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1978-03-25 第84回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十五日(土曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     立木  洋君      野末 陳平君     円山 雅也君  三月二十五日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     竹内  潔君      対馬 孝且君     大木 正吾君      粕谷 照美君     福間 知之君      矢追 秀彦君     矢原 秀男君      中野  明君     馬場  富君      円山 雅也君     野末 陳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 竹内  潔君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 望月 邦夫君                 山本 富雄君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 高杉 廸忠君                 野田  哲君                 福間 知之君                目黒今朝次郎君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 矢原 秀男君                 立木  洋君                 井上  計君                 市川 房枝君                 野末 陳平君                 秦   豊君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君        国 務 大 臣  牛場 信彦君    政府委員        内閣審議官    伊豫田敏雄君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        人事院事務総局        給与局長     角野幸三郎君        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省条約局長  大森 誠一君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁次長    谷口  昇君        国税庁税部長  水口  昭君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  三角 哲生君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        社会保険庁医療        保険部長     岡田 達雄君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省畜産局長  杉山 克己君        食糧庁長官    澤邊  守君        水産庁長官    森  整治君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        海上保安庁次長  向井  清君        労働省労政局長  北川 俊夫君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       乗富 光義君        農林大臣官房審        議官       佐野 宏哉君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本国有鉄道理        事        橘高 弘昌君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十三年度総予算案審査のため、住宅金融公庫総裁大津留温君及び新東京国際空港公団総裁大塚茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席日時等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより馬場富君の一般質疑を行います。馬場君。
  7. 馬場富

    馬場富君 最初に、日中条約について質問いたします。  日中交渉再開めどがいま問題になっておりますが、その点についてめどはついたのかどうか質問いたします。
  8. 園田直

    国務大臣園田直君) 日中友好条約締結交渉再開については、手順段取り等をだんだんと進めていっておる段階でございます。
  9. 馬場富

    馬場富君 交渉再開条約締結へ実質的に踏み出したものと了解していいかどうか。
  10. 園田直

    国務大臣園田直君) 総理からも言われておりますとおりに、再開するということは、これが円満に妥結することを念頭に置いていろんな手順段取りを進めておるわけでございます。
  11. 馬場富

    馬場富君 また大臣は四月十日ごろ訪中されると理解しておりますが、日中間の話し合い次第では若干おくれるという報道もございます。その点はどうでしょうか。
  12. 園田直

    国務大臣園田直君) いよいよ具体的な手順段取りになってまいりましたので、私がいつごろ訪中することになるかも含めて一切の手順はそれぞれ関係方面理解を固め、その上で、相手のあることでありますから、相手合意も得た上で、両方の意見が一致した上で決まることでございますから、いつごろどうなるかということは申し上げる段階ではございません。
  13. 馬場富

    馬場富君 交渉再開は、福田総理答弁でも明らかなように、当然条約締結につながらなければならないと思うわけでございます。そのために、条約締結の見通しについてはどのようにお考えであるか、説明していただきたいと思います。
  14. 園田直

    国務大臣園田直君) いま交渉再開段取りを詰めておるところでございますから、再開がいつになるのか、それからどのような折衝になるのか、もちろん先ほど申し上げましたとおり、再開するについては途中でいろんな障害や、あるいは停滞が起きないように、円満に妥結することを念願をしてやっているわけでありますけれども、いつごろどのようになるかということは、まだ再開めどもつかない時期でございますからお答えするわけにはまいりません。
  15. 馬場富

    馬場富君 日本政治も、長いトンネルの中でいま混迷しております。その中で、光明とも言える面の問題が、一つ日中条約の問題であると思います。そういう点で国民期待も非常に大きいと、そういう立場からもこれは積極的に進めるべきだと、そのように私ども考えるわけでございます。福田総理は五月に訪米されますが、この訪米前に条約締結に持ち込むというような、こういう考えがあるかどうか、意思をお尋ねいたします。
  16. 園田直

    国務大臣園田直君) 両国合意の上でなるべく早くやりたいと考えておりますが、いつごろになるかは、相手合意の上のことでありますから、いまここで申し上げるわけにはまいりません。
  17. 馬場富

    馬場富君 第三回の佐藤大使韓念竜外務次官との会談について政府から訓令を出すのはいつか、来週中にでも可能性があるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  18. 園田直

    国務大臣園田直君) 第三回の佐藤韓念竜会談というのは、手順段取り一つ段階でありますから、これがいつごろになるかということは、まだいまの段階では検討しておる段階でございまして、いまどうこうという判断はまだつきかねる時期でございます。
  19. 馬場富

    馬場富君 次に、覇権条項の取り扱いについて、政治決着、すなわち一致点を見出す決意があるのか、訪中を予定しておる大臣決意をお願いいたします。
  20. 園田直

    国務大臣園田直君) 条約全般、きわめて大事な問題であって、両国双方のためにもなるべく早くという努力をしておるところでありますが、また一面から考えると、両国間の未来にわたる長期の行動を規約するわけでもありますし、事きわめて重大な問題でございます。特に覇権の問題についてはいろいろ議論もあるところでございますけれども、仮に大臣が訪中して折衝をすることになりましても、政治決着という言葉がよく使われておりますが、この政治決着というのはきわめて不明確な言葉でありまして、往々にして政治決着と言うと政治的にある点で妥協するというようにとられておりますので、そういう意味においては大臣はこの問題で政治決着をつける意思はございません。日本国民及び中国の国民及び世界の各国が納得するような決着をつけたい、その決着をつけるための政治折衝のために外務大臣は訪中する覚悟でございます。
  21. 馬場富

    馬場富君 それではこの点につきましてはやはり一致点を見出す決意で進むと、このように理解してよろしゅうございますか。
  22. 園田直

    国務大臣園田直君) 誠意を持っていろいろ話し合い、相互の理解ができれば決着点は出てくるという信念を持って努力する覚悟でございます。
  23. 馬場富

    馬場富君 次に、円高について質問いたします。  昨日の東京為替相場はついに一ドル二百三十円の大台を突破いたしました。最終で、ドル二百二十八円二十銭を記録し、過去の最高値を大きく更新しております。大蔵大臣はこの円高についてどのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
  24. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) やはり、為替相場は何と申しましても基礎収支が主たる相場の原因でございまして、ここのところいろんな防衛策を講じまして、それはそれなり効果をあらわしているのでございますけれども、一方において諸外国からの輸入が思ったほど伸びず、そしてまた、わが国からの輸出がやはり堅調を伝えておることもございまして、いろんな操作をやっているのでございますけれども、やはり実勢を反映して、ついに二百三十円を割ったと、かように思っているのでございます。
  25. 馬場富

    馬場富君 報道によれば、アメリカ市場では二百二十七円五十銭という急騰でございますし、先物では、東京市場では六カ月先の先物が二百二十一円五十銭という、こういう状況でございますが、このような先の状況を見まして、大蔵大臣はどのように対処されるか、御明確な御答弁をお願いいたします。
  26. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) まあ基本的な考え方は、内需拡大がやはり長期的に見ますと中心課題をなすと思っているわけでございます。内需拡大によりまして輸入をふやし、またいままで輸出に向かっておった力が内に向いてくると、こういうことが何と申しましても基本でございます。そのために本年度の公共投資中心とする非常に大きな予算を組んだわけでございますし、また民間設備投資あるいは住宅投資、そういった面につきましてもできるだけの考慮を払っておるわけでございますし、また公定歩合の大幅な引き下げをいたしまして、史上最低金利水準を実現しようとしておりますのもそのことでございます。  したがいまして、今後これが着実に実行されていきますと、こういった基本的な施策、さらには先般から発表、実施しております市場開放体制を含む対外経済政策の諸施策とか、こういったことがやはり基本になりまして、順次国際収支のバランスがとれ、そしてレートもその実勢に合ってくるものと考えているのでございます。しかし、この短期の問題につきましてはおっしゃるようなことでございまして、なかなか実勢実勢でございますので、ここのところ急にはなかなかうまい手がないわけでございますが、先般短資の流入規制をいたしまして、それはそれなりにまあ大きな効果があったのでございますけれども、それを乗り越えて、やはり国際収支実勢は、何と申しましてもドル安の要素が多いわけでございます。そういう意味でございますので、この上ともいろんな政策を工夫したいと思いますが、あわせて円高ということは一方においてドル安意味しておりますから、まあアメリカの方にもこういう事情を御理解賜り、また基軸通貨としての役割りをも認識していただきまして、さらに一段と協力方をお願いしてまいりたいと、かように思っているところでございます。
  27. 馬場富

    馬場富君 二百三十円台のときには日銀介入がございました。今回の二百二十八円には日銀介入がなかったのはなぜでしょうか。大蔵大臣の御見解をお願いします。
  28. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 新聞紙上、日銀介入についてはいろんなことが伝えられておりますけれども、私が見ておりますといずれも不正確な推測記事だと思っております。日銀といたしましては、乱高下を防ぐためにできるだけの努力を絶えず払っておるところでございまして、どうかその点を御理解賜りたいと思うのでございます。どのようにやっておるか、これは相場に対して非常な悪影響がありますので、具体的なことは差し控えさしていただきますが、日銀としてはできるだけのことをやっておることはわれわれはよく知っておるものでございます。
  29. 馬場富

    馬場富君 大蔵大臣はこの点について介入を指示しなかったのか。どうでしょうか。
  30. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) そのようなことを言うことが為替相場に対しまして、特に海外に非常に影響があるわけでございますので差し控えさしていただきたい。しかし私が申し上げたいことは、日銀乱高下を防ぐためにできるだけの努力をしておりまして、その時期とタイミング、それをとらえつつ、適時適切に努力しておるということ、もちろんわれわれの方と連絡をとってやっておるということを申し上げておきます。
  31. 馬場富

    馬場富君 大蔵大臣は、二十四日の閣議後の記者会見で、五十三年度成長率の七%は何とか達成できるが経常収支黒字の六十億ドルは困難な局面に来ておると発言されておりますが、担当宮澤経企庁長官はどのようにお考えか、御答弁を願いたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大蔵大臣がどういう意味でおっしゃいましたか、直接承っておりませんけれども、まあ一般的に円が高くなりドルが安くなれば輸入がふえて輸出が減って、そして国際経常収支黒字が小さくなるということが、これは教科書にも書いてございますし、長期的にはそうでございましょうけれども、短期的にはむしろ円が高くなるのであればなるべく安いうちに輸出をしておいた方がいいということになりますし、将来円が高くなるのであれば輸入はなるべく控えておいた方がいいということになりますから、いわゆるリーズ・アンド・ラグズでございますが、短期的には逆になる。これはまあどこでも起こります一種の常識的な事象でございますが、そういうことが非常に起こりやすいのでという意味で言われたのではないかと思います。
  33. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私は来年度の経常収支六十億ドルのことで、来年度いっぱいかけて困難であるとか不可能であるというようなことは、正式に言ったことはございません。
  34. 馬場富

    馬場富君 円高対策の中で、輸出規制の問題が大きくクローズアップされておりますが、河本通産大臣と他の経済閣僚との意見が食い違っておるように思うわけでございます。その点、関係大臣意見をお聞かせ願いたいと思います。通産大臣あるいは大蔵大臣経企庁長官牛場担当大臣について、御答弁願いたいと思います。
  35. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私の申し上げておりますのは、いまの円高というものは基礎収支実勢からきておる、それで、いろんな通貨面での対策をとっておるけれどもそれを越えてきておるということでございまして、いずれにいたしましても、この問題は国際収支均衡をしなければならぬわけでございまして、輸入拡大するか、あるいは輸出の問題でいくか、さらには資本収支でいくか、いろんな問題があるわけでございますが、目下緊急輸入を盛んにやっておるわけでございます。また同時に、輸出についても集中豪雨的な輸出については、通産でいまいろいろ御苦労願っておると、こういうことでございますから、その二者択一の問題として円高を抑える方がいいのか、あるいは抑えるために、何らかの輸出のいまの自制というものをさらに強化するのがいいのか、あるいは円高はやむを得ないとして考えるのか、そこの選択の問題として輸出の問題についても通産当局でさらに一層配慮をしていろいろ検討をお願いしてもらったらどうか、こういう発言をいたしておるのでございます。輸出を一面的にそれだけをやれというようなことを言っているわけでございませんので、すべてが関連している問題として述べているところでございます。
  36. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 意見食い違いがあるのではないかというお話でございますが、私は意見食い違いはないと考えております。一つには、輸出が急増しないように最近の動向から判断をいたしまして何とか手を打たなきゃならぬというので、行政指導で大体円ベース数量ベースで横並びになるようにきめ細かい強力な指導をしていこう、こういう方向でいま対策を進めておるところでございます。ただ、私どもが気をつけなければならぬ点は、縮小均衡にならないようによほどの配慮が必要だと考えております。縮小均衡にならないように配慮する必要があろうと考えます。縮小均衡になれば、これはもうたちまちのうちにして雇用問題に火がつく、こういうことになりますから、そういうことにならないように、いま申し上げましたような方向行政指導を進めていく、こういう考え方でございます。一方におきましてさらに積極的な輸入拡大策をやる、抜本的には内需拡大、こういうことだと思いますが、そういう幾つかの政策がいま進められておりますので、近くそれぞれ具体化するものと私ども期待をしております。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま大蔵大臣通産大臣からお答えになりましたことで明らかだと思います。別に基本的な見解食い違いがあるわけではございませんから、私としてはつけ加えるべきことはございませんが、そのような意味での内需拡大あるいは輸入の増進等々について近いうちにもう少し具体的な決定を関係閣僚間でもいたしたいと考え努力をいたしておるところであります。
  38. 牛場信彦

    国務大臣牛場信彦君) 私の担当しております対外経済関係からだけ申しますと、ただいま日本輸出の急増によって非常に被害を受けておるという理由で、日本に対して輸出調整を迫っているという状況はないのです。アメリカ市場におきましてもいま問題を起こしておりますのは例のトラン……何と言いましたですか、CBラジオと言っておりますけれども、ああいうような非常に小さなものだけでして、自動車につきまして、確かにこの間も向こうの自動車労働組合の代表が参りまして、日本自動車産業が早くこのアメリカ投資をすべきだということを申しておりますが、そういうことはございますけれども、とにかく日本輸出を縮小することによって経常収支黒字の幅を縮減してくれというような要求はないんです。それよりもいまの世界要求というのは、日本の国内の景気を上げて、そして輸入をふやしてくれ、こういうことでございます。それからもう一方、輸出の方から申しますと、国際収支関係だけで日本品輸入を制限するというようなことは、いまの国際経済のルールで許されておりません。そういうことでございますから、私は、あくまでやっぱり輸入をふやすことによって、あるいは内需拡大、これが一番基本でございますが、それによっていまの国際収支問題の解決を図っていくというのが正道だと思っております。
  39. 馬場富

    馬場富君 政府円高対策として種々の対策を立ててきたわけでございますが、依然としてその実効、効果が出ておりません。この状況からいきますと、二百二十円台の定着は必至の実情だと、こういうふうにわれわれまた一般も考えざるを得ない状況下にございます。これはすなわち日本経済の最大の岐路に私は立つ問題であると思います。そういう点について大蔵大臣見解をお尋ねいたします。
  40. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまおっしゃったことはこの間の緊急輸入の話でございますか。四項目の……。
  41. 馬場富

    馬場富君 二百二十円台定着の実情にあるから、それに対するこれからの対策です。
  42. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 同じことでございますが、やはり基本的にはその相場というものは短期的、長期的とありますけれども国際収支、特に基礎収支状況によって相場が違ってくるわけでございますので、長期的にはやはりいまの予算、それから公定歩合の引き下げ等を通じまして内需拡大するということが緊急の問題、これによりまして所期の目的を達成するということを基本考えているわけでございます。  短期政策といたしましては、先般いたしましたような外資の流入の規制、その他あるいは諸外国の、特にアメリカの協力を求めていく、こういうことでやってまいりたいと思っておるところでございます。
  43. 馬場富

    馬場富君 そのように何回も答弁しておられるわけでございますが、さっぱり現状は効果が上がっておりません。それに特にアメリカドル防衛に対する努力というのが非常に問題になっております。そういう点でこの点をやはり強力に要請すべきであると思いますが、その点どうでしょうか。
  44. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) アメリカの方も一ころに比べますと大分その点について認識が変わりつつありまして、この間のドイツとの協定なんかもその一つのあらわれでございまして、それがまた円高に対してもいい影響を及ぼしていることはもう当然でございます。しかしアメリカ実勢を離れて介入をしてくれと言っても、これはなかなか無理の問題でございますので、それぞれが応分の努力をすると、さらにまたわれわれが努力をしていることをアメリカ側にも一層認識を深めていただいて、より一層、世界全体のために、基軸通貨として、実勢を離れたような乱高下に対してはアメリカ側の一層の支援、協力が第一であろう、そういう共通の認識を深めるということがまず第一ではなかろうか、そう思いまして絶えずその点について連絡をとっているところでございます。
  45. 馬場富

    馬場富君 今回のECの通商協議については、昨日の共同声明の発表で輸入等の取り決めが終わったわけでございますが、政府円高情勢の中でこの共同声明をいかに評価しておるか、その点について牛場大臣並びに宮澤長官にお願いいたします。
  46. 牛場信彦

    国務大臣牛場信彦君) 日本とECとの間ではとかく最近不協和音が多くございまして、中には私どもの方から見ますとはなはだ不当な非難もあったわけでございますけれども、そこへもってきましてことしの一月に日米間で話し合いができましたものですから、それと同じことをやりたいということで今般副委員長以下十人に上る大代表団を送り込んで来ました。日本との関係改善に対して非常な熱意を示してきたわけでございます。  これに対しましてわが方でもできるだけの努力をいたしました結果、全部につきまして合意ができたというわけではないのでございますけれども、とにかく共通の目標というものを設定できまして、これはもう日米間で設定した目標と同じでございますが、それに加えて最近の通貨不安の状況がございますので、通貨情勢の安定を協力して図っていこうということも加えまして、その目標に向かって双方おのおの適当な処置をとっていくということに合意できましたことは、これはもちろん問題の解決というわけではないんでございますが、これから先の日本とECとの関係の上に相当な効果があるものと私ども考えております。日、米、EC、この三つの協力ということが現下の困難な国際経済問題を解決する上におきまして不可欠と思われますので、その意味におきまして一番いままで弱かった日、EC関係というものがこれで強化されることになったのじゃないかと考えております。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま牛場国務大臣が言われましたとおり、ECというのはなかなか一国でございませんので対応のむずかしい相手でございますから、この一カ月半余りの交渉に決着をつけるのにはずいぶん牛場大臣が御苦労をなさったところであります。したがいまして、あのコミュニケもそういうECのいろいろな立場を察しながらでき上がった文書であるというふうに理解をいたしておりまして、わが国もこれだけの経済的な力を持つようになりました。しかし、日米と比べますと、わが国とECとの関係は、従来、沿革的にも何といってもそれほど深くないのでありますから、この辺でやはりつまらぬ誤解を生じるということは避けるべきであると考えました。そういう意味で、わが国としても、向こうの立場をいろいろ考えながら、あの程度のところで問題が妥結をしたということは、今後の両者の関係のために非常にいいことであったというふうに私は評価をいたしております。
  48. 馬場富

    馬場富君 次に、漁業問題について質問いたします。  二百海里時代を迎えまして、大きく日本の漁業も変わりつつございます。その中で、特に沿海漁業の進展が期待されておるわけでございますが、特にその中でも養殖業が急増しております。その業者数と漁獲高の推移についてお尋ねいたします。
  49. 森整治

    政府委員(森整治君) 養殖業につきましては、各種の養殖の形態があるわけでございますが、魚類の養殖につきましては、御承知のようにハマチが最近は一時伸びましたが、衰退して、タイの養殖が伸びたわけでございます。それから内水面の魚類の養殖につきましてはアユ、コイ、それからウナギはやや停滞ぎみである。それから貝類でございますが、カキが伸び悩んでいる、ホタテも最近大量の斃死が発生したというようなことがございます。それからモ類の養殖、ノリ、ワカメというものも一応減少している。概して申しますと、伸びているものもありますが、最近はやや停滞ぎみということで、漁場の制約、環境の悪化ということから、そういう事態が発生をしているのではなかろうかというふうに判断いたしておるわけでございます。
  50. 馬場富

    馬場富君 このように養殖業の増加等が発展してまいりまして、そのために魚病の発生が多くなってきております。その関係で、特に抗生物質あるいは抗菌剤の使用がふえたために薬害の問題がいま懸念されております。これにつきまして、五十二年十一月七日に水産庁長官は水産用医薬品の使用に関する通達を出しておりますが、この要点を説明していただきたいと思います。
  51. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘の通達の問題は、御承知のように漁場の環境が悪化いたしております。それからまた、外国から新しい病原体が入ってくるというふうなことで、養殖業の発展の中で一つの問題が提起をされておるということでございます。  これに対しまして、一つは「基本的には適正飼育密度を厳守」して「日常の飼育管理の適正化を図る」、これが基本的な考えで、まず未然にそういう病気を防止するということが必要であろうということでございます。それから次に、発生を見た場合には「医薬品等の乱用誤用を避ける」、適正な利用を図るということで、できるだけその使用量を最少限にとどめる。薬剤の耐性菌の出現ですとか、副作用による損害だとか、そういう薬剤の残留問題も出ておるようでございます。そういうものを未然に防止したいという観点から、水産試験場を通じまして関係団体、医薬品の製造販売業者、そういう団体等に指導を徹底をして通達を発したわけでございます。
  52. 馬場富

    馬場富君 この通達によりますと、耐性菌の出現、医薬品の残留の問題が提起されたと、こういうように通達には述べられておりますが、これはどのようなことでしょうか。
  53. 森整治

    政府委員(森整治君) 抗生物質等の医薬品を出荷の前一週間程度薬剤を使用しない、いわゆる休薬期間が使用上の注意として記載をされておるわけでありますが、一部の水産試験場で調査しましたところ、業者によりましては残留が危惧されるというような事例もございまして、その使用の適正化を指導したというわけでございます。また、特定の病気に効果のあった医薬品が最近耐性菌の出現によりまして、その病気に対する効果が低下してきたという調査報告もなされておりまして、こういうような観点から、先ほど私が申しましたようないろいろな指導の通達が出されておるということでございます。
  54. 馬場富

    馬場富君 通達の記の一に「適格な診断及び病原菌の薬剤感受性を調査」と、こういうように書かれておりますが、資格もない現場の人たちがこのようなことができるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  55. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘の問題はまた大変頭の痛い問題でございます。と申しますのは、御指摘のございましたように、ただいまこういう関係が急にいろいろ出てまいりまして、むしろ人を養成をしているのが実情でございます。したがいまして、ともかくそういう研修、そういうものを中心にいろいろ受講の範囲を水産業の改良普及員にまで広めるとか、いろいろな指導者層の拡大を図っておるのが現状でございます。そういう中でそういう教育者を中心としまして病性鑑定に必要な器具を助成するとか、水産試験場の職員を中心にいろいろ連絡をとりながら当面の指導に当たっているというのが現状でございます。
  56. 馬場富

    馬場富君 この扱われておる薬品が抗生物質、抗菌物質というように、これは適切な医師や獣医師の指示を仰がなければならない問題でございます。そういうものが果たしてそのような簡単な指導やそういうことで済まされていいかどうか、この点しっかりと答弁願いたいと思います。
  57. 森整治

    政府委員(森整治君) 水産養殖の生物に対します薬剤の使用に当たりましては、家畜の場合の獣医師のような法律に基づきます資格者による指示制度はございません。養殖指導の一環といたしまして水産試験場の職員が指導に当たっておるということを先ほど私が申し上げたわけでございます。
  58. 馬場富

    馬場富君 それじゃ現状のやり方で、これで適法であり、適当であると認めておるかどうか、その点御答弁願いたいと思います。
  59. 森整治

    政府委員(森整治君) 現状に、ただいま私が申しましたように、必ずしも私どもも満足をしているわけではございません。ただ、現状そういう実態であるという御説明を申し上げましたわけでございまして、もちろん、今後、でき得ればいろいろ諸条件の整備というのが必要と思いますけれども、法的な根拠を有する、そういうある一定の措置を基本的に今後考えてまいる、そのための教育制度の改善も含めまして、今後、十分検討してまいりたいというのが私どもの真意でございます。
  60. 馬場富

    馬場富君 この問題につきましては、アメリカ等では獣医師がこれを兼ねておるのが実情でございます。日本の場合にも少なくとも魚医者等のそういうような立場をつくらなければこれはいけないと思いますが、その点どうでしょうか。
  61. 森整治

    政府委員(森整治君) どういう体制がよろしゅうございますか、いろいろ問題がありましょうけれども、そういう魚の医者と俗に申すような、そういうようなものの存在がそろそろ必要な事態になってまいったという判断はいたしておるわけでございます。
  62. 馬場富

    馬場富君 同じく通達の中に、医薬品の添付文書による投薬が指導されておりますが、これはほとんど製薬会社が指導するというような状況でございます。これについて抗生物質、抗菌剤の使用は診断を伴うわけでございますから、その点につきましてもこの点に問題があると思いますが、いかがでしょうか。
  63. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) ただいまの御指摘の医薬品につきましても、これは水産試験場、それから改良普及員を通じまして、十分漁業者に指導するよう努力をしております。今後とも、ますますその努力を続けてまいりたいと考えております。
  64. 馬場富

    馬場富君 たとえば水産用医薬品の宣伝等につきましても、水産庁の本等の広告の中に、こういう見出しで広告が実はなされております。このように、この文書を見ましても、はるかにこの抗生物質や抗菌剤を使用するものと違ったような一つは宣伝文字が載っております。このような状況で、このまま実は現場の養殖場でこの薬品を使われたとしたら、私は大変な事態が起こるんじゃないか、こういう点はいかがでしょうか。
  65. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 確かに業界がある程度積極的な広告をやっていることは私どもも存じておりますが、やはりこの薬品の問題につきましては、私どもといたしましては、現在のところ、水産試験場を中心に御指導申し上げるということで精いっぱい努力いたしたいと考えております。
  66. 馬場富

    馬場富君 では、この抗生物質が家畜に使用された場合について、取り締まり規定とその使用方法について農林の方から説明していただきたいと思います。
  67. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  家畜に使用されます場合には、動物用医薬品のうち、副作用が強いもの、あるいは病原菌に対して耐性の生じやすいもの等につきましては獣医師の専門的な知識と技術を必要とする、そういうことで薬事法に基づいて要指示薬として指定し、獣医師からの処方せんの交付または指示を受けた者以外には販売ができないことにいたしております。
  68. 馬場富

    馬場富君 その取り締まり医薬規定をひとつ読んでいただきたいと思います。
  69. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) ちょっと済みません……
  70. 馬場富

    馬場富君 薬事法の取り締まり規定。
  71. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) いま私が申し上げました薬事法の規定は、薬事法の第四十九条第一項でございまして、ちょっと読ましていただきますと、「薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方せんの交付又は指示を受けた者以外の者に対して、厚生大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。」ということでございまして、読みかえ規定がございまして、動物用医薬品につきましては、本条中「厚生大臣」とあるのは「農林大臣」と読みかえられております。
  72. 馬場富

    馬場富君 いまの取り締まり規定でいきますと、要指示薬につきましての使用については獣医師の診断が必要だと、こういうように理解されますが、それでよろしゅうございますか。
  73. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) 仰せのとおりでございます。
  74. 馬場富

    馬場富君 薬事法動物医薬取り締まり規定に魚が入っていないのはなぜでしょうか。
  75. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 魚の場合には、畜産の生物と違いまして、いわゆる変温動物でございます。畜産動物が恒温動物に比べまして変温動物であるということと、それから管理が、畜産物の場合には一匹一匹管理されており、個体管理である。それに対しまして水産の養殖物の場合には、群として水中で飼われております。このような条件から、いろいろ勘案いたしまして、これから外したものと聞いております。
  76. 馬場富

    馬場富君 同じ答えを農林省の畜産局からもお願いいたします。
  77. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  私どもといたしましては、動物用医薬品の薬事行政の面につきましては畜産局で所管をしておりますが、一体、魚の面から見て、いかなるものがどういう取り扱いをされることが適切であるかということにつきましては水産庁の御判断に従ってやっておりますので、いま恩田次長からお答えを申し上げたとおりでございます。
  78. 馬場富

    馬場富君 同じく畜産局にお尋ねいたしますが、現在は養殖業が大々的に行われて、多量の抗生物質並びに抗菌剤が使われておりますが、この規則の中に魚を入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) 先ほど来水産庁からお答えいたしておりますように、少なくとも現在の段階におきましては、水産試験場等を中心とする指導を徹底していただくという形で対処していただくことを相当とする段階であるというふうに考えております。
  80. 馬場富

    馬場富君 次に、厚生省の環境衛生局にお尋ねいたします。  私たちが食べる魚に抗生物質、抗菌剤が検出されてはいけない、このように言われております。その法による基準の条文を読み上げ、説明していただきたいと思います。
  81. 山中和

    政府委員山中和君) ただいまの食品衛生法上は、食品衛生法の第七条に基づきまして、添加物、食品、そういうものの規格基準を定めてよろしいことになっております。それで定めましたのが、告示の三百七十号に規格基準を抗生物質について定めております。  その条文は非常に長いので主な部分だけ申し上げますが、第一 食品、A 食品一般の成分規格、その一としまして、「食品は、抗生物質を含有してはならない。ただし、次に掲げる漁業に従事する漁船により採取された魚類であって魚肉ねり製品原料、かん詰原料並びに塩蔵品および塩干品原料であるものにおける薬事法」云々となっておりますが、一番いま適切なことは、一番最初の「食品は、抗生物質を含有してはならない。」ということでございます。そのほかのただし書きのものは、現在はこういう状態はございませんので、その一条に尽きます。
  82. 馬場富

    馬場富君 抗生物質の残留の危険性についての文献があれば環境衛生局の方から説明していただきたいと思います。
  83. 山中和

    政府委員山中和君) 国際的なものにはスワンレポートがございまして、あと二、三文献としては論説が出ております。それによりますと、抗生物質の残留の問題につきましては、直接の害としましては抗生物質による害がございますけれども、量は少ないといいますか、密度は少ないために、主に間接的な害となります。  それの主なものは、第一は、抗生物質をふだんにとっておりますと、同じ抗生物質を入れたときにアレルギー現象を起こすという例があるということが一つでございます。第二番目は、同一の抗生物質を使っておりますと、細菌に次第に耐性ができてきまして、効果がなくなるということが一つでございます。第三番目には、体にあるいろいろな菌のある菌を死滅させますので、菌叢が変わりまして菌交代症というような現象が起こります。主にこういうことが学説として述べられております。
  84. 馬場富

    馬場富君 次に、厚生省の薬務局にお尋ねいたします。  この抗生並びに抗菌剤の中で、代表的なテトラサイクリン並びにフラゾリドンに対する副作用について説明されたいと思います。
  85. 中野徹雄

    政府委員中野徹雄君) お答え申し上げます。  テトラサイクリンあるいはクロルテトラサイクリンの副作用といたしましては、胃腸障害、血液障害、過敏症――まあアレルギーでございますが、それから骨の組織への沈着等が報告されております。いずれもテトラサイクリンそのものの有用性を否定するほどの副作用ではございませんが、これはやはり要指示薬に指定をいたしまして、医師の指導、監督下に置いて使用を限定するという取り扱いをいたしております。  抗生物質ではございませんが、御指摘の抗菌剤のフラゾリドンの副作用でございますが、これは吐き気とか頭痛とか、発熱、関節痛、血圧の上昇あるいは過敏症等が報告されておったわけでございますけれども、最近に至りまして、これはニトロフラン系化合物でございますけれども、この系統の化合物の長期大量投与によりまして、動物実験においては発がん性をも疑わせるデータが報告されております。そこで、昭和五十二年七月に、第十二次の医薬品の再評価におきまして、フラゾリドンは医薬品としては有用性なしというふうに判定をいたしまして、この製品の製造、販売の中止、回収措置を講じたところでございます。
  86. 馬場富

    馬場富君 ただいま説明されたように、この薬品の使用についてはかなり恐ろしい問題が含まれております。そのために、私どもは、過日、この実態を知るために都道府県の各水産試験場に対してアンケートの調査を依頼いたしました。またプロジェクトを組みまして現地調査もいたしました。その結果をまとめてみましたので、この資料に基づいてこれから質問をいたします。  一点は、養殖場において全国的に抗生物質、抗菌剤が多量に継続的に使われていることがわかりました。使用量が多いために耐性菌の発生に直面しておりますし、また耐性菌の蔓延で手の施しようがないという、このようなところもございました。この点について水産庁のお考えをお聞きしたいと思います。
  87. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) ただいまの薬品の長期多量投与によります耐性菌の問題でございますが、私どもも一部の魚についてその話を聞いておりまして、先ほどから申し上げておりますように、それについては厳しく水産試験場を通じて御指導をするようにしておるわけでございます。今後とも、私ども、その指導をさらに強めまして問題の起きないようにいたしたいと考えております。
  88. 馬場富

    馬場富君 私どものこの調査によりますと、先ほど水産庁から通達を出して指導を徹底しておる、こういうことをおっしゃっておりますが、現場の水産試験場については、その効果は全然上がっておりません。そのために私どもが現場に行きましていろいろな状況を聞きましても、たとえば多量に使用するという問題等につきましても、私たちもここにその使用のかんを持ってまいりましたけれども、これはちょうど五キロかんでございますけれども、これが二十キロかんとか、そういうように一つは多量な抗生物質が使用されて、その使用方法につきましても、先ほどの指導のような状況ではなくて、もうほとんどそういう科学的な状況は加味せずに、目で見て魚が死んだかどうか、このような現場認識でこれが判断されておる、こういう実情でございます。この点について水産庁の御答弁をお願いしたいと思います。
  89. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 現在使われておりますものは、いわゆる薬品の部類に入るものと、そのほかに栄養剤として大量に投与している例がございますようでございます。私どもとしましても、このような不必要な多量使用は養殖の経営にとりましても問題でございますし、おっしゃるような食品の安全性からも問題でございますので、さらに今後強くいろいろ指導をしてまいりたいと思います。
  90. 馬場富

    馬場富君 いまの答弁では、栄養等のためにもやっておる例があるとおっしゃいましたが、私がいま示しておりますこの薬は、この中には、先ほど御説明がございましたフラゾリドンが実は一キロ当たり七グラムと多量に入っておる薬品でございます。こういう実情でございますから、このような薬品を栄養剤と間違えるような認識ではこれはたまりません。しかとこの点御説明願いたいと思います。
  91. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 私ども、いま御指摘のやつは具体的にはっきり確認しておりませんので、全般として栄養剤と申し上げたのでございます。私どもといたしましては、もし栄養剤の中にそういうようなものが入っているとすれば、これは問題もございますので、関係のメーカー等にも十分注意をいたしたいと考えております。
  92. 馬場富

    馬場富君 次の点は、薬剤の使用については水産試験場のチェックなしで、製薬会社プロパーと業者とが直接これを行って、その指示を受けて実は使っておるというのが実態でございます。中には、使用実態の把握が困難であるといって、その実情を訴えておる水産試験場が実はたくさんございます。水産関係の書籍にも水産用医薬品の宣伝が載ってPRされております。こういうような状況でございますが、この点については、水産庁はどのように指導なさっておりますか。
  93. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 一部製薬関係の方々が現地で漁業者に直接しておられるという話は聞いておりますが、私どもといたしましては、やはり試験場を中心に、先ほども答弁いたしました魚病の研修を終えました魚病についての十分な知識を持った者に、それぞれ指導をさせるようにさらに徹底いたしたいと考えております。
  94. 馬場富

    馬場富君 次は、多量に投薬されているのに魚の安全性を確保するための残留検査の実施は皆無の状況でございます、これが明確でございます。魚の薬害がどうなっているのかが見当もつかないようなことで、これが指導、監督がなされておるというようなことは全然見当違いのことです。この点しっかり御答弁をお願いします。
  95. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 私どもも、養殖魚類の中に残留薬品があるということは一部聞いております。私どもといたしましては、現在、各都道府県と協議中でございますが、残留薬品につきましてのチェックをいたすようにさらに検討してまいりたいと考えております。
  96. 馬場富

    馬場富君 水産庁の指導徹底が行われないために、実は、現場の養殖業者等については組合等でこういうような診断書等をつくって、独自で結局この薬品の使用等についてはやっておる、こういうような状況でございまして、もうこれは指導も何もあったもんじゃございませんが、どうでしょうか。
  97. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 私どもは魚病に対します指針その他をつくりまして、各水産試験場を通じて関係漁業者に配付しておりまして、それがいまお示しのものではないかと思っておりますが、やはり今後とも試験場を通じまして、あるいは普及員の制度を使いまして末端まで指導が徹底するように努力したいと考えております。
  98. 馬場富

    馬場富君 次は、多量の使用とその技術が非常に問題なために、薬害が魚を通して人体に入るおそれが多分にあるという危険性をほとんどの水産場が警告しております。この点について水産庁はつかんでみえますか。
  99. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 私どもも一部の養殖物の中に残留の薬品があるということは聞いておりまして、これにつきまして先ほども申し上げましたとおり、現在、都道府県と一緒になりまして、出荷前に残留薬品のチェックをいたすように検討をいたしております。
  100. 馬場富

    馬場富君 以上の実態調査によりましてもおわかりのように、魚は私ども人間に対して欠かすことのできない一つは食料品でございます。そのために魚病に対する投薬のいかんによっては人間の命にもかかわるという重大な問題がこの中に含まれております。そのためにこの問題については早期に対策考えなければならない、このように考えますが、この問題に対しまして関係大臣のひとつ御答弁を願いたいと思います。
  101. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 養殖事業が今日非常に大事であり、また薬も大事なものであろうとは思いますが、これが人体に影響を与えることがあっては大変でございますから、そういったことのないように最善の策を講じたいと存じます。
  102. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 人間も動物も魚もどうも薬づけになっておるというようなことを言われるのははなはだ今日の風潮として遺憾だと思っておりまして、私どもは、食品の中に、特に添加物その他飼料作物についてはそういう抗生物質が残留しないように、消費になるときにチェックをいたしまして、水産物についてもそれぞれ市場においてやっているわけでございますが、なお一層厳重なチェックをするように努力をいたしたいと思います。
  103. 馬場富

    馬場富君 特に水産庁におきましては、このいわゆる法律によって指示されておる薬品を使うことについて法的に明確な根拠がなしにこの指導体制が行われておるところに私は大問題があると思います。そういう点で、今後、そういう法的な問題とあわせまして、この指導体制の強化にどのように一つは取り組んでいかれるか、水産庁長官の御答弁をお願いいたします。
  104. 森整治

    政府委員(森整治君) いままでの御質疑を通じまして、その重要性はいろいろな観点からも重要だと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな条件の整備が必要だと思います。そういう人の問題、器具の問題、いろいろそういう問題の整備を至急に図りまして、できる限り早い機会にきちんとした制度を確立するということが緊急の要請ではなかろうかというふうに判断しまして、その線に沿って十分今後検討してまいりたいと思います。
  105. 馬場富

    馬場富君 最後に、農林大臣に対して、このようにいま二百海里の問題を通しまして養殖漁業の重要性もあるわけでございます。そういう点でこういう方面の助成とあわせまして指導方を強く農林大臣に要請いたしまして、この点の質問を終わりたいと思います。農林大臣決意をお願いいたします。
  106. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) きわめて重要な問題でございますので、十分検討さしていただきます。
  107. 馬場富

    馬場富君 次に、地方財政の危機の問題についてお尋ねいたします。  地方財政は、いま日本の不況とあわせまして、その危機は限界に達してきておるというのが実情でございます。その原因をいかに大臣はお考えか、御説明願いたいと思います。
  108. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) ここ数年財源不足が続きまして、ことに五十三年度では三兆円を超えますような財源不足がございます。そこで、この原因には私は二つあろうと思うのでございまして、一つは、長期にわたる御承知の経済不況でございますし、また経済の基調が大きく変わってきておりますことが一つの原因でございますし、いま一つは、やはり地方側にあろうかと思うのでございます。高度成長時代に地域住民の無限の需要に対応いたしまして機構も拡大いたしておりますし、また人もふえており、仕事もまたどんどんふえてきておる。これが安定成長段階に向かっての手直しがまだ十分できておらぬ。かような両面から今日の財政に大量の財源不足が生じてきたと、かように判断しておるところであります。
  109. 馬場富

    馬場富君 次に、国税と地方税の配分について質問いたします。  税金の収入の上で、国税と地方税の割合を四十七年より五十一年までの各年ごとのパーセントをお示し願いたいと思います。
  110. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) お答えいたします。  昭和四十七年度におきましては、国税六八%、地方税三二%。四十八年度におきましては国税六八%、地方税三二%、四十九年度は国税六六%、地方税三四%、五十年度は国税六四%、地方税三六%、五十一年度は国税六四%、地方税三六%、五カ年間を平均いたしますと、国税六六%、地方税三四%ということに相なっております。
  111. 馬場富

    馬場富君 この集まった税金、国税及び地方税を実質国と地方団体とがどのような割合で使っておるか、同じく四十七年から各年ごとの配分をお示し願いたいと思います。
  112. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 御指摘の国税、地方税の租税収入の実質的配分と申しますのは、国税の方から地方交付税、地方譲与税及び国庫支出金を控除いたしまして、地方から納めます直轄事業負担金をこれに加算いたします。逆に地方税につきましては、交付税、譲与税及び国庫支出金を加算し、直轄事業負担金を控除したものでございますが、その割合は、国の方が四十七年度で三〇%、地方七〇%、四十八年度国三四%、地方六六%、四十九年度国二七%、地方七三%、五十年度国二三%、地方七七%、五十一年度国二四%、地方七六%、平均いたしまして、国二七%、地方七三%という数字に相なっております。
  113. 馬場富

    馬場富君 いま示していただきました二つのデータが税金の行方をあらわしておるわけでございますが、収入の上からいきますと国が二で地方税が一ということでございます。実際税金を使用したという面からいきますれば、国が一で地方が二ということがはっきりしておるわけでございます。その点で、これがいわゆる地方の負担の大きい一つの原因であるわけでございますが、この地方財政の危機の中で、この割合、この二つの問題に対する配分についての考え方をひとつ説明していただきたいと思います。
  114. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) ただいま申し上げました数字の意味するところは二つあろうかと思います。  一つは、国及び地方を通じます行政の内容を経費の最終支出段階で見ますると、地方は七割を超える大幅な責任を負っておる。反面、税源配分という観点から見ますと二対一という割合で、国税収入の二分の一程度である。そういう意味合いから、まず地方税源に対してさらに手厚く財源付与をしていくということが責任ある地方行財政運営を期待する上で必要であろうということが第一でございます。第二は、税源には地域的不均衡が現在の社会経済情勢ではございますから、各地方団体が必要な地域のニーズにこたえていきますためには調整財源であります地方交付税というものによりまして財源を補償していかなければならない。したがって、地方交付税の充実確保についてもあわせて努力をしていかなければならない、この二点を意味しておると、かように考えておる次第でございます。
  115. 馬場富

    馬場富君 いまの答弁とあわせまして、この問題につきまして、国より地方への税の配分を高める、税体系を見直すという点についての考え大臣より伺いたいと思います。
  116. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) ただいま政府委員答弁いたしましたように、地方の税源は少のうございますけれども、仕事はその多くを地方がやっておると、かような状況でございます。  そこで、将来の大きな方向といたしましては、できるだけ地方に税源を配分しなければならぬ問題が一つでございますけれども、ただ税源だけの問題ではございませんで、その場合は、やはり事業あるいは事務の見直し、かような事務的な面とあわせて検討してまいらなければならぬと、かように考えておるところであります。
  117. 馬場富

    馬場富君 次に、地方財政の赤字と交付税について質問いたします。  最初に、地方財政は昭和五十年度より連続赤字に苦しんでおるというのが実情でございますが、その当初予算の不足額を五十年度より年度別にお示し願いたいと思います。
  118. 山本悟

    政府委員山本悟君) 昭和五十年度におきましては、当初ベースにおきましては財源不足は計上されなかったわけでございますが、年度途中から税収の不足ということからいたしまして、補正予算段階におきまして精算されました財源不足額は二兆一千八百三十一億八千万円。五十一年度以降は当初ベースからでございまして、五十一年度は二兆六千二百億円、五十二年度は二兆七百億円、五十三年度が三兆五百億円でございます。
  119. 馬場富

    馬場富君 この中で、五十三年度の財源不足三兆五百億円の処置について説明をしていただきたいと思います。
  120. 山本悟

    政府委員山本悟君) 五十三年度に見込まれました財源不足額三兆五百億円につきましては、一兆七千億円を地方交付税の増額、一兆三千五百億円を建設地方債の増発によりまして補てんをすることにいたしたところでございます。なお、この一兆七千億円の地方交付税の増額のうち一千五百億円は臨時地方特例交付金といたしまして国庫から入り、一兆五千五百億円は交付税特別会計によりまして借り入れをいたしたところでございます。
  121. 馬場富

    馬場富君 ただいまの中で、交付税特別会計より借り入れの一兆五千五百億円の法定化については昨日提案されましたが、この点についてはどのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
  122. 山本悟

    政府委員山本悟君) 今回御提出申し上げております地方交付税法等の一部改正法律案におきまして、交付税特別会計によりまして借り入れをいたしましたものにつきましては、実質その二分の一を将来償還財源といたしまして国庫が臨特として補てんをする、こういうような方向で法律改正をお願いしているところでございます。
  123. 馬場富

    馬場富君 次に、地方交付税法第六条の三の第二項について説明していただきたいと思います。
  124. 山本悟

    政府委員山本悟君) 交付税法の第六条の三第二項におきましては、地方財源不足が著しく、かつ、長期に引き続いて続くような場合には地方行財政制度の改正を行うなり、あるいは地方交付税の率の変更を行って対応するように規定をいたしたものでございます。
  125. 馬場富

    馬場富君 いま説明されました法の意味からいきますと、五十年度以降連続赤字財政については、税率の引き上げか、もしくは地方行財政の改正をするのが妥当であると考えるわけでございます。それを国が二分の一を負担することを法定化することは交付税制度の根幹を脅かすものであると私は思います。そういう点でははなはだ違法的な処置であると考えますが、いかがでしょうか。
  126. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 御承知のような経済財政のもとに置かれている国であり、また地方でございます。そこで、いま説明をいたしましたように、地方交付税法第六条の三の二は、財源不足が生じました場合に二つの場合の選択を規定いたしておるのでありまして、その一つはもとより交付税率の引き上げでございますけれども、いま一つは行財政の制度改正でございます。そこで、交付税の引き上げはきわめて困難な客観情勢にございますので、恒久的な措置ではございませんけれども、当分の間の措置といたしまして、いま説明をいたしましたような国からの借り入れが一兆五千五百億円、そしてその半分を国が負担をする、かようなルール化を行った次第であります。
  127. 馬場富

    馬場富君 いまの答弁理解しますと、地方財政が好転するか、または制度の改正を行うまで、その条件を満たすための方法であると、このように理解していいでしょうか。
  128. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) さようでございます。
  129. 馬場富

    馬場富君 このような偏見的な改革を行うよりは交付税率を引き上げることによってこれを行う方が最も妥当的であると私どもは思うわけでございます。私どもは、元来主張してまいりました四〇%アップを実現すれば、五十三年度でこれを解釈いたしますと、三二%と四〇%の差額は一兆三千四百二十億円の増になるわけでございますが、こういう一つの物の考え方はいかがでしょうか。
  130. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 地方あっての国であり、国あっての地方であろうと思うのでございます。そこで国の財政状況は御承知のとおりでございまして、国税三税を大量に地方に回し得るような状況ではございませんことが一つと、いま一つは、交付税率は基本的な改正でございますから、きわめて流動的な現在といたしましてはなかなか困難でございました。そこで第二の道を選ばざるを得なかったのでございます。さように御了承いただきたいと思います。
  131. 馬場富

    馬場富君 次に、地方財政を脅かしておるものに国庫補助金並びに負担金の超過負担の問題がございます。いま地方ではこの国庫補助の対象の中でいろんな問題が起こっておりますけれども、いま全国的に多くある例は非常に高等学校の急増が目立ってきております。そのために、全員を入学させるために公立高校の増設が地方では急務になってきておりますが、その予算措置につきまして、たとえば県単位に補助がなされておりますけれども、県立高校、公立高校一校に対します建物、土地、付属等の建設総額がどのくらいで、それに対する補助金はどのくらいかをここで一つ答弁願いたいと思います。
  132. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 高校一校当たりの建設費は、地域によりますとか学校規模によりまして相当差が見られますけれども、二十四学級規模の学校につきまして所定の単価を用いて試算をいたしますと、建物、土地、プールを含めまして約二十一億六千七百万程度が見込まれるわけでございます。
  133. 馬場富

    馬場富君 私がいま質問いたしましたのは、一校当たりの、いわゆる平均でもよろしゅうございますが、総建設費と、それに対して国はどのような補助をなさっておるかお聞きしたんです。
  134. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 一校当たりの建設に要します費用はただいまお答えをいたしたとおりでございますが、これに対しまして補助につきましては、高校生の急増都道府県につきましては一定の要件のもとに、補助率を建物について三分の一、プールについては補助率を三分の一補助することにいたしております。土地の取得費につきましては補助制度はございません。
  135. 馬場富

    馬場富君 私が実は調べましたある県での平均でございますが、建設総額が二十五億という一校当たり莫大な金がかかり、これに対しまして国庫補助金は二億五千万円というような状況でございまして、いま大臣が補助は三分の一やっておるとおっしゃいますが、現実は十分の一しか補助をしてないというのが現状で、あとの九〇%は地方自治体が負担をしておるというのが事実でございますが、この点につきまして今後どのように改革されるか、お尋ねいたします。
  136. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 馬場君、時間が来ております。
  137. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 高校の新増設のための経費につきましては、従来から地方債、交付税で財源措置をされてきたところでございますが、五十一年度から高校生の大変な急増地域が出てまいりまして、特に緊急を要する都道府県につきまして、一定の要件のもとに五カ年間の緊急対策として新たな補助制度を設けたところでございます。五十三年度予算につきましても、五十二年度比一・八倍の増額をいたしたところでございますが、ただいま申し上げましたような、五十一年度に新設を見ました補助制度のことでございますので、補助率の改善をいま直ちに行いますことは困難でございます。  また学校用地につきましては、これは建物と異なりまして非償却資産であるという性格から、その取得費は一般的には地方債で措置をされてまいったところでございまして、義務教育施設に対します用地についての国の補助、こういうこととのバランスを考えましても、高校用地についていまこれが国庫補助を行うということに直ちに取り組みますことは大変困難なことでございます。
  138. 馬場富

    馬場富君 最後に、いま一例を申しましたが、そのような実情が現場では起こっております。そのために大変地方自治体の財政が窮迫しておりますが、高度経済成長から安定成長への転換の中で、地方自治の確立並びに財政の確立がその大きい柱にならなければ私は安定成長というのはできないと思います。その点大臣はいかにお考えかを御答弁願いたいと思います。
  139. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) ただいま御意見がございましたように、地方団体の自主性を確立してまいりますためには、やはりできるだけの財源を地方が持たなければならぬのでございまして、そういう体制と相まちまして自主の確立を図ってまいりたいと、かように考えているところであります。
  140. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で馬場君の一般質疑は終了をいたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  141. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 立木洋君の一般質疑を行います。立木君。
  142. 立木洋

    立木洋君 日中平和友好条約交渉再開が近いという状況にあるわけですが、こういう時期に当たってとるべき政府の態度というのはきわめて重要だと思うんです。  そこで、条約についての基本的な政府としての考え方、いまの状況についてはまたどのように御判断になっているのか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  143. 園田直

    国務大臣園田直君) 日中友好条約交渉をするに当たっての方針は大事な問題でありまして、日中の友好関係を強化し、日中共同声明を基礎にして未来にわたる日本と中国の関係を固定、強化して、アジアの平和、ひいては世界の平和と繁栄に寄与するということでありまして、その交渉の方針は、本国会劈頭、総理の施政方針演説の外交の部及び外務大臣がいたしました外交方針演説、これが基本方針でございます。
  144. 立木洋

    立木洋君 中川大臣、この点について大臣は慎重であるというふうな御見解のようでありますけれども、これはただ単に自民党内部で意見が違うという問題だけにとどまらないで、あなたは国務大臣として、日中の平和友好を願う国民に対して責任を負うという観点から、この条約についてはどのようにお考えになっているのか、その点を詳しくお話しいただきたいと思います。
  145. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私の直接の所掌ではありませんけれども、わが国の外交の基本方針は、いずれの国とも仲よくしていく、友好関係を保つということにございます。したがいまして、今回の条約に当たっても、その趣旨は十分貫いてもらいたいということが第一点でございます。  第二点は、真に友好関係を結ぶならば、その間にあります諸懸案をうやむやにすることなく、きちっとした姿で真の友好を結ぶべきである。そういった問題を灰色にしたまま、うやむやに政治決着を急ぐことはこれは国益のためによくないのではないか、これは外務大臣といえども大臣と変わらないところであって、その点を慎重にしていただきたいと、こう申したところでございます。
  146. 立木洋

    立木洋君 諸懸案をうやむやにしないという諸懸案とはどういうものですか。
  147. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 国会でも議論がありましたが、尖閣列島の問題もそうでありましょうし、中ソ同盟条約の問題もそうでありましょうし、竹島との関連においていまの尖閣列島の問題もそうでありましょう。そういう幾つかのことを指すものでございます。
  148. 立木洋

    立木洋君 いま述べられた中川大臣見解について、外務大臣はどのようにお考えになっておるのか。
  149. 園田直

    国務大臣園田直君) 立木さんが言われたとおりに、条約交渉再開がだんだん始まろうとしている段階でありまして、事きわめて重大であることは当然であります。したがいまして、中川農林大臣国務大臣として自分の職責から、あるいは一国民として、このような重大な問題を慎重に各方面から検討してやれとおっしゃる意見、特に日ソ漁業交渉という懸案を持っておる農林大臣としての発言は妥当であって、中川農林大臣の国を愛し、職務を全うせんとする熱情に敬意を表するものであります。
  150. 立木洋

    立木洋君 いま述べられた問題について、いままで繰り返し大臣が述べられておられた見解を変える必要は全くないというふうに理解していいですか。
  151. 園田直

    国務大臣園田直君) 方針が先ほど申し述べたとおりでありますから、その方針に従いつつ、各閣僚及び各党、国民の方の御理解と御協力を得ることは、私の当然の責務であります。
  152. 立木洋

    立木洋君 台湾はこれは中国の領土であり、中国の一つの省であるということはこれは明確です。中国としては、台湾が現在アメリカによって侵略されておるというふうに明確な立場をとっております。このアメリカの台湾に対する事態について、これは覇権行為であるというふうに大臣はお考えになっておられるかどうか。覇権行為でないと言うならば、この事態をどのように認識されておるのか、御答弁いただきたい。
  153. 園田直

    国務大臣園田直君) 台湾については、日中共同声明は、中国が主張し、中国の主張を日本理解し尊重するということが共同声明でとっておる立場でございます。なお、米台関係は米国と台湾との問題でありまして、わが国がとかく言うべき筋合いではございません。覇権については、これは共同声明の立場をわが国は貫くと、こういうことで結構であると考えております。
  154. 立木洋

    立木洋君 覇権行為であるのかないのかという点について、大臣御自身の御認識をもう一度お聞きいたします。
  155. 園田直

    国務大臣園田直君) わが国の立場としては、覇権についての立場は共同声明に申し述べられてあるとおりでございます。米台関係については、米国と台湾の問題でございますから、私がとかく言うべき筋合いのものではございません。
  156. 立木洋

    立木洋君 安保条約の第六条の極東の範囲に台湾が入っておるということは、もう繰り返し政府も述べられているわけですけれども、この台湾の問題に関して、日本と中国との間で何らかの話し合いが行われたのかどうか、その点についてはいかがですか。
  157. 園田直

    国務大臣園田直君) 安保体制と、それから日中共同声明についての関係は、元の大平外務大臣が述べられておるのが政府の統一見解でありまして、安保体制と日中友好条約とは関係はないものであると、このように考えております。
  158. 立木洋

    立木洋君 今後の話し合いが、交渉が再開された場合に、台湾問題について話し合う予定があるのかないのか。
  159. 園田直

    国務大臣園田直君) 私の方から話を出すつもりはございませんし、中国の方からも多分話はないであろうと推測をいたします。
  160. 立木洋

    立木洋君 話し合いが出される可能性がないだろうと言われる判断は。
  161. 園田直

    国務大臣園田直君) 台湾については、米国と中国がいろいろ折衝をしたが意見がまとまらぬという段階でありまして、日中友好条約を締結するという両国間の熱情でそういう問題が出てくるはずはなかろうと推測をするわけであります。
  162. 立木洋

    立木洋君 日中両国が、平和五原則に基づいて友好関係を促進しなければならないということは、私たちも主張してまいりましたし、なおまたわが党が繰り返し、内部問題に対する干渉あるいは介入等々は行うべきではないということも主張してきたところ、大臣も御承知だろうと思うんです。いわゆる問題になっておる覇権という点で言うならば、一般的に言えば、これはそういう問題も含めた覇権というのに対してはわれわれも当然反対であります。しかし、この覇権条項に関して言えば、これを第三国敵視に向けたり、あるいはわが国の対外路線を特定の立場に拘束するような形式、内容で定式化されるという点については、われわれも賛成できない。これは日本の自主性という点から見てもきわめて重要な点だというふうに思いますが、この点について大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  163. 園田直

    国務大臣園田直君) この点については、総理また私がしばしば申し述べておるとおりでありまして、きわめて明確、御意見のとおりであります。
  164. 立木洋

    立木洋君 次に、円高の問題ですが、円高がついに二百三十円を割って二百二十八円という状態にまでなった。これは昨年一月以来、三五%対ドルレートの上昇という、きわめて不況から脱出することもできない状態で、どろ沼的な状態になっておると思うんですが、いままで政府が行ってきた対策で何らかの効果があったのかどうなのか、あったとしたらどういう点があったのか、なかったとしたらなぜなかったのか、その点について経企庁長官通産大臣にお伺いします。
  165. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最初の円高は昨年の九月-十月ごろでございましたが、そのときに、政府はすでに九月に内需拡大政策を決定いたしておりました。また今回は、ただいま御審議を願っております予算案におきまして、財政主導の姿勢をとっておるわけであります。このような一年有余にわたります財政主導の累積的な効果、五十三年度分はこれからでございますけれども、これは相当私は大きなものであると考えますので、累次の円高ではございますけれども、それによってわが国経済を七%程度の成長軌道に乗せ得るものというふうに考えております。そして、私どもが希望しておりますのは、今年の五十三年度の下半期におきまして、これが民間の経済活動、消費活動につながっていくと、五十四年においてはこれほど政府が財政で臨時異例のことをいたしませんでも、ある程度のことをいたしておけば、わが国の経済が拡大均衡へ徐々に戻っていくであろうと、こういう一連の施策というものは、確かに、ことに最近の円高によりましていろいろな障害を受けることは確かでございますけれども政府の財政主導の姿勢というものは非常に強いものでございますから、私は七%程度の成長というものはなお可能である、この道は続けていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  166. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 政府のとろうとしております対策は、輸出の面では行政指導によりまして、大体五十三年度も数量ベースでほぼ横並びという方向に持っていきたいと考えておりますし、それから、輸入の面では緊急輸入拡大ということでいま作業をしておるところでございます。また、内需拡大ということによりまして長期的に貿易のバランスを図っていきたいと考えております。
  167. 立木洋

    立木洋君 いま述べられたけれども、それらの諸対策というのは何ら効果を生じていないと。問題はやっぱり、わが党がこの点について指摘しましたけれども、いまの円高の問題というのは、基本的に言うならば二つの側面があり、一つは国内的な面と、一つは国際的な面がある。これは繰り返し述べてありますけれども、いわゆる国内的には、低賃金、労働強化や、あるいは大変な前近代的な下請制度のあり方、それでこんなに円高状態になってもなおかつ輸出を推し進められ得る状態にあるということ、こういう構造的な問題が一つはあると思うんです。もう一点は、やはり国際的にはアメリカのいわゆるドルたれ流し、これが節度を全く失ってきている状態、巨大な金融力を行使して日本にいわゆる円高の推進を迫るという事態が依然として進み、それについて何ら決め手になるような対策が講じられていない。ですから、根本的にはいまの政策を抜本的に変える、根本的にメスを入れる、経済の仕組みを民主的に変革するということこそが基本的な問題点ではないかと思いますけれども、その点について、改めて両大臣の御見解を願います。
  168. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 低賃金という言葉を久しぶりに伺ったわけでございますけれども、私はわが国の賃金水準が、それはアメリカに比べては低うございますけれども、その他の先進国に比べていまや低いというふうには考えておりません。累次の円高に対して、確かにわが国の経済はそれなりの対処をしつつございます。このことには両面がございまして、確かに、対処をするものでありますから、円がなお高くなっていくというような面がございまして、このような適応力を私どもは片っ方で評価いたしますけれども、他方で、しかし、そのゆえになお円が高くなっていくという面がございまして、ここはなかなか何とも私どもつらいところでございますが、願わくは、もうそういう対応力というのにもおのずから限度がございますので、相場というものはやはり安定すべきである、何かそういうことを考えるべきであると思っておるわけでございます。  それから、アメリカに対してのお話でございましたが、世界基軸通貨国としての米国のその基軸通貨の管理の仕方というのは、確かに私は基軸通貨国らしい十分な円熟した考え方、対応をとっておるというふうには考えておりません。それは恐らくアメリカにしてみますと、みずから基軸通貨国であることを買って出た覚えはないという気持ちがあるであろうと思いますが、しかし、現実にはそうなりつつございますから、やはり一国の通貨、ドルの対内価値ということばかりでなく、対外的な、好むと好まざるとにかかわらず、基軸通貨国になったアメリカとしてのやはりそれなりの立場、責任というものを考えてもらいたいというふうに思っております。
  169. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今回の円高によりまして、どの程度の産業界が影響を受けておるかということでありますが、一部の産業は非常に競争力が強うございまして、数次にわたる値上げで対応をいたしております。しかしながら、現在の水準では、精密機械のごく一部を除きましてほとんど競争力を失っておるというのが実情だと思います。しかしながら、大部分の企業は非常に苦しい状況にありますし、中小企業も非常に苦しい状況にあることは事実でございます。ただ、昨年の秋以降約半年の間に、それぞれの企業で緊急のそれぞれ対応策を立てておりまして、若干は競争力は強化されたと考えておりますが、しかし、いずれにいたしましても非常に重大な時期でございますので、先ほど申し上げました三つの方法で対応をしていきたいと考えております。
  170. 立木洋

    立木洋君 幾つかの点で述べておかなければならないのは、一つは先進国の賃金水準と日本との比較ですね。それについては、いま大臣が言われたのは、大臣ともあるまじきお考えじゃないか。いわゆるこれは名目賃金の場合だけではなくして、やはり社会資本の投下による環境がどうなっているのか、社会福祉がどうなっているのかという問題から考えてみれば、日本というのはやはり非常におくれているということは、これははっきりしていると思うのです。そういう問題もあわして考えに置いていただきたい。特に今度の牛場・ストラウス両氏の共同声明の中でも、いわゆる黒字減らしの効果ががあらわれるまでは円高の進行を容認するというふうなことが事実上書かれている。いろいろアメリカに対しても述べたとは言われるけれども、事実上それは何ら明確になっておらないし、その後アメリカもそれについて効果的な態度を全然とっていないという事態が依然として放置されているという問題もありますし、予算の問題についてもいろいろ言われましたけれども、昨年五十二年度、一次、二次の補正をやりましたけれども、補正が達成しようとしたねらいそれ自体が、事実上円高の状態によって崩されてしまっておる。今度の五十三年度の場合でも、私はそうならざるを得ないという事態に、いまの状態のままでで推移するならばやはりあり得るだろうと思うのです。だから、根本的にいまやはりメスを入れなければならない事態に来ておる。きのうの新聞を見ますと、総理大臣自身が、この円高の問題、全く弱ったものだと、まあ様子をながめる状態ですというふうなことが新聞に報道されているようでは、これはまさに内閣の責任として、一体どうあるべきかということが問われると思うのです。その点について、今後どういうふうになさるのか、本当にこの問題が解決される見通しを、政府として責任を持ってどうされるのか、最後にその点お二人の大臣からお聞かせをいただきたい。
  171. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は、けさほどから各大臣が答えておられますように、一つはやはり内需拡大ということであり、一つ経常収支黒字幅をいろいろな方面から抑えるということでございます。これが基本であることは間違いございませんが、同時に、しかし内需拡大黒字幅の縮小も、実は円高のおそれが将来に向かって残っておりますと、そのような不安定要因によって両方の努力が妨げられるわけでございますから、そういう不安定要因を何とかやはり、これはわが国ばかりでできることではございませんが、アメリカ等々の国とも考えて、何か、このフロートシステムというものは当面やむを得ないと思っておるわけでございますけれども、投機筋に乗せられないような上手なフロートのやり方はないかということをやはり考えてまいりませんと、内需拡大努力あるいは経常収支幅縮小の努力が、けさほど申し述べましたので理由はもうくどく申し上げませんが、円高という不安要因によって相当損なわれるということでございますから、そういう不安要因を、協力して何とか除去する方法はないか、これにも努めなければならないと思っておるわけでございます。
  172. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 当面の事態に対する対応策は、先ほども申し上げましたもう三つに尽きていると思うのです。ただ、これを機敏にかつ強力に進めていくということが必要だと考えております。
  173. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後零時五十分から委員会を再開し、立木君の質疑を続けます。  これにて休憩をいたします。    午前十一時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十四分開会
  174. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会再開いたします。  昭和五十三年度総予算三案を一括して議題とし、立木君の一般質疑を続けます。立木君。
  175. 立木洋

    立木洋君 農林大臣、米づくりは日本の農業にとって非常に大切なものであるということはもう言うまでもないわけですけれども、今度の水田利用再編対策、これは国会でも大分議論されましたし、また現に配分が進行している状況の中で、この時点で改めてこの対策についての基本的な、現時点での大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  176. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、農業は食糧の自給率の向上ということがきわめて大事なことでございます。ところが昭和四十四、五年ごろから米が過剰になってきた。あの当時も七百万トンの在庫を抱え、単年二百三十万トンという大きな過剰傾向であったわけです。そこで五年間の生産調整をやった。当時は緊急避難ということでございまして、休耕でも何でも米をやめていただければと、臨時の措置としてやったわけですが、その後さらに引き続いて生産過剰の傾向でございましたので、さらに二年ほど総合食糧政策というんですか、自給率の低いものにかわっていただくというような政策を進めてまいりましたが、いよいよまた約五百万トン近い在庫ということになりますし、単年で百七十万トン余ると、これは生産意欲が強くて、新規開田を中心にしてかなり増産意欲があると。一方では消費が減退をするという、非常に厄介な二重の面を持っておりますので、さてどうしたものかと。今後は従来とは違って恒久的な、腰を据えた水田利用再編成ということで、自給率の低い麦、飼料作物、大豆、甘味資源作物等といったようなものに恒久的にかわっていただくと、こういう仕組みで昨年来検討を重ね、昨年十一月、それぞれの生産数量を各県に内示をいたしまして、いま御協力をいただいておると。この際は、そのかわり奨励金も従来よりは各種多様な仕組みで、つくっていただきたい作物には割り増しをするとか、集団でやった場合はさらに上乗せするというようなこと、それからそういったことをやるために必要な農業基盤あるいは転作促進特別事業といったようなものもあわせて行って、じっくりした水田再編対策を講じて、長期的なわが国の食糧自給率、総合的な自給率を高めたい、こういうことで、昭和五十三年度よりお願いをする、こういうことでございます。
  177. 立木洋

    立木洋君 現在そういうことで転作が進行しているわけですけれども、この進行の状況ですね、それから、さらにその中でどういう問題点が出てきているのか、その点大臣の方としてはどのように把握なさっていらっしゃいますか。
  178. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 今回は国の考え方に都道府県、団体、農家の皆さんの御理解と協力ということでお願いしましたが、県段階、市町村段階、農家段階とまずまず順調に作業が進められており、まず所期の目的を達するだろう。  そこで現在、末端においてどういう問題があるかというと、一つは、水田からほかの作物に移るにしても、土地条件が悪いところ、特に排水等の問題が一番問題になっておると、こういうことや、あるいは供出をされません、自家消費する方々の生産調整はどうするのかとかというようないろんな末端での問題もございますけれども、それぞれまずまず御理解をいただいて、全体としてはうまく行っているのではないかなあと、こう思っております。
  179. 立木洋

    立木洋君 まずまず順調だというふうなお話でありますけれども、私も幾つかの県に入って調査してまいりましたが、なかなかその順調だと言われるような事態ではないんだと思うんです。宮城県では一〇〇%以上だということが三月の十七日ですか、発表されましたけれども、その実態についてはどのように把握なさっておりますか。
  180. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私も宮城児に参りまして、知事さんが非常に御熱心でございまして、団体も御協力いただいて、強制的に割るというようなことでは――強制的といいますか、まあある程度の面積を示して自主的にこうやってやろうというような盛り上がりを得まして、そして県、団体としては予定よりは少々ではありますけれども御協力いただくというふうに決まったと、非常に喜んでおるところでございます。
  181. 立木洋

    立木洋君 私、その発表された三月十七日にあそこの高橋農政部長にお会いしまして、実際に進んでいると言うけれども、見込みが三割ぐらいもある。これは市町村が県に報告するのが三割ぐらいの見込みで報告されており、さらに農家から市町村にやる場合はさらに目標の七割ぐらいで、さらにはそれ以上の見込みが出されておるというふうに言われてるんですが、その点はどうなんですか。
  182. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先ほど大臣から御答弁ありましたように、昨年末にガイドポスト的に市町村に転作目標を配分いたしまして、二月末現在で集約をいたしておるわけでございますが、その数字を見ますと、国から宮城県へ示した目標が七千百十ヘクタールでございますが、宮城県から市町村へ配分した目標は七千三百二ヘクタール、これはいろいろ懇談会を通じて市町村で集約した数字を県へ挙げてきた数字であるというふうにわれわれは県から報告を受けておるわけでございます。
  183. 立木洋

    立木洋君 たとえば、最大の米どころと言われる古川市ですね、ここでも割り当てが三百五十と、目標が。しかし、実際に転作のあれとしては二百十四ヘクタールになってるんですよ。それで、その中で一つの問題としてお聞きしたいんですけれども、たとえば古川市の場合には二百十四ヘクタールの転作見込みという中で、青刈りが五十九ヘクタールもあるというふうに資料をいただいているわけですが、青刈りがこれほど、三割近くも占めておるというふうな実態について、どのようにお考えになっておられましょうか。
  184. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 一般に飼料作物につきましては、水の少ない、乾田地帯が非常に適当でございますが、湿田地帯あるいは隣接の水田から水が入ってくるというような地帯では、やはり飼料作物として青刈り稲というものが非常に有力なものでございます。そういう意味で、青刈り稲につきましても転作作物の対象といたしておるわけでございますし、まあ湿田地帯でございますので、大型機械がなかなか入らないという点はございます。したがいまして、小型の収穫機等によります収穫体系を確立する、あるいは高品種の、普通の飼料作物と同じ程度の反収の上がる稲の品種の導入とか、そういうようなことに今後とも努めてまいりたいと思っておりますし、そういう意味で、普通の飼料作物と同じような補助を青刈り稲についても考えておるわけでございます。
  185. 立木洋

    立木洋君 いま青刈りについての説明があったんですけれども、つまり青刈りが非常に多いということについての、米作農民にとっては青刈りというのは身を切られるような思いだと思うんですけれども、それが非常に多いということについての大臣の評価をお聞きしたいんです。
  186. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 大体、稲をつくらないことがもったいない話でございますし、青くなって、これから実がつきそうなところを刈り取るということですから、これもまさにもったいないとは思いますけれども、わが国では飼料作物が非常に自給率が悪い、やはり自給率を高めるためには、青刈り段階で飼料作物として価値のあるものは、これはまたそれなりの評価がされ、そしてわが国の畜産振興の上に長期的に好ましいことではないかと、こう評価いたすわけでございます。
  187. 立木洋

    立木洋君 それから、いわゆる共補償だとか奨励金の上積みの問題がありましたけれども、あそこの宮城の豊里町で行って聞いてまいりましたけれども、あそこでは反当たり約一万円、町が上乗せを決めておるというふうなこともありましたし、それから、宮城県全体でも三割から四割ぐらい、各市町村で転作農家に対する農家の共補償があるというふうな実態も聞いてきたわけですが、こういう奨励金の上積みや共補償という実態について、大臣がどのように把握され、それについてはどのように評価なさっておられるのか、その点について。
  188. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) まあ私どもがお示しいたしております奨励金は、まずまず妥当なところであると、米をつくったときとそう変わらない額のものであると、こうは見ておりますけれども、地域により、地帯によってそれぞれの事情がありますので、やはり共補償によって実効あらしめるということをやっていただくことは、この制度の補完としてこれはまあまあいいことではないのかなあと、そういうことがあって達成していただくこともありがたいことであると、こう見ております。
  189. 立木洋

    立木洋君 大臣はそのように言われますけれども、これは宮城県の資料ですけれども、まあ八俵稲作――水稲の収量がある場合ですね、これを大豆に転作すると、いわゆる奨励金や加算金全部加えても一万六千六百九十一円の減収になるという、これ、宮城県の、県が出しておる資料ですね。こういう実態をどのようにお考えになっておられるか、まあまあだと言われましたけれども
  190. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 県により、町村により、まあいろいろ事情は違いますが、だからといって、それでは県によって単価を変えるというようなことにしますと、これは示しのつかないところでございますから、まあ宮城県ではそういう計算ならば、その足りない分は県が共補償という仕組みでやっていただくことはありがたいことだと、こう思うわけでございます。
  191. 立木洋

    立木洋君 ちょっと角度を変えますけれども、転作が定着したというのはどういう姿になった場合のことでしょうか。
  192. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 土地条件あるいは耕作技術等がまあこれでやっていっていいわなあと、技術もよくなってきたし、結果もよくなったと、米よりはやっぱりこっちの方がいいかなあと、こういう気持ちになったときが転作が定着したと、こう見るべきだと思います。
  193. 立木洋

    立木洋君 大臣が言われたとおりだと思うんですけれども、つまり、奨励金がなくてもそれを喜んでやれるような状態に農家がなった場合だと思うんですね。そうするということは、農家自身の生活が安定しておると、その転作をやった作物をつくっていく状態の中での。しかし、現在この転作奨励金がこれほど出されておってもなおかつ減収になると。そして喜んでやるという人がほとんどいないということは、大臣自身前の農水の委員会でも述べられておりますけれども、こういうふうな事態をどういうふうにお考えですか。それは定着にほど遠いということじゃないかと思うんですが。
  194. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 安定いたしますのには、私は一年、二年でできないので、今度のやつは十カ年計画でこれを安定さしていこうというんであって、短期的に、ことしは技術的に大変だ、収入が大変だと、いろいろなことはありましょうけれども、やはり長期的に見て総合的な自給率を高めるためには、十年ほどかけて腰を据えてやっていただきたいと、ことし一年で足りなかった、よかったという評価をすべきものではないのではないかと、こう思うわけです。
  195. 立木洋

    立木洋君 だとするならば、いまの水田利用再編対策が現在進められておる状況の中で、農民の大多数の方々がやはり仕方なしにやらざるを得ないというところに重要な問題があるというふうに判断してよろしいですか、大臣自身の認識が。
  196. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私は、仕方なしにというのではなくて、やっぱり消費のあるところに生産があるという認識を、これは国も団体も農家の皆さんも考えていただかなきゃならぬことだと思うんです。やはり消費の動向に合った生産を続けるのは、これは生産をする者の務めであり、考え方でなければならぬと。そういう意味で、仕方なしという言い方なのか、こういうふうにやらなければこれは国民的な食糧生産を担う者としては、仕方ないというか、こうあるべきだと、こう生産協力をすべきであるということと、まあ仕方がないかなあということと、それぞれの判断はありましょうけれども、人によっては、仕方ないという人もあるでしょうが、こうあるべきだと、こういう人もおりますし、いずれにしても皆さんの理解と協力によって実効あらしめなけりゃならぬ仕事であると、こう思います。
  197. 立木洋

    立木洋君 まあいろいろ言われますけれども、ペナルティーの問題については前回大臣が撤回されたと、そういう言葉は使わないというふうな趣旨の説明がありましたが、実際に農家に行っていろいろお話を聞いてみましても、未達成の場合には翌年度事実上加算されると、さらには限度数量の削減というふうな事態が存在すると、だから、それが恐ろしいから結局仕方なしにやらざるを得ないという実態というのがあるのではないでしょうか。
  198. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) それは確かにあるかと思いますが、それじゃこの仕組みをやめたらどうなるか。やらなかった分をまじめにといいますか、協力してやってくれた人に翌年上乗せするということになればなお不公平である。だとすれば、公平にこの仕事をやるとすれば、最小限度このぐらいのものは御理解いただかなければこの仕組みは成り立たないと、こういうわけでございますので、罰則ではなくして実効あらしめるための最小限度の公正、公平措置、こういうふうに指導もし、通達も出して皆さんの御納得を願いつつあるという段階でございます。
  199. 立木洋

    立木洋君 そこのところが非常に重要な問題だと思うのですが、大臣が二月の十日の委員会で述べられておりますけれども、この生産調整は権力でやってくれとは絶対に言っていません、それからしゃにむにやろうなどということは一つも言っていません、あるいは本人がつくりたくない、いやだというものを無理やり権力でやるような考え方はさらさら持っておりませんということを言われている。しかし、実際にやらなければそれに対して新たな責務は来年加算される。やらなければ限度数量が削られて、結局買ってあげませんよという事態になる。そうすると、結局それは経済的な制裁措置ではないだろうか。つまり言うことを聞かないとだめだという報復的な措置がこのペナルティーということになるのではないか。加算措置ということになるのではないか。この点が農民が非常に強く言われている点ですけれども、その点どうなんです。
  200. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) これはもう何回も申し上げますが、やらないからといって罰則をかけてどうこうというものではないのです。やらなかったらどうなるかというと、自分で販売をする、その場合でも政府は自主流通ルートに乗るように、そして消費者に行くように御協力を申し上げますと、こう言っておるのでありますから、そのできた米はどこへも持っていけなくなったということであればまさに罰則かもしれませんが、それなりの評価をして、できないものは仕方ないということでやっておるわけでございまして、これはまさに権力ではない、やはり全体が仕事をなし上げるためにはみんなが責任を持つという仕組みでやらなければならないことでございまして、決して制裁を加えるという性格のものではない、こういう判断のもとにやっておるわけであります。
  201. 立木洋

    立木洋君 大臣はそういうふうに大変きれいごとのようにおっしゃいますけれども、実際、農家の人々にとってみれば、みずからの生活権が脅かされる、農業を今後どうしていくかという問題については大変な事態になっているわけですね。私が宮城の古川市の大衡市長さんにお会いしたときに、市長さんの話では、転作を勧めることは農家に損を勧めるようなものである、実際に一万六千円余りも損するわけですから大変私たちはつらいんだということを私に話してくださいました。また、こういうふうな農家の方々が実際に配分という問題を考え、その責任ある人々自体の場合、たとえば今回三月の四日の場合、香川県で農事実行委員長ですかの方が自殺をなさっております。それからさらに、兵庫県の場合でも同じように転作配分の責任者であった農会長の方が自殺をなさっておるということが新聞でも報道されておりますし、大変な事態に追い詰められている。ここにやはり配分の先ほど言われた重大な問題点、つまり、仕方なしにやらなければならない、農民自身がどうしてもやりたくないけれどもやらなければならないというところに大変な事態に追い込められている状態があるのじゃないかと思いますけれども、こういうふうな自殺者の方まで出るというふうな点について大臣はどのようにお考えですか。
  202. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私は物は考えようだと思っているんです。たとえば過剰生産で悩むミカン農家のことを思ったら、これだけ恵まれた政策はないと思うのですね。同じ農業でありながら、ミカンが取れ過ぎたために値段が半分になった、投げなければならなかった、こういう苦労、努力をしているところもありますし、中小企業等においても過剰設備のために倒産をする、過剰生産のためにですね。そして解雇をされる。路頭に迷うと、こういう人のあるのに比べて、まあ一万六千円損だという損もあるかもしれませんが、生産調整をやったところもかなりの奨励金がもらえた上に、生産されたものは価格保障できちっとめんどうを見る仕組みがあるとするならば、それはまあ物は上を見るに切りはないけれども、同じ農業をやっているミカン農家やあるいは野菜農家で投げなければならないという過剰生産の苦しみに比べるならば、これはこれは恵まれた政策だと高く高く評価して、自殺などは絶対しないでもらいたいというふうに思います。自殺した農家のことも気の毒ではありますし、そういうことは本当にまことに遺憾ではございますが、それ以外の理由もあったと。死因についてはいろいろ議論をされておるところでございますが、その点は本人のことでございますからつまびらかではありませんけれども、自殺するような苦しみではない。もしこれで自殺しなければならないとするならば、ミカン農家などは大変なことでございますから、ひとつそういった悪い方のことも考えながらやっていきたいし、われわれはそう指導していきたいと、こう思うわけでございます。
  203. 立木洋

    立木洋君 大臣、それは大変な発言だと思うのですよ。自殺者が出ても仕方がないみたいなようなニュアンスの発言だったら困るわけです。それは大臣自身が畑作のところにおいでになるから、水稲をつくっておられる農家の方々については、畑作の人だって大変苦労しているんだ、これくらいの苦労はあたりまえだと言わんばかりの発言をされると、現在の問題点というのは農政担当の責任者としていわゆる問題が疑われるのじゃないかと思うのですよ。本当にすべての農家の方々がどういう実態にあるのか。いま米がそういうふうな過剰になっておる、これは一体だれの責任でそうなったのかという問題まであるわけですから、だから、今後十年間を見通してどうあるべきかということを考えた場合に、そういうふうにならなくても進むような方向というのは当然考えていかなければならない点に農政責任者の立場があるのではないかと思うのですけれどもね。ある程度の苦しみは当然だというふうな立場では、それはだれだってできることであって、そうならないようにしていくところに責任者の責任者たるゆえんがあるのじゃないですか。
  204. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ―――――すりかえるから困るんで、私は自殺した人が仕方がないのだなんて絶対言っておりません。死んだ人には死んだ人の理由もありましょうけれども、自殺するような過酷な生産調整政府としてはいたしておりませんということを言っているわけで、ミカン農家や何かに比べたら、まずまずよくぞこれだけ――世界じゅう見てください。これだけ減反について国が力をかしているところはありません。その点だけははっきりいたしておきます。死んだ人が仕方ないなどと言ったことは全くありませんから、すりかえないようにお願いを申し上げておきます。
  205. 立木洋

    立木洋君 すりかえではないんですよ。つまり、それぐらいの苦しみがあっても自殺者が出るような事態にまで農政はやっているのではないと言われましたけれども、しかし、現実にそういう事態が起こっている。この現実をどう考えるか、責任者として。その点なんですよ。
  206. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) お亡くなりになった、あるいは自殺をされた原因の何がしかがあるとすれば、まことにお気の毒なことであり、それでなくても御家族や亡くなられた人には心から御冥福を祈る次第でございますが、このことが自殺に追いやるようなひどい農政だと言われたら、私は農政の責任者としてそれほど過酷なことはしておらないということをはっきり申し上げます。
  207. 立木洋

    立木洋君 それでは、ここに八郎潟町長畠山太郎さんという方ですかが、農家に対して、同町の二百四十六戸の農家に対して五十二年度未達成分のペナルティーとして五十三年度に要求されている、達成せよと。これは農林省の趣旨から言っても全く反しておるんではないでしょうか。こういうふうな指導の仕方をしたのかどうなのか、その実態はどうなっていますか。
  208. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 各町村の配分につきましては各町村に、県の配分は県に、それぞれ自主的にお任せ申し上げておりますので、そういう指導はいたしておりません。ただ、町村によってはペナルティーという言葉を使っておるようでございますから、これも衆議院で議論がありまして、ペナルティーと受け取られては困りますと、実効あらしめるための最小限度公平を期すための措置であるからペナルティーということは、あの言葉は間違っておりますと、こういう趣旨の通達を出しまして、そういったような言葉が通達の上に出ないように、農林省としては各県に通達を出した次第でございます。
  209. 立木洋

    立木洋君 それでは八郎潟町長がなさっておるこういうふうなことについては、これはやめさせるように指導なさいますか。
  210. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 県にそのようにお願いしておりますから、国が直接町村には指導いたしませんが、県を通じてしかるべき措置がとられるものと、そういうことの表現がなされないように県がやっていただけるものと存じます。
  211. 立木洋

    立木洋君 これはペナルティーという言葉だけの問題ではなくて、もう一つは五十二年度の未達成分を五十三年度にという問題もある。その点はどうなんですか。
  212. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) その点は町村に、県に自主的にお任せ申し上げてございます。
  213. 立木洋

    立木洋君 こういういわゆるペナルティー――罰則として事実加算されている。あなたはこうすることが公平だと言われた。公平を期すために、いわゆる一方では実行される方、一方では実行されない方があったらこれは不公平になるから、公平を期すためにということで主張されましたけれども、この八郎潟町のペナルティーで五十二年度の加算を受けた北島さんという方が、この減反転作に対する意見書を出しておられます。私もそれをいただいてきましたけれども、これは六十歳になる専業農家のお年寄りの方ですが、こういうふうに書いております。第一回の「減反農政が始りました、私は国や県の言ふ事は守らねばと思ひ部落に誰れも協力しないのに率先して一反三畝の田に鯉の養殖を始めましたが三年暮したらエサ高となり失敗しました。」と、これは第一回のときには非常に努力してやったと言うんです、この人は。「そして五十二年から転作が始り、今年になって昨年のペナルティだと言って二畝歩加算され、一反三畝の転作が割り當てられました。全部の田圃に米を作っても、農機具代や肥料代に取られ、生活費に廻るお金は一銭もなく、私は此の年になって首をくくって死にたいと思ひます。今まで国のために盡して来たのに」ということが書かれてあるんです。このことについてどのようにお考えですか。
  214. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) その方の取り巻く環境が、私にはその文章だけではよくわかりませんから、全体として判断しかねますけれども、文章として書いてあるとおり受け取るならば、お気の毒だと存じます。
  215. 立木洋

    立木洋君 この点については、いわゆる問題点は私が先ほど指摘しましたように、いわゆる事実上罰則加算方式による、あるいは経済的な制裁措置に通ずるような事態が生じておる。これが重大な問題になっておるわけですから、この点については十分に検討していただきたいし、さらに今後の問題としては、米減らしのためにという形でそこに重点を置くんではなく、今後の十年間の生産をどうしていくんだという基本的な面も十分に考えて農政を進めていくようにしていただきたいということを最後に強く要望しておきたいと思うんです。その点いかがですか。
  216. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおり、長期的に見て自給率をしっかりしたものにするということに腰を据えて取り組んでまいりたいと存じます。
  217. 立木洋

    立木洋君 次に、漁業の問題ですけれども、韓国の漁船が北海道の近海に来て乱暴ないろいろ操業をやっておると、被害が依然として後を絶たない。最近、同水域で韓国船がどれぐらい操業をしているのか、被害がどれだけ発生しているのかお答えいただきたい。
  218. 森整治

    政府委員(森整治君) 北海道の近海におきます韓国漁船の操業が四十八年から始まりまして、五十年に非常に漁具の被害も多くなりまして、本年の二月末まで全体で千百八十五件、約四億五百万円の被害が発生をいたしておりますが、その中でも最近領海法の施行後の十二海里内の被害がなくなる、いろいろ監視が強まる、監視船が出る、向こうの監督官も乗るというようなことで、前年同期と比較いたしますと、件数、金額ともに最近は非常に減少をしているというふうに考えております。
  219. 立木洋

    立木洋君 最近減少しているというお話ですが、二百海里法の施行後、つまり昨年の七月一日以降ソ連船による同水域での被害の状況と、韓国船による同水域における被害の状況はどうなっておりますか。
  220. 森整治

    政府委員(森整治君) 確かに、ソ連漁船の方は漁業水域法施行の後、五十二年七月以降本年二月までの間には沿岸漁具の被害はございません。本州沖合いで若干底びき網漁船との事故が七件発生いたしておりますが、それ以外の漁具の被害はございません。韓国の漁船による被害は、先ほど申しましたように被害は減少はいたしておりますが、なお後を絶たないというのが現状でございます。
  221. 立木洋

    立木洋君 二百海里法施行後、いわゆる今日に至るまでソ連船による被害はゼロだと、韓国船による状態というのは百六十数件ですか、まだ依然として存在しておる。減少しているとは言いますけれども、こういう状態について大臣としてはどのようにお考えですか。
  222. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、わが国はソビエトとの関係で二百海里水域を設定いたしました。したがいまして、ソビエトとわが国との間では操業方法、操業地域、操業量というものを話し合いをしてルールができておりますから、だんだん被害も少なくなってくる。ところが、これまた御承知のように、日本と韓国との間ではお互いに二百海里を設定しておらないわけでございます。したがって、公海から先の操業というものについては規制する措置がお互いにとられていないわけでございます。したがって、日本も西方面では十二海里の外へ行って話し合いではありますけれども操業しておる。その結果、韓国漁船も北海道水域での十二海里の外で操業している結果、トラブルがある。これは一つには指導が悪いといいますか、理解してくれる面と話し合いのつかない面もあるわけです。ここでやめてもらいたいと言われても、それは公海ですからとらしてくださいと言うのと、迷惑をかけないつもりだけれども夜操業したために間違ったというようなこともございますので、いま政府としても、あるいは民間と一緒になって、操業ルールについてひとつ話し合いをして円満にいくようにやろうではないか、熱心な話し合いを続けておりまして、逐次いい方向に行きつつある。しかし、まだ十分でございませんので、この上とも意を尽くして再三にわたって交渉を続け、よりよいものを、そして被害のない最終の姿に持っていきたいと努力をいたしておるわけであります。
  223. 立木洋

    立木洋君 昨年の春以降、政府間においても民間においてもいろいろ交渉がなされておると、その一端を述べられたわけですが、政府間では五回、民間でも五回ぐらいですか行われておりますが、協議された内容と現在までの状況についてもう少し詳しくお述べいただきたい。
  224. 森整治

    政府委員(森整治君) いままで話し合っておりますのは、韓国漁船の操業水域の問題。それから安全操業ルールの設定、それから操業の指導。三番目に既発の、すでに起こりました被害と今後発生する被害についての処理の問題でございます。  このうち、一番目の韓国漁船の操業水域の問題につきましては、わが方がいろいろとったトロールの禁止地域、その他国内のいろいろ規則がございますから、あるいは民間同士の協定がございますから、そういうものに支障を来さないように水域の調整をしたいということを申し入れているわけでございますが、これについてはまだ意見が一致いたしておりません。ただ、操業ルール、たとえば夜間の操業をやめるとか、あるいはそういう問題につきまして近く話し合いが成立するというふうに考えております。  それから、既発の被害問題につきましては、両国委員会をつくりまして、その委員会同士の話として処理をしてまいるということで、基本的に考え方は一致しております。近く調印が行われるというふうな段階になっておるわけでございます。
  225. 立木洋

    立木洋君 この二百海里法が施行されるときの国会の審議で前の鈴木農林大臣が、韓国に対しては二百海里をやらなくても、二百海里法の趣旨を貫くために民間ではなしに政府間の協定を締結すると、それから資源保護の観点から、底びきなどの禁漁区域についてはソ連に対しても韓国に対しても操業を禁止すると、そして韓国が日本の操業に対して拒否的な態度をとるというふうなことは毛頭考えていませんということまで鈴木さんは言われたわけですけれども、この基本的なお考えについては、いま大臣としてはこれに賛成なのですか、これを何か変える必要があるんですか。
  226. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 鈴木前農林大臣がそのように答弁したことも承知いたしております。また、大臣もその気持ちで韓国側とも話をされたようでございます。しかし、相手のあることでございまして、政府間協定ということになれば、やはりいろいろと詰めなきゃならぬところがあるということで、まだ実効が上がっておりませんが、私といたしましてもその趣旨を体して、今後相手理解、納得が得られるように最善の努力を尽くして、そういった方向に持っていきたいと思っておる次第であります。
  227. 立木洋

    立木洋君 水域の規制問題については相手さんの方は賛成できないと、こちら側は何とかしたいと、これはどこまで行っても堂々めぐりだと思うのですけれども、一体どのような見通しのもとに、どういうふうに対策を立てておいでになるのですか。
  228. 森整治

    政府委員(森整治君) 最初は韓国側も余り理解をしていなかったと思いますが、最近いろいろな日本側の説明を行っておりまして、私ども、もう少し粘り強く交渉を進めまして、きちっとしたルールの上でやはり操業が行われるというのが理想でございまして、もっとさらに精力的に話し合いを詰めてまいりたい。そういうことが必要だと思っておりますし、また韓国側も非常に事故を起こしたり、そういうことはなるたけ避けたいということを申しておるわけでございまして、それはもう当然のことでございますから、なお粘り強く交渉を続けてまいりたいというふうに考えております。
  229. 立木洋

    立木洋君 いま長官が言われた、粘り強くと言われますけれども、粘り強くやって仕方がございませんでしたでは困るわけで、見通しについては大臣いかがですか。
  230. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) これは相手のあることでございますから、わが方としては一日も早くという気持ちで、まさに文字どおり粘り強くやっておるわけでございます。そうやっておりますうちに、それでは韓国の方も二百海里でということになるかもしれませんし、そうなりました場合には、直ちにこれに対応して、しっかりした協定関係を結んでいきたい。まあ、いつごろどういう手段でと言われましても、相手のあることでございますので、御希望のようなお答えができないことをお許しいただきたいと存じます。
  231. 立木洋

    立木洋君 じゃちょっと問題を変えまして、昨年からことしにかけて北海道の周辺で操業している韓国漁船がどれぐらいいるのか、トン数がどうなっているのか、船名や所属会社等々についてお述べいただきたいと思います。
  232. 森整治

    政府委員(森整治君) 時期的にいろいろございますが、ごく最近の時点で申し上げますと、北海道の近海で操業している韓国漁船は、水産庁の漁業取り締まり船の視認によります隻数は十五隻ということでございます。規模は、大体小さいのは五百トン、大きいのは二つの例外を除きまして大体千トンから千五百トン――千五百トン級が多いように存じております。二千トン以上の船も去年入ってまいりましたが、その辺は双方の話し合いによりまして、今後大型船は入れないということで、二千トンクラスの船は今後は入ってこないというふうにわれわれは承知をいたしておるわけでございます。
  233. 立木洋

    立木洋君 海上保安庁でいまの点、つかんでいる点はどうですか。
  234. 向井清

    政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  お尋ねの件でございますが、まず当庁の調査の方法について一言申し上げますと、パトロール中の巡視船が韓国漁船に接近いたしまして船体表示、それから外形について調査するということをいたしておるわけでございまして、したがって、船名につきましてはそのときの海象、気象条件、あるいは必ずしも船名表示が鮮明でないということもございますのですが、一応正確と思われるものを調査いたしておる。それからトン数につきましては外形によっておおむね概数を判断しておるということでございまして、隻数で申し上げますと、本年の一月から三月までの間に私どもの方では二十八隻を一応視認いたしておるというのが実績でございます。
  235. 立木洋

    立木洋君 大臣のお手元にお渡ししてあると思うのですけれども、私たち北海道の関係者の方々からいろいろ協力していただいて調べた点では三十五隻近く昨年から入ってきておる。これらの会社を一々、もう時間がありませんからごらんになっていただければおわかりになるので申し述べませんけれども、こういう韓国の遠洋漁業会社と日本の商社との関係が一体どうなっているのだろうか、この融資あるいは技術協力、漁船のリースなどについてどのようにつかんでおいでになるのか、お尋ねしたいと思います。
  236. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 確かに日本の古い船を商社が韓国に売り、貸し付けたり、出資したり、いろいろな関係があって、その結果日本にも、最後は日本の漁船との競合関係になったかなあという感じは私どもも前々から認識しておったところでございます。
  237. 立木洋

    立木洋君 通産大臣、いまの点いかがですか。
  238. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 大手商社が直接漁業生産に従事している例は見られません。しかし系列の子会社が漁業を営み、あるいは融資、漁獲物買い付け、漁船の輸出、各種の代理業務を行うなどにより漁業分野に関連を持つ例はしばしば見られるところであり、特に韓国など外国の漁業活動に関連を持つケースが多いと聞いておりますが、具体的事例については承知しておりません。
  239. 立木洋

    立木洋君 韓国の漁業会社と日本の商社との関係というのは非常に密接だと思うんですね。マグロの場合、これは一九七五年ですけれども、当時の水産庁長官が、日本の商社が韓国の会社の実権を握っていることを認められるかどうかと言ったら、ほぼそういう実態にありますということを、当時の内村さんが答弁されております。  これらの例というのは多くの資料がありますが、韓国の漁業会社の社長が書いている文献によりますと、「韓国遠洋漁業が日本の大商社の小作人的経営であるという点である。日本の大商社は船舶と金を貸してやるだけ、陸上にでんと構えこんで販売権を握っている国際的仲立人である。」というふうな指摘もあります。また「商業借款だけでも日本資本はわが国の経済に根深くしみ込みつつある。」「水産部門では水産開発公社、済東産業を除く遠洋漁船のほとんど」が日本との関係があるというふうに述べられていますが、この点はいかがですか。
  240. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘のように、カツオ、マクロ――マクロが主でございますが、そういう問題につきまして商社がいろいろその輸入につきましてバックにいるということは確かに事実でございますが、ただ、そういう詳細にわたりまして商社がどういうふうな形でいろいろ韓国の漁業の内部に立ち入っているか、あるいはどういう投資をしているかということにつきましては、私ども把握をしておりません。
  241. 立木洋

    立木洋君 それじゃ、大蔵大臣にお尋ねしますけれども、お手元に渡してあると思うんですが、商社との系列関係、ほとんど、北海道に来ておる十五社のうち十社ぐらいが日本の商社との系列関係にあるというふうな資料をお渡ししてあると思うんですが、輸出した船に輸銀の金が使われているケースが多いんではないかと思いますが、その状況はどうなっておりますか。
  242. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 輸銀の韓国向け漁船に対する融資は、五十二年九月までに五十五隻、九十八億円の融資承諾を行っております。これは全部新造船でございます。
  243. 立木洋

    立木洋君 それから農林大臣、韓国がソ連の水域から締め出されて約四十万トンぐらい減量になったというふうに言われておりますが、韓国では減船をした事実がございますか。
  244. 森整治

    政府委員(森整治君) 韓国は確かに遠洋漁業が伸びてまいりまして、そのしょっぱなをたたかれたというような感じがございまして、米ソの二百海里の水域の設定によりまして大きな打撃を受けたようでございます。ことにソ連水域での韓国船の操業は全面的に認められてないということでございますが、これによりまして韓国で減船が行われたかどうかということにつきましては、私ども詳細には承知いたしておりません。
  245. 立木洋

    立木洋君 ソ連から追い出された韓国船が、現在どこを最重点に遠洋漁業を行われようとしているのか、どこに重点を置いておるとお考えですか。
  246. 森整治

    政府委員(森整治君) トロール船につきましては一部北米に入っております。それから、ソ連から撤退をした一部が北海道周辺で漁業を行っていろいろ被害の発生の原因になったというふうに理解はいたしております。
  247. 立木洋

    立木洋君 農林大臣、そこで先ほど来言いましたように、日本の商社ともいろいろな関係がある。まだ十分に調べておいでにならないという話ですけれども、これは資料がたくさんあるわけでありますけれども、こういう遠洋漁業についても、いわゆる日韓協力で輸銀の金を使って日本から輸出した大型船がやはり北海道近海に来ておる、それによって沿岸の漁民が非常に大きな被害を受けておる、こういうふうな点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  248. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 立木君、時間が来ております。
  249. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 確かに商社が韓国漁船をバックアップしたことは事実だろうと思います。しかし、その当時はまさかこういうようなことになろうと思ってやったのではなくして、北洋とかいろんなところへ行かれるという善意でやったんだろうと思いますが、結果は二百海里時代を迎えてこういうことになっております。そこで、最近聞いたところでは、そういった商社の援助も非常に少なくなってきている、こう承知いたしておりまして、今後もそういったことでの被害がなくなるように配慮していきたいなと、こう思っておるわけであります。
  250. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 立木君、簡単に願います。
  251. 立木洋

    立木洋君 それでは最後に、いわゆるソ連から締め出された韓国船は減船をしておりませんし、韓国側の報道によりましても、いまの遠洋漁業の最重点が北海道の沖合い、北海道の沖合いがとりでであるというふうなことまで言われている状態です。いま申し上げましたような日本の商社との関係から見ましても、商社としては船を輸出して利益を得る、あるいは漁獲物の輸入によってまたさらに利益を得る。現在までの韓国船の状態を見ますと、そこで働いている労働者はきわめて低コストであります。賃金からいえば日本人の労働者のやはり二分の一。ローテーションが日本で二回とすれば韓国は一回ですから、それの両方を勘案すれば四分の一にもなるだろうと言われる状態です。そして大変な事態で、いわゆるいまの北海道の沖合いにおける事態というのが進行しているわけです。大型の漁船まで入ってきて稚魚まで底びきでどっとさらってしまう。資源の問題から見ても大変重大な事態があるわけです。ですから、これは何とか粘り強くというだけではいけないのであって、前回鈴木農林大臣が言われたような点ももっとしっかりと踏まえていただいて、大臣もその趣旨に賛成だと言われるわけですから、この問題には全力を挙げて解決するように取り組んでいただきたいということを強く要望したいわけですが、最後に、その点についての大臣の所信をお伺いして私の質問を終わります。
  252. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私の選挙区が被害地でございますから、私も大臣になる前から非常に関心を持ち、漁民の皆さんの声も、非常な叫びを耳にいたしております。そこで、いろいろ御指摘もございましたが、一日も早くこれが解決するように最善の努力をいたしたいと思っております。
  253. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で立木君の一般質疑は終了をいたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  254. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、井上計君の一般質疑を行います。井上君。
  255. 井上計

    ○井上計君 私はきょう、行革の問題等から、まずそれぞれ関係大臣の方々にお伺いいたしたい、こう思っておりました。順序からいきますと、荒舩長官にお伺いし、それから大蔵大臣にお聞きをいたしましてから、その次に農林大臣にお伺いしたいと思っておりましたけれども、何か緊急の御用事でお急ぎのようでございますから、順序を変えまして、ひとつ農林大臣に冒頭にお伺いをいたしたいと思います。  五十二年の九月の二日に、行政改革についての閣議了解が行われました。その中で示されました行政改革に関する要綱の中に、検査検定業務等の整理合理化について、五十二年七月二十七日の行政監理委員会の答申に沿って推進をするということが述べられております。五十三年度末までにこれらを実施するということになっておるようであります。このうち、農林省関係は約百六十九事項あると聞いておりますが、きょうは時間がありませんのでその中の二つだけ、二件についてひとつ農林大臣からいろいろとお伺いをいたしたいと思います。  その一つは、米穀検査の問題であります。もう一つは生糸検査所の問題であります。現在どのような合理化が進められておるのか、あるいはどのようなお考えであるのか、これらのこと等につきまして、現状をあわしてひとつ御説明をお願いをいたしたいと思います。
  256. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 食糧事務所が行っております米の検査について、行政監理委員会から昨年の七月に指摘を受けているわけでございますが、その主要な内容は、先生もうすでに御承知かと思いますけれども、食糧事務所の要員の縮減について今後も一層努力する必要があるということと、検査方法等につきまして検査等級区分の簡素化、抽出検査の推進、あるいは農協その他による検査協力を推進する等によりまして検査の合理化を図るべきである、こういう趣旨の御指摘をいただいておるわけでございます。  それに対しまして、今後、どのように農林省として考えていくかという点についてお答えを申し上げたいと思いますが、食糧事務所の職員につきましては、四十三年以来、政府の定員削減計画によりまして、政府全体の定員削減計画と農林省内の定員配置の適正化という観点から、五十二年度までに、削減前の定員の約四分の一に当たります約七千名の人員を減少さしておるわけでございますが、五十三年度におきましても、現在実施中の定員削減計画等によりまして三百九十七名の削減をすることにいたしております。五十四年度以降につきましては、政府全体の定員削減計画は引き続き行われるわけでございますが、具体的な削減数はまだ決まっておりませんが、全体の計画の一環といたしまして、今後引き続き削減をしていくことになるものと考えております。このような事態に対処いたしまして、また先ほどの行政管理庁の御指摘もございますので、出張所の支所への統合――出張所は全廃をいたしまして支所に全部統合する、いわゆる三段階制を二段階制に改めるということを、五十四年度中までに全部終わりたいというように考えております。  検査業務を中心といたします業務運営の改善合理化につきましては、検査等級の整理、簡素化、現在五等級区分でやっておりますのを三等級区分に本年度からしてまいりたいと考えておりますし、抽出検査等によりまして現在の毎個検査よりは簡素化できる、事務の能率が上がるということもございますので、そのようなことも進めていきたいと思いますし、さらに事務の機械化等につきましても、これまでもやっておりますが、さらに促進をしてまいりたいというように考えておりますが、他方また、新しい行政需要に即応いたしまして、当面重要になっております米の消費拡大の問題、あるいは食品の流通物価対策等の新しい行政需要に、食糧事務所の職員を活用していくというようなことを今後進めたいということで、五十三年度につきましては、四百五名を一般会計に振りかえまして、食糧事務所の組織の中におきましてこれらの事務を実施をするということにいたしておりますが、五十四年度以降につきましても引き続きそのような方向で、新しい行政需要に即した転用を図ってまいりたい、かように考えております。
  257. 井上計

    ○井上計君 いま御説明を伺うと、もっともらしいような御答弁でありますけれども、現実に現在食糧庁関係の職員が何人おられるのか。そういうふうに減ったということも当然努力は認めますけれども、現在の体制、状況からしてこれだけの人員が必要かどうかということについてはどうお考えですか。
  258. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 現在、食糧事務所の定員は五十三年度末までに二万一千十五名、本庁なり講習所等を除きまして二万一千十五名ということに、五十三年中にそこまで削減するということにいたしております。  検査事務を中心にいたしまして、米、麦等の買い入れ、保管、輸送その他調査事務、売却事務等をいろいろやっておるわけでございますが、検査業務は、確かに生産調整等によりまして米の生産額、生産量自体は減少傾向を数年前からもちろんたどっておりますけれども、実は包装が非常に軽量化いたしまして、昔は一俵六十キロでございましたのが、いま三十キロの紙袋あるいは麻の袋というようなことで、それを毎個検査ということで一俵一俵検査をするということによってやっておりますために、必ずしも検査量自体は米につきまして減少しているということではない。また商品化率もだんだん高まっておりますので、そういう面からいたしましても、米につきまして生産調整で生産量あるいは流通が減っておって検査事務量も減るんじゃないか、こういうふうに見られますけれども、必ずしもそうではないという事情はございます。  ただ、最近、非常に農家が出荷を急ぎ、兼業等に出向く必要もありまして検査を急ぐというようなこと、あるいは機械によって収穫、調製をするということが一般的になっておりますために短期間に集中すると、検査業務の本質といたしまして季節的な繁閑が非常に多いわけでございますが、その中でも非常に短期間に集中して繁忙期が来る、こういう状態にあるわけでございますが、これらは先ほど申しましたような検査業務の能率化によりまして、あるいは食糧事務所、支所、出張所間の人員の彼此流通、応援検査、あるいは農協等の協力を仰ぐというようなことによりまして、何とかしのいでおるわけでございますが、それらのもののほかに、麦は御承知のように生産量が減ってきておる、したがって検査数量も減っておる。その他の農産物につきましても検査をいたしておりますが、これも減少傾向にあるということからいたしまして、米の収穫期を中心といたしますピーク時以外は、季節的にかなり事務量が減少する時期が確かにあるわけでございます。保管とか輸送とか売却等は、これは一年間を通してあるわけでございますが、それらのことも考えまして、定員の削減につきましては、農林省の中では一番重点的にこれまでやってきてまいりましたほか、先ほどお答えいたしましたように、新しい行政需要に即応する新しい業務を分担をさしていくというようなことによりまして、年間、仕事を平準化しながら事務を実施しておる、かようなことでございますが、今後、さらに検討いたしまして、このような線で一層進めてまいりたいというふうに考えております。
  259. 井上計

    ○井上計君 いまお答えがありました中で、非常に短い期間に集中しておるというふうなこと、私も伺いますと理解できます、その理由は。しかし、事実上、年間を通じて約九カ月ぐらいというのは米の検査がほとんどないという時期、その間はそれらの検査員の方々は、実は率直に伺って何をしておられるのか。いまお話がありましたけれども、稼働率といいますか、仕事の量等についての稼働率は大体どれぐらいになっておるか、ひとつお聞かせいただけませんか。
  260. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 事務所あるいは支所、出張所ごとによりまして、必ずしも同じ状態ではございません。なるべく平準化するように努力はいたしておりますが、全体といたしまして稼働率がどの程度かという点の具体的な数字でいま押さえておりませんけれども、米の検査業務というのは何と申しましても中心業務でございますが、大体全国をならしまして約三割程度が検査業務であり、あとの売却、保管、輸送等の業務、これにはまた他の野菜だとか、新しく今度加わるような食品関係の事務も入るわけでございますが、これがおおむね三分の一ぐらい。それから調査関係の業務、これは在庫調査とか生産関係の調査あるいは価格の調査、流通の調査等をやっておりますが、これらがおおむね三分の一というのが、年間を通じての平均的な事務量の配分になっております。
  261. 井上計

    ○井上計君 生糸検査所のことについてお答えいただけますか。
  262. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先ほど御指摘がありました行政管理庁の方の問題につきましては、検査組織の縮小、それから自主検査の推進、検査手数料の適正化、検査区分の一本化等の答申が出ているわけでございますが、それに即しまして、われわれの方も種々対策を立てておるわけでございます。したがいまして、検査要員も、順次機械化あるいは合理化等によりまして人員を縮小していく、あるいは自主検査の指定基準の緩和を行って自主検査を推進をして、いままで検査所でやっておった業務をそちらへ移す、あるいは生糸検査手数料の適正化、これも引き上げるように検討をいたしておりますし、輸出、国用の検査の一本化ということも今後進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、最近の人員等でございますが、検査数量を申し上げますと、四十九年が約十五万四千俵、五十年が十万六千俵、五十一年が八万一千俵、五十二年が八万三千俵ということで、定員は四十九年度が六百十九名、これは横浜、神戸合わせましてですが、五十年度が六百十名、五十一年度五百九十六名、五十二年度が五百八十八名ということで漸減をいたしております。
  263. 井上計

    ○井上計君 私は、先日、横浜の生糸検査所を直接この目で実は見てきたわけなんです。いま伺いまして、また行政監理委員会等の勧告等では大変なまぬるいというふうな感じがいたしました。失礼でありますけれども、農林大臣も荒舩長官も実態について御存じないだろうというような実は気がするわけです。むしろこれは大臣に私としてはお願いですけれども、実態を知っていただいて強力なひとつ行政改革をお進めいただかないと、国民の怨嗟の声ますます高まってくる、こういう気がしてきょうこの問題を実は提起をいたしておる、こういうことでございます。  そこで、この検査所についてもうちょっと伺いますけれども、現在の検査所の人員等は減っておるというお話でありましたけれども昭和三十年と比較すると、五十一年度で結構でありますけれども、どれぐらい人員が減っておりますか。検査量がどれくらい減っておりますか。それらのバランスについてひとつ御説明いただけませんか。
  264. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 昭和三十年は検査数量の一番高かったピーク時でございますが、このときの検査数量が約十九万五千俵でございます。そのときの検査部の職員数が五百九十三、その他の職員数が二百六十九ということで八百六十二人。それから昭和五十二年度で見ますと、検査数量が約八万三千俵、それから検査部の職員数が三百八十八名、その他の職員数が百九十名ということで、検査数量の比較にしますと約四二・七%ぐらいに減っておるわけでございますが、人員の方は八百六十二名と五百七十八名でございますので約六七%に減っているということでございます。
  265. 井上計

    ○井上計君 いま一度突っ込んでお伺いしますけれども、それでは現在のこの生糸検査所の検査員、職員が過剰かどうか、過剰人員かどうか、ひとつお伺いをいたします。
  266. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 生糸検査所は大体年間を通じていろいろ検査をやっておりますし、先ほど申し上げましたように、検査の機械化、自動化、これが進むに従い人間を減らす予定にいたしておるわけでございまして、五十三年度も約二十名程度を減らす予定にいたしておるわけでございます。
  267. 井上計

    ○井上計君 いや、いま過剰かどうかということです。現在お考えになって過剰とお思いかどうかということですよ。
  268. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 機械化なり自動化が進めば、これは減らしていっていいんじゃないかというふうに考えております。
  269. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいまの米と生糸の問題ですが、答弁がありましたが、こういうものは、とにかく米穀の検査は、いま井上さんのおっしゃるとおり、大体九カ月は何もしないと言ってもいいんです。米の検査が終わりゃそれで仕事は終わりなんだ、大体が。私は役人じゃありませんから率直に申し上げます。これは思い切った整理をすべきだということで農林省と話し合っております。来年度までには思い切った整理を断行いたします。  それからなお、生糸の問題ですが、私は生糸は本職でございます。あなたより私の方が本職でございます。いま、生糸は昔と違いまして輸出は全然ないのでございます。しかもだんだん生産の数量が減ってまいりまして、なおその上に、大体国用です、国で使う生糸です。それは各製糸が自発的に検査しているんです。そうしなけりゃ売れないんです。需要と供給のバランスで、生産の方が多くて使い手が少ないんですから。その上に中国、韓国から、糸で入ってこなければ織物で入ってまいります。したがいまして検査をするということはきわめて少ない。まあ言えば、ほとんど輸出がないんですから。輸出の生糸についての検査が大体八、九〇%なんです。したがいまして、行管といたしましては、おっしゃるとおり思い切ってこういう問題等を整理しなくっちゃならぬと、こう思っております。しかし、まあ役所の間というものはなかなかむずかしいんで、こっちで思い切ったことをやろうと思ってもなかなか――それは農林省大変ですが、そこいらは話をしなければ行政管理庁なんというのは要らなくなる。したがいまして、いまのお話のような点は思い切ったことをいたしますから御期待を願います。
  270. 井上計

    ○井上計君 決断と実行の人として有名な荒舩長官から、実は私が意見として申し上げたいことをお述べいただきましたので、この問題について余り掘り下げてもうお聞きする必要もないかというふうに思いますが、せっかく農林大臣もまだ御存じない点もあると思うので、もう一、二、検査所の問題についてお伺いをしてみたいというふうに思います。  昭和三十年度と五十一年度と二つの年度をとっていただきましての歳入とそれから歳出、これについてひとつ数字をお示しいただけませんか。
  271. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 昭和三十年度の歳出の計が二億一千四百五十万六千円、昭和五十一年度が二十億二千五百二十三万九千円。それから歳入の方が昭和三十年度が一億五千六百四十四万二千円、五十一年度が二億四千百万円、こういうことでございます。
  272. 井上計

    ○井上計君 いまお聞きいたしました数字からわかりますけれども昭和五十一年度は約十八億円の赤字になっておるということになります。その赤字の大部分は実はちょうど人件費なんですね。人件費が十八億六千六百万円かかっているわけですね。これらの点を農林大臣、荒舩長官、ぜひひとつさらに一層お調べいただきまして、先ほど示された御決意を早急に実施していただきますように、これはもう国民の中から実は生糸検査所の実態を知っている人が、あれを見ているともう税金払うのがばかくさい、いやだと、こういうふうな声が私の手元にも来ておりますので、ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。それで農林大臣お急ぎでございましょうが、農林大臣からひとつ御決意を承って、農林大臣への質問は以上をもって終わります。
  273. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 食管の検査員と生糸の検査員のあり方について御指摘ございましたが、御指摘があったばかりじゃなく、国民の皆さんの間にも非常に御不満のあることはよく承知いたしております。それなりにわれわれも対処してはまいりましたが、まだまだという感じがいたしますので、今後とも前向きで、行管長官もああ言っておりますから、できるだけの対応はいたしたい。ただし、こういうものはなかなか現実問題としてはすぐ一遍に、電気のスイッチをつけて明るくなるようにはあるいはできないにしても、姿勢としてはそういう方向で取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  274. 井上計

    ○井上計君 農林大臣、どうぞもう結構でございます。  人事院の方にちょっとお願いをしている資料がありますので、ひとつ御説明願えればと思います。
  275. 角野幸三郎

    政府委員角野幸三郎君) お答えいたしますが、先生からお尋ねいただいております資料は、現在の国家公務員で四十二歳ぐらいで経験が二十年ぐらい、そういう職員で女性の方でございますが、いまやめた場合の退職手当が幾らぐらいであって、それからこの方があと十八年と言いますから大体六十ぐらいまでお勤めになって、それでおやめになった場合の俸給の金額と退職手当の額はいかがかというお尋ねでございまして、それについて申し上げます。  そういう職員の俸給月額を決めますにつきましては、仕事とか昇任の形いろいろございますが、ざっと平均的な形で申し上げまして、まあ一概には申し上げられませんが、四十二、三歳の女性の方の平均ということで五等級でありますれば十一号俸、行政職の俸給表でございます、十七万三千円という俸給月額でございます。仮にその五等級の十一号俸で現在やめたということになりますと、ちょうど勤続二十年という形でありますので、退職手当の金額としましては、自己都合でやめた場合には三百六十万、それから勧奨でやめた場合には五百四十万ということになります。これは現在やめた場合でございます。それから、さらにその人が十八年、要するに六十歳近くまでおりましてやめた場合の金額、退手の金額でありますが、五等級の本俸で二十三万二千円ということになりますので、自己都合でやめた場合には退職手当総額千二百十万、勧奨退職をなさった場合には約千六百万と、こういう金額に相なると思います。  以上でございます。
  276. 井上計

    ○井上計君 これは行管長官にちょっとお聞き取りいただきたいんですが、いま退職等についての人事院からのちょっと資料をいただき、御説明をいただきましたけれども、神戸と横浜の検査所で、現在平均年齢四十二、三歳の女子の職員が半数いるわけなんですね、三百人。それらの人たちの退職手当、現在の給与据え置きで計算しても、六十歳になりますと大体千六百万円ですから、これからずっと給与ベースが上がると考えたとして約三倍近くになるという計算になるわけです。これを考えると、やはりそれらの方々を整理とか、おやめなさいということではありませんけれども、いまのうちに抜本的な改革案を考えていかなければ、この検査所だけでも実は大変な問題を招来する、こういうふうに考えておりますが、ひとつ長官、もう一度、どうお考えでしょうか。
  277. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 同感でございます。さっき申し上げたとおり、生糸の輸出は皆無でございますから、本当に女の人ばかりじゃない、大変な余りがあるんです。ですから、農林省とよく相談しまして、一遍に首をなくすということもなんですが、振りかえをしなけりゃ、いまの米の検査でも生系の問題でも、まあきょうはここで答弁するんですから、幾人いりゃ足りるということは言いかねますが、よく相談をいたしまして、本当に税金のむだ遣いをしないようなことを行政管理庁としてはやっていかなくちゃならない、こう思っておりまして、御意見は十分わかっておりますから、そのとおりにいたしたいと思っております。
  278. 井上計

    ○井上計君 これらの方々についての配置転換も大変困難だと思います。だからといって無情に整理というわけにこれはまいりません。むずかしいことはよくわかりますけれども、なおひとつそれらの点を、お考えでありますが、十分ひとつ御配慮いただきますように特に要望しておきます。  そこで、長官にもういまさらお伺いする必要はございませんが、福田内閣の成立したときの目玉公約というのが当初二つあったと思います。一つは景気の回復、これはまず国民期待を全く裏切っております。もう一つは行政改革であったわけでありますけれども、これについてもどうも国民もあきらめかけておるというようなことでありますから、ぜひひとつ先ほどの御決意、私も伺って大いに意を強ういたしましたが、一層お進めいただきますようにひとつお願い申し上げます。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、総理が五十二年の二月に、行政改革については八月までに成案を得てこれを五十三年度予算に盛り込む、こういうふうなことを国会の場でも明らかにされておるようでありますけれども、その考え方を生かした五十三年度予算であろうと思いますが、どういうふうなところにそれが生かされておりますか、お伺いしたいと思います。概略で結構です。
  279. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これはむしろ荒舩長官が一番詳しく知っておられるわけでございますが、私に対する御質問でございますので概略申し述べたいと思います。  行政改革につきましては、中央省庁の部局の新設は全部抑えました。それから課、室、官の整理でございますが、これは三十三、これは二年間計画のうち三十三実施しております。それからブロック機関とか府県単位の機関の整理でございますが、これは行政監察局で三、財務部で一、営林局で四、その他ございます。それから支所、出張所の整理でございますが、これは五十二年から五十三年までの計画、千のうち六百をちょうど整理しております。定員の削減でございますが、これは五十二年から五十五年度の計画になって、二万八千二百八十六人のうち六千六百二十一人。それから補助金等の整理合理化でございますが、これは対象件数が千六百八十九でございます。その整理額は千四百二十二億円、昨年の二倍強に当たっておるわけでございます。
  280. 井上計

    ○井上計君 大蔵大臣、いまお聞きいたしましても、それは確かに数字をお述べになりますと、生かされておるかなというふうな印象を受けますが、実際には余り、率直に申し上げて生かし方が少ない、あるいは生かされていないという感じを受けるわけなんです。  そこで、私は、去る二月に大蔵省が発表されました財政の収支試算ですね、A案からE案まで五つの案があります。このどれを見ましても、五十四年度からもう増税は必至ですよというこういう実は資料になっておるわけですね。はなはだしい案を励ますと、五十三年度対比五十七年度が一一二%増、すなわち倍以上の税の増収を考えておられる。低い案でも五八%です。これは自然増もあるでしょうが、ほとんどは増税によるということだと思いますけれども、これでは国民は納得しないと思うんですね。これはもう税金払うのいやだ、ばかくさい、やめようなんということを事実言い出しておる人たちが勤労者の中にも中小企業者の中にもあるわけですから、これらを十分ひとつお考えをいただきまして、もっともっと強い厳しい姿勢で今後ひとつお進みをいただきたい。特に要望をひとついたしておきますが、これらのことについて荒舩長官にお伺いすればいいんですが、何か御見解ございませんか。
  281. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 大変適切な御意見で、私はそのとおりだと思っております。行政改革というやつはこれはもう本当にやらなくちゃならないんですが、日本の機構というものがなかなかそれは本当に行政改革を断行する――総論ではみんな賛成なんですよ。各論になりますと大変反対が出てきまして、おれの方の役所のこれは切っちゃ困る、これは切っちゃ困る、これもだめだと。こういうことで昨年の十二月二十三日の閣議で、局以上のものは新設を許さないということになっている。したがいまして振りかえ制度でやるようにしております。しかし、まだなかなか整理をしなくちゃならないところはたくさんあるんです。これは井上さんのおっしゃるとおり、私は本当にそう思っております。しかし、なかなか景気の回復を早くしなくちゃならない、円高問題をどうするというようなことからいたしまして、そういうことと邪魔にならないようなことをやっていかなくちゃならないということも政治の大変な必要なところだと思うんです。  私は、こういうことをやっていきたいということ、たくさんありますが、役人の数を減らすということ――あながちよその国との統計からして、それほど日本の国家公務員がパーセンテージから言って多いとは思っておりません。千人について七・七ですから、千人について八人以下ですから、どこの国よりも多いとは思っておりません。しかし、地方公務員についてはこれは実は思い切ってふやしちゃったんですね。これは各市町村、県から始めて、ふやすことだけがどうもいいことのようになっておりまして、これは中央でひな形を示して、たとえばそういう問題で定年制の導入をしなくちゃならないというようなことは急務だと思うのです。各町村困り抜いているんです。  それからもう一つは、特殊法人ですね。特殊法人というものは、これはもうふやすだけで、たくさんつくり過ぎちゃっておると思います、私は。二十一減らすようにしておりまして、その間、いま新たに取り上げておりますのは十四法人です。それから特殊法人の待遇が、これはまあ私も驚くほどの金額なんです。それで役人がやめたらそこへ行けるような組織になっている。だからこれを徹底的に改革したい。それから退職金などについては私はもっと減らしたいと思うのですが、二割は必ず減額する。それから八年というようになっていますが、それを六年に。もっとやればいいんですが、なかなか。それで六年に切りました。それから何と言うのですか、横滑りと言うのですか、役所の人が次はまたここへ行くんだというように決めてあるような制度は、徹底的に、根本的に直していかなくちゃならない、これはそう思っております。  それから、審議会なんていうものも非常に多い。これはどうしようもないほど多いんですから、これは四十八整理をすることにいたしました。これらの問題にもいろんな問題がありますが、憎まれ役を買っているんですから、思い切ってやるつもりでおります。  それから、いま大蔵大臣から話されましたが、五十一、各省の課を減らすことに決めました。それから支所、出張所、先ほどのお話のような問題等もありまして、千カ所整理をいたしました。これは三年ないし五年のうちにこれは必ず実行いたします。それから定員も二万八千人削減をすることにいたしました。それから補助金、これもまあ千四百二十二億、大蔵大臣がお話ししたようなわけでございますが、そういうふうにいたします。それから許可認可、これもずいぶん複雑多岐でありますが、千二百四十廃止をするということにいたしております。  しかし、これだけでいいと私は思っていないんです。これは各省間のコンセンサスを得るというのでしょうか、各省と話し合いを十分つけまして、思い切ったことをしていかなけりゃならない。これはもう税金のむだ遣いになりますから、そういうふうな考えで一生懸命やっております。これで満足しているわけじゃございませんが、鋭意ひとつ、いやな役で悪役でございますが、思い切ったことをしたいと考えております。  以上でございます。
  282. 井上計

    ○井上計君 重ねて長官の御見解、御決意を承って意を強ういたしておりますが、私も、必ずしも役人、公務員の数が多いということを実は言っているんじゃありません。ただ、多いところもある、少ないところもある。すなわち適正な配置というものはもっと考えていかなければいけないというふうに思って以上申し上げたわけです。先ほどの米の検査あるいは生糸検査所の問題はごくそのほんの一部だけでありまして、そういうケースがたくさんあると思いますので、十分今後ともひとつ、大変お立場上苦しい状況におられると思いますけれども、ぜひひとつ、せめて五年ぐらい行政管理庁長官をおやりになって、思い切った改革をやっていただきますようにお願いをしておきます。  そこで、いま長官のお答えの中に出ておりましたけれども、特殊法人の役員の問題ですね、給与の問題等が出ておりましたが、それに関連をして、これは主として大蔵大臣にお尋ねすることが多いわけでありますけれども、給与あるいは人員整理等については、いまお話しのようにいろいろとお考えをいただいておるようでありますが、ひとつ問題として取り上げられていない問題にこういう問題があるのです。  公務員を退職されまして、在職期間を通算をして恩給なりあるいは共済年金を受給される、そのまま特殊法人、公社公団の総裁、副総裁あるいは理事長に――失礼ですが、大変高給だと思います。その高給を受けながら、そういう年金を受給をしておられるという方が相当あるわけですね。これは素朴な国民感情としますと、どうも二重取りではないか。それはいままでの功績等いろいろななにがありますから、それがあながちいけないとは言いませんけれども、厚生年金の受給等と比較をすると、これは大変な違いがある。これらについて、いろいろとむずかしい法理上の問題もあると思いますけれども、ぜひ改革をしていかなくてはいかぬというふうに思いますが、大蔵大臣、どうお考えでしょうか。
  283. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは委員御承知のように、現在の年金制度というのはそれぞれの保険集団があるわけでございまして、厚生年金はおよそ二千四百万人ぐらいあるわけでございますし、共済組合系統ですと大体五百万ぐらいあるわけでございまして、その保険集団から抜けますと、そうすると年金が支給される。その年金の原資の方は御承知のように大体掛金をいたしまして、ある程度国庫補助があるわけでございますけれども、したがいまして公務員等共済組合の保険集団が小さいものでございますから、第二の職場として厚生年金部門に移ったりなどいたしますと支給される、だから目立つわけでございます。ところが、民間の方は何しろ二千四百万でございますから、再就職してみてもまだその保険集団から抜けませんから、年金の支給ができない。そのかわりに厚生年金の方ではその保険集団にまだおっても、長くなりますと少し減額いたしますけれども、減額年金の制度が別途設けられているわけでございます。  そういう仕組みになっておるのでございますが、しかし、この問題につきましては、年金制度のいろいろな給付とか掛金とか、特に受給年齢等の問題、資格何歳からもらえるかというような問題で、これらの問題の整合性がいま真剣に論議されておるわけでございます。だから常識的に見ますと、委員のおっしゃっていることもよくわかるわけでございますので、こういう根本的な改正を待つ機会に、それらの点を十分検討してまいりたい、このように思っておるところでございます。
  284. 井上計

    ○井上計君 大蔵大臣の御答弁、大体予期した型どおりの御答弁でありまして、時間があれば、この問題、もっと私若干資料も集めておりますので、いろいろと具体的な問題をお聞きしたりなんかしたいというふうに思っておりますが、しかし、いずれにしても、確かに現在の共済組合法等からいくと、これは決して矛盾ではない、あるいは当然だというふうなことがはね返ってまいります。しかし、法理上当然だからこのままでいいんだということで済ますわけにまいらぬという問題がたくさんあるわけですね。  そこで、御承知でしょうけれども、今井一男国家公務員共済組合審議会長の五十年の八月十六日の意見書の中にも、これらをやはり一時停止するとか、大幅に削減するということについても不当でないと、こういう意見がやっぱり寄せられておるわけですから、これはもうぜひ本格的にひとつお考えをいただく。そこで共済組合法等について改正をされるというような御意思はございませんか。これは大蔵大臣の所管ではないと思いますけれども、お立場上どうお考えでしょう。
  285. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  共済組合制度を含めまして、井上委員御承知のように、公的な年金制度がわが国には八つあるわけでございますけれども、その全体について、いま御質問にもございましたようないろいろのアンバランスの問題その他が御指摘を受けている点も事実でございます。いま厚生省を中心にいたしまして、各種年金制度を全面的に洗い直そうということで検討を開始していただいております。当然その一環の中で検討の対象になると、またなるべきであるというふうに考えております。
  286. 井上計

    ○井上計君 そう伺うと、やや前向きに御検討いただいているなあということで私も理解できますけれども、いろいろと資料等を取り寄せてみますと、やはりどうかなあという面もたくさんあるんですね。  個人的な問題に触れますことはもう避けますけれども、やっぱり三十年勤続されて、事務次官でおやめになった方が大体恩給、年金合わせて三百十九万受給される、これはもちろん高額のカットがありますから、二割ですね。それも超えた部分の二割、いろんな細かく計算をすると、大体六十万程度しかカットされない。事実上平均して局長クラスの方々は大体二百二、三十万から二百五十万ぐらいの年金を受給しておられる。そしてなおかつ三公社の総裁あるいはその他特殊法人の理事長、非常に公務員時代のさらにまだ何十%か多い給与を受けておられるということになりますと、やはりこれは理屈だとかあるいは法律だとかどうとかという問題を抜きにして、常識以前の問題として、やはりこれは取り上げて、至急にこれらの点について改正をしていくべきだと、このように私は強く感じておりますので、この問題について余りまた掘り下げてまいりますと、いろいろとあるいは御都合の悪い点もまだ現時点ではあろうかと思いますが、これで終わりますけれども、ぜひひとつそれらの点についてもお考えをいただきたい。特に官民年金格差ということが非常に大きな不満の声になっておりますから、そういうこともお考えの上でぜひひとつ善処を至急していただきたい、要望しておきます。  次に、内閣官房長官はきょうお見えではありませんが、どなたかお見えになりましょうか。
  287. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 伊豫田内閣審議官が来ております。
  288. 井上計

    ○井上計君 それでは審議官にお伺いいたしますけれども、公労協等に対するスト権の付与を現在検討中だというふうに聞いておりますが、その経過、さらにこれらの付与の見通し等についてひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  289. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) お答えいたします。  争議権問題につきましては、御承知のとおり、政府といたしましては公共企業体等基本問題会議を一昨年設けまして、同基本問題会議において民間有識者の御審議をお願いしている状況でございます。で、ただいまの審議の状況につきましては、昨年九月以来本日までにすでに百五十回以上の会合を開いておりまして、各部会別にそれぞれ検討対象の問題点についての実質的な審議を相当程度終えて、ただいま部会単位に取りまとめに入っているものと承知しております。なお、基本問題会議全体といたしましては、本年五、六月を目途に結論を出すべく審議が進められている、このように考えております。  なお、先ほどの御質問にございました、その見通しいかんということにつきましては、ただいま審議中の問題でもございますので、この場では私の口から申し上げることも必ずしも適当でないと思いますので、失礼させていただきたい、このように考えております。
  290. 井上計

    ○井上計君 見通しについては、お立場上、いま言明できないということ、もっともだと思う、やむを得ないと思います。  とすると、いま一度伺いますけれども、現時点においては、やはり公企業等によりますところによって公労協のストは違法だと、このように断定してよろしいわけでありますか、お伺いいたします。
  291. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 私は直接には公労法の解釈を申し上げる立場にございませんけれども、公労法十七条においては争議行為は禁止されていると、このように承知しております。
  292. 井上計

    ○井上計君 それじゃ国鉄お見えでございましょうか。きょうは総裁は御都合が悪いようでありますので、ひとつかわりにお伺いいたしたいと思いますが、いよいよ春闘シーズンになってまいりました。すでに新聞でも報道されておりますけれども、国労を中心としてまた大幅なスト計画がどうも持たれておるようでありますけれども、いまも御答弁がありましたけれども、要するに現法からまいりますと違法であるということでありますが、したがって、そのような違法ストが行われた場合、どのように対処されるお考えか、ひとつ承りたいと思います。
  293. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御指摘のとおり、公労法で禁じられておる争議行為でございますから、これが行われないように当局としてはあらゆる努力をいたしておるわけでありますけれども、具体的にどうかということになりますと、総裁から各組合に、争議行為をやるであろうという、これは正式にスト権がないものですから通告などはございませんけれども、新聞その他いろいろな情報からやるであろうという予想が立ちました時点で、警告書を出すということで、その他公式、非公式にいろいろな接触をいたしまして、やらないように説得はいたしますけれども、現実におっしゃるとおり行われているという実態でございまして、そうした場合には、これに対して法に基づいて処分をいたしておるということでございます。
  294. 井上計

    ○井上計君 まだこの春闘のスト計画についての警告はしておられないのですか。
  295. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) まだいたしておりません。
  296. 井上計

    ○井上計君 なぜされないんですか。
  297. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 組合のストライキが具体的になっておりませんし、やるかやらないかもはっきりいたしておりません。
  298. 井上計

    ○井上計君 それでは、従来の行われたストについての処分について、過去一年間でいいですが、どういうふうな処分をされておりますか。資料をお持ちじゃないですか。おおよそで結構です、お聞かせください。
  299. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 昨年の春闘につきましては、九月でしたか、参加者に対して処分いたしました。その後の問題についてはまだいたしておりません。
  300. 井上計

    ○井上計君 いろんな、どういうお考えか、どういう御事情か知りませんけれども、要するにほとんど事実上の処分がされていないということですね。したがって国民は大変不満に思っております。不況の中で苦しんでおる国民に迷惑をかけ、大変な損害を与え、そのような人たちに対する処分は、やっぱりもっとひとつ毅然たる態度でやっていただかないと、国民の不満は爆発するおそれがあるわけでありますから、断固たる処置をとられるようにひとつ要望します。  そこで、次いでお伺いしますけれども、従来、ストの場合、特に国鉄を一つ例にとってみますと、駅の建物あるいは列車等に、やたらべたべたとところ構わずポスター、ビラが張ってある。中にはペンキで大きな落書きがしてあるということですが、これは当然不法であろうと思いますが、どうですか。
  301. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 御指摘のとおり、私ども施設管理権を持っておるわけでありますから、これの許可なしにそういうことが行われるのは違法であります。
  302. 井上計

    ○井上計君 それについては、厳重な警告はその都度されておるわけですか。
  303. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) この種問題は現場で起こる問題でありまして、現場を管理しております管理局において、実際には具体的な方法を講じておるわけでございまして、私どもは、本社として、ただいま御指摘の方向で厳しい指導をいたしておりますので、現地管理局、具体的には現場それぞれにおいて処置いたしておるわけであります。
  304. 井上計

    ○井上計君 後ろの方で中小企業団体をどうするんだというお話ですが、国鉄等は国民の共通の財産ですからね、これを一労働組合のストのために、運動目的のためにあのように乱用されるということは国民感情として許しがたいということ、これはおわかりのとおりでありますから、今後とも断固たるひとつ処置をとっていただく、これは要望します。  そこで、いまちょっとお話がありましたがね、これらの後の撤去、清掃を具体的にどういうような方法でなされておりますか、ひとつお伺いします。
  305. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 現実に張られてしまった場合、事前に予防するのが一番理想でありますけれども、張られてしまった場合には、当局の手でこれをはがすわけでありますけれども、最近では、組合と申しますか組合員と申しますか職員と申しますか、管理者並びに職員でこれをはがしておるというのが実態であります。
  306. 井上計

    ○井上計君 いま当局で、あるいは管理職ではがしておる、こういうことでありますけれども、はがしておる当局側、管理職、はがしておる時間は実は要するに出費になっているわけですね、当然、賃金の。これらについてどうお考えですか。
  307. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 厳密に考えれば、理論的に考えれば、そういうことも言えようかと思いますけれども、現実には業務に支障のない範囲で手持ち時間等を利用してやっておるわけでございます。
  308. 井上計

    ○井上計君 これ以上この問題について追及しても、水かけ論になるおそれもありますから追及しませんけれども、要するに、事実上の不当支出を国鉄当局側がなされておるというふうな事実があるわけですね。だから、特にひとつ今後とも、これらのことについては十分対処していただくということをお願いをし、そこでもう一つお願いしますけれども、目黒議員の多分委員長時代のことであったかと思いますけれども昭和四十七年に甲府の動労組織がビラあるいはペンキ等によって国鉄の施設管理権、所有権を実は侵害をしたということで、国鉄がこれを告訴されましたね。この費用についての弁償請求訴訟、これは五十年の七月に勝訴になっていますね。金額は十四万二千何がしでありますけれども、これについてのその後の処理はどうなっていますか。
  309. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) この処置でございますが、支払いにつきましては、五十二年の十月二十二日に延滞利息を含めまして二十万一千七百二円収納いたしております。
  310. 井上計

    ○井上計君 このようなケースはほかにありませんか。
  311. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ございません。(発言する者あり)
  312. 井上計

    ○井上計君 これ以上どうもお尋ねしておりますと、どうも後ろの方の方々が大変うるさいようでありますから、ひとつやめますけれども、きょうは自治大臣にお願いしたんですが、途中で取りやめましたのでお越しいただいておりませんが、地方においてもこういうケースがたくさんあるんですね。先般、ある新聞に出ましたが、東京都庁、去年の十二月に私が北海道に参りましたときにも北海道庁、全くひどい状態です。ぜひひとつこれらのことについても、きょうは自治大臣はお見えでありませんけれども、ひとつこういうことについても大いに対処していただくように、きょうお見えの大蔵大臣は所管ではありませんけれども、お伝えいただきますように……
  313. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 公務員部長がおります。
  314. 井上計

    ○井上計君 自治省お見えですか。それじゃ自治省ちょっとこのことについてお答えいただけませんか。
  315. 塩田章

    政府委員(塩田章君) お答えいたします。  御指摘のように、地方公共団体でも、職員組合等によりますビラその他の状況は、いま国鉄でお話がございましたと同じような状況がございます。いまお話のございました東京都あるいは北海道庁につきましては、最近、組合の方で自主的に撤去したというふうに聞いておりますが、全般的に必ずしもいろんな形で十全の措置がとられていないような状況でもございますので、この点、さらによろしく適切な指導をしてまいりたいと思っております。
  316. 井上計

    ○井上計君 十分ひとつ適切な指導をされますように希望しておきます。  そこで、会計検査院にちょっとお伺いしますけれども、いまいろいろとお答えいただきましたような後の事後処理等についての不当支出と思われるものについて、いままで検査をされた経緯がありますか。
  317. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) お答えいたします。  私ども検査に参りました場合に、一般経理の検査の際に、そういう支出があるかどうか、また原状回復がされていないような場合の請求をしているかどうかということについては、常々注意して見ているところでございます。今後とも見ていきたい、このように思っております。
  318. 井上計

    ○井上計君 じゃ、この問題は終わります。あとまだうんといろいろあるんですけれども、時間がなくなりましたので終わりますが、ぜひひとつ毅然たる態度、国民が納得するような、そのようなひとつ姿勢をおとりいただくように、重ねて要望いたしておきます。  次に、厚生大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、厚生大臣はもう健保行政の専門家でおられるわけでございます。十二分に御承知のことをあえてお伺いいたしますのは、医療費の増高の中で、健保財政の赤字解消のために大変な御努力はよくわかります。そのための保険料率の引き上げということも考えておられます。健保法の抜本改正も当然お考えでありましょうけれども、ところが、見落としておられる問題が幾つかあるというふうに思うんです。その一つに、社会保険診療支払基金の問題があると思いますが、その支払基金の現状についてどうお考えでありましょうか、お尋ねをいたします。
  319. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 支払基金の審査機能につきまして、十分努力はしていただいているとは思いますけれども、まだまだ実は不十分な点がたくさんあると思いますので、特に被保険者と直接関連がないわけでございまして、事業主と違いますから。そういう面でどうも不徹底なところがあるだろうと思っておりますので、一層ひとつ指導を徹底したいと考えております。
  320. 井上計

    ○井上計君 厚生大臣はもう十二分に御存じだというふうに私は思っておりますが、お立場上、きょうは明確などうもお答えがないようであります。実は、先般、決算委員会で厚生省の保険課長に私はこの支払基金の問題をかなり詳細に質問をし、お答えをいただきました。余りにも不合理だと、そして事実上無審査に等しいというふうなことがあるという事実も私は承知をいたしております。これをもっと改善をしていかなければ、まあ言えば、ざるで水をすくうようなことになるんではなかろうかというふうな懸念もありますが、どうお考えでしょうか。
  321. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 審査委員にその人を得るということがなかなか――まあ専門職でございますので、他の職業との一般的な何といいますか、こう関連からなかなか人を得ない面がございますが、しかし、審査委員そのものは、若干の例外を除きますと、熱心にやっていただいている方々ばかりだと思います。ただ、私、政府管掌についておっしゃるような御批判がありますのは、やはりこれは事業主との関連が、どうしてもその保険官署と支払基金だけでございますものですから、このやり方について改善をしたいと最近実は私自身考えておるわけでございまして、事業主と保険官署を入れました審査を十分やりまして、その上でさらにこの支払基金の審査能力を増していくということをやるべきじゃないかなというふうに私は感じておるところでございます。
  322. 井上計

    ○井上計君 細かい資料等を持っておりますけれども、時間がありませんから詳しくお尋ねをすることは省略しますけれども、私は、この支払基金をこの際運営を抜本的に変えていく、特に支払基金法の改正も当然必要だと思います。それに伴って監査委員会等を設置して、もっと適切公平な審査をやれば、少なくとも支払基金から支払っておりますところの医療費一五%から二〇%は自然に節減できるという気がするんですね。そうすると、政府管掌の健保だけでも三千億円から四千億円ぐらいは節減できるというふうに考えておりますが、どうでしょう、厚生大臣、どうお考えでしょうか。
  323. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 先生も、かつてそういう保険の仕事をいろいろおやりになった経験もございますので、そういう面からいろいろ検討した結果の御意見だろうと思いますので、私どもよく傾聴いたしますが、従来の支払基金にさらに別に監査機能を別の機関として設けるというようなことでやりましても、どういうような方々にそこに入っていただきますか、その人を得うるかどうかという問題もございますし、しかし、一つの提案でございますから、私よくまた御意見を十分後でも承りまして、改善すべき点があればぜひやっていきたいと思いますけれども、いま具体的などういう御提案なのか、それを聞きませんと、なかなか私は判断できません。
  324. 井上計

    ○井上計君 厚生大臣、もう一つ、これは大変なことだと思うんですが、健保連では幾ら経営努力をしてもどうにもならぬと、これでは、支払基金がこういう状態では。そこで支払基金との間の契約を解消したいという強い声がどうも最近起きている、こう聞いております。これがもし解消ということが行われたら、どういう事態になりますか、お伺いします。
  325. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 支払基金の業務をいま変更をする、あるいは健保組合がこれを解約するということになりますと、政府管掌等の仕事、その他の若干の保険の種類はございますが、非常に大きな影響がございますので、人員が恐らく大体まあ半分、約四割は減少しなければならぬだろうと思っております。雇用問題等もありますので、そういう事態にならないように、できるだけ審査機能の充実を図るような基金自体の改革を考えていかなければならぬだろうと思います。
  326. 井上計

    ○井上計君 ぜひひとつ、そういうふうな不満を解消するためにも、早急に抜本的な御検討をお願いをしておきます。  時間がなくなりました。次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、非公開株式の譲渡、相続の問題であります。すでにこの問題については、わが党からもうおととしあたりから大蔵省に要望しておりますし、先般の衆議院の予算委員会でわが党の塚本書記長が、質問の中の一部に実は加えておりますから、御承知だと思いますけれども、現在、どのように御検討をしておられるか、この改正、改善についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  327. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 井上君、時間が来ております。
  328. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは、実は、衆議院の大蔵委員会におきましても非常に詳細に質問がございまして、問題は、評価の問題と、あるいはいよいよ納めるものがないときに、それを物納で認めるかどうかという点に集約されたわけでございます。評価につきましては、非常にむずかしい話でございますけれども、なお検討を加えてまいりたい、より精緻なものにしたいという結論でございましたが、しかし物納につきましては、いままではやはり換価が非常にむずかしいわけでございますので、原則として物納をお断りしておったわけでございます。しかし、その株しかないという者にとりましては非常に困るわけでございますし、その納税者の側に立ちますと換価が容易でございませんので、できるだけ物納の方向で、ひとつ本当にお困りのやつは物納を認める方に検討いたしましょうと、こういうことをお約束申し上げたわけでございます。
  329. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  330. 井上計

    ○井上計君 物納はやや前進だと思いますけれども、しかし、現状では、中小企業の苦労した人の創設者の後の後継者が事実上事業継承できないというケースが起きております。十分ひとつ至急に御検討いただきたいと思います。  それから一つ、五十三年度の税制改正の中では投資減税の問題であります。中小企業に対しての投資減税は特別償却とぜひ併用していただきたい、そうしないと景気浮揚の効果は全くと言っていいほどないのではないか、さらに五十三年度単年度だけでなしに、せめて五十三、五十四の二カ年間にわたってぜひお願いできぬものであろうか、こう考えておりますが、いかがでしょうか。
  331. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この問題も税制調査会で非常な検討が行われまして、どちらかと言えば、やはり増税が目の前に見えておる、しかも企業優遇税制ということは一体どんなものであろうかという意見が非常に強くって、投資税額控除については、どちらかというと否定的な人も半分ぐらいあったわけでございますが、そこのところはやはり景気対策として大事だからということで特に一年に限ってやるということ、これによりまして、計画を繰り下げていこうというものに対しては歯どめ効果をねらい、それから先に延ばそうというものについては繰り上げ効果をねらっていく、しかも特別償却と振りかえで特に好況業種にボーナスを与えないという意味で、中小企業投資とそれから省エネルギー、公害防止に限定したわけでございますので、ちょうど両説の接点に当たっているわけでございますので、今度の案がようやく得られたベストの案ではないか、こう思っているわけでございまして、現在のところ、残念ながら継続する考えは持っていないのでございます。
  332. 井上計

    ○井上計君 終わります。(拍手)
  333. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で井上君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  334. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、市川房枝君の一般質疑を行います。市川君。
  335. 市川房枝

    ○市川房枝君 まず稻村総務長官にお伺いしたいと思います。  長官は、国際婦人年に際して内閣にできました婦人問題企画推進本部の副本部長を今度なさることになったわけでございます。それから総理府にいま婦人問題担当室というものができまして、そこも長官の指揮下にあるわけでございます。そこで、私どもは、長官の婦人に対する態度といいますか、あるいは婦人問題に対する基本的な方針というものを伺っておきたいと思います。
  336. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  男女、平等の原則で昨年の一月に国内行動計画を作成いたしました。できるだけ婦人の方々らにあらゆる場面において参画を求めるように、しかもその位置づけの問題についてもできるだけ婦人の地位向上と、こういうことで全力努めておるわけであります。ぜひまた先生の御指導、御鞭撻を切にお願いを申し上げておきたいと思います。
  337. 市川房枝

    ○市川房枝君 次に長官にお伺いしたいのは、数日前の記者会見で、長官は、婦人の日を祝日とすることについての世論調査をして、そして早急にそれを祭日にするということの決意をお持ちになっているように伝えられておりますけれども、これは本当ですか、それを伺いたい。
  338. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) 婦人の祝日の問題でありますが、各政党の中でもこれに関していろいろな御意見もありますし、また世論の中でもいろいろな御意見がございまして、行政といたしましてこれにいつでも対応できるように調査をしておくことがいいのではないかと、こういうような形で調査方を指示したわけであります。
  339. 市川房枝

    ○市川房枝君 調査の問題は別にしまして、五月五日の子供の日は男の子の祭日なんだと。だから、現在、保育所や幼稚園なんかでは、男の子も女の子も一緒にお祝いをしているわけなんです。それをいまさら男の子と女の子の祭日を別につくるということは、そういう必要があるかどうか。  それからまた、婦人の日というお話がいまちょっとありましたけれども、これはさっき長官がおっしゃいましたように行動計画で男女平等ということをはっきりと決めておるわけでありまして、それをいまさら婦人の日というものをつくるのはむしろ男女差別になるので、そこで女の日を祭日とするのなら男の日も祭日にしなきゃおかしいと、こういうことにもなるのじゃないかと思います。私はひな祭りやあるいは端牛の節句を家庭で祝うことはそれは結構だと思うのです。そしてまた、休日になれば、女ばかりでない、男の方々もきっとお喜びになる方があるかもしれません。もっとも、中には、日当で働いている方たちは、お休みができたらちょっと困ると、そういうこともあるかもしれませんが、はっきり申し上げて、私は、いまさら三月三日、四月十日、やれ婦人の日だ、女の子の日だというものをつくることには反対の立場でございます。私だけでなくて、婦人議員の大部分の方がこれに反対ですし、自民党の婦人議員の方も強硬に反対しておられます。それは御存じですか。
  340. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  婦人の日を祝日を設定するということについていろいろ賛否両論あるわけです、実は。そういう意味で、三月の三日がいいのか、四月の十日がいいのか、五月がいいのか、あるいはつくるのがいいのか、あるいはまた婦人の日としてこれを祝日としてつくることがいいのかと、まあこういう問題を含めながら、いつが都合がいいとか、いつがこの日でなければいかぬとか、婦人の日をつくるんだとかということでなく大変いろいろな議論が出ておりまして、また与野党の婦人の議員の方々らの反対もあることも私はじかに陳情じゃなくおしかりを受けているのですからよくわかっています。しかしながら、そのほかの婦人の方らもこれに大変賛同される方もおられると、こういういろいろなことを踏まえながら対応すべく調査の指示をしたと、こういうふうにぜひ御理解を賜りたいと、こういうふうに思うわけです。
  341. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ調査の段階は別ですけれども、いよいよ祭日になるときにはまたいろいろ私ども意見を申し上げたりなんかしたいと思っているのですが、今度の問題で私は国民の祝日に関する法律を実はもう一遍調べてみたんです。それで、「こどもの日」のところには、それはまあ男の子、女の子なんて書いてない、子供の人格を尊重してと書いてあります。そして、おしまいでもって「母に感謝する。」と、こうつけ加えているんですよね。実はこれを見て少々驚いたのですが、どうして子供の日に母親だけに感謝するということにしたのでしょうか。父親も子供のためにずいぶんいろいろ御苦労なすっていただいているのだから、むしろここは私は「両親に感謝する。」と、こういうふうに直してもらいたいというふうに思うのですが、長官の御意見はいかがですか。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  342. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  長い歴史の中の定着と申しますか、やはり母親に感謝をするというこういう念がどうしても定着をしているわけです。いま男にも感謝をしなきゃならぬと、こういうことを聞きまして、これは私も大変ありがたく思っておるわけでございますが、男、女ですね、やはり平等に感謝の念を抱かせて、感謝の念を持っていただくということは大変結構なことだと思っております。
  343. 市川房枝

    ○市川房枝君 長官にはなお所管をしておられる売春対策審議会とかあるいは青少年対策本部の問題について伺いたいのですが、時間がありませんので、それはまた後日にやります。  次は、外務大臣がおいでになっていますからちょっと伺います。単刀直入に伺いますが、現在外務省には婦人の公使が一人おいでになりますね。これは三木内閣のときの宮澤外務大臣が任命をされたのです。園田外務大臣、婦人の大使とか公使とかを任命してくださる御意向がございますかどうか、それをお伺いしたい。  それからもう一つは、国連の通常総会には、外務省はいつも婦人の代表あるいは婦人の代表、代理を加えてくださることになっておりますが、この五月に開かれる原爆に関する特別総会にも、特に平和の問題でありますから、婦人の代表を加えていただきたいと思いますが、それについて大臣のお考えをちょっと伺いたい。
  344. 園田直

    国務大臣園田直君) 私としても適任者があれば女性の大使、公使の起用を検討したいと考えております。なお、女性の場合は本人の適性、家庭の事情と別にいたしまして、任国の事情、生活環境等に政府の方でも配慮しなきゃならぬし、女性本人の方でも自覚を願ってひとつ御勉強を願いたい、こういうことで、現在御承知のとおりに国連に公使がおりまして、きわめて成績優秀で評判もよろしく喜んでおります。ところが、まだ認証官である特命全権大使、公使がおりませんので、ぜひひとつ女性から特命全権を起用するようにただいま事務当局に検討を命じておるところでございます。
  345. 市川房枝

    ○市川房枝君 外務大臣のそのお言葉を聞いて大変にうれしいと思っております。ぜひ実現をさせていただきたいと思っています。  それから大臣にもう一つ、去年の国連の総会で、国際婦人年に引き続いて設置された国連婦人の十年の中間に当たる一九八〇年に、イランの国で世界婦人会議が開かれることが決定したと思いますが、外務省としてはどんな準備をお進めになっておりましょうか。
  346. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 国連婦人の十年というのは一九七六年から八五年までの十年間でございまして、それのちょうど真ん中ごろに当たります一九八〇年に約二週間の予定で、イランでただいまおっしゃいましたような世界会議が開催されることになっております。これはもちろん国連婦人の十年で定められましたいろんな目標を推進するということに役立つ観点から、私どもとしてはもちろんこれを歓迎するところでございまして、国連におけるいろんな準備作業にも作業にも積極的に参加し協力する予定でございます。  もう少し具体的に申し上げますと、ちょうどだだいまニューヨークで国連の婦人の地位委員会が開催中でございまして、そこでいろいろいま具体的な検討が始まっております。それから、さらにこの会議のための準備委員会を特に設置することになっておりまして、その国の数は二十三カ国と決まっておりまして、この四月からニューヨークで始まります国連の経済社会理事会の春会期においてそれの選挙が行われる予定でございます。日本はその選挙にもうすでに立候補して、アジアグループの公認候補国の一つになっておりますので、まず準備委員会のメンバー国になることはまずまず間違いなかろうかと思います。第一回の準備委員会は六月にニューヨークで開かれますので、それに積極的に参加して、そこで出てきました結果を踏まえて国内の準備を進めてまいる所存でございます。
  347. 市川房枝

    ○市川房枝君 この機会に外務大臣及び総務長官にちょっと御報告を申し上げておきたいと存じますが、この二十三日に超党派で衆参議員の方々二十三名、そのうち男性議員の方が十四名、婦人議員九名で、国連婦人の十年推進議員連盟というものをつくろうということになって、その発起人会を実はいたしました。ほかの議員の方々の賛成も得て、そして四月の十一日にその結成の会をすることに一応決定をしておるわけです。これは衆議院並びに参議院で国際婦人年のときに婦人の地位向上に関する決議を満場一致でしていただきましたのに引き続いて、婦人だけでなく男子の議員方の御協力も得たいということでこういうことが進んでおります。外務省並びに総理府は直接関係ありますので、ひとつ今後御協力をいただきたいと、こうお願いを申し上げておきます。  次は、政治資金の問題について自治大臣並びに自治省当局に伺いたいと思っております。  自治省は、昨年の九月十日に新しい政治資金規正法による最初の五十一年の報告を官報やあるいはマスコミに発表されましたが、あれは二号団体と三号団体だけの数であったと思うのですが、そのほかに一号団体、つまり地方の府県にある政党の支部並びに政治団体、これも政治資金を使って政治活動をやっているわけですが、その一号団体にどのくらいの金が行っているか、自治省で御調査がありますかどうか、まず伺いたい。
  348. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) お答え申し上げます。  お尋ねの一号団体と申しますのは都道府県の区域内で活動を行う政治団体でございまして、その収支報告書は都道府県の選挙管理委員会に提出され、それぞれの都道府県の選挙管理委員会から公表することに相なっておりまして、その分についての総額は幾らかというお尋ねでございますと、実は私どもの方ではそのような四十七県分につきましては集計をいたしておらないわけでございます。したがいまして、一号団体から三号団体までの集計というものもないわけでございます。これに対しまして、すでに市川議員も御承知のとおりでございますが、私どもの方では二号団体それから三号団体、すなわち二県以上の区域にわたって活動する政治団体と政党とそれから政治資金団体、この三つのものにつきましては、これは自治大臣に報告を求めまして自治大臣の方から公表いたしておる、こういう次第でございます。
  349. 市川房枝

    ○市川房枝君 一応、二号団体、三号団体は自治省に届け出ることになり、一号団体は地方の選挙管理委員会に届け出ることになり、それぞれ集計しているというか整理して御発表にはなっておりますね。けれども、地方で整理して計算したものは自治省に全部送ってくることになっていますね。それを自治省では全然計算をなさらないのか。まあいろいろ人手の関係もありますからまだそれに御着手になっていないのかわかりませんけれども、それは自治省としては当然その計算をしていただいて、そして国民日本の国内においての政治活動のための政治資金というものはどれくらい使われているかということをやっぱり知らせていただきたいと、知らせるべきであると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  350. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 御意見のように、都道府県分も含めまして公表すべきであると、そういう御意見もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、一地方で活動する都道府県選挙管理委員会が所管します政治団体と、それから全国的に活動いたしますいわゆる国政レベルの政治団体と、これを集計いたしますよりは、むしろ別々に集計し別々に公表するということの現行制度の方が実情に合っているのではないか、こう考える次第でございます。
  351. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうなりますと、政治資金規正法の中に、たとえば企業あるいは労働組合政治献金の限界、制限というものが規定されておりますね。それで、それは地方の団体だけでなくて私は地方の支部を含むべきだと思うのだけれども、その点はどうですか。その制限の違反といいますか、あるいは制限外にどの程度企業なり労働組合政治献金というものが一体支出されておるかという調査がございますか。
  352. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 私どもの方では、報告の提出されましたものを客観的に、国の場合には官報、県の場合には県公報で公表するということでございまして、いまお尋ねのような実質的にどこに違反があるかというようなことについては承知をいたすような仕組みになっておらないわけでございます。
  353. 市川房枝

    ○市川房枝君 実は私、前から政治資金の少し調査をやったりしておりますが、いままでは、自治省が官報で、あるいはマスコミに御発表になっておりますのを拝見をしておったのですが、しかしそれではさっき言いましたように、日本全国においての政治資金ではないのであって、やはり地方のも調査すべきだと。で、いま自治省からお話がありましたけれども、ちょっと自治省に伺いましたらそんな調査をしていないと、こういうことでございましたので、それじゃ私の方で調べてみようかというので、全国の各選挙管理委員会からそれぞれ県報あるいは県の公報なんかで御発表になりました一号団体の政治資金の報告書をいただきまして、一月ばかりかかって調査をしてみたんです。まだ十分な調査ではないんですが、その数字を表にしてここにありますが、これを申し上げる時間もないし、これは後で自治省にも差し上げようと思っております。あるいは政党の方で御希望の方ありましたらこれも差し上げますけれども、それによりますと、結局、中央の本部といいますか、二号団体、三号団体による政治資金はマスコミに御発表になったように六百九十三億円なんですが、その一号団体を私の方で沖繩まで各四十七県にわたって全部調査をし集計をいたしましたら、その合計が四百四十六億円、端数を省きまして、ということになるわけです。まあ幾らか中央のよりは少ないのですけれども、しかしかなり多くて、両方合わせますと千百三十九億円と。これが現在の、五十一年の日本においての政治資金、政治活動に要した政治資金だと、こう言うことができると思います。  もっともその数字には、自治省の方のマスコミ発表のには繰越金を含んでいないのですが、私の調査しておるのは繰越金を含んでおります。もっとも自治省が官報に発表なすったのには繰越金を含んでおいでになりますね。あれはどうして別にしたのですか。自治省の発表ののは、五十年まではやはり繰越金を含んでおったのですね。なぜ五十一年から繰越金を含まないで――調べてみるとやっぱり一割ぐらい違いますよね。そういうふうになすったのかをちょっと疑問に思うのですけれどもね。その点はどうですか。
  354. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 前段お話のございました、市川議員の方で御計算くださいまして一号団体分が非常に多くの額になったというお話でございますが、自治省で公表いたしております二号団体、三号団体は、これは大体対象が二千二百団体現在ございます。このうち、この間公表されましたのは一千七百三十六団体であるわけです。それに対しまして、一号団体というのは全国でそれぞれの地方で二万四千団体ほどございますのでやはりそういった数字になるのではなかろうかと、こう思うわけでございます。  それからもう一つは、後段の方でございますが、繰越金の取り扱いとかあるいは発表の仕方につきましてでございますが、これは私どもといたしましては旧法時代からこの取り扱いについては全然変えておりません。特に変更いたしておりません。  そこで、お尋ねの五十年度の新聞報道と五十一年度の新聞報道に違う点がありましたといたしますならば、新聞各社におきます取材の方針といいますか、取材のあり方ということの違いではなかろうかと、こう思う次第でございます。
  355. 市川房枝

    ○市川房枝君 自治省がマスコミに発表なさった数字について私は言っているのです。しかし、この問題は大した重要な問題でありませんから……。  それから一号団体の届け出の団体数は、私どもで調べたのでは一万六千三百四十二団体でございます。中央の方は、いまお話しのように二号団体は千七百二十八団体、三号団体は政党及び政治資金団体は八ですね。そういうところで計算をしているんです。そこで、地方の報告書が全部あるのです。ここに少し持ってきているのですが、これを見ますと、ずいぶん形式といいますか表現の仕方がまちまちであって、それでなかなかわかりにくいのですよ。その中でわりにわかりいいのは三県、三重県と島根県とそれから佐賀県と三県だけはわりにわかりよく収入支出を対照して出しておりますが、その中でも特に一般の国民にわかりやすく表現されているのは佐賀県です。佐賀県の公報、これは私ども非常に感心をしたわけですが、自治省は、そういう形式といいますか書式といいますか、そういうものに対しての各地方の選管に対しての行政指導をしておいでになりますか、どうですか。
  356. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 発表の様式につきましては、政治資金規正法施行規則に定めのありますこの様式に準じて各団体で公表するように、従来とも指導してきてまいっているところでございますが、実際においてまちまちのところもあろうかと存じます。これは今後におきましてもより合理的になるように指導してまいりたいと考えております。
  357. 市川房枝

    ○市川房枝君 政治資金規正法の目的は、「その政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、」とはっきり書いてあるのです。ということは、一般の国民がこういうものを見て非常にわかりいいと、庶民にわかるというような形式といいますか、工夫をしていただくべきであって、そういう点から言いまして、私どもこういうものをずっと調べております立場から言うと、法律の改正じゃありません、単なる行政の、自治省のやり方でずいぶん変えられる点が多々あると思うのです。まあしかし、その一々を申し上げる時間がきょうはありませんから、改めてそれは一遍直接お目にかかって申し上げてみたいと思うのですが、ただ、そんなことを聞いたってしようがないんだとおっしゃられると言いに行く勇気もないのですけれども、そういう点をある程度参考にして、国民にわかるようにしていただけるということでありますかどうですか、その点。
  358. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 御意見ではございますけれども、前回の政治資金規正法の改正の際に、相当その発表様式を詳細にするということで改善されたわけでございます。ここに資料を持っておりますけれども、たとえば収入のうちで寄付につきましては、個人の党費、会費もこれも寄付とみなして一欄を設ける、それから純粋の寄付につきましては個人分と団体分に分ける、それからさらには政治団体から来た分について分けるといったようになっておりますし、さらには従来は寄付以外の収入というのは一本化して一括で報告ということになっておりまして内容の明細が不明であったわけでございますが、今度は、「機関紙誌の発行その他の事業による収入」それもいろいろとこの中に細分して書きなさい、さらには「借入金」という欄も設ける、それから「その他の収入」という欄も設けるといったふうに、相当改善をいたしているつもりでございますが、しかしこういうものにつきましては、さらに一段と検討してまいる必要があるかと存じております。
  359. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまお話しのような点ですね、よくなった点は私どもも認めます。その上に、簡単なことでわかりやすくすることをひとつ考えていただきたいと思うのです。  それから地方の各府県の報告書を見ておりますと、政治団体は百五十万円以上の寄付金を一つの企業から受けてはならぬわけでしょう。ところが、その違反が大分あるのですよ。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕 全部をまだ見ていないのですけれども、幾つか取り出してみましたところでは、北海道では千百七十七万五千円というのがあるのですよ。それから五百万円、三百万円、二百万円なんというのがあり、それから北海道だけでなくて兵庫にも香川にも千葉にも群馬にもそういう違反がちょいちょいありますが、そういうのはどうなさいますか、そのままほうっておくのですか。
  360. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) ただいま御指摘の件につきましては、市川議員の本日突然の御指摘でございまして、実は私どもは承知いたしておりませんでした。したがいまして、これは早急に調査をしてみたいと考えております。
  361. 市川房枝

    ○市川房枝君 それから地方のを調べてみましていろいろな点に気がついたのですが、もう一つは、政治団体ですね。政治団体は、その寄付は百万円までは内容を報告しなくてもいいのですね。それで、地方の政治団体なんかで百万円以下のものが多いのですか。数字だけは出ていますけれども、一体その金がどこから来たのか全然わからないのですよ。それで、政党の方は一万円以上のは届けるのでしょう。だから、どうして政党と政治団体というのが百万円というようなこんな開きがあるのか。だから、もっとこれは私は引き下げる、少なくとも十万円までぐらいといいましょうか、ぐらいにしないと、結局政治資金の内容がわからないのですね。その点いかがですか。
  362. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) この点の区分につきましては、先ごろの政治資金規正法の改正の際に御検討いただいた結果このように決まったわけでございまして、決まったばかりでございますので、私どもとしましてはしばらくこの施行の状況を見て考えていく必要があると考えている次第でございます。  ただ、御意見の中で一号団体とは申しますものの、その中で政党の支部につきましては、これは読みかえ規定がございまして、一万円まで報告することになっております。したがいまして、県支部であれ、市町村の支部であれ、一号団体のうち政党の支部は一万円まで届け出をすると、こういうことに相なっております。
  363. 市川房枝

    ○市川房枝君 政治資金のことについて伺いたいことはまだたくさんありますけれども、時間がありませんので、最後に政治資金のあり方を、この間の新政治資金規正法が実施された後五カ年たって、その実施の結果によって再検討すると、そういうのが政治資金規正法の附則の第八条にあるわけなんですが、それで、それに対してこの間のこの委員会においても、三月八日のこの委員会でのどなだかからの質問で、福田総理は、企業献金の制限の方向で改革したいと、企業献金を制限するという方向で改革したいとおっしゃっていましたが、この点自治大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたい。
  364. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 予算委員会におきまして福田総理答弁いたしたのを私もじっと聞いておったのでございますけれども福田総理は、企業は社会的な単位なんだと、したがって企業献金を禁止することはできないと思うけれども、ただこれからの方向といたしましては、企業献金に多くを頼るよりも個人の献金という方向へ逐次持っていきたい、かような考え方の表示があったと承知をいたしておるのでございまして、私もまた同様に考えておるところでございます。
  365. 市川房枝

    ○市川房枝君 私はこの委員会でも何回か御質問申し上げたことがあるのですが、企業からの政党ないしは政治団体あるいは議員個人に対しての献金はむしろ禁止して、その政党を支持する個人からの寄付にすべきだということを何回も申し上げておるわけです。それは結局、企業と政治との癒着を強くし、そして結局はロッキード事件のようなことが出てくると、こういうことになる点が一つありますけれども、もう一つは、私は結局企業献金に頼るということは政党そのものを弱体化するんだと。結局、政党としては党員をふやしその党費で費用の大部分を賄い、足りない分はそれを支持する個人から寄付をもらってもいいわけですけれども、やっぱり一度にたくさんの金が来るというと、党員募集がめんどうだし、金を集めることもめんどうだし、ついそれに頼ってしまって、そして党員をふやすというか、あるいはそれを維持するというか、あるいは会費を徴収をするということなんかがおろそかになってしまう、こういう結果になるということを私は非常に心配をして、むしろその点に重点を置いて主張してきたつもりでございます。  自民党は、いままで中央部の費用は九十何%まで財界の献金に依存しておいでになったのだけれども最近個人献金をお進めになっておるようだし、ことに現在は党員を非常に全国的にふやすことに努力しておいでになって、ずいぶんたくさんの党員ができたように新聞で拝見します。もっともこれは総裁選挙に対しての派閥の競争だという説もあるのですけれども、とにかく党員をたくさんふやして、そして党費を取るという傾向は私は大変結構だと。いや、社会党も百万党員をこの前お決めになったようで、党としてはそういう方向に向かっていっているのも私は大変うれしく思っておりますが、そこで、見直しの場合には、企業献金を制限の方向でと総理もおっしゃり、いま自治大臣もそれに御賛成の御意見をおっしゃっておりましたけれども、むしろこの際、企業献金を禁止してそして個人にすると、その政党を支持する個人の寄付は認めると、そういう方向でいくことが私は各政党の健全なる発展というか、いや日本の民主主義政治の機能を確立することになるのだと、こういうふうに思いますので、自治大臣に特にその点をお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、少女売春のことについて少し伺いたいと思っております。  売春の問題についてはいろいろありますけれども、特に、最近、中学生、高等学校の女の学生の売春がだんだんふえてきているということが伝えられておりますので、その問題に限って簡単に伺いたいと思います。この問題は、厚生省も警察庁もあるいは法務省も文部省も御関係があると思いますが、そういう方々に、特に学生を中心としての少女売春についての現状と、それに対する対策を簡単に伺いたいと思います。
  366. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 警察庁からの調査も文部省で受けておりますのでお答えをいたします。  昭和五十二年におきます少女の売春が三百五十六人となっております。内訳は、中学生が二十四人、高校生が百六十二人、その他が百七十人に上がっております。まことに心の痛む残念な事態でございます。こういう売春を含みます少女の性の逸脱行為の背景といたしましては、性解放の社会的な風潮でありますとか、家庭のしつけの欠如、一部のマスコミによりますところの性情報の余りにも行き過ぎたはんらん等、こういった事態が背後にございまして、文部省といたしましては、警察庁からこういう調査結果等を受けまして、個々の具体例をその背景等を教育委員会等を通じて調べるのでございますけれども、まことに複雑な事態が後ろに絡み合っているところでございます。学校といたしましては、学校教育におきまして、性教育というものを、児童生徒の心身の発達状態に伴いまして、小学校、中学校、高等学校で、それぞれ一時代前から考えますと考えられないほど盛りだくさんなものを中に含めた教育内容をもって指導をいたしておりますし、その指導いたします教師たちの研修機会等も、その勉強に使ってもらいます資料等も相当充実したものが使われているのでございますけれども、むしろ現実の事態は悪化をしている。きわめて残念な事態に考えているところでございます。授業内容等また御質問がございましたならば後刻お答えをいたします。
  367. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 警察庁の方からお答えを申し上げます。  中・高校生の少女売春というのは年々増加をいたしておりまして、先ほど概要については文部大臣から御報告のあったとおりでございます。警察庁としての方針でございますけれども、少女売春の要因というのはいろいろ複雑多様なものがございまして、しかしながら、方策としては、一口に言えば、このような要因を除去することだというふうに思っておるわけでございますが、警察庁といたしましては、このような観点に立ちまして、この売春少女の早期発見、補導に努めるとともに、少女を食い物にする福祉事犯の徹底した検挙、特に暴力団の取り締まりを強化していくということが必要であろう。また、少女に有害な影響を与えるところの環境を早急に浄化していくということが必要であろうというふうに考えているわけでございます。しかしながら、このような対策は警察庁だけではできないわけでございますので、関係機関、団体、特に学校、家庭等との連携を強化いたしまして促進をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  368. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私どもは児意福祉法の施行の任に当たる者といたしまして児童の福祉と健全育成を図っているわけでございますが、その観点から見ましても、少女のそうした売春等についてははなはだ残念に思っております。児童相談所、あるいは福祉事務所の中の家庭児童相談室、あるいは児童委員等を中心にいたしまして、児童本人はもちろんでありますが、家庭、学校、地域社会と連携をとりながらできるだけ指導の充実を図りたいと、かように考えております。
  369. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 私どものいたしております努力につきましては、警察の御報告になりましたこととまずダブる部分が多いわけでございます。そのほかに、私どもとしましては、やはり何といっても少女をそういう状況に追い込む大人を徹底して規制しなければいけないということでございまして、一例を挙げますと、十八歳未満の少女に淫行させます罪というのが児童福祉法にございますわけでありますが、たとえば昭和五十二年度におきまして五百十件の事件を受理いたしておりまして、そのうち八四%程度を起訴いたしております。これは普通の刑法犯の事件の起訴率が大体六〇%でございますのに比較していただきますと、ある程度検察の運営としても厳しくそういう大人を取り締まる体制をとっておるということがごらんいただけるかと思います。
  370. 市川房枝

    ○市川房枝君 児童福祉法の三十四条では、いまもお話がありましたけれども、未成年の女子に売春をさせた者は処罰される対象になっておりますね。ただし、その相手方となった里子は全然処罰されていないわけなんですが、その売春をさせた者という者の解釈なんですけれども、その中に相手になった男子というものも入りませんか。あるいは別にそうするためには法律を改正して一項目つけ加えなきゃならないのかどうか、それを厚生当局にちょっとお伺いしたいと思います。
  371. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 児童福祉法の三十四条の規定では「淫行をさせる」という規定でございまして、これは従来その立法の趣旨とそれから従来の行政解釈並びにいろいろ裁判所の判例がございまして、それらを通じて一貫して相手方についてはこれは含まないと、こういうことでございます。
  372. 市川房枝

    ○市川房枝君 一応の法律のそのままの解釈では入っておりませんわね。ただ、府県で制定されている、いま青少年保護条例というものが各県にあるようですが、その中には相手方の男子も処罰する規定が入っているところが相当あるようですけれども、青少年保護育成条例についての御説明は、これはどこが所管になりますか。
  373. 石野清治

    政府委員(石野清治君) これは総理府の所管になるわけでございますけれども、青少年保護育成条例が各県に設置されておりまして、全部で三十八県設置されておりますが、そのうちで相手方を処罰するそういう規定ございますのが二十四県、それからそういう罰則がないものが三県、それから全くそういう規制がないものが十一県と、こういう状態でございます。
  374. 市川房枝

    ○市川房枝君 ちょっと続いて伺います。  児童福祉法では相手方の男は処罰できないということになっている。それを育成条例では相手方も処罰するのが二十何県あるとおっしゃったのですけれども、そういうことは法律として構いませんかどうか。それは法務省の方に伺った方がいいですか。
  375. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) お答えいたしまする前に、検察の実務といたしまして一つだけお断りしておきたいと思いますが、児童福祉法の淫行させた者というのには相手の男は普通入らないわけでございますけれども、学生の売春婦を探してきてくれというようなことをだれかに言いまして、その言われた人が探してきてその者と自分が淫行をするというようなケースは、児童福祉法違反の教唆ということで処断をいたしておりますので、それをまずお断りいたしておきます。  それから児童福祉法ではただいま申しますような構成要件になっており、二十数府県におきます青少年保護育成条例では児童と淫行した者を処罰するということになっておるのが二十幾つあるわけでございます。結局、国として児童福祉法の体系においてそういう少女と性交をした者は処罰をしないんだという意味で法律ができておるといたしますと、条例はこれと矛盾しますから、条例は不都合だということになりますけれども、児童福祉法で淫行させたとしか書いてないからといって淫行した者を国としては罰してはならないという意思をあらわしておるわけではないと思いますので、その補充的なものとして都道府県の条例がそういう罰則をお定めになっておる。これは適法であろうと存じております。
  376. 市川房枝

    ○市川房枝君 最近の新聞なり週刊誌にちょっと出ておりましたけれども、埼玉県の児玉町に孫のある五十七歳の町会議員が、去る二月ごろですか、神奈川県の伊勢原市で十七歳の高等学校の女子学生をモーテルに連れていって、たまたま警察に見つかって調べられたのですけれども、何の処罰もなく放免されたと。しかし、地元の議会でそれが問題になって、最近議長はその責任をとってですか何かやめられたらしいし、しかし本人は平気らしいんだけれども、婦人団体から辞職の勧告を受けるとかなんとか、大分児玉町では騒いでいるみたいですけれども、私は、そういう、ことに中学生、高等学校の女学生なんかの相手が中年のというか、高齢のといいますか、ことに名誉職にあるそういう人が相手になっているような場合、これは処罰してもいいのではないか、そういうふうに思うのですが、文部大臣はどうお考えになりますか。
  377. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 直接の私の担当のことではない御質問でございましたが、文部大臣として大事な小学生、中学生、高校生でございますから、同じような感じを文部大臣としては当然持ちます。
  378. 市川房枝

    ○市川房枝君 最近、九州地方の知事会議あるいは近畿売春防止大会で、やっぱり未成年者に対しての相手方となった男子を処罰する、これは児童福祉法を改正してそうしてほしいという決議をしておりますし、東京でも婦人団体や労組の婦人なんかも参加してつくっております売春問題ととりくむ会でも、少女売春の相手となった男を処罰すると、こういうことに児童福祉法を変えてほしいというか、あるいは解釈を変えて罰することができるようにしてほしいという陳情をしておるのですけれども、厚生省は何だか一向それには余りいい顔をお見せになっていないという知らせを受けているのですけれども、それについて厚生大臣のお考えいかがですか。
  379. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 市川君、時間が参りました。
  380. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 児童福祉法を改正しまして相手方の処罰規定を置けという御意見でございます。  実は、時間がありませんので、詳しく申し上げるといろいろな問題点がございます。民法の婚姻の資格要件と、それから児童福祉法の十八歳という問題、それからその他意法上のプライバシしに関与といいますか人権を尊重するいろいろな問題、こういうものから、それから相手方の年齢等をいろいろ調査をする場合にそういうような問題点がいろいろあるわけでございますので、しかし、おっしゃる御趣旨は、もしそれが法律の改正によって罰則を設けることによって非常に効果があるということに、まあいろいろ各省と相談しなきゃいけませんが、そういう予想――予想といいますか、そういう実態がいままでの実態から見て判断できるということでございましたら、私どもとしては検討をするにやぶさかじゃありませんが、非常に幾つか問題点がたくさんございまして、ことに児童福祉法という法律がこの性格が先生御承知のように児童の福祉を守っているわけでございますので、やたら罰則規定を置くということがどうも趣旨に合わない点もございますし、他の法令で何かこのようなことが目的が達成できないか、いろいろな点を関係当局とも相談をしてみまして検討はさせていただきます。
  381. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) よろしゅうございますか。
  382. 市川房枝

    ○市川房枝君 はい、ありがとうございました。これで終わります。(拍手)
  383. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で市川君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  384. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、去る十七日留保いたしました野田哲君の一般質疑を行います。野田君。
  385. 野田哲

    ○野田哲君 まず、農林省の方に伺いますが、昭和四十四年以降のマグロ漁船の新造船の輸出実績について説明してもらいたいと思います。
  386. 森整治

    政府委員(森整治君) カツオ・マグロ韓国新造漁船の輸出隻数は、四十六年八隻、四十七年五隻、四十八年四隻、四十九年十二隻でございます。
  387. 野田哲

    ○野田哲君 四十八年をもう一回ちょっと説明してください。
  388. 森整治

    政府委員(森整治君) 四十八年四隻でございます。
  389. 野田哲

    ○野田哲君 水産庁の方から私の方にマグロ新造船の輸出についての資料が提出されたのは、四十八年は四百三十四トン一隻と、こうなっているのですが、これはどうなっているのですか。
  390. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 先生に御説明申し上げましたのは、日韓の経済協力に基づきまして民間信用供与で出しました分の隻数を申し上げたので、これが四十八年は一隻になっております。
  391. 野田哲

    ○野田哲君 四十八年に三百七十四トンというのがありますか。
  392. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 現在細かい資料を持っておりませんが、どうもないようでございます。
  393. 野田哲

    ○野田哲君 前回の私の質問に対して、三井物産の方のコメントが報道に出ていますが、それによりますと、資材を輸出したのだと、こういうふうにコメントが出ているわけですが、韓国側の資料により、あるいは農林省の説明によると、四百三十四トン一隻というのは、恐らくこれはトーメンのあれだと思うのです。韓国側の資料では、新造船として輸出をされたものが九十万ドル、それから三百七十四トンの資材を輸出したもの、これが同じような九十万ドル、この辺の事情はわかりませんか。
  394. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 私どもでチェックしておりますのは、船としての形で出たものでございます。したがいまして、資材については私の方ではわかりません。
  395. 野田哲

    ○野田哲君 通産省は事情はわかりませんか。
  396. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 船舶につきましては私ども輸出承認の対象になっておりますけれども、関連の資材につきましては承認の対象になっておりませんので把握いたしておりません。
  397. 野田哲

    ○野田哲君 韓国側の資料では、新造船でしかも三百七十四トンより大きい四百三十四トンの新造船が九十万ドル、それから三井がコメントしている資材だというのが、これは資材でしかも小さい三百七十四トン、これが九十万ドル、いかにもこれは価格として不当な印象をぬぐうことはできないんです。これはぜひ事実を調査してもらいたいと思います。  次に大蔵省に伺いますが、昭和四十四年以降の新造船と中古船を含めた漁船の輸出実績について説明してもらいたいと思います。
  398. 乗富光義

    説明員(乗富光義君) 韓国及びパナマに対する漁船の輸出の実績を申し上げます。  四十四年におきましては、韓国九十四隻、そのうち新造船が二十二隻、中古船が七十二隻でございます。それから同じく四十五年九十二隻、そのうち、五隻が新造船、八十七隻が中古船。四十六年百二十八隻、うち六隻新造船、百二十二隻中古船。四十七年百一隻、うち新造船十隻、中古船九十一隻。四十八年百八隻、それは全部中古船でございます。四十九年二百十四隻、うち新造船十六隻、中古船百九十八隻。五十年九十四隻、うち新造船十二隻、中古船八十二隻。五十一年百四十一隻、うち新造船二隻、中古船百三十九隻。五十二年五十七隻、うち新造船十八隻、中古船三十九隻。  次に、パナマについて申し上げます。四十四年三十六隻、これは全部中古船でございます。それから四十五年八十隻、これも全部中古船でございます。四十六年百三十一隻、これも全部中古船でございます。四十七年百九十九隻、うち新造船二隻、中古船百九十七隻。四十八年二百三十一隻、うち新造船十隻、中古船二百二十一隻。四十九年二百十二隻、うち新造船四十七隻、中古船百六十五隻。五十年百三十二隻、うち新造船十八隻、中古船百十四隻。五十一年十二隻、うち新造船二隻、中古船十隻。五十二年六隻、これは全部中古船でございます。
  399. 野田哲

    ○野田哲君 いまの金額を各年度ごとに韓国とパナマを説明してください。
  400. 乗富光義

    説明員(乗富光義君) 金額を申し上げます。  韓国の四十四年の新造船二十四億三千七百万、それから中古船二十四億七千六百万。以下、最初に申し上げますのが新造船で、後で申し上げますのが中古船でございます。四十五年、十九億八千七百万円、二十八億三千六百万円。四十六年、二十一億九千万円、六十七億五千四百万円。四十七年、六十九億三千百万円、五十一億五千三百万円。四十八年、新造船はゼロでございますが、中古船が四十八億六千七百万円。四十九年、百八十八億五千四百万円、百七億七千三百万円。五十年、九十三億五千六百万円、七十六億三千百万円。五十一年、五億五千六百万円、十七億六千五百万円。五十二年、十億三千四百万円、九億七千八百万円。  次に、パナマについて申し上げます。同じように最初に申し上げますのが新造船でございますが、四十六年までは全部中古船でございます。四十四年七十八億五千五百万円、四十五年百三十五億九千万円、四十六年二百一億一千七百万円。四十七年におきましては、新造船六億九千万円、中古船が五百四億千三百万円。四十八年、二十五億五千三百万円、五百六十二億三千六百万円。四十九年、百七十三億六千九百万円、四百五十三億二千万円。五十年、百二億、五百四十一億四千八百万円。五十一年、五億七千三百万円、五億一千万円。それから五十二年は中古船だけで四億四千五百万円でございます。  なお、先ほど申し上げました中で、五十年以前については中古船のところには漁船以外のものも含んでておる、これは統計上そういうことになっておりますので、御了承いただきたいと思います。
  401. 野田哲

    ○野田哲君 単純に平均して韓国、パナマそれぞれ中古船の価格はどのようになっておりますか。
  402. 乗富光義

    説明員(乗富光義君) 中古船の単価を申し上げます。  年次によりましてトン数との関係で単価も変わっておりますが、四十四年の韓国中古船単価は二千二百九十七万一千円、それから四十五年二千七百三十七万六千円、四十六年四千六百三十万六千円、四十七年三千九百十六万八千円、四十八年四千九十万二千円、四十九年六千八百十三万九千円、五十年五千九百十二万六千円、五十一年千三百七十四万二千円、五十二年六百二十九万四千円でございます。  パナマについて申し上げます。四十四年二億一千八百二十万円、四十五年一億六千九百八十七万五千円、四十六年一億五千三百五十六万六千円、四十七年二億五千五百九十万四千円、四十八年二億五千四百四十六万二千円、四十九年二億七千四百六十六万五千円、五十年四億七千四百九十八万五千円、五十一年五千百四万七千円、五十二年七千四百十七万五千円でございます。  それから先ほど申し上げました韓国の単価は、恐れ入りますがトン当たりの単価を申し上げておりまして、一隻当たりの価格につきましては訂正をさせていただきたいと思います。
  403. 野田哲

    ○野田哲君 じゃ、もう一回言ってください。
  404. 乗富光義

    説明員(乗富光義君) 四十四年の韓国の中古船の一隻当たりの価格は三千四百三十八万六千円でございます。それから四十五年三千二百五十九万九千円、四十六年五千五百三十五万九千円、四十七年五千六百六十三万二千円、四十八年四千五百六万円、四十九年五千四百四十一万一千円、五十年九千三百五万八千円、五十一年千二百六十九万七千円、五十二年二千五百八万五千円でございます。
  405. 野田哲

    ○野田哲君 同じ中古船で韓国へ出す価格とパナマへ出す価格がなぜこれだけ違うのですか。
  406. 乗富光義

    説明員(乗富光義君) 韓国に輸出しますのとパナマに輸出しますのと一隻当たりの平均のトン数がかなり違っておるということが一つの大きな原因と思います。たとえて申しますと、四十四年では韓国向けは一隻当たりの平均が三百五トン、それに対しましてパナマ向けは六千八百七十四トン、こういうことでございまして、その一隻当たりのトン数が違います。五十二年で言いますと、一隻当たりの平均トン数が韓国向けが百五十トン、パナマ向けは六百五十トン、こういうことになっております。
  407. 野田哲

    ○野田哲君 この前の質問にあった大手総合商社の現地法人の状態を説明してもらいたいと思います。
  408. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 大手総合商社のパナマにおける現地法人の関係だろうと思いますが、三井物産関係が二つございます。それから三菱商事関係が二社、伊藤商事関係が十一社、丸紅関係が一社、住友商事関係が一社、トーメン関係が二社、日綿実業関係が二社、兼松江商関係一社、このようなことになっております。
  409. 野田哲

    ○野田哲君 通産大臣に伺いますが、パナマへずいぶん漁船が輸出をされている、中古船が特に輸出をされているのですが、この状態というのを通産大臣は把握をされておられますか。
  410. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 野田君、時間が参りました。
  411. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 私どもといたしまして中古漁船の輸出状況を全部調べております。全世界向けの五十一年、五十二年の実績は調査いたしました。それから韓国向けの調査はいたしたわけでございますが、特にパナマ向けの分につきましては調査をいたしておりません。
  412. 野田哲

    ○野田哲君 もう時間がありませんから、最後に資料をお願いしておきたいと思うのですが、このパナマへ輸出している状態というのは現地法人に対しての輸出であって、いわゆる便宜置籍船と言われているものが非常に多い、ほとんどだと、こういうふうに言われておりますし、それからいまそれぞれの価格構成についての説明があったわけでありますけれども、先ほどの三井物産の問題も含めて、この便宜置籍船の状態についてもう少し通産省なり大蔵省なりで把握をして、また改めて機会を見てその実情が報告できるような状態にしておいてもらいたいと思います。  特に、あわせて、輸出の状態についての輸出の商社それから輸出先、こういう点について、いま大蔵省から報告があった内容について具体的に資料をぜひ求めたいと思いますので、取り計らってもらいたいと思います。
  413. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 理事会に諮りまして資料を整えることにいたします。  以上で野田君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)  残余の一般質疑は二十九日に行うことにいたします。  なお、先ほどの立木君の質疑に対する農林大臣答弁の中に不穏当な個所があったやの指摘がありましたので、委員長は速記録を調査の上、理事会において協議をいたしたいと思います。  次回は明後二十七日午前十時から委員会を開催することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十二分散会