運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-03-13 第84回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月十三日(月曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十一日     辞任         補欠選任      大森  昭君     大木 正吾君      藤田  進君     安恒 良一君  三月十三日     辞任         補欠選任      源田  実君     熊谷  弘君      岩動 道行君    久次米健太郎君      田原 武雄君     山本 富雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君     委 員                 浅野  拡君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                久次米健太郎君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 玉置 和郎君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 福間 知之君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 上田耕一郎君                 渡辺  武君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君                 柿沢 弘治君                 秦   豊君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君        国 務 大 臣  牛場 信彦君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁労務        部長       菊池  久君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省経済局次        長        溝口 道郎君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省条約局長  大森 誠一君        大蔵大臣官房審        議官       加藤 隆司君        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省証券局長  山内  宏君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        厚生省社会局長  上村  一君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君        水産庁長官    森  整治君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        郵政大臣官房電        気通信監理官   江上 貞利君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業訓練        局長       岩崎 隆造君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  山本  悟君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君    参考人        日本銀行総裁   森永貞一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十三年度予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより福間知之君の総括質疑を行います。福間君。
  7. 福間知之

    福間知之君 きのうの報道によりましても、下関の旭洋造船全員解雇を発表するとか、あるいは神奈川の関東特殊製鋼あるいは大和ハウスあるいは積水ハウス等々、それぞれ人員整理その他の減量、合理化対策を発表しています。つい先日は北九州のしにせの重電メーカーが二割近い八百数十名の人員整理を去年、おととしに続いて三度目の合理策として発表している。  こういうふうにきわめて厳しい世相でございますが、あと半月で今年度も終わるわけでございますが、今後大型の倒産その他社会的に好ましからざる事態というものが果たして出ないだろうか。当面の景気状況から察して、総理は、どのように認識、御判断をされていますか、お聞きをしたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまのわが国経済情勢は、企業一般的に申し上げまして設備過剰の状態だ、かなりの設備過剰をおしなべて持っておる。特にそういう中で、もう普通の努力をもっていたしましては、当分の間過剰状態を解消し得ない、こういう企業があるわけであります。いわゆる構造不況業種と言われる企業、そういうものの状態が特に深刻である。そういう二つの面から施策を講ずる必要があろう、こういうふうに存じまして、そしてとにかく一般的な操業度向上政策、これはもう需要を拡大するほかはない。そこで予算なんかも非常に公共投資を大規模なものにする、こういうこと、その他需要拡大政策をとる、こういうことをやっていることは御承知のとおりです。  それから、それと並行いたしまして、法律案でお願いをいたしておりまするけれども、この構造不況業種に対する特別の施策を講ずる、まあ立法ばかりじゃありません、その他各般の措置を講じておるわけでありますけれども、そういう政策の遂行と同時に、毎日毎日いろんな、生きた経済でありまするから、いま御指摘のような現象も起こってくるわけでございますが、そういうことに対しましては、政府金融機関、これはもう一体となりまして万全の対策を講じて、不幸な事態が生じないように、万一生じた場合におきましても、その波及がそう深刻なものにならないようにということに最善の努力をしておるという現況でございます。
  9. 福間知之

    福間知之君 今日、わが国経済大変窮地に追い込まれていると一口で言えば言えるかと思うわけであります。したがって大胆にその経済の枠組みというものを転換をしていく、こういう必要を感ずるわけですけれども総理は、その点、どういう御認識でございますか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いわゆる構造改革ですね、これが必要になってきている時勢だろう、こういうふうに思うのであります。そういう考え方がいま福間さんの御指摘の問題だろうと、こういうふうに思いますが、わが国経済をめぐる環境、条件、非常に変わってきておりますから、それに対応する構えをとらなきゃならぬ。それはもう一つ一つ企業体質の改善をして国際競争力を強化する、これは当然のことでございまするけれども業種につきましてもやはり時代の流れとともに、この対応転換ということが迫られているものもあるわけでありまして、一般的には省エネルギー、省資源産業という体質、また業種選択、それからさらに知識集約型の産業、こういうものへの転換選択、その他いろいろありまするけれども、この時勢環境の変化に対応して、企業もその業種につきましてもまた大きく努力転換、そういうことを図らなきゃならぬだろう、そのように考えております。
  11. 福間知之

    福間知之君 公共事業牽引車として景気を浮揚するということの議論がかなり行われてまいりました。経企庁長官、この公共投資による需要拡大効果というものにつきまして、私は、政府認識は少し誤っていないだろうかというふうに思うのです。公共投資によって民間投資が非常に誘発力が小さくなっているときの需要効果というものは、余り私は高度成長のときのようにないと思うのですが、経企庁波及効果調査でもそれは出ていますけれども、本当にそれは政府の方でそのように認識されているのかどうか、お聞きをしたい。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 公共投資国民経済における乗数効果でございますが、これは御指摘のように、その国の経済のそのときそのときの持っております局面によってかなり異なってまいることは当然でございます。わが国におきましても、モデル計算によりますと、石油危機以前の時代石油危機以後の今日のような時代では、公共投資乗数効果はやはり弱まっておると考えるべきで、その点は御指摘のとおりであると存じます。公共投資雇用に対する効果につきましても同じようなことが言えるわけでございまして、今日のように有効求人倍率が〇・五程度である時代と、かつてのように二を超えたような時代とでは全く様子が異なるのはもとよりでございます。  昭和五十二年度の場合には、私ども新規雇用が五十五万ぐらいあろうか、しかし、同時に新しく労働力人口になってまいります者が五十万ほどはございますので、結局、完全失業者としては五万ぐらいの減りに単年度としてはとどまるのではないかと考えておりまして、これらも仰せのように、こういう時代になりますと、公共投資雇用に対する効果というものはかつてのようなわけにはまいらないということは御指摘のとおりであると思います。
  13. 福間知之

    福間知之君 宮澤長官需要効果というのは、言葉をかえれば、民間における生産誘発水準、額といいますか、だと思うのです。私は、過去における高度成長期公共投資民間投資を誘発したのは、むしろそういう生産誘発額というよりも、民間企業が常に持っている投資マインドというもので投資効果というものが中心であったのじゃないか、こういう論があると承知をしているわけでありまして、その点を政府は今日錯覚をしておられないかということを危惧するのであります。いかがですか。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、ただいまの投資マインドというものはかつての高度成長時代とは比べものにならないようにいわば湿っておるわけでございますが、これにはしかし短期的な原因、すなわち非常に大きな在庫があるというようなことも関係をいたしておると思います。基本的にはエネルギー問題等々いろいろございますが、そこで、まず在庫が正常にならなければなかなか稼働率というものは上がってまいりません。稼働率がある程度に達しませんと新規投資というわけにはまいらない。  これは当然のことでございますから、したがいまして五十三年度において大きな設備投資があるということは製造業においては期待しがたいと考えておりまして、電力、これは例外でございますけれども、これには大いに期待いたしますが、一般に、ことに大企業製造業についての投資は低い。ただ、少し長期に見ますれば、もし在庫が正常化いたしまして稼働率がある程度高まってくる、仮に、稼働率指数でなく、稼働率として九〇に近づくということになりますれば、新しい投資が起こるということは考えられることでございますけれども、それは五十三年度内に起こりそうな事態ではないと私どもも考えております。
  15. 福間知之

    福間知之君 宮澤長官けさの日経新聞でございましたか、日本経済研究センター調査結果を発表しておりましたけれども、あれは経企庁見通しと比べて、私、ちょっと低いんじゃないかと、こういうように思うのですが、いかがですか。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) けさ新聞に出た限りにおいては、私、読みましたが、そのバックになりますデータを詳しくまだ検討いたしておりません。総体的に名目で八%余りの五十三年度投資があるという結果であったと思います。私どもは九%余り見ておりますから、確かに日経センター調査の方が小さい。しかし、従来出ました調査のうちでは恐らく比較的政府見通しに近いものであったように存じます。  この点は、一つは、私の推測でございますが、一番個人の投資というものが私どもにもわかりにくいんでございますが、恐らくあの調査でもなかなかわかりにくい分野でございますので、しかもこのウエートが相当高くなっておるというところ、そこの考え方の開きが出ておるのではないだろうか。大勢といたしましてはやはり電力中心であって云々というあたりは、見方は似ておると存じますが、数字で若干私ども見方がいまとしては高い、新聞に出ました限りのことでございますが、そういうふうに私評価をしております。
  17. 福間知之

    福間知之君 近代経済学ケインズ理論といいますか、が根幹になっていると思うのですけれども、あの理論における公共投資景気拡大における波及効果というものは非常に精緻な理論でもって私は組み立てられておると思うのです。今日のような、いわば国際的な、あるいはまた国内的な経済活動環境というものが必ずしも前提として考慮されていない。したがってオイルショック以前の高度成長時代というときであればかなり適用された理論ではあるけれども、今日はそうじゃないんじゃないかという点について、当然宮澤長官認識されておると思うのですが、それは計算の中に入っていますか。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 乗数効果自体につきましては、比較的新しいモデルも開発いたしまして、石油危機以後の乗数効果を計測をしております。それによりますと、先ほど福間委員も言われましたように、かなり乗数効果というものは落ちておる。私ども、単年度見通しでは、モデル参考にするにとどめておりますので、いわゆる段階的接近法をやっておりますから、モデルそのもので五十三年度の予測をいたしたわけではございませんが、仮にモデルを使って考えてみましてもやはり乗数効果というものは落ちておる。  一般に、そのケインズ考え方がもはや通用しないのだという世の中の批評がこのごろ多いようでございますが、いまの日本局面あるいは石油危機以後の世界経済局面でいわゆるスタグフレーションというような新しい問題がございますから、そのままケインズの言うことが妥当するというふうには私も思いませんけれども、しかし、私自身の考えは、やはりああいう乗数効果というものは、これはだれでもがそのことについては異論のない物の考え方であろうと思っておりますので、ケインズの物の考え方がいまの時代にもはや不要になった、あるいは通用しなくなったというふうには私は考えておりません。
  19. 福間知之

    福間知之君 政府予算を通じましても、大型のプロジェクト、公共投資というものを中心景気回復策については、一面、その合理性を認めるにしても、全面的にはかなりの疑問が当委員会審議を通じても私は投げかけられてきていると思うのです。私もその点を危惧している一人でございますけれども、今後は、やっぱり都市開発とか医療、教育、衛生等々のまさに生活密接関連事業といいますか、そういうものに民間とより強くタイアップして全国的な規模で仕事を起こしていく、こういう発想転換というものも必要だと思うわけでありまして、さらに福祉の問題にしましても、いままでは成長のパイを分かち合うというふうな観念が福祉の場合に一般的でございましたけれども、そうじゃなくて、学校とか病院とか、あるいはまた公園というふうな社会的な生活関連施設というものをふやしていく、そのことにまた投資源泉を求めていくというふうな姿で、何といいますか、福祉型の成長あるいは社会というものを求めることに一つ経済源泉を求めていくという、私はそういう発想転換をしなければいかぬのじゃないかと思うのですけれども総理、その点いかがでございますか。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私ども、お互いに、ただいまのこの内外の非常に変化する情勢対応にいとまがない今日でございますけれども、しかし、同時に、こういう中からわれわれは将来のわが国をどういう国家として社会としてつくり上げていくかということはやはり常に考えておかなければならない問題だと思います。  政府といたしまして、実は、国民生活審議会に昨年の末にこういう問題についての検討をお願いいたすことになりまして、いわば次の世紀にかけての福祉国家日本社会国家のあり方についての部会を設けまして、すでに今月の半ばごろまででもう五回ぐらいの部会検討が進んでおるわけでございます。できるならば今年の末までには青写真を出してもらいまして、いろいろ世間でも検討をしていただいて、その上で福間委員の言われますような将来の姿を政府としても考えてまいりたいと思いまして、ただいまそういう検討を進めておるところでございます。
  21. 福間知之

    福間知之君 国際収支の累積的な黒字にどう対処するかということは、当面、わが国の喫緊の課題になっておることと思います。  一九七一年、ニクソン大統領の新経済政策理論的なバックグラウンドの一つになっておりましたハウタッカー・マギー論文というのを見てみますと、日本アメリカの三倍ぐらいのスピードで成長しない限り両国間における貿易バランスというものは均衡しない、こういうふうなことがモデルを使って指摘をされておるようでありました。もちろん、それを全面的に私信頼するわけじゃありませんけれども日本経済は今日でもそういう性格というものを内蔵しているのじゃないか。だから、この国際収支構造というものがどうしても高度成長を必要とするような宿命的といいますか、基本的な構造というふうなものを持っているんじゃないかというふうに感じていますが、いかがですか。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日米貿易バランスについて考えますと、わが国赤字になった年というのはそう古いことではございませんで、ごく最近にもございました。ただいまは、しかし、いかにも黒字が多過ぎるということが問題でございますが、しかし同時に、考えますと、わが国産油国との関係ではわが国黒字になるということは、これは当分考えられないことではなかろうか、これだけ油を輸入してまいりますといたしますと。そうしますと、それだけの赤字はどこかでかせいでおかなければならないというのはだれの目にも明らかなことだというふうに思います。そうでございませんと、南北問題等に対する資本流出というのにも対処していけないわけでございますので、したがって原則的にはやはりこれはグローバルに考えていくべき問題だと存じますが、それにいたしましても対米の黒字がここで多過ぎますので、やはりこれはある程度調整をしていかなければならないというふうに考えております。  わが国貿易全体といたしまして、いま福間委員が、相当大きな黒字をかせがないと経済の運営ができない形になっておるのではないかと言われますことは、長年の努力わが国経済をそういう形につくり上げていったということは私は否定ができないと思いますが、それにつきましても昨今いろんな反省もございますし、やはり内需というもの、国民生活の内容を充実させることが大事だという、そういうところへ問題は返ってまいっておりますから、そういうところへもう少し重点を置いて経済の運営そのものを考えるということは、いずれにしても必要なことであると思います。
  23. 福間知之

    福間知之君 七%の問題と関連しまして、少し視点を変えますと、国民総需要という指標がございますね、このGNEは海外の経常余剰というものをプラスした数値だと思うのでございますが、それでいきますと、GNPの成長率が七%水準になるためには国内需要は八%程度の成長を必要としているんじゃないか、こういう論がありますが、いかがですか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十三年度について見ますと、これは実質で申し上げますが、国内需要の伸びが七・四%でございますが、海外需要はもう実際ほとんどゼロに近くなっておりまして、〇・三ぐらいでございますか。国民総支出としては七%ということになっております。したがいまして、お尋ねの意味は、国民総支出が七%であるためには国内需要は七%より高くなければならないであろうと言われますことは、そのとおりでありまして、実質で七・四%ぐらいがいわゆる民間需要政府支出から成りますところの国内需要になっております。
  25. 福間知之

    福間知之君 五十二年度の場合も予想より黒字かあるいは大きくなっておる。来年度の場合もその可能性があるというふうに見まして、私は七%の成長を達成するためにはそれをやはり上回っていくという活力を、前段であれ後段であれつくらないとむずかしい。とにかく平均で五・三%五十二年度成長したとしても、四月以降平均で七%以上あるいは七・四%成長をしなきゃならぬということ、前段の五月、六月でそれがなかなか達成できないとするならば、後段で一〇%も一〇・何%も成長しなければ平均で七にならない、こういう危惧を常識的にみんなが持っていると思うのですね、総理。この点はもう御自信ございますか。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに五十二年度におきましては、実質で申し上げますと海外需要が一六%もございますから、そういう意味では、国内需要としては四・七%程度で国民総支出の五・三をつくり上げられるわけですが、その点が五十三年度ではそんな大きな輸出の伸びを見込むわけにもまいりません。また見込むべきでもございませんので、国内需要にかかってくるウエートは大きいことになります。  で五・三%が大丈夫かというお尋ねでございましたが、先般五十二年度の十-十二月期、第三・四半期の国民所得の速報値が出まして、大体、私どもそれから考えますと、五・三%成長の線上にあると考えております。この点については、ある程度自信を持ってほぼこの程度のものが達成できると、まだ一――三月が残っておりますけれども、ただいまの段階で申し上げられるのではないかと思っております。
  27. 福間知之

    福間知之君 総理にお聞きしたいと思うのですが、個人の貯蓄率が非常に高いということがいろんな角度から議論されました。わが国は、これからの経済を発展させていく上で、あるいはまたつり合いのとれた望ましい姿で成長を遂げていくために、個人貯蓄率が二二%以上の水準にあるという、これをどうすれば好ましい水準に低下させることができると、こういうふうにお考えですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 二〇%ないし二五%というような貯蓄率ですね、その辺はいまの日本とすると好ましい水準じゃないか、そのように考えまして、別にこれをさらにただいまこの瞬間として強化してくれ、あるいはこれを引き下げてくれと、こういうような感じは持っておりませんです。
  29. 福間知之

    福間知之君 それは、総理、少し木で鼻をくくったような御答弁だと思うのですが、先進諸国と比べまして二倍以上の、あるいは三倍近い水準にあるということは私はノーマルじゃないと思うのですがね。将来、総理のおっしゃる静かでつり合いのとれた生きがいのある社会ということを考えた場合、そのときに二〇%以上の個人の貯蓄率ということはやはり必要であり、また、かつ望ましいとお考えなんですか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ある程度の貯蓄はありませんと伸びゆく日本は実現しないんです。つまり、設備投資でも赤字財政でも貯蓄があればこそできるんですから、そういう意味で貯蓄をディスカレージするという考え方は妥当でないと、こういうことを申し上げているわけです。
  31. 福間知之

    福間知之君 私はこれを議論していると、これだけで時間を食ってしまいますので。いまの御答弁は私は少し納得できない。気持ちとしてはわかります。しかし、具体的に数字を挙げて、海外の諸国に比べて二倍以上の高い水準であるということは、私は少し考えなきゃならぬ問題がそこにあるような気がするんです。それについては一向に触れられないので、これは私はまた機会を改めて議論をしたいと思います。  次に、同じような意味で、輸出と輸入の乖離というのが百数十億ドルに拡大をしておるわけでありますけれども、少々の輸入の拡大で輸出の抑制、こういうことはできないんじゃないかと思うのですが、これは長官どうですか。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和五十二年度は緊急輸入などいたしましたが、もう今月いっぱいでございますので、ほぼ全体の勝負は決まってまいりました。五十三年度の経常収支の黒字六十億ドルというものは、御指摘のように、いままでの傾向から推していきますと、よほど官民一体といいますか、日本国じゅうが努力をいたしませんと、なかなか簡単に達成できる目標ではないと存じておりまして、政府自身すでにそれに対処して、対外的に、あるいはこれから国内の問題として、五十三年度予算執行に伴ってしなければならない重点施策というものをすでに検討を始めておるわけでございます。恐らく政府の期待しております経済運営ができてまいりますと、輸出は少しずつ減ってまいる、少なくとも数量ベースではもう横並びぐらいになってきておるのではないかと見ておりますが、もう少し民間経済活動が活発になりませんと、ことに輸入の重立ったものが原材料でございますので、増が出てまいらない。いずれにしても、これは年度後半とは思っておりましたけれども、そうでありましても、政府としてはいまからそういう体制づくりに準備をいたしておきませんと、後半といいましてもじきにまいりますから、そういうことで一生懸命努力をいたしつつあるところでございます。
  33. 福間知之

    福間知之君 経企庁長官、つい二、三日前、十日の日でございましたか、中期経済展望が発表されましたですね。前の中期計画、五十年代前期経済計画と基本において総理は余り変わらないとおっしゃっています。しさいに勉強するまだ十分余裕がありませんが、長官から概要をちょっとお聞きしたい。特に、平均的に実質成長率六・一%と、こういうことですが、大体中ふくらみのかっこうになっているわけですね。それはどういうことでそういうふうに立てられているのですか。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは昨年の暮れにいたしました暫定試算が、ある新聞にその中間年次がどうであるかということについての報道があったわけでございまして、作業そのものはいわゆる暫定試算ということで、すでに衆議院には財政バランスとの関連で御提出を申し上げましたあの資料そのものを言っておるわけでございます。  で、ここで、せんだっての新聞に報道されましたのは、全体の平均の成長を六・二とか六・三とかいうふうに考えますときに、すでに五十一年度と五十二年度はほぼ済み、あるいは済みかかっておりますから、そしてそれはそれより低い成長率であったのでありますから、したがって五十三年度の七%を起点にいたしまして五十四、五とある程度高い成長を見込むことによって六・二ないし六・三の成長が可能であるということをこの中間年次の数値が示しておる、こういうことになると思います。
  35. 福間知之

    福間知之君 民間設備投資が五十四年度八・四%にまで上昇をし、公共投資が同じく五十四年度一二%、住宅投資一五・四%、かなり成長力を牽引するファクターになっているわけですけれども、五十二年度政府見通しからいきましても、その設備投資三・九がむずかしいんじゃないかと言われているときに、果たしてそこまで高め得ることが予想できるのかどうか。先ほど時間がなかったのでやめましたが、政府の固定資本形成を、ことしの場合と五十三年の場合を見ましても、かなり無理な数値が引用されているように思うのですけれども
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 全体といたしまして、五十一、五十二という両年度が余り大きな成長をいたさなかった年でございますから、したがいまして全体として六・二ないし六・三という成長がこの五十年から五十五年までの五年間で可能であろうかどうであろうかというのが暫定試算の意味合いでございますが、それによりますとなお可能であるということが答えとして出ております。そのうちで民間企業設備投資は確かに五十二年においてことに低うございます。したがって五十三年度に私どもの考えておりますような経済運営をいたして五十四、五はやや平均値よりも高いものを民間設備投資に期待する。財政につきましては、これは政府の財政の方の試算でも政府固定資本形成は財政がかなり苦しくても従来のラインを崩さないということでございますから、五十三年度ほどではないと存じますけれども、なお五十四年度以降相当の伸びを期待していいのではないか、こう思っております。
  37. 福間知之

    福間知之君 租税負担率について、五十二年度の見込みが二〇・六%で、五十七年度では二八%、ほぼ七・四%高まっているんですけれども、これはどういうふうな中身の税制改革というようなものをもってしようとしているのか、あるいはまた先般の財政収支試算、特にCケースとの整合においてそれはちゃんと合っているのかどうか。
  38. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この前お示しいたしました財政収支試算でございますが、あれは五十七年度に特例債の発行をやめるという仮定をいたしまして、そしてまた歳出水準につきましては、暫定試算と整合性を持った場合に一体どれぐらいの税収を必要とするかと、その二点。成長率の整合性と、それから五十七年において特例債の発行をやめるといった場合に税収が一体どれぐらい必要とするのか、そして現行の税制の弾性値を前提にいたしますと、要増税額が大体これぐらいになるであろう、で各年度の税収は名目成長率に大体配分されておる、こういう前提で置いた数字がおっしゃるようなことになっているわけでございます。したがって、どのような税でその負担増を求めるかというところを示してあるわけではございませんので、その点は、これからあの暫定試算というものを御理解いただきまして、そして国民的な御論議を経、そのときどきの情勢に応じてこれから検討してまいる、こういう性質のものでございます。
  39. 福間知之

    福間知之君 経企庁長官、いかがですか。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま租税負担率の数字をお示しになりましたので、一言付言させていただきたいと思いますが、国民所得計算で私どもが租税負担率と考えておりますのは、普通に考えております租税負担率のほかに、たとえば国公立の病院の入院料収入でありますとか、国公立の学校の授業料収入でありますとか、あるいは日銀納付金でありますとか、普通租税負担と言われないものを多少含んでおりますので、その点をひとつ御理解を願っておきたいと思います。  そういうことの上で、御指摘のように、租税負担率は五十五年以降かなり上がってまいります。これは自然増を含めてのことでございますが、かなり上がってまいりませんと、五十七年度において特例公債をゼロにするということが整合的にはむずかしいということになるということを示しておると存じます。もとより国民所得計算では、どのような税金をどのようにということは何ら示しておりません。のみならず、自然増も含んだ意味での租税負担ということになっておるわけでございますが、この限りにおきましては、大蔵大臣が衆議院に示されました財政の暫定試算のCケースと私どもの暫定試算とがほぼ整合をいたしております。
  41. 福間知之

    福間知之君 これはまた別の機会にやらないと、時間がどうもございません。大蔵大臣の御答弁では、これはわれわれはちょっと納得できません。どういう中身かということもあらかた国民に提示しないで、とにかく税金だけは五十七年度で十兆何千億もよけい取らなきゃならぬというふうなことでは少し問題があろうと考えるわけであります。  次に、日銀総裁お見えでございますので、公定歩合につきまして少しお聞きしたいと思うのですが、公定歩合の引き下げが予想されるわけであります。その場合、歩合を引き下げる効果というものは、今日の円相場との動向で最もいい効果というのはどういうタイミングなのかお聞きしたいと思います。
  42. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) お答え申し上げます。  公定歩合の引き下げにつきまして、新聞紙上等にかなりはでに伝えられておるわけでございますが、私どもといたしましては、今日ただいまのところ、まだ具体的にどうするということは考えてはおりませんので、具体的に効果がどうかという点についてのお答えがなかなかむずかしいのでございまして、その点をまず御了承いただきたいと存じます。  一般的に申しますと二つの意味があるかと思います。一つは、この円高によりまして輸出産業その他の面で企業収益が減少し、それがまたほかの産業にも波及していくことが考えられるのでございますが、公定歩合が下がりました結果、金融機関の貸出金利が下がり、それによって企業の金利負担が減少するという、これはいわば救済的な意味での効果でございましょうか。  もう一つは、公定歩合が下がり、貸出金利が下がり、長期金利が下がるというようなことによりまして、資本の流出入に影響が及んでくる。たとえば今日わが国に対する外国からの債券投資はかなり大規模に達しておるのでございますが、長期金利が低下することによりまして、その流入の勢いが弱まる。逆に流出 ――円建て外債その他かなりの額に達しておりますけれども、そういう形での流出が勢いづく。あるいは短期的な資金の流出入にも金利引き下げの効果が出てくるわけでございまして、そういうことが為替市場における為替需給関係に影響を持つというようなことが考えられるかと存じます。  タイミングがいつがいいのかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、単にこの為替問題だけじゃなくて、国内経済全体を総合的に勘案、判断しながら、必要があれば時期を失しないで操作をしなければならないというふうに考えておるわけでございますが、いつ、どうという点につきましては、冒頭に申し上げましたとおり、具体的には考えておりませんことをお答えいたす次第でございます。
  43. 福間知之

    福間知之君 総裁、公定歩合の今回の引き下げということを前提として考えた場合に、日銀としては、わが国の金利体系というものの将来についてどういうふうに考えておりますか。
  44. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 公定歩合の操作の際に、いつも私ども考えさせられますことは、やはりもう少し日本の金利体系を弾力化し、理想的には自由化の方向へ向かう必要があるということでございます。しかし、弾力化につきましては、最近、毎度努力をいたしておるわけでございますが、自由化、事自由化となりますと、いろいろな問題がございます。金融機関間の競争関係がどうなるのか、弱小金融機関にどういう影響を及ぼすか、したがってまた中小企業金融にどういう影響を及ぼすか、いろいろと考えなくちゃならない問題がたくさんあるわけでございまして、理想ではございますが、今日ただいま自由化の一歩を踏み出すことはなかなか困難な情勢だと思っております。しかし、極力、弾力化は図っていかなければならないのではないかと思っております。
  45. 福間知之

    福間知之君 そのためには、日銀としては、予想される公定歩合引き下げというのが仮に行われれば、近い将来において私は最後的な機会になるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。できるだけ幅も大きくということでお考えになっているんじゃないか。そして弾力化を進めていくという限りにおいては、日銀は公定歩合を引き下げるという姿勢を堅持することが必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  46. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 公定歩合をもし下げるといたしまして、その引き下げの幅をどうするかという問題は、まだ具体的には考えておりませんことを御了承いただきたいと存じます。  その場合に、預貯金金利の問題がやはりつきまとってくるわけでございまして、今日、金融機関は累次の貸出金利の引き下げに伴いまして利ざやがかなり縮小いたしております。したがいまして公定歩合の引き下げ、それに伴う貸出金利の低下、さらに先ほど申し上げましたような企業負担の軽減等々の効果を上げますためには、やはり預貯金金利を同時に考えていかなければならないわけでございまして、その間にはおのずからバランスの維持ということを考えていかなければならないと思っておる次第でございます。
  47. 福間知之

    福間知之君 これは大蔵省にもお聞きをすることにしたいと思います。
  48. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま日銀総裁がおっしゃるとおりでございまして、現在の金融機関の預金貸し出しの金利を考えますと、公定歩合を下げて、そうして貸出金利に及ぼして一般的な景気の上昇を図るためには、どうしても預金の金利の引き下げが伴わなければ実効がないことであろうと思うわけでございまして、そのタイミングをいっにするかということは、これは総合的に慎重に判断すべき問題であろう、かように考えておるわけでございます。
  49. 福間知之

    福間知之君 日銀総裁にお尋ねをしますが、いわゆるIMFのウィッテフェーン構想の発足が大幅におくれておるようでございますが、これは一体どういう理由なのかお聞きをしたいと思います。
  50. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ウィッテフェーン構想につきましては、十四カ国による拠出額につきましてはすでに各国の合意を見ておる次第でございまして、わが国といたしましても、九億SDR、シェアとしては一〇・三%の拠出を合意しておるわけでございますが、この十四カ国はまだいずれも正式に拠出の協約を結ぶ、文書に調印するというところまでまいっておりません。  その理由といたしまして考えられますことは、アメリカでの国会の審議が少しおくれておるということでございます。確認はいたしておりませんが、外電によりますと、二月末時点での審議状況は、下院ではすでに拠出法案の審議を終わった由でございまして、これを上院に送付しておる。ただし、この上院の審議が終わって完全に国会の承認が得られますのにはさらに数カ月かかるというような情報が参っております。私どもといたしましては、この構想が国際収支赤字国に対する融資の上で格段にIMF資金力の強化を期待しておるわけでございますので、一日も早くこのすべての国の形式的な手続が終えることをこいねがっておる次第でございます。私の仄聞いたしております事情は以上のとおりでございます。
  51. 福間知之

    福間知之君 カーター大統領のいわゆる人権外交というものに基づいて、このウィッテフェーン構想がアメリカの下院で修正条項がつけ加えられたと、こういうふうに聞くわけですけれども、そうですか。
  52. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) いま事務当局にも確かめましたが、私どもはそのような情報を入手いたしておりません。
  53. 福間知之

    福間知之君 いずれにしても、私は、これは急がなければならないやはり今日的な国際課題ではないか、こう思うんでありまして、かつて先進国の国際収支不安に対するOECDのセーフティーネット構想がつぶれました。アメリカのやっぱり反対でつぶれました。これはショックを私受けたんですが、その二の舞になっちゃいかぬ。特に非産油国の発展途上国を援助しようということでございますので、少しそういう点でも何かアメリカの姿勢が、筋としてはわからぬでもないんですけれども、ぐっと大局的に早く事を進めるようにあってほしいなと、こういうように思うので、せっかくの御努力をお願いをしたいと思います。  総理にお伺いをしたいのですが、伝えられるところによると、先日、ニュージーランドのマルドーン首相が、わが国のアジア太平洋地域における貿易政策経済帝国主義だ、こういう厳しい言葉でもって非難の演説をしたように聞くんですが、そういう情報を得ておられますか。
  54. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 与党議員の中の懇談会でそのようなことの発言があったという、内部での発言として伝わってきてはおりますが、真相は定かではございません。
  55. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 森永日銀総裁にはまことにありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
  56. 福間知之

    福間知之君 副首相が、去年でしたか、おいでになって、牛肉購入の話を要請されたが、うまくいかなかった、あるいはまた、その後もなかなか日本の態度意にかなわずと、こういうところで仮にそういう話が出たとすれば出たんだろうと思うのですけれども、鈴木前農林大臣が向こうへ行かれましてどういう話し合いになったのか、少し気になるのでお聞きしたいと思います。
  57. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、ニュージーランドがこの四月一日から二百海里法をしく、その場合、日本については農産物の輸入について相当前向きにやってもらわなければ二百海里の日本との話し合いには応じられないという注文が出ておったわけでございます。そこで、先般、鈴木前農林大臣が、農業としてでき得る限りの調整案を持ち、四月一日からの水産交渉について話し合いをしたいと、こういうふうに参ったわけでございます。この点については豪州もやや同じような条件下でありますが、豪州については非常に円満な話し合いができて、四月一日からの二百海里については話し合いに応じようということになっておりますが、残念ながら、ニュージーについては、前回の日本の調整では水産問題について話し合うわけにいかない、こういうことになったわけでございます。  そこで、わが方としても、協力できるものがあるならば当然協力しなければなりませんが、乳製品、肉等については、先般来の調整によってこれ以上のことはでき得ない。そこで、できるとすれば海外経済協力として乳製品等を第三国、開発途上国に援助物資として輸出する、その対象品目として考慮する等のぎりぎりのことをやりましたが、それ以上のことはでき得ないということを再度通告いたしましたところ、そういうような御発言になったのだと思いますが、この点はまだ正式に聞いておりません。わが国としては、少なくともニュージーについては貿易的にもわが国赤字になっており、ニュージーから貿易上でしかられる理由はないものと、こう思っておるわけでございます。
  58. 福間知之

    福間知之君 総理にお聞きしたいのですが、いま一ドル二百三十円レートというふうな水準が目の先にきているわけですけれどもわが国の代表的な企業、なかんずく積極的な輸出をしている企業、たとえば自動車のトップメーカー等におきましても、円の対ドルレートが十円上昇すると半期で百億円為替差損が生まれる、こういう実情のようでありまして、あるいは電機メーカーでも、ほとんどが二百三十円レートになると、これは減収、減益になる、こういうことが発表されておるわけです。  最近、ドル防衛に対するアメリカ努力が足らぬのじゃないか、こういう話がございますね。与党でも、大平さん初め首脳は、もっと政府が積極的にアメリカにドル防衛で働きかける、こういう御意向があるやに聞くんですが、先週、西ドイツのシュミット首相とカーター大統領は電話で恐らく二回話し合いをされているようですけれども、閣僚を派遣するかどうかということで、わが国政府にどうも議論があるやに聞くんですが、私は、そういうことよりも、総理がそれこそホットラインでも使って大統領と話をされたらどうか、こういう気がするんですが、いかがですか。
  59. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 為替問題は、まあ高低という問題もあります。ありますが、同時に、安定か不安定かという問題、これはより以上に重大な問題なんです。いま国際為替相場が不安定な時期に入っておる。これを一刻も早く安定期に定着させなけりゃならぬ、そういうふうに考えており、かたがた、この円がそういう中で急激に上昇するということになりますと、いま御指摘のようないろんな国内産業に与える影響も厳しいわけでありますので、円が急激な上昇あるいは急激な下落というようなことにならぬようにこれは気をつけていかなけりゃならぬ。そういうような国際また国内の立場を踏まえまして、わが国といたしましては、アメリカまたヨーロッパ、特にアメリカとの間にはこれは非常に緊密な連絡をとっておるわけであります。これは通貨問題でありますので一々発表するわけにはまいりませんけれども、これは非常にくしの歯のごとくというような情態の緊密な連絡をとっておる。また、必要な措置、今後これが求められるということになりますれば、これはいつでもその措置をとるという考えでございますが、これは最大な努力を細心の注意を払ってやっておる、このように御理解願いたいと思います。
  60. 福間知之

    福間知之君 一方、わが国内部における黒字減らし問題でございますが、これは、通産大臣、先般鉄鋼の半製品備蓄構想が打ち出されましたが、その後どのようになっているんですか。
  61. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 鉄鋼の半製品の備蓄の構想につきましては、民社党の方からそういう提案がございまして、政府の方でもこれを受けましていろいろ検討を続けておるわけでございますが、やはり幾つかのむずかしい点がございます。そこで、この問題は急速に解決をいたしませんので、何らかの形で問題を処理したいということでいまいろいろ工夫をしておるわけでございますが、とりあえず、ペレットの段階で若干の備蓄をやってみよう、こういうことでいま話し合いを進めております。
  62. 福間知之

    福間知之君 経企庁長官が海外に原料を備蓄する構想を持っていられるように聞くんですが、そのことと関連があるわけですか。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのことと関連がございます。いま通産大臣の言われましたペレットは、主として南米諸国でわが国がペレットをつくることを合弁でいたしまして、そのできましたペレットをどうするかということとの関連でございますが、ペレットでございませんでも、鉄鉱石にしても原料炭にいたしましても、オーストラリアその他等々とのわが国の長期輸入契約があるわけでございますけれども、こういう情勢でございますから、なかなか当初考えましたほどの輸入がわが国としては実行し得ないという問題を持っております。これはしたがいまして相手国との折衝の問題になるわけでございますが、したがって業界の立場から申せば、折衝の結果として輸入量をできるだけ削減するということが業界としては一番有利な立場になるわけでございます。しかし、また先方には先方で長期契約ということから来ますいろいろの期待なり見通しもあるわけでございましょうから、その帰趨によりまして政府としてはいろいろな可能性を考えておく必要があるかもしれない、こう申しましたのが私のかつて申しましたことでございます。したがって、これはこれから起こり得る事態を考えて、政府としてはいろいろな道を考えておく必要があろう、ただいまでもさように考えております。
  64. 福間知之

    福間知之君 そういうことを含めて、一昨日、政府は緊急輸入対策をお決めになったようであります。問題は、その中身を一応説明を願いたいんですが、昨年の補正予算審議の当予算委員会でも緊急輸入三十億ドルをめぐる議論がありまして、総理も積極的な御発言をなさったんですが、どうも円高がこう進んでくると、政府はそういう緊急対策なるものを議論をするんですが、実効が伴わないというところで大変海外から不評が出ている。そういうことはないのかどうか、今度の対策は実行されるのかどうか。するなら、いつやられるのかどうか。たとえば運輸大臣にもお聞きしたい。航空機を輸入する、あるいはまたリースする、こういう構想なんかは具体的にはどういう決意で考えていこうとされているのか。そこらを経企庁長官初め運輸大臣にもお答えを願いたいと思う。問題は、日本は言うことは言うけれども実行しないじゃないかということで、結局、円高をあおるという結果をもたらすのを恐れるわけであります。
  65. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 経企庁の方はいろいろアイデアを出すということ等も大いにやってもらっているわけですが、われわれは、いまあなたが実行をどうするかと言われる実行機関の一つとしてまさに御説のごとく大事なことは急いでやらなきゃいかぬ。議論に時間がかかっていたんじゃいかぬ。全然同感でございまして、たとえば、いまあなたのお話しの会議を行いまして、あれは土曜日でございましたので、その日のうちに多少は手配いたしましたが、即日関係者と折衝してというようなわけにはまいりませんでしたが、実は、この予算委員会でお暇をいただければ、その後、関係の航空機会社の社長等も呼ぶ手配をしておりまして、待機させております。まさにこのことは、あなたが言われるように、議論よりも実行を確実にやれというお話でございますが、そういう所存で私ども進めているわけでございます。  これにつきましては、内容も言えというお話でございますが、現在のところ、民間会社主導の形において進めなければいけないこと等もございますので、どういう飛行機をどうというようなことは、もうしばらくお待ちをいただきたいんでございますが、そういう所存できょうは関係する会社の最高責任者全部を集めております。  それからリースの話もございましたが、実は、このリースの方は私ども一から考え出して言い出したことじゃないんでございますが、リースそれ自体も大変結構でございますが、これを行いますには日本の航空機会社との関連等もよく考えてやりませんといけないというのは冠自身も考えておりますので、そこいらのところを、実行は急ぐのではあるが、同時に、不用意に急いだためにいろいろ食い違いが生ずるというようなことのないようには、かたくこれは期していかなければならぬ、さように考えております。
  66. 福間知之

    福間知之君 航空機の問題でもう一点。  おっしゃるように、それを購入する場合に、特に国内の航空機会社に買わすわけで、政府が何も買うわけじゃないんであります。そうすると運航路線の問題が出てくると思うのです。これは覚悟をされて折衝に臨まなければならぬと思うのですが。
  67. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) まさにお話しのごとく、飛行機は買えと、それはどこを飛んだらいいのか、飛ぶ路線が確保されてないという話では話にならぬので、私どももその点を考慮いたしまして、いろいろ考えていかなければならないと思いますが、これはどっちが先だということになるとなかなかむずかしい話ではございますが、本日会ったりいたしまして、その後いろいろ折衝を進めまして、じゃ、どのぐらい民間の方でも飛行機を買おうと、ついては、いまお話しのようなことについてちっとは考え――その話が出るかどうかわかりませんが、恐らく出るものと私は思いますが、考えてもらわないと、買っただけではわれわれの方は困るという話等もあろうと思います。そういうところをよく聞きまして――聞かないでもある程度見当はつくんでございますけれども、いまいろいろ話が出ておりますようなことをうまく進めていきたい、こういうように考えております。まさにそういうような関連することを考えつつ実行を進めていく、こういうことでありたいと存じます。
  68. 福間知之

    福間知之君 じゃ、いままで小さな飛行機を飛ばしておったローカル、飛ばしておった会社、そこに中型機を持っていくとしたならば、滑走路からまたこれ整備しなければならぬ。結局時間がかかるので、決めた計画がどんどんどんどん延びていくということを私は、心配しているのです。それはもう御答弁は結構です。経企庁長官、総合していかがですか。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま民間航空機の問題につきましては、福間委員と福永運輸大臣との間で質疑応答がございました。  そのほかに、わが国以外の国々で航空機の需要があるが、国際収支等の面からすぐには買いにくいといったようなケースがあり得るわけでございますが、そういう場合にわが国企業がこれにリースをするということが可能であるかどうかという問題が第二点でございます。  第三点は、石油の緊急備蓄との関連でタンカー等による原油備蓄、これを五十三年度において五百万キロリットル程度行いたい。この点は予算措置も講じてあるわけでございますけれども、その具体化を急ぐ必要があるというようなこと。  それから、もう一つは、先ほどのお話とも関連がございますが、希少金属あるいはペレット等々いろいろな重要物資の備蓄あるいは前払い等について考えるということでございますが、これらの問題全体を通しまして、現在行われております外貨の緊急貸出制度を、その期間あるいは条件等々を具体的なケースに従ってもう少し弾力的に考えていくことができるのではないか、これは、しかし、抽象的に新しい制度をつくるということではなく、具体的なケースに従って考えていくことがしかるべきことではないかといったような問題を含んでおります。  なお、このほかに医療機械でございますとか、あるいは第三国に対する食糧援助でございますとか、二、三、一つのアイテムとしてまとめるほどの大きさではございませんけれども検討をされておる問題がございます。
  70. 福間知之

    福間知之君 国債問題について二、三お聞きをします。  去年一年間の国債流通市場、既発債の売買の市場における特徴というもの、特に事業会社がかなり買っているという傾向がありますが、それを含めて特徴的な傾向は一体何か。大量の国際の発行がことしも予想されております。市中消化問題あるいはまたインフレ問題、いろいろこう心配がされてくるわけであります。
  71. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 国債の大量発行に伴いまして、国債市場は急速に大きく伸びているわけでございます。しかも、われわれの方も、個人消化を急ぐとか、あるいは発行条件は四回にわたって改定いたしているわけでございますし、それから流通金利にできるだけ近いものにしていくとか、あるいはまた多種多様なものを出しまして、中期債を出すとか、中期の割引債を出すとか、あるいは三百万円までは免税にするとか、いろんなことをやっているわけでございます。そのほかに気配相場をもう定期的にいま証券業協会から出すことにいたしまして、そして国債あるいは一般に広く公社債市場のいま拡大に努めておるところでございますから、非常にその額はふえているわけでございます。  具体的に申し上げますと、これは五十二年中の大手六社の取り扱いでございますけれども、五十一年でございますと七千百億程度の国債は売買しかございませんでした。それが五十二年、暦年でございますが、四兆八千億ぐらいに伸びておりますから、六・七倍ぐらいにふえているわけでございます。ずっと見てみますと、金融機関、事業法人、生保、投資信託それから共済組合、それからその他個人、こういったものが非常にふえておりまして、この四兆八千億のうちで言いますと、金融機関が売買したものが約一兆七百十三億、それから事業法人で一兆八千八百二十三億、それから機関投資家五千八百億ぐらいでございます。それからその他、個人、財団法人とか、そういったものでございますが、一兆二千億ぐらいでございます。したがいまして国債の大量発行が今後も恐らく続くと思いますので、われわれは公社債市場の育成、それから流動化、それから安定化、その方向に向かいましていま大いに力を注いでいるところでございます。
  72. 福間知之

    福間知之君 いまのお話のように、一般企業が一兆八千八百億円から買っているということ、これは全売買量の中でもかなりのウエートを占めていると思うのですが、これは一体いい傾向なのかどうなのか。
  73. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いい傾向とか悪い傾向とかいう問題ではなくて、やはりいま御承知のように金融が非常に緩和しておるわけでございます。したがいまして投資物件として国債に相当魅力がある、それから安全性もある、こういう観点からやっているわけでございますから、現在の経済情勢あるいは金融情勢にマッチした取引が行われている。で、それを安全に円滑にするということがやはり当面の重点であると思うわけでございます。
  74. 福間知之

    福間知之君 ある程度のウエートで企業が保有することはいいんですが、いまの大蔵大臣のお話を聞いていましても、やっぱりすれ違っているのですね。民間設備をふやさにゃいかぬ、景気をよくしなきゃいかぬと言っているとき、そのときに、仮にそういう時代が来たら、そういう民間企業の短資を全部今度は設備投資の方に回していかなければならぬ、生産拡大の方に回していかなければならぬ、大変なことに今度はなるわけでありまして、そこをお聞きしているので、はぐらかせては困るわけですね。
  75. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 現況を申し上げたわけでございまして、当然、これで企業設備の動意が出てまいりまして、資金需要ということになりますと、これは当然売りの方が強くなるわけでございます。そのときにどういう対応をするか、これが一番むずかしい問題でございますが、そのときは日銀において買いオペをやるとか、あるいは急速な値崩れがこないようにいろんな国債管理政策をやることは当然でございます。しかし、一般に資金需要が高くなり金利が上がるということになりますと、これはもう当然でございますけれども、国債に限らず、すべての有価証券は少し下がりぎみになりますが、それが急速に下がるようなことがないように、その価格の安定のために必要な買いオペなり、あるいは場合によりましたら国債整理基金を発動するとか、いろんな問題を抱えていることは当然でございます。しかし、そのためにでもやはり市場を拡大しておく必要はあるだろうと思うのでございます。
  76. 福間知之

    福間知之君 銀行の国債売却については、いままで全くそれは禁止していないと、こういうふうにおっしゃってきましたけれども、そういうことですか。
  77. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 国債の売却につきましては、特に規制はいたしておりません。
  78. 福間知之

    福間知之君 しかし、最近、大阪の幸福相互銀行というところがありますが、それが売却をしようとしたら、大蔵省がストップをかけたと、こういう報道があるんですが、御存じですか。
  79. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 特にストップをかけたとは聞いておりません。ただ、引き受けまして、これは引き受け手数料をもらって一般的にすぐ売られますと、いまの国債市場から申しますと余り――どちらかと申しますれば、ある期間保有していただいた方が結構なことには間違いございませんが、特に大蔵省が干渉いたしまして、それをストップしたという事実はございません。
  80. 福間知之

    福間知之君 そういうふうに報道では出ていますね。一年ものの六・六%じゃだめと、一年以上たった八%以上のものに切りかえろと、そうじゃないですか。
  81. 田中敬

    政府委員(田中敬君) 御質問の趣旨の記事が日本経済新聞に出たことは事実でございます。記事を見まして私ども確認をいたしましたが、現地の財務局あるいは大蔵省その他関係各局に確認をいたしましたが、幸福相互銀行に対しまして国債の売却を禁止し、あるいは遠慮をするようにと当局から申した事実はございません。後で確認をいたしましたところ、当月、幸福相互銀行は資金繰りのために約二十億円国債を市中に売却したという事実を後で発見いたしております。
  82. 福間知之

    福間知之君 その真偽のほどは今後に少し持ち越すにしましても、やっぱり国債の市中消化ということを拡大していくということを基本にすれば、もちろん証券会社の抵抗もあるわけですけれども、そこはやはり政府当局がはっきりとしたバックボーンといいますか、ポリシーを持ってやっていかなきゃならぬわけでありまして、仮にいまの幸福相互銀行のようなことが、私はほかにもないことはないと思うんでありまして、何となく八方美人的にあっちに顔を立てこっちに顔を立てじゃ、これはなかなかできない改革でありますので、今後もひとつ考慮を願いたいと思うわけであります。  最近、外人の債券買いが多いということでございますが、ドル防衛という面から言ってもこれは問題があるんじゃないか。当局は何と考えておられますか――ドル防衛じゃない、円高。
  83. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) なかなかむずかしい問題でございまして、御承知のように、日本の資本市場の発達とか、あるいは国際的な資金の交流、これは日本のような自由貿易、自由資本の交流、これを国是としているものにとりましては、これは今後ますます長期的な観点では進めてまいらなければならないところであることはもう御承知のとおりでございます。基本的には、わが国はその方向に向かって今後も前進していきたいと思っているのでございます。  ただ、いま円建て外債等が入っておるわけでございますが、これもまた大いに結構なことでございます、わが国から資本を欲しいというわけでございますから。ただ、せっかく出るのに非居住者がそれを全部持つということになると、結局、流出にならぬわけでございますので、ある程度の歯どめをしていることは事実でございます。いま大体二五%ぐらいというめどを立っているわけでございます。
  84. 福間知之

    福間知之君 通産大臣にお聞きしたいと思いますが、いま増田審議官あるいは西山貿易局長アメリカに行っていられるようですが――おられませんか、それじゃちょっと変えます。  労働大臣さん、最近の低迷が続いているこの景気状況の中で失業者が増大をしておりますが、当面の雇用情勢をどのようにお考えでございますか。
  85. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) この一月のいわゆる完全失業者は百二十六万、そしてこの失業率二・〇五%、有効求人倍率〇・五二倍、こういう状況でございまして、その後引き続き倒産件数がずっと続いておりまして、ますます円高の状況ということを考えますと、非常に厳しい雇用情勢である。特に、また一-三月は季節的な要因もございまして非常に楽観を許さない、こういう認識を持っております。
  86. 福間知之

    福間知之君 一月で百二十六万人の失業者が出たとか、三月にはこれ百四、五十万になるんじゃないかとか言われています。  問題は、いままでの失業雇用対策といいますか、そういうものはいわば後追いの対策という性格が強かったわけで、今後の課題としてお聞きをしたいんですが、たとえばEC諸国で行われているようなワークシェアリング制度、これは全員で労働時間を短縮して職場になるべく多く働くようにしていこうという、みんなで苦楽を分かち合おうという思想なんですが、日本の労働省は、そういう問題についてどういうふうに御理解されていますか。
  87. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のワークシェアリングという言葉、私も最近耳にいたしまして、労働再配分といいますか、この考え方新聞でも載っておりまして、一つの着想としては、これからの日本経済の進むべき方向から考えますと、仕事を分け合うという、こういう点において非常に示唆に富んだ発想ではないかというふうに思います。内容についてはすでに御案内だと思いますから繰り返しませんけれども、いろいろ他山の石としなきゃならぬ。ただし、定年制の繰り上げというようなこういう問題が出ておりまして、これはわが方とは逆の認識ではないか、このように思っております。
  88. 福間知之

    福間知之君 いずれこれはILOなどを通じて、わが国にもアメリカにも要請がいくようでございますが、しっかり研究されて、労働時間が日本の方が長いし、超過勤務時間も多いし、いまおっしゃるように定年制は全く逆だなどと言っていられませんから、その点はしかとひとつ労働省は研究を願いたいと思います。  通産大臣にお聞きしたいんですが、いま増田審議官あるいはまた西山貿易局長アメリカへ行っていられるようですが、何しに行っておられるんですか。
  89. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 実は、その前に、今月の二日から十七日までの予定で池田ミッション――約九十人の団員でございますが、アメリカとの間の現在の貿易問題、相当なインバランスもございますので、これに将来どう対処するか。それから、あわせてこれを拡大均衡の方向で解決していくためにはどうしたらよいか、こういうことにつきまして、アメリカの政界、産業界、労働界と懇談をしていただこうというのが今回のミッションの大きな任務でございますが、前半は、アメリカ各地をミッションが回りまして懇談をしておるわけでございますが、後半は、主としてアメリカ政府関係との懇談も相当出てまいりますので、そこで増田審議官と西山貿易局長を派遣をいたしまして、必要なアメリカ政府との懇談には立ち会いをいたしまして、そして側面的にこれを援助していこう、こういう考え方一つでございます。あわせて、増田審議官は、カナダとの間に若干の問題がございますので、アメリカの日程が終わりましたならばカナダへ回りまして、カナダ政府と若干の交渉をいたします。
  90. 福間知之

    福間知之君 拡大均衡という方向で、ぜひこれはひとつ成果を上げてもらいたいと思います。  けさ新聞でしたか、アメリカからもミッションが、今度は日本に対する輸出を拡大するためのミッションがおいでになるようですので、大いにこれはやっていただいて、とにかくお互いが刺激し合って、早くいい効果を上げるようにしていかなければならぬと思いますので、審議官が帰ったら、またお会いをしてお聞きをしたいと思います。  次に、最近、日本企業が海外に進出する例が多うございますけれども、ある意味では、これは日本の職場を輸出をするということにもつながるので、これに対してはマクロ的にあるいは、ミクロ的にどのように政策的に対応していくか、お聞きをしたいと思います。
  91. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 日本企業の海外進出は、ここ数年、オイルショックが起こりましてから、若干、オイルショックの直前に比べますと減っております。しかし、日本企業が海外へ出てまいりまして海外経済の発展に大きな貢献をいたしますと同時に、また、ひいては日本経済の発展にもつながる、こういうことで、政府といたしましては大変結構なことだと考えまして、これをできるだけふやす方向に持っていきたいと考えております。  ただ、しかし、ここで気をつけなければなりませんことは、現地の社会、現地の経済と混乱、摩擦を生じないようによほど気をつけなければなりませんし、それからまた、多国籍企業と言われるものの行動規範、これが行動が非常にやかましく言われておりますので、これを批判が起こらないようにいろいろ工夫をしていかなければならぬ、こういうこともございます。それで、昭和四十八年には、こういう反省から、総合商社では一つの行動規範をつくりまして、行き過ぎがないように気をつけていこうということで、十分お互いに戒心をしておるところでございますが、大勢としては、海外進出というものをできるだけ伸ばしていこう、こういう考え方でございます。
  92. 福間知之

    福間知之君 アメリカの多国籍企業が世界の代表的なものですが、日本の年間の総生産を凌駕するほどの海外生産をやっている。これがしばしばアメリカ国内においても、あるいはヨーロッパ等においても問題になっている場面があります。日本もその轍を踏まないようにやるべきだというのが私の主張でありますし、特に、この狭い国土で一億人以上が住んでおる、職場がしかもいまだんだん狭まっているという中で、その点を危惧するから申し上げているわけであります。  次に、同じ通産省で、この三月末で切れるいわゆる機電法に対して、新しい機情法なるものが政府で決定をされ、近くこの国会に提案されると聞くのですが、内容をお聞かせ願いたいと思います。
  93. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) いまお述べになりましたいわゆる機電法、これがことし期限が切れるわけでございます。五年間の時限立法でございましたが、非常に大きな役割りを果たしたと考えております。  それに引き続きまして、将来の産業構造を考えますと、やはり高度の機械工業それから情報産業、こういうものがこれからの日本産業経済中心になると考えられます。で、こういう産業を将来組織的に発展させるためには、やはり機電法に引き続きまして新しい法律が必要だと考えております。いま関係方面と最終の調整に入っておりまして、近くその調整が終わりますので、国会に提出をしたいと考えております。
  94. 福間知之

    福間知之君 この産業は省資源、省エネルギー産業でありまするし、同時に、産業構造知識集約化ということを促進していく中核産業の役割りを担っていると思うのであります。特に、未開発の分野、未成熟の分野を抱えておる面が多いと思うのでありまして、そういう点で情報処理サービス業というものを対象から外さないようにすべきじゃないか。いまその点がどうも各省庁で問題になっているようでありますが、局長、おったら詳しくひとつ御説明願いたいと思います
  95. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) ただいま福間先生から御指摘のございましたいわゆる機情法におきますところの対象といたしまして、情報処理サービス業を入れるか入れないかという問題でございます。私ども、当初の全くの原案の段階におきましては、情報処理サービス業はきわめて重要な産業でございますので、新しいいわゆる機情法の一環といたしまして育成、強化を図りたいというふうに考えたところでございますが、いろいろ問題点があることが判明いたしました。したがいまして、私どもの責任におきまして、一応、いまの段階におきましては新しい機情法の体系からは外しまして、別個の観点で育成をしていきたいということを考えておるところでございます。  と申しますのは、新しく考えております法律の内容は、いわゆる機械産業と情報産業とを組み合わせをして考えていくということでございますけれども、先生御指摘のとおり、情報処理サービス業におきましてはかなり未成熟な分野がございます。したがいまして機械産業と一緒に組み合わせをいたしまして処理をすることが情報処理サービス業にとりまして果たして適当であるかどうかの判断をいたしましたところ、若干、まだ未成熟な分野がございますので、そういう観点では問題があるのではないか、こういうことを感じまして、一応、いまの段階では法律案の対象からは外したいということを私どもなりに考えておるところでございます。  しかしながら、御指摘のとおり、情報処理サービス業が今後の日本知識集約産業の一環といたしまして相当大きな責任を持っていただくことは当然でございますので、別途の法体系、別途の行政政策といたしまして処理をしたい、かように考えておるところでございます。
  96. 福間知之

    福間知之君 今後、この情報処理産業の秩序ある発展のために、公社関係民間が相互に協力をし合って、一つ国家的プロジェクトぐらいの意気込みでかかるべき意味を持った事業ではないか、私はそういうように思いますので、善処を要望しておきたいと思います。  ついでに、森山局長にお聞きしたいのですが、アメリカで、最近、電子部品関係に対してアメリカの最高裁が相殺関税をかけるかどうか審査することになったようですけれども、少しこれは腑に落ちない、理に合わないのではないかと思いますが、いかがですか。
  97. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) ただいま御指摘になりました電子製品につきましての相殺関税の問題でございますが、先生御高承のとおり、アメリカのゼニスという電機メーカーがアメリカの財務省を相手にいたしまして訴訟を起こしたわけでございます。これは日本からの電子製品の物品税免除が相殺関税に該当するんではないかということでございます。しかしながら、アメリカ政府部内におきましても、ゼニス社の言い分は不当であるということでございまして却下をいたしました。その却下に対しましてゼニス社は不満といたしまして、現在、幾つかの段階を経まして最高裁で係争をいたしておるところでございます。ことしの恐らく六月ないし七月ごろ結審が行われるものと思っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、私ども及びアメリカ政府におきましても、ゼニス社の言い分は不当であるという考え方でございます。したがいまして私どもアメリカの最高裁の判決というものを十分注目いたしておるところでございますが、日米両国政府におきましては、物品税は相殺関税の対象にならないということで意見は一致しておると思います。
  98. 福間知之

    福間知之君 ぜひそうあってもらいたいし、それが正当だと思いますんで、善処方をお願いしておきたいと思います。  外務大臣、日中、平和友好条約問題はともかくとして、衆議院段階で日ソ善隣友好条約問題がソ連側から一方的に発表されました。さきの当委員会で、大臣は、これはお蔵の中へ上げておく、しまっておく、こうおっしゃいましたけれども、わが方はそういう態度でおりますが、ソ連側はそうじゃなかった。どのように今後対処していくべきかということを、御見解をお伺いしたいと思います。
  99. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 福間君、時間が来ております。
  100. 園田直

    国務大臣(園田直君) 日本とソ連の真の友好関係は、御案内のとおり、未解決の問題四島一括返還の問題を解決をして平和条約を締結することであるという終始一貫した態度をとっております。そこで、日本としては、それ以前に国家間を規制するような他の条約を結ぶ考え方はございませんし、善隣友好協力条約を検討する準備や用意はございません。
  101. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  102. 福間知之

    福間知之君 はい。  近く予想される日中平和友好条約締結をめぐる交渉、わが国の決意、基本態度、そういうものに照らしてソ連の今回の態度は全く支障ないと、こう考えてよろしゅうございますか。
  103. 園田直

    国務大臣(園田直君) 日中友好条約の締結交渉については、いささかの関係もないと考えております。
  104. 福間知之

    福間知之君 じゃ最後に。  総理、いろいろと厳しい経済環境でございますけれども、私が今回の予算というものを、中身を私なりには勉強してみまして、確かに政府もいろんな枠組みの中では配慮をしているということは理解できます。しかし、かねがねわれわれが主張してきましたように、発想転換というもの、あるいはまた言葉をかえれば政策理念というものの転換が少しやはり欠けているのじゃないか。総理がおっしゃってきましたような、静かでつり合いのとれた社会というものを目指して、五十三年度はせめてトンネルの出口が見えたという姿にしたいとおっしゃいますけれども、いままでのレールの上を走っているだけでは、トンネルを出た後の光景は違うかもしれないんでありまして、そういう新しい時代に適応するわが国経済社会というものをつくるためには、私たちがいままでの発想を本当に名実ともに転換をしていかなきゃならぬ。国際収支の問題、貿易問題一つとりましても、なかなか容易ならざる事態でございますので、国内における主体性というものを、産業あるいはまた国民生活、政府、行政、すべての面で改めていかなきゃならぬというように考えるわけでありまして、最後に総理の御所見を伺いたいと思います。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府施策発想転換がないと、こういうような御指摘でございますが、これは私は常々申し上げているんです。いま、石油ショックによって、あれ以来、五年間のトンネルの中に入って、いよいよトンネルの出口が見える、そこまで五十三年度は持っていきたいと。そのトンネルを抜け出た先は、いままでの道とはもうまるきり違うのだ、いわゆる安定成長社会、静かで心豊かな社会なんだ、そういうことを言っているので、これ以上の発想転換がどこにありましょうか。それの考え方一つ一つ施策一つ一つの行政、それににじみ出ているんです。よくひとつ御検討のほどをお願い申し上げます。
  106. 福間知之

    福間知之君 どうも抽象的だということを私は先ほど来から言っているわけで、気持ちはわかると、こういうことを言っておるわけで、どうも突っぱねたような御答弁ですから、私は納得できません。
  107. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で福間君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  108. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、糸山英太郎君の総括質疑を行います。糸山君。
  109. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 昼食の時間でおなかもすいていると思いますが、もうしばらくごしんぼうお願いします。理事から一時までの時間に上げろと言われておりますから、どうか答弁もなるべく簡単にわかりやすくお願いしたいと思います。  最初に総理に伺いますが、けさのニュースでフランス国民議会総選挙の第一回投票が行われ、その結果では左翼連合が勝ったそうですが、私は非常に強いショックを受けました。第二回投票の結果が注目されますが、わが国の友好国であるフランスのこのニュースを総理はいかにお感じになったか。私は非常に強いショックを受けました。
  110. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) フランスの総選挙につきましては、私もずっと関心を持ってきております。おりますが、前々から左翼連合が第一回投票におきましては勝つんだろうと、こういうように言われておりましたので、私はこの第一回投票自体にはそう大きなショックを受けたわけではございませんが、第二回投票、これは重大なる関心を持ってながめておる次第でございます。
  111. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 衆議院に続いて当委員会でも日中平和友好条約締結交渉をめぐる論議が活発に行われてまいりました。私はその結果、日ソをめぐる諸問題もわが国にとっては重要な外交テーマである。  そこでまず、私は日ソ問題で農林大臣に伺います。それはモスクワでの話し合いが難航中の日ソ漁業協力協定の交渉に関して、この交渉の唯一の最大ポイントは、北洋公海上でのサケ・マス操業について日本側の主張をどこまで認めさせるか、この点に尽きると私は認識しております。しかし、ソ連側はいち早く日本の操業は事実上全面禁止というきわめて強硬な主張を打ち出してきております。農林大臣はそのソ連を相手としてどんな決着をつけるのか、御決意を伺いたいと思います。
  112. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 糸山議員御指摘のとおり、いま日ソのサケ・マスの話し合いは非常に厳しい段階を迎えております。これは海洋法二百海里時代を迎えて、前々から言われておったことではございますが、協力協定の話し合いは進んでおりますけれども、ソ側主張は海上でのサケ・マスの漁獲は差し控えようと、すなわち全面的にやめようと、こういうものでございまして、四月の二十九日には従来の協定が切れますので、四月、五月から始まりますいよいよ本格的なサケ・マス漁業に備えて何としても従来の権益だけは粘り強く守り抜きたい。これは長い歴史を持つわが国の大事な伝統的漁業でございますので、あらゆる折衝を重ねて既得権は守りたいと、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
  113. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大臣、交渉がこうどんどん煮詰まってくると当然訪ソされることと思います。訪ソの時期はいつごろになるのか、四月初旬かあるいは中旬になるか、これは非常に答えにくいと思いますが、全国民が非常に注目している問題でございますので、この見通しについてで結構ですからお答え願います。
  114. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) いまソビエトにおいては三つの部会を設けまして、政府並びに民間の代表団が鋭意協議を重ねておるところでございます。一つは協力関係一つはサケ・マス漁業の取り扱い、一つは協定案文の検討ということでございます。いまこの三つの折衝の経緯を見守っておるところでありますが、話し合いの場が持たれているところ、あるいはまたこれから持たれるところ、いろいろありますが、余り前進してはおらないことは事実でございますが、さらに現在行っております三つの委員会わが国民間政府代表団による折衝を重ねまして何らかの成果を得たいと。この折衝と並行いたしましてしかるべき時期に私もあるいは訪ソしてと、こういうふうには思っておりますが、行く時期はいつかと言われましても、まだお答えする段階には残念ながらございません。
  115. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 わかりました。何しろ命がけでがんばってきていただきたいと、青嵐会の座長、あるいはボスでございますから、きっとそんな間違ったことはないと期待しております。  防衛庁長官にお尋ねします。この質問は私は毎年お聞きしてきておりますが、金丸長官にも伺うわけです。五十三年度の防衛関係予算は総額一兆九千十億円、五十二年度に比べて一二・四%の増、GNP対比〇・九%、一般会計対比は五・五四%となっており一この防衛予算長官からごらんになって満足がいくとお考えですか。
  116. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) このたびの五十三年度予算は参議院で採決をいただかなければ決定にならないわけでございますが、F15、P3C、また整備等につきましてそれぞれの予算をいただいたわけでありまして、私はこの経済の非常に緊迫している中でこのような予算編成ができましたことは、まことに妥当だと感謝をいたしておるわけであります。(「困ったな」と呼ぶ者あり)
  117. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 困ったな、本当に困った。  では総理にお伺いします。アメリカのアジア政策はかなりの変化が起きておると私は見ております。これは当然だと私は思います。ことしのアメリカの国防報告は一カニ分の一戦略の上で、アメリカの軍事力がヨーロッパに次いで中東方面にウエートを置くことがうたわれてあり、東アジアでは在韓アメリカ地上軍の撤退も開始されました。そうした情勢の中で、日米安保体制の一方的な依存は不可能になりつつあるのではないでしょうか。言いかえれば、アメリカ日本側の防衛協力についてもっと露骨に求めてくることも十分予想されております。総理の分析とそして予想はいかがですか。
  118. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、アメリカがアジアに対しまして関心の持ちぐあいが変わるのじゃないか、そのような御懸念のようなお話でございますが、世界の情勢、それから軍事技術、科学、そういう発達、変化ですね、そういうことがありますので、そういう軍事を取り巻く、あるいは国際政治を取り巻く、客観情勢に従いまして、そのときどきのアメリカの実際の関心の度合いの示しぐあい、それは多少の変化はあると思いますが、しかし、基本的に私はアメリカがアジアから関心の度を薄めるとか、あるいはいままでアジアの諸国といろいろな約束事をしておる。その約束事についての態度を後退させるとか、そういうことは私はあり得ざることであると、このように確信をいたしております。  それから、日本に対するいろいろな態度はどうだと、こういうことでございますが、アメリカはわが日本の置かれておる憲法上の立場、またわが国民がどういう国民感情を持っておるか、そういうようなことをよく理解しておるんです。ですから、そのような日本の立場、日本国民の理解、そういう枠を越えまして日本にいろいろ求めるというような、そういう行動はいままでもとっておりませんし、今後も利はとらないと思います、しかし、日本がとにかく自衛権を持っておるんですから、その立場を踏まえまして、日本日本らしく十分やるということにつきましては大きくこれを期待をいたしておると、こう申し上げて差し支えないと、このように存じます。
  119. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 わが国の防衛力、防衛努力というものは、わが国独自の考えに基づいて、諸情勢に十分対応していながら整備を果たしていかなければならないことは当然のことであります。アメリカから要求されたからという性格のものではありません。しかし、アメリカとの関係を基軸にしているからには日米間の話し合いを絶やさず、日米間のパイプというものはいつも風通しをよくしておかなくてはならないと私は思います。  そこで防衛庁にお尋ねします。アメリカとの間で重ねられてきた日米協議のこれまでの経過をまとめて、三月中旬ごろには国会に中間報告の予定で準備作業を続けていらっしゃると伺っておりましたが、その準備はできているのか、あるいはもう近いうちに発表していただけるのか、その点をお伺いいたします。
  120. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生の御質問の中にございました日米間の意思の疎通ということでございますが、これは御承知のように、毎年一回国防長官並びに防衛庁長官の間でいろいろ意見の交換をするということが慣習になってきております。それから同時に、事務レベルにおきましてもそれぞれのレベルで協議を重ねております。その中でいま御指摘がございましたのは防衛協力小委員会の御質問だと思いますが、これにつきましては過去二年間にわたりまして、私ども事務レベルにおきまして協議を重ねてきております。しかしながら、きわめて専門的な問題でございます。過去二十数年にわたってこういった協議が行われておりませんでしたので、意思を統一しながら話を進めてまいっておりまして、現段階におきましては、それぞれ専門の分野、三つの部会をつくりまして、そこで研究をいたしております。この結果が出ました段階で、日米安保協議委員会に報告をいたしまして、できるだけ国益に反しない範囲で公表してまいりたいというふうに考えておりますが、いま申し上げましたように、技術的な検討というものがなお進められておりますので、三月ないし四月というよりは、もう少し先になるというふうに私どもは考えております。
  121. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 防衛問題は、わが党でも、あるいはこの予算委員会で玉置委員、あるいは源田委員から再三にわたって論じられました。防衛力の弱さについてはますます私も感じてきたわけですが、防衛力の不備の点は一体何かとお聞きしたいのです。量的な面、質的な面について具体的にお答えをいただきたいと思います。たとえば備蓄を含めた弾薬の問題、侵略を受けたときの脆弱性の問題、あるいは有事のとき、非常事態のときの法制面の問題。この法制面の問題は総理の意向で三原前長官検討を指示されたと伺っておりますが、その点は間違いないのでしょうか。
  122. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  防衛庁といたしましては、わが国にとってはあってはならないことだと思いますけれども、万一にもわが国に外敵が侵攻しまして、自衛隊に対します防衛出動命令が発せられたいわゆる有事に際しまして、現行法令で果たして十分なのか、さらに有効な法令が必要となるのではなかろうかということで、昨年八月に三原前長官の指示のもとに、現行憲法秩序の枠内でどういった法制が必要になるであろうかという勉強をせよという指示を受け、現在勉強を進めておるところでございます。
  123. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま防衛庁からお答えしたとおり、私から指示してあります。
  124. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 まだしつこく聞きたいのですけれども、時間がないのでとんとんといきますよ。  アメリカの対日経済要求も厳しいものがありますが、その背景には、東西の軍事バランスが東に有利になりつつある時代において、日本が防衛努力を果たさないことに対する不満があると私は冷静に受けとめております。西ドイツの外貨準備が日本よりも多いのに、マルクの対ドルレートは円よりもアップ率が低いということは、恐らく西ドイツの防衛努力が高く評価されているからではないんでしょうか。  牛場大臣に伺います。五十三年度の経常収支六十億ドルの目標達成のためにありとあらゆる努力をすると、三月八日の当委員会総理は強調されておりますが、アメリカからECを歴訪され、非常に御苦労なさった牛場大臣、あなた御自身は新たな緊急輸入品はこれだという何か妙案はお持ちなんでしょうか。土曜日の関係閣僚会議では何か御発言をされたんでしょうか。仮に、私がもし関係閣僚であったならばエンタープライズを、一隻五千億円と聞いておりますが、そのぐらいば買う気持ちを持っておりますが、牛場大臣はいかがでございましょうか。
  125. 牛場信彦

    国務大臣牛場信彦君) 経常収支の黒字削減は決して容易なことでないことは、先ほど企画庁長官あるいは通産大臣からも御答弁申し上げたとおりであります。しかしながら、この間決めました四項目その他を精力的に促進することによりまして、私はやれるんじゃないかと思っております。そのほかにまだアメリカ等からは、もっと大きなものをまとまって買ってくれという話があるのでございますけれども、これは民間航空機はその一つでございますが、そのほかやはり燃料関係の備蓄、たとえば濃縮ウランというようなもの、これは現在なお可能性ありと思っておりますので、こういう点について一層努力してまいりたいと思っております。
  126. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 通産大臣に伺います。  おとといの土曜日に開かれました国際収支対策に関する関係閣僚会議では、民間航空機や原油のタンカー備蓄など四項目の輸入促進措置が決まりましたが、いずれもすでに政府が打ち出した黒字減らし対策の中に含まれていたもので、目新しいものと言えば、外貨貸し制度を活用した航空機のリース方式ぐらいしかありません。確かに緊急輸入策の具体化は、円の高騰に拍車をかけている経常収支の大幅黒字縮小のための柱であることはわかりますが、その性格は将来の輸入を先取りする前倒しにすぎません。その内容もそう簡単に新しいメニューが出るものでもなく、また限界もあると思います。この点通産大臣はいかがお考えでございましょうか。
  127. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように、わが国の輸入は約八割近いものがエネルギー、それから原材料、こういうことになっております。製品の分野は二割強ということであります。ところが、現在は生産水準が相当下がっております関係で原材料の輸入が非常に減っておるわけであります。たとえば鉄鋼関係を申し上げますと、原契約から比べますと三割近くも減っておるのではないか、こういう感じでございます。しかし、いずれは政府も全力を挙げて景気回復に努力をしておりますので、産業全体の水準は近くある程度上がるのではないかと思います。そうすると、現在よりも相当量のエネルギー、それから資源を必要といたします。で、将来ふえるであろうその一部を前倒しで輸入あるいはまた備蓄する、こういう考え方でございますから、必ずしもいまの御質問のとおりではないと思います。
  128. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 同閣議の後の記者会見で大臣は、黒字減らし対策の基本は内需の拡大であると述べられていましたが、私も全く同感です。その内需の拡大のために福田内閣は懸命の努力をされておられるわけですが、大臣御自身は、総合的な対策を進める上でいま何が一番欠けている、おくれているとお考えなのでしょうか。また民間設備投資の目玉的な性格とも言われている五兆円規模電力投資の達成見通しにつきましても御所見を伺いたい。
  129. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) この経常収支の問題、それから貿易バランスの問題、これは一にかかって内需の拡大にあると思います。内需の拡大が計画どおり進めば、さっきもちょっと触れましたように、大体問題は私どもは解決すると考えております。そこで一昨日の会議でも、当面の緊急輸入もさることながら、やっぱり根本は内需の拡大であるから、来月初めには参議院で予算を成立させていただくものと私どもも判断をしておりますので、その時点までに総合的な内需拡大について総ざらいをやったらどうだろうかと、こういうことを七閣僚が残りまして相談をしたのでございます。企画庁が中心になりまして、それじゃ一体そのためにはどういう対策があるのかということ等につきまして、ここ二、三週間の間に至急に相談をいたしまして、財政のほかに一回その対策を総ざらいする必要がある、そして内需の拡大に全力を挙げる必要がある、こういう方向で進んでいくと思います。  それから、もう一つ電力設備投資の問題でございますが、過去二、三年立地問題等の関係から、電力設備投資の着手が若干おくれておりました。そういうことから、三、四年後には電力の不足が相当心配になっております。それからあわせまして電力投資というのは非常に波及効果が大きいものですから、景気対策上からも大変必要である、そういうことで、ことしは産業政策の一環として電力投資を非常に大きく考え取り上げております。現在までのところ確定しております数字は、工事量とそれから一部の機械の繰り上げ発注ですね、これを含めまして大体四兆二、三千億は確定をしておるんです。しかしながら、ややもするとおくれがちな立地問題を精力的に解決をして予定どおりこれを進めることができますと、なお相当繰り上げ発注、あるいはまあ一部工事の増加等も期待をできます。そこで政府といたしましては、これに全力を傾けることによりまして、なお一兆円程度の増加を年度内に期待をしたいと、そういうことでいま取り組んでおるところでございます。それが実現をいたしますと五兆を若干超えるという数字になりまして、エネルギー対策上はもちろんでございますが、景気対策上も非常に大きな役割りを果たすであろうと期待をしております。
  130. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理にお尋ねします。  円相場の安定について、当日の閣僚会議ではアメリカの協力が不可欠という判断で一致したようですが、アメリカに協力を求める方法について総理はどのような具体的方法をお考えでしょうか。また、その時期は二、三日中になるのか今週中に決定されるのか、お考えをぜひお聞かせください。
  131. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日米為替問題は、いま円高などということになっておりますが、私はここでもしばしば申し上げておるんですが、この問題はむしろ円高と言われますけれども本質はドル安なんです。ですからドルというか、まあアメリカ政府当局がドルの価値維持につきましてがんばりませんとこの問題は解決しないのです。そういう意味におきましてアメリカ努力を求めると、こういう考え方でございますが、このことにつきましてはもうずうっと日米間で緊密な話し合いをしております。それはもう本当に人の行き来もありまするし、電話のやり取りもありまするし、あるいは電報ということもありまするが、もう本当に緊密な話し合いをしておりまして、アメリカ日本の立場、意見、これはかなり承知しておるところでございます。必要がありますれば、なお今後といえども、さらにさらにあらゆる手段を通じまして協力を強化していきたい、このように考えております。
  132. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 次に行きましょう。  わが国が、世界の中の日本として経済力に見合った政治的役割りを果たしていかなければならないことはいまさら申し上げるまでもないことですが、そこで海外経済協力の問題で幾つかお尋ねしたいと思います。  その第一は、ひもつき援助はやめよという点です。わが国の援助はこれまでひもつきのものが非常に多く、一九七六年、一昨年のデータだけ見ても、二国間の政府直接借款で実際に供与された総額のうち、わが国は何と四六・八%がひもつきであります。西ドイツの二三・二%に比べ倍以上もなっているということです。開発途上国側はこうしたひもつきでない援助を望んでおり、ことし一月、私が東南アジア諸国を訪問した際も、各国で強く要望を受けました。各国が何と言っているかと言えば、物まで一緒に押しつけられてしまうということを言っています。この点、去る一月十三日付の牛場・ストラウス共同コミュニケの中で、援助の一般アンタイ化、すなわちひもつきはやめると日本政府の基本方針がうたわれたことは、わが国の姿勢としては大きな前進だと私は受けとめております。わが国のこの基本方針の影響なり、あるいは途上国での反響なり、政府はどのように見ておられるのか。また、黒字減らしの課題とも当然かかわり合いがあると思いますが、まとめて御説明をください。
  133. 園田直

    国務大臣(園田直君) 円借款協力については御指摘のとおりでありまして、一九七五年一月から従来のタイド借款にかえて、アンタイド借款を供与してきておるところでありますが、先般の日米共同声明にもありましたごとく、現在では一般アンタイドを基本方針としておりまして、今後ともこの方向で協力してまいる所存でございます。
  134. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 外務大臣にお答えいただけるとは思わなかったので……。では外務大臣。ソウル地下鉄二号線の建設計画調査をめぐって野党側が騒ぎ始めております。私もひとつお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、同調査の性格、これまでの経緯、そして現状はどういうことなのか。また、韓国側は江北路線の優先建設計画から江南路線を最優先的に建設したいと日本側に通報してきたと聞いておりますが、その理由はどんなことなのか、あわせてお尋ねをいたします。
  135. 園田直

    国務大臣(園田直君) 本件の調査は、韓国政府の要請に基づいて昭和五十一年九月から十月にかけて予備調査団を派遣し、諸準備が整った段階で五十二年の四月から五月にかけて本格調査団を派遣いたしております。その後国内作業を行い、本年一月末に韓国側に報告書を出してございます。技術協力の一環である通常の開発調査案件と同様の手順を踏んで調査の協力は完了したところでございます。
  136. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 結果的にはあくまでも調査だけであって、実際の建設工事に伴う資金などの協力要請は、韓国側からまだ日本側に何も申し出がないわけですね。
  137. 園田直

    国務大臣(園田直君) その後の具体的要請は全然ございません。
  138. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大臣のいまの御答弁ですと、何ら問題も疑惑もないではないでしょうか。外務大臣、この席でそれをはっきり明言すべきです。大臣は先日の衆議院の予算委員会の締めくくり総括質疑の中で、一号線に絡まる疑惑が残されている時期に調査団を派遣したことは政治的に配慮を欠いたと御答弁をされたようですが、私はそのような御答弁の配慮など全く不必要だと、正々堂々と胸を張っておやりになっていただきたい。大臣、衆議院における答弁を撤回してください。
  139. 園田直

    国務大臣(園田直君) 二号線については、ただいま具体的に要請がない段階でありますから何とも申し上げられませんが、この調査、何か要求があって具体的に進むとなれば、正確に調査をした上で、そしてそれが地域の開発に役立ち、しかも日本の技術協力の趣旨に徹するならば進めるべきことでありましょうけれども、その調査のやり方については、こういう疑惑があるとき、慎重に検討してやることは当然でありまして、撤回はいたしません。
  140. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 一号線建設に絡む疑惑については私も承知しております。疑惑があるなら徹底的に解明されなければなりません。しかし、だからと言って、二号線建設をめぐる将来の問題までを初めから疑惑の目で見るような、それこそ黒い先入観には断固反発します。韓国政府の要請にも基づいて、韓国の経済社会の発展と国民福祉の向上、民生の安定といった観点からわが国が協力することはむしろ当然であり、そうしたきずなで日韓両国が一層友好を深め緊密度を増すことは、アジアの平和と安定、そして繁栄につながるものと私は理解いたしております。韓国の国鉄電化工事を受注したフランスが、この二号線も続いて受注しようと大変な努力をしているという情報も入っております。韓国自身が自国の経済、技術力の向上と日本国内の政争の煩わしさの中から、将来日本は相手にせずといった判断をすることも理論上は十分予測されると思います。現状はますます厳しさを増す感じを強めていると私は思います。わが国はすぐお隣の友好国として、もっと冷静に受けとめるべきだと思います。大臣、この点いかがですか。
  141. 園田直

    国務大臣(園田直君) 私が二号線の調査その他について慎重にやるべきだと言うことは、日本と韓国の関係は密接でなけりゃならぬことはお説のとおりでありまして、そこでそれをやるについては、国会でも国民でもなるほど間違いはないと納得されるようなやり方をしてやれと、こういう意味でございます。
  142. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 では、国内経済問題に入ります。  総額で五兆四千五百一億一千万円、五十二年度当初予算に比し二七・三%の伸び率、これが五十三年度一般会計予算案に盛られた公共事業関係費の規模です。財政投融資地方分を合わせると、国、地方で二十五兆六千億円に上ります。しかし、せっかくのこの予算も、スピーディーに、しかも有効に施行されなくては、政府の最大の目標になっている実質七%の成長もおぼつかなくなります。つまり、政府が何度も強調されているように、波及効果を最大限に発揮させるためには消化不良を起こしてはならないということです。私はこのことが一番のかぎだと思います。  そこで、国内経済の第一問は、消化体制は万全なのかという点です。五十二年度の第二次補正予算と合わせて十五カ月予算であるならば、消化体制にももちろん手抜かりはないと思いますが、建設大臣いかがでしょうか。大臣御自身は、国会が終わったら全国を歩き、公共事業の執行にハッパをかけ景気浮揚の牽引車になるつもりだと御決意を伺っていますが、いかがでしょうか。
  143. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 二次補正の方につきましては、消化可能な分に対して個所づけをいたしておりますので、私としては、これは一〇〇%消化可能であると、こういうふうに見通しております。  それから、五十三年度の分につきましては、これは予算成立後直ちに発注できるようにいま準備体制を進めておるわけでございまして、政府としては上期七割の消化、四-六にできる限り努力せいということでございますが、これは私は心配ないと見ております。
  144. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 心配ないと言われましたけれども、じゃ労働大臣に、関係して伺います。  それは専門的な技能工の確保は大丈夫かということです。たとえば、鉄筋を加工する鉄筋工、また型枠工、それから溶接工といった建設業界におけるそれぞれの熟練工は全国的に三五%も不足していて、上越新幹線工事を請け負った会社から、鉄筋工を募集するという陳情が私のところにも殺到しているぐらいです。逆に、不況の造船業界では技能工が余っているとのことです。そこで、この造船の技能工を建設業界に回せば、雇用対策もでき、技能工不足も解消する一石二鳥の効果もあると、民間ではそのような構想があるのですが、政府が一はだ脱いで実現する気持ちはないでしょうか。労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
  145. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御指摘の問題につきましては、不足する技能労働者、同時にまた構造不況によって失業の方向に行かざるを得ないような気の毒な人たち、これをうまく結びつけて、そして雇用の安定、労働者の生活の安定を図るということは、私は現在の急務であるというふうに考えております。したがって、そういう方向に向かって職業訓練もこれも多様化していき、特にいまの造船の不況から出てくる離職者に対して、ただ単に公共事業に失業者吸収率制度を利用して、活用して吸収するということだけでなくて、技術を生かしていく工夫をやらなきゃならぬというので、せっかくの現在努力をいたしておる最中でございます。
  146. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 建設業界の話によりますと、公共事業の施行をおくらせる原因の一つに、会計検査院の検査時期の偏りがあるようだと伺っております。たとえば建設工事に関し毎年行われている会計検査について、なぜ新規の工事をする四月、五月に会計検査院は集中的に検査をするのか、役所は書類の準備その他に追われて本来の仕事が手につかず、新規の発注をしてくれないといった恨みの声もあります。業界から近ごろ高まっているのを建設大臣は御存じでしょうか。つまり、新年度早々に検査を集中されることは、さあ仕事をやろうと立ち上がった足元をすくわれているような結果となり、公共事業新規の面より継続工事にならざるを得ず、全力投球ができないことになってしまう。逆に言えば、会計検査院に足を引っ張られるおそれがあるということです。もしそうであるのならば、検査時期の弾力的運用を図るべきだと考えますが、現状はどうなっていますか。この問題は建設省からすでに非公式に会計検査院に申し入れをされたと聞いております。建設大臣はどうお考えですか。
  147. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いまお尋ねの件につきましては、建設省といたしまして会計検査院とも事前によく御相談を申し上げた結果、特に五十三年度につきましては、異例の、公共事業の発注は上期になされますので、四月から五月の中旬までは発注事務に専念をするということで、会計検査につきましてはそれ以後お願いをするということにいたしております。
  148. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 結構な御答弁ですから、本当のことを言っていただいてありがとうございます。  では、会計検査院の方がお見えになっておると思いますので、会計検査院の方も、そういうふうにはっきり伺っているか伺っていないか。
  149. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 私ども一は年間三千八百カ所程度の検査を施行しているわけでございます。これを年の当初から十月ぐらいまでにかけまして計画的に施行するわけでございまして、それでもなお事後措置その他で職員には相当な負担をかけているわけではございますけれども、新年度におきます公共事業が異例の多額のものに及ぶというような事情も私どももしんしゃくいたしまして、関係当局からも御要望もございましたので、この際、ことしにつきましては、ただいま建設省の官房長から御説明申し上げましたように、十分なお打ち合わせの上で、大体四月、五月の中旬、あるいは地方公共団体についての補助事業につきましてはさらに五月の末までといったようなことで、きめ細かに個別にお打ち合わせをいたしまして御要望にこたえたいと、このように考えております。
  150. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 デノミに関して今度は伺います。総理にお尋ねします。  総理は、一月二十五日の衆議院本会議で公明党の竹入委員長の質問に対し、いずれの日にかやってのけなければならない、避けて通れぬ問題と答えられました。その基本的なお考え方にお変わりはございませんか。
  151. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その考え方には変わりはありませんです。
  152. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 ただいまの御答弁、総理はその後各方面からの反対で後退した発言をされていると私は受けとめております。特にいまは景気回復に全力を尽くすべきで、デノミどころではないといった意見など考慮されたものと思います。しかし総理、考えてみますとデノミは宣言から実施まで一定の時期を置くわけで、フランスが一九六〇年にやったときは一年の期間を置いております。とすれば、景気が完全に回復してから宣言するというのでは遅過ぎるのではないでしょうか。景気が回復してしまってからでは今度はインフレの心配が出てくるからで、不況のどん底では適当ではないかもしれませんが、景気が完全に回復する前に宣言しておけば、ちょうどいい時期に実施に移せると考えます。総理はどうお考えですか。
  153. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はことしの正月伊勢参りいたしまして、そのとき新聞社の人が問うままにそれに答えまして、ただいま国会で御答弁申し上げたようなこと、それからそれに付随いたしまして、しかしすぐこれを実施するというわけにはまいりません、これは条件が整わなければいかぬ。条件とは一体何だ、こう言うと、一つは物価が安定すること、一つ国際収支が安定すること、それからもう一つ景気が安定することだ、こういうことであります。ですから、三条件が整って、しかもこのデノミという意義につきまして国民が十分これはこういうものなんだということの御理解を願った上で実施するということにすべきである、こういうふうに考えておるのです。  そこで、三条件が整って、それから宣言、それから一定の間を置いて、普通常識的に言うと、まだそこまで検討しておるわけじゃございませんけれども、常識的に言うと間を置いて、そして実施ということになるんでしょうが、やっぱり宣言の前に三条件がちゃんと整ってないといろいろな混乱が起きるんじゃないか、そのように考えます。景気がまだ安定しない、そういう途上においてデノミ宣言をするということは、これはちょっと不安がまた別の意味において出てくるのじゃないか、そのような感じを持っております。
  154. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 私がお尋ねする真意は、デノミに関して国民の間に、いま総理の答弁にもございました不安や誤解があってはならない。それには政府が率直明快に基本姿勢を示されることがぼくは一番だと思います。  質問を続けます。大蔵省はかねてからデノミの勉強をされておられることと思います。そこで、将来実施するとした場合、宣言から実施時期までどのくらいの時間と手順が必要とお考えなのか。そしてその理由は何なのか。大蔵大臣、ずばりとお答えください。一九六〇年一月にフランスが実施したときは宣言が一九五八年十二月で、まる一年の時期を置き、その間に国民へのPRや法案作成の諸準備を済ませたと私は承知しております。
  155. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま総理がおっしゃったような意味におきまして検討はしておるわけでございますが、これはあくまでも検討にとどまっておることをまず御承知おき願いたいのでございます。主としてフランス、フィンランド等を研究しているわけでございますが、おおよそ一年ぐらいかかるのではなかろうかというところでございます。それで内容は、いま糸山さんがおっしゃったようなもろもろの審議会を開きまして、フランスとかフィンランドは開きませんでしたけれども、私はやっぱり開いた方がいいんじゃないかと思います。それでいろんな意見を聞きまして、そしてPRの問題も第一でございましょうし、それから諸法令の改正の問題、あるいはさらにはいろんな問題等、帳簿のつけかえその他の問題が出てくると思いますが、そういったものを漸次国民に知らしていくとおよそ一年ぐらいは必要じゃないかと、こんなふうに考えております。
  156. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 いま大蔵大臣に御答弁いただきました。おおよそ一年ぐらいと言われておりますが、一月二十二日付の日本経済新聞朝刊が一面トップで大きく報道した記事をお読みになったと思います。同報道によりますと、大蔵省はデノミを実施する場合基本的な段取りについてその考えを固めたとして、宣言から実施までに十八カ月、一年六カ月の準備期間を置き、実施時期は会計年度の切りかわる四月一日とすると、かなり具体的に書かれております。この報道、大蔵省がはっきりとそのようにコメントしたとは書いていませんが、実は私はこの報道のニュースソースについて情報を得ております。大臣、この報道は間違っているのですか。大蔵省としては望ましい基本的な段取りについて考え方をある程度固めていると伝えた内容を、大臣は否定されますか、それとも肯定されますか。もし否定されると、大臣も含めて大蔵当局はまだ何も勉強していないということに私は理解をせざるを得ませんが、ただいま一年とかなんとか言っておりましたから、恐らく否定はなさらないと思いますけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。C国務大臣(村山達雄)あくまでもいま純粋に研究段階でございまして、いつ実施をやるとかそういうことではございません。必要があるときにはスムーズにいくように研究を進めているということだけ初め申し上げておきます。  一年あるいは一年六カ月、いろんな場合が考えられるわけでございまして、私は先ほど一年と言ったのは、最小限やはり一年ぐらいは要るんじゃないかと、こういう意味で申し上げているわけでございます。
  157. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 デノミ実施をめぐる国民の不安の中には、戦争直後のときのように預金封鎖が行われることはないのか、また、財産税をかけられるおそれがあるから、いまのうちに物にかえておく方がいいのではないかというきわめて素朴な、しかも真剣な不安があります。大蔵大臣、この機会にそうしたことは絶対にないんだ、しないんだということを断言してください。
  158. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま言われているデノミは呼称の変更だけの問題でございます。したがいまして、預金の封鎖であるとかあるいは財産税をかけるとかあるいは資産の再評価をやるとか、そういったことは一切考えていないことをはっきり申し上げておきます。
  159. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 いままでいろいろお尋ねしてきた点は、国民が一番知りたがっている基本的な事柄です。きょうは残念ながらはっきりした御答弁がありませんでしたが、これらの問題をきちんと整理し、正確にPRすることこそ混乱を防ぎ不安を取り除く最善の方法だと私は思います。総理も同じお考えだと思いますが、ひとつ総理、提案がございます。それは総理の諮問機関として、たとえばデノミ審議会というような公の審議会をこれは早くつくった方がいいと思います。そして多角的に検討されるプランはいかがでしょうか。構成メンバーも超党派、与野党を含めた国会議員、学識経験者、各界の代表といった人たちという案はいかがでしょうか。問題の性格からして、デノミについては超党派的に合意ができると私は思います。そうした公の機関をつくってディスカッションをし、そして国民に明示することが必要と私は考えますが、総理、この提案についてぜひ明快なお答えをいただきたいと思います。
  160. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) このデノミにつきましては、くどいようでありますが、いま私ども政府としては国際収支、物価、景気、これらの問題に一生懸命取り組んでいるわけでありまして、このデノミ問題を現実問題として考えると、そういういとまはないわけでありますが、それらの経済を安定さした上で考えるべき問題である。しかし、これは経済安定というか、条件が整えばこの問題は避けて通ることのできない問題である、そういうふうに考えて、大蔵省で一般的な問題として、具体的な問題じゃありません、一般的な問題としていろいろ諸外国の事例などを調査しておる、こういう段階でございます。  そこで、糸山さんのおっしゃるデノミ宣言という時期がいずれやってくる、そういう時点になりますれば、これはいよいよ具体的に政府考え方を固めなきゃならぬし、また国民にも理解をお願いしなけりゃならぬ。そういうことを有効にやっていくためにば、いま御提案の各界の権威ある人人に集まっていただいて、この問題をどういうふうに進めるかということを御論議願う、これは私も大変結構なことじゃあるまいか、そのように考えますが、まだ具体的にこの問題を考えるというところまできておらないのです。
  161. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総務長官に、がらっと質問をかえてみます。  当予算委員会には女性のメンバーが一人もいらっしゃらないのですが、国民の大多数の賛成が得られれば婦人のための祝日を新設する意向を固めたというニュースが伝えられております。けさ新聞にも何か出ていたような気もしますが、基本的なお考え、つまり三月三日のこの婦人の日ですが、基本的なお考えと、これからの作業についてどんな御所見をお持ちでいらっしゃいますか。私のところにも御婦人からの問い合わせがありますのでお聞きしたいと思います。総務長官お願いします。
  162. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えをいたします。  総理府といたしましてはまだそういう煮詰まった考え方は持っておりません。ただ、各党の中でいつの日か婦人の日を祝日として設定してはどうかと、こういう動きがあるというふうに聞いておりますので、できるならばその資料調査というわけではございませんが、できるだけ対応できるという、こういうためにいろいろ対応策を考えておくことがいいのではないかと、こういうふうに考えておりまして、けさ新聞等につきましては、この日にするために調査をするとか、この日が適当であるとかという、そういう考え方ではないのであります。
  163. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 選挙制度に関する問題に入ります。選挙制度、中でも参議院全国区制度の改革問題に関してお尋ねします。  この問題は今国会冒頭の参議院本会議でも、また、おとといの当委員会でも取り上げられており、きわめて重要な問題だけに、参議院自民党・自由国民会議では、ただいまプロジェクトチームや小委員会で精力的に検討を重ねておりますが、二年先の五十五年七月に行われる次回参議院通常選挙から逆算しますと、今国会で答えを出さなければ全国区制度の改革は間に合わないのではないかとする見方も現実に強まってきております。  きわめて乱暴な意見になるかもしれませんが、私自身は現状で一番ベターな改革案となると拘束名簿式比例代表制以外にはないのではないかと考えております。総理御自身、土曜日の当委員会においても改革への積極発言をなされましたが、改革案の今国会提出ということも含めて、今後どのようなガバナビリティーを発揮されるお考えでいるのか。たとえば、時期が来れば党首会談なども呼びかけて――これは時期が来たらで結構ですから、党首会談などを呼びかけてやる考えがありますか。
  164. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘のように、私はこの参議院の選挙制度、特に全国区の制度の改革はこれを急ぐ必要があると思うのです。地方区の問題ももとよりあります。ありまするけれども、全国区制度の改革、もしこれをやるということにいたしまする場合に、この国会でやりませんとなかなかむずかしくなるんじゃないか。五十四年の国会、こういうことになりますと、ぽつぽつもう現実の候補者の動きなんかも始まってきておるというのでなかなか改正がしにくくなるし、その状況が五十五年になればいよいよむずかしくなるだろう、そうすると鉄は熱いうちといいますけれども、この国会、ことしこの問題を解決しませんと、またこの問題は解決しにくいことになるんじゃないか。しかも、これを改革しなけりゃならぬということは、これはもう各党各派の人みんなでそう思っておられるんじゃないか、このように思うのです。ただ、その方法を一体どうするかという話でありまして、私は地方区の問題もありまするけれども、とにかく参議院の選挙の問題、これはこの国会において何とかしたいなあと、そうして二年半先の参議院選挙は新しい制度のもとに、特に全国区につきましてはやるべきじゃないかというふうにいま考えまして、自由民主党の方にはこれを篤と推進方をお願いしているんです。  それからまた、自由民主党から公職選挙改正委員長が出ておりまするけれども、特に衆議院の皆さんに先般もお願いしたのですが、ぜひ各党の間で相談を願いたい、こういうことでございますが、各党の協力を得て何とかひとつこの国会で決着をつけたいものだと、さように考えております。
  165. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 全国区の改正と並んで、参議院地方区の定数是正という問題ももう一方ではあります。二人区の定数なのに四人区よりも人口が多いところとか、四人区なのに六人区よりも人口が多いといった府県のアンバランス是正は手をつけざるを得ないのではないか、私は素朴にそう思うのですが、地方区の総定数との兼ね合いがあって、これもなかなかむずかしい問題です。総定数の枠は絶対的に変えない方針のままでいくのか、微増してその後は変えないといったことはどうなのか、それらの点を含めて総理のお考えをお聞かせください。
  166. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これも改正しなけりゃならぬところの懸案でございますが、全国区の問題と並行いたしまして、各党において本当に真剣にお話し合いを煮詰めてもらいたいと、このように私は思うわけでございますが、自由民主党といたしましても、この問題には積極的に各党との間に協議を進めていきたい、このように考えます。
  167. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 参議院の選挙制度改革を論議するには、憲法がこれについてどう規定しているか究明することが必要だと考えます。現在例題として考えられるものの一つとして、全国区投票を廃止して通常選挙の際地方区に投ぜられた票を党別に集計し、これをドント式で比例配分するいわゆる一票制の考え方がありますが、法制局長官はこの一票制についてどう解釈されているのか。私は憲法学者の通説や現実に地方区に候補者を立てない政党が存在する時点ではこれはとるべきではない、憲法にも抵触すると思うのですが、この際真田長官から憲法上の問題点としてどういう解釈をされるのか、お尋ねをいたします。
  168. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 参議院の選挙制度についてのいろいろな御研究、改革の試みが行われているそうでございますが、私の関与しない場所で行われておりまして、全然具体的な中身を知らないものですが、ただ仄聞するところによると、いまおっしゃいました一票制とかあるいは二票制というものが論議されているようでございますけれども、単にそれだけではどうも判断の材料として不足でございまして、もう少しそれにまつわるいろいろな具体的な諾条件をお聞かせ願った上で慎重に検討して、憲法上の疑問のないようなお答えを差し上げたいと思います。
  169. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 長官、わが党のアンケート調査の結果、約半数の同調者があったのが拘束名簿式比例代表制でありますが、地方区の投票とあわせて各党の提出した名簿に投票する二票制は公選を規定した憲法条項とどういう関係になりますか。あらかじめ各党が順位を付したりストを掲げているので、これについては合憲説となっているようですが、法制局長官のその御見解を伺いたいのです。
  170. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) これはやはり慎重に検討しなければならぬ問題でございますので、いまここで即答することについては御勘弁願いたいと思います。もう少し研究の期間をお与えくださるようにお願いいたします。
  171. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 まあ、これ以上与党ですから突っ込むのはやめましょう。  時間も来ましたので最後に伺います。この問題は私も大変苦労した問題です。せんだって、選挙運動の期間中に宣伝カーにはつきもののウグイス嬢に報酬を支払うのは買収、事後報酬供与罪に当たるかどうかの裁判で、最高裁は一月二十六日、公選法の買収罪となるとして一、二審を支持した判断を下しました。この最高裁の判決によって今後はウグイス嬢は手弁当で働き、候補者は、彼女たちは運動員として扱わなければならなくなったわけです。選挙運動の実態に立って考えますと、厳しく取り締まられることとなるわけですが、新聞その他のマスコミも選挙関係者に大きな影響を与えそうだと報道しております。そこで、政府に単刀直入にお尋ねいたします。公選法を改正する意思はお持ちでしょうか。
  172. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 糸山君、時間が来ております。
  173. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 現行選挙法は、御承知のように、労務者には報酬を支払うことが可能でございますし、また事務員に対しましては、人数を限りまして選挙管理委員会に届け出をいたしまして、一定額の報酬を支払うことができるのでありますが、その他はすべて手弁当で、いわゆる無報酬で選挙運動に携わる、これが理念でありますことは御承知のとおりでございます。  そこで、従来も女性放送員あるいは女性遊説隊のいわゆるウグイス嬢が選挙運動員であるかどうか、また報酬を支払うことが可能かどうか、このことでずいぶん争われまして、下級裁判所では、各判決がすべて、いわゆる選挙運動員であって報酬を支払うことはできない、かようなことでございましたし、また、かつて最高裁で棄却をいたしましてこの考え方を支持したこともあったのでありますけれども、御指摘のように、ことしの一月、最高裁が理由を明らかにいたしまして、すなわち、放送嬢なる者の放送は直接選挙民に対しまして投票を勧誘するものだ、したがって選挙運動員だ、報酬を支払うことはできない、かような明確な判決が下されたのでございますから、そこで実態といたしましては、それではすぐれた放送員が得られないではないか、かような実際問題がございます。そこで自治省といたしましても、ただいまこの問題を慎重に各方面の意見を聞きながら検討いたしておるさなかでございますけれども、ただ、選挙運動の理念であります手弁当でやらなきゃならぬ、このことと、いまのそれではすぐれたウグイス嬢が得られないではないかという実態問題との相競合する問題でございますから、各党でもいろいろ御検討がなされておると、かように承っておるのでありまして、さような結果を待ちながら、政府といたしましてはこれに対処いたしてまいりたいと、かように考えておるところであります。
  174. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で糸山君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午後一時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会