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国務大臣(園田直君) ただいまの御
指摘は、なかなか重要な問題であります。私が先ほどお答えいたしましたのも
アメリカの
憲法とそれから戦争権限法に基づいてお答えしたわけでありますが、御
承知のとおりに、戦争権限法ができましたのは、ベトナムで
アメリカがああいうことをいたしました結果、大統領が勝手に戦争に巻き込まれるようなことがないようにという
国会の意思からなされたものであります。したがいまして、
憲法と戦争権限法の個条は私はお答えしたものの、これは一に大統領の判断によるわけであって、日本が攻撃されたる場合、自動的に直ちに日本の防衛につくということは、なかなか法文上は絶対に間違いありませんと言うわけにはいかないわけであります。一に、しばしば日本の首脳と向こうの首脳との間において交わされた
話し合いまたは共同声明等によって安保条約を基礎にした相互信頼に基づいて、日本が攻撃された場合は必ず
アメリカは直ちに防衛をするという一点の疑いを持たないということで終始しているわけでありますけれども、その判断は、正直に言ってどこに基づくかと言えば、一つには、日本の存在、日本の位置というものが
アメリカの戦略上欠くべからざるものであるかどうか、第二番目には、日本の平素の経済しその他の状態が
アメリカにとってきわめて大事なものであるかということに煮詰められると思うわけでありますけれども、しかし、いまここでこれをさらに突き詰めて言いますと、論理的には
源田先生がおっしゃったように、日本が核攻撃されたる場合、
アメリカが核を持ってこないで済むかという議論になってくるわけであります。その論理的な問題を詰めていくと問題が起こるわけでありますが、しかし、そのような状態を
考えると、日本が核で攻撃されたる場合というのは、これはもう現在の核爆弾その他の核兵器というものは日本の存亡が数発の核兵器によって消滅する時期でございますから、いまこれを論理的に詰めて
答弁をする段階ではないと
考えておるわけでございます。