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太田淳夫君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました
昭和五十二
年度第二次
補正予算三案に賛成の討論を行います。
わが党が本補正三案に賛成するのは、わが国
経済の現状が、三月危機を云々されたり、
昭和初期の大不況時と比較して論じられることなどでわかるように、今日
財政による追加救済策を講ずることが緊急の課題で、ただいたずらに時を過ごしては不況がどろ沼化し、縮小均衡
経済に転落しかねないからにほかなりません。たとえ、その責任が
福田内閣にあるとしても、経営難や倒産に追い込まれている多くの中小企業、または失業、就職難にあえぐ多数の人々のことを考えると、この緊急事態にこたえることは政治に課せられた責務であり、五十二
年度第二次補正は緊急避難的措置として認めざるを得ないのであります。
五十二
年度のわが国
経済が直面しておる深刻な不況は、本
年度の実質
経済成長率が二回の補正措置を講じてもなお当初の六・七%から五・三%に下方修正を余儀なくされました。また内需の各項目も、個人消費支出は名目一三・七%から一一・四%、民間設備投資は一二・三%から四分の一の三・〇%、民間住宅も一六・五%から半分以下の七・五%にそれぞれ
伸び率の切り下げ修正となっております。その他の指標も、生産の低迷、稼働率の停滞、企業倒産の
増加、有効求人倍率の逐月低下等々によって、いまや
国民は先行き不安に神経を使い果たし、企業は減量経営に走り、家計は
生活防衛に疲れ切っているというのが実情であります。
こうした状態で、景気回復の目途はいまだ立たず、暗く不安な不況のトンネルの出口も見つかってはおりません。まさに不況克服は国の内外からの要請であり、五十二、五十三年の両
年度を通じる最大の政治課題であり、この課題解決のためには、五十二
年度で残された第四・四半期の景気がこれ以上落ち込むことは絶対に回避しなければならないのであります。なぜなら、この期の
経済活動が不活発に終わるようなことになりますと、五十三
年度経済成長の発射台が低くなり、国内の不況摩擦の解決は不可能となり、わが国
経済は長期にわたり不況と低成長との悪循環に落ち込むことになりかねないからであります。こうした不幸な道を回避するためにも、本
年度の景気のこれ以上の後退は絶対に起こしてはなりません。この見地から、わが党は、本
年度内における
財政による景気刺激の追加措置は緊急にしてやむを得ないものと判断しております。
わが党は、以上のように、非常時、異例との状況判断に立って、次善の策として
補正予算に賛成するわけですが、それが直ちに
福田内閣の
経済政策や運営を是認することではないことは言うまでもありません。したがって、この際、
福田内閣の
経済運営の誤りを厳しく指摘し、強く反省を求める次第であります。
さきに述べたとおり、
政府は、本
年度当初
経済見通しの大幅修正に追い込まれ、
経済運営で大きなそごを来しております。
福田内閣は、その原因を九月末からの円レートの急騰にすべてを押しつけ、外的要因による避けがたい事態で、かつ不本意の結果と逃げております。しかし、私
どもにしてみれば、かねて懸念をし警戒をしてきた事態であります。すなわち、五十二
年度当初
予算で、国内需要の拡大、ことに個人消費を喚起するための
減税、
社会保障
関係予算等の不十分であることを指摘し、さらに昨年六月の
時点で、景気回復のための
補正予算編成の必要を要求したにもかかわらず、これを無視して、十月になってようやく事態の深刻さに気がついて、第一次補正を中心とした景気対策をとるに至ったやり方で、対策が後手後手に回った上に、小出しで効果が小さかったことは周知の事実であります。
こうした
政府の
経済運営の失敗が、不況を深刻化させ、
経済諸指標の下方修正を余儀なくさせ、さらに内需喚起を怠ったことなどが輸出に吐け口を求める悪循環を招き、円高攻勢を受け、国内不況と円高不況のダブルパンチに見舞われるに至ったことは、篤と反省を願いたいのであります。
福田総理は、五十二
年度は
経済の年とみずから訴え、
国民に
経済のわかる総理のイメージで期待を持たせながら、実際は
経済政策不在で、
経済悪化の年にしてしまった上に、景気回復時期も、梅雨明け、八月ごろ、総合景気対策で決定打と、次々に後ずさりして、政治不信を高めるばかりか、諸外国の対日不信を増幅させた責任は重大と言わねばなりません。
次に、私
どもは、本第二次
補正予算に大きな問題点のあることを承知しております。公共事業の追加三千六百六十億円に対し、租税印紙
収入の減収八千六十億円、
赤字国債の追加
発行一兆百九十億円、さらに第一次補正で特例国債一千百二十億円の減額等の経過を見れば、本補正を景気浮揚のための十五ヵ月
予算との
政府の宣伝にくみすることはできず、実体は歳入見積もり間違いの補てん補正と言わざるを得ません。
また、
補正予算に突如計上された決算調整資金についても、
財政法の根本理念である
財政民主主義、健全
財政主義等々の観点から疑問を持たざるを得ないのでありますが、本法案に対する態度は、
審議の段階で別途明らかにするつもりであります。
しかしながら、私
どもは、そうした問題を知りつつも、さきにるる述べたように、失業、倒産がさらに激増しかねない今日の
経済危機を前にして、一人でも一件でも失業や倒産が減ってほしいと願って、不十分とはいえ、本補正を速やかに成立させ、五十三
年度には不況のトンネルを抜け、景気浮揚を実現させるという道を選択することこそが
国会の期待にこたえるものと確信しております。
政府は、来
年度実質
経済成長率七%を揚げながら、不況対策が公共事業拡大一本やり、一点集中方式をとっている。この危険性はすでに指摘されているとおりであります。今日の不況克服には、高度成長期と異なり、手段、方法の多様化が不可欠であり、特に個人消費支出の喚起、拡大に力を注がなくては達成不可能なことは五十二
年度で証明済みであります。この
意味からも、
福祉予算の拡充及び所得
減税等の実施を中心に、五十三
年度予算の修正に前向きに応ずることを強く要求して、私の賛成討論を終わります。(拍手)