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謝敷政府委員 簡潔に御
説明をいたします。
三五%、三百四十万
トンの出てきたゆえんのところでございますが、これはことしの三月ごろから、安定法の始まる前に
海運造船合理化審議会の
需給検討グループがずっとやってきたものでございまして、その以前から私
どもは非公式には検討してきたわけでございます。
考え方といたしましては、基本的にかかってきますのは、今後の
世界の各
地域におけるGNP及びそれを受けたエネルギー消費、それから石炭、鉄鉱石、穀物等を中心とするドライカーゴーの動き、こういうものが基本になるわけでございます。
そこで、現在手に入れ得るOECD、そのほか国内の
関係機関の長期にわたるGNPその他の指標を中心にいたしまして、ハイケースとローケースを想定しておりまして、ここに挙げております数字はハイケースをもとにした数字でございます。
まず、
需給の見通しですが、初めに国際的な
世界全体の新
造船船腹量を出してくるわけでございます。その次に問題になりますのは、
日本のシェアと言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、
日本がどのくらい
建造し得れば妥当であるか、この点もまた大きく
関係してくるわけでございます。
それで、
世界全体は先ほどのような数字で検討したわけですが、基本的に御理解をいただきたいと思いますのは、七六年から八〇年までの間と八一年から八五年の間、それから八六年から九〇年の間、この三つの期間に分かれるわけですが、七六年から八〇年まで、来年までは基本的にはタンカーとかバラ積みカーゴーはゼロという数字が出ます。それから八一年から八五年は、したがってGNP想定である
程度の量が出てまいるわけですが、その間は、実際には七六年から八〇年までの間手持ちの残存工事がありますから、それで本当はキャンセルしてゼロになれば次の五年に上がるのですが、それを先食いしているという形でございますので、次の五年間はなだらかに右上がりで上がる、こういう想定でございます。それから、それを全部八五年までに
処理をしますので、その次の五年はローケースもハイケースも余り差がございません。
そういうことで、二つとったわけですが、従来
日本の
造船業は
世界の五〇%をやってまいりましたが、今後のことを総合的にいろいろな
角度から検討いたしますと、
先生方の御判断は、約三分の一ということで見ているのが基本的に妥当ではなかろうか。これは三分の一で過大という見方と、いや少な過ぎるという見方と両方ありましたが、そういうところに落ちついたわけです。
それで、
日本の供給能力を検討いたしました結果、貨物船換算
トン数で九百八十万
トンという数字が出まして、じゃ、ここから一体どこまで
設備削減をすれば、過当競争防止に長期的に役立ち、かつ余り大幅な供給制限といいますか、そういうものに陥らないという水準をどこに決め得るかという、こういう議論があって、
先生いま御
指摘のように、少な過ぎるじゃないかとか、あるいは高過ぎないかとかということで、三百四十万
トン、三五%の率について議論がなされましたが、少なくとも供給制限というような
事態を避けるためには、
設備削減としては上限のハイケースをとって六百四十万とすることが妥当であろうということで、これが決まったわけでございます。
したがいまして、今後の推移については、これはあくまでも
設備処理として六十年までが妥当な線でありまして、操業がこういう
状態になるかどうかについてはローケースの見方もあるわけです。そういう点を勘案いたしますと、私
どもとしては、
設備処理は三五%、三百四十万
トンをやりました上で、あとは
新規需要の造成と見合いながら短期間の間は操業調整をするという基本的な
考え方を出したわけでございます。
それから、
先生御
指摘の
円高の影響につきましては、これは確かに、この検討をしております時期の数字は、せいぜい年末までの感触でございまして、ことしの年初以降の点は入っておらないというのが実態でございます。しかし、最近の受注
状況を見ておりますと、大体月三十万
トンベースで一月から三月ぐらいまでいったのが、四月、五月がそういう
状態で、その後六月、七月が十二万
トンから十五万
トンぐらいに落ちました。六、七とそういう
状態で、八月はやや回復し、九月も回復しているというような
状況でございまして、これは今後の推移にまたなければいけませんが、基本的に
造船の競争力という点では、急激に短期的な変動という点についてはなかなか耐えがたいのですが、ある
程度長期的にはこれに対する対応も立てながらやっていけるわけでございまして、その意味においては、実際の
需要という点では、ローケース、ハイケースの見方があるということを
説明させていただいたわけであります。