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政府委員(
伊藤榮樹君) 付表の二十六項は「国際法上の海賊」となっております。「国際法上の海賊」と申しますのは、一九六二年に発効いたしました公海に関する
条約十五条に定義がございまして、この定義が国際的にいま認められております。したがって、この公海に関する
条約十五条に掲げる行為を「国際法上の海賊」という表現であらわしておると思われるのでございまして、それによりますと、まず(1)として「私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行なうすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為であって次のものに対して行なわれるもの」「(a)公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しは財産」「(b) いずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人又は財産」。それから(2)といたしましては、「当該船舶又は航空機を海賊船舶又は海賊航空機とするような事実を知ってその船舶又は航空機の運航に自発的に参加するすべての行為」、(3)「(1)又は(2)に規定する行為を扇動し又は故意に助長するすべての行為」と、こういうことでございまして、俗に言いますと海賊と空賊とを含んでおる、こういうものでございまして、これに対応いたします
わが国内法制といたしましては刑法の強盗罪、逮捕監禁罪、略取、殺人、暴力行為等処罰ニ関スル
法律、強要、こういった
犯罪を構成するもののうちの先ほど挙げました
条約に掲げる定義に該当するものと、こういうことになろうと思います。
二十七項は、「列車、航空機、船舶その他の交通
手段の不法な奪取又は管理に関する罪」ということでございまして、これはいわゆる
ハイジャックあるいはこれに類似する行為、俗に言うトレインジャック、シージャックとでも言いましょうか、そういうものを念頭に置いて書かれておるわけでございまして、
わが国内法制でこれに当たります罪は強盗、逮捕監禁、略取、殺人、暴力行為等処罰ニ関スル
法律、航空機の強取等の処罰に関する
法律、強要、こういった罪に当たるもので、ただいま申し上げました列車、航空機、船舶等の不法な奪取あるいは管理に関するものと、こういうことになろうと思います。
二十八項は、「列車、航空機、船舶その他の交通
手段の正常な運行を妨げ又はこれに危険を生じさせる罪」、これは
ハイジャックに対比して申し上げますと、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する
法律、こういうようなものとか往来妨害とか、そういうものを念頭に置いた規定でございまして、
わが国内法でこれに当たると思われます罪は刑法の往来妨害、電車汽車艦船等往来危険、電車汽車艦船覆没、業務上過失往来妨害、高速自動車国道法違反、道路交通法違反、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する
法律違反、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する
特例法違反、こういうようなもののうち列車、航空機、船舶等の正常な運航を妨げたり危険を生じさせる行為、これが該当すると思います。
それから二十九項は、「爆発物、火災装置又は危険な若しくは禁止された武器の規制に関する法令に違反する罪」ということでございまして、これに該当します
わが国内法の規定といたしましては、刑法の凶器準備集合罪、同結集罪のほか、爆発物取締罰則違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火炎びんの使用等の処罰に関する
法律違反、武器等製造法違反、火薬類取締法違反等の中で、ここに書いてあります爆発物、火炎装置あるいは違法な武器の規制に関する行為と、こういうことになろうかと思います。