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国務大臣(
村山達雄君) 前段の問題についてお答えいたします。
やはりいまの世界の先進国の共通の問題は、石油ショック後の先進国あるいは世界の経済の立ち直りをどうしたらいいのか、これがもう何といっても第一のテーマであると思うのでございます。その間にありまして国際収支の偏在と申しますか、偏り、ある国は非常に黒字になり、ある国は赤字になっておる、その問題をどう
評価するかという問題と、それからいまのフロート制によるところの急激なる為替相場の変動と相
関連している問題だと思うのでございます。その中で国際収支の偏りというものがやはり変動相場の中心だという考え方を強くとりますと、その是正の方にいきましょうし、いや、それにしてもやはり乱高下は好ましくないと、だから何らかのいまの変動為替相場のもとで、それにしてもできるだけ安定的な方向が望ましいと、こういう
立場に立ちますと、
ローザ構想のようなものが出てくるわけでございますが、しかしあの
ローザ構想のような三国だけでやるというようなことは、いまほとんど実現の
可能性はないということは、恐らく国際的な通貨当局ではまず
認識は一致しておるのじゃなかろうか。それよりももっと緩い形の、先般ECなりあるいは欧州における蔵相
会議で言われましたように、もっと多くの国がそれぞれ分に応じて一ころ新聞に言われましたような船団方式とか何か言われましたけれども、もう少し緩やかな形でそれぞれがやるべきではないか、こういう
議論が繰り返されておるわけでございます。問題はやはり経済の立て直しの問題と国際収支の均衡の問題、
各国の均衡の問題と、それから為替相場のできるだけの安定と、その間が求められているわけでございましょう。で、われわれは、アメリカもこれはもう貿易収支の比率が非常に少ないわけでございまして、五%くらいしかないわけでございますし、しかもドルというのは本来が国内通貨でございますから、
一般の人がわれわれが為替相場について感ずるほど感じてないことは確かであろうと思うのでございます。しかし、この間の西独との
協定にもあらわれておりますように、これはやはりアメリカの
一つの
態度の私は前進だと思っておるのでございます。したがいまして、アメリカもやはり基軸通貨としての、つまり国際経済におけるアメリカの
役割りというものをだんだん
認識しつつある。特に為政者の方面、政治に携わっておる者、あるいは連銀方面ではその意見がだんだん強くなりつつあるわけでございまして、ですから実現可能な何らかの
方法をやはりもうそろそろお互いに
相談すべきときであると思うわけでございます。
私たちは、機会あるごとにアメリカの世界経済における重要性、特にドル価値の安定について強く求めているわけでございます。問題はやはり
認識の私は一致にあると思うのでございます。その
認識が一致いたしますれば、とるべき方策というものはおのずからそれぞれ決まってくるわけでございますけれども、
各国の共通の
認識、それがまだ定着していないところに最大の問題がある。さっき申し上げた三つの問題はそれぞれ
関連いたしますけれども、またそれはそれなりに
一つ一つ意味のある問題でございますから、それらの問題について世界の主要国の
認識が一致いたしますと、私はとるべき手段はおのずから決まってくるんじゃないだろうか、そういう
意味でまず
認識の一致を求めるという方向に今後最大の努力をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。