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政府委員(
香川保一君)
衆議院での附帯決議の第一点は、登記
制度の適正な運用を図るための登記従事職員の充実とか、あるいは登記所の施設ないし環境の
整備という点が第一点でございますが、これは従来から私
ども努力いたしておることでございまして、何と申しましても現在の事務量に比しますと法務局の職員の絶対数が不足しておることは否定できないわけでございまして、増員に努めていかなきゃならないというふうに考えておりますし、また登記所の施設あるいは執務環境の
整備につきましても、忙しければ忙しいだけさような周辺の物的条件の充足を図る必要があるわけでございますから、これも極力努力してまいりたいというふうに考えております。
それから一の(二)の
不動産登記法十七条の地図の
整備でございますが、これは登記
制度の基本であるわけでありまして、登記簿におきまして当該
不動産の権利
関係をいかように明確にいたしましても、その権利の客体である土地建物自体の
状況が明確に把握されてなければ絵にかいたモチと言われても仕方がないわけで、その土地の形状なりあるいは隣地との
関係等を明確にするものとして、この
不動産登記法十七条の
規定による地図が登記所に
整備されなきゃならぬということになっておるわけでございますが、遺憾ながらこれは莫大な金がかかることでございますので、今日まで満足のいく程度の地図の
整備はできていないわけでありまして、御
承知の国土調査法による地籍図が登記所に送付されてくるわけでありますし、また土地区画整理事業の換地確定地というふうなものも登記所に送付されてくるわけでありまして、かようなものは相当正確なものでございますので、この十七条の地図として取り扱うようになってまいっておりますが、法務局、登記所みずから自分の手で地図を作製するという段階にはまだまだ至っていないわけでありまして、ここ数年来予算措置を講じまして、モデル的に地図の作製作業を
実施いたしておりますが、何分にも莫大な金のかかることでございますので、今日までの法務局は登記事件の急増と事務量の増大に対処することで精いっぱいであった
関係もございまして、御指摘のとおり確かに地図の
整備はおくれておるわけでありますが、しかし、先ほど申しましたその機能、重要性から申しましてぜひとも、まあ少しずつでも
整備できるように努力していかなきゃならないというふうに考えております。
それから、「不鮮明な登記簿謄抄本の解消」と、これはまことに申しわけないわけでありますが、現在複写機を利用して謄抄本を交付いたしておるわけでありますが、登記簿の中には
明治時代につくられた和紙による登記用紙もまだあるわけでございまして、あるいはまた戦争中のいわゆる仙花紙という粗悪な用紙を用いて登記用紙がつくられているのもあるわけでありまして、そのような用紙につきましてはなかなか技術的にいろいろ工夫はいたしておりますけれ
ども、物理的に鮮明な謄本がなかなか出ない。そういうものは複写にかけないでということに相なりますと、職員が手書きをしなきゃならぬということになりますが、膨大な登記簿謄本の交付事務の現状から申しまして、手書きで謄本を作製し、交付するということは、言うべくして全く不可能なことだろうと思うのであります。したがいまして、私
どもはさようなコピーに載りにくい不鮮明な謄写しかできない、そういった用紙につきましては予算措置を講じまして、いわゆるその書きかえ作業を傍ら賃金予算で進める等の努力をいたしておるわけでありますが、さらに若干金がかかりましても高性能の複写機を導入いたしまして、さような粗悪用紙でも鮮明に謄本が作製できるような措置も徐々に講じておるわけでありまして、これもやはり金のかかる仕事でございますので、一挙にはなかなかまいりませんが、その御趣旨の方向に沿って従来から努力をいたしておりますし、今後とも努力いたしてまいりたいというふうに考えます。
それから附帯決議の二でございますが、これは司法書士会が司法書士の研修をおやりになるというときには、私
どもとしてはもうできるだけの協力はいたすというつもりでおります。
三番目の「司法書士会の自主的な内部規律により司法書士に対する国民の信頼を高め、社会的地位が向上するまう、司法書士会の指導に努めること。」と、これは今回の
改正法案におきましても、各司法書士会が自主的に会員に非違があるような場合には注意勧告をするというふうなことも
法律上明らかにしておりますし、何といっても自主的に会員の指導育成を図る
——司法書士会というのはまさに
法律もうたっておりますように、その点に存在価値が、存在理由があるわけでございますから、さような方向での司法書士会の活動に対しましては、私
どもとしてはまあ「指導に努める」というふうになっておりますが、そういうことが司法書士会ができやすいようにできるだけの協力なりあるいは御相談に応じたいと考えております。
それから四番目の、国家試験制の導入に当たっての、いわゆる先ほど問題になりました需給の
関係の問題でございますが、これは先ほ
ども御答弁申しましたように
一つの大きな問題でございますので、この線に沿って十分配慮をいたしたいと考えております。
それから五番目の、司法書士に対する公共登記の嘱託の推進、これは従来からやってきておるわけでございますけれ
ども、なかなか成果がまだ十分上がっていないということはまことにそのとおりだと思うわけでありまして、これは相手のある話でございますので、十分さような
協議を重ねて御趣旨に沿うようにしてまいりたいと考えております。
それからコンピューターの
関係は、これはまあ現在私
どもは実験段階と申しますか、まだまだいつから
実施に移せるかのめ
ども立たない、どれだけ金がかかるか、そういうこともまだ見当がつかないような段階でございまして、理論的には可能であることは言うまでもないわけでございますけれ
ども、相当の金がかかることでございますので、いつごろから
実施するかというふうなめ
ども全然立っておりません。まあ五年ぐらいたってできるような
性質のものではないだろうと、相当の
期間かかるであろうというふうに考えておりますが、御指摘のとおりの
関係者の
意見も十分尊重しながら国民に迷惑をかけることのないように慎重に
検討するということは当然のことでございます。
以上でございます。