運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-01 第84回国会 参議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月一日(土曜日)    午前十時二分開会     —————————————    分科担当委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     内藤  功君      野末 陳平君     円山 雅也君  四月一日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     玉置 和郎君      馬場  富君     中野  明君      円山 雅也君     野末 陳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         戸塚 進也君     副主査         望月 邦夫君     分科担当委員                 小澤 太郎君                 野田  哲君                 中野  明君                 内藤  功君    政府委員        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁長官官房        審議官      石渡 鷹雄君        環境庁長官官房        会計課長     高橋 盛雄君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        環境庁企画調整        局環境保健部長  山本 宜正君        環境庁自然保護        局長       出原 孝夫君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君    説明員        防衛施設庁施設        部連絡調整官   広田 徳久君        防衛施設庁施設        部施設対策第二        課長       飯村善三郎君        大蔵省理財局特        別財産課長    松岡  宏君        建設省道路局道        路経済調査室長  鈴木 道雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) ただいまから予算委員会第五分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨三十一日、小巻敏雄君及び野末陳平君が分科担当委員辞任され、その補欠として内藤功君及び円山雅也君が選任されました。  また、本日、馬場富君が分科担当委員辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。     —————————————
  3. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 昭和五十三年度総予算中、環境庁所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 中野明

    中野明君 きょうは、長官も御病気のようでございますので、長官にかわってと言えばなんですが、御答弁をお願いしたいと思います。  まず最初に、瀬戸内海水質汚濁の問題に絡みまして、昨年は御承知のように赤潮で大変大きな被害が出ました。地元の漁民の方々は、やはりその時期が参りますと赤潮については大変神経をとがらしておるわけですが、中央で赤潮研究会というものが持たれておることを承知しておりますが、この研究会のその後の状況について最初お尋ねをしたい。
  5. 二瓶博

    政府委員二瓶博君) 赤潮研究会につきましては、昨年の九月二十日、第一回の会合を開きまして、それでこの調査研究手順等を決めまして、その後ある程度調査の進展を見ましたので、ことしに入りまして二月の九日、第二回目の研究会会合を開催したわけでございます。それでその際に、大阪湾なりあるいは周防灘の赤潮発生状況報告等がございましたほかに、ホルネリア属赤潮調査の進みぐあい等も話し合いがありまして、今後この研究会といたしましては、分科会等もつくりましてさらに研究を深めていくと、そういうようなことでどうであろうかというようなことが討議をされたわけでございますが、前からの分担関係でいろいろ研究していますものがまだ最後的にまとまっておりませんので、いずれまたその辺の点についての会合を開こうかと、こういうような運びになっております。
  6. 中野明

    中野明君 非常に、赤潮発生メカニズムがいまだに解明できていない現状でありますが、関係者にとりましては、一日も早く発生メカニズム解明あるいはまた予察の、どう言うんですか、技術の発達といいますか、そういうことについて大変関心を持っておりますので、非常にまた時期も近づいてきておりますので、何らかの形で精力的にこの研究を詰めていただきたい、これは特に要望いたしておきます。  きょう、本題ではございませんのでその程度にさしていただきますが、これに関連しまして、瀬戸内海環境保全臨時措置法がことしの十月で一応期限が参ります。これの後継ぎ法を早くということで各方面から要望が出ておりますが、この後継ぎ法国会提出の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 二瓶博

    政府委員二瓶博君) 後継ぎ法につきましては、現在関係省庁折衝を重ねておるところでございまして、大分話の方も煮詰まってはきておりますけれども、なおかつ若干の点につきましてさらに調整を要するというような点が残っております。この面につきましても精力的に調整を進めまして、できるだけ速やかに成案を得て今国会提案をしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、めどとしていつかということにつきましては、まあ相手の省庁主張等もいろいろございまして、この段階でいつまでには必ず提案いたしますということを申し上げかねるわけでございますが、とにかく、必ずこれは出さなくてはならない法案でございます。待ったなしの法案でございますので、何とか調整をいたしまして提案をぜひいたしたいと、かように考えております。
  8. 中野明

    中野明君 いまのお話を聞いておりまして、何か他の省庁に、ずいぶんむずかしい問題もありましょうけれども、こういう問題についてはやはり環境庁がイニシアをとって、まあ強引にと言えば言葉がどうかと思いますが、精力的に進められないとなかなか前に進まないと思いますが、いまの御答弁では、ちょっとこの国会に果たして出るんだろうかという心配もしておりますが、もしこの国会提案ができなければ恐らく間に合わぬのじゃないだろうか、こういうことを懸念いたします。ぜひこの国会提案をしていただきたいということを重ねて要望いたしておきます。  それから、これと関連して、非常に重要法案と言われております環境アセスメント法、この法律、これも環境庁姿勢を占う上で非常に関心を持って私どもも見ております。すでにお聞き及びかと思いますが、最近非常に環境庁が、この発足当時から見ましたときに、住民から何か離れてきたんではないかと、本当に、住民の中から生まれた役所でありながら、最近は逆に住民から離れてきているんではないかという声が非常に強くなってまいっております。非常に私ども残念なことだと思いますが、まあこの間の水俣病の患者の座り込みの事件一つを見ましても、いろいろこれには理由がありましょうけれども、やはりああいう問題を通して、環境庁姿勢そのものが大きく云々されるような時代になってきております。このアセスメント法というのは、これはもう人間の健康、いわゆる人間が生きていく最低限はかくかくしかじかでなきゃならぬと、しかる後に開発なら開発をどうするかという、もうこれは絶対的な最低条件を示す法律だと私は思います。他のものと比べるわけにはまいりません。人間の生命というものを守り、健康を守るということがもう最低条件であって、それが確保されて初めてあと開発と調和をどうするか、こういうことが議論されるべきでありましょうけれども、これが一番大切なことだと思いますので、この点についての現在の法案進捗状況、これをお聞かせいただきたい。
  9. 信澤清

    政府委員信澤清君) 環境影響評価、いわゆるアセスメントでございますが、重要なことはいま先生指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもは何とか法制度としてこれを確立いたしたいということで鋭意努力をしているつもりでございます。  で、法案につきましては、ただいま政府部内における事務レベルでの折衝についてほぼ最終段階と、このように御理解いただきたいと思います。  なお、先ほど来環境庁の最近の姿勢についていろいろ御批判、御意見ございましたが、私ども虚心にお言葉を承っておきたいと存じます。
  10. 中野明

    中野明君 ぜひこれも、本国会懸案事項でございますので、提出するように努力をしていただきたいと思います。  では、公害健康被害補償法に関連してこれから話を進めてまいりたいと思いますが、東京都では、公害健康被害補償法指定地域に設定された区域内で、東京都が補助事業を受けている中に、国の被認定患者になる資格がありながら移行していない人が数千人おられるということが報道されておりますが、同法の対象者移行対策を国の方としてはどういうふうになさっておりますか、最初に。
  11. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 東京都の方にその状況を照会いたしてみたわけでございますが、指定地域となっております十九区内に住居を有しておる者でございます。で、都の条例認定され、補償法の被認定者となっていない人が九百六名、五十三年一月末現在でございますが、あることを把握しております。東京都は、都内の区が新しく法に基づきまして地域指定されるごとに、その区に住所を有している、条例による認定患者に対しましては、国の補償法適用を受けられるということの趣旨を通知いたしまして、本制度の広報につきましては、実施主体であります区が努力をしてきているところでございますが、何せ認定申請主義というのをとっております関係から、法による認定患者とならない者が残っているような実態でございます。私どもといたしましては、ひとつ十分この辺を踏まえまして、東京都並びに各関係区につきましては指導を強化してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  12. 中野明

    中野明君 申請主義ということになっているので、申請がなければしょうがないということのようですが、この辺はやはり、せっかく法があるわけですから、PRを特に努力していただいて、やはり国の方で手厚い措置が講じられることになっておりますので、この点は特に要望しておきます。  また、同法の指定区域内に居住する人で、認定患者への申請者は現在何人ぐらいおられるか、ちょっと。
  13. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 現在、昭和五十二年の十二月末でございます、ちょっと古くなりましたけれども認定申請後、処分前のいわゆる認定審査待ちという方が全国で二千四百十六名ございまして、その中で東京におきましては千百九十四名となっております。
  14. 中野明

    中野明君 かなりの人が認定待ちということになっておるようでございますので、早期にこれは認定をして、早く救済をしてあげていただきたいと思います。  それから、この東京都に関しまして、公害健康被害補償法による地域指定になっていない東京の区は、たしか四つあると聞いておりますが、どこどこになりましょうか。
  15. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 前にお尋ねの補足をちょっとさしていただきますが、第一種地域認定に関しまして、申請後ほぼ一カ月程度認定というようなことになっておりますので、待機者が、ある時点でおりますけれども、その解消につきましては、そう時間はかかっていないように聞いております。  なお、お尋ね東京都二十三区のうち、現在十九区が指定になっておりまして、中野区、杉並区、世田谷区、練馬区という、この四区が指定外になっております。
  16. 中野明

    中野明君 この地域指定状況を、私見せていただきますと、東京都以外は、たとえて言えば横浜の鶴見区ですか、あるいは富士市とか千葉市とか、非常に細かく独立した地域、たとえば川をはさんで南岸とかいうふうに、非帯に細かく地域指定しておられるわけなんですが、東京に限っては区単位になっております。これは何か理由がございましょうか。
  17. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 先生承知のように、この第一種地域の、私ども線引きと申しておりますが、地域指定境界線につきましては、大気汚染状況並びに呼吸器症状有症率、こういった二つのものにつきまして地域的な状況調査把握いたしまして、その上で行政区画あるいは道路、河川、こういったようなものを利用いたしまして境界をしておるわけでございます。東京都の場合におきましては、各区のほぼ全域が、この十九区につきましては指定要件を満たしておるというような関係指定しておるわけでございまして、そのほかにも行政区画をもって地域指定したというようなところも他にはあるわけでございます。
  18. 中野明

    中野明君 東京の残っているこの四区ですか、そこでもかなり健康に被害を受けている人もおられるようですし、特に御承知のあの環状七号線ですか、環七の周辺は、これは大変な大気汚染を含めて呼吸器疾患の人もおられるように私も承知しておりますが、こういう点、他の地域の例で見られるように、残っておる中野杉並あるいは世田谷練馬、この方面でも、やはり特にひどい地域を細かく分けて指定をするという考えはおありなんでしょうか。
  19. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 若干細かい御説明を申し上げて恐縮でございますが、第一種地域指定に当たりましては、先ほど申し上げましたように、汚染状況と、それから呼吸器症状状況調査をもとにいたしましていたすわけでございますが、先生承知のように、この指定の四疾病大気汚染によって増悪されるということもございますが、ほかの原因でも実はなることがございまして、したがいまして、何と申しますか、汚染のない地域におきましても、二、三%程度のこのような疾病患者さんがおられるわけでございます。したがいまして、この法の適用のためには、平常の状態の、自然有症率と私ども申しておりますが、それの二倍あるいは三倍というような、いわゆる増悪が大気汚染によって集団的にも起こっておるという地域を選んでしておるわけでございまして、そういう意味で私ども、現在、世田谷区等の四区につきましての大気汚染程度、あるいはこういった疾病有症率というような状況を見てまいりますと、指定要件を満たしていないということで指定から外されているわけでございます。
  20. 中野明

    中野明君 非常にその辺、私もこの法そのものにも問題があろうかと思いますが、釈然としないものがございます。いま御説明にありましたように、現在の公害健康被害補償法では、天気汚染の物質の対象として硫黄酸化物ですか、SOxしかあれしておりませんが、最近における都市型の複合汚染に対処するためには、窒素酸化物等も含めて健康被害因果関係を究明する必要があるんじゃないだろうか、また補償対象及び指定要件にこれを加えるべきではないかと、こういうように非常に意見が強くなってきておりますが、この点の御見解を……。
  21. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 私ども現在までの指定要件といたしましては、硫黄酸化物一つ指標といたしております。指標と申しますのは、一般的に排出される煙あるいは排ガスというようなものによって起こる大気汚染というのは、硫黄酸化物窒素酸化物等々各種のものが含まれておるわけでございますけれども、その中で硫黄酸化物測定方法あるいは過去におけるデータというものの集積がございますので、それを一つ指標として考えて利用しているわけでございます。  なお、この補償法におきましては、著しい大気汚染があって疾病が多発している場合に、その疾病に係る損害を補てんするという制度でございまして、窒素酸化物につきまして、それが疾病を多発させているかどうかということにつきましては、現在までのところ集められました科学的データによりましては、指定要件に加えるための具体的な指標とすることが困難であるというようなところでございます。しかし、なお今後とも窒素酸化物疾病との因果関係解明に関しまして、動物実験等含め必要な科学データ集積に努めてまいり、その上で検討してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  22. 中野明

    中野明君 最近の公害で、特に大気汚染は若干改善の方向に向かっていると、こういうふうに言われておりますけれども排気ガスや粉じんあるいはばい煙による健康被害は依然として減少していないと私どもは見ております。  ここで全国呼吸器疾患自然有症率、これは大体どの程度というふうに基準をお考えになっているんですか。
  23. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 私ども過去にいろいろなデータを持っておるわけでございますが、この自然有症率と申しますのは、いわゆる呼吸器症状の中でごく早期に見られる症状といたしまして、持続性せきたんというものを一つ指標として見ておるわけでございまして、数カ月間以上続くせきたんという症状を見てまいりまして、それにつきましては一定調査方法がございまして、これはイギリス医学研究方式と申しますか、四十歳から六十歳未満の男女の間におきますこれらの持続性せきたんというものを指標にいたしまして見ておるわけでございまして、私ども過去に大気汚染がきわめて軽度な地域におきまして得られましたデータといたしましては約二ないし三%程度、要するにほかの原因でなっておる人たちがこの程度おると、そのように把握しているわけでございます。
  24. 中野明

    中野明君 現在、公害健康被害補償法に基づいて指定地域になっております倉敷水島地区あるいは大阪尼崎四日市の、この大気汚染健康被害呼吸器疾患有症率はどうなっておりますか。
  25. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 倉敷市、大阪市、尼崎市、四日市市というようなところでございますが、いずれにおきましても、低いところで六%、高いところで一〇%というような割合になっております。
  26. 中野明

    中野明君 お聞き及びかと思いますが、愛媛県の新居浜市で最も大気汚染がひどいと言われておりますこの新田地区に対しまして、五十一年に岡山大学医学部衛生学教室が行った健康調査報告によりますと、わが国最高レベル大気汚染のある大坂、尼崎四日市などの有症率に四散する結果が出て大変私どもも注目をしたわけですが、この実態を御承知でございましょうか。
  27. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 新居浜市におきます住民健康調査は、五十年の十月から十一月にかけまして岡山大学医学部衛生学教室が行ったのでございまして、高い有症率を示したという報告を私ども聞いております。この調査の結果につきましては、いわゆる先ほど申し上げましたように、BMRCイギリス医学研究方式というような一定方式をとりまして、それを保健婦あるいは医師というような専門的な知識のある人がアンケートして、それでその結果から評価をしておるわけでございます。したがいまして、私ども今日、学会等におきましては、調査票を全く同一にして、同じような方法で、かつまた対象者の中の九五%あるいは九八%というようなものにつきまして網羅的に調査したものでないと比較性がないと言われておるわけでございます。そういう意味では、この新居浜におきました調査につきましては、私どもちょっと他の地域調査と直に比較するというのには、少し調査方法が違うように認識しておるところでございます。   〔主査退席、副主査着席
  28. 中野明

    中野明君 この新居浜地区における調査岡山大学だけではなくして、新居浜市の公害課医師会とも協力をして同じ方式で行ったり、横浜市立大学医学部公衆衛生教室が解析した結果からも大体同じようなデータが出ているわけですが、これらについてどうお考えになりますか。
  29. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 私どもが存じております、新居浜市がいまの岡山大学調査のほかにやっておりますのを拝見いたしますと、昭和四十五年の一月の調査におきましては、先ほど申しました四十歳から四十九歳の女子につきましてのBMRC方式による持続性せきたんというのは〇・〇%になっております。四十五年の十一月にいたしましたときには六・七%、四十六年の十月から十一月にかけましてやったときには二・四%、そのような数字を私ども報告を受けておりまして、私ども従来考えております指定要件からいたしますと、少し低いように見受けられます。
  30. 中野明

    中野明君 現地へ行ってみないとこれはいよいよわからぬことなんですが、いままでから言われておりますように、この大気汚染影響を一番強く受けるのは子供、小児であるということは、これは疫学的にも言われておりますが、気管支ぜんそくあるいはぜんそく性気管支炎あるいは気道の感染傾向ですか、かぜにかかりやすい傾向などの形であらわれておることは証明されておるわけですけれども、この岡大調査は私もつぶさに見せていただきましたが、この新田地区においては幼児の有症率が一五・七%、きわめて高い数値を示しております。小学生に至っては六・二%と、恐らくこれは、この数字だけを見ますとわが国では最高数値を示しているのですが、こういう点について、いまの御答弁では、私ども調査の仕方が少し違うのじゃないかというふうに思いますという程度じゃなしに、こういう記録が出てきたわけですから、それについてどこまで関心を示し、そして追跡調査といいますか、環境庁の方で調査をなさったか、その辺をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  31. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 先ほども申し上げましたように、ある種の問診調査でございますので、調査方法といたしまして、問いの言葉につきましても非常に厳密な方法考え、専門的な技術者をもって調査をいたしませんと比較性がないという考え方を持っております。  それから、私どもの現在まで把握しておりますところのデータというのは、小児の場合には若干様子が違ってまいりますので、たとえば肺気腫あるいは慢性気管支炎のように、ある程度加齢して、年齢の高くなった人たちについて見なければならないというような疾病もございますので、四十歳以上あるいは六十歳ぐらいまでの方々対象にして調査をする、こういう形でございまして、そういう意味では、新居浜市につきましても、先ほど申し上げましたようなデータから比較いたしまして、他に比べて低い、高くはないという形でございますので、市当局等のいたしました調査を私ども尊重して考えているわけでございます。
  32. 中野明

    中野明君 一歳から十五歳までの年齢別に調べていただいた向こうの調査のあれを見ましても、呼吸器疾患がすごく高い比率で一位を示しております。その原因は、やはり新居浜工業地帯から排出される大気汚染であると、私どもはそう見る以外にないわけですが、こういう一応の報告新居浜医師会が調べた状態でも、一歳から十五歳まではもう呼吸器疾患が第一位を記録しております。こういう実態から見まして、この原因解明すべきであるというふうに私は思いますけれども環境庁として御意思はございますか。
  33. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) いま一つ新居浜の場合、指定要件といたしましては、いわゆる大気汚染状況が〇・〇四PPm程度と聞いておりまして、そういう意味でも汚染はそれほど高くないところでございますし、私ども、いま先生の御指摘のように、この原因の究明について調査を行わないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、市並びに関係者と相談をいたしてみたいと思っておりますが、私ども、先ほど申し上げましたように、四十五年から最近にかけましての三回にわたる四十歳から四十九歳の女子のいわゆるBMRC方式による調査の結果から見ましては、どうもそれほど問題はないんじゃないか。   〔副主査退席主査着席〕  また、先生指摘幼小児期せきでございますが、これはほかでもそういった調査をしたものがございますので、そういったものと比較してみないとわからないのでございます。私、いま現在ちょっと持っておりませんが、そういったものと比較いたしまして、原因の究明につきましてはデータの上での研究はひとつしてみたい、かように思っているわけでございます。
  34. 中野明

    中野明君 これまた三月二十六日、私もちょうど現地へ二十六日の日ですか、行っておりましたが、どうしても東京に引き返さなきゃならなくなりまして帰ってきましたが、三月二十六日の時点で、再び岡大医学部調査の結果を発表いたしております。これは御承知かどうか、まだついこの間のことですからなんですが、この岡山大学医学部教室の調査、五十一年秋に、先ほど私申したとおりなんですが、それで二十六日にこの新居浜新田地区から一・五キロ離れた同市の磯浦地区ですか、ここでも有症率が一八・二%と、かなり高い数字になっていることを発表しております。この調査の内容は、先ほどお話が出ておりますBMRC変法の呼吸器症状調査項目に岡大健康調査票の項目を加えたものでやっておりますが、この結果、新田地区で一八・二%、これは大分県の三佐地区、新田地区、岡山県の水島地区と、このように非常に高い率を示しておりますし、ぜんそく、慢性気管支炎患者は九%、これはもう水島の水準をはるかに上回っておるものとして重大な指摘をしているわけです。そのほかに患者の性別では男子が一二・七、女子が八・七と、このように結果が報告をされておりまして、磯浦地区の人たちにも公害から市民を守る会というのもできて、大変これは関心を持って見ておるわけですが、この状態をどのようにお考えになりますか。
  35. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 先ほどから申し上げておるわけでございますが、たとえを引きますと、科学的な試験検査におきましても、それに使う試験試薬あるいは試験方法手順等が違いますと非常にその答えが狂うわけでございますが、それと同様に、私ども地域におきますこのせきたん有症率を把握するためには、一定調査方式というものを一定方法でやることによって初めて比較性が成り立つわけでございまして、そういう意味での比較性から考えてこの地域におきます状況を私ども把握しているわけでございまして、岡山大学衛生学教室で行っております調査票等も私拝見しておりますけれども、いわゆる方法論としての差異があるわけでございまして、そういった意味でのデータ比較して云々することは大変私ども全国的な視野に立ったこの法の実施の公正さということから考えまして、なかなか、学会等からの批判も受けようし、むずかしい点だと思っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、市、県等とも相談いたしまして、私どもの実施方法によるデータ、これによって問題を考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  36. 中野明

    中野明君 非常にいまのお話を聞きおりまして、何かしら環境行政として、それは一応おっしゃる意味もわからぬでもありませんが、数字にだけこだわっておられて、国民の健康被害、健康というものを守る、どっちが大切なんだろうかというふうに私非常にさみしく感じるわけですが、こういう状態全国最高水準だと、たとえあなたがおっしゃるように、調査方法が違うというようなことをおっしゃいますが、岡大の、あるいは横浜市大の報告がなされておるわけですから、そういうことをやはり重要視されて、そして地域指定調査の発動という、こういうことはどうしてもやるべきじゃないだろうか、私はこのように考えておりますが、その点についてどうでしょう。
  37. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 大変くどいようでございますけれども、試験検査方法というものは厳密にいたしませんと他の地域との比較が成り立たないわけでございまして、数字数字と申しますが、やはり私ども科学的行政をいたす上では、同じ調査方法に基づいた数字比較のもとにいたしませんと、ある地域では非常に甘くなり、ある地域では厳しくなるということに相なるわけでございまして、その辺の公正さを保つための調査方法の厳密を期しているわけでございまして、私ども何も、健康被害者の救済ということにつきましては心から救済しなければならないと思っているわけでございまして、やはり他の地域との整合性を保つために一定調査方法を厳守したいと、かように考えているわけでございます。  なお、従来、地域指定をするための調査の発動要件といたしましては、〇・〇四ppm、指定要件としては〇・〇五ppm以上というような汚染状況一つのめどにいたしておるわけでございます。
  38. 中野明

    中野明君 いまのお話で、大気汚染データを基礎に指定地域調査を行うという方針であるとおっしゃっておりますのですが、四十九年の十一月に中公審の答申が出ております。これはもう御承知のとおりでありますが、この中に「大気の汚染に関するデータが得られていない場合には、発生源の存在、汚染物質の排出量、住民による健康被害、植物被害に関する苦情、地方自治体その他の機関により行われている健康被害に関する調査結果等を参考として地域指定調査の必要性の有無を判断することもやむを得ないと考える。」と、このように中公審でも答申をしているではございませんか。だから、いま何かもう大気汚染が非常に汚れていないようなデータしか出ていないから、そこはもう、ちょっといまのところ他とのつり合いがあって云々というような意味のお話でした。しかし、中公審でもこういうことを言って、やはり住民健康被害を守る、また健康の被害状態を調べるということが先決じゃないだろうか、このように私どもは思うわけですが、新居浜市のこの実情、これ地元ではもう大騒ぎになっておりますし、やはり一般の市民の方から言いますと、部長も御承知のように、まあ中国、四国では、岡大といえばこれは最も権威あるものだと私ども承知しております。その岡大が、一度ならず二度までもこういう実態だということを発表して住民の皆さんにも一緒になって大気汚染を守ろうと、こういうふうに発言をなさっているわけですが、こういう状態というものをこのまま放置しておくということは、私は環境庁としてどうかと、こう思うわけです。ですから、こういう中公審の答申もございますので、新居浜市の実情にかんがみても指定調査の発動要件は私は整っているように思うんですが、早期調査を発動すべきじゃないかと、そして普通の常識で、いままでから見ておりますと、大体もうこの次、と言えば語弊がありますが、新居浜あたりはもう指定になるべき地域じゃないだろうかというのは、素人なりに私どもも予測をし大体考えておるわけなんですが、そういう状態考えましたときに、指定地域調査の発動要件というものを何かこう大気の汚れだけで考えておられることについて、中公審もわざわざこういうような答申もしてくれているわけですから、この点をもう一度お答えいただきたいと思います。
  39. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この法律は、著しい大気の汚染があって疾病が多発するという条件考えられているわけでございまして、いま先生の中公審の答申でございますが、その部分には、現時点において大気の汚染が軽度になっていても、過去に著しい大気の汚染があれば現在においてもその影響による疾病が多発することもあろうというようなことが書いてありますほかに、もし硫黄酸化物が測定されていない場合には、いま先生がおっしゃいますように「降下ばいじん量、発生源能力、汚染物質の排出量、シミュレーションによる汚染程度の推定に関するデータ、植物被害発生状況等を参考として」と、こうなっておりまして、硫黄酸化物が測定がない場合にはという限定がかかっているわけでございます。しかしながら、新居浜市におきます硫黄酸化物の測定につきましては、四十四年から二測定点、四十五年に四測定点、四十六年には五測定点、四十八年には六測定点というぐあいに、現在まで六つの自動測定点によるデータが出ておるわけでございまして、これらの過去のものもさかのぼってみましても、〇・〇四ppm以下でございまして、汚染程度といたしましてはひどくないわけでございますので、そういう意味が現在指定要件のための調査ということもしてないわけでございますし、また岡山大学調査はございますが、新居浜市につきましては、四十五年から四十六年にかけまして三回にわたってBMRC方式、いわゆる比較性のある調査をいたしておりますし、それらをながめまして、いまの時点におきましてはこの地域指定のための調査の発動地域とは考えていない状況でございます。
  40. 中野明

    中野明君 非常に地元の住民感情を逆なでするような御答弁で私も不満足でございます。実際にぜんそくで苦しんでいる人たち、これは私から申すまでもなく、部長はその道ではもう一番よく御存じだと思いますが、大変子供の場合なんかは苦しんで、親子ともに生き地獄というような状態であります。こういう状態が、たとえあなたのお話をそのままお受けするにしましても、数字の上でのデータで云々ということを一〇〇%認めても、現実に困って苦しんでおることは事実であります。だからこういう状態、それに加えて先ほどから私が再三申し上げておりますように、岡大なり横浜市大なりあるいは新居浜市の医師会なりが一生懸命に調査をしたその結果が非常に高い有症率を示しておると、こういうことになりますと、何はともあれ、数字数字と余り数字にこだわるよりも、指定地域調査の発動に関する条件を満たす満たさぬというよりも、一度やはり現地へあなた御自身でも乗り込んでみる、あるいは局長さんも現地へ行ってみる、そして地元ではこういうことですがと、大臣はきょう欠席でございます。大臣も公害か何か知りませんけれども欠席でございますが、大臣にも、やはりそういう意味で皆さん方が現地へ行って、地元でこういうふうに大騒ぎをしておりますと、実態はこうでございましたと、やはり報告する意味からも現地に行くべきじゃないか、私はこのように思うんですが、いかがですか。
  41. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 私も最近新居浜へは行ったことございませんが、かつて行ったことがございます。ただ、私どもこういった疾病調査は、現地へ行ってただ目で見るということではなしに、一つのやはり調査方式というものにのっとって見てまいりませんとなりません。  それからまた、ぜんそくと申しますのは、先ほど申し上げましたようにほかの原因でもなる方があるわけでございまして、その地域におきまして、一般的なレベルの二、三%よりも超えてそういったような有症率が多いということを目安にしておるわけでございますので、その辺私ども、市あるいは県当局等とは今後とも連絡をしながらいろいろ状況の把握に努めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  42. 中野明

    中野明君 そういう場合に、ぜんそくがこんなにたくさん出ているということについては、私ども素人考えで複合的な汚染というもの、複合的な原因があるんじゃないかということも考えられますし、あるいは浮遊粉じん、これなんかも考えられるわけですが、こういう点についてどのようにお考えですか。
  43. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 冒頭にも申し上げたかと思いますが、現在の大気汚染というのはまさに硫黄酸化物窒素酸化物、浮遊粉じんというようなものが三役でございますけれども、そのほかのいろいろな物質が複合してなっているということは十分承知しておりますし、それを硫黄酸化物というものを一つの代表と考えて、いわゆるそれを指標というわけでございますが、指標考え状況を把握するということでございまして、硫黄酸化物が高いということには、その裏側には当然のことながら窒素酸化物も浮遊粉じんもある程度の比例をしながら高いと、こういうぐあいに考え、かつ把握しているところでございます。
  44. 中野明

    中野明君 押し問答しておってもしようがありませんが、いずれにしても、現地ではこの問題について大変な関心を持ち、そしてまた住民の皆さん方も一日も早い対策と調査を望んでおるわけでございますので、その点を含めて今後十二分に検討していただきたい、このことを強く要望いたす次第でありますが、最後に御答弁を伺って終わりたいと思います。
  45. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 当然地方自治体でございます新居浜市並びに愛媛県、それから関係の専門の方々というような方々の御意見を聞きながら今後の対処を考えてまいりたい、かように思うわけでございます。
  46. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上で中野明君の質疑は終了いたしました。
  47. 内藤功

    内藤功君 まず私は、東京を中心とした環境公害問題についてお伺いしたいと思うんですが、第一は、首都高速湾岸道路並びに東京湾横断道路構想と環境問題についてお尋ねをしたいと思うんです。  建設省にお伺いしたいんですが、首都高速湾岸道路の現状はどうなっておるか、またこの湾岸道路の騒音、それから振動公害などの環境問題の問題点はどのように建設省として把握していらっしゃるか、まずこれをお伺いしたい。
  48. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) 東京湾岸道路の現状についてまず御説明させていただきます。  東京湾岸道路は、神奈川県の横須賀市から、横浜、川崎、東京、千葉を経まして千葉県の富津市まで参ります延長約百六十キロの道路でございます。構造は、自動車専用道路部が四ないし六車線、それから一般道路部が四ないし八車線という計画でございまして、現在供用をしておりますのは東京から千葉の間、正確に言いますと、大井町から千葉県の袖ヶ浦町の約八十キロでございます。そのうち四十キロが新東京国際空港関連ということで、ことしの一月二十日に首都高速道路、それから一般国道三百五十七号線を合わせて四十キロが供用をされているところでございます。それから、残りの区間でございますが、横須賀から横浜の間は一部湾岸道路が陸上部に上がりまして、南横浜バイパスということで、これは現在事業を行っております。それから、横浜から東京の大井町の区間は、横浜市、それから川崎の扇島の埋立地等を通りまして大井町に至るわけでございますが、この間につきましてはこれから事業を進めていきたい。先ほど先生がおっしゃいましたような環境問題等について調査を進めている段階でございます。それから、大井町から、先ほど新東京国際空港関連と申し上げました四十キロ区間につきましては、まだ高速道路が十キロほどしか出ておりませんので、なるべく早く高速道路をつなげるということで工事を鋭意進めていきたいというようなのが現状でございます。  それから、環境問題でございますが、私どもは事業の推進に当たりまして、四十七年六月の閣議了解事項、各種公共事業に係る環境保全対策という趣旨にのっとりまして、事業の実施が環境に及ぼす影響につきまして事前に十分調査検討して道路構造を検討するようその対策に配慮しておりますし、今後もその方針でいく予定でございます。
  49. 内藤功

    内藤功君 次に、もう一つ東京湾横断道路構想、この方は昭和五十一年度から道路公団の中に東京湾横断道路調査室というものが置かれて調査業務に携わってきているというふうに聞いておりますけれども、現在までの調査状況について具体的に御説明願いたい。  それから、さっきの答えの中で、四十七年六月閣議了解に基づいてやっているという一般的な態度の御説明はあったけれども、もう少し具体的な問題点をつけ加えて答えてもらいたい。この二点。
  50. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) それでは、最初に湾岸道路の環境対策につきまして具体的な事例を挙げまして御説明させていただきたいと思います。  まず、現在までにすでにとっております環境対策でございますが、まず生活環境を保全すべき区間ということで、船橋市の若松地区、これは団地がございますが、そこの区間はやはり自動車交通に伴う騒音というのが問題になりまして、これはいろいろ地元の方と御相談をしながら、遮音壁を設置をいたしましてそれに対応しております。遮音壁の高さは大体二メーターから三メーターぐらいで、五百メーター区間設置いたしまして、今回の空港関連ということで供用を急いでやったわけでございますが、それに間に合わせるようにすでに設置しております。  それからもう一項目、自然環境の保全の例といたしましては、習志野市の谷津地区に谷津干がたというのがございます。これはいろいろな野鳥が、カモとかカモメとか、そういった渡り鳥ございますが、約五千羽ほどいるというふうに言われておりまして、これを埋め立て、道路をつくる場合に、そこを埋め立ててしまいますといろいろ問題があるということで、その道路の間に三カ所ほどみお筋のところに橋梁をかけまして、五メーターほどの橋梁でございますが、水の流出入をよくするというようなことで、中の水質が悪くならないような配慮をしております。と同時に、やはり野鳥も夜、ヘッドライトが照りますと眠れなくなると申しますか、睡眠がとれなくなるということも配慮いたしまして、これは遮音壁でございませんで、遮光板を高さ二メートル、長さ六百メートルというようなことで設置しております。この件につきましては、野鳥を守る会という方々にも御説明して、そういったことがないようにしているのだということでやっております。  それから、横断道路でございますが、この東京湾横断道路は、先ほど申し上げました湾岸道路をつなぐという意味で、川崎から木更津の間約十五キロ東京湾を横断する道路でございまして、構造は橋梁とか人工島あるいは沈埋トンネルというものを組み合わせてつくるわけでございます。これにつきましては四十一年から建設省の方で五十一年まで調査を進めてきておりまして、調査の内容は、やはり環境問題とか、それから技術的な橋梁とか人工島とか沈埋トンネルの施工の問題等をやってきたわけでございますが、御指摘のように、昭和五十一年度から道路公団で実施のための調査に入っているわけでございます。現在はまだ基礎調査段階でございますが、特に環境に関する調査といたしましては、まず水質問題といたしまして、湾内水質の現況を把握するということで、道路公団の方で委員会を設けましていろいろ現況の把握に努めているところでございます。  それからもう一点は、海洋生態がどうなるかということで、湾内の生態系の調査を、これも同じく委員会を設けまして、いろいろ現況の東京湾の中の生物の生態がどうかということを調査しております。持に盤州干がたというのがちょうど千葉県側にございますが、そこの干がたの保存の問題もありますので、そこについては具体的にいろいろ調べております。  それから、大気質につきましては、東京湾周辺の大気質の現況ということで、これも現況調査をいまやっている状況でございます。  環境関係に対しては、現実そのような以上三点の調査を現在やっているところでございます。
  51. 内藤功

    内藤功君 大体大づかみな現状はわかりました。  そこで、この構想については新日鉄などを初めとする日本の巨大な企業約四十三社が数年がかりで準備をし、研究を進めてきたものであると、住民や地方自治体の受けとめ方はいろいろ複雑なんですね、これは産業優先の道路になるんじゃないかと。たとえば横浜や川崎あたりの方の感覚としては、千葉へそんなに急いで自動車でぶうぶう飛ばなくてもいいじゃないかという意見も率直に言ってあるんですよ。公害の方ばかりいっちゃって、住民生活にはぴんとこないという意見がこっち側、つまり東京側ですな、東京、神奈川の方の人には多いんですね。神奈川県の知事なんかは、これはコンビナートの防災問題や地震対策の方が先だということも言っておられるということなのですね。そこで、やはりこの問題は非常に環境庁が、首都圏の問題でありますし、ぜひ力を入れて公害環境問題、環境保全の問題に力を入れてもらいたい。私はここで特に長官に、大臣として、政治家としての大きな所見を聞きたかったのですが、大臣もぐあいが悪くて来られない、それにかわるべき政務次官もおいでにならない、ちょっと異例な事態、科はまあ予算委員会何回か出ましたが、こういう事態はちょっと異例なので、これはまた別の機会に聞かざるを得ない。  次の問題に移りたいと思います。  次は、横田基地の周辺の航空機騒音防音対策の問題を伺いたいと思います。  まず、横田基地周辺の航空機騒音の実情とその対策について概要を承りたいと思います。
  52. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) いま先生の御質問のございました横田基地周辺の航空機騒音の問題でございますが、これは基地でございますので、基本的には防衛庁関係法律で、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのがございまして、その法律によって基地周辺の防音対策等が行われておるということでございます。  現在、それでは環境基準と一体どういう関係になるのかということでございますが、これは四十八年の十二月に航空機の環境基準が設定されまして、二つの地域類型に分けてやるということでございますが、これに基地周辺は民間の公共空港に準じてやるという形になっておりまして、基地であるからといって特別な扱いを受けるというような形にはなっておりません。  で、現在それでは、その対策はどの程度環境基準に関連して進んでおるかということでございますが、これは東京都が五十三年の三月三十一日——昨日でございますが、昨日、その基地周辺の環境基準の、I型とII型というその類型がございまして、その第I類型がもっぱら住居の用に供せられる地域、第II類型が、その第I類型以外の地域で通常の生活を保全する必要がある地域という、そのような地域区分を行うということを東京都が三十一日付で実施したところでございます。で、東京都自身が騒音の状態をはかって、この公表をいたしておりますその資料を見ますと、横田基地周辺では、音のレベルは少し下がってきておるという状態があるように、私ども東京都からいただいた資料では承知をいたしておりますが、そのほか、飛行機の機数については少しふえておるということであるというぐあいに承知しております。  以上でございます。
  53. 内藤功

    内藤功君 飛行機の数が少しふえているという、その具体的な数字等はいま把握していますか。
  54. 広田徳久

    説明員(広田徳久君) 米軍の管理下にあります基地でございますので、防衛施設庁といたしましては正確にその数字は把握してございません。ただ、周辺に重大な影響をこうむるような機種等の変更については、できるだけ情報を提供してくれるように常々要請しているわけでございますが、御報告申し上げるほどの情報を把握しておりません。
  55. 内藤功

    内藤功君 防衛施設庁に伺いますが、防衛施設庁として、横田基地周辺の航空機騒音の防止のために、いままでこういうことをやってきたと、こう予算委員会分科会でもあなたの方で声を大きくして言えるような点、どういう点があったのかということをあなたの方の立場からまず示してもらいたい。
  56. 飯村善三郎

    説明員飯村善三郎君) 今回、東京都から地域の類型の当てはめの指定があったわけでございますけれども、現在まですでに環境基準、それから私の方の周辺整備法の四条に基づきまして、住宅防音を約一千戸現在までやってきております。このお金は約十六億六千万ぐらいでございます。その他、この住防のほかに移転、それが約六百戸ぐらいあったと思いますけれども、その他学校防音と通常のいわゆる基地対策、これについても逐次推進をしているところでございます。
  57. 内藤功

    内藤功君 東京都は横田基地周辺地域に、たしか昨日ですね、三月三十一日に、公害対策基本法の第九条の規定に基づきまして、航空機騒音環境基準を適用することを決めて地域類型の指定を行ったというふうに理解をしております。適用地域の範囲は、基地滑走路の中心線から東側二千メーター、西側三千メーターの距離の滑走路と平行した二本の直線に囲まれた八市二町にわたるとされている。環境基準値は、住宅地域が七十WECPNL、商工業地域は七十五と、こういうふうにしているようですが、施設庁はこれによって民家の防音工事の義務を負うことになるわけですな。そこで、この地域類型の指定によって、施設庁は当然改善計画というものを直ちに立てていくということになっていくと思うんですが、この問題について、今度は転じて環境保全問題の監督庁である環境庁の方の御見解を伺いたいと思うんです。
  58. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) いまの御質問の環境庁としてはどうかという御意見でございますが、この横田基地がどの形の空港に属するかということは、これは環境基準で既設空港の区分がございまして、私はまだはっきりそれに決まったかどうかは、防衛庁の方からお答え願いたいと思いますが、第一種ではないだろうかというようなことを、これは風聞に聞いただけでございまして、まだそれが第一種になったかどうかは存じません。これは防衛庁の方から責任のある御答弁をいただきたいというふうに私は思っております。  もしもその形になるといたしますと、まず五年以内に、これは四十八年十二月に決めたものでございますから、ですから五十三年の十二月までに八十五WECPNL未満にすると、屋外でございます。それが達成されない場合は屋内で六十五WECPNL以下にするという条件がございまして、この今年の十二月末までに八十五になっていなければ、その屋内が六十五になるように防音工事をしなければならないと、そういう、これは努力目標ではございますが、航空機の環境基準のときに決められた一つの方針でございます。
  59. 内藤功

    内藤功君 いまの点、防衛施設庁はどうですか。
  60. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 速記を起こして。
  62. 飯村善三郎

    説明員飯村善三郎君) 先ほど申し上げましたように、八十五WECPNLまでの住宅防音工事は現在までもやってきております。そして、今回の東京都知事の指定によりまして、七十ないし七十五WECPNLまでの範囲が示されたことでございますので、これを国としては尊重をして、これに対する計画を作成していかなければならない、そういう基本的な態度でございます。ただ、現在までの状況としては、この七十までの地域についてのコンターを明確にするという作業が具体的に進んでおりませんので、これについて早急に検討をしてまいりたいと思っております。
  63. 内藤功

    内藤功君 環境庁にもう一つ伺いたいんですが、これも大臣が来ておればもう少し私詳しく聞きたいと思ったんですが、まあ、現在訴訟も起きていますし、訴訟の問題はここでは私は触れませんが、周辺の居住地住民のお話をずっと聞いてみると、さっき航空機の騒音が少し減ったというお話を私ちょっと耳にしたんですが、なかなかそういうものではないようですね。まあ一々ここの住民の方から聞いた話を紹介することは時間の関係で省略しますが、電話、ラジオ、テレビの聴取不能の問題、日常の会話がもうできない、それから子供さんの勉強、さらにぐっすりきょうは眠らなければならぬのに眠れないという安眠妨害、仕事ができなくなる、日常生活や仕事の上の被害にとどまらず、肉体的な被害ですね、難聴、耳鳴り、目まい、肩こり、疲労感、食欲不振から胃腸の病気に至るまで非常に被害が多い。特に子供さんたち——児童、生徒に与える影響としては、情緒不安定な性格傾向を生み出すという、こういう心配も指摘をされております。さらに、航空機の発する排ガスには膨大な一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物が含まれていて、離着陸時、上昇時などの排出量は非常に大きいと言われております。こういうものによって、のどの痛みや気管支炎などの呼吸器系疾患、目の痛みを訴える人も非常にふえている。振動による被害も大きい。こういう実態は改善されず非常に深刻になっていると私は思います。これは期間が長引けば長引くほど蓄積をしますのでなお深刻になってきている。こういう点で、健康で文化的な生活というものを守る第一線の役所である環境庁の、きょうは大臣も政務次官もいないので、それにかわる担当のお方の今後のこれに臨む決意表明をいただきたいことと、それからもう一つ、さっきお話しの、今度の環境基準の適用指定を受けて、民家の防音工事を急がせる、こういう問題についての御所見をあわせて承りたいと思います。
  64. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のございましたように、空港周辺の方々がこうむられる生活妨害というものは、これは本当に実際に住んでみると、私も空港周辺に住んでおりましたが、なかなか大変なものだというように存じております。そういうことのために、諸外国では、このような形にまでは決めておらないものでございますが、日本は非常に住居の条件も、土地利用の条件も不利であるということで、先ほど申し上げましたような環境基準を長期努力目標としてやっているということでございまして、この点は防衛庁の方からいまさっきもお答えございましたが、最大の努力をしていただいて、やはりその方々が迷惑をこうむっておられるということを絶えず頭に置いて進めていただきたいということを、これは事あるごとに強く私どもの方から防衛庁の方にもお願いをするという形で進めたいと思っておりますし、防衛庁の方の組織の中でも、これは公害に対応するための特別の組織までつくってやっていただいておりますので、その点は十分やっていただくことは期待できるんじゃないかというように考えておるわけでございます。
  65. 内藤功

    内藤功君 次に第三番目の問題ですが、環状七号線の杉並区高円寺陸橋周辺の騒音、排気ガス問題についてお伺いをしたいと思います。  首都の東京公害問題の最大のものは車公害だろうと思うのですが、この原点として全国的にも注目を浴びているのが環状七号線である。環境庁に伺いたいんですが、環境庁は現状をどのように把握しておられるか、特にその中心になっている交通量、日中で約十万台と言われております渋滞ゾーンの高円寺の陸橋付近、ここでの騒音は、区の公害課の調べによりますと、これは五十二年七月十一日から十八日までの測定結果によりましても、環境基準の夜間五十ホンをさらに十六ホンも上回っている、こういうふうに発表されている。まずこれらの点についての環境庁の御認識を伺いたい。
  66. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) まず、環状七号線の公害をどう見ておるかという御指摘でございますが、これは交通公害として、大気汚染、騒音、振動、すべての点で非常に問題の地域であると思っています。非常に問題があるが、それで全国的にどれぐらいのところと見ておるかというそのオリエンテーションでございますが、これは阪神の四十三号線、阪神高速等と比べると、あれほどの規模ではないということでございます。  それから次の問題は、基本的に責任主体はどこであるかと。これは東京都の道路でございます。東京都道でありまして、東京都がこの問題について具体的な対策をまずつくるということが基本であるというように考えております。しかし私どもは、だからといって、どう言いますか、余り関心を持たないということは全くございません。いろいろ現地も回っておりますし、ガスの非常に高いところは一体どういうところからとっておるかということも、その場所に直接参りまして、東京都の人とも立ち会って拝見したり、つい先ごろも環状七号線周辺の住民の方の陳情の方とも約一時間近くいろいろお話をして、お互いに改善をしようということを言ったわけでございます。  御指摘の高円寺のところでございますが、そのすぐ近くのところに自動車排気ガスの測定ステーションがこの場所にはございます。そういうことで、これは杉並のステーションになるわけでございますが、窒素酸化物の濃度でいきますと、五十一年が〇・〇四七、これは年平均でございます。それから五十年が〇・〇四八というところでございまして、それ以前の四十八年が〇・〇三五ということでございますから、そのころよりもふえているが、五十年、五十一年は余り変わりはないという状態と思っております。これはまだ改善しなければならないところで、全国のトップテンには入ってまいりませんが、それより少し下でございますが、高いところであるというように思っております。  それから硫黄酸化物の方では、五十一年は〇・〇一八、昔の方も四十七年ごろで〇・〇二、これは余り高いところではございません。  それから騒音の方で見てみますと、高円寺南のデータを見てみますと、騒音のレベルは、中央値といたしまして、特に問題になる夜間をとってみますと六十ということでございまして、また上限値の夜間をとってみますと七十三というところでございます。これは要請基準は超えていないということではございますが、これはやはりもっと改善をしていかなければならない。環境基準は超えておる、間違いなく超えておりまして、これは対策を要するということでございます。  そういうことで、環七公害といいますのは、大分ひとときよりも、車線を少し減らしたり、減らして歩道を広めましてそこにグリーンを入れたりすることも進められましたし、また東京都も建設省が打ち出しました方針に沿ってこの沿道対策に手を打ち出しているということで、少しずつその対策が進み始めたことは事実でございますが、まだまだこれは非常な対策が要るというぐあいに認識をいたしております。
  67. 内藤功

    内藤功君 いまのお話からも、全国的にもやはり軽視すべからざる状況であることがわかります。私は特に、具体的に地元のこの陸橋の近くにある、御存じかもしれませんが、杉並区立の第十小学校——杉十と言っておりますが、杉並第十小学校の問題を一つ取り上げてみたいと思います。  ここでは昭和四十八年に教室を二重窓にした。そうして、以後窓を閉め切ったままの教室で児童が授業を受けている、いわば公害に閉じ込められたかっこうになってきている。まことに気の毒な状況であります。一年じゅう窓を閉め切るので空気が濁らないようにエアコンの装置を取りつけたんだけれども、今度は子供の体調が、自然の空気に余り当たらないから弱くなって、いわば二次公害を引き起こしている。そうした環境から脱出するために、学校関係者も挙げていろいろな計画を立てておるのでありますが、そのすぐ近くにあるのが農林省の蚕糸試験場の跡地なんですが、そこでここに移転先というものを求める、希望しておる。それによって少しでも改善を図りたいという悲願だと思うのです。  そこで、大蔵省来ておられると思いますが、いろいろあなたの方にも地元からの要求、関係者の要求があると思いますが、筑波移転跡地利用計画、これを検討している小委員会ですね、作業状況は現在どのように進んでおり、どのような状況に到達しておるのか、それから利用計画が決められるめどはおおむねいつごろまでを見込んでおるのかという点を、まず御説明願いたいと思います。
  68. 松岡宏

    説明員(松岡宏君) お尋ねの筑波移転跡地の利用方針でございますが、現在、国有財産中央審議会筑波移転跡地小委員会におきまして、関係方面からの要望を踏まえまして鋭意検討中でございます。大蔵省といたしましては、昭和五十四年度中にそれぞれの機関が筑波研究学園都市へほぼ移転を完了すると、こういうスケジュールになっておりますので、その移転が終わった時期には跡地の転用方針が固まっていなければならないと、こういうふうなタイミングを心得まして、それに間に合うように現在審議会の御審議を進めていただいているところでございます。  なお、国有財産中央審議会におきましては、移転跡地の利用の基本方針及び主要な跡地につきましての利用の大綱というところまでを御答申いただきまして、それで大枠が決まるわけでございますが、さらに、より細目的、具体的な利用計画につきましては、国有財産関東地方審議会におきまして、再び御検討をいただき、最終的な答申をいただくと、こういう運びにいたしたいと考えております。
  69. 内藤功

    内藤功君 さっきも私紹介をしましたし、ここで後でごらん願いたいと思うんですが、小学校の六年生を卒業した子供たちの作文集にも、非常な子供たちの気持ちが入っておりますがね。この杉並第十小学校が、いわば公害の一等地、騒音と排気ガス公害の一等地から脱出して、移転先をこの蚕糸試験場跡地に選んで、そこに行きたいと、特に杉並区議会の意見書もまとめられております。東京都と国へ強く要望をしているというふうに私も聞いております。先日、他の委員会でも大蔵省の理財局のたしか次長さんでしたか、地元で完全に意見の一致を見ている財産については御要望に沿いたいという趣旨の答弁をいただいていると聞いておりますけれども、こういう公害の非常にひどい、全国的に見てもひどい方に属するところにあるものでありますから、大蔵省の財産を管理される当局としても、なおこういう地元の要望について十分な配慮をして、御努力を前向きに期待したいと思うんですが、いかがでございましょう。
  70. 松岡宏

    説明員(松岡宏君) ただいま御指摘杉並区立第十小学校の件でございますが、東京都あるいは杉並区から、この小学校を蚕糸試験場の移転後の跡地に移転せしめたいという御要望は大蔵省としてすでにお伺いしているところでございます。で、この蚕糸試験場の跡地につきましては、その他関係方面からいろいろな要望が出ておりまして、先ほど申し上げました筑波移転跡地小委員会で審議を進めているわけでございますので、この小学校の要望、その他関係方面からの要望を十分吟味いたしまして、慎重に跡地利用の方針を検討してまいりたいと考えております。
  71. 内藤功

    内藤功君 まあ慎重な御答弁ですが、御努力を期待したい。慎重にかつ積極的にひとつ御検討願いたいという要望を申し上げておきたい。  さらに、せっかくの機会ですから、ことしの三月にその杉十を卒業した子供たちがつくった、これりっぱなものですけど、「青空」という文集なんですよ。これに子供たちの作文がずっと載っているんですが、私これをずっと見ていて非常に胸を打たれたのは、やはり子供たちが公害の問題は非常に強い印象を受けておるのですね。たとえば、時間の関係一つ、二つだけ紹介すると、こういうのもある。「環七通りに面した杉十の移転問題が出た。これは子ども公害から守るために、PTAのおかあさん方がやってくれた、蚕糸試験場あとへぜひ移るようになってほしい。」、これはことしの「世の中のようす」、十大ニュースみたいなのを書いている中で、「王のホームラン」だとか、「はやった歌」だとか、「有珠山大爆発」だとかいうものもありますが、一番トップ、ことしの十大ニュースのトップが「公害」なんですね。それから九十二ページになると、堺健一君というお子さんですが、「まわりには、青梅街道と環七通りと二つの街道がある。ぼくたちは、こんな、公害の中で、いっしょうけんめい遊び、勉強している。校庭をとりまく、いちょうも、すぐはが落ちてしまう。どうか、いい空気にしてもらいたいと思う。」、こういうのも書いてあります。  ちょっと課長ね、大蔵省がいま問題だから、これちょっとぱらぱらと見て、よく部内で伝えて下さい。  大臣がおられないので、私の大臣に対する質問は省略してもう一点だけお伺いしたい。  それは、いままでもしばしば議論になっておりますが、公害健康被害補償法指定地域の問題であります。これは私は、実はあなた方政府のお答えはどういうものだということは推察がつくんです。推察のつく質問をあえて繰り返しわれわれがやっているという、ここのところをあなた方にやっぱり知ってもらいたいがゆえにあえて質問をする。ですから、余り答えは初めから期待しない質問だということであるがなお質問したい。最大限の答弁をしてもらいたいと思う。  それは首都東京における公害問題とりわけ大気汚染の問題についてであります。まず、多くの問題がありますが、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区の四つの区が公害健康被害補償法指定地域から外されている、この問題です。除外されている四区の被害者、住民患者の方、家族の方々から、ぜひ地域指定をしてほしい、強い要望が依然として非常に強くわれわれのところに寄せられております。いま申した四区の各区長もすでに十一回にわたって要望を出しております。また東京都知事からも地域指定を強く望んでおります。環境庁はこうした都民の声、住民の声、また自治体の要望、これに対してどうこたえていくかという問題なんであります。  ことし一月末現在東京都の調べだと、世田谷区で千四百八十人の患者さん、中野区で七百五十六人、杉並区で九百十六人、練馬区で七百八人、こういう方の数が言われております。さらに三多摩の方でも、工場がこれは余りないのに全域で五千九百十三名という数が挙がっておる。私はやはりこの際患者の悲痛ないろいろな叫び、家族の方の声というものにこたえて、一歩でもやはり前向きに、皆さん方がこのような努力をしたということが、こういう住民や家族や患者に伝えられることが政治の温かさというものを国民に知らせる上で非常に大事なことなんじゃないかと。  さらに、中公審から二酸化窒素の指針についての答申が提出された。この答申を受けて今後どういうふうに作業を進めていくということであるのか、これも非常な関心事であります。  さらに、われわれが前から主張していますように、公害健康被害補償法、きのうも若干の改正がなされましたけれども、ああいうふうなものではなくて、窒素酸化物公害健康被害補償法の要件に加えるべきだと、これも従来のわれわれの主張であります。また住民の叫びであります。これからの問題について、実は私大臣に、きょう大臣としての立場からの所信を詳しく聞きたかったんですが、おられないし、政務次官もおられない。それにかわるひとつお役目の方から、大臣にかわってといってもこれは無理だろうけれども、精いっぱいの、どういう姿勢で取り組んでいくのか、住民の声にこたえていくのかという答えをいただきたいと思うんです。
  72. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) まず、この健康被害補償法の第一種地域の問題でございますが、御承知のようにこの仕組みは、著しい大気の汚染があって健康の被害が多発しているという、二つの条件にのっとりまして補償法が仕組まれているわけでございます。その中で、特に大気汚染の第一種地域につきましては、指定疾病といたしまして肺気腫、ぜんそく性気管支炎、ぜんそく、それから慢性気管支炎という四つの疾病指定しているわけでございます。しかしながらこの四つの疾病は、大気汚染によるほかの原因によっても起こるものでございまして、大気汚染のない地域におきましても、いわゆるぜんそくというようなものが数%起こっておるわけでございます。したがいまして、この法律の中では、大気汚染のある地域であって、その指標となるいわゆるせきたんの有症者が一般の大気汚染のない地域よりも二倍ないし三倍を超えているところにおきましては、他の原因によるこれらの疾病もあわせて救済をすると、こういう仕組みになっておりまして、したがいまして、一応の指定のための要件を考えておるわけでございます。  東京都の四区につきましては、現行の地域指定の要件を満たしていないと、こういうことから現在までのところ指定していないわけでございます。しかしながら、住民方々あるいは区の行政の担当者の方々からいろいろと御要望、御陳情はいただいております。その要点から考えますと、窒素酸化物一つ指定要件にしたらどうだろうかという御意見でございます。しかしながら、私ども現在の大気汚染と申しますのは、硫黄酸化物窒素酸化物、浮遊粉じんという三役のほかに、いろいろなものがまざっておるわけでございますが、そういった複合汚染一つ指標として硫黄酸化物を代表値にとって考えているわけでございます。窒素酸化物につきまして、それを一つ取り出して、これまで現に東京都内で測定されておる程度窒素酸化物の教値によりましては、疾病が多発させられているというようなデータが明らかにされておりません。したがいまして、今後これらの窒素酸化物について具体的な指標として考えるためには、当然のことながら窒素酸化物疾病との因果関係解明のための資料を蓄積しなければならないわけであります。動物実験あるいは疫学的な調査等々を必要とするわけでございますが、従来までの調査データからは、いわゆる著しい大気汚染があって健康に被害を与えるという程度のものが出ておらないわけでございまして、そういう意味で、現在私ども鋭意データ集積努力をしている段階でございます。  そのような考え方でございますので、いましばらく、この問題につきましては、科学的データに基づいた判断をいたしたいということで留保されているわけでございます。
  73. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 先生の御質問の中に、二酸化窒素にかかわる指針がつい先ごろ出まして、それに対して一体どういうぐあいに対応していくかということについての決意を述べよということでございましたので、一言お答えさしていただきます。  今回、中公審から出ましたのは、判定条件と指針ということでございまして、あくまでも科学的な知見でございます。判定条件の方で、この汚染影響の科学的な知見を整理をされて、指針というところで全体を総合判断をされたと、こういうものでございまして、環境基準をどうするかということはこれからの問題でございます。これは四十八年時点の中公審に対する諮問と、今回の中公審の諮問の大きな違いでございまして、四十八年のときには環境基準そのものを中公審に諮問したわけでございますが、今回は公害対策基本法九条の前段の、定期的に科学的に検討を加えるという部門についてのみ諮問をいたしまして、それにつきまして二十人の各分野の学者の先生、またおのおのの専門分野でも学説、考えを異にする先生が、非常に厳しい議論を四十九回にわたっておやりになって、全員一致であの答申を得たというところに非常に意味があるというぐあいに考えております。そういうことで、今回の答申は病気とか死亡率とか、そういうものではなしに、健康からの偏りを生じさせないようにしようということで、いまの最善の知見で言うと、一時間値が〇・一ないし〇・二の間、年平均値として〇・〇二ないし〇・〇三の間、その間及びそれ以下にあればそれは防げると、これは四十八年のときよりもはるかにはっきりした物の言い方になってきておりますが、まだ不確かさは残っておりますが、これは科学者的良心に基づいて不確かなところをおっしゃったわけです。そういうことで、この答申を受けまして五月の初めまでに、環境庁として九条三項の後段の検討をいたすわけでございまして、必要な改定を行わなければならないということでございますが、改定を行うか行わないか、両方のオプションございますが、公算としては改定を行う公算が高いということは、これは事実でございます。これをもとにいたしまして、一番大事なのはやはりこれを正しく理解してもらう、まずこの科学的な知見を正しく理解してもらうことがきわめて必要であるというぐあいに考えております。  先ほどお話のあった環七沿線の方が、これは答申以降にお見えになりました。約二グループお見えになりまして、一時間近く徹底的にお互いにお話し合いをいたしました。また今後何かあればお話しするということであります。自治体の方の意見も聞くスケジュールをずっと組んでおります。また産業界に対しても個々に話をするというようなスケジュールを組んでおりまして、何とか五月の初めまでにこの検討を終えて、そうして達成の方途をはっきりさせようということでございます。  で、ここで一番基本的なのは、何をさておいても健康の保護は絶対的要請であるということは一切狂わせないということであります。現在の汚染のレベルは、判定条件及び指針値に示されたところに合わしてみますと確かによくないということは事実であるが、非常にこれは危険だとか、患者さんがふえるというような濃度でないことは事実でございます。そういうようなところで、対策はこれから着実に維持されることが望ましい、絶対健康を守る水準に持っていくというところにあるというぐあいに考えておりまして、私どもの局の行政は防止行政でございます。補償行政ではございません。補償の方にもしもいったりしたら、これはもう防止行政の敗北だと思います。そういうことで、徹底的な防止行政をこれから進めようということで、大臣の今国会の所信表明にもございましたように、今年度から汚染の著しいところについて総量規制に着手をするという方針を環境庁として公式に打ち出してきております。また、従来NO2だけのきりもみのような議論をいたしておりましたが、非常に複合汚染としての影響の問題が多うございますので、NO2も抑える、ばいじんも抑える、SO2も抑える、全体として抑える。またハイドロカーボンの問題がオキシダントとの関係でございまして、これも抑えていくということで、五十年代の後半にはその全体を抑え込んでしまうという積極的な計画を打ち出したいという構想のもとに、現在いろいろの努力をしているところでございます。こういうことによりまして、国民の健康の保護ということにつきましては万全を期するというような決意でございます。
  74. 内藤功

    内藤功君 大臣が二十人ぐらいおって、中央官庁の省庁もたくさんある中で、国民の健康を守り、そして被害を未然に防止するという非常にとうとい役目を持った役所なんですから、ひとつ、いまお二人から言われましたお話の中の積極面というものをわれわれも評価をして、その部分は応援をしたいと思うものですから、ひとつ一生懸命住民の要望にこたえてやっていただきたいと思います。
  75. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上をもちまして、環境庁所管に対する質疑は終了いたしました。  これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和五十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算中、警察庁、北海道開発庁、環境庁、国土庁、建設省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会      —————・—————