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1978-04-01 第84回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月一日(土曜日)    午後一時四分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      大塚  喬君     小野  明君     目黒朝次郎君     寺田 熊雄君      粕谷 照美君     対馬 孝且君      安恒 良一君     瀬谷 英行君      赤桐  操君     村沢  牧君      馬場  富君     峯山 昭範君      藤原 房雄君     矢追 秀彦君      桑名 義治君     内田 善利君      栗林 卓司君     柳澤 錬造君      井上  計君     柄谷 道一君  三月三十日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君     穐山  篤君      野口 忠夫君     大塚  喬君      竹田 四郎君     安恒 良一君      高杉 廸忠君    目黒朝次郎君      村沢  牧君     松本 英一君      小野  明君     広田 幸一君      対馬 孝且君     松前 達郎君      内田 善利君     藤原 房雄君      矢追 秀彦君     太田 淳夫君      峯山 昭範君     渡部 通子君      相沢 武彦君     中野  明君      内藤  功君     安武 洋子君      山中 郁子君     下田 京子君      立木  洋君     小巻 敏雄君      柳澤 錬造君     栗林 卓司君      青島 幸男君     山田  勇君  三月三十一日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     降矢 敬義君     目黒朝次郎君     竹田 四郎君      穐山  篤君     対馬 孝且君      大塚  喬君     田中寿美子君      松本 英一君     丸谷 金保君      広田 幸一君     坂倉 藤吾君      安恒 良一君     久保  亘君      瀬谷 英行君     野田  哲君      藤原 房雄君     馬場  富君      太田 淳夫君     矢追 秀彦君      中野  明君     峯山 昭範君      渡部 通子君     内田 善利君      安武 洋子君     渡辺  武君      小巻 敏雄君     内藤  功君      栗林 卓司君     向井 長年君      柄谷 道一君     三治 重信君      山田  勇君     市川 房枝君      野末 陳平君     円山 雅也君  四月一日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     玉置 和郎君      夏目 忠雄君     徳永 正利君      対馬 孝且君     志苫  裕君      田中寿美子君     福間 知之君      丸谷 金保君     広田 幸一君      内田 善利君     太田 淳夫君      三治 重信君     栗林 卓司君      円山 雅也君     野末 陳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 徳永 正利君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 広田 幸一君                 福間 知之君                目黒朝次郎君                 太田 淳夫君                 中野  明君                 矢追 秀彦君                 下田 京子君                 渡辺  武君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君        国 務 大 臣  牛場 信彦君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        警察庁警備局長  三井  脩君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省証券局長  山内  宏君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        厚生大臣官房会        計課長      持永 和見君        厚生省年金局長  木暮 保成君        通商産業省通商        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        中小企業庁長官  岸田 文武君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省人事局長  守住 有信君        労働省労政局長  北川 俊夫君        労働省労働基準        局長       桑原 敬一君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業訓練        局長       岩崎 隆造君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        自治大臣官房審        議官       福島  深君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本銀行総裁   森永貞一郎君        宅地開発公団総        裁        志村 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○各分科会主査報告昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  矢原秀男君から、文書をもって、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、委員異動に伴い理事三名が欠員となっております。  この際、理事補欠選任を行います。  理事補欠選任は、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹田四郎君、多田省吾君、内藤功君及び栗林卓司君を指名いたします。     —————————————
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十二年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この際、御報告いたします。  去る三月二十五日の立木洋君の質疑に対する中川農林大臣答弁につきましては、理事会において速記録を調査いたしましたところ、不適当な個所があると認めましたので、委員長はこの部分を取り消すことにいたします。     —————————————
  7. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) これより各分科会における審査経過につきまして、主査から報告を聴取いたします。  まず、第一分科会主査宮田輝君。
  8. 宮田輝

    宮田輝君 第一分科会における審査経過について御報告申し上げます。  当分科会担当は、昭和五十三年度予算三案中、皇室費国会、裁判所、会計検査院内閣総理府警察庁北海道開発庁経済企画庁科学技術庁、環境庁、国土庁を除く)、法務省及び外務省所管並びに他分科会所管外事項であります。当分科会におきましては、三月二十九日から本日に至る四日間にわたり熱心な質疑が行われました。  まず、行政管理庁については、「現在の行政運営は、国、県、市町村と三重行政となっている。補助金のあり方を含め、国と地方との事務の再配分を行うべきではないか」との質疑に対し、荒舩行政管理庁長官から、「御趣旨に沿った方向で努力したい」との答弁があり、また提案中の農林省設置法改正法案関連して、「北海道における営林局の改組は、本来の山づくりには逆行する」との指摘に対し、同長官より、「確かに国有林の経営は民有林より劣っているので、これが改善を図らしめるため札幌営林局北海道における司令部的役割りを果たさしめ、能率を上げていくこととした」旨の答弁がありました。  国会につきましては、事務局職員の定員問題につき植木参議院事務総長より、「今後業務量増に伴う定員増に一層努力していきたい」旨の答弁がありました。  外務省につきましては、日中交渉再開について、「宮澤原則との関連。また、与党内の意見調整はどうなっているか。野党との調整についてはどう考えるか」等の質疑があり、園田外務大臣から、「宮澤原則は否定するわけではないが、交渉再開前提にはならない。政府は、だんだんと再開の機が熟してきたと判断して、三月二十八日、正式に与党に申し入れ、理解を求めている。党の方では連日議論され順調に進んでいる。与党理解を得次第、野党意見を承り、協力を得たい」旨の答弁がありました。  防衛庁につきましては、F15の空中給油について、「米軍のKC135から行うのであれば、日米空中給油協定なるものが必要であろうし、空中給油機との会合等、運用上難点が多いのではないか」との問いに対し、伊藤防衛局長から、「日米防衛協力小委員会で、当然話し合われると思うが、指揮調整機能調整されるので協定は不要と思う。また、空中給油機との会合はそうむずかしい問題ではない」旨の答弁がありました。  会計検査院につきましては、「検査旅費を十分計上して実地検査の一層の充実を図っていくべきではないか」との質疑に対し、鎌田事務総長より、「検査充実を最優先と考えており、五十三年度実地検査施行率を九%に上げ得るよう、検査旅費に特段の配慮を払った」旨の答弁がありました。  公正取引委員会につきましては、事務局庁舎移転問題についての質疑に対して、「職員組合と十分話し合って対処していきたい」旨の答弁がありました。  総理府本府につきましては、国際婦人の十年に関連して、「婦人の人権の立場から売春問題を婦人問題ととらえ、トルコぶろ規制積極的姿勢を示すべきではないか」との質疑に対し、稻村長官は、「国内行動計画にのっとり、平等、地位の向上、社会的参加等婦人対策を推進するとともに、売春問題についても各省庁との連絡を密にしつつ、わが婦人問題企画推進本部で取り組ませたい」旨の答弁がありました。  沖繩開発庁につきましては、本年実施の交通方法変更問題について、その対策要綱地元要望内容特別事業米軍との関連等、具体的にその進捗状況がただされたのに対し、稻村長官から、「本問題は復帰事業一環として、原則として国の責任においてなすべき大事業で、具体的な個々の問題について温かい気持ちで処していきたい」旨の答弁がありました。  最後に、法務省につきましては、「今般の成田における過激派集団暴力行為に対する政府態度いかん」との問いに対し、瀬戸山法務大臣から、「今回の集団暴力行為は断じて許しがたいので、政府としては重大なる決意で臨んでいる。現行法で対応できる限界を十分詰め、新しい立法措置が必要かどうか、現在検討中である」旨の答弁がありました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  9. 鍋島直紹

  10. 中村太郎

    中村太郎君 第二分科会における審査経過について御報告申し上げます。  当分科会担当は、経済企画庁科学技術庁大蔵省通商産業省所管予算であります。  以下、主な質疑について簡単に申し上げます。  まず、数日来の円高問題に論議が集中し、「政府対策にかかわらず円高が続いているが、今後いかなる施策を講ずるのか。これによって七%成長は困難となったのではないか。円急騰下中小企業対策をどのように進めていくか。急激な株価の値上がりは、過剰流動性によるインフレの前ぶれではないか。円高差益を、電気料金の据え置きや値下げなど消費者還元への措置をとるとともに、特別の税金を徴収できないか」との質疑がありました。  これに対して、宮澤経済企画村山大蔵河本通産の各大臣及び政府委員から、「数日来の円レートは、リーズ・アンド・ラグズや年度末の決算対策によるもので、実勢ではない。しかし、わが国国際収支の黒字とアメリカ赤字が基本的な問題なので、日本としては輸出を数量で横並びとする行政指導や大規模な緊急輸入対策をさらに追加する予定である。アメリカに対してもドル価値保持の申し入れを行うこととしている。円レート十五円の上昇は、成長率に〇・五%影響するが、昨年来拡大政策をとっており、公共投資の繰り上げなどで緩和できるので七%成長目標を変える必要はないと思う。一月以降一ドル二百四十円で中小企業対策を進めてきたが、現状は急変しているので緊急調査実施中であり、その結果をもとに新たな手段を講ずるつもりである。株の高騰は設備投資低調のため資金が向かっていると思われる。円高による流動性の増加と無関係ではないが、インフレが直ちに発生するとは考えられない。円高消費者への還元については電気料金は一年間、その後もできるだけ据え置くよう行政指導をしていく。生活保護世帯等への料金引き下げについて法規上の問題もあるようだが、検討してみたい。為替差益は直接製品価格値下げを通じ国民還元すべきであり、かつての会社臨特税のように特別な税立法を行うには、状況も異なるし困難である」旨の答弁がありました。  このほか、各省庁所管事項につきまして、まず通産省については、「いまこそ新たな指針を示し、産業構造転換に力を入れるべきなのに、構造不況業種設備凍結ぐらいでとどまっているのはなぜか。電源開発がおくれているが、国民理解を得て開発促進に力を入れるべきだ」との質疑がありました。  これに対して、河本通産大臣及び政府委員から、「産業構造に対する考え方昭和四十八年の産構審の答申である。その後、省資源、省エネルギー発展途上国の追い上げもあるので、本年じゅうに見直しをして、新たに昭和六十年目標産業構造のアウトラインを示すつもりである。産業転換するのは個別企業だが、経済に活力があることも転換前提条件であり、その意味からも七%成長を実現する必要がある。構造不況対策過剰設備の廃棄で需給バランスをとるもので、産業構造転換という中期的なものとは異なっている。電源開発はうまく進んでおらず、このまま続くと電力不足になるし、五十三年度は繰り上げ発注を含め五兆円の投資が見込まれるなど、景気対策の柱でもあるので政府としては側面から支援していく。原電等に関し国民理解を得るための方法については諸外国の例も調査し検討を進めたい」旨の答弁がありました。  経済企画庁につきましては、「高貯蓄をもたらす社会構造変化に十分対応できない五十年代の前期経済計画を見直し、新たな経済社会計画を策定すべきではないか」との質疑に対し、宮澤経済企画庁長官から、「昭和五十年代前期経済計画石油危機以後の混乱の産物で、社会目標を述べているが腰を落ちつけた形とはなっていない。五十三年度経済がうまくいけば石油ショックの後遺症を脱却できるので正確な中長期の社会的見通しと青写真がつくれるものではないかと思う」旨の答弁がありました。  科学技術庁につきましては、「わが国が今後、自主的科学技術開発を進めていくには各省庁にまたがる研究を統合するなど、科学技術庁役割りを確立する必要があるではないか。新エネルギー開発一環として自然エネルギーを推進してはどうか。日本原子力平和利用外国理解を求める努力が足りないのではないか」との質疑に対し、熊谷科学技術庁長官及び政府委員から、「科学技術研究が各省に分散しており統一することは困難である。科学技術庁としては専門研究分野を進めると同時に各機関の重複を避けるなど調整し能率的に研究が推進されるよう機能を果たしていく。エネルギー補助手段として自然エネルギー開発していくことは必要で、地熱、太陽熱、海洋波利用を進めており、五十三年度は新たに風力エネルギー実証調査を行うこととしており、これらを積極的に進めていきたい。原子力に関し核不拡散の方向が世界的に強化されており、平和利用との調和点が求められている。わが国としては核の平和利用に徹するとの立場から国際会議日本の利益が損なわれることのないよう努力している」との答弁がありました。  最後に、大蔵省につきましては、「金融機関の両建て歩積みが後を絶たないが強力に是正を進めるべきである。第二外為会計を創設し、資源の備蓄などに大量にたまった外貨を有効に活用すべきではないか」との質疑に対し、村山大蔵大臣及び政府委員より、「銀行が貸し手の優越を利用し、預金を拘束することのないよう両建て歩積みの解消を指導しており、貸し出しへの比率もかなり低下しておる。しかし、にらみ預金と言われるものが依然として多く、通達を出すなどその圧縮に努めている。第二外為会計の創設については、世上いろいろ言われるが、その内容は明確でない。また、原資が日銀引き受け短期資金であるとの制約を考えると、それを長期に運用することは財政法に触れるものと考える。現制度の中で外貨貸し出しなどできることを進めていくつもりである」との答弁がありました。  以上で第二分科会報告を終わります。(拍手
  11. 鍋島直紹

  12. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 第三分科会における審査経過を御報告申し上げます。  当分科会担当は、昭和五十三年度予算三案中、農林省運輸省及び郵政省所管予算であり、三月二十九日から本日までの四日間にわたり審査を行ってまいりました。  以下、審査順に従い、質疑の主な事項について、その要旨を簡単に御報告申し上げます。  まず、運輸省所管におきましては、「新幹線建設地方公共団体は強く要望しているが、その建設に際して、財政赤字に苦しむ地方公共団体負担金を求める考えがあるのか。さきの宮城沖地震の際、東北新幹線橋梁亀裂を生じたのは、地震に対する設計上の配慮が不十分ではなかったのか。新東京国際空港への交通対策はどうなっているか。海運及び造船業の当面する諸問題にどう対処していくのか」などの質疑がありました。  これに対し、福永運輸大臣関係政府委員及び国鉄当局より、「先般の経済対策閣僚会議新幹線問題が積極的に論議され、ぜひ新幹線計画を進めていきたい考えであるが、その資金をどうするかは大きな問題であり、今後真剣に考えていかなければならない。地方公共団体負担金については個別の地方公共団体に求めたことはない。また、宮城沖地震については、気象庁の発表は震度四の地震で、設計上は十分耐え得るはずであるが、実際には橋梁に多数の亀裂を生じたのであり、設計上の配慮が足らなかったものと反省しており、新しい考え方設計を見直し、開通までには全部補強する。新東京国際空港への交通については、新幹線が地元民の反対もあり完成の目途がついていないが、現在のところ京成電鉄からバスに乗り継いでターミナルビルに入ってくることにしており、その際一般自動車も同じターミナルビルに出入りすることになっているが、そうした場合にも混乱や不測の事故の起こらないよう十分配慮していくつもりである。また、海運業界の不振は最も重大な問題の一つで、余剰船員の雇用対策については、日本人船員の職域の拡大を目指して、用船に日本人船員を乗り込ませること、また恒久的対策としては、新分野の開拓を進めていくという両面からの対策を図る必要があると考える。さらに構造不況に悩んでいる造船業の合理化再編成を進めていくに際しても、事業転換や職業訓練の助成金など、雇用安定基金制度の適用を図って離職者の生活補償に努める」との答弁がありました。  次に、農林省所管におきましては、「先般畜産振興審議会から、食肉価格を据え置くことはやむを得ないが、この際生産意欲を阻害しないよう施策の拡充を図る必要があるとの答申が出されたが、この点今後どのような農政をしていくのか。また林業政策についてはどう取り組んでいくのか。二百海里時代におけるわが国の水産資源対策について」などの質疑がありました。  これに対し、中川農林大臣及び関係政府委員等から、「今日の畜産は厳しい環境にあり、流通過程の合理化により、生産者から消費者への流通の促進を図っていかなければならないが、生産農家に対しては、子牛の導入資金に対する利子補給など金融の面からも援助対策考えていかなければならない。また日本の林業は今日曲がり角に来ていると言える。木材の価格は低迷を続けており、自給率も三五%にすぎない。こうした状況は、木材を中心とした住宅建設が伸び悩んでいることが原因であると思われる。日本の林業経営は五ヘクタール以下の所有者が九〇%を占めており、今後ともこうした人たちが中心になって日本の林業を発展させていかなければならないが、長期的視野に立った計画、制度をさらに推し進め、それに基づいた林業経営を着実に実施していかなければならないと考えている。さらに、水産資源対策としては、二百海里時代を迎えてわが国は大変大きな影響を受けているが、第一に関係国との円満な話し合いを通じてできるだけいままでの実績確保に努めていくことと、第二には沿岸資源を大事にし、特に新しい養殖に取り組むなどとして、全体的な資源の確保を図っていきたい」との答弁がありました。  次に、郵政省につきましては、「山間僻地におけるテレビの難視聴の改善がまだ十分なされていないが、早急に対策を講じてもらいたい。また郵政事業特別会計の今後の財政見通しはどうか。公定歩合の引き下げに関連して、郵便貯金金利引き下げについて郵政審議会への諮問の内容はどのようなものであったか。成田空港周辺地域における電波及び音障害問題」などの質疑がありました。  これに対し、服部郵政大臣及び関係政府委員等より、「現在難視聴の世帯数は、NHKの放送については昭和五十二年三月末で七十三万世帯及び民放については百九十万世帯となっている。こうした難視聴世帯の対策として、NHKと民放がミニ・サテの共同建設を行うよう指導してきた。また五十三年度予算においても、難視聴対策費として千七百三十万円程度を予定しており、民放の対策についても大型中継局の建設促進を図るよう努力をしていきたい。郵政事業特別会計の財政は、五十三年度累積赤字が二千百億円以上になるものと見込まれているが、郵政事業を取り巻く環境は厳しいが、でき得る限り赤字を抑えるよう、合理化、効率化の努力を重ねていく考えである。また、郵便貯金金利は公定歩合の引き下げと基本的には関係はないという認識を持っている。しかし、現実には民間金融機関の動向を配慮しなければならないので、その対応の仕方に苦慮したが、この事態にどう対処すべきか白紙の気持ちで意見を聞くことにした。もちろん、郵便貯金者の零細な貯金の目減りを守りたい気持ちに変わりはなく、経済不況、雇用不安の中にあって、国務大臣としての気持ちも理解してもらいたい。成田空港周辺の電波及び騒音障害対策については、原因者負担という基本的考え方に立って公団を指導している。この考えのもとに、技術的な問題についてはフラッターアンテナ、共同アンテナ等の設置をもって、また騒音に対しては、自動音量調節器によるばかりではなく、二重ガラス窓、あるいは気密窓にする等、あらゆる可能な措置をとるよう関係省庁と緊密な連携をとって対処していきたい」旨の答弁がありました。  質疑はこのほか広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上、御報告を終わります。(拍手
  13. 鍋島直紹

  14. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 第四分科会における審査経過について御報告申し上げます。  本分科会担当は、昭和五十三年度予算三案中、文部省、厚生省及び労働省所管でありまして、三月二十九日から四月一日までの四日間にわたり、熱心な質疑が行われました。  以下、質疑の要旨を日程順に簡単に御報告申し上げます。  まず、文部省所管につきましては、「最近教員養成大学を初め学園において同和問題に関する差別事件が発生しているが同和教育指導等をどう行っているか。財団法人学徒援護会の事業は低成長経済のもとで就学困難な状況が増大すると思うので、寮の建設充実を図るべきではないか」などの質疑がありました。  これに対し、砂田文部大臣並びに政府委員より、「同和問題については基本的人権にかかわる重要問題であり、理解をもって対処したい。特に同和地区に対する教員確保及び施設設備の充実拡充を予算面で図っていくほか、教員養成大学等において将来教師になるべき学生は同和問題を正しく理解して教職につくことが大事である。そのために同和教育を直ちに修得科目にすることは教職免許法上できないが、現在教育原理の中で大学が自主的判断で取り入れているところが四十九大学、八十九科目、二百三十八単位ある。しかし、四十九大学中、国立二十大学の同和教育開設の実態は中部以西の大学が大半を占めて偏在しており、今後はこれに限らず大学の自主的判断を尊重しつつ同和教育の充実配慮したい。財団法人学徒援護会に対しては、五十三年度六億八千七百万円の国庫補助で各種事業充実に努力している。しかし、学生のための寮の建設については、寮の管理についてかつて援護会が苦い経験をしており、現在東京のみ寮を残し、京都では寮の代替として学生センター、学生研修所をつくった。目下、文部省も援護会も寮建設の意思は持っていないが、改めて援護会の意見を聞いてみたい」との答弁がありました。  次に、労働省所管につきましては、「六十歳定年制延長が不況で目標達成率を下回っているほか、後退すら見られる。法制化すべきではないか。身体障害者の法定雇用率の達成がきわめて悪いが、範とすべき各官庁並びに公団事業団等特殊法人の達成状況はどうなっているか」との質疑がありました。  これに対し、藤井労働大臣並びに政府委員より、「高齢者社会に入る日本において五十五歳定年制がいまだに改善されないことは残念であり、六十歳定年制をとりあえずの目標としてあらゆる努力をするが、長期不況で企業が定年制延長の意思を持ちながらその実施が予定より狂わざるを得なくなったことも事実で、後退しないように努力する。特に実施のネックは日本型雇用慣行賃金体系であり、これについて労使に話し合いをしてもらって、労使の意見調整して進めていく必要がある。その環境づくりを行政指導で誘導していくのであって、法制化による実施には無理がある。各官庁の身体障害者の雇用率達成については、五十二年六月調査で法定雇用率一・八%に対し〇・九五%しか達成されていないが、五十三年度では、各官庁については未達成はなくなる。また、特殊法人については、未達成法人の監督官庁に早急な達成を求めており、民間よりおくれることのないよう強力な指導をする」との答弁がありました。  最後に、厚生省所管につきましては、「小沢厚生大臣大臣就任当初厚生行政に対し公平の原則を強調していたが、最近の医療保険制度の改正に関する大臣の姿勢は医師会寄りで公平を欠いているのではないか。今年二月の医療費の改定に際し、付添看護差額など保険外負担の解消が通達されたが、徹底されていない面がある。実情をどう把握し対処していくか」などの質疑がありました。  これに対し、小沢厚生大臣並びに政府委員より、「厚生行政、なかんずく医療保険制度の改正に対しては、給付の公正、負担の公平を最重点に置いて進めており、診療側代表のみの意見を聞いているわけではない。健保連の代表には大臣みずから会ったし、その他各界代表とも各局長が手分けして会って意見を聞いて、厚生省が独善的にならないよう、従来どおりの手続を踏んでいるところである。要は患者のためにいかに公平が貫けるかが重要で、大体の案が固まれば被保険者の代表とも会うつもりであるので了承いただきたい。付添看護差額等の改善については、診療報酬の大幅引き上げで改善したが、看護婦の数、勤務体制など、考えなければならぬ点が多く一挙に解決ができない面もある。しかし付添看護について患者に不当に強要して保険外負担を要求したりするような場合は、基準看護病院の取り消しをもって臨むなど、各都道府県にも通達の徹底を指導している」との答弁がありました。  このほか、学童保育所への助成問題、職業病認定問題、廃棄物処理問題、文化財保護、課外教育活動と学校安全会の補償の認定問題、過疎地域の学校統廃合、学校給食、育英事業の改善策、私学経営と民間資金援助、学園の性、暴力に対する対処策など、広範多岐にわたって質疑が行われましたが、その詳細は会議録をもって御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、第四分科会の御報告を終わります。(拍手
  15. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 最後に、第五分科会主査戸塚進也君。
  16. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 第五分科会における審査経過を御報告申し上げます。  本分科会担当は、昭和五十三年度予算三案中、警察庁北海道開発庁、環境庁、国土庁建設省及び自治省所管の予算で、三月二十九日から本日の四日間にわたり審査を行ってまいりました。  以下、日程の順序に従い、質疑の主な事項について簡単に御報告申し上げます。  まず、北海道開発庁所管につきまして「石狩川振興地域開発計画の進捗状況はどうか。関係市町村の下水道対策としての放水路の完成時期、また、この放水路にかかわる問題として、茨戸川の環境整備事業が進められているが、その進捗状況はどうか」などの質疑がありました。  これに対し、北海道開発庁長官及び北海道開発庁当局により、「開発計画は、四十七年八月に基本計画を策定し実施を進めてきたが、経済の低成長への移行に伴い、当初六十年度完成を目標としたが若干おくれた。六十年代の前半には目的を達成できるよう努力してまいりたい。放水路については五十五年度か五十六年度までに完成したい。また、浄化対策については、五十三年度予算に新規事業として計上されており、同年度は試験的に工事に着手し、五十四年度以降、その結果に基づいて本浄化事業の促進を図ってまいりたい」旨の答弁がありました。  次に、警察庁所管につきまして、「去る二十六日に発生した過激派による成田空港襲撃事件について、捜査、警備上等から新法制定の必要はないか。また、騒擾罪適用について積極的に検討する考えはないか。さらに、このような事件に携わる警察官に対しては格別手厚い処遇がなされるべきではないか。自動車仮免許取得者の高速道路走行は、高速道路の実情、交通安全等の見地から規制を強化すべきではないか。また、警察の規制通達に対し、自動車教習所の教官から反対意見が出されているが、政府はこれにどう対処するか」など  これに対し、国家公安委員長、警察庁及び関係当局より、「今回の事件は現行法で対処し得る。騒擾罪の適用については、今回の場合、凶器準備集合罪、殺人未遂の適用となるが、今後の問題として騒擾罪に該当するものについては積極的に適用する。警察官に対する処遇は今後、格別の配意をしてまいりたい。高速道路の走行についてはスピードを時速七十キロから八十キロで抑える等、事故防止に努めている。通達についての自動車教習所側の反対については、これはあくまで注意義務を示したもので、強制するものではなく、相互の話し合いで円満な体制が整うことが必要である」旨の答弁がありました。  次に、国土庁所管につきまして、「奄美群島振興開発特別措置法は、五十三年度末期限切れとなるが、これを存続する考えはないか。また、同群島の振興整備促進には沖繩県並みの高率補助を行う必要があるのではないか。特別豪雪地帯の指定基準の見直し作業についてはどうなっているか」などの質疑がありました。  これに対し、国土庁長官及び関係当局より、「奄美振興措置法の五十四年度以降の処置については、五十二年に県が実施した実態調査もあり、奄美群島振興審議会の意見を聞き、さらに衆参両院の附帯決議をも踏まえ、納得のいく対応をしてまいりたい。また、国庫補助については、沖繩県並みはいろいろの事情でむずかしいが、五十二年度予算では前年度に比較し四六%の大幅増とした。今後とも特段の配慮により振興開発を進めてまいりたい。指定基準の見直しに当たっては、豪雪対策審議会の結果を待って、関係各省と調整の上、早急に結論を得たい」旨の答弁がありました。  建設省所管につきましては、「高速道路建設に当たっては、環境保全に最大の配慮が必要と思うが、政府はこの問題をどのように考えるか。同和対策事業特別措置法の期限を延長し、その内容を強化する必要があると考えるがどうか。官公需の発注に当たっては、中小企業者に対し特段の配意をすべきでないか。荒川流域下水道事業の概要はどうか。今後の宅地供給の方針はどうか」などの質疑がありました。  これに対し、建設大臣及び関係当局より、「新道路整備五カ年計画においては環境問題に特に注意しているところで、高速道路の建設認可を与える際には当然配慮する。同和対策事業は各省庁にまたがっており、また残事業を相当抱えている状況なので、関係各省と協議を重ね、同和問題の解決を図るため、措置法の延長問題及び内容の改善を含め今後努力を重ねてまいりたい。景気回復のための公共事業の執行に当たり、中小企業者を重視することは当然で、従来の建設省のランクづけに見合う各中小企業者に対し、でき得る限りの発注をいたすべく努力している。荒川流域下水道は、五十五年度までに供用を開始したい考えで目下鋭意工事を進めている。宅地政策については、現在、市街化区域内に農地が相当あり、これらの土地が宅地として利用されていく余地が十分あるし、また、宅地開発公団、住宅公団等、政府関係機関により供給を促進する等の施策を講ずることによって対処したい」旨の答弁がありました。  自治省所管につきまして、「自治体病院の赤字経営を一般会計から繰り出しによって恒常的に援助しなければならぬ現状に対し、今後どう対処するか。消防団を外国にあるような民間防衛組織と同様な位置づけをする考えはないか、また、消防団への処遇改善の一環として年金制度の適用を考えてはどうか。地方財政における自主財源不足について政府はどう考えるか。最近の大学等に見られる学園暴力に対し、政府は厳しい姿勢で臨むべきではないか」等の質疑がありました。  これに対し、自治大臣及び関係当局から、「自治体病院の赤字問題については、五十一年度決算では社会診療の改定、人件費の抑制等により、全体的にはかなり好転している。法律上認定された繰出金については、各公共団体が自主的に適正な額を繰り出すのが筋だと考える。消防団の問題は、国を守る自衛隊組織にはおのずから限界があり、百万人を超える消防団員の郷土愛、旺盛な気概に対する国民の期待が大きいことは承知している。また、消防団員に対する年金制度の導入についてはよく研究してまいりたい。自主財源不足については、ことに五十三年度は三兆円を超える財源不足となっており、これに対してはいろいろ措置してきたが、今後、長期的には財政の強化を積極的に図っていきたい。学園暴力については、大学の自治は尊重せねばならないが、治外法権であってはならない、違法行為があれば断固たる処置をとる決意である」旨の答弁がありました。  環境庁所管につきまして、「瀬戸内海環境保全臨時措置法がことし九月期限切れとなるが、延長の必要なことははっきりしているが、いつ後継法を提案するか。また、環境アセスメント法は今国会に提出できるか。東京湾岸道路、東京湾横断道路等の公害防止策はどうなっているか。東京都の杉並区等四区が健康被害補償法による第一種地域指定を受けていないのは、患者発生の状況、窒素酸化物の状況から見て再検討すべきでないか」等の質疑がありました。  これに対し、環境庁及び関係当局より、「瀬戸内海環境保全法は関係省庁と接衝中で、若干の調整を要する事項が残っているが、待ったなしの法案なので、成案を得るよう精力的に努力している。環境アセスメント法は環境保全や健康管理と開発事業調整を法制化したいと考えており、目下事務レベルの最終的な詰めの段階にある。東京湾岸道路については、住宅地の生活保全、騒音遮蔽壁を設け、野鳥の生息地である干潟の保存に道路の構造を橋梁にしたり、遮光壁を設けるなどの対策を講じている。東京湾横断道路については、四十一年から五十一年まで建設省が基礎調査を行ない、五十一年以降、道路公団が建設実施のための調査を行なっており、現在、水質保全、東京湾の生息物の生態調査等を実施中である。杉並区等の健康被害補償法第一種地域指定については、この法律適用には大気汚染の程度、被害患者多発等を初め四つの指定要件があり、目下のところこれらの区はこの基準に達していない状況であり、また、窒素酸化物を指定要件に加える点は、現在までのところデータが不足しており、環境庁でもよくその収集に努めている段階である」旨の答弁がありました。  質疑は、このほか広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもって報告を終わります。(拍手
  17. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で各分科会主査報告は終了をいたしました。     —————————————
  18. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、締めくくり総括質疑を行いますが、質疑に入るに先立ちまして、締めくくり総括質疑に関する理事会での協議決定事項について御報告いたします。  質疑時間割り当ては二日間分とすること、質疑時間総計は二百五分とし、その各会派への割り当ては、日本社会党八十分、公明党四十五分、日本共産党三十分、民社党二十分、第二院クラブ、新自由クラブ及び社会民主連合それぞれ十分とすること、質疑順位等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること。以上でございます。  右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  20. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和五十三年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁森永貞一郎君及び宅地開発公団総裁志村清一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  23. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより質疑を行います。竹田四郎君。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 外務大臣にお尋ねいたしますけれども、日中平和友好条約の交渉再開のための訪中はいつごろになりますか。
  25. 園田直

    ○国務大臣園田直君) ただいま交渉再開に備えて諸準備を終わっている段階でありまして、いよいよ再開になりましてその必要があれば総理の御指示によってそういう運びになるかもわかりません。ただいまのところは具体的にはまだ決定いたしておりません。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 当初は四月になればすぐにでもというようなことでございましたけれども、恐らく自民党の総裁にお尋ねすることになるわけでありますが、最近自民党内部におけるところの慎重派が大変台頭してきているようでありまして、総理としては総理のいままでの中でこれができれば福田内閣の評価も高まるだろうと私は思うのですけれども、そういう意味ではひとつすっきりまとめて早急に調印できるように総裁として指導力をもっと発揮してもらいたいと、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  27. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 政府のこの条約に臨む姿勢につきましては、しばしば申し上げてありますので重ねて申し上げませんが、要約して申し上げますと、日中双方が満足し得る状態でなるべく早くこれを結びたい、こういうことであることは御承知のとおりであります。  そこで、まあとにかくこの交渉は、交渉しようというふうに決めましたあの共同声明以来五年になる、そういういきさつがあるわけでありまするから、今度私は始めたらこの条約締結交渉はなるべく円滑に済ませたいと、こういうふうに考えまして、交渉を開始するか、するならばどういうふうにするか、その手順、段取り、これはきわめて慎重に詰めを行ってきておるわけであります。その詰めも最後の段階に来ましたので、先日、与党自由民主党に対しまして、交渉を開始したいと、ついては党の意見を取りまとめられたいと、こういうことを党側に対しまして申し入れをいたしたわけであります。私は、党の意見調整、それからさらに党ばかりじゃない、与党ばかりじゃないんです、私はある段階で野党の皆さんにも経過を御報告し、また考え方を示して御理解と御協力を得たいと、こういうふうに考えておるわけでありまして、そういう国内的の手順が済みました段階で、中国側といわゆる手順、段取りの最後の詰めを行いたい、このように考えておる次第でございます。自由民主党の総裁として当然私はこの党の意見調整につきましては責任を持っておるわけでありますから、私は速やかに意見調整を了したいと、このような決意でございます。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 大体外務大臣をいつごろ訪中させようと考えているのですか。
  29. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは、中国側が、中国側にも政治日程もありましょうし、首脳部のいろいろの御都合もありましょう。そういうことを確かめた上でないと決められない問題でありますが、私がいま申し上げられることは、とにかく大事な交渉です。でありまするから、与党はもとより、各党にとっくりと御理解を願って、そしてとにかくそういう背景のもとにこの交渉を進めたいと、こういうふうに考えておるわけでありまして、いまどういうタイミングでどういうふうにするかというようなことは申しかねるんです。相手のあることでありまして、相手とよく相談をいたしまして煮詰めると、こういう考えであります。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 相手は、最近中国へ行かれた各党の幹部から見ますと、もうとにかく一刻も早くやってくれと、あとは福田総理の決断だけだと、こういうふうに言っているわけですけれども、総理が日米の首脳会談をするまでには外務大臣は当然中国へ行くと、こういうことになりますね。
  31. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 外務大臣の訪中ということを決まったように竹田さんはおっしゃいますが、まだそのこと自体が決まっているわけじゃないんです。新聞にずいぶんいつ幾日訪中かというようなことを書かれましたけれども、実際は外務大臣の訪中ということが決まっておるわけじゃない。交渉が、外務大臣が訪中してそうしてこのことをきっかけに始まると、こういうこともありましょう。あるいは佐藤大使が佐藤大使としてこの交渉に入るというような段取りもあるわけであります。あるいは向こうからこっちに来ると、こういうような方式も考えられないわけじゃない。あるいは符浩駐日大使が外務当局と交渉を始めるというような方式もあるわけでありまして、まあそういういろいろな交渉の手順、段取りはあるわけでありますが、仮にわが方の外務大臣を向こうへ派遣すると、こういう行き方が大変有効だと、こういうような判断になりますれば、私としては喜んで園田外務大臣を北京に派遣したいと、こういうふうに考えておると、こういうことでございます。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 新聞によりますと、金丸長官が民間人ないし自民党の顧問的な人を台湾に使節団として派遣しろというようなことが報じられておりますけれども、これは総理はどう考えますか。私は必要でないと思うのですが、どうですか。
  33. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まだそこまでのことを考えておりませんです。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理はことしの施政方針演説の中で特に防衛力の増強強化を強調しておりますけれども、そうした関係から、F15やP3C、こうした私ども反対している攻撃的な兵器を自衛隊に装備する、こういう方向を打ち出しておりますが、まことに遺憾のきわみだというふうに私は思います。こうしたことは、恐らくASEAN諸国に対しても大きな心配を与えることになるでありましょうし、同時に日本産業の軍事化もこれによって進んでいく。こういうことを総理が発想なさった背景というものはいろいろあるでしょうけれども、その中には、韓国からの米軍の撤退、こうした問題が大きく考えられるのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、朝鮮半島におけるいわゆる南北の力関係というようなものは政治的にも経済的にも軍事的にも大きな変化があらわれていると、こういうふうに私は思いますけれども、総理の、朝鮮半島におけるところのバランス・オブ・パワーという考え方についてどんな認識をお持ちになっているのか、あるいはどんなふうにここは変化をしてきているのか、御認識を伺いたいと思います。
  35. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 朝鮮半島は、遺憾ながら南北に分かれましてそうして二つの政府があると、こういう状態でありますが、私は、願わくば、一つの民族でございまするから、これは一つの国として生きていかれるという日の来ることを念願をしておるんです。ただ、現実の問題とすると、そういうことを私が言ってみましても、そういう状態がそんなに早く来るというような状態ではない。で、その願わしい日が来る、それまでの間を一体どうするかと、こういう問題でありますが、それにつきましては、これはやっぱり南北がとにかく話し合いができる状態に一刻も早くなると、こういうことが必要である。また同時に、南北の間にあらゆる意味においてのバランス状態というものが維持されるということが必要であると、このように考えております。そういう間に、南北の緊張関係というものが爆発しない、そして話し合いを通じて最終の目標である統一国家、そういうところへ行くということがいいのじゃあるまいか。そのような認識のもとに、わが国としては、わが国のできる範囲内における行動をしておると、こういうことでございます。  なお、朝鮮半島の状態につきまして何か変化があると考えるかというようなお話でありまするが、私は、際立った変化がこの朝鮮半島に起こりつつあるという認識は持っておりません。まあ認識とは違いますが、私の願望は、南北の緊張ということがだんだんと緩和されまして、そして対話ができるような状態にとにかくなるべく早く行っていただきたいと、こういうことでございます。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、総理が、朝鮮半島が現在二つの国家になっておるわけでありますが、これをもう少し緻密に正確に把握しておられるのではないかというふうに思ったわけでありますが、まあそういう点では余り変わったというふうなお考えがないということは大変遺憾であるし、そういう認識の中で南北が話し合いができるということを日本が側面的に援助をしていくというようなこともできないだろうと、このように思うわけであります。経済の問題にしても、外交の問題にしても、たとえばいま南北の関係はどうなっているか。私は、むしろ韓国側の方が経済力は大きくなっているし、その点では生産力から言えば北より南の方がむしろ大きくなっているのじゃないか。あるいは、いままでは朝鮮民主主義人民共和国と米国との関係というものはかなり冷たかった。しかし、最近は、この関係も取り戻そうという外交的な動きもあるわけでありますし、韓国としても、いままでならば中国あるいはソ連というものの関係というものは一切拒否していた。それが最近は行き来をむしろ望むと、こういう大勢になっているだろうと思う。こういういろいろな関係、枠組み、こうしたものを日本は特にここでつくり上げていく側面的な援助をやっていくことが、話し合える条件、こうしたものをつくり上げていくのではなかろうかと、こういうふうに思うわけであります。そういう努力を総理としてあるいは外務大臣として引き続いて力強くしかも継続的にやって平和の枠組みというものを朝鮮半島においてつくり上げる、このことが必要であろうと思うのですが、どうですか。
  37. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 朝鮮半島には一民族が二つに分かれて二つの国家をなしておる、非常に不幸な状態です。そういう朝鮮半島に隣りいたしておるわが日本国でありますので、これにどういうふうに対処するか、なかなかむずかしいデリケートな問題ですが、とにかく大韓民国に対しましてはわが国はもう国交を開いておるわけであります。その国交を開いておる大韓民国と朝鮮人民共和国がある緊張状態を保っておると、こういうことでありますから、北側に対しましてどういう接触をするかということになりますと、やはりこれは無制限でというわけにいかないのです。やっぱり南の大韓民国の立場ということともある程度の調和ということが必要になってくる。その調和ということを考えながら、しかし、北の方の人民共和国、これともなるべく仲よくするという状態を進めていく、これ以外に私は考える道はないと思いますが、そういう方向で進めてまいりたいと、このように考えております。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうした意味で、極東における平和の枠組みというものに総理はまず努力をすべきだと私は思うのです。いたずらにF15やP3C、そうした防衛力の増強というようなことをいま強調するということは、むしろせっかく去年あれだけ歩いてきて、心の触れ合いという名文句を残してきて、東南アジア諸国に対しても私はむしろ脅威を与える段階に近づきつつある、こういうふうに思うのです。そうしたことよりも、そうした東南アジアやあるいは朝鮮半島における平和の枠組み、これにもつと努力をすべきだ。経済問題にいたしましても、その他の問題にいたしましても、そうしたものを実現していくことによって、防衛力の増強ということは何も一節まで設けて強調する必要またそういうような危険な条件は私はないと思う。どうなんですか。
  39. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) わが日本の国は世界じゅうを見回して平和外交を進めておりますが、一番近いアジア外交、こういう点から見ますと、私は、いま日本政府がとっておるアジア外交の姿勢というのは、これはこれ以上の姿勢はないというくらいに私自身は思っておるのです。それは諸外国もまたそういうふうに思っておると思います。ことに日本が東南アジアの海洋諸国に対しまして昨年来ああいう心の触れ合いという外交を進めた、これは非常な関心を持っておるのです、また評価をいたしておるわけです。そういう背景の上に立って、大陸方面は、日中、日ソという条約交渉という問題もある、それを手がけようとして努力をしておる。朝鮮半島、これもただいま申し上げたような姿勢で対処しようとしておる。これは私はこれ以外に日本が進むという道はないと思うのです。いま竹田さんは、何か日本がF15だとかP3Cを整備しますと東南アジアの国々に脅威を与える、こういうような憂えを示されましたが、そんなような状態は一向ありません。わが国のアジアに臨む平和的な姿勢、これは非常によく東南アジア諸国から理解され、そして歓迎されていると、こういうふうに認識しております。
  40. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう認識が少し甘過ぎやしないか。せっかく昨年は暑い中を回ってきたわけでありますけれども、その後のいろいろな東南アジアへの援助の進行状況というのを見ても、必ずしも向こうは満足していない。そういう中で、輸出は非常に多い、向こうは赤字にしている、その上に防衛力を強化する、これはむしろ私は日本の覇権主義に通ずる道だと考えるわけでありますけれども、その辺はもう少し考え直してもらわなくちゃ困る、こう思いますが、どうですか。
  41. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は、昨年の八月、ASEAN旅行の途次、マニラでいわゆる日本外交の三原則というものを示しまして、そしてアジア諸国の皆さんに訴えたわけであります。その第一は、わが国はいまや経済的にはアメリカに次ぐ工業力を持ち得るに至った、しかし再び軍事大国への道は求めない、そうなればそこに余力を生ずる、その余力を世界の平和、世界の繁栄のために貢献をする、それをもって国是とするということを申し上げておるわけでありまして、このことは、これはもうアジア諸国ばかりじゃありません、世界じゅうから非常に高く評価をされておるわけでありまして、また、初めて日本が世界の問題について責任を持つような行動に出たと、こういうことで重大な関心を示されておると、こういうようなことでありまして、わが日本が何か覇権国家になったとかあるいは侵略性の国家になってきたなんというようなこういう認識は私はどこのすみにもあるというふうには考えません。日本の平和国家としての性格が非常に明瞭に理解されたと、そういうふうに思っております。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ平和国家の理念というものが本当の意味で強く政府の施策の中心になっていればいいですが、私どもはそういう心配をし始めなければならない、こういう状況に近づきつつある、このことを私は申し上げまして、次の問題に入りたいと思います。  アメリカがドル防衛について余り本腰を入れていないような気がするわけでありまして、今度のこの予算委員会でもドル防衛についてアメリカに物を言えということは多くの人から話が出ているわけでありますが、政府としてはアメリカにどういう要請をしたか。
  43. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 竹田委員がよく御承知のとおり、アメリカの大衆にとりましてはドルが国際的な基軸通貨であるということはほとんど理解されていない、いわば無縁の問題でございますので、そのことが政治問題になるということはなかなかやはりむずかしい、そういう国柄であると思います。しかしながら、だんだん米国自身のインフレーションの問題として認識され始めてきたと思いますし、そういう形でインフレーションの問題でありますと国内問題でありますからやはり国民の関心が集まるというふうにだんだん動いてまいったというふうに考えておりますが、わが国が最近ことにこのような円高で非常にむずかしい事態に遭遇しているということをまずしたがってアメリカの指導者にはわかってもらわなければならない、そういうことからわが国の実情をいろいろに話しておるというところでございます。まあ幸か不幸か国内のインフレ問題としてのドルというものがアメリカでもかなり大きな政治問題にいまやなってまいりましたので、それらの状況を反映して、やがて福田総理も訪米を予定しておられますから、そういう機会にまたわが国の実情も話もしていただき、米国の国際基軸通貨としてのドルの価値維持に対してわが国としての注意を総理からも米国首脳に呼びかけていただきたい。引き続きましては、七月に予定されておりますボンの主要国首脳会議において国際通貨の問題を取り上げてもらうということになれば幸せであると考えまして、そのような道筋を考えながら、政府省庁におきましていろいろ米国に対して接触をしておるというのが現状でございます。
  44. 竹田四郎

    竹田四郎君 日銀総裁にお伺いいたしますけれども、最近、ミラーFRB議長が、エネルギー政策などが改善されない限りはドルを支えるためにつなぎ的な措置はとることには反対するというようなことを述べておりますけれども、これは一体どういうことを考えているというふうに理解したらよろしいんですか。要するに、エネルギー法案が通らない限りはもうドル防衛ということはアメリカ考えないんだと、その他、宮澤構想とかローザ構想とかボンド構想とかいろいろあるわけですけれども、そういうものは一切考えないと、こういうふうにわれわれ理解してよろしゅうございますか。
  45. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 最近のミラーさんの国会における証言、記者会見等、これは新聞紙で承知しておるだけでございますが、基本的な考え方としては、やはり各国間のインフレ率ないしは国際収支調整されない限り問題の根本解決はできないという、これはもう前からそういう考え方がバンスさんによっても示されておったのでございますが、そういう基本的な考え方を踏襲しておられるということではないかと思います。しかしながら、その間為替市場が混乱を来たすような場合には、まあ主として投機的な動きによるわけでございますが、その場合にはドルの価値のいたずらなる減価を放任するものではないという気持ちがこの年末から一月にかけてアメリカ政府の方針として表明されておるわけでございまして、具体的な手段としては、米独間のスワップの拡大であるとか、新たなスワップであるとか、そのほかSDR等によるマルクの取得準備資産等も活用してもいいというような、そういう方針が表明されておるわけでございますので、市場の混乱に対処してのドル価値の乱高下を防ぐという方針につきましてはいままでどおり変わっていないと私は思っております。今後もそういう方針でしかるべく介入も行われると思いますし、根本はもうあくまでも先ほど申しましたようなことでございますけれども、その間の不測の混乱には十分対処するというお気持ちはその後も変わっていないのじゃないかと私は信じております。
  46. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは日銀総裁にお伺いするのがいいのか大蔵大臣にお伺いするのがいいのかよくわかりませんが、IMF加盟国の公的対外準備高の総計というものは全体でどのくらいになりますか。
  47. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) その数字は実は各通貨当局が厳秘に付しておりまして発表はいたしておりませんのでございますけれども、この半年余りの間における西ドイツ、スイス、日本、さらに最近はアメリカも共同加入をいたしておりますが、その公的当局による介入の総額はかなりの規模に達しておることは事実でございます。恐らくは百億ドルの単位をもって数えるぐらいの規模には達しておるというふうに申し上げられるかと思います。具体的な数字につきましては、申し上げることをお許しいただきたいと存じます。
  48. 竹田四郎

    竹田四郎君 経済雑誌によりますと、約三千億ドルというふうに言われておりますが、当たらずといえども遠からずという数字ですかどうですか。
  49. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ちょっと御質問を取り違えまして、私が公的当局による介入の金額と伺ったものですからちょっととんちんかんな答えをいたしましたのですけれども、いまの公的当局によるドル債権の保有額、これははっきりしたことはわかりませんです。まあ三千億ドルに達しておるのかどうか自信はございませんが、まあ当たらずといえども遠くない数字ではないか、もう少し小さいような感じもいたしますけれども、その程度のことしか把握いたしておりません。
  50. 竹田四郎

    竹田四郎君 もしこれが三千億ドルあるということになりますと、若干のスワップの拡大とか、中期債の発行とか、こういうことではとても追いつけない金額になると思います。そういう意味で、それが均衡をとるという状態が出るということになりますと、これは大変長い先の将来になると思うのですが、宮澤長官にお伺いしますけれども、そういう状態であっても、円高にいたしましても、ある天井値に近い、比較的張りつく時期、まあその天井値は固定したものではないと思いますが、そのときどきによってまた動いてはくると思いますけれども、これば西欧のマルクにいたしましても、スイスフランにいたしましても、ある一定の天井値にといいますか、プラトーといいますか、そういうものが若干続くという時期というものは私はそう遠くない時期に来そうなような気もいたしますけれども、これはもう全くの勘でありますけれども、長官はその辺をどういうふうにお考えですか。
  51. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 為替相場というものが両方の平価の購買力と無関係であるとは決して思いませんけれども、わが国の場合などで見ますと、やはりこれは一つの相場であるという要素を持っておりますし、リーズ・アンド・ラグズもございますし、また年度末というような特殊事情もあったわけで、この一、二週間過去に起こりましたようなことは私はこれは異常なことであるとやはり考えております。先ほどお話しの二千億ございますか、三千億ございますか、それらのものが一斉に暴れ出すというようなことは、それは普通ではやはり考えられないことであって、おっしゃいますように主たる通貨の関係がある一種のまさにお言葉どおりのプラトーというものに達する時期というものは私はあってしかるべきだと、努力によってそういうことは十分可能だというふうにやはり考えます。
  52. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官は、いわゆる宮澤構想というようなことで出されまして、私はこの構想については敬意を表したいと思います。しかし、どうもアメリカ側はこれを余り評価していないということは私は非常に残念だと思うのですけれども、しかし、アメリカ側がこれを評価していないからということでいま宮澤構想を少しも引っ込める必要はないし、むしろ私はますますこれを強く主張していただきたいと、こういうふうに思うのですけれども、恐らく宮澤構想が実現をする第一段階、それはずっとその構想が続いていくという保証は私はいまの段階ではないと思いますが、ある一定段階においては宮澤構想が実現をしていく可能性というのは、いまの主要通貨がプラトーの状態に達したときにその宮澤構想が生きてくると、こういうふうに私は考えておりますけれども、そのためには私は長官はさらにこの構想というものを事前にどんどんと進められるのが適切であろうと、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 先ほど日銀総裁が言われましたように、確かに基本的にはわが国あるいは西ドイツの経済運営が、わが国の場合で申しますと内需拡大、経常収支の黒字幅の縮小ということ、これがございませんと、問題の根本的な解決というものはむずかしいと、私はそうだと思いますけれども、さりとてそれにはある程度時間がかかる。わが国のようにはっきりそれに向かって努力をしております場合に、相場が相場を呼ぶというようなことはこれはだれのためにも実はよくないことでございますから、そういうわが国の努力と並行して、その線上でやはり最終的には主要国の首脳が世界の通貨情勢の安定ということを合意しあうことによって、いわゆる投機筋、相場が相場を生むというような昨年来のこういう弊害は各国の共同の意思によって、あるいは意思の表明によって、ある程度防いでいくことがみんなのためである。確かに、アメリカ自身は、おっしゃいますようになかなか熱心でございません。けれども、アメリカ自身も実はだんだんいろいろな意味でお互いに迷惑だという感じを持ち始めておるのも事実ですので、やはりそういう主要国首脳間の合意というものを私としては目指していくべきではないかと考えております。
  54. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理は五月にはカーター大統領とお会いになりますし、七月ごろには先進国の首脳会議に御出席になるだろうと、こういうふうに思いますけれども、今日の国際の通貨情勢から、経済の福田さんとしては、こうした会議にどういうことを提案しようというふうにお考えなんですか、宮澤構想も私は一つのりっぱな構想だと思うのですけれども、何らかの形で福田総理としては提案をすべきであると、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  55. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま、国際政局、これはいろいろ局地的に問題はあります。ありますが、各国に共通し、また世界政治で最大のテーマは、何といっても世界経済をいかにして安定させるかと、こういう問題だろうと思うのです。昨年もサミットが開かれましてそうして同じ問題に取り組んだわけですが、ことしはさらにもう一つ昨年と違った点は、通貨不安と、こういう問題が出てきておるわけです。私は、ことしの先進国首脳会議つまりサミット、これがどういう結論を生み出すかということに非常に深い関心を持ち、このサミットの成り行きをどうしても成功させなきゃならぬ、こういうふうに考えておりますが、それに先立ち、今月の末に出発いたしましてそして来月初めにカーター大統領と会談する、この会談の主たるテーマは、したがって、この先進国首脳会談をどういう形で成功させるかと、こういう点が非常に大きな部分を占めることになるであろうと、このように考えておるわけであります。  それにはどういうふうにするか。私もいま一生懸命私の頭を整理しておりますが、日米首脳会談に先立ち、首脳会談でどういうことを言うんだということをいま具体的に申し上げるわけにはいきませんけれども、私は私なりに私の頭を整理いたします。世界を一体どうやったら安定できるかということについて、これは本当にアメリカの大統領と突っ込んだ話をしてみたいと、このような考えであります。
  56. 竹田四郎

    竹田四郎君 日銀総裁は、各国の通貨当局等の意見を徴する機会というのは非常に多いと思うのですが、基本的には経済問題でありますけれども、いまのような乱高下の国際通貨情勢というものは、変動相場制というものがニクソン・ショックの後いい方法だというふうに言われたんだけれども、さて変動制になりますと、強弱の差がむしろはっきりつき過ぎるというような問題が出てきているわけでありますが、何らかの形での乱高下を安定していく方途というものを近いうちに話し合いになるような情勢というものは、世界的に各国の通貨当局にそういう構想があるのかどうか、あるいはそういう見通しがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  57. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 変動相場制によりまして為替相場の変動が国際収支調整をもたらすというその効果、機能は、これはかなり尊重すべきものだと思いますが、しかし、国際収支調整の効果が出ますのに時間がかかるのみならず、その間ややもすれば投機的な動きによりまして相場の激変が起こり、現にわが国において見られておりますようにそのことが景気回復の努力に水を差し、ひいてはまた世界景気の拡大に悪影響が起こるというような面が確かにあるわけでございます。そこで、その辺をもう少し変動相場制の機能が十分発揮されるように何かいい運用をしなければいかぬということになるわけでございまして、ローザ構想なども確かに一つのアイデアだと思いますが、しかし、いまの国際収支の格差あるいはインフレ率の格差のもとにおきましては、なかなかすぐにローザ構想のような変動幅を狭めてその間で運用するというようなことはなかなか実現がむずかしいのじゃないかと思います。それにもかかわらず、私どもといたしましては、この変動相場制のよりよき運用を求めて、少しでも為替相場が安定するようにという各国間の協調は非常に大切だと思っておる次第でございまして、私どもが関係いたしております会議といたしましては、毎月スイスのバーゼルで行われまする総裁会議というのが定例会議でございますが、その席では毎回何とかもう少しうまくいかぬものであろうかというような話し合いをいたしておる次第でございます。その結果、アメリカの介入方針など初めはもっともっと渋かったのでございますけれども、ことしになりましてから御承知のような程度のものになってきておりますし、決心も表明されたわけでございまして、話し合いは決してむだではなかったと思っております。今後も毎回そういう問題を取り上げまして、なお一層各国間の協調が得られるようにという努力は私どもとしても続けなければならないと思っておるところでございます。
  58. 竹田四郎

    竹田四郎君 日銀総裁の御都合もありますからちょっとほかへ飛ばして質問いたしますけれども、昨年の十月から今日まで恐らく日銀が介入した金というのは大変なものであろうと思います。したがって、国内におけるところの円の流通というものもかなりの額に上って、恐らく二兆円に近いものがいまそういう形で外為会計から流れ出ているという事態であろうと思います。そういう点で、いまのところ成長通貨の伸びはまあ一〇%台で、必ずしもいまのとこ過剰流動性があって投機が急激に起きていくというふうにはいまのところまだ考えられませんけれども、しかし、最近の有価証券の高値とか、公定歩合を引き下げてからの今度は株式相場の高騰とか、こういうような点でどうも過剰流動性の心配が出てきているのではないだろうかというふうに私は考えているわけでありますが、まあこの上国債の問題がまた上にかぶさってくる可能性というものはあるわけでありまして、そうした点で、過剰流動性の心配というのは当分ないのか、政策を誤れば当然私は出てくるのじゃないだろうかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  59. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 外為会計の支払い超過がそれなりに流動性をふやしておるのは、もうおっしゃるとおりでございます。幸い、政府の全体の収支として考えますと、資金運用部等における余資の積み上がりというようなこともございまして、全体としての散布超過はそれほど大きくないのでございますが、しかし、事柄の性質といたしましては、昨今金融機関のポジションがよくなったとか、まだ具体的にマネーサプライの増加にはあらわれておりませんけれども潜勢力としてはマネーサプライの増加の要因がそこにひそんでおるということは私ども十分警戒しておる次第でございます。それに加うるに国債の問題、金融機関の引き受けでまいります限りはマネーサプライの要因にもなるわけでございますので、今後のマネーサプライがどういう動きをとりますか、私ども重要な関心を持ちまして推移をながめておる次第でございます。幸いにして、二月、三月に関する限り、数字の上にあらわれておるマネーサプライの増加はそれほど大きくはございませんですが、今後景気の動向いかんによりましては、民間資金と国債消化等が競合するというようなことにもなりますし、将来におけるマネーサプライの動向並びにマネーサプライが増勢に転じました場合のコントロールにつきましては、いまから十分配慮してまいらなければならない問題ではないかと、心して臨んでいかなければならない問題だと思っております。
  60. 竹田四郎

    竹田四郎君 総裁、これは私は前にもマネーサプライの計画といいますか、そういうものを事前に公表して、これは諸外国でもかなり公表しているわけでありますから、その計画によってマネーサプライというもののコントロールをしていくということが必要であるからそういう数字を発表してもらえるようにしたらどうかということでありますが、総裁はそういうものは発表できない、こういうことでありましたけれども、発表できないとすれば、どこかにまだ何か障害があるわけでありまして、その障害が除かれれば、私はそういうことはできるし、国民的に過剰流動性によってインフレーションを起こさないということも私は可能だと思うのですけれども、そういう御計画はないのか。もし発表できないとすれば、どんなところが障害なのか。
  61. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) まだターゲットとしては発表いたしておりませんけれども、内部では常時あるべき姿のマネーサプライの数字と実績とを見比べながら遺憾なきを期しておるのが現状でございます。なぜ発表できないかということでございますが、もう少し実体経済とマネーサプライの数字との間の理論的な関係づけをする必要があるのではないかと、私ども特別研究室というのを一昨年設けまして、そこで鋭意検討さしておる次第でございまして、かなりの程度まで結論が出かかっておりますけれども、まだ、これをターゲットとして発表するのには少しちゅうちょをしておるのが現状でございます。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 総裁に最後の御質問を申し上げたいと思いますけれども、日本外貨準備も大変たくさんになっているわけでありますが、きょうから通貨当局が金を買ってはならないという協定は解除になっているはずでございます。そういう意味では金が果たして通貨としていいのかどうか、これはいろいろ議論があるところだろうと思うんですが、しかし、日本の場合には余りにも金準備というものが私は少な過ぎる、恐らく十億ドル以下だろうと思いますが、このくらい少ない国というのは珍しいわけでありますけれども、そういう意味で外貨準備高が非常に多いわけでありますから、こういう際に若干金を買い増しをしておくというようなことも一つはドル減らしにはなるはずでありますが、そういうことをお考えにならないかどうか。
  63. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 昭和三十年代ごろには目立たないように少しずつ金の保有高をふやしてまいりましたことは恐らく御承知のとおりかと存じます。きょうから金の取引が自由化されましたのに伴いましてこの段階でどうするかという問題でございますが、金準備のシェアは低いことは事実でございますけれども、しかし、一面においていまの金の価格が果たして適正かどうかということの問題もございましょうし、また、各国の中央銀行は一体この問題についてどういう態度をとるかという、その辺も見きわめなければならないと思いますし、日本銀行といたしましては、よほど慎重な構えで臨まなければならない重要な問題であると思っておる次第でございます。  なお、金を買いましても、それが正貨準備である限りは外貨減らしにはなりません。輸入にも足さないのでございまして、その辺が一般の金の買い入れと中央銀行の金の買い入れとは性格が違うという点を特に申し添えておきたいと存じます。
  64. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃありがとうございました。
  65. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 竹田君、いいですか。じゃ日銀総裁、まことにありがとうございました。御退席をいただいて結構でございます。
  66. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、もう過剰流動性も心配する時期に入ってきているということでありますが、きょう土地の公示価格が一般的に発表されているわけでありますが、公示価格そのものはごくわずかしか上がっていないということでありますが、実勢価格の方はかなり上がっている。これは私は一つはそういう過剰流動性的な心配が株価とともにあらわれつつあるというふうに見てよいし、また、土地への投機という心配も出てきつつあると思うのですけれども、これは国土庁長官、実勢価格と公示価格の差というのはどのくらい出ていますか。
  67. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの点は、それぞれの土地におきましてその差がございます。東京都とか大阪のようなところでは平均価格も三・三程度上がっておりまして、それから全般平均では二・五ということで、その地点地点で言わなければなりませんから、一概にどの程度ということをここで申し上げるわけにはまいりませんが、東京とか大阪とか御指定でお尋ねであれば、担当局長からでもお答えさせます。
  68. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃお尋ねいたしますが、中野区の上鷺宮ですか、二丁目三百四十三番地の三十四、これは公示価格が十四万三千円でありますが、実勢価格は幾らですか。
  69. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 御答弁、大変私恐縮いたしました。きょう、国土庁から局長が参っておらないということでございまして、ただいま具体的なはっきりした場所のことでございますから、調べればわかると思いますが。
  70. 竹田四郎

    竹田四郎君 呼んでください。委員長、呼んでいただくようにお願いいたします。
  71. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それじゃ連絡いたします。
  72. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それじゃ後で御質問、御答弁を願って……
  73. 竹田四郎

    竹田四郎君 どのくらいかかりますか、時間。
  74. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間はすぐでしょう。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  75. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。
  76. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 実は、正直申し上げまして、その用意がいまないかと思うのでありますが、いま連絡をしておりますから、その結果を申し上げます。
  77. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それじゃ次に進めて……。
  78. 竹田四郎

    竹田四郎君 これちゃんと準備してくれないと進められないわけでありますから、すぐ準備していただきたいと思います。
  79. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 大変恐縮でございますが、きょうは国土庁の関係はないんだということを言っておりまして、それでいまそういうことを私お答えしておるわけでございまして、具体的にもういまお尋ねですから、それはそれなりにその地点を調べりゃわかると思いますが、ちょっとお答えしにくいのじゃないかと思います。
  80. 竹田四郎

    竹田四郎君 私の方からないから準備ができないなどというのは、私はもってのほかだと思うのです。すぐ準備してください。
  81. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 大変恐縮なことを申し上げますが、中野区の何番地のどこどこということになりますと、これはそれを具体的に調べなきゃならないと思うのですね。それで、私どもも大事な予算委員会でございますから本当に細心の注意を払って万全の準備はしておることでございますが、いまのお尋ねは、私も推定で申し上げる……
  82. 竹田四郎

    竹田四郎君 地点を言えと言ったじゃない。地点を言えと言ったから私は言ったのじゃないか、どこどこ、どこどこと言えばわかると言うから。
  83. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それは大変恐縮でございました。私が不用意に申し上げた次第でございます。
  84. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと相談してくださいよ。もうこういうことがあるから私は言っているのですよ。
  85. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  86. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。  それでは、国土庁、詳細なる御注文のあった資料を提出をしていただきます。  質問を続行いたします。
  87. 竹田四郎

    竹田四郎君 委員長、この際、私から委員長にお願いをしたいと思いますが、私ども予算委員会の審議を円滑にして適切な答弁をいただくために、質問の前日等に、私どもこういう事項について質問をしたい、こういう資料をいただきたい、こういうふうに、いわゆる俗語で言うレクチュアということでやっておりますけれども、しかし、これが、私が質問をするかしないかそのことは別として、私がこういう質問をするんではないかということで政府部外にその話を出して、そして私のところに質問をさせないような圧力をかけさせる。これでは私は国会の運営じゃないと思うんですよ。こういうことが絶対にないように、そういうことを漏らした者は私は処分を要求しますよ。このことをはっきり申し上げておきます。
  88. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) いま竹田委員の言われましたことは当然であると委員長は思います。  今後、政府部内において資料を整えることはよろしゅうございますが、それ以外に漏らし、あるいは他の団体等まで漏らして質問者に対して圧迫を加えるようなことは絶対にないように、特に注意をいたします。どうか政府はよろしくお願いします。
  89. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは通産大臣あるいは企画庁長官にお伺いするのが適当だと思いますが、昨年の十月、十億ドルの緊急輸入ということを御提案になりました。ここでも総理とかなり私やり合いました。昨年の十月決めた緊急輸入の実績は一体どうなっているのか。
  90. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 十億二千万ドルということを前回も申し上げました。それで、年度末になりましたので、昨日チェックをいたしておりますが、この分はほとんど全部通関済みの由であります。なお、一部農産物について最終的な確認がまだ行われていない。昨日現在でございます。
  91. 竹田四郎

    竹田四郎君 この間の宮澤長官が座長で決められました点、それから後で総理と通産大臣と緊急輸入をお決めになりましたんですが、それは一体どのくらいに総額がなって、いつまでに緊急輸入を完了する予定なのか、細目を発表していただきたい。
  92. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 三月十一日に閣僚会議で決定をいたしました。数点ございますが、これにつきましては、いろいろ国内における現実の需要でありますとか相手国の関係でございますとか、いろいろございまして、はっきりこれが幾らになるということを申し上げられる性格のものでございません。  もっとも中にはタンカーによる原油備蓄のように五百万キロリットルというふうに数字がはっきりしておるものもございますので、これは泊地の準備ができますと、これに相当する外貨の支出になるということ、このようにはっきりいたしたものもございますけれども、航空機等々につきまして、あるいは希少貴金属の備蓄につきまして、これは政府としてできるだけ有利な条件で外貨等が活用できるようにという道を開こうというのがこの決定の主たる部分でございますので、それによってどれだけのいわゆる緊急輸入が可能になるか、そのうちどれぐらいが五十三年度中になるかというようなことは、確言を申し上げることが実は困難でございます。  なお、この三月十一日の処置だけではまだ十分でないと私ども考えておりまして、すでに関係各省庁の間で、これにどのようなものを追加できるかということを実はただいま検討いたしつつございます。
  93. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官、緊急輸入ですね、大体、どのぐらい消化できる金額になるんですか。個々のものはおっしゃらなくて結構ですけれども、緊急輸入ということで考えられる黒字減らしの額というのは大体どのぐらい考えられるんですか。
  94. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) いろいろ五十三年度の国際収支状況等を予測いたしますと、少なくとも年度を通じまして四十億ドル程度のものの緊急輸入をいたしたいと私としては実は考えるわけでございますけれども、政府自身がイニシアチブをとってできるものは政府自身の意思でできますけれども、それ以外は道を開いて、できるだけ民間にも呼びかけてやってもらうという性格のものでございますので、五十三年度中にそのようなことがどの程度可能になるか、物によりまして相手国のいろんな事情に関係するものもございますので、申しわけございませんが、ただいま数量的に確言を申し上げることがはっきりできない状況でございます。
  95. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理に伺いたいんですが、どうも福田内閣のやっている経済、景気回復ですね、これは私はどうも昔の形の列島改造方式といいますか、高度成長の時代に戻すというような気がしてならないわけです。たとえば特定不況業種法案ですか、これも大変総理のきついお声がかりで法案ができたと、こういうふうに言われておりますが、これなんかにいたしましても、一体実効が上がるのかどうなのか。むしろ新しく産業構造を変えていく、あるいは産業自体を新しい展望に向けて変えていくんじゃなくて、何か一時凍結して、七%成長以上になったら、これがまた復活して昔と同じだというような感じがしてしようがないんですよ。もっと新しい低成長時代といいますか、五、六%の成長に応ずるように産業構造を積極的に転換をしていく、こういう構想というものが私は福田内閣というものにはきわめて乏しい、こういう感じがするわけでありますけれども、これは総理はどんなふうに日本産業をこれから持っていこうとなさっているのか、お尋ねしたいと思います。
  96. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は、かねがねくどくどしく申し上げているんですが、早く日本経済はトンネルを抜け出なけりゃならぬ、ただ、抜け出た先は、これはもと来た道へ行くんじゃないんだ、新しい道だと、これは施政方針でも言っているし、その後もしばしば申し上げているんです。  つまり、世界環境というものは大変変わってきた、その中において新しい道、つまり安定成長路線というものを求めるんだということでございますが、特に、そういう中では、産業のそれぞれの部門が違った客観情勢、環境にどういうふうに対応していくかということが非常に問題がある。それを産業界にも呼びかける。また、政府自体におきましても、産業構造、こういう問題に取り組んでおるわけでありまして、やっぱりその辺は、これから日本社会が、日本経済が安定するかしないかの非常に重要な点になってくるんだろうと思うんです。新しい環境に対しまして産業各部門がどういう対応をするか、大変これは大事な一点である、こういうふうに考えまして、それを民間に対しても呼びかけ、政府自身においても、民間に呼びかけるための材料をどういうふうに整備するか努力しておるんです。何か、またもと来た道へ復元するというようなことをおっしゃいますが、そういうような考え方は全然持っておりませんです。
  97. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理は口ではそう言うんですけれども、具体的にそれではこういう方向へということで指し示すものがない。指し示すにしても、もことして霧の中にいるようなもので、南向いて行っていいか、北向いて行っていいのか、さっぱりわからないというふうにしか国民の目には映らないと思いますが、そうした点は私はもっと明確にしてほしい、こういうふうに思いますが、御答弁は要りません、要りません。
  98. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 非常に明確に申し上げますと、これはもう高度成長という時代はもう来ないのだ、それを頭に置いてもらいたい。それから、石油ショック、あれから考えますと、もう日本産業全体を省資源、省エネルギー体質に持っていかなけりゃならぬということ。また、発展途上国の追い上げという問題が出てきておる。そういうことを考えるときに、わが国産業は知識集約型の産業という方向産業全体の動きというものを誘導しなけりゃならぬ、こういうようなことがありますので、その一つ一つを、どういうふうにあなたの会社はひとつやってくださいなんというようなことは、統制経済じゃありませんから、私どもはいたしませんけれども、大体そういうようなことを踏まえまして、一つ一つの業界というものがどういう転換を要請されているか、これは政府においても一つの展望を示すわけでございまするけれども、そういう中において個々の企業が自分の会社はどういうふうにこれからしていかなけりゃならぬかということ、これを工夫しなけりゃならぬ、そういう時代になってきておる、こういうことを申し上げているわけです。
  99. 竹田四郎

    竹田四郎君 お口だけは大変お上手でいらっしゃるようでございますから、まあ言うことは自由でございますから、私これ以上申し上げません。  長官、内需拡大と言うんですが、公共事業がちょっとここで仕事が出てまいりまして、ちょっと明るい感じは出てきたようでありますけれども、しかし、これも民間の設備投資にどうつながっていくかというところになりますと、どうも余りつながりがよくない。当初、私、ここで在庫論争を若干やったわけでありますけれども、積み増しということになりますと、まだどうも先のような気がする。そういうところで、これは福田総理の私は一つのポイントだと思っておりますが、年間消費者物価、CPIの上昇率が四・四%になったというのは一つのポイントだと思いますし、これは喜ばしいことだと思うんですが、ただ、私がここでは、長官、非常に心配するのは、個人消費の拡大ということが景気引き上げに対して大変重要な役割りを果たすようになってきていると思うんですよ。そこで物価の上昇率が四・四%になったと喜ばしい反面、どうもいま春闘をやっているんですが、ベースアップを大体それ並みにするというのが財界の動きのように感ずるんですよ。そういたしますと、せっかく明るみが見えてきたときに、しかも国民が喜ぶ物価上昇が低くなってきたときに、今度は賃金をその段階で下げてしまうということになりますと、大変な矛盾を私は感ずるわけであります。  そういう点では、私は、政府としても景気上昇をやっていく、内需の拡大をやっていく、こういう意味で、物価の年間上昇率以上にこの春闘のベアをやるように、これは直接的に命令するわけにはいかないでしょうけれども、そういうムードを私はつくることが必要じゃないか、こういうように思うんですが、長官どうでしょうか。
  100. 宮澤喜一

    ○国務大臣宮澤喜一君) 生産関連の指標が比較的よくなっておりますのに比べて、消費関連の指標が最近までどうもおくれておりまして、ようやく一月ころには全国世帯の実質消費もかなり——十二、一と、ことに一月はよくなるかなというような感じもいたしますけれども、何分これがGNPの半分以上でございますから、やはりここに大きく成長の成否というものがかかっておりますことは御指摘のとおりであります。  春闘につきましては、私どもは何も申さないというのが政府としてとるべき立場でございますから、それについて何も申し上げることができませんけれども、労使双方ともこの場合最善を尽くされるに違いない、お互いに御苦労のあることだと思いますけれども、どうか両者が最善を尽くされて、お互いに満足できるといいますか、まあまあ不満ながらも満足できるというような結果が出ることをのみ祈っておりますので、それ以上この問題について申し上げることは適当でないかと存じます。
  101. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理はどんなふうにお考えですか。
  102. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま経済が非常にむずかしい時期だと、そのむずかしい時期だという一つの大きな目玉は何であるかというと、企業の収益が悪いということなんですよ。それは一体どこから来ているのかと言えば、これは企業によって千差万別でありましょうが、大体共通するところは、設備過剰だ。設備過剰ということは、これはその設備に投じた資本費、その負担が非常に重くのしかかっておる。それからもう一つは、雇用過剰である。終身雇用制というようなことで、過剰がありましてもなかなかこれを整理することができない、こういうことになる。そこで過剰の人件費負担、この重圧、これにいま非常に圧迫されておる、こういうようなこと。そういうようなことを考えますと、やっぱり企業を身軽にするということは非常に大事じゃないかと思うんです。そういうことを考えまするとき、一概に、賃上げが高くなる、だからそれが景気対策になるんだ、こういうふうには私は言えない、こういうふうに思います。  同時に、理屈を言うわけじゃありませんけれども、企業は過剰雇用という状態にある、その状態の中で賃上げが行われるというようなことになれば、それはやっぱり終身雇用制だという、そういう体制の中でありまするけれども、やっぱり雇用の整理をしなけりゃならぬかなというような傾向にもなりがちだ。企業の支払い能力というものにも限度がありまするから、そういうような関係もあるし、私は、いま宮澤長官がおっしゃいましたように、余りこの問題に深入りすることはいかがかと、こういうふうに考えますから、余り深入りはいたしませんけれども、賃金をここで上げることが、これが景気対策になるんだ、こういうふうには考えませんと、こういうことだけは申し上げます。
  103. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあこの辺が長官と総理の大変な違いだと私は思うんですよね。もうかっている企業はたくさんあるんですよ。電力会社にしたって石油会社にしたってガス会社にしたって自動車会社にしたってもうかっているんです。こういうところはどんどん上げさせたらいいじゃないですか。いま内需の拡大というのは、私は個人消費を拡大するということが非常に大きなポイントになってきていると思うんです。あなたのような形では四・四%以上賃金は上がらぬですよ、平均。これでは七%成長はまた約束違反ということで、夏ごろになればまたいじめられる。また、それが国際通貨に影響してくる、火を見るより明らかだと思うんです。企業の中にだって、おっしゃるとおりの企業もありますよ、しかし、半分以上はそういうわけじゃないんですよ。出せるところはうんと出させたらどうですか。
  104. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 申し上げるまでもないことでありますが、賃金というのはこれは製品の大きなコスト要因です。そのコスト要因である賃金が大きくなるということになれば、これはどうしたって物価が上がるわけですよ。そういうことになれば、結局なんじゃないでしょうか、賃金は上がりましても物価が上がりましたというようなことで、実質的な使用価値というものはふえるということにはならない。のみならず、それが積み重なっていくということになりますれば、物価の上昇ということに相当の拍車がかかってくる、こういうことになる。これが一体どういう結果になるかということを考えまするときに、私は本質的に非常に賃金引き上げ、これが景気上昇につながっていくんだという論理には賛同しがたい、こういうことを申し上げておるわけですが、また、景気対策という当面の問題から見ましても、先ほど申し上げましたように、疑問のある問題であるということだけを申し上げておきます。
  105. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理の答弁、私は大変残念であります。私個人でなくて、日本の国のために残念だと、こういうふうに申し上げざるを得ません。  次に、雇用の問題に入ってまいりますけれども、最近のある新聞によりますと、雇用者の四一%が雇用不安を訴えていると言っているわけであります。中高年の求人倍率というのは恐らく〇・一か〇・二ぐらいになっていると思うんですが、こういう雇用不安を解消していく、特に中高年の雇用不安を解消していく。これには、労働大臣、どういうふうに対処いたしますか。
  106. 藤井勝志

    ○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように厳しい雇用情勢の中でも、特に中高年齢者の雇用の問題というのは大変困難な事態でございまして、高年五十五歳以上の求人倍率、これは〇・〇九というような大変厳しい情勢でございます。これに対して、労働省といたしましては、やはり積極的にこれが求人開拓をせなきゃならぬというので、中高年齢者向けの人材銀行、こういったものを職業紹介所とはまた別途に開いておりますが、これは東京、大阪、名古屋、こういう地区が中心でございますけれども、これも全国的にだんだん広めなきゃならない、こういうこと。それから、特に中高年齢者、わけても高年齢者の雇用拡大のためには、いわゆる高年齢者の雇用吸収率制度、これを積極的に進めることを軸といたしまして、そして定年延長のための定年延長奨励金あるいは継続雇用奨励金、こういったことによって定年を六十歳を目標に、できるだけ早い機会に到達をしたい。  あわせて五十三年度の新しい雇用政策といたしまして、中高年齢者を雇い入れる事業主に対して別途賃金の助成をしていく、こういうことによって民間の活力を生かして雇用の開拓をしていこう、こういうことであります。あわせて中高年齢者の場合、やはり再就職という、こういった事例が構造不況業種とともに起こってくるわけでございますから、職業訓練も中高年齢者向けの職業訓練のやり方あるいは科目、こういったものも工夫をしたい。そのためには後刻御審議を願うことになっております職業訓練法の改正、こういったものもあわせて推進いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  107. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことをやっても恐らくますます失業者というのはふえると思うのですね。二月末ですか、百三十六万人になった。恐らく三月はもっとふえていくでしょう。恐らく百五十万に近づくか、あるいは突破するか、こういう数字になると思うわけでありますから、いま言われたようなことだけで、私は雇用の問題が解決するというふうには思いません。  それから労働省のやっていることも、どうも一定の方向を目指しているのじゃなくて、いままでの慣例に基づいてやっているような気がしてならないのですが、労働省の方からいただいた訓練調整給付金支給決定状況等を見ましても、予算に比べて何十分の一というのしか実効を上げていないですね、これはまだ新しい制度である点もあろうと思いますけれども。さらに、こういうものの訓練内容というのは一定の方向を持ってやっているんですか。それともさっきの高度成長に返るような話で、新しい方向はどうも全然目指していない、いろいろな計画書は出ているようでありますが、その計画書の決定というのは職業安定所長程度で行われていると、これじゃ新しい労働力の訓練というのは私はできないと思うのですが、どうですか。
  108. 藤井勝志

    ○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘の訓練調整給付金と、それから特定不況業種の離職者の訓練手当あるいは訓練待機手当、これはやや趣が違うわけでございまして、訓練調整給付金の場合には、一般会計でやはり一つの条件があって、それの事情から利用率が少ないという御指摘は起こっておりますが、このような内容の詳細は実施面の点も関連いたしますから、政府委員から答弁をさせます。
  109. 細野正

    政府委員(細野正君) 先生お尋ねの、安定所長が認定をしているという問題は、恐らく雇用安定資金制度の中の訓練調整給付金のお話ではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、この訓練調整給付金は、先生も御存じのように、企業が景気の状況が悪いから一時休業する。その場合に全く休まして休業する場合と、それからそうではなくて訓練という形で休業するという場合と両方考えられるわけでありますが、その訓練を、そういう場合に雇用調整するために一時的に訓練という形でしのいでいこう、こういう形で行われるものでございますから、結局、経営側もただ休むよりはやはり技能の習得ということをやっていきたい。それから労働者の方も休業すると六割という賃金ダウンになるわけでございますから、これは訓練をやりますと通常賃金を支払わなければならないという労使双方がその方がいいということで協定等でやられる場合につきましては、この場合に限っては、何といいますか、訓練の中身についてそう厳しい内容でなくてもいいんじゃないか。こういう考え方で安定所長がそれぞれの実情に即して、しかも労使の協定の上に認定をいたしている、こういう事情でございます。
  110. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、やはり訓練をしていくならば、新しい方向へ向けて訓練をしていく。いままでのような、おざなりと言っちゃ語弊もあるかもしれませんけれども、いままでのものよりやっぱり前向きな訓練計画というものを立てて、そこへ金を出していくというのでなければ、高度成長の昔へ返るのと私はちっとも変わりない、このことを申し上げておきます。  労働大臣、時間がありませんから簡単に答えていただきたいんですが、週休二日制ですね、このようにやっぱり直していく、あるいは残業時間を規制していく、こういう形で仕事を分け合うというところに大胆に踏み切っていかないと、完全失業者はふえるし、社会不安は起きてくるしということであろうと思うんですが、その辺は大決断をする御意思はございませんか。
  111. 藤井勝志

    ○国務大臣(藤井勝志君) 労働時間対策の進め方につきましては、去年の暮れ、公労使三者構成によります中央労働基準審議会の答申がございまして、これはひとつ行政指導によって進めていくべきだ、こういうことで、その考え方前提には、御指摘のように、これからやはり経済が低成長に入るわけでございますから、仕事を分け合うという、こういったこと、特にまた日本人の働き過ぎというようなことも国際的な労働界において問題になっていることも事実でありまして、国際協調の面、それからやはりいわゆる生活にゆとりといいますか、そういった面から考えまして、ぜひ今後努力目標として前進をせなきゃならぬ。ただ、その前進の仕方においては、私は、現在の日本の不況の現状あるいは産業、企業別の実態、こういったものを踏まえまして、そして実態に沿うような進め方をしないと、角をためて牛を殺す、こういうこともあり得るわけでございますから、御指摘は私は考え方としては全く同感でございます。  全体的に環境を整備しつつ行政指導を積極的にやって、とりあえず、われわれとしては五月中には産業別、地域別の週休二日制などを含めた時間短縮の進め方について労使のひとつ話し合いの場を積極的に開いてもらおう、これはやはり労働条件とも関係がございますし、労使の理解ある話し合いということが前提でなければスムーズに進まない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  112. 竹田四郎

    竹田四郎君 次に、財政問題に移りたいと思いますが、わが党の委員長が、大蔵大臣、総理あたりに中期財政計画をつくりなさいと、こういうことを申し上げているわけでありますけれども、政府の方で出ているのは五十年代の前期計画という大ざっぱなもの、あるいは財政収支試算表というような程度のものしか出ていないわけであります。これでは私は企業家がこれからひとつ設備も新しくし、あるいは新しい機械も入れてやろうということにはならないと思うんですね。恐らくいまの在庫調整が積み増し、あるいは民間設備投資につながっていくというためには、少なくとも一年先、二年先の仕事がどのくらいふえるのか、こういうことがわからなければ、人も雇えないし機械も入れられないと思うんですね。  そういう意味で、私は、もう少し細かい中期財政計画というものをつくらにゃいかぬ、こういうふうに思っているわけですが、英国ではパブリック・エクスペンディチュア・コントロールというような五年間ぐらいで計画を細かくつくって、毎年毎年ローリングをしていって修正していく、こういうようなものは大変私はいまの日本にとっては必要じゃないか、そういう制度を導入してもいいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
  113. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 政府は、今度、今後の財政とそれから経済の中期計画との整合性についてある種の試算をお示ししたわけでございます。これはまあ一つの試算でございますけれども、経済政策に沿って財政の全体の姿がどのようになるかということをお示ししたのでございます。  いま竹田さんがおっしゃいましたのは、いわば英国のようにローリングシステムで五年間ぐらい示して、そして翌年度は予算の基礎になるような、そういう具体的な財政計画を示すべきであると、こういうお示しだろうと思うのでございます。私たちも早くそういうふうにしたいものだということで、当委員会におきましても、また衆議院におきましても、鋭意研究いたしまして、できるだけ早くそのようにやりたいということを申し上げているのでございます。  ただ、実際問題といたしまして、英国のやり方を見ておりますと、やはり相当期間がかかっておるのでございます。まあ英国の例もございますから、われわれは鋭意——英国ほど長く、十年もかかるようなことでは困りますから、できるだけ早い機会にこの問題を詰めていきたいと思っております。しかし、その問題は、日本の場合には経済との整合性の問題が必ず出てくる点がございまして、この点が恐らく諸外国と違う点であろうと思うのでございます。だから、両方の整合性を求めて財整計画を示していくという点でございますから、英国の場合よりももっとむずかしくなるであろうと私はいま想像しておりますが、しかし、必要なことでございますから、財政審議会においてすでに基本問題調査会でその問題を検討中でもございますので、鋭意、この問題でできるだけ早く提出するように準備いたしたいと思います。
  114. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから、これからも恐らく公共事業あるいは財政主導型の予算というものは相当長く続くだろう、こういうふうに思うわけであります。しかも、そのプロジェクトというものは規模が大きくなるし複雑になるし、しかも建設には長期間かかる、こういう状態であるわけでありますから、これは諸外国でもやっていると思うんですが、日本ではおやりになっておるかどうか、費用便益分析の手法ということで、事前にその計画というものの影響、犠牲はどうなのか、便益はどうなのか、こういうような分析をやり、その中でプロジェクトができていく、こういうやり方があるんですが、日本では具体的にこれはやっているんですか、やっていないんですか。
  115. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いまコストと効果の分析という問題を専門的にやっているかどうかというお尋ねだろうと思うのでございます。研究室をつくって特に専門的にやっているというわけではございませんけれども、各省みんな専門家がおるわけでございますので、それぞれ予算の編成に当たりましてはその点が最大の問題になることはもう間違いないのでございます。問題のむずかしさは、そこはなかなか定量的に出せないという問題と、一つの仕事が複数の目的を持っているわけでございます。今日の問題にいたしましても、景気浮揚の観点から、あるいはさらには雇用の問題というところに重点を置くか、あるいはスピードの問題に重点を置くか、地域の問題に重点を置くのか、いろんな多目的を持っているわけでございますので、いつも政策決定に当たりましてはその辺に論議が非常に集中するわけでございます。現在のところ、予算編成というものは、極端に申しますれば、枠の問題は別といたしまして、個々の問題についてはそのことが論議の中心である。そして全体として財政の効率というものをいかに上げていくかという点、それから全体としては、だから竹田さんがおっしゃったような点にほとんど論議が個々の問題については集約されているわけでございます。  しかし、そういう問題を一つの専門的に常時研究するということも大事なことだと思いますので、今後、検討してみたいと思っております。
  116. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはぜひ早くやっていただきたいと思いますし、こういうことをやっていたら恐らく成田のような問題は私は起こらなかった、こういうふうに実は考えます。もちろん、これには住民の参加や資料の公開、こういうことが必要であります。  いま首をかしげられましたが、成田の事件の起こる一日前ぐらいの朝日新聞でありましたけれども、これは申し上げておきたいと思うんですが、電源開発株式会社が実はあそこの松浦郡ですか、あそこで石炭燃焼の発電所をつくる、これは両角さんの主張だろうと思いますが、すべての資料を公開し、そして住民に参加していただく、そしたら二年間にまかれた反対のビラは一回しかない、こういうようないい事例も持っているわけでありますが、こういう事例というのをもっと積極的に私は取り入れたらいろいろな問題というのはもっと納得の上で私は解決する、そういう意味でも、いま申し上げましたこのコスト・ベネフィット・アナリシス、こういう手法というものを私は当然にもっとやるべきだ、こういうふうに思います。  次の問題に移ります。  政府は、去年以来、景気回復で公共事業を盛んに進めている、こう片方では言っておりますが、どうも資金運用部資金の運営とかあるいは財投なんというのを見ますと、むしろ私が調べた限りでは、ほとんどすべての会計で去年の進捗率をはるかに下回っている、こういう状態で景気の振興というのが一体できるのかどうなのか、私はこれはきわめて不満に思うわけであります。  たとえば資金運用部の実行状況を見ますと、五十一年度の第三・四半期までは四八・一%の進捗状況です。ところが、五十二年の第三・四半期は実に三五・六%という進捗率です。片方で公共事業を一生懸命やっているけれども、財投の方はちっとも進んでいない、こんなことで一体景気が回復できるかどうか。ことしはこれがもっとふえるわけです。私はこういうことは速やかに改善をしなければ、とても口で景気回復と言ってもこの点はできないだろうと思う。そういう意味では、私はことしは金も公共事業関係、公共投資にはたくさんつきまして、恐らく政府公共投資総額では二十六兆円ぐらいに私はなるだろうと思うんです。天から金が降ってきたという高級官僚もいらっしゃったようでありまして、私は乱費あるいは冗費あるいはいまのように事業が進行していかない、こういうおそれは、国民の見えるところでは進んでいる、一般公共事業なんかでは進んでいる。しかし、国民によくわからぬところではおくれている。これじゃ何にもならないと思うんですね。こういうために私は乱費監視制度というようなものを一つつくったらどうだ、あるいは事業を促進していくための点検の制度、こういうものをつくっていかないと、予算は三十四兆、公共投資はその半分ぐらい組んでも実際上はちっとも景気が回復しない、こういうのが実態じゃなかろうかと思うんですが、どうですか。
  117. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いま財投の繰り越し並びに不用額の問題をまず中心にお話しになったと思いますので、実数についてまず御説明申し上げます。  五十二年度の見込みでは、政府関係機関で繰り越しが四千八十七億円、それから不用が二千三百十一億でございまして、確かにおっしゃるように前年度より大分ふえております。しかし、政府機関別にこれを分析してみますと、残念ながら住宅公団が一番多いのでございます。住宅公団の繰り越し見込みが二千三百三十一、それから不用見込みが二千二百八十四でございまして、その大宗をなしているのでございます。これを差し引きますと、五十一年度よりも大分その点は、何といいますか、事業進捗状況はよろしいのでございます。住宅公団につきましては、すでにしばしばお話し申し上げましたように、なかなかうまく運営ができていない。そのために事業を縮小したもの等がございまして、不用二千二百八十四ございます。これは五十三年度予算ですでにもうこれはだめだということで財投原資の中にもう繰り込んであるわけでございます。繰り越しの分につきましては、これはやりますけれども、なかなか事業が思うように進まない、こういう事情にあるということをまず御理解いただきたいと思います。  それから次に、こういう公共事業を効率的にやるために何らかの監査制度を設けるべきじゃないかという話でございますが、私はいまの日本の制度でも十分このチェックが行われていると思います。何より決算委員会においてあれだけの厳しい、一日一省ずつ厳しいことをやっておるわけでございまして、それからまた会計検査院もやっております。行政管理庁はその監察事務をやっております。大蔵省は、また、財政当局の立場で絶えずこのように個々の機関別にすべての進捗率を毎月監査しているわけでございますので、要は、その機構の問題でなくて、それをいかに熱心に、そして系統的にやっていることにあろうかとは思うのでございます。竹田委員の御指摘もございましたので、今後とも、この問題は、特に大型予算を組むときでございますから、われわれはその趣旨に従いまして、実効の上がるやり方をしてみたい、かように考えております。
  118. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのほか年金福祉事業団とか開銀とか輸銀とか数え上げれば切りのないほど繰り越し、不用が出ているわけですよ。いま決算委員会だとか会計検査院というのですがね、これは年度が終わってからなんですよ、決算なんというのは一年半か二年後でしょう。ですから、私はそういうものをもっと総合的に、大蔵省だけではなくて、総合的に各省の間でそういうものを研さんをし合っていくという制度はつくるべきだし、また特に乱費の心配が私はことしはあると思う。こういう問題についても厳しい対応というものをやっていくべきだと思います。  それから、国債整理基金の本年度の累積収支残高というのは一体どのくらいあるのですか。
  119. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) これはいま私の手元に持っておりますのは五十三年度でございますが、一兆二千九百億でございます。
  120. 竹田四郎

    竹田四郎君 片方で赤字公債を出している、片方には一兆の金が余っている。これが恐らく詳しい数字はいまは申し上げませんけれども、大変な額になると思うんですね。この支払いの始まる時期というのは恐らくかなり後だと思うんですよ。片方で金をためておいて、片方で赤字だといってやるということはどうもわれわれの考え方からいくと、片方にこんな余裕金を余して国債か何かに投じているようでありますけれども、そういうことを私はするべきではないだろう。こういう時期にはそういうものも一時運用をしてやっていくべきだと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  121. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) わが国は、もう御案内のように、五十年度から特例債というのが出まして、そしてことしの予算でもお示ししましたように、三十何兆という、あるいは四十何兆というのが来年度予想されるわけでございます。したがいまして、予算というものはそのときそのとき使えばいいという問題と、やや長期的に物を考えるという見方の両方あるわけでございます。わが国におきましては定率繰り入れ百分の一・六という制度、それから剰余金繰り入れ二分の一、それから予算繰り入れがあるわけでございますが、定率繰り入れというものは、少なくても総合減債基金制度の一環としてやっておった方が私はやはり長期的観点から申しますとよろしいのではないか。なかなか予算はご承知のとおりに、ことしこれが必要だからというわけで、なかなか動かない面があるわけでございます。そういう面から申しますと、私たちは人間の、何といいますか、対応の限界というものを考えまして、ある程度長期的に考えていくのも一つの考え方であろう。現在の定率繰り入れによりますものがほとんど大部分でございますが、そのような数字になっているわけでございます。
  122. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは、たとえば定率繰り入れをことしやめるとすれば三千六百億円、これだけの金が出るわけです。そうすると、ことしの減税というのは六千億以上というものになっていくわけです。いま一番政府が声を大にして言っているのは景気回復でしょう。景気回復なら国債幾ら出したっていいじゃないかというくらいな気持ちの人が多いようですが、私は国債は余り過大にするのはよくはないと思いますけれども、こういうときにそういう金を景気回復に使ったら私はどうかというふうに思うんですが、もう時間がありませんから、これは論争をいたしません。  それから、総理にお伺いしますけれども、与野党の間で大体福祉年金を初めとして四百億の金を出そうということでありますが、これは予算修正しなくちゃならぬと思うんですけれども、これは一体どうするんですか——減税じゃない、減税は除いて。
  123. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 衆議院段階で政府はこういうことを申し上げているんです。減税につきましては三千億、それから福祉対策費としては四言億円、これはその見当で当該関係委員会において御論議してもらいたいと。その御論議の結果を見まして、政府としてはそれに対応した処置をとります、こう申し上げているんで、その御論議の成り行きを注視し、お待ちしておると、こういうことでございます。
  124. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、それは四百億出していくというのは、この予算で出していくのですか、それとも次の機会を待つということなんですか、どっちなんですか。
  125. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いずれにいたしましても、国会の議決を経ませんと確定いたしません。したがいまして国会の議決を経た段階で、どのような財政処理をするか、その時点で最も適切な方法を考えたい、かように思っておるところでございます。
  126. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから、これは大蔵大臣に伺いたいと思うんですが、さっきのように所得税減税をやろうと思えば財源はあるわけですよ、国債を発行しなくてもですね、さっきの国債整理基金の定率繰り入れをやめれば、できるわけですよ。これはおやりになる気はないですか。
  127. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) しばしば申し上げていますように、今年度は限られた財源で最も景気効果を上げるには何がいいかということで、いまわれわれがベストだと考えている予算案を御審議願っておるわけでございます。先ほどの国債整理基金の残高があるじゃないかと、こういうお話でございますが、先ほど申し上げましたような趣旨で、それはやはり長期的に考えるべきであろう。所得税減税に回して、そんなら来年その分はすぐ増税に賛成いただけるとも思えないのでございます。やはり景気対策はもちろん必要でございますけれども、財政当局といたしましては、長期的な問題は長期的な問題として、短期的な問題は短期的問題として、やはり整理して考えていかねばならぬ、かように思っておるところでございます。
  128. 竹田四郎

    竹田四郎君 あとお聞きしたいことがあるんですが、二、三項目外しまして、宅地開発公団の総裁はいらっしゃっておりますか。——お尋ねしたいと思いますが、数日前に神奈川県の厚木で二百四十ヘクタール、日本ランドシステムですか、これが持っている土地を百五十億でお買いになったということでありますが、宅地開発公団というのは、私は勤労国民に安い土地を提供するというのがこれをつくった趣旨だと思うんですが、しかも、ここは神奈川県では六三%の緑地化をしろ、人口は八千に制限しろ、こういう条件だと思うんですか、それてやっていって三・三平米当たり十万円の土地を庶民に供給することができるかどうか、それだけお聞きしておきたい。
  129. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私ども公団は、先生御承知のとおり、大都市の周辺で大規模な宅地造成をやりまして良好な宅地を一般の国民に提供する、こういう役割りでございますので、茨城県の竜ケ崎でも千葉の北ニュータウンでもただいま仕事をやっておりますが、最近、先生御指摘のように、厚木におきまして相当規模の宅地開発を手がけたい、かように思っております。  いまお話がございましたように、緑地率は相当高いわけでございますが、これは地区の自然条件とか、あるいは神奈川県の御方針で緑地を相当大きくとるようにというふうなことから六三%程度の緑で覆われる地区がございます。しかし、これにつきましてはいわゆる公園緑地、保全緑地のほかに調整地とか、あるいは道路のうちの緑道とかいうものを十分緑でカバーいたしまして、緑地地域に考えさしていただくように県にもお願いをいたしております。  こういったことのほかに、御承知のように、私どもは公共施設の整備につきまして、直接施工ということで補助金を直に公団に入れることができるたてまえになっておりますので、かような制度を利用することによりまして、私どもとしてはコストにしては安いものを考えております。  同時に、価格につきましても素地価格が非常に大きく影響するものでございますから、素地価格につきましては鑑定評価額の大体八割程度に抑えております。さような意味で、現在この周辺で売買されております宅地が三・三平米当たり二十一万から二十二万、平米に直しますと六万五、六千円になろうかと思いますが、私どもが提供できるのは、これから工事にかかってやるわけですから、若干時日がかかりますが、それだけたった後におきましても、それより相当安い値段で提供しようということで考えておる次第でございます。
  130. 竹田四郎

    竹田四郎君 私の質問は三・三平米十万円以下で提供できるかどうかということを聞いているんです。
  131. 志村清一

    参考人(志村清一君) 十万円というお話は、宅地開発公団法案が成立いたしましたとき国会で御議論がございまして、当時の状況ではほぼ十万円程度というふうなことでございましたが、それ以後、所得も若干上がっておりますし等々で、中堅の階層の方がある程度の努力をなされば購入できる価格というふうに私どもは理解しております。率直に申しまして、厚木地区におきましても三・三平米十万円ではできません。それより大分かかるかと、かように思っております。
  132. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はそんな高い土地を何も開発公団が手がける必要はなかろうと思うんです。恐らく結局は日本ランドシステムのお手伝いをするということに堕してしまうんじゃないかと思います。  厚生大臣、この間、最高裁で韓国人の孫さんという方ですか、これの原爆被災の医療、これについては国別を問わず、あるいはその入国が適法であったか否かを問わず、これは治療をさせるべきだ、こういう判決が出たわけであります。大体、韓国に一体被爆者がどのぐらいいるのか。それから、これから厚生省は被爆者の医療に対してどういうふうにやっていくつもりか。それから、私どもが出しておる被爆者援護法、これをこの判決に関連して早急に成立をさせるべきだと思うんですが、この辺はどうなのか、お伺いしたいと思うんです。
  133. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 竹田君、時間が来ております。
  134. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 韓国に被爆者がどれぐらいいるかという数字でございますが、突然のお尋ねで私いまその数字を持っておりません。ただ、現在日本に居住しないで外国におる方についての適用は今度の判決では認めていない、かように私考えているわけでございます。  それから、今度の最高裁の判決を検討いたしましたんですが、ずばり国家補償の精神で原爆の被爆者に対して補償をやるべきだという立論ではないと思うんです。社会保障的な考え方でこれをやっているんだが、しかし、やはり戦争責任ということを考えると、この原爆医療法の中には国家補償的な考え方が根底にあると考えられるということを否定できない、こういうお話でございまして、そして結局は最終的にこの原告の方に認めろというのは人道的見地から当然、たとえ不法入国者であっても現に日本にいる人であるならば人道的見地から適用すべきである、こういうように見ておるわけでございますので、したがって直ちにこの原爆被爆者に対するすべての援護措置というものを国家補償の観点からやるべきであるという判決の御趣旨ではないと私どもは考えておるわけでございますが、なおよく司法当局とも相談をいたしてみまして、私どもの考え方が間違いなのかどうか、この点をはっきりいま検討をいたしたい、かような段階でございます。
  135. 竹田四郎

    竹田四郎君 原爆被爆者援護法。
  136. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) そこで、いまその点のお答えのつもりで申し上げたんでございますが、野党五党の御提案に係る提案につきましては、これは前々から私どもは、国家補償の観点ですべてを考えていく、したがって、その結論として出てくるこの年金の制度というものについてはなお相当慎重に検討を要するものがあると思いますので、現在のところは、ひとつ被爆者の置かれた実態、あるいは原爆の放射能被害というものの特殊性にかんがみてやっております原爆医療法あるいは私どもの援護法の範疇内でできるだけ改善をさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  137. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう一問。  厚生大臣、鶴見川の河口付近にコレラ菌が発見された、こういうことで、これは私のすぐ近くの地域でありますし、鶴見川というののこれの潮の干満では綱島あたりまで潮が来るわけでありますから、鶴見川沿岸としても、あるいは鶴見から本牧に至る間、あるいはさらに横須賀に至る間、このコレラ菌の状況というものは大変心配されるわけでありますけれども、これに対してどんな調査結果が出ているのか、どんな対策が行われているのか、御報告をお願いしたいと思います。
  138. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 採取をいたしましたのは二十二日からでございますが、きのうの午後四時ごろ予防衛生研究所で最終的にコレラ菌であるということが判明をいたしたもんでございますから、最初検疫所が採取をいたしましたのはたしか河口付近において採取をいたしました。それから若干河口から入りましたところの二、三の地点でもやはり同様の菌を採取したわけでございます。そこで、直ちに、これはいわば政令市でございますので、横浜市並びに県の方の衛生部に連絡をいたしまして、それでまず菌の出所がどこかということを探索するのが一番根本でございますものですから、きのうから東京湾五十三カ所について広く採取をいまやっております。で試験をいたしておりまして、それから県、市の当局にお願いをして、今度河川の方の鶴見川の上流地点を全部調べるようにいたしております。それから医師会、病院等にも連絡をいたしまして、患者の中にそれと疑うに足るような患者がおったかどうか、いろいろいま追跡調査を依頼をいたしております。  目下のところ、何ともこの出所については判明をいたしません。また、船舶についても、検疫所の方であらゆる船舶のいま調査をいたしておりまして、果たして船舶の方から出たふん尿等による影響なのか、この辺も徹底的に調査をしなければならぬと思っております。したがいまして、まだ実は患者の発生等についても全くいまのところはございませんので、とにかく原因の追求を徹底的にやる、こういう体制で臨んでおるところでございます。
  139. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。(拍手
  140. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で竹田君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。  次回は明後三日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会