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曽祢委員 外相のお
立場はそれはそれとして承っておきますが、私は別にそれよりかソフトという
意味じゃないけれども、善隣
友好条約を先にやりたいと言うならそれは検討にやぶさかでない、ただしその前段があるよ、中ソ
友好同盟
条約の廃棄。そして、領土問題を含むむずかしい平和
条約であるから善隣
友好の
条約をつくるということならば、ただしまっておくだけではなくて、あるいは検討し、あるいは代案をつくるというようなこともあるかもしれないというぐらいに考えてもいいのではないか、これは意見でございまするから、私はここであえて論争をするつもりもありません。
特に、再び強調しておきたいのは、さっき申し上げたように、西ドイツを目のかたきにした、
ソ連とポーランドとの
条約、それからフィンランド等との
条約も――一九七〇年に西ドイツと
ソ連が国交
条約を結びましたね。正式の
条約を結んだ。あれ以後の事態は恐らくずいぶん変わっておると思うのですね。ですから、こういう古い戦闘的な
条約を終了して、そうして少なくとも善隣
友好でいく。ただ、
日本の場合は領土問題もあるので、いきなりそこに行けないということはあると思う。ですから、それへのステップとして少なくとも、
中国にならうのじゃなくて、
日ソ関係の将来を考えたときに、この際思い切って四月の九日前に、この古臭い、戦闘的な名指しの中ソ
友好同盟
条約廃棄の手続をとったらどうだということを言ってみる必要が私はあるように考えますので、これはひとつ御検討を願いたいと思います、直ちに御返事をいただかなくても結構ですから。
それで、
ソ連は申し述べましたけれども、全般的に今度の
日中平和友好条約といわゆる全
方位外交――私は、全
方位外交というのはどなたが言い出したのか知らないけれども、なかなかうまい、丸い表現だと思うのです。しかし、そういう
言葉のあやの問題じゃなくて、
日本がこれから
世界に向かって平和
外交を進める場合に、やはり全
方位外交の内容を内容的に
説明していく必要があるのじゃないか、ひとりよがりでなくて。これは私のあれでございますけれども、国別というか、グループ別で言えば、
日本に近いところから言えば、たとえば
日米安全保障条約の堅持、合衆国との
友好、これが一つの大きな柱ですね。それからもう一つが朝鮮半島の安定と平和の強化、これが
日本の安全に欠くべからざる最も
関係の深いところだと思うのですね。幸いにして、いま南北両朝鮮は、日中の近まりに対してはむしろ受け入れ的な空気だと思うのですね。非常にいいことだと思う。ですから、さらに、
日本のできる限り、
中国とも
ソ連とも、むろん
アメリカも加えて朝鮮半島の安定に大いに、つまり平和的統一といいますか、一挙にできないけれども、だんだんに段階的でいいからそういうことをやる。
それからもう一つは、当然なことでございますけれども、ほかの
委員からも御
指摘がございまして、私も先ほどから伺っておりましたが、何といっても
日本と
中国が仲よくなるということに対する、これはやはりビックツーですからね。
中国の政治的、
軍事的な大きさ、いろいろ弱点はあるけれども、
日本の目覚ましい
経済力の大きさ、これが仲よくするということに対して手放しで喜べないというのは、決して
ソ連だけではないですね。
アメリカなんかは喜んでいる。それから朝鮮もわりあいに、何というか、緊張緩和の
方向だと思ってあれしてくれるけれども、たとえばASEANですね、これはもう釈迦に説法で一々具体的例を申し上げる必要もございませんけれども、特にインドネシアとかマレーシアとかシンガポールとかフィリピン、そういうところのASEANは、やはりそういったようなアレルギーを持っておりますね。
そこで、先ほども教育の問題について、留学生問題という形で私が取り上げた。やはり
日本の
外交の一つの大きな節目はASEANとの協力。
外務大臣も近くもう一遍訪問すると言っております。これは大いに必要だと思うのです。それからインド、インドシナ、これはある
意味では非常にいいのじゃないですかね。
中国と
ソ連に対して
日本が、分担地域じゃないけれども、まあまあカンボジアとベトナムの戦争的ムードを緩和する
方向、そういうふうないろいろな地域地域に応じた具体的な対策、これが実際全
方位外交だ。西欧諸国との
経済協力あるいは
経済の発展、それから発展途上国に対する援助の強化、中東諸国、これはイスラエルを別にしないで含めた安定、それからオイル産出国との
経済協力とともに
日本のエネルギー資源の安定確保というようなこと、それからオーストラリア、ニュージーランド、カナダを中心とする太平洋諸国との
友好、いろいろあると思うのですが、そういうものを考えられて、これは日中でハオハオ、結構だ結構だ、
日中両国からいっていいに決まっているけれども、同時に全
方位外交なるものの内容を具体的に埋めていく。なかんずく、やはりASEANに対して相当なウエートを置いて、ここに本当に真剣に力を入れて、
日本の
経済協力による安定と親善と結合の強化ということをやっていく必要があるのではないかと私は思います。
非常に散漫な話ですけれども、これら全
方位外交の進め方等に関する私の所見に対する
外務大臣のお考えをお聞かせ願えれば幸いだと思います。