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1978-06-16 第84回国会 参議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十六日(金曜日)    午前十一時四分開会     —————————————    委員の異動  六月十六日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     竹内  潔君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 寺田 熊雄君                 矢田部 理君                 宮崎 正義君     委 員                 伊江 朝雄君                 上田  稔君                 大石 武一君                 上條 勝久君                 竹内  潔君                 初村滝一郎君                 藤川 一秋君                 阿具根 登君                 秋山 長造君                 橋本  敦君                 円山 雅也君                 江田 五月君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        法務政務次官   青木 正久君        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省民事局長  香川 保一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○民事執行法案内閣提出衆議院送付) ○司法書士法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○民法第七百五十条の改正に関する請願(第五六  号外九〇件) ○民法第十一条の改正に関する請願(第五九五  号) ○法務局更生保護官署及び入国管理官署職員の  大幅増員に関する請願(第二一四四号外五二  件) ○刑事事件公判開廷についての暫定的特例を  定める法律案反対に関する請願(第五〇三六号  外三五件) ○刑事事件公判開廷についての暫定的特例を  定める法律案廃案に関する請願(第五八八八号  外二二件) ○治安維持法等による犠牲者に対する国家賠償に  関する請願(第六六五八号外四件) ○理事の辞任及び補欠選任の件 ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  民事執行法案及び司法書士法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 宮崎正義

    宮崎正義君 昨日ちょっと一つばかり質問を漏らしたものがございますので、司法書士法の一部を改正する法律案につきまして、第三条の二号の裁判所事務官裁判所書記官法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が十年以上——現行法は五年ということになっておりますが、いわゆるこの特認の認可の件につきましてでありますが、きのうも局長の方から御答弁がございました。大体二十年というようなお話がございましたけれども現行法の場合のときには私は十五年ぐらいというふうに聞いておったわけですが、いかがでしょうか。
  4. 香川保一

    政府委員香川保一君) 原則は二十年前後でございまして、例外的に十六、七年というのがございますけれども原則はきのう申し上げましたとおり二十年を大体基準にいたしております。
  5. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは基準というんですか、いま御答弁基準というようなお話がありましたけれども、内規みたいな何かあるんですか、それを伺っておきます。
  6. 香川保一

    政府委員香川保一君) まあ形式は現行法におきましては各法務局長地方法務局長権限でございますので、それぞれの権限者が独自にそういうことを決めるべき性質のことかもしれませんが、やはり全国的に均衡をとらなきゃいけないということで、各法務局単位ブロックごとに横の連携をとりながら一応の基準を決めておる、それが大体二十年を原則にしておる、こういうことでございます。
  7. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま局長の御答弁だと、二十年ぐらいを基準にしているというお話でございましたね。ところが、十五年ぐらいの方が大分多いのじゃございませんか。それで、現行法が五年で今度の改正法案が十年になったと、そういう基準のようなものがあるとすれば、何も変えることもないのじゃないか。また、五年のいままでの現行法だと十五年ぐらいから考えていた、今度は十年となったら二十年ぐらいを基準にしていくという算数的な考え方でいっているのか、本当にしっかりしたものがあるのかどうなのかということでお伺いしているわけです。そうしますと、いま御答弁がありました内容がどうもちょっとわかりかねるのですが、第五条の毎年一回以上の試験になっている、その「以上」という意味なんかもちょっとわからないのですが、どういうふうなことなんでしょうか。
  8. 香川保一

    政府委員香川保一君) まあ実際はこれからの運用といたしまして毎年一回ということに原則的にはなろうかと思いますけれども法律で年一回に限るということにする理由もございませんので、一回以上ということになっておるわけですが、ただ、実際問題としまして、たとえばある年の前半ぐらいに試験を受けたいという人が一万名を超すというふうなことになってまいりますと、それをさらに半年待たすというのもいかがなものかと、そういうふうなこともございますので、場合によっては受験申請者の数等も考えてそれは二回やらなきゃならぬというふうな事態もあるかもしれませんが、大体のところは、すでに現行法のもとで事実上やっております統一試験の実際から申しますと、年一回で十分ではなかろうかというふうに考えております。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 いずれにしましても随時選考という例外的な形になってくるということで、これは将来やはり補助者等問題等も含めて御考慮を願っていくようにしなければならない問題だと思いましたのできょうまた改めて質問をしたわけです。将来にわたっての考え方というものをもう一度聞かしていただきまして、私は質問を終わります。
  10. 香川保一

    政府委員香川保一君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、現行法での各ブロックごと基準でございまして、まあそれはそれなり理由もあると思いますけれども、今度は法務大臣の行う国家試験原則になり、あわせて法務大臣認定による特認という形になるわけでございます。私どもとしては、御趣旨も十分踏まえて、果たして二十年というふうな基準法務大臣認定基準として設けるのがいいかどうか、その辺のところは十分再検討したいと、かように考えております。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 私、終わります。
  12. 橋本敦

    橋本敦君 それじゃ、私、続きまして司法書士法の一部を改正する法律案について、この法案賛成する立場でありますが、若干の質問をさしていただきたいと思います。  まず第一に、第一条で新しくこの法の目的が定められまして、第一条によりますと、「この法律は、司法書士制度を定め、その業務の適正を図ることにより、」云々とあって、「もつて国民権利保全に寄与することを目的とする。」と、こう定めてあります。私はこの趣旨自体賛成でありますが、ここに言う国民権利保全に寄与するということも非常に重大な問題でありまして、登記がいわゆる国民権利義務関係に深くかかわっておることを考えますと、司法書士制度改善を通じて同時に国民権利保全に寄与するということが具体的に運用を通じて実施をされていくことが国民から期待されておるわけであります。  そこで、民事局長に御説明をいただきたいのですが、国民権利保全に寄与するということは、運用法務省としては具体的にはどのような期待を持って定められたのでありましようか、その点お話しをいただきたいと思います。
  13. 香川保一

    政府委員香川保一君) 国家試験制の導入もその最たるものだと思うのでありますが、いまお示しの国民権利保全に非常にかかわりのある大事な仕事をしておるわけでございますので、私どもとしては、こういった目的規定、あるいはこれに関連しまして一条の二の職責規定を設けていただくことによりまして、司法書士資質をもっと向上させ、品位の保持のみならず業務改善についてもさらに一段と努力されるように期待し、私どももできるだけそういう線に沿った協力をしたいと、かように考えておるわけでございます。
  14. 橋本敦

    橋本敦君 御趣旨はよくわかりました。  東京司法書士会が発行しております会報が「司法の窓」という題で出ておるわけでございますが、この会報を見まして、司法書士会が行われたアンケート調査がございますが、このアンケート調査によりますと、国民司法書士皆さん仕事を依頼するというのは、いわゆる便利だから利用するというそういう観点よりも、やはり手続あるいは登記等関連をいたしまして法的な専門家としての信頼を背景に依頼するという傾向が強いという調査が出ておるわけでございます。私はそれ自体国民見方からして正しいよい見方だと思うのですが、そうなりますと、その国民期待にこたえるために、この第一条に示され、いま局長が御答弁いただきましたように、今後資質向上という面について、あるいは業務の精通という面について、これからがいよいよ大事になろうかと思うわけです。  そこで、その一つとしていま局長お話しになりました国家試験を行うという問題でありますが、国家試験内容がそれにふさわしいものでなくてはならぬだろうと思います。そうなりますと、法律専門家という国民期待があり、そしてまたわが国全体の法律関係の一翼を担うと、こういうことになってまいりますと、何といってもわが国の根幹の法は憲法でありますし、憲法というのが国民生活の中でも非常に重要でありますから、この試験科目の中に第五条で一に「民法、商法及び刑法に関する知識」と、こうあり、それから三の中で「その他司法書士業務を行うのに必要な知識及び能力」とありますが、この三は主として技術的な問題だろうと思うのですが、憲法をこの試験の中に加えたらどうかという意見を私は持っているのですが、それについての局長のお考えはいかがでしょうか。
  15. 香川保一

    政府委員香川保一君) これはまあ司法書士試験見方だろうと思うのでありますが、司法書士のこの試験は、いわば法律専門家をつくると申しましても、どちらかと言えばその専門的な関係知識と技能と申しますか、そういったいわばすぐれて実務的な人を養成するという線に沿ったものだろうと思うのであります。そういうことから考えますと、常識としてと申しますか、憲法感覚を身につけて憲法を知っておるということは常識として大事なことだと思いますけれども国家試験必須科目として憲法をぜひやらなきゃならぬという、ふうな要請は出てこないのじゃないか。わが国のこの種の業法を全部見ましても、憲法必須科目にしておるものは全くないわけでございます。ただ、おっしゃるように、司法書士職務というのが、人権関係することもございましょうし、あるいは登記というふうな技術的なものでもやはり権利保全というふうな面あるいは行政処分に対応する手続でございますので、そういったいろいろの面を考えますと、場合によっては、憲法常識というふうな意味で、ただいま御指摘のこの五条二項三号の中で、専門的な憲法試験という意味ではなくて 憲法常識的なことを試験するということも私は可能だろうというふうに考えておるわけでございます。
  16. 橋本敦

    橋本敦君 いま局長がおっしゃったように、いわゆる常識的な基本原則ということでいいのだろうと思うのですね。専門的な憲法学ということでなくていいのだろうと私もその点は同感でございます。しかし、そういういまおっしゃったような趣旨にしろ、憲法感覚というものを正しくやっぱり身につけていただく措置というのが指導的な面で要るのではないかというようにも思いますので、なお今後御検討願いたいと思うのです。  そこで、局長がいまおっしゃったような考え方試験を行うといたしますと、「刑法に関する知識つまり刑法科目になっているわけですが、これはどういう趣旨でございましょうか。
  17. 香川保一

    政府委員香川保一君) 司法書士業務一つとしまして検察庁に提出する書類を作成するという関係があるわけでございますが、この面が刑法にかかわってくると、こういうことでございます。
  18. 橋本敦

    橋本敦君 よくわかりました。  この刑法ということになりますと、これは高度に専門的な刑法理論という問題じゃなくて、実務的な水準で必要な範囲の知識という程度だろうと思うのですけれども書類の作成ということになりますと、そういう刑法本法とともに刑事訴訟法がむしろ非常に具体的な関係を持ってまいるわけでございますね。だから、そういう意味では私は刑法ということだけじゃなくて刑事訴訟法基礎知識も要るのではないかと、こう思うのですが、その点はいかがなようになさる御予定ですか。
  19. 香川保一

    政府委員香川保一君) 刑事訴訟法に関しましては、この五条二項二号の「訴訟に関する知識」という中に含めて考える余地は十分あるわけでございます。
  20. 橋本敦

    橋本敦君 なるほど、二号に入るというお考えね、その点わかりました。  司法書士さんの業務について、簡単な国民からの法律相談に応じられるそういう能力資質とを持っていらっしゃることも必要ではないかと、公然と制度的に法律相談を認めるとなりますと弁護士会との問題があるという局長のきのうの御答弁がございまして、私もそれをよく知っておりますが、しかし、そういう弁護士司法書士職域ということの張り合いというようなことは余り好ましくないわけで、実際の国民の需要、要求という観点考えますと、先ほどアンケートでもお示ししたように、法律専門家の一人という期待国民が持っているという実情一つあるのと、宮崎委員がきのう御指摘になりましたような関係で、身近に相談をする人が、地方に参りますと弁護士さんよりむしろ司法書士さんの方が多いという地域状況もある。そう考えますと、私は司法書士さんの資質向上というのは社会的に非常に重要だと思っておるのですが、たまたま局長も御存じと思いますが、昭和五十二年一月十八日松山地裁司法書士職域と任務に関する判決がございまして、この中で、裁判所は、「司法書士は……嘱託人の真意を把握し窮極の趣旨に合致するように法律的判断を加えて、当該の法律事件法律的に整理し完備した書類を作成するところにその業務の意義があるのであり」という前提を置きまして、その次に「国民の身近な相談役的法律家として成長してゆくことが期待されるのである。」と、こういう判示がございますわけですね。私はこの判示それ自体はいま私がお話しした実情から見て正しいと思うのでありますが、そういう趣旨で、この試験については余り高度な法律専門的知識は必要ございませんが、憲法あるいは刑事訴訟法国民権利に関する基本的な素養が身につけられるというそういう試験のあり方として御検討、研究をしていただきたいということを期待するものでありますが、その点はどうでしょうか。
  21. 香川保一

    政府委員香川保一君) おっしゃるとおり、確かに法曹人口も足りないと言われておりますし、特に地方へ参りますればこのごろの国民生活は直接間接いろいろ法律関係する場面が多いわけでございまして、そういう意味国民法律生活のよき相談相手というふうなものがぜひとも必要であり、そういうことが弁護士法にも期待されると思うのであります。しかし、なかなか田舎に参りますれば弁護士さんがいらっしゃらないというふうな状況でございますので、そういう事実を前提にいたしますと、できることならば、司法書士とは申しませんけれども、まあ近いものとして司法書士等がそういった相談相手になるというふうなことが非常に大事なことじゃないかというふうに思うのであります。だから、そこのところは、弁護士会自身がもう少しおおらかに考えていただいて、そういうことをやりました場合に司法書士のところで粗ごなしの相談をすれば、これはいささかむずかしいとなれば弁護士さんの方へ回すというふうなこと、まあ運用の問題が大事だと思うのであります。専門医と町の一般開業医というふうなそういった関係がうまくできれば問題ないのじゃないかと思うのでありますけれども、なかなかその辺のところが、やはり間違ったことをやった場合にどうするかというふうな問題も含めて考えますと、弁護士会がなかなかそういった方向に歩み寄っていただけない理由もわからぬではないのでありますけれども、もう少しく全体的におおらかに考えていただけないかというふうな期待をいたしておるわけであります。  まあそういうことはともかくといたしまして、少なくとも業務関係することにつきましてやはり間違いのない相談相手になれるということがもう先決問題として何よりも必要でございますので、お説のような方向十分試験内容考え、あるいは指導にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 橋本敦

    橋本敦君 この試験受験資格については特段制限はございませんか。
  23. 香川保一

    政府委員香川保一君) 制限はございません。
  24. 橋本敦

    橋本敦君 受験資格について学歴その他特段制限がないというのは私はいいことだと思いますが、それだけに試験を余り高度化してはならないし、さりとていま言った要請にこたえなければならないということで、司法書士会司法書士となられた皆さんに対する今後の育成指導ということについても法務省としては格段の御努力と御協力をお願いしておきたいと思います。  その次に、登録に関する問題、登録取り消しの問題ですが、この登録に関し司法書士会を経由して登録するという手続になっております。あるいはまた登録取り消しというようなことが懲戒としても行われるし、また登録受理しないということも行われるということで、監督権ということでありましょうが、かなり大変厳しい重大な権限法務省がお持ちになっていらっしゃる。  そこで、私はその点に関連をして聞くのですが、たとえば六条の関係におきまして登録申請をする。その場合に、第二項でもって「次の各号の一に該当する場合には、法務局又は地方法務局の長は、その登録を拒否しなければならない。」つまり、登録拒否司法書士業務試験に合格した人に対してもさせないという厳しい、拒否義務とまではまいりませんけれども、そういう扱いになっているわけですね。その中に、たとえば具体的な客観的事実を判断材料とするものであればよくわかるのですが、三号では「司法書士信用又は品位を害するおそれがあるとき」つまり事前予防のようなことで登録を拒否しちゃうわけですね。私は、この認定が不当にやられますと、大変な人権侵害なり職業の自由を奪うということになりかねないという問題があるという心配をするわけです。そこで、具体的に登録さえ拒否されてしまうというそれに値する司法書士としての「信用又は品位を害するおそれがある」というのは、具体的にはどういう事実でどういう認定をするということになるのか、何か客観的基準があるのか、この辺が私は疑問なんですが、その点はいかがでしょう。
  25. 香川保一

    政府委員香川保一君) この六条の二の二項三号の例としましては、たとえば現在刑事訴追を受けておるというふうな者が最も典型的な例として考えられると思うのであります。ただ、お説のとおり「信用又は品位を害するおそれがあるとき」というふうなきわめて抽象的な書き方でございますし、「おそれがあるとき」というふうなことにもなっておる関係上、この運用誤りのないようにしなきゃならない。私どもとしては、この改正法が施行になる際には、この辺の運用基準と申しますか、具体的な例示もいたしまして、そして問題があるときには本省に内示するというふうなことで運用誤りのないように期していきたいと、かように考えておるわけでございます。
  26. 橋本敦

    橋本敦君 いま局長が御答弁になりました運用基準をおつくりいただきまして、それである程度客観的基準を明示するというのは、私はこれは非常によいことだし、大事なことであると思うのですね。この点については私は法務大臣の御意見も伺っておきたいのですが、司法書士資格試験によって取得した人が、その人の行動といたしまして法務省のお気に食わないこと、たとえば、私どもの言葉でいう弁護人抜き法案反対の集会に参加したとか、あるいは私ども立場で言えば共産主義的思想を持っているとか、そういうことによって、本人はわかりませんけれどもこのおそれがあるということ、こういうことで登録さえ受理されないということになりますと、これは本当に憲法に違反する大問題が起こるわけですね。だから、そういうことにならないという明確な基準というものは、これは国民職業上の自由あるいは市民的自由の確保という上から、法務省としては責任を持っていま局長がおっしゃった運用基準で正しく運用していただきたいと思うのです。この点についての大臣の御見解はいかがでしょう。
  27. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) この種の法文書き方というものは、読んだところで、「信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士職責に照し司法書士としての適格性を欠くとき。」そういうものは確かに適当じゃないのですけれども法文の形でおおむねこういうような表現をしておるわけでございます。ただ、具体的に法務局長あるいは地方法務局長等が専断でやられますと、これはどんなにでも運用できるわけでございますから、法の目的はそういうことではございません。先ほど民事局長からもお答えしたとおりの具体的な、やはりこれはふさわしくないとだれしも考えるようなことを進めなければならない。それには、いまおっしゃったように、こういうことは思想であるとか信条であるとかそういうものは何もこれに関係ないことでありますから、そういう懸念がないような措置は当然とらなければならない、かように考えております。
  28. 橋本敦

    橋本敦君 その点はぜひ今後の運用において大臣局長がおっしゃった趣旨が生かされるようにお願いをしておきます。  そこで、もう一つ、私は、司法書士皆さん社会的地位資質向上ということは、同時に司法書士会自主自律機能とその権威を高める、もちろん法務省指導監督下にあります、そういう作用が必要だと思うのですね。そこで、私が一つ気になりますのは、いまお話を申し上げました登録受理あるいは懲戒としての登録取り消し、あるいは懲戒としてでなくても六条の三で取り消しがございますが、こういう登録受理もしくは取り消しという重大な権利関係の変動に関係いたしまして、第六条の五によりますと、「法務局又は地方法務局の長は、必要があると認めるときは、登録に関して、その管轄区域内に設立された司法書士会意見を求めることができる。」という任意的裁量的関係意見を求めるということになっているわけです。そこで、私はこの規定があることは賛成ですけれども、いやしくも登録受理をしない、あるいは懲戒として登録取り消しをするという重大な権利の剥奪に関するようなそういう処分の前には、当然司法書士会の適正な意見を求めるということをぜひおやりいただく運用が正しいのではないか。この六条の五の「必要があると認めるときは、」というのは、そういう趣旨運用していただけるものだと、こう解してよろしいでしょうか。
  29. 香川保一

    政府委員香川保一君) 御指摘の六条の五というのは、他の業法における登録手続については全くその例を見ない規定でございます。私どもといたしましては、先ほどもお述べいただきましたように、できるだけ司法書士会というものが司法書士指導育成に努力していただく、そういう方向に持っていきたいわけでございます。しかし、現在の各司法書士会実情を見ますと、大都市の司法書士会それなりの整備もできておりますけれども地方司法書士会によりましては、なかなか会の事務もたとえば会長の事務所で会長の補助者が会の事務をやっておるというふうな程度のところも遺憾ながらあるわけでございます。したがって、法律で何もかもすべて司法書士会登録については意見を求めるというふうなことに義務づけられますと、役所の方はいいのでございますけれども司法書士会の方はなかなかついてこれない。これは意見を求められますと、たとえば先ほどの登録拒否事由の関係も含めまして、その他の欠格事由等の調査も問題になるわけでございますし、なかなか容易でないわけでございます。したがって、法文上はこのように「必要があると認めるときは、」ということにしておいていただいて、司法書士会の今後の育成をまってお示しのような方向に徐々に持っていきたいというふうな考えでこういうふうにいたしておるわけでありまして、できることならばすべて会の意見を聞くということが好ましいことは当然のことだと思います。
  30. 橋本敦

    橋本敦君 そういういま局長がおっしゃったような実情があるにせよ、将来の期待としては司法書士会がやっぱり自律的自主的な機能を整備して持っていくことを法務省としても期待されておられると思うのですね。だから、そういう関係司法書士会法務大臣に対する建議ができるということも新設されている。これは私はいま局長がおっしゃった実情はあるにせよ、将来法務大臣司法書士会としての建議ということを公然と十七条の三で新しく入れたというのは、やっぱり司法書士会の全体の制度改善を含む重要な規定だと思いますね。だから、私は、これが本当に自主的に今後行われるように強く期待をしていきたいし、またそのように指導していただきたいと、こう思うわけです。  もう一つ、現在の登記事務関係について、登記の渋滞、法務省自体の側の人員の不足その他でかねてから法務委員会等でもお願いなり要求なり人員増なりの問題がありますが、きょうはそれはさておくといたしまして、コンピューターシステムの問題について二、三お伺いしておきたいと思います。いわゆるコンピューター化ということが言われてからずいぶん御研究になっている由でありますし、私も見学もさしていただいたわけでありますが、このコンピューターの利用ということについて将来の展望、どの範囲まで法務省はおやりになるというそういう計画をお持ちでしょうか。
  31. 香川保一

    政府委員香川保一君) 将来はできることならばコンピューターによって事務を処理するというふうにしたいわけでございますが、その展望といたしまして、いま申しましたような願望は別といたしまして、なかなか全国の登記事務をコンピューター化するというのは技術的にも相当問題がございますし、また財政的にも大きな問題であろうと思うのであります。全国の登記事務をコンピューターで処理するとなった場合に一体幾ら金がかかるのだろうというふうなことも実はまだ試算ができていないわけでございまして、これはまあいろいろなやり方が考えられるわけでございますが、どんなやり方がいいか、それも非常に問題でございますし、何よりもまた、現在御承知のとおり、登記所というのは全国に千百ぐらい分散しておるわけでございます。これをこのままにしてコンピューター化ということは、これはとうてい不可能だと思うのであります。そうしますと、やはり思い切った登記所の統合ということも必要になってまいるわけでございまして、そうなると、国民の側から見ますと非常に不便になってくるという面は否定できないわけでございます。この辺の登記所そのものを統合しながらコンピューター化することによっての国民の不便をどのように解消するかという問題も大事な問題としてあるわけでありまして、その辺のところも含めて考えますと、なかなか全体の構想と申しますか、それはまだまだ私どもとして遺憾ながらでき上がっていないわけでございまして、その辺のところをいま模索しておると申し上げるのが一番正直なことだと思うのですが、そういう状況でございます。
  32. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。私がいまコンピューター問題を提起した理由は、将来、いまの供託金問題等だけじゃなくて、甲号事件、乙号事件全般について情報システムの集約化ということが進んでコンピューター化されてまいりますと、国民権利関係がどうかという面、それから司法書士業務自体がコンピューターに打ち込む関係で非常に定型化されていかなくちゃならぬという新たな技術的な研修の面、司法書士さんの仕事とそれからそれの運用ということ自体にも法務省の研究についていかなきゃならぬという問題が出てくるわけですね。だから、コンピューター化というのは、局長がおっしゃるように、莫大な費用その他がかかるし、全体の展望がなかなかむずかしいので模索していらっしゃると、こういうことですが、これを進める上では、もしお進めになるとすれば、司法書士制度改善なり、あるいは研修なり、あるいは司法書士会意見を聞くなりという、こういうことが並行的に行われていきませんと、私は合理的なものがなかなかでき上がらないだろうと、こう思うのですね。いまのお話では模索段階だということでありますが、模索にしろこれから法務省は研究を続けられるわけでありますから、それに関連しては最も身近な司法書士皆さんも重大な関心を持っていると私は思いますので、これについては今後司法書士会皆さんとも適宜必要な協議なり意見聴取なり、そういったことも含めて検討していただきたいと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 香川保一

    政府委員香川保一君) 登記制度のコンピューター化と司法書士関係で御指摘がございましたので、細かなことでございますが、いま考えられておりますのは、何と申しましても登記の記載というのは漢字が非常に多いわけでございます。人名から地名、こういったものがひらがな化しますと同一のものがわからなくなってくる。どうしても漢字でもってあらわさなきゃならぬ。これはどうしようもないことでございます。そうなりますと、申請書を、特殊の、ひげ文字と言っておりますが、普通の漢字の活字にひげで符号をつけたようなそういう活字のタイプということになるようでございます。そうしますと、現在の司法書士の事務所は人が出入りが激しいわけでございまして、そういうところで非常にごみが立つということになるとタイプに微妙な影響が出てくるそうでございます。そうなると、やはり空気の清浄なそういうタイプ室をつくらなきゃならぬというふうな問題もございますし、現在のところそのタイプは一台大体三十五万ぐらいかかるそうでございます。そういうことが一体現在の司法書士に耐えることかどうかという問題が先決問題としてあるわけでございます。だから、いま意見を聞きますと、恐らく大半の現在の司法書士はそれは反対だと、こういうふうにおっしゃると思うのです。しかし、将来の展望としまして、そこのところをいろいろ大所高所からと申しますか御協力を得ていくような方向で話し合いを進めなきゃならぬと思っておりますが、それ一つとりましても、なかなか役所が勝手にやるという性質にまいらぬ部分もございますので、いまのところ、先ほど申しましたように、いろいろの問題を抱えておるという現状でございます。
  34. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。司法書士法関連してお聞きしたい点は以上で終わりでございます。  なお、民事執行法については、きょうはもう会期の最終日でございますし、時間もございませんので、後の機会にさしていただきたいと思っております。終わります。
  35. 円山雅也

    ○円山雅也君 本日の委員会の対象は、民事執行法案司法書士法の一部改正法案と二つございます。そこで、一応民事執行法案についてまず一言お断りをいたしたいと思います。  この法案は、日本のそれこそこの道に関する最高の英知が十年にわたって十分な論議を尽くされたものであることで、それからまた大変技術的な法案である。だから、政策的な論議をする論点が非常に少ない、これはわかるのでございます。しかし、だからといって国会での審議の対象を少ない政策的な論点にだけしぼっちゃって、残された多くの技術的な側面についてはこの道の専門家である立案者側に一切任せてほっかぶりしてこの法案の成立を急げというのは、これはどうもいかにも暴論といいますか、とてもいれられない考え方だと思うのでございます。これじゃ私たちにだけ与えられた立法権の放棄だし、それから国会が唯一の立法機関であると規定した憲法にも違反するのじゃないか。第一、たとえば裁判所でもって非常に特殊な高度な鑑定資料をもとに裁判をされる場合に、鑑定書によればこれこれだというような判断は許されないことは御承知だと思うのです。やっぱりいかに高度であり、いかに特殊な専門的な分野の鑑定であろうと、一応裁判官はそれも自分に理解し、そして自分のものとして自分が判断しなきゃいけない。国会の審議も全く同様じゃないかとこの問題については考えるのでございます。このような意味で私もこの法案については技術的な側面を含めてやっぱり全部について十分な論議を尽くすべきだと思いますし、そうなりますと、寺田委員が御指摘のように、まず時間的な制約でもってとても無理。ですから、本日はこの法案に対する質疑は省略いたしまして後日に譲りたいと、そのようにまずお断り申し上げます。  そこで、司法書士法案に入りますけれども、まず今度の改正法案の十五条の五によりますと、司法書士登録をしようとする場合には必ず司法書士会へ入会しなきゃならぬと、それから十九条によりますと、入会者でなければ業務はできないと、こうなっている。ということは、司法書士という職業を営むためにはまず司法書士会の入会が強制されるし、結果、この受け皿として司法書士会の結成が強制されておる。といたしますと、これはまず憲法二十一条の結社の自由、憲法二十二条の職業選択の自由を侵害しているということになるわけですけれども、当然立案者としては、この点に関しまして、いやこれこれこういう理由でその点は合憲であるという根拠をお持ちだと思いますけれども、まずその根拠をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 香川保一

    政府委員香川保一君) 司法書士会に入会した司法書士でなければ業務ができないというこの強制加入の制度というのは、今回の法律案で新たに設けようとするものではないわけでございまして、すでに昭和三十一年の司法書士法改正の際にそういう強制加入の制度が取り入れられたわけでございます。そのときも、確かに、強制加入というのは憲法上問題がないのかというふうな議論があったようでございまして、この考え方は、司法書士業務の重要性にかんがみまして、やはりそういった司法書士が一緒になって互いに切磋琢磨する、司法書士会というものを設けてそこで研修をするとか、あるいは業務改善について英知を集めるとか、そういったことが、個々の司法書士がばらばらにそういうふうなことをやっておるよりは、はるかに司法書士品位向上なり、業務改善資質向上に役に立つと、その司法書士業務国民法律生活に非常に密接重要なものだということから考えまして公共の福祉という観点からそういう強制加入という制度を設けても憲法上問題はないと、こういう結論になったように承知いたしております。
  37. 円山雅也

    ○円山雅也君 こういう考え方があるんですけれども、たとえば弁護士法の場合、弁護士会の入会は強制的になる。これは、弁護士会が、入会する会員に対して、たとえば入退会、懲戒、それからいわゆる監督権を全面的に弁護士会自体が持っておって、弁護士会が自治権を持っている。だから、自分の自治を貫徹するにはどうしても会員を自分の傘下にコントロールしておかなきゃならない。だから、いわゆる強制加入をさせてもこれは公共福祉に沿う、合憲なんだという考え方。とすると、司法書士会、まあ税理士会、公認会計士も同じでございますけれども、つまり強制加入とその会の自治権とは常に表裏一体をなして初めて合憲性が認められるので、もし自治権がなくて、今度の司法書士法もそうですけれども監督権が全部会じゃなくて国にある、入退会から登録から登録取り消しから懲戒まで国が持っておる、会が持っていない、自治権が強制加入と分離された場合には強制加入を合憲とする根拠はないのではないかというような考え方もあるようですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  38. 香川保一

    政府委員香川保一君) まずお断り申し上げておきたいのですが、登録事務は、これは司法書士であることを公証する制度でございますので、これは本来国の事務、したがって国がやるべきものであるわけであります。弁護士会お話が出ましたのでそれとの対比で申し上げたいと思いますけれども弁護士会は自主権というか、懲戒権を持っておる。しかし、この懲戒権を弁護士会に与えるかどうかという、問題はこれは立法政策の問題でございまして、だから憲法より下の法律懲戒処分権を弁護士会に与えることによって、それが目的でその手段として会が必要になり、しかも強制加入ということ、これがまた上のランクの憲法上の要請を満たすというのは、私は論理は逆だと思うのであります。自主懲戒権があるかないかということよりは、国民に対して重要な仕事を、国が、この司法書士さんなら司法書士さん、弁護士さんなら弁護士さんにお任せなさいと、ほかの人じゃ間違ったことになるかもしらぬから、この人たちにこういう仕事を頼まれるのなら正規の弁護士あるいは司法書士に頼みなさいと、こういうことを国民に対して保証しているのがいわゆる業法であるわけでございます。そういたしますと、法律としては、国民に対してそういういわば独占的にそういう仕事をする人たちの中身といいますか実力がそれ相応に備わっていなきゃならぬということが何よりも大事なわけでございまして、その実力を備える方法としましてどういうことがいいかということが問題になるわけであります。司法書士会をつくるといいましても、これは先ほど申されましたような司法書士会弁護士会と違って一切自主権がないのだということではないわけでございまして、いろいろ会則を制定し、会員を指導し、あるいは会則違反になりますれば懲戒権ということもございますし、あるいは脱会というふうなこともいろいろあるわけでございまして、したがって、そういうものをいわば背景にしながら司法書士会司法書士品位向上なり能力の増進に努めるということにするのがやはり国民に対しては一番いいのだと、こういうことになる、これが強制加入の一つの大きな根拠だと思うのであります。だから、自主懲戒権がなければそういう強制加入は憲法上問題があるということにはならないのじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、事憲法でございますのでいろいろ考え方があると思いますけれども、私どもとしては憲法上問題はないというふうに考えております。
  39. 円山雅也

    ○円山雅也君 その問題はこの程度にいたしまして、次に特認制度についてお聞きをいたします。  きのうの民事局長のお答えでは、特認対象者だから当然なるわけじゃなくて、法務大臣が別途に試験をしてそれでもって入れるのだという御回答でございました。そうすると、この法務大臣の行う別途な試験と、それから一般が受ける普通の国家試験と比べまして、たとえば、難易とか、科目の多少とか、相当な差異があるのでございますか。
  40. 香川保一

    政府委員香川保一君) これはおのずから差異が出てくるというふうに考えておるわけであります。たとえばこれは法務局の職員を例にとって申し上げますと、任官してから登記いちずにずっと来たという職員がおるといたします。そうすると、どこどこの出張所長をやり、あるいは登記課長をやったというふうな人を考えますと、これはまあ登記は一人前以上の能力を持っておるわけでございます。しかし、その人は実は訴訟関係というようなことは何もやったわけじゃありませんから、一つの教養としてそういうものは関連して知ってはおるでしょうけれども、そういう職歴からだけではそういった知識があるとはなかなか客観的には認定しにくい。そういうときに訴訟法の——民事訴訟法なら民事訴訟法なり、あるいは刑事訴訟法の問題を認定の資料として試験をするというふうなことが一つの例として考えられるわけでございます。そういった意味で、法務大臣認定するに当たってのいわば試験というものは一般の国家試験とは内容もそれは違うのは当然のことだろうと、こういうふうに考えております。
  41. 円山雅也

    ○円山雅也君 そうしますと、結局、その差が出るのは、特認の対象者がそれまでの職業上の知識とか体験とかいうものがプラスになっているから、だからそのプラス分を引いた残りについての分を試験すればいいというふうになるのでしょうか。
  42. 香川保一

    政府委員香川保一君) まあわかりやすく言えばそういうことだと思いますけれども、これはやっぱり経歴やいろいろの人がございますので、いま任官してから登記いちずに来た人の例をとりましたけれども、そういう人はそうたくさんいるわけじゃございませんので、いろいろそのケースによって認定試験というものがおのずから差が出てくるだろうというふうに考えております。
  43. 円山雅也

    ○円山雅也君 ちょっと大変意地悪な質問なんですけれども、そうなりますと、つまり、一般国家試験に比較して不足分、つまり従来の経験はプラスとして残して、この不足分を補う特別な試験だということになれば、結局このプラス分は持っている方が対象になるはずなんだから、だから特認者の方も一般の国家試験を受ければその分は通過するんだから、あとの分だけの審査の対象になるんで、一般の国家試験を受けさせればいいのじゃないでしょうかね。
  44. 香川保一

    政府委員香川保一君) きわめて何といいますか自信のある、男らしく物を言えば、そういうことになるのかもしれません。しかし、こういう制度というのは、私はやっぱり目に見えないそれなりのプラスが非常にあるだろうと思うのであります。だからこそ、各業法におきましても、これは何も自分の方の職員がかわいいとかそういうこととは違って、どちらかといいますと、やはり登記関係仕事をされる司法書士というのはその仕事ぶりというのは非常に登記行政に影響があるわけでございまして、現在、御承知のとおり、登記所は職員も少ないというふうなことでみんな苦労してやっておるわけでございますけれども、その面がより苦労するか若干でも緩和されるかということは司法書士仕事ぶりによって非常に違ってくるわけでございまして、そういう意味から申しますと、どちらかと言えば、そういう本当の登記実務を中で経験した人がむしろ登記の方の外側の仕事を主にしてやるというふうな、まあ国家試験を合格した者が原則ではなくて、そういう経験と実務の知識を持っておる人がむしろ原則的に司法書士になっていただく方が制度としては私は実質的にいいだろうと思うのです。しかし、たてまえといたしまして、それはかっこうがちょっとつかぬということになるかと思いまして、こういう国家試験を一号に掲げ、二号で特認制度を置いているということでございまして、私は、制度運用を、単なる観念論でなしに、実質どういう形にするのが全体として国民のためになるかという観点から申しますと、やはり特認制度というのはぜひ必要な制度だろうというふうに考えております。
  45. 円山雅也

    ○円山雅也君 ちょっと細かい質問になりますが、この特認の条文ですが、改正法でいくと三条の二号になりますね。それから現行法でいきますと二条の一号ですが、現行法の二条の一号は、「検察事務官の職の一又は二以上に在つて」という文句が入っておりますが、改正法はその「一又は二以上に在つて」というのを削っておりますけれども、これは同じでございますな、適用面では。
  46. 香川保一

    政府委員香川保一君) 現在流の書き方がこの改正案の「通算して」というふうなところにあらわれておるわけでございます。
  47. 円山雅也

    ○円山雅也君 では、最後の質問でございます。これは四条の六号ですか、欠格事由ですね。六号ですけれども、この中に、たとえば弁護士懲戒処分で除名された場合が——弁護士法では除名がございますけれども弁護士懲戒処分で除名された場合を除外されておりますけれども、特に何かこれを除外する意味があったのでございますか。
  48. 香川保一

    政府委員香川保一君) これは、御説のとおり、私は除外する合理的な理由はないと思います。しかし、これは弁護士ということがいろいろ問題がございまして沿革的にこういうことになっておる。しかし、考え方としては、弁護士懲戒処分を受けた、それでも司法書士にはすぐなれるんだというのはいかがなものかというふうに考えるわけでございますが、そういう例は幸いいままでございませんので、したがって、今回もそこのところはとりたててというふうなことでなしに、従来どおりの規定にいたしておるわけでございます。
  49. 円山雅也

    ○円山雅也君 これは弁護士が一番司法書士業務とは似ておりますですね。そうすると、公認会計士とか計理士とかそういう者が登録を抹消されてもこれは欠格事由になるのに、弁護士が除名なんといったらこれはもう大変なかなり悪いことをしないと除名まではいかないと思うのです。そうすると、そういう者が、たとえば依頼者の金を使い込んだような弁護士でも司法書士資格になるんだというので、これは弁護士への御好意なのか、それとも弁護士会懲戒が会の私的な処分で他は全部国の処分だからその辺で区別をされたのかな、どっちなのかなと思いましてね。
  50. 香川保一

    政府委員香川保一君) 率直に申しますと、これは弁護士司法書士を兼業の人の場合でございますから、その場合に、おっしゃるとおり弁護士の方が懲戒処分でこういった業務禁止とかありました場合に、当然に司法書士の方の登録取り消しには響いてこないわけでございますけれども、その弁護士懲戒処分を受けられた事案によっては、独自にそれがおっしゃるように司法書士との業務の類似性といいますか、近似性があるわけでございますから、やはり司法書士としての懲戒処分を発動するという余地は十分あろうかと思うのであります。ところが、これをもしもこちらの方に弁護士を入れますと、今度は弁護士法の方にはひっくり返って逆のことを皆入れなきゃならぬというふうなこともございまして、今回はその辺のところはさらに全般的な業法の問題でございますので他の省庁とも協議した上でやっぱりやらなきゃならぬというふうなことで見送ったわけでございます。
  51. 円山雅也

    ○円山雅也君 終わります。     —————————————
  52. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、熊谷太三郎君が委員辞任され、その補欠として竹内潔君が選任されました。     —————————————
  53. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 両案のうち、司法書士法の一部を改正する法律案についての質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。  司法書士法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  55. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  寺田君から発言を求められておりますので、これを許します。寺田君。
  56. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私は、ただいま可決されました司法書士法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     司法書士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の配慮をなすべきである。  一 登記制度の適正な運用を期するため、   (一) 登記事務に従事する職員の増員並びに登記所の施設及び環境の改善整備   (二) 不動産登記法第十七条の地図及び建物所在図の整備並びに不動産表示登記事務の処理体制の充実強化   (三) 不鮮明な登記簿謄抄本の解消など乙号事務処理の適正迅速化を図ること。  二 司法書士品位向上業務改善及び社会的地位向上を図るため司法書士会指導力を強化するなど適切な措置の実施に努めること。  三 司法書士試験制度運用に当たつては、司法書士に対する社会的需要に応ずるよう適切な配慮をするとともに、各地方において国民司法書士制度の利用を容易にするため、司法書士の配置に配慮すること。  四 司法書士の報酬制度について、実情に即した改善を図ること。  五 司法書士登録制度の実施に当たつては、司法書士会協力により、円滑な運用を図ること。  六 コンピューターシステムを登記事務に採用する問題については、日本司法書士会連合会など関係団体の意見を尊重しつつ、慎重に検討し、登記制度の適正な運用に遺憾のないようにすること。  七 土地家屋調査士法についても関係方面の意見を尊重し、司法書士法改正と同趣旨改正案を速やかに国会に提案すること。    右決議する。  以上でございます。
  57. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいま寺田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 全会一致と認めます。よって、寺田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、瀬戸山法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。瀬戸山法務大臣
  59. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして鋭意努力してまいりたいと思います。
  60. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  民事執行法案の取り扱いにつきましては理事会で協議いたします。     —————————————
  62. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) これより請願の審査を行います。  第五六号民法七百五十条の改正に関する請願外二百八件を議題といたします。  今期国会中本委員会に付託されました請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおり二百九件でございます。理事会で協議の結果、第五九五号民法第十一条の改正に関する請願外五十三件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第五六号民法第七百五十条の改正に関する請願外百五十四件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後零時十八分開会
  65. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  寺田熊雄君から、本日、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの理事の辞任に伴い、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に矢田部理君を指名いたします。     —————————————
  68. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  民事執行法案及び集団代表訴訟に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  70. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  71. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  74. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  検察及び裁判の運営等に関する調査のための閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      —————・—————