鄧小平が言ったから認めるのだというような甘い
考え方ではなく、二国間が同じ
立場で
外交交渉をするならば、
日本国が対等の
外交を行おうとするならば、
中国とソビエトの中にある軍事同盟
条約の第三条、すなわち
わが国を敵視しているその
条項あるいは米国に対する敵視
条項、そういうものの廃棄を
中国に対してなぜ求めなかったのか。この問題について各政党のすばらしい
先生方が
質問いたしておることに対して、
外務大臣が一貫して答えておられますことは、その問題については来年四月になったら鄧小平が破棄を
宣言するあるいは有名無実のものであるからと言っているから。それならば
台湾との問題のときに、
条約は結んであるけれども、それは有名無実のものであるということをなぜ北京に言えなかったのか。こういう問題のとらえ方が非常にあいまいであるからであります。
中国は
わが国とは異なりまして、
中国の政治体制は一党独裁政治であります。毛沢東が死んだ後、鄧小平が出てまいりまして、わずか一年間の間にがらりと変わりました。物の
考え方がみごとに変わった。ちょうど
中国問題に対する
日本共産党の態度と同じくらいくるくる変わるところであります。この問題について
外務大臣、きちっとお
考えをいただかなければならないのは、なぜそんなに変わるのかということです。政治体制が不安だからであります。政治体制が不安であるとすれば、その政治体制の不安の中から生まれてきた一人の代表が、ましてや副主席であります。彼が来年の四月には放棄すると言ったらそのことを信じて、二国間の信頼
関係を大切にしなければならないからということで、われわれを敵視しているその問題に対して、なぜ交渉以前に破棄をさせなかったのですか。もし破棄をしてもらうことが国家主権に対して、われわれの国家主権の行為であると私は思っていますが、そのことが相手に失礼だと思うならば、なぜ来年の四月にやりましょうということを言わないのですか。こういう問題を通じて非常に危険な点があるから、私はこの問題を明確にして、第二番目の反対の理由といたします。
すなわち、私が反対する理由は後世にも明確にいたしておかなければなりませんのでもう一回言わせていただきますが、われわれの国を敵だと呼んでいる国と、その敵だと呼んでいることをやめさせないままに仲よくしなければならないというほど、
日本民族の質は低下したのかどうか。このことは間違いであると
考えまするので、反対をいたします。
第三番目の問題は尖閣列島の問題であります。
尖閣列島問題は、鄧小平が
園田外務大臣に再びあのような不祥なことを起こさせない、だから御心配のないようにと言ったからあなたは了解したと言いますが、とんでもないことであります。もちろんです。それはどういうことかと言えば、尖閣列島が
わが国の領有下にある場合には、北京の船が入ってきたとき、外務省はもっと明確に、それだけりっぱな
答弁をするのなら、撤去行動を少なくとも行うべきです。二十四時間以内に撤去しなかった場合にはなぜ自衛隊を出動させ、撤去させなかったのですか、三日間も十日間も。それで
日本国家の主権が
わが国家に
存在するのですか。その行為が明確に行われていれば
園田外務大臣の
答弁は生きるのです。しかしトラブルの起こることを恐れ、国家主権の行為というものを正当に主張しないままに、向こうが一方的に退去していったのをいいしおに日中をやって、そしてその問題のあいまいさを露骨に示そうとしている。
かつて鳩山
一郎内閣総理
大臣がソビエトとの交渉において北方
領土を質に入れた。河野
一郎さんが行かれて、これも外務省のやったことでしょう。玉虫色の解決。そして日韓問題において、竹島の問題についてもどちらのものかわからないように、現在では竹島は韓国軍隊がこれを支配している。この問題に対しても外務省は明確な態度を示していない。なぜならば、彼らは銃砲をもって竹島を占拠しているではないですか。同時に今回の尖閣列島またしかり。過ちを三たび犯すことになる。すなわち、
わが国家の
領土の主権行為は、
政府が守らないで一体だれが守ろうとするのか明確でないので、この機会に、そのような
状態の中で行われる
条約は、隣国との間に
平和友好条約が結ばれることによって受ける国益よりも、
日本民族の統一した国境に対する
考え方あるいは
領土に対する
考え方あるいは国家主権の主張に対する基本的な
考え方、そういうものを失う方がより大きいと
考えて、反対の第三点の論拠とするものであります。
同時に第四点は、私がここで読み上げると時間がなくなりますし、もうごらんをいただいておると思いますが、この中で
台湾条項に触れないと言われた、
外務大臣は鄧小平との会談の中において、
台湾問題には一切触れないと言った。それではあなたは
日本の
外務大臣ではない。
日本と
中国が
国交回復していかなければならないとき、かつて
一つの
中国として選択していた
中華民国の問題を全然取り上げないままに、
台湾問題を取り上げないままに
条約の
締結をしたとすれば、あなたは自由民主党の党員ではない。なぜかと言えば、自由民主党の党議は六年前田中首相が訪中前に決定をしている。その党議決定の場においてはこう言っているのです。
台湾との経済文化交流は依然としてそのまま堅持し、
日中平和友好条約の推進をすべきであるというのが党議決定なんです。
そのことはそちら側に置いておいて、その
憲法の
前文をごらんください一
台湾は神聖なるわが
中華人民共和国の
領土であると書いてある。そうでしょう。それもあなた認めたのでしょう。しかしそれは武力において解放するとも言われている。もし
台湾に武力解放が起こった場合に、あなたの行われた日中友好
条約というものは二つの
中国を認めないけれども、
一つの
中国を選択するけれども、
台湾との文化経済の交流は依然としてそのままで行うという党議、このことをあなたはその
憲法条文を見る中で当然犯したということになる。私は、そういう条件の中で実際問題として行われている今回の日中友好
条約の
締結は、物質文明だけにおぼれてきた
日本人に対して、もう
一つ大きな失うものを与える結果になる。それは国家に忠誠を誓う、国家を守ること、国家の前進のためにすべてをかけて努力をすること、そういう問題がばかばかしいことのように見えてくる危険性がある。
あなたは、あなたの先ほど中山
先生に対する
答弁でこう言われました。あなたの国の愛し方とわれわれの国の愛し方とは違う、愛し方にはいろいろある、国家に忠誠をする仕方はいろいろあると言われたけれども、私も暗にそのとおりだと思います。しかし、いま
日本の
国会の中ですべての者がこの日中の問題に賛成しようとしているときに、私は私の同僚中山正輝君と二人で、彼の指導を受けながら伸びてきた者として、私は二人で反対をする。反対をする論拠があいまいであってはなりませんので、いままでの反対の理由を申し上げたわけであります。
この問題はすでに中江
局長に私が文書で出して、
答弁をもらっていますが、この
答弁にはうそが多い。すなわち
台湾に武力侵攻が出た場合にどうするのかという、先ほどの社会党の方々の
質問に対しても、あなた方は日米安全保障
条約の基本的な理念に触れるものを避けて通っている。たとえば、
台湾に問題が起こった場合どうするのか、韓国に問題が起こったときは
憲法の範囲内で、それは
日本の自衛隊は出さないにしても、
日本に駐留するアメリカ軍が
日本の基地から飛び立って戦うのはあたりまえの行為である。そういう問題について、国民が聞いているとわかりにくいような
答弁ばかりしておる。私は、そういう条件の中に行われる日中友好
条約というものについて賛成するわけにはまいらない。このことを前提として、あと九分間ありますので、
質問さしていただきます。
ただいままで申し上げたのが反対の理由であります。まず
園田外務大臣にお伺いしますが、ソビエトの防衛予算は幾らであるか御存じですか、
お答えをいただきたい。――
外務大臣から
お答えください。