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政府委員(伊藤圭一君) いま
総理と
防衛庁長官から、審議を尽くして御決定をいただいたという御説明をいただきましたが、この際に私
ども防衛庁といたしましては過去の国会の議事録、その論議の中でどのような点が問題になっていたかということを十分御説明いたしまして、御審議をいただいたわけでございます。
一言に申しますと、やはりこの装備品の選定に当たりましては、その機能、その性能を決定するに当たりましては、やはり御議論の背景になっております軍事技術の趨勢あるいは戦術思想の変化、そういった一連の
流れの中であの議論というものはなされているわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたような意味で、長い足を持った爆撃機は持たないということも議論になっておりますけれ
ども、それはまさに長距離爆撃機についての議論でございました。したがいまして、当時の御議論の中では、いわゆる当時開発されておりました戦術戦闘機といいますか、こういったもの自体がきわめて大きな破壊力を持った爆撃能力を持っている、しかもこれがピンポイントの能力を持っている、そういうような観点から御議論がなされております。したがいまして、当時対象になりましたファントムあるいはF105、そういったものが憲法に違反する装備であるというふうな
考えは
政府も持っていなかったわけでございますが、その御議論の中におきまして非常にクローズアップされましたのが、攻撃力の大きさといたしましてファントムは核爆弾を装備することができました。それからもう
一つは、ピンポイントを攻撃するために爆撃照準のための計算装置を持っておりました。それからもう
一つは、遠いところから正確に命中させる空対地の誘導弾の攻撃能力というものをファントムが持っていたわけでございます。したがいまして、当時の御議論から、その
三つのものについて取り外したわけでございますが、F15はそういった機能は持っていないわけでございます。したがいまして、そういう点を私
どもの方から国防
会議の場で御説明申し上げまして種々御議論をいただきまして、爆撃装置については残しておいて差し支えないという御判断をいただいたわけでございます。
さらに、空中給油装置につきましては、まさに一九八〇年代中期以降の航空脅威というものを
考えましたときに、ファントムを採用したときには余り重視しておりませんでした警戒待機、空中におきまして侵入機に対する待機の構えというものが戦術面できわめて重視されるということが明らかでございます。したがいまして、この可能性について機能として残しておきたいということを御説明申し上げまして、御判断をいただいたわけでございます。