○相沢武彦君 私は、公明党を代表して、ただいま
報告のありました農・林・
漁業の三
白書に対し、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
最初に、農政に対する
政府の
基本姿勢についてお尋ねいたします。
五十三年産米から、
政府の
水田利用再編対策ということで、百七十万トン、三十九万一千ヘクタールの稲作
転換が行われることになっております。過去には、これ以上の量の
生産調整が行われたことがありましたが、その半分ぐらいは休耕を予定していたことから見まして、今回の稲作
転換は、実質的に
転作を主体とする措置としては最も規模が大きく、新たに水田面積の一三%程度が削減されることになります。
わが国の
農業生産は過剰と不足が併存しており、それも、米やミカンの過剰、麦や大豆、飼料などの不足と、きわめて極端な形であらわれています。このようなゆがんだ形に
日本の
農業が形成されたことは、やはり
政府・与党の責任と言わざるを得ません。この点について、これまでの農政に対する反省も含め、
総理の
基本的な御
見解をお聞きしたいのであります。
次に、
農業白書の指摘した問題点について
質問いたします。
本年の
農業白書が指摘した主な問題点は、第一に、
農業生産を
需要に即して整えつつ総合的な
自給力を高めること、第二に、
農産物の
価格を安定すること、第三に、
農業経営の
規模拡大を図ることの三点であります。いずれもまことにもっともな指摘であります。しかし、問題は、これらのいずれもがはかばかしく進んでいない
現状であります。しかも、これらの
課題は相互に
関連し合っているため、その進行を相互に足を引っ張り合っているという
関係にあると言えます。したがって、農政のかなめは、この三つの
課題をいかに整合させるかにあると考えます。私は、やはり
農業経営の
規模拡大が
中心的な
課題になると思います。
規模拡大については、
政府もいろいろ手を打っていますが、効果的な決め手に欠けていることが問題であります。この点について
政府は抜本的な対策を打ち出す用意があるかどうか、お尋ねしたい。
農業白書が指摘しているもう
一つの重要な問題は、国際収支の黒字
基調国として
わが国が果たすべき
役割りに、
輸入の
拡大ということがあります。その一環として、農
水産物についても関税障壁等の緩和、
輸入割当品目の縮小及び
輸入枠の
拡大等を迫られておりますが、
白書は、
わが国の
農産物の
輸入余力はきわめて少ないとしております。この点には、なお
国民のコンセンサスを要する問題が残っていると思いますが、
政府内部でも、農林省と通産、外務両省の間にぎすぎすしたものがあるように見えます。直接
影響をこうむる
農業者の間では、
農業は
わが国の重化学
工業部門の
犠牲になっているという見方がきわめて強いことは当然であると言わねばなりません。そこで
政府は、これらの事情を踏まえて、農
水産物の自由化と国際競争力の付与について、今後いかなる
方針で臨み、
農業者を初め
国民の納得を得ようとするのか、その
所信を明らかにしていただきたいのであります。
農業生産の総合的な
自給力を高めるためには、
農業生産基盤を
強化することが必要であることは言うまでもありません。
政府は、これまで土地改良長期計画をつくって対応はしていますが、これを事業量で見ると、まだまだお粗末の一言に尽きます。補助率の引き上げ、採択要件の緩和等の問題を含め、事業量を伸ばすためにいかに努力をするか、
農林大臣の
見解を具体的に承りたいのであります。
次に、
林業問題について伺います。
わが国の
林業生産活動は、いまや低迷の一途をたどり、
森林の持つ公益的機能も喪失する重大な
危機に直面しています。
不況、
木材価格の低迷が
林業不振の原因に挙げられていますが、
経営及び就業
意欲を失い、山林を離れた
林業就業者は、この二十年間に三十数万人にも及んでいます。これらの問題は山村の過疎化と相互に
関係し、
森林の荒廃を招き、いまや
国土の保全と
森林資源の重大な
危機を迎えるに至っております。
総理、自民党政権下の重化学
工業優先の
産業政策の
犠牲になってきた林野行政を、国家百年の大計に立って立て直す
意欲がおありでしょうか。
森林の荒廃の防ぎ手としての
林業労働者をいかに
確保されようとお考えですか。都市優先の
考え方を改め、
森林と
国民生活が相互依存の
関係で成り立っているという
基本的な考えに立って、
林業振興、山村
振興対策と
国民の
認識、世論づくりを強力におやりになる考えはないか、御所見を求めたいのであります。
また、
木材価格の問題については、
森林組合系統などは
木材価格の下値支えの制度を要求しています。
政府はこれに積極的に取り組むかどうか。
さらに、衰退を続ける
林業を
振興するためには、薪炭林地帯や入会林野などに対してどう具体的に対応するかが重要なポイントになると思いますが、いかがでしょう。
また、県行造林については、
農林漁業金融公庫からの融資枠を一層
拡大する必要があると思いますが、
政府の
見解を明快に示していただきたいのであります。
次に、
漁業白書についてお尋ねいたします。
白書の指摘をまつまでもなく、昨年の
わが国漁業をめぐる最大の問題は、二百海里問題でありました。
わが国は、北洋漁場で大幅な撤退を余儀なくされるなど、きわめて厳しい事態に直面し、この結果、
わが国周辺の漁場を見直して、
漁獲量の多くをそこに依存せざるを得ない
状況に追い込まれたのであります。そこで、私は、この限られた海域を永続的に、しかも高度に利用していく観点に立って、次の二点についてお尋ねいたします。
第一は、重要
漁業資源の維持管理についてであります。
現在、
漁業法、水産
資源保護法、都道府県
漁業調整規則等、
漁業資源の維持管理に関する法制がありますが、今日まで乱獲を防止し得なかったことは、法制の内容、その運用のあり方に大きな問題があったと言わざるを得ません。
政府はこの点をいかに反省されているのか。また、法制の適正な運用のためには、その前提として
資源調査の充実が急務でありますが、これらに対する
農林大臣の御
見解を承りたい。
第二は、増養殖技術の
開発についてであります。
自然の再
生産力に見合った
漁獲とともに、今後は、
減少の著しい有用
資源等を人為的に自然に付加し、あるいは管理する増養殖が、限られた漁場を高度に利用するためには不可欠となります。しかし、現在増養殖の技術
開発で企業化
水準にあるものは、ほとんど漁民の長年にわたる試行錯誤的な努力や、地方水産試験場の研究によるものであります。国は、今
国会に提出した農林省設置法改正によって、養殖研究所及び水産工学研究所の設置を試みられるようでありますが、私は、その対応の遅さを嘆かざるを得ないのであります。
現在、二百海里対策の
中心として、漁民の期待のもとに進められている
沿岸漁場
整備開発事業も、技術
開発が伴わないため、事業の
拡大が阻まれている面すら見受けられるのであります。国は、漁場の
高度利用の前提
条件である増養殖
関係の調査研究、あるいは技術
開発関係の
予算及び人員の飛躍的拡充に努力すべきでありますが、
農林大臣の決意をお聞きしたい。
最後に、今回の日ソ
漁業協力協定
交渉の結果について伺いたい。
北洋
漁業の基幹とも言うべきサケ・マス
漁業は、今回の
交渉で、
漁獲割り当て量は大幅に削減され、禁止区域は
拡大されるなど、きわめて厳しい
規制を加えられ、大幅な
減船を余儀なくされるなど、
関係業界や地域社会
経済は深刻な事態を迎えております。
総理は、この事態をどのように受けとめているのか、また、ソ連を初めとする諸
外国との
水産外交の重要性をどう
認識し、今後取り組まれるのかを承りまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣福田赳夫君
登壇、
拍手〕