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政府委員(藍原義邦君) 林業につきましては、いま御
指摘ございましたように、非常にある
意味では私は曲がり角に来ているというふうに理解いたしております。御
指摘ございましたように、林業の中心になります木材の需要でございますけれ
ども、それを見ましても四十七年をピークにいたしまして伸び縮みはございましたが、現時点でも四十七年よりは需要量が減っております。五年間こういう形で動いておりますし、片一方、じゃ木材の自給率はどうかと言いますと、これも自給率三五%という形でここ数年動いておりますし、また価格を見ましても、価格につきましても四十九年がピークでございまして、それ以来、伸び悩みといいますか、低調ぎみであるということ、ほかの物価に比べまして伸びていないという点、こういうもろもろの
状況を見ますと、やはり
基本的には木材の需要の中心でございます住宅、この建設が非常にある
意味で伸び悩んでおるということだろうとわれわれ考えております。今後政府でもいろいろ木材、住宅の建設ということには
努力いたしておりますけれ
ども、やはり木材の需要の大宗をなします住宅建設がどうなるかということ、これが林業のやはり発展の
一つの指針にもなるであろうということをわれわれ考えておりまして、そういう
意味での問題点をこれからいろいろ解明していかなければいけないだろうという気がいたします。
一方では林業の生産コストはどうなっておるのかということでございますけれ
ども、先生御存じのように、確かに大地主、大山持ちという者もおりますけれ
ども、五ヘクタール未満層が大体九〇%近い所有率を占めておりまして、やはり
日本の林業というものをこれから発展させるためには、こういう方々が積極的に林業を推進していただけるという方途をわれわれとしては見出さなければいけないだろうというふうに考えております。そういう
状況の中で、確かに林業を支えております山村そのものも一応衰微
傾向にございますし、また林業を支える担い手の労働力というものも量的にはさほど
異動しておりませんけれ
ども、質的には大分低下しておるということは私
どもも認めております。こういう林業全般を取り巻く
状況の中で、また逆に国際的には外国から木材をもっと買ってほしいという要望もございますし、いろいろそういう中でこれからの林業をどうするかということでございますが、いま
日本の全体の森林が、戦後造林を積極的に進めまして、私
どもが考えております七〇%に近い造林目標を達しております。一応、全国約千三百万立方の造林地を仕立てようということで、いま九百万強の造林地が出来上がりまして、そういう
意味では
日本全体の森林がまだ伐期に達してない森林が非常に多いと、そしてその中心でございますこれから森林の保育という面から考えますと、間伐を積極的に進めなければいけない、その間伐材をどう利用していただくか、この辺の開発もしなければいけない。これらもろもろの問題を考えながら、国内林業をやはり推進していかなければいけないというふうに考えておりますが、
基本的な問題といたしまして、やはりそういう
意味から長期的視点に立ちました森林資源をどう整備していくかということ、これを考えていく必要があると思います。
現在、
日本の林業を推進する過程で一番大きな柱になっておりますのは、先生御存じの森林法の中に森林
計画制度というのがございます。全国森林
計画をつくりまして、それに即していろいろと地域それぞれつくっておりますし、また個々の森林所有者が自分の
計画をつくるという形になっておりまして、そういう
計画制度を今後積極的に推進して、それに基づいて森林の公益的
機能を発揮し、なおかつ木材資源としての
機能を発揮し、国民経済に寄与するという形をさらに積極的に推進していく必要があろうというふうに考えております。それからさらには、国際的な競争力をつける林業でなければいけないであろうということも考えなきゃいけませんし、またそのためには木材の需要供給というものを安定的なものにするような方途をわれわれも考えなければいけないと思っております。それからさらに、そういうものをやるためにはやはり生産基盤の整備ということで、林道網も必ずしも十分でき上がっておりませんから、こういうものを積極的に進めるなり、造林、これは間伐を含めました造林というものをどうやって今後推進していくか、その辺のことを考えていく必要があろうと思いますし、あわせまして森林の公益的
機能という点に着目いたしますと、やはり国土保全という問題から治山事業等々の推進もこれは当然やっていかなければいけない問題かと思います。そういうもろもろの中で、最終的にはやはり木材を利用していただく国民の方々がどうやって木材を利用していただけるのか。住宅は当然でございますけれ
ども、そのほか、これから出てくる国内の林業に対しての木材の利用という面から、加工
技術の開発なり利用の促進なり、そういう需要の面の開拓ということも当然やっていかなければいけないと思います。そういうもろもろのことを考えまして、私
どもとしても現在これからの林業のあり方については真剣に今後とも検討し、対応し、山村の振興を図り、
日本の経済に寄与するような林業になるような
努力を今後ともしてまいりたいというふうに考えております。