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太田淳夫君 もう時間もないので、こちらで申し上げますけれども、
住宅金融公庫の延滞の数も一月の末で約二万二千八百八十四件あるし、六カ月以上の延滞の方は五百十五件。昨年一月の末を見ますと二百二十六件。この一年間で長期延滞者は約二倍になっているんです。このように現実に低利の
金利であります
住宅公庫の返済さえ事故がいまふえているわけです。まして民間ローンではもっと切実な事態がいま増加しているわけですね。
総理府の調査によりましても、マイホームを実現したそのサラリーマン
家庭の六軒に一軒の割合でローン返済において何らかの形でもって苦境に陥っているということが調査に出ております。家族の病気、不
景気による減収、倒産、あるいはいまは支払いを続けている方々でも夫婦共かせぎという事態になったり、あるいは退職金を前借りして、退職後には家だけ残るというような状態の中で、一生懸命マイホームを維持しているのがいま現実じゃないかと思うんです。ですから、こういった実態をよく調査しまして、私どもとしましては、いま
住宅金融公庫の融資限度の引き上げ、その他の改善ということをお話しされていましたけれども、むしろそういう改善でよしとしないで、さらに先ほど申し上げました
住宅の潜在的需要者たる平均的なサラリーマンの方々が安心してマイホーム建設に動けるような、そういう施策を今後検討していただきたいと思うんです。
たとえば、昨年の十月に、建設省は持ち家政策推進の立場からいろいろと調査したものがここにありますけれども、それによりますと、平均的都市サラリーマンが宅地二百平米、
住宅百平米の一戸建ての標準
住宅を建設する際の難易度を建設省でまとめてみえました。それを建設費で示しますと、東京都区部では三千九百十七万になるわけです。三鷹では三千百十七万、大阪では二千九百二十一万、京都市では二千六百二十五万と、こうなっておりますね。これから見ますと、東京とか大阪その他のこの大都市では、もう適正な居住水準の
住宅を平均サラリーマンの方々が入手することは本当にむずかしい状態になっています。しかも、このままでこれを放置してまいりますと、これはミニ開発とかに走ったり、あるいはスプロール化の現象がますます進んで、ますます居住環境が低下してくるでしょうし、あるいは都市の防災という面から見ても、将来に大きな禍根を残すことになるんじゃないかと思うんですね。そういう点で
政府としても
対策を考えなきゃならない重大な問題じゃないかと思うんです。
そこで、私、発想の転換ということを先ほど申しましたけれども、ここで申し上げたいのは、この際、このようなその方一世代でローンを返済できないような状態、そういう場合に適正な居住水準、たとえば耐火構造であるとか、あるいは適正の規模で、あるいは社会
資本としてりっぱに通用するような
住宅であれば、この
住宅を取得するに際しまして、二世代にわたる長期
住宅ローンというものを創設されるような、そういう発想の転換をしていく必要があるんじゃないかと思うのです。
住宅公団でもいま耐火は七十年として算定されておりますけれども、西ドイツの
住宅では百年の長期のそういったローンの制度もあるわけですから、その点
総理にお伺いしたいと思います。