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国務大臣(河本敏夫君) 今後、十年間ぐらいを展望いたしました国の建設計画といたしましては、
一つは昨年の秋決まりました、いま
議論になっております三全総、それからもう
一つ産業構造の面からいいまして、
昭和五十年に産業構造審議会が答申を出しました「産業構造の長期ビジョン」、これは毎年ローリングプランを出まして見直しをしておりますが、この産業構造の展望と三全総、この二つが私は大体今後十年間を展望した産業
政策の
一つの基本になるのではないか、こう思っております。
いま
総理もお述べになりましたように、六%あるいは六%台の
経済成長を続けるということは私は
日本にとってぜひ必要だと思うのです。
一つは、毎年新しい雇用というものを相当数つくり出していかなければなりません。何しろ百数十万という新しい若い人たちが社会に出てくるわけでありますから、相当数の雇用の創出というものが必要であります。そういうことから六%あるいは六%台の成長ということが基本戦略にもなっておるのだと思います。それからもう
一つは、
わが国はとにかく資源のない国でありまして、外国からエネルギー資源を輸入いたしまして、そして加工してこれを外国へまた出していく、こういう輸出立国、貿易立国でございます。したがいまして常に
経済というものは強力な国際競争力というものを持っておらなきやならぬ。国際競争力を持つためには、やはり
経済にある程度の活力というものがなけりゃならぬと思います。そういう
意味からも、やはり六%台の成長が必要だということが国の
経済政策の基本になっておるのだと私は
考えております。
で、そうといたしますならば、いまは景気が非常に悪くて
経済は停滞をしておりますから、いまの一番悪い時点から物事を
考えますと、あるいは御心配なような意見も出てくるのも理解できますけれ
ども、しかし、こういう
状態ばかりが続くわけではありませんし、とにかく
現状を早く直さなければならぬということで国を挙げて
努力をしておるわけでございますから、中期的に展望いたしますと、私はやっぱり相当な工業基地というものが必要なのではないだろうかと思っております。かつての高度成長期には、いわゆる新しい工業基地として数十カ所を指定いたしまして、非常に大規模な国の開発が行われたわけでありますけれ
ども、現在ではもうほとんど残された開発地点というものはなくなっておるわけです。いまもお述べになっておりましたが、大体四ヵ所ぐらいしかもうないわけですね、十年を展望いたしましてもこれぐらいしかない。そういうことを
考えますと、決して私は大規模ではない。十分この程度のことは消化できますし、この程度のものが消化できないようなことでは
日本の
経済というものは行き詰まってしまう、このように
考えまして、これは合理性を持ったものであると理解をしております。