○青木薪次君 私は、日本社会党を代表して、
成田空港管制塔など
破壊事件を
中心とする
成田空港に関する諸問題について御
質問申し上げます。
去る三月二十六日の
過激派による
成田空港管制塔を
中心とする一連の
破壊行為は、
内外に対して大きな反響を与えた衝撃的大
事件であり、
わが国の国際的威信を失したまことに遺憾な
事件と言わざるを得ません。
昭和四十一年七月、
成田に新
空港を設置することに決定して以来、今日まで十数年間、闘争に次ぐ闘争が繰り返され、死者五人、重軽傷者多数の犠牲者を出し、しかも、
開港直前に至り、
空港施設の
心臓部である
管制塔の
施設が
破壊されるに至ったことはまことに遺憾であり、その原因は多岐にわたっておりますが、このような
事態に立ち至った最終
的責任は、歴代自民党
政府の
成田政策の失敗の集積であり、その
責任は重大であると言わなければなりません。
昭和四十一年、
成田に
空港を建設する決定の時点で大きな誤りを犯しています。すなわち、
成田に法的手続を踏んでいないということであります。たとえば、
航空法並びに飛行場設置に対して、地元と了解点に達していないし、公共用地は
土地鑑定士の鑑定によるべきなのに、その鑑定を終えていないのであります。また、芝山町議会は十八対二をもって
空港反対を決議したにもかかわらず、時の知事が
政治工作をして三対十七に変更させるなど、
住民無視の違法
行為をしているのであります。十年前、当時の友納知事並びに今井
空港公団総裁は、神社仏閣を含めて部落ごとに同一市町村に移転させる、農耕地については十分な補償をする、しかも面積、地質等はもちろんであるという立場に立ちまして、
空港地域内のアプローチエリア等の
耕作適地については、
土地提供の農家に
耕作の便宜を与えるなどなどの約束をしたにもかかわらず、今日に至ってもなお空手形のままであります。あまつさえ、農地提供者にはプレミアムをつけ、
反対者には弾圧をもって臨んできたのであります。たとえば、一反歩十万円の
土地を賛成者なるがゆえに百四十万円で買い取り、農業経営を主張する地権者には一反の代替地も与えていないのであります。某
土地所有者には代替地を提供すると言いながら、三カ所に分割し、しかも面積を縮小し、収益条件を無視して押しつけているのが現状であります。この
農民にとって命の綱である農地の問題について、従来の約束を踏まえて、誠意ある交渉に応ずるかどうか、
総理並びに
運輸大臣の所信を伺います。
わが党は、十数年にわたり、
わが国の国土事情から内陸
空港の持つ欠陥を
指摘し、その撤回を要求してきたものでありますが、
政府はそれを無視してきました。今日の
成田問題を見るに、
空港問題、アクセス問題、
燃料輸送問題、環境
対策問題等、どれ
一つ見ても、まさに不完全きわまりないものであり、このような
状態での年度内
開港の強行は、まさに
政治的な
開港と言わざるを得ないのであります。今回の
過激派による
空港心臓部の
破壊は、
空港機能に致命的打撃を与えたことになり、その前途はまことに憂慮すべき
事態であります。われわれは、もちろん彼等の過激な
破壊活動に対して断じてこれを許すものではありません。しかし、ここに至るまでのこれまで述べた経過から見て、
政府の重大な
責任を逃れることはできないと思うのであります。
成田開港を福田
内閣の最大の公約として
国民に約束した福田
総理は、この
事態をいかに
反省し、そしてどのような
責任をとるつもりか、明らかにされたいと思います。
次に、私は、今後の
措置を含め、
安全確保こそが
開港の最大条件であるとの見地から、
総理並びに
運輸大臣の所信をお伺いいたします。
歴代
運輸大臣は、その所信表明の中で、
安全確保はあらゆる政策に優先することを強調してまいりました。
成田空港は果たして安全
空港でありましょうか。
一つしかない滑走路、また、空域問題
一つ見ても、
羽田空域と
成田空域とが複雑に絡んでおり、管制技術上もきわめて困難だと言われております。また、
燃料輸送の
安全確保体制も不安きわまりない
状況であり、また、今回
空港機能の
心臓部である
管制塔の
機器が
破壊されたことは、安全上致命的打撃を受けたことになり、まさに現状は安全上欠陥
空港と言わざるを得ないのであります。昨二十八日の
閣議において、
開港期日は一時延期し、改めて決定することになりましたが、国際的にも国内的にも不信を天下にさらけ出した今日、その信頼を回復することは容易なことではありません。この際、安全総点検を行い、確固たる自信と確信の
もとに、
世界に向かって安全宣言を行い、それが実現されるまでは絶対に
開港すべきではないと思います。
総理、
運輸大臣の所信をお聞きいたしたいと思います。
次に、
警備体制についてお伺いいたします。
一万三千人に上る史上空前の動員
体制をとりながら、
過激派の
空港内
乱入を許し、あまつさえ、
空港の中枢機関である
管制塔内の
機器を
破壊されたことは、
警備上の大失敗であり、いかに弁解しょうとも
警備上の
責任は免れないものであります。周辺で幾つかのゲリラはあるだろう、しかし、この第二要塞さえ倒せば
反対闘争は抑え込むことができるという立場で、感情的、刺激的
警備に終始した結果、
管理ビル裏百メートルほどの京成
成田空港駅近くのマンホールから、
火炎びんと
鉄パイプで武装した
過激派が次々にあらわれ、
管理ビルに
乱入したことに始まるではありませんか。
警察当局のこれら
過激派の活動に対する
警備体制についての
責任及び今後の
警備方針について、
総理並びに
国家公安委員長の答弁を詳しく求めます。
次に、当面の
成田問題として
質問いたします。
第一は、
燃料輸送問題についてであります。
開港後三年間は、鹿児ルート、
千葉ルートによる輸送が考えられておりますが、この計画による必要燃料の
確保は果たして達成可能なのでありましょうか。輸送量からの制約で
航空機の運航を規制せざるを得ないという実態は、国際
空港としての資格なしと言わざるを得ないのであります。しかも、今回の
過激派の無差別的な
破壊行為を許したことは、この
安全確保が至難なわざに等しく、地元
住民の不安ははかり知れないものがあります。
国家公安委員長は、この
警備体制に確信が持てるのかどうか、また
運輸大臣は、暫定
燃料輸送計画並びに今後三年間で達成しなければならない本格パイプラインが予定どおり建設可能かどうか、その所信をお伺いいたしたいと思います。
次に、地元
住民に対する環境
対策について
質問いたします。
国の施策に伴う
空港設置により、地元
農民を初め、
住民は、その生活の根拠を奪われたほか、環境被害による生活の脅威を受けているのであります。今日まで、国及び
空港公団は果たして十分な
対策を講じてきたでありましょうか。不完全な騒音
対策、テレビ障害
対策等が残されたまま
開港するということは、国及び
空港公団に対する不信につながっていると言わざるを得ません。
また、このような
状況下において審議されている特定
空港周辺航空機騒音
対策特別
措置法案に基づく私権の制限による建築規制、防音工事の義務づけのごときは、国の
対策が不十分である事実を隠し、逆に地元民を
空港周辺から追い出すことによって
空港を
維持ようとしているものにほかなりません。
運輸大臣は、騒音区域の見直しを含め、定められている環境基準を達成するための諸施策を強力に実施すべきであると思うが、その達成の見通し及び全室防音工事実施の決意についての所信をお伺いいたしたいと思います。また、電波障害
対策についての郵政大臣の所信をお伺いいたします。
次に、アクセス問題についてお伺いいたします。
成田空港は、都心から距離約七十キロメートル、国鉄、京成電鉄、高速バス等が主要な交通機関であります。鉄道事情、道路事情ともに不完全なものであり、
国民は安全輸送機関の選定に戸惑いを感じているのが実情であります。最も利用度の高い京成電鉄は
空港内からのバス利用が必要であり、
成田新幹線構想は全く達成の見通しのないまま、
空港内で最も便利な地点の駅のみがつくられているという無計画な現状であります。まさに
世界一不便な
空港で、この点からも欠陥
空港と言わざるを得ません。
運輸大臣は、
国民の利用者の立場に立って、この際、アクセス問題を根本的に見直すべきであると思いますが、今後の具体策を含め、その所信をお伺いいたしたいと存じます。
以上、
過激派による
成田襲撃事件を
中心に、
成田空港をめぐる諸問題について福田
内閣の
責任を追及するとともに、質疑を行ってきましたが、「経済の福田」と言われた福田
内閣は、最近の不況、円高による経済運営について全く行き詰まっております。また、
成田空港も延期せざるを得なくなりました。
内外ともに信用を失墜することおびただしいと言わなければなりません。福田
総理、あなたはついていないと言われるかもしれませんが、これは失政の連続なのです。まさに失速寸前の
航空機が大空をさまように似た姿であります。私
たちの
意見に耳を傾けるべきでありましょう。
以上の
質問に対し、福田
総理並びに
関係大臣の誠意と
責任を持った答弁を要求いたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣福田赳夫君
登壇、
拍手〕