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国務大臣(
福田赳夫君)
お答え申し上げます。
いま非常に深刻な
経済情勢であるが、これから脱出し、
景気を回復するその過程を言ってみろと、こういう
お話でございまするが、今日のこの
経済情勢は、一口で言いますと、これはもう一般的な設備過剰、雇用過剰と、そういう状態の中で
企業収益が思うようなわけにいっておらぬと、このようなことかと思うのであります。同時に、この設備過剰、また雇用過剰というものが非常に特に深刻であるという業種があるのであります。つまり、構造
不況業種というものがある。これが
景気回復を非常に困難ならしめておる、これが私は今日の
経済情勢の
実態ではなかろうか、そのように見ておるのであります。
さて、その設備過剰、雇用過剰であるというその過剰状態を払拭しなければなりませんけれども、それを一体どうするかというと、需要をふやすほかはないんです、まず。需要をふやすということになると、輸出に
動きを求めるわけにはいかぬ。また、設備が過剰でありますその状態の中で、
企業の設備投資にその
動きを期待するわけにもいかぬ。そうなると、どうしても
財政が需要増創出の
任務をしょわなければならぬということになる。
そこで、いま御審議をお願いしておる
昭和五十三
年度予算ということになるわけでありますが、この
予算が稼働するということになりますれば、すぐさま、これは雇用も誘発しますよ。また需要を誘発しますよ。そうして過剰状態はかなり改善をされてくる。改善されてきますれば、そこで設備投資ということにもつながってくるし、また、働く人全体のふところぐあいというものも改善される。そこでまあ
国民の一般的
消費も伸びてくると、そういう過程を経まして、
経済は徐々に安定化の方向に行くであろうと、このように考えておるのであります。ただ、それだけでは解決しません。いま申し上げましたように、構造
不況業種、これについて特別の
対策をとらなければならぬ、このように考えまして、あれやこれや
対策を打っておりますが、特に立法を必要とするというふうに考えまして、いま国会に御審議をお願いをいたしておるという次第でございます。
円高問題につきましては、
円高、
円高とおっしゃいますが、本質はドル安なんです、これは。ドルが世界的に価値が低下しつつあるということから起こってくるこの為替不安状況でございますが、やはり基本的には、アメリカがドルの価値維持につきまして本当に真剣な努力をするということが、かなめでなければならぬと、このように考えまして、
わが国におきましては、あらゆる機会を通じましてアメリカにその要請をいたしておるというわけでありまするが、同時に、これはアメリカの努力だけで完全というわけにはまいりません。やはり世界
経済の中で大きな働きをしておるところの日本、ドイツ、これらの国々もアメリカのドル価値安定に対して協力をしなければならぬ。その
わが国の分野を顧みてみますると、やはり経常収支が百三十億にもなるというこの状態は、私は世界の通貨安定に対しまして健全なる姿勢をとっておるというふうには言い切れない。これを何といたしましても改善しなければならぬというふうに考え、
昭和五十三
年度中には、五十二
年度中に百三十億ドルにもなるというこの大黒字を、まあ半分以下、六十億ドル
程度に圧縮するということを考え、これをぜひ
実現をする、これが私は為替安定のために大きく寄与するゆえんと、このように考えておる次第でございます。
また、
政府の
財政収支試算から言うと、急激な
増税をやると
景気の方に非常にマイナスになるのじゃないかという御懸念でございますが、それはもう当然私もそういうことになるだろうということは
承知しております。でありまするから、先ほども申し上げたんです。まあなるべく早く
増税をやってみたいというふうには考えておる。おりまするけれども、
景気の
情勢を見て、そのタイミングをはからなければならぬ、このように考えておりますので、
景気も
財政も両立するような形で今後の
運営をやってまいりたい、さように考えておるのであります。
さらに、医師
税制につきまして、
政府は
自由民主党の
議員立法の
動きに期待するということは、責任を回避する、逃れる、そういうことになるのではないかというような御指摘でございますが、この問題を
政府みずからがやらぬで
自由民主党の
議員立法で片づけるという、ちょっとそういう
お話のような感じを与えるかもしれませんけれども、何せこの問題は二十数年間にわたる非常に困難な問題なんです。その問題の背景にいろいろむずかしい問題があることは、先ほど厚生
大臣が申し上げたとおりでございます。このむずかしい問題をそう割り切った解決はできない。しかし、
自由民主党が、とにかく五十三
年度限りだ、五十四
年度からは新しい体制だというので、いろいろな
総合的な
対策を立てる、それを実行するに必要な立法は
議員立法でいたしましょうという
動きになってきた。私は、これは観念論、理屈論だけでいったらなかなか解決しないと思うのですが、
自由民主党のその
動きというものは、この問題解決のために非常に具体的な、そしてしかも現実的な
動きである、そういう
評価をいたしておるわけであります。とにかく、この
自由民主党のせっかくの
動きに水を差すというような、そんな必要は私はないと思うのです。その盛り上がった
動きに大いに期待をしておる、こういうことでございます。
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それから、
最後に、先ほど佐藤さんに対しまして、佐藤さんの、四十年に
大蔵大臣のとき福田は
公債を初めて発行した、それが今日の
財政のむずかしさになってきているんじゃないかという御指摘に対しまして、私は、それは言いがかりである、このように
お答えをしたわけでございまするが、「言いがかり」という言葉に何か問題がありますれば、「そのような御批判は当たらない」という言葉に置きかえさしていただきます。(
拍手、発言する者あり)
〔
国務大臣村山達雄君
登壇、
拍手〕