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1978-03-29 第84回国会 参議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十一号   昭和五十三年三月二十九日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(新東京国際   空港開港延期及び新東京国際空港における   極左暴力集団不法行為について)  第二 裁判所職員定員法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第三 女子教育職員の出産に際しての補助教育   職員確保に関する法律の一部を改正する法   律案(第八十二回国会久保亘君外六名発議)  第四 日本学校安全会法及び学校保健法の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第五 環境庁設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第六 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発   道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      —————・—————
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣報告に関する件(新東京国際空港開港延期及び新東京国際空港における極左暴力集団不法行為について)  運輸大臣及び加藤国務大臣から発言を求められております。順次発言を許します。福永運輸大臣。    〔国務大臣福永健司登壇拍手
  3. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 過激派グループによる成田空港乱入事件及び成田空港開港延期につきましては、いろいろ御心配を煩わし、恐縮に存じます。  まず、事件経緯等につきまして御報告を申し上げます。  三月二十六日午後一時半ごろ、過激派グルーブの一部十名が新東京空港事務所管制塔乱入し、一時的に十六階の管制室を占拠して、同室内外機器類を損壊いたしました。この際、管制塔において業務に従事しておりました管制官五名は管制塔屋上に避難いたしまして、午後三時三十分までに全員救出されております。  運輸省におきましては、事件発生後速やかに本省内に対策本部を設置いたしまして、当面の事態に対応する措置を講ずるとともに、同日夜、調査団十名を現地に派遣いたしまして、タワー内の機器破損状態につきまして点検調査を実施いたしました。その結果、管制室内の管制卓マイクロ回線その他の機器に相当の被害のあることが判明いたしましたが、なお検討の基礎となるべき部分について不明確な点もありましたので、二十七日、さらに調査団を派遣し、調査を続行いたしました。  これらの調査の結果、破損した施設は早急に修復作業を行うことにより、四月半ばごろまでには供用可能の見込みであります。  しかしながら、単に機器の復旧にとどまることなく、この際、管制塔等を含む空港保安体制を強化する等の点を考慮し、昨日の新東京国際空港関係閣僚会議におきまして、三月三十日に予定されておりました開港期日を延期し、改めて閣僚会議を開いて開港期日を決定することとし、その旨閣議において了解されたものであります。  政府といたしましては、今後、航空交通の安全はもとより、空港における保安対策に十分配意しつつ、鋭意関係施設整備に努めて、可及的速やかに開港を迎えたいと考えております。各位の御協力をお願いする次第であります。(拍手
  4. 安井謙

  5. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 新東京国際空港における極左暴力集団不法行為について、事案の概要及び警察措置並びに今後の方針について御説明をいたします。  空港反対同盟極左暴力集団等空港反対派は、三月二十六日、三里塚第一公園で極左暴力集団約四千五百名を含む八千人を集めて集会、デモを行いました。  これとは別に、第四インター日本支部中心とする極左暴力集団は、午後零時五十分ごろ、空港内に位置する京成新空港駅前のマンホールから、火炎びんを所持した約二十名のグループであらわれ、空港管理棟警備に当たっていた空港署員及びガードマンに火炎びんを投げつけて攻撃を加え、うち十五人が管理棟に侵入し、五人は逃走いたしました。この十五人のうち、五人は一階において逮捕いたしましたが、他の六人は十六階の管制室に侵入し、飛行場灯火制御装置等の諸器材破壊をいたし、また、四人は十四階のマイクロ通信室に侵入いたしまして、マイクロ波集計装置等破壊いたしました。この十五人は現場で全員逮捕いたしました。  また、午後一時十五分ごろ、第九ゲートから九人のグループトラック二台に分乗して、折から警戒警ら中のパトカー一台に追随接近の上、火炎びんを投てきしながら空港に侵入いたし、いずれの車両も構内において火炎びんを投げて炎上させました。この九人は全員逮捕いたしました。  さらに、午後一時四十五分ごろ、約三百人のグループ小型トラック二台を先頭に八の二ゲートから火炎びんを投げながら空港内に侵入いたし、このうち三十六人を逮捕いたしました。  これら十一件に上る不法事犯を同時多発的に敢行いたしまして、火炎びん鉄パイプ等により警察官三十一人の負傷者を出す結果になりました。  警察措置といたしましては、千葉警察では、三月二十二日正午から、成田空港警察署警察本部長を長とする警備本部を設置いたしまして、三月二十六日当日は県外支援部隊一万人を含む警察官一万三千人を動員いたしまして警戒警備に当たり、公務執行妨害罪凶器準備集合罪建造物侵入罪火炎びん使用等の処罰に関する法律違反等で、合計百十五人を検挙いたし、男九十六人、女十九人、かような結果でございました。  なお、この他に、いわゆる横堀要塞に三月二十五日に建てられた鉄塔は、航空法第四十九条違反のものでありますので、三月二十五日から二十八日にかけましてこれを差し押さえ、同所にいた過激派等五十一人を公務執行妨害罪等で逮捕いたしました。  今後の方針でありますが、今回の極左暴力集団行為は、まさに法と秩序に対する挑戦でありまして、断じて許すことのできない無法きわまりない行為でございます。警察といたしましては、今後徹底して検挙に当たりますとともに、今回の事案問題点を十分に検討いたしまして、部隊の運用、装備資器材の効果的な活用等につきまして十分に配慮いたしながら、今後の警備に万全を期してまいりたいと考えておるところであります。(拍手
  6. 安井謙

    議長安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。玉置和郎君。    〔玉置和郎登壇拍手
  7. 玉置和郎

    玉置和郎君 私は、自由民主党を代表しまして、去る二十六日の過激派暴力集団による新東京国際空港事件について、政府に対し緊急にその見解をただすものであります。  まず初めに、今回の事件について素朴な国民の疑問を提起したい。  二十六日夕方のテレビのニュースを見て偶然としたのであります。世界で最も優秀であり、強いとされているわが国警察官が、火炎びん鉄パイプを振りかざして突入してくる暴徒に追われ、逃げ惑うさまを見て、一体これが日ごろ国民の絶対の信頼を寄せているわが国警察官なのか、総理の言われる法治国家なのか、また、総理の言われる平和国家なのか、一体これはどうしたものかという疑問を国民は持っておるのであります。一方では、うかつにも駐車違反をしたら直ちに処罰されるにもかかわらず、白昼堂々と凶器を持ち、徒党を組んで破壊の限りを尽くす暴徒には手も足も出ない。こうした状態を放置することが許されてよいのか、思わず怒りが込み上げてくるのであります。  今回の事件は単に偶発的なものではなく、二つの大きな要素によって、起こるべくして起こったものと考えます。  その一つは、新聞その他でも指摘されています警備体制の不備であり、やすやすと空港の中枢である管制室への乱入を許したことは遺憾のきわみであります。それは、一万四千名の警察官機動隊を動員しながら、その力を十分に発揮さすことができなかったことに大きな要因があると言わざるを得ません。聞くところによると、これらの警察官機動隊は、全国から集められた混成部隊で、経験の深い警視庁関係はわずか二千人にすぎなかったということであります。しかも、これら混成部隊の総指揮官千葉県警本部長であり、一県警本部長の枠を超えた段階であるとの認識が欠けていたのではないでしょうか。このように国際的に重大な影響を持つ国家的プロジェクトに対する大規模な警備は、当然のごとく、国を挙げて警備体制をとられるよう、この際、警察治安関係関係者に私は強く望みたいと思うのであります。また、こうした警備は、単に機動隊警察官の数をふやすだけで全うすることはできないのであります。すなわち、事前情報活動の不足を指摘したいのであります。  この際、また私たちが忘れてならないものは、かつての新宿騒乱事件であります。いち早く騒擾罪適用したため、警察官の士気が上がり、速やかにこれを鎮圧できたことは、われわれはこの際銘記しなければなりません。私は、今回法に示す騒擾罪適用が当然なさるるべき状況であったと考えるだけに、現地においてなぜ騒擾罪適用を行わなかったのか、このことについて国家公安委員長の所見を伺いたいと思います。  特に、今日の警備当局現場に対する指示は、双方にけが人を出さないということであったと聞きますが、こうした指示命令が適切であったかどうか。私は、この際警職法の完全適用を行えば、事前の封じ込めもできたと判断しますが、関係大臣の所信を伺いたい。  また、開港後のこうした事犯が再び起こることを予想しますと、この際、思い切った新立法を当然考えるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  さて、この事件の持つ背景一つであります空港公団並びに政府関係者用地買収以来とり続けてきた姿勢に問題があるということであります。  すなわち、政府の政策に対していち早く協力して土地買収に応じた地主の中には、今回ひそかに暴徒と内通している者が多いことを指摘したいのであります。これは、素直に先祖代々の土地を手放した人たちに報いることが少なく、最後までごね通した地主には法外の価格で買い上げるといった土地買収の不手際から、公団幹部や、これを指導してきた政府に対する不信感がつのった結果であると言われております。ここにも、住民コンセンサスを得るという最も大切なことが忘れられて、ともかく形だけの地籍移転でやってまいりましたこの誤りを私は指摘したいのであります。  本事件は、過激派暴徒による襲撃事件として単純に処理されるべき性質のものではない。三里塚以来の農民怨念、この怨念背景にした事件であるとも考えられます。かの、とりでのトンネル一つにしても、単に過激派グループだけの力で掘ることができたかどうか。また、武装トラックを何台も空港に近づけたり突入させたりしたのは、一部暴力集団のみの力ででき得たものかどうか。ゲリラの教典に示すごとく、地元市民有形無形協力を得なかったならばできない彼らの体質を考えるだけに、この際、空港公団並びに政府は十二分に反省する必要があると言わざるを得ません。  また、公団所有に係る五十七・七ヘクタールの土地過激派集団の解放区として無法に占拠され、耕作が続けられ、その中に団結小屋がつくられ、中には電気、電話が引かれ、郵便物が配達されていると聞くに至っては、どこに法治国家の姿があるのか。この事実を知るだけに、政府関係機関は一体何をしているのか、まさしく政府関係機関の悪への加担としか言いようがないではないですか。この事実を見過ごして何もしない公団総裁以下の責任は重大であって、こうした甘えの構造が悪の温床に連なっていることを考えるならば、政権政党としてその責任を厳しく問いたいのであります。  なお、ここまでに至る過程では、一坪地主となって反対勢力をあおり、いま大方国民批判が強くなって、大変だと知りまするや、いち早く現場から逃げ出した一部政治勢力のあることも私たちは忘れてはならないのであります。(拍手)  近年、諸外国においても過激派による要人の誘拐事件が相次いでおりますが、これらの事件に対する各国の対応はきわめて早く、かつ強硬であります。  すなわち、昨年九月五日のシュライヤー事件では、二日後に、捜査、訴訟手続迅速化及び弁護人排除等を内容とする治安関係法令の改正について閣議決定を見ておりますし、ことし一月二十三日のアンパン男爵事件では、防諜担当国土保安局が直ちに強力な取り締まりを開始いたしております。三月十六日のモロ事件では、二十一日に治安維持に関する緊急政令を発布しております。これら西ドイツ、フランス、イタリアなど各国の勇断と即決に反して、わが政府は果たしてどのような対策を講じようとしておられるのか、昨二十八日の政府声明にある「断固たる措置」とは、具体的にいかなる措置を指しているのか、お伺いいたしたいと思います。また、国家公安委員会では、二十七日に緊急委員会を開かれたようでありますが、何を協議し、どのような措置をとられることになったのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。  さて、問題は、今後の対策であります。すでに海外の航空機乗員組合などから、乗客の安全が保障できない空港への寄港を拒否する動きもあるやに聞いております。  第一に、いつ開港にこぎつけられるのか。第二に、開港までに再びこのような不祥事件が絶対に起こらないと断言できるのかどうか。第三に、開港後の警備計画に粗漏はないのか。特に開港後は、善良な旅客見送り人の人々にまじって、安易に空港内に暴徒が潜入する危険があります。さらに、空港生命線である燃料輸送安全確保はどうするのか。パイプラインの延長建設に対する住民コンセンサスはどうするのか等々、数多くの疑問が山積しております。ここにもまた、何が最も大切であるかということを見きわめた施策を講じない限り、本事件の二の舞いを演じる可能性があると指摘したいのであります。  こうした種々の問題をはらんでいるために、一部では開港を大幅に延期せよとの意見もあるようですが、これは反対であります。どうか、安全性確保を最優先にした上で緊急な開港を行うよう、総理関係大臣の決断を促す次第であります。  さて最後に、本事件は単なる暴力行為騒擾事件ではなく、過激派を野放しにし、個人エゴを増長させ、ごね得社会をつくった政府統治能力が根本的に問われていることを指摘したいのであります。  あの壮麗な文明を築いた古代ローマやギリシャが崩壊したのは、政治家が大衆に迎合し、個人エゴがはびこり、形にとらわれ、心を失ったからであります。市民が武器を持つことを許されているスイスで、昨年、ピストルを振りかざして逃走中の銀行強盗を通りがかりの市民が射殺した事件がありました。かの平和な国スイスですら、悪に対する裁きは厳しく、それを当然のこととして国民は受けとめているのであります。人命尊重人間社会文明のあかしであり、最も大切なことではありますが、そのとうとい人命がまさに奪われようとする事態が予見されるならば、断固とした防衛手段をとるのは私は法治国家として当然のことであると考えるが、どうか。そうして、本事件の裏に隠された今日の政治のあり方、それを考えましたときに、その最高責任者である総理の強い決意を促して、質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今回あのような事件が起こりましたことは、まことに遺憾であり、内外に対しまして深くこれを遺憾とする次第でございます。  私は、内閣組織いたしましてから一年三カ月になります。この間、羽田空港、この空港がもう過密の限度に達しておる。早く懸案の成田空港を開設、開港しなけりゃならぬということで、心急いで今日まで来たわけでございます。大方の御協力を得まして、そして準備万端が整う、そして三十日には開港式が行われる、四月二日には処女飛行が行われる、ここまで来て、ああよかったなと思っておったやさきに、あの事件となってきたわけでございます。あの羽田空港の過密の状態、これは私は一刻もこれを放置することはできないと思うのです。一大惨事が起こるかもしれないという可能性を非常に多く持っておる。また、惨事が起こった場合に、その及ぼす波及、これははかり知るべからざるものがあるのです。そういうことを考えまするときに、成田空港開港というものはもう一刻を争う問題である。その成田空港、これがそこまで来てこのような事態に逢着するということ、これは本当に、繰り返しになりますけれども、返す返すも残念なことであったわけであります。  この残念な事態に対しまして政府がどういうふうに対処するか。これは一刻も早くあの破壊の跡を修復いたしまして、そして開港にこぎつける。国民もずいぶんその財産を荒らされたわけです。国民に御迷惑をかけた。また、国民に対しまして大変な不安を与えた。また、国際社会わが国に対しましてその名誉を疑うというような状態まで批判が集まっているというふうに聞いておるのです。その内外批判にこたえるためには、どうしても一刻も早くこの成田空港開港にこぎつけなきゃいかぬ。しかし、やはり今度こそはこれはもう絶対安全だと、もう開港した以上絶対に間違いはない、ああすばらしい空港が開設されたなあという評価を受けるような、そういう空港でなければならぬと、このように考えますが、そのような空港開港、これを急ぐことであると、このように考える次第でございます。  しかし同時に、もっと私は大事な問題があると思うのです。今回の事件は、何といたしましても、これはもう一部農民によるところの反対運動とは全く違った性格のものである、この認識であります。今回の行動こそは、これは法と秩序破壊、また民主主義体制そのものに対する重大な挑戦だと、この一事にわれわれは深く関心を持たなければならぬと思うのであります。  私は、考えてみますると、戦後今日までいろいろ暴力ざたがあった。法と秩序に対するところの挑戦、こういうケースがずいぶんあったんです。それらのケースに対しましてこれは少し寛容に過ぎたんじゃないかという反省をいまいたしておるのであります。法と秩序が守られないで、なぜ国家が存立し得ましょうか。どういう事情があるにせよ、法と秩序だけは断じてこれを守り抜かなけりゃならぬと思うのであります。その反省の上に立ちまして今回の事件に対処する、これは私は政府のもう一つの大きな責任であると、このように考えるのであります。  大変国民皆さんにも御心配をかけた。また、世界皆さんに不名誉なことをした。まことに遺憾に存じまするけれども、私は、ただいま申し上げました二つのことをやりのける、これが現下当面しておるところのこの問題に対する政府一大責任である、このように考える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣加藤武徳登壇拍手
  9. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警察といたしましては、極左暴力集団中心にいたしまして三月二十六日から一週間の連続阻止闘争を展開する、このことがあらかじめわかっておったのでありますから、警備に万全を期してまいったつもりでございましたけれども、結果といたしましては、第四インター中心にいたします赤ヘルグループがあのような形で侵入いたしまして、機器類破壊する結果に相なりまして、まことに遺憾に存じているところでございます。  そこで、玉置議員の御質問の第一点は、かような事犯に対処いたしますには、単に自治体警察中心にするものではなく、むしろ国家的な見地に立っての体制が必要ではないかと、かような御指摘でございました。現在の警察組織は、御承知のとおり、国家警察なるものはごく一部のものでございまして、そのほとんどの組織がいわゆる自治体警察と、かようなことでございましたから、形といたしましては千葉県の警察本部長を長といたすと、かような結果にいたしたのでございますけれども、しかし、それでも私どもは万全の体制ができ得ておると、かように信じておりましたが、結果的には反省すべき多くの点があったことを、いまも振り返って見ておるようなところでございます。  また、極左暴力集団情報の収集につきましては、日ごろから極力努力をいたしてまいっておりますものの、しかし、二十六日にどのような行動に出るか、この情報は必ずしも画一ではなかったのであります。一番機は断じて飛ばさないというような情報もとより入っておりました。場合によっては心臓部を襲うかもしれぬと、かような情報もあるにはあったのでございますけれども、しかし、的確な情報と言い得ず、また、この情報分析等につきまして足らざる点があったといたしますならば、今後十分に反省をいたさなければならぬと、かように考えておるのでございます。  それから、新宿の場合のように騒擾罪適用したらどうかと、かような御指摘でございます。御承知のように、刑法の百六条には、多衆が聚合して暴行脅迫等を行った場合には騒擾罪適用が可能なようなことに相なっておるのでございますけれども、今回の事犯が果たして騒擾罪適用が可能かどうか、これは今後の極左暴力集団動向等をも勘案いたしながら慎重に対処してまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。  それから、新立法についての御提案でございます。私どもは、当面は現行法規を最大限に活用いたすことを目途といたしながらも、新立法の制定につきましては、これまた各党等の意向を聴取いたしながら十分に対処してまいらなければならぬと、かように考えておるところであります。  最後の御質問は、三月二十七日の国家公安委員会の議論の模様並びにその結論についてのことでございました。私を含む五名の国家公安委員は、一人残らず、慎重に、その中にも真剣に、二十六日の問題についての御発言がございました。この御意見を、一時間半にわたるものでございますから、ここで十分には述べ尽くし得ないのでありますが、なぜかような状況が生じたのか、また、警察警備体制に万全の処置がとられておったか、今後かような事件を起こさないためにどのような体制をとっていかなければならぬか、かような問題につきまして真剣に検討がなされたのでございますが、結論としては二十七日には出すことなく、木曜日の定例会にこれを持ち越した、かような次第でございます。  以上、答弁といたします。(拍手)    〔国務大臣福永健司登壇拍手
  10. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 空港公団は、空港管理者といたしまして、空港内の秩序維持及び施設設備安全確保を図り、空港を利用する航空機利用旅客、その他空港内のすべての人員に対する安全を確保する第一次的責任を有しております。その原則を踏まえつつ、警備当局協力を得て、保安に万全を期していくよう、今後とも強く指導してまいりたいと存じます。  昭和四十一年七月、閣議成田空港の位置を決定してから現在に至るまでの十二年の歳月の間に、政府及び公団は数々の教訓を学びました。この教訓もとに、公団業務執行等について、この際謙虚にさらに反省検討をいたしたいと存じます。  新東京国際空港公団が所有する二期区域の土地空港周辺騒音対策用地の一部の地域においては、過激派学生等による妨害のため十分な管理が行いがたい状況のものもありますが、これらの土地については、不法耕作等の防止や、その有効利用について空港公団を強く指導してまいりたいと存じます。  開港期日については、明後日これを決定いたしたいと考えております。  いろいろだだいま御指摘のございました点等につきましては、これを念頭に置いて、今後さらに一層気をつけた対処をしていきたいと存ずる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣瀬戸山三男登壇拍手
  11. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私の方に関連するものと思われるものについてお答えいたします。  まず第一に、わが国法秩序についての、法治国家としてのあり方についての問題でございます。この点については、総理からその基本的な考え方をお話しになりました。私も同感でありますが、これは申し上げるまでもないことでございますけれどもわが国では、御承知のとおりに、平和と人権、それを基本とした憲法が制定され、それによって、国民の平和と安全、豊かな生活ができるような仕組みとして各般の法律が制定されております。そして、国の組織としては、これは言うまでもないことでありますが、立法、司法、行政、そういう三部門に分かれて、そういう平和と民主主義の国をつくって、豊かにする、こういう職責を与えられておるわけでございます。われわれ政府は、その中でも行政の部面において、法律の許す範囲で国民の幸せを図らなけりゃならない、こういうことでございますが、行政をする場合に一番問題になりますのは、いわゆる国家権力と人権の問題でございます。この点の接点を考えて法律は制定されておる。しかも、それによってねらっておる平和が今日破壊されておる。ここに私は問題点があると思う。でありますから、この点を十分考えなければ、何か行政に欠陥があるのではないかと私は思います。  先ほどもお話がありましたが、率直に申し上げて、人権と国家権力との接点の問題において、わが国では戦後三十余年たりておりますけれども、やや間違いを起こしておるんではないかと私は思います。そのために、国民全体と言っていいくらいの人権がだんだん侵されつつある、ここに問題点がある。われわれは、こういう基本的な問題を、さらにこの際国民皆さんとともに反省をし、法治国家の実を上げるために全力を挙げる、かように考えております。  それからもう一つは、いわゆる成田事件に関連して、ああいう事態になった上で、新しい立法措置が必要ではないか、そういうことを考えておるかという御質問もあったと思います。先ほど玉置さんのお話で——あの姿を私も見ておりました。テレビで見ておりました。国民の多くの方も注目しておられたと思います。昭和四十七年の浅間山山荘事件と同じでございました。特に今度は大規模でございます。でありますから、まさに国民の目から見ると、一体どうなっておるんだということを考えて、見ておられたと思う。一万三千人の警察官を動員して、膨大な警備態勢に入って、そしてあの状態を見ておると、火炎びんを持って投げる、火炎車みたいなもので追っかける、警察が逃げる、そして最後心臓部を侵される。これには釈然としない国民がほとんど全部ではないかと私は思う。そういう事態でありますから、深刻に、特に法務当局としては考えております。  そこで、先ほど申し上げましたように、一体われわれ行政府は、特に警察を含む法務当局は、国民から委託をされた、定められた法律を十分守って、国民の安全と平和を守っておるかということを根本的から反省をしなけりゃならないと思っております。でありますから、現在の法律で一体ああいう場合に対処できないのかどうなのか。本来ならば対処できるのであるけれども、どこかに欠陥があった、ミスがあった、恐れをなした、そういうところがありはしないかということをいま細かく詰めておるところでございます。国会で決められた、国民の意思として決められた法律によっては、ああいう場合どうにもならないんだと言ったんでは、わが国法治国家として国民の安全を図るわけにはまいりません。大変な事態であります。もし結論がそういうふうになりますと、これは政府の問題だけじゃないと私は思う、国会、国民全体で。現に壊されております。現に心臓部破壊されておる。先ほど総理は悲壮な考えを申されましたが、ああいう事態は、世界の人々は私はわからないと思うのです。世界の人々は理解できない。理解できるように措置がとれるかどうか。もし現行法でとれなければ、そういうことが理解されるような措置のとれる法律を制定しなければならぬ、かように考えておるわけでございます。(拍手
  12. 安井謙

    議長安井謙君) 玉置和郎君。    〔玉置和郎登壇拍手
  13. 玉置和郎

    玉置和郎君 われわれは国会議員でありまして、行政府じゃありません。それだけに、行政府の閣僚がここに立ってわれわれに説教するようなことは、もってのほかだと思う。それだけに、私はいまここで二分残しておりますから言うのですが、総理にお願いをしたいのですが、総理がここで答弁された中で、具体的なものは一つもない。断固、断固——断固総理です、これは。やっぱり総理はここで時間をかけて、あなたは時間の制限がないんだから、ゆっくり、一億一千万の国民にわかるように、それだけでない、アメリカにもフランスにもイタリーにもドイツにもわかるような説明をしてこそ、本当に日本国はりっぱだな、将来は安心できるんだなということになるんです。あなたの演説するのはここしかないですよ。  それから、参議院から出ておる国家公安委員長で申しわけないのですが、あなたの答弁は、これははなはだ不満足。警察体制について玉置さんの言うことに云々と言われますが、一体これからどうするのかということがちっともない。それから騒擾罪適用は、私は、あの時点で騒擾罪に踏み切るべきだということを言っておるんですよ。ここに秦野さん、専門家がおりますがね。秦野さんが警視庁の長官をやったときに、新宿騒擾罪に踏み切ったんですよ。総監か——まあ、どうでもいいが、とにかくやらなきゃいかぬということを言っておる。やらなきゃいかぬということは、当時の現場警察官とそれから検事との相談でできるんじゃないんですか。あれだけ火炎びんが投げられて、火がぼうぼうと起こって、そうして赤ヘルメットをかぶった悪いことしにくるやつがわんさわんさとやっておる。その中で、なぜできないんですか。法律なんか一体どこにあるんだ。  それから、公安委員会についても、私は、はなはだこれは答弁が足らないと思います。国家公安委員会がどうしたかということをちゃんと調べた上で私はあなたに対して質問をしておるんです。それなのに、あのぐらいのことならだれだってわかる。もっと深い内容に触れて、なぜわれわれに話をしてくれないんですか。どうかひとつ、こういう点を踏まえてお願いをしたい。  最後に、ドイツ、フランス、イタリアの事件に関連して私は質問をいたしております。あの緊急の措置をとった、強硬な措置をとった、こうした西欧の各国に対して、日本は、これだけのことを引き起こしながら、何もできないのかということなんです。またこういう事犯が必ず日本に起こりますよ。願わないことではありますが、福田赳夫というのはどっかへ行ったらしいということになるかもわからぬ。それだけに、私は人のことじゃないと思います。あんた方も皆そうですよ。ひとつよろしくお願いしておきます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 玉置さんの先ほどの御質問には、私は十分お答えしたつもりでございますが、なお重ねての御質問でありますので、お答え申し上げたいと思います。  私は、今回のこのような事件が起こったことについて、本当に重大な責任を感じておるのであります。その責任を果たすゆえんの方途は一体何だといいますれば、とにかく、破損いたしました成田空港、早くこれを修復いたしまして開港に持っていく。と同時に、この起こった事件、これは私は、ただ単なる成田空港事件というふうには見ておらないんです。根っこがある。この際、その根源を剔快し、これを排除するということをやってのけることだと、このように考えておるのであります。私は、先ほど申し上げた、今日までこの法秩序に対し、われわれはその破壊行動に対しまして少し寛容に過ぎてきておるのではないか、しかし、静かに考えてみると、国家が存立する、そのためには、法の秩序、これはどこまでも峻厳に守り抜かれなければならないと、このように考えるわけでありまするが、国民全体にも私はそういう気分があったと思うのです。寛容というような気分があったと思う。やはり私は、政府、行政府にあったということは、先ほど申し上げたとおりであります。同時に、私は、国民の代表である政党、そういう中にもそういう気分がなかったとは私は言い切れないと思う。みんながこの際反省いたしまして、法はひとつ守り抜こうじゃないか、そしてその国家存立を、これを危うくするような行動に対しましては峻厳にひとつやっていこうじゃないかという反省行動を起こす、これが私はこの今回の事件に対する大きな責任を尽くすゆえんであると、このように考えます。  そういう認識の上に立ちまして、私は、行政のあり方全般にわたり、また同時に、制度上この暴力に対しまして寛容であったという点がなかったかどうかということも、この際、篤と反省、点検をいたしまして、万全を期してまいりたい、このように考える次第でございます。断固断固と言っているばかりじゃありません。現実にその責任を尽くす決意であるということを申し上げて、お答えにいたします。(拍手)    〔国務大臣加藤武徳登壇
  15. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私の答弁の不十分な点がありまして、申しわけなく思っております。  再質問の第一点は、警察は今後どうするのかと、この点でございました。今回の経験を踏まえながら、慎重に分析検討いたしてまいらなければなりませんけれども、何分にも全国から集まりました機動隊員であり、警察官でございまして、これが指揮運用等につきまして足らざる点がございまして、本来なら、もっと早く動員をかけまして、訓練を行うべきであったかと思うのでございますけれども、いまはさようなことも反省一つでございまして、部隊の運用等についても今後真剣に日ごろから訓練をいたしておかなければならぬ。また、一般の警察官は拳銃を所持いたしておりましたけれども機動隊員には拳銃を所持させておらなかったのでございます。そこで、放水やガス弾のみを対抗手段といたしておったのでございますけれども、警職法第七条の制限をどのように考えていくか、この点も将来の大きな課題であろうかと思うのでございますから、かような資器材あるいは装備等の使用につきましても今後真剣に検討してまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。  そのほかに、いろいろ今回のことをとうとい教訓といたしまして今後対処してまいらなければならぬ、かように考えております。  それから、騒擾罪にあの時点で踏み切れなかった理由につきましては、いろいろございますけれども、果たして多衆聚合して暴行脅迫を行う事態であるかどうか、この点の認識が大いに問題になったのでございますけれども、しかし今日においてもなお十分な研究をいたしまして、騒擾罪適用が可能でありますならば、適用をいたすような方向で法務省とも相談をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから、国家公安委員会の論議されました内容でございますが、玉置議員はそのすべてを知っておると、かようなことでございました。恐らくそうでございましょう。一口で申しますならば、きわめて真剣に一時間有余にわたって討議がなされたのでございまして、その内容は、先ほど若干申しましたように、これは後で警察庁次長が記者会見をいたしておりますから、その限りにおいては一般に知られておると、かようなことでございます。各委員から真剣に、警察の現在の姿はこれでいいのか、そして、今後引き続き成田空港警備をやっていかなければならぬとするならば、いまのような体制でいいのか、かようなことが真剣に討議されたことを申し上げておきたいと、かように考えております。     —————————————
  16. 安井謙

    議長安井謙君) 青木薪次君。    〔青木薪次君登壇拍手
  17. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、日本社会党を代表して、成田空港管制塔など破壊事件中心とする成田空港に関する諸問題について御質問申し上げます。  去る三月二十六日の過激派による成田空港管制塔中心とする一連の破壊行為は、内外に対して大きな反響を与えた衝撃的大事件であり、わが国の国際的威信を失したまことに遺憾な事件と言わざるを得ません。  昭和四十一年七月、成田に新空港を設置することに決定して以来、今日まで十数年間、闘争に次ぐ闘争が繰り返され、死者五人、重軽傷者多数の犠牲者を出し、しかも、開港直前に至り、空港施設心臓部である管制塔施設破壊されるに至ったことはまことに遺憾であり、その原因は多岐にわたっておりますが、このような事態に立ち至った最終的責任は、歴代自民党政府成田政策の失敗の集積であり、その責任は重大であると言わなければなりません。  昭和四十一年、成田空港を建設する決定の時点で大きな誤りを犯しています。すなわち、成田に法的手続を踏んでいないということであります。たとえば、航空法並びに飛行場設置に対して、地元と了解点に達していないし、公共用地は土地鑑定士の鑑定によるべきなのに、その鑑定を終えていないのであります。また、芝山町議会は十八対二をもって空港反対を決議したにもかかわらず、時の知事が政治工作をして三対十七に変更させるなど、住民無視の違法行為をしているのであります。十年前、当時の友納知事並びに今井空港公団総裁は、神社仏閣を含めて部落ごとに同一市町村に移転させる、農耕地については十分な補償をする、しかも面積、地質等はもちろんであるという立場に立ちまして、空港地域内のアプローチエリア等の耕作適地については、土地提供の農家に耕作の便宜を与えるなどなどの約束をしたにもかかわらず、今日に至ってもなお空手形のままであります。あまつさえ、農地提供者にはプレミアムをつけ、反対者には弾圧をもって臨んできたのであります。たとえば、一反歩十万円の土地を賛成者なるがゆえに百四十万円で買い取り、農業経営を主張する地権者には一反の代替地も与えていないのであります。某土地所有者には代替地を提供すると言いながら、三カ所に分割し、しかも面積を縮小し、収益条件を無視して押しつけているのが現状であります。この農民にとって命の綱である農地の問題について、従来の約束を踏まえて、誠意ある交渉に応ずるかどうか、総理並びに運輸大臣の所信を伺います。  わが党は、十数年にわたり、わが国の国土事情から内陸空港の持つ欠陥を指摘し、その撤回を要求してきたものでありますが、政府はそれを無視してきました。今日の成田問題を見るに、空港問題、アクセス問題、燃料輸送問題、環境対策問題等、どれ一つ見ても、まさに不完全きわまりないものであり、このような状態での年度内開港の強行は、まさに政治的な開港と言わざるを得ないのであります。今回の過激派による空港心臓部破壊は、空港機能に致命的打撃を与えたことになり、その前途はまことに憂慮すべき事態であります。われわれは、もちろん彼等の過激な破壊活動に対して断じてこれを許すものではありません。しかし、ここに至るまでのこれまで述べた経過から見て、政府の重大な責任を逃れることはできないと思うのであります。成田開港を福田内閣の最大の公約として国民に約束した福田総理は、この事態をいかに反省し、そしてどのような責任をとるつもりか、明らかにされたいと思います。  次に、私は、今後の措置を含め、安全確保こそが開港の最大条件であるとの見地から、総理並びに運輸大臣の所信をお伺いいたします。  歴代運輸大臣は、その所信表明の中で、安全確保はあらゆる政策に優先することを強調してまいりました。成田空港は果たして安全空港でありましょうか。一つしかない滑走路、また、空域問題一つ見ても、羽田空域と成田空域とが複雑に絡んでおり、管制技術上もきわめて困難だと言われております。また、燃料輸送安全確保体制も不安きわまりない状況であり、また、今回空港機能の心臓部である管制塔機器破壊されたことは、安全上致命的打撃を受けたことになり、まさに現状は安全上欠陥空港と言わざるを得ないのであります。昨二十八日の閣議において、開港期日は一時延期し、改めて決定することになりましたが、国際的にも国内的にも不信を天下にさらけ出した今日、その信頼を回復することは容易なことではありません。この際、安全総点検を行い、確固たる自信と確信のもとに、世界に向かって安全宣言を行い、それが実現されるまでは絶対に開港すべきではないと思います。総理運輸大臣の所信をお聞きいたしたいと思います。  次に、警備体制についてお伺いいたします。  一万三千人に上る史上空前の動員体制をとりながら、過激派空港乱入を許し、あまつさえ、空港の中枢機関である管制塔内の機器破壊されたことは、警備上の大失敗であり、いかに弁解しょうとも警備上の責任は免れないものであります。周辺で幾つかのゲリラはあるだろう、しかし、この第二要塞さえ倒せば反対闘争は抑え込むことができるという立場で、感情的、刺激的警備に終始した結果、管理ビル裏百メートルほどの京成成田空港駅近くのマンホールから、火炎びん鉄パイプで武装した過激派が次々にあらわれ、管理ビルに乱入したことに始まるではありませんか。警察当局のこれら過激派の活動に対する警備体制についての責任及び今後の警備方針について、総理並びに国家公安委員長の答弁を詳しく求めます。  次に、当面の成田問題として質問いたします。  第一は、燃料輸送問題についてであります。  開港後三年間は、鹿児ルート、千葉ルートによる輸送が考えられておりますが、この計画による必要燃料の確保は果たして達成可能なのでありましょうか。輸送量からの制約で航空機の運航を規制せざるを得ないという実態は、国際空港としての資格なしと言わざるを得ないのであります。しかも、今回の過激派の無差別的な破壊行為を許したことは、この安全確保が至難なわざに等しく、地元住民の不安ははかり知れないものがあります。国家公安委員長は、この警備体制に確信が持てるのかどうか、また運輸大臣は、暫定燃料輸送計画並びに今後三年間で達成しなければならない本格パイプラインが予定どおり建設可能かどうか、その所信をお伺いいたしたいと思います。  次に、地元住民に対する環境対策について質問いたします。  国の施策に伴う空港設置により、地元農民を初め、住民は、その生活の根拠を奪われたほか、環境被害による生活の脅威を受けているのであります。今日まで、国及び空港公団は果たして十分な対策を講じてきたでありましょうか。不完全な騒音対策、テレビ障害対策等が残されたまま開港するということは、国及び空港公団に対する不信につながっていると言わざるを得ません。  また、このような状況下において審議されている特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に基づく私権の制限による建築規制、防音工事の義務づけのごときは、国の対策が不十分である事実を隠し、逆に地元民を空港周辺から追い出すことによって空港維持ようとしているものにほかなりません。運輸大臣は、騒音区域の見直しを含め、定められている環境基準を達成するための諸施策を強力に実施すべきであると思うが、その達成の見通し及び全室防音工事実施の決意についての所信をお伺いいたしたいと思います。また、電波障害対策についての郵政大臣の所信をお伺いいたします。  次に、アクセス問題についてお伺いいたします。  成田空港は、都心から距離約七十キロメートル、国鉄、京成電鉄、高速バス等が主要な交通機関であります。鉄道事情、道路事情ともに不完全なものであり、国民は安全輸送機関の選定に戸惑いを感じているのが実情であります。最も利用度の高い京成電鉄は空港内からのバス利用が必要であり、成田新幹線構想は全く達成の見通しのないまま、空港内で最も便利な地点の駅のみがつくられているという無計画な現状であります。まさに世界一不便な空港で、この点からも欠陥空港と言わざるを得ません。運輸大臣は、国民の利用者の立場に立って、この際、アクセス問題を根本的に見直すべきであると思いますが、今後の具体策を含め、その所信をお伺いいたしたいと存じます。  以上、過激派による成田襲撃事件中心に、成田空港をめぐる諸問題について福田内閣責任を追及するとともに、質疑を行ってきましたが、「経済の福田」と言われた福田内閣は、最近の不況、円高による経済運営について全く行き詰まっております。また、成田空港も延期せざるを得なくなりました。内外ともに信用を失墜することおびただしいと言わなければなりません。福田総理、あなたはついていないと言われるかもしれませんが、これは失政の連続なのです。まさに失速寸前の航空機が大空をさまように似た姿であります。私たち意見に耳を傾けるべきでありましょう。  以上の質問に対し、福田総理並びに関係大臣の誠意と責任を持った答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今回の開港、これはおくれることになるが、とにかく開港する以上は安全第一でやっていくべきだという御所見、これは私はまことにそのとおりだと思います。事は急ぎます。急ぎますけれども、急ぐの余り、安全問題、これをないがしろにすることはできない。何よりも大事な問題は安全問題であるという考え方のもとに対処していきたいと、かように考えます。  なお、青木さんから、いままでの成田空港開設に至る過程におきまして、どうも地元との接触、これがよろしくなかった、今後ともこの問題につきましては十分に配慮されたいと、こういう御意見をまじえての御質問でございますが、私はこの点につきましても全く同様であります。政府といたしましては、そのような考え方のもとに、ずっと粘り強く地元との話し合い、これを続けてきておるわけであります。そして、理解と協力を得るため、ずいぶん苦労もしてきておるわけであります。また、そのために実績も上がってきておるのであります。ただ、完全に地元の理解と協力を得られたかというと、そういう状態ではない。しかし、先ほども申し上げましたけれども成田空港の開設、これをもう、そうじんぜん引き延ばすわけにはいかないのです。羽田のあの状態一つ考えてみると、これは大変なことなんです。そういうことを考えまするときに、一部に反対がある、そういうような事情で開港を延ばすというわけにはいかない。  同時に、地元地元とおっしゃいますけれども、地元の純朴な農民、そのことはよく考えなければならぬ。しかし、地元と称し、籍は地元にはありながら、全くあの暴徒、つまり過激派と共同行為をする、そういう過激派協力者というような立場になっておる人も、また多々あるわけなんでありまして、そういう人々、つまり反対のための反対だ、目的はほかにあるのだと、そういうような人と幾ら話しましても話がつくはずがないんです。その辺のことも篤と御留意おき願いたい。しかし、純良なる地元の農民などとはこの上とも熱意を持って話し合い、協力を得るための努力を続けていく、こういう御所見に対しましては私は賛成でございます。    〔国務大臣福永健司登壇
  19. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろ青木さんからお話がございました。私なりに整理をいたしましてお答えをいたしたいと存じます。  成田空港についての基本的な考え方につきましては、可能な限り地元住民の理解と協力が得られるよう、従来からも対応してきたと言えばそうなんでございますが、今後さらに引き続き最善の努力を払ってまいる所存でございます。  まず冒頭に青木さんが、いろいろ法的に手続を経ていないとか、抜かっているというような御指摘でございますが、成田空港の設置に当たりましては、航空法の所要の手続を経ており、公聴会により地元の意向も聴取しております。用地提供者に対しては、空港公団において従来から適切な補償、代替地の確保等に努めてきているところであり、空港反対派であっても、補償条件、代替地等で差別するようなことではありません。なお、土地鑑定士による鑑定は、当時行っております。  これが一とおりの答弁でございますが、しかし、手続的にはともあれ、私はあえて申し上げます。さらに一層の心の解け合いが必要であると私は思います。そういう意味において、今後一段の注意をして対処してまいりたいと思うのであります。  確信のもと開港しなければならぬことは当然でございまして、これにつきましては速やかに決定をいたしたいと考えております。成田空港開港に当たっては、航空機の安全運航の確保が最大の前提条件でもありますが、安全確保を十分見きわめた上で開港に踏み切る考えであります。  鉄道貨車による航空燃料暫定輸送方式により、当面必要とする量の航空燃料については、これを確保することが可能であると考えております。なお、今後の需要増加に対応する航空燃料の確保とともに、暫定輸送の安全についても一層の努力をしてまいりたいと存じます。新空港千葉港間の本格パイプラインは、開港後三年以内に完成させる必要があるのでありますが、目下、空港公団において地元住民に対する説明会を行っているところであり、予定どおり完成できるよう推進してまいりたいと考えております。  航空機騒音防止法に基づき、従来から成田空港の騒音対策を鋭意推進しているところであり、航空機騒音の環境基準の早期達成を図ってまいりたいと存じます。また、既存住宅の全室防音工事については、空港公団より昭和五十三年度において試行調査を実施し、引き続き前向きに取り組んでまいりたいと存じます。  成田空港は都心から相当の距離にあるため、開港後はこれへのアクセスの問題が最大の問題の一つとなっているところでありますが、十分この点については対処、方策を講じてまいりたいと存じます。運輸省といたしましては、関係各省庁の協力を得て、鉄道及び道路による対策についての万全を期しているところでありますが、開港後の実態に即して、なお一層機動的に対応してまいりたいと存じます。  欠陥空港という言葉を繰り返しお使いになりました。私も、確かに完全無欠とは言いがたいとは思います。ただし、完全を期して、ただいま一生懸命に対処をいたしておる次第であります。欠陥だらけと言われますが、私はそうまでも思いませんけれども、確かに相当傷がある、こういう状況でございます。だが、私はあえて申し上げます。難産の子は強いと言われる。必ずこの空港開港後りっぱに世界の信用を回復できるように努力をいたしたいと考える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣加藤武徳登壇
  20. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 二十六日の当日は三里塚の第一公園で大集会を開く、これが警備上の問題点一つでございました。二つには、横堀鉄塔の航空法違反の構築がなされつつある、これに対処しなければならぬ、この二つを重点に置いたのでございますけれども、二十六日の十時を過ぎますころから、第四インター中心にいたします約千五百名の過激派集団三里塚公園に参加をしておらない。そして真相を把握してみますと、菱田小学校跡地、これは相当の距離があるのでありますが、ここに結集していることが明らかになってまいりました。そして、この菱田小学校跡地に結集いたしました極左暴力集団が第八ゲートを襲い、第九ゲートを襲ったのでございました。この両ゲートにつきましては制圧をすることができたのでございますけれども、残念ながら、マンホールから出てまいりました二十名の赤ヘルを抑えることができなかったのでありました。この点はまことに遺憾に存じておるのでございます。  そこで、今後の警備方針についてのことでございますが、開港が延びることによりまして、警備もまた長期化せざるを得ない状況でございます。警察官の動員には限界はございますものの、最大の配意をいたしまして、そして、どのように警備を行うのか、かような御質問でございますが、極左暴力集団の動き等を十分にキャッチいたしまして、それに対応いたしますような処置をとってまいりたい、かように考えております。  最後の御質問は、燃料輸送に対応する警備が可能かどうか、かようなことでございます。過激派暴力集団は今後もあらゆる手段を弄しまして燃料輸送妨害を図ってくることが予想されるのでありますが、周到な計画のもとにこれに対処してまいりまして、燃料輸送の安全を期してまいりたい、かように考えております。    〔国務大臣服部安司君登壇拍手
  21. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) 新東京空港開設に伴いまして、電波障害が発生いたしました。地域住民に多大の御迷惑をかけていることに対し、まことに申しわけないと存じております。そこで、郵政省といたしましては、テレビ受信障害については原因者の責任において措置すべきであるというたてまえを今日までとり続けてまいりましたので、関係者を強力に指導しているところでありまするが、新東京国際空港開港に伴い予想される航空機によるテレビ受信障害につきましても、新東京空港公団において措置すべきであると考えております。同公団は、本年一月の慣熟飛行の際にも障害発生状況調査をいたしておりまするし、さらに開港後の実際の運航状況もとでの調査を行い、受信障害の解消に努めるなど、開港後のきわめて早い時期に適切な措置を講じられるよう、新東京空港公団に強力に指導いたしまして地域住民の御要望にこたえたい、かように考えているところでございます。(拍手)    〔青木薪次君登壇拍手
  22. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はいま四分ほど残してありますので、再質問をさせていただきます。  総理から、急ぐ余り安全問題ということを無視しているわけじゃなく、安全問題がきわめて重大だということを言われました。その決意で——早くやりたい、早くやりたいという声ばかり前へ出ておりますので、また失敗するんじゃないかという声が今度は逆に反射作用として起こってきているのでありますから、その点をひとつ、安全宣言をするまでは絶対に開港はできない、また、しないということを約束してもらいたいと思います。  それから、私の質問をいたしました、十年前の当時の友納知事やあるいはまた今井空港公団総裁が約束いたしました事実というものが、今日農民の間にきわめて不満として残っておるのであります。坊主憎けりゃけさまで憎いと言いますけれども反対といえば、あの過激派も、地元の農業経営を続けていきたいという人も、全部これはくそもみそも一緒だという形で弾圧をしてきたところに問題の複雑さが絡み合っているということを、この際反省をしてもらわなきゃいけないというように考えておりますが、その点総理に再答弁を求めます。  それから運輸大臣に……。欠陥空港と私が言うと、欠陥空港じゃないということを言う。それじゃ欠陥空港でないと言えるかと言えば、相当な傷を負っていると、こう言う。じゃ一体何なのかと言えば、とにかく三月三十日の開港、それから四月二日の就航に間に合わしたいということだけが実は前に行くものですから、問題がまた非常にむずかしくなってくるわけであります。ですから、別に私はおくらした方がいいと言っているわけじゃございませんけれども、心の解け合いということを言われましたから、やはり安全なければ開港なし、その間にひとつ真剣に心の解け合った話し合いというものを進めていくという姿勢をとってもらわなきゃいけない。たとえば、運航を開始した、パイプラインが一つ壊された、あるいはまた、貨車の運行に相当な被害を生じたなんということになったら、それこそ取り返しのつかない事態になるということを、よく政府としても肝に銘じてもらわなきゃいけないというように考えます。  それからアクセスの問題で、私たち運輸委員会が視察をいたしましたけれども、箱崎のターミナルから現地まで約一時間かかるんです。この日は、特にわが運輸委員会でありますから、相当な配慮を図ったと思うのであります。じゃ、箱崎まで国会から行く場合にどれくらいかかるか。私は、多いときには一時間から二時間かかるんじゃないかと思うのです。また、現地成田空港まで箱崎から運行を開始した場合におきまして、時間は私は一時間半では速い方だというように考えますので、それらの関係のアクセスの問題についてまだまだ問題が非常に多いと言わなきゃなりませんけれども、この点どうか。  それから、新幹線はやめると言ってみたり、やると言ってみたり、まだやめていないぞと言ってみたり、非常に問題ですけれども、この点をひとつもう一度、やめたのかやめないのか。  それから、前運輸大臣が新通勤線はどうなるということについて発表いたしました。この点はいまも生きているのかどうか、これを聞きたいと思います。  それから警備方針については、警察官にただピストルを持たしただけでは、これは片づかないんです。その点についてやはり各党と——あなたは一部の人にはいろいろ話をしているようでありますけれども、国会において各党のコンセンサスを得るような警備方針についてこれから積極的に前向きに方針を立てていくべきだと思うけれども、この点を要求いたしまして、私の再質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  先ほども十分お答えしたと思うのですが、私は、開港は急ぐ、急ぐが安全第一なんだと、安全について確認がすべてされるという後でなければ開港することはできないと、かたくそう考えております。  なお、青木さんは先ほど来、過去の空港開港に至るまでのいきさつ、これに触れられまして、特に十年ぐらい前に友納知事を中心とするいろんないきさつについて述べられた。この点につきましては運輸大臣からお答えを申し上げますが、私は、まああれだけ多い地元の方々でございまするから、全部の人に全部満足だというわけにはいかなかったかとも思うのです。御不満の人もあるいはあったかとも思います。しかし、だからといって、あのような、今回のような暴力行為があっていいとは考えない。そういう認識で私はやっていきたいと、こういうふうに思うのです。地元の人との話し合い、その協力を求める努力、これはこの上とも精力的にやってまいります。まいりますけれども、それと今回の許すべからざる暴力行為とは、これは別の問題である、そのような認識でやっていきたいと思うことを申し上げます。    〔国務大臣福永健司登壇
  24. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 友納前知事と公団とで話し合われたことにつきまして、結果的には完全なる解決に至っていないということは、私も大変残念に思います。公団も誠意を尽くし、特に友納前知事もいろいろ御尽力をいただいたのでありますが、きのうも委員会で事細かにこの点についてはやりとりがあったのでありますが、全員の人々がこれでいいと言っていただけるところまではいかなかったが、公団公団なりに鋭意努力をして臨んだことは事実でございます。しかし、結果は御指摘のようなこと等もございますので、私といたしましては、さらに公団を督励いたしまして今後に対処せしめたい、そういうように考えております。  心の解け合いと言ったが、真剣にその方途を講ぜよという御注意に対しましては、私は拳拳服膺いたしまして今後に処したいと、こう考えております。また、私同様、公団その他関係者にも拳拳服膺するように、私から申し渡すことにいたします。  新幹線の点につきまして、やめたのかどうかということでございますが、やめたというわけでもございませんが、容易でない事態に至っておることは青木さんよく御承知のとおりでございまして、そういうことと関連して、類似ではございますが、別途の幾つかの線を結ぶ前運輸大臣の構想等もございます。これまた、これがすうっといくかというと、なかなかそういかないのであります。だからといって、これをやめたというのではございません。鋭意これらにつきましていま検討中でございます。何しろめんどうな問題ばっかり山積しておりますので、なかなか進みませんのでおしかりを受けます。これは甘んじて受けます。だがしかし、まだ最終結論というところへは至っておりませんが、いろいろ御指摘のようなことを心に刻みつつ、何とかしてよき結果をということで努力をいたしておる次第でございますが、今後より一層にそうありたいと存ずる次第でございます。    〔国務大臣加藤武徳登壇
  25. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警備に当たる警察官の装備につきましては、いままでは防御用の盾を持ちますとか、あるいは放水車を使用いたしますとか、ガス弾の使用程度までが限度と心得まして、機動隊の諸君には拳銃を持たしておらないのでございます。そこで、これが使用に当たりましては警職法に厳重な制限がありますから、これをむやみに拡大することは厳に戒めなければならないのでございますけれども成田空港に見られますように、極左暴力集団があのような形で襲いかかってくると、果たしていまの装備と使用方法でよろしいのかと、このことにつきましては十分に検討もいたし、また分析もいたしてまいらなければならぬのでございますから、新たな装備なり、また使用方法等につきましても早急に結論を出しますが、しかし、このことは国民の納得いたしますものでなければならぬ。過剰防衛等があってはならぬことはもとよりでございますから、慎重を期してまいりたいと、かように考えておる次第であります。     —————————————
  26. 安井謙

    議長安井謙君) 上林繁次郎君。    〔上林繁次郎君登壇拍手
  27. 上林繁次郎

    ○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま国務大臣より報告のありました今回の成田問題について、総理並びに関係各大臣に質問いたします。  三月三十日の開港日を間近に控えた成田東京国際空港において、過激派により、空港の中枢施設である管制塔が一時占拠されるとともに、航空管制に必要な機器破壊されるという不祥事件が発生し、諸外国にNOTAMを出し、約束した開港日を大幅に延期せざるを得ない事態となったのであります。本問題が国の内外に与えた影響の重大性にかんがみ、国民の不安解消と、空港利用者の安全確保の見地から、若干の質問を行いたいと存じます。  質問の第一点は、福田内閣政治責任についてであります。  今回の事件は、法治国家としてのわが国の威信を著しく傷つけられたものであり、対外的な信用問題にまで波及することは必至であります。この責任は、開港に対する政府のずさんな政治姿勢から生じた問題であることは明らかであります。すなわち、政府は地元住民を初め国民の納得を得ることが開港への不可欠な前提条件であるにもかかわらず、国の威信というメンツにこだわり、開港準備を急ぎ、安全体制を確立しないまま見切り開港を強行しようとしたのであります。今回の過激派による暴力行為は断じて許せませんが、しかし、彼らの暴力をみずから招いた政府責任は重大であります。  総理は、今回の事件国民を大きな不安に陥れ、国際的信用を低下させた政治責任をどうとられるのか、お伺いしたい。  質問の第二点は、国民が納得する開港を目指せという点であります。  私は、航空行政の主眼は、安全性が十分保持されるかどうかにかかっていると思うのであります。ところが、滑走路の不備、空域問題、警備の弱体、騒音問題等々、多くの欠陥を抱えたままの開港に対する懸念が、パイロットを初め各方面から指摘されているのであります。政府は、今回の事件により開港を一カ月程度延期するとのことでありますが、このことは、この一カ月間でこれら各方面から寄せられた不安をすべて解決できるという見通しに立った上での開港ということなのか、明確にお答え願いたい。内閣政治的メンツと国家的威信を理由に、またしても安全を放置したまま開港に踏み切る愚だけは絶対に避けるべきだと思うのであります。  質問の第三は、今回の事件により失われた国際的信用の回復についてであります。  外国航空会社の多くは、ことし一月に、成田空港は安全面で問題が多く、三カ月延ばした六月ないし七月開港が妥当という意見を出しております。こうした懸念が不幸にも今回の事件で表面化したことは、はなはだ遺憾であります。一方、パイロットからも、この事件を具体的な例証として、メンツによる開港だけはやめるべきだという強い声が上がっております。そして、成田世界で一番危険な空港だとの評価を一層高めました。こうした成田不信の声に対して政府はどうこたえるのか。もし政府が確たる安全の保障もなしに開港を強行することになれば、外国航空会社による成田空港ボイコットという事態にも発展しかねないのであります。政府は、諸外国の不信回復のための理解と協力を得るためどのような措置をとるのか、その対策をお伺いしたい。  質問の第四点は、暴力根絶の対策についてであります。  みずからの主張を暴力行為に訴えて通そうとする無法な反対闘争をやすやすと許してしまったことは、法治国家としてまことに恥ずかしいことであります。このような無法な破壊活動は断じて許してはならず、法務当局は、この根絶のためにどのような具体策を考えているのか、お伺いしたい。  質問の第五は、警備体制についてであります。  警察当局は、反対行動に対処するため、空港への突入を許さず、空港周辺でのゲリラ活動を防止するとの基本方針を掲げ、一万四千人の警察官を配置し、史上空前の警備体制をとったのであります。しかしながら、空港の中枢施設である管制塔が占拠されるという異常事態が発生したことは、その警備体制に大きなミスがあったのではないかと言われております。その原因は、全国から集めた警官一万四千人は混成部隊であったため、指揮体制が不十分であり、機動性に欠けていた、さらにゲリラ行動対策の不備等々、種々論ぜられておりますが、諸外国に比べ、その優秀性を誇る日本の警察が、このような警備ミスと思われる事態を引き起こした最大の原因は一体どこにあったのか、国家公安委員長はこの事態をどう受けとめ、今後どのように対処するつもりか、お伺いしたい。  さらに、開港後の利用客は一日数万人と予想されておりますが、開港後にこのような事件が発生すれば、空港利用者を巻き込み、今回以上の大事件となることは明らかであります。政府は、今後予想されるゲリラ活動、ハイジャック行為の発生防止等、万全な体制を確立すべきであります。過激派の動向をどう掌握し、今後どのような抜本対策を考えているのか、具体的にお伺いしたいのであります。  質問の第六は、燃料輸送についてであります。  これまで、過激派による悪質な妨害が続いており、幸いにも発見が早く、重大事故には至っておりませんが、本格的なパイプラインが完成するまでの三年間、暫定措置として列車による燃料輸送が実施されます。その安全性確保されるかどうかはきわめて疑問であります。特に、人家の密集する千葉ルートでは過激派によるゲリラ活動が予想され、事故が発生すればその被害は甚大なものとならざるを得ないのであります。燃料輸送安全確保に対する対策について、政府の御所見を伺いたい。  質問の第七は、空港関連企業の救済措置についてであります。  今回の事件発生により開港の延期が余儀なくされ、地元の空港関連企業は多大の営業損失をこうむることになります。特に、これらの企業は地元の人々で組織され、長年住みなれた土地を積極的に放出し、政府協力した人たちであります。これらに対する救済措置については、政府責任において実施すべきものと考えますが、運輸大臣の御所見を伺いたい。  最後に、地元対策について伺います。  開港を目前にした段階に至っても開港のための諸条件の整備が進まず、なお幾多の問題が未解決のまま、政府が見切り開港を強行しようとしているのでありますが、わが党は、地元で大きな懸念と不安が高まっていることを重視し、党独自の立場から実態調査を実施したところ、全室防音化の早期実施、住民の健康診断の拡充、テレビ受信料の無料化、救急医療体制の強化、都心とのアクセス対策の促進、地元企業の育成振興等の欠陥が明らかになったのであります。これらを十一項目にまとめ、政府にその実現方を申し入れてまいりましたが、これらの地元対策政府が誠意を持って実施することが地元住民の十分な理解と協力を得ることになり、それが円滑な開港への道であると確信するものであります。  総理の誠意ある答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えを申し上げます。  まず、今回の事件について政府はどういう責任をとるかと、こういうお話でございますが、先ほども申し上げましたが、今回の事件によりまして国民の財産をずいぶん損壊をした、また、国民に衝撃と不安を与えた、まことに申しわけないと思います。同時に、国際社会に対して大変不名誉なことになった、この責任も大きなものであると、このように考えます。この責任を踏まえまして、どういう姿勢をとるかということ、これは、一つはやはり安全、これを大前提といたしましての成田開港、これを取り急ぐことである。そして、りっぱな空港、これを開港することにいたしまして、そして内外から評価されるというようなことになる、これが政府の第一の責任であると、このように考えます。  同時に、今回の事件背景、その根源、これは根深いと、こういうふうに思うのです。やはり、法を軽視する、国家秩序に対する挑戦というような、こういう風潮、これが今回の事件背景、根源にある。この根源を剔抉するということ、これが第二、第三の成田事件を引き起こすということを防ぎとめる上において欠くべからざることである、このように考えまして、国民各界、また各党の皆さんの御協力を得ましてそのような措置をぜひこの際確立いたしたい、これが今回の事件に対する政府責任を果たすゆえんである、このように考えておる次第でございます。  それからさらに、それに関連いたしまして、今後の開港についての基本方針は何か、安全を本当に前提条件とするかというような、だめ押しの御質問でございますが、そのように考えておる次第でございます。  また、国際社会に対して信用回復のためにどういう措置をとるかというお話でございますが、これはただいま申し上げたとおりであります。なお申し上げますれば、長期にわたって、空港に対する警備体制、これを強化する、万全のものにする。同時に、空港の諸施設、これを、安全を主眼といたしましてなお整備する、そのようないろんな施策を講じまして、世界に誇るべき成田国際空港ということで初めて国際社会に対する面目が相立つと、かように考えておる次第でございます。  なお、公明党は十一項目の地元住民の要請を取りまとめて政府にその実現方を要請しておるが、これに対してどう考えておるかというお話でございます。先ほどからこれも申し上げておりますが、地元住民の理解と協力を得ること、これは非常に大事なことでございます。そういう見地から、政府といたしましては、地元との話し合い、これはずいぶん粘り強くやってきておるんです。アクセスの対策、地元振興策、騒音対策、それら等々の問題につきまして、地元の要望事項につきまして、成田市、芝山町など地元当局とずいぶん話し合いをいたしております。その結果、これらの地元公共団体との間に合意もできておるわけであります。そういういきさつを踏まえまして、引き続きこれらの施策につきましては地元の理解を得るための粘り強い努力を続けてまいりたい、また努力もしてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。    〔国務大臣瀬戸山三男登壇
  29. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 無法な暴力行為の根絶についてということでございます。かような行為は、申し上げるまでもなく、民主主義社会に対する挑戦でございますから、断じて許すべきではないと思います。従来とも関係機関と緊密な連絡をとって、法律に従って処断をしてきたところでございますが、最近、とみにかような傾向が広がりつつあるということを私ども見ております。でありますから、今後一層強い姿勢で、法律の命ずるところによって検挙、取り締まりを励行し、国民の理解のもとに、根絶を期するために努力したいと思っております。    〔国務大臣加藤武徳登壇
  30. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) お答えをいたします前に、先ほど玉置委員の国家公安委員会に関する御質問がございました答弁といたしまして、玉置委員もよく御承知であるかと存じますがと、かような言い方をいたしたのでございますけれども、それは、二十七日午前十一時から国家公安委員会が開会されました。たしか午後零時十五分ぐらいまでかかったと思うのでございます。私は十二時半には国会へ呼ばれておりましたので、わずか五分間の記者会見にとどめたのでありますが、浅沼長官もまた国会に呼ばれておりましたので、警察庁の山本次長が主として記者会見を行ったのでございます。私は、その記者会見の内容をどなたかから玉置委員が詳しくお聞きになったのではないかと、かように判断をいたしましたので、あのような表現をいたしたところでございますから、弁明いたしておきたいと思うのでございます。     —————————————  それから、上林委員の私への御質問の第一点は、心臓部を占拠されてしまって、あのようにめちゃめちゃに壊された、警備上にどこかミスがあったのではないかと、かような御指摘でございます。いまにして振り返ってみまするならば、十一件にも上ります陽動作戦、これに幻惑をされた点がないでもないのでございますのと、直接的な原因は、やはりマンホールの検索が足らなかったという点でございます。成田空港には五百近いマンホールがございまして、そのほとんどの検索をいたし、外部に出口のありますものはこれをふさいだのでございますけれども、第二期工事の関係で成田空港の地図にはあらわれておらないものがございまして、たまたまそれが今回赤ヘルが侵入いたしましたマンホールと、かようなことでございました。地図にあるなしにかかわらず、もっと徹底して検索しておけばと、かようなことをいまになって悔やんでおりますようなことでございます。  それから、管制塔へは一個小隊の部隊配置でございました。それは、外部での、空港外での警備に重点を置いておりまして、その多くを内部に配置することが困難であったのでございますが、しかし、これまたいまにして思いますと、少なくとも心臓部へは一個中隊程度の部隊配置をしておけばと、かように悔やまれるのでございますけれども、これが警備上のミスと言えば、率直にそのことを認め、おわびをしなければならぬのでございますけれども、しかし、あの広大な空港でございますから、一万三千名程度では十分に手が回らなかった点の御理解はいただきたいと、かように思う次第でございます。ただし、そのことによって今後の警備に不安があるということでは断じてないのでございます。  そこで、過激派の動向はどうかと、かようなことでございました。過激派は、御承知のように大変な数でございますし、また、その部隊といいますか、過激派グループにいたしましても、五流二十一派と、かように言われますような多数の組織でございますけれども、しかし、これらの組織に共通いたします考え方といたしましては、暴力によって現状をぶち壊して、そして社会主義社会をつくり上げていく、かような革命思想を共通に持っておるのでございますから、今後も、これらの動向につきましては、成田の場合だけではございませんで、全国的に十分に注意をいたしまして、情報等もキャッチいたしまして対処いたしてまいらなければならぬ、かように考えているところでございます。  そこで、最後の御質問は、これらの対策いかん、かようなことでございます。どのような出方に出ますか、なかなか機略縦横といいますか、あるいは新手段と申しますか、さような手段を弄する極左グループでございますから、これに適確に対応いたしますことはなかなか困難でございましょうけれども、しかし、事前情報を十分にキャッチいたしまして、適確にこれに対処いたしますように今後も努めてまいりたい、かように考えているところであります。    〔国務大臣福永健司登壇
  31. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 上林さんから、安全の確保について、滑走路、空域等、その他の実例等に触れつつお話がございました。まさに、安全の確保が第一であることは申すまでもございません。私どもは、その意識に徹しつつ対処しなければならないわけでございますが、同時に、上林さんは不安の解消という表現もされました。現実に安全は確保しても、世界各国がその認識において不安だと思っているうちは、これはそれだけのことは十分に考えなければならないわけでございます。昨日も、実は、閣議でああした決定をいたしました直後、世界各国に向かって、できるだけこの事態に立ち至ったことについて御理解を願えるような措置もし、今後の決意等もしかるべく表明したのでありますが、今後さらにそうしたことにつきましては、現実として安全の確保をするとともに、また、なるほど安心なんだという気持ちを持っていただけるような措置を講じていかなければならぬと存じます。  国際的信用の回復について御所見もございました。世界で一番危険な空港という御表現がありましたが、まあこの間のような事件はまさにそういう表現に当たると思うのでございますが、安全の確保等につきまして、それとは違った意味においては世界で一番危険な空港なんかにしておいては断じてならぬと思います。一生懸命努力をいたしていくわけでございます。御理解をいただきたいと思いますが、ともあれ、今度のようなことがありましたからには、これから誠意を尽くしてこの信用の回復に努めなければならぬと思います。  鹿島及び千葉からの鉄道による航空燃料輸送につきましては、輸送に伴う施設面の安全対策をすでに講じているところでありますが、沿線における警備体制については、従来から警備当局とも十分連絡して万全を期しているところであり、今回の事件を機に、さらにその安全確保について十分な対策を講ずるよう努めたいと存じます。  それから、開港期日が延期されたことによって多くの空港関連企業等に多大の御迷惑をかけることになりました。遺憾でございますが、このことについては、御指摘のように、政府においてもその救済その他について急ぎ検討をしなければならぬと考え、昨日もその種の指示もいたしておるところでございます。  上林さんの方の関係の皆さんから御提出のいろいろのお話、特に十一項目という諸般の問題に触れたお話等につきましては、従来もそれに対処してまいっておるわけでございますが、なお一層誠意をもって対処いたしたいと存じます。     —————————————
  32. 安井謙

    議長安井謙君) 内藤功君。    〔内藤功君登壇拍手
  33. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、福田総理並びに関係各大臣に質問いたします。  第四インター、中核などの暴力集団による成田空港管制塔破壊などの今回の事件は、無法きわまる犯罪行為であり、わが国の民主主義のために断じて許しがたいものであります。政府が安全な空域設定、騒音対策など、開港の基本的条件の未解決のまま、三月三十日開港を実施せんとしていたやさきに、このような国際的にも例のない事態を生じたその政府責任はきわめて重大であります。  政府は、昨日発表した声明の中で、今回の事件は「法と秩序破壊であり、民主主義体制そのものに対する重大な挑戦」と述べておりますが、暴力集団の同種の無法行為は今日まで繰り返し行われてきているのであります。これまでの無法行為に対する政府認識と対応は一体どういうものであったのか、また、暴力集団に断固たる措置をとらなかった結果、今回の重大事態を招いた責任をどう考えておられるのか、最初に福田総理にお聞きしたいと思うのであります。  以下、具体的に四項目にわたりお尋ねをいたします。  まず第一に、三月二十六日の事件当時、政府警察当局がとった警備体制と運用に見る重大な問題点であります。  警察当局は委員会答弁などで、事前情報収集によって彼らの攻撃目標が管制塔であることを予測していた旨答弁しております。しかも、暴力集団機動隊の主力をいわゆる要塞などに引きつける陽動作戦を行うことさえ予想していた旨の答弁をしているのであります。にもかかわらず、管制塔警備が少人数の警察官並びにガードマンのみにゆだねられていた結果、容易に侵入を許したのはなぜか、明らかにされたい。特に暴力集団が潜伏し、管制塔侵入路に利用したマンホールの検索についてであります。委員会での私の質問に対して、警備当局は、事前の検索を全く行っていなかったと明言しているのであります。地図に出ていないマンホールだから検索しなかったという弁解は納得できません。警備の初歩とも言えるこのようなことが放置されていたのはなぜか、明らかにされたい。さらに、一万三千人もの警察官が動員されていたにもかかわらず、火炎びんを持った暴徒を搭載したトラックを阻止することもせず、空港ゲートからの突入を許す結果となったのは、まことに不可解と言わざるを得ません。  以上の諸点は、恐らく多くの国民がひとしく提起する疑問であろうと思います。警察最高責任者である国家公安委員長の明確な説明を求めるものであります。  第二に指摘しなければならないのは、政府警察当局が暴力集団不法行為を見逃し、多年にわたってこれを放任してきたとも言える動かしがたい事実についてであります。  私の資料要求に対し、空港公団は、暴力集団による公有地上の不法耕作面積は、五十二年六月現在、実に二十四カ所、八十六・九ヘクタールに達し、不法建築物についても、四カ所、三百六十四平方メートルであると回答してまいってきております。一体政府公団は、法律上許されない公有地内での建築や耕作をこれまで野放しにしてきたのではないのか。また、これらの不法占拠に対し、空港公団が四十九年二月に不動産侵奪罪で告訴を行いながら、今日に至るまでいまだにこれに対する処分がなされないままになっている。これはいかなる理由によるのか、明確にしていただきたいと思います。  しかも、重大なことには、私ども調査によれば、空港近くの芝山町朝倉山王台にある公有地に建てられた建物には、電気が引かれ、昭和五十年以降は電話までも架設されているのであります。これは民有地内の暴力集団の不法建築物についても同様であります。暴力集団破壊活動、無法行為の拠点に対するいかなる便宜の供与も、結果的に彼らの行為協力し、その温床を提供するものとなることを政府は厳しく自覚すべきであります。こうした事態の容認は断じて許されないと思いますが、政府の見解はどうか、御答弁を求めるものであります。    〔議長退席、副議長着席〕  第三に、空港周辺で不法を繰り返してきた暴力集団の実態についてであります。  彼らの性格はかように考えます。開港に対する多くの国民や周辺住民の方の不安に乗じて社会的混乱を引き起こすことをねらった挑発と破壊の反社会的集団であることは、いまや明白となっておると思うのであります。  そこで伺いたい。まず、成田空港周辺における暴力集団のいわゆるセクト名、その拠点宿舎数、常駐者数、また、事件当日の三月二十六日現地に集まった暴力集団のセクト名のすべてと、その人数、これを明らかにされたい。これを明確にすることは、暴力集団の徹底した対策の前提となるものだからであります。  第四に、これら暴力集団に対する政府及び警察当局のこれまでの態度は厳しく問われなければなりません。  以上に指摘しましたとおり、政府警察当局の態度は暴力集団への甘さを示すものであり、多くの国民がこれを見て、野放しであり、あるいは泳がせていると評されてもいたし方ないものと言うべきであります。二十六日の彼らの集会には、国際的犯罪者集団日本赤軍のアピールさえ紹介されているのであります。世界の国際空港数多しといえども、国際的テロリストと連携する暴力集団がその周辺に常駐する空港がどこにございましょうか。わが党は、彼ら暴力集団の犯罪行為を厳しく糾弾するとともに、理不尽な暴力の一掃を一貫して主張してまいりました。国民の生命と安全を守るために、また、不法な暴力から民主主義政治を守り抜き、もって国民の負託にこたえるため、いま何よりも必要なことは、政府暴力集団に対する甘い態度を改めることであります。そして、かかる犯罪者集団と、その重要な温床の一つとなってきた学園における暴力を一掃するために、断固たる措置をとることであります。  この点につきまして、総理並びに法務大臣の明確な答弁を求めて、私の質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えを申し上げます。  今回の事件は、暴力に対しまして長年の間どうも厳しい態度がとられなかった、その結果このような事態を招いたんではないか、責任は重大である、どう考えるかと、このような御質問でございますが、先ほど来申し上げておりまするとおり、法と秩序、これを守ることは、これは国家存立の根源でございます。そういう認識に立ちまして、政府はずいぶん厳しくこの問題と取り組んではまいりました。しかし、今回のこの事件、また、最近いろいろの事態が起こっておる、そういうことを考えますと、制度的にも、またその制度の運用上においても、私は、少しこの種の暴力、また秩序破壊行動に対しまして、どうも政府国民もみんな寛容な面があり過ぎたのじゃないかということをしみじみと感じておる次第でございます。そのような認識に立ちまして今回のこの問題は処理しなけりゃならぬ。私は繰り返して申しておりまするけれども、もう安全運転、安全ということを大前提といたしまして、早期開港、これをやってのけなけりゃならぬが、同時に、このような事件を起こしたその根源をつきまして、そしてこのような事態が再び起こらないようにけじめをつけなけりゃならぬ、これが政府責任である、何としてもこれをやってのけたいと、かように考えている次第でございます。(拍手)    〔国務大臣加藤武徳登壇
  35. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警察といたしましては、事前情報収集に全力を挙げたのでございますが、二十六日の当日、あるいは空港に突入いたすかもしれない、空港に大挙して入り込んでくる心配があると、かような情報は把握をいたしておったのでございますけれども、具体的に管制塔をねらうというところまでの把握ができておらなかったのは残念なことでございまして、結果といたしましては、警備が手薄でございまして、先ほど申しましたような一個小隊をもって警察とともにこれを守っておった、かようなことでございますから、いまといたしましては反省の材料といたしているようなことでございます。  それからマンホールの検索でございますが、成田空港の図面上あらわれておりますもののマンホールが四百十八ございますが、そのほとんどの検索を終わり、外部に通じておりますものは鉄柵等を設けることによりまして処置をいたしたのでございますが、しかし、地図の上にあった、なしにかかわらず、すべてのマンホールを検索すべきでございましたが、この点も、いまとなりましては反省すべき残念な材料の一つでございます。  それから、第九ゲートにもトラック二台を突入してまいりまして、そしてみずからのトラックに火をかけて焼いてしまったと、かような報告を最初にいたしたのでございますけれどもトラックが忽然とあらわれてまいりますには、やはり成田空港のその周辺に、いわゆる解放区と言われます治安の目の届いておらないところがあるのでございますし、また、多数の団結小屋と言われます拠点がございまして、かようなことが大きな原因であるのでございますから、さようなところを一掃をいたしまして、法の十分に目の届く、そういう体制をとってまいりますことが絶対に必要だと、このことを痛感をいたしておるところでございます。  それから、成田空港周辺における暴力集団の拠点宿舎数、常駐者の数及びすべてのセクト名を明らかにせよ、かような御指摘でございました。極左暴力集団は、成田空港周辺にいわゆる団結小屋と称します活動拠点を三十三カ所設けております。そして、この三十三カ所に常に寝泊まりいたしております者が約百六十名と、かように想定をいたしております。  なお、セクトの名称につきましては、中核派、革労協、第四インター日本支部、共産同系五派、プロ青同、フロント、統一共産同盟、黒ヘル七グループ、合計十八セクトでございます。  なお、二十六日現在、現地に集まった暴力集団の人数及びすべてのセクトの名前を明らかにせよと、かようなことでございました。二十六日の現地闘争に参加いたしました極左暴力集団と考えられますものは、三里塚の第一公園に約四千五百名、菱田小学校跡地に一千五百名、合わせて約六千名と、かように想定をいたしております。  なお、判明いたしましたセクトといたしましては、逮捕いたしました者の徹底した尋問を通じまして逐次明らかになってくるかと思うのでありますけれども、中核派、第四インター日本支部、革労協、共産同戦旗派、プロ青同などでございます。    〔国務大臣福永健司登壇
  36. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 成田空港周辺の公団所有地の一部地域には、過激派学生等による妨害のために十分な管理が行いがたい状況のところもあることは遺憾でございます。不法占拠や不法耕作が存在しているのでございますが、この状態を放置することは断じて許さるべきことではないと考えます。この排除等につきましては、御説のごとく、御説のごとく、厳重に対処してまいりたいと存じます。    〔国務大臣瀬戸山三男登壇
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 暴力集団等の対策については、総理からも、その他からも、いままで申し上げたとおりでございます。  学園における暴力集団の取り締まりについてお尋ねがありました。これは、御承知のとおり、わが国の戦後、学生自治会、全学連等から流れてきておるものでございますが、内藤委員も御承知のとおり、わが国にはいわゆる進歩的学者あるいは進歩的文化人、こういう人々がいわゆる全学連等を指導し、そして今日に至って、いまやその流れは、先ほど公安委員長からもお話がありましたように、各セクトに細胞分裂をいたして、そしてお互いに戦い合っている。それが学校を拠点として、大学等を拠点として、あるいは外部あるいは内部において暴力ざたをしておるというのがおおむねの現状でございます。しかも、現在、あるいは日本赤軍とか、あるいはその他の過激爆弾事件と、ほとんどこれと地下水を一緒にしているものでございます。今日の状態では、それが裁判の中まで及んでいる。この実態を私ども見詰めておりまして、厳重にこれに対しては対策を講じなければならない。  ただ、学園の問題は、御承知のとおり、あるいは大学の自治であり、あるいは教育の自治であると、こういうすばらしい議論で、なかなかそれが簡単にいかない。現在の日本の状況を見まして、少なくとも大学で暴力が横行する、あるいは温存される、そこに武器が集められておる、かようなことは断じて許してはならないという立場で、現在文部大臣と協力し、大学当局にそういう事態の解決を図ってもらうことを、いま図りつつあるところでありまして、ぜひともこういう根源を断ちたい、かように考えておるわけでございますから、御協力を願いたいと思います。
  38. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 内藤功君。    〔内藤功君登壇拍手
  39. 内藤功

    ○内藤功君 ただいまの私の質問の中で、質問要項の四点、空港周辺公団の所有地内の不法建築物、不法耕作地を放任し、不法建築物に電話、電気を設置することを容認してきた事実があるのではないか、また、これまで放任してきた理由は何か、公団の告訴が四十九年二月になされたが、今日に至るまで処分がなされない、その理由は何かと、この点を運輸大臣並びに国家公安委員長にただしましたところ、御答弁がございません。改めてこの点についての明確なお答えをいただきたい、かように思います。    〔国務大臣福永健司登壇
  40. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほど申し上げましたように、いま御指摘のような意味において公団管理が十分でない地点があることはお話のとおりでございます。遺憾に私は存じておるところでございますが、公団の性質上、いろいろ手は尽くしておるが、まあ率直に言って、なかなかどうにもならぬというようなことでございまして、決して、決して容認をしているということではございません。ただいま内藤さんが、容認しているのかどうかと、それは遺憾じゃないかということでございますが、はなはだ不本意ながら、そういう現実があると、こういうことでございます。したがって、これに対して、当然お話のように厳重に対処しなければならぬということでございます。告訴はいたされておるのでありますが、その告訴の処置につきましては、これは私の所管ではございませんが、告訴されたゆえんのものは、その趣旨が達成されるように促進せしめられるべきが当然であると私は考えております。    〔国務大臣加藤武徳登壇
  41. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 昭和四十九年二月に公団から、いわゆる野戦病院と過激派が称しております不法建築物が構築されておるそのことについて告訴が出ておりますことは承知をいたしておるところでございます。今日まで関係者を呼びまして調べておりますけれども、まだその実態が十分に把握できておらぬ、かようなことはきわめて残念に思うのでございますから、さらに捜査を進めてまいりまして、早期に結論を得たいと、かように考えております。     —————————————
  42. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 和田春生君。    〔和田春生君登壇拍手
  43. 和田春生

    ○和田春生君 先ほど行われました国務大臣報告に関し、私は、民社党を代表して、政府責任を問い、所信をただしたいと思います。  改めて申すまでもなく、日本の表玄関たるべき成田空港において今回発生した極左暴力集団による騒乱事件は、民主主義と法治国家に対する悪質な挑戦であって、断じて容認するわけにはいきません。また、この事件の結果、不便で不安な成田の評判はたちどころに全世界に広がり、わが国航空行政のみならず、日本の国そのものに対する信用上ぬぐうことのできない傷跡を残しました。  そもそも成田空港の計画そのものに相当な無理があり、政府及び空港公団の手順と対応にも数々の不始末が重ねられてまいりました。わが国の代表的な国際空港としての成田の現状と将来に少なからぬ問題が介在することは否定できない事実であります。しかし、そのことに関する追及につきましては、日本の民主主義の危機についていま根源的に提起されている深刻な問題との混淆を避けるため、別の機会に譲りたいと思います。  もしも、この極左暴力集団破壊活動を完全に制圧できず、二度三度と同様の事件を惹起するような事態の継続を許しますなら、暴力がまかり通る無法社会への道を開き、平和な市民生活と合法的な生産活動を保障する自由なわれわれの社会にとって、暗く不吉な将来を憂えざるを得ないからであります。  そこで、まず福田総理にお尋ねをいたします。  三里塚・芝山連合空港反対同盟の戸村委員長が、「開港を阻止したことは闘いの勝利だ」と宣言し、加えて「万一開港となれば、空港の深部まで食い込み、徹底的に壊滅させる、それには海外と呼応することもあり得る」と語った旨が伝えられております。  成田騒乱事件の主役、この空港反対同盟及び過激派集団について、政府はいかなる基本認識もとにこれまで対応してきたのか、今後の適確な対策のためにも、念を押して尋ねておきたいと思います。  質問の第二は、空港反対同盟のみならず、そのきっかけや理由づけがどうあろうと、法に基づく秩序挑戦し、特定の政治的イデオロギーとともに凶器を手にする集団の暴力行為を、一般的な違法行為と同列に論じてはならないという点であります。  それはまさに、主権国家破壊をねらう間接侵略もしくは反乱の内戦に等しいものと考えてしかるべきではないでしょうか。人権の尊重、自由と民主主義と法治を基調とする日本国憲法のもと、恣意的にこの憲法秩序を乱す無法者の集団行為に対してまで、人権尊重の名のもとに優柔不断であってはなりません。ファッショ体制への危険がそこに胚胎した幾多の歴史的教訓を想起しつつ、総理及び所管大臣の所信のほどを承りたい。  質問の第三は、以上の第二の質問と関連し、そうした基本認識に欠けていたがため、成田空港警備体制に思いもかけぬ手抜かりがあったのではないかという点であります。  まさに今回の事件は、空港反対同盟との内戦における警察軍の敗北と言っても過言ではありません。第一線で奮闘し、辛酸をなめた警察官諸君を責めるのではなく、問題は、警備戦略の甘さであり、総合的作戦の欠陥にあると思われます。戦闘に敗れた場合、その直接かつ最高の責任が軍司令官にあることは改めて言うまでもありません。全国から機動隊を動員し、一万数千名を成田に結集、決戦に臨んだのが国家警察軍でありました。その司令官たる警察庁長官の警備敗北の責任は一体どのような形で問われているのでしょうか。新聞報道で見る限り、弁解ばかりが目立って、敗戦の将たる厳しさと具体的な反省が感じられません。政府自体の責任とともに、国家公安委員長の所見と処置について伺いたいと思います。  質問の第四は、空港公団体制についてであります。  いずれの事業所であろうと、その秩序維持保安に対する第一義的な責任は、事業所を管理する組織にあります。成田空港の場合、反対同盟という不法集団の妨害や抵抗があったとはいえ、保安警備はすべて警察任せ、空港公団は、ただ空港をつくって開港に向け事務的に取り運べばよいという官僚的無責任な姿勢にも問題があると思われます。管制塔内にやすやすと侵入を許した事例に徴しても、空港秩序維持保安に対する公団のトップ及び職員の職務上の義務感、公団職員管理と労使関係に重大な欠陥がなかったのでございましょうか。今後のために運輸大臣の見解を篤と承っておきたいところであります。  質問の第五は、成田開港後の対策についてであります。  政府は、成田開港を急いでおり、その気持ちはわかりますが、成田の場合、開港にこぎつけたときが終点ではなくて、まさにそのときが新たな問題の始まりであります。空港保安極左暴力集団過激派対策について、開港後継続的に安全を確保するため、どのような見通しと対応策の準備があるのか。特に肝心な点でありますから、運輸、公安の両所管大臣の具体的かつ確固たる答弁を求めます。  質問の第六は、これまで違法の暴力行為を時には見逃し、あるいは助長するような言動を示してきたことに対する政治的責任についてであります。  今回の成田事件はまことに異常なものでありますが、一方、許すべからざる違法、不法の行為をとかく事なかれ主義で見過ごしてきた風潮と決して無関係ではないと思われます。たとえば、国鉄・動労などが、違法の暴力でしばしば列車の運行を妨害したり、国民の目に余る行為のあったことは歴然たる事実であります。(拍手)加えて、今春闘に対して、公労協などは早くも大々的な違法ストを公言してはばからないのであります。しかるに、そうした違法の実力行動に対して、その大方を不問に付し、一応形ばかりの処分をしても、いつの間にか帳消しにしたり、あまつさえ、傷害、暴力の現行犯で有罪となった者までも、こっそりと再採用するがごとき不可解きわまる行為が、空港と同じく運輸省管轄下にある国有鉄道において現に行われているのであります。(拍手)まして、動労の違法なストによる成田空港燃料輸送の阻止行動が、いつの日か、いずこかで空港反対同盟のゲリラ闘争と結びついたとき、もしかすると、恐るべき大惨事を引き起こす可能性すらないとは言い切れません。かかる違法行為の横行に対する総理運輸大臣の所信のほどをしかと確認しておきたいと思います。  さらに、これまで日本政府は、いわゆる赤軍派の理不尽なハイジャックに対して、人命安全のための超法規的措置という、きわめて便宜主義的責任逃れの口実を構え、法治国家挑戦する不法分子に屈服をしてまいりました。もし今後、仮に成田闘争がエスカレートし、同種の不法事件が発生した場合、同じ論理と措置適用すれば、法治国家の死命を制するような恐るべき事態になるでありましょう。みずから法と秩序を便宜主義的に踏みにじってきた内閣責任について、今次事件にかんがみ、改めて問い直さざるを得ません。これが質問の第七であります。  最後に、民主主義と法による秩序を断固として守り抜くため、政府に重ねて苦言を呈し、その所信と対策を確認しておきたいと思います。  その一つは、さきにも若干の事例を指摘いたしましたが、民主的法治国家政府として、法と秩序を守る厳しさに欠けている点への不安であります。まず、政府みずからが法の執行者としての自覚に立ち、政府関係諸機関の綱紀を正し、民主主義と平和な生活と、そして真の正義を愛する国民の信頼にこたえるべきであります。  その二は、今回の事件により、新たな立法措置が論じられておりますが、必要とするものにわが民社党は協力するにやぶさかではありません。しかし、過激派極左暴力集団による数々の違法行為破壊闘争の準備行為などを目の前にしながら、事ここに至るまで有効な防遏手段を講じなかったことが問題であります。形式的な法律論に埋没し、一部の反体制的かつ意図的な治安対策批判に憶病に過ぎ、不法な破壊活動に対決して民主主義体制を守る政府の真の責任をおろそかにしてきていたのではないでしょうか。現行法によっても、やる気になればやれることも数多くあったはずであります。政府の怠慢をたな上げし、いたずらに新規立法を重ねてみても、政府にやる気がなければ徒労に終わり、無意味であります。現行法をフルに活用し、暴力集団不法行為を断固として未然に防ぎ、事を起こさないための対策こそ、まず基本的に重要であると考えます。  総理及び所管大臣の明確な答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今回の事件をどういうふうに認識しておるかと、こういうお話でありますが、私は、今回の事件認識、これは和田さんと全く同じでございます。一部農民による反対運動、そういうものじゃありません、これは。これはもうそれと全く異質の、国家秩序破壊、民主主義そのものに対する挑戦だと、このような理解を持っておるのであります。したがいまして、国家存立の基盤にかかわるような考え方、行動、これを容認する、これはもうとうていできることじゃございません。思いを新たにいたしまして、そのような考え方、そのような行動、これは本当に断固阻止するという決意であるということをまず申し上げさしていただきたいのであります。  しかし、事件がこのような形で起こってきた、これは、政府といたしましては、法秩序維持ということは大事なことでありますので、厳しくやってきたつもりでありますけれども、しかし静かに考えてみると、これは制度的にも、また運用の上におきましても、私は法の秩序維持という点につきまして少しこれは寛容に過ぎた点があるのではあるまいか、そのように反省しておるのであります。そのような認識に立ちまして、そのような事態が再び起こらないというためにどうするかということを本当に真剣に考えてみたいと、このように考えておりますので、どうかひとつ御理解ある御協力をお願いをいたしたい、このように考えるのであります。  また、私は、少し法秩序維持ということに寛容であった、人権の維持、擁護とか、いろんな理由のもとにそういうことであったわけでございまするけれども、そういうことが積もり積もって今日のようなことになったのじゃないか、また、動労のあのような行動、こういうようなことなんかも引例されましてのお話でございますが、私は、やっぱり法は、何か理由をつけて、守らないでもいいのだというような風潮、これがあったら、これは本当に大変なことだと思うのです。そういうことがだんだんだんだん顕在化していく、定着化していくというようなことになれば、これは本当に国家、社会、これを揺るがすような、ひっくり返すようなことに発展していく、そういうふうに思うのです。今回の事件、また皆さんのお話、これを踏まえまして、今度こそはひとつ何とか、法秩序、法の威信というものを回復いたしまして、そうして世界に対し失われた面目等を取り返さなきゃならぬ、このようにかたく考えておりますので、御理解と御協力をお願い申し上げます。    〔国務大臣福永健司登壇
  45. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 成田空港についての基本的な考え方について、可能な限り地元住民の理解と協力が得られるよう従来からも対応してまいっておりますが、特に空港用地等の地権者等に対しましては、今後さらに特段の配意のもと空港と地域社会との共存共栄が図られるように努力してまいりたいと存じます。  公団は、空港管理者として、空港内の秩序維持及び施設設備安全確保を図り、空港を利用する航空機利用旅客、その他空港内のすべての人員に対する安全を確保する第一次的責任を有しております。その原則を踏まえつつ、警備当局協力を得て保安の安全を期していくよう、今後とも強く指導をしてまいりたいと存じます。運輸省としては、今回のような事件の再発を防止し、航空交通の安全と空港内の保安確保に万全を期するよう新東京国際空港公団を強力に指導していくのはもちろん、警備当局とも十分に協議して、所期の成果を上げるよう努力してまいる所存であります。  国鉄においては、かつて労働運動に関連して暴力事件を引き起こすなど、正常な労働運動の範囲を逸脱する行為が一部の組合に目立ったのでありますが、その後の労使の努力もありまして、最近ではかなり減少してきております。このような行為についてはもとより厳正に対処すべきではありますが、その発生を防止するためには、基本的には労使関係の正常化を図ることが必要であり、今後ともそのような方向で努力するよう国鉄を十分指導してまいりたいと存じます。御指摘のごとく、厳しさに欠けていてはならぬと存じます。この点等について和田さんがいろいろお述べになりましたが、今後特段の注意をもって私どもは対処していく所存でございます。    〔国務大臣加藤武徳登壇
  46. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 戸村一作氏が委員長をいたしております空港反対同盟は、極左暴力集団とはその質を異にしておりまして、反対同盟の中にはもとより善良な農民も含まれておるのでありますけれども、しかし、最近の戸村一作氏の発言を注意深く分析をいたしてみますと、極左暴力集団と通ずるものがあり、そして、その発言は教唆扇動に当たるのではないかと、かように思える節もございますので、今後厳重に見守ってまいり、必要によりましては処置をいたしてまいる、かような考えでございます。  それから、二十六日のあの事件は内戦と同類のものではないかと、かようなことでございました。御指摘がございましたように、二十六日の事件は暴力によって現状をぶち壊して共産主義革命をなし遂げるのだ、かような意図のもと行動であることは明らかなのでございまして、断じて許すことができないのでございます。したがって、内戦とその質においては全く変わらない、かように認識をいたして今後も対処してまいりたい、かように思っておるところでございます。  それから三番目は、政治責任についての御発言でございました。もとより、私を初めといたしまして、警察幹部は責任をいたく痛感いたしておりますが、いまは責任問題について考えますよりも、当面する問題にどのように対処いたすか、このことについて全力を挙げてまいりたい、かようなただいまの心境でございます。  それから最後の、立法措置についてでございますが、新たな立法措置が直ちに成田空港に役立ち得ますかどうか、また、立法の余地ありや否や、この点につきましても、関係省庁と十分な連絡をとって対処いたしてまいるつもりでございますが、当面は現行法規を最大限に活用することによって対処いたしてまいりたいと、かように考えているところであります。    〔国務大臣瀬戸山三男登壇
  47. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) お尋ねの点は、総理なり、あるいは公安委員長からおおむねお答えになりました。御指名でありますから、私の立場からも二、三申し上げておきたいと思います。  成田空港反対同盟、これは、私どもの見るところ、もとより成田空港建設に対して農民の方々が不満を持ってこれに反対された組織だと。それに、いわゆる特別の考えを持っておる今日暴力集団というような極左勢力がこれにもぐり込んでおる。そして、カムフラージュをして、いわゆる空港反対で今日までやってきた。かようなことは他の場合もしばしばあるわけでございます。あるいは公害問題その他の問題で、いわゆる住民運動の中にもぐり込んで、これを利用しながら勢力を張って換骨奪胎をしようという動きはたくさんあるわけでございます。その最大のものがこれであると私どもは見ております。いまや、いわゆる農民の方々の気持ちとは全然違った姿に、いわゆる異質のものになった。まさにこれは暴力革命を志向しております。  戸村一作氏の話が出ましたが、これは新聞等でわれわれは見ておるだけでございますけれども、内戦云々と激烈な言葉を言っておるのは、そういうところにあるわけでございます。この点については、先ほど公安委員長からもお話がありましたが、もちろん、検察庁や法務検察あるいは警察は十分の関心を持っております。しかし、これから先は事は慎重にしなきやなりませんから、検察、警察の判断がありますから、ここでは申し上げませんけれども、十分な関心を持って見守っておるということでございます。  それから、現行法規の適切な施行等について和田議員からいろいろ御指摘がありました。この点については、最初私が玉置議員の御質問の際に、いわゆる法治国家の考え方というものを簡単に申し上げましたが、しばしば総理からもお話がありますように、率直に申し上げて、法治国家というのは、これは政府のために法律があるわけでも何でもありません。全国民の安心立命が図られるような仕組みをつくっておるわけでございます。これが暴力によって侵されると、これが——笑われる人がありますけれども、それは違いますか。笑われる人があります。それが暴力によって侵されるということは、あくまで断固としてこれを排除するのは当然のことであると思います。(拍手
  48. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  49. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第二 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中尾辰義君。    〔中尾辰義君登壇拍手
  50. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ただいま議題となりました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を八人、裁判官以外の裁判所職員の員数を十人、それぞれ増加しようとするものであります。  委員会におきましては、最近における複雑困難な事件の増加と、裁判官及びその他の裁判所職員の増員と充足、法曹三者協議会の運営、いわゆる過激派事件の審理状況及び国選弁護の充実と報酬等について熱心なる質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本法律案に対して、政府並びに最高裁判所は、裁判所職員の増員及び充足に努めるとともに、その資質向上など諸般の施策を講じ、裁判の遅延解消を図るべきことを内容とする各会派共同提案に係る附帯決議案が寺田熊雄委員より提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告をいたします。(拍手
  51. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  53. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第三 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案(第八十二回国会久保亘君外六名発議)  日程第四 日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長吉田実君。    〔吉田実君登壇拍手
  54. 吉田実

    ○吉田実君 ただいま議題となりました二つ法律案につきまして、文教委員会における審議の経過と結果について御報告申し上げます。  まず、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  第八十二回国会に提出されました本法律案は、学校の女子事務職員の出産の場合についても、女子教育職員の場合と同様に職員の臨時的任用ができるようにするものであります。  委員会では、すでに前々国会において質疑が十分に行われたこともありまして、質疑は省略し、本案に対する内閣意見を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、日本学校安全会の災害共済給付の充実を図るため、国がその経費の一部を補助することができるようにするとともに、学校における保健管理を適切に行い、あわせて安全管理の徹底を図るため、所要の規定を改めようとするものであります。  委員会におきましては、廃疾年金制度の必要性、安全会の給付対象の拡大、廃疾認定基準の改定、運営体制整備等、給付事業の改善充実に関する諸問題につきまして熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、後藤委員より、廃疾者に対する給付等給付事業の改善充実と安全管理に関する条件の整備等を旨とする各派共同の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  55. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより両案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  56. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  57. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第五 環境庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員会理事原文兵衛君。    〔原文兵衛君登壇拍手
  58. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 ただいま議題となりました環境庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法案は、水俣病に関する医学的調査研究を国として総合的に推進するため、環境庁の附属機関として国立水俣病研究センターを水俣市に設置しようとするものであります。  委員会におきましては、研究センターの将来計画、認定業務体制のあり方、座り込み患者に対する実力排除、チッソ株式会社対策に関する諸課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  59. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  60. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  61. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第六 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長安永英雄君。    〔安永英雄君登壇拍手
  62. 安永英雄

    ○安永英雄君 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、道路整備緊急措置法の目的を、道路交通の安全確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することに改めるほか、新たに昭和五十三年度を初年度とする第八次道路整備五ヵ年計画を定める等、道路の整備に関し必要な措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、道路整備緊急措置法の目的の改正と、第八次道路整備五ヵ年計画の投資規模及び財源対策、新空港へのアクセス道路、本四公団事業、宅地開発関連公共施設としての道路整備、道路環境整備と防災対策、身障者に対する通行料金の減免措置等について熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ることといたします。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して上田委員より反対、自由民主党・自由国民会議を代表して坂野委員より賛成する旨の発言があり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、赤桐委員より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案が提案され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  その主な内容は、第八次五ヵ年計画の策定に当たっては地方の公共団体の長の意見を参酌すること、総合的な交通体系の確立を促進し、機能的な道路網の整備を図ること、地方道、特に市町村道の整備を促進すること、道路整備事業の推進に当たっては、沿道の環境整備と環境保全に対する特段の配慮をすること、並びに自転車置き場の整備に努めること、道路防災及び道路交通の安全性確保を図ること、震災に備え、老朽橋等の耐震性の向上に努めること、身障者の通行料金について減免の方向で配慮すること等であります。  以上報告申し上げます。(拍手
  63. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  64. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十八分散会