○
国務大臣(
服部安司君) 渡辺
先生御
指摘のこの郵便貯金の利率は、公定歩合の引き下げに連動ということで、いま大変御心配をかけております点、また、過日は強力に庶民の、預貯金者擁護の
立場から御陳情を受けたということは私も十二分に配意をせねばならないという
立場を今日までとり続けてまいったつもりでございます。
御
承知のとおりに、この郵便貯金の利率の引き下げ、引き上げについては、この郵便貯金法第十二条、すなわち、法律にはっきりと明記されておりますことは御案内のとおりであります。預金者の利益の増進に考慮を払わねばならない一面、あわせて民間金融
機関の預金の利率についても配意をせねばならないと、まあ二面立ての法規制がされております。しかし、私は、前段の、いわゆる御
指摘のとおりに、ささやかな利子を目的とする零細庶民大衆の預貯金者の
立場に立って、公定歩合の引き下げと預貯金の利率の引き下げとの連動は基本的に
関係がないという姿勢を私は今日までとってまいっているところでありまして、前段でこのガードを守り抜きたいというわけで、一昨日の諮問にも、年度内三度の引き下げは大変心苦しいと。しかし、私は、各界から選ばれた郵政審議会の委員各位にひとつ忌憚のない討議の場を持っていただいて、いまどの道を選ぶべきかということをまず御討議願いたいという白紙諮問をいたしましたことは御
承知のとおりであります。これをもっても御理解いただけるとおりに、まあ正直申し上げて、決してオーバーな表現ではありませんが、苦悶状態でございます。
ところが、一方、公定歩合の引き下げによって一般金融
機関の利子の引き下げの連動の発議が大蔵
大臣かち日銀の政策
委員会に申し入れられると同時に、わが
郵政省にもこういった御要請の連絡があったわけでございまして、まあ公定歩合操作と直接
関連するものではないという基本的認識は持ちつつも、この厳しい経済情勢下にあって、しかも、御案内のとおり、三十七兆を突破するいわゆる預金を持つ郵便貯金も
かなり影響力があるわけでありまして、片や、金融全体に対してどのような影響をするかということも勘案せねばならない
立場もあることは、また御理解がいただけると思うのであります。
しかし、いよいよあと六日、今月の六日に再度郵政審議会に諮問をするわけでありまするが、先般の郵政審議会には、
郵政省から意思表示を求めるという意見が、答申が出されております。なお、この中間答申をいただくまでに
かなり厳しいおのおのの
立場で御論議がされまして、いま私はこの論議のなされた内容、記録を見ながら、どういう
立場をとるかということ、これはきわめて早い時期に
一つの道を見出さねばならないという
立場でございますので、いわゆる一般経済に及ぼす影響、特に戦後最高の失業者を出している雇用
関係とも考えあわせ、先ほど申し上げたとおりに、郵政審議会委員——各界から選ばれた利用者、また事業者、経済評論家すべての方々の意見を参考に、近くどうしても方向を見出さねばならないという
立場でございまするが、現時点ではこういったことをやろうという案は出ておりません。したがいまして、現時点の私の心境では、何といってもこの
立場の弱い方々を守る方向で必死のあがきをしているというのが偽らざる心境でございます。