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説明員(樋口嘉重君) お答えいたします。
独占禁止法では第十九条で不公正な
取引方法を禁止しておりますが、その趣旨は、自由競争の過程において用いられる各種の競争阻害的な行為を排除し、競争
経済のメリットをより多く発揮させる、そういうことをねらいとするものでございます。したがいまして、独占禁止法の言う不公正な
取引方法と申しますのは、単に日常用語の
意味において公正でないということだけではなくて、そういうことではございませんで、競争を阻害するような形で行われるものを指しているわけでございます。
それでは、どのような行為がこれに当たり、どのような行為がこれに当たらないかということを申しますと、
一般的抽象的には言うことができません。具体的に当該
業界の特質とか、あるいは
取引慣行など、もろもろの
経済的環境を総合的に勘案して判断されることになります。そこで、独占禁止法では、このような観点から、
先ほど先生は第二条第七項とおっしゃいましたけれ
ども、昨年、独占禁止法が改正されまして、第二条第九項において不公正な
取引方法を定義しております。この規定によりますと、不公正な
取引方法に該当する行為を類型化いたしまして、公取の告示の形で示すということになっております。
この告示は現在二種類ございます。あらゆる
業界に共通して適用されるいわゆる
一般指定と言われるものと、特定の
業界に適用される特殊指定とがございます。特殊指定には現在十ばかりの告示がございます。そこで、先生
お尋ねの
一般指定の十につきましては、この
一般指定で十二の行為類型が定められており、その十番目のことでございまして、十二の類型のうちの
一つとして、
取引上優越的な地位の乱用行為を定めたものでございます。これは
先ほど申し上げました定義規定、二条九項の五号に由来する「自己の
取引上の地位を不当に利用して相手方と
取引すること。」ということを
一般指定でやや具体化したところでございます。で
一般指定の十につきましては、条文を読み上げますと、「自己の
取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で
取引すること。」ということになっております。